(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】脂肪酸アナログおよび代謝症候群に関連する症状の処置におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20230712BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230712BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230712BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230712BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230712BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230712BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20230712BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230712BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20230712BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230712BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230712BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230712BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230712BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A61K31/19
A61P3/00
A61P9/00
A61P3/10
A61P7/06
A61P3/06
A61P9/12
A61P29/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P5/50
A61P1/16
A61P3/12
A61P25/00
A61P25/28
A61P37/06
A61P11/06
A61P17/00
A61P11/00
A61P17/06
A61P37/08
(21)【出願番号】P 2020542705
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 US2018056545
(87)【国際公開番号】W WO2019083816
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520137235
【氏名又は名称】エピトラッカー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EPITRACKER, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ワトソン、ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ランプキン、リチャード
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/111843(WO,A1)
【文献】特表2012-526094(JP,A)
【文献】特表2008-540394(JP,A)
【文献】特表2008-540393(JP,A)
【文献】特表2011-528350(JP,A)
【文献】特表2002-514594(JP,A)
【文献】特表2001-520304(JP,A)
【文献】Journal of the American Chemical Society,1930年,52,pp.2540-2543
【文献】ChemMedChem.,2013年,8(3),pp.385-395
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、インスリン抵抗性、線維性疾患、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患、アルツハイマー病、非アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫疾患、喘息、貧血、皮膚炎、肺疾患、肺線維症および全身性硬化症、乾癬および認知症からなる群より選択される症状の処置または発症予防のための薬学的組成物であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し、
前記式(I)の化合物が、
【化1】
からなる群より選択される、薬学的組成物。
【請求項2】
前記薬学的組成物が、単位剤形である、請求項
1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
0.01mg~10000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、請求項1
又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、全身性硬化症および特発性肺線維症からなる群より選択される線維性疾患の処置または発症予防のための、請求項
1~3のいずれか一項に記載の
薬学的組成物。
【請求項5】
乾癬および関節リウマチからなる群より選択される自己免疫疾患の処置または発症予防のための、請求項
1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
アレルギーおよび喘息からなる群より選択される慢性炎症性疾患の処置または発症予防のための、請求項
1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年10月23日出願の米国特許仮出願第62/575,973号の利益を主張する。前記出願は、その全体が参照により本明細書中に援用され、明確に本明細書の一部を成す。
【0002】
[技術分野]
脂肪酸アナログを含む組成物が、代謝症候群、貧血、癌、循環器疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む神経変性疾患、ならびに他の関連症状を処置するために提供される。代謝症候群および他の症状を診断およびモニターするための方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
代謝症候群は、エネルギーの利用および貯蔵に関する基礎疾患である。代謝症候群は、米国を含む先進国の人口のかなりの割合において発症する。代謝症候群は、循環器疾患、糖尿病(特に、2型糖尿病)および他の症状(例えば、多嚢胞性卵巣症候群、脂肪肝疾患、コレステロール胆石、喘息、睡眠障害およびいくつかの形態の癌)の発症リスクと関連する。代謝症候群は、腹部(中心性)肥満、高血圧、高インスリン、高空腹時血糖、高血清トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)レベルの低下、炎症促進状態(臨床的にはC反応性タンパク質(CRP)の上昇によって認められる)および血栓形成促進状態を特徴とする。
【0004】
代謝症候群は、別名、シンドロームX、前糖尿病、心血管代謝症候群、インスリン抵抗性症候群、Reaven症候群およびCHAOSとしても知られている。代謝症候群の危険因子がいくつか特定されており、それらとしては、肥満症、加齢、高ストレスおよび質の悪い食事が挙げられるがこれらに限定されない。代謝症候群は、遺伝的障害または他の先天性代謝異常が原因でも生じ得る。
【0005】
代謝症候群の処置は、一般に、上記で挙げた指標を標的とする。処置は、より進行期の代謝症候群、例えば、循環器疾患および糖尿病に関連する症状に焦点を当てることが多い。糖尿病の場合、メトホルミン、インスリンまたはインスリンアナログの投与が時折、スタチン、フィブラートおよびナイアシンなどの他の薬の投与と同様に必要とされる。しかしながら、これらの薬は、望ましくない副作用を生じる恐れがある。一般に、代謝症候群の早期の処置および予防は、低飽和脂肪食および毎日の運動量の増加を推奨することに限られる。一部の対象は、これらのレジメンに全く適合せず、すなわち反応しない。
【発明の概要】
【0006】
代謝症候群を処置および予防するため、ならびに関連症状を処置するための組成物および方法が提供される。これらの組成物は、脂肪酸化合物およびその塩を含み、それは、単独で、または他の薬と併用して、または様々な処置レジメンの一部として、投与され得る。提供される組成物は、代謝症候群、貧血、癌、循環器疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む神経変性疾患、ならびに他の関連症状に関連するマーカーを調節するために有効である。それらの組成物を投与するための方法が提供される。
【0007】
したがって、広く適用可能な第1の態様(すなわち、本明細書中で特定される態様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第1の態様)では、代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患またはアルツハイマー病の処置または発症予防の方法が提供され、その方法は、それを必要とする患者に式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)または式(Ih)の化合物であり得る。
【0008】
したがって、広く適用可能な第2の態様(すなわち、本明細書中で特定される態様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第2の態様)では、ある化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物が提供され、ここで、その化合物は、2-メチル、2,2-ジメチル、2-エチル、2,2-ジエチル、3-オキサ、2,2-ジメチル-3-オキサ、1-テトラゾール、1-オキサゾロン、1-オキサジアゾロン、N-ヒドロキシアミド、2-メチル-1-テトラゾールおよび2-メチル-2-エチルからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された飽和脂肪酸であり、その脂肪酸は、トリデカン酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)およびステアリン酸(C18:0)ならびに薬学的に許容され得るキャリアから選択される。それらの実施形態の化合物の構造としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
したがって、広く適用可能な第3の態様(すなわち、本明細書中で特定される態様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第3の態様)では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物が提供される。様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)または式(Ih)の化合物であり得る。
【0010】
第1から第3の態様の実施形態の特徴のいずれもが、本明細書中で特定される態様および実施形態のすべてに適用可能である。さらに、第1から第3の態様の実施形態の特徴のいずれもが、本明細書中に記載される他の実施形態と何らかの方法で、部分的または全体的に、独立して組み合わせ可能であり、例えば、1つ、2つもしくは3つまたはそれを超える実施形態が、全体的または部分的に組み合わせ可能であり得る。さらに、第1から第3の態様の実施形態の特徴のいずれもが、他の態様または実施形態にとっては必須でなくなり得る。任意の態様または実施形態の方法が、別の態様または実施形態のシステムまたは装置によって行われ得、任意の態様または実施形態のシステムが、別の態様または実施形態の方法を行うように設定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、飽和遊離脂肪酸(C15:0)で処置された系および非処置コントロールと比べて、有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0、2,2-ジメチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0)で処置されたヒト初代細胞ベースの系において有意に低かった様々な疾患状態のタンパク質ベースのバイオマーカーの要約を提供している。
【0012】
【
図2A】
図2Aは、飽和遊離脂肪酸型および置換基を有する飽和脂肪酸の間のヒト初代細胞ベースの活性(詳細には、活性化された病的状態の低減)の比較を提供している表である。それらのヒト細胞系には、細静脈内皮細胞、気管支上皮細胞および他の細胞が含まれた。アスタリスク(
*)は、歴史的ビヒクルコントロールから生成された95%有意性限界から外れる値を特定しており、濃い色で縁取られた四角は、>20%の効果の大きさを指摘している。
【0013】
【
図2B】
図2Bは、飽和遊離脂肪酸型および置換基を有する飽和脂肪酸の間のヒト初代細胞ベースの活性(詳細には、活性化された病的状態の低減)の比較を提供している表である。それらのヒト細胞系には、ケラチノサイトおよび他の細胞が含まれた。アスタリスク(
*)は、歴史的ビヒクルコントロールから生成された95%有意性限界から外れる値を特定しており、濃い色で縁取られた四角は、>20%の効果の大きさを指摘している。
【0014】
【
図3A】
図3Aは、ラットに重水素化C15:0を35mg/kg体重の用量で単回経口投与した後の24時間にわたるC15:0の血漿中濃度の変化を示している。
【0015】
【
図3B】
図3Bは、ラットに重水素化2-メチル-C15:0を35mg/kg体重の用量で単回経口投与した後の24時間にわたる2-メチル-C15:0の血漿中濃度の変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[詳細な説明]
ある化合物、例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物、ならびに代謝症候群および関連障害を処置するための関連方法が、提供される。様々な実施形態において、本明細書中に提供される化合物は、2-アルキルもしくは2,2-ジ-アルキルで置換された飽和脂肪酸、またはその酸イソスターおよび/もしくは薬学的に許容され得る塩であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態は、薬学的組成物、およびその薬学的組成物を用いた処置方法に関し、ここで、その薬学的組成物は、構造:
【化1】
(式中、Gは、非置換もしくは置換C
10-C
17アルキル、非置換もしくは置換C
10-C
17アルケニル、または1つ、2つもしくは3つのオキサ置換および/もしくはチア置換を有する非置換もしくは置換C
10-C
17アルキル、例えば、1つ以上の酸素および/または硫黄原子がそのアルキル鎖またはアルケニル鎖の炭素原子の1つ以上を置換しているものから選択され;Xは、OおよびCR
1R
2から選択され、ここで、R
1およびR
2は、各々独立して、Hまたは非置換もしくは置換C
1-C
6アルキルであり;Y
1およびY
2は、各々独立して、H、非置換もしくは置換C
1-C
6アルコキシまたは非置換もしくは置換C
1-C
6アルキルであるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換もしくは置換シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成してもよく;Zは、カルボン酸、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリールから選択される)を有する式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む。式(I)において、ある基が、「置換」と記載される場合、その基は、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミノからなる群より個別にかつ独立して選択される1つ以上の置換基で置換される。薬学的組成物は、薬学的に許容され得るキャリアをさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、Y1およびY2は、各々独立して、H、または1つ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキルである。さらなる実施形態において、Y1およびY2は、各々独立して、H、非置換メチル、1~3つのハロゲンで置換されたメチル、非置換エチルおよび1~5つのハロゲンで置換されたエチルから選択される。なおもさらなる実施形態において、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、BrおよびIから選択される。いくつかの実施形態において、各ハロゲンは、Fである。いくつかの実施形態において、Y1およびY2は、各々独立して、Hおよび非置換メチルから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、Zは、5員の非置換または置換ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Zは、5員の非置換ヘテロアリールである。1つの実施形態において、5員の非置換ヘテロアリールは、非置換テトラゾールまたは非置換1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。いくつかの実施形態において、Zは、カルボン酸またはC1-C6アルキルエステルである。いくつかの実施形態において、Zは、非置換または置換アミドである。なおもさらなる実施形態において、Zは、C1-C6アルキル、ヒドロキシおよびC1-C6ヒドロキシアルキルから選択される1つまたは2つの基によって置換されたアミドである。
【0020】
いくつかの実施形態において、R1およびR2は、各々独立して、H、または1つ以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1およびR2は、各々独立して、Hである。
【0021】
いくつかの実施形態において、Gは、1つ以上のハロゲンによって置換されたC10-C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Gは、非置換C12-C14アルキルである。
【0022】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)または式(Ih)の構造を有し、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)および式(Ih)の各々において、G、X、Y
1、Y
2およびZを含むすべての基が、式(I)に関して示されたとおりである。
【化2】
【0023】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、以下から選択され得、ここで、各場合において、Gは、非置換C
10-C
15アルキルである。
【化3】
【0024】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、
【化4】
から選択され得る。
【0025】
さらなる実施形態において、上記化合物は、トリデカン酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)もしくはステアリン酸(C18:0)、あるいはそのテトラゾール酸イソスター、オキサゾロン酸イソスター、オキサジアゾロン酸イソスター、アミド、N-ヒドロキシアミド、(2-ヒドロキシエチル)アミドまたは薬学的に許容され得る塩から選択される、2-メチル、2,2-ジメチル、2-エチル、2,2-ジエチル、3-オキサまたは3-オキサ-2,2-ジメチルで置換された飽和脂肪酸であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、2,2-ジメチルペンタデカン酸、2-メチルパルミチン酸または2,2-ジメチルパルミチン酸である。
【0027】
いくつかの実施形態において、オキサジアゾロン酸イソスターは、非置換1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン酸イソスターである。さらなる実施形態において、オキサゾロン酸イソスターは、非置換オキサゾール-2(3H)-オン酸イソスターである。
【0028】
奇数鎖飽和脂肪酸であるヘプタデカン酸の食事摂取量の増加は、バンドウイルカの代謝症候群の改善と関連があった(Venn-Watson et al.Increased dietary intake of saturated fatty acid heptadecanoic acid(C17:0)associated with decreasing ferritin and alleviated metabolic syndrome in dolphins,(2016)PLOS ONE 10(7):e0132117を参照のこと)。したがって、修飾された奇数鎖飽和脂肪酸の経口投与が、代謝症候群の処置において有用である可能性がある。
【0029】
ある特定の脂質化合物は、WO2017/093732において、網膜変性障害および眼球の炎症性疾患などの眼科障害の処置用として提唱されている。しかしながら、これらの脂質は、不飽和脂肪酸誘導体(例えば、1~5個の二重結合を含むアルキル基)である。Larsonらは、Lipids,Vol.40,no.1(2005)において、1つの飽和脂肪酸(パルミチン酸、すなわちC16:0)をはじめとした様々な脂肪酸のアルファ-メチル化による、PPAR-アルファ活性およびPPAR-ガンマ活性の増大を実証した。しかしながら、それらの誘導体は、PPARδ(デルタ)の活性化因子としては不十分であり有意でないと報告されている。対照的に、C15:0は、PPARデルタの部分アゴニストであり、その誘導体は、改善されたPPAR-デルタのEC50および/または最高濃度を示すことが多いことが観察されている。
【0030】
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)は、哺乳動物の代謝を取り仕切る公知の物質であり、ゆえに、数多くの疾患の治療標的である。PPARには、3つのアイソタイプ:アルファ、デルタおよびガンマが存在する。この3つのPPARアイソタイプの各々に異なって結合し、活性化する分子が、炎症、脂質異常症、前糖尿病および糖尿病、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎ならびにインスリン抵抗性をはじめとした、代謝症候群に関連する種々の症状を処置すると実証されている。さらに、PPARアゴニストは、自己免疫疾患、喘息、貧血、癌、循環器疾患、皮膚炎、高血圧症、肺疾患(肺線維症および全身性硬化症を含む)、乾癬、鉄過剰症、ならびにアルツハイマー病および他の形態の認知症を含む神経変性疾患に対する治療標的として提唱されている。飽和脂肪酸は、PPARアイソフォームであるPPAR-アルファおよびPPAR-デルタに対する内在性リガンドであると考えられており、炭素鎖長などの構造的特徴が、PPARアゴニスト活性に影響し得ると仮定されている(Forman BM,Chen J,Evans RM(1997)Hypolipidemic drugs,polyunsaturated fatty acids,and eicosanoids are ligands for peroxisome proliferator-activated receptors α and δ.Proc Natl Acad Sci 94:4312-4317を参照のこと)。
【0031】
代謝症候群の構成要素を減弱させる際のペンタデカン酸(C15:0)およびヘプタデカン酸(C17:0)の実証された有効性は、PPAR-アルファおよびPPAR-デルタアゴニストとしてのそれらの役割に部分的に起因し得ると仮定できる。様々な適応症とPPARとの関連は、以下の参考文献に記載されている:Aleshin S et al.(2013)Peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)β/δ,a possible nexus of PPARα-and PPARγ-dependent molecular pathways in neurodegenerative diseases:review and novel hypotheses.Neurochem Int 63:322-330;Barish GD et al.(2006)PPARδ:a dagger in the heart of metabolic syndrome.J Clin Invest 116:590-597;Bonomo LDF et al.(2012)Iron overload potentiates diet-induced hypercholesterolemia and reduces liver PPAR-α expression in hamsters.J Biochem Mol Toxicol 26:224-229;Chiba T et al.(2012)Topical application of PPARα(but not β/δ or γ)suppresses atopic dermatitis in NC/Nga mice.Allergy 67:936-942;Choi JM and Bothwell ALM(2012)The nuclear receptor PPARs as important regulators of T-cell functions and autoimmune diseases.Mol Cell 33:217-222;Hosokawa M et al.(2004)Fucoxanthin induces apoptosis and enhances the antiproliferative effect of the PPARγ ligand,troglitazone,on colon cancer cells.BBA Gen Subj 1675:113-119;Janani C and Kumari BDR(2015)PPAR gamma gene-a review.Diab Metab Synd Clin Res Rev 9:46-50;Leibovitz E et al.(2007)PPAR activation:a new target for the treatment of hypertension.J Cardio Pharmacol 50:120-125;Lee HY et al.(2015)PPAR-α and glucocorticoid receptor synergize to promote erythroid progenitor self-renewal.Nature 522:474-477;Madrazo JA and Kelly DP(2008)The PPAR trio:Regulators of myocardial energy metabolism in health and disease.J Mol Cell Cariol 44:968-975;Milam JE et al.(2008)PPAR-γ agonists inhibit profibrotic phenotypes in human lung fibroblasts and bleomycin-induced pulmonary fibrosis.Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L891-L901;Sertznig P et al.(2008)Peroxisome proliferator-activated receptors(PPARs)and the human skin.Am J Clin Dermatol 9:15-31;Sokolowska M et al.(2005)Peroxisome proliferator-activated receptor gamma(PPAR-gamma)and their role in immunoregulation and inflammation control.Postepy Higieny 59:472-484;Trifillieff A et al.(2009)PPAR-α and-γ but not-δ agonists inhibit airway inflammation in a murine model of asthma:in vitro evidence for an NF-kβ-independent effect.Br J Pharmacol 139:163-171;およびWei et al.(2010)Peroxisome proliferator-activated receptor γ:innate protection from excessive fibrinogenesis and potential therapeutic target in systemic sclerosis.Curr Opin Rhematol 22:671-676。
【0032】
修飾された飽和脂肪酸は、Arm-IIのAF2ポケットにおける親水性結合を改善し得る。したがって、脂肪酸のある特定のアナログは、天然の脂肪酸の形態と比べて、改善されたPPARアゴニスト活性を提供し得る。PPARアゴニスト活性を改善することによって、本明細書中に提供される化合物などの飽和脂肪酸アナログは、天然の脂肪酸と比べて、代謝症候群および代謝症候群の構成要素の処置においてより有効であり得ると仮定できる。
【0033】
したがって、上記化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは代謝産物は、PPARを有利に活性化し得る。
【0034】
上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、哺乳動物対象(例えば、イルカおよびヒト)における代謝症候群および高フェリチン血症に対する保護因子および危険因子を検出するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、哺乳動物対象(例えば、イルカおよびヒト)における代謝症候群および/または高フェリチン血症を処置するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、哺乳動物対象における代謝症候群および/または高フェリチン血症、例えば、イルカおよびヒトの場合、対象の血清の式(I)の化合物またはその対応する脂肪酸のレベルを上昇させる代謝症候群および/または高フェリチン血症を検出するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、高フェリチン血症を検出し、瀉血を用いずに処置するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、代謝症候群および高フェリチン血症の検出および処置のためのサプリメントを提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、費用対効果が高い様式で達成しやすい、哺乳動物対象(例えば、イルカおよびヒト)における代謝症候群および/または高フェリチン血症を検出および処置するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、対象において代謝症候群のマーカーを調節するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、対象における代謝症候群を検出するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、対象における代謝症候群を処置するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、対象における代謝症候群の発症予防のための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、対象の血清中の式(I)の化合物またはその対応する脂肪酸を増加させるための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、高フェリチン血症を検出または処置するための方法を提供することである。
【0035】
上述の目標のうちの1つまたは1つより多い目標が、本明細書中に記載されるような様々な組成物、方法および使用によって提供されるかまたは達成される。
【0036】
[定義]
本明細書中で使用される用語「アルコール」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、1つ以上のヒドロキシ基を組み込んでいるか、または1つ以上のヒドロキシ基によって置換されたもしくは1つ以上のヒドロキシ基を含むように官能化された、本明細書中に記載されるような任意の化合物のことを指すがこれに限定されない。
【0037】
本明細書中で使用される用語「誘導体」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、1つ以上の誘導体基を組み込んでいるか、または1つ以上の誘導体基によって置換されたもしくは1つ以上の誘導体基を含むように官能化された、本明細書中に記載されるような任意の化合物のことを指すがこれに限定されない。誘導体としては、エステル、アミド、無水物、酸ハロゲン化物、チオエステルおよびホスフェートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
本明細書中で使用される用語「炭化水素」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、炭素原子および水素原子だけを含む任意の部分のことを指すがこれに限定されない。官能化されたまたは置換された炭化水素部分は、本明細書中の他の箇所に記載されているような1つ以上の置換基を有する。
【0039】
本明細書中で使用される用語「脂質」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、飽和および不飽和の油およびろう、誘導体、アミド、グリセリド、脂肪酸、脂肪アルコール、ステロールおよびステロール誘導体、とりわけ、トコフェロール、カロテノイドのことを指すがこれに限定されない。
【0040】
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容され得る」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、または合理的なリスク/ベネフィット比に見合った他の合併症の問題を伴わずに、適切な医学的判断の範囲内で人間および動物の組織との接触ならびに/または人間および動物による消費に適した、化合物、材料、組成物および/または剤形のことを指すがこれらに限定されない。
【0041】
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容され得る塩」および「その薬学的に許容され得る塩」は、広範な用語であり、当業者にとってのそれらの通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、これらの用語は、薬学的に許容され得る無毒性の酸または塩基から調製される塩のことを指すがこれに限定されない。好適な薬学的に許容され得る塩としては、金属塩、例えば、アルミニウム塩、亜鉛塩、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩);有機塩、例えば、リジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカインおよびトリスの塩;遊離酸および遊離塩基の塩;無機塩、例えば、硫酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩;ならびに現在広く薬学的に使用されていて、当業者に周知の情報源、例えば、The Merck Indexに列挙されているその他の塩が挙げられる。本明細書中で論じられる治療薬の塩を生成するために、任意の好適な構成物を選択することができるが、但し、それは、無毒性であり、所望の活性を実質的に干渉しない。塩に加えて、上記化合物の薬学的に許容され得る前駆体および誘導体も使用することができる。薬学的に許容され得るアミド、低級アルキル誘導体および保護誘導体も、好ましい実施形態の組成物および方法において使用するために好適であり得る。好ましい実施形態の化合物を薬学的に許容され得る塩の形態で投与することが可能であり得るが、化合物を中性の形態で投与することが一般に好ましい。
【0042】
本明細書中で使用される用語「薬学的組成物」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、本明細書中に開示される1つ以上の化合物と、他の化学的構成要素(例えば、希釈剤またはキャリア)との混合物のことを指すがこれに限定されない。薬学的組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。薬学的組成物は、化合物を無機酸もしくは無機塩基または有機酸もしくは有機塩基と反応させることによっても得ることができる。薬学的組成物は、通常、具体的な意図された投与経路に合わせて調整される。
【0043】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「キャリア」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、細胞または組織への化合物の取り込みを容易にする化合物のことを指すがこれに限定されない。例えば、以下に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、対象の細胞または組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にする、よく利用されるキャリアである。水、生理食塩水、エタノールおよび鉱油も、ある特定の薬学的組成物において使用されるキャリアである。
【0044】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「希釈剤」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、薬理学的活性を欠くが薬学的に必要であるかまたは望ましい可能性がある、薬学的組成物中の成分のことを指すがこれに限定されない。例えば、希釈剤は、製造および/または投与するには質量が小さすぎる強力な薬物の嵩を増加させるために使用され得る。希釈剤は、注射、経口摂取または吸入によって投与される薬物を溶解するための液体でもあり得る。当該分野における希釈剤の一般的な形態は、緩衝水溶液(例えば、ヒト血液の組成を模倣しているリン酸緩衝食塩水であるがこれに限定されない)である。
【0045】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「賦形剤」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、薬学的組成物に、以下に限定されないが、嵩、稠性、安定性、結合能、潤滑性、崩壊性などを提供するために、その組成物に加えられる物質のことを指すがこれに限定されない。「希釈剤」は、賦形剤の1タイプである。
【0046】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「対象」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、処置、観察または実験の対象である動物のことを指すがこれに限定されない。「動物」には、冷血および温血の脊椎動物および無脊椎動物、例えば、魚類、甲殻類、爬虫類および特に哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」しては、イルカ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよび類人猿)および特にヒトが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。
【0047】
本明細書中で使用されるとき、用語「処置する」、「処置」、「治療的な」または「治療」は、広範な用語であり、それらの通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、これらの用語は、疾患または症状の完治または完全な消滅を必ずしも意味しないがこれに限定されない。ある疾患または症状の任意の望まれないマーカー、徴候または症候のいくらかの軽減が、処置および/または治療とみなされ得る。さらに、処置には、患者の健康または見た目の全体的な印象を悪化させ得る行為が含まれ得る。
【0048】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」および「有効量」は、広範な用語であり、当業者にとってのそれらの通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、これらの用語は、以下に限定されないが、示される生物学的または医学的な応答を誘発する活性な化合物すなわち医薬品の量のことを示すために使用される。例えば、化合物の治療有効量は、ある症状のマーカーもしくは症候を予防するか、軽減するかもしくは回復させるか、または処置されている対象の生存時間を延長するのに必要な量であり得る。この応答は、組織、系、動物またはヒトにおいて生じ得、処置されている疾患の徴候または症候の軽減を含む。治療有効量の決定は、本明細書中に提供される開示を考慮すれば、当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書中に開示される化合物の治療有効量は、投与経路、処置されている動物のタイプ(ヒトを含む)および検討中の具体的な動物の身体的な特性に依存する。その用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食事、同時投薬のような因子および医学分野の当業者が認識する他の因子に依存する。
【0049】
本明細書中で使用される用語「溶媒」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、他の化合物または手段に対していくらかの溶解性の特性を有する化合物であって、極性または非極性、直鎖または分枝鎖、環状または脂肪族、芳香族、ナフテンであり得る化合物のことを指すがこれに限定されず、それらとしては、とりわけ、アルコール、誘導体、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、複素環式化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中で使用される用語「脂肪酸」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、非天然の脂肪酸のことを指すがこれに限定されない。限定されないが、非天然の脂肪酸は、式(I)の化合物の酸イソスターの加水分解または代謝的切断から得られる可能性がある。
【0051】
本明細書中で使用されるとき、任意の基(例えば、R1、R2、Y1およびY2であるがこれらに限定されない)が、示される原子に結合し得る置換基に相当する。2つの基が、「一体となる」と記載される場合、それらが結合する基および原子は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環を形成し得る。例えば、以下に限定されないが、Y1およびY2が、「一体となる」と示される場合、それは、それらが、0~5個の介在原子を介して互いに共有結合して、環を形成することを意味する。さらに、2つの基が、それらが結合する原子と「一体となって」、選択肢として環を形成すると記載される場合、それらの基は、先に定義された変数または置換基に限定されない。
【0052】
本明細書中に提供されるとき、「オキサ」脂肪酸または「チア」脂肪酸は、示された位置におけるメチレン基が、(脂肪酸鎖における鎖の原子の数が変わらないように)酸素または硫黄原子によって置換された、脂肪酸である。非限定的な例として、3-オキサペンタデカン酸とは、構造:
【化5】
を有する2-(ドデシルオキシ)酢酸のことを指す。硫黄原子は、例えば、スルフェニル、スルフィニルまたはスルホニル基として酸化され得る。いくつかの実施形態において、硫黄原子は、スルフェニル部分の一部である。
【0053】
本明細書中で使用される用語「必要に応じて置換される」は、化学基、例えば、G、X、Y1、Y2またはZが、非置換であってもよいし、示される1つ以上の置換基で置換されてもよいことを示す。置換基が命名されていない場合、示される「必要に応じて置換される」基または「置換された」基は、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルケニル、アシル(C1-C6アルキル)、C1-C6アルコキシ(C1-C6アルキル)、アミノ(C1-C6アルキル)、アミノ酸、C6-C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C6-C10アリール(C1-C6アルキル)、ヘテロアリール(C1-C6アルキル)、ヘテロシクリル(C1-C6アルキル)、ヒドロキシル(C1-C6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C1-C6アルキル)、C1-C6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドまたはアミノから個別にかつ独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る。
【0054】
本明細書中で使用されるとき、「Ca-Cb」(「a」および「b」は整数である)とは、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基における炭素原子の範囲、またはシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基の環における炭素原子の数のことを指す。したがって、例えば、「C1-C4アルキル」基とは、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-および(CH3)3C-のことを指す。「a」および「b」が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロアリシクリル基に関して指定されていない場合、これらの定義に記載されている最も広い範囲が想定されるべきである。
【0055】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、完全に飽和した(二重結合または三重結合がない)炭化水素基を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖のことを指す。アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキル基であり得る。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。アルキル基は、7~14個の炭素原子を有する中級アルキル基であり得る。アルキル基は、15個以上の炭素原子、例えば、15~30個の炭素原子または15~25個の炭素原子を有する高級アルキル基であり得る。アルキル基は、奇数鎖アルキル基、例えば、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25個の炭素原子、例えば、15または17個の炭素原子を有する奇数鎖アルキル基であり得る。
【0056】
本明細書中で使用されるとき、「アルケニル」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、鎖に1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む、直鎖または分枝鎖で、非置換または置換の炭化水素鎖のことを指す。アルケニル基の非限定的な例としては、アレニル、ビニルおよびイソプレニルが挙げられる。
【0057】
本明細書中で使用されるとき、「アルキニル」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、鎖に1つ以上の炭素-炭素三重結合を含む、直鎖または分枝鎖で、非置換または置換の炭化水素鎖のことを指す。アルキニルの非限定的な例としては、エチニルおよびプロピニルが挙げられる。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアリール」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、芳香環に1つ以上のヘテロ原子を有する芳香環を含む単環式環系または縮合多環式環系のことを指す。そのヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄であり得るが、これらに限定されない。「n員のヘテロアリール」とは、環または環系であって、合計n個の原子がその環または環系の環を形成している、環または環系のことを指す。ヘテロアリールには、オキソで置換された複素環式芳香環および複素環式芳香環系、ならびにそれらのヒドロキシ互変異性体が含まれる。ヘテロアリール環の例としては、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、テトラゾール、フラン、フラザン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリンおよびトリアジン。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロシクリル」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、単環式環系、スピロ環式環系および/または縮合多環式環系であって、いかなる芳香環も含まず、その環または環系に1つ以上のヘテロ原子を有する、単環式環系、スピロ環式環系および/または縮合多環式環系のことを指す。そのヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄であり得るが、これらに限定されない。「n員のヘテロシクリル」とは、環または環系であって、合計n個の原子がその環または環系の環を形成している環または環系のことを指す。ヘテロシクリルには、オキソで置換された複素環式環および複素環式環系、ならびにそれらのヒドロキシ互変異性体が含まれる。ヘテロアリール環の例としては、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:群には、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが含まれるが、これらに限定されない:オキサゾリジノン、1,3-ジオキシン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、1,3-チアジナン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホンおよびそれらのベンゾ縮合アナログ(例えば、ベンゾイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリンおよび3,4-メチレンジオキシフェニル)。
【0060】
本明細書中で使用されるとき、「シクロアルキル」とは、完全飽和の(二重結合または三重結合がない)単環式または多環式の炭化水素環系のことを指す。2つ以上の環から構成されるとき、それらの環は、縮合の形式で結合され得る。シクロアルキル基は、そ(れら)の環に3~10個の原子またはそ(れら)の環に3~8個の原子を含み得る。シクロアルキル基は、非置換であってもよいし、置換されてもよい。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用されるとき、「シクロアルケニル」とは、少なくとも1つの環に1つ以上の二重結合を含む単環式または多環式の炭化水素環系のことを指すが、二重結合が1つより多く存在する場合、それらの二重結合は、すべての環にわたって、完全に非局在化したπ電子系を形成できない(さもなければ、その基は、本明細書中で定義されるような「アリール」となる)。2つ以上の環から構成されるとき、それらの環は、縮合の形式で結合され得る。シクロアルケニル基は、非置換であってもよいし、置換されてもよい。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、「アリール」とは、すべての環にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する炭素環式の(すべて炭素の)単環式環系または多環式の芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有している縮合環系を含む)のことを指す。アリール基における炭素原子の数は様々であり得る。例えば、アリール基は、C6-C14アリール基、C6-C10アリール基またはC6アリール基であり得る。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレンおよびアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0063】
本明細書中で使用されるとき、「アラルキル」および「アリール(アルキル)」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアリール基のことを指す。アラルキルの低級アルキレン基およびアリール基は、置換されてもよいし、非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキルおよびナフチルアルキルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアラルキル」および「ヘテロアリール(アルキル)」とは、1~6個の炭素原子を有する低級アルキレン基を介して置換基として結合されるヘテロアリール基のことを指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン基およびヘテロアリール基は、置換されてもよいし、非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、イミダゾリルアルキルおよびそれらのベンゾ縮合アナログが挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」および「ヘテロシクリル(アルキル)」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合される複素環式基または複素脂環式基のことを指す。ヘテロアリシクリル(アルキル)の低級アルキレンおよびヘテロシクリルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)および1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
「低級アルキレン基」は、その末端の炭素原子を介してフラグメント分子を接続する結合を形成し、1~6個の炭素原子を有する、直鎖状のつなぎの-CH2-基のことである。例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)およびブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられるがこれらに限定されない。低級アルキレン基は、その低級アルキレン基の1つ以上の水素を、「置換される」の定義下で列挙された置換基で置換することによって置換され得る。
【0067】
本明細書中で使用されるとき、「アルコキシ」とは、式-ORのことを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり、本明細書中に定義される。アルコキシの非限定的なリストとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシおよびベンゾキシが挙げられる。アルコキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0068】
本明細書中で使用されるとき、「アシル」とは、カルボニル基を介して置換基として結合される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)のことを指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイルおよびアクリルが挙げられる。アシルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0069】
本明細書中で使用されるとき、「アシルアルキル」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアシルのことを指す。例としては、アリール-C(=O)-(CH2)n-およびヘテロアリール-C(=O)-(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは、1~6の範囲内の整数である。
【0070】
本明細書中で使用されるとき、「アルコキシアルキル」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアルコキシ基のことを指す。例としては、C1-4アルキル-O-(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは、1~6の範囲内の整数である。
【0071】
本明細書中で使用されるとき、「アミノアルキル」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合される、非置換アミノ基または置換アミノ基のことを指す。例としては、H2N(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは、1~6の範囲内の整数である。
【0072】
本明細書中で使用されるとき、「アミノ」とは、非置換の窒素、または1つもしくは2つの必要に応じて置換されるC1-C6アルキル基によって置換された窒素のことを指す。アミノ基の例としては、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2および-N(CH3)(CH2CH3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書中で使用されるとき、「ヒドロキシアルキル」とは、1つ以上の水素原子がヒドロキシ基によって置換されたアルキル基のことを指す。例示的なヒドロキシアルキル基としては、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピルおよび2,2-ジヒドロキシエチルが挙げられるがこれらに限定されない。ヒドロキシアルキルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0074】
本明細書中で使用されるとき、「ハロアルキル」とは、1つ以上の水素原子がハロゲンによって置換されたアルキル基(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキルおよびトリ-ハロアルキル)のことを指す。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロ-フルオロアルキル、クロロ-ジフルオロアルキルおよび2-フルオロイソブチルが挙げられるがこれらに限定されない。ハロアルキルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0075】
本明細書中で使用されるとき、「ハロアルコキシ」とは、1つ以上の水素原子がハロゲンによって置換されたアルコキシ基(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシおよびトリ-ハロアルコキシ)のことを指す。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ-フルオロアルキル、クロロ-ジフルオロアルコキシおよび2-フルオロイソブトキシが挙げられるがこれらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0076】
「スルフェニル」基とは、「-SR」基のことを指し、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。スルフェニルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0077】
「スルフィニル」基とは、「-S(=O)-R」基のことを指し、ここで、Rは、スルフェニルに関して定義されたものと同じであり得る。スルフィニルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0078】
「スルホニル」基とは、「SO2R」基のことを指し、ここで、Rは、スルフェニルに関して定義されたものと同じであり得る。スルホニルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0079】
「O-カルボキシ」基とは、「RC(=O)O-」基のことを指し、ここで、Rは、本明細書中で定義されるような、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。O-カルボキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0080】
用語「エステル」および「C-カルボキシ」とは、「-C(=O)OR」基のことを指し、ここで、Rは、O-カルボキシに関して定義されたものと同じであり得る。エステルおよびC-カルボキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0081】
「チオカルボニル」基とは、「-C(=S)R」基のことを指し、ここで、Rは、O-カルボキシに関して定義されたものと同じであり得る。チオカルボニルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0082】
「トリハロメタンスルホニル」基とは、「X3CSO2-」基のことを指し、式中、各Xは、ハロゲンである。
【0083】
「トリハロメタンスルホンアミド」基とは、「X3CS(O)2N(RA)-」基のことを指し、式中、各Xは、ハロゲンであり、RAは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)である。
【0084】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒドロキシ」とは、-OH基のことを指す。
【0085】
「シアノ」基とは、「-CN」基のことを指す。
【0086】
本明細書中で使用される用語「アジド」とは、-N3基のことを指す。
【0087】
「イソシアナト」基とは、「-NCO」基のことを指す。
【0088】
「チオシアナト」基とは、「-CNS」基のことを指す。
【0089】
「イソチオシアナト」基とは、「-NCS」基のことを指す。
【0090】
「カルボニル」基とは、C=O基のことを指す。
【0091】
「S-スルホンアミド」基とは、「-SO2N(RARB)」基のことを指し、ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。S-スルホンアミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0092】
「N-スルホンアミド」基とは、「RSO2N(RA)-」基のことを指し、ここで、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-スルホンアミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0093】
「O-カルバミル」基とは、「-OC(=O)N(RARB)」基のことを指し、ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。O-カルバミルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0094】
「N-カルバミル」基とは、「ROC(=O)N(RA)-」基のことを指し、ここで、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-カルバミルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0095】
「O-チオカルバミル」基とは、「-OC(=S)-N(RARB)」基のことを指し、ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。O-チオカルバミルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0096】
「N-チオカルバミル」基とは、「ROC(=S)N(RA)-」基のことを指し、ここで、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-チオカルバミルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0097】
「C-アミド」基とは、「-C(=O)N(RARB)」基のことを指し、ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。C-アミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0098】
「N-アミド」基とは、「RC(=O)N(RA)-」基のことを指し、ここで、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-アミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0099】
本明細書中で使用される用語「ハロゲン原子」または「ハロゲン」は、元素周期表の第7列の放射安定性原子のいずれか1つ(例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素)を意味する。
【0100】
本明細書中で使用されるとき、
【化6】
は、別段述べられない限り、単結合または二重結合を示す。
【0101】
置換基の数が特定されていない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在し得る。例えば、「ハロアルキル」は、同じまたは異なる1つ以上のハロゲンを含み得る。別の例として、「C1-C3アルコキシフェニル」は、1つ、2つまたは3つの原子を含む同じまたは異なる1つ以上のアルコキシ基を含み得る。
【0102】
本明細書中で使用されるとき、任意の保護基、アミノ酸および他の化合物の省略形は、別段示されない限り、それらの通常の使用法、広く認められている省略形、またはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.11:942-944(1972)を参照のこと)に従う。
【0103】
本明細書中で使用されるとき、用語「アミノ酸」とは、任意のアミノ酸(天然アミノ酸と非天然アミノ酸の両方)のことを指し、α-アミノ酸が含まれるがこれに限定されない。好適なアミノ酸の例としては、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアミノ酸のさらなる例としては、オルニチン、ハイプシン、2-アミノイソ酪酸、デヒドロアラニン、γ-アミノ酪酸、シトルリン、β-アラニン、α-エチル-グリシン、α-プロピル-グリシンおよびノルロイシンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用されるとき、「アミノ酸」には、主鎖のカルボン酸基がエステル基に変換されたアミノ酸も含まれる。
【0104】
本明細書中で使用される用語「保護基」とは、ある分子の中の既存の基が、望まれない化学反応を起こさないように、その分子に付加される任意の原子または原子の群のことを指す。保護基部分の例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3.Ed.John Wiley&Sons,1999およびJ.F.W.McOmie,Protective Groups in Organic Chemistry Plenum Press,1973に記載されており、この両方が、好適な保護基を開示する限定的な目的で参照により本明細書に援用される。保護基部分は、それらが、ある特定の反応条件にとって安定であるように、および好都合な段階において当該分野で公知の方法を用いて容易に除去されるように、選択され得る。保護基の非限定的なリストとしては、ベンジル;置換ベンジル;アルキルカルボニルおよびアルコキシカルボニル(例えば、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アセチルまたはイソブチリル);アリールアルキルカルボニルおよびアリールアルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル);置換メチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル);置換エチルエーテル;置換ベンジルエーテル;テトラヒドロピラニルエーテル;シリル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルまたはt-ブチルジフェニルシリル);エステル(例えば、安息香酸エステル);カーボネート(例えば、メトキシメチルカーボネート);スルホネート(例えば、トシレートまたはメシレート);非環式ケタール(例えば、ジメチルアセタール);環式ケタール(例えば、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよび本明細書中に記載されるもの);非環式アセタール;環式アセタール(例えば、本明細書中に記載されるもの);非環式ヘミアセタール;環式ヘミアセタール;環式ジチオケタール(例えば、1,3-ジチアンまたは1,3-ジチオラン);オルトエステル(例えば、本明細書中に記載されるもの)およびトリアリールメチル基(例えば、トリチル;モノメトキシトリチル(MMTr);4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr);4,4’,4”-トリメトキシトリチル(TMTr);および本明細書中に記載されるもの)が挙げられる。
【0105】
本願、特に添付の請求項において使用される用語および句ならびにそれらの変化形は、別段明確に述べられない限り、限定とは対照的な、オープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「~を含む(including)」は、「以下に限定されないが、~を含む」、「~を含むがこれらに限定されない」などを意味すると読み取られるべきであり、本明細書中で使用される用語「~を含む(comprising)」は、「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」または「~を特徴とする」と同義であり、包括的であるか、またはオープンエンドであり、記載されていないさらなるエレメントまたは方法工程を排除せず、用語「~を有する」は、「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「~が挙げられる」は、「~が挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「例」は、論じている項目の例示的な実例を提供するために使用されるのであって、その網羅的または限定的なリストを提供するために使用されるのではなく、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」または「望ましい」のような用語および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が、構造または機能にとって絶対に欠かせない、不可欠または重要であることを暗示していると理解されるべきでなく、その代わりに、特定の実施形態において利用されていてもよいし、利用されていなくてもよい、代替のまたはさらなる特徴を強調するように単に意図されていると理解されるべきである。さらに、用語「~を含む(comprising)」は、句「~を少なくとも有する」または「~を少なくとも含む」の同意語として解釈されるべきである。用語「~を含む(comprising)」は、あるプロセスの文脈において使用されるとき、そのプロセスが、記載されている工程を少なくとも含むが、さらなる工程も含んでよいことを意味する。用語「~を含む(comprising)」は、ある化合物、組成物またはデバイスの文脈において使用されるとき、その化合物、組成物またはデバイスが、記載されている特徴または構成要素を少なくとも含むが、さらなる特徴または構成要素も含んでもよいことを意味する。同様に、接続詞「および」を用いて連結される項目の群は、それらの項目の各々およびすべてが、そのグループ分けに存在することを必要とすると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られるべきである。同様に、接続詞「または」を用いて連結される項目の群は、その群の中で相互排他性を必要とすると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られるべきである。
【0106】
本明細書中の実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途にとって適切であるように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に読み換えることができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の入れ替えが、本明細書中で明確に示されることがある。不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を果たすことがある。ある特定の基準が、相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせを都合よく使用できないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照符号も、その範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0107】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書中に記載される任意の化合物において、絶対立体化学が明確に示されない場合、各中心は、独立して、R配置もしくはS配置またはその組み合わせであり得ると理解される。したがって、本明細書中に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり得るか、鏡像異性的に濃縮されたものであり得るか、ラセミ混合物であり得るか、ジアステレオ異性的に純粋であり得るか、ジアステレオ異性的に濃縮されたものであり得るか、または立体異性混合物であり得る。さらに、EまたはZとして定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する本明細書中に記載される任意の化合物において、各二重結合は、独立して、EまたはZ、その組み合わせであり得ると理解される。
【0108】
同様に、記載される任意の化合物において、あらゆる互変異性体が包含されると意図されていると理解される。
【0109】
本明細書中に開示される化合物の結合価が満たされていない場合、その結合価は、水素またはその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)で満たされると理解されるべきである。
【0110】
本明細書中に記載される化合物は、同位体的に標識され得ると理解される。ジュウテリウムなどの同位体による置換は、より高い代謝的安定性に起因するある特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長または必要投与量の減少)をもたらし得る。化合物の構造に現れるような各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含み得る。例えば、ある化合物の構造において、水素原子が、その化合物に存在すると明示的に開示され得るかまたは理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、その水素原子は、水素の任意の同位体であり得、それらとしては、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本明細書中でのある化合物に対する言及には、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、存在し得るすべての同位体型が包含される。
【0111】
本明細書中に記載される方法および組み合わせは、結晶型(同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配置を含む、多形としても知られる)、アモルファス相、塩、溶媒和物および水和物を含むと理解される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和の形態で存在する。他の実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、非溶媒和の形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)を用いた結晶化のプロセス中に形成され得る。溶媒が水であるとき、水和物が形成されるか、または溶媒がアルコールであるとき、アルコラートが形成される。さらに、本明細書中に提供される化合物は、非溶媒和の形態ならびに溶媒和の形態で存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、本明細書中に提供される化合物および方法においては、非溶媒和の形態と等価と見なされる。
【0112】
値の範囲が提供される場合、上限および下限ならびにその範囲の上限と下限との間に存在する任意の値が含まれると理解される。
【0113】
本明細書中で言及される任意のパーセンテージ、比または他の量は、別段示されない限り、重量基準である。
【0114】
[飽和脂肪酸]
飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸は、身体内に存在すると知られている(例えば、Jenkins B,West J,Koulman A(2015),A review of odd-chain fatty acid metabolism and the role of pentadecanoic acid(C15:0)and heptadecanoic acid(C17:0)in health and disease,Molecules 20:2425-44を参照のこと)。本明細書中に提供されるとき、脂肪酸は、当業者が用いるように、従来の命名法を用いて言及され、記載される。飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を含まない。不飽和脂肪酸は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。一価不飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を1つだけ含む。多価不飽和脂肪酸は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を含む。脂肪酸における二重結合は、通常cisであるが、しかしながら、trans二重結合もあり得る。二重結合の位置は、Δnによって示すことができ、ここで、nは、二重結合した炭素原子の各対の炭素の小さい方の番号を示す。炭素の合計数:二重結合の数,Δ二重結合の位置を明示する略記法が使用され得る。例えば、20:4Δ5,8,11,14とは、20個の炭素原子および4つの二重結合を有する脂肪酸であって、それらの二重結合は、5位の炭素原子と6位の炭素原子との間、8位の炭素原子と9位の炭素原子との間、11位の炭素原子と12位の炭素原子との間、および14位の炭素原子と15位の炭素原子との間に位置し、1位の炭素原子は、カルボン酸基の炭素である、脂肪酸のことを指す。ステアリン酸(オクタデカン酸)は、飽和脂肪酸である。オレイン酸(cis-Δ9-オクタデセン酸)は、一価不飽和脂肪酸であり、リノレン酸(すべてcisのΔ9,12,15-オクタデカトリエン酸)は、多価不飽和脂肪酸である。
【0115】
飽和脂肪酸は、様々な名称で称されることがあり、例えば、ヘプタデカン酸は、ヘプタデシル酸およびn-ヘプタデシル酸またはC17:0と称されることがある。飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸は、当該分野で公知であるように、脂質の数によって称されることがある。奇数鎖脂肪酸の例は、マルガリン酸(ヘプタデカン酸、C17:0)、ペラルゴン酸(ノナン酸、C9:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ノナデカン酸(C19:0)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)、アドレン酸(すべてcisの7,10,13,16-ドコサテトラエン酸)およびオズボンド酸(すべてcisの4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸)である。一般に、1つ以上の飽和脂肪酸は、最も長いアルキル鎖に9個の炭素原子から31個の炭素原子(9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29または31個の炭素原子)、例えば、15~21個の炭素原子、例えば、17個の炭素原子を有するが、しかしながら、ある特定の実施形態において、それより大きいまたは小さい奇数個の炭素原子が、許容され得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、奇数鎖脂肪酸または偶数鎖脂肪酸であり得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、奇数鎖脂肪酸であり得る。本明細書中に記載されるとき、奇数鎖脂肪酸は、最も長いアルキル鎖に奇数個の炭素原子を有する脂肪酸である。本明細書中に記載されるとき、偶数鎖脂肪酸は、最も長いアルキル鎖に偶数個の炭素原子を有する脂肪酸である。
【0116】
飽和脂肪酸は、塩として、例えば、カルボキシル基に存在し得る。いくつかの実施形態において、1つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、例えば1つの組成物に、存在してもよいし、2つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、存在してもよいし、3つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、存在してもよいし、それ以上が存在してもよい。いくつかの実施形態において、複数の式(I)の脂肪酸化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む混合物中の飽和脂肪酸は、不飽和の量、炭化水素鎖の長さ、誘導体化(derivativeification)の様々な状態、アルキル置換の数、酸イソスターの同一性、塩の同一性または他の構造的特徴によって区別され得る。さらなる実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば組成物中に、天然に存在する脂肪酸または天然に存在する不飽和脂肪酸とともに存在し得る。
【0117】
奇数鎖脂肪酸は、バターを含む一部の乳製品に微量で見られ、一部の魚油の構成要素である(例えば、Mansson HL(2008),Fatty acids in bovine milk fat,Food Nutr.Res.52:4,Luzia LA,Sampaio GR,Castellucci CMN,Torres EAFS(2013)The influence of season on the lipid profiles of five commercially important species of Brazilian fish.Food Chem.83:93-97を参照のこと)。研究によって、奇数鎖脂肪酸を含む食物の毎日の食事摂取量を増加させると、血清レベルの上昇に成功することが実証されている(例えば、Benatar J.R.,Stewart R.A.H.(2014),The effects of changing dairy intake on trans and saturated fatty acid levels-results from a randomized controlled study.Nutr.J.13:32を参照のこと)。
【0118】
食事に様々な脂肪酸が広く使用されていることは、対象における代謝症候群の発生と相関した(例えば、Forouhi N,Koulman A,Sharp S,Imamura F,Kroger J,Schulze M,et al.(2014),Differences in the prospective association between individual plasma phospholipid saturated fatty acids and incident type 2 diabetes:the EPIC-InterAct case-cohort study.Lancet Diabetes Endocrinol.2:810-8を参照のこと)。実際は、全脂乳製品の消費は、代謝症候群マーカーの低リスクと相関した(例えば、Kratz M,Marcovina S,Nelson JE,Yeh MM,Kowdley KV,Callahan HS,et al.(2014),Dairy fat intake is associated with glucose tolerance,hepatic and systemic insulin sensitivity,and liver fat but not beta-cell function in humans,Am.J.Clin.Nutr.,99:1385-96を参照のこと)。
【0119】
純粋なまたは精製された奇数鎖脂肪酸は、様々な物理的状態で存在し得る。例えば、ヘプタデカン酸は、室温において安定なオフホワイトの粉末として存在し、この化合物は、一部の商業的供給業者(例えば、Sigma-Aldrich corp.,St.Louis,MO)から少量で研究目的に適した形態で購入できる。他の奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体は、油、固体、結晶性固体または気体として存在し得る。
【0120】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度または実質的に純粋な純度(例えば、バルク形態における式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩のパーセンテージ)で提供され得、ここで、実質的に純粋には、不純物が存在することによる生理学的影響が検出不可能であるようなレベルで不純物を含む生成物が含まれ得るが、これらに限定されない。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の混合物は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度または実質的に純粋な純度で存在し得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然に存在する脂肪酸または脂肪酸誘導体を含まないことがあるか、トリグリセリドを含まないことがあるか、またはリン脂質を含まないことがある。以下に限定されないが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、単独の、またはある群としてみなされる、偶数鎖脂肪酸を実質的に含まないことがあり、偶数鎖脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)またはアラキジン酸(C20:0)が挙げられる。さらなる実施形態において、以下に限定されないが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然に存在する偶数鎖脂肪酸を実質的に含まないことがある。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、短鎖脂肪酸(SCFA)、中鎖脂肪酸(MCFA)、長鎖脂肪酸(LCFA)または極長鎖脂肪酸(VLCFA)を実質的に含まないことがある。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」は、組成物が、5wt.%未満の不純物、例えば、天然に存在する偶数鎖脂肪酸、もしくは1wt.%未満の不純物を含むか、または例えば従来のGC/MS検出法では検出不可能なレベルの不純物を有することを意味し得る。
【0121】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、当業者に公知の方法または本明細書中に提供される方法を含む任意の方法によって合成され得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然の起源に存在し得るか、天然の起源から単離され得るか、半合成のものであり得るか、合成のものであり得るか、またはこれらのうちの1つ以上の混合物であり得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、研究室内で生成され得るか、自然界で生成され得るか、酵素プロセスによって生成され得るか、野生の微生物によって生成され得るか、遺伝的に改変された微生物によって生成され得るか、動物組織から単離され得るか、化学合成によって生成され得るか、または複数のこれらのプロセスによって生成され得る。
【0122】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然の起源、例えば、魚油から得られることがあるか、または当該分野で公知であるような方法によって合成され得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、偶数鎖脂肪酸、または未純化もしくは未精製の天然物に存在する他の構成要素が混入していることがある。そのような状況では、公知の分離または精製の手法を用いて、望まれない構成要素を除去することまたは所望の構成要素の濃度を高めることが望ましい場合がある。
【0123】
記載される任意の化合物において、すべての互変異性体も包含されると意図されている。以下に限定されないが、炭素-炭素二重結合およびカルボキシル基ならびに複素環、例えばテトラゾールの、すべての互変異性体が、包含されると意図されている。本明細書中に提供される互変異性体の例は、テトラゾール置換基の互変異性体:
【化7】
である。
【0124】
EまたはZとして定義され得る幾何異性体をもたらす1つ以上の二重結合を有する本明細書中に記載される任意の化合物において、各二重結合は、独立して、EもしくはZまたはその組み合わせであり得る。
【0125】
本明細書中に開示される化合物の結合価が満たされていない場合、その結合価は、水素またはその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)で満たされる。
【0126】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、結晶型(同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配置を含む、多形としても知られる)、アモルファス相、塩、溶媒和物および水和物を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和の形態で存在する。他の実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、非溶媒和の形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)を用いた結晶化のプロセス中に形成され得る。溶媒が水であるとき、水和物が形成されるか、または溶媒がアルコールであるとき、アルコラートが形成される。さらに、本明細書中に提供される化合物は、非溶媒和の形態のほかに溶媒和の形態でも存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、本明細書中に提供される化合物および方法においては、非溶媒和の形態と等価と見なされる。
【0127】
本明細書中に記載される化合物は、同位体的に標識され得る。一部の場合において、ジュウテリウムなどの同位体による置換は、より高い代謝的安定性に起因するある特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長または必要投与量の減少)をもたらし得る。同位体置換は、例えば、ある化合物におけるある原子の運命をモニターするための機会を提供することによって、化合物の投与に対する対象の反応をモニターする際に有益であり得る。化合物の構造に現れるような各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含み得る。例えば、ある化合物の構造において、水素原子が、その化合物に存在すると明示的に開示され得るかまたは理解され得る。水素原子が存在し得るその化合物の任意の位置において、その水素原子は、任意の水素同位体であり得、それらとしては、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本明細書におけるある化合物に対する言及には、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、存在し得るすべての同位体型が包含される。
【0128】
[化合物の調製]
式(I)の化合物は、当業者に公知の任意の好適な方法によって調製され得る。代表的な方法として、例えば、Francis A.Carey et al.,Advanced Organic Chemistry:Part B:Reaction and Synthesis(5th Ed.2005)を参照のこと。
【0129】
[式(I)の化合物を含む薬学的組成物]
奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体および少なくとも1つの賦形剤を含む製剤が提供される。上記の実施形態の化合物を経口製剤として投与することが一般に好ましいが、しかしながら、他の投与経路も企図される。
【0130】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単独で、または組成物として、対象に投与され得、組成物の場合、その組成物は、併用療法におけるように他の活性な作用物質と混合されているか、またはキャリア、希釈剤、賦形剤もしくはそれらの組み合わせと混合されている。製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書中に記載される化合物の製剤化および投与のための手法は、当業者に公知である(例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Lippincott Williams&Wilkins;20th edition(June 1,2003)および”Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Pub.Co.;第18版および第19版(それぞれ1985年12月および1990年6月)を参照のこと。
【0131】
本明細書中に開示される薬学的組成物は、それ自体公知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、打錠または抽出プロセスを用いて、製造され得る。本明細書中に開示される薬学的な併用において使用される化合物の多くが、薬学的に許容され得る対イオンとの塩として提供され得る。
【0132】
化合物を投与する手法は、当該分野において複数存在し、それらとしては、経口、直腸、局所的、エアロゾル、注射および非経口的送達(筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄内注射、髄腔内注射、直接脳室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射および眼内注射を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。前述の任意の組み合わせ、または当業者に公知であるような他の方法が本明細書中で企図される(例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Lippincott Williams&Wilkins;20th edition(June 1,2003)および“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Pub.Co.;第18版および第19版(それぞれ1985年12月および1990年6月)を参照のこと。
【0133】
実際に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、従来の薬学的調剤法に従って、薬学的キャリアとの完全な混合物において活性成分として混ぜ合わされ得る。そのキャリアは、投与とって望ましい調製の形態に応じて多種多様の形をとり得る。したがって、本明細書中に提供される薬学的組成物は、経口投与に適した不連続単位(例えば、各々が所定の量の活性成分を含む、カプセル、カシェ剤または錠剤)として提供され得る。さらに、組成物は、オイル、散剤、顆粒剤、液剤、水性液体中の懸濁剤、非水性液体、水中油型エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして提供され得る。上に示された一般的な剤形に加えて、本明細書中に提供される化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体は、制御放出手段および/または送達デバイスによっても投与され得る。それらの組成物は、薬学の任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような方法は、1つ以上の必要な成分を構成するキャリアと活性成分を合わせる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を液体キャリアもしくは微粉化された固体キャリアまたはその両方と均一かつ完全に混ぜることによって調製される。次いで、その生成物は、所望の体裁にうまく成形され得る。
【0134】
製剤は、全身的な様式ではなく、局所的な様式でも投与され得、例えば、感染領域に直接化合物をしばしばデポー製剤または徐放製剤として注射することによっても、投与され得る。さらに、標的化薬物送達系が、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームにおいて使用され得る。
【0135】
薬学的組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、所望の治療効果にとって有効な量で含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、単位剤形であり、1単位剤形あたり約0.1mgまたはそれ以下から約5000mgまたはそれ以上を含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、1単位剤形あたり約1~約500mgまたは1単位剤形あたり約500~5000mgを含む。そのような剤形は、固体、半固体、液体、エマルジョンであり得るか、または吸入投与用のエアロゾルなどを介した送達に適合され得る。
【0136】
使用される薬学的キャリアは、例えば、固体、液体または気体であり得る。固体キャリアの例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が挙げられる。液体キャリアの例は、液糖、落花生油、オリーブ油、低級アルコールおよび水である。気体キャリアの例としては、二酸化炭素および窒素が挙げられる。
【0137】
本明細書中に提供される薬学的組成物は、活性な化合物の水溶液または水性懸濁液として調製され得る。好適な界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどを含めることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油におけるそれらの混合物における分散液も調製できる。さらに、例えば、微生物の有害な増殖を防ぐために、保存剤を含めることができる。
【0138】
注射剤での使用に適した本明細書中に提供される薬学的組成物は、滅菌された水溶液または水性分散液を含む。さらに、それらの組成物は、そのような滅菌された注射可能な溶液または分散液を即時調製するための滅菌された粉末の形態であり得る。薬学的組成物は、製造および貯蔵の条件下において安定でなければならないので、好ましくは、細菌および真菌などの微生物の混入から保護されるべきである。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。
【0139】
上述のキャリア成分に加えて、上に記載された薬学的製剤は、必要に応じて、1つ以上のさらなるキャリア成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤(酸化防止剤を含む)などを含み得る。さらに、意図されるレシピエントの血液と製剤を等張にするために、他のアジュバントを含めることができる。本明細書中に提供される化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体を含む組成物は、粉末または希釈用液体濃縮物の形態でも調製され得る。
【0140】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を少なくとも1つのさらなる活性な作用物質と組み合わせて含む組成物が、本明細書中で企図される。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および少なくとも1つのさらなる活性な作用物質は、単一の製剤もしくは一緒に提供される複数の製剤に存在してもよいし、製剤化されなくてもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1つ以上のさらなる作用物質とともに単一の組成物として投与され得る。例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1つの組成物として投与され得、さらなる作用物質の少なくとも1つは、第2の組成物として投与され得る。さらなる実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および少なくとも1つのさらなる活性な作用物質は、1つのキットに共に包装される。例えば、製薬業者、医薬販売業者、医師、調剤店または薬剤師が、本開示の化合物または製品および患者に送達するための別の構成要素を含むキットを提供し得る。
【0141】
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態は、治療有効量の1つ以上の本明細書中に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)およびその薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または組み合わせを含み得る薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、1つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、例えば、その組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、≧7%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%または≧98%含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、複数の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、例えば、その組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、≧7%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%または≧98%含み得る。
【0142】
[食品]
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む食品および他の食料品が提供され、ここで、その食品中の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の量は、強化(例えば、富化または濃縮)されている。本明細書中に提供される式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、対象による消費のために食品に加えられ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、食品のうちの1つ以上の成分に組み込まれ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、一成分として調製されてもよいし、調製されなくてもよい。その化合物、またはその化合物を含む調製物は、調製前、調製中または調製後に加えられ得る。調製は、以下に限定されないが、調理、混合、風味付け、調味、ブレンド、煮沸、油での加熱調理、ベーキングまたは当該分野で公知の他のプロセスを含み得る。強化は、好ましくは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1日治療投与量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供するようなレベルでの強化であるが、しかしながら、そのような投与量より少ない量においても、有益な効果が得られることがある。
【0143】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、自然界で知られるプロセスの操作によって、例えば、植物、動物、細菌または真菌の代謝プロセスを変化させることによって、食品中の支持者として存在し得る。奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の濃度を高める、植物、動物、細菌または真菌の遺伝子変化が企図される。例として、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%またはそれ以上、例えば、1%~2%または3%または4%または5%または6%または7%または8%または9%または10%または20%または30%または40%または50%の濃度で食品中に存在し得る。
【0144】
[適応症]
代謝症候群、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、前糖尿病、耐糖能異常、妊娠糖尿病(GDM)、空腹時高血糖(IFG)、高フェリチン血症、鉄過剰症、食後高血糖、脂質異常症、食後脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症(post hypertriglyceridemia)、インスリン抵抗性、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、低インスリン血症、脂肪肝疾患、高グルコースレベル、高インスリンレベル、高LDLトリグリセリドレベルを含むがこれらに限定されない症状を処置するための組成物および方法が、本明細書中に提供される。それらの組成物は、自己免疫疾患、喘息、肺疾患(肺線維症および全身性硬化症を含むがこれらに限定されない)、皮膚炎および乾癬の処置または発症予防においても有用である。それらの組成物は、貧血症状の処置または発症予防においても有用であり、ここで、その貧血症状は、溶血性貧血、サラセミア、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫性溶血性貧血、同種免疫性溶血性貧血、薬物誘発溶血性貧血、機械的溶血性貧血、発作性夜間血色素尿症、慢性疾患性貧血、貧血、再生不良性貧血、先天性赤芽球癆、ダイアモンドブラックファン貧血、ファンコニー貧血、鉄欠乏性貧血、異常なRBCサイズの貧血、巨大赤芽球性貧血、小球性貧血、ビタミン欠乏症貧血、悪性貧血、RBC変異の貧血、鉄芽球性貧血および鎌状赤血球貧血からなる群より選択される。それらの組成物は、炎症および症状(心血管代謝疾患、癌および加齢の症状を含む)、ならびに炎症に関連する症状(慢性疾患性貧血、インスリン抵抗性、代謝症候群、自己免疫疾患、高血圧症、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患、循環器疾患、癌、加齢、アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む神経変性疾患を含む)、ならびに他の関連症状の処置または発症予防においても有用である。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、代謝症候群の処置、発症予防、予防または維持のために必要とされる。
【0146】
本明細書中に記載されるような代謝症候群は、概して、本明細書中に記載されるようないくつかの症状に関連する危険因子の群に関係し、それらの危険因子としては、糖尿病(特に、2型糖尿病)、高血圧症、循環器疾患および他の症状(例えば、多嚢胞性卵巣症候群、脂肪肝、コレステロール胆石、喘息、睡眠障害、いくつかの形態の癌、虚血、酸化ストレス、アテローム性動脈硬化症、肥満症、脂質代謝異常および脳卒中)が挙げられるがこれらに限定されない(例えば、Grundy S.M, et al,Definition of Metabolic Syndrome(2004),Circulation,109:433-438を参照のこと)。代謝症候群の危険因子としては、腹部(中心性)肥満、高血圧、高齢および喫煙が挙げられる。呈していることもあるが呈している必要がない代謝症候群の指標としては、インスリン抵抗性、高空腹時血糖値、耐糖能異常、高血清トリグリセリド、血清脂質異常、低レベルの高密度リポタンパク質(HDL)、ボディマス指数(BMI)、炎症促進状態および血栓形成促進状態が挙げられる。
【0147】
代謝症候群は、高フェリチン血症(鉄過剰症を伴うかまたは伴わない)とも相関する。いくつかの実施形態において、代謝症候群は、鉄過剰症を伴う。
【0148】
徴候および症候の群が、個々の対象に共存し得るが、多くの場合、影響される多くの生理系の脆弱性の個体差に起因して、ただ1つまたはいくつかの症候だけが優勢であり得る。
【0149】
インスリン抵抗性は、多くの異なる方法で定義することができ、それらとしては、グルコース代謝障害(グルコースのクリアランスが減少することおよび/またはグルコース生成を抑制できないこと)、組織内の脂肪分解を抑制できないこと、タンパク質合成の欠陥、細胞分化の変化、局所血流に影響する異常な一酸化窒素合成、ならびに異常な細胞周期制御および細胞増殖が挙げられる。インスリン抵抗性は、例えば線維芽細胞成長因子21(「FGF21」)の血清タンパク質濃度によっても指摘され得る。
【0150】
高血糖症または他の症状に続発する疾患症候も、代謝症候群を有する患者において生じ得る。本明細書中に提供される組成物および方法は、糖尿病、および代謝症候群に関係する他の症状における高血糖を低下させるのを助けるので、それらは、これらの症状の合併症の予防および回復に有用である。本明細書中に提供される化合物および方法は、代謝症候群および関連症状に起因し得るかまたはそれらによって増悪し得る実質的に任意の症候の予防または回復に有用である。
【0151】
代謝症候群は、酸化ストレスにも関係し得る。Roberts,C.K.et al.,Oxidative stress and metabolic syndrome,Life Sciences,(2009)Vol.84(21-22),pp.705-712を参照のこと。理論に拘束されることを望むものではないが、慢性高血糖症は、糖尿病を有する患者の、合併症を起こしやすい組織において酸化ストレスを引き起こすと考えられている。Mahjoub,S.,Role of oxidative stress in pathogenesis of metabolic syndrome,Caspian J.Intern.Med.(2012)Vol.3(1)pp.386-396.
【0152】
酸化ストレスに関連する症状を処置するための組成物および方法が、さらに本明細書中に提供され、その症状としては、上に列挙されたものが挙げられ、さらに、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、腎疾患、成人呼吸窮迫症候群、癌、貧血(例えば、溶血性貧血)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、炎症(慢性炎症を含む)および加齢が挙げられる。
【0153】
酸化ストレスは、活性酸素種の生成と不活性化との間にアンバランスが生じる状態である。活性酸素種は、複数の生理系において不可欠な役割を果たす。しかし、酸化ストレスの条件下では、活性酸素種は、細胞機能障害に関与する。酸化ストレスは、本明細書中に提供される疾患を含む種々のヒト疾患の発病において主要な役割を果たすと考えられている。
【0154】
フリーラジカル部分の生成が、細胞系の抗酸化能力を上回ると、その細胞系において酸化ストレスが生じると考えられている。細胞の抗酸化物質が、フリーラジカルを除去しない場合、ラジカルは、タンパク質、脂質および核酸を攻撃し、ダメージを与える。フリーラジカル攻撃の酸化産物またはニトロシル化産物は、生物学的活性が低く、その結果、エネルギー代謝、細胞のシグナル伝達、輸送および他の主要な機能が失われる。これらの変化した産物は、プロテオソーム分解、さらには細胞機能の低下に対しても標的化される。そのような損傷の蓄積は、最終的には、ネクローシスまたはアポトーシスの機構によって細胞を死に至らせる。当業者は、そのようなマーカーの病的レベルが、患者集団の間および個々の対象の間で異なるが、危険因子、マーカーおよび症候の群を参照することによって所与の疾患症状を判定できることを認識する。
【0155】
例えばアルツハイマー病などの神経変性症状に罹患している対象は、高レベルの脂質過酸化産物、例えば、4-HNEを脳脊髄液中に示し得る。神経変性疾患の発症に関わると考えられているペプチドであるアミロイドベータは、脂質の過酸化および4-HNEの生成と相関する可能性があり、それは、ニューロンの損傷につながり得る。4-HNEレベルを低下させることも、アミロイドベータの毒性からニューロンを保護し得る。Mattson M.P.,Roles of the lipid peroxidation product 4-hydroxynonenal in obesity,the metabolic syndrome,and associated vascular and neurodegenerative disorders,Exper.Geron.(2009)Vol.44,pp.625-633を参照のこと。
【0156】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、神経変性疾患の処置、発症予防、予防または維持のために必要とされる。これらの実施形態のバリエーションにおいて、その疾患は、アルツハイマー病である。これらの実施形態のさらなるバリエーションにおいて、その疾患は、パーキンソン病である。これらの実施形態のなおもさらなるバリエーションにおいて、その疾患は、ハンチントン病または筋萎縮性側索硬化症である。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される組成物または方法は、アミロイド斑を減少させ得る。
【0157】
ある特定の脂肪酸の血清レベルは、代謝症候群の指標の改善と相関すると見出された。しかしながら、ある特定の脂肪酸が、代謝症候群または代謝症候群のマーカーを阻害するまたは減らすように作用する機構は、現在のところ、十分に理解されていない。本明細書中に提供される方法およびマーカーは、いかなる特定の機構、作用様式または理論にも限定されないと解釈されるべきである。したがって、代謝症候群を処置する方法、予防する方法または回復させる方法が提供される。
【0158】
広範囲の対象(特に、糖尿病を現在有しているか、これまでずっと有していたか、有すると疑われているか、または発症しやすい、ヒト患者を含む)における糖尿病を予防または処置するための組成物および方法が、本明細書中に提供される。真性糖尿病は、例えば、インスリン依存性糖尿病(EDDMまたはI型糖尿病)およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDMまたはII型糖尿病)と称され得る。真性糖尿病に関連する障害の例が報告されており、それらとしては、耐糖能障害(IGT)、若年者の成人発症型糖尿病(MODY)、妖精症候群(インスリンレセプター変異)、熱帯性糖尿病、膵臓の疾患または手術に続発する糖尿病、遺伝的症候群(例えば、Prader-Willi症候群)に関連する糖尿病、膵炎、内分泌障害に続発する糖尿病、脂肪過多症および代謝症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本明細書中に提供される組成物および方法を用いた処置にふさわしい糖尿病対象は、本明細書中に提供される危険因子、指標およびマーカー、ならびに臨床医が入手可能な他の指摘によって特定され得、例えば、空腹時高血糖、耐糖能障害、グリコシル化ヘモグロビン、およびいくつかの場合、外傷または疾病に関連するケトアシドーシスを特徴とする。高血糖症または高血糖は、過剰量のブドウ糖が血漿中を循環している状態である。これは一般に、10+mmol/Lの血糖値であると考えられるが、症候および影響は、15~20+mmol/Lなどのもっと高い数字になるまで目立ち始めないことがある。NIDDM患者は、空腹時、ならびに食後またはブドウ糖負荷試験として知られる診断検査後のブドウ糖の遅れた細胞取り込みの際に、異常に高い血糖濃度を有する。NIDDMは、広く認められている基準(American Diabetes Association,Physician’s Guide to Insulin-Dependent(Type I)Diabetes,1988;American Diabetes Association,Physician’s Guide to Non-Insulin-Dependent(Type II)Diabetes,1988)に基づいて診断される。
【0160】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、エネルギー恒常性に関連する症状、障害、疾患および欠陥の処置、予防およびまたは維持のために必要とされる。エネルギー恒常性は、概して、食物摂取およびエネルギー消費に関連するシグナル経路、分子およびホルモンに関係する。エネルギー恒常性に関連する障害、疾患および欠陥としては、I型糖尿病、II型糖尿病、前糖尿病、空腹時高血糖(IFG)、食後血糖異常(impaired post-prandial glucose)および妊娠性糖尿病が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの場合、本明細書中に提供される組成物および方法は、I型またはII型糖尿病の処置、予防およびまたは維持のために必要とされる。
【0161】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、燃料恒常性に関連する症状、障害、疾患および欠陥の処置、予防およびまたは維持のために必要とされる。燃料恒常性に関連する障害、疾患および欠陥としては、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高脂血症、食後高トリグリセリド血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性および多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0162】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、高フェリチン血症の処置、予防または維持のために必要とされる。高フェリチンおよび鉄過剰症は、ヒトにおいて代謝症候群および糖尿病と関連した。なぜ一部の人々においてフェリチンが増加するのか、およびどのようにして高フェリチンが代謝症候群のリスクを高めるのかは、正確には不明である。理論に拘束されることを望むものではないが、過剰な沈着による肝臓および膵臓の直接的な損傷、または酸化的ラジカルの増加による間接的な損傷が、原因となる因子であり得ると考えられている。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中の鉄を減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中のフェリチンを減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、瀉血なしに高フェリチン血症を回復させる。
【0163】
高トリグリセリド(例えば、LDL)は、アテローム性動脈硬化症および心筋梗塞の重要な危険因子である。高脂血症患者における循環中のトリグリセリドの減少に有用な組成物および方法が、本明細書中に提供される。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(「スタチン」)などのコレステロール降下薬が、本明細書中に提供される化合物に加えて、必要に応じて同じ薬学的組成物に組み込まれた状態で、対象に投与され得る。
【0164】
自己免疫疾患、喘息、肺疾患(肺線維症および全身性硬化症を含む)、皮膚炎および乾癬は、代謝症候群に関係する。例えば、Agrawal A et al.(2011)Emerging interface between metabolic syndrome and asthma.Am J Resp Cell Mol Biol 44;Gisondi P et al.(2007)Prevalence of metabolic syndrome in patients with psoriasis:a hospital-based case-control study.Brit J Dermatol 157:68-73;Naveed B.et al.(2012)Metabolic syndrome biomarkers predict lung function impairment:a nested case-control study.Am J Resp Crit Care Med 185:392-399;Pereira RMR et al.(2009)Metabolic syndrome in rheumatological diseases.Autoimmunity Rev 8:415-419;およびTakahashi H and Iizuka H(2011)Psoriasis and metabolic syndrome.J Dermatol 39:211-289を参照のこと。
【0165】
[代謝症候群および関連疾患のタンパク質ベースの原因物質]
(CD142/組織因子)
組織因子、すなわちCD142は、血管血栓症のプロセス(Th1血管炎症のプロセスを含むがこれに限定されない)中にトロンビンおよびフィブリンの形成を促進する凝固第VII因子に対する細胞表面レセプターである。高血糖症、高インスリン血症および脂質異常症(これらはすべて代謝症候群の構成要素である)を有する人々における組織因子の増加は、慢性炎症および循環器疾患(アテローム発生および血栓症を含む)に対するこの集団の感受性が高いことに関与すると考えられている(Breitenstein A et al.(2010)Tissue factor and cardiovascular disease.Circulation J 74:3-12;Diamant M et al.(2002)Elevated numbers of tissue-factor exposing microparticles correlate with components of the metabolic syndrome in uncomplicated type 2 diabetes mellitus.Circulation 106:2442-2447;Vaidyula VR et al.(2006)Effects of hyperglycemia and hyperinsulinemia on circ)。PPARα活性化因子を含む組織因子阻害剤は、組織因子によって駆動される疾患を処置する手段として提唱されている(Marx et al.(2018)PPARα activators inhibit tissue factor expression and activity in human monocytes.Circulation 103:213-21;Steffel J et al.(2006)Tissue factor in cardiovascular diseases:Molecular mechanisms and clinical implications.Circulation 113:722-731)。
【0166】
血栓症およびアテローム性動脈硬化症の高リスクに加えて、組織因子の発現は、癌、アルツハイマー病および線維性疾患(例えば、脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、全身性硬化症、肺線維症および特発性肺線維症)を含む代謝症候群に関連する他の疾患を促進するものであるとみられる。腫瘍における組織因子は、転移、腫瘍成長および腫瘍血管新生におけるその役割に起因して、癌の低分化度および予後不良の重要な促進物質である(Kasthuri RS et al.(2009)Role of tissue factor in cancer.J Clin Oncol.27:4834-4838)。組織因子は、循環器疾患と癌とを積極的につなぐもの(driving link)として提唱されており、組織因子の減少は、癌の予後を改善し得る(Tesselaar et al.(2007)Microparticle-associated tissue factor activity:a ling between cancer and thrombosis? J Thromb Haemostasis 5:520-527)。組織因子レベルは、コントロール脳と比べて、アルツハイマー病を有する患者の脳における老人斑において上昇していることから、組織因子がアルツハイマー病の一因と示唆されている(McComb RD(1991)Tissue factor antigen in senile plaques of Alzheimer’s disease.Am J Pathol 139:491-494)。組織因子は、正常肺と比べて症例患者における高レベルの組織因子発現に起因して、特発性肺線維症および全身性硬化症の発症の一因としても関係があるとされている(Imokawa S et al.(1997)Tissue factor expression and fibrin deposition in the lungs of patients with idiopathic pulmonary fibrosis and systemic sclerosis.Am J Resp Crit Care 156)。
【0167】
(MCP-1)
単球走化性タンパク質-1は、Th2血管炎症、Th2気道炎症およびTh1皮膚炎症のプロセスを含むがこれらに限定されない、炎症部位への単球およびT細胞の動員を制御する走化性サイトカイン(ケモカイン)である。MCP-1の増加は、代謝症候群、アレルギー性喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、循環器疾患、皮膚炎、高血圧症、インスリン抵抗性、炎症性腸疾患、鉄過剰症、脂肪肝疾患、肺線維症/全身性硬化症、乾癬、神経変性疾患(アルツハイマー病を含む)および2型糖尿病の一因である(Conductier G et al.(2010)The role of monocyte chemoattractant protein MCP1/CCL2 in neuroinflammatory diseases.J Neuroimmunol 224:93-100;Deshmane SL et al.(2009)Monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1):An overview.J Interferon Cytokine Res 29:313-326;Dongiovanni P et al.(2011)Iron in the fatty liver and in the metabolic syndrome:A promising therapeutic target.J Hepatol 55:920-932;Hasegawa M et al.(1999)Augmented production of chemokines(monocyte chemotactic protein-1(MCP-1),macrophage inflammatory protein-1α(MIP-1α)and MIP-1β)in patients with systemic sclerosis:MCP-1 and MIP-1α may be involved in the development of pulmonary fibrosis.Clin Exp Immunol 117:159-165;Itoh T et al.(2006)Increased plasma monocyte chemoattractant protein-1 level in idiopathic pulmonary arterial hypertension.Respirol 11:158-163;Kamei N et al.(2006)Overexpression of MCP-1 in adipose tissues causes macrophage recruitment and insulin resistance.J Biol Chem 281:26602-26614;Kanda H et al.(2006)MCP-1 contributes to macrophage infiltration into adipose tissue,insulin resistance,and hepatic steatosis in obesity.J Clin Invest 116:1494-1505;Nedosytko et al(2014)Chemokines and cytokines network in the pathogenesis of the inflammatory skin diseases:atopic dermatitis,psoriasis and skin mastocytosis.Postepy Dermatol Alergol 31:84-91;Niu and Kolattukudy(2009)Role of MCP-1 in cardiovascular disease:molecular mechanisms and clinical implications.Clin Sci 117:95-109;Sartipy P and Loskutoff DJ(2003)Monocyte chemoattractant protein 1 in obesity and insulin resistance.PNAS 100:7265-7270;Valenti L et al.(2010)Serum hepcidin and macrophage iron correlate with MCP-1 release and vascular damage in patients with metabolic syndrome alterations.Arterio Thromb Vasc Biol 31:683-690)。代謝症候群の構成要素として生じる、マクロファージにおける鉄過剰は、代謝症候群を有する患者におけるMCP-1および血管損傷と相関する(Valenti L et al.(2010)Serum hepcidin and macrophage iron correlate with MCP-1 release and vascular damage in patients with metabolic syndrome alterations.Arterio Thromb Vasc Biol 31:683-690)。MCP-1を減少させるかまたは阻害する作用物質は、非アルコール性脂肪性肝炎を含む、MCP-1によって駆動される症状を処置し得るか、またはその症状を処置すると提唱されている(Baeck C et al.(2012)Pharmacological inhibition of the chemokine CCL2(MCP-1)diminishes liver macrophage infiltration and steatohepatitis in chronic hepatic injury.Gut 61:416-426;Berres ML et al.(2010)Chemokines as immune mediators of liver diseases related to the metabolic syndrome.Dig Dis 28:192-196;Deshmane SL et al.(2009)Monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1):An overview.J Interferon Cytokine Res 29:313-326;Lee et al.(2001)Anti-atherogenic effect of citrus flavonoids,naringin and naringenin,associated with hepatic ACAT and aortic VCAM-1 and MCP-1 in high cholesterol-fed rabbits.Biochem Biophy Res Comm 284:681-688)。
【0168】
(エオタキシン-3)
エオタキシン-3は、組織炎症部位への好酸球および好塩基球の動員を媒介するケモカインであり、Th2血管炎症、Th2気道炎症、アレルギー症状(例えば、喘息およびアトピー性皮膚炎)、自己免疫疾患(例えば、チャーグ・ストラウス症候群)、循環器疾患、他の炎症性障害を含むがこれらに限定されない数多くの疾患の一因である(Pozer K et al.(2008)Eotaxin-3 is involved in Churg-Strauss syndrome-a serum marker closely correlating with disease activity.Rheumatology 47:804-808;Rankin et al.(2000)Eotaxin and eosinophil recruitment:implications for human disease.Mol Med Today 6:20-27)。コントロール集団と比べて、代謝症候群を有する肥満の人々は、好酸球増加症および関連する肺機能障害を有する可能性が高い(Van Huisstede et al.(2012)Systemic inflammation and lung function impairment in morbidly obese subjects with the metabolic syndrome.J Obesity 2013:131349)。肥満の人々および肥満のマウスは、脂肪組織から分泌されるエオタキシンレベルが上昇しており、これは、肥満症と好酸球増加症と喘息との関連を説明する(Vasudevan AR et al.(2006)Eotaxin and obesity.J Clin Endocrinol Metab 91:256-261)。エオタキシンを減少させる作用物質は、エオタキシン増加に関連する多種多様の疾患(代謝症候群に関連する疾患を含む)に対する有望な治療薬として提唱されている(Rankin et al.(2000)Eotaxin and eosinophil recruitment:implications for human disease.Mol Med Today 6:20-27)。
【0169】
(CD40)
CD40は、抗原提示細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞および上皮細胞上に発現される、細胞表面接着レセプターおよびT細胞活性化のための共刺激レセプターであり、単球によって駆動されるTh1血管炎症およびT細胞によって駆動されるTh1血管炎症を含むがこれらに限定されないプロセスに関わる。コントロールと比べて、代謝症候群を有する人々は、循環中の可溶性CD40リガンドが増加しており、それは、全身性炎症および冠状動脈疾患と独立して関連した(Lee WL et al.(2006)The presence of metabolic syndrome is independently associated with elevated serum CD40 ligand and disease severity in patients with symptomatic coronary artery disease.Metab 55:1029-1034)。CD40の増加は、アルツハイマー病、溶血性貧血、自己免疫疾患(1型糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、炎症性腸疾患、乾癬、多発性硬化症、関節リウマチおよび全身性エリテマトーデスを含む)、脂肪肝疾患および非アルコール性脂肪性肝炎、高血圧症ならびに全身性硬化症に関連する(Allanore Y et al.(2005)Increased plasma soluble CD40 ligand concentrations in systemic sclerosis and association with pulmonary arterial hypertension and digital ulcers.Ann Rheum Dis 64:481-483;Azzam et al.(2013)The expression and concentration of CD40 ligand in normal pregnancy,preeclampsia,and hemolytic anemia,elevated liver enzymes,and low platelet count(HELLP)syndrome.Blood Coag Fibrinol 24:71-75;Calingasan NY et al.(2002)Identification of CD40 ligand in Alzheimer’s disease and in animal models of Alzheimer’s disease and brain injury.23:31-39;Nanji SA et al.(2006)Costimulation blockade of both inducible costimulatory and CD40 ligand induces dominant tolerance to islet allografts and prevents spontaneous autoimmune diabetes in the NOD mouse.Diabetes 55:27-33;Peters AL et al.(2009)CD40 and autoimmunity:The dark side of a great activator.Sem Immunol 21:293-300;Sutti et al.(2014)Adaptive immune responses triggered by oxidative stress contribute to hepatic inflammation in NASH.Hepatol 59:886-897)。スタチン、PPARアゴニストおよび他の心血管代謝の治療薬は、インビボおよびインビトロにおいてCD40リガンドのレベルを低下させ、CD40-TRAF6シグナル伝達の遮断は、インスリン抵抗性の処置を助ける(Chatzigeorgiou A et al.(2014)Blocking CD40-TRAF signaling is a therapeutic target in obesity-associated insulin resistance.PNAS 111:2686-2691;Vishnevestsky et al.(2004)CD40 ligand:a novel target in the fight against cardiovascular disease.Ann Pharmacol 38:1500-1508)。スタチンによるCD40の阻害は、より高い抗アテローム硬化効果をもたらし、CD40リガンドの遮断は、マウスにおいて自己免疫性糖尿病を予防し、天然の化合物のよるCD40の減少は、抗喘息効果に関連した(Chen J et al.(2004)Inhibitory effect of candesartan and rosuvastatin on CD40 and MMPs expression in Apo-E knockout mice:novel insights into the role of RAS and dyslipidemia in atherogenesis.J Cardiovasc Pharmacol 44:446-452;Nanji SA et al.(2006)Costimulation blockade of both inducible costimulatory and CD40 ligand induces dominant tolerance to islet allografts and prevents spontaneous autoimmune diabetes in the NOD mouse.Diabetes 55:27-33;Zhang et al.(2015)Anti-asthmatic effects of oxymatrine in a mouse model of allergic asthma through regulating CD40 signaling.Chinese J Nat Med 13:368-374)。したがって、CD40リガンドの阻害剤または遮断剤は、CD40関連疾患を処置するための重要な治療薬と特定された。
【0170】
(TおよびB細胞増殖)
T細胞の増殖は、適応免疫と、多くの自己免疫疾患(関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患を含むがこれらに限定されない)との両方を駆動する、決定的な事象である。B細胞の増殖は、適応免疫(抗体産生)と、B細胞が疾患の鍵となる多くの自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデスおよび関節リウマチ)との両方を駆動する、決定的な事象である。TまたはB細胞の増殖の阻害は、自己免疫疾患の処置を助け得る免疫抑制効果と考えられる。
【0171】
(VCAM-1およびICAM-1)
血管細胞接着分子1(VCAM-1)は、内皮細胞への単球およびT細胞の接着を媒介する細胞接着分子である。細胞内細胞接着分子1(ICAM-1)は、白血球内皮細胞の接着および白血球の動員を媒介する細胞接着分子である。これらの細胞接着分子は、Th2気道炎症およびTh1皮膚炎症を含むがこれらに限定されないプロセスに関わる。VCAM-1およびICAM-1の増加は、アルツハイマー病、癌、慢性炎症性疾患(関節リウマチ、喘息、乾癬、移植片拒絶およびアレルギーを含むがこれらに限定されない)、アレルギー、喘息、糖尿病、脂肪肝疾患、インスリン抵抗性、代謝症候群に関連する(Banks RE et al.(1993)Circulating intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1),E-selectin and vascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)in human malignancies.Br J Cancer 68:122-124;Bonora E et al.(2003)Metabolic syndrome:epidemiology and more extensive phenotypic description.Cross-sectional data from the Bruneck Study.Int J Obesity 27:1283-1289;Hwang SJ et al.(2018)Circulating adhesion molecules VCAM-1,ICAM-1,and E-selectin in carotid atherosclerosis and incident coronary heart disease cases:The Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)Study.Circulation 96:4219-422;Leinonen E et al.(2003)Insulin resistance and adiposity correlate with acute-phase reaction and soluble cell adhesion molecules in type 2 diabetes.Atherosclerosis 166:387-394;Sookoian et al.(2010)Circulating levels and hepatic expression of molecular mediators of atherosclerosis in nonalcoholic fatty liver disease.Athersclerosis 209:585-591)。ICAM-1の増加は、冠状動脈心疾患のリスクを予測する(Hwang SJ et al.(2018)Circulating adhesion molecules VCAM-1,ICAM-1,and E-selectin in carotid atherosclerosis and incident coronary heart disease cases:The Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)Study.Circulation 96:4219-422)。小分子によるICAM-1およびVCAM-1の阻害は、炎症および自己免疫疾患に対する治療的アプローチとして提唱されている(Yusuf-Makagiansar H et al.(2002)Inhibition of LFA-1/ICAM-1 and VLA-4/VCAM-1 as a therapeutic approach to inflammation and autoimmune diseases.Med Res Rev 22:146-167)。
【0172】
(インターロイキン-8(IL-8))
IL-8は、限定されないがTh2気道炎症中の急性炎症部位への好中球動員を媒介するケモカインである。IL-8の増加は、肥満症、ボディマス指数およびインスリン抵抗性をはじめとした、代謝症候群の複数の構成要素に関連する(Kim CS et al.(2006)Circulating levels of MCP-1 and IL-8 are elevated in human obese subjects and associated with obesity-related parameters.Int J Obesity 30:1347-1355)。IL-8の増加は、アルツハイマー病、貧血、自己免疫疾患(甲状腺自己免疫および多発性硬化症を含むがこれらに限定されない)、循環器疾患、皮膚炎、高コレステロール血症、肺疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患および特発性肺線維症を含むがこれらに限定されない)および乾癬にも関連するか、またはそれらの一因として特定された(Akeno N et al.(2008)HCV E2 protein binds directly to thyroid cells and induces IL-8 production:a new mechanism for HCV induced thyroid autoimmunity.J Autoimm 31:339-344;Alsadany MA et al.(2013)Histone deacetylases enzyme,copper,and IL-8 levels in patients with Alzheimer’s disease.Am J Alzheim Dis Demen 28:54-61;Arikan O et al.(2005)Serum levels of TNF-α,IFN-γ,IL-6,IL-8,IL-12,IL-17,and IL-18 in patients with active psoriasis and correlation with disease severity.Med Inflamm 2005:273-279;Boekholdt SM et al.(2004)IL-8 plasma concentrations and the risk of future coronary artery disease in apparently healthy men and women.24:1503-1508;Carre PC et al.(1991)Increased expression of the interleukin-8 gene by alveolar macrophages in idiopathic pulmonary fibrosis.A potential mechanism for the recruitment and activation of neutrophils in lung fibrosis.J Clin Invest 88:1802-1810;Gu Y et al.(2008)Interleukin(IL)-17 promotes macrophages to produce IL-6,IL-6 and tumour necrosis factor-α in aplastic anemia.Br J Haematol 142:109-114;Hatano Y et al.(1999)Increased levels in vivo of mRNAs for IL-8 and macrophage protein-1α,but not RANTES mRNA in peripheral blood mononuclear cells of patients with atopic dermatitis.Clin Exp Immunol 117:237-243;Ishizu T et al.(2005)Intrathecal activation of the IL-17/IL-8 axis in opticospinal multiple sclerosis.Brain 128:988-1002;Keatings VM et al.(1996)Differences in interleukin-8 and tumor necrosis factor-alpha in induced sputum from patients with chronic obstructive pulmonary disease or asthma.Am J Resp Crit Care Med 153:https://doi.org/10.1164/ajrccm.153.2.8564092;Ordonez CL et al.(2000)Increased neutrophil numbers and IL-8 levels in airway secretions in acute severe asthma:Clinical and biological significance.Am J Resp Crit Care Med 161:https://doi.org/10.1164/ajrccm.161.4.9812061;Porreca E et al.(1999)Peripheral blood mononuclear cell production of interleukin-8 and IL-8 dependent neutrophil function in hypercholesterolemic patients.Atherosclerosis 146:345-350)。運動は、代謝症候群を有する人々においてIL-8の血漿レベルを低下させ、IL-8を減少させる介入を後押しすることにより、代謝症候群に関連する炎症の処置を助けた(Trooseid M et al.(2004)Exercise reduces plasma levels of the chemokines MCP-1 and IL-8 in subjects with the metabolic syndrome.Eur Heart J 25:349-355)。IL-8は、癌に対する有意な制御因子であるとみられることから、IL-8の阻害は、腫瘍環境を直接標的化する治療的アプローチとして提唱されている(Waugh DJJ and Wilson C(2008)The interleukin-8 pathway in cancer.Mol Path 14:6735-6741)。
【0173】
(インターロイキン1α(IL-1α))
IL-1αは、内皮細胞の活性化および好中球の動員(Th2気道炎症および全身性の慢性炎症を含むがこれらに限定されない)に関わる分泌型炎症促進性サイトカインである。炎症性貧血では、活性化されたT細胞および単球が、IL-1αを含むサイトカインの産生を誘導し、それらのサイトカインが、マクロファージにおいてフェリチンの産生を誘導し、鉄貯蔵を刺激する(Weiss and Goodnough(2005)Anemia of chronic disease.New Engl J Med 352:1011-1023)。このプロセスによって、循環中の鉄が減少し、その結果、赤血球が損なわれる。IL-1αは、赤血球前駆細胞も阻害して、赤血球に対して連続打撃をもたらし、代謝症候群を含む慢性疾患に関連する貧血をもたらす。したがって、IL-1αを阻害するかまたは減少させる作用物質は、炎症性貧血/慢性疾患性貧血の処置に役立ち得る。
【0174】
(ケラチン8/18)
ケラチン8およびケラチン18は、アポトーシス、上皮細胞死、慢性閉塞性肺疾患および肺の炎症(Th2気道炎症を含むがこれに限定されない)に関わる繊維状構造タンパク質の中間径フィラメントヘテロ二量体である。ケラチン8/18のレベルは、細胞膜が完全性を失ったときおよび傷つけられたとき、上昇する(Schutte B et al.(2004)Keratin 8/18 breakdown and reorganization during apoptosis.Exp Cell Res 297:11-26)。ケラチン8/18の増加は、非アルコール性脂肪肝疾患および代謝症候群を有する人のうちの非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関連する(Anty R et al.(2010)A new composite model including metabolic syndrome,alanine aminotransferase and cytokeratin-18 for the diagnosis of non-alcoholic steatohepatitis in morbidly obese patients.Aliment Pharmacol Ther 32:1315-1322)。ケラチン8/18は、細胞死および関連する疾患重症度のバイオマーカーであるので、ケラチン8/18を減少させる作用物質は、おそらく細胞保護作用を付与する。
【0175】
(MMP-1、MMP-3およびMMP-9)
マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)は、コラーゲンI、IIおよびIIIを分解する間質コラゲナーゼであり、組織リモデリングのプロセスに関わる。マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP-3)は、他のMMP(MMP-1、MMP-7およびMMP-9)を活性化でき、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニンおよびエラスチンを分解できる酵素である。マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)は、コラーゲンIVおよびゼラチンを分解するゼラチナーゼBであり、気道マトリックスリモデリングに関わる。MMP-1およびMMP-3は、Th2気道炎症を含むがこれに限定されないプロセスに関わる。MMP-9は、Th2気道炎症、Th1肺炎症およびTh1皮膚炎症を含むがこれらに限定されないプロセスに関わる。MMP-9の増加は、アルツハイマー病および他の神経病理、炎症、組織における鉄過剰症、肺病理(喘息および慢性閉塞性肺疾患を含むがこれらに限定されない)ならびに1型糖尿病に関連する(Cataldo D et al.(2000)MMP-2-and MMP-9-linked gelatinolytic activity in the sputum from patients with asthma and chronic obstructive pulmonary disease.Int Arch Allergy Immunol 123:259-267;Chakrabarti S and Patel KD(2005)Matrix metalloproteinase-2(MMP-2)and MMP-9 in pulmonary pathology.J Exper Lung Res 31:https://doi.org/10.1080/019021490944232;Halade GV et al.(2013)Matrix metalloproteinase(MMP)-9:A proximal biomarker for cardiac remodeling and a distal biomarker for inflammation.Pharmacol Therap 139:32-40;Mairuae N et al.(2011)Increased cellular iron levels affect matrix metalloproteinase expression and phagocytosis in activated microglia.Neurosci Lett 500:36-40;Maxwell PR et al.(2009)Peripheral blood level alterations of TIMP-1,MMP-2 and MMP-9 in patients with Type 1 diabetes.Diabet Med 18:777-780)。MMP-1、MMP-3およびMMP-9の増加は、肝疾患の重症度に関連する(Okamoto K et al.(2005)Association of functional gene polymorphisms of matrix metalloproteinase(MMP)-1,MMP-3 and MMP-9 with the progression of chronic liver disease.J Gastroenterol Hepatol 20:1102-1108)。MMP-1およびMMP-9の増加は、冠動脈疾患および高血圧症を含む循環器疾患の存在および重症度に関連する(Tanindi A et al.(2011)Relationship between MMP-1,MMP-9,TIMP-1,IL-6 and risk factors,clinical presentation,extent and severity of atherosclerotic coronary artery disease.Open Cardiovasc Med J 5:110-116;Yasmin et al.(2004)Matrix metalloproteinase-9(MMP-9),MMP-2,and serum elastase activity are associated with systolic hypertension and arterial stiffness.Arterioscler Thromb Vasc Biol 25:372-378)。MMP-3およびMMP-9のスタチンによる減少は、腹部大動脈瘤に対する潜在的な薬物療法として提唱されており、MMP阻害剤は、自己免疫疾患を含む他のMMP関連症状に対して治療的利益を提供し得る(Goetzl EJ et al.(1996)Matrix metalloproteinases in immunity.J Immunol 156:1-4;Wilson WRW et al.(2005)HMG-CoA reductase inhibitors(statins)decrease MMP-3 and MMP-9 concentrations in abdominal aortic aneurysms.Eur J Vasc Endovasc Surg 30:259-262)。
【0176】
(プラスミノゲン活性化因子阻害剤-1(PAI-1))
PAI-1は、セリンプロテイナーゼ阻害剤、ならびに組織プラスミノゲン活性化因子およびウロキナーゼの阻害剤であり、Th2気道炎症、Th1肺炎症およびTh1皮膚炎症を含むがこれらに限定されないプロセス中の組織リモデリングおよび線維症に関わる。PAI-1の増加は、代謝症候群の構成要素とみなされ、喘息、癌、循環器疾患、糖尿病、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、NASH、肥満症、肺線維症および乾癬に関連するか、またはそれらの公知の一因である(Adly AAM et al.(2014)Plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)in children and adolescents with Type 1 diabetes mellitus:relation to diabetic microvascular complications and carotid intima media thickness.J Diab Complication 28:340-347;Alessi MC and Juhan-Vague I(2006)PAI-1 and the metabolic syndrome.Arterioscl Thromb Vasc Biol 26:2200-2207;Cho SH et al.(2004)Plasminogen activator inhibitor-1 in the pathogenesis of asthma.Experim Biol Med 229:138-146;Festa A et al.(2002)Elevated levels of acute-phase proteins and plasminogen activator inhibitor-1 predict the development of type 2 diabetes:The Insulin Resistance Atherosclerosis Study.Diabetes 51:1131-1137;Kubala MH et al.(2017)Abstract 3061:Tumor-derived PAI-1 promotes macrophage M2 polarization by stimulating an autocrine IL-6/STAT3 pathway.Proceedings:AACR Annual Meeting;April 1-5,2017,Washington,DC DOI:10.1158/1538-7445.AM2017-3061;Landin K et al.(1990)Elevated fibrinogen and plasminogen activation inhibitor(PAI-1)in hypertension are related to metabolic risk factors for cardiovascular disease.J Int Med 227:273-278;Mertens I et al.(2006)Among inflammation and coagulation markers,PAI-1 is a true component of the metabolic syndrome.Int J Obesity 30:1308-1314;Nielsen HJ et al.(2002)Elevated plasma levels of vascular endothelial growth facto and plasminogen activator inhibitor-1 decrease during improvement of psoriasis.Inflamm Res 51:563-567;Osterholzer JJ et al.(2012)PAI-1 promotes the accumulation of exudate macrophages and worsens pulmonary fibrosis following type II alveolar epithelial cell injury.J Pathol 228:170-180;Sookoian et al.(2010)Circulating levels and hepatic expression of molecular mediators of atherosclerosis in nonalcoholic fatty liver disease.Athersclerosis 209:585-591;Tofler et al.(2016)Plasminogen activator inhibitor and the risk of cardiovascular disease:The Framingham Heart Study.Thromb Res 140:30-35)。PAI-1の減少は、肝臓損傷、心血管リスクおよびアルツハイマー病を減弱するための有望な手段として提唱されている(Jin R et al.(2017)Role of PAI-1 in pediatric obesity and nonalcoholic fatty liver disease.Curr Cardiovasc Risk Reports 11:11;Hasina A et al.(2018)A small molecule inhibitor of plasminogen activator inhibitor-1 reduces brain amyloid-β load and improves memory in an animal model of Alzheimer’s disease.64:447-457)。PAI-1を減少させる作用物質は、PAI-1関連疾患の有望な治療薬であり得る。
【0177】
(CXCL10/IP-10およびCXCL9/MIG)
インターフェロン-ガンマ誘導タンパク質10(IP-10)すなわちCXCL10は、T細胞、単球および樹状細胞の走化性を媒介する炎症促進性ケモカインである。ガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)すなわちCXCL9は、T細胞動員を媒介するケモカインである。両方のケモカインが、他のプロセスの中でもTh1炎症に関わり、両方が、CXCR3レセプターを活性化する。CXCL10および/またはCXCL9の増加は、喘息、自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、特発性炎症ミオパチーなどを含むがこれらに限定されない)、癌、慢性炎症、移植片対宿主病、高血圧症、特発性肺線維症、免疫機能不全、鉄過剰症および鉄蓄積、肥満症、代謝症候群、神経変性疾患(アルツハイマー病およびパーキンソン病を含むがこれらに限定されない)、非アルコール性脂肪肝疾患、乾癬、脂肪性肝炎、全身性硬化症および2型糖尿病に関連する(Antonelli A et al.(2012)High serum levels of CXC(CXCL10)and CC(CCL2)chemokines in untreated essential hypertension.Int J Immnopathol Pharmacol 25:387-395;Brightling CE et al.(2005)The CXCL10/CXCR3 axis mediates human lung mast cell migration to asthmatic airway smooth muscle.171:1103-1108;Kitko et al.(2013)Plasma CXCL9 elevations correlate with chronic GVHD diagnosis.Blood 5:786-793;Lee EY et al.(2009)CXCL and autoimmune diseases.Autoimmun Rev 8:379-383;Lee J et al.(2018)Brochoalveolar lavage(BAL)cells in idiopathic pulmonary fibrosis express a complex pro-inflammatory,pro-repair,angiongenic activation pattern,likely associated with macrophage iron accumulation.PLOS ONE 13:e0197794;Liu M et al.(2011)The emerging role of CXCL10 in cancer.Onc Letters 2:583-589;Van den Borne et al.(2014)The multifaceted functions of CXCL10 in cardiovascular disease.BioMed Res Int 2014:893106;Xie M et al.(2015)IL-27 and type 2 immunity in asthmatic patients:association with severity,CXCL9,and signal tranducer and activator of transcription signaling.J Allerg Clin Immunol 135:386-394;Zhang X et al.(2014)CXCL10 plays a key role as an inflammatory mediator and a non-invasive biomarker of non-alcoholic steatohepatitis.J Hepatol 61:1365-1375)。CXCL10および/またはCXCL9は、喘息、自己免疫疾患、癌、乾癬および非アルコール性脂肪性肝炎をはじめとした疾患に対する有望な治療標的として特定されてきた(Berres ML et al.(2010)Chemokines as immune mediators of liver diseases related to the metabolic syndrome.Dig Dis 28:192-196;Brightling CE et al.(2005)The CXCL10/CXCR3 axis mediates human lung mast cell migration to asthmatic airway smooth muscle.171:1103-1108;Ferrari SM et al.(2015)CXCL10 in psoriasis.Adv Med Sci 60:349-354;Lee EY et al.(2009)CXCL and autoimmune diseases.Autoimmun Rev 8:379-383;Liu M et al.(2011)The emerging role of CXCL10 in cancer.Onc Letters 2:583-589)。
【0178】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、処置される対象は、動物、例えば、イルカ、マウスまたは家庭内の動物(例えば、イヌまたはネコ)であり得るが、しかしながら、通常、それらの実施形態の方法、使用および組成物は、ヒトに適用されると企図される。ヒト対象と同様に、バンドウイルカ(Tursiops truncatus)対象を含む動物対象も、高インスリン、高グルコース、高トリグリセリド、脂肪肝疾患および鉄過剰症を含む代謝症候群に罹りやすいことがある。主に肝臓のクッパー細胞における過剰な鉄沈着を含む、イルカにおける鉄過剰症は、加齢に伴って進行し得、インスリン、脂質および肝臓酵素の増加に関連し得る。この疾患は、HFE遺伝子の変異にも、研究されている急性期タンパク質の増加にも関連しない。ヒトと同様に、イルカにおける鉄過剰症も、瀉血で処置されるが、血清フェリチンの上昇の再発に起因して、生涯にわたって処置の繰り返しが必要である。イルカにおける鉄過剰症および高フェリチン血症の根本原因は不明である。
【0179】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、代謝症候群である。
【0180】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーによって示される代謝症候群である。
【0181】
いくつかの実施形態において、代謝症候群のマーカーが臨床上の適応症を提供するとき、本明細書中に提供される方法は、それらのマーカーを調節する。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、代謝症候群の症候を軽減する。
【0183】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、代謝症候群のリスクを低下させる。
【0184】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、高フェリチン血症である。
【0185】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、ある特定の脂肪酸の血清レベルを上昇させる。
【0186】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、インスリン感受性を改善する。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、代謝症候群のマーカーを調節する。ある特定の実施形態において、そのマーカーは、血清または赤血球膜における奇数鎖脂肪酸のパーセンテージ、血清または赤血球膜における式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物のパーセンテージ、奇数鎖脂肪酸の血清濃度、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度、血清中の総奇数鎖脂肪酸、血清フェリチン、血清鉄、トランスフェリチンの飽和度、血清グルコース(例えば、空腹時血糖)、血清トリグリセリド、血圧、HDLコレステロール、ミクロアルブミン尿症(すなわち、尿中のアルブミン排出の増加)、CRP(C反応性タンパク質)、IL-6およびTNFα(およびインスリン抵抗性に関連する他のサイトカイン)、c-Jun N末端キナーゼ(JNK)、ATM(血管拡張性失調症変異)または単球走化性タンパク質-1である。いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物は、糖脂質の構成物として測定される。さらなる実施形態において、奇数鎖脂肪酸あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物は、リン脂質の構成物として測定される。
【0188】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、代謝症候群のマーカーの濃度を測定する工程を含む。当業者は、そのような測定に適した方法(本明細書中に記載される方法を含むがそれらに限定されない)を行うことができる。
【0189】
所定の間隔または対象の判断に委ねられた間隔で、ある用量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む処置方法が、本明細書中に提供される。
【0190】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスが、TBARSの濃度として測定され得る。さらなる実施形態において、酸化ストレスが、総抗酸化活性として測定され得る。なおもさらなる実施形態において、酸化ストレスは、酸化種と類似の非酸化種との比、例えば、尿酸とアラントイン、アスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸との比またはグルタチオン(GSH)とGSSGとの比として測定され得る。対象におけるROSを測定する他の直接的な方法は公知である。Fibach E,et al.,The role of oxidative stress in hemolytic anemia.Curr.Mol.Med.(2008),Vol.8,pp.609-619を参照のこと。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物または方法は、酸化ストレスのマーカー、例えば、脂質過酸化生成物、例えば、4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、4-オキシ-2-ノネナール(ONE)またはマロンジアルデヒド(MDA)、8-イソ-プロスタグランジンF2αおよび8-エピ-プロスタグランジンF2α(イソプロスタン)、ニトロチロシン、oxLDL、またはox-LDLとLDLとの比、MPO、赤血球GPX1、8-oxodG、白血球過酸化物、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、11-デヒドロ-トロンボキサン(TXM)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)(例えば、MDA)またはヘマトクリットを調節する。これらの実施形態のバリエーションにおいて、酸化ストレスは、かなりの量が減少し得、ここで、かなりの量とは、ある集団において統計学的に有意な、本明細書中に提供される疾患症状の病的状態の低減のことを示す。
【0191】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、比較または測定されるとき、対象の組織における天然に存在する脂肪酸に関して取り扱われ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、それが天然に存在する食事性脂肪酸であるかのように、身体に取り込まれ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、身体内において1つ以上の代謝プロセスを起こし得、それらの代謝産物の濃度は、対象の状態を示し得る。
【0192】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、すべての血清脂肪酸または赤血球膜脂肪酸と比べて、それぞれ血清または赤血球膜における式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物のパーセンテージ閾値を提供し得る。例えば、その閾値は、約0.05%またはそれ未満から90%またはそれ以上までの値、例えば、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、 少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3.0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または90%超の値であり得る。
【0193】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の赤血球膜濃度のベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高い上昇を提供し得る。例えば、血清中の式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物、あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の赤血球膜濃度は、少なくとも約1μg/ml、少なくとも約2μg/ml、少なくとも約3μg/ml、少なくとも約4μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/mlまたは50μg/ml超、上昇し得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の赤血球膜濃度は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高く、少なくとも約0.01×10-4M、少なくとも約0.05×10-4M、少なくとも約0.1×10-4M、少なくとも約0.2×10-4M、少なくとも約0.3×10-4M、少なくとも約0.4×10-4M、少なくとも約0.5×10-4M、少なくとも約0.6×10-4M、少なくとも約0.7×10-4M、少なくとも約0.8×10-4M、少なくとも約0.9×10-4M、少なくとも約1×10-4M、少なくとも約2×10-4Mまたは少なくとも約3×10-4M上昇し得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中の総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜における総奇数鎖脂肪酸を増加させ得る。例えば、血清中の総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜における総奇数鎖脂肪酸は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高く、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、少なくとも約60μg/ml、少なくとも約70μg/ml、少なくとも約80μg/ml、少なくとも約90μg/ml、少なくとも約100μg/ml、少なくとも約150μg/ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも約250μg/ml、少なくとも約300μg/ml、少なくとも約350μg/ml、少なくとも約400μg/ml、少なくとも約450μg/ml、少なくとも約500μg/mlまたは500μg/ml超、増加し得る。
【0195】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清または赤血球膜におけるすべての脂肪酸と比べて、それぞれ血清または赤血球膜における奇数鎖脂肪酸のベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高い上昇を提供し得る。例えば、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清または赤血球膜における濃度は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高く、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%または5%超、上昇し得る。
【0196】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清インスリンを低下させ得る。例えば、血清インスリンは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約0.1μIU/ml、少なくとも約0.2μIU/ml、少なくとも約0.3μIU/ml、少なくとも約0.4μIU/ml、少なくとも約0.5μIU/ml、少なくとも約0.6μIU/ml、少なくとも約0.7μIU/ml、少なくとも約0.8μIU/ml、少なくとも約0.9μIU/ml、少なくとも約1.0μIU/ml、少なくとも約1.1μIU/ml、少なくとも約1.2μIU/ml、少なくとも約1.3μIU/ml、少なくとも約1.4μIU/ml、少なくとも約1.5μIU/ml、少なくとも約2μIU/ml、少なくとも約2.5μIU/ml、少なくとも約3.0μIU/ml、少なくとも約3.5μIU/ml、少なくとも約4μIU/ml、少なくとも約5μIU/ml、少なくとも約6μIU/ml、少なくとも約7μIU/ml、少なくとも約8μIU/ml、少なくとも約9μIU/ml、少なくとも約10μIU/ml、少なくとも約11μIU/ml、少なくとも約12μIU/ml、少なくとも約13μIU/ml、少なくとも約14μIU/ml、少なくとも約15μIU/ml、少なくとも約16μIU/ml、少なくとも約17μIU/ml、少なくとも約18μIU/ml、少なくとも約19μIU/ml、少なくとも約20μIU/ml、少なくとも約25μIU/ml、少なくとも約30μIU/mlまたは30μIU/ml超、低下し得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清トリグリセリドを減少させ得る。例えば、血清トリグリセリドは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約1mg/dl、少なくとも約3mg/dl、少なくとも約4mg/dl、少なくとも約5mg/dl、少なくとも約10mg/dl、少なくとも約15mg/dl、少なくとも約20mg/dl、少なくとも約25mg/dl、少なくとも約30mg/dl、少なくとも約35mg/dl、少なくとも約40mg/dl、少なくとも約45mg/dl、少なくとも約50mg/dl、少なくとも約60mg/dl、少なくとも約70mg/dl、少なくとも約80mg/dl、少なくとも約90mg/dl、少なくとも約100mg/dl、少なくとも約110mg/dl、少なくとも約120mg/dl、少なくとも約130mg/dl、少なくとも約140mg/dl、少なくとも約150mg/dl、少なくとも約200mg/dl、少なくとも約250mg/dl、少なくとも約300mg/dlまたは300mg/dl超、低下し得る。
【0198】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清フェリチンを減少させ得る。例えば、血清フェリチンは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約100ng/ml、少なくとも約200ng/ml、少なくとも約300ng/ml、少なくとも約400ng/ml、少なくとも約500ng/ml、少なくとも約600ng/ml、少なくとも約700ng/ml、少なくとも約800ng/ml、少なくとも約900ng/ml、少なくとも約1000ng/ml、少なくとも約1100ng/ml、少なくとも約1200ng/ml、少なくとも約1300ng/ml、少なくとも約1400ng/ml、少なくとも約1500ng/ml、少なくとも約2000ng/ml、少なくとも約2500ng/ml、少なくとも約3000ng/ml、少なくとも約3500ng/ml、少なくとも約4000ng/ml、少なくとも約4500ng/ml、少なくとも約5000ng/ml、少なくとも約6000ng/ml、少なくとも約7000ng/ml、少なくとも約8000ng/ml、少なくとも約9000ng/ml、少なくとも約10000ng/mlまたは10000ng/ml超、低下し得る。
【0199】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清鉄を減少させ得る。例えば、血清鉄は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約1μg/dl、少なくとも約5μg/dl、少なくとも約10μg/dl、少なくとも約15μg/dl、少なくとも約20μg/dl、少なくとも約25μg/dl、少なくとも約30μg/dl、少なくとも約35μg/dl、少なくとも約40μg/dl、少なくとも約45μg/dl、少なくとも約50μg/dl、少なくとも約60μg/dl、少なくとも約70μg/dl、少なくとも約80μg/dl、少なくとも約90μg/dl、少なくとも約100μg/dlまたは100μg/dl超、低下し得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、トランスフェリチンの飽和度を低下させ得る。例えば、トランスフェリチンの飽和度は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%または50%超、低下し得る。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、LDL-Cを減少させ得る。例えば、LDL-Cは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約5mg/dL、少なくとも約10mg/dL、少なくとも約15mg/dL、少なくとも約20mg/dL、少なくとも約25mg/dL、少なくとも約30mg/dL、少なくとも約35mg/dL、少なくとも約40mg/dL、少なくとも約50mg/dL、少なくとも約60mg/dL、少なくとも約70mg/dL、少なくとも約80mg/dLまたは80mg/dL超、低下し得る。
【0202】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物または方法は、4-HNEレベルを低下させ得る。例えば、4-HNEレベルは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低く、少なくとも約0.1μg/μl、少なくとも約0.5μg/μl、少なくとも約1μg/μl、少なくとも約2μg/μl、少なくとも約3μg/μl、少なくとも約4μg/μl、少なくとも約5μg/μl、少なくとも約6μg/μl、少なくとも約7μg/μl、少なくとも約8μg/μl、少なくとも約9μg/μl、少なくとも約10μg/μl、少なくとも約11μg/μl、少なくとも約12μg/μl、少なくとも約14μg/μl、少なくとも約16μg/μl、少なくとも約18μg/μl、少なくとも約20μg/μlまたは20μg/μl超、低下し得る。
【0203】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物または方法は、ヘマトクリットレベルを上昇させ得る。例えば、ヘマトクリットレベルは、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高く、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%または25%超、上昇し得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清リン脂質パーセントを所定の閾値より高く維持するために投与される。さらなるバリエーションにおいて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清リン脂質パーセントを約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2%、約2.2%、約2.4%または約2.6%より高く維持するために投与される。
【0205】
[併用療法]
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)、または本明細書中に記載される化合物もしくはその塩を含む薬学的組成物は、1つ以上のさらなる活性な作用物質と併用して使用され得る。式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物と併用して使用され得るさらなる活性な作用物質の例としては、本明細書中に記載されるような、およびそうでない場合は医科学で公知であるような、代謝症候群および関連症状を処置するために現在使用されている作用物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物は、本明細書中に記載される1つ、2つ、3つまたはそれ以上のさらなる活性な作用物質とともに使用され得る。そのような作用物質としては、式(I)の第2の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは天然に存在する脂肪酸またはその塩もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物は、代謝症候群、糖尿病などの処置、予防、維持もしくは発症予防のため、または代謝症候群のマーカーの調節のための別の作用物質と併用して使用(例えば、投与または経口摂取)され得る。例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、アルビグルチド、アレグリタザル、バラグリタゾン、カナグリフロジン、CJ-30001(CJ Cheiljedang Corporation)、CJ-30002(CJ Cheiljedang Corporation)、Diamyd(登録商標)(グルタミン酸デカルボキシラーゼ(rhGAD65))、デュラグルチド、エキセンディン4、ゲミグリプチン、リキシセナチド、ロベグリタゾン(lobeglitazone)、シェンク(shengke)I(Tibet Pharmaceuticals)、SK-0403(Sanwa Kagaku Kenkyusho)、テネリグリプチン、テプリズマブ、トホグリフロジン、アカルボース、アログリプチン安息香酸塩、クロルプロパミド、Diab II(Biotech Holdings)、エクセナチド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリセンチド(glisentide)、グリソールアミド(glisolamide)、HL-002(HanAII Biopharma)、インスリン(ヒト)、インスリン、インスリンアナログ(Eli Lilly(登録商標))、インスリンアスパルト、インスリンデテミール、インスリングラルギン、インスリンリスプロ、Janumet(登録商標)、リナグリプチン、リラグルチド、メトホルミン、ミグリトール、ミチグリニド、ナテグリニド、Novo Mix 30(登録商標)(Novo Nordisk(登録商標))ピオグリタゾン、プラムリンチド(pramlintide)、レパグリニド、マレイン酸ロシグリタゾン、サクサグリプチン、シタグリプチン、トレシーバ、トラザミド、トルブタミド、ビルダグリプチン、ボグリボース、ベザフィブラート、ジフルニサル、桂皮酸、カルブタミド、グリブリド(グリベンクラミド)、グリボムリド(glibomuride)、グリヘキサミド(glyhexamide)、フェンブタミド(phenbutamide)およびトルシクラミドから選択される1つ以上の作用物質、またはあるクラスの作用物質から選択される1つ以上の作用物質(そのクラスには、スルホニル尿素、非スルホニル尿素分泌促進物質、グルカゴン様ペプチド、エキセンディン-4ポリペプチド、ベータ3アドレノセプターアゴニスト、PPARアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、ビグアナイド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、免疫調節物質、スタチンとスタチン含有物との合剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アデノシンA1レセプターアゴニスト、アデノシンA2レセプターアゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、アルファ1アドレノセプターアンタゴニスト、アルファ2アドレノセプターアゴニスト、アルファ2アドレノセプターアゴニスト、アンジオテンシンレセプターアンタゴニスト、抗酸化物質、ATPアーゼ阻害剤、心房性ペプチドアゴニスト、ベータアドレノセプターアンタゴニスト、カルシウムチャネルアゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ジグアニド(diguanides)、利尿薬、ドーパミンD1レセプターアゴニスト、エンドペプチダーゼ阻害剤、エンドセリンレセプターアンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼ刺激物質、ホスホジデリバチベアーゼ(phosphodiderivativease)V阻害剤、例えば、5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、Cdc2キナーゼ阻害剤、レニン阻害剤、トロンボキサンシンターゼ阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、バソプレシンIアンタゴニスト、バソプレシン2アンタゴニスト、血管新生阻害剤、終末糖化産物阻害剤、胆汁酸結合剤、胆汁酸輸送阻害剤、骨形成刺激物質、アポリポタンパク質A1アゴニスト、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステロールアンタゴニスト、コルデリバチベイル(cholderivativeyl)誘導体輸送タンパク質アンタゴニスト、例えば、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)アンタゴニスト、サイトカイン合成阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、ドーパミンD2レセプターアゴニスト、エンドセリンレセプターアンタゴニスト、成長ホルモンアンタゴニスト、インスリン抵抗性改善薬、リパーゼ阻害剤、脂質過酸化阻害剤、リポタンパク質Aアンタゴニスト、ミクロソーム輸送タンパク質阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、一酸化窒素シンターゼ阻害剤、酸化剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、ラジカル形成アゴニスト、血小板凝集アンタゴニスト、プロスタグランジンシンターゼ刺激物質、コレステロール逆輸送活性化物質、rhoキナーゼ阻害剤、選択的エストロゲンレセプター調節因子、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、スクワレンシンターゼ阻害剤、トロンボキサンA2アンタゴニスト、アミリンアゴニスト、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、コレシストキニンAアゴニスト、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ドーパミン取り込み阻害剤、Gタンパク質共役レセプター調節因子、グルタメートアンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1アゴニストリパーゼ阻害剤、メラニン濃縮ホルモンレセプターアンタゴニスト、神経成長因子アゴニスト、ニューロペプチドYアゴニスト、ニューロペプチドYアンタゴニスト、SNRI、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、セロトニン2Cレセプターアゴニストが含まれる)、または他の作用物質(例えば、神経伝達物質または神経イオンチャネルに影響する中枢神経系の作用物質(抗うつ薬(ブプロピオン)、ノルアドリナリン再取り込み阻害剤(GW320659)、選択的セロトニン2cレセプターアゴニスト、選択的5HT 2cレセプターアゴニスト、抗痙攣剤(トピラマート、ゾニサミド)、ドーパミンアンタゴニスト、カンナビノイド-1レセプターアンタゴニスト(CB-1レセプターアンタゴニスト)(リモナバント)を含む);レプチン/インスリン/中枢神経系経路剤(レプチンアナログ、レプチン輸送および/またはレプチンレセプター促進物質、毛様体神経栄養因子(Axokine)、ニューロペプチドYおよびアグーチ関連ペプチドアンタゴニスト、プロオピオメラノコルチンおよびコカインおよびアンフェタミンによって制御される転写プロモーター、α-メラノサイト刺激ホルモンアナログ、メラノコリチン-4レセプターアゴニスト、およびインスリン代謝/活性に影響する作用物質(タンパク質-チロシンホスファターゼ-IB阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-.ガンマ.レセプターアンタゴニスト、短時間作用性ブロモクリプチン(エルゴセト(ergoset))、ソマトスタチンアゴニスト(オクトレオチド)およびアディポネクチン/Acrp30(Famoxinまたは脂肪酸代謝的酸化誘導物質)を含む)を含む);胃腸神経路剤(コレシストキニン活性(CCK)、PYY活性、NPY活性およびPP活性を上昇させるもの、グルカゴン様ペプチド-1活性を上昇させるもの(エキセンディン4、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤)およびグレリン活性を低下させるもの、ならびにアミリンアナログ(プラムリンチド(pramlintide))を含む);安静時代謝率を高め得る作用物質(選択的β-3刺激因子/アゴニスト、脱共役タンパク質ホモログおよび甲状腺レセプターアゴニスト);他のさらに多様な作用物質(メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、フィトスタノール(phytostanol)アナログ、機能性油(functional oils)、P57、アミラーゼ阻害剤、成長ホルモンフラグメント、硫酸デヒドロエピアンドロステロンの合成アナログ、脂肪細胞11B-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型活性のアンタゴニスト、コルチコトロピン放出ホルモンアゴニスト、脂肪酸合成の阻害剤(セルレニン(cerulenin)およびC75)、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、インダノン/インダノール、アミノステロール(トロダスクエミン(trodusquemine)/トロデュラミン(trodulamine))および他の胃腸リパーゼ阻害剤(ATL962)を含む);アンフェタミン(例えば、デキストロアンフェタミン);他の交感神経刺激性アドレナリン作用薬(フェンテルミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、マジンドールおよびジエチルプロピオンを含む));またはエコピパム(ecopipam);オキシントモジュリン(OM);グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の阻害剤;ガストリン放出ペプチド;ニューロメジンB;エンテロスタチン;アンフェブタモン(amfebutamone)、SR-58611;CP-045598;AOD-0604;QC-BT16;rGLP-1;1426(HMR-1426);N-5984;ISIS-1 13715;ソラベグロン(solabegron);SR-147778;Org-34517;メラノタン(melanotan)-II;セチリスタット;c-2735;c-5093;c-2624;APD-356;ラダファキシン(radafaxine);フルアステロン(fluasterone);GP-389255;856464;S-2367;AVE-1625;T-71;オレオイル-エストロン;鼻腔内投与用ペプチドYY[3-36];アンドロゲンレセプターアゴニスト;PYY 3-36;DOV-102677;タガトース;SLV-319;1954(Aventis Pharma AG);オキシントモジュリン、Thiakis;ブロモクリプチン、PLIVA;糖尿病/高脂血症治療、Yissum;CKD-502;甲状腺レセプターベータアゴニスト;ベータ-3アドレノセプターアゴニスト;CDK-Aアゴニスト;ガラニンアンタゴニスト;ドーパミンD1D2アゴニスト;メラノコルチン(melanocortin)調節因子;ベロンガミン(verongamine);ニューロペプチドYアンタゴニスト;メラニン濃縮ホルモンレセプターアンタゴニスト;デュアルPPARアルファ/ガンマアゴニスト;CGEN-P-4;キナーゼ阻害剤;ヒトMCHレセプターアンタゴニスト;GHS-Rアンタゴニスト;グレリンレセプターアゴニスト;DG70阻害剤;コチニン;CRF-BP阻害剤;ウロコルチンアゴニスト;UCL-2000;インペンタミン(impentamine);β-3アドレナリンレセプター;ペンタペプチドMC4アゴニスト;トロズスクエミン(trodusquemine);GT-2016;C-75;CPOP;MCH-1レセプターアンタゴニスト;RED-103004;アミノステロール;オレキシン-1アンタゴニスト;ニューロペプチドY5レセプターアンタゴニスト;DRF-4158;PT-15;PTPアーゼ阻害剤;A37215;SA-0204;糖脂質代謝産物;MC-4アゴニスト;プロデュレスタン(produlestan);PTP-1B阻害剤;GT-2394;ニューロペプチドY5アンタゴニスト;メラノコルチンレセプター調節因子;MLN-4760;PPARガンマ/デルタデュアルアゴニスト;NPY5RA-972;5-HT2Cレセプターアゴニスト;ニューロペプチドY5レセプターアンタゴニスト(フェニル尿素アナログ);AGRP/MC4アンタゴニスト;ニューロペプチドY5アンタゴニスト(ベンゾイミダゾール);糖質コルチコイドアンタゴニスト;MCHR1アンタゴニスト;アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤;R-1496;HOB1調節因子;NOX-B11;ペプチドYY3-36(エリゲン(eligen));5-HT1調節因子;膵臓リパーゼ阻害剤;GRC-1087;CB-1アンタゴニ
スト;MCH-1アンタゴニスト;LY-448100;ボンベシンBRS3アゴニスト;グレリンアンタゴニスト;MC4アンタゴニスト;ステアロイル-CoAデサチュラーゼ調節因子;PPARパンアゴニスト;EP-01492;ホルモン感受性リパーゼ阻害剤;脂肪酸結合タンパク質4阻害剤;チオラクトン誘導体;タンパク質チロシンホスファターゼIB阻害剤;MCH-1アンタゴニスト;P-64;PPARガンマリガンド;メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト;チアゾール系消化管運動改善薬(gastroprokinetics);PA-452;T-226296;A-331440;イムノドラッグ(immunodrug)ワクチン;糖尿病/肥満症治療薬(Bioagency,Biofrontera Discovery GmbH);P-7(Genfit);DT-011 M;PTP1B阻害剤;抗糖尿病ペプチド抱合体;KATPアゴニスト;肥満症治療薬(Lexicon);5-HT2アゴニスト;MCH-1レセプターアンタゴニスト;GMAD-1/GMAD-2;STG-a-MD;血管新生阻害剤;Gタンパク質共役レセプターアゴニスト;ニコチン性治療薬(ChemGenex);抗肥満症剤(Abbott);メラニン濃縮ホルモン;GW-594884A;MC-4Rアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト;オーファンGPCR調節因子;MITO-3108;NLC-002;HE-2300;IGF/BBP-2-13;5-HT2Cアゴニスト;ML-22952;ニューロペプチドYレセプターアンタゴニスト;AZ-40140;抗肥満症治療(Nisshin Flour);GNTI;メラノコルチンレセプター調節因子;アルファ-アミラーゼ阻害剤;ベータ-3アドレノセプターアゴニスト;ob遺伝子産物(Eli Lilly&Co.);SWR-0342-SA;SWR-0335;SP-18904;経口インスリン模倣物;肥満症治療薬(7TM Pharma);ベータ-水酸化ステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)阻害剤;QRX-431;E-6776;RI-450;メラノコルチン-4アンタゴニスト;メラノコルチン4レセプターアゴニスト;肥満症治療薬(CuraGen);レプチン模倣物;A-74498;第二世代レプチン;NBI-103;CL-314698;CP-114271;ベータ-3アドレノセプターアゴニスト;NMI-8739;UCL-1283;BMS-192548;CP-94253;PD-160170;ニコチンアゴニスト;LG-100754;SB-226552;LY-355124;CKD-711;L-751250;PPAR阻害剤;Gタンパク質治療薬;肥満症治療(Amylin Pharmaceuticals Inc.);BW-1229;モノクローナル抗体(ObeSys/CAT);L-742791;(S)-シブトラミン;MBU-23;YM-268;BTS-78050;tubby様タンパク質遺伝子;ゲノミクス(摂食障害;Allelix/Lilly);MS-706;GI-264879A;GW-409890;FR-79620アナログ;肥満症治療(Hybrigenics SA);ICI-198157;ESP-A;5-HT2Cアゴニスト;PD-170292;AIT-202;LG-100641;GI-181771;抗肥満症治療薬(Genzyme);レプチン調節因子;GHRH模倣物;肥満症治療(Yamanouchi Pharmaceutical Co.Ltd.);SB-251023;CP-331684;BIBO-3304;コレステン-3-オン;LY-362884;BRL-48962;PY-1アンタゴニスト;A-71378;.RTM.-ジデスメチルシブトラミン(didesmethylsibutramine);肥満症治療薬(Bristol-Myers Squibb Co.);肥満症治療薬(Ligand Pharmaceuticals Inc.);LY-226936;NPYアンタゴニスト;CCK-Aアゴニスト;FPL-14294;PD-145942;ZA-7114;CL-316243;SR-58878;R-1065;BDBP-3226;HP-228;タリベグロン(talibegron);FR-165914;AZM-008;AZM-016;AZM-120;AZM-090;AZM-131;AZM-132;AZM-134;AZM-127;AZM-083;AZM-1 15;AZM-140;ボメロフェリン(vomeropherin);BMS-187257;D-3800;遺伝子発見(Axys/Glaxo);BRL-26830A;SX-013;ERR調節因子;アディプシン(adipsin);AC-253;A-71623;A-68552;BMS-210285;TAK-677;MPV-1743;肥満症治療薬(Modex);GI-248573;エキソピパム(exopipam);SSR-125180;肥満症治療薬(Melacure Therapeutics AB);BRL-35135;SR-146131;P-57;CGP-71583A;RF-1051;BMS-196085;マニファキシン;DMNJ(Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology);BVT-5182;LY-255582;SNX-024;ガラニンアンタゴニスト;ニューロキニン-3アンタゴニスト;デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine);マジンドール;ジエチルプロピオン;フェンジメトラジン;ベンズフェタミン;アンフェブトモン(amfebutmone);セルトラリン;AOD-9604;ATL-062;BVT-933;GT389-255;SLV319;HE-2500;PEG-アキソキン(axokine);L-796568;およびABT-239;リモナバント、シブトラミン、オーリスタット、PYYまたはそのアナログ、CB-1アンタゴニスト、レプチン、フェンテルミンおよびエキセンディンアナログ;GPR1 19アゴニスト(例えば、アナンダミド;AR-231、453;MBX-2982;オレオイルエタノールアミド;PSN-365,963;PSN-632,408;パルミトイルエタノールアミド);GPR120アゴニスト;GPR40アゴニスト;SGLT2阻害剤から選択される1つ以上の作用物質)と併用して使用され得る。
【0208】
さらに、本明細書中に開示される奇数鎖脂肪酸の化合物は、アルトプレブ(Altoprev)(ロバスタチン)、クレストール(ロスバスタチン)、レスコール(Lescol)(フルバスタチン)、リピトール(アトルバスタチン)、リバロ(ピタバスタチン)、プラバコール(Pravachol)(プラバスタチン)、ゾコール(Zocor)(シンバスタチン)、抗血小板薬、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、抗凝固薬、アスピリン、胆汁酸捕捉剤、エゼチミブ、フィブレート、糖タンパク質IIb/IIIaレセプター阻害剤、ナイアシン(ニコチン酸)、ニトレート、血小板阻害剤、血栓溶解薬、リシノプリル経口剤、アテノロール経口剤、バイストリック経口剤、ディオバン経口剤、ヒドロクロロチアジド経口剤、コハク酸メトプロロール経口剤、アムロジピン経口剤、ノルバスク経口剤、トプロールXL経口剤、ベニカー(Benicar)経口剤、酒石酸メトプロロール経口剤、ロサルタン経口剤、リシノプリル-ヒドロクロロチアジド経口剤、クロニジンHCl経口剤、ディオバンHCT経口剤、コザール(Cozaar)経口剤、プロプラノロール経口剤、スピロノラクトン経口剤、アゾール(Azor)経口剤、カルベジロール経口剤、コレグ(Coreg)経口剤、ベニカーHCT経口剤、エックスフォージ経口剤、アバプロ経口剤、ロットレル経口剤、ベラパミル経口剤、フロセミド経口剤、ラシックス経口剤、ハイザール経口剤、テクターナ経口剤、マレイン酸エナラプリル経口剤、ミカルディス経口剤、ロサルタン-ヒドロクロロチアジド経口剤、ラミプリル経口剤、ロプレソール(Lopressor)経口剤、アルテース(Altace)経口剤、ミカルディスHCT経口剤、アバライド経口剤、ジルチアゼム経口剤、トリアムテレン-ヒドロクロロチアジド経口剤、ラベタロール経口剤、テラゾシン経口剤、アムロジピン-ベナゼプリル経口剤、ヒドララジン経口剤、アタカンド(Atacand)経口剤、ベナゼプリル経口剤、トリベンゾール(Tribenzor)経口剤、トリアムテレン経口剤、ドキサゾシン経口剤、ニフェジピン経口剤、ジアック経口剤、アルダクトン経口剤、マックスザイド経口剤、カルチアXT経口剤、プラゾシン経口剤、カルディゼムCD経口剤、ゼストリル経口剤、ダイアジド経口剤、フマル酸ビソプロロール経口剤、テネックス(Tenex)経口剤、テノーミン経口剤、コレグ(Coreg)CR経口剤、プリニビル(Prinivil)経口剤、バルサルタン経口剤、アテノロール-クロルタリドン経口剤、エダルビクロル(Edarbyclor)経口剤、ベナゼプリル-ヒドロクロロチアジド経口剤、硫酸第一鉄経口剤、フェルレシット(Ferrlecit)静注剤、フェラヘム(Feraheme)静注剤、フィオソル経口剤、インフェド(Infed)注射剤、インテグラ(Integra)経口剤、フェレックス(Ferrex)150フォルテ(Forte)経口剤、タンデムデュアルアクション(Tandem Dual Action)経口剤、フェレックス150経口剤、グルコン酸第一鉄経口剤、コルビット(Corvite)150経口剤、インテグラF経口剤、ノバフェルム(NovaFerrum)経口剤、鉄(硫酸第一鉄)経口剤、ビトロン(Vitron)-C経口剤、葉酸、コルチコステロイド、リツキシマブ、IVIG、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン経口剤、ケナログ注射剤、メドロール(Pak)経口剤、メドロール経口剤、デキサメタゾン経口剤、デポ-メドロール注射剤、プレドニゾロン経口剤、Dexpak 13 Day経口剤、ソル-メドロール静注剤、ヒドロコルチゾン経口剤、コルテフ経口剤、デルタゾン(Deltasone)経口剤、トリアムシノロンアセトニド注射剤、コルチゾン経口剤、コリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル(アリセプト)、リバスチグミン(エクセロン)およびガランタミン(ラザジン(Razadyne))、メマンチン、アリセプト、ナメンダ、ナメンダXR、ラザジン(Razadyne)ER、アルファE、ビタミンE、ヒデルギン、ナムザリック(Namzaric)、ドーパミンアゴニスト、例えば、プラミペキソール(ミラペックス)、ロピニロール(レキップ)、ロチゴチン(ニュープロパッチ)およびアポモルフィン(アポカイン)、抗コリン作用薬、例えば、ベンズトロピン(コゲンチン(Cogentin))およびトリヘキシフェニジル、MAO-B阻害剤、例えば、(エルデプリル(Eldepryl)、ゼラパール(Zelapar))およびラサギリン(アジレクト)、COMT阻害剤、例えば、エンタカポン(コムタン)、カルビドパ/レボドパ(Sinemet(登録商標))、アマンタジン、テトラベナジン(キセナジン(Xenazine))、ハロペリドール(ハルドール)、クロルプロマジン、リスペリドン(リスパダール)、クエチアピン(セロクエル)、オランザピン(ジプレキサ)、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、フルフェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジンピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム(cinnoxicam)、スドキシカム(sudoxicam)およびテノキシカムから選択される1つ以上の作用物質と併用して使用され得る。
【0209】
[投薬]
当業者にはすぐに明らかになるように、投与されるべき有用なインビボ投薬量および特定の投与様式は、齢、体重、症状の重症度および処置される哺乳動物の種、使用される化合物の特定の形態、ならびにこれらの化合物が使用される具体的な使用法に依存して変化する。効果的な投薬量レベルの決定、すなわち、所望の結果を達成するために必要な投薬量レベルの決定は、日常的な方法、例えば、インビボ研究を用いて当業者によって達成され得る。例えば、“Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers,”U.S.Food and Drug Administration,July 2005が参照され得る。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、治療有効量の本明細書中に提供される組成物を投与する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、治療有効量は、代謝症候群のマーカーの調節を参照することによって決定され得る。いくつかの実施形態において、治療有効量は、代謝症候群の症候の調節を参照することによって決定され得る。さらに他の実施形態では、本明細書中に記載される症状に対して確立されたガイドライン(糖尿病の処置のためのガイドラインを含むがこれらに限定されない)が参照され得る。
【0211】
投薬量は、所望の効果および治療上の指標(例えば、マーカー値)に依存して大きく変化し得る。あるいは、投薬量は、当業者が理解するように、患者の表面積または体重に基づく場合があり、また、患者の表面積または体重に基づいて計算される場合がある。正確な投薬量は症例ごとに決定されるか、または場合によっては、情報を得た対象の判断に委ねられる。成人患者に対する1日の投与レジメンは、例えば、約0.01mg~約10000mg、約1mg~約5000mg、約5mg~約2000mg、約10mg~約1000mgまたは約50mg~約500mgという経口量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは複数の式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩の混合物、あるいは式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と天然に存在する脂肪酸またはその塩もしくは誘導体との混合物であり得る。単回用量は、奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体を、約0.01mg、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約2000mg、約5000mgまたはそれ以上で含み得る。投薬量は、対象の体重に従って調整され得、例えば、投薬量は、約0.001mg/kg、約0.01mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kgまたはそれ以上であり得る。投薬は、個々の対象にとって適切であるように、1日またはそれ以上の期間において単回であってもよいし、2回以上であってもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、連続治療の期間、例えば、約1週間もしくはそれ以上(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間またはそれ以上)、数週間、約1ヶ月もしくはそれ以上(例えば、1ヶ月、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間またはそれ以上)、約1年もしくはそれ以上または複数年にわたって、投与される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1日あたり1回、1日あたり2回、1日あたり3回またはそれ以上、投与または経口摂取され得る。
【0212】
当業者が理解するように、ある特定の状況においては、対象を効果的に処置するために、本明細書中に開示される化合物を、上で述べた好ましい投薬量の範囲を超える量で投与する必要がある場合がある。
【0213】
単位剤形、例えば、所定のスケジュールでの投与のために形成された、予め測定された量の組成物を含む個別の包装も提供され得る。1日あたり1~3回の投与のために形成された単位剤形が好ましいが、しかしながら、ある特定の実施形態では、1日あたり3回より多い投与または1日あたり1回未満の投与のための単位剤形を形成することが望ましい場合がある。
【0214】
投薬量および投薬間隔は、所定のパラメータ、指標もしくはマーカー値または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な血漿レベルの活性部分が提供されるように、個々の対象に合わせて調整され得る。所望の結果を達成するために必要な投薬量は、個々の特性および投与経路に依存する。しかしながら、アッセイ、例えば、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血清濃度を測定してもよい。
【0215】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、デバイスおよびデバイスの使用方法、例えば、米国特許第7,651,845号;米国特許第8,251,904号;米国特許第8,251,904号;米国特許第4,985,015号;米国特許第8,827,957号;米国特許第4,252,159号;米国特許第5,318,521号;米国特許第4,718,430号;米国特許出願公開第2011/0190702号;独国特許出願公開第2615061号に提供されているようなデバイスおよびデバイスの使用方法とともに、ならびに診断デバイス、例えば、米国特許出願公開第2012/0072236号(これらの各内容はその全体が参照により本明細書に援用される)に提供されているような診断デバイスとともに、使用され得る。
【0216】
[診断およびモニタリング]
代謝症候群および関連症状の診断およびモニタリングのための方法が、本明細書中に提供される。
【0217】
いくつかの実施形態において、診断またはモニタリングの方法は、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物あるいは天然に存在する脂肪酸のパーセンテージを測定する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、診断またはモニタリングの方法は、代謝症候群のマーカーを測定する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、1つのマーカーと別のマーカーとの相関関係が有益であると判明している場合がある。いくつかの実施形態において、代謝症候群または関連症状は、代謝症候群のマーカーの閾値レベル、例えば、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度、天然に存在する脂肪酸の血清濃度(例えば、奇数鎖脂肪酸のパーセンテージ、奇数鎖脂肪酸の血清濃度または血清中の総奇数鎖脂肪酸)を参照することにより診断され得る。例えば、閾値は、代謝症候群または関連症状、例えば、糖尿病の症候またはマーカーを参照することにより決定され得る。
【0218】
対象における式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物あるいは代謝症候群のマーカーのパーセンテージは、任意の手段によってモニターされ得る。解析用のサンプルは、対象のどの体液または組織から得てもよい。例えば、血清、血漿、赤血球膜、尿および便から得てもよい。
【実施例】
【0219】
[比較実施例1]
40匹のC57BL/6Jマウスに、高脂肪食(HFD)(D12492、60%kcalの脂肪)を8週間与えた。次いで、試験マウスを10匹ずつ以下の4つの群に分けた:ビヒクルコントロール、低用量C17:0処置(5mg/kg体重)、高用量C17:0処置(50mg/kg体重)および低用量C15:0処置(5mg/kg体重)。被験物質は、室温において安定な合成粉末の形態であり、Sigma-Aldrichから購入した(製品W433400(≧99% C15:0)およびH3500 SIGMA(≧98% C17:0)。引き続き自由にHFDを食べられる状態で、それらの被験物質を12週間(84日間)にわたって毎日、胃管栄養法によって提供した。体重および食物摂取量を毎週測定した。血清中のインスリン、グルコース、コレステロールならびにIL-6、TNF-αおよびMCP-1レベルを84日目に測定した。処置群のデータを、ウィルコクソン順位和解析を用いてコントロール群と比較した。有意性は、0.05以下のP値と定義した。
【0220】
処置群のマウスは、試験全体にわたって、被験物質を許容した。処置群のマウスに早期の死亡はなかったが、コントロール群の1匹のマウスが、予定外にも、7週目に死亡した。試験群を比較したとき、体重、体重変化率または食物摂取量に変化は見られなかった(示さず)。
【0221】
処置群をビヒクルコントロール群と比較したとき、C15:0(5mg/kg)で処置された対象は、コントロールと比べて、代謝症候群が減弱しており、それには、グルコース、インスリン、コレステロールおよび炎症促進性サイトカイン(IL-6、TNF-αおよびMCP-1)の低下が含まれた(表1)。C17:0で処置された対象は、コントロールと比べて、代謝症候群の減弱に向かう傾向があったが(表1)、高用量C17:0(50mg/kg)だけしか、コントロールと比べて有意に低い炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(TNF-αおよびMCP-1)を有しなかった(表1)。
【0222】
表1には、12週間、経口ペンタデカン酸(5mg/kgBW)、ヘプタデカン酸(5および50mg/kgBW)で毎日処置された食餌誘発性の肥満マウスにおける心血管代謝効果をビヒクルコントロールと比べた比較が提供されている。「結果」の値は、6時間絶食したサンプルに基づく。
【表1】
【0223】
(比較実施例2)
この試験では、脂質異常症、炎症、貧血、肝鉄過剰症および非アルコール性脂肪性肝炎を含む、代謝症候群に関連する疾患の、経口奇数鎖飽和脂肪酸による処置の有効性をさらに評価した。16匹のニュージーランドホワイトウサギに、高脂肪食(HFD)(4%落花生油および0.5%コレステロール)を2週間与えた。8匹のさらなるウサギは、ベースライン食で維持した。次いで、試験ウサギを8匹ずつ以下の3つの群に分けた:ベースライン食コントロール、HFDコントロールおよびC15:0処置(35mg/kg体重)の場合。被験物質は、室温において安定な合成粉末であり、Sigma-Aldrichから購入した(製品W433400(≧99% C15:0)。引き続き自由にHFD(HFDコントロール群および処置群)またはベースライン食(ベースライン食コントロール)を食べられる状態で、その被験物質を11週間(76日間)にわたって毎日、食餌の中に入れて提供した。体重および食物摂取量を毎週測定した。血漿臨床化学および赤血球指数、ならびに肝臓における鉄沈着および線維症を76日目に評価した。処置群のデータを、ウィルコクソン順位和解析を用いてコントロール群と比較した。有意性は、0.05以下のP値と定義した。
【0224】
処置群のウサギは、試験全体にわたって、被験物質を許容した。試験したウサギに早期の死亡はなかった。76日目に、C15:0(35mg/kg)で処置された対象は、HFDコントロールと比べて、循環中のコレステロール、トリグリセリドおよびグロブリンが低く、貧血、肝臓鉄沈着および肝線維症が減弱した(表2)。
【0225】
表2では、11週間、経口ペンタデカン酸(C15:0)(35mg/kgBW)で毎日処置された症例群を含む、代謝症候群に関連する脂質異常症、炎症および溶血性貧血に対する食餌誘発性のウサギモデルにおける臨床効果を比較している。
【表2】
【0226】
表3では、11週間、経口ペンタデカン酸(C15:0)(35mg/kgBW)で毎日処置された症例群を含む、代謝症候群に関連する肝鉄過剰症および非アルコール性脂肪性肝炎に対する食餌誘発性のウサギモデルの肝臓組織像に対する効果を比較している。
【表3】
【0227】
[比較実施例3]
この試験では、代謝症候群および関連疾患を処置する無置換基奇数鎖飽和脂肪酸の観察される健康上の効用を最適化するために、飽和遊離脂肪酸および有置換基飽和脂肪酸の構造活性相関を比較した。脂肪酸は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)に対する天然のリガンドであるので、リードの最適化は、細胞ベースのPPARアゴニスト活性に関する構造活性相関から始めた。詳細には、この試験では、3つの遊離脂肪酸型の飽和脂肪酸(C14:0、C15:0およびC16:0)と、種々の有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-、2,2-ジメチル-、1-テトラゾール-、3-オキシ-、2-メチル-1-テトラゾール-、2-エチル-、2,2-ジエチル-および2-メチル-2-エチル-)のPPARアゴニスト活性を調べて、比較した。PathHunter核ホルモンレセプター(NHR)タンパク質相互作用(Pro)アッセイ(DiscoverX,Freemont,California)を用いて、PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γアゴニスト活性を測定した。簡潔には、Enzyme Fragment Complementation(EFC)を用いる同種の非イメージングアッセイ形式において、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を使用して、PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γの活性化をモニターした。このNHR Proアッセイは、活性化された完全長のPPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γタンパク質と、1つ以上のカノニカルなLXXLL相互作用モチーフを有するステロイドレセプターコアクチベーターペプチド(SRCP)ドメインを含む核融合タンパク質とのタンパク質間相互作用の検出に基づくアッセイであった。PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γをEFCアッセイ系のProLinkコンポーネントでタグ化し、SRCPドメインを、核において発現される酵素アクセプターコンポーネント(EA)に融合した。PPAR-α、PPAR-δまたはPPAR-γは、リガンドに結合すると、核に移動し、SRCPドメインをリクルートすることにより、補完が生じ、活性なβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)の単位が生成され、化学発光シグナルが発生する。このアプローチに関連する利点としては、化合物のインキュベーション時間の短縮、PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γ標的の直接的な測定、完全長ヒトPPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γ配列の使用、ならびにタンパク質間相互作用の乱れに基づいて新規化合物クラスを選抜できることが挙げられた。PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γアゴニストの用量曲線は、遊離脂肪酸型のC14:0、C15:0、C16:0;C14:0、C15:0、C16:0の2-メチル置換基;C14:0、C15:0、C16:0の2,2-ジメチル置換基;C14:0およびC15:0の1-テトラゾール置換基;ならびにC15:0およびC16:0の3-オキシ置換基;ならびにC15:0の2-メチル-1-テトラゾール、2-エチル、2,2-ジエチルおよび2-メチル-2-エチル置換基、ならびにPPAR-α(GW7647)、PPAR-δ(L-165,041)およびPPAR-γ(トログリタゾン)に対するポジティブコントロールに対して10個の濃度において2回測定された。示されたデータは、コントロール化合物およびビヒクルの存在下において観察された反応のそれぞれ最大値および最小値に対して正規化した。活性のパーセンテージは、以下の式を用いて計算した:%活性=100%×(被験サンプルの平均RLU-ビヒクルコントロールの平均RLU)/(平均MAXコントロールリガンド-ビヒクルコントロールの平均RLU)。
【0228】
飽和遊離脂肪酸型と比べて、有置換基飽和脂肪酸は、PPARアゴニスト活性のための最大半量有効濃度に到達するために必要な濃度の低下という改善を示した(表4)。種々の置換基が、異なるPPARアイソタイプ(PPAR-α、-δおよび-γ)を改善したことから、所望のPPARアイソタイプのアゴニスト活性を標的化する構成物を試験群の中から選抜することが可能になった。C14:0、C15:0およびC16:0に対する2-メチル-置換基は、それらの遊離脂肪酸型と比べて、PPAR-αアゴニストEC50をそれぞれ17%、48%および62%改善した。C14:0、C15:0およびC16:0に対する2,2-ジメチル-置換基は、それらの遊離脂肪酸型と比べて、PPAR-αアゴニストEC50をそれぞれ13%、44%および90%改善した。1-テトラゾール-C15:0、3-オキサ-C15:0および2-メチル-1-テトラゾール-C15:0置換基は、C15:0と比べて、PPAR-αアゴニストEC50をそれぞれ77%、54%および44%改善した。2-エチル-C15:0および2,2-ジエチル-C15:0置換基は、C15:0と比べて、PPAR-αアゴニストEC50をそれぞれ90%および85%改善した。
【0229】
C14:0およびC15:0に対する1-テトラゾール-置換基は、それらの遊離脂肪酸型と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ63%および81%改善した。C15:0およびC16:0に対する3-オキサ-置換基は、それらの遊離脂肪酸型と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ85%および70%改善した。2-メチル-1-テトラゾール-C15:0は、C15:0と比べて、PPAR-δアゴニストEC50を59%改善した。2-メチル-C16:0および2,2-ジメチル-C16:0は、C16:0と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ11および50%改善した。2-エチル-C15:0は、C15:0と比べて、PPAR-δアゴニストEC50を89%改善した。非置換の飽和遊離脂肪酸のいずれもが、PPAR-γ活性を有しなかったが、2-メチル-C14:0、2-メチル-C15:0、2-メチル-C16:0、2,2-ジメチル-C14:0、2,2-ジメチル-C15:0、2-エチル-C15:0、2,2-ジエチル-C15:0および2-メチル-2-エチル-C15:0は、PPAR-γアゴニスト活性を獲得した。肺の系、線維症の系、皮膚炎の系、乾癬の系、アレルギーの系および自己免疫系を含む系を模倣する細胞系に対するこの複数のアナログの強い活性は、遊離脂肪酸型のC15:0がそれに全く達していなかったことから、驚くべきことであった。これらのアナログは、単に遊離脂肪酸C15:0の活性を改善したのではなく、標的化される疾患系の変化を示した。
【0230】
要するに、有置換基飽和脂肪酸は、それらの遊離脂肪酸型と比べて、細胞ベースのPPARアゴニスト活性を示すために必要な化合物の濃度を低下させることに成功した。さらに、種々の置換基が、種々のPPARアイソタイプ(PPAR-α、-δおよび-γ)を改善し、それにより、特定のPPARに関連する疾患を標的化する特定の置換基を選択することが可能になった。
【0231】
表4では、細胞ベースのタンパク質間相互作用アッセイを用いた、選択された飽和脂肪酸の間のPPARアゴニスト活性を比較している。
【表4】
【0232】
表5では、最大半量有効濃度(EC50)に基づいた、飽和遊離脂肪酸(FFA)型と、置換基を有する飽和脂肪酸との間のPPARアゴニスト活性を比較している。
【表5】
【0233】
[実施例4]
この試験では、DiscoverXのBioMAP Diversity Plusプログラムの一部として、12のヒト初代細胞ベースの系にわたって、飽和遊離脂肪酸(C15:0)および3つの有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-、2,2-ジメチル-および1-テトラゾール-C15:0)の活性を調べ、比較した。これらの系は、脈管構造、皮膚、肺および炎症性組織の複雑なヒトの組織および疾患生物学をモデル化するようにデザインされている。この広範なパネルにわたるバイオマーカーの活性の定量的測定を、公知の生理活性な作用物質の生物学的活性の比較分析とともに使用して、それら4つの化合物の有効性および機能を予測し、比較した。4つの濃度(740nmならびに2.2、6.7および20μM)で化合物を試験した。
【0234】
BioMAPパネルは、ヒトの身体の種々の局面をインビトロの形式でモデル化するようにデザインされたヒト初代細胞ベースの系からなる。Diversity PLUSパネルにおける上記の12の系によって、様々なヒト疾患状態をモデル化している系の広範なセットにわたって偏りのない方法で被験作用物質の特徴付けが可能になる。BioMAPシステムは、ヒト組織または病的状態において天然に生じる妥当なシグナル伝達ネットワークを捕捉するために、刺激(例えば、サイトカインまたは成長因子)を加えて、健康ヒトドナー由来の1つ以上の初代細胞型を用いて構築される。血管生物学は、Th1(3C系)とTh2(4H系)の両方の炎症環境、ならびに動脈平滑筋細胞に特異的なTh1炎症状態(CASM3C系)においてモデル化される。さらなる系が、単球によって駆動されるTh1炎症(LPS系)またはT細胞刺激(SAg系)、マクロファージ活性化によって駆動される慢性Th1炎症(lMphg系)および胚中心で生じるB細胞のT細胞依存性活性化(BT系)を含む全身免疫応答の局面を再現する。BE3C系(Th1)およびBF4T系(Th2)は、肺の気道炎症に相当するのに対し、MyoF系は、筋線維芽細胞-肺組織リモデリングをモデル化する。最後に、皮膚生物学は、Th1皮膚炎症をモデル化しているKF3CT系および創傷治癒をモデル化しているHDF3CGF系において扱われる。
【0235】
各被験作用物質は、個々の系の環境におけるタンパク質バイオマーカーの読み出し情報の変化から作成されるシグネチャBioMAPプロファイルを生成する。バイオマーカーの読み出し情報(1つの系あたり7~17)は、治療的関連性および生物学的関連性に対して選択され、疾患のアウトカムまたは具体的な薬物効果を予測し、公知の作用機序(MoA)を有する作用物質を用いて検証される。各読み出し情報は、タンパク質を検出する免疫ベースの方法(例えば、ELISA)または増殖および生存率を測定する機能アッセイによって定量的に測定される。BioMAPの読み出し情報は、多種多様であり、細胞表面レセプター、サイトカイン、ケモカイン、マトリックス分子および酵素を含む。全体として、Diversity PLUSパネルは、特定のBioMAP系の生理学的状況において生じる生物学的変化を捕捉する148のバイオマーカー読み出し情報を含む。具体的なBioMAP活性は、インビボ生物学と相互に関連付けられており、マルチパラメータのBioMAPプロファイルを用いて、多種多様な生理系にわたるMoAおよび標的選択性に基づいて、化合物が区別されてきた。
【0236】
12の細胞系にわたって測定された148の疾患バイオマーカーのうち、有置換基飽和脂肪(2-メチル-、2,2-ジメチル-および1-テトラゾール-C15:0)は、8つの系にわたって21のバイオマーカーに対して、C15:0で処置された細胞系および非処置コントロールと比べて、抗疾患活性を改善した(
図1、
図2Aおよび2Bにおける表)。2-メチル-C15:0、2,2-ジメチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0はすべて、C15:0で処置された系および非処置コントロールと比べて、より低いMCP-1、PAI-1、エオタキシン-3、VCAM-1、ICAM-1、IL-1α、MMP-1、MMP-3およびMMP-9を示した。2-メチル-C15:0および2,2-ジメチル-C15:0は、C15:0で処置された系および非処置コントロールと比べて、より低いT細胞増殖、IL-8、ケラチン8/18、IP-10、IP-18およびMIGを示した。2,2-ジメチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0は、C15:0で処置された系および非処置コントロールと比べて、より低い組織因子、CD38およびCD99を示した。2-メチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0は、C15:0で処置された系および非処置コントロールと比べて、より低いCD40を示した。2-メチル-C15:0は、C15:0で処置された系および非処置コントロールと比べて、より低いB細胞増殖およびより低い分泌型IgGを示した。有置換基飽和脂肪酸によるこれらのバイオマーカーの要約が
図1に提供されており、
図1には、飽和遊離脂肪酸(C15:0)で処置された系および非処置コントロールと比べて、有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0、2,2-ジメチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0)で処置されたヒト初代細胞ベースの系において有意に低かった、様々な疾患状態のタンパク質ベースのバイオマーカーの要約が提供されている。
【0237】
要するに、PPARアゴニスト試験の結果と同様に、複数の有置換基飽和脂肪酸が、遊離脂肪酸型と比べて、疾患特異的バイオマーカーの改善に成功した。さらに、種々の有置換基が、種々の細胞ベースの疾患系において種々の疾患バイオマーカーを改善したことから、特定の疾患バイオマーカーに関連する疾患を標的化する特定の置換基を選択することが可能になった。
【0238】
図2Aおよび2Bでは、飽和遊離脂肪酸型と置換基を有する飽和脂肪酸との間のヒト初代細胞ベースの活性(詳細には、活性化された病的状態の低減)を比較している。
【0239】
[実施例5]
この試験では、有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0)と対比される経口投与された飽和遊離脂肪酸(C15:0)の24時間の血漿バイオアベイラビリティおよび薬物動態を比較した。簡潔には、18匹のラットを、以下の3つの群にそれぞれ6匹ずつランダムに分けた:低用量の2-メチル-C15:0(5mg/kg体重)、高用量の2-メチル-C15:0(35mg/kg)および高用量のC15:0(35mg/kg)。重水素化型の2-メチル-C15:0およびC15:0を使用して、血漿中に存在する天然の脂肪酸と区別した。2-メチル-C15:0およびC15:0を、AT-Silar-100カラム(Grace,Columbia,Maryland 21044)を用いる、臭化ペンタフロウロベンジル脂肪酸エステルのキャピラリーガスクロマトグラフィー/質量分析によって解析した。2-メチル-C15:0およびC15:0を0.5%メトセルロース懸濁化ビヒクルに加え、十分混合して、投与可能な懸濁液としたものを、胃管栄養法によって1回投与した。血漿中の化合物レベルを、投与前(0分後)および投与後(15分後、30分後ならびに1、2、4、8、12および24時間後)にモニターした。
【0240】
2-メチル-C15:0(35mg/kg)の経口投与によって、30分後に血漿中の2-メチル-C15:0レベルが上昇した(
図3B)。2-メチル-C15:0(35mg/kg)は、投与の1時間後に、20.29μg/mlという最高血漿中濃度に達した。2-メチル-C15:0(35mg/kg)の血漿レベルは、24時間をかけて低下したが、投与前のレベルより高いままであった。投与の30分後ならびに2、8、12および24時間後の2-メチル-C15:0(35mg/kg)の血漿レベルは、C15:0(35mg/kg)よりおよそ4倍高かったことから(
図3A)、2-メチル-C15:0は、C15:0と比べて、より高い血漿バイオアベイラビリティを有することが裏付けられた。2-メチル-C15:0の血漿%F推定値(バイオアベイラビリティ)は、9%というC15:0の血漿バイオアベイラビリティに対して、およそ35%だった(表6)。表6では、飽和遊離脂肪酸(C15:0、35mg/kg単回経口量)および有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0、5および35mg/kg単回経口量)の24時間の血漿薬物動態を比較している。
【表6】
【0241】
要するに、この試験は、有置換基飽和脂肪酸である2-メチル-C15:0が、飽和遊離脂肪酸であるC15:0と比べて、血漿バイオアベイラビリティを改善したことを裏付ける。
【0242】
[実施例6]
PPARは、疎水性塩基としてのArm-1、親水性AF-2ポケットを有するArm-IIおよび疎水性Arm-IIIを有する「Y」形である。PPARリガンドは、通常、Arm-1に沿ってそのレセプターに入り込み、Arm-IIおよびArm-IIIにまたがって静止する。PPARとリガンドとの間の最も大きな結合活性は、リガンドの親水性頭部とArm-IIの親水性AF-2ポケットとの間で生じる。
【0243】
実施例2と同じ細胞ベースのアッセイを用いて、天然の遊離脂肪酸C16:0、メチルC16:0およびジメチルC16:0の間のPPARアゴニスト活性を比較した。
【0244】
メチルC16:0とジメチルC16:0の両方が、天然の遊離脂肪酸型のC16:0と比べて、PPAR-アルファアゴニスト活性を改善し、PPAR-デルタ活性を維持または改善した(表3)。2-メチルC16:0は、遊離脂肪酸型のC16:0と比べて、PPAR-ガンマアゴニスト活性も示した。
【0245】
表7では、細胞ベースのタンパク質間相互作用アッセイを用いた、天然の飽和脂肪酸、2-メチル飽和脂肪酸および2,2-ジ-メチル飽和脂肪酸の間のPPARアゴニスト活性を比較している。
【表7】
【0246】
[例示的な組成物、方法および使用]
方法1:代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患またはアルツハイマー病の処置または発症予防の方法であって、その方法は、ある化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含み、ここで、その化合物は、2-メチル、2,2-ジメチル、2-エチル、2,2-ジエチル、3-オキサまたは3-オキサ-2,2-ジメチル、1-テトラゾール、1-オキサゾロン、1-オキサジアゾロンおよびN-ヒドロキシアミドからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された飽和脂肪酸であり;その脂肪酸は、トリデカン酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)およびステアリン酸(C18:0)からなる群より選択される、方法。
【0247】
薬学的組成物2:式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であって、ここで、式(I)の化合物は、構造:
【化8】
を有し、式中、Gは、非置換もしくは置換C
10-C
15アルキル、非置換もしくは置換C
10-C
15アルケニル、または1つ、2つもしくは3つのオキサもしくはチア置換基を有する非置換C
10-C
15アルキルもしくは置換C
10-C
15アルキルから選択され;Xは、OおよびCR
1R
2から選択され、ここで、R
1およびR
2は、各々独立して、Hまたは非置換もしくは置換C
1-C
6アルキルであり;Y
1およびY
2は、各々独立して、H、非置換もしくは置換C
1-C
6アルコキシまたは非置換もしくは置換C
1-C
6アルキルであるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換または置換シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成してもよく;Zは、カルボン酸、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリールからなる群より選択され;ここで、置換される基は、1つ以上の置換基で置換され、各置換基は、独立して、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミノからなる群より選択される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩;および薬学的に許容され得るキャリアを含む、薬学的組成物。
【0248】
薬学的組成物3:組成物が、単位剤形である、薬学的組成物2。
【0249】
薬学的組成物4:0.01mg~10000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、薬学的組成物2または3。
【0250】
使用5:代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患またはアルツハイマー病の処置または発症予防における、薬学的組成物2~4のうちのいずれかの使用。
【0251】
使用6:代謝症候群の処置または発症予防のための、使用5。
【0252】
使用7:薬学的組成物が、代謝症候群のマーカーまたは代謝症候群の症候を調節するように構成されている、使用6。
【0253】
使用8:代謝症候群のマーカーが、奇数鎖脂肪酸のパーセンテージ、奇数鎖脂肪酸の血清濃度、奇数鎖脂肪酸の赤血球膜濃度、血清中の総奇数鎖脂肪酸、赤血球膜における総奇数鎖脂肪酸、血清フェリチン、血清鉄、トランスフェリチンの飽和度、血清グルコース、血清トリグリセリド、血圧、HDLコレステロール、尿中ミクロアルブミン、CRP、IL-6、TNFα、c-Jun N末端キナーゼ、ATMおよび単球走化性タンパク質-1からなる群より選択される、使用7。
【0254】
方法9:代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、インスリン抵抗性、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患またはアルツハイマー病の処置または発症予防の方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を投与する工程を含む、方法。
【0255】
方法10:式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得るキャリアを含む単位剤形の薬学的組成物として提供される、方法9。
【0256】
方法11:単位剤形が、0.01mg~10000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、方法9または10。
【0257】
方法12:式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、1日あたり1回、患者に投与される、方法9~11のいずれか。
【0258】
組成物13:実質的に本明細書中に提供されるような組成物。
【0259】
方法14:実質的に本明細書中に提供されるような方法。
【0260】
薬学的組成物15:式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であって、ここで、式(I)の化合物は、構造:
【化9】
を有し、式中、Gは、非置換または置換C
10-C
18アルキル、非置換または置換C
10-C
18アルケニル、1つ、2つまたは3つのオキサまたはチア置換基を有する非置換または置換C
10-C
18アルキル、および1つ、2つまたは3つのオキサまたはチア置換基を有する置換C
10-C
18アルケニルからなる群より選択され;Xは、OおよびCR
1R
2からなる群より選択され、ここで、R
1およびR
2は、各々独立して、Hおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択され;Y
1およびY
2は、各々独立して、H、非置換または置換C
1-C
6アルコキシおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択されるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換または置換C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリールおよびC
1-C
10ヘテロシクリルを形成してもよく;Zは、カルボン酸、-C(=O)-OH、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリールからなる群より選択され;ここで、置換される基は、1つ以上の置換基で置換され、各置換基は、独立して、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリール、C
1-C
10ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミノからなる群より選択される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩;および薬学的に許容され得るキャリアを含む、薬学的組成物。
【0261】
薬学的組成物16:Gが、非置換C10-C18アルキルである、薬学的組成物15。
【0262】
薬学的組成物17:Xが、CR1R2であり、R1およびR2が、それぞれHである、薬学的組成物15または16。
【0263】
薬学的組成物18:XがOである、薬学的組成物15または16。
【0264】
薬学的組成物19:Y1が、Hおよび非置換C1-C6アルキルからなる群より選択され、Y2が、非置換C1-C6アルキルである、薬学的組成物15~18のいずれか。
【0265】
薬学的組成物20:Zが、-C(=O)-OHである、薬学的組成物15~19のいずれか。
【0266】
薬学的組成物21:Zが、
【化10】
である、薬学的組成物15~19のいずれか。
【0267】
薬学的組成物22:Zが、
【化11】
からなる群より選択される、薬学的組成物15~19のいずれか。
【0268】
薬学的組成物23:式(I)の化合物が、
【化12】
からなる群より選択される、薬学的組成物15。
【0269】
薬学的組成物24:式(I)の化合物が、
【化13】
からなる群より選択される、薬学的組成物15。
【0270】
薬学的組成物25:式(I)の化合物が、
【化14】
からなる群より選択される、薬学的組成物15。
【0271】
薬学的組成物26:薬学的組成物が、単位剤形である、薬学的組成物15~25のいずれか。
【0272】
薬学的組成物27:0.01mg~10000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、薬学的組成物15~26のいずれか。
【0273】
使用28:代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、インスリン抵抗性、線維性疾患、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患、アルツハイマー病、非アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫疾患、喘息、貧血、皮膚炎、肺疾患、肺線維症および全身性硬化症、乾癬および認知症からなる群より選択される症状の処置または発症予防のための、薬学的組成物15~26のいずれかの使用。
【0274】
使用29:脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、全身性硬化症および特発性肺線維症からなる群より必要に応じて選択される線維性疾患の処置または発症予防のための、使用28。
【0275】
使用30:乾癬および関節リウマチからなる群より必要に応じて選択される自己免疫疾患の処置または発症予防のための、使用28。
【0276】
使用31:慢性炎症性疾患、必要に応じて、アレルギーまたは喘息の処置または発症予防のための、使用28。
【0277】
方法32:代謝症候群、循環器疾患、糖尿病、2型糖尿病、貧血、癌、循環器疾患、脂質異常症、高血圧症、炎症、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、インスリン抵抗性、線維性疾患、前糖尿病、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、鉄過剰症、神経変性疾患、アルツハイマー病、非アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫疾患、喘息、貧血、皮膚炎、肺疾患、肺線維症および全身性硬化症、乾癬および認知症からなる群より選択される症状の処置または発症予防の方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を投与する工程を含み、ここで、式(I)の化合物は、構造:
【化15】
を有し、式中、Gは、非置換または置換C
10-C
18アルキル、非置換または置換C
10-C
18アルケニル、1つ、2つまたは3つのオキサまたはチア置換基を有する非置換または置換C
10-C
18アルキル、および1つ、2つまたは3つのオキサまたはチア置換基を有する置換C
10-C
18アルケニルからなる群より選択され;Xは、OおよびCR
1R
2からなる群より選択され、ここで、R
1およびR
2は、各々独立して、Hおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択され;Y
1およびY
2は、各々独立して、H、非置換または置換C
1-C
6アルコキシおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択されるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換または置換C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリールおよびC
1-C
10ヘテロシクリルを形成してもよく;Zは、カルボン酸、-C(=O)-OH、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリールからなる群より選択され;ここで、置換される基は、1つ以上の置換基で置換され、各置換基は、独立して、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリール、C
1-C
10ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミノからなる群より選択される、
方法。
【0278】
方法33:Gが、非置換C10-C18アルキルである、方法32。
【0279】
方法34:Xが、CR1R2であり、R1およびR2が、それぞれHである、方法32または33。
【0280】
方法35:XがOである、方法32~34のいずれか。
【0281】
方法36:Y1が、Hおよび非置換C1-C6アルキルからなる群より選択され、Y2が、非置換C1-C6アルキルである、方法32~35のいずれか。
【0282】
方法37:Zが、-C(=O)-OHである、方法32~36のいずれか。
【0283】
方法38:Zが、
【化16】
である、方法32~36のいずれか。
【0284】
方法39:Zが、
【化17】
からなる群より選択される、方法32~36のいずれか。
【0285】
方法40:脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、全身性硬化症および特発性肺線維症からなる群より必要に応じて選択される線維性疾患の処置または発症予防のための、方法32~39のいずれか。
【0286】
方法41:乾癬および関節リウマチからなる群より必要に応じて選択される自己免疫疾患の処置または発症予防のための、方法32~39のいずれか。
【0287】
方法42:慢性炎症性疾患、必要に応じて、アレルギーまたは喘息の処置または発症予防のための、方法32~39のいずれか。
【0288】
上で言及した薬学的組成物、使用および方法の特徴のいずれもが、本明細書中で特定される他の任意の薬学的組成物、使用または方法に適用可能である。さらに、上で言及した薬学的組成物、使用および方法の特徴のいずれもが、本明細書中に記載される薬学的組成物、使用および方法の他の実施形態と何らかの方法で部分的または全体的に独立して組み合わせ可能であり、例えば、1つ、2つもしくは3つまたはそれを超える特徴が、全体的または部分的に組み合わせ可能であり得る。さらに、上に記載された薬学的組成物、使用および方法の特徴のいずれもが、本明細書中に記載される他の薬学的組成物、使用および方法にとっては必須でなくなり得る。本明細書中に記載される方法または使用の任意の態様または実施形態が、本明細書中に記載されるような組成物、例えば、薬学的組成物および/もしくは式(I)の化合物、または本明細書中に記載される構造を有する任意の化合物を用いて行うことができ、組成物、例えば、薬学的組成物および/もしくは式(I)の化合物、または本明細書中に記載される構造を有する任意の化合物の任意の態様または実施形態が、本明細書中に記載されるような方法もしくは使用を実施するように使用できるかまたは適合できる。
【0289】
上記の説明では、本発明を実施するために企図される最良の形態、ならびに本発明を構成し、使用する様式およびプロセスの最良の形態が、本発明が関係する分野の任意の当業者が本発明を構成し、使用できるようにするほど十分で、明確で、簡潔で、かつ正確な用語で示される。しかしながら、本発明は、上で論じられたものからの、完全に等価な改変および代替の構成を許す。その結果として、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されない。それどころか、本発明は、本発明の主題を詳細に指摘し、かつ明確に主張する下記の請求項によって広く表されるような本発明の趣旨および範囲に含まれるすべての改変および代替構成を包含する。本開示は、図面および前述の説明において例証され、詳細に説明されてきたが、そのような例証および説明は、例証的または例示的であって、限定的ではないとみなされるべきである。
【0290】
本明細書に引用されたすべての参考文献が、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。参照により援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する限りにおいて、本明細書は、そのような矛盾するどのようなものにも取って代わることおよび/または優先されると意図される。
【0291】
別段定義されない限り、すべての用語(専門用語および科学用語を含む)には、当業者にとってのそれらの通常および通例の意味が与えられるべきであり、本明細書中で明確にそのように定義されない限り、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでない。特定の用語の使用は、本開示のある特定の特徴または態様を説明するとき、その用語は、その用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の具体的な特性を包含するように限定されると本明細書中で再定義されていることを暗示しているように解釈されるべきでないことに注意するべきである。本願、特に添付の請求項において使用される用語および句ならびにそれらの変化形は、別段明確に述べられない限り、限定とは対照的な、オープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「~を含む(including)」は、「以下に限定されないが、~を含む」、「~を含むがこれらに限定されない」などを意味すると読み取られるべきであり、本明細書中で使用される用語「~を含む(comprising)」は、「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」または「~を特徴とする」と同義であり、包括的であるか、またはオープンエンドであり、記載されていないさらなるエレメントまたは方法工程を排除せず、用語「~を有する」は、「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「~が挙げられる(includes)」は、「~が挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「例」は、論じている項目の例示的な実例を提供するために使用されるのであって、その網羅的または限定的なリストを提供するために使用されるのではなく、「公知の」、「通常の」「標準的な」などの形容詞および同様の意味の用語は、所与の期間について記載される項目または所与の時点で利用可能な項目を限定すると解釈されるべきでなく、その代わりに、現在または将来の任意の時点において利用可能または公知であり得る、公知の、通常の、または標準的な技術を包含すると読み取られるべきであり、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」または「望ましい」のような用語および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が、本発明の構造または機能にとって絶対に欠かせない、不可欠または重要であることを暗示していると理解されるべきでなく、その代わりに、本発明の特定の実施形態において利用されてもよいし、されなくてもよい、代替のまたはさらなる特徴を強調するように単に意図されていると理解されるべきである。同様に、接続詞「および」を用いて連結される項目の群は、それらの項目の各々およびすべてが、そのグループ分けに存在することを要求していると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られるべきである。同様に、接続詞「または」を用いて連結される項目の群は、その群の中で相互排他性を要求していると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られるべきである。
【0292】
値の範囲が提供される場合、上限および下限ならびにその範囲の上限と下限との間に存在する各値が上記の実施形態に含まれると理解される。
【0293】
本明細書中の実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途にとって適切であるように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に読み換えることができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の入れ替えが、本明細書中で明確に示されることがある。不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を果たすことがある。ある特定の基準が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせを都合よく使用できないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照符号も、その範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0294】
具体的な数の請求項記載の導入が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に記載されること、およびそのような記載がないときには、そのような意図は存在しないことが、当業者によってさらに理解されるだろう。例えば、理解の一助として、下記の添付の請求項は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入句の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句および不定冠詞(例えば、「a」または「an」)を含むときでさえ、不定冠詞「a」または「an」による請求項記載の導入が、そのような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味するように解釈されるべきである);同じことが、請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても当てはまる。さらに、具体的な数の請求項記載の導入が明示的に記載されたとしても、当業者は、そのような記載が、通常、記載された数を少なくとも意味するように解釈されるべきであることを認識するだろう(例えば、他の修飾語を伴わない「2つの記載」というむきだしの記載は、通常、少なくとも2つの記載または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその慣例を理解する意味として意図される(例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で有するシステム、Bを単独で有するシステム、Cを単独で有するシステム、AおよびBをともに有するシステム、AおよびCをともに有するシステム、BおよびCをともに有するシステム、ならびに/または、A、BおよびCをともに有するシステムなどを含み得るが、これらに限定されない)。「A、BまたはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその慣例を理解する意味として意図される(例えば、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で有するシステム、Bを単独で有するシステム、Cを単独で有するシステム、AおよびBをともに有するシステム、AおよびCをともに有するシステム、BおよびCをともに有するシステム、ならびに/または、A、BおよびCをともに有するシステムなどを含み得るが、これらに限定されない)。2つ以上の二者択一の用語を示す実質的に任意の離接的接続詞および/または句は、それが明細書に存在するか、請求項に存在するか、それとも図面に存在するかを問わず、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のどちらかまたは両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるだろう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0295】
本明細書において使用される成分および反応条件などの量を表すすべての数字が、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、それとは反対のことが示されない限り、本明細書中に示される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に依存して変化し得る近似値である。少なくとも、また、本願に対して優先権を主張するいずれの出願においても任意の請求項の範囲に対して均等論を適用することを制限する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、有効数字の数値および通常の丸め法に照らして解釈されるべきである。
【0296】
さらに、前述は、明確化および理解のために、例証および例としていくらか詳細に説明してきたが、ある特定の変更および改変が実施され得ることが当業者には明らかである。ゆえに、それらの説明および例は、本発明の範囲を、本明細書中に記載される具体的な実施形態および例に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の真の範囲および趣旨に含まれるあらゆる改変および代替も包含するように解釈されるべきである。