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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ケールエキス末
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230712BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230712BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230712BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L2/00 B
A23L2/38 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017175704
(22)【出願日】2017-09-13
(65)【公開番号】P2019050748
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】507045904
【氏名又は名称】ヤクルトヘルスフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 夢奈
(72)【発明者】
【氏名】須藤 佑人
【合議体】
【審判長】平塚 政宏
【審判官】磯貝 香苗
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514456(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163443(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163442(WO,A1)
【文献】特開2002-204669(JP,A)
【文献】特開2003-159029(JP,A)
【文献】特開2004-175719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPlus/BIOSIS/EMBASE/MEDLINE/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)とブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)を含有する経口組成物であって、(A)と(B)の混合比率((A):(B))が、ケールの固形分換算で3:7~4:6であり、加熱臭及び青臭さがない経口組成物。
【請求項2】
ケールが、ハイパールおよびハイクロップから選ばれる1種以上である、請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
さらに、水溶性食物繊維を含有する、請求項1又は2記載の経口組成物。
【請求項4】
水溶性食物繊維が難消化性デキストリンである、請求項3記載の経口組成物。
【請求項5】
ケール加工品が、ケールエキス末である、請求項1~4のいずれか1項記載の経口組成物。
【請求項6】
ケール加工品が、1~2w/v%の濃度で液体に溶解して摂取されるものである、請求項1~5のいずれか1項記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な風味を持つケール加工品を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケール(Brassica oleracea var. acephala)はアブラナ科の植物であり、キャベツの一種であるが結球しない特性を有する。ケールには、グルコラファニン(スルフォラファングルコシノレート)が含まれており、当該グルコラファニンを摂取すると腸内細菌によってグルコラファニンはスルフォラファンに分解される。スルフォラファンには、発がん抑制作用、第二相解毒酵素誘導作用、ピロリ菌感染抑制作用等が報告されている。従って、ケールを原料とする青汁は、種々の栄養素だけでなく、生理機能を有する食品として注目されている。
【0003】
このようなケールを原料とする青汁を製造する際は、ケールに含まれる酵素による変質を防ぐ必要があることから、加熱処理(ブランチング処理)したケールが用いられる場合が多い(例えば、特許文献1)。
しかしながら、ブランチング処理を施したケールを原料として製造した青汁には加熱臭が生じ、風味が低下するという問題があった。
【0004】
一方、ブランチング処理を施していないケールを原料として製造した青汁には、ブランチング処理を施したケールを原料とした場合に比べて、ケールの青臭さ等の不快な味が強いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-186445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、風味が良好で摂取しやすいケール加工品を含有する経口組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、風味が良好なケール加工品を含有する経口組成物を得るべく種々検討したところ、ブランチング処理を施していないケール由来の加工品と、ブランチング処理を施したケール由来の加工品の混合物が、ブランチング処理したケールに由来する加熱臭が低減し、且つブランチング処理していないケールに由来する青臭さも低減され、良好な風味を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の1)~8)を提供するものである。
1)ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)とブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)を含有する経口組成物。
2)ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)とブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)の混合物である、1)の経口組成物。
3)ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)とブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)の混合比率が、ケールの固形分換算で2:8~5:5である、2)の経口組成物。
4)ケールが、ハイパールおよびハイクロップから選ばれる1種以上である、1)~3)のいずれかの経口組成物。
5)さらに、水溶性食物繊維を含有する、1)~4)のいずれかの経口組成物。
6)水溶性食物繊維が難消化性デキストリンである、5)の経口組成物。
7)ケール加工品が、ケールエキス末である、1)~6)のいずれかの経口組成物。
8)ケール加工品が、1~2w/v%の濃度で液体に溶解して摂取されるものである、1)~7)のいずれかの経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のケール加工品を含有する経口組成物は、青臭さ、加熱臭が抑制され、風味が良好で飲用しやすいという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口組成物は、ブランチング処理を施したケール加工品とブランチング処理を施していないケール加工品を含有する。
後記実施例に示すように、ブランチング処理を施したケールとブランチング処理を施していないケール夫々に由来する加工品を組み合わせて用いることにより、フレッシュ感、旨味が強く、ブランチング処理を施していないケールに由来する青臭さと、ブランチング処理を施したケールに由来する加熱臭が共に抑えられ、良好な風味が得られる。すなわち、ブランチング処理を施していないケール又はその加工品は、ブランチング処理を施したケールに由来する加熱臭の抑制(マスキング)に寄与し、また、ブランチング処理を施したケール又はその加工品は、ブランチング処理を施していないケールに由来する青臭さの抑制(マスキング)に寄与する。
【0011】
本発明において、「ブランチング処理を施したケール」とは、ケールの植物体を加熱処理したものを意味し、「ブランチング処理を施していないケール」とは、当該加熱処理をしていないケールの植物体を指す。
ケールの植物体は、植物全体、葉、茎、根、又は花蕾等のいずれでもよく、好ましくは、茎及び/又は葉である。
【0012】
尚、本発明において用いられるケールの品種は特に限定されないが、例えば、ケール変種(Brassica oleracea L.convar. acephala (DC.)Alef. var. sabellica L.)である「ハイパール」(農林水産省品種登録第20555号)、「ハイクロップ」(タキイ種苗株式会社)、「エステ」(株式会社サカタのタネ)等が好適に挙げられる。
【0013】
ブランチング処理の温度及び時間は、処理の方法によっても異なるが、ケール加工品の香り、外観の点から、例えば80~100℃で30秒~5分、好ましくは85~95℃で、1~2分が挙げられる。
【0014】
ブランチング処理としては、特に限定されるものではなく、例えば、ケールの植物体全体、葉、茎、根、花蕾等、好ましくは、茎及び/又は葉に対する、蒸し処理及び水中加熱処理(茹で処理)等を挙げることができる。蒸し処理の場合、蒸気の流れが悪い状況では蒸気の当たり具合にばらつきが生じやすく、いわゆる「蒸しムラ」ができるため均一なブランチング処理が難しい場合があるため、水中加熱処理がより好ましい。
【0015】
ケールを水中で加熱する場合、水の重量に対するケールの投入量については特に制限はなく、均一に加熱できる条件であればどのような割合でもよい。
水中加熱処理に際しては、水にpH調整剤としてアルカリ剤、例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を添加することができる。
水中加熱処理の水のpHについては、特に限定されるものではないが、強い酸性の条件下ではケール中のクロロフィルの分解が促進され、ケール加工品の色調が悪くなることから、pH6~10であることが好ましく、pH7~10であることがさらに好ましい。
【0016】
ブランチング処理後のケールは、速やかに冷却することが色調の点で好ましい。冷却手段としては、自然放冷、氷、水等の冷媒を使用する方法などが挙げられる。
【0017】
本発明においては、上記のブランチング処理を施したケールと、当該ブランチング処理を施していないケールを原料とし、これらを夫々裁断処理、破砕処理、搾汁処理等の加工処理に付し、それらが混合される。すなわち、ケール加工品の形態としては、細断組成物、破砕組成物、搾汁組成物等であり得る。このうち、飲み易さの点から、搾汁組成物が好ましい。
【0018】
搾汁組成物は、例えば、洗浄したケールの葉をロールクラッシャー等の摩砕機で破砕した後に、スクリュープレス搾汁機で搾汁し、ろ過することにより取得できる。
【0019】
細断組成物、破砕組成物、搾汁組成物等は、そのままの形態でもよいが、熱風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の手段により粉末化したものであってもよい。乾燥手段としては、噴霧乾燥が、熱による変質が熱風乾燥に比べて小さく、また凍結乾燥に比べて乾燥処理時間が短いことから、より好ましい。
特に、搾汁組成物は、保存性の観点から、その乾燥物(ケールエキス末)であるのがより好ましい。
【0020】
また、ケール加工品は、必要に応じて殺菌処理を行ってもよい。この殺菌処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えばプレート式熱交換機を用いた殺菌等を挙げることができ、その条件も適宜設定することができる。
【0021】
本発明の経口組成物は、具体的には、ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)とブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)の混合物である。更に好適には、ブランチング処理を施していないケール由来の搾汁組成物、好ましくはその乾燥物(エキス末)と、ブランチング処理を施したケール由来の搾汁組成物、好ましくはその乾燥物(エキス末)の混合物である。
斯かる混合物である経口組成物は、必要に応じて結合剤等を添加して、流動層造粒法、転動(攪拌)造粒法、押出し造粒法等によって顆粒としたもの、更には圧縮成形等によって成形された錠剤であってもよい。
【0022】
ブランチング処理を施していないケール由来の加工品(A)と、ブランチング処理を施したケール由来の加工品(B)の混合物において、両者の混合比率は特に限定されないが、青臭さ及び加熱臭の抑制の点から、(A)と(B)の混合比率((A):(B))は乾燥質量比(固形分換算)で、1:9~9:1の範囲にあるのが好ましく、2:8~5:5の範囲であるのがより好ましく、3:7~4:6の範囲であるのがさらに好ましい。
【0023】
また、本発明の経口組成物は、苦味の抑制及びコクの増強の点から、水溶性食物繊維を含むのが好ましい。水溶性食物繊維としては、ペクチン、グルコマンナン、植物性ガム質、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の難消化性多糖類が挙げられ、好ましくは難消化性デキストリンである。
水溶性食物繊維の含有量は、固形分換算(乾燥した水溶性食物繊維の質量)で、本発明の経口組成物の乾燥質量(固形分換算の全質量)中、5~40質量%であるのが好ましく、10~30質量%であるのがより好ましく、10~20質量%であるのが更に好ましい。
【0024】
また、本発明の経口組成物には、必要に応じて、ビタミン類、ミネラル類、酵母粉末、乳酸菌、糖類、甘味料、果汁(果汁粉末)、香辛料、澱粉、デキストリン、ポリフェノールなどの原材料を配合することが可能である。
【0025】
本発明の経口組成物が、粉末、顆粒、錠剤である場合は、そのまま直接摂取してもよいし、水、温水、牛乳等の液体に加えて液状にして摂取することができる。液状にする場合は、ケール加工品が、固形分換算(ケール加工品の乾燥質量)で1~2w/v%の濃度となるように液体に溶解して摂取するのが、風味及びコクの点から好ましい。
【実施例
【0026】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
製造例1
(1)ブランチング処理ケール由来のケールエキス末の調製
ケール(「ハイクロップ」:タキイ種苗株式会社)の生の葉を水で洗浄し、炭酸ナトリウムを添加してpH8.0~10.0に調整した90℃の温浴中で、1分間加熱処理後、水槽中にて冷却した。冷却したケールを摩砕機で破砕した後に、スクリュープレス搾汁機で搾汁し、ろ過することによりケール搾汁液を得た。このケール搾汁液にデキストリン(パインデックス♯2:松谷化学工業株式会社)をケール固形分の1.5倍量混合し、直接加熱式滅菌装置(スチームインフュージョン)で殺菌後、噴霧乾燥してケールエキス末を調製した。
(2)ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末の調製
(1)と同様のケールの生の葉を水で洗浄し、加熱処理をすることなく摩砕機で破砕し、(1)と同様にして、ケールエキス末を調製した。
【0028】
実施例1
1)製造例1(1)で調製したブランチング処理ケール由来のケールエキス末と製造例1(2)で調製したブランチング未処理ケール由来のケールエキス末を表1の比率で混合し、流動層造粒により造粒した。得られた粉末サンプルをその濃度が3.33%(w/v)となる様に水で溶解したものについて、2)に示す基準で官能検査を実施した。熟練した3名のパネルにより、これらのサンプルの風味を下記評価基準で評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
2)評価基準
(フレッシュ感、旨味)
3点:非常に強い
2点:強い
1点:弱いがある
0点:ない
(青臭さ、加熱臭)
0点:ない
-1点:弱いがある
-2点:強い
-3点:非常に強い
(総合評価)
◎:合計6点以上
〇:合計4点以上6点未満
△:合計1点以上4点未満
×:合計1点未満
【0031】
3)結果
ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を4:6の比率で混合したときに、フレッシュ感、旨味が強く、青臭さ、加熱臭がなく、最も良好な風味であった。
【0032】
実施例2
1)実施例1と同様に、製造例1(1)で調製したブランチング処理ケール由来のケールエキス末と製造例1(2)で調製したブランチング未処理ケール由来のケールエキス末を表2の比率で混合・造粒した。得られた粉末サンプルをその濃度が4%(w/v)となる様に水で溶解したものについて、実施例1と同様の基準で官能検査を実施した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
2)結果
ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を3:7の比率で混合したときに、フレッシュ感、旨味が強く、青臭さ、加熱臭がなく、最も良好な風味であった。
【0035】
製造例2
ケールとして、「ハイパール」(農林水産省品種登録第20555号)を使用し、製造例1と同様に、ブランチング処理ケール由来のケールエキス末と、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末を調製した。
【0036】
実施例3
1)製造例2で調製したブランチング未処理ケール由来ケールエキス末とブランチング処理ケールエキス末を表3の比率で混合し、流動層造粒により造粒した。得られた粉末サンプルをその濃度が3.33%(w/v)となる様に水で溶解したものについて、実施例1と同様の基準で官能検査を実施した。その結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
2)結果
品種「ハイパール」においても、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を4:6の比率で混合したときに、フレッシュ感、旨味が強く、青臭さ、加熱臭がなく、最も良好な風味であった。
【0039】
実施例4
1)実施例3と同様に、製造例2で調製したブランチング処理ケール由来のケールエキス末とブランチング未処理ケール由来のケールエキス末を表4の比率で混合・造粒した。得られた粉末サンプルをその濃度が4%(w/v)となる様に水で溶解したものについて、実施例1と同様の基準で官能検査を実施した。その結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
2)結果
品種「ハイパール」においても、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を3:7の比率で混合したときに、フレッシュ感、旨味が強く、青臭さ、加熱臭がなく、最も良好な風味であった。
【0042】
実施例5
1)実施例1の結果より、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を4:6の比率で混合・造粒した粉末サンプルをその濃度が3.33%となるように水で溶解した場合、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末の「青臭さ」が抑制されることから、ブランチング処理ケール由来のケールエキス末のマスキング効果の確認を行うこととした。そのため、表5に示した粉末サンプルを100mLの水で溶解したものについて、実施例1と同様の基準で官能検査による「青臭さ」の評価を実施した。その結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
2)結果
ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末の配合量を減らすことによって青臭さは少し減少したが、さらにブランチング処理ケール由来のケールエキス末を混合することによって、青臭みを感じなくなった。
ブランチング処理ケール由来のケールエキス末にはブランチング未処理ケールエキス末の青臭みをマスキングする効果が認められた。
【0045】
実施例6
1)実施例1の結果より、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を4:6の比率で混合・造粒した粉末サンプルをその濃度が3.33%となるように水で溶解した場合、ブランチング処理ケール由来のケールエキス末の「加熱臭」が抑制されることから、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末のマスキング効果の確認を行うこととした。そのため、表6に示した粉末サンプルを100mLの水で溶解したものについて、実施例1と同様の基準で官能検査による「加熱臭」の評価を実施した。その結果を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
2)結果
ブランチング処理ケール由来のケールエキス末の配合量を減らすことによって加熱臭は少し減少したが、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末を混合することによって、加熱臭を感じなくなった。
ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末にはブランチング処理ケール由来のケールエキス末の加熱臭をマスキングする効果が認められた。
【0048】
実施例7
1)実施例1の結果より、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末とブランチング処理ケール由来のケールエキス末を4:6の比率で混合・造粒した粉末サンプルをその濃度が3.33%となるように水で溶解した場合、ブランチング未処理ケール由来のケールエキス末の「青臭さ」とブランチング処理ケール由来のケールエキス末の「加熱臭」が抑制され、風味が向上したが、さらに食物繊維素材「難消化性デキストリン」を配合した場合の風味の確認を行うこととした。そのため、表7に示した粉末サンプルを100mLの水で溶解したものについて、以下の2)に示す基準で官能検査を実施した。その結果を表8に示す。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
2)評価基準
(フレッシュ感、旨味、コク)
3点:非常に強い
2点:強い
1点:弱いがある
0点:ない
(青臭さ、加熱臭、苦み)
0点:ない
-1点:弱いがある
-2点:強い
-3点:非常に強い
【0052】
3)結果
難消化性デキストリンを混合することにより、苦みが抑制されるとともにコクが強くなり、青汁の風味がさらに良好となった。