(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230712BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230712BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20230712BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G61/00 422
G06Q10/087
(21)【出願番号】P 2020065230
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 博之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200230(JP,A)
【文献】特開2013-025714(JP,A)
【文献】特開2003-296418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B65G 61/00
G06Q 10/087
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備え、材料から製品を製造する際の在庫を管理する製造管理装置であって、
前記制御部は、
製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力手段と、
製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力手段と、
月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算手段と、
を備えたことを特徴とする製造管理装置。
【請求項2】
前記製品は、鋳物であることを特徴とする請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項3】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための製造管理方法であって、
前記制御部において実行される、
製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力ステップと、
製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力ステップと、
月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算ステップと、
を含むことを特徴とする製造管理方法。
【請求項4】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための製造管理プログラムであって、
前記制御部において、
製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力ステップと、
製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力ステップと、
月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算ステップと、
をコンピュータに実行させるための製造管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鋳物の製造においては、材料投入時(鋳込み)には、実際の重量+αで投入を行う。後工程(機械加工、研磨)にて、端材が出るが再度溶解して再投入する。鋳物の製造管理するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、材料から製品を製造する場合において、製造過程で生じる端材を再利用可能な場合に、使用材料を高精度に算出することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、材料から製品を製造する場合において、製造過程で生じる端材を再利用可能な場合に、使用材料を高精度に算出することが可能な製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部及び制御部を備え、材料から製品を製造する際の在庫を管理する製造管理装置であって、前記制御部は、製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力手段と、製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力手段と、月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記製品は、鋳物であることにしてもよい。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための製造管理方法であって、前記制御部において実行される、製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力ステップと、製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力ステップと、月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための製造管理プログラムであって、前記制御部において、製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を前記記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を前記記憶部に登録する移動入力ステップと、製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を前記記憶部に登録する棚卸入力ステップと、月末時点において、前記記憶部に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算ステップと、をコンピュータに実行させるための製造管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、材料から製品を製造する場合において、製造過程で生じる端材を再利用可能な場合に、使用材料を高精度に算出することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施の形態の処理イメージを示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る製造管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態における製造管理装置の制御部の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
【
図4】
図4は、受注入力時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図5】
図5は、出庫時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図6】
図6は、月末棚卸時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図7】
図7は、月末時点での材料使用量計算を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図8】
図8は、材料元帳のサンプルを示す図である。
【
図9】
図9は、原価計算(当月使用材料費)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0013】
[1.概要]
例えば、鋳物の製造においては、材料投入時(鋳込み)には、実際の重量+αで投入を行う。後工程(機械加工、研磨)にて、端材が出るが再度溶解して再投入する。
【0014】
従来は、上述の+α分の材料も当月投入分の材料費として管理していた。このため、製品によっては、投入重量と完成重量の乖離が大きいものもあり、正確な原価を捉えることができていなかった。
【0015】
そこで、本実施の形態では、材料投入時には、在庫としてマイナスされるが、リターン予定の在庫を棚卸資産として加味することで、精度の高い材料残高・使用材料費を計算することができ、使用材料費の精度向上により、精度の高い原価の把握が可能となった。
【0016】
図1は、本実施の形態の処理イメージを示す図である。一例として銅の鋳物を製造する場合を説明する。
図1において、初回投入時は、銅1,000Kgとする。機械加工により、銅は900Kgとなり、さらに、研磨することで、銅は850Kgとなる。ここで、仕掛内重量は、仕掛内重量=該当製番での棚卸重量-図面重量で算出され、この例では、
投入重量(1000Kg)-図面重量(850Kg:設計上の重量)=150Kgである。
【0017】
この仕掛内重量の150Kgは、実際には投入しているが今後戻ってくるため(再利用可能であるため)材料在庫残高に戻す。実際の在庫データとしては、「-1,000Kg」としているが、資産上の在庫としては、仕掛内重量分は在庫として計上し、材料使用量の精度を向上させる。
【0018】
以下の説明では、鋳物の製造を一例として説明する。なお、本発明は、鋳物の製造に限られるものではなく、製造工程で生じる材料の端材を再利用可能な製品に広く適用可能である。
【0019】
[2.構成]
本実施形態に係る製造管理装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係る製造管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
製造管理装置100は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、製造管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0021】
製造管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。製造管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、製造管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、製造管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114で出力すること等をいい、例えば、モニタ114への表示出力やプリンタ114での印刷出力することの他、外部にデータを送信することを含む。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、受注ファイル106a、設計ファイル106b、製番管理ファイル106c、在庫移動ファイル106d、製番別重量管理ファイル106e、在庫ファイル106fを備えている。
【0026】
受注ファイル106aは、受注データを格納するためのファイルである。受注データは、受注番号、行、取引先、品目、数量、受注金額、製番のデータを含んでいてもよい(
図4参照)。
【0027】
設計ファイル106bは、設計データを格納するためのファイルである。設計データは、受注番号、行、図面重量のデータを含んでいてもよい(
図4参照)。
【0028】
製番管理ファイル106cは、製番管理データを格納するためのファイルである。製造管理データは、製番、品目、数量、製番状態のデータを含んでいてもよい(
図4参照)。
【0029】
在庫移動ファイル106d、在庫移動(出庫)データと、在庫移動(入庫)データを格納するためのファイルである。在庫移動(出庫)データは、移動番号、行、移動日、品目、製番、出庫数量のデータを含んでいてもよい(
図5参照)。在庫移動(入庫)データは、移動番号、行、移動日、品目、製番、入庫数量のデータを含んでいてもよい(
図7参照)。
【0030】
製番別重量管理ファイル106eは、製番別重量管理データを登録するためのファイルである。製番別重量管理データは、会計月、製番、品目、図面重量、出庫重量、棚卸重量、仕掛内重量のデータを含んでいてもよい(
図5参照)。
【0031】
在庫ファイル106fは、在庫データを格納するためのファイルである。在庫データは、会計月、品目、前月末在庫、当月入庫、当月出庫、当月末在庫、仕掛内重量、当月末在庫(仕掛含む)を含んでいてもよい(
図7参照)。
【0032】
制御部102は、製造管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、受注入力部102aと、移動入力部102bと、棚卸入力部102cと、材料計算部102d、画面表示制御部102eを備えている。
【0033】
受注入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、受注データ、設計データ、製番管理データをそれぞれ入力して、受注ファイル106a、設計ファイル106b、製番管理ファイル106cに登録する。
【0034】
移動入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を記憶部106の在庫移動ファイル106dに登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を記憶部106の在庫移動ファイル106dに登録する。
【0035】
棚卸入力部102cは、製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を記憶部106の製番別重量管理ファイル106eに登録する。
【0036】
材料計算部102dは、月末時点において、記憶部106に登録した、出庫重量、入庫重量、仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する。
【0037】
画面表示制御部102eは、モニタ114に表示する各種画面の表示及び画面上での入力の受付を制御する。
【0038】
[3.具体例]
図3~
図9を参照して、本実施の形態における製造管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0039】
図3~
図9を参照して、本実施の形態における製造管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
図3は、本実施の形態における製造管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
図3を参照して、本実施の形態における製造管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
【0040】
図3において、受注入力部102aは、受注入力処理を実行する(ステップS1)。具体的には、受注入力処理では、受注入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、受注データ、設計データ、製番管理データをそれぞれ入力して、受注ファイル106a、設計ファイル106b、製番管理ファイル106cに登録する。
【0041】
移動入力部102bは、移動入力処理を実行する(ステップS2)。具体的には、移動入力処理では、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に 応じて、製番毎に、移動番号、行、移動日、品目、出庫数量(材料払出)を含む在庫移動(出庫)データを在庫移動ファイル106dに登録する。また、移動入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、製番毎に、製番別重量管理データの会計年月、品目、図面重量、出庫重量を製番別重量管理ファイル106eに登録する。また、移動入力部102bは、例えば、入庫時に、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、製番毎に、移動番号、行、移動日、品目、入庫数量(材料受入)を含む在庫移動(入庫)データを在庫移動ファイル106dに登録する。
【0042】
棚卸入力部102cは、棚卸入力処理を実行する(ステップS3)。具体的には、棚卸入力処理では、棚卸入力部102cは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、該当製番毎に、製番別重量管理データの棚卸重量及び仕掛内重量を製番別重量管理ファイル106eに登録する。仕掛内重量は、棚卸時点で、現在の重量を把握し、「図面重量-棚卸重量」にて算出する。
【0043】
材料計算部102dは、材料計算処理を実行する(ステップS4)。具体的には、材料計算処理では、材料計算部102dは、例えば、モニタ114に表示される画面上でのオペレータの操作に応じて、製番別重量管理データ、在庫移動(出庫)データ、在庫移動(入庫)データに基づいて、当月の入庫材料、当月の出庫材料、当月の仕掛内重量を集計して、材料元帳を計算して在庫データを在庫ファイルに登録する。また、材料計算部102dは、原価計算を行い、仕掛内重量に基づいた当月材料使用量を当月材料使用量=前月未在庫+前月仕掛内重量+当月入庫-当月未在庫-当月仕掛内重量で算出する。
【0044】
図4~
図9を参照して、本実施の形態における製造管理装置100の処理の具体例を説明する。
図4~
図9は、本実施の形態における製造管理装置100の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0045】
(1)受注入力時
図4は、受注入力時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。受注入力処理S1では、受注データ、設計データ、製造管理データをそれぞれ入力して、受注ファイル106a、設計ファイル106b、製番管理ファイル106cに登録する。このように、受注入力時に、設計重量(図面重量)の登録を行い、また、製番を採番する。
【0046】
受注データの例では、1行目は、受注番号「J0001」、行「1」、取引先「取引先A」、品目「鋳物」、数量「1」、受注金額「¥10,000」、製番「S0011」となっている。2行目は、受注番号「J0002」、行「1」、取引先「取引先B」、品目「鋳物」、数量「1」、受注金額「¥20,000」、製番「S0012」となっている。
【0047】
設計データの例では、1行目は、受注番号「J0001」、行「1」、図面重量「1,000Kg」、2行目は、受注番号「J0002」、行「1」、図面重量「1,800Kg」となっている。
【0048】
製番管理データの例では、1行目は、製番「S0011」、品目「鋳物」、数量「1」、製番状態「仕掛」、2行目は、製番「S0012」、品目「鋳物」、数量「1」、製番状態「仕掛」となっている。
【0049】
(2)出庫時
図5は、出庫時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。移動入力処理S2では、在庫移動(出庫)データと製番別重量管理データを在庫移動ファイル106dと製番別重量管理ファイル106eにそれぞれ登録する。すなわち、製番に対する、材料払出の登録を行い、図面重量+αでの払出を行う。
【0050】
在庫移動(出庫)データの例では、1行目は、移動番号「I0001」、行「1」、移動日「2020/2/10」、品目「材料」、製番「S0011」、出庫数量「1,500Kg」となっている。設計データの製番「S0011」の図面重量は、「1,000Kg」であるが、出庫数量「1,500Kg」とする。このため、現在庫としては、1,500Kg減となる。
【0051】
2行目は、移動番号「I0002」、行「1」、移動日「2020/2/25」、品目「材料」、製番「S0012」、出庫数量「2,000Kg」となっている。設計データの製番「S0012」の図面重量は、「1,800Kg」であるが、出庫数量「2,000Kg」とする。このため、現在庫としては、2,000Kg減となる。
【0052】
製番別重量管理データの例では、1行目は、会計月「2020/2」、製番「S0011」、品目「鋳物A」、図面重量「1,000Kg」、出庫重量「1,500Kg」となっている。2行目は、会計月「2020/2」、製番「S0012」、品目「鋳物B」、図面重量「1,800Kg」、出庫重量「2,000Kg」となっている。
【0053】
なお、入庫時には、在庫移動(入庫)データを在庫移動ファイル106dに登録する。
【0054】
(3)月末棚卸時
図6は、月末棚卸時の処理を説明するためのサンプルデータを示す図である。棚卸入力処理S3では、月末時点での製番別重量管理データの棚卸重量と仕掛内重量を登録する。仕掛内重量は、棚卸時点で、在庫の現在の重量を把握し、「図面重量-棚卸重量」にて算出する。
【0055】
図6に示す製番別重量管理データの例では、1行目に、棚卸重量「1,300Kg」と仕掛内重量「300Kg」を登録する。また、2行目に、棚卸重量「2,300Kg」と仕掛内重量「200Kg」を登録する。
【0056】
(4)月末時点での材料使用量計算
図7は、月末時点での材料使用量計算を説明するためのサンプルデータを示す図である。材料計算処理S4では、製番別重量管理データ、在庫移動(出庫)データ、在庫移動(入庫)データに基づいて、当月の入庫材料、当月の出庫材料、当月の仕掛内重量を集計して材料元帳計算を行って、在庫データを在庫ファイル106fに登録する。また、材料計算処理S4では、原価計算を行い、仕掛内重量に基づく当月材料使用量を算出し、当月材料使用量=前月未在庫+前月仕掛内重量+当月入庫-当月未在庫-当月仕掛内重量を算出する。
【0057】
図7において、製番別重量管理データは月別に保持し、未完了製番については、翌月へ繰越しする。製番「S0010」は完成製番のため、仕掛内重量は不要である。仕掛状態は、製番管理データから製番をキーとして取得する。
【0058】
棚卸重量の前月差額については、別途、入庫伝票を登録する。製番「S0009」は、前月末3,150Kg-当月末3,100Kg=50Kgとなる。製番「S0010」は、前月末4,200Kg-当月末4,100Kg=100Kgとなる。
【0059】
在庫移動(入庫)データの例では、1行目は、移動番号「I0001」、行「1」、移動日「2020/2/10」、品目「材料」、製番「S0009」、入庫数量「50Kg」、2行目は、移動番号「I0002」、行「1」、移動日「2020/2/15」、品目「材料」、製番「S0010」、入庫数量「100Kg」、3行目は、移動番号「I0003」、行「1」、移動日「2020/2/28」、品目「材料」、製番「S0011」、入庫数量「200Kg」となっている。入庫数量は、機械加工、研磨工程等で発生したリターンの材料である。
【0060】
在庫データの当月入庫は、入庫伝票(移動入力(入庫)データ)より算出する。また、当月出庫は、出庫伝票(移動入力(出庫)データ)より算出する。
図7に示す在庫データの例では、会計月「2020/2」については、品目「材料」、前月末在庫「6,000Kg」、当月入庫「350Kg」、当月出庫「3,500Kg」、当月末在庫「2,750Kg」、仕掛内重量「600Kg」、当月末在庫(仕掛含む)「3,450Kg」となっている。仕掛内重量「600Kg」は、製番S0009,S0011,S0012で計算する。S0010は、完成済みのため、仕掛内重量には入らない。
【0061】
図8は、材料元帳のサンプルを示す図である。
図9は、原価計算(当月使用材料費)を説明するための図である。
図9において、従来と本実施の形態の当月試料材料費の計算方法を比較して説明する。
【0062】
従来は、前月未在庫「6,000」+当月入庫「350」-当月未在庫「2850」=当月使用材料「3,500」で算出していた。
【0063】
これに対して、本実施の形態では、前月未在庫「6,000」+前月仕掛内重量「350」+当月入庫「350」-当月未在庫「2850」-当月仕掛内重量「600」=当月使用材料「3,250」で算出する。
【0064】
このように、仕掛内重量の差額(250Kg)分だけ使用材料費が変わる。例えば、Kg単価¥600とした場合に、「600×250=¥150,000」の差が発生する。仕掛内重量が減した時には、逆の結果(使用材料費)が少なくなるが、今後発生する入庫予定を原価上加味しておくことによって、当月発生原価の精度が向上する。仮に鋳込しかしていない状態が多く発生した月においては投入量は増える(実際の在庫減)が、仕掛内重量は増となり、棚卸材料として資産として残るため、各製番にて計上される仕掛材料費については、図面重量ベースで按分される。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、製番毎に、製造する際に在庫の材料の出庫重量を記憶部に登録し、また、製造で生じた端材の在庫への入庫重量を記憶部106に登録する移動入力部102bと、製番毎に、月末時点での在庫の棚卸重量と、図面重量-棚卸重量で算出される仕掛内重量を記憶部106に登録する棚卸入力部102cと、月末時点において、記憶部106に登録した、前記出庫重量、前記入庫重量、前記仕掛内重量を集計し、集計した仕掛内重量に基づく当月使用材料を算出する材料計算部102dと、を備えているので、材料から製品を製造する場合において、製造過程で生じる端材を再利用可能な場合に、使用材料を高精度に算出することが可能となる。
【0066】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0067】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0068】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、製造管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0070】
例えば、製造管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて製造管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0071】
また、このコンピュータプログラムは、製造管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0073】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0074】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0075】
また、製造管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、製造管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0076】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100 製造管理装置
102 制御部
102a 受注入力部
102b 移動入力部
102c 棚卸入力部
102d 材料計算部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 受注ファイル
106b 設計ファイル
106c 製番管理ファイル
106d 在庫移動ファイル
106e 製番別重量管理ファイル
106f 在庫ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク