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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】物品移送装置および物品移送方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20230712BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B65G47/91 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019154716
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021030386
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】余田 勝平
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051559(JP,A)
【文献】特開2016-219473(JP,A)
【文献】特開2018-020408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さが異なる複数の物品を載置位置に載置する物品移送装置であって、
前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能な複数の物品保持部を有する保持体と、
前記保持体を移動させる移動体と、
複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部がそれぞれ保持する前記物品の高さに関する情報を取得する保持物品高さ取得部と、
前記保持物品高さ取得部で取得された高さが高い前記物品の順に、前記載置位置に向けて前記保持体を前記物品の高さに対応する位置に移動させる載置位置移動動作と、前記載置位置に載置された前記物品に対する前記物品保持部の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次実行させる制御部と
を備え
前記退避動作によって前記退避位置に移動した第1の前記物品保持部は、第1の前記物品保持部の保持が解除された第1の前記物品よりも高さが低い前記物品に対応する位置に向けて前記保持体が下降移動する前記載置位置移動動作に合わせて前記載置位置に位置する第1の前記物品の高さ方向の側方域を下降移動する
ことを特徴とする物品移送装置
【請求項2】
高さが異なる複数の物品を載置位置に載置する物品移送装置であって、
前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能な複数の物品保持部を有する保持体と、
前記保持体を移動させる移動体と、
複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部がそれぞれ保持する前記物品の高さに関する情報を取得する保持物品高さ取得部と、
前記保持物品高さ取得部で取得された高さが高い前記物品の順に、前記載置位置に向けて前記保持体を前記物品の高さに対応する位置に移動させる載置位置移動動作と、前記載置位置に載置された前記物品に対する前記物品保持部の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次実行させる制御部と
を備え、
前記保持体は、前記移動体に接続され、複数の前記物品保持部を支持するベースを備え、
前記物品保持部は、前記ベースに対して平行移動することで前記保持位置と前記退避位置に移動し、
前記退避動作によって前記退避位置に移動した第1の前記物品保持部は、第1の前記物品保持部の保持が解除された第1の前記物品よりも高さが低い前記物品に対応する位置に向けて前記保持体が下降移動する前記載置位置移動動作に合わせて前記載置位置に位置する第1の前記物品の高さ方向の側面と対向する側方域を下降移動する
ことを特徴とする物品移送装置。
【請求項3】
被保持部の位置が高さ方向に異なる状態で載置された複数の物品を取り出す物品移送装置であって、
前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能とし複数の前記物品の前記被保持部を保持する複数の物品保持部を有する保持体と、
前記保持体を移動させる移動体と、
複数の前記物品の前記被保持部の位置に関する情報を取得する物品載置状態取得部を有し、複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部を前記物品の取り出しに備えて前記退避位置とした状態から、前記被保持部の位置が低い前記物品の順に、取出位置に前記保持体を移動させる取出位置移動動作と、前記退避位置から前記保持位置に前記物品保持部を前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる保持位置移動動作と、前記保持位置に移動した前記物品保持部で前記物品を保持する保持動作と、を順次実行させる制御部と
を備え
第1の前記物品の取り出しに備えて前記退避位置に位置する第1の前記物品保持部は、前記被保持部の位置が第1の前記物品よりも低い前記物品の取出位置から第1の前記物品の取出位置へ向けて前記保持体が上昇移動する前記取出位置移動動作に合わせて、第1の前記物品の高さ方向の側方域を上昇移動し、
第1の前記物品よりも前記被保持部の位置が低い前記物品は、第1の前記物品の取出位置へ向けて前記保持体が上昇移動する前記取出位置移動動作に合わせて、第1の前記物品保持部とは異なる前記物品保持部に保持された状態で上昇移動する
ことを特徴とする物品移送装置
【請求項4】
被保持部の位置が高さ方向に異なる状態で載置された複数の物品を取り出す物品移送装置であって、
前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能とし複数の前記物品の前記被保持部を保持する複数の物品保持部を有する保持体と、
前記保持体を移動させる移動体と、
複数の前記物品の前記被保持部の位置に関する情報を取得する物品載置状態取得部を有し、複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部を前記物品の取り出しに備えて前記退避位置とした状態から、前記被保持部の位置が低い前記物品の順に、取出位置に前記保持体を移動させる取出位置移動動作と、前記退避位置から前記保持位置に前記物品保持部を前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる保持位置移動動作と、前記保持位置に移動した前記物品保持部で前記物品を保持する保持動作と、を順次実行させる制御部と
を備え、
前記保持体は、前記移動体に接続され、複数の前記物品保持部を支持するベースを備え、
前記物品保持部は、前記ベースに対して平行移動することで前記保持位置と前記退避位置に移動し、
第1の前記物品の取り出しに備えて前記退避位置に位置する第1の前記物品保持部は、前記被保持部の位置が第1の前記物品よりも低い前記物品の取出位置から第1の前記物品の取出位置へ向けて前記保持体が上昇移動する前記取出位置移動動作に合わせて、第1の前記物品の高さ方向の側面と対向する側方域を上昇移動し、
第1の前記物品よりも前記被保持部の位置が低い前記物品は、第1の前記物品の取出位置へ向けて前記保持体が上昇移動する前記取出位置移動動作に合わせて、第1の前記物品保持部とは異なる前記物品保持部に保持された状態で上昇移動する
ことを特徴とする物品移送装置。
【請求項5】
前記物品載置状態取得部は、複数の前記物品の上部位置を取得し、
前記制御部は、取得された前記上部位置が最も高い前記物品からの高さの差が所定の閾値内にある前記物品を取出対象として選択する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の物品移送装置。
【請求項6】
複数の物品を高さの異なる載置位置にそれぞれ載置する物品移送装置であって、
前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能な複数の物品保持部を有する保持体と、
前記保持体を移動させる移動体と、
複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部がそれぞれ保持する前記物品の高さに関する情報を取得する保持物品高さ取得部と、
前記載置位置の高さと前記載置位置に載置される前記物品の高さとを合成した合成高さを取得する合成高さ取得部とを有し、
前記保持体に保持された複数の前記物品の中で、合成高さが高くなる前記物品の順に、前記載置位置に前記保持体を移動させる載置位置移動動作と、前記物品保持部による前記物品の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次実行させる制御部と
を備えることを特徴とする物品移送装置。
【請求項7】
高さが異なる複数の物品を対象とし、前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能とするとともに前記保持位置にて前記物品をそれぞれ保持する複数の物品保持部を有する保持体を用い、複数の前記物品を載置する物品移送方法であって、
前記保持体に保持された複数の前記物品の中で、高さが高い前記物品の順に、
前記物品を載置する載置位置に前記保持体を移動させる載置位置移動動作と、
前記物品保持部による前記物品の保持を解除する保持解除動作と、
保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、
を順次行い、
第1の前記物品よりも高さが低い前記物品に対応する位置に向けて前記保持体が下降移動する前記載置位置移動動作において、第1の前記物品の保持を解除して退避位置に移動した第1の前記物品保持部は、前記保持体の下降移動に合わせて前記載置位置に位置する第1の前記物品の高さ方向の側方域を下降移動する
ことを特徴とする物品移送方法。
【請求項8】
被保持部の位置が高さ方向に異なる複数の物品を対象とし、前記物品を保持する保持位置と前記物品の高さ方向と交差する方向に退避する退避位置とにそれぞれ移動可能とし複数の前記物品の前記被保持部を保持する複数の物品保持部を有する保持体を用い、複数の前記物品を取り出す物品移送方法であって、
前記保持体の複数の前記物品保持部を前記退避位置とし、前記被保持部の位置が低い前記物品の順に、
取出位置に前記保持体を移動させる取出位置移動動作と、
前記退避位置から前記保持位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に前記物品保持部を移動させる保持位置移動動作と、
前記保持位置に移動した前記物品保持部で前記物品を保持する保持動作と、
を順次行い、
第1の前記物品よりも前記被保持部の位置が低い前記物品の取出位置から第1の前記物品の取出位置へ向けて前記保持体が上昇移動する前記取出位置移動動作において、第1の前記物品の取り出しに備えて前記退避位置に位置する第1の前記物品保持部は、前記保持体の上昇移動に合わせて第1の前記物品の高さ方向の側方域を上昇移動し、第1の前記物品よりも前記被保持部の位置が低い前記物品は、前記保持体の上昇移動に合わせて第1の前記物品保持部とは異なる前記物品保持部に保持された状態で上昇移動する
ことを特徴とする物品移送方法。
【請求項9】
物品を保持する保持位置と前記物品の高さ方向と交差する方向に退避する退避位置とにそれぞれ移動可能とするとともに前記保持位置にて前記物品をそれぞれ保持する複数の物品保持部を有する保持体を用い、複数の高さが異なる載置位置にそれぞれ前記物品を載置する物品移送方法であって、
前記保持体に保持された複数の前記物品の中で、複数の前記物品の高さとそれぞれの前記物品の載置先である前記載置位置の高さとを合成した合成高さが高くなる前記物品の順に、
前記載置位置に前記保持体を移動させる載置位置移動動作と、
前記物品保持部による前記物品の保持を解除する保持解除動作と、
保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、
を順次行う
ことを特徴とする物品移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さが異なる複数の物品を扱う物品移送装置および物品移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる複数の高さの物品を取り扱う物品移送装置の一例として、例えば特許文献1には、ロボットのアームの先端に設けられたハンドによって高さ等が異なる複数の物品の上面を吸着保持して搬送路の上方に移動させ、ハンドに吸着保持されている複数の物品と移送先である搬送路との間の離間距離を取得し、物品の位置を搬送路の搬送方向に対して変位させた後、複数の物品の中で取得された離間距離が少ない物品つまり高さが高い物品の順に搬送路に載置する物品移送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-51559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この物品移送装置の場合、ハンドが有する固定の吸着部で複数の物品の上面を吸着保持するため、先に載置された物品が載置位置に留まる状態で、続いて物品を載置する工程に進んでハンドを下降させると、ハンドが前の工程で載置位置に載置された物品を吸着部で上から押圧することになる。そのため、先に載置位置に載置された物品が載置位置から搬出されるのを待ってから、次の物品を載置する工程に入らなければならないため、複数の物品を処理する際の効率が損なわれるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、複数の物品を効率よく処理できる物品移送装置および物品移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品移送装置は、高さが異なる複数の物品を載置位置に載置する物品移送装置であって、前記物品を保持する保持位置と前記物品に対し間隔を空けて退避する退避位置とにそれぞれ移動可能な複数の物品保持部を有する保持体と、前記保持体を移動させる移動体と、複数の前記物品保持部のうち少なくとも2以上の前記物品保持部がそれぞれ保持する前記物品の高さに関する情報を取得する保持物品高さ取得部と、前記保持物品高さ取得部で取得された高さが高い前記物品の順に、前記載置位置に向けて前記保持体を前記物品の高さに対応する位置に移動させる載置位置移動動作と、前記載置位置に載置された前記物品に対する前記物品保持部の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した前記物品保持部を前記退避位置に向けて前記物品の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次実行させる制御部とを備え、前記退避動作によって前記退避位置に移動した第1の前記物品保持部は、第1の前記物品保持部の保持が解除された第1の前記物品よりも高さが低い前記物品に対応する位置に向けて前記保持体が下降移動する前記載置位置移動動作に合わせて前記載置位置に位置する第1の前記物品の高さ方向の側方域を下降移動するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の物品を効率よく処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す物品移送装置を用いた物品移送システムの側面図である。
図2】同上物品移送装置の保持体の正面図である。
図3】同上保持体の側面図である。
図4】同上物品移送システムのブロック図である。
図5】同上保持体の動作を(a)~(d)に示す説明図である。
図6】同上物品移送装置による段ばらし動作のフローチャートである。
図7】同上物品移送装置による載置動作を(a)~(p)に示す説明図である。
図8】同上物品移送装置による取出動作のフローチャートである。
図9】同上物品移送装置による取出動作を(a)~(p)に示す説明図である。
図10】同上物品移送装置による取出動作の他の例を(a)~(j)に示す説明図である。
図11】第2の実施の形態を示す物品移送システムのブロック図である。
図12】同上物品移送装置による段積み動作のフローチャートである。
図13】同上物品移送装置による取出動作を(a)~(p)に示す説明図である。
図14】同上物品移送装置による段積み動作を(a)~(p)に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図10に第1の実施の形態を示す。
【0011】
図1に物品移送システム10を示す。物品移送システム10は、パレット11上に積み重ねられた複数の物品12を段ばらしし、所定の搬送場所に搬送するデパレタイジングシステムである。
【0012】
物品移送システム10は、段ばらし動作を行う物品移送装置15、パレット11が配置されるパレット配置部16、および物品移送装置15によって段ばらしされた物品12を搬送する物品搬送部17を備えている。
【0013】
物品移送装置15は、ロボットであって、パレット11上に積み重ねられた複数の物品12を段ばらしするロボットデパレタイザである。物品移送装置15は、移動体であるロボット本体21、および物品12を保持する保持体であるハンド22を備えている。ロボット本体21は、床面等に設置される基台23、およびこの基台23上に旋回可能に設けられた複数の回動可能な軸を有する多関節形のロボットアーム24を備えている。なお、ロボット本体21は、直行型等でもよい。
【0014】
また、パレット配置部16は、複数の物品12が積み重ねられたパレット11が配置される。パレット配置部16は、複数の物品12が積み重ねられたパレット(実パレット)11を搬入し、段ばらし動作によって物品12が空となったパレット(空パレット)11を搬出するコンベヤを用いてもよい。
【0015】
また、物品搬送部17は、その上面が物品移送装置15によって物品12が載置される物品載置部である。物品搬送部17は、物品移送装置15によって載置される物品12を搬送するステーションコンベヤ26が用いられている。ステーションコンベヤ26は、例えばローラコンベヤやベルトコンベヤ等が用いられる。
【0016】
そして、物品12は、上面視が長方形等の四角形で、上面が開口され、内側に収容物が収容される定型のコンテナが用いられている。物品12は、上部側の寸法形状が同一で、高さが異なる複数の種類を有している。物品12の高さは高さ寸法であり、物品12の高さが高いとは高さ寸法が長いことであり、物品12の高さが低いとは高さ寸法が短いことである。物品12の種類には、例えば、高さH1の物品12aと、この高さH1の物品12aよりも高い高さH2の物品12bとの2種類があるものとする。高さH2の物品12bは、高さH1の物品12aの例えば2倍の高さを有している。なお、物品12の高さの種類は、3種類以上であってもよい。なお、物品12は、物品12の上部側に対してハンド22で保持される被保持部の高さ位置が共通の位置にあって、高さのみ異なる物品12の場合、ハンド22に保持された状態の各物品12の下端部位置の差が各物品12の高さの差となる。例えば、被保持部が物品12の上端部から一定の位置に形成されている場合や、ハンド12が物品12の上面、上端部、または上端部から一定の位置を被保持部として保持する場合を含む。また、物品12は、物品12の上部側に対して被保持部の高さ位置が異なる場合、ハンド22の基準位置(若しくは被保持部)からハンド22に保持された状態の各物品12の下端部位置までの差が各物品12の高さの差となる。
【0017】
パレット11上には、パレット11の上面に沿った水平方向に複数の物品12が1列に並んで配置されるとともに、パレット11の上面に配置された各物品12上に複数の物品12が複数段に積み重ねられている。さらに、高さH1の物品12aと高さH2の物品12bが混在して積み重ねられている場合がある。なお、1列に並ぶ物品12の数は、例えば3個であるが、2個でも、あるいは4個以上であってもよい。また、複数の物品12が1列に並ぶ列は、例えば2列や3列等の複数列であってもよい。つまり、各段に1列に3個の物品12が2列で6個ずつ積み重ねられる荷姿でもよい。
【0018】
次に、図2および図3にハンド22を示す。
【0019】
ハンド22は、ベース30、このベース30の下面側に設けられた物品保持部群31であって、複数の物品保持部31a,31b,31cと、各物品保持部31a,31b,31cをベース30の下面に沿った平行方向に独立して移動させる移動機構群32であって、複数の移動機構32a,32b,32cとを備えている。なお、ベース30の下面に沿った平行方向は、物品保持部31a,31b,31cが物品12を保持した状態で、物品12の高さ方向と交差する方向でもあり、物品12を下降させて載置する場合における水平方向である。
【0020】
ベース30は、四角形枠状に設けられ、内側に移動機構32a,32b,32cが配置されている。ベース30は、上面に取り付けられた緩衝ユニット34を介してロボットアーム24の先端の支持軸24aに接続されている。緩衝ユニット34は、ハンド22側からの衝撃がロボット本体21側に伝わるのを緩和する。そして、ハンド22は、ロボット本体21により、水平が保たれた状態に支持されて移動される。
【0021】
また、物品保持部31a,31b,31cは、ベース30の下面に、ベース30の下面に沿った水平方向に1列に並んで配置されている。物品保持部31a,31b,31cは、各1個の物品12の一辺の上部側(被保持部)をそれぞれ保持し、ハンド22の上昇によって物品12を片持ち状態で持ち上げ可能としている。なお、1列に並ぶ物品保持部31a,31b,31cの数は、例えば3つであるが、2つでも、あるいは4つ以上でもよい。さらに、複数の物品保持部31a,31b,31cが1列に並ぶ列を例えば2列とし、2列の物品保持部31a,31b,31cを互いに対向して設け、1つのハンド22で例えば6個の物品12を一度に保持可能としてもよい。
【0022】
物品保持部31a,31b,31cは、物品12の側面に当接して支持する支持部であるパーム36、および物品12の上部側(被保持部)を把持する把持部37を備えている。
【0023】
パーム36は、上下方向に長い四角形板状に設けられ、上部側が移動機構32a,32b,32cに支持され、ベース30の下面に対して略垂直状に配置されている。
【0024】
把持部37は、パーム36の上部側に設けられている。把持部37は、物品12の上部内側に進入してパーム36との間に物品12を把持する把持部材38、およびこの把持部材38を上下方向に移動させる把持駆動部39を備えている。把持部材38は、物品12の上部側(被保持部)の幅方向に離間した複数箇所を把持するように複数用いられている。複数の把持部材38は連結部材40に一体に取り付けられ、この連結部材40が把持駆動部39に連結されている。したがって、把持駆動部39により、連結部材40を介して複数の把持部材38が一体に上下方向に移動される。さらに、把持部材38は、断面略L字形に折曲された板状に設けられ、先端部が物品12の上部内側に進入してパーム36との間に物品12の上部側(被保持部)を把持可能とする。なお、把持部材38は、物品12の上部内側に進入してパーム36との間に物品12を把持可能であれば、例えば爪状等の他の形状に設けられていてもよい。また、把持駆動部39には、例えばシリンダが用いられている。
【0025】
また、移動機構32a,32b,32cは、各物品保持部31a,31b,31cを、ベース30の下面に沿った水平方向であって、物品保持部31a,31b,31cが1列に並ぶ方向に対して直交する水平方向に、それぞれ独立して移動させる。
【0026】
移動機構32a,32b,32cは、ベース30の下面に水平方向に沿って取り付けられたスライドガイド42、およびこのスライドガイド42に沿って水平方向にスライド可能に設けられたスライダ43を備えている。各スライダ43に物品保持部31a,31b,31cのパーム36の上部側が取り付けられ、各物品保持部31a,31b,31cがスライドガイド42に沿って水平方向にそれぞれ独立して移動可能に支持されている。
【0027】
移動機構32a,32b,32cは、各物品保持部31a,31b,31cをスライドガイド42に沿って水平方向にそれぞれ独立して移動させる移動駆動部である水平駆動部44をさらに備えている。水平駆動部44は、例えばシリンダが用いられている。そして、水平駆動部44により、各物品保持部31a,31b,31cが、物品12の側面に当接して保持する保持位置と、物品12の側方域に離反退避する退避位置との間で、それぞれ独立して移動される。物品保持部31a,31b,31cの退避位置は、少なくとも把持部37が物品12の上方域よりも物品12の高さ方向の側方域に外れる位置である。
【0028】
次に、図4に物品移送システム10のブロック図を示す。
【0029】
物品移送システム10は、ロボット本体21、撮像部50、撮像制御部51、制御部であるロボット制御部52、ステーションコンベヤ26、およびコンベヤ制御部53を備えている。
【0030】
ロボット本体21は、ロボットアーム24の各軸を駆動する各軸モータ55、ハンド22の把持部37を駆動する把持駆動部39および移動機構32a,32b,32cを駆動する水平駆動部44を有している。
【0031】
また、撮像部50には、リーダ、スキャナ、2次元カメラ、3次元カメラ、距離センサ等を用いることができる。撮像部50は、パレット配置部16の付近に設置され、パレット配置部16に配置されたパレット11上に積み重ねられている物品12を撮像する。また、撮像部50は、載置待機位置やステーションコンベヤ26の付近に設置することができる。
【0032】
また、撮像制御部51は、撮像部50を制御する。撮像制御部51は、撮像部50によって取得された光情報、画像情報、距離情報等を処理して撮像情報を解析する撮像情報処理部57を有している。
【0033】
また、ロボット制御部52は、撮像制御部51から撮像情報を取得し、ロボット本体21の動作を制御する。ロボット制御部52は、ロボット本体21の各軸モータ55を制御する各軸制御部59、ハンド22を制御するハンド制御部60、プログラムおよびデータ等を記憶する記憶部61を有している。記憶部61のプログラムにはロボット本体21を制御する動作プラグラム等が含まれ、データには物品12の高さを含む形状データやハンド22での物品12の保持数等の各種データが含まれている。
【0034】
さらに、ロボット制御部52は、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cで取り出す物品12の上部位置に関する情報を取得する物品載置状態取得部62の機能と、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された物品12の高さに関する情報を取得する保持物品高さ取得部63の機能と、をさらに備えている。
【0035】
物品載置状態取得部62は、パレット11上の物品12の上部位置および被保持部の位置を取得する。なお、上部位置は、頂上の物品12の上部の高さの実寸でもよく、頂上に位置する物品12の被保持部の位置と等しくてもよい。また、被保持部の位置は、実寸から取得されてもよいし、物品12の積み重ね状態や、物品12の品種等の既知のデータから取得されてもよく、物品載置状態取得部62により、最上位に位置する物品12とその被保持部が特定される。
【0036】
また、保持物品高さ取得部63は、撮像情報から、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cで保持された各物品12の高さを取得する。なお、ここで取得される各物品12の高さは、物品12の実寸でもよいし、ハンド22に保持された状態の物品12に対してはハンド22の所定位置から物品12の下端部までの高さでもよい。
【0037】
さらに、ロボット制御部52は、パレット配置部16のパレット11上からの物品12の取出動作を制御する取出制御部の機能と、取り出した物品12をステーションコンベヤ26に載置する載置動作を制御する載置制御部の機能と、をさらに備えている。
【0038】
取出制御部は、少なくとも2以上の物品保持部31a,31b,31cを物品12の取り出しに備えて退避位置とした状態から、物品載置状態取得部62で物品12の被保持部の位置に関する情報が取得された複数の物品12の中で、物品12の被保持部の位置が低い物品12の順に、物品12を取り出す取出位置にハンド22を移動させる取出位置移動動作と、退避位置から保持位置に物品保持部31a,31b,31cを物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる保持位置移動動作と、保持位置に移動した物品保持部31a,31b,31cで物品12を保持する保持動作と、を順次実行させる。さらに、取出制御部は、物品載置状態取得部62で上部位置が取得された複数の物品12の中で、上部位置が最も高い物品12からの高さの差が所定の閾値内にある物品12のみを取出対象として選択する。閾値は、上部位置が低い物品12を取り出す取出位置にハンド22が下降したときに、上部位置が最も高い物品12にハンド22が干渉しない高さ寸法の範囲内に設定される。閾値は、記憶部61に記憶されている。
【0039】
載置制御部は、保持物品高さ取得部63で取得された高さが高い物品12の順に、物品12を載置する載置位置に向けてハンド22を物品12の高さに対応する位置に移動させる載置位置移動動作と、載置位置に載置された物品12に対する物品保持部31a,31b,31cの保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した物品保持部31a,31b,31cを退避位置に向けて物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次実行させる。
【0040】
また、ステーションコンベヤ26は、このステーションコンベヤ26を駆動して物品12を搬送するためのコンベヤモータ65を有している。
【0041】
また、コンベヤ制御部53は、ステーションコンベヤ26への物品12の載置完了に伴ってロボット制御部52から出力される動作信号に応じてコンベヤモータ65を駆動し、ステーションコンベヤ26を動作させる。
【0042】
次に、物品移送システム10の動作を説明する。
【0043】
まず、図5を参照してハンド22の動作を説明する。
【0044】
図5(a)から図5(d)の動作順序により、ハンド22で物品12を取り出す取出動作を行う。
【0045】
図5(a)に示すように、物品保持部31a,31b,31cを退避位置としたハンド22を、物品12を取り出す取出位置に下降移動させる(取出位置移動動作)。
【0046】
図5(a)(b)に示すように、物品保持部31a,31b,31cを退避位置から保持位置に水平移動させ、パーム36を物品12の側面に当接する保持位置に移動させる(保持位置移動動作)。
【0047】
図5(b)(c)に示すように、物品保持部31a,31b,31cで物品12の上部側(被保持部)を保持する(保持動作)。これは、把持駆動部39により把持部材38を下降させて物品12の上部内側に進入させ、把持部材38とパーム36との間で物品12の上部側(被保持部)を把持する。
【0048】
図5(c)(d)に示すように、ハンド22の上昇により、把持した物品12を片持ち状態で持ち上げて取り出す。
【0049】
また、図5(d)から図5(a)の動作順序により、ハンド22に保持した物品12の載置動作を行う。
【0050】
図5(d)(c)に示すように、物品12を保持したハンド22を、物品12を載置する載置位置に下降移動させる(載置位置移動動作)。
【0051】
図5(c)(b)に示すように、物品保持部31a,31b,31cによる物品12の保持を解除する(保持解除動作)。これは、把持駆動部39により把持部材38を上昇させて物品12の上部内側から抜き外し、把持部材38とパーム36との間での物品12の把持を解除する。
【0052】
図5(b)(a)に示すように、物品保持部31a,31b,31cを保持位置から退避位置に水平移動させ、パーム36を物品12の側面から側方域に離反させる(退避動作)。
【0053】
次に、物品12の移載動作を説明する。
【0054】
図6に移載動作のフローチャートを示す。
【0055】
なお、本実施の形態では、便宜上、物品12の上部位置と被保持部の位置の関係が一定であり、上部位置を取得すれば被保持部の位置が取得できるものとして説明する。
【0056】
まず、パレット配置部16に配置されたパレット11上に積み重ねられている物品12をロボット本体21によって取り出す取出動作(段ばらし動作)を行う。ここでは、取出動作についての全般的な流れを説明し、この取出動作の詳細については後述する。
【0057】
パレット配置部16に配置されたパレット11上に積み重ねられている物品12の積み山を撮像部50で撮像する(ステップS001)。この撮像により、最上部に位置する複数の物品12の上部位置および被保持部の位置が取得され、つまり最上部に位置する複数の物品12を取り出すハンド22の取出位置が取得される。なお、パレット配置部16に配置されたパレット11上の積み山から最初に物品12の取出動作を行う際、積み山の最上段の複数の物品12の取出位置が既知であれば、撮像および物品12の上部位置等の取得は行わなくてもよい。
【0058】
ハンド22を物品12の取出位置に移動させる(ステップS002)。
【0059】
ハンド22のパーム36(物品保持部31a,31b,31c)を退避位置から保持位置に水平移動させる(ステップS003)。
【0060】
物品保持部31a,31b,31cの把持部37でそれぞれ物品12を把持する(ステップS004)。
【0061】
ハンド22を、物品12とともに上昇させるとともに、物品12を載置するステーションコンベヤ26の上方の載置待機位置に移動させる(ステップS005)。
【0062】
また、載置待機位置に一時停止したハンド22に保持している物品12を撮像部50で撮像し(ステップS006)、ロボット制御部52の保持物品高さ取得部63により、取得した撮像情報からハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された各物品12の高さを取得する(ステップS007)。なお、これらのステップにおける、物品12の高さの取得については、物品12に取り付けられたバーコードやQRコード(登録商標)等の識別体をリードしたり、撮像情報から抽出した識別体に紐付く物品形状を特定することにより取得してもよいし、距離センサ等を用いて物品12を実測して取得してもよい。また、既知の積み山荷姿からハンド22によって保持した既知の物品12の寸法(形状)データを減算して、次回に取出動作を行う次回の取出位置を取得してもよい。
【0063】
続いて、ハンド22によって取り出した複数の物品12の載置動作を行う。この載置動作は、ハンド22が保持している物品12の数が0になるまで、ステップS008~S015のループ処理を行う。
【0064】
載置動作では、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された物品12の中で、高さが高い物品12の順に、物品12を載置する載置位置にハンド22を移動させる載置位置移動動作と、物品保持部31a,31b,31cによる物品12の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した物品保持部31a,31b,31cを退避位置に移動させる退避動作と、を順次行う。
【0065】
図7(a)~(p)に物品12の載置動作の遷移を示す。なお、ここでは、上述した取出動作により、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cのうち、両側の物品保持部31a,31cに高さが低い物品12aが保持され、中央の物品保持部31bに高さが高い物品12bが保持されているものとする。
【0066】
そして、ステップ007で取得されたハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された物品12の高さから、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持されている物品12の中で、最も高さが高い物品12bが、載置時の高さHmaxの物品12として特定される。ここでは、ハンド22の中央の物品保持部31bに保持されている物品12bが、載置時の高さHmaxの物品12として特定される。
【0067】
図7(a)(b)に示すように、ハンド22は、物品12の取出動作後に、物品12を載置するステーションコンベヤ26の上方の載置待機位置に移動する。
【0068】
図7(c)(d)に示すように、ハンド22を、載置待機位置から、高さHmaxの物品12を載置する載置位置まで下降させる(載置位置移動動作)(ステップS009)。
【0069】
図7(e)(f)に示すように、ハンド22の中央の物品保持部31bによる高さHmaxの物品12の把持を解除する(保持解除動作)(ステップS010)。把持が解除された高さHmaxの物品12はステーションコンベヤ26上に載置される。
【0070】
図7(g)(h)に示すように、高さHmaxの物品12の把持を解除した物品保持部31bを保持位置から退避位置に水平移動させる(ステップS011)。これにより、パーム36を高さHmaxの物品12の側面から離反する側方域に退避させるとともに、物品保持部31bの把持部37等を高さHmaxの物品12の上方域から側方域に退避させる(退避動作)。この高さHmaxの物品12の把持を解除した物品保持部31bの退避により、載置完了した高さHmaxの物品12に干渉することなく、次の物品12の載置動作によるハンド22の下降が可能となる。
【0071】
そして、ハンド22が保持している物品12の保持数を更新する(ステップS012)。ここでは、ハンド22の中央の物品保持部31bに保持されていた高さHmaxの物品12の載置が完了したため、ハンド22が保持している物品12の保持数は残りの2となる。
【0072】
ハンド22が保持している物品12の保持数が0でなければ(ステップS013のNO)、ハンド22が保持している物品12の中で、最も高さが高い物品12を、次の高さHmaxの物品12として更新する(ステップS014)。ここでは、ハンド22の両側の物品保持部31a,31cに保持されている物品12aを、次の高さHmaxの物品12として更新する。
【0073】
次の高さHmaxの物品12の更新により、次の高さHmaxの物品12の載置動作を継続する(ステップS015→S008)。
【0074】
図7(i)(j)に示すように、ハンド22を、次の高さHmaxの物品12を載置する載置位置まで下降させる。この際、載置位置に既に載置された物品12bは載置位置に留まるため、ベース30が下降移動して物品12bに接近する。また、物品12bの保持を解除して退避位置に位置した(第1の)物品保持部31bは、(第1の)物品保持部31bの保持が解除された(第1の)物品12bよりも高さが低い(第2の)物品12aに対応する位置に向けてハンド22が下降移動する載置位置移動動作に合わせて載置位置に位置する(第1の)物品12bの高さ方向の側方域であって、(第1の)物品12bの高さ方向の側面に対向する側方域を下降移動することができる。
【0075】
図7(k)(l)に示すように、ハンド22の両側の物品保持部31a,31cによる次の高さHmaxの物品12の保持を解除する。把持が解除された次の高さHmaxの物品12はステーションコンベヤ26上に載置される。
【0076】
図7(m)(n)に示すように、次の高さHmaxの物品12の保持を解除した物品保持部31a,31cを保持位置から退避位置に水平移動させる。これにより、パーム36を次の高さHmaxの物品12の側面から離反する側方域に離反させるとともに、物品保持部31bの把持部37等を次の高さHmaxの物品12の上方域から側方域に退避させる。この次の高さHmaxの物品12の把持を解除した物品保持部31a,31cの退避により、物品保持部31a,31b,31cとステーションコンベヤ26上に載置された物品12とが干渉することなく、ステーションコンベヤ26による物品12の搬送が可能となる。
【0077】
図7(o)(p)に示すように、ハンド22に保持されていた全ての物品12の載置動作が完了すると、ハンド22を上昇させ、また、ロボット制御部52からコンベヤ制御部53に動作信号を出力することにより、ステーションコンベヤ26は複数の物品12を載置位置からまとめて搬送する。
【0078】
そして、ハンド22が保持している物品12の数が0になれば(ステップS013のYES)、パレット11上の積み山に物品12がまだ残っているか確認し、残っていれば(ステップS016のYES)、ステップS007で取得されたパレット11上の次回に取出動作を行う最上部の物品12の取出位置にハンド22を移動させ、次回の物品12の取出動作に移行する。
【0079】
なお、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された3つの物品12の高さが全て同じ高さであれば、3つの物品12を1回の載置動作によってステーションコンベヤ26に載置する。また、3つの物品12の高さが全て異なれば、高さが高い順に3つの物品12を3回の載置動作を繰り返してステーションコンベヤ26に載置する。また、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに対して、高さの低い物品12aおよび高い物品12bがどこに保持されていたとしても、同様の載置動作が行われる。
【0080】
また、パレット11上の積み山に物品12が残っていなければ(ステップS016のNO)、パレット11上からの物品12の移載動作を完了する。
【0081】
そして、パレット配置部16から空のパレット11が搬出され、物品12が積み重ねられた次のパレット11がパレット配置部16に配置されることにより、次のパレット11からの物品12の移載動作を行う。
【0082】
次に、物品12の取出動作(段ばらし動作)を説明する。
【0083】
図8に取出動作のフローチャートを示し、図9(a)~(p)に物品12の取出動作の遷移を示す。
【0084】
取出動作では、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cを退避位置とし、物品載置状態取得部62で上部位置および被保持部の位置が取得された複数の物品12の中で、被保持部の位置が低い物品12の順に、物品12を取り出す取出位置にハンド22を移動させる取出位置移動動作と、退避位置から保持位置に物品保持部31a,31b,31cを移動させる保持位置移動動作と、保持位置に移動した物品保持部31a,31b,31cで物品12を保持する保持動作と、を順次行う。さらに、取出動作では、物品載置状態取得部62で上部位置が取得された複数の物品12の中で、上部位置が最も高い物品12からの高さの差ΔHが所定の閾値内にある物品12のみを取出対象として取出動作を行う。
【0085】
パレット配置部16に配置されたパレット11上に積み重ねられている物品12の積み山を撮像部50で撮像する(ステップS101)。
【0086】
ロボット制御部52は、物品載置状態取得部62により、撮像部50で撮像された撮像情報を取得し、物品12の上部位置を取得するとともに、物品12を取り出すハンド22の取出位置を取得する。さらに、ロボット制御部52は、物品載置状態取得部62で上部位置が取得された複数の物品12の中で、上部位置が最も高い物品12からの高さの差ΔHが所定の閾値内にある物品12のみを取出対象として選択し、物品12の取出数を判定する(ステップS102)。
【0087】
図9(a)(b)等には、1列に並ぶ3個の物品12の中で、中央および右側の物品12の上部位置および被保持部の位置が同じで、これら中央および右側の物品12よりも左側の物品12の上部位置および被保持部の位置が低いものとする。さらに、中央および右側の物品12の上部位置から左側の物品12の上部位置までの高さの差ΔHが所定の閾値内にあり、1列に並ぶ3個全ての物品12が取出対象となるものとする。
【0088】
まず、図9(c)(d)に示すように、パレット11上の物品12の積み山の上方に移動させたハンド22を、最も被保持部の位置が低いHminの物品12の取出位置まで下降させる(取出位置移動動作)(ステップS103)。ここでは、図9(d)の左側の物品保持部31aで左側の被保持部の位置が低いHminの物品12を取り出す取出位置に、ハンド22を下降させる。このとき、物品保持部31a,31b,31cは、退避位置にあり、物品12と干渉することなく、物品12の側方域を下降される。また、退避位置に位置する物品保持部31b,31cは、自機が保持する物品12の取出位置を通過する。
【0089】
続いて、ハンド22によって物品12の取出動作を行う。この取出動作は、ハンド22によって取り出す物品12の取出数からハンド22が保持した物品12の保持数を減算した数(取出数-保持数)が0になるまで、ステップS104~S111のループ処理を行う。
【0090】
図9(e)(f)に示すように、被保持部の位置が低いHminの物品12を把持しようとするハンド22のパーム36(物品保持部31a)を退避位置から保持位置に水平移動させる(保持位置移動動作)(ステップS105)。
【0091】
図9(g)(h)に示すように、保持位置に水平移動させた物品保持部31aの把持部37で、被保持部の位置が低いHminの物品12を把持する(保持動作)(ステップS106)。
【0092】
そして、ハンド22が保持している物品12の保持数を更新する(ステップS107)。ここでは、ハンド22の左側の物品保持部31aで被保持部の位置が低いHminの物品12を保持したため、ハンド22が保持している物品12の保持数は1となる。
【0093】
ハンド22によって取り出す物品12の取出数からハンド22が保持している物品12の保持数を減算した数(取出数-保持数)が0でなければ(ステップS108のNO)、残っている取出対象の物品12の中で、最も被保持部の位置が低い物品12を、次の被保持部の位置が低いHminの物品12として更新する(ステップS109)。ここでは、図9(h)の中央および右側の物品12を、次の上部位置が低いHminの物品12として更新する。
【0094】
図9(i)(j)に示すように、ハンド22を、更新した次の被保持部の位置が低いHminの物品12の取出位置に上昇させる(ステップS110)。この際、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12の取り出しに備えて退避位置に位置する(第1の)物品保持部31b,31cは、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12よりも被保持部の位置が低い物品12の取出位置から次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12の取出位置へ向けてハンド22が上昇移動する取出位置移動動作に合わせて、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12の高さ方向の側方域であって、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12の高さ方向の側面に対向する側方域を上昇移動することができ、ベース30が次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12から離れる。また、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12よりも被保持部の位置が低い物品12は、次の被保持部の位置が低いHminの(第1の)物品12の取出位置へ向けてハンド22が上昇移動する取出位置移動動作に合わせて、(第1の)物品保持部31b,31cとは異なる物品保持部31aに保持された状態で上昇移動することができる。
【0095】
そして、次の被保持部の位置が低いHminの物品12の取出動作を継続する(ステップS111→S104)。
【0096】
図9(k)(l)に示すように、被保持部の位置が低いHminの物品12を把持しようとするハンド22のパーム36(物品保持部31b,31c)を退避位置から保持位置に水平移動させる。
【0097】
図9(m)(n)に示すように、保持位置に水平移動させた物品保持部31b,31cの把持部37で、次の被保持部の位置が低いHminの物品12を把持する。
【0098】
図9(o)(p)に示すように、ハンド22に取出数の物品12が保持されれば、ハンド22を上昇させ、3個の物品12を一体的に持ち上げて取り出す。この後、物品12をステーションコンベヤ26に載置する載置動作に移行する。
【0099】
そして、ハンド22によって取り出す物品12の取出数からハンド22が保持した物品12の保持数を減算した数(取出数-保持数)が0になれば(ステップS108のYES)、パレット11上の積み山に物品12が残っているか確認する(ステップS112)。パレット11上の積み山に物品12が残っていれば(ステップS112のYES)、ハンド22に保持された物品12の載置動作後に、ステップS101に戻り、次の物品12の取出動作に移行する。また、パレット11上の積み山に物品12が残っていなければ(ステップS112のNO)、パレット11上からの物品12の取出動作を完了する。
【0100】
なお、取出動作では、物品載置状態取得部62で被保持部の位置が取得された複数の物品12の中で、被保持部の位置が高いHmaxのみをハンド22で取り出して、ステーションコンベヤ26に載置する載置動作に移行してもよい。
【0101】
また、ステップS102において、物品載置状態取得部62で上部位置が取得された複数の物品12の中で、上部位置が最も高い物品12からの高さの差ΔHが所定の閾値内にある物品12のみを取出対象とするが、一部の物品12が閾値内にない場合もある。
【0102】
例えば、図10(a)(b)等に示すように、1列に並ぶ3個の物品12の中で、中央および右側の物品12の上部位置が同じで、これら中央および右側の物品12よりも左側の物品12の上部位置が低く、中央および右側の物品12の上部位置から左側の物品12の上部位置までの高さの差ΔH(Hmax-Hmin)が所定の閾値内にない場合もある。高さの差ΔH(Hmax-Hmin)が所定の閾値を越えていると、ハンド22を左側の上部位置が低いHminの物品12の取出位置に下降させようとしても、ハンド22のベース30が中央および右側の上部位置が高いHmaxの物品12に干渉し、ハンド22の下降が困難となる。
【0103】
そのため、この場合には、1列に並ぶ3個の物品12の中で、中央および右側の物品12のみが今回の取出対象となり、左側の物品12は今回の取出対象外となる。したがって、中央および右側の物品12が今回の取出対象である上部位置が低いHmin取出対象の物品12として特定されるとともに、物品12の取出数が2と判定される。
【0104】
そして、図10(c)(d)に示すように、ハンド22を、中央および右側の物品12の取出位置に下降させる。
【0105】
図10(e)(f)に示すように、中央および右側の物品12を把持しようとするハンド22のパーム36(物品保持部31b,31c)を退避位置から保持位置に水平移動させる。
【0106】
図10(g)(h)に示すように、保持位置に水平移動させた物品保持部31b,31cの把持部37で、中央および右側の物品12を把持する。
【0107】
図10(i)(j)に示すように、ハンド22に取出数の物品12が保持されるので、ハンド22を上昇させ、2個の物品12をまとめて持ち上げて取り出す。
【0108】
なお、図10(i)(j)に示すように、中央および右側の物品12の取出後に残った3個の物品12は、高さの差ΔH(Hmax-Hmin)が所定の閾値内に収まり、次回の取出動作で3個の物品12がまとめて取り出される。
【0109】
そして、第1の実施の形態によれば、物品12の取出時に、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cを物品12の取り出しに備えて退避位置とした状態から、物品載置状態取得部62で物品12の被保持部の位置(上部位置と被保持部の位置が一定の関係にある場合も含む)が取得された複数の物品12の中で、物品12の被保持部の位置が低い物品12の順に、物品12を取り出す取出位置にハンド22を移動させる取出位置移動動作と、退避位置から保持位置に物品保持部31a,31b,31cを物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる保持位置移動動作と、保持位置に移動した物品保持部31a,31b,31cで物品12を保持する保持動作と、を順次行うことにより、被保持部の位置の高さが異なる複数の物品12をハンド22によって保持し、複数の物品12をまとめて取り出すことができ、複数の物品12を効率よく処理できる。
【0110】
また、物品12の載置時に、保持物品高さ取得部63で取得された高さが高い物品12の順に、物品12を載置する載置位置に向けてハンド22を物品12の高さに対応する位置に移動させる載置位置移動動作と、載置位置に載置された物品12に対する物品保持部31a,31b,31cの保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した物品保持部31a,31b,31cを退避位置に向けて物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次行うことにより、ステーションコンベヤ26に載置した高さの高い物品12を載置位置から搬送されるのを待つことなく、ハンド22に保持した高さの異なる複数の物品12をステーションコンベヤ26上に順次載置し、ステーションコンベヤ26に載置した高さの異なる複数の物品12をまとめて搬送することができ、複数の物品12を効率よく処理できる。
【0111】
さらに、取出動作では、物品載置状態取得部62で上部位置が取得された複数の物品12の中で、上部位置が最も高い物品12からの高さの差が所定の閾値内にある物品12のみを取出対象として選択するため、ハンド22を上部位置が低い物品12の取出位置に下降させようとして、ハンド22が上部位置が高い物品12に干渉するのを防止でき、上部位置に高低差がある荷姿であっても物品12の取出動作を適切に行うことができる。
【0112】
次に、図11ないし図14に第2の実施の形態を示す。
【0113】
物品移送システム10は、第1の実施の形態のデパレタイジングシステムと同様の構成を備え、第1の実施の形態のデパレタイジングシステムに対して物品12の流れを逆方向とし、物品12をパレット11上に段積みするパレタイジングシステムとして構成されている。すなわち、ステーションコンベヤ26で複数の物品12を搬送し、ハンド22によってステーションコンベヤ26から複数の物品12を取り出してパレット11上に移載し、さらに、パレット11上の移載済みの物品12上に物品12を積み重ねて段積みする。
【0114】
図11に物品移送システム10のブロック図を示す。
【0115】
ロボット制御部52に追加されたパレット11上の複数の載置積みの物品12の高さである載置位置高さを取得する載置位置高さ取得部70の機能と、載置位置の高さと載置位置に載置する物品12の高さとを合成した合成高さを取得する合成高さ取得部71の機能と、をさらに備えている。
【0116】
載置位置高さ取得部70は、保持物品高さ取得部63により高さが取得された物品12がパレット11上に載置される場合は、パレット11上に載置された物品12の高さの値、さらにその物品12上に積み重ねられる物品12の高さの合算値により、物品12の載置済みの高さを取得することができる。なお、載置位置は、段積みされた物品12だけではなく、例えば段違いのステーションコンベヤや、棚板等でもよい。
【0117】
合成高さ取得部71は、ハンド22が保持する複数の物品12を載置位置に載置した場合の、載置位置高さ取得部70で取得された高さと、物品保持部31a,31b,31cが保持する物品12の高さとを合成した合成高さを取得する。
【0118】
さらに、ロボット制御部52は、上述した取出制御部の機能に加えて、ハンド22に保持された段積みする複数の物品12の中で、合成高さが高くなる物品12の順に、物品12を載置する載置位置にハンド22を移動させる載置位置移動動作と、物品保持部31a,31b,31cによる物品12の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した物品保持部31a,31b,31cを退避位置に向けて物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次行う段積み制御部の機能をさらに備えている。
【0119】
そして、図12に段積み動作のフローチャートを示す。
【0120】
まず、段積みする物品12の取出動作を行う。図13に取出動作の遷移を示す。
【0121】
図13(a)(b)に示すように、ステーションコンベヤ26上の所定の取出領域に物品12を搬送する。
【0122】
ステーションコンベヤ26上の所定の取出領域に搬送された物品12を撮像部50で撮像する(ステップS201)。この撮像により、物品12の上部位置および被保持部の位置を取得し、つまり物品12を取り出すハンド22の取出位置を取得し、さらに、物品12の高さを取得する。
【0123】
図13(c)(d)に示すように、ハンド22を物品12の取出位置に移動させる(ステップS202)。
【0124】
続いて、図13(e)(f)~図13(o)(p)に示すように、ハンド22によって複数の物品12の取出動作を行う。この取出動作は、ハンド22が保持する物品12の保持数と取出数とが一致するまで、ステップS203~S204のループ処理を行う。
【0125】
なお、取出動作の詳細については、図8および図9を参照して説明した取出動作と同様である。すなわち、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cを退避位置とし、物品載置状態取得部62で被保持部の位置が取得された複数の物品12の中で、被保持部の位置が低い物品12の順に、物品12を取り出す取出位置にハンド22を移動させる取出位置移動動作と、退避位置から保持位置に物品保持部31a,31b,31cを移動させる保持位置移動動作と、保持位置に移動した物品保持部31a,31b,31cで物品12を保持する保持動作と、を順次行う。
【0126】
続いて、パレット11上への物品12の段積み動作を行う。この段積み動作は、ハンド22が保持している物品12の保持数が0になるまで、ステップS205~S212のループ処理を行う。
【0127】
図14(a)~(p)に物品12の段積み動作の遷移を示す。なお、ここでは、上述した取出動作により、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cのうち、図14(b)の両側の物品保持部31a,31cに高さが低い物品12aが保持され、中央の物品保持部31bに高さが高い物品12bが保持されているものとする。さらに、パレット11上には、1段目の物品12が載置されており、1列に並ぶ3個の物品12の中で、左側および中央に高さが低い物品12aに載置され、右側に高さが高い物品12bが載置されているものとする。
【0128】
そして、段積みする物品12の高さの取得後、合成高さ取得部71により、パレット11上の物品12の載置済みの高さと載置済みの物品12上に段積みする物品12の高さとを合成した合成高さを取得する。
【0129】
ロボット制御部52は、ハンド22に保持された段積みする物品12の中で、合成高さが最も高い物品12を、合成高さHmaxの物品12に特定する。ここでは、図14(p)に示すように、中央および右側の物品保持部31b,31cに保持される物品12が、合成高さが最も高い合成高さHmaxの物品12として特定される。なお、左側の物品保持部31aに保持される物品12は、合成高さが低い合成高さHminの物品12として特定される。
【0130】
図14(c)(d)に示すように、ロボット制御部52は、ハンド22に保持された段積みする物品12の中で、合成高さHmaxの物品12を載置する載置位置まで下降させる(載置位置移動動作)(ステップS206)。
【0131】
図14(e)(f)に示すように、合成高さHmaxの物品12を載置位置まで下降させたら、ハンド22の物品保持部31b,31cによる合成高さHmaxの物品12の把持を解除する(保持解除動作)(ステップS207)。把持が解除された合成高さHmaxの物品12はパレット11上の載置済みの物品12上に段積みされる。
【0132】
図14(g)(h)に示すように、合成高さHmaxの物品12の把持を解除した物品保持部31b,31cを保持位置から退避位置に水平移動させる(ステップS208)。これにより、パーム36を合成高さHmaxの物品12の側面から離反する側方域に退避させるとともに、物品保持部31b,31cの把持部37等を合成高さHmaxの物品12の上方域から側方域に退避させる(退避動作)。この合成高さHmaxの物品12の把持を解除した物品保持部31b,31cの退避により、段積み完了した物品12に干渉することなく、次の物品12の段積み動作によるハンド22の下降が可能となる。
【0133】
そして、ハンド22が保持している物品12の保持数を更新する(ステップS209)。ここでは、ハンド22の中央および右側の物品保持部31b,31cに保持されていた合成高さHmaxの物品12の載置が完了したため、ハンド22が保持している物品12の保持数は残りの1となる。
【0134】
ハンド22が保持している物品12の保持数が0でなければ(ステップS210のNO)、ハンド22に保持している物品12の中で、最も合成高さが高い物品12を、次の合成高さHmaxの物品12として更新する(ステップS211)。ここでは、図14(h)のハンド22の左側の物品保持部31aに保持されている高さの物品12を、次の合成高さHmaxの物品12として更新する。
【0135】
次の合成高さHmaxの物品12の更新により、次の合成高さHmaxの物品12の載置動作を継続する(ステップS212→S205)。
【0136】
図14(i)(j)に示すように、ハンド22を、次の合成高さHmaxの物品12を載置する載置位置まで下降させる。
【0137】
図14(k)(l)に示すように、ハンド22の左側の物品保持部31aによる次の合成高さHmaxの物品12の保持を解除する。把持が解除された次の合成高さHmaxの物品12はパレット11上の物品12に段積みされる。
【0138】
図14(m)(n)に示すように、次の合成高さHmaxの物品12の保持を解除した物品保持部31aを保持位置から退避位置に水平移動させる。これにより、パーム36を次の合成高さHmaxの物品12の側面から離反する側方域に離反させるとともに、物品保持部31bの把持部37等を次の合成高さHmaxの物品12の上方域から側方域に退避させる。
【0139】
図14(o)(p)に示すように、ハンド22に保持されていた全ての物品12の段積み動作が完了すると、ハンド22を上昇させる。
【0140】
なお、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された物品12の中で、どの物品12の合成高さが高い場合にも、同様の段積み動作が行われる。
【0141】
そして、ハンド22が保持している物品12の保持数が0になれば(ステップS210のYES)、パレット11上に段積みする物品12がまだ残っているか確認し、残っていれば(ステップS213のYES)、ステップS202に戻って次回の物品12の取出動作および段積み動作に移行する。
【0142】
なお、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cに保持された3つの物品12についての合成高さが全て同じであれば、3つの物品12を1回の段積み動作によってパレット11上の載置済みの物品12上に段積みする。また、3つの物品12について合成高さが全て異なれば、合成高さが高い順に3つの物品12を3回の段積み動作を繰り返す。
【0143】
また、段積みする物品12が残っていなければ(ステップS213のNO)、パレット11への物品12の段積み動作を完了する。
【0144】
そして、パレット配置部16から物品12が段積みされたパレット11が搬出され、次の空のパレット11がパレット配置部16に配置されることにより、次のパレット11への物品12の段積み動作を行う。
【0145】
なお、パレット11上に段積みされる物品12の最も高い合成高さと最も低い合成高さとの差が所定の閾値を越えていると、最も高い合成高さの物品12を段積みした後に、最も低い合成高さの物品12を段積みしようとしても、ハンド22が最も高い合成高さの物品12に干渉し、最も低い合成高さの物品12を段積みが困難となる。そのため、パレット11上に段積みされる物品12の最も高い合成高さと最も低い合成高さとの差が所定の閾値内に収まるように、ステーションコンベヤ26によって供給する物品12の高さの順番を制御することが好ましい。あるいは、ハンド22による物品12の取出動作時に、最も高い合成高さとの差が所定の閾値を越える合成高さの物品12のみを取り出し、その取り出した物品12をパレット11上に段積みした後に、残りの物品12を取り出して段積みするようにしてもよい。
【0146】
そして、第2の実施の形態によれば、物品12の取出時に、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cを退避位置とし、物品載置状態取得部62で上部位置および被保持部の位置が取得された複数の物品12の中で、被保持部の位置が低い物品12の順に、物品12を取り出す取出位置にハンド22を移動させる取出位置移動動作と、退避位置から保持位置に物品保持部31a,31b,31cを移動させる保持位置移動動作と、保持位置に移動した物品保持部31a,31b,31cで物品12を保持する保持動作と、を順次行うことにより、被保持部の位置の高さが異なる複数の物品12をハンド22によって保持し、複数の物品12をまとめて取り出すことができ、複数の物品12を効率よく処理できる。
【0147】
また、物品12の段積み時に、パレット11上の物品12の載置済みの高さと載置済みの物品12上に段積みする物品12の高さとを合成した合成高さを取得し、そして、ハンド22に保持された段積みする複数の物品12の中で、合成高さが高くなる物品12の順に、物品12を載置する載置位置にハンド22を移動させる載置位置移動動作と、物品保持部31a,31b,31cによる物品12の保持を解除する保持解除動作と、保持を解除した物品保持部31a,31b,31cを退避位置に向けて物品12の高さ方向と交差する方向に移動させる退避動作と、を順次行うことにより、ハンド22に保持した高さの異なる複数の物品12を段積みでき、複数の物品12を効率よく処理できる。
【0148】
なお、複数の物品12が1列状に並ぶ列が1つの場合には、ハンド22に対の物品保持部31a,31b,31cを設け、この対の物品保持部31a,31b,31cにより物品12の両側から挟み込んで保持してもよい。
【0149】
また、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cは、保持位置と退避位置との間を水平移動するのに限らず、上部側を支点として保持位置と退避位置との間を高さ方向に交差する方向に含まれる斜め方向に回動するようにしてもよい。
【0150】
また、ハンド22の物品保持部31a,31b,31cは物品12を吸着保持するようにしてもよい。この場合、物品保持部31a,31b,31cが退避位置に移動できるように、例えば物品12の側面を吸着保持するようにすればよい。
【0151】
なお、物品載置状態取得部62、保持物品高さ取得部63、載置位置高さ取得部70、合成高さ取得部71が取得するいずれの高さに関する情報は、撮像部50によって取得されてもよいし、撮像部50を使用せずに取得済みの情報を他の機器から受信してもよい。例えば、段ばらし前の段積みの際に作成された物品12の配置データ、既知の寸法データを用いて各種の高さを取得する等、高さを取得する方法は適宜変更できる。
【0152】
また、物品保持部の数、構造、保持方法は適宜変更することができ、例えば物品を対向方向から保持するようにしてもよいし、保持方法を引っ掛けや吸着としてもよい。
【0153】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0154】
12 物品
15 物品移送装置
21 移動体であるロボット本体
22 保持体であるハンド
30 ベース
31a,31b,31c 物品保持部
52 制御部であるロボット制御部
62 物品載置状態取得部
63 保持物品高さ取得部
71 合成高さ取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14