(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20230712BHJP
H02J 3/12 20060101ALI20230712BHJP
G05F 1/14 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H01F29/04 502M
H02J3/12
G05F1/14 Z
H01F29/04 502F
(21)【出願番号】P 2019225793
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117084(JP,A)
【文献】特開2016-042279(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070023(WO,A1)
【文献】特公昭46-008321(JP,B1)
【文献】特開2014-115770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
H02J 3/12
G05F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ付変圧器の巻線が有する複数のタップを切り換えるための複数の切換スイッチを備え、該複数の切換スイッチをオンに駆動する負荷時タップ切換器であって、
前記複数の切換スイッチのそれぞれは、一端が前記複数のタップの何れか1つに接続されており、
一部の切換スイッチ及び該一部を除く他の切換スイッチは、それぞれ他端同士が接続されており、
前記一部の切換スイッチ及び前記他の切換スイッチそれぞれにオン信号を各別に供給するための絶縁型の2つの第1電源と、
各第1電源及びそれぞれからオン信号が供給される切換スイッチを択一的に接続するための第1接続回路と
を備える負荷時タップ切換器。
【請求項2】
各第1接続回路は、それぞれに対応する第1電源の一端とそれぞれに対応する切換スイッチの制御端子との間に、第1絶縁回路を介して入力された第1信号に応じてオンする第1スイッチング素子を有し、
各第1電源の他端は、それぞれの第1電源からオン信号が供給される切換スイッチの他端に接続されている
請求項1に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項3】
各第1接続回路に入力される第1信号を排他的に出力するインターロック回路を第1接続回路毎に備える請求項2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項4】
各切換スイッチは、双方向に導通するトライアックを含み、
前記オン信号は、各切換スイッチに含まれるトライアックに供給されるトリガ信号である
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項5】
各切換スイッチは、アノードが前記何れか1つのタップに接続された第1サイリスタ及び該第1サイリスタと逆並列に接続された第2サイリスタを含み、
前記オン信号は、各切換スイッチに含まれる第1サイリスタに供給されるトリガ信号であり、
前記一部の切換スイッチ及び前記他の切換スイッチそれぞれに含まれる第2サイリスタにトリガ信号を各別に供給するための絶縁型の2つの第2電源と、
各第2電源及びそれぞれからトリガ信号が供給される第2サイリスタを択一的に接続するための第2接続回路と
を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項6】
各第2接続回路は、
それぞれに対応する第2電源の一端とそれぞれに対応する切換スイッチに含まれる第2サイリスタのゲートとの間に、第2絶縁回路を介して入力された第2信号に応じてオンする第2スイッチング素子を有し、
それぞれに対応する第2電源の他端とそれぞれに対応する切換スイッチに含まれる第2サイリスタのカソードとの間に、第3絶縁回路を介して入力された第3信号に応じてオンする第3スイッチング素子を有する
請求項5に記載の負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器のタップを切換スイッチにより切り換える負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる間接切換方式による電圧調整装置は、二次巻線が配電線に直列に接続される直列変圧器と、一次巻線が配電線に並列に接続され、二次巻線に複数のタップが設けられた調整変圧器と、該複数のタップを切り換えて直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器とを備えている。
【0003】
タップ切換器は、直列変圧器の一次巻線に接続するタップを切り換えるための切換スイッチと、タップ切換を行う過程でタップ間に流れる矯絡電流を制限する限流抵抗器等の限流素子と、該限流素子のタップ間への接続及び切り離しを行う矯絡用スイッチとを有する。タップ切換器は、これらのスイッチを所定のシーケンスでオンオフすることにより、調整変圧器から直列変圧器の一次巻線に印加する調整電圧の大きさ及び極性を切り換える。
【0004】
切換スイッチは、一端がタップの何れかに接続され、他端がタップ切換器の何れかの出力となる。即ち、切換スイッチの一端及び他端の電位は、切換スイッチによって異なるのが通常である。例えば、切換スイッチがサイリスタである場合、切換スイッチをオンするためのゲート信号は、当該切換スイッチの一端又は他端を基準電位とする信号である。このため、ゲート信号を生成する回路の電源は、サイリスタ毎に絶縁することが基本となる。
【0005】
これに対し、特許文献1には、逆並列に接続されたサイリスタ対3つと、1つの制御用電源部及び制御部とを含むソリッドステートコンタクタを用いたタップ切換装置が記載されている。このタップ切換装置に設けられる1つのタップ切換用スイッチは、3つのサイリスタ対を含む1つのソリッドステートコンタクタにより、三相分を単位として構成されている。この構成により、一相あたり4つのタップを三相分切り換えてタップ位置の数を7つとするために5つのソリッドステートコンタクタが用いられる(限流抵抗器のスイッチを除く)。
【0006】
なお、上記のソリッドステートコンタクタは、汎用品であり、内蔵する全てのサイリスタのカソードが相異なる電位となる条件で使用可能になっていると考えられる。従って、制御用電源部は、実際には互いに分離された6つの電源を含んでいることが明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のタップ位置が7つのタップ切換装置であっても、ソリッドステートコンタクタと同数の5つの電源部が必要であり、厳密には30もの電源が必要となる(限流抵抗器のスイッチを除く)。タップ位置の数を例えば13にするには、電源部の数を8つにまで増やさねばならない。また、このソリッドステートコンタクタは市販品であって制約が多く、例えば、最低動作電圧を確保するために、切換用のタップ以外の特殊なタップを変圧器に設けねばならないという問題があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タップの切換スイッチをオンするための電源数を低減することが可能な負荷時タップ切換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、タップ付変圧器の巻線が有する複数のタップを切り換えるための複数の切換スイッチを備え、該複数の切換スイッチをオンに駆動する負荷時タップ切換器であって、前記複数の切換スイッチのそれぞれは、一端が前記複数のタップの何れか1つに接続されており、一部の切換スイッチ及び該一部を除く他の切換スイッチは、それぞれ他端同士が接続されており、前記一部の切換スイッチ及び前記他の切換スイッチそれぞれにオン信号を各別に供給するための絶縁型の2つの第1電源と、各第1電源及びそれぞれからオン信号が供給される切換スイッチを択一的に接続するための第1接続回路とを備える。
【0011】
本態様にあっては、タップ付変圧器の巻線が有する複数のタップを切り換えるための複数の切換スイッチのそれぞれは、一端が複数のタップの何れか1つに接続されている。一部の切換スイッチは、自装置の一の出力とすべく他端同士が接続されており、絶縁型の一の第1電源から一の第1接続回路を介してオン信号が択一的に供給される。他の切換スイッチは、自装置の他の出力とすべく他端同士が接続されており、他の第1電源から他の第1接続回路を介してオン信号が択一的に供給される。これにより、一部の切換スイッチのうちの1つと他の切換スイッチのうちの1つとがオンに駆動された場合、一のタップが一の出力に接続され、該一のタップと同一又は異なるタップが他の出力に接続される。また、1つの巻線に係る全ての切換スイッチは、2つの電源の何れかからオン信号が供給されることとなる。
【0012】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、各第1接続回路は、それぞれに対応する第1電源の一端とそれぞれに対応する切換スイッチの制御端子との間に、第1絶縁回路を介して入力された第1信号に応じてオンする第1スイッチング素子を有し、各第1電源の他端は、それぞれの第1電源からオン信号が供給される切換スイッチの他端に接続されている。
【0013】
本態様にあっては、第1接続回路が有する第1スイッチング素子が、第1絶縁回路を介して入力された第1信号に応じてオンしたときに、対応する第1電源の一端と切換スイッチの制御端子とが接続される。第1電源の他端は、対応する切換スイッチの他端に接続されている。これにより、第1電源から絶縁された第1信号によって、切換スイッチをオンさせることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、各第1接続回路に入力される第1信号を排他的に出力するインターロック回路を第1接続回路毎に備える。
【0015】
本態様にあっては、インターロック回路から1つの第1接続回路に対して1つの第1信号が出力されている間は、他の第1信号の出力が禁止される。
【0016】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、各切換スイッチは、双方向に導通するトライアックを含み、前記オン信号は、各切換スイッチに含まれるトライアックに供給されるトリガ信号である。
【0017】
本態様にあっては、切換スイッチに含まれるトライアックが、第1電源から第1接続回路を介して供給されるトリガ信号によって双方向に導通するため,切換スイッチ及び切換スイッチの駆動回路の構成が簡略化される。
【0018】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、各切換スイッチは、アノードが前記何れか1つのタップに接続された第1サイリスタ及び該第1サイリスタと逆並列に接続された第2サイリスタを含み、前記オン信号は、各切換スイッチに含まれる第1サイリスタに供給されるトリガ信号であり、前記一部の切換スイッチ及び前記他の切換スイッチそれぞれに含まれる第2サイリスタにトリガ信号を各別に供給するための絶縁型の2つの第2電源と、各第2電源及びそれぞれからトリガ信号が供給される第2サイリスタを択一的に接続するための第2接続回路とを備える。
【0019】
本態様にあっては、各切換スイッチに、逆並列に接続された第1サイリスタ及び第2サイリスタが含まれている。カソード同士が接続された第1サイリスタは、対応する第1電源から対応する第1接続回路を介してトリガ信号が択一的に供給される。一部の切換スイッチに含まれる第2サイリスタは、アノード同士が接続されており、絶縁型の一の第2電源から一の第2接続回路を介してトリガ信号が択一的に供給される。他の切換スイッチに含まれる第2サイリスタは、アノード同士が接続されており、他の第2電源から他の第2接続回路を介してトリガ信号が択一的に供給される。これにより、一部の切換スイッチのうちの1つに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタと、他の切換スイッチのうちの1つに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタとがオンに駆動された場合、一のタップが一の出力に接続され、該一のタップと同一又は異なるタップが他の出力に接続される。また、1つの巻線に係る全ての第1サイリスタ及び第2サイリスタは、4つの電源の何れかからトリガ信号が供給されることとなる。
【0020】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、各第2接続回路は、それぞれに対応する第2電源の一端とそれぞれに対応する切換スイッチに含まれる第2サイリスタのゲートとの間に、第2絶縁回路を介して入力された第2信号に応じてオンする第2スイッチング素子を有し、それぞれに対応する第2電源の他端とそれぞれに対応する切換スイッチに含まれる第2サイリスタのカソードとの間に、第3絶縁回路を介して入力された第3信号に応じてオンする第3スイッチング素子を有する
【0021】
本態様にあっては、第2接続回路が有する第2スイッチング素子及び第3スイッチング素子それぞれが、第2絶縁回路及び第3絶縁回路を介して入力された第2信号及び第3信号に応じてオンしたときに、第2電源の一端及び他端それぞれと第2サイリスタのゲート及びカソードとが接続される。これにより、第2電源から絶縁された第2信号及び第3信号によって、切換スイッチに含まれる第2サイリスタをオンさせることができる。また、第2サイリスタがオフである間は、第2サイリスタのアノードが接続されているタップと第2電源とが分離されるため、タップ間の短絡が防止される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、タップの切換スイッチをオンするための電源数を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1に係る負荷時タップ切換器を含む電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。
【
図3】調整変圧器の二次巻線に誘起する電圧と直列変圧器の一次巻線に供給される電圧との関係を示す説明図である。
【
図4】実施形態1に係るタップ切換器における二次巻線のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部の第1構成例を示す回路図である。
【
図5】実施形態1に係るタップ切換器における二次巻線のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部の第1構成例を示す回路図である。
【
図6】変形例1に係るタップ切換器の駆動部に用いられる第1電源の構成例を示す回路図である。
【
図7】実施形態2に係るタップ切換器の駆動部に用いられるインターロック回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】実施形態3に係るタップ切換器における二次巻線のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部の第2構成例を示す回路図である。
【
図9】実施形態3に係るタップ切換器における二次巻線のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部の第2構成例を示す回路図である。
【
図10】変形例2に係るタップ切換器の駆動部に用いられるドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【
図11】変形例3に係るタップ切換器の駆動部に用いられるドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る負荷時タップ切換器を含む電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。電圧調整装置(SVR=Step Voltage Regulator)100は、紙面左側の電源から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整し、紙面右側の負荷へ、配電線1u,1v,1wを介してu相,v相,w相の交流電圧を配電する。
【0025】
電圧調整装置100は、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wに一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2(タップ付変圧器に相当)とを備える。電圧調整装置100は、更に、調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられた負荷時タップ切換器(以下、単にタップ切換器と言う)3を備える。タップ切換器3及び調整変圧器2が、負荷時タップ切換変圧器200を構成する。
【0026】
直列変圧器1は、二次巻線112,122,132それぞれに一次巻線111,121,131が対応している。一次巻線111,121,131はΔ結線されている。二次巻線112,122,132それぞれの上記負荷側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu1,v1,w1とする。また、二次巻線112,122,132それぞれの上記電源側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu2,v2,w2とする。
【0027】
調整変圧器2は、一次巻線211が配電線1u,1v間に、一次巻線221が配電線1v,1w間に、一次巻線231が配電線1w,1u間にそれぞれ接続されている。一次巻線211,221,231のそれぞれには、二次巻線212,222,232が対応している。
【0028】
二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3を介して直列変圧器1の一次側の端子u2,v2,w2と、端子v1,w1,u1とに接続され、他の何れか1つが中性点Nとしてアースに接続される。即ち、調整変圧器2の二次巻線212,222,232は、タップ切換器3を介してY結線される。
【0029】
調整変圧器2の一次巻線211,221,231に印加される電圧を計測するために、配電線1u,1v、1wには計測用変圧器PT1,PT2がV結線されている。即ち、配電線1u及び1v間には計測用変圧器PT1の一次巻線が接続されており、配電線1v及び1w間には計測用変圧器PT2の一次巻線が接続されている。例えば計測用変圧器PT1及びPT2の二次巻線をΔ結線の三相平衡回路と見做し、後述する制御部31が三相分の計測電圧を取得することにより、一次巻線211,221,231に印加される電圧が検出される。
【0030】
タップ切換器3は、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uと、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wとを有する。
【0031】
タップ切換器の構成は
図1に示すものに限定されず、例えば特許文献1に記載されているような、直列変圧器に印加する電圧の極性を切り換える極性切換用タップ選択スイッチを含む構成であってもよい。
【0032】
タップ切換器3は、更に、上記各切換スイッチの切り換えを制御する制御部31と、制御部31からの駆動信号に基づいて各切換スイッチをオンに駆動する駆動部32とを有する。制御部31には、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線、及び後述する計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線が接続されている。制御部31と各計測用変圧器との接続、及び駆動部32と各切換スイッチとの接続は、図示を省略する。
【0033】
制御部31は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAM(Random Access Memory )に記憶される。
【0034】
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次側の端子u2及びv1に接続されている。接続線3uは、タップ切換器3からU相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOUと表す。
【0035】
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次側の端子v2及びw1に接続されている。接続線3vは、タップ切換器3からV相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOVと表す。
【0036】
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次側の端子w2及びu1に接続されている。接続線3wは、タップ切換器3からW相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOWと表す。
【0037】
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVとが並列に接続されている。接続線3v及び3w間には、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWとが並列に接続されている。
【0038】
矯絡用スイッチThS_UVは、二次巻線212又は222のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_UVを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_UVの接続及び切り離しを行うためのものである。矯絡用スイッチThS_VWは、二次巻線222又は232のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3の運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次側の端子u1,u2間、端子v1,v2間及び端子w1,w2間を矯絡して、開放状態にしないようにするためのものである。
【0039】
切り換えられたタップから出力される二次巻線212,222,232の電圧を計測するために、接続線3u,3v、3wには計測用変圧器PT3,PT4,PT5がY結線されている。即ち、接続線3u及びアース間には、計測用変圧器PT3の一次巻線が接続されており、接続線3v及びアース間には、計測用変圧器PT4の一次巻線が接続されており、接続線3w及びアース間には、計測用変圧器PT5の一次巻線が接続されている。計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線は、Y結線されて制御部31に接続されている。制御部31が計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線からOU,OV,OW三相分の計測電圧を取得することにより、タップ切換された二次巻線212,222,232の電圧が検出される。
【0040】
次に、オンにする切換スイッチの組合せについて説明する。
図2は、OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。他のOV相,OW相についても、UをV,Wに読み替えた同様の図表が示される。以下では、主にOU相を例にして説明するが、OV相及びOW相についても同様の説明が成り立つ。
【0041】
切換スイッチの組合せは13通りあり、これらの組合せをタップ1からタップ13までのタップ位置で表す。例えば、タップ位置をタップ1にした場合、切換スイッチThD_U及びTh1_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt1が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。
【0042】
タップ2からタップ6までについては、タップ間の巻数が5段階に少なくなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ6にした場合、切換スイッチThD_U及びTh3_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt3が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。
【0043】
タップ位置をタップ7にした場合、切換スイッチThD_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、同じタップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt4及びt4間の巻数が0となり、OU相の相電圧が0となる。これが、いわゆる素通しタップである。
【0044】
タップ8からタップ12までについては、タップ間の巻数が5段階に多くなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ8にした場合、切換スイッチThC_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt3が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。但し、タップ6の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0045】
タップ位置をタップ13にした場合、切換スイッチThA_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt1が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。但し、タップ1の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0046】
前述のとおり、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数は、タップ位置に応じて決まる、換言すれば、タップ位置に応じて、調整変圧器2の巻数比が決まる。ここで言う巻数比は、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数に対する一次巻線211の巻数の比である。そこで、
図2に示すように、タップ1からタップ13までのタップ位置と、NT_U1からNT_U13までの巻数比とを対応付けておく。但し、タップ位置がタップ7の場合、上記の定義による巻数比の算出は不能となるから、タップ位置と巻数比との対応付けは行わない。NT_U1からNT_U13までの総称をNT_Uとする。
【0047】
本実施形態にあっては、
図2に示すタップ位置と、オンにする切換スイッチ及び巻数比とを対応付けたテーブルが、制御部31のROMに予め記憶されている。タップ位置を上げ下げする毎にこのテーブルを参照して、オンにすべき切換スイッチを示す情報と巻数比とを読み出すことにより、タップ切換の処理が容易に行える。
【0048】
次に、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧に加算又は減算される電圧について説明する。
図3は、調整変圧器2の二次巻線212,222,232に誘起する電圧と直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧との関係を示す説明図である。調整変圧器2の二次巻線212は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れかがオンすることによって、何れかのタップが接続線3uに接続され、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れかがオンすることによって、他の何れかのタップが中性点Nに接続される。調整変圧器2の二次巻線222,232についても、UをV,Wに読み替えることによって同様のことが言える。
【0049】
図2を用いて説明したように、タップ位置がタップ1からタップ6までの何れかである場合と、タップ位置がタップ8からタップ13までの何れかである場合とでは、OU相の相電圧の位相が互いに反転する。ここでは、タップ位置がタップ1からタップ6までの間にある場合について説明する。調整変圧器2は、一次巻線211,221,231がΔ結線され、二次巻線212,222,232がタップ切換器3を介してY結線されているから、接続線3u,3v,3wにおけるOU相,OV相,OW相それぞれの位相は、破線で示すような配電線1u,1v,1wにおけるu相,v相,w相の位相に対して30度だけ進んでいる。
【0050】
一方、直列変圧器1の一次巻線121には、OU相及びOV相の相間電圧であるV_UVが、端子v2からv1への向きに印加される。同様に、一次巻線131には、OV相及びOW相の相間の電圧であるV_VWが、端子w2からw1への向きに印加され、一次巻線111には、OW相及びOU相の相間の電圧であるV_WUが、端子u2からu1への向きに印加される。
【0051】
ここで
図1に戻って、例えば直列変圧器1の一次巻線121及び二次巻線122に着目する。上記のとおり、一次巻線121の端子v1,v2間には、端子v2からv1への向きに紙面上で右向きの電圧V_UVが印加される。この場合、V_UVに対応して二次巻線122に誘起する電圧も、紙面上で右向きの電圧となる。従って、電源側からのV相の交流電圧に対して電圧V_UVが加算された電圧が、負荷側に供給される。
【0052】
一方、電圧V_UVは、
図3に破線で示すv相の相電圧とは逆位相の電圧である。即ち、V相の交流電圧に対して、v相の交流電圧とは逆位相の電圧V_UVが加算されるから、v相の交流電圧とは同位相の電圧が減算されることとなる。換言すれば、電源側からのV相の交流電圧が降圧されて、負荷側にv相の交流電圧が供給される。タップ位置のタップ番号を1から6まで上げるに連れて、降圧される電圧の絶対値が順次小さくなり、タップ7(素通し)にて降圧される電圧が0となる。その後、更にタップ位置のタップ番号を上げるに連れて、電源側からのV相の交流電圧が順次昇圧されて負荷側に供給されるようになる。
【0053】
以上のとおり、タップ位置をタップ1からタップ13まで切り換えることにより、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧を降圧した電圧から昇圧した電圧まで段階的に調整して、u相,v相,w相の交流電圧とすることができる。制御部31は、計測用変圧器PT1及びPT2により、u相,v相,w相の線間電圧を検出し、検出した電圧が不感帯を逸脱した場合に、タップ位置を上げ下げすることによって、u相,v相,w相の線間電圧が基準電圧に近づくように調整する。本実施形態では、二次巻線212,222,232それぞれについてタップ位置が同じとなるように調整するが、それぞれのタップ位置を独立して切り換えることにより、U相,V相,W相の交流電圧の不平衡を改善することもできる。
【0054】
次に、駆動部32の詳細について説明する。
図4及び
図5は、実施形態1に係るタップ切換器3における二次巻線212のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部32の第1構成例を示す回路図である。
図4には、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの構成と、これらの切換スイッチを駆動する回路とが示されている。
図5には、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの構成と、これらの切換スイッチを駆動する回路とが示されている。他の二次巻線212,232の各タップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部32の構成についても同様である。矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWの構成は、他の切換スイッチと同様であるが、これらの矯絡用スイッチを駆動する回路については、説明を省略する。
【0055】
以下では、信号の名称を横長の五角形で囲んで示す。先ず
図4について、駆動部32は、絶縁型のDCDCコンバータである(以下同様)第1電源321aと、切換スイッチTh1_u,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れか及び第1電源321aを択一的に接続するための第1接続回路331aとを有する。第1電源321aは、切換スイッチTh1_u,Th2_U,Th3_U,Th4_Uに第1接続回路331aを介してオン信号を供給するためのものである。
【0056】
切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uのそれぞれは、一方の主電極(一端に相当)が二次巻線212のタップt1,t2,t3,t4に接続され、他方の主電極(他端に相当)同士が互いに接続されたトライアックTh1t_U,Th2t_U,Th3t_U,Th4t_Uを含む。トライアックTh1t_U,Th2t_U,Th3t_U,Th4t_Uの他方の主電極は、接続線3uに接続されると共に、第1電源321aの他端に接続されている。
【0057】
第1接続回路331aは、トライアックTh1t_U,Th2t_U,Th3t_U,Th4t_Uそれぞれのゲート(制御端子に相当)及び第1電源321aの一端を接続するFET(Field Effect Transistor )であるトランジスタQ11,Q12,Q13,Q14(何れも第1スイッチング素子に相当)を有する。第1接続回路331aは、また、トランジスタQ11,Q12,Q13,Q14それぞれのゲートに出力が接続されたフォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14(何れも第1絶縁回路に相当)を有する。フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14それぞれの入力には、制御部31から排他的な第1信号としてTh1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uが入力される。ここで言う排他的とは、Th1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uのうち、同時に2つ以上の信号が有意になることがない、という意味である(以下同様)。
【0058】
図5に移って、駆動部32は、第1電源321bと、切換スイッチThA_u,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れか及び第1電源321bを択一的に接続するための第1接続回路331bとを有する。第1電源321bは、切換スイッチThA_u,ThB_U,ThC_U,ThD_Uに第1接続回路331bを介してオン信号を供給するためのものである。
【0059】
切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uのそれぞれは、一方の主電極が二次巻線212のタップt1,t2,t3,t4に接続され、他方の主電極同士が互いに接続されたトライアックThAt_U,ThBt_U,ThCt_U,ThDt_Uを含む。トライアックThAt_U,ThBt_U,ThCt_U,ThDt_Uの他方の主電極は、中性点Nに接続されると共に、第1電源321bの他端に接続されている。
【0060】
第1接続回路331bは、構成が第1接続回路331aと同一であり、接続先が第1接続回路331aとは異なる。トランジスタQ11,Q12,Q13,Q14のそれぞれは、トライアックThAt_U,ThBt_U,ThCt_U,ThDt_Uのゲート及び第1電源321bの一端を接続する。フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14それぞれの入力には、制御部31から排他的な第1信号としてThAag_U,ThBag_U,ThCag_U,ThDag_Uが入力される。
【0061】
上述の構成において、例えば
図2に示すタップ位置をタップ1に切り換える場合、制御部31は、接続線3uにおけるOU相について、トライアックTh1t_U及びThDt_Uをオンに駆動する。具体的に制御部31は、第1接続回路331aのフォトカプラPC11に第1信号としてTh1ag_Uを入力する。制御部31は、更に、第1接続回路331bのフォトカプラPC14に第1信号としてThDag_Uを入力する。これにより、トライアックTh1t_U及びThDt_Uはゲートにトリガ電圧が供給されて双方向に導通する。タップ1に切り換える場合のOV相,OW相についてもOU相と同様である。他のタップ位置に切り換える場合についても同様である。
【0062】
なお、
図4及び
図5では、切換スイッチThX_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D)のそれぞれがトライアックThXt_Uを含む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、切換スイッチThX_Uを、半導体素子を含む断続器、電磁接触器等のスイッチを用いて構成してもよい。
【0063】
以上のように実施形態1によれば、調整変圧器2の二次巻線212が有するタップt1,t2,t3,t4を切り換えるための8つの切換スイッチThX_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D)のそれぞれは、一端がタップt1,t2,t3,t4の何れか1つに接続されている。一部の切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uは、接続線3uへのタップ切換器3の出力とすべく他端同士が接続されており、絶縁型の第1電源321aから第1接続回路331aを介してオン信号が択一的に供給される。他の切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uは、中性点Nへのタップ切換器3の出力とすべく他端同士が接続されており、第1電源321bから第1接続回路331bを介してオン信号が択一的に供給される。これにより、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uのうちの1つと、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uのうちの1つとがオンに駆動された場合、一のタップが接続線3uに接続され、該一のタップと同一又は異なるタップが中性点Nに接続される。また、二次巻線212に係る全ての切換スイッチは、2つの第1電源321a,321bの何れかからオン信号が供給されることとなる。従って、8つの切換スイッチThX_Uをオンするための電源数を2つに低減することが可能となる。
【0064】
また、実施形態1によれば、第1接続回路331aが有するトランジスタQ11,Q12,Q13,Q14のそれぞれが、フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14を介して入力された第1信号に応じてオンしたときに、第1電源321aの一端と切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの制御端子とが接続される。第1電源321aの他端は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端に接続されている。これにより、第1電源321aから絶縁された第1信号によって、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uをオンさせることができる。
【0065】
同様に、第1接続回路331bが有するトランジスタQ11,Q12,Q13,Q14のそれぞれが、フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14を介して入力された第1信号に応じてオンしたときに、第1電源321bの一端と切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの制御端子とが接続される。第1電源321bの他端は、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端に接続されている。これにより、第1電源321bから絶縁された第1信号によって、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uをオンさせることができる。
【0066】
更に、実施形態1によれば、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uのそれぞれに含まれるトライアックTh1t_U,Th2t_U,Th3t_U,Th4t_Uが、第1電源321aから第1接続回路331aを介して供給されるトリガ信号によって双方向に導通するため,切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_U及び駆動部32の構成を簡略化することができる。同様に、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uのそれぞれに含まれるトライアックThAt_U,ThBt_U,ThCt_U,ThDt_Uが、第1電源321bから第1接続回路331bを介して供給されるトリガ信号によって双方向に導通するため,切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U及び駆動部32の構成を簡略化することができる。
【0067】
(変形例1)
実施形態1では、第1電源321a,321bが別構成のブロックであったが、これらを1つの電源に構成することができる。
図6は、変形例1に係るタップ切換器3の駆動部32に用いられる電源320の構成例を示す回路図である。
【0068】
電源320は、絶縁トランスT1と、該絶縁トランスT1の一次巻線の一端に直列に接続されたトランジスタQd1と、絶縁トランスT1の一の二次巻線に並列に接続されたダイオードD1及びコンデンサC1の直列回路と、他の二次巻線に並列に接続されたダイオードD2及びコンデンサC2の直列回路とを有する。上記一次巻線の他端は、例えば24Vの共通電源に接続されている。ダイオードD1及びD2は、例えば順方向電圧が小さいショットキバリアダイオードである。
【0069】
コンデンサC1及びC2それぞれの両端には、抵抗器R1及びR2が並列に接続されている。コンデンサC1の一端とダイオードD1のカソードとの接続点が、第1電源321aの一端となり、コンデンサC1の他端が第1電源321aの他端となる。同様に、コンデンサC2の一端とダイオードD2のカソードとの接続点が、第1電源321bの一端となり、コンデンサC2の他端が第1電源321bの他端となる。
【0070】
以上のように変形例1によれば、駆動部32用の2つの第1電源321a,321bを、1つの電源320で構成することが可能であり、見かけ上の電源の数を更に削減することができる。
【0071】
(実施形態2)
実施形態1は、例えばフォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14それぞれに入力される第1信号であるTh1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uを、制御部31が排他的に生成する形態であった。これに対し、実施形態2は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uそれぞれに対して制御部31が生成するオン/オフ信号に基づき、インターロック回路が第1信号としてTh1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uを排他的に出力する形態である。
【0072】
図7は、実施形態2に係るタップ切換器3の駆動部32に用いられるインターロック回路の構成例を示す回路図である。インターロック回路323aは、制御部31と、駆動部32に含まれる第1接続回路331aとの間に挿入される。制御部31と、第1接続回路331bとの間に挿入される他のインターロック回路については、インターロック回路323aと同様の構成であるため、図示及び説明を省略する。実施形態2に係る電圧調整装置100の構成は、インターロック回路が追加される点を除いて実施形態1の
図1及び
図4,5に示すものと同様であるため、これらの図示を省略する。
【0073】
インターロック回路323aは、第1信号としてTh1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uを排他的に出力する4つの単位回路を含んで構成されている。例えば、Th1ag_Uを出力する単位回路は、2入力のオアゲートOR1aと、3入力のオアゲートOR1bと、2入力のアンドゲートAND1と、フリップフロップFF1とを含む。他の単位回路についても、記号中の1を2,3,4に読み替えて同様に説明される。以下では、Th1ag_Uを出力する単位回路を中心に説明を行う。
【0074】
アンドゲートAND1及びオアゲートOR1aそれぞれの一方の入力には、制御部31が生成するオン/オフ信号であるTh1n_U及びTh1f_Uが入力される、Th1n_U及びTh1f_Uのそれぞれは、切換スイッチTh1_Uをオン及びオフに駆動する場合に生成される信号である。オアゲートOR1aの他方の入力には、オアゲートOR1bの出力が入力される。オアゲートOR1aの出力は、アンドゲートAND1の反転記号が付された他方の入力及びフリップフロップFF1のR端子に入力されている。アンドゲートAND1の出力は、フリップフロップFF1のS端子に入力されている。オアゲートOR1bの3つの入力には、他の3つの単位回路の出力であるTh2x_U,Th3x_U,Th4x_Uが入力されている。フリップフロップFF1のQ端子からは、Th1ag_U及びTh1x_Uが出力される。
【0075】
制御部31が切換スイッチTh1_Uをオフに駆動する場合、単位回路にTh1f_Uが入力され、オアゲートOR1aが開いてアンドゲートAND1が閉じると共に、フリップフロップFF1がリセットされる。これにより、Th1ag_U及びTh1x_Uが出力されない状態となる。他の3つの単位回路からTh2x_U,Th3x_U,Th4x_Uの何れかが出力されている場合は、Th1n_U及びTh1f_Uの入力の有無に関わらずにオアゲートOR1aが開くため、Th1ag_U及びTh1x_Uが出力されない。
【0076】
制御部31が切換スイッチTh1_Uをオンに駆動する場合、単位回路にTh1n_Uが入力される。この状態で、Th1f_Uが入力されず、且つTh2x_U,Th3x_U,Th4x_Uの何れも入力されない場合にのみ、アンドゲートAND1が開いてフリップフロップFF1がセットされる。これにより、Th1ag_U及びTh1x_Uが出力される状態となる。
【0077】
第1信号としてTh2ag_Uを出力する単位回路の場合は、制御部31から入力されたTh2n_U及びTh2f_Uと、他の単位回路から入力されたTh1x_U,Th3x_U,Th4x_Uとに基づいて、Th2ag_U及びTh2x_Uが出力される。第1信号としてTh3ag_Uを出力する単位回路の場合は、制御部31から入力されたTh3n_U及びTh3f_Uと、他の単位回路から入力されたTh1x_U,Th2x_U,Th4x_Uとに基づいて、Th3ag_U及びTh3x_Uが出力される。第1信号としてTh4ag_Uを出力する単位回路の場合は、制御部31から入力されたTh4n_U及びTh4f_Uと、他の単位回路から入力されたTh1x_U,Th2x_U,Th3x_Uとに基づいて、Th4ag_U及びTh4x_Uが出力される。
【0078】
インターロック回路の構成は
図7に示すものに限定されず、各種のゲート、フリップフロップ等の論理回路を組み合わせた構成によって実現することができる。
【0079】
以上のように実施形態2によれば、インターロック回路323aから第1接続回路331aに対して、例えば第1信号としてTh2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uの何れかが出力されている間は、Th1ag_Uの出力が禁止される。従って、第1接続回路331aに接続された4つの切換スイッチのうち、2つ以上の切換スイッチが同時にオンとなるのを確実に防止することができる。
【0080】
(実施形態3)
実施形態1が各切換スイッチにトライアックを含む形態であるのに対し、実施形態3は各切換スイッチに逆並列に接続されたサイリスタを含む形態である。実施形態3に係る電圧調整装置100の全体的な構成は、実施形態1の
図1に示すものと同様であるため、図示を省略する。
【0081】
実施形態1とは異なる駆動部32の詳細について説明する。
図8及び
図9は、実施形態3に係るタップ切換器3における二次巻線212のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部32の第2構成例を示す回路図である。
図8には、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの構成と、これらの切換スイッチを駆動する回路とが示されている。
図9には、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの構成と、これらの切換スイッチを駆動する回路とが示されている。他の二次巻線222,232のタップを切り換えるための各切換スイッチ及び駆動部32の構成についても同様である。
【0082】
先ず
図8について、駆動部32は、第1電源321aと、切換スイッチTh1_u,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れか及び第1電源321aを択一的に接続するための第1接続回路331aとを有する。駆動部32は、また、第2電源322aと、切換スイッチTh1_u,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れか及び第2電源322aを択一的に接続するための第2接続回路332aとを有する。
【0083】
切換スイッチTh1_Uは、アノードが二次巻線212のタップt1に接続された第1サイリスタTh1a_U及びアノードが接続線3uに接続された第2サイリスタTh1b_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチTh2_Uは、アノードが二次巻線212のタップt2に接続された第1サイリスタTh2a_U及びアノードが接続線3uに接続された第2サイリスタTh2b_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチTh3_Uは、アノードが二次巻線212のタップt3に接続された第1サイリスタTh3a_U及びアノードが接続線3uに接続された第2サイリスタTh3b_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチTh4_Uは、アノードが二次巻線212のタップt4に接続された第1サイリスタTh4a_U及びアノードが接続線3uに接続された第2サイリスタTh4b_Uを逆並列に接続してなる。即ち、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uそれぞれの一端はタップt1,t2,t3,t4に接続され、他端同士は接続線3uに接続されている。これらの他端同士は、第1電源321aの他端にも接続されている。
【0084】
第1接続回路331aは、構成が実施形態1の
図4に示すものと同一であり、接続先が実施形態1の場合と異なる。トランジスタQ11,Q12,Q13,Q14のそれぞれは、第1サイリスタTh1a_U,Th2a_U,Th3a_U,Th4a_Uのゲート及び第1電源321aの一端を接続する。フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14のそれぞれには、実施形態1の場合と同じTh1ag_U,Th2ag_U,Th3ag_U,Th4ag_Uが、排他的な第1信号として入力される。
【0085】
第2接続回路332aは、第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uそれぞれのゲート及び第2電源322aの一端を接続するトランジスタQ21,Q22,Q23,Q24を有する。第2接続回路332aは、また、トランジスタQ21,Q22,Q23,Q24それぞれのゲートに出力が接続されたフォトカプラPC21,PC22,PC23,PC24を有する。フォトカプラPC21,PC22,PC23,PC24それぞれの入力には、制御部31から排他的な第2信号として、Th1bg_U,Th2bg_U,Th3bg_U,Th4bg_Uが入力される。
【0086】
第2接続回路332aは、第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uそれぞれのカソード及び第2電源322aの他端を接続するトランジスタQ31,Q32,Q33,Q34を有する。第2接続回路332aは、また、トランジスタQ31,Q32,Q33,Q34それぞれのゲートに出力が接続されたフォトカプラPC31,PC32,PC33,PC34を有する。フォトカプラPC31,PC32,PC33,PC34それぞれの入力には、制御部31から排他的な第3信号として、Th1bc_U,Th2bc_U,Th3bc_U,Th4bc_Uが入力される。
【0087】
図9に移って、駆動部32は、第1電源321bと、切換スイッチThA_u,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れか及び第1電源321bを択一的に接続するための第1接続回路331bとを有する。駆動部32は、また、第2電源322bと、切換スイッチThA_u,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れか及び第2電源322bを択一的に接続するための第2接続回路332bとを有する。
【0088】
切換スイッチThA_Uは、アノードが二次巻線212のタップt1に接続された第1サイリスタThAa_U及びアノードが中性点Nに接続された第2サイリスタThAb_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチThB_Uは、アノードが二次巻線212のタップt2に接続された第1サイリスタThBa_U及びアノードが中性点Nに接続された第2サイリスタThBb_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチThC_Uは、アノードが二次巻線212のタップt3に接続された第1サイリスタThCa_U及びアノードが中性点Nに接続された第2サイリスタThCb_Uを逆並列に接続してなる。切換スイッチThD_Uは、アノードが二次巻線212のタップt4に接続された第1サイリスタThDa_U及びアノードが中性点Nに接続された第2サイリスタThDb_Uを逆並列に接続してなる。即ち、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uそれぞれの一端はタップt1,t2,t3,t4に接続され、他端同士は中性点Nに接続されている。これらの他端同士は、第1電源321bの他端にも接続されている。
【0089】
第1接続回路331bは、構成が第1接続回路331aと同じであり、接続先が第1接続回路331aとは異なる。トランジスタQ11,Q12,Q13,Q14のそれぞれは、第1サイリスタThAa_U,ThBa_U,ThCa_U,ThDa_Uのゲート及び第1電源321bの一端を接続する。第1サイリスタThAa_U,ThBa_U,ThCa_u,ThDa_Uのカソードは、第1電源321bの他端に接続されている。フォトカプラPC11,PC12,PC13,PC14それぞれの入力には、制御部31から排他的な第3信号として、ThAag_U,ThBag_U,ThCag_U,ThDag_Uが入力される。
【0090】
第2接続回路332bは、構成が第2接続回路332aと同じであり、接続先が第2接続回路332aとは異なる。トランジスタQ21,Q22,Q23,Q24のそれぞれは、第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uのゲート及び第2電源322bの一端を接続する。フォトカプラPC21,PC22,PC23,PC24それぞれの入力には、制御部31から排他的な第2信号として、ThAbg_U,ThBbg_U,ThCbg_U,ThDbg_Uが入力される。トランジスタQ31,Q32,Q33,Q34のそれぞれは、第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uのカソード及び第2電源322bの他端を接続する。フォトカプラPC31,PC32,PC33,PC34それぞれの入力には、制御部31から排他的な第3信号として、ThAbc_U,ThBbc_U,ThCbc_U,ThDbc_Uが入力される。
【0091】
上述の構成において、例えば
図2に示すタップ1に切り換える場合、制御部31は、接続線3uにおけるOU相について、切換スイッチTh1_U及びThD_Uをオンに駆動する。具体的に制御部31は、第1接続回路331aのフォトカプラPC11に第1信号としてTh1ag_Uを入力し、第2接続回路332aのフォトカプラPC21及びPC31それぞれに第2信号及び第3信号としてTh1bg_U及びTh1bc_Uを入力する。制御部31は、更に、第1接続回路331bのフォトカプラPC14に第1信号としてThDag_Uを入力し、第2接続回路332bのフォトカプラPC24及びPC34それぞれに第2信号及び第3信号としてThDbg_U及びThDbc_Uを入力する。これにより、切換スイッチTh1_U及びThD_Uが双方向に導通する。タップ1に切り換える場合のOV相,OW相についてもOU相と同様である。他のタップ位置に切り換える場合についても同様である。
【0092】
以上のように実施形態3によれば、各切換スイッチThX_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D)に、逆並列に接続された第1サイリスタThXa_U及び第2サイリスタThXb_Uが含まれている。カソード同士が接続された第1サイリスタTh1a_U,Th2a_U,Th3a_U,Th4a_Uは、第1電源321aから第1接続回路331aを介してトリガ信号が択一的に供給される。カソード同士が接続された第1サイリスタThAa_U,ThBa_U,ThCa_U,ThDa_Uは、第1電源321bから第1接続回路331bを介してトリガ信号が択一的に供給される。
【0093】
切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uそれぞれに含まれる第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uは、アノード同士が接続されており、絶縁型の第2電源322aから第2接続回路332aを介してトリガ信号が択一的に供給される。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uそれぞれに含まれる第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uは、アノード同士が接続されており、絶縁型の第2電源322bから第2接続回路332bを介してトリガ信号が択一的に供給される。従って、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uのうちの1つに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタと、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uのうちの1つに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタとがオンに駆動された場合、タップt1,t2,t3,t4のうち一のタップが接続線3Uに接続され、該一のタップと同一又は異なるタップが中性点Nに接続される。また、二次巻線212に係る全ての第1サイリスタ及び第2サイリスタは、第1電源321a,321b及び第2電源322a,322bの何れかからトリガ信号が供給されることとなる。
【0094】
また、実施形態3によれば、第2接続回路332aが有するトランジスタQ21,Q22,Q23,Q24それぞれがフォトカプラPC21,PC22,PC23,PC24を介して入力された第2信号に応じてオンし、且つトランジスタQ31,Q32,Q33,Q34それぞれがフォトカプラPC31,PC32,PC33,PC34を介して入力された第3信号に応じてオンしたときに、第2電源322aの一端及び他端それぞれと第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uのゲート及びカソードとが接続される。これにより、第2電源322aから絶縁された第2信号及び第3信号によって、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uそれぞれに含まれる第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uをオンさせることができる。また、第2サイリスタTh1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_Uがオフである間は、これらのサイリスタのアノードが接続されているタップと第2電源322aとが分離されるため、タップ間の短絡を防止することができる。
【0095】
同様に、第2接続回路332bが有するトランジスタQ21,Q22,Q23,Q24それぞれがフォトカプラPC21,PC22,PC23,PC24を介して入力された第2信号に応じてオンし、且つトランジスタQ31,Q32,Q33,Q34それぞれがフォトカプラPC31,PC32,PC33,PC34を介して入力された第3信号に応じてオンしたときに、第2電源322bの一端及び他端それぞれと第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uのゲート及びカソードとが接続される。これにより、第2電源322bから絶縁された第2信号及び第3信号によって、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uそれぞれに含まれる第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uをオンさせることができる。また、第2サイリスタThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_Uがオフである間は、これらのサイリスタのアノードが接続されているタップと第2電源322bとが分離されるため、タップ間の短絡を防止することができる。
【0096】
なお、実施形態2と同様のインターロック回路を用いる場合、第1接続回路331a,331bに対して実施形態2と同様にインターロック回路を2つ用いればよい。この場合、これら2つのインターロック回路から排他的に出力される第1信号を、第2信号及び第3信号として第2接続回路332a,332bに適用することができる。
【0097】
(変形例2)
実施形態3では、1つの切換スイッチに対応する第1接続回路及び第2接続回路それぞれに対して、制御部31が第1信号及び第2,第3信号を個別に出力するかのように説明したが、これらの信号が同一回路から同時に出力されるようにしてもよい。
図10は、変形例2に係るタップ切換器3の駆動部32に用いられるドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【0098】
図10に示すドライバ回路324は、第1接続回路331a及び第2接続回路332aそれぞれに入力される第1信号及び第2,第3信号であるTh1ag_U及びTh1bg_U,Th1bc_Uを、Th1x_Uに基づいて出力するものである。第1接続回路331b及び第2接続回路332bに入力される第1信号及び第2,第3信号であるThAag_U及びThAbg_U,ThAbc_Uを、ThAx_Uに基づいて出力するドライバ回路も同様である。一般的には、ThXx_Uに基づいてThXag_U及びThXbg_U,ThXbc_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D)を出力するドライバ回路は、
図10と同様の構成である。
【0099】
ドライバ回路324は、電源Vccに一端が接続された抵抗器R3,R3,R3,R3と、これらの抵抗器の他端が入力端子に接続されてプルアップされた4回路のバッファIC325とを有する。バッファIC325のイネーブル端子に対し、Th1x_Uが入力された場合、バッファIC325の4回路の出力がアクティブとなり、Th1ag_U及びTh1bg_U,Th1bc_Uが同時に出力される。
【0100】
Th1x_Uは、例えば実施形態2の
図7に示すインターロック回路323aから入力されてもよいし、制御部31から直接的に入力されてもよい。なお、第1信号及び第2,第3信号であるTh1ag_U及びTh1bg_U,Th1bc_Uがアクティブロウの信号である場合は、抵抗器R3,R3,R3,R3の一端をドライバ回路324の信号アースに接続しておき、これらの抵抗器の他端をバッファIC325の4つの入力端子に接続してプルダウンしておけばよい。
【0101】
以上のように変形例2によれば、各切換スイッチに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタを確実に同時的に駆動することができる。
【0102】
(変形例3)
変形例2では、例えば第1接続回路331aに含まれるフォトカプラPC11及び第2接続回路332aに含まれるフォトカプラPC21,PC31それぞれに対して、第1信号及び第2,第3信号であるTh1ag_U及びTh1bg_U,Th1bc_Uを並列に入力した。本変形例3では、フォトカプラPC11及びフォトカプラPC21,PC31それぞれに対して、Th1ag_U及びTh1bg_U,Th1bc_Uが等価的に直列に入力されるようにする。
【0103】
図11は、変形例3に係るタップ切換器3の駆動部32に用いられるドライバ回路の構成例を示す回路図である。一般的には、ThXx_Uに基づいてThXag_U及びThXbg_U,ThXbc_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D)を等価的に出力するドライバ回路は、
図11と同様の構成である。
【0104】
ドライバ回路326は、インバータ327と、該インバータ327の出力及び電源Vccの間にフォトカプラPC11,PC31,PC21の入力側を直列に接続するための電路とを有する。具体的には、電源VccからフォトカプラPC11,PC31,PC21それぞれのフォトダイオードを直列に介してインバータ327の出力までが、電路によって接続されている。
【0105】
ドライバ回路326に含まれるインバータ327にTh1x_Uが入力された場合、フォトカプラPC11,PC31,PC21それぞれのフォトダイオードに共通の電流が通流する。この場合、フォトカプラPC11,PC21,PC31それぞれには、等価的にTh1ag_U,Th1bg_U,Th1bc_Uが同時に入力されたこととなる。
【0106】
以上のように変形例3によれば、各切換スイッチに含まれる第1サイリスタ及び第2サイリスタを確実に同時的に駆動することができる。
【0107】
なお、本願によれば、このような特徴的な構成を備えるタップ切換器3を実現することができるだけでなく、タップ切換器3を含む負荷時タップ切換変圧器200、電圧調整装置100及びサイリスタ式電圧調整装置(TVR=Thyristor type Step Voltage Regulator )を実現することもできる。
【0108】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1u,1v,1w 配電線、 100 電圧調整装置、 1 直列変圧器、 111,121,131 一次巻線、 112,122,132 二次巻線、 u1,u2,v1,v2,w1,w2 端子、 200 負荷時タップ切換変圧器、 2 調整変圧器、 211,221,231 一次巻線、 212,222,232 二次巻線、 t1,t2,t3,t4 タップ、 3 タップ切換器、 31 制御部、 32 駆動部、 320 電源、 321a,321b 第1電源、 322a,322b 第2電源、 324,326 ドライバ回路、 325 バッファIC、 327 インバータ、 331a,331b 第1接続回路、 332a,332b 第2接続回路、 PC11,PC12,PC13,PC14,PC21,PC22,PC23,PC24,PC31,PC32,PC33,PC34 フォトカプラ、 Q11,Q12,Q13,Q14,Q21,Q22,Q23,Q24,Q31,Q32,Q33,Q34 トランジスタ、 Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_U,ThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U 切換スイッチ、 Th1t_U,Th2t_U,Th3t_U,Th4t_U,ThAt_U,ThBt_U,ThCt_U,ThDt_U トライアック、 Th1a_U,Th2a_U,Th3a_U,Th4a_U,ThAa_U,ThBa_U,ThCa_U,ThDa_U 第1サイリスタ、 Th1b_U,Th2b_U,Th3b_U,Th4b_U,ThAb_U,ThBb_U,ThCb_U,ThDb_U 第2サイリスタ、 3u,3v,3w 接続線、 ThS_UV,ThS_VW 矯絡用スイッチ、 R_UV,R_VW 限流抵抗器、 MC_UV,MC_VW 電磁接触器、 PT1,PT2,PT3,PT4,PT5 計測用変圧器