(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】蒸気分離器のタイバー補修又は交換方法
(51)【国際特許分類】
G21C 19/02 20060101AFI20230712BHJP
G21C 17/017 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G21C19/02 050
G21C17/017
(21)【出願番号】P 2020570764
(86)(22)【出願日】2019-08-11
(86)【国際出願番号】 US2019046082
(87)【国際公開番号】W WO2020019003
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100186831
【氏名又は名称】梅澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】モージャー,ショーン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】サムナー,マーク・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ハロルド・シー
(72)【発明者】
【氏名】クラット,サミュエル・ティー
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-174886(JP,A)
【文献】特開2002-372016(JP,A)
【文献】米国特許第06322273(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/00 - 19/50
G21C 17/017
G21C 23/00
G21C 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスタンドパイプ(41)と第2のスタンドパイプ(41)とを有し、液体と蒸気冷媒を受けて分離する冷却水セパレータアセンブリ(14)を補強するシステムであって、
前記第1のスタンドパイプ(41)に
、前記第1のスタンドパイプ(41)の外周を締め付けることで、調整可能かつ強固に固定される第1のブレース(101A)と、
前記第2のスタンドパイプ(41)に
、前記第2のスタンドパイプ(41)の外周を締め付けることで、調整可能かつ強固に固定される第2のブレース(101B)と、
前記第1のブレース(101A)
と第1の端部
で連結し、前記第2のブレース(101B)
と第2の端部
で連結するリンク(150)
であって、前記リンク(150)の前記第1の端部は、前記第1のブレース(101A)に対して部分的回動が許容可能に接続されているリンク(150)と、
を備えるシステム(100)。
【請求項2】
前記第1のブレース(101A)は、前記第1の端部を中心として回動可能に前記リンク(150)の前記第1の端部に嵌合する第1の連結ハブ(110)を有し、前記第2のブレース(101B)は、前記第1の端部を中心に回動可能に前記リンク(150)の前記第2の端部に嵌合する第2の連結ハブ(110)を有することを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】
前記リンク(150)の一端は、第1の圧着ポスト(151)を有し、前記リンク(150)の他端は、第2の圧着ポスト(151)を有し、前記第1の連結ハブ(110)は、第1のネジ穴(116)を有し、前記第2の連結ハブ(110)は、第2のネジ穴(116)を有することを特徴とする請求項2のシステム(100)。
【請求項4】
前記第1の圧着ポストの周囲を通過し、前記第1のネジ穴(116)に螺合するネジ山(161)を有する第1の圧着ナット(160)と、
前記第2の圧着ポストの周囲を通過し、前記第2のネジ穴(116)に螺合するネジ山(161)が形成された第2の圧着ナット(160)と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項3のシステム(100)。
【請求項5】
前記第1のブレース(101A)は、前記第1のブレース(101A)の内面に位置する複数の付勢ハブ(120)を有し、前記付勢ハブ(120)は、引き方向と直交する方向に付勢するウェッジ(111)を有することを特徴とする請求項1のシステム(100)。
【請求項6】
前記第1のブレース(101A)及び前記第2のブレース(101B)は、略円形であり、前記第1のブレース(101A)及び前記第2のブレース(101B)に前記リンクバー(150)を固定し、前記第1のスタンドパイプ(41)及び前記第2のスタンドパイプ(41)に前記第1のブレース(101A)及び前記第2のブレース(101B)を固定する複数のドライブ(120)を備え、前記ドライブ(120)は、全て同じ方向からアクセス可能であることを特徴とする請求項1のシステム(100)。
【請求項7】
第1のスタンドパイプ(41)と第2のスタンドパイプ(41)とを有し、液体と蒸気の流れを受けて分離する冷却水セパレータアセンブリ(14)の補完方法であって、
前記第1のブレース(101A)を前記第1のスタンドパイプの周りに鉛直方向に下降させて前記第1のスタンドパイプ(41)の周りに第1のブレース(101A)を取り付けるステップと、
前記第2のブレース(101B)を前記第2のスタンドパイプ(41)の周りに鉛直方向に下降させることにより、前記第2のスタンドパイプ(41)の周りに第2のブレース(101B)を取り付けるステップと、
前記第1のブレース(101A)および前記第2のブレース(101B)の少なくとも一方を強固に固定するステップと、
前記第1のブレース(101A)と前記第2のブレース(101B)との間にリンクバー(150)を連結するステップと、
前記リンクバー(150)が連結された後に、前記第1のブレース(101A)及び前記第2のブレース(101B)の一方を取り付けられているスタンドパイプ上で回転させるステップと、
を含む補完方法。
【請求項8】
第1のブレース(101A)、第2のブレース(101B)及びリンクバー(150)の全てを強固に固定するステッ
プをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記固定するステップは、前記鉛直方向の軸回りに少なくとも1つのナット(160)を締め付けることを含み、前記リンクバー(150)を連結するステップは、前記鉛直方向の他の軸を中心として少なくとも1つの他のナットを締め付けることを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のスタンドパイプ(41)と前記第2のスタンドパイプ(41)との間の
タイバー(42)の少なくとも一部を取り外す工程と、
を含むことを特徴とする請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蒸気分離器のタイバー補修又は交換方法
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、沸騰水型原子炉(BWR)のような原子炉は、核分裂により発電する原子炉容器12を収容する原子炉容器12を備えている。原子炉容器12は、有底略円筒形状であり、下端がボトムヘッド28で閉塞され、上端が取り外し可能なトップヘッド29で閉塞されている。炉心シュラウド34は、幾つかの核燃料集合体または集合体を含む炉心36を取り囲んでいてもよい。シュラウド34は、シュラウドサポート38によって一端が支持され、他端に取り外し可能なシュラウドヘッド39及びセパレータチューブ組立体を備えていてもよい。コア36内には、1以上の制御翼20等の制御要素が上方に延びており、炉心36の燃料要素内での核分裂反応を制御するようになっている。また、計装筒50は、ボトムヘッド28等の外部容器12から炉心36内に延在し、中性子モニタや熱電対等の計装を許容し、外部から炉心36内に挿入されて封入されてもよい。
【0003】
燃料束は、炉心36の底部の炉心板49上に配置された燃料支持体48によって整列されて支持されている。なお、各燃料束や束群を受けて冷媒の流れを許容してもよい。また、燃料支持部48は、計装筒50や制御翼20等を、燃料支持部48を介して炉心36内に通過させてもよい。炉心板49と炉心36との間には、光や重水などの流体が循環しており、BWRでは、少なくとも一部が燃料要素の核分裂で発生した熱によって蒸気に変換される。蒸気は、蒸気分離管集合体14および蒸気乾燥器構造体15で分離されて乾燥され、容器12の頂部付近の主蒸気ライン3を通って容器12内に出ていく。他の流体抵抗器および/またはモード1は、他の原子炉設計で用いられてもよいし、相変化なしで用いられてもよい。
【0004】
また、
図2は、蒸気セパレータチューブ組立体14の軸方向に沿った容器12の断面模式図である。
図1に示すように、容器12内には、複数の蒸気分離管またはスタンドパイプ41が軸方向に延びており、炉心から出た蒸気は、蒸気に同伴する冷却液を除去する直径および/またはスワラベーンを変えて、スタンドパイプ41内を流れるようになっている。スタンドパイプ41は、使用可能な空間を埋めるように水平に並んでいてもよく、例えば、
図2に示すように、60度の格子状に配列されていてもよい。タイバー42は、いくつかのスタンドパイプ41に沿って貫通していてもよいし、溶接等により強固に接合されていてもよい。タイバー42は、所定の直線に沿って複数のスタンドパイプ41を整列させており、それぞれのスタンドパイプ41を3本の別のタイバー42で付勢している。これにより、タイバー42は、タイバーS線に沿って1本のスタンドパイプ41が倒れたりずれたりすることを防止することができる。タイバー42は、複数のタイバー42を用いて、スタンドパイプ41の軸方向寸法に亘って整列性を確保してもよい。「ゼネラルエレクトリック・システム技術マニュアル」、2014年12月14日、チャプター2.1では、有用な技術コンテキストを記述しており、ここではその説明を援用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、セパレータアセンブリを用いて、スタンドパイプの位置合わせ構造物の修理、交換、作業を行うシステムがある。例えば、スタンドパイプに付勢またはクランプされて固定される複数のブレースが用いられている。ブレースは、パイプを部分的又は完全に包囲するものであってもよいし、スタンドパイプの外面に一致する円形や楕円等の大きさのものであってもよい。いずれか2つのブレースの間に連結支柱を連結することで、ブレースやスタンドパイプの相対移動を確保することができる。連結支柱とブレースは、接合時にブレースの一部の調整が可能な構成であればよく、十分に確保された場合にはそれ以上の調整を行うことができず、設置時にブレース間の距離や向きを調整することができる。ブレースのスタンドパイプや連結支柱に対するブレースの挟持、付勢、固定は、いずれも単一の方向から行うこともできるし、軸方向上方等の単一のインターフェース面で行うことも可能であり、設置の容易化を図ることができる。この場合、クリンプナット、ロック、ラチェット、一方向ネジ又はナット、ラッチ等の選択的又は保持可能なコネクタを用いることができる。
【0006】
例えば、スタンドパイプの周囲のブレースを軸方向に下降させ、ブレースをクランプ又は付勢することで両者間の相対移動がない強固な連結を実現することで、システムを設置することができる。タイバーが先に取り外されると、タイバーのスタンドパイプ上の残りの片が、ブレースを降下させるための棚や停止ポイントとして存在することがある。そして、連結支柱は、一対のブレースを連結してブレース同士を連結するように設けられていてもよい。ブレースを任意の箇所で強固に固定することができ、連結支柱を設置し、ブレースの回転による調整を所望の距離にすることができ、ブレースとスタンドパイプとの位置合わせを行うことができる。また、全ての部品の固定を駆動するトップナット等のように、全てのブレースや連結バーを上方から固定してもよい。また、複数組のブレースや実施例系を、軸方向の高さを変化させ、複数のスタンドパイプの組み合わせで使用してもよい。
【0007】
また、実施の形態は、添付図面を参照しながら詳細に説明されるが、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来の原子力発電プラントの一例を示す図である。
【
図2】従来の蒸気セパレータアセンブリの概略詳細図である。
【
図3】タイバーの交換または修理システムの一例を示す図である。
【
図4】
図3のシステムで使用可能な連結ハブの詳細図である。
【
図5】
図3のシステムで使用可能な付勢ハブの詳細図である。
【
図6】蒸気セパレータアセンブリに設置されるタイバーの交換や補修システムの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これは、特許文献であるため、一般的に、それを読むときに構築の広範な規則が適用されるべきである。本明細書に記載され示された全ては、以下に添付される特許請求の範囲に含まれる主題の一例である。本明細書で開示される任意の特定の構造的および機能的詳細は、単に例を作成および使用する方法を説明するためのものにすぎない。本明細書に具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態および方法は、請求項の範囲内に入り得る。したがって、特許請求の範囲は、多くの代替形態で実施可能であり、本明細書に記載の例のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
第1 、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用するとき、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0011】
要素が別の要素に「接続」、「結合」、「嵌合」、「取り付け」、「固定」などと呼ばれる場合、他の要素に直接接続でき、または介在要素が存在する場合があることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」、「直接結合」などと呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈する必要がある(たとえば、「間」対「直接」、「隣接」対「直接隣接」など)。同様に、「通信接続」などの用語には、無線で接続されているかどうかにかかわらず、中間デバイス、ネットワークなどを含む2つの電子デバイス間の情報交換およびルーティングのすべてのバリエーションが含まれる。
【0012】
本明細書で使用されるように、単数形「a」 、「an」 、および「the」は、明示的に別段の指示がない限り、単数形および複数形の両方を含むことが意図される。「備える」、「含む」、および/または「含んでいる」等の用語は、述べられた特徴、特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、それ自体は、1つまたは複数の他の特徴、特性、ステップ、動作、要素、成分および/またはそのグループの存在または追加を排除しないことが理解されよう。
【0013】
以下で説明する構造および動作は、図面に記載および/または記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図は、関与する機能/動作に応じて、実際には同時に実行されてもよく、ときには逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下で説明する例示的な方法内の個々の動作は、以下で説明する単一の動作とは別にループまたは他の一連の動作を提供するように、個々にまたは順次に実行され得る。以下で説明する特徴および機能を有する任意の実施形態または方法は、任意の実行可能な組合せで、例示的な実施形態の範囲内に入ると推定されるべきである。
【0014】
本明細書において、「軸方向」及び「垂直」方向は、原子炉の長軸に沿った上下方向が同一であり、重力方向を向いている場合が多い。「横」方向は、「軸方向」と直交し、特定の軸方向高さで1つの平面内を向く第1の方向である。
【0015】
本発明者らは、原子炉の運転時及び/又はメンテナンス時に、タイバー42(
図2)が撓んだり、反ったりする可能性があることを発明者らは認識している。また、取扱いクレーン等の設備への衝撃やセパレータアセンブリ14への他の設備(
図2)への衝撃など、施工時や作業時における原子炉構造物の取り扱いが不適切であり、作業中の不適切な設置や極端な振動がタイバー42を損傷させるおそれがある。スタンドパイプ41(
図2)は、軸方向および横方向に位置ずれを起こし、他のスタンドパイプ41と干渉したり、沸騰した冷媒から液を分離したりすることができない。損傷したタイロッド41を補修するためには、原子炉内に設置したときに、複雑かつ/またはサブマージアーク溶接が必要となり、設備の停電時や、プラントの停止時においても、コストや遅れが大きくなることがある。タイバー42の補修された部分は、冷却水に緩みが生じて、一次冷却材ループ設備や二次衝突による燃料の損傷を招くおそれがある。以下に説明する実施の形態および方法、ならびに、発明者らが実施の形態により有効とする課題を解決するために、本発明者らが認識した他の課題について説明する。
【0016】
本発明は、セパレータアセンブリの補填システムおよびその設置方法である。なお、以下に説明する幾つかの実施形態及び実施例は、本発明に係る種々の異なる構成の部分集合を例示したものである。
【0017】
図3は、タイバーの交換または修理システム100の一例を示す図である。
図1~
図3に示すように、実施例システム100は、リンクバー150によって連結された第1のセパレータスタンドパイプブレース101Aと第2のセパレータスタンドパイプブレース101Bとを備えている。ブレース101A,101Bは、スタンドパイプ41(
図1~
図2,
図6)の周囲に嵌合する形状に形成されており、締付時には、スタンドパイプ41の外周に着座および/または押圧する。なお、ブレース101A,101Bは、直径が数インチ~数
フィートの円形であってもよいし、楕円体であってもよいし、スタンドパイプの外周の一部であってもよいし、周囲の一部であってもよい。また、ブレース101A,101Bは、分解や溶接、煩雑な作業を要することなく、セパレータアセンブリ内のスタンドパイプに軸方向に嵌合することができ、スタンドパイプの鉛直方向端部へのアクセスのみが必要となる場合がある。また、
図5にさらに記載されているような付勢ハブ120等の固定手段が1つ以上設けられていてもよい。
【0018】
実施例のシステム100は、同一または異なる種類のスタンド管ブレース101A,101Bを備えていてもよい。例えば、
主蒸気ライン3は、複数の連結ハブ110を有する多方向ブレース101Bに1つの連結ハブ110が結合された簡易ブレース101Aを示している。もちろん、実施例システム100を介して同種のブレース101を用いてもよいし、異なる種類のブレース101を用いてもよい。ブレース101A,101Bは、それぞれの連結ハブ110と嵌合するリンクバー150により結合されている。これにより、ブレース101A,101Bが隣接するスタンドパイプに結合してブレース101A,101Bをブレースすることができる。同様に、他の連結ハブ110を介して複数の他のブレースをブレース101Bに結合し、セパレータアセンブリにおけるスタンドパイプの数及び関係を確保することができた。なお、ブレースに使用可能な連結ハブ110及び付勢ハブ120の詳細については、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0019】
図4は、本実施の形態におけるブレース101から形成された連結ハブ110の詳細図である。
図4に示すように、ハブ110は、リンクバー150の端部を回転軸方向の一以上の寸法および/または軸方向に受け入れて固定する形状に形成されている。
図4の例では、連結ハブ110は、リンクバー150の端部に一致する円錐状の中心孔または孔を有するダブテイル型のウェッジ
111を備えている。これにより、リンクバー150は、
ウェッジ111の端部に軸方向周りの多少の回転が許容された状態で、
ウェッジ111に軸支されている。リンクバー150が
そのように固定されるとともに回転可能に構成される場合、ウェッジ111は、リンクバー150の回転自由度を規定することにより、連結されたブレース101間の横方向の距離を規定する。勿論、
ウェッジ111は、リンクバー150の移動を許容しないように幅が狭くなっていてもよいし、リンクバー150の回転自由度が大きくなるように、全体が広くなっていてもよいし、欠落していてもよい。
【0020】
また、リンクバー150上のクリンプポスト151の周囲を通るクリンプナット160によって、リンクバー150が連結ハブ110に固定されてもよい。クリンプナット160上のネジ161は、ウエッジ111の穴又は穴をライニングしたネジ面116と一致しており、圧着ナット160は、リンクバー150上に上下に締め付けられている。一度、リンクバー150がウェッジ111に着座し、クリンプナット160が下方に回転してネジ面116に螺合すると、くさび111の回転など、ある程度の移動を保持しつつ、リンクバー150をブレース101から取り外すことができないおそれがある。また、クリンプナット160の回転及び締め付けにより、この摩擦による自由度を無くすことができる。なお、クリンプナット160を係止する際には、クリンプポスト151に圧着させたり、クリンプ加工したりして、それ以上の回転を阻止するようにしてもよい。もちろん、連結ハブ110には、リンクバー150を所望の移動自由度で保持するために、ラチェット、タングエンドボア、ロック等の他の接合装置が用いられてもよい。
【0021】
なお、ブレース110には、任意の数の連結ハブ110が用いられてもよい。例えば、6つの連結ハブ110までを60度間隔で配置し、6本のリンクバーと他のブレースとを連結してもよい。また、連結ハブ110は、1つであってもよいし、1つであってもよい。このように、ブレース110は、任意の本数の他のブレースに結合して、セパレータアセンブリにおけるスタンドパイプの数を安定させることができる。
【0022】
図5は、本実施の形態におけるブレース101から形成された付勢ハブ120の詳細図である。同図に示すように、付勢ハブ120は、
ブレース101の凹部125内に、駆動楔122と、付勢楔123とを摺動可能に連結して構成されている。駆動用楔122と付勢用楔123との摺動面が傾斜しているため、駆動用楔122が鉛直下方に移動すると、付勢用楔123がブレース101の中心に横方向に付勢される。同様に、駆動楔122を上方に退避させると、付勢楔123が横方向に退避する。この関係から、付勢楔123は、ブレース101内のスタンドパイプの表面に駆動されて、ブレース101とスタンドパイプとの間の隙間を閉塞したり、ブレース101とスタンドパイプとの間の相対的な移動を防止したり、それ以上の相対移動を防止したりすることができる。
【0023】
駆動楔122は、駆動柱121の周囲を通ってブレース101に連結されていてもよいし、駆動柱121が駆動楔122を貫通して凹部125に挿入されたときに軸方向に移動可能であってもよい。なお、駆動支柱121は、クリンプポスト151と同様に、ネジ面と圧着面とを有していてもよい(
図4)。また、クリンプナット160は、同様に、駆動支柱121のネジ面、実質的には、クリンプポスト151の逆ネジ面に雌ネジを噛み合わせることにより、駆動楔122を駆動することができる。クリンプナット160は、付勢楔123の横位置決め及び/又は付勢力に変換された所望の位置及び/又は力に締め付けられると、クリンプポスト121に変形してその位置及び/又はバイアスを維持する。もちろん、付勢用ハブ120には、くさび122を所望の位置および/またはバイアスに保持するために、一方向ネジ、第2のTS、ロックなどの他の保持装置を用いてもよい。
【0024】
一つのブレース101には、所望の位置や力のプロファイルに応じて、任意の数の付勢用ハブ120を用いることができる。例えば、1つの付勢ハブ120は、ブレース101をスタンドパイプでロックするのに適していてもよく、4つの付勢ハブ120は、2次元的な位置決めと付勢とをバランスさせるために、ブレース101を中心として90度の角度で使用されてもよい。なお、付勢用楔123及び/又はブレース101は、スタンドパイプと対向する任意の内部位置にシール、夕方又は遮蔽面、又は介在層を備えていてもよいし、台座パイプとの着座性、シール性及び/又は損傷低減を向上させる弾性、変形、又はバリア材等の介在層を有していてもよい。
【0025】
なお、付勢ハブ120は、複数サイズのスタンドパイプへの嵌合を許容するため、ブレース101は、カスタマイズされたサイジングや嵌合を必要とせず、1つの大きさで製作することができ、幾つかの異なるスタンドパイプを作業することができる。なお、連結ハブ110と同様に、付勢ハブ120は、連結ハブ110と、他のブレース101と、スタンドパイプの端部とを含む、実施例システム100の他の全ての作動要素と一体であってもよいし、単一の平面であってもよい。
【0026】
図6は、幾つかのスタンドパイプ41の間に設置されるタイバーの交換や補修システム100の一例を示す図である。また、設置方法の一例として、破損や不要なタイバー42を除去したり、スタンドパイプ41に溶接又は接合した小片に切断したりしてもよい。これらのタイバー42の残りの部分は、ブレース101が配置される面やリミッタとして利用されてもよいし、全く存在しなくてもよい。また、ブレース101 B等の初期ブレースを、着目するスタンドパイプ41上に降下させてもよい。例えば、中央基準スタンドパイプ41がある場合には、まず、複数の連結ハブ120を有するブレース101 Bを載置するようにしてもよい。そして、ブレース101 Bは、その付勢ハブを介して、その連結ハブの所望の向きに固定されていてもよいし、ブレース101 Bが将来の回転のためにルーズされていてもよい。
【0027】
そして、追加ブレース101 Aをブレース101 Bに対して固定するための所望のスタンドパイプ41に載置して、ブレース101 Bに連結バーを連結してもよい。なお、基準スタンドパイプ及びその上のブレース101 Bがロックされている場合には、ブレース101 Aを回動させることにより、他のスタンドパイプを追加ブレース101 Aを所望の位置に移動又は保持させてもよい。そして、付勢用ハブを介してブレース101をロックし、さらに相対運動を防止するためにリンクバーをかしめるようにしてもよい。このようなリンクバーと連結ハブとにより、ブレース101 Bに対してブレース101 Aを適切に回転させることにより、所望の位置決めを実現することができる。例えば、
図6に示すように、左ブレース101 A及びブレース101 Bと比較して、ブレース101 Bからの距離が小さくなるように、右ブレース101 Aが回転されている。このように、本実施の形態は、いずれの蒸気セパレータアセンブリにおいても、タイバーを必要とせずに、いずれの蒸気セパレータアセンブリにおいても、いずれのスタンドパイプ41にも適用することができる。このように、本実施形態のシステム100は、スタンドパイプ41の中で、差が異なるセパレータアセンブリであっても、セパレータアセンブリであっても適用することができる。
【0028】
実施例システム100は、放射性、溶融、脆化、及び/又は放射性微粒子の保持・吸着等の物性を実質的に変化させることなく、原子炉環境に対応した弾性材料を用いて作製することができる。例えば、オーステナイト系ステンレス鋼304、316、マルテンサイト系ステンレス鋼9 Cr-1 Mo、2.25 Cr-1 Mo、XM-19、ジルコニウム合金、ニッケル合金、合金600等の公知の幾つかの構成材料や、硬質プラスチック、弾性ゴム等の柔軟で強固な有機材料が挙げられる。また、接合構造や直接接触素子は、ファウリングを防止するために、異なる材料や相溶性材料を選択することができる。
【0029】
当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または置換例に想到し得ることは明らかである。例えば、1つの実施形態において、異なるスタンドパイプの数を任意に変更することができ、例えば、いくつかの異なる種類の原子炉設計に用いることができる。このような変形は、特許請求の範囲から逸脱するとは限らない。