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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】組立ベルト型トラックロール式搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/02 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
B62B5/02 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019019224
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2019167086
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2018055399
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593042993
【氏名又は名称】株式会社ジャロック
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 力丸
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 すみれ
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127188(JP,A)
【文献】特開2017-202787(JP,A)
【文献】特開2000-071999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、搬送台部及びこれらを接続する支持構造体を備えるトラックロール式搬送台車
であって、
上記走行部は、上記トラックロール式搬送台車の進行方向に対して左右2組の環状のレ
ールと、上記環状レールを整形保持し、かつ、上記支持構造体を取り付けるフレームと、
上記レール上に配置されて複数のローラを支持する複数のエレメントと、上記エレメント
を一定間隔に保持するベルトと、からなる左右一対のトラックロールを備えており、
上記搬送台部は、該搬送台部の下部に接続された上記支持構造体を介して上記走行部と
接続しており、上記進行方向に対して後端側にハンドル部を備え、
上記ベルトは上記エレメント毎に分割されたベルトユニットを組み立てて構成され、
該ベルトユニットは、
上記エレメントに突設される2つの突起を挿入し固定するための2つの貫通穴を有する
上面が平坦な台地形状の接地部と、
上記接地部の一方の端部に連結して設けられ、複数の穴を有するベルト本体部と、
該ベルト本体部の上記接地部と反対側の端部に連結して設けられ、上記エレメントの2
つの突起を挿入し固定するための2つの貫通穴を有する平坦部と、
により構成され、
上記2組の各環状レールの全長に亘り、上記各ベルトユニットは上記接地部を隣接する
上記ベルトユニットの上記平坦部に重ねて配設され、上記エレメントの突起が上記接地部
及び平坦部の各貫通穴に挿入されて連結され、連結された2組のベルトを構成するととも
に、上記エレメントを各環状レールに等間隔に配設する、
ことを特徴とする組立ベルト型トラックロール式搬送台車。
【請求項2】
走行部と、搬送台部及びこれらを接続する支持構造体を備えるトラックロール式搬送台車
であって、
上記走行部は、上記トラックロール式搬送台車の進行方向に対して左右2組の環状のレ
ールと、上記環状レールを整形保持し、かつ、上記支持構造体を取り付けるフレームと、
上記レール上に配置されて複数のローラを支持する複数のエレメントと、上記エレメント
を一定間隔に保持するベルトと、からなる左右一対のトラックロールを備えており、
上記搬送台部は、該搬送台部の下部に接続された上記支持構造体を介して上記走行部と
接続しており、上記進行方向に対して後端側にハンドル部を備え、
上記ベルトは上記エレメント毎に分割されたベルトユニットを組み立てて構成され、
該ベルトユニットは、
上記エレメントに配設される2つの係止用穴に対応する2つの貫通穴を有する略直方体形
状のゴム板と、
隣接する2つの上記エレメントに架設される接続部が両端部に配設されており、中間部
には複数の穴を有しているプレートと、
により構成され、
上記プレートの上記接続部は、各々上記ゴム板の2つの貫通穴に対応する2つの貫通穴
と、上記エレメントに配設される2つの突起に対応する別の2つの貫通穴を有しており、
上記2組の各環状レールの全長に亘り、上記各プレートは上記両端部の上記接続部を隣
接する上記エレメントに重ねて配設され、上記エレメントの突起が上記接続部の各貫通穴
に挿入されて連結され、
上記各ゴム板は上記各プレートの重ねられた接続部を挟み込んで各貫通穴によって上記
各エレメントに所定の挿入部品で固定されることにより、
連結された2組のベルトを構成するとともに、上記エレメントを各環状レールに等間隔
に配設する、
ことを特徴とする組立ベルト型トラックロール式搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立ベルト型トラックロール式搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
手押し型の搬送台車は材料や製品等の簡易な運搬手段として製造工場等で広く使用されている。この手押し型の搬送台車の走行機構としては、車輪が使用されているのが一般的である。
上記搬送台車は走行路の段差を乗り越えるために、ある程度の車輪の直径を有していることが必要とされる。しかしながら、車輪の大きさのみで大きな段差に対応するには限度がある。また、車輪を使用した搬送台車では走行路面に凹凸がついている場合、始動時の負荷が大きく、走行時もがたつきや、衝撃、さらには騒音が問題になることがある。
【0003】
これに対し、車輪の替わりにキャタピラ(登録商標)を使用した台車は大きな段差にある程度対応することができる。しかしながら、キャタピラ式台車はそもそも電動式で手動走行はできず、走行負荷が大きい点や、曲線に沿った走行が容易でなく、その場での回転ができない、路面状態により騒音が発生する、車体重量も大きいなどの問題点があった。搬送台車には曲線に沿ってカーブをきれる性能が眼目として要求されることから対応が求められていた。
【0004】
発明者らは搬送台車における上記の問題を解決するべく特許文献1に記載されているトラックロール機構を搬送台車の走行機構として採用し、走行負荷を軽減し、大きな段差の乗り越えや曲線に沿った走行、さらにはその場での回転が容易に行え、かつ路面状態によらず静かな走行が可能であり、車体重量も小さいという特徴を有するトラックロール式搬送台車を製作し、この技術について出願して特許を得ている。特許文献2に記載の技術が上記搬送台車である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5336641号
【文献】特許第6243224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2のトラックロール式搬送台車は固定されたレール上に配置されて複数のローラを支持する複数のエレメントを一定間隔に保持するベルトを備えている。このベルトは布製であって、ローラを支持する樹脂製のエレメントと、地面に接するゴム製等のプレートでベルトを挟み込むことでエレメントをベルトに固定している。搬送台車は外部環境における作業後に放置されることとなるため、布製ベルトは水分、汚れ等により劣化し易く、移動時の過負荷により断裂する、あるいはベルトに固定されたエレメントが脱落する、といった故障が発生することがある。こうした際の搬送台車の修理については、多くのエレメントが取り付けられているため、ベルトのみを交換することは困難で、また、脱落したエレメントを交換することもベルトへの取付け部が破損していて困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、ベルトを、エレメントの取付け部毎に分割されたユニットによる組立式とすることにより、水分、汚れ等の環境により劣化しにくく、断裂やエレメントの脱落に対しても予備のベルトユニットと交換するだけで容易に補修が行なえる構成を備えた組立ベルト型トラックロール式搬送台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、走行部と、搬送台部及びこれらを接続
する支持構造体を備えるトラックロール式搬送台車であって、走行部は、トラックロール
式搬送台車の進行方向に対して左右2組の環状のレールと、環状レールを整形保持し、か
つ、支持構造体を取り付けるフレームと、環状レール上に配置されて複数のローラを支持
する複数のエレメントと、エレメントを一定間隔に保持するベルトからなる左右一対のト
ラックロールを備えており、搬送台部は、搬送台部の下部に接続された支持構造体を介し
て走行部と接続しており、進行方向に対して後端側にハンドル部を備え、ベルトはエレメ
ント毎に分割されたベルトユニットを組み立てて構成され、ベルトユニットはエレメントに突設される2つの突起を挿入し固定するための2つの貫通穴を有する上面が平坦な台地形状の接地部と、接地部の一方の端部に連結して設けられ、複数の穴を有するベルト本体部と、ベルト本体部の接地部と反対側の端部に連結して設けられ、エレメントの2つの突起を挿入し固定するための2つの貫通穴を有する平坦部により構成され、2組の各環状レールの全長に亘り、各ベルトユニットは接地部を隣接するベルトユニットの平坦部に重ねて配設され、エレメントの突起が接地部及び平坦部の各貫通穴に挿入されて連結され、連結された2組のベルトを構成するとともに、エレメントを各環状レールに等間隔に配設することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明においてベルトユニットは、エレメントに配設され
る2つの係止用穴に対応する2つの貫通穴を有する略直方体形状のゴム板と、隣接する2
つのエレメントに架設される接続部が両端部に配設されており、中間部には複数の穴を有
しているプレートにより構成され、プレートの接続部は、各々ゴム板の2つの貫通穴に対
応する2つの貫通穴と、エレメントに配設される2つの突起に対応する別の2つの貫通穴
を有しており、2組の各環状レールの全長に亘り、各プレートは両端部の接続部を隣接す
るエレメントに重ねて配設され、エレメントの突起が接続部の各貫通穴に挿入されて連結
され、各ゴム板は各プレートの重ねられた接続部を挟み込んで各貫通穴によって各エレメ
ントに所定の挿入部品で固定されることにより、連結された2組のベルトを構成するとと
もに、エレメントを各環状レールに等間隔に配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、耐環境性に優れ、ベルト破断や、部品の脱落といった故障の修理が容易に行えるメンテナンス性にも優れたトラックロール式搬送台車が提供される。
本発明により、任意の長さのベルトを作製することが容易となり、トラックロールの長さ毎にベルトを作製する必要がなくなるため各サイズのトラックロール式搬送台車への対応が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の組立ベルト型トラックロール式搬送台車の斜視図である。
図2】トラックロールと搬送台部パイプとの接続部分を示す斜視図である。
図3】トラックロールのベルトユニットの組立を示す斜視図である。
図4】各パーツを示す図であり、(a)はベルトユニット、(b)はエレメント、(c)は接続金具を示す。
図5】第2の実施形態のトラックロール斜視図である。
図6】第2の実施形態のベルトユニット組立を示す斜視図である。
図7】第2の実施形態の各パーツを示す図であり、(a)はプレート、(b)はエレメント、(c)はゴム板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の第1の実施形態について図1~4を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
走行部20と、搬送台部30及びこれらを接続する支持構造体40を備えるトラックロール式搬送台車10であって、走行部20は、トラックロール式搬送台車10の進行方向に対して左右2組の環状のレール2と、環状レール2を整形保持し、かつ、支持構造体40を取り付けるフレーム3と、レール2上に配置されて複数のローラ7を支持する複数のエレメント4と、エレメント4を一定間隔に保持するベルト5からなる左右一対のトラックロール1を備えており、搬送台部30は、搬送台部30の下部に接続された支持構造体40を介して走行部20と接続しており、進行方向に対して後端側にハンドル8を備え、ベルト5はエレメント4毎に分割されたベルトユニット5uを組み立てて構成される。
【0012】
ベルトユニット5uはエレメント4に突設される2つの突起4aを挿入し固定するための2つの貫通穴5gを有する上面5dが平坦な台地形状の接地部5aと、接地部5aの一方の端部5eに連結して設けられ、複数の穴5iを有するベルト本体部5bと、ベルト本体部5bの接地部5aと反対側の端部5fに連結して設けられ、エレメント4の2つの突起4aを挿入し固定するための2つの貫通穴5hを有する平坦部5cにより構成され、2組の各環状レール2の全長に亘り、各ベルトユニット5uは接地部5aを隣接するベルトユニット5uの平坦部5cに重ねて配設され、エレメントの突起4aが接地部5a及び平坦部5cの各貫通穴5g、5hに挿入されて連結され、連続した2組のベルト5を構成するとともに、エレメント4を各環状レール2に等間隔に配設する。
【0013】
搬送台部30は、パイプ6で構成されており、支持構造体40は所定の接続金具9a、9bである。環状レール2はフラットな横断面形状を有する。
【0014】
エレメント4はローラ7を支持するもので、構成は特許文献2に記載のものと同様である。
【0015】
本実施形態の搬送台車10の機能及び効果について説明する。
特許文献2の構成ではベルト5は布製であり、これをエレメント4とプレートで挟み込んでエレメント4をベルト5に固定していた。搬送台車は屋外や工場内で使用される際、ベルト5に水分、汚れなどが付着する場合があり、そのまま放置されることでベルト5が劣化し、走行時の衝撃等により断裂することがある。この場合、補修が非常に困難であった。同じく走行時の衝撃等でエレメント4が脱落する場合もあり、この際もエレメント4をベルト5に再度取り付けることは容易でなく、やはり補修は困難でトラックロールごと取り替える必要があった。
【0016】
本実施形態ではベルト5をベルトユニット5uによる組立式とすることで、上記トラブルの際、容易に補修可能とするものである。ベルトユニット5uは樹脂製であるためそもそも水分、汚れ等で大幅に劣化することがない。ベルトユニット5uに設けられた複数の穴5iは樹脂製のベルトユニット5uの可撓性を向上させるためのものである。走行時の衝撃等によりベルトユニット5uの結合部が外れてベルトユニット5uが損傷した場合や、エレメント4が脱落した場合でも部分的に新しいベルトユニット5u、エレメント4を再度取り付けることで容易に補修することができる。
【0017】
搬送台部30をハンドル8を含めてパイプ6で構成し、支持構造体40を所定の接続金具9a、9bとすることで特許文献2の構成と比較して簡易なものとなるため製作コストの大幅な低減が可能となる。
【0018】
環状レール2をフラットな構造としたのは、特許文献2の構成がグラススキーの技術を搬送台車の走行機構として応用したものであり、グラススキーに使用される場合と比較して搬送台車の場合は、走行時にトラックロールに加わる横荷重が小さいためレール2断面の両端部の湾曲形状をなくしてフラットな形状としてもローラ7がレール2から脱落することがないからである。この構造変更により、環状レール2の製作、組立における大幅なコスト低減が可能となる。
【0019】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図5~7に示すように、トラックロール1aにおいてベルトユニット5vは、エレメント4bに配設される2つの係止用穴4dに対応する2つの貫通穴5kを有する略直方体形状のゴム板5wと、隣接する2つのエレメント4bに架設される接続部5zが両端部に配設されており、中間部5yには複数の穴5mを有しているプレート5nにより構成され、プレート5nの接続部5zは、各々ゴム板5wの2つの貫通穴5kに対応する2つの貫通穴5jと、エレメント4bに配設される2つの突起4cに対応する別の2つの貫通穴5jを有しており、2組の各環状レール2の全長に亘り、各プレート5nは両端部の接続部5zを隣接するエレメント4bに重ねて配設され、エレメント4bの突起4cが接続部5zの各貫通穴5jに挿入されて連結され、各ゴム板5wは各プレート5nの重ねられた接続部5zを挟み込んで各貫通穴5jによって各エレメント4bに所定の挿入部品(不図示)で固定されることにより、連結された2組のベルト5を構成するとともに、エレメント4bを各環状レール2に等間隔に配設する。
【0020】
本実施形態においても第1の実施形態と同様に、走行時の衝撃等によりベルト5が断裂した場合の補修が容易となり、またエレメント4が脱落した場合の補修も容易に行うことができる。ベルトユニット5vは樹脂製であるため水分、汚れ等で大幅に劣化することがなく、複数の穴5jにより可撓性を向上させている。
走行時の衝撃等によりベルトユニット5vの結合部が外れてベルトユニット5vが損傷した場合や、エレメント4bが脱落した場合でも部分的に新しいベルトユニット5v、エレメント4bを再度取り付けることで容易に補修することができる。
【符号の説明】
【0021】
1、1a トラックロール
2 環状レール
3 フレーム
4、4b エレメント
4a、4c 突起
4d 貫通穴
5 ベルト
5a 接地部
5b 本体部
5c 平坦部
5d 上面
5e、5f 端部
5g、5h、5j、5k 貫通穴
5i、5m 穴
5n プレート
5u、5v ベルトユニット
5w ゴム板
5y 中間部
5z 接続部
6 パイプ
7 ローラ
8 ハンドル
9a、9b 接続金具
10 トラックロール式搬送台車
20 走行部
30 搬送台部
40 支持構造体
10 トラックロール式搬送台車
20 走行部
30 搬送台部
40 支持構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7