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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物用途の成分
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20230712BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230712BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A61K8/42
A61Q5/12
A61Q5/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019529163
(86)(22)【出願日】2017-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017057875
(87)【国際公開番号】W WO2018102050
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/428,722
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508276992
【氏名又は名称】クローダ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】エイベル ペレイラ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ ビショップ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェズ ウジュピス
(72)【発明者】
【氏名】ファラディア エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】マーニ デクスター
(72)【発明者】
【氏名】エリク ガンダーマン
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-523930(JP,A)
【文献】特開2000-178145(JP,A)
【文献】特開2003-081776(JP,A)
【文献】特開2010-077061(JP,A)
【文献】特表2002-523638(JP,A)
【文献】特開平06-345704(JP,A)
【文献】特表2014-518254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0225470(US,A1)
【文献】特開2000-198721(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00875500(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンディショニング剤であって、前記コンディショニング剤の総重量に対して少なくとも50重量%の
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はトリグリセリド、メチルエステル若しくはエチルエステルであるその誘導体:及び
c)酸化エチレン、酸化プロピレン及びグリシドールから選択されるエポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンを含み、そして第四級アンモニウム化合物を含まない、前記コンディショニング剤。
【請求項2】
縮れ防止剤であって、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はトリグリセリド、メチルエステル若しくはエチルエステルであるその誘導体:及び
c)酸化エチレン、酸化プロピレン及びグリシドールから選択されるエポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンを含み、そして第四級アンモニウム化合物を含まない、前記縮れ防止剤。
【請求項3】
記ポリアミンが、一般構造式:
3 2N-[R2-N(R1)]n-R4
式中、
各R1は、-H、低級アルキル基又はポリマー鎖中の別のN原子と結合するよう機能する低級アルキレン基を含む群から独立して選択される部分であり;
各R2は、独立して、低級アルキレン部分であり;
各R3部分は、-H及び低級アルキルを含む群から独立して選択され;
4は、-H及び低級アルキルを含む群から選択され;及び
nは、1~20の整数である、
を有する、請求項1に記載のコンディショニング剤又は請求項2に記載の縮れ防止剤。
【請求項4】
前記モノカルボン酸、又はその誘導体が、モノカルボン酸又はトリグリセリドである、請求項1に記載のコンディショニング剤又は請求項2に記載の縮れ防止剤。
【請求項5】
請求項1に記載のコンディショニング剤又は請求項2に記載の縮れ防止剤及び分散剤又は溶媒又はその混合物を含むプレ分散液又はプレ溶液。
【請求項6】
ジアルキルアミドアミンの使用であって、第四級アンモニウム化合物を含まない、コンディショニング剤又は縮れ防止剤として、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はトリグリセリド、メチルエステル若しくはエチルエステルであるその誘導体:及び
c)酸化エチレン、酸化プロピレン及びグリシドールから選択されるエポキシド含有化合物
の反応生成物である前記ジアルキルアミドアミンの使用。
【請求項7】
毛髪に対して請求項1に記載のコンディショニング剤を適用することを含む毛髪のコンディショニング方法。
【請求項8】
毛髪に対して請求項2に記載の縮れ防止剤を適用することを含む毛髪中の縮れを減少させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2016年12月1日に出願された米国特許仮出願第62/428,722号の優先権を主張し、この仮出願はその全文を参照することにより本明細書に援用されるものとする。
【0002】
技術分野
本発明は、パーソナルケア配合物、特に、ヘアケア配合物における化学成分及びその使用に関する。より詳細には、本発明は、ヘアケア組成物用途のコンディショニング剤及び縮れ防止(anti-frizz)剤に関する。記載される化学成分は、ポリアミン、脂肪酸及びエポキシアルカンの反応生成物を含むジアルキルアミドアミンの分類、ならびにコンディショニング剤及び縮れ防止剤としてのこれらの使用を規定する。
【背景技術】
【0003】
ジアルキル第四級アミドアミン化合物を含む第四級アンモニウム化合物はかなり以前から知られており、パーソナルケア組成物、特に、ヘアコンディショナー、シャンプー及びコンディショニングシャンプー用のコンディショニング剤として使用されると言われている。第四級アンモニウム化合物は、毛髪繊維上の負に帯電した傷んだタンパク質部位に誘引される正に帯電した化学種(カチオン性化学種)であり、したがって、静電荷により毛髪上に残ってコンディショニング効果を付与する。
【0004】
しかしながら、概して、第四級アンモニウム化合物は、特に良好な環境プロファイルを有せず、例えば、良好な水生毒性を有しないことが知られている。“Quaternary ammonium compounds (QACs): a review on occurance, fate and toxicity in the environment”, Zhang C et al., Sci Total Environ, 2015 Jun 15; 518-519; 352-62を含む最近の研究では、第四級アンモニウム化合物は、魚類、ミジンコ、藻類、わむし類及び廃水処理システムに使用される微生物類を含む多くの水生生物に毒性であることが示された。第四級アンモニウム化合物が廃水処理プラントへ放出されて、放流下水及びスラッジ土壌還元により様々な環境区画に分散されることになると予期され得るので、このことは特に問題である。
【0005】
したがって、良好なコンディショニング効果を提供したままで、同じ環境プロファイルにも、第四級アンモニウム化合物としての水生毒性の欠点にも悩まされないコンディショニング剤の開発に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術に関連する上記及び/又は他の欠点に対処することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、コンディショニング剤の総重量に対して少なくとも50重量%の
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンを含むコンディショニング剤を提供する。
【0008】
本発明の別の態様によれば、コンディショニング剤の総重量に対して少なくとも50重量%の
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体;及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物;
の反応生成物であるジアルキルアミドアミン;
ならびに分散剤もしくは溶媒又はその混合物
を含むコンディショニング剤を含むプレ分散液(predispersion)又はプレ溶液(presolution)を提供する。
【0009】
特に、コンディショニング剤の総重量に対して少なくとも60重量%のジアルキルアミドアミン、好ましくはコンディショニング剤の総重量に対して少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%のジアルキルアミドアミンを含むコンディショニング剤を提供する。
【0010】
用語コンディショニング剤は、皮膚又は毛髪にソフトな感触及び質感を提供するパーソナルケア組成物、好ましくはスキンケア又はヘアケア組成物、特にヘアケア組成物のための成分を表す。
【0011】
「ポリアミン」は、少なくとも2つの窒素原子を含む任意の分子を意味する。
【0012】
好ましくは、ジアルキルアミドアミンは、第三級である。この用語は、当技術分野におけるその通常の意味を前提とする。これによって、アミドアミンにおけるアミン窒素は第三級である、すなわち、水素以外の3つの有機置換基と直接結合していると理解されるべきである。
【0013】
好ましくは、コンディショニング剤は、第四級アンモニウム化合物を実質的に含まない。用語「実質的に含まない」の使用によって、コンディショニング剤は、コンディショニング剤の総重量に対して、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満、最も好ましくは1重量%未満の第四級アンモニウム化合物を含むことを意味する。好ましくは、コンディショニング剤は、第四級アンモニウム化合物を含まない。
【0014】
好ましくは、コンディショニング剤は、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物
の反応生成物を四級化することにより製造され得る第四級アンモニウム化合物を含まない。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、コンディショニング剤として、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンの使用を提供する。
【0016】
ジアルキルアミドアミンを、パーソナルケア配合物用コンディショニング剤として使用してよい。特に、毛髪をコンディショニングするためのコンディショニング剤として、より詳細には、ヘアコンディショニング配合物中のコンディショニング剤としてのジアルキルアミドアミンの使用を提供する。好ましくは、ジアルキルアミドアミンを、第四級アンモニウム化合物の役割で、又は代わりにコンディショニング剤として使用してよい。より好ましくは、ジアルキルアミドアミンを、四級化アンモニウム化合物を含有しないヘアコンディショニング配合物中のコンディショニング剤として使用する。望ましくは、モノカルボン酸又はその誘導体と同じ長さである炭素鎖を有するアルキル基を有する四級化アンモニウム化合物を含有しないヘアコンディショニング配合物中のヘアコンディショニング剤としてのジアルキルアミドアミンの使用を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、毛髪にコンディショニング剤を適用することを含む毛髪のコンディショニング方法であって、該コンディショニング剤はコンディショニング剤の総重量に対して少なくとも50重量%の
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンを含む、前記方法を提供する。
【0018】
本発明は、縮れ防止剤にまでも及ぶ。縮れ防止剤は、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンである。
【0019】
毛髪に縮れ防止剤を適用することを含む毛髪の縮れを減少させる方法、ならびに縮れ防止剤として、
a)ポリアミン;
b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体:及び
c)必要に応じて、エポキシド含有化合物;
の反応生成物であるジアルキルアミドアミンの使用も提供する。
【0020】
用語縮れ防止剤は、毛髪の縮れ量を減らす機能をするヘアケア組成物のための成分を意味する。本願において用語縮れの使用により、滑らか又はストレートにした天然カーリーヘアが、通常高湿度にさらされることが原因でカーリー状態又はタイトカーリー(tight curly)状態に戻る傾向を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のジアルキルアミドアミンは、好ましくは、a)ポリアミン;b)12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸、又はその誘導体;及びc)必要に応じてエポキシド含有化合物の反応により得る。好ましくは、ジアルキルアミドアミンは、ポリアミン、12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸、又はその誘導体、及びエポキシド含有化合物の反応生成物である。
【0022】
本明細書中、用語「ポリアミン」の使用により、2つ以上のアミン基、好ましくは3つ以上のアミン基を含む化合物を意味する。ポリアミン中に存在するアミン基は、独立して、第一級であってもよく、第二級であってもよく、第三級であってもよい。好ましくは、ポリアミンの末端アミン基は第一級であり、残りのアミン基は第二級又は第三級である。
【0023】
好ましくは、ポリアミンは、一般構造R N-[R-N(R)]-Rを有する。
【0024】
各Rは、好ましくは、-H、低級アルキル基又はポリマー鎖中の別のN原子と結合するよう機能する低級アルキレン基を含む群から独立して選択される部分である。好ましくは、各Rは、-H又は低級アルキル基のいずれかであり、好ましくはメチル、エチル又はプロピルであり、より好ましくは-Hである。R部分は、互いと同じであってもよく、互いと異なっていてもよい。好ましくは、全てのR部分は、互いと同じである。
【0025】
各Rは、独立して、好ましくは低級アルキレン部分、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン又はブチレン部分であり、より好ましくはメチレン又はエチレン部分であり、最も好ましくはエチレン部分である。R部分の各々は、互いと同じであってもよく、互いと異なっていてもよい。好ましくは、全てのR部分は、互いと同じである。
【0026】
各R部分は、-H及び低級アルキルを含む群から独立して選択され、最も好ましくは-Hである。Rは、好ましくは、-H及び低級アルキルを含む群から選択され、より好ましくは-Hである。R及びR部分は、互いと同じであってもよく、互いと異なっていてもよい。好ましくは、全てのR及びR部分は、互いと同じであり、最も好ましくは-Hである。
【0027】
nは、好ましくは1~20の整数、好ましくは1~12、より好ましくは2~8、最も好ましくは2~5の整数である。
【0028】
本明細書中、用語「低級アルキレン」の使用により、式中、mは1~20、好ましくは1~15、好ましくは1~10、最も好ましくは1~6の整数である、一般構造-C2m-を有する任意の部分を意味する。
【0029】
本明細書中、用語「低級アルキル」の使用により、式中、mは1~20、好ましくは1~15、好ましくは1~10、最も好ましくは1~6の整数である、一般構造-C2m+1を有する任意の部分を意味する。
【0030】
好ましくは、本発明のポリアミンは、1000ダルトン以下、好ましくは700ダルトン以下、より好ましくは500ダルトン以下、最も好ましくは300ダルトン以下であり、かつ、少なくとも50ダルトン、より好ましくは少なくとも100ダルトン、最も好ましくは少なくとも150ダルトンの分子量を有する。
【0031】
ポリアミンは、1つ以上の環式部分を含んでもよい。環式部分は、直鎖ポリアミンで存在してもよく、分岐鎖ポリアミンで存在してもよい。好ましくは、ポリアミン中の環式部分は、R基が低級アルキレン部分であり、ポリマー鎖の別のN原子、好ましくはポリアミンの隣接する反復単位のN原子と結合する場合に存在する。好ましくは、ポリアミンが環式部分を含む場合、環式部分はピペラジン部分である。あるいは、環式部分は、R、R、R及び/又はR基間、好ましくはR及びR部分間の架橋から形成され得る。
【0032】
好ましくは、ポリアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン及びメチルアミノジプロピルアミンを含む基から選択される。好ましくは、ポリアミンは、ジエチレントリアミン又はメチルアミノジプロピルアミン、最も好ましくはジエチレントリアミンである。
【0033】
ポリアミンの混合物が、本発明の活性化合物中に存在してもよい。この場合、混合物は、分岐鎖ポリアミンを含んでもよく、直鎖ポリアミンを含んでもよく、その混合物を含んでもよい。
【0034】
本明細書中の使用に適したモノカルボン酸は、好ましくは脂肪酸である。モノカルボン酸誘導体は、好適に、トリグリセリド、メチルエステル又はエチルエステルの形態であってよい。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語トリグリセリドは、3つのモノカルボン酸単位を有するグリセロールのトリエステルを表す。トリグリセリド中に存在するモノカルボン酸単位は、互いと同じでもよく、異なっていてもよい。好ましくは、本明細書で使用されるトリグリセリドは、天然物である。
【0036】
本発明の使用に適したモノカルボン酸及びその誘導体を、例えば、植物油もしくは動物油及び/又はワックスなどの天然源から得ることができる。例えば、酸及び/又はその誘導体、特にトリグリセリドを、パーム油、ナタネ油、HEAR(高エルカ酸ナタネ)油、パーム核油、ヤシ油、ババス油、ダイズ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、アマニ油、綿実油、サフラワー油、牛脂、クジラ油もしくは魚油、グリース、ラード、ホホバ油(脂肪酸及び脂肪アルコール)、トリベヘニン、モンタンワックス、18MEAを含むラノリン酸、及びその混合物から得てもよい。
【0037】
モノカルボン酸を、合成的に製造してもよい。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトオレイン酸、及びエライジン酸などの比較的純粋な不飽和酸を単離するか又は比較的粗雑な不飽和脂肪酸混合物を使用してもよい。
【0038】
もちろん、本発明によれば、これに限定されないが、アラキン酸、ベヘン酸、イソベヘン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、アラキドン酸及びクルポドン酸(culpodonic acid)を含む純水脂肪酸及び/又は人工的に製造された混合物を使用することは可能である。低級炭素鎖長の脂肪酸成分を含む脂肪酸の混合物も可能である。
【0039】
タル油中に存在するものなどの樹脂酸を使用してもよい。
【0040】
好ましくは、モノカルボン酸、及び/又はトリグリセリド中のモノカルボン酸単位は、少なくとも14個の炭素原子、好ましくは少なくとも16個の炭素原子を有する。好ましくは、モノカルボン酸、及び/又はトリグリセリド中のモノカルボン酸単位は、24個以下の炭素原子、好ましくは22個以下の炭素原子を有する。
【0041】
モノカルボン酸又はトリグリセリドは、例えば、酸塩化物などの塩として、誘導体であってもよい。このような誘導体は、通常天然で存在し、上記酸又トリグリセリドとの組合せで存在するだろう。
【0042】
飽和、一不飽和及び多価不飽和モノカルボン酸及びその誘導体を単独又は組合せのいずれかで使用する場合、本発明者らは良好な結果を得た。驚くべきことに、直鎖及び分岐鎖モノカルボン酸及びその誘導体を単独又は組合せのいずれかで使用することにより良好な結果を得ることができることも見出した。
【0043】
モノカルボン酸又はその誘導体がモノカルボン酸又はその誘導体の混合物であることが好ましい。混合物は、異なる不飽和度及び/又は異なる分岐度を有するモノカルボン酸又はその誘導体を含んでよい。好ましくは、モノカルボン酸又はその誘導体の混合物は、オレイン酸及び/又はリノール酸などのいくつかの一不飽和酸及び/又は多価不飽和酸を含む。
【0044】
特定の炭素鎖長を有するモノカルボン酸又はその誘導体の使用は、本明細書中に参照される。100%純水な人工的に製造された酸を使用する場合、アミドアミンのモノカルボン酸成分の100%は、特定の炭素鎖長を有するだろう。天然に存在する油/ワックス又は比較的粗雑なモノカルボン酸混合物を使用する場合、モノカルボン酸又はその誘導体の全て、したがって、得られたアミドアミンが、特定の長さの炭素鎖長を有するとは限らない可能性がある。明らかであるように、このことは、モノカルボン酸又はその誘導体を1つ以上のモノカルボン酸又はその誘導体から製造することができ、この少なくともかなりの割合は特定の長さの炭素鎖長を有し、好ましくは、かなりの割合が少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%であろうことを意味する。
【0045】
これらに含有される油又は純粋な酸のいずれかは、最も好ましいが、絶対に必要な訳ではなく、100℃以下の融点、より好ましくは85℃以下の融点を有すべきである。
【0046】
DETAをポリアミンとして使用する場合、得られたジアルキルアミドアミン生成物において、各DETA分子中の3つの窒素原子のうち2つがモノカルボン酸又はその誘導体との反応後アミド結合によりアルキル鎖と結合するであろうことは理解されるべきである。残りの窒素分子は、アミン窒素であるだろう。DETA鎖に沿って第一、第二又は第三の位置における窒素がアミン窒素であり得る。DETA分子における残り2つの窒素原子は、アルキル鎖と結合することになる(これらはアミド窒素であることになる)。したがって、第二窒素に対して対称、又は非対称のいずれかであるジアルキルアミドアミンを製造することが可能である。最終生成物は、対称及び非対称ジアルキルアミドアミンの混合物になると期待される。
【0047】
当業者は、上記のものがDETA以外のポリアミンを使用する場面で同様に適用することができることを認識するだろう。
【0048】
好ましくは、ジアルキルアミドアミンは第三級ジアルキルアミドアミンであり、アミン窒素が第三級アミンであることを意味する。用語「第三級」は、当技術分野におけるその通常の意味、すなわち、アミン窒素は水素以外の3つの有機基により置換されていると解釈すると当業者により認識されるだろう。
【0049】
メチルアミノジプロピルアミンの様な種類のポリアミンでは、アミン窒素は既に第三級アミンである。この実施形態では、ジアルキルアミドアミンは、ポリアミン及び12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸、又はその誘導体の反応生成物である。より詳細には、この実施形態では、エポキシド含有化合物を必要としない。
【0050】
が-Hである場合、アミン窒素は第二級アミンである。この実施形態では、ジアルキルアミドアミンは、ポリアミン、12~28の炭素鎖長を有するモノカルボン酸、又はその誘導体、及びエポキシド含有化合物の反応生成物である。エポキシド含有化合物は、第二級アミン基の水素原子と反応して第三級アミンを得る。
【0051】
エポキシド含有化合物は、エポキシド(アルキレンオキシド)、エポキシアルコール又はエポキシエーテルであってよい。好ましくは、エポキシド含有化合物は、グリシドールなどのエポキシアルコール;酸化エチレン、酸化プロピレンなどのアルキレンオキシド;及び式:
【0052】
【化1】
【0053】
式中、Rは2~22の炭素鎖長を有するアルキル基、又はnが1~20の整数であるCH-O-(CHCHO)などのメチルキャップされたPEGのいずれかであり得る、
を有するものを含むグリシジルエーテルなどのエポキシエーテルを含む群から選択される。最も好ましくは、エポキシド含有化合物は、アルキレンオキシド又はエポキシアルコールであり、最も好ましくはグリシドール、酸化エチレン及び酸化プロピレンを含む群から選択される。
【0054】
得られたジアルキルアミドアミンにアニオン性界面活性剤との相溶性を付与するために、アミン窒素が陰性基と結合すること、例えば、エポキシド含有化合物は有用であり得る。この目的に適した陰性基は、エトキシ基及びプロポキシ基などのアルコキシ基;OH及びジヒドロキシアルキル基などのヒドロキシ基;アルデヒド;酸;ポリエチルオキシ基(ポリアルコキシ基);グリシドール基;及び同種のものを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0055】
好ましくは、本発明のジアルキルアミドアミンは、1:2:1のポリアミン:モノカルボン酸もしくはその誘導体:エポキシド含有化合物の比較的単純な比、又は3:2:3のポリアミン:トリグリセリドもしくはその誘導体:エポキシド含有化合物の比を含む。
【0056】
代替の実施形態では、エポキシド含有化合物は、2~20のアルキレンオキシド単位により置換され得る。このような場合、ポリアミン、モノカルボン酸又はその誘導体及びエポキシド含有化合物成分は、好ましくは、1:2:2~20のモル比でジアルキルアミドアミン中に存在する。あるいは、ポリアミン、トリグリセリド又はその誘導体及びエポキシド含有化合物成分は、好ましくは、3:2:6~60のモル比でジアルキルアミドアミン中に存在する。
【0057】
本発明のジアルキルアミドアミンは、ポリアミン及びモノカルボン酸又はその誘導体をエステル化し、その後、適用できる場合、エポキシド含有化合物とのエステルの反応を含む単純な一段階もしくは二段階方法により製造してもよい。
【0058】
エステル化反応では、ポリアミン及びモノカルボン酸反応物を圧力槽に導入し、高温、好ましくは80℃~250℃、すなわち、モノカルボン酸又はその誘導体の融点より高い温度で反応させる。反応混合物の酸価及び/又は塩基価を反応過程中に間隔をおいて測定してよく、必要な値に達した時点で反応を停止する。好ましくは、<10mg KOH、より好ましくは<5mg KOHの酸価に達するまで反応を継続する。酸価は、フェノールフタレイン終点まで既知の規定度の塩酸溶液で滴定、又は当業者に公知の自動滴定装置により測定することができる。
【0059】
必要であれば、製造されたジアルキルアミドアミンをエポキシド含有化合物とさらに反応させる。この反応は、好ましくは、80℃~200℃の高温で圧力槽内において行う。エポキシド含有化合物を、第三級アミン含有率が95%より大きくなるまで、圧力槽内でジアルキルアミドアミンに添加する。AOCS Tf 3a-64(「Percent Primary, Secondary, and Tertiary Amines in Fatty Amines」)に記載されている標準的方法に従って、第三級アミン含有率を測定することができる。
【0060】
本発明によるジアルキルアミドアミンを中和してもよい。「中和」は、ジアルキルアミドアミンのpHを3~7、より好ましくは4~6に変更することを意味する。適切な中和剤としては、有機又は無機酸、例えばL-グルタミン酸、乳酸、塩酸、硫酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、1-グルタミン酸塩酸塩、酒石酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ラノリン酸、リン酸モノアルキル又はジアルキルエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
本発明のジアルキルアミドアミンを、コンディショニング剤として使用してよい。
【0062】
好ましくは、コンディショニング剤は、ヘアコンディショニング剤であり、より好ましくはヒトヘアコンディショニング剤である。コンディショニング剤を、パーソナルケア配合物、好ましくはヘアコンディショニング配合物における活性成分として、又は活性成分の1つとして使用してよい。
【0063】
本発明のコンディショニング剤は、好ましくは、ポリアミン、モノカルボン酸、トリグリセリド又はその誘導体及びエポキシド含有化合物の反応生成物であるジアルキルアミドアミンを含む。好ましくは、コンディショニング剤は、本発明のジアルキルアミドアミンを含む。本発明のジアルキルアミドアミンは、好ましくは、コンディショニング剤の総重量に対して少なくとも60重量%、コンディショニング剤の総重量に対して好ましくは70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、望ましくは少なくとも90重量%の濃度でコンディショニング剤中に存在する。好ましくは、コンディショニング剤は、上記ジアルキルアミドアミンから本質的になる。
【0064】
コンディショニング剤は、好ましくは、四級化ジアルキルアミドアミン化合物を含有しない。有意に、コンディショニング剤は、モノカルボン酸、トリグリセリド又は他のその誘導体と同じ長さの炭素鎖を有するアルキル基を有する四級化ジアルキルアミドアミン化合物を含まない。
【0065】
好ましくは、コンディショニング剤は、無水である。用語無水は、コンディショニング剤が好ましくは最大10重量%の水を含むことを意味する。より好ましくは、コンディショニング剤は、最大7重量%の水、最も好ましくは最大5重量%、望ましくは最大2重量%の水を含む。好ましくは、コンディショニング剤は、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、最も好ましくは0.1重量%~2重量%の水を含む。
【0066】
あるいは、本発明のジアルキルアミドアミンは、縮れ防止剤として使用してもよい。本発明の縮れ防止剤は、好ましくは、上記ジアルキルアミドアミンから本質的になる。
【0067】
好ましくは、縮れ防止剤は、無水である。用語無水は、縮れ防止剤が好ましくは最大10重量%の水を含むことを意味する。より好ましくは、縮れ防止剤は、最大7重量%の水、最も好ましくは最大5重量%、望ましくは最大2重量%の水を含む。好ましくは、縮れ防止剤は、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、最も好ましくは0.1重量%~2重量%の水を含む。
【0068】
縮れ防止剤を、パーソナルケア配合物、好ましくはヘアコンディショニング配合物における活性成分として、又は活性成分の1つとして使用してよい。縮れ防止剤を、他のコンディショニング剤と一緒に、又は追加のコンディショニング剤の必要なく、パーソナルケア組成物において使用してよい。
【0069】
コンディショニング剤又は縮れ防止剤を、製造、貯蔵、輸送及び/又は配合の容易さのために、それぞれプレ分散液又はプレ溶液に分散又は溶解してよい。
【0070】
このような場合、好ましくは、プレ分散液又はプレ溶液は、それぞれ、コンディショニング剤又は縮れ防止剤及び分散剤又は溶媒を含む。好ましくは、コンディショニング剤又は縮れ防止剤は、プレ分散液又はプレ溶液の総重量に対して、少なくとも15重量%、プレ分散液又はプレ溶液の総重量に対して好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも35重量%の濃度でプレ分散液又はプレ溶液中に存在する。好ましくは、コンディショニング剤又は縮れ防止剤は、プレ分散液又はプレ溶液の総重量に対して、90重量%以下、プレ分散液又はプレ溶液の総重量に対して好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも60重量%の濃度でプレ分散液又はプレ溶液中に存在する。
【0071】
分散剤又は溶媒は、脂肪アルコールであってよい。適切な分散剤又は溶媒の非限定的例は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びプロパンジオールなどのグリコール類、イソステアリルアルコール、イソベヘニルアルコール、イソセチルアルコール、ならびにこれらの組合せであってよい。好ましくは、分散剤又は溶媒は、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はベヘニルアルコールである。
【0072】
分散剤又は溶媒を使用して、配合を援助してもよい。例えば、分散剤又は溶媒はワックス状固形物を希釈し、構造を付与するか、又はゲル状生成物を細かくし得る。
【0073】
コンディショニング剤又は縮れ防止剤を、それぞれ、パーソナルケア配合物用のコンディショニング剤又は縮れ防止剤として使用してもよい。パーソナルケア配合物は、スキンケア又はヘアケア配合物であってよい。好ましくは、パーソナルケア配合物は、ヘアケア配合物である。より好ましくは、パーソナルケア配合物は、ヘアクレンジング、コンディショニング、デタングル(de-tangling)、カラープロテクト又はスタイリング配合物である。より好ましくは、パーソナルケア配合物は、ヒト又は動物毛髪繊維の表面摩擦を減らすように機能する摩擦緩和配合物である。
【0074】
本明細書で定義された種類のパーソナルケア配合物は、水中油型エマルジョン;油中水型エマルジョン;ヘアオイル、ヘアスプレー/ヘアセラムを含む無水配合物;洗剤配合物の形態であり得;具体的には、水中油型エマルジョンなどのパーソナルケアエマルジョン配合物及び洗剤配合物である。パーソナルケアエマルジョン配合物は、望ましくは、ペースト、クリーム、液体及び乳液の形態を取り得、ヘアケア配合物の分野では、扱いやすさ及び外観の改善だけでなく、毛髪に対するさわやかな美的感覚を提供することを目標としている。
【0075】
パーソナルケア配合物は、配合物の所望の最終用途に応じて異なる稠度及び/又は粘度の範囲を有し得る。
【0076】
このような配合物の最終用途としては、パーソナルケア製品の分野では、保湿剤、ボディーバター、ジェルクリーム、高パヒューム含有製品、パヒュームクリーム、ヘアコンディショナー、縮毛矯正剤配合物、ヘアシャンプー、ヘアスタイリング製品、リーブオンヘア製品、ウォーターフリー製品、制汗及び脱臭製品、クレンザー、2イン1発泡エマルジョン、乳化剤フリー製品、マイルド配合物、固形ビーズを含有するなどのスクラブ(scrub)配合物、水中シリコーン型エマルジョン、顔料含有製品、ヘアデタングラー(hair detanglers)などのスプレー可能配合物、カラー化粧品、シャワー製品、メークアップリムーバー、アイメークアップリムーバー、ならびにワイプ(wipes)が挙げられる。より好ましくは、このような配合物の最終用途としては、ヘアコンディショナー、縮毛矯正剤配合物、ヘアシャンプー、ヘアスタイリング製品、リーブオンヘア製品及びヘアデタングラーなどのスプレー可能エマルジョンが挙げられる。
【0077】
本発明のコンディショニング剤を含むパーソナルケアエマルジョン配合物としては、様々な他のパーソナルケア成分を含んでもよい。例えば、適切な他の成分としては、クレンジング剤、ヘアコンディショニング剤、スキンコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、フケ防止剤、毛髪成長促進剤、パヒューム、日焼け止め化合物、顔料、保湿剤、薄膜形成剤、湿潤剤、アルファヒドロキシ酸、ヘアカラー、マークアップ剤、洗剤、増粘剤、防腐剤、脱臭活性及び界面活性剤などの1つ以上の成分が挙げられる。
【0078】
好ましくは、さらなる活性コンディショニング成分は、パーソナルケア配合物に必要としない。好ましくは、上記コンディショニング剤は、パーソナルケア配合物中に存在する唯一の活性コンディショニング成分である。好ましくは、配合物は、追加のコンディショニング成分、例えば、四級化アンモニウム化合物又はシリコーンを含まない。
【0079】
好ましくは、さらなる縮れ防止剤を、パーソナルケア配合物に必要としない。好ましくは、上記縮れ防止剤は、パーソナルケア配合物中に存在する唯一の活性縮れ防止成分である。
【0080】
好ましくは、コンディショニング剤又は縮れ防止剤は、パーソナルケア配合物中低濃度で存在する。好ましくは、コンディショニング剤又は縮れ防止剤は、配合物の総重量に対して、少なくとも0.01%(w/w)、好ましくは少なくとも0.1%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.5%(w/w)、最も好ましくは少なくとも0.8%(w/w)の濃度で配合物中に存在する。好ましくは、コンディショニング剤又は縮れ防止剤は、配合物の総重量に対して、5%(w/w)以下、好ましくは4%(w/w)以下、より好ましくは3%(w/w)以下、最も好ましくは2%(w/w)以下の濃度で配合物中に存在する。
【0081】
好ましくは、パーソナルケア配合物は、コンディショニング剤又は縮れ防止剤を保持するベースビヒクルを含む。好ましくは、ベースビヒクルは、比較的高濃度の水を含む。好ましくは、全配合物のうち、少なくとも20%(w/w)、好ましくは少なくとも25%(w/w)、より好ましくは少なくとも28%(w/w)、最も好ましくは少なくとも30%(w/w)の濃度で、水はパーソナルケア配合物中に存在する。好ましくは、全配合物のうち、99.9%(w/w)以下、好ましくは99%(w/w)以下、好ましくは98%(w/w)以下、最も好ましくは97%(w/w)以下の濃度で、水はパーソナルケア配合物中に存在する。
【0082】
好ましくは、パーソナルケア配合物は、酸性である。好ましくは、配合物は、1~6、好ましくは2~5.5、より好ましくは3~5、最も好ましくは4~4.5のpHを有する。
【0083】
パーソナルケア配合物は、追加の成分、例えば、追加の皮膚軟化剤、担体、界面活性剤及び同種のものを含んでもよい。
【0084】
好ましくは、パーソナルケア配合物は、乳化剤をさらに含む。好ましくは、乳化剤は、水中油型エマルジョンを形成することができる非イオン性高HLB(親水性/親油性バランス)界面活性剤である。乳化剤は、天然由来であってよい。適切な乳化剤の例としては、エトキシ化ソルビタンエステル類、エトキシ化グリセリルエステル類、エトキシ化脂肪アルコール類(ラノリンアルコールを含む)、エトキシ化脂肪酸(ラノリン脂肪酸を含む)、グリセロール脂肪酸モノエステル類、グリコール脂肪酸モノエステル類及びジエステル類、糖エステル類(ショ糖の脂肪酸モノエステル及びジエステル)、脂肪酸ポリオール(ポリエチレングリコール)エステル類、脂肪アルコール類(共エマルジョンとしても作用し得る)、脂肪酸及び/又はそのリン酸エステル類、カチオン性界面活性剤又はステアラミドプロピルジメチルアミンもしくはベヘナミドプロピルジメチルアミンなどのモノアルキル第三級アミン類が挙げられる。
【0085】
配合物中に存在する場合、乳化剤は、好ましくは、配合物の総重量に対して、少なくとも0.2%(w/w)、好ましくは少なくとも0.5%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.9%(w/w)、最も好ましくは少なくとも1.1%(w/w)の濃度で存在する。好ましくは、乳化剤は、配合物の総重量に対して、20%(w/w)以下、好ましくは12%(w/w)以下、より好ましくは7%(w/w)以下、最も好ましくは5%(w/w)以下の濃度で配合物中に存在する。配合物中に存在する乳化剤の濃度は、好ましくは、四級化物質を含むこの種類の配合物中に存在するものより高い。これは、配合物に対する乳化効果を通常有するはずである配合物中に四級化物質が存在しないことを補うためである。
【0086】
パーソナルケア配合物は、少なくとも1つの共乳化剤をさらに含んでもよい。好ましくは、共乳化剤又は各共乳化剤は、配合物の粘度を調整することができる粘度調整剤、より好ましくは配合物の粘度を増大することができる粘度上昇剤である。好ましくは、共乳化剤又は各共乳化剤は、脂肪アルコール、好ましくはC12~C20アルコール、より好ましくはC16~C18アルコール、又はその混合物である。パーソナルケア配合物中に共乳化剤として使用するのに適切なアルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコールが挙げられる。
【0087】
本発明による配合物は、他の追加の皮膚軟化物質、好ましくは皮膚軟化オイルを含有してもよい。好ましくは、皮膚軟化オイルは、非極性油である。本配合物中に使用するのに適した皮膚軟化オイルの例としては、鉱油又はパラフィン油;脂肪酸及び脂肪アルコールのエステル類、イソプロピルエステルを使用してもよいが、好ましくはC10~C20酸又はアルコール;脂肪酸グリコールエステル類;脂肪酸トリグリセリド類;アルコキシ化脂肪アルコールのエステル類及びジエステル類;植物(botanical)(植物(plant))抽出物;ならびに炭化水素類、好ましくはC12~C16が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化剤は、鉱油である。配合物中に存在する場合、追加の皮膚軟化剤又は各追加の皮膚軟化剤は、好ましくは、配合物の総重量に対して、少なくとも1重量%、かつ、30重量%以下の濃度で存在する。
【0088】
本発明によるパーソナルケア配合物は、1つ以上の界面活性剤、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はコカミドプロピルベタインを含有してもよい。配合物中に存在する場合、界面活性剤又は各界面活性剤は、好ましくは、配合物の総重量に対して、1重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%、より好ましくは4重量%~10重量%の濃度で存在する。
【0089】
本発明によるパーソナルケア配合物は、1つ以上のタンパク質又は誘導体化タンパク質を含有してもよい。配合物中に存在する場合、タンパク質もしくは誘導体化タンパク質又は各タンパク質もしくは誘導体化タンパク質は、好ましくは、配合物の総重量に対して、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~8重量%、より好ましくは1重量%~5重量%の濃度で存在する。
【0090】
本発明によるパーソナルケア配合物は、1つ以上のカチオン性成分を含有してもよい。配合物中に存在する場合、カチオン性成分又は各カチオン性成分は、好ましくは、配合物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の濃度で存在する。
【0091】
本発明によるパーソナルケア配合物は、1つ以上のシリコーンを含有してもよい。配合物中に存在する場合、シリコーン又は各シリコーンは、好ましくは、配合物の総重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~8重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%の濃度で存在する。
【0092】
本発明によるパーソナルケア配合物は、1つ以上の薄膜形成成分を含有してもよい。配合物中に存在する場合、薄膜形成成分又は各薄膜形成成分は、好ましくは、配合物の総重量に対して、0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~3重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度で存在する。
【0093】
上述のように、好ましくは、パーソナルケア配合物は、追加のコンディショニング剤を含まない。しかしながら、いくつかの代替の実施形態では、追加のコンディショニング剤を使用することが可能であり得る。このような追加のコンディショニング剤は、例えば、PQ-10(但し、ポリクオタニウム化合物はジアルキルアミドアミン中に存在するものと同じ長さの炭素鎖を有するアルキル基を有する四級化アンモニウム化合物を含有しない)などのポリクオタニウム化合物を含むカチオン性ポリマー;及びカチオン性グアーであってよい。
【0094】
上記特徴のいずれも、どの組合せにおいても、本発明のどの態様でも得ることができる。
【実施例
【0095】
本発明を、以下の非限定的例を参照してさらに例証する。全ての部及びパーセントは、特に断りがない限り、必要に応じて材料又は組成物の総重量に対する重量基準である。
【0096】
実施例1:オレイン酸-DETAジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約2モルのオレイン酸及び1モルのジエチレントリアミン(DETA)を投入した。容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。試料を反応の過程にわたって採取し、当業者によく知られている方法で酸価(AV)をチェックした。AVが<8mg KOHに達した時点で材料を冷却し、生成物をBVについて試験した。得られた最終のBVは、90.7mg KOHであった。
【0097】
実施例1a:オレイン酸DETA第三級アミン
実施例1から得られた材料をステンレス鋼圧力槽内で90℃~120℃まで加熱し、窒素でパージした。50psi未満の槽圧を維持するような速度で槽にゆっくりと1~3モルの酸化エチレンを添加した。全てのEOを添加した時点から反応を少なくとも1時間続け、それから、生成物を第三級アミン含有率について試験した。第三級アミン含有率を、AOCS法Tf 3a-64を使用して決定し、得られた最終結果は>95%であった。
【0098】
実施例2:パーム油-DETAジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約1モルのパーム油及び1.5モルのジエチレントリアミン(DETA)を投入した。容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。反応混合物の試料を反応の過程にわたって採取し、当業者に知られているように塩基価(BV)についてチェックした。BVが89.2mg KOHに達した時点で材料を冷却した。
【0099】
実施例2a:パーム油-DETA第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として1~3モルの酸化エチレンを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例2から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0100】
実施例2b:パーム油-DETAグリシドール第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として1~3モルのグリシドールを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例2から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0101】
実施例3:イソステアリン酸-DETAジアミド
実施例1で概説されたのと同じ手順に従って、約2モルのイソステアリン酸及び1モルのジエチレントリアミン(DETA)を反応させてジアミドを生成した。<8mg KOHのAV及び<90のBVに達した場合に反応が完結したと見なした。
【0102】
実施例3a:イソステアリン酸-DETA第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として酸化エチレンを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例3から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0103】
実施例3b:イソステアリン酸-DETAグリシドール第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として1~3モルのグリシドールを用いて、実施例1aの手順に従って、実施例3から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0104】
実施例4:高エルカ酸ナタネ油(HEAR油)-DETAジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約1モルのHEAR油及び1.5モルのジエチレントリアミン(DETA)を投入した。それから、容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。試料を反応の過程にわたって採取し、当業者に知られているように塩基価(BV)についてチェックした。BVが79.3mg KOHに達した時点で材料を冷却した。
【0105】
実施例4a:高エルカ酸ナタネ油(HEAR油)第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として1~3モルの酸化エチレンを用いて、実施例1aの手順に従って、実施例4から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0106】
実施例4b:高エルカ酸ナタネ油(HEAR油)DETAグリシドール第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として1~3モルのグリシドールを用いて、実施例1aの手順に従って、実施例4から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0107】
実施例5:水素化高エルカ酸ナタネ油(H2-HEAR油)-DETAジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約1モルのH2-HEAR油及び1.5モルのジエチレントリアミン(DETA)を投入した。それから、容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。試料を反応の過程にわたって採取し、当業者に知られているように塩基価(BV)についてチェックした。BVが75mg KOHに達した時点で材料を冷却した。
【0108】
実施例5a:H2-HEAR油DETA第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として酸化エチレンを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例4から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0109】
実施例5b:H2-HEAR油DETAグリシドール第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤としてグリシドールを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例5から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0110】
実施例6:オレイン酸/パルミチン酸/リノール酸-DETAジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約2モル当量のオレイン酸/パルミチン酸/リノール酸ブレンド及び1モルのジエチレントリアミン(DETA)を投入した。それから、容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。試料を反応の過程にわたって採取し、当業者に知られているように塩基価(BV)及び酸価(AV)についてチェックした。AVが8.8mg KOHに、かつ、BVが90.3mg KOHに達した時点で反応を停止し、冷却した。
【0111】
実施例6a:オレイン酸/パルミチン酸/リノール酸-DETAジアミド第三級アミン
>95%の第三級アミン含有率に達するまで、アルキル化剤として酸化エチレンを用いて、実施例1aと同様な手順に従って、実施例6から得られた材料を反応させて第三級アミンを生成した。
【0112】
実施例7:パーム油(3,3-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン)ジアミド
窒素、真空、加熱及び冷却を備えた圧力反応器に約1モルのパーム油及び1.5モルの3,3-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミンを投入した。それから、容器を密封し、4~7時間、130℃~200℃の温度まで加熱した。試料を反応の過程にわたって採取し、塩基価(BV)についてチェックした。BVが81.47に達した時点で材料を冷却した。
【0113】
実施例8:毛髪強化クリームリンス
【表1】
【0114】
パートAの成分を配合し、全ての固形物が溶解するまで、混合しながら75℃~80℃まで加熱した。それから、温度を10分間保持した後、加熱を止め、混合物を混合しながら40℃まで放冷した。それから、パートB成分を、混合を続けながら、一度に添加した。配合物を最終的に所望の充填温度まで冷却した。
【0115】
実施例9:低コストコンディショナー
【表2】
【0116】
パートA成分を配合し、混合しながら80℃まで加熱した。10分間加熱を維持しながら混合を続けた。それから、混合物を加熱から取り出し、40℃まで冷却した。それから、パートB成分をよく混合しながら添加した。必要に応じて、pHを4.3~5.0に調整し、スムースかつ均一になるまで、配合物を混合した。
【0117】
実施例10:保湿剤スキンローション
【表3】
【0118】
パートAの成分を混合しながら配合し、75℃~80℃まで加熱した。パートBの成分を、混合しながら、配合して75℃~80℃まで加熱した。パートBを混合しながらパートAに添加した。温度を15分間保持した。それから、パートA及びパートB成分の混合物を50℃まで放冷し、混合しながらパートC成分を添加して均一な配合物を生成した。
【0119】
実施例11:UVプロテクションヘアコンディショナー
【表4】
【0120】
パートA成分を配合し、混合しながら80℃まで加熱した。混合を続け、10分間加熱を維持した。それから、加熱を取り除き、混合物を40℃まで放冷した。それから、パートB成分をよく混合しながら添加した。必要に応じて、配合物のpHを4~4.5に調整し、スムースかつ均一になるまで、混合した。
【0121】
実施例12:毛染め後コンディショナー
【表5】
【0122】
パートA成分を配合し、混合しながら80℃まで加熱した。加熱を10分間維持しながら、配合した成分を連続的に混合した。それから、混合物を加熱から取り出し、40℃まで冷却した。それから、パートB成分をよく混合しながら混合物に添加した。必要に応じて、配合物のpHを4.0~4.5に調整し、スムースかつ均一になるまで、混合した。
【0123】
実施例13:ヘアコンディショナー
【表6】
【0124】
パートA成分を配合し、混合しながら80℃まで加熱した。加熱を10分間維持しながら、配合した成分を連続的に混合した。それから、混合物を加熱から取り出し、40℃まで冷却した。それから、パートB成分をよく混合しながら混合物に添加した。必要に応じて、配合物のpHを4.0~4.5に調整し、スムースかつ均一になるまで、混合した。
【0125】
実施例14:ヘアコンディショニングヤシ油
【表7】
【0126】
ヤシ油及び実施例6aの化合物を反応槽内で配合し、必要に応じて、中和剤を添加した。混合物を50℃まで加熱し、15分間混合してから、所望の容器に注ぎ入れ放冷した。
【0127】
実施例15:ウェット及びドライコーミング試験
ヘアコンディショナー配合物A~Gを表1に示しているように製造した。
【0128】
各ヘアコンディショナー配合物を、混合し、かつ75~80℃まで加熱しながらパートA成分を合わせ、そして別に、パートB成分を合わせ、かつ同温度まで加熱することにより製造した。それから、パートA及びパートBを温度で配合し、40℃まで放冷した。40℃になるとすぐパートC成分を添加し、乳酸を用いて約4.5までpHを調整した。
【0129】
各ヘアコンディショナー配合物A~Gについて、次のコーミング試験手順を行った。
【0130】
コーミング試験手順
International Hair Importers Inc.(米国ニューヨーク)から入手可能な5つのダークブリーチした毛束(hair tresses)を、各ヘアコンディショナー配合物A~G用に幅1.3cm、長さ20cmにカットした。グローバルシャンプー(SLES/ベタインシャンプー)で、1分間、毛束(tresses)を洗浄した。もつれを避けるために、各毛束に対して親指と他の指で上から下へ梳いた。それから、毛束を、1分間、水道の流水ですすいだ。もつれを避けるために、各毛束の上から下へ水道水を流した。すすぐとすぐに毛束を風乾した。
【0131】
全ての毛束に対するウェット及びドライコーミング力(combing force)のベースライン測定を処理前に測定した。
【0132】
ベースラインウェット及びドライ測定後、5つの毛束の各セットを、ヘアコンディショナー配合物A~Gの1つで処理した。この処理は、各毛束にヘアコンディショナー配合物2グラムを適用し、3分の処理時間を当て、すなわち、1分間、各毛束に対してヘアコンディショナー配合物を施してから、2分間放置することを含む。
【0133】
処理したらすぐに、1分間、毛束を水道の流水ですすぎ、風乾した。
【0134】
それから、5つの毛束の各セットに対して、次の試験手順に従い、ヘアコンディショナー配合物処理後の全ての毛束に対するウェット及びドライコーミング力を測定した。
【0135】
【表8】
【0136】
ドライコーミング力測定の手順
毛束を環境室内に入れて、2時間平衡に達した。温度を23℃、相対湿度を60%に設定した。
【0137】
さらなる髪のもつれが見られなくなるまで、広い歯及び狭い歯の櫛を用いて各毛束を3~4回手作業で梳いた。先ず、広い歯の部分を用いて、それから狭い歯の部分を用いて行った。
【0138】
それから、毛根をつかみ具の方にして、MTTコーミングアクセサリーに各毛束をクランプした。二本の指を使って、毛束を平らにして、ダイアストロン(Dia-Stron)に取り付けた櫛に押し込み案内(pushed/guided)した。それから、各毛束のドライコーミング力を10回測定し、データを収集した。
【0139】
各ヘアコンディショナー配合物A~Gに対する各5つの毛束のドライコーミングデータの平均を取り、この結果に対してANOVA統計解析を行って、95%の信頼で有意性を確立した。結果を下表2に示す。
【0140】
【表9】
【0141】
ウェットコーミング力測定の手順
1000mlビーカーを脱イオン水800mlで満たした。各毛束をビーカー内で3回水に浸した。
【0142】
さらなる髪のもつれが見られなくなるまで、広い歯及び狭い歯の櫛を用いて毛束を3~4回手作業でそれぞれ梳いた。先ず、広い歯の部分を用いて、それから狭い歯の部分を用いて行った。
【0143】
各毛束をビーカー内でもう一度水に浸し、親指及び人差し指の間で毛束の上部を軽くスクィーズし、毛束の長さに沿ってその指を下に移動させることにより毛束から過剰な水を取り除いた。
【0144】
それから、毛根をつかみ具の方にして、MTTコーミングアクセサリーに各毛束をクランプした。二本の指を使って、毛束を平らにして、ダイアストロンに取り付けた櫛に押し込み案内した。
【0145】
ダイアストロンを用いて、各毛束のウェットコーミング力を10回測定し、データを収集した。各ヘアコンディショナー配合物A~Gに対する各5つの毛束のウェットコーミングデータの平均を算出し、このデータに対してANOVA統計解析を行って、95%の信頼で有意性を確立した。結果を下表3に示す。
【0146】
【表10】
【0147】
結果は、ヘアコンディショナー配合物A~Gの各々が、良好なウェットコーミング及びドライコーミング性能を示すことを示している。
【0148】
実施例16:縮れ防止(Frizz Control)試験
表4に示しているように配合物H~Mを製造した。各ヘアコンディショナー配合物を、混合し、かつ75~80℃まで加熱しながらパートA成分を合わせ、そして別に、パートB成分を合わせ、かつ同温度まで加熱することにより製造した。それから、パートA及びパートB成分を温度で混合しながら配合し、40℃まで放冷した。40℃になるとすぐにパートC成分を添加し、乳酸を用いて約4.5±0.5までpHを調整した。
【0149】
縮れ試験手順
各配合物H~Mに対して、International Hair Importers Inc.(米国ニューヨーク)から入手可能な7つのブラジル人のカーリーヘアの毛束を幅1.5cm、長さ20cmにカットした。
【0150】
1:10(w/w)のシャンプーに対する髪比でシンプルなクレンジングシャンプー(SLES/ベタインシャンプー)を用いて1分間、毛束を洗浄した。それから、1分間又は泡がなくなるまで、温水で毛束をすすいだ。それから、それぞれの配合物3gを、毛束に1分間揉み込んだ。処理した毛束を20分間放置してから、45秒間、髪から配合物をすすぎ流した。すすいだらすぐに、温風乾燥機及びラウンドブラシを用いて毛束を温風乾燥してから、セラミックアイロンを用いて400°Fにおいて5回平らにアイロン(flat-ironed)をかけた。毛束の各々の最初の写真を撮り、75%RHの湿度制御環境内に毛束を置き、経時的に観察した。
【0151】
様々な時点(4時間、24時間、及び48時間)から評価した6点の毛束の写真を13人のパネルに示した。パネリストには、毛束を1(最小の縮れ)~6(最大の縮れ)にランク付けするように依頼した。パネリストの順位の最頻値及び平均値を各々に関して算出し、全体順位を得た。表5は、最頻値/平均値に基づいた各総合順位及びこれらの順位に同意したパネリストのパーセンテージを示す。
【0152】
【表11】
【0153】
【表12】
【0154】
上記順位に基づいて、以下のように結論することができる。
1)実施例3aの化合物で処理された全ての毛束が、最善に縮れを抑え、100%のパネリストが5%の化合物3aで処理された毛束が最小の縮れであったことに同意している。
2)80%のパネリストがTMS-50(配合物H)単独で処理された毛束においてより多くの縮れを観察しているので、実施例3aの化合物の添加は、縮れ防止に役立つ。
【0155】
配合物Iで処理された毛束は、33%のパネリストがこの毛束を3番と順位付けしているので、最も少ないパーセントの同意を示している。配合物Kで処理された毛束も、38.5%のパネリストがこの毛束を4番と順位付けしているので、より少ないパーセントの同意を示し、この2つの毛束について類似の成績を示している。
【0156】
開示された特徴のいずれかもしくは全て、及び/又は記載されているいずれもの方法(method)もしくは方法(process)のいずれかもしくは全てのステップは、いずれの組合せでも組合せ得る。
【0157】
本明細書で開示された各特徴を、同じ、均等又は同様な目的を果たす代替の特徴により置き換えてもよい。したがって、開示された各特徴は、包括的な一連の均等又は類似の特徴の一例にすぎない。
【0158】
上記言及は、明示的に別段の断りがない限り適用する。これらの目的のため、用語明細書(specification)は、説明(description)ならびに任意の添付の請求の範囲、要約及び図面を含む。