(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ゴム組成物、及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20230712BHJP
C08K 5/3445 20060101ALI20230712BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K5/3445
B60C1/00 Z
(21)【出願番号】P 2019106156
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 誠一
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-189911(JP,A)
【文献】特開昭53-036539(JP,A)
【文献】特開2010-174127(JP,A)
【文献】特開2009-138046(JP,A)
【文献】特開昭50-155549(JP,A)
【文献】米国特許第06605658(US,B1)
【文献】特公昭49-024069(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)、(b)、及び(c)を含み、下記成分(a)100質量部に対して、加硫剤を0~1質量部含む、
第二ゴム組成物を製造するための第一ゴム組成物。
(a)ゴム成分、
(b)式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、
(c)老化防止剤。
【化1】
(式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3とR
4とは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R
2、R
3及びR
4のいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【化2】
(式(2)中、R
5、R
7及びR
8は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【請求項2】
前記成分(b)が式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の第一ゴム組成物。
【請求項3】
前記成分(a)100質量部に対して、前記成分(c)を0.1~10質量部含む、請求項1又は2に記載の第一ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の第一ゴム組成物に、加硫剤を添加して
得られる、第二ゴム組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の第二ゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
【請求項6】
前記成分(a)、(b)及び(c)を混合する工程(A)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の第一ゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法で作製された第一ゴム組成物に、加硫剤を混合する工程(B)を有する、第二ゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
下記成分(a)、(b)、(c)
及び加硫剤を0~1質量部を混合する工程(A)、並びに工程(A)から得られる第一ゴム組成物、及び加硫剤を混合する工程(B)を有する、第二ゴム組成物の製造方法。
(a)ゴム成分、
(b)式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、
(c)老化防止剤。
【化3】
(式(1)中、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3
とR
4
とは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R
2
、R
3
及びR
4
のいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【化4】
(式(2)中、R
5
、R
7
及びR
8
は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6
はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム成形体は、機械、家電、土木建材、自動車、及び車両等の用途に広く使用されている。中でも、タイヤ、コンベアベルト、及び防振ゴム等に利用されるゴム組成物は、過酷な条件下で衝撃を受けるため、強い耐久性、特に引裂き強度が求められる。
【0003】
また、ゴム成形体の製造効率の観点から、優れた加工性を有するゴム組成物も求められている。
【0004】
ゴム組成物の引裂き強度、及び加工性の両方の性能を向上させるために、以下のようなゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0005】
特許文献1では、ヘテロ原子を含む官能基が導入された変性ジエン系ゴムを含むゴム成分にシリカと、シリカ表面のシラノール基と相互作用のある変性基を持つ液状アクリルポリマーとを含有するゴム組成物が記載されている。
【0006】
特許文献2では、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムと特定の構造を持つブタジエンゴムとを含むゴム成分にジスルフィド系化合物とベンズイミダゾール系老化防止剤とを含有するゴム組成物が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2は、特定のゴム成分を使用しなければならないため、様々な用途によってゴム成分を変更することができず、配合の調整が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-28113号公報
【文献】特開2015-17160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、加工性に優れたゴム組成物を提供すると共に、当該ゴム組成物から製造される引裂き強度性能に優れたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のピラゾロン系化合物と老化防止剤とを含み、下記成分(a)100質量部に対して、加硫剤を0~1質量部含む第一ゴム組成物に、更に加硫剤を添加してなる第二ゴム組成物より得られるタイヤの引裂き強度性能が向上すること、及び、上記ゴム組成の加工性が向上することを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示す第一ゴム組成物、該第一ゴム組成物の製造方法、第二ゴム組成物、該第二ゴム組成物の製造方法、及びタイヤを提供する。
項1.
下記成分(a)、(b)、及び(c)を含み、下記成分(a)100質量部に対して、加硫剤を0~1質量部含む、第一ゴム組成物。
(a)ゴム成分、
(b)式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、
(c)老化防止剤。
【0012】
【化1】
(式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3とR
4とは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R
2、R
3及びR
4のいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【0013】
【化2】
(式(2)中、R
5、R
7及びR
8は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
項2.
前記成分(b)が式(1)で表される化合物である、項1に記載の第一ゴム組成物。
項3.
前記成分(a)100質量部に対して、前記成分(c)を0.1~10質量部含む、項1又は2に記載の第一ゴム組成物。
項4.
項1~3のいずれかに記載の第一ゴム組成物に、加硫剤を添加してなる、第二ゴム組成物。
項5.
項4に記載の第二ゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
項6.
前記成分(a)、(b)及び(c)を混合する工程(A)を有する、項1~3のいずれかに記載の第一ゴム組成物の製造方法。
項7.
項6に記載の方法で作製された第一ゴム組成物に、加硫剤を混合する工程(B)を有する、第二ゴム組成物の製造方法。
項8.
前記成分(a)、(b)及び(c)を混合する工程(A)、並びに工程(A)から得られる第一ゴム組成物、及び加硫剤を混合する工程(B)を有する、第二ゴム組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、加工性に優れたゴム組成物を提供すると共に、当該ゴム組成物から製造される引裂き強度性能に優れたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】
(1.第一ゴム組成物)
本発明の第一ゴム組成物は、下記成分(a)、(b)、及び(c)を含み、下記成分(a)100質量部に対して、加硫剤を0~1質量部含む、ゴム組成物である。
(a)ゴム成分、
(b)式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、
(c)老化防止剤
【0017】
【化3】
(式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3とR
4とは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R
2、R
3及びR
4のいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【0018】
【化4】
(式(2)中、R
5、R
7及びR
8は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【0019】
本発明の第一ゴム組成物は、上記成分(a)100質量部に対して、上記成分(b)と(c)とを併用し、かつ、加硫剤を0~1質量部含むことで、優れた加工性を有し、更に本発明の第一ゴム組成物より作製されたタイヤは優れた引裂き強度を有することから、タイヤ製造用に供することが好ましい。
【0020】
(1.1.成分(a):ゴム成分)
成分(a)は、ゴム成分である。かかるゴム成分としては、特に制限はなく、例えば、天然ゴム(NR)、合成ジエン系ゴム、合成非ジエン系ゴム、天然ゴムと合成ジエン系ゴムとの混合物、天然ゴムと合成非ジエン系ゴムとの混合物、並びに合成ジエン系ゴムと合成非ジエン系ゴムとの混合物等が挙げられる。
【0021】
天然ゴムとしては天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどが挙げられ、さらにこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、ハロゲン変性天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、マレイン酸変性天然ゴム、スルホン酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムなども、本発明の天然ゴムに含まれる。
【0022】
合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。
【0023】
変性合成ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが包含される。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
【0024】
合成ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
【0025】
合成非ジエン系ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、六フッ化プロピレン‐フッ化ビニリデン共重合体(FKM)、テトラフルオロエチレン‐プロピレン共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロビニルエーテル共重合体(FFKM)、メチルシリコーンゴム(MQ)、ビニル・メチルシリコーンゴム(VMQ)、フェニル・メチルシリコーンゴム(PMQ)等、及びこれらの変性合成非ジエン系ゴムが挙げられる。
【0026】
変性合成非ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法による非ジエン系ゴムが包含される。ここで、変性合成非ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成非ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
【0027】
合成非ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成非ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
【0028】
また、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布は、特に制限はないが、数平均分子量500~3000000、分子量分布1.5~15が好ましい。非ジエン系ゴムとしては、公知のものを広く使用することができる。
【0029】
ゴム成分は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。中でも、好ましいゴム成分としては、天然ゴム、IR、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物であり、より好ましくは天然ゴム、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物である。
【0030】
第一ゴム組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計100質量%中における成分(a)の含有量は、10~99質量%であることが好ましく、20~98質量%であることがより好ましい。成分(a)が10質量%以上含まれることにより、第一ゴム組成物に弾性を付与することができる。一方、第一ゴム組成物中に含まれる成分(a)が99質量%以下であることにより、第一ゴム組成物のコストを低減させ、その結果、経済性を向上させることが可能であるという利点がある。
【0031】
成分(a)100質量%中に、天然ゴムが65~100質量%含まれることが好ましく、75~100質量%含まれることがより好ましく、80~100質量%含まれることが更に好ましい。
【0032】
(1.2.成分(b):式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物あるいは該化合物の塩)
成分(b)は、下記式(1)で表される化合物もしくはその塩(以下、当該化合物及びその塩を総称して、単に化合物(1)ともいう。)又は下記式(2)で表される化合物もしくはその塩(以下、当該化合物及びその塩を総称して、単に化合物(2)ともいう。)である。
【0033】
【化5】
(式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3とR
4とは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R
2、R
3及びR
4のいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【0034】
【化6】
(式(2)中、R
5、R
7及びR
8は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
【0035】
式(1)中、R1が水素原子であることが好ましい。
【0036】
式(1)中、R2が、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であることが好ましく、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、又はフリル基であることがより好ましく、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基であることが更に好ましい。
【0037】
式(1)中、R3及びR4の少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、R3及びR4が共に水素原子であることがより好ましい。
【0038】
式(1)中、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、R3及びR4が共に水素原子であること、及び、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、R3とR4とが一緒になってアルキリデン基を形成していることがさらに好ましく、R1が水素原子であり、R2が水素原子若しくは炭素数1~4の直鎖状アルキル基であり、R3及びR4が共に水素原子であることが特に好ましい。
【0039】
式(2)中、R5は水素原子であり、R6は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、R7及びR8は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基又は複素環基であることが好ましい。
【0040】
式(2)中、R6が炭素数1~4の直鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基であることがより好ましい。
【0041】
式(2)中、R7及びR8が同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基であることが好ましい。
【0042】
式(2)中、R5は水素原子であり、R6が炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基であり、R7及びR8が同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基であることが好ましい。
【0043】
化合物(1)及び化合物(2)の中でも、化合物(1)が特に好ましい。
【0044】
化合物(1)としては、例えば、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン、4,4’-(フェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、4-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-メチル-2,3-ジアゾスピロ[4.4]ノン-3エン-1-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾール-3(3aH)-オン、4-{[4-ジメチルアミノ]フェニル}メチリデン}-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4,4’-(4-ヒドロキシフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び4,4’-(4-ニトロフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)等が挙げられる。
【0045】
化合物(2)としては、例えば、1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、1-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、及び4-アミノ-1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン等が挙げられる。
【0046】
中でも、好ましい化合物は、化合物(1)であり、その中でも、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オンがより好ましい。
【0047】
本発明の第一ゴム組成物における成分(b)としては、これら化合物(1)及び(2)として上記した化合物を一種のみ単独で含んでもよいし、二種以上を混合して含んでもよい。
【0048】
化合物(1)又は(2)の中には、互変異性体を生じるものがある。互変異性化が可能である(例えば、溶液中である)場合に、互変異性体の化学平衡に達し得る。化合物(1)又は(2)は、例えば、式(3)~(9)で表されるような互変異性体として存在することができる。
【0049】
前記式(1)において、R1及びR3が水素原子である化合物(化合物(1)-A)には、以下の式(3)~(5)により表される互変異性体が存在する。
【0050】
【0051】
前記式(1)において、R3が水素原子である化合物(化合物(1)-B)には、以下の式(6)~(7)により表される互変異性体が存在する。
【0052】
【化8】
(式中、R
1、R
2及びR
4は、前記に同じ。)
【0053】
前記式(1)において、R1が水素原子である化合物(化合物(1)-C)には、以下の式(8)により表される互変異性体が存在する。
【0054】
【化9】
(式中、R
2、R
3及びR
4は、前記に同じ。)
【0055】
前記式(2)において、R5が水素原子である化合物(化合物(2)-A)には、以下の式(9)により表される互変異性体が存在する。
【0056】
【化10】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、前記に同じ。)
【0057】
上記式(3)~(9)により表されるような互変異性体と、化合物(1)又は(2)とは、どちらの異性体も共存する平衡状態に達している。よって、別段の記載がない限り、本明細書において、化合物(1)又は(2)のすべての互変異性体の形態は、本発明の範囲内である。
【0058】
また、式(1)又は(2)で表される化合物の塩としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、及びトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0059】
本発明の第一ゴム組成物における成分(b)としては、化合物(1)又は化合物(2)が任意の割合で含まれる混合物を含んでもよい。
【0060】
上記成分(b)の配合量は、第一ゴム組成物中の上記成分(a)100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.05~30質量部であることがより好ましく、0.1~10質量部であることが更に好ましい。
【0061】
第一ゴム組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計100質量%中における成分(b)の含有量は、0.001~30質量%であることが好ましく、0.005~20質量%であることがより好ましい。成分(b)が0.001質量%以上含まれることにより、引裂き強度を向上させることができる。一方、第一ゴム組成物中に含まれる成分(b)が30質量%以下であることにより、第一ゴム組成物のコストを低減させ、経済性を向上することができる。
【0062】
本明細書において、「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0063】
本明細書において、「アラルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ベンジル、フェネチル、トリチル、1-ナフチルメチル、2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチル)エチル基等が挙げられる。
【0064】
本明細書において、「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H-フルオレニル基等が挙げられる。
【0065】
本明細書において、「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-フタラジル、4-フタラジル、5-フタラジル、6-フタラジル、7-フタラジル、8-フタラジル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、4-(1,2,3-チアジアゾリル)、5-(1,2,3-チアジアゾリル)、3-(1,2,5-チアジアゾリル)、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフニル、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、4-ベンゾチエニル、5-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニル、7-ベンゾチエニル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、2-モルホリル、3-モルホリル、4-モルホリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチオピラニル、3-テトラヒドロチオピラニル、4-テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル、フラニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基、モルホリノ基等が挙げられる。
【0066】
本明細書において、「アルキレン基」としては、特に限定はなく、例えば、 エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。これらアルキレン基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、フェニレン基を介していてもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、-CH2NHCH2-、-CH2NHCH2CH2-、-CH2NHNHCH2-、-CH2CH2NHCH2CH2-、-CH2NHNHCH2CH2-、-CH2NHCH2NHCH2-、-CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2-、-CH2SCH2CH2-、-CH2CH2SCH2CH2-、
【0067】
【0068】
本明細書において、「アルキリデン基」としては、特に限定はなく、例えば、メチリデン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン基等が挙げられる。
【0069】
これらアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、及びアルキレン基は、置換可能な任意の位置にそれぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。該「置換基」としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。該置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していてもよい。
【0070】
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
【0071】
本明細書において、「アミノ基」としては、-NH2で表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
【0072】
本明細書において、「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(エチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(エチルメチルアミノ)エチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、3-アミノプロピル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(エチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、3-(エチルメチルアミノ)プロピル、3-(ジエチルアミノ)プロピル基等のアミノアルキル基、モノアルキル置換アミノアルキル基又はジアルキル置換アミノアルキル基等が挙げられる。
【0073】
本明細書において、「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0074】
本明細書において、「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
【0075】
本明細書において、「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n-ブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0076】
本明細書において、「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N-メチルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド基等のN-置換アミド基;等が挙げられる。
【0077】
本明細書において、「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシ-n-プロピル、カルボキシ-n-ブチル、カルボキシ-n-ペンチル、カルボキシ-n-ヘキシル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。
【0078】
本明細書において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
【0079】
本明細書において、「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
【0080】
本明細書において、「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフトキシ基等が挙げられる。
【0081】
本明細書において、「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、及びn-プロピルチオ基等が挙げられる。
【0082】
本明細書において、「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニルチオ基等が挙げられる。
【0083】
化合物(1)の中でも、R1、R3及びR4が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基である化合物が好ましい。
【0084】
(1.3.成分(c):老化防止剤)
成分(c)は、老化防止剤である。かかる老化防止剤としては、特に制限はなく、例えば、芳香族第二級アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、スルフィド系老化防止剤、特殊ワックス系老化防止剤等が挙げられ、その中でも、芳香族第二級アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、及び特殊ワックス系老化防止剤から選ばれる少なくとも一種が好ましい。これら老化防止剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0085】
芳香族第二級アミン系老化防止剤は、N-フェニル-1-ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン等が挙げられ、その中でも、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンが好ましい。
【0086】
アミン-ケトン系老化防止剤は、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物等が挙げられ、その中でも、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリンが好ましい。
【0087】
モノフェノール系老化防止剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、モノ(α-メチルベンジル)フェノール、ジ(α-メチルベンジル)フェノール、トリ(α-メチルベンジル)フェノール等が挙げられ、その中でも、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールが好ましい。
【0088】
ビスフェノール系老化防止剤は、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、p-クレソールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物等が挙げられ、その中でも、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)が好ましい。
【0089】
ポリフェノール系老化防止剤は、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン等が挙げられ、その中でも、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノンが好ましい。
【0090】
ベンズイミダゾール系老化防止剤は、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩等が挙げられ、その中でも、2-メルカプトベンズイミダゾールが好ましい。
【0091】
ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤は、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0092】
チオウレア系老化防止剤は、1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素、トリブチルチオ尿素等が挙げられ、その中でも、1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素が好ましい。
【0093】
亜リン酸系老化防止剤は、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
【0094】
有機チオ酸系老化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル等が挙げられる。
【0095】
スルフィド系老化防止剤は、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド等が挙げられる。
【0096】
上記老化防止剤の中でも、芳香族第二級アミン系老化防止剤のN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、アミン-ケトン系老化防止剤の2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、モノフェノール系老化防止剤の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ベンズイミダゾール系老化防止剤の2-メルカプトベンズイミダゾールが好ましく、芳香族第二級アミン系老化防止剤のN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、ベンズイミダゾール系老化防止剤の2-メルカプトベンズイミダゾールが更に好ましく、芳香族第二級アミン系老化防止剤のN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンが特に好ましい。
【0097】
上記成分(c)の配合量は、第一ゴム組成物中の上記成分(a)100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましく、0.7~7質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることが更に好ましい。
【0098】
第一ゴム組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計100質量%中における成分(c)の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。成分(c)が0.1質量%以上含まれることにより、老化によるゴム主鎖切断を抑制し、低発熱性を向上させることができる。一方、第一ゴム組成物中に含まれる成分(c)が11質量%以下であることにより、ブリードアウトによるゴム組成物の汚染を抑制することができる。
【0099】
(1.4.加硫剤)
本発明の第一ゴム組成物は、上記成分(a)100質量部に対して、加硫剤が0~1質量部含まれ、0~0.5質量部含まれることが好ましく、加硫剤を全く含まないことが特に好ましい。加硫剤は、既述の如く成分(a)100質量部に対して0質量部(全く含まない。)であることが特に好ましいが、1質量部以下の量を含んでいてもよく、例えば、成分(a)100質量部に対して0.001質量部~1質量部含まれていてもよい。加硫剤については、以下の(2.第二ゴム組成物)で詳述する。
【0100】
第一ゴム組成物中に、成分(a)100質量部に対して加硫剤が1質量部を超えて含まれる場合、最終目的物であるタイヤの引き裂き強度が十分なものとならず、また、タイヤ製造の際の加工性も悪くなってしまう。
【0101】
(1.5.その他配合剤)
本発明の第一ゴム組成物には、上記成分(a)、(b)、(c)、及び加硫剤以外にも、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、無機充填材、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、液状ゴム、発泡剤、オイル、ステアリン酸等の炭素数8~30の脂肪酸、酸化亜鉛(ZnO)、加硫促進剤、加硫遅延剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0102】
カーボンブラックは、一般的に、ゴムの補強性を向上させるために用いられる。なお、本明細書においては、無機充填材にカーボンブラックは含まれない。
【0103】
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。ゴム成分にカーボンブラックを含有することにより、ゴムの電気抵抗を下げて、帯電を抑止する効果、さらにゴムの強度を向上させる効果を享受できる。
【0104】
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
【0105】
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60~200cm3/100g、より好ましくは70~180cm3/100g以上、特に好ましくは80~160cm3/100gである。
【0106】
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JISK6217-2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30~200m2/g、より好ましくは40~180m2/g、特に好ましくは50~160m2/gである。
【0107】
無機充填材としては、ゴム工業界において、通常使用される無機化合物であれば、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ;γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al2O3);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイ(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
【0108】
無機充填材としては、ゴム強度を付与する観点からシリカが好ましく、より好ましくはシリカ単独で、又はシリカとゴム工業界で通常使用される無機化合物の1種以上とを併用することができる。無機充填材として、シリカ及びシリカ以外の上記無機化合物を併用する場合には、無機充填材の全成分の合計量が上記範囲となるように適宜調整すればよい。
【0109】
シリカは、ゴム強度を付与することができるため添加することが好ましい。
【0110】
シリカとしては、市販のあらゆるものが使用できる。中でも、好ましいシリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカであり、より好ましくは湿式シリカである。これらのシリカは、ゴム成分との親和性を向上させるために、シリカの表面が有機処理されていてもよい。
【0111】
シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40~350m2/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性及びゴム成分中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
【0112】
この観点から、好ましいシリカとしては、BET比表面積が80~300m2/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積100~270m2/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積110~270m2/gの範囲にあるシリカである。
【0113】
このようなシリカの市販品としては、Quechen Silicon Chemical Co.,Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m2/g)、「HD115MP」(BET比表面積=115m2/g)、「HD200MP」(BET比表面積=200m2/g)、「HD250MP」(BET比表面積=250m2/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m2/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m2/g)等が挙げられる。
【0114】
本発明の第一ゴム組成物にカーボンブラックを配合する場合には、カーボンブラックの配合量は、特に限定はなく、例えば、上記成分(a)100質量部に対して、通常2~200質量部であり、好ましくは30~130質量部であり、より好ましくは35~110質量部である。
【0115】
本発明の第一ゴム組成物に無機充填材を配合する場合には、無機充填材の配合量は、特に限定はなく、例えば、上記成分(a)100質量部に対して、通常5~200質量部であり、好ましくは20~150質量部であり、より好ましくは30~100質量部である。
【0116】
本発明の第一ゴム組成物にカーボンブラック及び無機充填材の両方を配合する場合には、両成分の合計量が上記範囲になるように適宜調整すれば良い。
【0117】
また、本発明の第一ゴム組成物にカーボンブラック又は無機充填材を配合する場合においては、カーボンブラックや無機充填材によるゴム組成物の靱性を高める目的、又はゴム組成物の引裂き強度と共に耐摩耗性を高める目的で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤等を配合してもよい。
【0118】
カーボンブラック又は無機充填材と併用可能なシランカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えばスルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、アルキル系のシランカップリング剤等が挙げられる。
【0119】
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
【0120】
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0121】
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール等を挙げることができる。
【0122】
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0123】
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0124】
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
【0125】
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを使用することが、特に好ましい。
【0126】
カーボンブラック又は無機充填材と併用可能なチタネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなチタネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のチタネートカップリング剤が挙げられる。
【0127】
アルコキシド系のチタネートカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等を挙げることができる。これらの内、テトライソプロピルチタネートが好ましい。
【0128】
キレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンエタノールアミネート、チタンオクチレングリコレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート等を挙げることができる。これらの内、チタンアセチルアセトネートが好ましい。
【0129】
アシレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンイソステアレート等を挙げることができる。
【0130】
カーボンブラック又は無機充填材と併用可能なアルミネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなアルミネートカップリング剤として、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げることができる。これらの内、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。
【0131】
カーボンブラック又は無機充填材と併用可能なジルコネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなジルコネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のジルコネートカップリング剤が挙げられる。
【0132】
アルコキシド系のジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等を挙げることができる。この内、ノルマルブチルジルコネートが好ましい。
【0133】
キレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等を挙げることができる。この内、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。
【0134】
アシレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等を挙げることができる。この内、ステアリン酸ジルコニウムが好ましい。
【0135】
本発明においては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0136】
本発明の第一ゴム組成物のカップリング剤の配合量は、カーボンブラック及び無機充填材の合計量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、3~15質量部が特に好ましい。0.1質量部以上であれば、ゴム組成物の引裂き強度向上の効果をより好適に発現することができ、20質量部以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上するからである。
【0137】
(2.第二ゴム組成物)
本発明の第二ゴム組成物は、上記第一ゴム組成物に加硫剤を添加してなるゴム組成物であり、タイヤ製造用ゴム組成物として好適に使用できる。
【0138】
本発明の第二ゴム組成物に添加される加硫剤としては、特に制限は無く、例えば、硫黄、過酸化物、キノンジオキシム化合物、ニトロソベンゼン化合物、チオ化合物、ビスマレイミド化合物等が挙げられ、これらの中でも、硫黄、過酸化物が好ましい。これら加硫剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0139】
硫黄は、ナフテン系オイルなど、ゴム業界で一般的に使用されるオイルを硫黄に2~10質量%含ませたオイル処理品等を使用しても良い。
【0140】
過酸化物は、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチル-パーオキシ)ヘキサン等が挙げられ、中でも、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
【0141】
キノンジオキシム化合物は、p-キノンジオキシム、o,o’-ジベンゾイル-p-キノンジオキシム等が挙げられ、中でも、p-キノンジオキシムが好ましい。
【0142】
ニトロベンゼン化合物は、ポリ-p-ジニトロソベンゼン等が挙げられる。
【0143】
チオ化合物は、4,4’-ジチオモルホリン等が挙げられる。
【0144】
ビスマレイミド化合物は、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスシトラコンイミド等が挙げられ、中でも、N,N’-m-フェニレンビスマレイミドが好ましい。
【0145】
上記加硫剤の配合量は、第一ゴム組成物中の上記成分(a)100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.05~7質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが更に好ましい。
【0146】
第二ゴム組成物中の上記第一ゴム組成物、及び加硫剤の合計100質量%中における加硫剤の含有量は、0.01~10質量%であることが好ましく、0.1~5質量%であることがより好ましい。加硫剤が0.01質量%以上含まれることにより、低発熱性を向上させることができる。一方、加硫剤が10質量%以下であることにより、第二ゴム組成物のコストを低減させ、その結果、経済性を向上させることが可能である。
【0147】
本発明の第二ゴム組成物には、上記第一ゴム組成物、及び加硫剤以外にも、上記(1.5.その他配合剤)に記載のゴム工業会で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0148】
本発明の第二ゴム組成物には、新たに老化防止剤を添加しても良い。老化防止剤としては、上記(1.3.老化防止剤)と同様である。本発明の第一ゴム組成物で添加した成分(c)と同じ種類のものを更に第二ゴム組成物に加えてもよいし、異なる種類のものを新たに第二ゴム組成物に加えてもよい。
【0149】
上記のように、ゴム成分、特定のピラゾロン系化合物、及び老化防止剤を含む第一ゴム組成物を製造した後、加硫剤を配合して第二ゴム組成物とすることによって、本発明の課題とする加工性の向上と引裂き強度の向上とを達成することができる。
【0150】
(3.第一ゴム組成物の製造方法:工程(A))
本発明の第一ゴム組成物の製造方法は、上記成分(a)、(b)、及び(c)を混合する工程(A)を有する。
【0151】
本明細書において、「混合」には、単に混ぜ合わせるという態様のみならず、いわゆる「混練」という態様も含まれるものとする。
【0152】
この混合方法においては、各成分の全量を一度に混合してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して混合してもよい。また、上記成分(a)及び(b)を混合した後、上記成分(c)を投入するか、上記成分(a)及び(c)を混合した後、上記成分(b)を投入して混合しても良い。各成分を均一に分散させるために、混合操作を繰り返し行っても良い。また、充填材を予め湿式方式、及び/又は乾式混合方法によりゴムに添加した充填材マスターバッチゴムを使用しても良い。
【0153】
工程(A)における第一ゴム組成物を混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、第一ゴム組成物の温度が100~190℃であることが好ましく、110~175℃であることがより好ましく、120~170℃であることがさらに好ましい。
【0154】
工程(A)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、1分間から8分間であることがさらに好ましい。
【0155】
本発明の第一ゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるカーボンブラック、無機充填材、ステアリン酸、酸化亜鉛等のその他配合剤を、必要に応じて、工程(A)において添加することができる。
【0156】
その中でも、本発明の第一ゴム組成物に、カーボンブラック、及び/又は無機充填材を添加し、混合する場合、上記成分(a)、(b)、及び(c)の全量と一緒に混合してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して混合しても良い。
【0157】
本発明の第一ゴム組成物に、カーボンブラック、及び/又は無機充填材を添加し、混合する場合における、上記以外の別の混練方法としては、上記成分(a)、(b)、及び(c)を混練する工程(A-1)、並びに工程(A-1)で得られる本発明の第一ゴム組成物とカーボンブラック、及び/又は無機充填材を含む原料成分とを混練する工程(A-2)を含む二段階の混練方法を挙げることができる。
【0158】
工程(A-1)における第一ゴム組成物を混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、第一ゴム組成物の温度が100~190℃であることが好ましく、110~175℃であることがより好ましく、120~170℃であることがさらに好ましい。
【0159】
工程(A-1)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、1分間から8分間であることがさらに好ましい。
【0160】
工程(A-2)における工程(A-1)で得られた本発明の第一ゴム組成物とカーボンブラック、及び/又は無機充填材とを混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、混合物の温度が100~190℃であることは好ましく、130~175℃であることがより好ましく、110~170℃であることがさらに好ましい。
【0161】
工程(A-2)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、1分間から8分間であることがさらに好ましい。
【0162】
また、あらかじめ上記成分(a)及び(b)を任意の割合で混合したマスターバッチを用いてもよい。
【0163】
第一ゴム組成物のマスターバッチの成分(b)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、0.01~200質量部とすることが好ましく、0.1~100質量部とすることがより好ましい。
【0164】
なお、第一ゴム組成物に、上記成分(a)100質量部に対して1質量部以下の加硫剤を含む場合の混合方法は、特に制限されない。
【0165】
(3.1.第一ゴム組成物の混合方法)
本発明における第一ゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、単軸押出機、又は二軸押出機等を用いて混合されることが好ましい。
【0166】
(4.第二ゴム組成物の製造方法:工程(B))
本発明の第二ゴム組成物の製造方法は、上記工程(A)で作製された第一ゴム組成物に、加硫剤を混合する工程(B)を有する。ゴム成分、特定のピラゾロン系化合物、及び老化防止剤を含み、加硫剤を含まない第一ゴム組成物を製造した後、工程(B)において加硫剤を配合することが、特に好ましい。
【0167】
よって、本発明の第二ゴム組成物の製造方法は、前記成分(a)、(b)及び(c)を混合する工程(A)、並びに工程(A)から得られる第一ゴム組成物、及び加硫剤を混合する工程(B)を有する。
【0168】
本発明の第二ゴム組成物の製造方法において、工程(B)で老化防止剤を新たに添加しても良い。
【0169】
本発明の第二ゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合される加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等のその他配合剤を、必要に応じて、工程(B)において添加することができる。
【0170】
上記その他配合剤は、工程(A)又は工程(B)のどちらか一方で添加してもよいし、
あるいは工程(A)及び工程(B)に分けて添加してもよい。
【0171】
工程(B)は、加熱条件下で行うことができる。該工程の加熱温度としては、特に制限はなく、例えば、60~140℃であることが好ましく、80~120℃であることがより好ましく、90~120℃であることがさらに好ましい。
【0172】
混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から5分間であることがさらに好ましい。
【0173】
工程(A)から工程(B)に進む際には、前段階の工程終了後の温度より、30℃以上低下させてから次の工程(B)へ進むことが好ましい。
【0174】
(4.1.第二ゴム組成物の混合・成形方法)
本発明における第二ゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、単軸押出機、又は二軸押出機等を用いて混合されることが好ましい。その後、押出工程において押出して加工され、例えば、トレッド用部材、又はサイドウォール用部材として成形される。続いて、好ましくは、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
【0175】
(5.タイヤ)
本発明のタイヤは、上記本発明の第二ゴム組成物を用いて作製されたタイヤである。
【0176】
本発明のタイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等)、ソリッドタイヤ等が挙げられる。
【0177】
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、スタッドレスタイヤ等が挙げられ、中でも、乗用車用タイヤに好適に使用できる。
【0178】
本発明のタイヤの形状、構造、大きさ及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0179】
本発明のタイヤにおいて、上記第二ゴム組成物は、特にトレッド部、サイドウォール部、ビードエリア部、ベルト部、カーカス部及びショルダー部から選ばれる少なくとも一つの部材に用いられる。
【0180】
中でも、空気入りタイヤのタイヤトレッド部、又はサイドウォール部を当該第二ゴム組成物で形成するのが好ましく、サイドウォール部を当該ゴム組成物で形成するのが特に好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0181】
トレッド部とは、トレッドパターンを有し、路面と直接接する部分で、カーカスを保護するとともに摩耗及び外傷を防ぐタイヤの外皮部分であり、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
【0182】
サイドウォール部とは、例えば、空気入りラジアルタイヤにおけるショルダー部の下側からビード部に至るまでの部分であり、カーカスを保護するとともに、走行する際に最も屈曲の激しい部分である。
【0183】
ビードエリア部とは、カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリムに固定させる役目を負っている部分である。ビードとは高炭素鋼を束ねた構造である。
【0184】
ベルト部とは、ラジアル構造のトレッドとカーカスとの間に円周方向に張られた補強帯である。カーカスを桶のたがの様に強く締付けトレッドの剛性を高めている。
【0185】
カーカス部とは、タイヤの骨格を形成するコード層の部分であり、タイヤの受ける荷重、衝撃、及び充填空気圧に耐える役割を果たしている。
【0186】
ショルダー部とは、タイヤの肩の部分で、カーカスを保護する役目を果たす。
【0187】
本発明のタイヤは、タイヤの分野において、常法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0188】
本発明のタイヤは、優れた引裂き強度性能を有するタイヤを提供することができる。
【0189】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例】
【0190】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0191】
製造例1:3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-2)の製造
100mLナスフラスコにカルボニルジイミダゾール8.5g(52.1mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン60mLを加え、室温で撹拌した。次いでこの混合物に、2-ナフトエ酸7.5g(43.6mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。以下、この得られた反応液を「反応液1」とする。
500mL四つ口フラスコにモノエチルマロン酸カリウム14.8g(87.0mmol)、脱水アセトニトリル210mL、及びトリエチルアミン18.3mL(132.4mmol)を加え、氷冷下で撹拌した。次いでこの混合物に、塩化マグネシウム10.4g(109.2mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。この得られた反応液に上記反応液1を滴下し、室温で一晩撹拌した。
【0192】
この反応液を濃縮し、得られた残渣にトルエン125mLを加え、4M塩酸70mL、及び水70mLで洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1(体積比))にて精製し、無色透明の液体を得た。
【0193】
この液体にヒドラジン一水和物2.2mL(44.8mmol)を加え、酢酸2.0mL(35.0mmol)を滴下し、4時間還流した。この反応液を室温に戻し、ジイソプロピルエーテル30mLを加え、析出した結晶をろ過して、白色固体の3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン8.22gを得た。
融点:204℃
1H-NMR(300MHz,d6-DMSO,δppm):
11.94(1H,br),8.20~8.21(1H,J=1.2Hz,d),7.82~7.96(4H,m),7.47~7.56(2H,m),6.02(1H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
168.13,160.95,143.83,133.06,132.39,128.30,127.90,127.62,126.55,126.06,123.28,123.14,87.10
【0194】
製造例2:3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-3)の製造
100mLナスフラスコにカルボニルジイミダゾール8.7g(53.5mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン60mLを加え、室温で撹拌した。次いでこの混合物に、2-フランカルボン酸5.0g(45.0mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。以下、この得られた反応液を「反応液2」とする。
【0195】
500mL四つ口フラスコにモノエチルマロン酸カリウム14.8g(87.0mmol)、脱水アセトニトリル200mL、及びトリエチルアミン18.3mL(132.4mmol)を加え、氷冷下で撹拌した。次いでこの混合物に、塩化マグネシウム10.4g(109.2mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。この反応液に上記反応液2を滴下し、室温で一晩撹拌した。
【0196】
得られた反応液を濃縮し、クロロホルム120mLを加え、4M塩酸70mL、及び水70mLで洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮し、無色透明の液体を得た。
【0197】
この得られた液体にヒドラジン一水和物2.5mL(50.7mmol)を加え、酢酸2.0mL(35.0mmol)を滴下し、4時間還流した。この得られた反応液を室温に戻し、ジイソプロピルエーテル30mLを加え、析出した結晶をろ過して、白色固体の3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン5.47gを得た。
融点:231℃
1H-NMR(300MHz,d6-DMSO,δppm):
11.79(2H,br),7.68~7.69(1H,m),6.69(1H,J=3.3Hz,d),6.55(1H,J=1.8,1.5,1.8Hz,dd),5.69(1H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
160.23,146.16,142.24,135.84,111.50,105.77,85.88
【0198】
製造例3:3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-4)の製造
100mL四つ口フラスコにベンゾイル酢酸エチル25g(0.13mol)及びエタノール25mLを加えて撹拌した。これを水浴で冷却しながら、ヒドラジン一水和物6.5mL(0.13mol)を滴下した。室温で4時間撹拌した後、析出した固体をろ過し、水:メタノール=1:1(体積比)の混合液50mLで洗浄、乾燥することで、白色固体の3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン18.8gを得た。
融点:236℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
12.03(1H,br)、9.69(1H,br)、7.66(2H,m)、7.39(2H,m)、7.30(1H,m)、5.88(1H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
161.00、143.48、130.48、128.73、127.71、124.73、86.87
【0199】
製造例4:3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-5)の製造
500mL四つ口フラスコに3-オキソヘキサン酸メチル24.8g(0.16mol)、及びエタノール260mLを加えて撹拌した。これを氷浴で冷却しながらヒドラジン一水和物8.6mL(0.18mol)を滴下し、氷冷下で2時間撹拌した後、2時間加熱還流し、反応液を室温まで冷却した。析出した固体をろ過し、水:メタノール=1:1(体積比)の混合液50mLで洗浄し、乾燥することで、白色固体の3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン13.2gを得た。
融点:205-206℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.11(1H,br)、9.42(1H,br)、5.23(1H,s)、2.41(2H,J=7.5Hz,t)、1.54(2H,m)、0.88(3H,J=7.3Hz,t)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
160.87、144.04、87.93、27.67、21.93、13.57
【0200】
製造例5:4,4’-(フェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)(化合物(b)-6)の製造
2L四つ口フラスコに、水1L、3-メチル-5-ピラゾロン10g(0.10mol)、ベンズアルデヒド5.4g(0.05mol)、及びドデシル硫酸ナトリウム0.73g(2.5mmol)を加えて室温で30分間撹拌した後、1時間還流した。この反応液を氷浴で冷却しながら、30分間撹拌した後、析出した固体をろ過し、水500mLで洗浄し、乾燥することで淡黄色固体の4,4’-(フェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)12.1gを得た。
融点:230-232℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.31(4H,br)、7.20(2H,m)、7.12(3H,m)、4.81(1H,s)、2.07(6H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
161.24、143.33、139.73、127.67、127.47、125.35、104.21、32.72、10.34
【0201】
製造例6:4,4’-(4-ヒドロキシフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)(化合物(b)-7)の製造
3L四つ口フラスコに、水2.5L、3-メチル-5-ピラゾロン25.0g(0.26mol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド15.6g(0.13mol)、及びドデシル硫酸ナトリウム1.84g(6.4mmol)を加えて室温で30分間撹拌した後、1時間還流した。この反応液を氷浴で冷却しながら、30分間撹拌した後、析出した固体をろ過し、水2.5Lで洗浄し、乾燥することで淡黄色固体の4,4’-(4-ヒドロキシフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)33.5gを得た。
融点:262-264℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.22(4H,br)、9.03(1H,s)、6.91(2H,J=8.5Hz,d)、6.59(2H,J=8.5Hz,d)、4.71(1H,s)、2.06(6H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
161.12、155.03、139.67、133.44、128.27、114.42、104.84、31.91、10.35
【0202】
製造例7:4,4’-(4-ニトロフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)(化合物(b)-8)の製造
3L四つ口フラスコに、水2.5L、3-メチル-5-ピラゾロン25.0g(0.26mol)、4-ニトロベンズアルデヒド19.3g(0.13mol)、及びドデシル硫酸ナトリウム1.84g(6.4mmol)を加えて室温で30分間撹拌した後、1時間還流した。この反応液を氷浴で冷却しながら、30分間撹拌した後、析出した固体をろ過し、メタノール500mLで洗浄し、乾燥することで淡黄色固体の4,4’-(4-ニトロフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)37.8gを得た。
融点:300-302℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.40(4H,br)、8.12(2H,J=8.8Hz,d)、7.38(2H,J=8.8Hz,d)、4.98(1H,s)、2.10(6H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
160.82、151.71、145.56、139.71、128.76、122.94、103.24、32.95、10.28
【0203】
製造例8:4-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-9)の製造
500mL四つ口フラスコに、キシレン300mL、3-メチル-5-ピラゾロン14.7g(0.15mol)、及びN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール21.6g(0.18mol)を加えて110℃で一晩撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、析出した固体をろ過し、トルエン300mLで洗浄し、乾燥することで黄色固体の4-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン 20.3gを得た。
融点:158-159℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
10.30(1H,br)、7.27(1H,s)、3.75(3H,s)、3.26(3H,s)、1.97(3H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
164.77、152.66、149.66、97.13、46.74、42.44、13.35
【0204】
製造例9:4-{[4-ジメチルアミノ]フェニル}メチリデン}-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-10)の製造
3L四つ口フラスコに、エタノール2.7L、3-メチル-5-ピラゾロン27.0g(0.28mol)、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド44.4g(0.30mol)、及びピペリジン4.7g(55mmol)を加えて、3時間還流した。この反応液を一晩室温で撹拌した後、析出した固体をろ過し、乾燥することで淡黄色固体の4-{[4-ジメチルアミノ]フェニル}メチリデン}-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン46.3gを得た。
融点:164℃
1H-NMR(500MHz,d7-DMF,δppm):
10.91(1H,br)、8.70(2H,J=9.3Hz,d)、7.45(1H,s)、6.83(2H,J=9.3Hz,d)、3.15(6H,s)、2.18(3H,s)
13C-NMR(500MHz,d7-DMF,δppm):
166.74、153.84、150.55、146.23、136.92、122.49、120.74、111.43、39.58、12.98
【0205】
製造例10:3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-11)の製造
50mLナスフラスコに、カルボニルジイミダゾール2.8g(17.4mmol)、及びクロロホルム20mLを加え、室温で撹拌した。次いでこの混合物に、ラウリン酸2.9g(14.5mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。以下、この得られた反応液を「反応液3」とする。
200mL四つ口フラスコに、モノエチルマロン酸カリウム4.9g(30.0mmol)、脱水アセトニトリル70mL、及びトリエチルアミン6.1mL(44.1mmol)を加え、氷冷下で撹拌した。次いでこの得られた混合物に、塩化マグネシウム3.5g(36.4mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。この反応液に上記反応液3を滴下し、室温で一晩撹拌した。この得られた反応液を濃縮し、クロロホルム42mLを加え、2M塩酸48mL、及び水48mLで洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮し、目的物を得た。
得られた目的物にエタノール20mL、ヒドラジン一水和物0.7mL(14.9mmol)を加え、酢酸0.7mL(11.7mmol)を滴下し、4時間還流した。この反応液を室温まで戻し、ジイソプロピルエーテル10mLを加え、析出した結晶をろ過することで、白色固体の3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン2.83gを得た。
融点:188℃
1H-NMR(300MHz,d6-DMSO,δppm):
11.05(1H,br),9.45(1H,br),5.21(1H,s),2.39~2.44(2H,J=7.5Hz,t),1.48~1.53(2H,m),1.30(16H,s),0.83~0.88(3H,m)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
160.85,144.20,87.84,31.27,29.01,28.98,28.95,28.71,28.68,28.62,28.57,25.60,22.06,13.90
【0206】
製造例11:4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-12)の製造
100mL四つ口フラスコに、α-アセチル-γ-ブチロラクトン24.3g(0.19mol)、及びエタノール24mLを加えて撹拌した。これを氷浴で冷却しながらヒドラジン一水和物9.7mL(0.20mol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。析出した固体をろ過し、イソプロパノール50mLで洗浄し、乾燥することで、白色固体の4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン23.8gを得た。
融点:182 ℃
1H-NMR(500MHz,d7-DMF,δppm):
10.62(2H,br)、3.78(2H,J=7.0Hz,t)、3.66(1H,br)、2.69(2H,J=7.0Hz,t)、2.31(3H,s)
13C-NMR(500MHz,d7-DMF,δppm):
160.88、137.87、98.61、62.29、26.18、9.66
【0207】
製造例12:4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン(化合物(b)-13)の製造
100mL四つ口フラスコに、2-ベンジルアセト酢酸エチル24.5g(0.11mol)、及びエタノール25mLを加え、撹拌した。これを氷浴で冷却しながらヒドラジン一水和物5.7mL(0.12mol)を滴下した後、室温で3時間撹拌した。析出した固体をろ過し、水:メタノール=1:1(体積比)の混合液50mLで洗浄し、乾燥することで、白色固体の4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン15.6gを得た。
融点:228-229℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.08(1H,br)、9.46(1H,br)、7.24(2H,m)、7.14(3H,m)、3.55(2H,s)、2.01(3H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
159.58、141.90、136.82、128.06、127.96、125.37、99.94、27.28、9.94
【0208】
製造例13:1-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン (化合物(b)-14)の製造
1L四つ口フラスコに、1-フェニル-3-ピラゾリドン10g(62mmol)、及びN,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えて撹拌した。これに塩化銅(I)317mg(3.2mmol)を加えて開放系で一晩撹拌した。反応液に水750mLを加え、氷浴で冷却しながら30分撹拌した後、析出した固体をろ過し、水750mLで洗浄し、乾燥することで淡茶色固体の1-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン6.1gを得た。
融点:152℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
10.22(1H,br)、8.22(1H,s)、7.68(2H,m)、7.42(2H,m)、7.18(1H,m)、5.80(1H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
162.64、139.79、129.29、128.37、124.59、116.76、94.47
【0209】
製造例14:4-メチル-2,3-ジアゾスピロ[4.4]ノン-3エン-1-オン(化合物(b)-15)の製造
500mL四つ口フラスコにアセト酢酸メチル7.2g(62.0mmol)、1,4-ジヨードブタン23.1g(75mmol)、炭酸カリウム42.9g(310mmol)、及びジメチルスルホキシド220mLを加え、室温で一晩撹拌した。反応液に水220mLを加え、10分間撹拌した後に、イソプロピルエーテル300mLで抽出して得た有機層を水200mLで二回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した後、濃縮してカラム精製(ヘキサン:酢酸エチル=50:1(体積比))することで中間体6.5g(36mmol)を得た。
得られた中間体とエタノール6mLとを混合し、氷浴上で冷やしながらヒドラジン一水和物1.8mL(39mmol)を加え、60℃で一晩撹拌した。反応液を濃縮して得られた固体をヘキサン:酢酸エチル=5:1(体積比)の混合液40mLで洗浄することで、白色固体の4-メチル-2,3-ジアゾスピロ[4.4]ノン-3エン-1-オン3.8gを得た。
融点:83-84℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
10.77(1H,s)、1.92(3H,s)、1.86-1.66(8H,m)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
181.64、163.37、55.78、33.53、26.48、13.34
【0210】
製造例15:4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾール-3(3aH)-オン(化合物(b)-16)の製造
100mLの四つ口フラスコに2-オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル 24.5g(0.14mol)、及びエタノール24mLを加え、混合した。これに氷浴で冷却しながらヒドラジン一水和物7.3mL(0.15mol)を滴下し、80℃で3時間撹拌した後、氷浴で冷却しながら30分間撹拌した。その後、析出した固体をろ過し、水:メタノール=1:1(体積比)の混合液50mLで洗浄し、乾燥することで白色固体の4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾール-3(3aH)-オン17.3gを得た。
融点:286-288℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
10.50(1H,br)、9.66(1H,br)、2.43(2H,J=5.7Hz,t)、2.22(2H,J=5.7Hz,t)、1.67-1.62(4H,m)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
158.30、139.62、98.41、22.86、22.27、21.26、18.88
【0211】
製造例16:1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン(化合物(b)-17)の製造
1Lの四つ口フラスコにベンゾイル酢酸エチル50.0g(0.26mol)、フェニルヒドラジン28.1g(0.26mol)、酢酸4.5mL(0.08mol)、及び水500mLを加えて混合した。これを100℃で1時間撹拌した後、氷浴で冷却しながら30分間撹拌して、析出した固体をろ過し、水:メタノール=1:1(体積比)の混合液1Lで洗浄し、乾燥することで淡橙色固体の1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン58.0gを得た。
融点:137-138℃
1H-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
11.81(1H,br)、7.83(4H,m)、7.49(2H,m)、7.42(2H,m)、7.35-7.28(2H,m)、6.02(1H,s)
13C-NMR(500MHz,d6-DMSO,δppm):
153.73、149.52、138.85、133.41、128.87、128.51、127.78、125.65、125.04、121.11、85.05
【0212】
実施例1及び比較例1~5:第一ゴム組成物、及び第二ゴム組成物の製造
下記表1の工程(A)に記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合することで、第一ゴム組成物を製造した。第一ゴム組成物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、第一ゴム組成物に加硫剤を含む表1の工程(B)に記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合することで、第二ゴム組成物を作製した。更に、第二ゴム組成物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合した。
【0213】
【表1】
尚、表1における各成分の詳細は、下記の通りである。
※1:成分(a)天然ゴム;GUANGKEN RUBBER社製、TSR-20
※2:成分(b)化合物(b)-1;大塚化学株式会社製、3-メチル-5-ピラゾロン
※3:成分(c)老化防止剤;N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学社製、ノクラック6C
※4:カーボンブラック;Cabot社製、N234
※5:ワックス;大口新興化学社製、サンノック
※6:ステアリン酸;Sichuan Tianyu Grease社製
※7:酸化亜鉛;Dalian Zinc Oxide Co.,Ltd社製
※8:加硫促進剤;N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド三新化学工業社製、サンセラーNS-G
※9:加硫剤(硫黄);Shanghai Jimghai Chemical Co.,Ltd社製
【0214】
実施例1及び比較例1~5:引裂き強度性能試験
下記実施例1及び比較例1~5のゴム組成物について、JIS K 6252によりクレセント型試験片を用いて、室温下、引張速度500mm/minの条件で引裂き強度を算出した。ここで得られた比較例1の値を100とした指数で表し、下記式に基づいて引裂き強度指数を算出した。なお、引裂き強度指数の数値が高いほど、引裂き強度性能に優れていることを示す。
式:引裂き強度性能指数
= (各実施例1及び比較例2~5のゴム組成物の引裂き強度)/(比較例1の引裂き強度)×100
【0215】
実施例1及び比較例1~5:スコーチタイム試験
下記実施例1及び比較例1~5のゴム組成物について、JIS K 6300に準じて、スコーチタイムを測定した。ここで得られた比較例1の値を100とした指数で表し、下記式に基づいてスコーチタイム指数を算出した。なお、スコーチタイム指数の数値が高いほど、加工性に優れていることを示す。
式:スコーチタイム指数
= (各実施例1及び比較例2~5のゴム組成物のスコーチタイム)/(比較例1のスコーチタイム)×100
【産業上の利用可能性】
【0216】
本発明の第一ゴム組成物に、加硫剤を添加された第二ゴム組成物は、ゴム成分に優れた引裂き強度性及び加工性を付与することができる。よって、各種自動車の各種空気入りタイヤの各部材、特に空気入りラジアルタイヤのトレッド用部材、サイドウォール用部材、ビードエリア用部材、ベルト用部材、カーカス用部材、及びショルダー用部材として利用することができる。