(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】揚力型垂直軸風車
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
F03D3/06 G
(21)【出願番号】P 2020083944
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 栄徳
(72)【発明者】
【氏名】細野 洋司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 啓介
(72)【発明者】
【氏名】朴 玉丹
(72)【発明者】
【氏名】南田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小野 猛
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029853(JP,A)
【文献】特開2013-147940(JP,A)
【文献】特表平03-501639(JP,A)
【文献】特開2018-150863(JP,A)
【文献】米国特許第04130380(US,A)
【文献】米国特許第04293279(US,A)
【文献】米国特許第04525124(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0221202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0118053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部を有する基部と、
垂直軸上に位置する上記基部に対して垂直軸周りに回転する回転部と、上記回転部に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼と、を備え、上記風車翼は、それぞれ断面中空状に形成され、上記垂直軸から離れるにつれて互いの間隔が広くなるように上記回転部から延びる一対の延在部と、上記風車翼の上記垂直軸に略平行な方向に沿って延びる外側部と、上記延在部と上記外側部とを湾曲状に連結する湾曲部とを有する、揚力型垂直軸風車であって、
上記風車翼は、回転時の遠心力による変形を抑制する補強部を備え、
上記補強部は、少なくとも上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部に一端が連結され、他端が上記外側部
における上記垂直軸側の上記内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の主補強傾斜部材を具備する、
ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項2】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材に連結されている、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項3】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記補強部は、上記一対の主補強傾斜部材の間に、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部に一端が連結され、上記外側部の水平中心部に他端が連結される補強用水平部材を更に具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項4】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記補強部は、上記一対の主補強傾斜部材の中間部に連結される垂直部材と、上記主補強傾斜部材の中間部に一端が連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される一対の傾斜部材とからなるトラス構造を有する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項5】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材の中間部に連結されている、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項6】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材に連結され、上記内側水平部材に一端が連結され、他端が上記延在部における上記内側水平部材より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材を更に具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項7】
請求項1に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材の中間部に連結され、上記補強用水平部材の上記中間部より内方の近傍に一端が連結され、他端が上記延在部における上記中間部より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材を更に具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項8】
発電部を有する基部と、
垂直軸上に位置する上記基部に対して垂直軸周りに回転する回転部と、上記回転部に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼と、を備え、上記風車翼は、それぞれ断面中空状に形成され、上記垂直軸から離れるにつれて互いの間隔が広くなるように上記回転部から延びる一対の延在部と、上記風車翼の上記垂直軸に略平行な方向に沿って延びる外側部と、上記延在部と上記外側部とを湾曲状に連結する湾曲部とを有する、揚力型垂直軸風車であって、
上記風車翼は、回転時の遠心力による変形を抑制する補強部を備え、
上記補強部は、少なくとも両端が上記風車翼の上記一対の延在部の中間部に連結される主補強垂直部材を具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項9】
請求項8に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記補強部は、上記一対の延在部の中間部に一端が連結され、他端が上記外側部における上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の外側傾斜部材を更に具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項10】
請求項8に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記補強部は、上記主補強垂直部材と、一端が上記延在部の中間部に連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される一対の傾斜部材とからなるトラス構造を有する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項11】
請求項8に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結されている、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項12】
請求項8に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結され、上記延在部の上記主補強垂直部材の連結部より外方の近傍に一端が連結され、他端が上記外側部
における上記垂直軸側の上記内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の外側傾斜部材を更に具備する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項13】
請求項8に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結され、上記主補強垂直部材と、上記
補強用水平部材と、上記延在部に一端が連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される傾斜部材とからなる一対のトラス構造を有する、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の揚力型垂直軸風車において、
上記補強部を構成する部材が、上記風車翼と同形状の断面中空状に形成されている、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【請求項15】
請求項14に記載の揚力型垂直軸風車において、
上記風車翼及び上記補強部を構成する部材が、リブによって区画される中空部を有するアルミニウム製形材にて形成されている、ことを特徴とする揚力型垂直軸風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、揚力型垂直軸風車に関するもので、更に詳細には、突風などに伴う強風が吹いた場合でも過回転時の遠心力による風車翼の変形を抑制する補強部を有する揚力型垂直軸風車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電部を有する基部と、上記基部に対して垂直軸周りに回転する回転部と、上記回転部に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼と、を備え、上記風車翼は、それぞれ断面中空状に形成され、上記垂直軸から離れるにつれて互いの間隔が広くなるように上記回転部から延びる一対の延在部と、上記風車翼の上記垂直軸に略平行な方向に沿って延びる外側部と、上記延在部と上記外側部とを湾曲状に連結する湾曲部とを有する、揚力型垂直軸風車が知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
この種の揚力型垂直軸風車は、風の向きを選ばず、全方向の風を捉えて発電することができ、強風の時でも騒音が少なく、コストの低減が図れるなどの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-59481号公報
【文献】特開2020-29853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、風車翼が、延在部の垂直軸側の内方側端部を頂点とし、垂直軸に略平行な方向に沿って延びる外側部を底辺とする略三角形状に形成されているため、
図20Aに示すように、高速回転時の遠心力の作用により風車翼100の外側部101の半径方向外方に変形する。
【0006】
このように、外側部101が半径方向外方に変形すると、風車翼100の受風面積が変化して、発電効率の低下を招く虞があり、また、風車翼100の破損の虞がある。
【0007】
上記のような外側部101の半径方向外方への変形を抑制し、上限回転数を増加させるために、特許文献2に記載のものにおいては、
図20Bに示すように、風車翼の垂直軸周りの回転により風車翼に遠心力が加わったときに、風車翼の外側部101に最大変形が生じる変形箇所と、風車翼の垂直軸側の内方側端部に補強部材200を接続している。この補強部材200によって変形箇所に半径方向内側に向かう張力がかけられ、外側部101の半径方向外方への変形を抑制する。
【0008】
しかし、このように補強部材200を用いた場合、外側部101の半径方向外方への変形は抑制することができるが、
図20Bに二点鎖線で示すように、高速回転時の遠心力の作用により風車翼100は、外側部101の水平中心部に対して上下部が外方側に凸状に変形すると共に、外側部101の変形に伴って延在部102が風車翼100の内方側に向かって凸状に変形する。この場合、風車翼100の自重を考慮すると風車翼全体が下方側に偏倚した状態に変形する。
【0009】
上述したように、補強部材を用いた場合においても、風車翼100は変形するため、風車翼100の受風面積が変化して、発電効率の低下を招く虞があり、また、風車翼100の破損の虞がある。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、突風などに伴う強風が吹いた場合でも過回転時の遠心力による風車翼の変形を抑制して、風車翼の受風面積の維持と風車翼の破損防止を図れるようにした揚力型垂直軸風車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、この発明は、発電部を有する基部と、垂直軸上に位置する上記基部に対して垂直軸周りに回転する回転部と、上記回転部に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼と、を備え、上記風車翼は、それぞれ断面中空状に形成され、上記垂直軸から離れるにつれて互いの間隔が広くなるように上記回転部から延びる一対の延在部と、上記風車翼の上記垂直軸に略平行な方向に沿って延びる外側部と、上記延在部と上記外側部とを湾曲状に連結する湾曲部とを有すると共に、回転時の遠心力による変形を抑制する補強部を備える揚力型垂直軸風車を前提とする。
【0012】
この発明の第1の揚力型垂直軸風車(以下に、第1の発明という)は、上記補強部は、少なくとも上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部に一端が連結され、他端が上記外側部における上記垂直軸側の上記内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の主補強傾斜部材を具備する、ことを特徴とする(請求項1)。
【0013】
このように構成することにより、外側部の水平中心に対して対向する2箇所を主補強傾斜部材で固定するので、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができる。また、外側部の変形に伴う延在部の変形を抑制することができる。
【0014】
この第1の発明において、上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材に連結されているのが好ましい(請求項2)。
【0015】
このように構成することにより、垂直軸側の内方側端部に連結される主補強傾斜部材の一端と外側部との距離を短くするので、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける外側部の変形を小さくして、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形に伴う延在部の変形を抑制することができる。
【0016】
また、第1の発明において、上記補強部は、上記一対の主補強傾斜部材の間に、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部に一端が連結され、上記外側部の水平中心部に他端が連結される補強用水平部材を更に具備するのが好ましい(請求項3)。
【0017】
このように構成することにより、一対の主補強傾斜部材と水平部材によって外側部の水平中心に対して対向する2箇所と水平中心の1箇所の計3箇所を固定して、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形に伴う延在部の変形を抑制することができる。
【0018】
また、第1の発明において、上記補強部は、上記一対の主補強傾斜部材の中間部に連結される垂直部材と、上記主補強傾斜部材の中間部に一端が連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される一対の傾斜部材とからなるトラス構造を有するのが好ましい(請求項4)。
【0019】
このように構成することにより、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける外側部の変形を小さくして、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形に伴う延在部の変形を抑制することができる。
【0020】
また、第1の発明において、上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材の中間部に連結されているのが好ましい(請求項5)。
【0021】
このように構成することにより、一対の主補強傾斜部材と、風車翼の内方側端部と外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材によって外側部の水平中心に対して対向する2箇所と水平中心の1箇所の計3箇所を固定して、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形に伴う延在部の変形を抑制することができる。
【0022】
また、第1の発明において、上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材に連結され、上記内側水平部材に一端が連結され、他端が上記延在部における上記内側水平部材より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材を更に具備するのが好ましい(請求項6)。
【0023】
このように構成することにより、一対の主補強傾斜部材により外側部の変形を抑制し、一対の内側傾斜部材によって延在部の変形を抑制することができる。
【0024】
また、第1の発明において、上記一対の主補強傾斜部材の一端が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材の中間部に連結され、上記補強用水平部材の上記中間部より内方の近傍に一端が連結され、他端が上記延在部における上記中間部より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材を更に具備するのが好ましい(請求項7)。
【0025】
このように構成することにより、一対の主補強傾斜部材と風車翼の内方側端部と外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材とにより外側部の変形を抑制し、一対の内側傾斜部材によって延在部の変形を抑制することができる。
【0026】
また、この発明の第2の揚力型垂直軸風車(以下に、第2の発明という)は、上記補強部は、少なくとも両端が上記風車翼の上記一対の延在部の中間部に連結される主補強垂直部材を具備する、ことを特徴とする(請求項8)。
【0027】
このように構成することにより、延在部の中間部を主補強垂直部材によって固定するので、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができる。また、延在部の変形に伴う外側部の変形を抑制することができる。
【0028】
第2の発明において、上記補強部は、上記一対の延在部の中間部に一端が連結され、他端が上記外側部における上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の外側傾斜部材を更に具備するのが好ましい(請求項9)。
【0029】
このように構成することにより、延在部の中間部を主補強垂直部材によって固定し、外側部における風車翼の内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置の2箇所を外側傾斜部材によって固定するので、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形を抑制することができる。
【0030】
また、第2の発明において、上記補強部は、上記主補強垂直部材と、一端が上記延在部の中間部に連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される一対の傾斜部材とからなるトラス構造を有するのが好ましい(請求項10)。
【0031】
このように構成することにより、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける延在部の変形と外側部の変形を小さくして、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形を抑制することができる。
【0032】
また、第2の発明において、上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結されているのが好ましい(請求項11)。
【0033】
このように構成することにより、延在部の中間部を主補強垂直部材によって固定し、外側部の水平中心部を風車翼の内方側端部と外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材によって固定するので、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形を抑制することができる。
【0034】
また、第2の発明において、上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結され、上記延在部の上記主補強垂直部材の連結部より外方の近傍に一端が連結され、他端が上記外側部における上記垂直軸側の上記内方側端部を結ぶ水平中心に対して対向する位置に連結される一対の外側傾斜部材を更に具備するのが好ましい(請求項12)。
【0035】
このように構成することにより、延在部の中間部を主補強垂直部材によって固定し、外側部の水平中心部を風車翼の内方側端部と外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材によって固定し、外側部の水平中心に対して対向する位置の2箇所を外側傾斜部材によって固定するので、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形を抑制することができる。
【0036】
また、第2の発明において、上記主補強垂直部材が、上記風車翼の上記垂直軸側の内方側端部と上記外側部の水平中心部に連結される補強用水平部材に連結され、上記主補強垂直部材と、上記補強用水平部材と、上記延在部に一端が連結され、他端が上記外側部の水平中心部に連結される傾斜部材とからなる一対のトラス構造を有するのが好ましい(請求項13)。
【0037】
このように構成することにより、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける延在部の変形と外側部の変形を小さくして、回転時の遠心力による延在部の変形を抑制することができると共に、外側部の変形を抑制することができる。
【0038】
また、第1及び第2の発明において、上記補強部を構成する部材が、上記風車翼と同形状の断面中空状に形成されているのが好ましい(請求項14)。この場合、上記風車翼及び上記補強部を構成する部材が、リブによって区画される中空部を有するアルミニウム製形材にて形成されているのが好ましい(請求項15)。
【0039】
このように構成することにより、風車翼と補強部を構成する部材を共通化することができると共に、補強部を有する風車翼の軽量化が図れる。この場合、風車翼及び補強部を構成する部材を、リブによって区画される中空部を有するアルミニウム製形材にて形成することにより、風車翼と補強部を構成する部材の強度をもたせることができる。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、上記のように構成されているので、突風などに伴う強風が吹いた場合でも過回転時の遠心力による風車翼の変形を抑制することができ、変形によって風車翼の受風面積の変化を抑制して受風面積の維持が図れると共に、風車翼の破損防止が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】この発明に係る揚力型垂直軸風車の第1実施形態の使用状態を示す概略側面図である。
【
図2A】この発明における風車翼と回転部との固定状態を示す斜視図である。
【
図4】この発明の第1実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のI部の拡大図(b)、II部の拡大図(c)及びIII部の拡大図(d)である。
【
図5A】
図4(b)のB-B線に沿う拡大断面図である。
【
図5B】
図4(c)のC-C線に沿う拡大断面図である。
【
図6】この発明における風車翼の構成部材同士の連結構造を示す分解斜視図(a)及びその連結状態を示す斜視図(b)である。
【
図7】この発明の第2実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のIV部の拡大図(b)、V部の拡大図(c)及びVI部の拡大図(d)である。
【
図8】この発明の第3実施形態の風車翼の側面図(a)及び(a)のVII部の拡大図(b)である。
【
図9】この発明の第4実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のVIII部の拡大図(b)、IX部の拡大図(c)及びX部の拡大図(d)である。
【
図10】この発明の第5実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXI部の拡大図(b)及びXII部の拡大図(c)である。
【
図11】この発明の第6実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXIII部の拡大図(b)、XIV部の拡大図(c)及びXV部の拡大図(d)である。
【
図12】この発明の第7実施形態の風車翼の側面図(a)及び(a)のXVI部の拡大図(b)である。
【
図13】この発明に係る揚力型垂直軸風車の第8実施形態の使用状態を示す概略側面図である。
【
図14】この発明の第8実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXVII部の拡大図(b)、XVIII部の拡大図(c)及びXIX部の拡大図(d)である。
【
図15】この発明の第9実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXX部の拡大図(b)、XXI部の拡大図(c)、XXII部の拡大図(d)及びXXIII部の拡大図(e)である。
【
図16】この発明の第10実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXXIV部の拡大図(b)、XXV部の拡大図(c)及びXXVI部の拡大図(d)である。
【
図17】この発明の第11実施形態の風車翼の側面図(a)、(a)のXXVII部の拡大図(b)である。
【
図18】この発明の第12実施形態の風車翼の側面図である。
【
図19】この発明の第13実施形態の風車翼の側面図(a)及び(a)のXXVIII部の拡大図(b)、XXIX部の拡大図(c)及びXXX部の拡大図(d)である。
【
図20B】従来の風車翼の水平中心部に補強部材を取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】
<第1実施形態>
この発明に係る揚力型垂直軸風車1(以下に、単に風車1という)は、
図1に示すように、発電部を有する基部2と、基部2に対して垂直軸Z周りに回転する回転部3と、回転部3に連結されて垂直軸Z周りに回転する複数(例えば、5枚)の風車翼10とを備えている。
【0044】
基部2は、風車1の土台となる部分である。基部2は、風車1の風車翼10を設置面4から所定の高さに位置させるために所定の高さに形成される脚部2aと、図示しない発電部を収容する収容部2bとを備えている。
風車1の大きさや出力は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、定格出力が10kW、風車翼10の高さは14.2m、風車翼10を含む直径が14.2m、地表面4から回転部3までの高さは10.6mに設定されている。
【0045】
回転部3は、風車翼10が受風したときに基部2に対して垂直軸Z周りに回転する。回転部3は、
図2,
図2A及び
図2Bに示すように、風車翼10が取り付けられて回転する回転ハブ3aと、回転ハブ3aの回転軸となり、基部2の収容部2b内に回転可能に支承される軸部3bとを備えている。
【0046】
風車翼10は、回転部3の回転ハブ3aに支持されて水平方向に延びるアーム5に連結される断面中空状の水平部材14を介して取り付けられて、回転部3と共に回転する。本実施形態では、風車翼10は、
図2に示すように、垂直軸Z周りに等間隔で複数(
図2においては5枚)設けられている。なお、風車翼10の枚数はこれに限定されるものではない。
【0047】
この場合、
図2A及び
図2Bに示すように、回転ハブ3aの上下のフランジ3a1,3a2とアーム5を貫通する固定ボルト6とナット(図示せず)をねじ結合して、アーム5が固定される。
一方、水平部材14は、本実施形態ではリブ14aによって区画される中空部14bを有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、一端の開口側のリブ14aが切り欠かれており、この切欠部14c内にアーム5の他端部が挿入され、水平部材14とアーム5に設けられた貫通孔5aに貫通される連結ボルト6aにナット(図示せず)をねじ結合して、アーム5と水平部材14が連結される。なお、水平部材14は、後述する風車翼10の延在部11、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0048】
風車翼10は、風車1の垂直軸Zに近い側が固定部材7によって水平部材14に固定されている。垂直軸Zから離れるにつれて互いの間隔が広くなるように回転部3から延びる一対の延在部11と、風車翼10の垂直軸Zに略平行な方向に沿って延びる外側部12と、延在部11と外側部12とを連結部材8によって湾曲状に連結する湾曲部13とを有する。具体的には、風車翼10は、側面視で、水平軸Xに対して略対称に形成された略三角形状に形成されている。なお、ここでいう略三角形状とは、風車翼10の全体形状が三角形に近い形状であることをいい、三角形の角部が湾曲したものや、三辺のいずれかが湾曲したものを含む。
【0049】
風車翼10を形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13は、同じ断面形状の中空部10a~10gを有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、
図3に示すように、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有し、複数のリブ10hによって中空部10a~10gが区画されている。なお、
図3においては、6つのリブ10hによって7つの中空部10a,10b,10c,10d,10e,10f,10gを有する場合が示されているが、中空部の形状や数は任意である。また、風車翼10(延在部11、外側部12、湾曲部13)は、具体的には前縁から後縁までの長さが約380mm、表裏面の最大高さが約91mmに設定されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0050】
次に、延在部11と外側部12とを連結する湾曲部13の連結構造について、
図6を参照して、延在部11と湾曲部13の連結を例にとって説明する。
この場合、湾曲部13は延在部11よりも断面が一回り小さく形成されており、湾曲部13を延在部11の内側に差し込み可能になっている。湾曲部13の端部には、延在部11のリブ10hが差し込まれるスリット13aが形成されると共に、3箇所の中空部10b,10d,10fが位置する表裏面部には2列の貫通孔10iが穿設されている。一方、延在部11の端部の表裏面部の3箇所には湾曲部13の貫通孔10iと対応する2列の貫通孔10iが穿設されている。
【0051】
湾曲部13と延在部11を連結する連結部材8は、湾曲部13の貫通孔10iを有する中空部10b,10d,10f内に挿入される2列の貫通孔8bを有するスペーサ8aと、延在部11内に湾曲部13を差し込んだ状態で、延在部11と湾曲部13の連結部の対向する面に配置される一対の連結板8cと、連結板8cに設けられた貫通孔8dを介して延在部11と湾曲部13を貫通する連結ボルト8eと連結ボルト8eにねじ結合するナット8fとを具備する。なお、連結ボルト8eとナット8fは座金8gを介して取り付けられる。
【0052】
風車翼10を固定する固定部材7は、
図4(b)及び
図5Aに示すように、風車翼10の延在部11の基端側の外側面と水平部材14の上面又は下面に当接する当接片を有する鈍角屈曲状の一対の外側ブラケット7aと、延在部11の基端側の内側面と水平部材14の上面又は下面に当接する当接片を有する一対の鋭角屈曲状の内側ブラケット7bと、一対の外側ブラケット7aと内側ブラケット7bによってそれぞれ延在部11と水平部材14を挟んだ状態で、水平部材14に延在部11を固定する固定ボルト7c,固定ナット7dとを具備する。
【0053】
この場合、外側ブラケット7aと内側ブラケット7bは、アルミニウム製鋳物にて形成されており、外側ブラケット7aの当接片と内側ブラケット7bの当接片の当接面は、延在部11と水平部材14の外面流線形に相似する形状に形成されている。なお、当接片には固定ボルト7cが貫通する貫通孔7eが設けられている。また、水平部材14の中空部10b,10d,10fの箇所の表裏面には固定ボルト7cが貫通する貫通孔10iが設けられている。
【0054】
また、風車翼10は、回転時の遠心力による変形を抑制する補強部を備えており、補強部は、少なくとも風車翼10の垂直軸Z側の内方側端部に一端が連結され、他端が外側部12における内方側端部を結ぶ水平中心Cに対して対向する位置、例えば対称位置に連結される一対の主補強傾斜部材20を具備する。
【0055】
主補強傾斜部材20は、風車翼10を形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10の延在部、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0056】
主補強傾斜部材20の一端すなわち基端を連結する連結部材9は、
図4(b)に示すように、主補強傾斜部材20の基端側の外側面と水平部材14の先端側の上面又は下面に当接する当接片を有する鈍角屈曲状の一対の外角ブラケット9A(以下に、鈍角屈曲状のブラケットを外角ブラケット9Aという)と、水平部材14の先端側の上面又は下面に当接する当接片を有する鋭角屈曲状の一対の内角ブラケット9B(以下に、鋭角屈曲状のブラケットを内角ブラケット9Bという)と、一対の外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによってそれぞれ主補強傾斜部材20と水平部材を挟んだ状態で、水平部材14に主補強傾斜部材20を固定する連結ボルト9b、連結ナット9cとを具備する。
【0057】
この場合、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bは、上記外側ブラケット7a及び内側ブラケット7bと同様に、アルミニウム製鋳物にて形成されており、外角ブラケット9Aの当接片と内角ブラケット9Bの当接面はそれぞれ水平部材14及び主補強傾斜部材20の外面流線形に相似する形状に形成されている。
【0058】
一方、主補強傾斜部材20の先端を連結する連結部材9は、主補強傾斜部材20の先端側の外側面と外側部12の内側面に当接する当接片を有する鈍角屈曲状の外角ブラケット9Aと、主補強傾斜部材の先端側の内側面と外側部12の内側面に当接する当接片を有する鋭角屈曲状の内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって主補強傾斜部材20を挟んで、外角ブラケット9Aの当接片及び内角ブラケット9Bの当接片を外側部12の内側面に当接した状態で、外側部12に主補強傾斜部材20を連結する連結ボルト9b、連結ナット9cとを具備する。
【0059】
外側部12と外角ブラケット9Aの連結は、
図5Bに示すように、外側部12に設けられた貫通孔10iと外角ブラケット9Aの当接片に設けられた貫通孔9aを貫通する連結ボルト9bに連結ナット9cをねじ結合して固定する。なお、連結ボルト9bは座金9dを介して取り付けられるが、外側部12の流線形状の外面との間に隙間が生じるので、スペーサ9eを介在させて隙間を塞ぐのがよい。外側部12と内角ブラケット9Bの連結も同様に行う。
【0060】
なお、主補強傾斜部材20の基端部を連結する連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9Bと、主補強傾斜部材20の先端部を連結する連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9Bとは角度が異なるが、その説明が複雑となるのを避けるために符号は統一して説明する。以下も同様に同一符号を付して説明する。
【0061】
この場合、外角ブラケット9A及び内角ブラケット9Bは、アルミニウム製鋳物にて形成されており、それぞれの当接片の当接面は、主補強傾斜部材20及び外側部12の外面流線形に相似する形状に形成されている。
【0062】
第1実施形態の風車翼10を有する風車によれば、外側部12の水平中心Cに対する対称の2箇所を主補強傾斜部材20で固定するので、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができる。また、外側部12の変形に伴う延在部11の変形を抑制することができる。
なお、上記説明では、主補強傾斜部材20を外側部12に連結する位置が、水平中心Cに対して対称位置の場合について説明したが、連結位置は必ずしも水平中心Cに対して対称である必要はなく、風車翼10の重量や形状、重心、遠心力による外側部12の変形等に応じた位置に連結してもよい。なお、風車翼10が上下非対称の場合、水平中心Cは、水平軸Xと外側部12との交点に相当する位置である。
【0063】
<第2実施形態>
第2実施形態の風車は、
図7に示すように、一対の主補強傾斜部材20の一端すなわち基端側が、風車翼10Aの内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材21の先端に、連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9B及び連結ボルト9b、連結ナット9cによって連結されている。
【0064】
また、主補強傾斜部材20の先端は、連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9B及び連結ボルト9b、連結ナット9cによって外側部12の水平中心Cに対して対向する位置、例えば対称位置に連結されている。
【0065】
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0066】
第2実施形態の風車翼10Aを有する風車によれば、垂直軸Z側の内方側端部に連結される主補強傾斜部材20の一端と外側部12との距離を短くするので、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける外側部12の変形を小さくして、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形に伴う延在部11の変形を抑制することができる。
【0067】
<第3実施形態>
第3実施形態の風車は、
図8に示すように、一対の主補強傾斜部材20の間に、風車翼10Bの内方側端部に一端が連結され、外側部12の水平中心Cに他端が連結される補強用の水平部材22(以下に補強用水平部材22という)を更に具備する。
【0068】
第3実施形態において、補強用水平部材22の一端(基端)は、
図2Aに示した水平部材14と同様に、固定部材7を構成する外側ブラケット7a、内側ブラケット7b、固定ボルト7c及び固定ナット7dによってアーム5に連結されている。
補強用水平部材22の先端は、
図8(b)に示すように、補強用水平部材22の先端側の上面又は下面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する一対の直角状のブラケット9C(以下に直角ブラケット9Cという)と、一対の直角ブラケット9Cによって補強用水平部材22を挟んで、両直角ブラケット9Cの当接片を外側部12の内側面に当接した状態で、連結ボルト9b、連結ナット9cによって外側部12の水平中心C部に連結される。
【0069】
なお、一対の主補強傾斜部材20の一端(基端)は、外角ブラケット9A、内角ブラケット9B、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって補強用水平部材22の基端側に連結されている(
図4(b)、
図7(b)参照)。
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0070】
第3実施形態の風車翼10Bを有する風車によれば、一対の主補強傾斜部材20と補強用水平部材22によって外側部12の水平中心Cに対する対称の2箇所と水平中心Cの1箇所の計3箇所を固定して、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形に伴う延在部11の変形を抑制することができる。
【0071】
<第4実施形態>
第4実施形態の風車は、
図9に示すように、一対の主補強傾斜部材20の中間部に連結される垂直部材23と、主補強傾斜部材20の中間部に一端が連結され、他端が外側部12の水平中心C部に連結される一対の傾斜部材24とからなるトラス構造を有している。
【0072】
第4実施形態において、垂直部材23と傾斜部材24は、風車翼10Cを形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10Cの延在部11、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0073】
垂直部材23は、上端部と下端部が、それぞれ垂直部材23の外側面に当接する当接片と主補強傾斜部材20の中間部の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、垂直部材23の上端部の内側面(風車翼の内方側面)に当接する当接片と主補強傾斜部材20の中間部の下側面又は上側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって主補強傾斜部材20の中間部に連結されている(
図9(b),(c)参照)。
【0074】
一対の傾斜部材24は、風車翼10Cの内方側の一端が、主補強傾斜部材20の中間部の下側面又は上側面に当接する当接片と傾斜部材24の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、主補強傾斜部材20の下側面又は上側面に当接する当接片と傾斜部材24の上側面又は下側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって主補強傾斜部材20の中間部に連結されている(
図9(b),(c)参照)。
【0075】
なお、垂直部材23の上端部又は下端部と主補強傾斜部材20の中間部の下側面又は上側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片と、傾斜部材24の内方側の一端と主補強傾斜部材20の中間部の下側面又は上側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、垂直部材23の上下端と一対の傾斜部材の風車翼10Cの内方側の一端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記両外角ブラケット9Aの当接片を共通の当接片として両外角ブラケット9Aを一体に形成してもよい。
【0076】
また、一対の傾斜部材24は、風車翼10Cの外方側の他端が、外側部12の水平中心C部の内側面に当接する当接片と傾斜部材24の他端部の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、外側部12の内側面に当接する当接片と傾斜部材24の上側面又は下側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって外側部12の水平中心C部に連結されている(
図9(d)参照)。
【0077】
なお、一対の傾斜部材24の他端部の下側面又は上側面と外側部12の水平中心C部の内側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、外側部12の水平中心C部と一対の傾斜部材24の他端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記両外角ブラケット9Aの当接片を共通の当接片として両外角ブラケット9Aを一体に形成してもよい。
【0078】
上記のように構成することにより、一対の主補強傾斜部材20の中間部に連結される垂直部材23と、主補強傾斜部材20の中間部に一端が連結され、他端が外側部12の水平中心C部に連結される一対の傾斜部材24とでトラス構造が形成される。
なお、第4実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0079】
第4実施形態の風車翼10Cを有する風車によれば、補強部を、一対の主補強傾斜部材20に加えて、垂直部材23と一対の傾斜部材24によるトラス構造を有するので、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける外側部12の変形を小さくして、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形に伴う延在部11の変形を抑制することができる。
【0080】
<第5実施形態>
第5実施形態の風車は、
図10に示すように、一対の主補強傾斜部材20の一端が、風車翼10Dの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心Cに連結される補強用水平部材22の中間部に連結されている。
【0081】
第5実施形態において、補強用水平部材22の一端(基端)は、
図2Aに示した水平部材14と同様に、固定部材7を構成する外側ブラケット7a、内側ブラケット7b、固定ボルト7c及び固定ナット7dによってアーム5に連結されている。
補強用水平部材22の先端は、
図10(c)に示すように、補強用水平部材22の先端側の上面又は下面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する一対の直角ブラケット9Cと、一対の直角ブラケット9Cによって補強用水平部材22を挟んで、両直角ブラケット9Cの当接片を外側部12の内側面に当接した状態で、連結ボルト9b、連結ナット9cによって外側部12の水平中心C部に連結される。
【0082】
また、一対の主補強傾斜部材20の一端すなわち基端側が、風車翼10Dの垂直軸Z側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる補強用水平部材22の中間部に、連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9B及び連結ボルト9b、連結ナット9cによって連結されている(
図10(b)参照)。
【0083】
また、主補強傾斜部材20の先端は、連結部材9を構成する外角ブラケット9A、内角ブラケット9B及び連結ボルト9b、連結ナット9cによって外側部12の水平中心Cに対して対向する位置、例えば対称位置に連結されている。
なお、第5実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0084】
第5実施形態の風車翼10Dを有する風車によれば、一対の主補強傾斜部材20と、風車翼10Dの垂直軸Z側の内方側端部と外側部の水平中心C部に連結される補強用水平部材22によって外側部12の水平中心Cに対する対称の2箇所と水平中心Cの1箇所の計3箇所を固定して、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形に伴う延在部11の変形を抑制することができる。
【0085】
<第6実施形態>
第6実施形態の風車は、第2実施形態の風車に加えて、更に延在部11の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図11に示すように、一対の主補強傾斜部材20の一端が、風車翼10Eの垂直軸Z側の内方側端部から外方に向かって水平に延びる内側水平部材21に連結され、内側水平部材21に一端が連結され、他端が延在部11における内側水平部材21より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材25を具備する。
【0086】
第6実施形態において、内側傾斜部材25は、風車翼10Eを形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10Eの延在部11、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0087】
内側傾斜部材25は、
図11(d)に示すように、内側傾斜部材25の内側水平部材21に連結される一端が、それぞれ内側水平部材21の上側面又は下側面に当接する当接片と内側傾斜部材25の外側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、内側水平部材21の上側面又は下側面に当接する当接片と内側傾斜部材25の内側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって内側水平部材21に連結されている。
【0088】
また、内側傾斜部材25は、
図11(b),(c)に示すように、延在部11における内側水平部材21より内方側位置に連結される端部が、それぞれ延在部11の内側面に当接する当接片と内側傾斜部材25の外側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、延在部11の内側面に当接する当接片と内側傾斜部材25の内側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって延在部11における内側水平部材21より内方側位置に連結されている。
なお、第6実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0089】
第6実施形態の風車翼10Eを有する風車によれば、垂直軸側の内方側端部に連結される主補強傾斜部材20の一端と外側部12との距離を短くすることで、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける外側部12の変形を小さくして、回転時の遠心力による外側部の変形を抑制することができると共に、一対の内側傾斜部材25によって延在部11の変形を抑制することができる。
【0090】
<第7実施形態>
第7実施形態の風車は、第5実施形態の風車に加えて、更に第6実施形態と同様に、延在部11の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図12に示すように、一対の主補強傾斜部材20の一端が、風車翼10Fの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22の中間部に連結され、補強用水平部材22の中間部より内方の近傍に一端が連結され、他端が延在部11における中間部より内方側位置に連結される一対の内側傾斜部材25を具備する。
【0091】
第7実施形態において、主補強傾斜部材20、補強用水平部材22及び内側傾斜部材25の連結構造は、第5実施形態及び第6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
この場合、
図12(b)に示すように、主補強傾斜部材20と補強用水平部材22を連結する連結部材9の外角ブラケット9Aと、内側傾斜部材25と補強用水平部材22を連結する連結部材9の外角ブラケット9Aが別体に形成されているが、両外角ブラケット9Aを一体にしてもよい。つまり、主補強傾斜部材20と補強用水平部材22を連結する連結部材9の外角ブラケット9Aの当接片と、内側傾斜部材25と補強用水平部材22を連結する連結部材9の外角ブラケット9Aの当接片を共通にしてもよい。
なお、第7実施形態において、その他の部分は第1実施形態、第5実施形態及び第6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0092】
第7実施形態の風車翼10Fを有する風車によれば、一対の主補強傾斜部材20と、風車翼10Fの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22によって外側部12の水平中心Cに対する対称の2箇所と水平中心Cの1箇所の計3箇所を固定して、回転時の遠心力による外側部12の変形を抑制することができると共に、一対の内側傾斜部材25によって延在部11の変形を抑制することができる。
【0093】
<第8実施形態>
第8実施形態の風車は、
図13及び
図14に示すように、風車翼10Gは、回転時の遠心力による変形を抑制する補強部を備えており、補強部は、少なくとも両端が風車翼10Gの一対の延在部11の中間部に連結される主補強垂直部材30を具備する。
【0094】
第8実施形態において、主補強垂直部材30は、風車翼10Gを形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10の延在部、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0095】
風車翼10Gを固定する固定部材7は、
図14(b)に示すように、風車翼10Gの延在部11の基端側の外側面と水平部材14の上面又は下面に当接する当接片を有する鈍角屈曲状の一対の外側ブラケット7aと、延在部11の基端側の内側面と水平部材14の上面又は下面に当接する当接片を有する一対の鋭角屈曲状の内側ブラケット7bと、一対の外側ブラケット7aと内側ブラケット7bによってそれぞれ延在部11と水平部材14を挟んだ状態で、水平部材14に延在部11を固定する固定ボルト7c,固定ナット7dとを具備する。
【0096】
主補強垂直部材30を延在部11に連結する連結部材9は、
図14(c),(d)に示すように、主補強垂直部材30の上端部又は下端部の外側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する鈍角屈曲状の外角ブラケット9Aと、主補強垂直部材30の上端部又は下端部の内側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する鋭角屈曲状の内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって主補強垂直部材30を挟んだ状態で、延在部11に主補強垂直部材30を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cを具備する。
なお、第8実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0097】
第8実施形態の風車翼10Gを有する風車によれば、延在部11の中間部を主補強垂直部材30によって固定するので、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができる。また、延在部の変形に伴う外側部12の変形を抑制することができる。
【0098】
<第9実施形態>
第9実施形態の風車は、第8実施形態の風車に加えて、更に外側部12の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図15に示すように、一対の延在部11の中間部に一端が連結され、他端が外側部12における垂直軸Z側の内方側端部を結ぶ水平中心Cに対して対向する位置、例えば対称位置に連結される一対の外側傾斜部材31を更に具備する。
【0099】
第9実施形態において、外側傾斜部材31は、風車翼10Hを形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10の延在部、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0100】
外側傾斜部材31を延在部11に連結する連結部材9は、
図15(b),(c)に示すように、外側傾斜部材31の一端部の上側面又は下側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接片を有する直角ブラケット9Cと、外側傾斜部材31の一端部の下側面又は上側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する直角ブラケット9Cと、両直角ブラケット9Cによって外側傾斜部材31を挟んだ状態で、延在部11に外側傾斜部材31を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0101】
また、外側傾斜部材31を外側部12に連結する連結部材9は、
図15(d),(e)に示すように、外側傾斜部材31の他端部の下側面又は上側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、外側傾斜部材31の他端部の上側面又は下側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって外側傾斜部材31を挟んだ状態で、外側部12に外側傾斜部材31を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0102】
第9実施形態において、主補強垂直部材30を延在部11に連結する外角ブラケット9Aを外側傾斜部材31を延在部11に連結する外角ブラケット9Aの当接片と共通にすることによって、両外角ブラケット9Aを一体に形成してもよい。
なお、第9実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第8実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0103】
第9実施形態の風車翼10Hを有する風車によれば、延在部11の中間部を主補強垂直部材30によって固定し、外側部12における垂直軸Z側の内方側端部を結ぶ水平中心Cに対して対称位置の2箇所を外側傾斜部材31によって固定するので、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形を抑制することができる。
【0104】
<第10実施形態>
第10実施形態の風車は、第8実施形態の風車に加えて、更に延在部11と外側部12の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図16に示すように、両端が風車翼10Jの一対の延在部11の中間部に連結される主補強垂直部材30と、一端が延在部11の中間部に連結され、他端が外側部12の水平中心C部に連結される一対の傾斜部材32とからなるトラス構造を有する。
【0105】
傾斜部材32は、風車翼10Jを形成する延在部11、外側部12及び湾曲部13と同じ断面形状の中空部を有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、風車翼10の延在部、外側部12及び湾曲部13と同様に、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有している。
【0106】
第10実施形態において、傾斜部材32を延在部11に連結する連結部材9は、
図16(b),(c)に示すように、傾斜部材32の一端部の上側面又は下側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、傾斜部材32の一端部の下側面又は上側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって傾斜部材32を挟んだ状態で、延在部11に傾斜部材32を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0107】
なお、主補強垂直部材30の上端部又は下端部と延在部11の下側面又は上側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片と、傾斜部材32の一端部の下側面又は上側面と延在部11の下側面又は上側面とを連結する内角ブラケット9Bの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、主補強垂直部材30の上下端と一対の傾斜部材32の一端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bの当接片を共通の当接片として外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bを一体に形成してもよい。
【0108】
また、傾斜部材32を外側部12に連結する連結部材9は、
図16(d)に示すように、傾斜部材32の他端部の下側面又は上側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、傾斜部材32の他端部の上側面又は下側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって傾斜部材32を挟んだ状態で、外側部12に傾斜部材32を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0109】
なお、一対の傾斜部材32の他端部の下側面又は上側面と外側部12の水平中心C部の内側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、外側部12の水平中心C部と一対の傾斜部材32の他端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記両外角ブラケット9Aの当接片を共通の当接片として両外角ブラケット9Aを一体に形成してもよい。
【0110】
第10実施形態において、延在部11の中間部に主補強垂直部材30と傾斜部材32の一端が連結され、外側部12の水平中心C部に一対の傾斜部材32の他端が連結されることで、主補強垂直部材30と一対の傾斜部材32とでトラス構造を形成することができる。
なお、第10実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第8実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0111】
第10実施形態の風車翼10Jを有する風車によれば、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける延在部11の変形と外側部12の変形を小さくして、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形を抑制することができる。
【0112】
<第11実施形態>
第11実施形態の風車は、第8実施形態の風車に加えて、更に外側部12の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図17に示すように、主補強垂直部材30を、風車翼10Kの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22に連結した場合である。
【0113】
第11実施形態において、主補強垂直部材30を補強用水平部材22に連結する連結部材9は、
図17(b)に示すように、上端部が延在部11の中間部に連結された主補強垂直部材30の一部の上部側主補強垂直部材30aの下端部の外側面又は内側面に当接する当接片と補強用水平部材22の上側面に当接する当接片を有する一対の上部直角ブラケット9Caと、下端部が延在部11の中間部に連結された主補強垂直部材30の一部の下部側主補強垂直部材30bの上端部の外側面又は内側面に当接する当接片と補強用水平部材22の上側面に当接する当接片を有する一対の下部直角ブラケット9Cbと、一対の上部直角ブラケット9Caによって上部主補強垂直部材30aの下端部を挟み、一対の下部直角ブラケット9Cbによって下部主補強垂直部材30bの上端部を挟み、上部直角ブラケット9Caと下部直角ブラケット9Cbによって補強用水平部材22を挟んだ状態で、補強用水平部材22に上部主補強垂直部材30aと下部主補強垂直部材30bを連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0114】
なお、補強用水平部材22の風車翼10Kの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の連結は、第3実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。また、第11実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第8実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0115】
第11実施形態の風車翼10Kを有する風車によれば、延在部11の中間部を主補強垂直部材30(上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30b)によって固定し、外側部12の水平中心C部を風車翼10Kの垂直軸Z側の内方側端部と外側部の水平中心C部に連結される補強用水平部材22によって固定するので、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形を抑制することができる。
【0116】
<第12実施形態>
第12実施形態の風車は、第11実施形態の風車に加えて、更に外側部12の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図18に示すように、主補強垂直部材30が、風車翼10Lの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22に連結され、延在部11の主補強垂直部材30の連結部より外方の近傍に一端が連結され、他端が外側部12の水平中心Cに対して対向する位置、例えば対称位置に連結される一対の外側傾斜部材31を具備する。
【0117】
第12実施形態において、主補強垂直部材30と補強用水平部材22の連結は、第11実施形態と同様であり、
図17(b)に示す構造を有するので説明は省略する。
また、外側傾斜部材31と延在部11及び外側部12の連結は、第9実施形態と同様であり、
図15に示す構造を有するので説明は省略する。
なお、第12実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第8実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0118】
第12実施形態の風車翼10Lを有する風車によれば、延在部11の中間部を主補強垂直部材30によって固定し、外側部12の水平中心C部を風車翼10Lの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22によって固定し、外側部12の垂直軸Z側の内方側端部を結ぶ水平中心Cに対して対称位置の2箇所を外側傾斜部材31によって固定するので、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形を抑制することができる。
【0119】
<第13実施形態>
第13実施形態の風車は、第11実施形態の風車に加えて、更に延在部11と外側部12の強度を高めるようにした場合である。すなわち、
図19に示すように、主補強垂直部材30が、風車翼10Mの垂直軸Z側の内方側端部と外側部12の水平中心C部に連結される補強用水平部材22に連結され、主補強垂直部材30と、補強用水平部材22と、延在部11に一端が連結され、他端が外側部12の水平中心部に連結される傾斜部材32とからなる一対のトラス構造を有する。
【0120】
第13実施形態において、補強用水平部材22と外側部12の連結は、
図19(d)に示すように、補強用水平部材22の先端側の上面又は下面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する一対の直角ブラケット9Cと、一対の直角ブラケット9Cによって補強用水平部材22を挟んで、両直角ブラケット9Cの当接片を外側部12の内側面に当接した状態で、連結ボルト9b、連結ナット9cによって外側部12の水平中心C部に連結される。なお、補強用水平部材22の垂直軸Z側の内方側端部には固定部材7によって延在部11が固定される。
【0121】
一方、傾斜部材32を延在部11に連結する連結部材9は、
図19(b),(c)に示すように、傾斜部材32の一端部の上側面又は下側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、傾斜部材32の一端部の下側面又は上側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって傾斜部材32を挟んだ状態で、延在部11に傾斜部材32を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0122】
また、傾斜部材32を外側部12の水平中心C部に連結する連結部材9は、
図19(d)に示すように、傾斜部材32の他端部の下側面又は上側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、傾斜部材32の他端部の上側面又は下側面に当接する当接片と外側部12の内側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって傾斜部材32を挟んだ状態で、外側部12に傾斜部材32を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cとを具備する。
【0123】
なお、一対の傾斜部材32の他端部の下側面又は上側面と外側部12の水平中心C部の内側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片と、補強用水平部材22の先端と外側部12の内側面とを連結する直角ブラケット9Cの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、一対の傾斜部材32の他端と補強用水平部材22の先端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記外角ブラケット9Aの当接片と直角ブラケット9Cの当接片を共通の当接片として外角ブラケット9Aと直角ブラケット9Cを一体に形成してもよい。
【0124】
一方、主補強垂直部材30を構成する上部主補強垂直部材30aと下部主補強垂直部材30bを延在部11に連結する連結部材9は、
図19(b),(c)に示すように、上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30bの上端部又は下端部の外側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する外角ブラケット9Aと、上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30bの上端部又は下端部の内側面に当接する当接片と延在部11の下側面又は上側面に当接する当接片を有する内角ブラケット9Bと、外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bによって上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30bを挟んだ状態で、延在部11に主補強垂直部材30を連結する連結ボルト9b及び連結ナット9cを具備する。
【0125】
なお、主補強垂直部材30(上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30b)の上端部又は下端部と延在部11の下側面又は上側面とを連結する外角ブラケット9Aの当接片と、一対の傾斜部材32の内方側の一端と延在部11の下側面又は上側面とを連結する内角ブラケット9Bの当接片は近接した位置で、連結ボルト9b及び連結ナット9cによって固定されている。したがって、主補強垂直部材30(上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30b)の上下端と、一対の傾斜部材32の一端の連結部は略同一とみることができる。なお、この場合、上記外角ブラケット9Aの当接片と内角ブラケット9Bの当接片を共通の当接片として外角ブラケット9Aと内角ブラケット9Bを一体に形成してもよい。
【0126】
なお、主補強垂直部材30(上部主補強垂直部材30aと下部主補強垂直部材30b)と補強用水平部材22の連結は、第11実施形態と同様であり、
図17(b)に示す構造を有するので説明は省略する。
なお、第13実施形態において、その他の部分は第1実施形態及び第8実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0127】
上記のような連結にすることによって、主補強垂直部材30(上部主補強垂直部材30a、下部主補強垂直部材30b)と、補強用水平部材22と、一対の傾斜部材32とからなる一対のトラス構造を形成する。すなわち、上部主補強垂直部材30aと、補強用水平部材22と、上側の傾斜部材32とからなるトラス構造と、下部主補強垂直部材30、補強用水平部材22と、下側の傾斜部材32とからなるトラス構造を形成する。
【0128】
第13実施形態の風車翼10Mを有する風車によれば、回転時の遠心力による変形に伴う曲げモーメントを受ける延在部11の変形と外側部12の変形を小さくして、回転時の遠心力による延在部11の変形を抑制することができると共に、外側部12の変形を抑制することができる。
【0129】
上記実施形態の風車は、補強部を構成する部材(すなわち主補強傾斜部材20,内側傾斜部材21,補強用水平部材22,垂直部材23,傾斜部材24,内側傾斜部材25,主補強垂直部材30,外側傾斜部材31,傾斜部材32等)が、アルミニウム製押出形材にて形成される風車翼10(10A~10H,10J~10M)と同形状のアルミニウム製押出形材にて形成される断面中空状に形成されている。
【0130】
したがって、風車翼10(10A~10H,10J~10M)と補強部を構成する部材を共通化することができると共に、補強部を有する風車翼10(10A~10M)の軽量化が図れる。この場合、風車翼10(10A~10H,10J~10M)及び補強部を構成する部材を、リブによって区画される中空部を有するアルミニウム製形材にて形成することにより、風車翼10(10A~10H,10J~10M)と補強部を構成する部材の強度をもたせることができる。
【0131】
上記実施形態の風車1によれば、上記のように構成されているので、突風などに伴う強風が吹いた場合でも過回転時の遠心力による風車翼10(10A~10H,10J~10M)の変形を抑制することができ、変形によって風車翼10(10A~10H,10J~10M)の受風面積の変化を抑制して受風面積の維持が図れると共に、風車翼10(10A~10H,10J~10M)の破損防止が図れる。
【符号の説明】
【0132】
1 風車
10,10A~10H,10J~10M 風車翼
11 延在部
12 外側部
13 湾曲部
14 水平部材
20 主補強傾斜部材
21 内側傾斜部材
22 補強用水平部材
23 垂直部材
24 傾斜部材
25 内側傾斜部材
30 主補強垂直部材
30a 上部主補強垂直部材
30b 下部主補強垂直部材
31 外側傾斜部材
32 傾斜部材
C 水平中心
X 水平軸
Z 垂直軸