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特許7312004橋梁ジョイントの劣化状態推定方法とその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】橋梁ジョイントの劣化状態推定方法とその装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20230712BHJP
   E01C 11/02 20060101ALI20230712BHJP
   E01C 23/00 20060101ALI20230712BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01C11/02 A
E01C23/00 Z
E01D19/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019076615
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020172829
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513220562
【氏名又は名称】首都高技術株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 光吉
(72)【発明者】
【氏名】紺野 康二
(72)【発明者】
【氏名】布施 光弘
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242294(JP,A)
【文献】特開2012-240445(JP,A)
【文献】特開2019-006351(JP,A)
【文献】特開2017-043147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 22/00
E01C 11/02
E01C 23/00
E01D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム部材の内部に補強板が配置された橋梁ジョイントの劣化状態を推定する方法であって、
車両バネ下部の非回転部材に設置された加速度センサーにより、路面に設置された前記橋梁ジョイントからタイヤに入力して前記車両バネ下部の非回転部材に伝播される加速度波形を検出するステップと、
前記検出された加速度波形から、当該加速度波形の特徴量としての加速度情報を取得するステップと、
前記取得された加速度情報と、予め求めておいた前記ゴム部材と前記補強板とが剥離している橋梁ジョイントを車両が通過したときの加速度情報とを比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記橋梁ジョイントにおける前記剥離の有無を推定するステップと、
を備えることを特徴とする橋梁ジョイントの劣化状態推定方法。
【請求項2】
前記加速度センサーは、加速度の検出方向が車両前後方向になるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の橋梁ジョイントの劣化状態推定方法。
【請求項3】
前記加速度情報が、前記加速度波形をローパスフィルタを通過させて得られた波形のR
MS値であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の橋梁ジョイントの劣化状態推定方法。
【請求項4】
ゴム部材の内部に補強板が配置された橋梁ジョイントの劣化状態を推定する装置であって、
車両バネ下部の非回転部材に設置されて、路面に設置された前記橋梁ジョイントからタイヤに入力して前記車両バネ下部の非回転部材に伝播される加速度波形を検出する加速度センサーと、
前記検出された加速度波形から、当該加速度波形の特徴量としての加速度情報を取得する加速度情報取得手段と、
前記加速度情報取得手段で取得された加速度情報と、予め求めておいた前記ゴム部材と前記補強板とが剥離している橋梁ジョイントを車両が通過したときの加速度情報とを比較して、前記橋梁ジョイントにおける前記剥離の有無を推定する劣化状態推定手段と、
を備えることを特徴とする橋梁ジョイントの劣化状態推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁ジョイントの劣化状態を推定する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁の途中や橋梁の道路側の端部の継ぎ目には、気温の変化による伸縮や自動車の走行に伴う変形を吸収するための道路用伸縮装置(以下、橋梁ジョイントという)が設置されている。
橋梁ジョイントしては、鋼製のものやゴム製のもの、あるいは、ゴムの内部に鋼板から成る補強板が挿入された鋼板補強型ゴムジョイントなどが採用されている。
図7(a),(b)は鋼板補強型の橋梁ジョイント50の一例を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は(a)図のA-A断面図である。また、(a)白抜きの矢印は、道路の延長方向を示している。
橋梁ジョイント50は、ジョイント本体であるゴム51と、ゴム51の表面側(道路側)に配置された第1の補強板(天板52)と、裏面側に配置された第2の補強板(底板53)と、ゴム51の側面側に配置された第3の補強板(側板54)とを備えている。
また、ゴム51の表面側と裏面側には、橋梁ジョイント50の長さ方向である、路面の延長方向に伸びる伸縮溝55,56が形成されている。
同図に示す橋梁ジョイント50の劣化状態としては、主に、ゴム51と補強板である天板52との剥離が挙げられる。
【0003】
現在、橋梁ジョイントの劣化状態は、作業員がジョイントを目視、もしくは、ハンマーで叩くなどして、劣化しているか否かを推定していた。
しかし、この方法では、交通規制を敷いたうえでの作業が必要なので、時間と費用がかかってしまっていた。また、鋼板補強型の橋梁ジョイントの劣化は、内部のゴムと補強板とが剥離して進行するため、予測が難しいことから、豊富な作業経験を有する作業員が必要であった。
一方、鋼板補強型の橋梁ジョイントの劣化状態を推定する方法として、橋梁ジョイントが設置された道路の周辺に複数のマイクロフォンと解析装置とを設置して、車両が橋梁ジョイントを通過するときの音である通過音を採取し、この通過音の周波数特性から、補強板とゴムとが剥離しているか否かを推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-43147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、橋梁ジョイント毎に、橋梁ジョイントの近傍に複数のマイクロフォンや解析装置などを設置する必要があるだけでなく、大型車両が多く通過する箇所などでは騒音が大きいため、推定精度が十分ではなかった。
また、データの収集やマイクロフォンのメンテナンスなどが大変なため、効率のよい方法とはいえなかった。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な方法で、橋梁ジョイントの劣化状態を精度よく推定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゴム部材の内部に補強板が配置された橋梁ジョイントの劣化状態を推定する方法であって、車両バネ下部の非回転部材に設置された加速度センサーにより、路面に設置された橋梁ジョイントからタイヤに入力して前記車両バネ下部の非回転部材に伝播される加速度波形を検出するステップと、検出された加速度波形から、当該加速度波形の特徴量としての加速度情報を取得するステップと、取得された加速度情報と、予め求めておいたゴム部材と補強板とが剥離している橋梁ジョイントを車両が通過したときの加速度情報とを比較するステップと、比較に基づいて、橋梁ジョイントにおける前記剥離の有無を推定するステップとを備えることを特徴とする。
これにより、道路周辺にマイクロフォンや解析装置などの設備を設置することなく橋梁ジョイントの劣化状態を推定できるだけでなく、周囲に騒音があっても橋梁ジョイントの劣化状態を精度よく推定することができる。
【0008】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る橋梁ジョイントの劣化状態推定装置を示す図である。
図2】検出した加速度波形の一例を示す図である。
図3】ローパスフィルタを通過した加速度波形の一例を示す図である。
図4】橋梁ジョイントの劣化状態推定を示すフローチャートである。
図5】カットオフ周波数の設定方法を示す図である。
図6】抽出周波数領域と加速度のRMS値との関係を示す図である。
図7】鋼板補強型ゴムジョイントの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施の形態に係る橋梁ジョイントの劣化状態推定装置(以下、ジョイント劣化推定装置10という)の機能ブロック図と加速度センサーの配置を示す図である。
ジョイント劣化推定装置10は、加速度センサー11と、車輪速センサー12と、判定波形抽出手段13と、加速度情報取得手段14と、閾値設定手段15と、ジョイント劣化状態推定手段16とを備え、ジョイント劣化監視用車両(以下、単に車両ともいう)に搭載されて、ゴム部材の内部に鋼板から成る補強板が配置された鋼板補強型の橋梁ジョイントの劣化状態を推定する。
判定波形抽出手段13~ジョイント劣化状態推定手段16の各手段は、例えば、コンピュータのソフトウェアと、RAM、ROMなどの記憶装置から構成される。
加速度センサー11は、検出方向が車両前後方向になるように、ナックル21に搭載されて、路面からタイヤ20に入力して、ナックル21に伝播される、車両前後方向の加速度を検出する。
ナックル21は、タイヤ20のホイール22に連結される車軸23に、ハブ24を介して回転自在に連結される車両バネ下部の非回転部材で、上部側でアッパーアーム25に連結され、下部側でローアアーム26に連結されている。また、符号27はトレッド、符号28はローアアーム26に連結されたショックアブゾーバである。
なお、加速度センサー11の出力は、車体側に設けられた車両制御装置に送られる。
車輪速センサー12は、ナックル21に搭載されて、車輪の回転速度(以下、車輪速という)を検出するもので、例えば、外周部に歯車が形成され車輪とともに回転するローターと、このローターと磁気回路を構成するヨークと、磁気回路の磁束変化を検出するコイルとを備えた、周知の電磁誘導型の車輪速センサーなどを用いることができる。
加速度センサー11の出力は判定波形抽出手段13に送られ、車輪速センサー12の出力は判定波形抽出手段13と閾値設定手段15とに送られる。
【0011】
判定波形抽出手段13は、カットオフ周波数設定部13aとローパスフィルタ13bとを備え、加速度センサー11の出力である走行中のタイヤ20に入力する振動の時系列波形である加速度波形を、ローパスフィルタ13bを通過させることで、劣化判定を行うための加速度波形である判定波形を抽出する。
カットオフ周波数設定部13aでは、車両が等速走行しているとして、車輪速センサー12で検出された車輪速を当該車両の速度(以下、車速Vという)に変換するとともに、ローパスフィルタ13bのカットオフ周波数fcを、車速Vに応じた周波数(ここでは、50Hz~150Hz)に設定する。なお、サンプリング周波数fsについても車速V毎に設定してもよいが、本例では、サンプリング周波数fsを1kHz程度にするなど、本例で使用されるカットオフ周波数fcよりも高めに設定しておけば、車速Vに応じてサンプリング周波数fsを変更する必要はない。
カットオフ周波数fcの設定方法については後述する。
ローパスフィルタ13bは、加速度センサー11で検出された車両前後方向の加速度波形からカットオフ周波数設定部13aで設定されたカットオフ周波数fc以下の周波数を有する加速度成分のみを通過させる。
【0012】
図2(a),(b)は、加速度センサー11で検出された車両前後方向の加速度波形で、(a)図はゴムと天板とが剥離していない橋梁ジョイントAを通過した時に検出した加速度波形(以下、検出波形という)で、(b)図はゴムと天板とが剥離した橋梁ジョイントBを通過した時の検出波形である。縦軸は加速度の値で、単位は任意[a.u.]である。なお、橋梁ジョイントA、Bは、いずれも、設置から20年経過したものである。
一方、図3(a),(b)は、カットオフ周波数がfc=100Hzであるローパスフィルタ13bを通過した加速度波形(以下、ローパス波形という)で、(a)図の太い実線は橋梁ジョイントAを通過した時に検出した加速度波形のローパス波形で、(b)図の太い実線は橋梁ジョイントBを通過した時に検出した加速度波形のローパス波形である。
また、(a)図の細い実線は橋梁ジョイントAを通過した時に検出した加速度波形を、100Hz-800Hzのバンドパスフィルタを通過した波形(以下、バンドパス波形という)で、(b)図の細い実線は橋梁ジョイントBを通過した時に検出した加速度波形のバンドパス波形である。
これらの波形を比較すると、図2(a),図3(a)に示した橋梁ジョイントAを通過したときの波形よりも、図2(b),図3(b)に示した橋梁ジョイントBを通過したときの波形の方が振幅が大きいことが分かるとともに、判定波形としてローパス波形を用いた方が、ゴムと天板との剥離が生じているか否かを精度よく推定できることが分かる。
なお、波形は省略するが、橋梁ジョイントAを通過した時に検出した加速度波形をカットオフ周波数が800Hzのハイパスフィルタを通過させた波形には、橋梁ジョイントAを通過したか橋梁ジョイントBを通過したかを区別できる特徴が見られなかった。
【0013】
加速度情報取得手段14は、判定波形であるフィルタ後波形から、橋梁ジョイントの劣化状態を推定するための特徴量となる加速度情報を取得する。
本例では、加速度情報として、ローパス波形の振幅のRMS値を用いた。
閾値設定手段15は、橋梁ジョイントの劣化状態を推定するための閾値を設定するもので、本例では、閾値を、車輪速センサー12で検出され車速Vに応じて設定する。
前記車速Vに応じた閾値を以下、KVと記す。この閾値KVが、本発明の、予め求めておいた劣化した橋梁ジョイントを車両が通過したときの加速度情報(劣化時加速度情報)に相当する。
ジョイント劣化状態推定手段16は、加速度情報取得手段14で取得したRMS値と閾値設定手段15で設定された閾値KVとを比較し、RMS値が閾値KVを超えた場合には、通過した橋梁ジョイントの補強板とゴムとが剥離していると推定し、RMS値が閾値KVに満たない場合に、補強板とゴムとの剥離はないと推定する。
【0014】
次に、ジョイント劣化推定装置10の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
なお、装置の起動は、ジョイント劣化監視用車両に乗っている作業員が手動で行うか、もしくは、当該車両に、車両進行方向を撮影するカメラを取付け、映像画像内に橋梁ジョイントがあった場合に、自動的に起動させてもよい。
はじめに、加速度センサー11にて車両前後方向の加速度を検出するとともに、車輪速センサー12にて、車輪速を検出する(ステップS10)。
次に、前記検出された車輪速を車速に変換(ステップS11)した後、ローパスフィルタのカットオフ周波数fcと閾値KVとを、前記求められた車速Vに基づいて設定する(ステップS12)。
本例では、車速が60km/hrのときのカットオフ周波数fcを100Hzとし、車速がVkm/hrのときのカットオフ周波数fcを、fc=100×(V/60)[Hz]とした。すなわち、カットオフ周波数fcを、車速Vに比例するような値に設定した。
車速が60km/hrのときのカットオフ周波数fcを100Hzとした理由を以下に述べる。
車速が60km/hrのとき、車両が(1/100)秒間に進む距離を基準空間スケールL0とすると、L0=16.7cmであるので、図5(a)に示すように、基準空間スケールL0を波長とする周波数(基準空間スケール周波数)は100Hzとなる。
本例では、加速度波形から100Hzよりも低い周波数成分のみを抽出たものを判定波形として用いている。すなわち、周波数がfkのときの波長を空間スケールLkとすると、基準空間スケールL0よりも長い空間スケールLk波長を有する成分のみを抽出たものを判定波形として用いる。
また、車速が30km/hrのときには、図5(b)に示すように、車両が基準空間スケールL0だけ進む時間は、車速が60km/hrのときの2倍(0.02秒)となるので、基準空間スケール周波数は50Hzとなる。したがって、車速が30km/hrのときには、カットオフ周波数fcを50Hzに設定すればよい。
すなわち、車速がVkm/hrのときのカットオフ周波数fcは、fc=100×(V/60)[Hz]とすればよい。
一方、閾値KVは、車速Vが早いほど大きな値に設定される。
ステップS13では、ステップS12で設定されたカットオフ周波数fcを有するローパスフィルタ13bを用いて、検出波形から、判定波形であるローパス波形を抽出する。
そして、このローパス波形から、加速度情報取得手段14を用いて、橋梁ジョイントの劣化状態を推定するための特徴量である振幅のRMS値を算出する(ステップS14)。
最後に、ステップS14で取得したRMS値と、ステップS12で設定された閾値KVとから、橋梁ジョイントの劣化状態を推定する(ステップS15)。具体的には、RMS値が閾値KVを超えた場合には、通過した橋梁ジョイントの補強板とゴムとが剥離していると推定し、RMS値が閾値KVに満たない場合に、補強板とゴムとの剥離はないと推定する。
【0015】
[実験例]
ゴムと天板とが剥離していない橋梁ジョイントAと、ゴムと天板とが剥離した橋梁ジョイントBを、ランダムに多数配置したテストコースを、本発明のジョイント劣化推定装置10を搭載した車両を60km/hrで走行させて、ローパス波形のRMS値を比較した結果を図6に示す。なお、比較のため、100Hz-800Hzのバンドパス波形のRMS値と、カットオフ周波数が800Hzのハイパスフィルタを通過させた波形のRMS値についての比較結果も併せて記す。なお、縦軸はRMS値[a.u.]である。
同図の四角の中心がRMS値の中央値mで、四角の上端及び下端は四分位点である。
図6の表から明らかなように、ローパス波形のRMS値を比較すれば、ゴムと天板とが剥離していない橋梁ジョイントAとゴムと天板とが剥離した橋梁ジョイントBとを判別することができることが確認された。
【0016】
以上、本発明を実施の形態及び実験例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0017】
例えば、前記実施の形態では、カットオフ周波数fcと閾値KVとを、車速に応じて設定したが、ジョイント劣化推定装置10を搭載した車両は、一般車両ではなく、ジョイント劣化監視用車両なので、計測対象である橋梁ジョイントを通過する際には、一定速度(例えば、60km/hr)で走行させてもよい。これにより、車輪速センサー12やカットオフ周波数設定部13aを省略することができる。
また、前記実施の形態では、加速度情報として、ローパス波形の振幅のRMS値を用いたが、加速度情報としては、図2及び図3に示した検出波形もしくはローパス波形の複数ピークのうちの特定のピーク値、もしくは、複数のピーク値の演算値を用いるなど、他の加速度情報を用いてもよい。
また、前記実施の形態では、鋼板補強型の橋梁ジョイントの劣化状態を推定したが、劣化状態を推定する橋梁ジョイントは、これに限るものではなく、鋼製やゴム製などの橋梁ジョイントであってもよい。例えば、鋼製やゴム製の橋梁ジョイントの場合には、クラックの発生などにより加速度波形が変化するので、橋梁ジョイントを通過したときの加速度情報と、予め計測しておいたクラックの発生した橋梁ジョイントを通過したときの加速度情報とを比較すれば、鋼板補強型以外の橋梁ジョイントの劣化状態についても推定することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 橋梁ジョイントの劣化状態推定装置、11 加速度センサー、
12 車輪速センサー、13 判定波形抽出手段、13a カットオフ周波数設定部、
13b ローパスフィルタ、14 加速度情報取得手段、15 閾値設定手段、
16 ジョイント劣化状態推定手段、
20 タイヤ、21 ナックル、22 ホイール、23 車軸、24 ハブ、
25 アッパーアーム、26 ローアアーム、27 トレッド、
28 ショックアブゾーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7