(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ガラス物品の形成方法およびそれにより形成されたガラス物品
(51)【国際特許分類】
C03B 23/023 20060101AFI20230712BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
C03B23/023
G02B1/00
(21)【出願番号】P 2019560267
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(86)【国際出願番号】 GB2018051211
(87)【国際公開番号】W WO2018203085
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-19
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ イー アッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ ボアセル
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5865866(US,A)
【文献】特開2002-68786(JP,A)
【文献】特開平5-58659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/00-27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品の形成方法であって、
第1のガラスシート(10)を提供することと、
前記第1のガラスシート(10)を成形に好適な温度に加熱することと、
前記第1のガラスシート(10)を第1の曲げツール(32)に堆積させることであって、前記第1のガラスシート(10)の縁部(18)が前記第1の曲げツール(32)の成形面(36)の上に配置され、前記第1の曲げツール(32)の前記成形面(36)が前記第1のガラスシート(10)に圧縮領域(42)および引張領域(44)を提供するように構成された、堆積させることと、
前記第1のガラスシート(10)を前記第1の曲げツール(32)上で成形し、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)に前記圧縮領域(42)を形成することであって、前記圧縮領域(42)は、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)を、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)と前記第1の曲げツール(32)との間の接触を介して冷却することによって形成され、さらに、前記圧縮領域(42)が第1の部分(48)および第2の部分(50)を含み、前記第1の部分(48)が、前記第2の部分(50)の幅(W
2)より大きい幅(W
1)を有する、形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記引張領域(44)が、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)の内側に位置する前記第1のガラスシート(10)の第2の部分(38)に形成され、移行部(46)が、前記第1のガラスシート(10)の第3の部分(40)に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気部品(206、206A)を前記圧縮領域(42)の前記第1の部分(48)の上に位置決めすることと、前記電気部品(206、206A)を、はんだ付けプロセスによって前記第1のガラスシート(10)と機械的に連通させることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のガラスシート(10)を第2のガラスシート(12)に積層することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1の曲げツール(32)の前記成形面(36)が、第1の区分(58)を含み、前記圧縮領域(42)の前記第1の部分(48)の内側端部(92)が、前記第1の区分(58)の内側縁部(86)に隣接し、その結果、移行部(46)が、前記第1の区分(58)の前記内側縁部(86)の内側に位置する前記第1のガラスシート(10)の部分(40)に形成されるようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の曲げツール(32)の前記成形面(36)が、第1の区分(58)を含み、前記第1の区分(58)が、前記圧縮領域(42)の前記第1の部分(48)の前記幅より大きい第1の幅(W
FS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)を、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)と第2の曲げツール(96)との間の接触を介して冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
移行部(46)を、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)に隣接する前記第1のガラスシート(10)の部分(40)に形成することをさらに含み、前記第1のガラスシート(10)の前記部分(40)が、前記第1の曲げツール(32)の上に配置されるが接触はしない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
移行部(46)を、前記第1のガラスシート(10)の前記縁部(18)に隣接する前記第1のガラスシート(10)の部分(40)に形成することをさらに含み、間隔(88)が、前記第1のガラスシート(10)の前記部分(40)と、前記第1の曲げツール(32)とを分離する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法119(e)条の下、第62/501,432号を付与され、2017年5月4日に出願された米国仮特許出願の利益を主張するものであり、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ガラス物品の形成方法にも関する。本発明はまた、本方法により形成されるガラス物品に関する。
【0003】
ガラスのシートを成形するまたは曲げるための様々なプロセスが知られている。典型的には、ガラスシートは、ガラスシートが変形可能な温度に加熱され、その後、曲げプロセスが実行される。ある特定の曲げプロセスでは、加熱されたガラスシートは、リング部材上で支持され、重力の影響下で、追加の押圧力に補助されてまたは補助されずに、たるむ。別の既知のガラスシート曲げプロセスは、プレス曲げプロセスであり、これにおいて、ガラスシート(または入れ子になった対)は、通常は離間した垂直の関係で、一対の相補的な成形部材の間で曲げられる。
【0004】
成形後、電子機器および/または他のデバイスをガラスシート上に配置してもよい。典型的には、前述のものに電力を供給するために、電力を機器およびデバイスに確実に供給する必要がある。多くの場合、ワイヤアセンブリが電気の供給に使用される。しかしながら、ワイヤアセンブリのある特定の部分をガラスシートに取り付けると、ガラスシートが損傷する可能性がある。ガラスシートがフロントガラスに含まれている場合、この損傷により、フロントガラスの破損またはその上に堆積されたものの破損が生じ得る。このため、ワイヤアセンブリまたはそれに電力を供給するために利用される別の部材を取り付けることによって損傷しない、フロントガラスまたは別のグレーズに使用され得るガラスシートを提供することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0005】
ガラス物品の形成方法の実施形態が提供される。ある実施形態では、本方法は、第1のガラスシートを提供することを含む。第1のガラスシートは、成形に好適な温度に加熱される。第1のガラスシートは、第1の曲げツール上に堆積される。第1のガラスシートの縁部は、第1の曲げツールの成形面の上に配置される。第1の曲げツールの成形面は、第1のガラスシートに圧縮領域および張力領域を提供するように構成される。第1のガラスシートは第1の曲げツール上で成形され、圧縮領域は第1のガラスシートの縁部18に形成される。圧縮領域は、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分の幅は、第2の部分の幅より大きい。
【0006】
好ましくは、張力領域が、第1のガラスシートの縁部の内側に位置する第1のガラスシートの第2の部分に形成され、移行部が、第1のガラスシートの第3の部分に形成される。
【0007】
好ましくは、圧縮領域が、引張領域と、第1のガラスシートに形成された移行部とを囲繞する。
【0008】
好ましくは、本方法は、電気部品を圧縮領域の第1の部分の上に位置決めすることと、電気部品を、はんだ付けプロセスによって第1のガラスシートと機械的に連通させることと、をさらに含む。
【0009】
好ましくは、第1の曲げツールの成形面は、第1のガラスシートに、圧縮領域と張力領域との間の移行部を提供するように構成される。
【0010】
好ましくは、第1のガラスシートの縁部は、第1の縁部および第2の縁部を含み、圧縮領域の第1の部分は第1の縁部に形成され、圧縮領域の第2の部分は第2の縁部に形成される。
【0011】
好ましくは、第1の縁部は後縁部であり、第2の縁部は前縁部である。
【0012】
好ましくは、第1のガラスシートの縁部は、第1の縁部を含み、圧縮領域の第1の部分および第2の部分は、各々、第1の縁部に形成される。
【0013】
好ましくは、本方法は、第1のガラスシートを第2のガラスシートに積層することをさらに含む。
【0014】
好ましくは、圧縮領域は、第1のガラスシートの縁部を、第1のガラスシートの縁部と第1の曲げツールとの間の接触を介して冷却することによって形成される。
【0015】
好ましくは、本方法は、第1のガラスシートの縁部を、第1のガラスシートの縁部と第2の曲げツールとの間の接触を介して冷却することをさらに含む。
【0016】
好ましくは、本方法は、移行部を、第1のガラスシートの縁部に隣接する第1のガラスシートの部分に形成することをさらに含み、第1のガラスシートのこの部分は、第1の曲げツールの上に配置されるが接触はしない。
【0017】
好ましくは、本方法は、移行部を、第1のガラスシートの縁部に隣接する第1のガラスシートの部分に形成することをさらに含み、間隔により、第1のガラスシートのこの部分と、第1の曲げツールとが分離される。
【0018】
好ましくは、第1の曲げツールの成形面は、第1の区分を含み、圧縮領域の第1の部分の内側端部が、第1区分の内側縁部に隣接し、その結果、移行部が、第1の区分の内側縁部の内側に位置する第1のガラスシートの部分に形成されるようになる。
【0019】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分の内側端部は、第1の区分の内側縁部と整列する。
【0020】
好ましくは、第1の曲げツールの成形面は、第1の区分を含み、第1の区分は、圧縮領域の第1の部分の幅より大きい第1の幅を含む。
【0021】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分の幅は、圧縮領域の第1の部分の内側にある第1のガラスシートに形成された移行部の部分の幅より大きい。
【0022】
好ましくは、第1の曲げツールの成形面は、第1の区分を含み、第1の区分は、第1のガラスシートを支持するように構成された上面を含む。
【0023】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分は、上面の上に形成される。
【0024】
好ましくは、上面は一体的に形成される。
【0025】
好ましくは、第1の区分は、外側部分および内側部分も含み、外側部分は、外側縁部から内側部分まで延在し、内側部分は、外側部分から内側縁部まで延在する。
【0026】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分は、外側部分の上に形成され、移行部は、内側部分の上の第1のガラスシートに形成される。
【0027】
好ましくは、内側部分は、厚さが内側縁部に向かって徐々に減少する。
【0028】
好ましくは、第1の区分は、内側縁部も含み、圧縮領域の第1の部分は、上面の上に形成され、圧縮領域の第1の部分の内側端部は、第1の区分の内側縁部の上に形成される。
【0029】
ガラス物品の実施形態も提供される。ある実施形態では、本ガラス物品は第1のガラスシートを含む。第1のガラスシートは、第1のガラスシートに形成された圧縮領域および張力領域を含む。圧縮領域は、20~100MPaの圧縮領域応力を呈し、第1のガラスシートの縁部に形成される。圧縮領域は、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分の幅は、第2の部分の幅より大きい。
【0030】
好ましくは、引張領域は、第1のガラスシートの第2の部分に形成され、第1のガラスシートの第2の部分は、第1のガラスシートの縁部の内側に位置し、移行部は、第1のガラスシート中、第1のガラスシートの第3の部分に形成される。
【0031】
好ましくは、本ガラス物品は、圧縮領域の第1の部分の上に位置決めされ、第1ガラスシートと機械的に連通する第1の端子コネクタをさらに含む。
【0032】
好ましくは、第1のガラスシート中の移行部は、第1のガラスシートと機械的に連通する第1の端子コネクタの内側にある。
【0033】
好ましくは、本ガラス物品は、第1の端子コネクタと離間した関係にある第2の端子コネクタをさらに含む。
【0034】
好ましくは、第1の端子コネクタは、第1のガラスシートの周縁部の一部分と、離間した平行な関係にある。
【0035】
好ましくは、第1のガラスシートの縁部は、第1の縁部および第2の縁部を含み、圧縮領域の第1の部分は第1の縁部に形成され、圧縮領域の第2の部分は第2の縁部に形成される。
【0036】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分は、圧縮領域の第2の部分と離間した関係にある。
【0037】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分は、圧縮領域の第2の部分に隣接している。
【0038】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分は、第1のガラスシートの周縁部から圧縮領域の第2の部分まで延在する。
【0039】
好ましくは、圧縮領域の第1の部分から圧縮領域の第2の部分への移行部は、鋭く定義される。
【0040】
好ましくは、第1のガラスシート中の移行部は湾曲部分を含む。
【0041】
好ましくは、第1のガラスシート中の移行部は直線部分を含む。
【0042】
好ましくは、第1のガラスシート中の移行部は、第1の部分を含み、第1の部分は、第1のガラスシートの縁部から延在し、第2の部分は、第1の部分と平行な関係で設けられ、第2の部分は、第1のガラスシートの縁部から延在し、第3の部分は、第1の部分を第2の部分に接続する。
【0043】
好ましくは、第3の部分は、第1の部分および第2の部分と垂直な関係で設けられている。
【0044】
好ましくは、第1のガラスシートの縁部は、第1の縁部を含み、圧縮領域の第1の部分および圧縮領域の第2の部分は、第1の縁部に形成される。
【0045】
好ましくは、第1の部分の幅は、第1の部分の第1の端部に向かう方向に徐々に増大する。
【0046】
好ましくは、第1のガラスシートの移行部は、0MPaの領域応力を呈し、引張領域は、8MPa未満の引張領域応力を呈する。
【0047】
好ましくは、ガラス物品は、第1のガラスシートと第2のガラスシートとの間に設けられたポリマー中間層をさらに含む。
【0048】
好ましくは、第1のガラスシートは成形される。
【0049】
好ましくは、成形された第1のガラスシートは、平坦であるかまたは曲げられている。
【0050】
好ましくは、第1のガラスシートにおいて、移行部は、圧縮領域と引張領域との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の上記および他の利点は、添付の図面に照らして考慮すると、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。
【0052】
【
図1】本発明によるガラス成形ラインのある実施形態の概略図である。
【
図2】
図1のガラス成形ラインの使用に好適な第1の曲げツールの一部分のある実施形態の斜視図である。
【
図3】第1の曲げツールのある実施形態の一部分および第2の曲げツールのある実施形態の一部分の断面図である。
【
図3A】第1の曲げツールの別の実施形態の一部分および第2の曲げツールのある実施形態の一部分の断面図である。
【
図4】
図1のガラス成形ラインの使用に好適な第1の曲げツールの一部分の別の実施形態の上面図である。
【
図5】本発明によるガラス物品のある実施形態の正面図である。
【
図5A】
図5のガラス物品の一部分の拡大図である。
【
図6】6-6線に沿った
図5Aのガラス物品の一部分の断面図である。
【
図7】本発明によるガラス物品の別の実施形態の正面図である。
【
図8】本発明によるガラス物品のさらに別の実施形態の正面図である。
【
図9】本発明によるガラス物品のさらなる実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、逆のことが明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の配向およびステップシーケンスを想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される具体的な物品、アセンブリ、および機能が、本発明の概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、開示された実施形態に関する具体的な寸法、方向、または他の物理的特徴は、特に断りのない限り、限定的であるとみなされるべきではない。また、そうではない場合もあるが、本明細書に記載の様々な実施形態における同様の要素は、本出願の本項内において同様の参照番号で一般に参照され得る。
【0054】
ガラス物品の形成方法および本方法により形成されたガラス物品の実施形態が、本明細書で、
図1~9を参照して説明される。
【0055】
本方法は、第1のガラスシート10を提供することを含む。ある実施形態では、第1のガラスシート10は、ソーダ石灰シリケート組成を有する。典型的なソーダ石灰シリケートガラス組成物は、SiO2 69~74%、Al2O3 0~3%、Na2O 10~16%、K2O 0~5%、MgO 0~6%、CaO 5~14%、SO3 0~2%、およびFe2O3 0.005~2%(重量)である。ある特定の実施形態では、第1のガラスシート10は、低鉄組成であってもよい。これらの実施形態では、第1のガラスシート10は、200ppm未満のFe2O3を含んでもよい。ガラス組成物は、他の添加物、例えば、通常2%までの量で存在する精製助剤を含有してもよい。他の実施形態では、第1のガラスシート10は、別の組成であってもよい。例えば、第1のガラスシート10は、ボロシリケート組成またはアルミノシリケート組成であってもよい。第1のガラスシート10として使用するのに好適なアルミノシリケート組成のガラスの例は、Corning Incorporatedにより製造販売されているGorilla(登録商標)Glassである。
【0056】
第1のガラスシート10は、厚さが0.5~25ミリメートル(mm)の間、典型的には厚さが0.5~8mmの間であってもよい。第1のガラスシート10が十分に薄い場合、第1のガラスシート10は化学的に強化されることが望ましい場合がある。好適な化学強化アルミノシリケートガラスの例は、前述のGorilla(登録商標)Glassである。ソーダ石灰シリケートガラス組成を有する好ましい化学強化ガラスはglanova(商標)であり、これはNippon Sheet Glass Co.Ltd.によって製造販売されている。他の化学強化ガラスも、第1のガラスシート10として使用するのに好適である。
【0057】
第1のガラスシート10の形状は、実施形態によって異なり得る。ある特定の実施形態では、第1のガラスシート10は、ほぼ長方形の形状を有してもよい。第1のガラスシート10は、第1の主面14および第2の主面16を有する。第2の主面16は、第1の主面14に対向する。また、第1のガラスシート10は縁部18を含む。縁部18は、平坦であることも湾曲していることもできる。縁部は、第1の主面14と第2の主面16との間に配置された第1のガラスシート10の1つ以上の部分を含む。第1のガラスシート10はまた、周縁部20を含む。ある実施形態では、周縁部20は、第1の主面14を第2の主面16に接続する第1のガラスシート10の副面である。
【0058】
縁部18は、1つ以上の部分を含んでもよい。ある実施形態では、縁部18は、第1の縁部および第2の縁部を含んでもよい。第1の縁部は、第1のガラスシート10の前縁部を指しても後縁部を指してもよい。あるいは、第1の縁部は、第1のガラスシート10の第1の柱縁部を指しても第2の柱縁部を指してもよい。第2の縁部は、前縁部を指しても後縁部を指してもよい。例えば、第1の縁部が前縁部を指す場合、第2の縁部は後縁部を指し得る。あるいは、第2の縁部は、第1の柱縁部を指しても第2の柱縁部を指してもよい。このため、一例として、第1の縁部が前縁部または後縁部を指す場合、第2の縁部は、第1の柱縁部または第2の柱縁部を指し得る。上記の実施形態では、前縁部および後縁部は、第1のガラスシート10の両端に配置されている。第1の柱縁部および第2の柱縁部は、第1のガラスシート10の両側に配置されている。いくつかの実施形態では、第1のガラスシート10の縁部18は、第1の縁部、第2の縁部、第3の縁部、および第4の縁部を含んでもよい。
【0059】
好ましくは、第1のガラスシート10は、1つ以上のツール32、96を利用して成形される。成形後、第1のガラスシート10は、ほぼ平坦であっても曲がっていてもよい。好適なガラス成形プロセスの例は、ガラス成形ライン22の実施形態を示す
図1を参照して説明される。ある特定の実施形態では、ガラス成形ライン22は、プレス曲げタイプのものである。他の実施形態(図示せず)では、ガラス成形ラインは、重力曲げタイプのものであってもよい。
【0060】
ガラス成形ライン22は予熱炉24を含んでもよい。予熱炉24は、第1のガラスシート10の成形が起こる前に第1のガラスシート10を加熱する働きをする。予熱炉24では、第1のガラスシート10は、成形に好適な温度に加熱される。例えば、第1のガラスシート10は、590~670℃の温度に加熱されてもよい。したがって、第1のガラスシート10は、加熱されたガラスシートとも称され得る。
【0061】
第1のガラスシート10は、ローラ26上で予熱炉24を通過してもよい。設けられている場合、ローラ26は離間している。加熱された状態の第1のガラスシート10は変形性であり、したがってより大きな支持を必要とするので、ローラ26の間隔は予熱炉24の出口付近で減少する。
【0062】
予熱炉24の後には曲げステーション28が続く。曲げステーション28は、停止デバイス30を含んでもよい。停止デバイス30は、第1のガラスシート10が第1の曲げツール32に堆積される前に曲げステーション28を越えて移動するのを防ぐために使用される。曲げステーション28はまた、複数の可動ローラ34を含んでもよい。しかしながら、曲げステーション28は、第1のガラスシート10を輸送および移送のための代替機構を備えてもよいことを理解されたい。図示の実施形態では、第1のガラスシート10が予熱炉24を出るとすぐに、第1のガラスシート10は、予熱炉24内のローラ26から可動ローラ34に輸送される。第1のガラスシート10は、複数の可動ローラ34上に輸送された後、ガラスの移動方向に移動し続ける。可動ローラ34は、第1のガラスシート10を第1の曲げツール32上に堆積させ位置決めするのを容易にするために垂直に移動してもよい。第1のガラスシート10が成形された後、可動ローラ34は、成形されたガラスシートを曲げツール32から離して持ち上げるために上方向に移動してもよい。エアリフトアセンブリ(図示せず)が曲げステーションに設けられてもよい。設けられている場合、エアリフトアセンブリは、ガラスシートを第1の曲げツール上に位置決めし、ガラスシートを可動ローラから曲げツールに移送するのを容易にすることにより、ローラマークによる光学的歪を解消するのに役立つ。第1のガラスシート10が第1の曲げツール32に堆積された後、成形される前に、第1のガラスシート10の位置は、1つ以上の位置決めアセンブリ(図示せず)を利用して調整されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1のガラスシート10は、第1の曲げツール32上で成形される。第1の曲げツール32は、雌型ツールであってもよい。ある実施形態では、第1の曲げツール32はリング型の金型である。
図2に最もよく示されているように、第1の曲げツール32は、ガラスシートを支持するように構成されているほぼ長方形の外形または外縁を有してもよく、ガラスシートも長方形の外形を有する。
【0064】
第1の曲げツール32は、成形面36、具体的には凹状成形面を含む。本明細書で使用するとき、第1の曲げツール32の成形面36は、ガラスシートが堆積される第1の曲げツール32の部分、およびその任意の位置、構成、または配向を指す。より具体的には、第1の曲げツール32は上側成形面36を含み、その上でガラスシートが成形され支持される。第1のガラスシート10が第1の曲げツール32によって受け取られた後、第1のガラスシート10は成形面36上で支持される。成形面36は、その周縁区域で第1のガラスシート10を支持するように構成されてもよい。第1の曲げツール32はまた、その上でガラスシートの束、具体的には炭酸カルシウムなどの好適な離型剤によって分離された入れ子状の対を支持してもよい。
【0065】
第1のガラスシート10が第1の曲げツール32上に堆積された後、第1のガラスシート10の縁部18は、第1の曲げツール32の成形面36の上に配置される。この位置で、第1のガラスシート10の縁部18は、第1の曲げツール32の成形面36と接触している。本明細書で使用するとき、第1のガラスシート10の縁部18は、第1の曲げツール32の成形面36の上に配置され、かつそれと接触している第1のガラスシート10の部分(複数可)を指す。
【0066】
成形ツール(複数可)32、96と接触している間に、温度分布が第1のガラスシート10において確立される。その後、第1のガラスシート10が冷却されると、これらの温度差の結果としてシート材料に応力が発生する。この応力場の1つの成分は、「領域」または「区域」応力と称されてもよい。領域応力は、好適な偏光器を使用し、当業者に既知の技術を使用して検分または測定してもよく、あるいは、例えば、Sharples Stress Engineers Ltd,Unit 29 Old Mill Industrial Estate,School Lane,Bamber Bridge,Preston,Lancashire,PR5 6SY UKから入手可能な反射におけるSharples S-69 Edge Stress Meter(http://www.sharplessstress.com/edgestress.htm)によって測定してもよい。また、測定されるガラス表面の1つ以上にオブスキュレーションバンド(または同様のもの)がない場合は、透過において領域応力測定を行ってもよい。
【0067】
第1のガラスシート10の縁部18は、第1の曲げツール32の成形面36、好ましくは第2の曲げツール96の成形面98と接触しているので、この縁部は、成形中に成形面36と接触していない第1のガラスシート10の他の部分38、40より速く冷却されることになる。第1のガラスシート10の縁部18を第1のガラスシート10の他の部分38、40より速く冷却することで、圧縮領域42を縁部18に形成することができる。成形後、第1のガラスシート10は、第1のガラスシートに張力領域44および移行部46も含むようになる。
【0068】
圧縮領域42、張力領域44、および移行部46は、各々、第1のガラスシート10に作用する力によって特徴付けることができる。圧縮領域42では、圧縮領域応力が形成される。いくつかの実施形態では、20~100MPaの圧縮領域応力が圧縮領域42で呈される。好ましくは、20~50MPaの圧縮領域応力が圧縮領域42で呈される。エネルギーの保存により、引張領域応力の平衡区域が引張領域44に形成される。好ましくは、8MPa未満の引張領域応力が引張領域44で呈される。移行部は、圧縮領域42と張力領域44との間に形成される。移行部は、第1のガラスシート内、かつ圧縮領域42と張力領域44との間に形成されるゼロ領域応力の線である。移行部46では、0MPaに等しい領域応力が呈される。
【0069】
圧縮領域42は、第1のガラスシート10の縁部18に形成される。圧縮領域42は、第1のガラスシート10が配置され接触する成形面36の部分に対応する。このため、第1の曲げツール32の成形面36は、圧縮領域42の1つ以上の部分48、50の位置、サイズ、および形状を画定するために利用することができる。
【0070】
移行部46は、第1のガラスシート10の別の部分38に形成される。第1のガラスシート10のこの部分38は、第1のガラスシート10の縁部18に隣接し、成形中に第1の曲げツール32の上に配置されるが接触はしない。よって、第1の曲げツール32の成形面36の構成を利用して、所定の位置に移行部46を設けることができる。以下でより詳細に説明するように、第1の曲げツール32の成形面36の外周52は、第1ガラスシート10によって覆われていない。
【0071】
好ましくは、圧縮領域42は、第1の部分48および第2の部分50を含む。第1の部分48は、第2の部分50の幅W2より大きい幅W1を有する。第1の部分48の幅W1は、第1の部分48の内側端部に隣接する移行部46の部分に向かって内側に第1のガラスシート10の周縁部20に垂直に測定される。同様に、第2の部分50の幅W2は、第2の部分50の内側端部に隣接する移行部34の部分に向かって内側に第1のガラスシート10の周縁部に垂直に測定される。第1の部分48の幅W1および第2の部分50の幅W2の測定を説明するために使用されるとき、垂直とは、第1のガラスシートの周縁部の接線に対してを意味する。加えて、第1の部分48の幅W1は、第1の部分48の内側端部に隣接する移行部46の部分の幅より大きいことが好ましい。
【0072】
第1の部分48の幅W1は5mm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分48の幅W1は12.5mm以上である。そのような一実施形態では、第1の部分48の幅W1は12.5~100mmである。別の実施形態では、第1の部分48の幅W1は12.5~75mmである。これらの実施形態では、第1の部分48の幅は12.5~50mmであることが好ましい場合がある。より好ましくは、第1の部分48の幅W1は12.5~25.4mmであってもよい。第2の部分50の幅W2は2.5mm以上であってもよい。ある実施形態では、第2の部分50の幅W2は5mm以上である。他の実施形態では、第2の部分50の幅W2は12.5mm以上である。そのような一実施形態では、第2の部分50の幅W2は12.5~100mmである。別の実施形態では、第2の部分50の幅W2は12.5~75mmである。これらの実施形態では、第2の部分50の幅W2は12.5~50mmであることが好ましい場合がある。より好ましくは、第2の部分50の幅W2は12.5~25.4mmである。さらにより好ましくは、第2の部分50の幅W2は12.5~20mmである。
【0073】
成形面36は、第1の部分48および第2の部分50を形成するために利用される。第1の部分48は、幅W1が第2の部分50の幅W2より大きいので、第1曲げツール32の成形面36を利用して、第1の部分48の幅W1および第2の部分50の幅W2を画定することができる。また、第1の曲げツール32の成形面36を利用して、圧縮領域42またはその一部に所望の形状を提供することができる。例えば、第1の曲げツール32の成形面36を利用して、圧縮領域42にほぼ長方形の外形または規則的な形状の別の外形を提供することができる。あるいは、第1の曲げツール32の成形面36を利用して、圧縮領域42に不規則な形状の外形を提供することができる。成形面36は、第1の縁部54に第1の部分48を、第2の縁部56に第2の部分50を、または第1の縁部54に第1の部分48および第2の部分50を形成するためにも利用できる。
【0074】
図2および
図4に示すものなどのある特定の実施形態では、成形面36は、第1の区分58によって少なくとも部分的に画定される。いくつかの実施形態では、第1の曲げツール32の成形面36は、第2の区分60によって少なくとも部分的に画定される。第1の区分58は、第2の区分60から離間している。説明および図示された実施形態では、第1の区分58は、第1のガラスシート10の後縁部を受け入れるように構成されているものとして説明および図示される。しかしながら、第1の区分58は、第1のガラスシート10の前縁部または第1のガラスシート10の柱縁部を受け入れるように構成された区分を指し得ることを理解されたい。第1のガラスシート10の特定の縁部が受け取られると、第1の区分58は、第1のガラスシート10の縁部を支持するように構成される。好ましくは、第1の区分58によって画定される成形面36の部分は、一体的に形成される。加えて、ある特定の実施形態では、第2の区分60は、第1のガラスシート10の前縁部を受け入れるように構成されているものとして説明および図示される。しかしながら、第2の区分60は、第1のガラスシート10の後縁部または第1のガラスシート10の柱縁部を受け入れるように構成され得ることを理解されたい。第1のガラスシート10の特定の縁部が受け取られると、第2の区分60は、第1のガラスシート10の縁部を支持するように構成される。好ましくは、第2の区分60によって画定される成形面36の部分は、一体的に形成される。
【0075】
第1の区分58および第2の区分60の一方の端部には、第3の区分62が位置決めされる。より具体的には、第3の区分62の第1の端部は第1の区分58の第1の端部から離間し、第3の区分62の第2の端部は第2の区分60の第1の端部から離間する。設けられている場合、第3の区分62は、第1の曲げツール32の成形面36を少なくとも部分的に画定する。好ましくは、第1の区分98によって画定される成形面36の部分は、一体的に形成される。ある特定の実施形態では、第3の区分62は、第1のガラスシート10の柱縁部を受け入れるように構成される。これらの実施形態では、第1のガラスシート10の特定の縁部が受け取られると、第3の区分62は、第1のガラスシート10の縁部を支持するように構成される。
【0076】
第1の区分58および第2の区分60の別の端部には、第4の区分64が位置決めされる。より具体的には、第4の区分64の第1の端部は第1の区分58の第2の端部から離間し、第4の区分64の第2の端部は第2の区分60の第2の端部から離間する。設けられている場合、第4の区分64は、第1の曲げツール32の成形面36を少なくとも部分的に画定する。好ましくは、第4の区分64によって画定される成形面36の部分は、一体的に形成される。ある特定の実施形態では、第4の区分64は、第1のガラスシート10の柱縁部を受け入れるように構成される。これらの実施形態では、第1のガラスシート10の特定の縁部が受け取られると、第4の区分64は、ガラスシート10の縁部を支持するように構成される。
【0077】
図2および4に示すように、設けられている場合、第1の区分、第2の区分、第3の区分、および第4の区分は、各々、第1の曲げツール32の成形面36の別個の部分を画定してもよい。第1のガラスシート10が成形面36上で支持されると、第1のガラスシート10は、第1の区分58、第2の区分60、第3の区分62、および第4の区分64の上に配置される。圧縮領域42の一部は、各区分58~64上に形成されてもよい。例えば、ある実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48は、第1の区分58の上に形成されてもよい。これらの実施形態では、圧縮領域42の第2の部分36は、第1の区分58、第2の区分60、または別の区分62、64の上に形成されてもよい。
【0078】
組み合わせて、区分58~64は、ほぼ長方形の外形を画定してもよい。特定の実施形態では、第1の区分58、第2の区分60、第3の区分62、および第4の区分64は、第1のガラスシート10をその周縁区域で支持するリングとして構成される。しかしながら、成形面36は他の構成を有してもよい。例えば、ある実施形態では、第1の区分58は、第2の区分60と平行な関係で設けられない場合がある。他の実施形態では、第3の区分62は、第4の区分64と平行な関係で設けられない場合がある。さらに他の実施形態では、成形面36の外形は、台形であってもよく、または成形される特定のガラスシートを支持するように好適に構成された他の形態を有してもよい。また、
図2に示されるように、区分58~64のうちの1つ以上は、1つ以上の湾曲部分を含んでもよい。
【0079】
区分58~64の位置は、区分58~64に取り付けられた1つ以上の支持体66の長さを増加または減少させることにより、垂直方向に調節される。
図2に最もよく示されているように、各支持体66は特定の区分58~64に取り付けられ、反対側の端部では、各支持体66はベース部材68に取り付けられる。一方の端部では、各ベース部材68は支持体66に取り付けられ、反対側の端部では、各ベース部材68はフレーム70に取り付けられる。
【0080】
また、
図1は、第1の曲げツール32および成形面36に対するガラスの移動方向を示していることに留意されたい。いくつかの実施形態では、第1の曲げツール32は、ガラスの移動方向が第1の区分58によって受け取られる第1のガラスシート10の後縁部を有するように配向される。第1の曲げツール32および成形面36は、ガラスシート10の後縁部が別の区分60~64によって受けられるように、ガラスの移動方向に対して別の様式で配向され得ることを理解されたい。例えば、別の実施形態(図示せず)では、第1の曲げツールは、上記の実施形態に対して180度で配向されてもよい。この実施形態では、第1の曲げツールは、第2の区分が第1のガラスシートの後縁部を受け入れるように、ガラスの移動方向に対して配向される。
【0081】
各々第1の区分58の一部を示す
図3~3Aを参照すると、各区分58~64は、1つ以上の加熱要素72と機械的に連通していてもよい。1つ以上の加熱素子72は、第1のガラスシート10を成形する前に区分58~64を加熱するために利用される。2つの加熱要素72は、特定の区分58~64と機械的に連通していてもよい。
【0082】
また、各区分58~64は、保護カバー74を備えてもよい。保護カバー74は、各区分58~64の支持部材76を第1のガラスシート10から分離し、第1のガラスシート10が成形されているときに第1のガラスシート10と成形接触する。好ましくは、保護カバー74は、例えば、ステンレス鋼、ガラス繊維、ポリフェニレンテレフタルアミド繊維(例えば、Kevlar(商標))、材料ブレンド(materials blended)Kevlar(商標)、黒鉛を含有するポリベンゾオキサール(polybenzoxale)(PBO)繊維、(例えば、Zylon(商標))、またはこれらの繊維の様々な織物で作製された布を含む。
【0083】
各区分58~64には幅がある。示されるように、特定の区分の幅は、区分の外側縁部に対して垂直に、区分の内側縁部まで測定される。
図2に示すものなどのいくつかの実施形態では、第1の区分58は、幅が第2の区分60の幅より大きくなるように構成されてもよい。別の実施形態では、第1の区分58は、幅が残りの区分62、64の幅よりも大きい。例えば、第1の区分58は、幅が、第2の区分60、第3の区分62、および第4の区分64のうちの1つ以上の幅の2倍を超えてもよい。別の実施形態(図示せず)では、例えば第1の区分および第2の区分または第3の区分などの2つ以上の区分は、各々、幅が、例えば第4の区分などの残りの区分のうちの1つ以上の幅より大きい。これらの実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48および第2の部分50は、例えば第1の区分58および第2の区分60などの異なる区分の上に形成されてもよい。他の実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48および第2の部分50は、例えば第1の区分58などの単一の区分の上に形成される。この実施形態では、
図4に示されている第1の区分58は、第1の幅W
FS1および第2の幅W
FS2を含み、第1の幅W
FS1は、第2の幅W
FS2より大きい。
【0084】
再び
図3を参照すると、各区分58~64は、第1のガラスシート10を第1の曲げツール32に堆積させることを可能にし、第1のガラスシート10の周縁部20と各区分58~64の外側縁部80との間に間隔78を設ける幅であってもよい。例えば、圧縮領域42の第1の部分48が第1の区分58の上に形成される場合、第1の区分58の幅W
FSは、圧縮領域42の第1の部分48の幅W
1より大きくてもよい。好ましくは、第1のガラスシート10の周縁部20と各区分58~64の外側縁部80との間の各間隔78は、他の間隔に等しい。いくつかの実施形態では、第1のガラスシート10の周縁部20と各区分58~64の外側縁部80との間の間隔78は、1.5~13mmであってもよい。他の実施形態では、第1のガラスシート10の周縁部20と各区分58~64の外側縁部80との間の間隔78は、3.0~6.5mmであってもよい。有利には、第1のガラスシート10の周縁部20と各区分58~64の外側縁部80との間に間隔78を設けることにより、第1のガラスシート10を第1の曲げツール32に堆積させる際の許容差が可能となる。
【0085】
また、各区分58~64の幅は、区分58~64の上に形成された圧縮領域42の部分の幅より大きくてもよいことに留意されたい。例えば、圧縮領域42の第1の部分48が、
図3および
図3Aに最もよく示されている第1の区分58の上に形成される場合、第1の区分58の幅W
FSは、圧縮領域42の第1の部分48の幅W
1より大きい。他の実施形態では、例えば、圧縮領域42の第1の部分48が第1の区分58の上に形成され、圧縮領域42の第2の部分50も第1の区分58の上に形成される場合、第1の区分58の第1の幅W
FS1は、圧縮領域42の第1の部分48の幅W
1より大きくてもよく、第1の区分58の第2の幅W
FS2は、圧縮領域42の第2の部分36の幅W
2より大きくてもよい。
【0086】
外側縁部80から、各区分58~64の外側部分82は内側部分84まで内側に延在する。内側部分84は、外側部分82から内側縁部86まで延在する。
図3Aに示すものなどのある特定の実施形態では、内側部分84は、厚さが内側縁部86に向かって徐々に減少する。これらの実施形態では、間隔88により、移行部46が形成される第1のガラスシート10の部分40と第1の曲げツール32とが分離される。
図3Aに示される実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48が区分58の外側部分82の上に形成され、移行部46が区分58の内側部分84の上に形成されることにも留意されたい。
【0087】
図3に示されるものなどの他の実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48の内側端部92は、例えば第1の区分58などの区分の内側縁部86に隣接して形成される。この実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48の内側端部92は、第1の区分58の内側縁部86の上に形成される。より具体的には、この実施形態では、圧縮領域42の第1の部分48の内側端部92は、第1の区分58の内側縁部86と整列していてもよい。さらに、この実施形態では、移行部46は、第1の区分58の内側縁部86の内側に位置する第1のガラスシート10の部分40に形成される。
【0088】
図3および
図3Aに示すように、圧縮領域42と引張領域44との間の移行部46は、成形面36の内側縁部94の内側の第1のガラスシート10に形成される。好ましくは、移行部46は、第1の曲げツール32の成形面36の内側縁部94のすぐ内側にある第1ガラスシート10の部分40に形成される。これらの実施形態では、例えば第1の区分58などの各区分は、第1のガラスシート10の縁部を支持するように構成され、この縁部の内側端部は、第1の曲げツール32の成形面36の内側縁部94と整列する。
【0089】
再び
図1を参照すると、曲げステーション28は、第1の曲げツール32、およびある特定の実施形態では、第2の曲げツール96を含む。ガラスシート10が第1の曲げツール32に堆積された後、ガラスシート10の第1の主面14は、
図3および
図3Aに示されるように、第1の曲げツール32の成形面36に面する。第2の曲げツール96が設けられる場合、ガラスシート10の第2の主面16は、第2の曲げツール96の成形面98に面する。
【0090】
第1のガラスシート10がプレス曲げによって成形される場合、第2の曲げツール96は、曲げる前に第1のガラスシート10に向かって動いてもよい。第1のガラスシート10が成形された後、第2の曲げツール96は第1のガラスシート10から離れるように動いてもよい。第1のガラスシート10がプレス曲げされることになる場合、第1のガラスシート10が成形面36に堆積されると、第1の曲げツール32および第2の曲げツール96が互いに向かって動き始めて、第1のガラスシート10をプレス曲げする。第1の曲げツール32および第2の曲げツール96の動きに続いて、第1のガラスシート10は、曲げツール32と96との間でプレス曲げされる。また、ある特定の実施形態では、第1の曲げツール32は、第2の曲げツール96に向かって動いてもよく、第2の曲げツール96は動かない。
【0091】
第2の曲げツール96は、雄型ツールであってもよい。ある実施形態では、第2の曲げツール96は、フルフェイス型の金型である。これらの実施形態では、第2の曲げツール96は、凸状の成形面を備えてもよい。また、第1のガラスシート10の縁部18と第2の曲げツール96との間の接触により、縁部18が冷却され、その中に圧縮領域42が形成される。ある特定の実施形態では、圧縮領域42の部分48、50は、第1のガラスシート10が第1の曲げツール32および第2の曲げツール96の両方と同時に接触するとき、第1のガラスシート10の縁部18に形成されることが好ましい。
【0092】
プレス中、第1のガラスシート10を所望の形状に形成するのを容易にするために、第2の曲げツール96に形成された通路100に真空を引いてもよい。第2の曲げツール96が第1のガラスシート10を保持するのを支援するために、断熱構造(図示せず)を第1の曲げツール32の成形面36の近くに配置してもよい。より具体的には、断熱構造は、第1の区分58によって画定される成形面36の部分102および1つ以上の追加の区分60~64によって画定される成形面36の部分104~108の近くに配置されてもよい。断熱構造は、第1のガラスシート10の縁部18に隣接する第1のガラスシート10のある特定の部分からの熱損失を防ぐのに役立つ。ある特定の実施形態では、断熱構造は、張力領域44のある特定の部分が形成される場所である第1のガラスシート10に隣接して配置される。第1のガラスシート10のこれらの部分からの熱損失を防止することにより、真空が第1のガラスシート10を所望の形状に形成するための好適な保持力を提供できるようになる。
【0093】
通路100の位置は、第2の曲げツール96の構成および第1のガラスシート10の幾何形状によって決定することができる。成形が完了すると、通路100を通して加えられる陽圧によって、第1のガラスシート10が第2の曲げツール96から解放され得る。
【0094】
曲げステーション28は、図示の曲げツール32、96より多くを含んでもよく、
図1に示す位置以外の位置に配向されてもよく、固定された曲げツールを有してもよいことが理解され得る。曲げ工程が完了すると、搬送デバイス(図示せず)が、第1のガラスシート10を徐冷炉110内に輸送する役割を果たす。徐冷炉110において、ガラスシート10は、当該技術分野で知られているように強化または焼きなましされ、取り扱いできる温度に冷却される。
【0095】
徐冷炉100から取り出された後、第1のガラスシート10は、ガラス物品200の構築に使用されてもよい。ガラス物品200は、例えば、車両のフロントガラスなどのウィンドウアセンブリの一部として利用されてもよい。しかしながら、ガラス物品200は他の車両用途を有してもよい。例えば、ガラス物品200を利用して、サイドウィンドウ、サンルーフ、またはリアウィンドウを形成してもよい。そのようなウィンドウアセンブリは、単層であっても積層されていてもよい。ウィンドウアセンブリは、車両の任意の適切なボディ開口部に取り付けられてもよい。本明細書に記載のガラス物品200がオンハイウェイおよびオフハイウェイ車両に用途を有し得ることを、当業者は理解すべきである。さらに、ガラス物品200は、建築、電子、工業、機関車、海軍、航空宇宙、および他の用途を有してもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0096】
これより、圧縮領域42、張力領域44、および第1のガラスシート10に形成された圧縮領域42と張力領域44との間の移行部46の実施形態を、
図5~
図9に示すガラス物品200を参照して説明する。
【0097】
縁部18が第1の縁部54および第2の縁部56を含む
図5および
図9に示すものなどのある特定の実施形態では、第1の部分48は第1の縁部54に形成されてもよく、第2の部分50は第2の縁部56に形成されてもよい。
図5に示す実施形態では、第1の縁部54は後縁部であってもよく、第2の縁部56は前縁部であってもよい。この実施形態では、第1の部分48は、第2の部分50と離間した関係にある。
図7~
図8に示すものなどの他の実施形態では、縁部18が第1の縁部54を含む場合、第1の部分48および第2の部分50は、各々、第1の縁部54に形成されてもよい。さらに他の実施形態では、第1の部分48は第2の部分50に隣接してもよい。例えば、
図7~
図8に示すように、第1の部分48および第2の部分50が各々同じ縁部に形成される場合、第1の部分48は第2の部分50に隣接してもよい。あるいは、
図9に示すように、第1の部分48が第1の縁部54に形成され、第2の部分50が第2縁部56に形成されるとき、第1の部分48は第2の部分50に隣接してもよい。この実施形態では、第1の縁部54は、前縁部であっても後縁部であってもよく、第2の縁部56は、柱縁部であってもよい。別の実施形態(図示せず)では、第1の縁部は柱縁部であってもよく、第2の縁部は前縁部であっても後縁部であってもよい。
【0098】
図9に示すように、第1の部分48が第1の縁部54に形成され、第2の部分50が第2の縁部56に形成される場合、第1の部分48は、第1のガラスシート10の周縁部20の部分112から第2の部分50までY方向に延在してもよい。また、
図7に示される実施形態を再び参照すると、第1の部分48および第2の部分50が各々第1の縁部54に形成される場合、第1の部分48は、第1のガラスシート10の周縁部20の別の部分114から第2の部分50までX方向に延在してもよい。これらの実施形態では、第1の部分48から第2の部分50への移行部116は、鋭く画定され得る。
【0099】
図7を参照して、第1の部分48の幅W
1は、第1の部分48の第1の端部118に向かってまたは第1の部分48の第2の端部120に向かってX方向に一定であってもよい。あるいは、
図8に示すものなどのある特定の実施形態では、第1の部分48の幅W
1は、第1の部分48の第1の端部118または第2の端部120に向かってX方向に徐々に増加してもよい。上記の実施形態では、
図7に示すように、第2の部分50の幅W
2は、第2の部分50の第1の端部122に向かう方向に一定であってもよい。ある特定の実施形態では、第2の部分50の幅W
2は、第2の部分50の第1の端部122から第2の端部124まで一定であってもよい。
【0100】
張力領域44は、圧縮領域42によって囲繞される。張力領域44は、第1のガラスシート10の第2の部分38に形成される。第1のガラスシート10の第2の部分38は、第1のガラスシート10の縁部18の内側に位置する。このため、引張領域44は、圧縮領域42の内側に設けられる。
【0101】
上記のように、移行部46は、圧縮領域42と張力領域44の間に設けられる。移行部46は、第1のガラスシート10の第3の部分40に形成される。第1のガラスシート10の第3の部分40は、第1のガラスシート10の縁部18と第1のガラスシート10の第2の部分38との間に位置決めされる。第1のガラスシート10の第3の部分40は、第1のガラスシート10の縁部18に隣接する。この位置では、圧縮領域42は移行部46を囲繞する。第1のガラスシート10の第3の部分40も、第1のガラスシート10の第2の部分38に隣接する。この位置では、移行部46は張力領域44を囲繞する。
【0102】
ある特定の実施形態では、移行部46は第1の部分126を含む。第1の部分126は、第1ガラスシート10の縁部18から延在する。第1の部分126は、第1のガラスシート10の縁部18からX方向および/またはY方向に延在してもよい。移行部46はまた、第2の部分128を含んでもよい。第2の部分128は、第1の部分126と平行な関係で設けられてもよい。いくつかの実施形態では、第2の部分128は、第1のガラスシート10の縁部18からX方向および/またはY方向に延在する。
【0103】
さらに、移行部46は、第3の部分130を含んでもよい。第3の部分130は、第1の部分126を第2の部分128に接続してもよい。第3の部分130が第1の部分126を第2の部分128に接続する場合、第3の部分130は、第1の部分126および第2の部分128と垂直な関係で設けられてもよい。他の実施形態では、第3の部分130は、第1の部分126を第2の部分128に接続し、第1の部分126および第2の部分128と斜めの関係で設けられてもよい。第3の部分130が第1の部分126を第2の部分128に接続する実施形態では、第3の部分130はY方向に延在してもよい。
図5に示されるように、第3の部分130は、第1のガラスシート10の縁部18からY方向に延在してもよい。あるいは、
図7に示されるように、第3の部分130は、第1の部分126から第2の部分128へ、またはその逆に、Y方向に延在してもよい。
【0104】
例えば
図7に示されるように、移行部46は直線部分を含んでもよい。この実施形態では、第1の部分126、第2の部分128、および第3の部分130は、直線であってもよい。
図8に示されるものなどの他の実施形態では、移行部46は、例えば第1の部分126などの湾曲部分を含んでもよい。
図5に示されるように、第1の部分126と第3の部分130とを接続する接合部132は、鋭く画定されてもよい。
図7に示されるものなどの他の実施形態では、移行部46の部分を接続する接合部132は、湾曲していてもよい。また、第2の部分128と第3の部分130とを接続する接合部は、鋭利に画定されてもよく、または他の実施形態(図示せず)では、第2の部分128と第3の部分130とを接続する接合部は、湾曲していてもよい。
【0105】
ある特定の条件下では、圧縮領域42の一部分の幅を増加させることが望ましい。例えば、はんだ付けプロセスまたは別の方法を介して第1のガラスシート10と機械的に連通する端子コネクタなどの電気部品を提供することが望ましい場合、圧縮領域42の一部分の幅を増加させることが望ましい場合がある。幅を増加させないと、電気部品は、引張領域44、移行部46、または引張領域応力を有する第1のガラスシート10の別の部分の上に直接位置決めされ得る。第1のガラスシート10と機械的に連通する電気部品を、引張領域44、移行部46、または引張領域応力を有する第1のガラスシート10の別の部分の上に設けることで、第1のガラスシート10の弱体化および破損が生じ得る。有利には、本明細書に記載の実施形態により、圧縮領域42の一部分の幅を増加させることができるようになり、その結果、引張領域応力を有する第1のガラスシート10の他の部分が所定の位置に設けられる。例えば、圧縮領域42の一部分の幅は、適切に構成された曲げツール32、96を利用することにより増加させることができ、その結果、移行部46、張力領域44、および引張領域応力を有する第1のガラスシート10の他の部分の位置が、電気部品の位置の内側となる。
【0106】
ガラス製品200をフロントガラスとして利用することが望まれる場合、第1のガラスシート10を第2のガラスシート12に積層して、ガラス物品200を形成してもよい。第1のガラスシート10および第2のガラスシート12は、同様に構成され、同様の様式で本方法において利用されてもよい。第1のガラスシート10に関連して記載された特性は、第2のガラスシート12によっても呈され得ることを理解されたい。しかしながら、ある特定の実施形態では、第1のガラスシート10および第2のガラスシート12は、異なる構成を有してもよく、または異なる様式で本方法において利用されてもよい。
【0107】
第1のガラスシート10を第2のガラスシート12に積層する場合、第1のガラスシート10と第2のガラスシート12との間にポリマー中間層202が設けられる。例えば
図6に最もよく示されているように、第1のガラスシート10は内側ガラス板として描かれ、第2のガラスシート12は外側ガラス板として描かれている。しかしながら、他の実施形態では、第1のガラスシート10が外側ガラス板であってもよく、第2のガラスシート12が内側ガラス板であってもよいことを理解されたい。
【0108】
好ましくは、ポリマー中間層202は透明であり、可視光に対して実質的に透過性である。任意選択で、ポリマー中間層202は、追加の日照制御機能を提供するために、色付され、かつ/またはIR反射フィルムを含み得る。ポリマー中間層202は、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)または別のポリマーなどの好適なポリマーであるか、またはそれを含む。
図6に示されるものなどのある特定の実施形態では、ポリマー中間層202は、第1のガラスシート10および第2のガラスシート12の形状に実質的に一致する形状の材料のシートとして設けられる。他の実施形態(図示せず)では、ポリマー中間層は、第1のガラスシートまたは第2のガラスシートの形状に実質的に一致する形状で設けられる。
【0109】
ポリマー中間層202は、いずれの好適な厚さであってもよい。ある特定の実施形態では、ポリマー中間層202は、厚さが、0.5~1.6mmである。好ましくは、ポリマー中間層202は、厚さが、0.6~0.9mmである。これらの実施形態では、ポリマー中間層26の典型的な厚さは、0.76mmである。
【0110】
ガラス物品200を形成するために、第1のガラスシート10および第2のガラスシート12は、互いに積層されてもよく、あるいはポリマー中間層202を介してともに接着されてもよい。ポリマー中間層202を介して第1のガラスシート10を第2のガラスシート12に接着し、ガラス物品200を形成するには、当該技術分野で既知の積層プロセスが好適である。一般に、そのような積層プロセスは、第1のガラスシート10と第2のガラスシート12との間にポリマー中間層202を設け、ポリマー中間層202およびガラスシート10、12を所定の温度および圧力に供して、積層されたガラス物品200を創出することを含む。
【0111】
図5および
図7~
図9を再び参照すると、ある特定の条件下では、例えばワイパーが載るガラス物品200の部分204を加熱することが望ましい場合がある。ガラス物品200のこの部分204を加熱することにより、ワイパーが静止しているときにそこに凍結してしまうのを防ぐことができる。ウィンドウアセンブリの前述の部分204は、以降「ワイパー静止領域」と称され得る。ワイパー静止領域204の加熱は、任意の適切な方法によって達成することができる。一実施形態では、ワイパー静止領域204は、電気抵抗加熱により加熱される。
【0112】
電気抵抗加熱は、例えば端子コネクタ206、206Aなどの電気部品を介して第1のガラスシート10に電力を供給することにより達成することができる。端子コネクタ206は、ワイヤアセンブリ208の一部分として設けられてもよい。そのようなワイヤアセンブリ208を利用して、電力を、電源(図示せず)から導電性ワイヤ210を通じて端子コネクタ206、206Aに伝達してもよい。ワイヤアセンブリ208は、複数の端子コネクタ206、206Aを備えてもよい。しかしながら、ガラス物品200の実施形態を説明する際には、第1のガラスシート10と機械的に連通している1つの端子コネクタ206のみを以下で説明する。ガラス物品200は、第1のガラスシート10と機械的に連通する2つ以上の端子コネクタ206、206Aを備えてもよいことを理解されたい。例えば、
図5Aに最もよく示されているように、第1の端子コネクタ206および第2の端子コネクタ206Aは、第1のガラスシート10と機械的に連通していてもよい。図示されるように、第2の端子コネクタ206Aは、第1の端子コネクタ206と離間した関係にある。実際には、端子コネクタ206、206Aは、第1のガラスシート10に設けられた各母線212、212Aに対して設けられることが好ましい。
【0113】
第1の端子コネクタ206は、第1のガラスシート10の周縁部20の部分214と、離間した平行な関係にある。第1の端子コネクタ206は、母線212に取り付けられる。好ましくは、第1の端子コネクタ206は、
図6に示されるはんだ216を介して母線212に取り付けられる。また、第1の端子コネクタ206は、はんだ216を介して母線212と電気通信する。電力は、電源からワイヤアセンブリ208を通じて導電性ワイヤ210および第1の端子コネクタ206を介して母線212へと伝達され得る。母線212から、ワイパー静止領域204に隣接する導電性トレース218に電力が伝達されて、ワイパー静止領域204を所望の温度に加熱する。母線212および導電性トレース218は、第1のガラスシート10の第1の主面14または第2の主面16のいずれかに形成され得る。
図5~
図6に示される実施形態では、母線212および導電性トレース218は、第1の主面14に形成される。好ましくは、母線212および導電性トレース218は、第1のガラスシート10が成形される前に第1のガラスシート10に形成される。母線212および導電性トレース218は、従来のプロセス、例えば、削除、スパッタリング、またはシルクスクリーンプロセスなどによって形成されてもよい。
【0114】
また、
図6に示されるように、ポッティング層220が、第1のガラスシート10の第1の主面14の上に配置される。ある特定の実施形態では、ポッティング層220は、少なくとも各端子コネクタ206、206A、各母線212、212、および各導電性ワイヤ210の一部分の上に設けられてもよい。ポッティング層220は、ポッティング層220の一部分が各端子コネクタ206、206Aの上に配置されることを可能にする厚さである。ポッティング層220は、端末コネクタ206、206Aを環境的損傷から保護し、端末コネクタ206、206Aを電気的に絶縁する。好適なポッティング層の材料としては、アクリル、シリコーン、ウレタンが挙げられる。しかしながら、他のポッティング層材料も、ウィンドウアセンブリの形成に使用するために好適である。例えば、ガラス物品が車両の側面または後部開口部を閉じるために利用される場合など、ある特定の実施形態(図示せず)では、ポッティング層は利用されない場合があることを理解されたい。
【0115】
保持部材222を利用して、ポッティング層材料が第1のガラスシート10の上に配置された後、硬化する前に、ポッティング層材料が所望される領域から流出するのを防いでもよい。ガラス物品200を形成するために、保持部材22は、第1のガラスシート10の第1の主面14に配置される。これらの実施形態では、保持部材22は、接着剤または別の方法を介して第1の主面14に取り付けられてもよい。好ましくは、保持部材222は、設けられた各端子コネクタ206、206Aの周りに配置されるように構成される。ポッティング層材料が各端子コネクタ206、206Aの上に提供されると、ポッティング層材料は保持部材222によって封じ込められる。ポッティング材料が硬化した後、保持部材222は、保持部材222がポッティング層220の周りに配置されるようにそこに留まるか、または第1のガラスシート10の第1の主面14から取り外されて再利用されてもよい。
【0116】
上述のように、第1の端子コネクタ206は、はんだ216を介して母線212に取り付けられ、それと電気通信する。ガラス物品200の形成における使用には、当該技術分野で既知のはんだ組成物が好適である。ある特定の実施形態では、はんだ216は鉛を含んでもよい。他の実施形態では、はんだ216は、無鉛、すなわち鉛を含有しない。はんだが無鉛の種類である実施形態では、はんだ216は、インジウム、スズ、銀、銅、亜鉛、ビスマス、およびそれらの混合物を含んでもよい。はんだが無鉛の種類である、ある特定の実施形態では、はんだ216は、はんだ中のいずれの他の金属成分よりも多くのインジウムを含む。そのような一実施形態では、はんだ216は、65%のインジウム、30%のスズ、4.5%の銀、および0.5%の銅で構成される。はんだ216が無鉛の種類である他の実施形態では、別の組成物が利用されてもよい。
【0117】
はんだ付けの前に、第1の端子コネクタ206は、母線212の一部分の上に位置決めされる。母線212のこの部分は、圧縮領域42の第1の部分48の上に位置する。このため、第1の端子コネクタ206は、圧縮領域42の第1の部分48の上に位置決めされる。位置決め後、第1の端子コネクタ206は、引張領域44、移行部46、およびある特定の引張領域応力を有する第1のガラスシート10の他の領域の一部分の外側にある、圧縮領域42の第1の部分48の上で、はんだ付けまたは別の好適な方法を介して母線212に取り付けられる。また、母線212全体および導電性トレース218が圧縮領域42の上に設けられてもよいことに留意されたい。圧縮領域42の上に母線212全体および導電性トレース218を設けることも、強度を維持し、第1のガラスシート10の完全性を確保するのに役立ち得る。
【0118】
ガラス物品200は、当該技術分野で既知のはんだ付け方法を使用して形成されてもよい。しかしながら、ある特定の実施形態では、ガラス物品200は、抵抗はんだ付け方法を利用して形成されることが好ましい。より具体的には、第1の端子コネクタ206は、抵抗はんだ付けを介して第1のガラスシート10と機械的に連通した状態で設けられてもよい。抵抗はんだ付けを利用すると、はんだ216をその融点より高い温度に加熱することができ、それによりはんだ216が第1の端子コネクタ206を母線212に取り付けられるようになる。はんだ216の加熱に起因して、第1の端子コネクタ206が、引張領域44、移行部46、または引張領域応力を有する第1のガラスシート10の別の望ましくない部分の上である位置でバスバー212に取り付けられる場合、ガラス物品200は、剥離などの破損を呈し得る。有利にも、本明細書に記載の実施形態は、電気コネクタ206、206Aが圧縮領域42の上に確実に位置決めされるようにすることにより、ガラス破損および剥離を防止および排除するのに役立つ。
【0119】
前述の詳細な説明から、真の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な修正、追加、および他の代替実施形態が可能であることは明らかであろう。本明細書で論じられる実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用の最良の例示を提供するために選択および説明され、それにより、当業者が、本発明を、企図される特定の用途に好適なように、様々な実施形態で、また様々な修正を加えて使用できるようにする。理解されるであろうとおり、そのような修正および変更はすべて、本発明の範囲内にある。