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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】エアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230712BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230712BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230712BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/86
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019115555
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2020040938
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2018167938
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 史典
(72)【発明者】
【氏名】山中 結花
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222594(JP,A)
【文献】特開2015-157796(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030392(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性原液と液化ガスとが乳化しているエアゾール組成物であり、
前記水性原液は、セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含み、
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含み、
前記界面活性剤の含有量は、水性原液中、0.1~15質量%であり、
前記水性原液と前記液化ガスとの配合比は、60/40~20/80(質量比)であり、
前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記水性原液中、0.25質量%以下である、エアゾール組成物。
【請求項2】
前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記水性原液中、0.001~0.20質量%である、請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項3】
前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記セルロースナノファイバーの含有量をM1、含有量がゼロの場合をM0とし、それぞれの含有量における前記水性原液の粘度をV1およびV0とする場合において、前記セルロースナノファイバーの含有量の差(ΔM=M1-M0)に対する水性原液の粘度上昇量(ΔV=V1-V0)の比率(ΔV/ΔM)が、-500~500となる含有量である、請求項1または2記載のエアゾール組成物。
【請求項4】
アルコール類をさらに含み、
前記アルコール類の含有量は、1~50質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール組成物に関する。より詳細には、本発明は、水性原液と、高配合された液化ガスとを容易に乳化させることのできるエアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水性原液と液化ガスとを乳化させたエアゾール組成物が開発されている。特許文献1には、セルロースナノファイバーを含む原液および噴射剤を含む発泡性エアゾール組成物が開示されている。特許文献1のエアゾール組成物は、綿密で均一な泡を形成し、形成された泡が一定の弾力を持ち、かつ形成された泡を対象物へ容易に塗り拡げることができることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-222610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発泡性エアゾール組成物は、多くの液化ガスを水性原液と乳化させるものではない。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、水性原液と、高配合された液化ガスとを容易に乳化させることのできるエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、セルロースナノファイバーを、増粘効果がほとんど生じないような低濃度で配合することにより、水性原液と、高配合された液化ガスとを容易に乳化させ得ることを見出した。また、本発明者らは、エアゾール組成物が分離した場合であっても、軽く振とうすることにより、極めて容易に再乳化し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明のエアゾール組成物には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)水性原液と液化ガスとが乳化しているエアゾール組成物であり、前記水性原液は、セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含み、前記水性原液と前記液化ガスとの配合比は、60/40~20/80(質量比)であり、前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記水性原液中、0.25質量%以下である、エアゾール組成物。
【0008】
このような構成によれば、エアゾール組成物は、水性原液中に少量のセルロースナノファイバーを含む。これにより、エアゾール組成物は、液化ガスが高配合されているにもかかわらず、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に乳化させることができる。
【0009】
(2)前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記水性原液中、0.001~0.20質量%である、(1)記載のエアゾール組成物。
【0010】
このような構成によれば、水性原液は、セルロースナノファイバーのよる増粘作用が発現しにくく低粘度の状態であり、エアゾール組成物は、液化ガスが高配合されているにもかかわらず、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとをより容易に乳化させることができる。
【0011】
(3)前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記セルロースナノファイバーの含有量をM1、含有量がゼロの場合をM0とし、それぞれの含有量における前記水性原液の粘度をV1およびV0とする場合において、前記セルロースナノファイバーの含有量の差(ΔM=M1-M0)に対する水性原液の粘度上昇量(ΔV=V1-V0)の比率(ΔV/ΔM)が、-500~500となる含有量である、(1)または(2)記載のエアゾール組成物。
【0012】
このような構成によれば、セルロースナノファイバーの含有量は、上記比率を満たすことにより、水性原液は、特にセルロースナノファイバーのよる増粘作用が発現しにくく低粘度の状態であり、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に乳化させることができる。
【0013】
(4)アルコール類をさらに含み、前記アルコール類の含有量は、1~50質量%である、(1)~(3)のいずれかに記載のエアゾール組成物。
【0014】
このような構成によれば、水性原液の粘度上昇を調整しやすく、エアゾール組成物は、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に乳化させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水性原液と、高配合された液化ガスとを容易に乳化させることのできるエアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<エアゾール組成物>
本発明の一実施形態のエアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとが乳化しているエアゾール組成物である。水性原液は、セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含む。水性原液と液化ガスとの配合比は、60/40~20/80(質量比)であり、セルロースナノファイバーの含有量は、水性原液中、0.25質量%以下である。以下、それぞれについて説明する。
【0017】
(水性原液)
水性原液は、セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含む。
【0018】
・セルロースナノファイバー
セルロースナノファイバーは、水性原液と液化ガスとの乳化を容易にしたり、乳化物を安定化させたりする目的で配合される。また、セルロースナノファイバーは、エアゾール組成物が外部に噴射された際に、吐出物中に液化ガスを長く保持させるために配合される。これにより、噴射されたエアゾール組成物は、液化ガスによる効果が得られやすい。
【0019】
本実施形態において、セルロースナノファイバーは、未変性セルロースまたは化学変性セルロースの微細繊維である。セルロースナノファイバーは、通常、平均繊維径が3~500nm程度である。また、セルロースナノファイバーは、通常、平均アスペクト比が10以上である。アスペクト比の上限は特に限定されない。一例を挙げると、アスペクト比の上限は、1000以下である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長の測定は、たとえば、セルロースナノファイバーの0.001質量%水分散液を調製し、この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の断面高さを計測することにより、数平均繊維径あるいは繊維長として算出することができる。また、平均アスペクト比は下記の式により算出することができる:
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0020】
本実施形態におけるセルロースナノファイバーは、セルロース原料を解繊すること、セルロース原料を化学変性した後に解繊すること、または、セルロース原料を解繊した後に化学変性することにより得ることができる。セルロースナノファイバーは、公知の方法により製造されたセルロースナノファイバーであってもよく、市販品であってもよい。
【0021】
セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は、水性原液中、0.25質量%以下であればよい。セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は、水性原液中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.003質量%以上であることがより好ましい。また、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は、水性原液中、0.20質量%以下であることが好ましく、0.17質量%以下であることがより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとの乳化促進効果が得られやすく、かつ、水性原液の粘度が高くなり過ぎない。
【0022】
本実施形態のエアゾール組成物は、このように、セルロースナノファイバーの含有量が水性原液中、0.25質量%以下であればよく、少量である。また、セルロースナノファイバーの含有量が0.25質量%を超えて多くなるに従い、セルロースナノファイバーの増粘効果が発現しやすく、水性原液の粘度が急激に高くなり、液化ガスと容易に乳化させる効果が得られにくくなる傾向がある。また、水性原液と液化ガスとが一旦分離すると、消費者が再度乳化させるのが困難になりやすい。通常、他の多糖類(たとえばヒドロキシエチルセルロース)のような増粘剤は、増粘効果が発現される濃度にして水性原液の粘度を高くし、吐出物中に液化ガスを長く保持させて効果を得やすくしている。一方、本実施形態のエアゾール組成物は、上記のとおり、増粘効果をほとんど発現しないような低濃度でセルロースナノファイバーを配合することにより、水性原液の粘度を高めることなく、充分な乳化効果が得られる。また、エアゾール組成物は、セルロースナノファイバーを0.25質量%超えて多く配合して水性原液の粘度を高めると、乳化効果が低下する傾向がある。このような傾向は、従来の他の多糖類を含有させる場合とは著しく作用効果が異なる。
【0023】
・界面活性剤
界面活性剤は、水性原液と液化ガスとの乳化を容易にする、乳化物を安定化させる、などの目的で配合される。
【0024】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミドなどの非イオン系界面活性剤;ミリスチン酸やステアリン酸などの脂肪酸とトリエタノールアミンやカリウムなどのアルカリのケン化物、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩、POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸カリウム、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤;N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型アニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型などの両性界面活性剤等である。
【0025】
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、水性原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、水性原液中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとが乳化しやすく、かつ、噴射された後に界面活性剤が付着面上で残りにくく優れた使用感が得られる。
【0026】
・その他の成分
水性原液は、主溶媒として水を含む。水は、セルロースナノファイバーと界面活性剤とを溶解または分散させ、かつ、液化ガスと乳化する。水は、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
【0027】
水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水の含有量は、水性原液中、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、水性原液中、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとが乳化しやすく、かつ、界面活性剤を配合しやすい。
【0028】
水性原液は、上記以外にも、有効成分、アルコール類、油分、パウダー等を含んでもよい。
【0029】
有効成分は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、l-メントール、カンフルなどの清涼剤、クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、クエン酸などの収斂剤、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤、クロタミトン、d-カンフルなどの鎮痒剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤、オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィンおよびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの塩などの抗真菌剤、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤、N,N-ジエチル-m-トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸化チタンなどの紫外線散乱剤、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、パンテノール、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類、アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液、アルブチン、コウジ酸などの美白剤、天然香料、合成香料などの各種香料等である。
【0030】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、水性原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、有効成分を配合することによる効果が得られやすい。
【0031】
アルコール類は、水に溶解しにくい有効成分や界面活性剤などを溶解するための溶媒として、また噴射したときの冷却性能を調整する、さらにはセルロースナノファイバーによる増粘効果の発現状態を調整する、などの目的で好適に配合される。
【0032】
アルコール類は特に限定されない。一例を挙げると、アルコール類は、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2~3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の2~3価のポリオール等である。
【0033】
アルコール類が配合される場合、アルコール類の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコール類の含有量は、水性原液中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、アルコール類の含有量は、水性原液中、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。アルコール類の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、アルコール類を配合することによる効果が得られやすく、かつ、水性原液と液化ガスとの乳化が阻害されにくい。また、エアゾール組成物は、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に再乳化させることができる。
【0034】
油分は、水性原液と液化ガスとの乳化状態を調整する等の目的で好適に配合される。
【0035】
油分は特に限定されない。一例を挙げると、油分は、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素油、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ-2-エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルなどのエステル油;オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール等である。
【0036】
油分が配合される場合、油分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油分の含有量は、水性原液中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、油分の含有量は、水性原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。油分の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、油分を配合することによる効果が得られやすく、かつ、水性原液と液化ガスとの乳化が阻害されにくい。また、エアゾール組成物は、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に再乳化させることができる。
【0037】
パウダーは、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくするための乳化補助剤としてや、サラサラ感を得る等の目的で好適に配合される。
【0038】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、シリカ、ゼオライト、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。特に、球状シリカを用いる場合、水性原液と液化ガスとは、乳化しやすく、さらには中空構造になっているシリカが好ましい。そのため、エアゾール組成物は、製造時に水性原液と液化ガスとを初期乳化させずにパウダーが沈降している状態であっても、消費者が使用する際の振る行為により初期乳化させることができる。
【0039】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、水性原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、水性原液中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、パウダーを配合することによる効果が得られやすく、かつ、エアゾール容器に充填されて静置された際に、容器底部に沈降してケーキングを生じにくい。
【0040】
水性原液全体の説明に戻り、水性原液の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水性原液の含有量は、エアゾール組成物中、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また、水性原液の含有量は、エアゾール組成物中、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましい。水性原液の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとを乳化させやすい。
【0041】
水性原液の調製方法は特に限定されない。水性原液は、従来公知の方法により調製することができる。たとえば、水性原液は、水にセルロースナノファイバー、界面活性剤、有効成分等を添加し、混合することにより調製し得る。
【0042】
本実施形態の水性原液は、20℃における粘度が100mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以下であることがより好ましい。このような粘度の水性原液は、液化ガスと乳化しやすい。本実施形態のエアゾール組成物は、上記のとおり、セルロースナノファイバーを含む。また、エアゾール組成物は、セルロースナノファイバーの含有量が少量(たとえば水性原液中0.25質量%以下)であり、セルロースナノファイバーによる増粘効果がほとんど発現されておらず、優れた乳化性を示す。そのため、このようなセルロースナノファイバーは、乳化性を高めるために多量に配合する必要がなく、水性原液の粘度を高めにくい。その結果、本実施形態のエアゾール組成物は、優れた乳化性を発揮することができる。なお、水性原液の粘度は、20℃にて、B型回転粘度計により測定し得る。
【0043】
また、本実施形態のエアゾール組成物は、上記したセルロースナノファイバーの含有量に関して、セルロースナノファイバーの含有量をM1、含有量がゼロの場合をM0とし、それぞれの含有量における水性原液の粘度をV1およびV0とする場合において、セルロースナノファイバーの含有量の差(ΔM=M1-M0)に対する水性原液の粘度上昇量(ΔV=V1-V0)の比率(ΔV/ΔM)が-500以上となる含有量であることが好ましく、-300以上となる含有量であることがより好ましい。また、比率(ΔV/ΔM)が500以下となる含有量であることが好ましく、200以下となる含有量であることがより好ましい。比率が上記範囲内となる含有量であることにより、水性原液は低粘度の状態を維持しており、軽く振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを容易に乳化させることができる。
【0044】
(液化ガス)
液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、水性原液と乳化することにより、乳化物を形成する。
【0045】
液化ガスは特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物等である。
【0046】
液化ガスの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。また、液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。このように、本実施形態のエアゾール組成物は、液化ガスを高配合し得る。この場合であっても、エアゾール組成物は、セルロースナノファイバーを含んでいることにより、水性原液と液化ガスとを乳化させやすい。
【0047】
なお、本実施形態のエアゾール組成物は、エアゾール組成物の圧力を調整して噴射距離を調整するなどの目的で、噴射剤として圧縮ガスが併用されてもよい。圧縮ガスは、亜酸化窒素ガス、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス等である。
【0048】
エアゾール組成物全体の説明に戻り、エアゾール組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、エアゾール組成物は、耐圧性の容器本体に水性原液を充填し、バルブを容器本体の開口部上に保持して開口部とバルブの隙間から液化ガスをアンダーカップ充填し、容器本体にバルブを固着する。なお、水性原液を充填した後にバルブを固着し、バルブから液化ガスを充填してもよい。
【0049】
本実施形態のエアゾール組成物を乳化させる方法は特に限定されない。本実施形態のエアゾール組成物は、振とう機を用いてエアゾール容器を振とうすることにより、水性原液と液化ガスとを乳化させることができる。また、本実施形態のエアゾール組成物は、水性原液がセルロースナノファイバーと界面活性剤とを含んでおり、かつ、セルロースナノファイバーによる増粘効果が充分に発現していない。そのため、エアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとの乳化が極めて容易である。たとえば、エアゾール組成物は、液化ガスをバルブから充填するときの攪拌作用や、輸送時の振動等により、水性原液と液化ガスとを乳化させることができる。この場合、振とう機による振とう工程が不要となり、製造方法が簡略化され得る。さらに、本実施形態のエアゾール組成物は、店頭や家庭で長期間静置されることにより、水性原液と液化ガスとが分離した場合であっても、使用者が噴射前に数回振る程度の簡便な振とうによって容易に再乳化させることができる。そのため、エアゾール組成物は、均一な組成で噴射されやすく、噴射物が氷結する等の所望の噴射状態が得られやすい。
【実施例
【0050】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0051】
(実施例1)
以下の表1に示される処方にしたがって、水性原液Aを調製した。この水性原液A12g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28g(70質量%)を充填し、実施例1のエアゾール組成物(シャーベットスプレー)を調製した。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例2~9、比較例1~3)
表1に示される処方にしたがって、水性原液B~Lを調製した。得られた水性原液B~Lを用いて、実施例1と同様の方法により液化石油ガスを充填し、それぞれ実施例2~9および比較例1~3のエアゾール組成物(シャーベットスプレー)を調製した。
【0054】
実施例1~9および比較例1~3において得られたエアゾール組成物を用いて、以下の評価方法により、粘度、初期乳化および再乳化を評価した。結果を表2に示す。
【0055】
1.水性原液の粘度
水性原液を20℃に調整し、B型粘度計を用いて測定した。
【0056】
2.初期乳化
液化ガスをバルブから充填した後、エアゾール容器を手にとって上下に30cm振り、1往復を1回として乳化するまでの回数を数え、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:乳化に要した振とう回数は、5回以下であった。
○:乳化に要した振とう回数は、6~9回であった。
△:乳化に要した振とう回数は、10~15回であった。
×:16回以上振とうしても乳化しなかった。
【0057】
3.再乳化
水性原液と液化ガスとが分離したエアゾール容器を手にとって上下に30cm振り、1往復を1回として再乳化するまでの回数を数えた。
(評価基準)
◎:再乳化に要した振とう回数は、1~2回であった。
○:再乳化に要した振とう回数は、3~5回であった。
△:再乳化に要した振とう回数は、6~10回であった。
×:11回以上振とうしても、再乳化しなかった。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示されるように、実施例1~9のエアゾール組成物は、セルロースナノファイバーを添加し、その増粘効果がほとんど発現されていない粘度100mPa・s以下においては、水性原液と液化ガスとが初期乳化しやすく、かつ、再乳化しやすかった。
【0060】
一方、セルロースナノファイバーを配合しなかった比較例1のエアゾール組成物は、低粘度であったが、初期乳化および再乳化がされにくくなった。また、セルロースナノファイバーの含有量を0.25質量%を超えて配合した比較例2~3のエアゾール組成物は、増粘効果を大きく発現し、初期乳化および再乳化がされにくくなった。
【0061】
(実施例10)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Mを調製した。この水性原液M12g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28g(70質量%)を充填し、実施例10のエアゾール組成物(シャーベットスプレー)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.1質量%であった。
【0062】
(水性原液M)
セルロースナノファイバー(*1) 5.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 87.9
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
【0063】
(実施例11)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Nを調製した。この水性原液N12g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28g(70質量%)を充填し、実施例11のエアゾール組成物(クラッキングフォーム)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0064】
(水性原液N)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(*3) 1.0
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(*4) 0.1
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 90.3
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
*3:NIKKOL TL-10(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*4:NIKKOL TS-10(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
【0065】
(実施例12)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Oを調製した。この水性原液O14.0g(35質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス26.0g(65質量%)を充填し、実施例12のエアゾール組成物(クラッキングフォーム)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0066】
(水性原液O)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(*3) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
エタノール 40.0
精製水 54.9
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
【0067】
(実施例13)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Pを調製した。この水性原液P12.0g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28.0g(70質量%)を充填し、実施例13のエアゾール組成物(収斂化粧用氷フォーム)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0068】
(水性原液P)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
カラギーナン 0.5
メントール 0.2
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 89.7
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
【0069】
(実施例14)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Qを調製した。この水性原液Q12.0g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28.0g(70質量%)を充填し、実施例14のエアゾール組成物(デオドラントミスト)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0070】
(水性原液Q)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(*3) 0.5
イソプロピルメチルフェノール 1.0
スルホ石炭酸亜鉛 0.3
メントール 0.2
ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール 3.0
メチルパラベン 0.1
エタノール 25.0
精製水 65.4
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
【0071】
(実施例15)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Rを調製した。この水性原液R14.0g(35質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス26.0g(65質量%)を充填し、実施例15のエアゾール組成物(UVカット用クラッキングフォーム)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0072】
(水性原液R)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(*3) 1.5
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの混合物(*5) 10.0
ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
メチルパラベン 0.1
エタノール 15.0
精製水 56.4
微粒子酸化チタン(*6) 1.0
微粒子酸化亜鉛(*7) 5.0
タルク 0.5
合計 100.0(質量%)
*5:ユビナールA Plus B(商品名)、BASFジャパン(株)製
*6:MT-100AQ(商品名)、テイカ(株)製
*7:MZ-500HP(商品名)、テイカ(株)製
【0073】
(実施例16)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Sを調製した。この水性原液S16.0g(40質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス24.0g(60質量%)を充填し、実施例16のエアゾール組成物(虫よけ用クラッキングフォーム)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0074】
(水性原液S)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
POE(21)ラウリルエーテル(*8) 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(*9) 1.0
N,N-ジエチル-m-トルアミド 10.0
メントール 0.2
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 79.2
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
*8:NIKKOL BL-21(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*9:NIKKOL MYS-4V(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
【0075】
(実施例17)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Tを調製した。この水性原液T12.0g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28.0g(70質量%)を充填し、実施例17のエアゾール組成物(育毛用シャーベット)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0076】
(水性原液T)
セルロースナノファイバー(*1) 2.5
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(*3) 0.5
d-カンフル 0.5
メントール 0.5
センブリ抽出液 0.3
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
D-パンテノール 0.3
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 88.2
タルク 1.0
合計 100.0(質量%)
【0077】
実施例10~17において得られたエアゾール組成物を用いて、上記と同様の評価方法により、粘度、初期乳化および再乳化を評価した。結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
表3に示されるように、実施例10~17のエアゾール組成物は、セルロースナノファイバーを添加し、その増粘効果がほとんど発現されていない粘度100mPa・s以下においては、水性原液と液化ガスとが初期乳化しやすく、かつ、再乳化しやすかった。
【0080】
(実施例18)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Uを調製した。この水性原液U12g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28g(70質量%)を充填し、実施例18のエアゾール組成物(シャーベットスプレー)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0081】
(水性原液U)
セルロースナノファイバー(*10) 25.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
エタノール 2.0
精製水 71.5
シリカ(*11) 0.5
合計 100.0(質量%)
*10:レオクリスタC-2SPを精製水にて希釈し、固形分を0.2%に調製した。
*11:SILICA MICRO BEADS BA-1(商品名)、中空構造シリカ、日揮触媒化学(株)製
【0082】
(実施例19)
以下に示される処方にしたがって、水性原液Vを調製した。この水性原液V12g(30質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器の口部にバルブを固着した。バルブから液化石油ガス28g(70質量%)を充填し、実施例19のエアゾール組成物(シャーベットスプレー)を調製した。なお、セルロースナノファイバーの含有量(固形分)は0.05質量%であった。
【0083】
(水性原液V)
セルロースナノファイバー(*10) 25.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
エタノール 2.0
精製水 71.5
タルク 0.5
合計 100.0(質量%)
【0084】
実施例18、19において得られたエアゾール組成物を用いて、以下の評価方法により、水性原液の粘度、初期乳化、パウダー沈降後の初期乳化、再乳化性を評価した。結果を表4に示す。
【0085】
1.水性原液の粘度
水性原液を20℃に調整し、B型粘度計を用いて測定した。
【0086】
2.初期乳化
液化ガスをバルブから充填した後、エアゾール容器を手にとって上下に30cm振り、1往復を1回として乳化するまでの回数を数え、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:乳化に要した振とう回数は、5回以下であった。
○:乳化に要した振とう回数は、6~9回であった。
△:乳化に要した振とう回数は、10~15回であった。
×:16回以上振とうしても乳化しなかった。
【0087】
3.パウダー沈降後の初期乳化
液化ガスをバルブから充填した後、初期乳化させずに25℃の恒温室で3日間静置してパウダーを沈降させ、エアゾール容器を手にとって上下に30cm振り、1往復を1回として乳化するまでの回数を数え、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:乳化に要した振とう回数は、5回以下であった。
○:乳化に要した振とう回数は、6~9回であった。
△:乳化に要した振とう回数は、10~15回であった。
×:16回以上振とうしても乳化しなかった。
【0088】
4.再乳化
水性原液と液化ガスとが分離したエアゾール容器を手にとって上下に30cm振り、1往復を1回として再乳化するまでの回数を数えた。
(評価基準)
◎:再乳化に要した振とう回数は、1~2回であった。
○:再乳化に要した振とう回数は、3~5回であった。
△:再乳化に要した振とう回数は、6~10回であった。
×:11回以上振とうしても、再乳化しなかった。
【0089】
【表4】
【0090】
表4に示されるように、パウダーとしてシリカを用いた実施例18のエアゾール組成物は、パウダーが沈降した状態でも初期乳化しやすく、充填直後の初期乳化と振とう回数は変わらなかった。一方、パウダーとしてタルクを用いた実施例19のエアゾール組成物は、パウダーが沈降している状態で初期乳化させる場合よりも、充填直後に初期乳化させる場合の方が、より再乳化しやすかった。