(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】取付けアタッチメントを有する包装アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
A61M5/00 518
(21)【出願番号】P 2018527908
(86)(22)【出願日】2016-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2016079039
(87)【国際公開番号】W WO2017093199
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ・キーツマン
(72)【発明者】
【氏名】フレート・ルック
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・リーベル
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/050342(WO,A1)
【文献】米国特許第6955259(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0215782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0050462(US,A1)
【文献】特開2008-114008(JP,A)
【文献】実開昭51-93401(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装アセンブリであって:
薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースと;
ケースに取り付けられるように構成された取付け
板と;
を含み、
ここで、ケースは、取付け
板をケースに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含み、
ケースの外面は、取付け板の少なくとも一部を受けるように構成された凹部を有して形成され、凹部は、取付け板上にしっかり嵌るように構成され
、
取付け板は、粘着層またはハンガー装置を含む、前記包装アセンブリ。
【請求項2】
1つまたはそれ以上の磁石は、ケースの内面に配置されており、1つまたはそれ以上の磁石は、凹部に位置合わせされて配置される、請求項1に記載の包装アセンブリ。
【請求項3】
ケースは、1つまたはそれ以上の磁石の配置を維持するように構成された複数の内壁を含み、1つまたはそれ以上の磁石のそれぞれは、内壁のうちの少なくとも2つの間に保持される、請求項2に記載の包装アセンブリ。
【請求項4】
取付け板は、矩形の板であり、取付け板がケースに取り付けられたときに、凹部は、取付け板の少なくとも一部を受けるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装アセンブリ。
【請求項5】
凹部の奥行きは、取付け板の厚さに等しい、請求項4に記載の包装アセンブリ。
【請求項6】
ハンガー装置は、取付け板から延びており、該取付け板から最も遠くにある端部にフックを含む、請求項4
または5に記載の包装アセンブリ。
【請求項7】
取付け板がケースに取り付けられたときに、フックは、ケースに向かうように配設される、請求項
6に記載の包装アセンブリ。
【請求項8】
取付け板がケースに取り付けられたときに、フックは、ケースから離れるように配設される、請求項
6に記載の包装アセンブリ。
【請求項9】
包装アセンブリであって:
薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースと;
ケースに取り付けられるように構成された取付けアタッチメントと;
を含み、
ここで、取付けアタッチメントは、取り付け板、及び取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに実質的にケース外面の平面において取付け板から延びているハンガー装置を含み、
ケース外面は、取付け板の少なくとも一部を受けるための凹部を有して形成され、凹部は、取付け板上にしっかり嵌るように構成され、
ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、
フックは、ケース外面の平面から出て延びるように定位置に固定され、取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースに向かうように配設される、前記包装アセンブリ。
【請求項10】
取付けアタッチメントは、ケースの一部として形成される、請求項
9に記載の包装アセンブリ。
【請求項11】
取付けアタッチメントは、ケース外面に取り付けられるように構成された矩形の取付け板をさらに含み、ハンガー装置は、取付け板から延びるように配置される、請求項
9に記載の包装アセンブリ。
【請求項12】
ケースは、取付けアタッチメントをケースに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含む、請求項
11に記載の包装アセンブリ。
【請求項13】
包装アセンブリを提供するためのキットであって:
薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースであって、該ケースを取付けアタッチメントに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含むケースと;
矩形の取付け板を含む第1の取付けアタッチメントであって、取付け板の少なくとも一部が粘着層を含む、第1の取付けアタッチメントと;
取付け板およびハンガー装置を含む第2の取付けアタッチメントであって、ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、該フックは、第2の取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースに向かうように配設される、第2の取付けアタッチメントと;
取付け板およびハンガー装置を含む第3の取付けアタッチメントであって、ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、該フックは、第3の取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースから離れるように配設される、第3の取付けアタッチメントと、
を含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、薬剤用の包装アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疾患を患う患者は、例えば所定のスケジュールに基づき、薬剤による定期的な治療を必要とする。特定の薬剤は冷蔵保管を必要とし、多くの場合、家庭用冷却機すなわち冷蔵庫で冷蔵されて保管される。在宅治療の環境では、患者は薬剤を自らの冷蔵庫に保管し、必要に応じて所定の用量を投与する。したがって薬剤は、家庭用冷蔵庫に置くおよび保管するのに便利なように、典型的には二次包装で提供される。しかし薬剤は、食料および飲物などの、常時冷蔵を必要とする他の物品と一緒に保管しなければならない。
【0003】
薬剤の剤形に応じて、薬剤を含んでいる二次包装は、一次包装された薬剤自体を収納してもよく、または1つもしくはそれ以上の異なる種類の薬物送達デバイスを収納してもよい。例えば薬剤は、充填済みシリンジまたはペン型注射器で提供される。
【0004】
薬剤は、比較的長い間隔で、例えば2週間ごとまたは月に1度、用量の投与を必要とする所定の投薬スケジュールを有することがある。薬剤は、例えば3か月間または6か月間冷蔵庫で保管することができる数回分の用量を含む二次包装で提供される。患者が、それぞれの予定された投薬時間を把握しておくことは困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、包装アセンブリであって、薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースと;ケースに取り付けられるように構成された取付けアタッチメントとを含み:ここで、ケースは、取付けアタッチメントをケースに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含み、ケースの外面は、取付けアタッチメントの少なくとも一部を受けるように構成された凹部を有して形成される、包装アセンブリが提供される。
【0006】
1つまたはそれ以上の磁石は、ケースの内面に配置され、1つまたはそれ以上の磁石は、凹部に位置合わせされて配置される。
【0007】
ケースは、1つまたはそれ以上の磁石の配置を維持するように構成された複数の内壁を含み、1つまたはそれ以上の磁石のそれぞれは、内壁のうちの少なくとも2つの間に保持される。
【0008】
取付けアタッチメントは、矩形の取付け板を含んでもよく、取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、凹部は、取付け板の少なくとも一部を受けるように構成される。
【0009】
凹部の奥行きは、取付け板の厚さに等しくてもよい。
【0010】
取付け板の少なくとも一部は、粘着層を含んでもよい。
【0011】
取付けアタッチメントは、ハンガー装置を含んでもよく、ハンガー装置は、取付け板から延びており、取付け板から最も遠くにある端部にフックを含む。
【0012】
取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、フックは、ケースに向かうように配設される。
【0013】
取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、フックは、ケースから離れるように配設される。
【0014】
別の態様によれば、包装アセンブリであって、薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースと;ケースに取り付けられるように構成された取付けアタッチメントとを含み:ここで、取付けアタッチメントは、取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、実質的にケース外面の平面においてケースから延びているハンガー装置を含み、ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、フックは、ケース外面の平面から出て延びるように定位置に固定され、取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースに向かうように配設される、包装アセンブリが提供される。
【0015】
取付けアタッチメントは、ケースの一部として形成される。
【0016】
取付けアタッチメントは、ケース外面に取り付けられるように構成された矩形の取付け板を含んでもよく、ハンガー装置は、取付け板から延びるように配置される。
【0017】
ケースは、取付けアタッチメントをケースに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含んでもよい。
【0018】
ケース外面は、取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、取付け板の少なくとも一部を受けるための凹部を有して形成される。
【0019】
別の態様によれば、包装アセンブリを提供するためのキットであって、薬剤を送達するための少なくとも1つの注射デバイスを保持するように構成されたケースであって、ケースを取付けアタッチメントに取り付けるための1つまたはそれ以上の磁石を含むケースと;矩形の取付け板を含む第1の取付けアタッチメントであって、取付け板の少なくとも一部が粘着層を含む、第1の取付けアタッチメントと;取付け板およびハンガー装置を含む第2の取付けアタッチメントであって、ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、フックは、第2の取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースに向かうように配設される、第2の取付けアタッチメントと;取付け板およびハンガー装置を含む第3の取付けアタッチメントであって、ハンガー装置は、ケースから最も遠くにある端部にフックを含み、フックは、第3の取付けアタッチメントがケースに取り付けられたときに、ケースから離れるように配設される、第3の取付けアタッチメントと、を含む、キットが提供される。
【0020】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記述される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【0021】
ここで本発明の実施形態が、添付図面を参照しながら単なる例として記述される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の例示的な実施形態による包装アセンブリの等角図である。
【
図4】
図1の包装アセンブリの分解図(exploded view)である。
【
図5】例示的な実施形態による包装アセンブリの等角図である。
【
図6】例示的な実施形態による包装アセンブリの等角図である。
【
図7】例示的な実施形態によるキットの等角図である。
【
図8A】
図1~
図6の包装アセンブリで使用するための自動注射デバイスの側面図である。
【
図8B】
図1~
図6の包装アセンブリで使用するための自動注射デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態は、薬剤を送達するための複数の注射デバイスを含み収納するように構成された包装アセンブリを提供する。注射デバイスは、薬物送達デバイスの一例であり、ペン型注射器または自動注射器であってもよい。包装アセンブリは、家庭用冷却機すなわち冷蔵庫に保管することができる。
【0024】
患者は、包装アセンブリを空の状態で受け取ることができる。患者に複数の注射デバイスが提供されると、それらの注射デバイスが包装アセンブリに装着される。包装アセンブリは、予定された投薬時間が来るまで冷蔵庫に置いておくことができる。
【0025】
包装アセンブリは、患者が冷蔵庫内の様々な位置に包装アセンブリを配置することができるようにする取付け装置を含むことができる。例えば包装アセンブリは、注射の時間が来たことを患者にとって思い出しやすくするために、手が届きやすいところに配置される。患者の必要に応じて、アセンブリは、(例えばアセンブリを子供から遠ざけるために)冷蔵庫内で目立たないように配置されてもよく、または患者が冷蔵庫ドアを開けたとき常にリマインダとしての役割を果たすように、冷蔵庫内で目立つように配置されてもよい。包装アセンブリは、冷蔵庫内で目立つように配置することができる。包装アセンブリは、冷蔵庫内の食品を邪魔しない、手が届く位置に都合よく配置することができる。またアセンブリは、患者が希望するときに動かすことができ、または定期的に掃除するために一時的に取り外すことができる。以下に、様々なアセンブリの実施形態および使用法が記述される。
【0026】
本明細書において記述される薬物送達デバイスは、薬剤を患者に注射するように構成される。例えば送達は、皮下、筋肉内、または静脈内とすることができる。そのようなデバイスは、患者、または看護師や医師などの介護者によって操作されることがあり、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、封止済みのアンプルを使用前に穿孔する必要があるカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスで送達される薬剤の容量は、約0.5ml~約2mlの範囲であり得る。さらに別のデバイスは、「大量」の薬剤(典型的には約2ml~約10ml)を送達するためにある期間(例えば約5分、15分、30分、60分、または120分)にわたり患者の肌に付着するように構成されている大量デバイス(large volume device:LVD)、またはパッチポンプを含むことができる。
【0027】
特定の薬剤との組合せでは、ここに記述されるデバイスは、必要とされる仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズすることもできる。例えばデバイスは、一定の期間(例えば自動注射器に関しては約3秒~約20秒、およびLVDに関しては約10分~約60分)以内で薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様としては、低レベルもしくは最小レベルの不快感、または人的要因、保存期間、使用期限、生体適合性、環境的配慮などに関する特定の条件が含まれる。このようなバリエーションは、例えば粘性が約3cP~約50cPである薬物など、様々な要因に起因して生じ得る。その結果、薬物送達デバイスは、多くの場合サイズが約25~31ゲージである中空針を含むことになる。一般的なサイズは27および29ゲージである。
【0028】
本明細書において記述される送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能も含むことができる。例えば、針挿入、薬剤注射、および針後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動ステップのためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、例えば機械的、空気的、化学的、または電気的なエネルギーを含むことができる。例えば機械的なエネルギー源は、ばね、てこ、エラストマー、またはエネルギーを蓄えるもしくは解放するための他の機械的機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み合わせることができる。デバイスはさらに、歯車、弁、または、エネルギーを1つもしくはそれ以上のデバイスの構成要素の動きに変換するための他の機構を含むことができる。
【0029】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能は、起動機構によって起動される。そのような起動機構は、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。起動は、ワンステップのプロセス、または多ステップのプロセスとすることができる。すなわち、自動化機能を行うために、ユーザは1つまたはそれ以上の起動機構を起動させることが必要な場合がある。例えばユーザは、薬剤の注射を行うために、自分の身体に対してニードルスリーブを押し下げる場合がある。他のデバイスでは、注射を行うために、ユーザは、ボタンを押し下げニードルシールドを後退させることが必要な場合がある。
【0030】
それに加えて、そのような起動によって、1つまたはそれ以上の機構を起動することができる。例えば、起動シーケンスによって、針挿入、薬剤注射、および針後退のうちの少なくとも2つを起動させることができる。いくつかのデバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能を行わせるために、ステップの特定のシーケンスを必要とすることもある。他のデバイスは、シーケンスとは無関係のステップで動作することができる。
【0031】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器のうちの1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。例えば送達デバイスは、(自動注射器で典型的に見られるように)薬剤を自動的に注射するように構成された機械的エネルギー源、および(ペン型注射器で典型的に見られるように)用量設定機構を含むことができる。
【0032】
図1~
図4を参照すると、例示的な実施形態による包装アセンブリ100が示されている。包装アセンブリ100は、蓋120を有するケース110を含む。ケース110は、前方壁131、後方壁141、および2つの側壁142を含む。前方壁131は、デバイスのベースにおいて後方壁141につながるように湾曲している。ケース110の上端では、前方壁131と後方壁141と2つの側壁142との間に開口部が形成されている。
【0033】
ケース110の蓋120は、ケース110の開口部を覆うように配置される。蓋120は、ケース110の2つの側壁142間でヒンジ式に取り付けられている。蓋120は、閉位置と開位置との間でヒンジ式に自由に動くことができる。閉位置では、蓋120は、ケース110の開口部を覆うように配置される。開位置では、ケース110の開口部は覆われておらず、ケース110の内部にアクセスすることができる。
【0034】
蓋120は、蓋120を閉位置に保つためのラッチ機構を含むことができる。ラッチ機構は、蓋120の縁部に配置された突出部材を含むことができる。突出部材は、蓋が閉位置にあるときにケース110の対応する機能に係合するように構成される。突出部材は、ケース110から係合解除し、蓋120が開位置に動くことができるようにするために、可撓性または引き込み可能とすることができる。
【0035】
ケース110は、複数の注射デバイスを保持および収納するように構成される。ベースと蓋120の間で測定されたケース110の高さは、注射デバイスのそれぞれの長さを収容するのに充分である。ケースの高さは、約160mm~約180mmとすることができる。前方壁131と後方壁141との間で測定されたケース110の奥行きは、注射デバイスのそれぞれの幅を収容するのに充分である。ケースの奥行きは、約30mm~約40mmとすることができる。2つの側壁142間で測定されたケース110の幅は、6つの注射デバイスを収容するのに充分である。ケースの幅は、約180mm~約200mmとすることができる。
【0036】
図1に示されるように、ケース110の前方壁131は、後方壁141よりも短い。蓋120は、前方壁131の上縁部から、後方壁141の上縁部まで延びている。蓋120は湾曲している。この湾曲によって、蓋120は、閉位置におけるケース110の上部と前面の一部分とを形成することができる。他の蓋の構成も考えられる。
【0037】
前方壁131、後方壁141、および2つの側壁142は、不透明な材料、例えば不透明なプラスチック材料から形成される。蓋120は、半透明またはつや消しの材料、例えばつや消しコーティングまたは処理済み表面を有する透き通ったプラスチック材料から形成される。蓋120の一部分は、蓋120を通して観察窓121を形成するように透き通っており透明である。
【0038】
ケース110は、開口部内に配置されたパネル150をさらに含む。パネル150は、ケース110の蓋120が開位置にあるときのみ、全体を見ることができる。蓋120が閉位置にあるときには、蓋によって、パネル150が少なくとも部分的に見えなくなる。パネル150は、複数の開口部151を含む。開口部151は、対応する複数の注射デバイスを保持するように構成される。パネル150の開口部151は、形状が円形である。開口部151は、他のサイズの注射デバイスを収容するように、方形状または矩形状とすることができる。各開口部の幅は、各注射デバイスの幅を収容するのに充分である。パネル150は、ケース110の幅に沿った列に配置された6つの注射デバイスを保持するように、6つの開口部の列を含む。包装アセンブリ100は、ケース110内に6つより多くの、または6つより少ない注射デバイスを保持するように構成することができる。
【0039】
蓋120は、閉位置にあるときに、複数の注射デバイスをケース110内の定位置に保持するように構成される。蓋120が開位置に動かされ、注射デバイスのそれぞれが、対応するそれぞれの開口部151に挿入される。蓋120が閉位置に動かされ、注射デバイスがケース110の外に落ちるまたは滑ることが防止される。各注射デバイスは、開口部151との摩擦嵌めによって、対応する開口部151内の定位置に保持される。
【0040】
保持機構は、複数の注射デバイスを開口部151内で定位置に保持することができる。保持機構は、各注射デバイスに係合するように構成された機械的キャッチ、例えばばね付きプッシュキャッチ・プッシュリリース機構を含むことができる。注射デバイスは、開口部151内に押し込まれ、保持機構のばねに対抗して押されて、キャッチに係合する。注射デバイスが再度押されて、キャッチが解放される。開口部151ごとに、解放ボタンまたはスイッチ(図示せず)が提供されてもよく、その解放ボタンまたはスイッチは、押されたときに保持機構のキャッチを解放するように構成される。
【0041】
包装アセンブリ100は、予定された投薬時間がきたときに、視覚的リマインダを患者に提供するように構成される。包装アセンブリ100は、電子システム160を含む。電子システムは、互いに接続されて特定の機能のセットを提供する多数の構成要素を含む。電子システム160の構成要素は、プリント基板(PCB)に取り付けられているが、代わりにそれらは何らかの他の媒体を介して相互接続されていてもよい。
【0042】
電子システム160は、パネル150に取り付けられる。電子システム160の電子構成要素のうちのいくつかは、ユーザインターフェイスハードウエア構成要素であり、それらが合わさってユーザインターフェイスが提供される。ユーザインターフェイスを提供する構成要素は、パネル150の開口部151の列の一方の端部に配置される。
【0043】
電子システム160は、ディスプレイ161を含む。ディスプレイ161は、光学トランスデューサの一例である。ディスプレイ161は、2つの7セグメント発光ダイオード(LED)アレイを含む。ディスプレイ161は、蓋120の透明な観察窓121を介してユーザから見える。電子システム160は、発光ダイオード(LED)162を含む。LED162は、光学トランスデューサの一例である。LED162の色は、ディスプレイ161の7セグメントLEDアレイの色とは異なり、例えばLED162の色は赤であり、ディスプレイ161の色は青である。電子システム160は、リセットボタン164を含む。リセットボタン164は、入力デバイスの一例である。リセットボタン164は、ユーザによって押し下げられるばね付きプランジャボタンである。電子システム160は、スピーカ(図示せず)をさらに含む。スピーカは、オーディオトランスデューサの一例である。
【0044】
電子システム160は、プロセッサ装置(図示せず)をさらに含む。プロセッサ装置は、電子システム160のユーザインターフェイス要素の出力を制御するように構成される。プロセッサ装置は、予定された投薬時間が来るまでの残り時間を監視するように構成される。プロセッサ装置は、予定された投薬時間が来たときに出力を提供するためのディスプレイ161、LED162、およびスピーカのうちの任意のものを動作させることができる。プロセッサ装置は、リセットボタン164からの入力に応答して、予定された投薬時間までの残り時間をリセットするように構成される。
【0045】
図2をさらに参照すると、包装アセンブリ100の断面図が示される。包装アセンブリ100のケース110は、第1の部材130と第2の部材140とを含む。第2の部材140は、ケース110の内部を示すために
図2では省略されている。
【0046】
ケース110の第1の部材130は、包装アセンブリ100の前方の壁131とベースとを含む。ケース110の第1の部材130は、単一片から形成される。前面131の各側縁部に沿って、ケース110の第2の部材140に係合するための複数の開口部133が形成されている。3つの開口部133は、第1の部材130の各縁部に沿って形成されている。
【0047】
第1の部材130は、複数の注射デバイスをケース110内の定位置に保持するための複数の案内レール134をさらに含む。案内レール134は、開口部151から第1の部材130のベースまでケース110の長さに沿って延びている内壁である。3つの案内レール134が、開口部151ごとに設けられる。3つの案内レール134のそれぞれのセットについて、2つの外側レールは、中央のレールよりも長い。
【0048】
ケース110の蓋120は、第1のヒンジ部材126を含む。第1のヒンジ部材126は、第2の部材140の対応する機能に係合するように構成された突出部材を含む。蓋120は、第1のヒンジ部材126周りに枢動して閉位置と開位置との間で動くように構成される。
【0049】
ケース110の蓋120は、第1のラッチ部材127を含む。第1のラッチ部材127は、第2の部材140の対応する機能に係合し蓋120を閉位置に維持するように構成された突出部材を含む。第1のラッチ部材127は、第2の部材から係合解除し、蓋120が開位置に動くことができるようするために、可撓性または引き込み可能とすることができる。
【0050】
パネル150は、ケース110の第1の部材130と第2の部材140の間で定位置に保持される。あるいは、パネルは第1の部材130と一体形成される。電子システム160、例えばPCBの支持体は、パネル150の後面に取り付けられる。
【0051】
包装アセンブリ100は、複数のバッテリ170を含む。バッテリ170は、ユーザインターフェイスの構成要素に電力を与えるために配置される。バッテリ170は、バッテリ接点169を有する電子システム160に結合される。電子システム160に電力を供給するために、バッテリ接点169には複数のバッテリ170が取り付けられる。
【0052】
包装アセンブリ100のケース110は、複数の磁石148を含む。磁石148は、後方壁141の内側の定位置に固定される。ケース110は、方形の配置で固定された4つの磁石148を含む。複数の磁石148は、ケース110の後方壁141が、磁性表面、例えば鋼表面に解放可能に取り付けられることを可能にする。磁石148は、ネオジウム磁石とすることができる。
【0053】
包装アセンブリ100は、取付けアタッチメント190をさらに含む。取付けアタッチメント190は、取付け板191を含む。取付け板191は、磁性材料、例えば鋼から形成される。取付け板191は、複数の磁石148を使用してケース110に解放可能に取り付けることができる。
【0054】
磁石148は、ケース110の後方壁141を通して取付け板191を磁気的に引きつけることができる。磁石148は、ケース110の後方面141が取付け板191に当接したときに、取付け板191を引きつけるように配置される。取付け板191は、ケース110を取付け板191から引き離すことによって、磁石148から解放することができる。
【0055】
取付け板191は、全体的に矩形である。取付け板191は、丸まった隅部を有する。取付け板191の長さは、ケース110の高さに平行な軸に沿って測定される。長さは、約80mm~約120mmとすることができる。取付け板191の幅は、ケース110の幅に平行な軸に沿って測定される。幅は、約70mm~約110mmとすることができる。取付け板191の厚さは、ケース110の奥行きに平行な軸に沿って測定される。厚さは、約2mm~約6mmとすることができる。
【0056】
取付けアタッチメント190は、複数の粘着ストリップ192をさらに含む。粘着ストリップ192は、取付け板191の後面に配置される。粘着ストリップ192は、取付け板191に付着される。粘着ストリップの片側は、取付け板191に取り付けられ、他方の側は、表面に付着される。粘着ストリップ192は、両方の面に付着するように構成された粘着シート材料から形成される。例えば粘着ストリップ192は、両面粘着テープまたは発泡体パッドから形成される。あるいは、粘着ストリップ192は、あらかじめ形成されたストリップまたは感圧粘着剤のドットとすることができる。
【0057】
取付けアタッチメント190は、粘着ストリップ192によって表面に固定することができる。ケース110は、取付けアタッチメント190に磁気的に取り付けられることによって、表面に解放可能に取り付けられる。
【0058】
取付けアタッチメント190は、4つの粘着ストリップ192を含む。粘着ストリップ192は、幅が約5mm~約15mmとすることができる。粘着ストリップ192は、長さが約10mm~約20mmとすることができる。粘着ストリップ192は、方形の形状に配置される。粘着ストリップ192は、取付け板191の四隅に配置される。粘着ストリップ192は、取付け板の縁部から5mm離れて配置される。
【0059】
包装アセンブリ100は、取付けアタッチメント190を用いて任意の表面に取り付けることができる。包装アセンブリ100は、家庭用冷蔵庫に取り付けることができる。包装アセンブリ100は、冷蔵庫の側壁、冷蔵庫の天井、棚の下側、または冷蔵庫ドアの内側に取り付けることができる。包装アセンブリ100は、冷蔵庫が一杯のときに目立ち、食品などによって隠れることのない位置に取り付けることができる。包装アセンブリ100は、冷蔵庫内の食品から分離された位置に取り付けることができる。
【0060】
取付けアタッチメント190が配置されると、ケース110は、取付けアタッチメント190に自由に取り付けられ、それから取り外される。ケース110は、取付けアタッチメント190から取り外され、取付けアタッチメント190を定位置に残したまま冷蔵庫から取り出される。ケース110は取り外され、冷蔵庫から取り出され、それによりユーザは、冷蔵庫内に手を伸ばすことなく、快適に蓋120を操作し、注射デバイス10を抜き出すことができる。ケース110は冷蔵庫から取り出されて、新しい注射デバイス10でケース110を容易に再充填することができる。ケース110は冷蔵庫から取り出されて、ケース110を容易に清掃することができる。
【0061】
図3をさらに参照すると、包装アセンブリ100の第2の部材140が示されている。第2の部材140は、ケース110の後方壁141および側壁142を含む。ケース110の第2の部材140は、単一片から形成される。第2の部材140の側壁142のそれぞれは、第1の部材130に係合するための複数の係合フック143を含む。係合フック143は、それぞれケース110の第1の部材130の対応した開口部133に係合するように構成される。第1の部材130の各縁部に沿って、3つの開口部133が形成される。側壁142のそれぞれは、3つの係合フック143を含む。係合フック143は、それぞれの側壁の内面に配置される。
【0062】
側壁142のそれぞれは、第1のヒンジ部材126に係合するように構成された第2のヒンジ部材146を含む。第1のヒンジ部材126および第2のヒンジ部材146が合わさって、蓋120をケース110の第2の部材140に取り付けるためのヒンジを形成する。例えば第2のヒンジ部材146は、第1のヒンジ部材126の突出部材を受けるように構成された開口部を含む。第1のヒンジ部材126は、第2のヒンジ部材146の開口部内で回転するように構成される。蓋120は、側壁142の第2のヒンジ部材146の間にヒンジ式に取り付けられる。
【0063】
側壁142のそれぞれは、蓋120の第1のラッチ部材127に係合するように構成された第2のラッチ部材147を含む。第1のラッチ部材127は、第2のラッチ部材147に解放可能に係合して、蓋120を閉位置に維持するように構成される。例えば第2のラッチ部材147は、第1のラッチ部材127の突出部材を受けるための開口部を含む。第1のラッチ部材127は、第2のラッチ部材147の開口部に解放可能に係合するように構成される。
【0064】
第2の部材140は、後方壁141に凹部エリア149を有して形成される。凹部エリア149は、後方壁141の平坦な外面に対して凹んでいる。凹部エリア149は、取付け板191を受けるように構成される。
【0065】
凹部エリア149は、第1のエリア149aと第2のエリア149bとを含む。第1のエリア149aは、取付け板191を受けるように構成される。第2のエリア149bは、取付け板191の縁部を把持しまたは取付け板191の下に指を届かせて、磁石148の引力に対抗して凹部エリア149から取付けアタッチメント190をてこ作用で出すために、使用することができる。
【0066】
凹部エリア149の奥行きは、取付け板191の厚さに対応している。第1のエリア149aの高さおよび幅は、それぞれ取付け板191の高さおよび幅に対応している。
【0067】
第2のエリア149bは、第1のエリア149aに隣接している。第2のエリア149bは、第1のエリア149aの長縁部から延びており、その長縁部は、ケース110の側壁142に平行になっている。第2のエリア149bは、第1のエリア149aの長縁部のいずれに隣接して配置されてもよい。第2のエリア149bは全体的に矩形である。第2のエリア149bは、第1のエリア149bの高さに対して中央にある。
【0068】
第2のエリア149bの高さは、第1のエリア149aの高さに平行であり、約40mm~約60mmとすることができる。第2のエリア149bの幅は、第1のエリア149aの幅に平行であり、約5mm~約20mmとすることができる。第2のエリア149bの奥行きは、第1のエリア149aの奥行きより大きくてもよい。第2のエリア149bの奥行きは、最大約10mmとすることができる。
【0069】
第2の部材140は、複数の注射デバイスをケース110内の定位置に保持および収納するための複数の案内レール144をさらに含む。案内レール144は、開口部151から第2の部材140のベースまでケース110の長さに沿って延びている内壁である。3つの案内レール144が、開口部151ごとに設けられる。3つの案内レール144のそれぞれのセットについて、2つの外側レールは、中央のレールよりも長い。第2の部材140の案内レール144は、第1の部材130の案内レール134と位置合わせされている。開口部151ごとの案内レール134および案内レール144は、各注射デバイスを定位置保持するためのおおよそ円形のチャネルを形成する。
【0070】
第2の部材140の案内レール144は、複数の磁石148を定位置に保持するようにさらに構成される。磁石148のそれぞれは、2つの隣接した案内レール144間にしっかり保持される。さらに案内レール144に対して垂直に延びている内壁が、磁石148を定位置に保持するように提供される。磁石148は後面141の内側に配置される。
【0071】
磁石148は、凹部エリア149に位置合わせされている。磁石148は、第1のエリア149aの四隅に位置合わせされて配置される。磁石148は、第1のエリア149aの各縁部から5mm離れた位置に位置合わせされる。磁石148は、取付けアタッチメント190が凹部エリア149に配置されたときに、第2の部材140の後面141を通して取付け板191を引きつけるように構成される。
【0072】
ケース110の第2の部材140は、後面141に形成されたバッテリ区画145をさらに含む。バッテリ区画145は、複数のバッテリ170を受けるように構成された凹部である。バッテリ区画145は開いており、ケース110の後方側を通してアクセス可能である。バッテリ接点169は、バッテリ区画145内に配置される。
【0073】
図4をさらに参照すると、包装アセンブリ100の等角後面図が示されている。
【0074】
包装アセンブリ100は、第2の部材140のバッテリ区画145に摺動可能に係合するように構成されたバッテリカバー180をさらに含む。バッテリカバーは、包装アセンブリ100が使用中のときに、バッテリ区画145を覆うように構成される。バッテリカバー180は、ケース110の第2の部材140に係合し、バッテリカバー180を定位置に保持するためのラッチ(図示せず)を含んでもよい。
【0075】
取付けアタッチメント190は、
図4では凹部エリア149内の定位置に示されている。取付け板191の後面は、取付けアタッチメント190が凹部エリア149に置かれたとき、後方壁141の外面と同一平面上にある。取付けアタッチメント190が凹部エリア149に置かれたとき、複数の磁石148は、取付け板191を引きつけて取付けアタッチメント190を定位置に保持するように構成される。
【0076】
凹部エリア149があることにより、取付けアタッチメント190が表面に取り付けられたきに、その表面に対してケース110が平坦になることが可能になる。凹部エリア149は、ケース110が回ることを防止するために、取付け板191上にしっかり嵌るように構成される。凹部エリア149は、不意にぶつかった場合にケース110が回ることを防止することができ、取付けアタッチメント190からケース110が不意に解放されることを防止することができる。
【0077】
図5に関して、第2の実施形態による包装アセンブリ200が示されている。第1の実施形態の要素とは異なる要素が記述され、両方の実施形態に共通の機能を指すために同じ参照符号が使用される。
【0078】
包装アセンブリ200は、第1の実施形態に関して上述されたのと同様のケース110と、取付けアタッチメント290とを含む。取付けアタッチメント290は、取付け板291とハンガー装置292とを含む。ハンガー装置292は、支持物体から包装アセンブリ200を吊り下げるように構成される。ハンガー装置292は、吊り下げられた態様で配置することができ、ケース110は取付け板291に連結することができる。
【0079】
取付け板291は、第1の実施形態の取付け板191に関して記述されたのと実質的に同様の金属板である。取付け板291は、凹部エリア149によって受けられるのに適したサイズである。
【0080】
ハンガー装置292は、延伸部材293とフック295とを含む。取付けアタッチメント290がケース110に取り付けられるとき、延伸部材293は、ケース110の本体から離れるように延びるように配置される。フック295は、ケース110から最も遠くにある延伸部材293の端部に配置される。フック295は、支持体上に嵌るように構成される。ケース110は、延伸部材293の下端部でフック295の真下に直接吊り下げられる。
【0081】
延伸部材293は、後方壁141と実質的に同じ平面においてケース110から延びている。延伸部材293は、後方壁141の外面に隣接した平面に沿って延びていてもよい。
【0082】
延伸部材293は、取付け板291の後面に取り付けられる。延伸部材293は、取付け板291の後面と実質的に同じ平面において取付け板291から離れるように延びている。延伸部材293は、取付け板291から離れるように横方向に延びており、横方向は、取付けアタッチメント290が凹部エリア149に配設されたときにケース110の側壁142に対する方向である。取付け板291が矩形状である場合には、延伸部材293は取付け板291の長縁部から離れるように延びている。
【0083】
ハンガー装置292が支持物体から吊り下げられたとき、延伸部材293は上向きに延びている。ケース110は、側壁142のうちの1つが上を向いた状態で、取付け板291に連結される。
【0084】
延伸部材293は、矩形状である。取付け板291の幅に対して平行な軸に沿って測定された延伸部材293の長さは、約80mm~約100mmとすることができる。取付け板291の高さに平行に測定された延伸部材293の高さは、約80mm~約120mmとすることができる。延伸部材293の高さは、取付け板291の長さよりも約5mm短くてもよい。延伸部材293は、金属のシートから形成される。材料のシートの厚さは、約1mm~約3mmである。
【0085】
延伸部材293は、取付け板291の長縁部の近くで取付け板291の後面に接合される。延伸部材293の側縁部は、取付け板291の後面に取り付けられる。延伸部材293の側縁部は、取付け板291の長縁部に平行に延びている。
【0086】
接合部分294があることにより、延伸部材293が後ろ方向にずれ、それにより延伸部材293は、ケース110の後方壁141に隣接して延びることになる。接合部分294は、取付け板291の最も近くにある延伸部材293の端部部分を含む。接合部分294は、取付け板291の後面に向かうように、直角に曲げられている。延伸部材293の側縁部は、取付け板291の後面に面するように湾曲しており、それに取り付けられている。
【0087】
延伸部材293は、取付け板291の後面に対して垂直な方向に短い距離延びるように形成され、次いで後面に隣接した平面に沿って延伸部材293の全長に沿って延びるように直角に曲げられる。接合部分294は、取付け板の後面に垂直な方向に約1mm~約5mmにわたって延びていてもよい。
【0088】
接合部分294は、方形の隅部を形成するように曲げられる。あるいは、接合部分294は、丸みを帯びていてもよい。延伸部材293は、接合部分294を形成するように曲げられてもよく、または折られてもよい。あるいは、材料の第2の片が、例えば溶接または接着により、延伸部分294に対して直角に取り付けられてもよい。
【0089】
ハンガー装置292の延伸部材293は、溶接または接着により取付け板291に取り付けられる。あるいは接合部分294は、取付け板291に形成されたスロットを通して延びていてもよい。接合部分294は、焼き嵌めプロセスまたは同様のプロセスによってスロットに保持される。あるいはさらに、ハンガー装置292と取付け板291は、鋳造または機械加工によって単一片から形成される。
【0090】
フック295は、取付け板291から最も遠くにある延伸部材293の端部から延びている。フック295は、支持物体に係合するように構成される。フック295は、ハンガー装置292の延伸部材293が支持物体の下に吊り下げられるように、支持物体上に嵌るように形状設定される。
【0091】
延伸部材293に対して、フック295は、取付け板291に向かう方向に平面から出るように延びている。すなわち、フック295は、取付けアタッチメント290がケース110に取り付けられたときにケース110に向かうように配設される。ハンガー装置292は、フック295が支持物体から吊り下げられたときに、フック295のすぐ下でケース110を支持するように構成される。
【0092】
フック295は、第1の部材295aと第2の部材295bとを含む。第1の部材295aは、延伸部材293の端部から延びている。第1の部材295aは、延伸部材293に対して垂直に延びている。第1の部材295aは、延伸部材293から前方向に延びている。すなわち、第1の部材295aは、取付け板291に向かって接合部分294と同じ方向に延びている。
【0093】
第2の部材295bは、延伸部材293から最も遠くにある第1の部材295aの端部から延びている。第2の部材295bは、第1の部材295aに対して垂直に延びている。第2の部材295bは、第1の部材295aから横方向に延びている。すなわち、第2の部材295bは、延伸部材293に対して平行な軸に沿って延びている。第2の部材295bは、取付け板291に向かって延びている。
【0094】
第1の部材295aの長さは、約10mm~約20mmとすることができる。第2の部材295bの長さは、約15mm~約35mmとすることができる。ハンガー装置292は、フック295を形成するように曲げられる。フック295は、曲げられた方形の隅部を有して形成される。あるいは、フック295は丸みを帯びている。ハンガー装置292は、フック295を形成するように曲げられてもよく、または折られてもよい。あるいは、材料の第2の片が延伸部分294に直角に取り付けられて、第1の部材295aを形成し、材料の第3の片が第1の部材295aに取り付けられて第2の部材295bを形成してもよい。
【0095】
ハンガー装置292は、切り抜き部296をさらに含む。切り抜き部296は、ハンガー装置292において材料が取り除かれた、または材料がない部分である。切り抜き部296があることにより、ハンガー装置292の重量が低減する。切り抜き部296は、ハンガー装置292を形成した後にハンガー装置292から取り除かれる。あるいは、ハンガー装置292は、定位置に切り抜き部296を有した状態で形成される。
【0096】
切り抜き部296は、延伸部材293、フック295の第1の部材295a、およびフック295の第2の部材295bの一部分にわたって延びている。切り抜き部296の形状は全体的に矩形であり、フック295の曲げられた形状をたどっている。切り抜き部296の隅部は丸みを帯びている。延伸部材293の長さに沿って、およびフック295の経路に沿って測定された切り抜き部296の長さは、約80mm~約100mmとすることができる。延伸部材293の高さに沿って測定された切り抜き部296の高さは、約60mm~約90mmとすることができる。
【0097】
切り抜き部296は、ハンガー装置292の高さに対して中央に配置される。ハンガー装置292の一部分約10mm~約30mmが、切り抜き部296の上と下に残っている。切り抜き部296は、延伸部材293の長さの一部分にわたって延びている。取付け板291の最も近くにある切り抜き部296の側縁部は、延伸部材293の側縁部から約10mm~約30mm離れて配置される。
【0098】
切り抜き部296は、延伸部材293の全長に沿って側縁部から延びている。切り抜き部296は、第1の部材295aの全長に沿って延伸部材293の端部から延びている。切り抜き部296は、第2の部材295bの長さの一部分に沿って第1の部材295aの端部から延びている。第2の部材295bの端部の最も近くにある切り抜き部296の側縁部は、第2の部材295bの端部から約10mm~約20mm離れて配置される。
【0099】
取付けアタッチメント290によって、包装アセンブリ200のケース110を、家庭用冷蔵庫内に吊り下げることが可能になる。特に取付けアタッチメント290は、冷蔵庫のドア棚から吊り下げることができる。典型的な冷蔵庫のドア棚は、4つの垂直な壁とベースとを有するトレイ形状である。トレイは、冷蔵庫ドアの内面に形成された水平なレールに取り付けられ、内面に垂直な方向において摺動可能に取り外すことができる。フック295は、トレイが冷蔵庫ドアに取り付けられるときに、冷蔵庫ドアの内面に面するトレイの後方壁上に置くことができる。
【0100】
延伸部材293は、冷蔵庫のドア棚の後方壁から下に吊り下げられる。延伸部材293は、冷蔵庫ドアの内面に接触して平坦な状態にある。取付け板291は、冷蔵庫の内部に向かって冷蔵庫ドアから離れる方に面する。ケース110は、冷蔵庫ドアの内面に接触して定位置で取付け板191に取り付けることができる。ケース110の後方壁141、取付けアタッチメント290の延伸部材293、および冷蔵庫ドアの内面は、実質的に同じ平面にあり互いに直接隣接している。
【0101】
包装装置20は、冷蔵庫ドアの内面において目立つ位置に配置することができる。包装装置は、冷蔵庫において食品などから離れて配置される。包装装置は、この位置では覆われたりぶつかったりする可能性が低い。
【0102】
冷蔵庫ドアに取り付けられたときに、側壁142のうちの1つが上を向いた状態でケース110が配置されるように、延伸部材293はケース110に対して横方向に延びている。包装装置20の蓋120は、冷蔵庫ドアに対して横方向を向く。蓋120は、冷蔵庫ドアが開いたときに患者の方を向き、観察窓121を通してディスプレイ161が見える。
【0103】
冷蔵庫ドアのどちら側がヒンジ留めされるかに応じて、蓋120がいずれの側にも面することができるように、取付け板291および凹部149は左右対称である。凹部エリア149は、ケース110が回ることを防止するために、取付け板291上にしっかり嵌るように構成される。凹部エリア149は、不意にぶつかった場合にケース110が回ることを防止することができ、取付けアタッチメント290からケース110が不意に解放されることを防止することができる。
【0104】
図6に関して、第3の実施形態による包装アセンブリ300が示されている。第1の実施形態の要素とは異なる要素が記述され、両方の実施形態に共通の機能を指すために同じ参照符号が使用される。
【0105】
包装アセンブリ300は、第1の実施形態に関して上述されたのと同様のケース110と、取付けアタッチメント390とを含む。取付けアタッチメント390は、取付け板391とハンガー装置392とを含む。ハンガー装置392は、支持物体から包装アセンブリ300を吊り下げるように構成される。ハンガー装置392は、吊り下げられた態様で配置することができ、ケース110は取付け板391に連結することができる。
【0106】
取付け板391は、金属板であり、第1の実施形態の取付け板191に関して記述されたのと実質的に同様である。取付け板391は、凹部エリア149によって受けられるのに適したサイズである。
【0107】
ハンガー装置392は、延伸部材393とフック395とを含む。取付けアタッチメント390がケース110に取り付けられるとき、延伸部材393は、ケース110の本体から離れるように延びるように配置される。フック395は、ケース110から最も遠くにある延伸部材393の端部に配置される。フック395は、支持体上に嵌るように構成される。ケース110は、延伸部材393の下端部において吊り下げられる。ケース110は、フック395とは反対側の延伸部材393の面で吊り下げられる。
【0108】
延伸部材393は、後方壁141と実質的に同じ平面においてケース110から延びている。延伸部材393は、後方壁141の外面に隣接した平面に沿って延びていてもよい。
【0109】
延伸部材393は、取付け板391の後面に取り付けられる。延伸部材393は、取付け板391の後面と実質的に同じ平面において取付け板391から離れるように延びている。延伸部材393は、取付け板391から離れるように上方向に延びており、上方向は、取付け板391の高さが測定される軸に沿った方向を示す。取付け板391が矩形状である場合には、延伸部材393は取付け板391の短縁部から離れるように延びている。
【0110】
ハンガー装置392が支持物体から吊り下げられたとき、延伸部材393は上向きに延びている。ケース110は、蓋120が上を向いた状態で、取付け板391に連結することができる。
【0111】
延伸部材393は、矩形状である。取付け板391の高さに対して平行な軸に沿って測定された延伸部材393の長さは、約30mm~約50mmとすることができる。取付け板391の幅に平行に測定された延伸部材393の幅は、約60mm~約90mmとすることができる。延伸部材393の幅は、取付け板391の長さよりも約5mm短くてもよい。延伸部材393は、金属のシートから形成される。材料のシートの厚さは、約1mm~約3mmである。
【0112】
延伸部材393は、取付け板391の短縁部の近くで取付け板391の後面に接合される。延伸部材393の下縁部は、取付け板391の後面に取り付けられる。延伸部材393の下縁部は、取付け板391の上縁部に平行に延びている。
【0113】
接合部分394があることにより、延伸部材393が後ろ方向にずれ、それにより延伸部材393は、ケース110の後方壁141に隣接して延びることになる。接合部分394は、取付け板391の最も近くにある延伸部材393の端部部分を含む。接合部分394は、取付け板391の後面に向かうように、直角に曲げられている。延伸部材393の下縁部は、取付け板391の後面に面するように湾曲しており、それに取り付けられている。
【0114】
延伸部材393は、取付け板391の後面に対して垂直な方向に短い距離延びるように形成され、次いで後面に平行な方向に、延伸部材393の全長に沿って延びるように直角に曲げられる。接合部分394は、取付け板の後面に対して垂直な方向に約1mm~約5mmにわたって延びている。
【0115】
接合部分394は、方形の隅部を形成するように曲げられる。あるいは、接合部分394は、丸みを帯びていてもよい。延伸部材393は、接合部分394を形成するように曲げられてもよく、または折られてもよい。あるいは、材料の第2の片が、例えば溶接または接着により、延伸部分394に対して直角に取り付けられてもよい。
【0116】
ハンガー装置392の延伸部材393は、溶接または接着により取付け板391に取り付けられる。あるいは接合部分394は、取付け板391に形成されたスロットを通して延びていてもよい。接合部分394は、焼き嵌めプロセスまたは同様のプロセスによってスロットに保持される。あるいはさらに、ハンガー装置392と取付け板391は、鋳造または機械加工によって単一片から形成される。
【0117】
フック395は、取付け板391から最も遠くにある延伸部材393の端部から延びている。フック395は、支持物体に係合するように構成される。フック395は、ハンガー装置392の延伸部材393が支持物体の下に吊り下げられるように、支持物体上に嵌るように形状設定される。
【0118】
延伸部材393に対して、フック395は、取付け板391から離れる方向に平面から出るように延びている。すなわち、フック395は、取付けアタッチメント390がケース110に取り付けられたときにケース110から離れるように配設される。ハンガー装置392は、フック395が支持物体から吊り下げられたときに、フック395とは反対の延伸部材393の側面でケース110を支持するように構成される。
【0119】
フック395は、第1の部材395aと第2の部材395bとを含む。第1の部材395aは、延伸部材393の端部から延びている。第1の部材395aは、延伸部材393に対して垂直に延びている。第1の部材395aは、延伸部材393から後ろ方向に延びている。すなわち、第1の部材395aは、取付け板391の後面に対して垂直な軸に沿って、取付け板391から離れる方向に延びている。
【0120】
第2の部材395bは、延伸部材393から最も遠くにある第1の部材395aの端部から延びている。第2の部材395bは、第1の部材395aに対して垂直に延びている。第2の部材395bは、第1の部材395aから下方向に延びている。すなわち、第2の部材395bは、延伸部材393に対して平行な軸に沿って延びている。第2の部材395bは、取付け板391に向かって延びている。
【0121】
第1の部材395aの長さは、約10mm~約20mmとすることができる。第2の部材395bの長さは、約15mm~約35mmとすることができる。ハンガー装置392は、フック395を形成するように曲げられる。フック395は、曲げられた方形の隅部を有して形成される。あるいは、フック395は丸みを帯びている。ハンガー装置392は、フック395を形成するように曲げられてもよく、または折られてもよい。あるいは、材料の第2の片が延伸部分394に直角に取り付けられて、第1の部材395aを形成し、材料の第3の片が第1の部材395aに取り付けられて第2の部材395bを形成してもよい。
【0122】
ハンガー装置392は、切り抜き部396をさらに含む。切り抜き部396は、ハンガー装置392において材料が取り除かれた、または材料がない部分である。切り抜き部396があることにより、ハンガー装置392の重量が低減する。切り抜き部396は、ハンガー装置392を形成した後にハンガー装置392から取り除かれる。あるいは、ハンガー装置392は、定位置に切り抜き部396を有した状態で形成される。
【0123】
切り抜き部396は、延伸部材393、フック395の第1の部材395a、およびフック395の第2の部材395bの一部分にわたって延びている。切り抜き部396の形状は全体的に矩形であり、フック395の曲げられた形状をたどっている。切り抜き部396の隅部は丸みを帯びている。延伸部材393の長さに沿って、およびフック395の経路に沿って測定された切り抜き部396の長さは、約40mm~約50mmとすることができる。延伸部材393の幅に沿って測定された切り抜き部396の幅は、約40mm~約75mmとすることができる。
【0124】
切り抜き部396は、ハンガー装置392の幅に対して中央に配置される。ハンガー装置392の一部分約15mm~約35mmが、切り抜き部396の両側に残っている。切り抜き部396は、延伸部材393の長さの一部分にわたって延びている。取付け板391の最も近くにある切り抜き部396の下縁部は、延伸部材393の下縁部から約10mm~約30mm離れて配置される。
【0125】
切り抜き部396は、延伸部材393の全長に沿って下縁部から延びている。切り抜き部396は、第1の部材395aの全長に沿って延伸部材393の端部から延びている。切り抜き部396は、第2の部材395bの長さの一部分に沿って第1の部材395aの端部から延びている。第2の部材395bの端部の最も近くにある切り抜き部396の縁部は、第2の部材395bの端部から約5mm~約20mm離れて配置される。
【0126】
取付けアタッチメント390により、家庭用冷蔵庫内の定位置にケース110を吊り下げることが可能になる。特に取付けアタッチメント390は、冷蔵庫内のボックスの内側に吊り下げることができる。典型的な家庭用冷蔵庫は、果物や野菜などを保持するための1つまたはそれ以上のボックスを含む。ボックスは、4つの壁およびベースを有しており、冷蔵庫の棚の下、または棚の間の位置に摺動して入ることができる。フック395は、ハンガー装置392がボックスの内側でフックから下に吊り下げられるように、ボックスの壁の上に置かれる。
【0127】
ハンガー装置392は、ボックスの内壁に接触した内側の位置で取付け板391を支持する。ケース110は、ボックス内で取付け板391に取り付けられる。ケース110の後方壁141、取付けアタッチメント390の延伸部材393、およびボックスの内壁は、実質的に同じ平面にあり互いに直接隣接している。
【0128】
ケース110は、蓋120が上を向いた状態で垂直な構成で取り付けられる。蓋120は、患者がボックスの上部をのぞき込んだときに患者の方を向く。観察窓121を通してディスプレイ161が見える。
【0129】
図7に関して、包装アセンブリ(100、200、300)を提供するためのキット400が提供される。キットは、第1の実施形態に関して記述されたのと実質的に同様であるケース110を含む。
【0130】
キット400は、ケース110に取り付けられるように構成された複数の取付けアタッチメント190、290、390を含む。複数の取付けアタッチメント190、290、390のうちの1つがケース110に取り付けられて、包装アセンブリ100、200、300を形成することができる。取付けアタッチメント190、290、390に応じて、ケース110を様々な場所および位置に取り付けることができる。
【0131】
キット400は、第1の実施形態に関して記述されたのと実質的に同様である第1の取付けアタッチメント190を含む。第1の取付けアタッチメント190がケース110に取り付けられて、第1の実施形態による包装アセンブリ100を形成することができる。
【0132】
キット400は、第2の実施形態に関して記述されたのと実質的に同様である第2の取付けアタッチメント290をさらに含む。第2の取付けアタッチメント290がケース110に取り付けられて、第2の実施形態による包装アセンブリ200を形成することができる。
【0133】
キット400は、第3の実施形態に関して記述されたのと実質的に同様である第3の取付けアタッチメント390をさらに含む。第3の取付けアタッチメント390がケース110に取り付けられて、第3の実施形態による包装アセンブリ300を形成することができる。
【0134】
キット400のケース110は、提供される取付けアタッチメント190、290、390のいずれにも取り付けることができる。ケース110は、第1の取付けアタッチメント190を使用して、いかなる平坦面にも取り付けることができる。ケース110は、第2の取付けアタッチメント290を使用して、冷蔵庫ドアの内部棚から吊り下げられた位置に取り付けることができる。ケース110は、第3の取付けアタッチメント390を使用して、冷蔵庫のボックス内側で吊り下げられた位置に取り付けることができる。
【0135】
キット400を使用して、1つの取付けアタッチメントからケース110を取り外し、複数の取付けアタッチメントのうちの別のアタッチメントにケース110を取り付けることによって、ケース110を異なる位置に都合よく動かすことができる。
【0136】
図8Aおよび
図8Bに関して、例示的な注射デバイス10が示されている。注射デバイス10は、上述されたように、ユーザの身体内に薬剤を注射するように構成される。注射デバイス10は、注入される薬剤を含むリザーバ(例えばシリンジ)を典型的には含んでいるハウジング11と、送達プロセスのうちの1つまたはそれ以上のステップを容易にするために必要とされる構成要素とを含む。注射デバイス10は、ハウジング11に取り外し可能に取り付けることができるキャップアセンブリ12も含むことができる。典型的には、ユーザは、注射デバイス10が操作される前に、ハウジング11からキャップ12を取り外さなければならない。
【0137】
示されるように、ハウジング11は実質的に円筒形であり、長手方向軸Xに沿って実質的に一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域20と近位領域21とを有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い場所を指し、「近位」という用語は、注射部位から比較的遠く離れている場所を指す。
【0138】
注射デバイス10は、ハウジング11に対するスリーブ13の動きを可能にするようにハウジング11に連結されたニードルスリーブ13も含むことができる。例えばスリーブ13は、長手方向軸Xに平行な長手方向に動くことができる。具体的には、スリーブ13の近位方向への動きによって、針17がハウジング11の遠位領域20から延びることができるようになる。
【0139】
針17の挿入は、いくつかの機構を介して行うことができる。例えば針17は、ハウジング11に対して固定して配置され、最初は延びているニードルスリーブ13内に配置されている。スリーブ13の遠位端をユーザの身体に押し当て、ハウジング11を遠位方向に動かすことによってスリーブ13が近位方向に動くと、針17の遠位端が露出される。そのような相対的な動きによって、針17の遠位端がユーザの身体内に延びることができるようになる。そのような挿入は、スリーブ13に対してハウジング11をユーザが手動で動かすことによって、針17が手動で挿入されることから、「手動」挿入と呼ばれる。
【0140】
挿入の別の形態は「自動化された」ものであり、それにより針17がハウジング11に対して動く。そのような挿入は、スリーブ13の動きによって、または例えばボタン22などの別の形態の起動によってトリガすることができる。
図1Aおよび
図1Bに示されているように、ボタン22は、ハウジング11の近位端に配置される。しかし他の実施形態では、ボタン22はハウジング11の側部に配置される。
【0141】
他の手動または自動の機能は、薬剤注射、または針後退、またはその両方を含むことができる。注射は、薬剤をシリンジから針17を通して押しやるために、シリンジ(図示せず)内の近位位置からシリンジ内のより遠位の位置に、栓またはピストン23を動かす工程である。いくつかの実施形態では、デバイス10が起動される前に、駆動ばね(図示せず)が圧縮されている。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域21内に固定され、駆動ばねの遠位端は、ピストン23の近位表面に圧縮力を加えるように構成される。起動に続いて、駆動ばねに蓄えられたエネルギーの少なくとも一部が、ピストン23の近位表面に加えられる。この圧縮力はピストン23に作用して、ピストン23を遠位方向に動かすことができる。そのような遠位方向の動きが、シリンジ内の液体薬剤を圧縮するように作用し、薬剤を針17から外に押しやる。
【0142】
注射に続いて、針17は、スリーブ13またはハウジング11内に後退する。ユーザがデバイス10をユーザの身体から取り外す際にスリーブ13が遠位に動くとき、後退が行われる。これは、ハウジング11に対して針17が固定して配置されたままであるときに行われる。スリーブ13の遠位端が針17の遠位端を通り越して動いたら、針17は覆われ、スリーブ13をロックすることができる。そのようなロックは、ハウジング11に対するスリーブ13のいかなる近位方向への動きもロックすることを含むことができる。
【0143】
針後退の別の形態は、ハウジング11に対して針17が動く場合に、行われる。そのような動きは、ハウジング11内のシリンジが、ハウジング11に対して近位方向に動く場合に行われる。この近位方向の動きは、遠位領域20に配置されている後退ばね(図示せず)を使用することによって、実現することができる。圧縮された後退ばねは、起動されると、シリンジを近位方向に動かすための充分な力をシリンジに供給することができる。充分な後退に続いて、針17とハウジング11との間のいかなる相対的な動きも、ロッキング機構によってロックすることができる。それに加えて、ボタン22またはデバイス10の他の構成要素を、必要に応じてロックすることができる。
【0144】
上述した実施形態は、純粋に例示的なものであり、特許請求の範囲を制限するものではないことが理解される。本明細書を読めば、当業者にとっては他の変形形態および修正形態も明らかであり、以下でその一部を記述する。
【0145】
包装装置のケースは、全体的に矩形状とすることができ、または複数の注射器を含むのに適した任意の他の形状とすることができる。ケースは、家庭用冷却機内に置くのに適した形状およびサイズとすることができる。
【0146】
ケースは、注射器を囲むように形成され、封止される。あるいは、ケースは、複数の注射デバイスを外部で支持するための構造体として形成される。注射器は、1つまたはそれ以上の列、例えば6個の1列、または3個の2列、または円形の配置に配置される。注射器は、支持構造体の下に吊り下げられるように配置される。
【0147】
ケースは、薬剤の投薬要件に応じて、任意の数の注射デバイスを収納するように構成される。例えばケースは、5本~15本の注射デバイスを収納することができる。ケースは、3か月分、または6か月分の充分な注射デバイスを収納するようにサイズ設定される。薬剤がより頻繁に投与される場合には、ケースは1週間分の充分な注射器を収納することができる。
【0148】
ケースは、不透明な材料から形成される。ケースの構成要素のうちの1つまたはそれ以上は、少なくとも1つの透明な部分を有して形成される。ケースの透明な部分によって、ユーザは、注射デバイスの数を見ることができるようになり、またはユーザインターフェイスを見ることができるようになる。ケースの1つまたはそれ以上の構成要素は、視覚的リマインダの出力の見えやすさを向上させるために、半透明とすることができる。
【0149】
ケースは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネイトなどのプラスチックス材料から作られ、またはケースは、任意の他の適切な材料から作られる。ケース材料に望まれる特性としては、温度安定性、妥当な衝撃強度、洗浄液に対する耐性、拭き取り容易な仕上げ(wipe-clean finish)、および剛性が含まれる。
【0150】
ケースのそれぞれの部材は、単一片で、例えば成形プラスチック部材で形成される。あるいは、部材は機械加工される。ケース本体は、ともに接合されたもしくは取り付けられた2つの部材から形成されてもよく、または単一の部材で形成されてもよい。ケース内部は、単一の大きな空洞として、それぞれの注射器を保持するために複数のエリアに分割された空洞として形成されてもよく、またはそれぞれの注射器を個々に保持するための複数の空洞として形成されてもよい。
【0151】
ハンガー装置は、ケースに取り付けられる。例えばハンガー装置は、単一片の第2の部材で形成される。ハンガー装置は、ケースの後方壁から延びている。あるいは、ハンガー装置は、ケースの上部から、またはケースの側部から実質的に後方壁の平面において延びている。
【0152】
ハンガー装置は、ケースを支持することができる任意の適切な形状のフックアタッチメントを含むことができる。フックは丸みを帯びていてもよく、またはL字形状であってもよい。ハンガー装置のフックは、支持物体を把持するように内向きに付勢されている。延伸部材は、異なる位置でケースを支持するように長くても短くてもよい。延伸部材は、調節可能な長さを有してもよい。ハンガー装置は、複数の延伸部材およびフックを含んでもよい。例えばハンガー装置は、それぞれの端部にフックを有する2つの平行な延伸部材を含んでもよい。延伸部材は、2つ以上の切り抜きセクションを含むことができ、または切り抜きセクションを含まなくてもよい。
【0153】
ハンガー装置は、任意の適切な材料から形成され、例えばハンガー装置はプラスチックとすることができる。取付けアタッチメントのそれぞれは、プラスチックから形成され、ケースの磁石と連結するように1つまたはそれ以上の磁石を含むことができる。
【0154】
ケースは、包装装置および注射デバイスの重さを支持するのに充分な任意の数の磁石を含むことができる。例えばケースは、2つの大きい磁石を含んでもよく、または6つの小さい磁石の配置を含んでもよい。磁石は、任意の永久磁石とすることができ、希土類磁石とすることができる。磁石は、ネオジウムから形成されてもよく、またはサマリウムコバルトから形成されてもよい。
【0155】
磁石は、ケースの外側に取り付けられる。磁石は、後方壁の外面に取り付けられる。磁石は、ケースの後方壁の外面と同一平面になるように、1つまたはそれ以上の凹部に配置される。磁石は、凹部の境界内に配置される。磁石は、取付け板が凹部に配設されたときに、取付け板と直接接触するように配置される。
【0156】
あるいは、取付けアタッチメントは、任意の適切なアタッチメントで、ケースに連結される。例えば、粘着層によって、取付けアタッチメントがケースの後方壁に取り付けられる。粘着剤は、感圧粘着剤とすることができる。あるいはフックおよびループ留め材料が使用されて、取付けアタッチメントをケースに解放可能に取り付けることができる。取付けアタッチメントは、非磁性材料から形成され、粘着剤を使用してケースに取り付けられる。
【0157】
包装アセンブリを提供するためのキットの一部として、1つまたはそれ以上の他の取付けアタッチメントとともに、任意の代替的な取付けアタッチメントが提供される。代替的な取付けアタッチメントは、代替的なキットの一部として提供されてもよく、または追加的な取付けオプションをキットに追加して提供するために別個に提供されてもよい。
【0158】
ケースは、空気がケースに流入できるようにするための1つまたはそれ以上の換気孔をさらに含んでもよい。あるいは、ケースは、蓋が閉位置にあるときに封止される。蓋は、蓋とケースとの間で空気がケース内に入ることを防止するためにゴム封止をさらに含んでもよい。ケースは、短期間冷蔵庫から取り出された場合に、注射器の低い温度を維持するために、断熱される。
【0159】
蓋は、ヒンジによってケースに連結される。蓋をケースに連結し、蓋の開閉を可能にするための機構は、任意の適切な形態をとることができる。上述されたヒンジ機構の代わりに、ヒンジは、バッドヒンジ、リビングヒンジ、または何らかの他のタイプのヒンジとすることができる。蓋は、可撓性および/または弾性のある材料でケースに連結される。ヒンジは、何らかの並進運動および純粋な回転運動を可能にし、蓋が開いたときに、ケースの内部部材をよりよく見ることができるようにし、またはケースの内部部材に手が届きやすくすることができる。
【0160】
ヒンジによって、使用者は蓋を取り外すことができるようになる。例えば第2のヒンジ部材のそれぞれの突出部は、内向きに押されて、それぞれの第1のヒンジ部材から係合解除され、蓋をケースから連結解除することができる。ユーザには、異なるデザイン、例えば異なる色の、1つまたはそれ以上の代替的な蓋が提供される。代替的な蓋は、大きな透明な部分を有してもよく、または全体が不透明であってもよい。
【0161】
あるいは、蓋は、ケースに摺動可能に係合することができる。蓋は、縁部にランナーを含んでもよく、それぞれのランナーは、ケース上の対応した溝に係合するように構成される。蓋は、摺動して溝から出て、ケースから連結解除することができる。蓋は、溝の限界まで摺動して、開位置において自由に枢動するように配置される。あるいはさらに、蓋はケースから分離され、摩擦嵌めによってそれに固定して取り付けられる。蓋は、ケースの上端において開口部内にしっかり嵌ってもよく、またはケースの上部分を覆うように嵌ってもよい。
【0162】
蓋は、蓋を閉位置に維持するためのラッチを含んでもよい。ラッチは、第1の位置と第2の位置との間で、摺動可能に動くように配置された摺動キャッチを含んでもよい。キャッチは、第1の位置において、蓋の縁部から突出するように配置される。キャッチは、第2の位置において突出しないように、摺動可能に後退されるように構成される。ラッチは、キャッチを第1の位置に付勢するためのばねを含んでもよい。キャッチは、蓋が閉位置にあるときに、第1の位置においてケースの開口部に係合するように構成される。キャッチは、蓋を閉位置に維持するために、開口部に係合することができる。
【0163】
ラッチは、ばね付きプッシュキャッチ・プッシュリリース機構とすることができる。ラッチは、1回目のプッシュにより係合して閉位置に入り、蓋を閉位置に維持するように構成される。ラッチは、2回目のプッシュにより係合解除して、蓋が開くようにするように構成される。ラッチは、蓋を閉位置で保持するように蓋が閉じているときに、係合するように構成される。ラッチは、ラッチを係合解除して、蓋が開くようにするための解放スイッチをさらに含んでもよい。解放スイッチは、機械的スイッチまたは電気的スイッチとすることができる。解放スイッチは、コード入力に連結された電気的スイッチとすることができ、正しいコードが入れられたときに、蓋のキャッチを係合解除するように構成されている。
【0164】
包装アセンブリは、蓋のないケースを含んでもよい。保持機構は、ケースの下端部に配置される。保持機構は、開口部を通過した各注射器の端部に係合するように配置される。保持機構は、ケースの下端部にさらに複数の開口部を含んでもよい。さらなる開口部は、摩擦嵌めにより注射器を定位置に保持するようにサイズ設定される。あるいは、保持機構は、注射器が装置内に長手方向に押されたとき注射器の側部を把持し、注射器が装置から出るように長手方向に引かれたときに注射器を解放するように配置された、レバー式挟み器(levered pincer)装置を含んでもよい。
【0165】
保持機構は、保持機構から係合解除するように構成された解放スイッチを含んでもよい。解放スイッチは、1つまたはすべての注射器を解放するように構成される。対応した複数の注射器に対して複数の解放スイッチが提供される。解放スイッチは、保持機構に連結された機械的スイッチまたはレバーとすることができる。解放スイッチは、放出機構にさらに連結される。解放スイッチは、電気機械的スイッチとすることができる。
【0166】
放出機構は、それぞれの注射器の一部分を押して対応した開口部から出すように配置された1つまたはそれ以上のばねを含んでもよい。放出機構は、保持機構によって解放されたときに、各注射器を押すように、保持機構に対して付勢されている。保持機構は、放出機構によって部分的に押されて開口部から出る1つの注射器を、解放するように制御される。
【0167】
あるいは、放出機構は、モータ駆動式アクチュエータを含んでもよい。例えば複数の注射器に対して垂直に配置されたローラが、注射器を押して開口部から出すように駆動される。保持機構が1つを除きすべての注射器を定位置に保持するように構成された状態で、ローラがすべての注射器を等しく押してもよい。あるいはさらに、アクチュエータは、ケースの幅にわたって横方向に駆動される、ケースのベースからの突出部材を含んでもよい。突出部材は、レールに沿って駆動され、またはケースの幅に沿って延びているベルトから突出してもよい。突出部材は、各注射器に係合し、注射器を押して開口部から出すように構成される。
【0168】
ディスプレイは、より多くの数字およびメッセージに対応するために3つ以上のLEDアレイを含んでもよく、または単一のLEDアレイのみであってもよい。あるいはディスプレイは、数字および/またはメッセージを表示するのに適した任意の形態の電子ディスプレイを含んでもよく、例えばディスプレイは、LED画素のアレイ、LCDまたは電子ペーパースクリーン、または反転フラップ式ディスプレイ(split-flap display)とすることができる。ケースとは別個の周囲モジュールに、ディスプレイを配置してもよい。ディスプレイモジュールは、有線接続または無線接続によって電気システムに接続されてもよい。電子システムは、選択されたディスプレイに適したディスプレイドライバを含んでもよい。ディスプレイは、さらなるステータス情報またはより詳細な情報を、ディスプレイ上にテキストメッセージの形態で提供するように構成される。
【0169】
包装アセンブリのステータスをより詳細に示すために、ユーザインターフェイスに2つ以上のLEDを含めてもよい。例えば、複数の開口部に対応した複数のLEDが提供される。あるいは単一の多色LEDが使用される。あるいは、LEDの代わりに、任意の他の形態の通知ライトまたは視覚的出力トランスデューサが使用される。
【0170】
スピーカは、任意の適切な形態のオーディオ出力トランスデューサ、例えば電気音響トランスデューサ、圧電ブザー、振動ダイアフラムスピーカ(moving diaphragm speaker)、または機械的ベルとすることができる。
【0171】
包装アセンブリは、電子システムの所要電力に応じて、より多くのまたはより少ない数のバッテリを含んでもよい。例えば包装アセンブリは、単一のバッテリ電力パックを含んでもよい。1つまたはそれ以上のバッテリは、取り外し可能および交換可能とすることができ、または包装アセンブリのケース内に固定されていてもよい。あるいは包装アセンブリは、電源からの電力供給、または任意の代替的な電力供給に適合していてもよい。
【0172】
すべての実施形態について、構造的変形形態および代替形態を追加する。
用語「薬物」または「薬剤」は、本明細書において同意語として使用され、1つまたはそれ以上の医薬品有効成分または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な言い方で、ヒトまたは動物に生物学的影響を及ぼす化学構造のことである。薬理学では、薬物または薬剤が、疾患の処置、治療、予防、または診断に使用され、またはそれとは別に、身体的または精神的健康を向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限られた継続期間、または慢性疾患では定期的に、使用される。
【0173】
以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つのAPI、またはその組合せを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込まれる。1つまたはそれ以上の薬物の混合物もまた企図される。
【0174】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物または薬剤をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。それだけには限らないが、薬物送達デバイスは、注射デバイス(例えばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、潅流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(例えば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(例えば鼻用または肺用)とすることができる。ここで説明される薬物は、例えば24以上のゲージ数を有する、例えば皮下針である針を含む注射デバイスでは特に有用であり得る。
【0175】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含まれる。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つもしくはそれ以上の薬物の保存(例えば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の固体もしくは可撓性の容器とすることができる。例えば、場合によって、チャンバは、少なくとも1日(例えば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を収納するように設計される。場合によって、チャンバは、約1か月から約2年の間薬物を保存するように設計される。保存は、室温(例えば約20℃)または冷蔵温度(例えば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、投与予定の医薬製剤の2つまたはそれ以上の成分(例えばAPIおよび希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成される。例えば、2つのチャンバは、これらが(例えば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成される。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成される。
【0176】
本明細書において説明される薬物送達デバイス内に含まれる薬物または薬剤は、数多くの異なるタイプの医学的障害の処置および/または予防に使用される。障害の例としては、例えば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が含まれる。障害の別の例としては、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチがある。APIおよび薬物の例としては、例えば、それだけには限らないが、ハンドブックのRote Liste 2014、主グループ12(抗糖尿病薬物)または主グループ86(腫瘍薬物)、およびMerck Index、第15版などに記載されているものがある。
【0177】
1型もしくは2型の糖尿病、または1型もしくは2型の糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれる。本明細書において使用される用語「類似体」および「誘導体」は、元の物質と構造的に十分に類似しており、それによって同様の機能または活性(例えば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。特に、用語「類似体」は、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から、天然のペプチド中に見出される少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失させるおよび/もしくは交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基もしくは完全に合成によるアミノ酸残基とすることができる。インスリン類似体は「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、用語「誘導体」は、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然のペプチド中に見出される1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失され、かつ/もしくはコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよく、または、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然のペプチドに付加されていてもよい。
【0178】
インスリン類似体の例としては、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置換されているヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンがある。
【0179】
インスリン誘導体の例としては、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ω-カルボキシヘプタデカノイル-γ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンがある。
【0180】
GLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストの例としては、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標)、エキセナチド(エキセンディン-4、Dyetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン(Eligen)、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenがある。
【0181】
オリゴヌクレオチドの例としては、例えば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))がある。
【0182】
DPP4阻害剤の例としては、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0183】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストが含まれる。
【0184】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、ハイランG-F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0185】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(例えばネズミ)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。例えば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、例えば、突然変異した、または欠失したFc受容体結合領域を有する。用語の抗体はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)および/または交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子を含む。
【0186】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性抗体フラグメント、または二重特異性、三重特異性、四重特異性および多重特異性抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの多重特異性抗体フラグメント、一価抗体フラグメント、または二価、三価、四価および多価抗体などの多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例が当技術分野で知られている。
【0187】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0188】
抗体の例としては、アンチPCSK-9mAb(例えばアリロクマブ)、アンチIL-6mAb(例えばサリルマブ)、およびアンチIL-4mAb(例えばデュピルマブ)がある。
【0189】
本明細書において説明される任意のAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける薬物または薬剤の使用に企図される。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩および塩基性塩である。
【0190】
本明細書において記述されたAPI、処方、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または省略)は、本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができ、本発明の全範囲および趣旨は、そのような修正、およびあらゆるすべての等価物を包含することを、当業者は理解するであろう。