(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】射撃訓練システム
(51)【国際特許分類】
F41G 3/26 20060101AFI20230712BHJP
F41J 9/02 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F41G3/26 Z
F41J9/02
(21)【出願番号】P 2020016174
(22)【出願日】2020-02-03
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西野 真由
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 邦子
(72)【発明者】
【氏名】小峰 幸子
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-169797(JP,A)
【文献】特開2003-343998(JP,A)
【文献】特開2013-245927(JP,A)
【文献】特開2006-258392(JP,A)
【文献】特開2004-116878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0029642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 3/26
F41J 5/00- 5/26
F41J 9/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練場に配置された複数の標的と、
表示装置を有する操作端末と、を含み、
前記複数の標的のおのおのは、衛星から緯度および経度を含む位置情報を取得可能とされ、
前記操作端末は、前記訓練場における前記複数の標的の配置状態を前記複数の標的の前記位置情報に基づいて前記表示装置に表示
し、
前記操作端末は、標的配置画面を前記表示装置に表示する機能を有し、
前記標的配置画面は、
前記訓練場の地図情報が表示される表示領域と、
複数の標的アイコンを含む収納領域と、を含み、
前記複数の標的アイコンのおのおのは、前記訓練場に配置可能な標的を示しており、
前記複数の標的アイコンを前記表示領域へ移動させることにより、対応する標的が前記訓練場に配置される、射撃訓練システム。
【請求項2】
前記表示領域へ移動された前記標的アイコンは、対応する標的の前記位置情報を有する、請求項
1に記載の射撃訓練システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は射撃訓練システムに関し、例えば、実弾に模したレーザ光線や実弾を用いる射撃訓練システムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
標的に対して、弾丸を発する実弾射撃訓練または実弾に模したレーザ光等の光ビームを照射する模擬弾射撃訓練を行う射撃訓練システムがある。射撃訓練システムは、操作端末の操作者によって逐次標的に制御命令を送信するマニュアル制御と、あらかじめ操作者によって定められたパターン(シナリオとも言う)の制御命令を限られた訓練時間中に自動的に操作端末から送信するスケジュール制御(シナリオ制御とも言う)と、によって射撃訓練を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、射撃訓練システムの操作端末で実行される制御プログラムの使い勝手について検討した。その結果、以下に示す課題があることを見出した。
1)訓練場内に配置した標的の配置状況が正確に把握することが難しい。
2)スケジュール制御において、訓練データの作成が難しい。
3)スケジュール制御において、射撃結果に対応した標的の制御が難しい。
【0005】
本開示の目的は、射撃訓練システムの制御プログラムの使い勝手を向上可能な技術を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
一実施の形態に係る射撃訓練システムは、訓練場に配置された複数の標的と、表示装置を有する操作端末と、を含む。前記複数の標的のおのおのは、衛星から緯度および経度を含む位置情報を取得可能とされる。前記操作端末は、前記訓練場における前記複数の標的の配置状態を前記複数の標的の前記位置情報に基づいて前記表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0009】
上記一実施の形態によれば、射撃訓練システムの制御プログラムの使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1に係る射撃訓練システムを説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る操作端末の操作画面を説明するための図である。
【
図3】
図3は、標的アイコンの配置を説明するための図である。
【
図4】
図4は、標的の緯度および経度の情報の取得および確認画面を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図1の訓練場に配置された標的の配置イメージが表示された標的配置画面を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例2に係るシナリオ入力画面を説明する図である。
【
図8】
図8は、スケジュール画面を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施例3に係る複数の標的を用いた射撃訓練を説明する図である。
【
図10】
図10は、スケジュール実行時の条件を付加したスケジュール制御の訓練データを示す図である。
【
図12】
図12は、実行条件の入力エリアおよび飛び先の入力エリアを設けたシナリオ入力画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
まず、課題について説明する。
【0013】
1)射撃訓練システムにおいて、訓練場内に、複数の標的を配置する場合、射撃訓練システムの操作者が各標的を目視で確認し、操作端末の画面において、訓練場を模した訓練エリアに、各標的を模したアイコンを配置することで、訓練エリアにおける全標的の配置状態を作成していた。
【0014】
操作端末において、標的を配置する画面は縮尺や位置情報を示す機能を有しておらず、操作端末の操作者が訓練エリアに標的のアイコンを配置する際の基準となるデータは示されていない。また、標的の配置時、ソフトウェア(制御プログラム)上で保持されている標的の画面上の座標も、使用者に対して表示されないため、目視による曖昧な標的の配置に依る所であり、訓練場内における複数の標的の配置状態を正確に把握することができなかった。
【0015】
2)スケジュール制御は、固定位置からの射撃訓練においては、同じスケジュールを繰り返し使用でき、同一条件下での訓練が容易に行えるという利点がある。しかし、射撃訓練システムの使用者(ユーザ)にとって、スケジュール制御の訓練データの作成自体が難しいと言う課題があった。射撃訓練システムに、訓練データを自動生成する機能を設ける場合がある。訓練データの自動生成は、ユーザに作成する手間を省かせるための機能であり、多くは訓練データに変化を持たせるために乱数を用いて、作成している。しかし、射撃訓練の場合に当てはめると、あらゆるところで均等に変化をつけても、ユーザの望むものとは全く異なる訓練データが作成されてしまう場合があった。また、射撃訓練システムは、ある特定の射撃システムに特化しているのではなく、初期訓練、技能試験、模擬訓練等の様々な用途にユーザが自分たちで訓練データを作ることで、様々な用途に対応できるようになっている。そのため、1つの訓練に合わせて自動生成できるようにしても、他の訓練では、使用できないものになる場合もある。
【0016】
3)また、スケジュール制御では、事前に標的制御内容をスケジュールとして作成するため、射撃結果に関わらず、スケジュール通りに標的が制御されるため、訓練状況に応じた標的の制御を行うことができず、形通りの訓練しか行えない。また、標的を1つしか使用しない場合には問題ないが、複数の標的を使用した訓練時(移動しながら射撃を行う等)には、標的への着弾状態に応じた標的制御が実行できないという課題があった。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る射撃訓練システムを説明するための模式図である。
図1に示す様に、射撃訓練システム100は、数キロメートル四方の訓練場101、演習場または訓練場101に配置された複数の標的102、中継装置であるアクセスポイント106、および、操作端末107等を含む。操作端末107は、射撃訓練システム100の全体を統括および制御する為の制御プログラムを実行する。
【0018】
射撃訓練システム100は、火器を模した訓練器材によるレーザ光照射、あるいは、本来の火器及び実弾を用いた射撃訓練において、複数の射撃対象を模擬した複数の標的102を有する。射撃訓練システム100は、複数の標的102に対し隠滅等の動作を遠隔から送信する信号によって制御可能である。射撃訓練システム100は、操作端末107の操作者によって逐次標的102に制御命令を送信するマニュアル制御と、あらかじめ操作者によって定められたパターン(シナリオとも言う)の制御命令を限られた訓練時間中に自動的に標的102に操作端末107から送信するスケジュール制御(シナリオ制御とも言う)と、によって射撃訓練を実施する機能を有する。射撃訓練システム100は、また、訓練場101に配置した複数の標的102の配置状態(配置イメージともいう)を確認し、かつ訓練時には着弾の有無等を視覚的に表示できる機能と、訓練中標的102に着弾したレーザ光あるいは実弾の着弾位置、着弾時刻を集計し表示、印刷する機能等を有している。
【0019】
複数の標的102のおのおのは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)衛星105と通信するためのGPSアンテナ103、及び、無線回線を中継するアクセスポイント106への送受信を行う無線アンテナ104を有する。訓練場101内には、操作端末107が設置され、操作端末107は、各標的102と同様に、無線アンテナ108を有し、アクセスポイント106と送受信を行うことができるように構成されている。
【0020】
左上の標的102を一例として、通信の流れを説明する。まず、操作端末107からGPS情報を取得するためのコマンドが、アクセスポイント106を介して、標的102の無線アンテナ104に送信される。次に、標的102は、GPS衛星105にGPS位置情報を要求することで、GPS位置情報を取得し、送信用プロトコルに、取得したGPS位置情報に係る緯度および経度の情報の値を格納する。さらに、標的102は、送信用プロトコルを用いて、無線アンテナ104からアクセスポイント106を介して、操作端末107へGPS位置情報を送信する。GPS位置情報を受信した操作端末107は、操作端末107の表示装置107dの画面上に、GPS位置情報をGPS情報画面として表示することができるように構成されている。
【0021】
ここで、操作端末107の表示装置107dの画面上に表示されるGPS情報画面は、後述される
図4のGPS情報画面401と等しいものである。この例においては、GPS情報画面401にGPS位置情報が緯度および経度として表示され、同時に、操作端末107のコンピュータ上で、緯度および経度を訓練場101の相対的な座標として換算した値を、画面配置情報エリア404(
図4参照)に表示することができるように構成されている。また、反映ボタン405(
図4参照)をクリック(押下)する事で、後述される
図2の標的配置画面200へ遷移し、操作端末107の内部で画面配置情報エリア404に表示された値が標的配置画面200へ送信されて、画面配置情報エリア404の値が標的配置画面200に反映される。これにより、実際の標的102の位置を、標的配置画面200内の訓練場101の表示領域201の相対的に換算した位置に表示させることができる。
【0022】
この例では、1つの標的102の位置情報を取得する例を示したが、複数の標的102の位置情報を一斉に取得する処理を行う様に構成することも可能である。
【0023】
図2~
図5を用いて、操作端末107の表示装置107dに表示される画面について説明する。
図2は、実施例1に係る操作端末の操作画面を説明するための図である。
図3は、標的アイコンの配置を説明するための図である。
図4は、標的の緯度および経度の情報の取得および確認画面を説明するための図である。
図5は、
図1の訓練場101に配置された標的の配置イメージが表示された標的配置画面を示す図である。
【0024】
図2には、操作端末107の操作者が複数の標的102の配置を視覚的に確認するための標的配置画面200が示されている。標的配置画面200は、訓練場101の表示領域201と、収納領域(以下、コンテナエリアと言う)202と、を含む。
【0025】
訓練場101の表示領域201には、訓練場101の地図情報が表示されている。表示領域201は、拡大表示および縮小表示の機能を有している。
【0026】
コンテナエリア202には、訓練場101に配備可能な全標的102を示す標的アイコン203が格納されている。この例では、水平最大m個、垂直最大n個の標的アイコン203に対応する全標的102が訓練場101に配備可能である。ここで、mおよびnは正の整数である。コンテナエリア202には、動作ごとに異なるイメージと名称を持ち、個々の標的102を表す標的アイコン203(この例では、的01~的0m、標01等)が配置および表示されている。標的アイコン203のおのおのは操作端末107に設けられたポインティングデバイスであるマウスの操作、たとえば、ドラッグアンドドロップによって、訓練場101の表示領域201に配置(移動)することができるように構成されている。つまり、表示領域201に、1または複数の標的アイコン203を移動させることで、移動された1または複数の標的アイコン203に対応する1または複数の標的102を訓練場101に配置させることができる。
【0027】
図3には、ドラッグアンドドロップで、訓練場101の表示領域201に標的アイコン203を配置した場合の標的配置画面200が示されている。標的アイコン203は、訓練場101の表示領域201の左上を原点0とした画面上の座標情報301を有し、座標情報301の値は水平方向をX、垂直方向をYとしてピクセル表示で示されている。標的アイコン203には、配置直後に、ツールチップ等で標的アイコン203の座標情報301が表示されるように構成されている。なお、ツールチップとは、標的アイコン203にマウスのポインタを重ねた際に表示される枠内の補足説明などのことである。
【0028】
標的配置画面200は、標的配置編集画面302を表示する機能を有する。標的配置編集画面302は、X、Yの現在座標値を表示し、操作者により任意の値を入力可能な2つのテキストボックス304と、配置ボタン303と、を備える。標的アイコン203をマウス等で訓練場101の表示領域201に配置した場合、標的アイコン203の座標情報301の値と標的配置編集画面302のテキストボックス304の値とが連動して増減するように構成されている。
【0029】
標的配置画面200は、また、配置済みの標的アイコン203をマウスでクリックする事で、再編集モードとなる。再編集モードは、配置済みの標的アイコン203をマウスによって訓練場101の表示領域201内で再移動させる機能、標的配置編集画面302のテキストボックス304に座標値を入力し、配置ボタン303をクリックする事で標的アイコン203の配置を微調整する機能等を有する。配置済みの標的アイコン203の再移動や標的アイコン203の配置の微調整が行われると、該当する標的102は、訓練場101の対応する位置へ移動することになる。
【0030】
図4には、標的102のGPS情報取得および確認画面の構成が示されている。操作端末107は、各標的アイコン203の情報にアクセスするための手段を有しており、各標的アイコン203の情報にアクセスするための手段によって、GPS情報画面401を操作端末107の表示装置107dに表示することができる構成とされている。
【0031】
GPS情報画面401は、標的アイコン203と、GPS情報表示エリア403と、画面配置情報エリア404と、反映ボタン405と、から構成されている。標的アイコン203は、該当する標的102の種類と識別名称を意味する。GPS情報表示エリア403には、現在操作端末107が保持している該当する標的102のGPS位置情報が緯度および経度に分けて表示されている。画面配置情報エリア404は、現在、該当する標的102を示す標的アイコン203が表示領域201のどの座標に位置するかを示している。反映ボタン405は、画面配置情報エリア404の値に変更があった際に、変更された情報を保存し、標的配置画面200内の表示領域201へその変更された情報を反映させるために設けられている。
【0032】
例えば、GPS情報を得る手段から実際の標的102のGPS位置情報を取得した場合、GPS情報表示エリア403に取得したGPS位置情報の値(緯度、経度)を表示し、その値が表示領域201内で相対的にどの位置に当たるのかを計算する手段によって、画面配置情報エリア404に自動的に標的アイコン203の座標情報を入力し表示させることができる。反映ボタン405をクリックする事で、その座標情報が標的配置画面200へ送信される。これにより、マウス操作等の微調整をすることなく、訓練場101における標的102の配置イメージを得ることができる。
図1の訓練場101に配置された複数の標的102の配置イメージを、
図5に示す様に、標的配置画面200の表示領域201に、比較的正確に表示させることができる。
【0033】
実施例1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0034】
1)標的102の配置点のGPS位置情報(緯度および経度)から、訓練場101に配置した1または複数の標的102の配置イメージを正確に作成および把握することができる。これにより、射撃訓練システム100の操作端末107で実行される制御プログラムの使い勝手を向上することができる。
【0035】
2)表示領域201に表示される訓練場101の地図において、遠景(縮小表示)では標的アイコン203が重なる地点も、表示領域201の表示を拡大して表示することにより、実際の標的102の配置イメージを正確に確認できる。
【0036】
3)訓練場101の地図の座標および標的102から得られるGPS位置情報に基づいて、1または複数の標的102を訓練場101内に自動配置させることができる。煩雑な入力作業や微調整作業を低減しつつ、訓練場101内に1または複数の標的102を配置させることができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2では、操作端末107の制御プログラムに、シナリオを利用して、訓練データを自動生成する機能を持たせ、訓練データの作成を容易とするものである。
図6~
図8を用いて、実施例2を説明する。
図6は、実施例2に係るシナリオ入力画面を説明する図である。
図7は、シナリオ一覧を示す図である。
図8は、スケジュール画面を説明する図である。実施例2は、実施例1と組み合わせることができる。
【0038】
標的102の小時間のまとまった動作を記載したものをシナリオと言う。例えば、指定した開始時間を起点に『標的を「起きれ」、10秒後に、「倒れ」て、10秒経過する』といった動作を10回、標的102に制御させる場合、動作の開始時間、終了時間、その間の動作を手作業で10回指定するのは非効率である。このかわりに開始時間、対応するシナリオ、及びそのシナリオを10回繰り返すよう指定した方がスケジュール制御における訓練データの作成に手間がかからないといえる。射撃訓練システム100のユーザである各部隊の隊員自らが必要とするシナリオを作成し、作成したシナリオの数が増えることで、より訓練データが作成しやすくなると考えられる。
【0039】
図6には、操作端末107の表示装置107dに表示されたシナリオ入力画面600が示されている。シナリオ入力画面600は、標的102の動作が表示されるパネル領域601と、シナリオ名の入力領域602と、シナリオの標的の制御動作を設定する設定領域603と、OKボタン604と、を有する。パネル領域601には、この例では、「起きれ」、「倒れ」、「限秒」および「Wait」の4つの動作を示すパネルが示されている。
【0040】
シナリオを作成する場合、まず、入力領域602にシナリオ名を入力する。この例では、シナリオ名として、「10秒起きれ10秒倒れ」が入力される。
【0041】
次に、「起きれ」、「倒れ」、「限秒」および「Wait」のパネルを、操作端末107のマウスによるドラッグアンドドロップで、設定領域603に所望の動作の順番に配置する。「Wait」の場合は、その時間を入力する。全て入力したら、OKボタン604を押して、シナリオ名「10秒起きれ10秒倒れ」のシナリオが完成する。
【0042】
図7に示す様に、完成したシナリオはシナリオ一覧SLに登録される。
図7には、一例として、3つのシナリオSN1(現秒5秒)、SN2(10秒起きれ10秒倒れ)、SN3(30秒毎10秒起きれ)がシナリオ一覧SLに登録された状態が示されている。
【0043】
図8には、操作端末107の表示装置107dに表示されたスケジュール画面SSが示されている。スケジュール画面SSは、訓練データの作成に利用される。訓練データを作成する場合、まず、制御対象の標的102を選択し(ここでは、標的102として、人03、人04、人05が選択されている)、開始時間STを決める。そして、シナリオ一覧SLに登録されたシナリオSN1~SN3から所望のシナリオを適宜選択して入力していく(
図8では、入力されたシナリオをSNとして記載している)。
【0044】
次に、全体的な訓練データの作成方法について説明する。
【0045】
ユーザは、最初に、
図6のシナリオ入力画面を用いて、複数のシナリオを作成する。そして、ユーザは、
図7、
図8を用いて、訓練データを作成する。操作端末107の制御プログラムは、各部隊をキーにして、どのシナリオを何回使用したか(シナリオ登場数)を記憶する。使用したシナリオをその頻度に合わせて、乱数で配置して訓練データを作成する。1回以上シナリオを使用した部隊は、訓練データを自動生成できるようにする。
【0046】
訓練データ作成時は、まず、最初に自分の部隊を選択し、標的台数と訓練時間を決定する。自動生成を行う場合は、ここでユーザが自動生成を選択する。すると、操作端末107の制御プログラムはその部隊の過去に使用した訓練データからシナリオの数をカウントし、1標的あたりのシナリオ登場数の平均を求める。また、使用したシナリオの割合を求め、そこから今回使用するシナリオ(複数も可)とその回数を決定する。1標的に使用するシナリオとその数が算出されるので、あとは乱数を用いて、開始時間とシナリオ間の間隔を規定していけば、スケジュール制御における訓練データが作成できる。
【0047】
これは、類似の訓練を実施する場合に有効である。作成した訓練データを使用し、同一の訓練を繰り返すことにより訓練者がパターンを覚えてしまうという事態が起こり得る。しかしながら、自動生成された訓練データを使用することで、訓練者が標的動作を待ち構える等の惰性的な訓練を避けることができる。訓練データを調整したい場合などは、作成した訓練データの編集を行い、ユーザが手を加えることもできるように構成する。したがって、基礎となる訓練データが一つもない状態から訓練データを作成する場合に比べ、スケジュール制御の訓練データ作成に要する時間を短縮できる。
【0048】
同じ部隊であっても、常に定められた訓練データに沿って訓練しない場合がある。例えば突然新人が配属され、部隊構成が変わった場合やその新人向けの訓練が行われる場合を想定する。この場合には自動生成は適用できないため、新規に訓練データを作成することになる。あるいは、他の部隊で使用した訓練データを参考に手動で作成してもよいし、過去に作成した訓練データや他部隊のデータを読込み、編集する機能を操作端末107に備えさせ、これによって訓練データを作成してもよい。
【0049】
なお、実施例1と実施例2とを組み合わせることができる。
【0050】
実施例2によれば、スケジュール制御の訓練データが容易に作成できる。これにより、射撃訓練システム100の操作端末107で実行される制御プログラムの使い勝手を向上することができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3は、スケジュール作成時に、スケジュール実行時の実行条件を付加することで、訓練実施時の訓練状況に応じた標的の制御をスケジュール制御により実施可能とするものである。言い換えると、操作端末107の制御プログラムに、スケジュール実行時の実行条件を付加する機能を設けるものである。
【0052】
図9~
図11を用いて実施例3を説明する。
図9は、実施例3に係る複数の標的を用いた射撃訓練を説明する図である。
図10は、実施例3に係るスケジュール実行時の条件を付加したスケジュール制御の訓練データを示す図である。
図11は、
図10の訓練データの実行フローを示す図である。実施例3は、実施例1、実施例2、または、実施例1と実施例2の組み合わせ、と組み合わせることができる。
【0053】
図9に示す様に、複数の標的102を使用し、射手90が進行方向へ移動しながら射撃を行うことを想定した訓練を実施する時には、標的102への着弾状態により、射手90が現在位置に留まるのか、前進または後退するのか状況が異なり、それは敵側である標的102側も状況は同じである。
【0054】
目標の標的(たとえば、標的102(1))に着弾した際は、射手90は前進し、次の標的102(2)を射撃対象とし、着弾しなかった場合は、射手90は現在位置に留まり、同じ標的102(1)を狙う等、より実践に近い訓練を実施可能にする。現状のスケジュール制御では実現不可のため、訓練状況を見ながら操作者がマニュアルで標的を制御しなければならなかった。実施例3では、スケジュール制御の訓練データに、スケジュール実行時の実行条件を付加する。これにより、訓練実施時の訓練状況に応じた標的の制御が可能となる。
【0055】
図10に示す様に、スケジュール制御の訓練データは、スケジュール実行時のスケジュール番号(No.)を示すNo.欄と、各スケジュールが実行される指定時間を示す時間欄と、制御対象の標的の標的番号を示す標的番号欄と、を含む。訓練データは、さらに、制御対象の標的の動作の制御内容(シナリオ)を示す制御欄と、実行条件を示す実行条件欄と、各実行条件が満足された場合の飛び先のスケジュール番号(No.)を示す飛び先欄と、含む。標的番号欄の番号は、たとえば、
図9の標的102(1)等の括弧内の番号に対応するものとする。制御内容(シナリオ)は、この例では、限秒2秒とされている。実行条件は、この例では、第1条件「着弾あり」、第2条件「着弾なし」、第3条件「発射弾数=5」等の3つの条件としている。「着弾あり」の場合は、次のスケジュール番号が飛び先として指定されている。「着弾なし」の場合は、前のスケジュール番号が飛び先として指定されている。「発射弾数=5」の場合は、終了(END)が飛び先として指定されている。
【0056】
図10の訓練データでは、スケジュール番号1、3、5、7、9において対応する標的の制御(現秒2秒)が行われ、スケジュール番号2、4、6、8で、スケジュール番号1、3、5、7の実行時の訓練状況が判定され、判定された条件に従ったスケジュール番号の飛び先へ遷移することになる。つまり、スケジュール番号1、3、5、7、9は動作規定スケジュールであり、スケジュール番号2、4、6、8は、動作規定スケジュールの実行後の訓練状況を判定する判定スケジュールである。したがって、訓練実施時の訓練状況に応じた標的の制御をスケジュール制御により実施することができる。
【0057】
(実行フロー)
図11を用いて、訓練データの実行フローを説明する。
【0058】
(ステップS1)
スケジュール制御の訓練データに基づいた訓練開始されると、スケジュールの有無が判定される。次に実行すべきスケジュールが有る場合(スケジュール番号(No.)に数字のスケジュール番号が記載される場合)、ステップS2へ遷移する。次に実行すべきスケジュールが無い場合(スケジュール番号(No.)がENDの場合)、訓練は終了する。
【0059】
(ステップS2)
指定時間が経過したか否かが判定される。指定時間が経過していない場合(NO)、ステップS2が繰り返し実行される。指定時間が経過した場合(YES)、ステップS3へ遷移する。
【0060】
(ステップS3)
標的の制御を行うか否かが判定される。標的の制御を行う場合(YES)、ステップS4へ移行する。標的の制御を行わない場合(NO)、ステップS6へ遷移する。
【0061】
(ステップS4)
スケジュールで指定された標的の制御を実行し、実行後、ステップS5へ遷移する。
【0062】
(ステップS5)
スケジュール番号(No.)を1つ増加させて、ステップS1へ遷移する。ステップS1へ遷移すると、ステップS2、S3、S4が繰り返し実行され、スケジュール番号(No)だけ実行される。
図10の例では、スケジュール番号(No.)が9まで実行されることになる。
【0063】
(ステップS6)
実行条件に該当するか否かの判定が行われる。実行条件に該当すると判定された場合(YES)、ステップS7へ遷移する。実行条件に該当しないと判定された場合(NO)、ステップS1へ遷移する。
【0064】
(ステップS7)
スケジュール番号(No.)を飛び先のスケジュール番号(No.)へ変更し、ステップS1へ遷移する。
【0065】
これにより、
図10で説明したスケジュール制御の訓練データの実行が完了する。
【0066】
図12は、実行条件の入力エリアおよび飛び先の入力エリアを設けたシナリオ入力画面を示している。
図12のシナリオ入力画面600が
図6のシナリオ入力画面600と異なる点は、
図12において、実行条件の入力エリア608と飛び先の入力エリア609が複数設けられている点である。実行条件の入力エリア608には、実行条件として、たとえば、「着弾あり」、「着弾なし」、「発射弾数=5」等を入力ことが可能である。また、飛び先の入力エリア609には、
図10で説明した様に、各実行条件に対応した飛び先のスケジュール番号またはEND等が入力可能とされている。
図12は、一例として、
図10のスケジュール番号1、2を記載している。
【0067】
図10に示す様なスケジュール制御の訓練データを実施例2の様に自動生成させる場合、1つの入力エリア608に「着弾あり」を入力し、対応する入力エリア609には、たとえば、+1と入力する。また、他の入力エリア608に「着弾なし」を入力し、対応する入力エリア609には、たとえば、-1と入力する。
【0068】
実施例3によれば、射撃結果に対応した標的の制御を行うことができる。これにより、射撃訓練システム100の操作端末107で実行される制御プログラムの使い勝手を向上することができる。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0070】
100:射撃訓練システム
101:訓練場
102:標的
103:GPSアンテナ
104:無線アンテナ
105:GPS衛星
106:アクセスポイント
107:操作端末
107d:表示装置
108:無線アンテナ
200:標的配置画面
201:表示領域
202:コンテナエリア
203:標的アイコン
301:座標情報
302:標的配置編集画面
303:配置ボタン
304:テキストボックス
401:GPS情報画面
403:GPS情報表示エリア
404:画面配置情報エリア
405:反映ボタン
600:シナリオ入力画面
601:パネル領域
602:シナリオ名の入力領域
603:設定領域
604:OKボタン
SN,SN1,SN2,SN3:シナリオ
90:射手
608:実行条件の入力エリア
609:飛び先の入力エリア