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特許7312230チャンバーボックス、紫外光減衰部の配置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】チャンバーボックス、紫外光減衰部の配置構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/22 20210101AFI20230712BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230712BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20230712BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F24F8/22
A61L9/20
F24F3/16
F24F13/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021194073
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080630
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 仁
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3231577(JP,U)
【文献】特開2009-050582(JP,A)
【文献】特開2011-045810(JP,A)
【文献】実開平07-036263(JP,U)
【文献】特開2003-116973(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153353(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F24F 8/22
F24F 3/16
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を含む光を発する少なくとも1つの紫外光発光部と、
少なくとも1つの壁部であって、外部から内部を視認するための少なくとも1つの窓部を有する壁部と、
前記紫外光発光部と前記窓部との間に位置し、紫外域の波長の光の強度を減衰させる少なくとも1つの紫外光減衰部と、を備え
前記少なくとも1つの紫外光発光部は、ピーク波長が互いに異なる紫外光を含む光を発する第1の紫外光光源及び第2の紫外光光源を含み、
前記少なくとも1つの紫外光減衰部は、
前記第1の紫外光光源の光のうち第1の紫外域の波長の光を減衰させる第1の減衰体と、
前記第2の紫外光光源の光のうち前記第1の紫外域とは異なる第2の紫外域の波長の光を減衰させる第2の減衰体と、を含み、
前記第1の減衰体及び前記第2の減衰体は、重なって前記窓部に配置される、チャンバーボックス。
【請求項2】
前記第1の減衰体は、前記第1の紫外光光源の光に含まれる可視域の波長の光を透過し、
前記第2の減衰体は、前記第2の紫外光光源の光に含まれる可視域の波長の光を透過する、請求項に記載のチャンバーボックス。
【請求項3】
前記第1の減衰体は、ガラス材によって構成され、
前記第2の減衰体は、非ガラス材によって構成され、
前記第2の減衰体は、前記第1の減衰体よりも前記紫外光発光部から遠い位置に配置される、請求項に記載のチャンバーボックス。
【請求項4】
内部を空気が上流から下流に流動し、
前記第1の紫外光光源及び第2の紫外光光源は、空気の上下流方向に互いに離隔して配置され、
前記窓部は、長尺な形状を有し、前記窓部の長手方向が上下流方向である、請求項1に記載のチャンバーボックス。
【請求項5】
前記第1の紫外光光源及び第2の紫外光光源は、長尺で、上下流方向に対して垂直方向に延在することを特徴とする、請求項1に記載のチャンバーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ダクトなどに接続されるチャンバーボックス及び紫外光減衰部の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
のぞき穴を有する殺菌灯収容装置が知られている。のぞき穴は、カバー部の中央部に形成され、のぞき穴から殺菌灯の点灯状態を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3231577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殺菌灯は、主に紫外線を発する。紫外線が装置の外部に漏れて照射された場合には、周辺の装置などを劣化させたり、人体に影響を及ぼしたりする可能性が生ずる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、周辺の装置などを劣化させることなく、内部の状態を確認できるチャンバーボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるチャンバーボックスの特徴は、
紫外光を含む光を発する少なくとも1つの紫外光発光部と、
少なくとも1つの壁部であって、外部から内部を視認するための少なくとも1つの窓部を有する壁部と、
前記紫外光発光部と前記窓部との間に位置し、紫外域の波長の光の強度を減衰させる少なくとも1つの紫外光減衰部と、を備え
前記少なくとも1つの紫外光発光部は、ピーク波長が互いに異なる紫外光を含む光を発する第1の紫外光光源及び第2の紫外光光源を含み、
前記少なくとも1つの紫外光減衰部は、
前記第1の紫外光光源の光のうち第1の紫外域の波長の光を減衰させる第1の減衰体と、
前記第2の紫外光光源の光のうち前記第1の紫外域とは異なる第2の紫外域の波長の光を減衰させる第2の減衰体と、を含み、
前記第1の減衰体及び前記第2の減衰体は、重なって前記窓部に配置されることである。
【発明の効果】
【0007】
周辺の装置などを劣化させることなく、内部の状態を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態による空気清浄システム10の構成の概略を示す斜視図である。
図2図1における矢印A-A断面を示す断面図であり、第1の光学系の構成を示す断面図である。
図3図1における矢印B-B断面を示す断面図であり、第1の光学系の構成を示す断面図である。
図4】空気清浄化ユニット300の外観を示す斜視図である。
図5】空気清浄化ユニット300の構成を示す斜視図である。
図6図5に示す状態から後述する光触媒フィルタカセットを外したときの状態を示す斜視図である。
図7】光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
図8】前壁126に設けられた窓部400を示す断面図である。
図9】第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520が、窓部400に取り付けられた状態を示す断面図である。
図10】窓部400に取り付け可能な遮光体430を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態による空気清浄システム10の構成の概略を示す斜視図である。なお、図1では、空気清浄化ユニット300をかくれ線で示した。図2は、図1における矢印A-A断面を示す断面図である。図3は、図1における矢印B-B断面を示す断面図である。なお、図1図2及び図3では、明瞭及び簡便のため、空気清浄化ユニット300をかくれ線で示した。また、図2及び図3では、明瞭のため、フック132及び134並びにワイヤ136及び138を省略して示した。
【0010】
<<方向>>
<上流方向>
上流方向とは、空気などの流体の供給源に向かう方向である。例えば、上流方向は、空調機(空気調和機)などに向かう方向である。
【0011】
<下流方向>
下流方向とは、上流方向とは反対の方向であり、空気などの流体の供給先に向かう方向である。下流方向は、例えば、空気が供給される建物の部屋などに向かう方向である。
【0012】
<上下流方向>
上下流方向は、上流方向及び下流方向に沿った方向である。向きは問わず、上流方向及び下流方向に沿っていればよい。なお、上下流方向は、水平方向でも垂直方向でも、その他の任意の方向でもよい。
【0013】
<上方向、上側、上向きなど>
上方向は、後述する下方向と逆の方向であり、重力の方向と逆の方向である。
【0014】
<下方向、下側、下向きなど>
下方向は、重力の方向である。すなわち、下方向は、物体を吊り下げた糸の示す方向である。
【0015】
<上下方向>
上下方向は、上方向及び下方向に沿った方向である。向きは問わず、上方向及び下方向に沿っていればよい。
【0016】
<前方向、前側、手前側など>
前方向は、主に、メンテナンスや修理をする作業員の位置に向かう向きである。手前側、手前方向ともいう。前方向は、作業員が操作しやすい側に向かう方向である。
【0017】
<後方向、後側、奥側、奥行き側など>
後方向は、前方向と逆の方向であり、作業員の位置から離れる向きである。奥側、奥側方向、奥行き方向ともいう。後方向は、作業員が操作しにくい側に向かう方向である。
【0018】
<前後方向>
前後方向は、前方向及び後方向に沿った方向である。向きは問わず、前方向及び後方向に沿っていればよい。
【0019】
<<<<空気清浄システム10の構成>>>>
図1に示すように、空気清浄システム10は、チャンバーボックス100と、空調ダクト200と、空気清浄化ユニット300と、を含む。
【0020】
<<<空調ダクト200>>>
空調ダクト200は、建物などに備えられる空調システムを構成する部材である。空調システムは、例えば、戸建て住宅、マンション、商業設備向けの集中空調管理システム等のほか、航空機などの乗り物用の空調システム等もある。
【0021】
空調ダクト200は、一般に長尺な中空構造を有する。空調ダクト200には、空調機(空気調和機)(図示せず)が連結される。空調機は、冷却、暖房、加湿、除湿などの状態を調節した空気を排出する装置である。空調機から排出された空気は、空調ダクト200内を伝って、建物などの部屋などに供給される。すなわち、空調ダクト200の上流側に空調機が接続され、空調ダクト200の下流側に建物などの部屋が接続されて、空調機からの空気が、空調ダクト200によって上流から下流に向かって案内される。
【0022】
<<<チャンバーボックス100>>>
図1及び図2に示すように、チャンバーボックス100は、空調ダクト200の途中に配置される。チャンバーボックス100は、空調ダクト200の設置時にともに配置されても、既設されている空調ダクト200に、追加的に配置されてもよい。
【0023】
チャンバーボックス100は、略直方体状の形状を有する。チャンバーボックス100は、中空状の形状を有する。チャンバーボックス100は、好ましくは角筒状の形状を有する。なお、チャンバーボックス100は、円筒状の形状を有してもよい。
【0024】
チャンバーボックス100は、中空状であることにより、空気清浄化ユニット300を収容するための収容空間CSを確保できる。図1図3に示すように、空気清浄化ユニット300が、空調ダクト200によって形成される収容空間CSに収納される。
【0025】
チャンバーボックス100は、アルミやステンレスなどの薄い金属によって構成される。チャンバーボックス100は、プラスチックなどの樹脂や、ガラスなどによって構成されてもよい。チャンバーボックス100の材質は、強度や熱伝導や軽量化などを考慮して適宜に選択すればよい。
【0026】
<<6つの壁面>>
チャンバーボックス100は、6つの壁面を有する。具体的には、チャンバーボックス100は、上流壁112及び下流壁116と、上壁122、下壁124、前壁126及び後壁128と、を有する。
【0027】
<上流壁112、下流壁116>
上流壁112と下流壁116は、互いに向かい合って配置される。上流壁112と下流壁116は、薄板状の略四角状の形状を有する。上流壁112と下流壁116は、上流から下流に向かう方向に対して垂直な方向に沿った断面と一致する。
【0028】
上流壁112は、空調ダクト200の上流側に位置する。上流壁112は、上流連通口114を有する。上流壁112は、上流側に配置された空調ダクト200に接続される。空調機からの空気が、上流連通口114を介してチャンバーボックス100に流入する。
【0029】
下流壁116は、空調ダクト200の下流側に位置する。下流壁116は、下流連通口118を有する。下流壁116は、下流側に配置された空調ダクト200に接続される。チャンバーボックス100からの空気が、下流連通口118を介して、下流側の空調ダクト200に流出される。
【0030】
<上壁122、下壁124、前壁126、後壁128>
上壁122、下壁124、前壁126、後壁128は、薄板状の略四角状の形状を有する。上壁122と下壁124とが互いに向かい合って平行に配置される。前壁126と後壁128とが互いに向かい合って平行に配置される。上壁122、下壁124、前壁126、後壁128によって、略四角筒状の形状が画定される。
【0031】
上流壁112及び下流壁116と、上壁122、下壁124、前壁126及び後壁128とによって囲繞される空間により、中空状の収容空間CSが画定される。チャンバーボックス100の収容空間CSでは、空気が、主に上流から下流に流動する。
【0032】
<フック132、134及びワイヤ136、138>
上壁122の上流側の端部と下流側の端部との各々に、フック132、134が設けられている。例えば、フック132、134として、アイボルトなどを用いることができる。フック132には、ワイヤ136の下端部が着脱可能に接続され、フック134には、ワイヤ138の下端部が着脱可能に接続される。
【0033】
図1に示すように、チャンバーボックス100及び空調ダクト200は、一般に、天井裏や屋根裏や床下や壁裏などに形成された配置空間LSに配置される。チャンバーボックス100のワイヤ136の上端部及びワイヤ138の上端部は、配置空間LSの上面(図示せず)に係止されることができる。フック132、134及びワイヤ136、138によって、チャンバーボックス100を吊設することができる。なお、フック132、134及びワイヤ136、138に限られず、チャンバーボックス100を一定の位置に設けることができるものであればよい。
【0034】
後述するように、チャンバーボックス100内に空気清浄化ユニット300が取り付けられて重くなる場合がある。チャンバーボックス100が重くなった場合であっても、チャンバーボックス100を吊設することで、配置空間LSに安定して保持することができる。また、チャンバーボックス100を流れる空気の動作によって振動が生じた場合であっても、チャンバーボックス100を吊設することで、配置空間LSの一定の位置に安定して保持することができる。
【0035】
<後側開口158>
チャンバーボックス100は、後側開口158を有する。後側開口158は、後壁128に形成される。後述する空気清浄化ユニット300を、後側開口158を介してチャンバーボックス100に設けることができる。空気清浄化ユニット300は、ボルトなどの締結部材によってチャンバーボックス100に固定される。なお、メンテンナンスや修理の作業性を考慮して、前壁126などの前側に開口を設け(図示せず)、開口を介して空気清浄化ユニット300を後壁128に着脱可能に取り付けるように構成してもよい。
【0036】
なお、空気清浄化ユニット300のチャンバーボックス100への具体的な固定方法は、これに限定されない。例えば、補強部材(図示せず)を介して、空気清浄化ユニット300をチャンバーボックス100に固定してもよい。また、ボルト以外の締結部材やフックなどの係止部材などを用いて空気清浄化ユニット300をチャンバーボックス100に取り付けてもよい。
【0037】
<<チャンバーボックス100の他の態様>>
チャンバーボックス100の形状は、四角筒状だけでなく、円筒状でもよい。また、チャンバーボックス100の形状は、五角筒状や六角筒状などの多角筒状でもよい。
【0038】
チャンバーボックス100の外側表面を断熱部材(図示せず)で被覆してもよい。流動する空気の温度を変化させることなく上流から下流に案内できる。
【0039】
チャンバーボックス100の内側表面の凹凸を少なくして滑らかに形成してもよい。圧力損失を低下させて、円滑に空気を流動させることができる。
【0040】
<<<空気清浄化ユニット300>>>
図4は、空気清浄化ユニット300の外観を示す斜視図である。図5は、空気清浄化ユニット300の構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す状態から、後述する光触媒フィルタカセット340を外したときの状態を示す斜視図である。図7は、光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
【0041】
空気清浄化ユニット300は、光触媒フィルタカセット340と、触媒活性用光源350と、不活化用光源360と、を備える。
【0042】
<光触媒フィルタカセット340>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒を担持する光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタカセット340は、着脱可能にするためカセット状に形成されている。
【0043】
<触媒活性用光源350>
触媒活性用光源350は、紫外光を発する。触媒活性用光源350から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。光触媒フィルタ344の光触媒は、紫外光の照射により活性化する。光触媒フィルタ344の構成については後述する。
【0044】
<不活化用光源360>
不活化用光源360は、触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を発する。不活化用光源360から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を光触媒フィルタ344に照射することにより、細菌及びウィルスを不活化させる。
【0045】
また、空気清浄化ユニット300は、外板310と、フィルタ用ガイドレール320と、光源支持用フレーム330と、を備える。
【0046】
<外板310>
外板310は、矩形状の形状を有する。外板310は、フィルタ用ガイドレール320を保持したり、空気清浄化ユニット300を空調ダクト200に取り付けたりするための板である。
【0047】
<フィルタ用ガイドレール320>
フィルタ用ガイドレール320は、光触媒フィルタカセット340を着脱可能に支持するための部材である。フィルタ用ガイドレール320は、外板310の内面(空調ダクト200内に臨む面)から空調ダクト200内へと突出するように設けられる。
【0048】
<光源支持用フレーム330>
光源支持用フレーム330は、長尺な形状を有する。光源支持用フレーム330は、外板310の内面から空調ダクト200内へと突出するように設けられる。光源支持用フレーム330には、触媒活性用光源350又は不活化用光源360が設けられる。
【0049】
<光触媒フィルタ344>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタ344は、紫外線の照射により光触媒機能を発揮する光触媒を担持する。
【0050】
本実施の形態では、光触媒フィルタ344は、ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体の表面に、アパタイトや酸化チタン等を含有する光触媒が担持される構造を有する。
【0051】
フィルタ基体は、例えば、ステンレスやアルミニウム等からなる繊維状体を用いて構成された不織布、あるいは、ステンレスやアルミニウム等からなるエキスパンドメタル又はパンチングメタルにより構成される。ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体を用いることで、フィルタ基体の劣化を抑制し、メンテナンスの削減、交換頻度の削減が可能になる。
【0052】
光触媒の担持方法は、フィルタ基材表面への塗工による方法や、繊維状体基材を用いた場合には繊維状体内へ粒子状の光触媒を担持させる方法などがある。フィルタ基材表面へ担持させる方法は、触媒活性用光源350の発する紫外線を受けやすくできる点で好ましい。一方、繊維状体、メッシュやパンチングメタルを基材として担持させる方法は、空調ダクト200内を流れる空気との接触面積を大きくし、光触媒との接触時間を長くできる点で好ましい。
【0053】
本実施の形態では、光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344とフィルタ用フレーム342とを有する。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342により保持される。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342への保持によって、平坦な形状で延在する。なお、本実施の形態では、2つの光触媒フィルタカセット340を用いているが、光触媒フィルタカセット340の数は、これに限定されず、1つでも3つ以上でもよい。
【0054】
<光触媒フィルタカセット340の支持>
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う一対のフィルタ用ガイドレール320により着脱可能に支持される。
【0055】
フィルタ用ガイドレール320は、長尺な形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、先端側(突出端側(外板310から離れる側))と基端側(外板310側)とを有する。
【0056】
フィルタ用ガイドレール320は、断面が略U字状の形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、底溝部と、2つの側壁部とを有する。2つの側壁部は、底溝部を挟んで底溝部から突設され、互いに平行になって向かい合う。互いに離隔する2つの側壁部によって開口部が形成される。
【0057】
一対のフィルタ用ガイドレール320は、開口部が互いに向かい合い、底溝部が互いに離れるように配置される。
【0058】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340の各々に、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320が用いられる。
【0059】
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320に挟持されて保持される。互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320の先端側(突出端側)から基端側(外板310側)に向かって、光触媒フィルタカセット340の端部をフィルタ用ガイドレール320の開口部内にスライドさせ挿入する。このようにして、光触媒フィルタカセット340が、1対のフィルタ用ガイドレール320を介して外板310へと装着される。
【0060】
光触媒フィルタカセット340のフィルタ用フレーム342は、係止片346を有する。係止片346は、フィルタ用ガイドレール320と向かい合う側に向かって突出する。係止片346は、光触媒フィルタカセット340のスライド方向に対して垂直方向(すなわち、光触媒フィルタ344の法線方向に対して垂直な方向)に突出する。一方、フィルタ用ガイドレール320は、係止孔322を有する。
【0061】
光触媒フィルタカセット340がフィルタ用ガイドレール320に装着されると、光触媒フィルタカセット340の係止片346が、フィルタ用ガイドレール320の係止孔322に係止される。これにより、光触媒フィルタカセット340が、フィルタ用ガイドレール320の所定の位置に固定される。
【0062】
<触媒活性用光源350及び不活化用光源360>
触媒活性用光源350は、光触媒フィルタカセット340に紫外光を照射して光触媒を活性化させるための光源である。不活化用光源360は、細菌やウィルスを不活化させるための光源である。触媒活性用光源350と不活化用光源360とを共通化せずに別個に構成することで、光触媒を活性化することによる脱臭等の効果と、細菌やウィルスを不活化させる効果との両方を、十分に得ることが可能になる。特に、空調ダクト200は、通常の室内用空気清浄機等と比較すると、処理する空気量が多い。このため、脱臭や細菌等の不活化の効果を十分に得るベく、触媒活性用光源350と不活化用光源360とを別個に構成することが望ましい。
【0063】
触媒活性用光源350は、複数の発光ダイオード352を有する。複数の発光ダイオード352は、略直線状に配置される。不活化用光源360は、複数の発光ダイオード362を有する。複数の発光ダイオード362は、略直線状に配置される。触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して、触媒活性用光源350及び不活化用光源360のサイズを小さくできる。具体的には、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を薄く形成することができる。このようにすることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360によって、空調ダクト200内の空気抵抗が増加することを抑制することができる。このため、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を小さい(細い)空調ダクト200にも適用することができる。
【0064】
また、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して消費電力を抑えることができる。
【0065】
さらに、発光ダイオード352及び362は、寿命が長く、例えば、5年以上の発光ダイオード交換を必要としない。このため、年に1回程度の交換が必須となる紫外線ランプと比較すると、交換の手間やランニングコストを低減し、メンテナンス性も向上できる。特に、本実施の形態のように、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により、不活化用光源360を発光ダイオード362により、別個に構成することで、効果を非常に大きくできる。
【0066】
触媒活性用光源350を構成する発光ダイオード352として、波長360nm以上380nm以下の紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長365nmの紫外光を発する発光ダイオード352を触媒活性用光源350として用いた。
【0067】
不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、触媒活性用光源を構成する発光ダイオード352よりも短い波長の紫外光を照射するものを用いる。より具体的には、不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、波長250nm以上280nm以下の深紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長280nmの深紫外光を発する発光ダイオード362を不活化用光源360として用いた。
【0068】
図6に示すように、複数の発光ダイオード352が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、触媒活性用光源350を構成する。複数の発光ダイオード362が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、不活化用光源360を構成する。発光ダイオード352が配置される光源支持用フレーム330と発光ダイオード362が配置される光源支持用フレーム330とは、互いに平行に離隔して配置される。このため、複数の発光ダイオード352及び複数の発光ダイオード362は、全体としてマトリックス状(複数の格子の交点上)に配置される。
【0069】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340は、互いに離隔して向かい合って配置される。2つの光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344の間に、触媒活性用光源350及び不活化用光源360が配置される。
【0070】
図6及び図7に示すように、空気清浄化ユニット300は、合計で、4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360を有する。6本の光源支持用フレーム330が外板310に突設されている。6本の光源支持用フレーム330は、外板310から垂直に延出する。6本の光源支持用フレーム330は、互いに離隔して平行に配置される。4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360の各々は、光源支持用フレーム330に取り付けられる。
【0071】
2つの光触媒フィルタ344の各々に、2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360が対応付けられて配置される。光触媒フィルタ344の各々に対応する2個の触媒活性用光源350は、1個の不活化用光源360を挟んで平行に配置される。2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360から発せられる紫外線は、対応する光触媒フィルタ344に向かって進み照射される。
【0072】
触媒活性用光源350は、不活化用光源360よりも光触媒フィルタカセット340から遠い位置に配置される。これにより、比較的サイズの大きい光触媒フィルタ344に対しても、触媒活性用光源350からの紫外光を光触媒フィルタ344の全体に照射でき、光触媒の活性効果を十分に得ることができる。また、不活化用光源360は、触媒活性用光源350よりも光触媒フィルタカセット340から近い位置に配置される。これにより、不活化用光源360による細菌やウィルスの不活性効果も十分に得ることが可能になる。
【0073】
図7に示すように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360は、発せられる紫外光が内側(空調ダクト200内の中央側)から外側(空調ダクト200の内壁側)に向かうように設けられている。これにより、触媒活性用光源350及び不活化用光源360用の配線を、空気清浄化ユニット300の中央部に集めることができ、配線レイアウトを簡略化できる。ただし、これに限らず、外側(空調ダクト200の内壁側)から内側(空調ダクト200内の中央側)に向けて紫外光を発するように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を設けてもよい。この場合、空調ダクト200の内壁に紫外光が照射されにくくなるので、空調ダクト200の劣化を抑制することが可能になる。
【0074】
なお、本実施の形態では、光触媒フィルタ344の延在する面が、上流から下流に向かう空気の流れと平行になるように、光触媒フィルタ344を配置する場合について説明したが、光触媒フィルタ344の配置は、これに限られない。例えば、光触媒フィルタ344の延在する面が、空気の流れに対して垂直になるように、光触媒フィルタ344を配置してもよい。また、光触媒フィルタ344の延在する面が、空気の流れに対して所定の角度をなすように、光触媒フィルタ344を配置してもよい。
【0075】
図4に示すように、外板310の表側(空調ダクト200の外側に露出する面)には、ハンドル312が設けられている。作業者がハンドル312を把持して、空気清浄化ユニット300を空調ダクト200に着脱することができる。
【0076】
外板310の表側には、電源ジャック314が設けられている。電源ジャック314に、電源プラグ(図示せず)が差し込まれる。電源プラグは、電源供給装置(図示せず)から延びる電源コード(図示せず)の端部に設けられている。
【0077】
電源ジャック314の近傍には、通知用発光ダイオード316が設けられている。通知用発光ダイオード316は、電源供給の状態や、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の駆動の状態などを発光により通知する。
【0078】
<<<<窓部400>>>>
図8は、前壁126に設けられた窓部400を示す断面図である。なお、図8では、空気清浄化ユニット300との配置関係を示すために、窓部400を仮想線で示した。
【0079】
前壁126は、窓部400を有する。窓部400は、開口(貫通孔)である。作業者などは、窓部400を介してチャンバーボックス100の内部を視認できる。特に、窓部400を介して空気清浄化ユニット300の触媒活性用光源350(複数の発光ダイオード352)や不活化用光源360(複数の発光ダイオード362)の点灯状態を視認できる。すなわち、窓部400を介して空気清浄化ユニット300が正常に動作しているか否かを確認できる。
【0080】
窓部400は、前壁126だけでなく、下壁124、前壁126、後壁128のほか、上流壁112、下流壁116に設けてもよい。窓部400は、チャンバーボックス100の内部の確認作業が容易になる部位に設ければよい。
【0081】
窓部400は、長尺な長方形状の形状をする。窓部400の長手方向は、上下流方向である。図8に示すように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360は、上下流方向に分散して配置されている。具体的には、上側及び下側の各々に2つの触媒活性用光源350及び1つの不活化用光源360が配置されている。上側及び下側の各々において、上流側及び下流側の2か所に触媒活性用光源350が配置され、中央部の1か所に不活化用光源360が配置されている。窓部400の長手方向を上下流方向にすることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の全体の状態を、窓部400を介して視認できる。
【0082】
窓部400の形状、大きさ、位置などは、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置(分布)や大きさに応じて適宜に定めればよい。窓部400を介して、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の全体に亘って視認できるように構成することで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の動作状態を的確に視認できる。
【0083】
<<触媒活性用光源350及び不活化用光源360の波長域>>
前述した触媒活性用光源350を構成する発光ダイオード352は、主に、波長360nm以上380nm以下の波長域の紫外光(UV-A)を発する。紫外光(UV-A)は、ピーク波長365nmを有する。発光ダイオード352は、可視域の波長の光も発する。
【0084】
前述した不活化用光源360を構成する発光ダイオード362は、主に、波長250nm以上280nm以下の波長域の紫外光(UV-C)を発する。紫外光(UV-C)は、ピーク波長280nmを有する。発光ダイオード362は、可視域の波長の光も発する。
【0085】
<<<<紫外光遮断体500>>>>
紫外光遮断体500が窓部400に取り付けられる。紫外光遮断体500は、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520を有する。
【0086】
<<第1の紫外光遮断体510>>
第1の紫外光遮断体510は、青板ガラスによって構成される。第1の紫外光遮断体510は、ガラスで形成されている。第1の紫外光遮断体510は、所定の厚さを有する板状の形状を有する。第1の紫外光遮断体510は、ガラスで形成されており、第2の紫外光遮断体520よりも高い剛性を有する。
【0087】
第1の紫外光遮断体510は、主に、不活化用光源360から発せられた紫外光(UV-C)を減衰させる。具体的には、第1の紫外光遮断体510は、300nm以下の光を減衰させる。特に、第1の紫外光遮断体510は、300nm以下の光を遮断するのが好ましい。すなわち、第1の紫外光遮断体510は、300nm以下の光を透過させないのが好ましい。
【0088】
第1の紫外光遮断体510は、可視光域の波長の光を透過させる。すなわち、第1の紫外光遮断体510は、不活化用光源360から発せられた光に含まれる可視光域の波長の光を透過させる。
【0089】
なお、第1の紫外光遮断体510は、300nm以下の光を透過させない光学素子であれば、青板ガラスには限られない。第1の紫外光遮断体510は、300nm以下の光を可視光に変換する光学素子など、可視光のみを発する光学素子であればよい。さらに、第1の紫外光遮断体510は、紫外光に対する耐久性を有する光学素子であればよい。
【0090】
<<第2の紫外光遮断体520>>
第2の紫外光遮断体520は、紫外線透過防止フィルムによって構成される。第2の紫外光遮断体520は、樹脂などで形成されている。第2の紫外光遮断体520は、所定の厚さを有するフィルム状の形状を有する。第2の紫外光遮断体520は、可撓性を有する。第2の紫外光遮断体520は、第1の紫外光遮断体510よりも変形しやすい。
【0091】
第2の紫外光遮断体520は、主に、触媒活性用光源350から発せられた紫外光(UV-A)を減衰させる。具体的には、第2の紫外光遮断体520は、400nm以下の光を減衰させる。特に、第2の紫外光遮断体520は、400nm以下の光を遮断するのが好ましい。すなわち、第2の紫外光遮断体520は、400nm以下の光を透過させないのが好ましい。
【0092】
第2の紫外光遮断体520は、可視光域の波長の光を透過させる。すなわち、第2の紫外光遮断体520は、触媒活性用光源350から発せられた光に含まれる可視光域の波長の光を透過させる。
【0093】
なお、第2の紫外光遮断体520は、400nm以下の光を透過させない光学素子であれば、紫外線透過防止フィルムには限られない。第2の紫外光遮断体520は、400nm以下の光を可視光に変換する光学素子など、可視光のみを発する光学素子であればよい。さらに、第2の紫外光遮断体520は、紫外光に対する耐久性を有する光学素子であればよい。
【0094】
<紫外光遮断体500の構成>
図9は、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520が、窓部400に取り付けられた状態を示す断面図である。
【0095】
第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520は、重畳して、窓部400の全面を覆って配置される。具体的には、第1の紫外光遮断体510の上に、第2の紫外光遮断体520が貼付されて一体化されている。第1の紫外光遮断体510に第2の紫外光遮断体520を貼付することで、第2の紫外光遮断体520を一定の形状に保つことができる。第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520を一体にすることで、窓部400への取り付け作業を簡便にすることができる。
【0096】
<<<<遮光体430>>>>
図10は、窓部400に取り付け可能な遮光体430を示す断面図である。なお、図10では、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520は、前壁126の内側に設けられている。窓部400の全面は、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520によって覆われる。
【0097】
遮光体430は、窓部400用の蓋体である。遮光体430は、所定の厚さを有する板状の形状を有する。遮光体430は、窓部400の大きさに応じた大きさを有する。
【0098】
遮光体430は、可視光を含めて、広範な波長域の光を遮断する。遮光体430は、アルミやステンレスなどの金属から構成される。遮光体430は、光を遮断する材料であれば、プラスチックなどの樹脂で構成されてもよい。遮光体430は、剛性の高いものが好ましい。第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520を的確に保護できる。
【0099】
遮光体430は、窓部400に着脱可能に取り付けることができる。チャンバーボックス100の内部を確認する必要がない場合には、遮光体430は窓部400に取り付けられる。遮光体430は窓部400に嵌合できる。遮光体430が窓部400に取り付けられたときには、遮光体430は、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520を覆う。第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520は、遮光体430によって保護されることができる。
【0100】
また、前述したように、遮光体430は、広範な波長域の光を遮断することができる。第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520が経時的に劣化したような場合でも、光が外部に漏れることを防止できる。
【0101】
<<<<その他の構成>>>>
<保護ガラス>
第2の紫外光遮断体520を外部から保護する保護ガラス(図示せず)を設けてもよい。保護ガラスは、可視域の波長の光を透過させる。保護ガラスを設けることで、チャンバーボックス100の外部から工具や他の装置などの部材の接触によって第2の紫外光遮断体520を傷つけたり破損させたりすることを防止できる。
【0102】
<光ファイバなどの導光部材>
光ファイバなどの各種の導光部材を用いて、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520から発せられた光を第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520に案内してもよい。チャンバーボックス100の内部に設けられている各種の部材などに妨げられることなく、第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520から発せられた光を窓部400に的確に導くことができる。視認性を高めることができる。
【0103】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【0104】
(発明の実施態様)
<<第1の実施態様>>
第1の実施態様によれば、
紫外光を含む光を発する少なくとも1つの紫外光発光部(例えば、前述した触媒活性用光源350及び不活化用光源360など)と、
少なくとも1つの壁部であって、外部から内部を視認するための少なくとも1つの窓部(例えば、前述した窓部400など)を有する壁部(例えば、前述した前壁126、下壁124、前壁126、後壁128、上流壁112、下流壁116など)と、
前記紫外光発光部と前記窓部との間に位置し、紫外域の波長の光の強度を減衰させる少なくとも1つの紫外光減衰部(例えば、前述した第1の紫外光遮断体510及び第2の紫外光遮断体520など)と、を備えるチャンバーボックスが提供される。
【0105】
チャンバーボックスは、少なくとも1つの紫外光発光部と、壁部と、少なくとも1つの紫外光減衰部とを備える。
【0106】
少なくとも1つの紫外光発光部は、紫外光を含む光を発する。具体的には、少なくとも1つの紫外光発光部は、紫外光域の波長の光と、可視光域の波長の光とを発する。
【0107】
壁部は、少なくとも1つの窓部を有する。窓部は、チャンバーボックスの外部から内部を視認するための領域である。窓部は、例えば、開口(貫通孔)などにできる。
【0108】
なお、少なくとも1つの壁部の例として、以下のものが含まれる。チャンバーボックスが、球体、楕円体、長球などで形成されている場合には、少なくとも1つの壁部は、単一(1つ)の壁部となる。チャンバーボックスが、円錘体などで形成されている場合には、少なくとも1つの壁部は、1つの側面と1つの底面との2つの壁部となる。チャンバーボックスが、円筒や楕円筒などで形成されている場合には、少なくとも1つの壁部は、1つの側面と2つの底面との3つの壁部となる。
【0109】
少なくとも1つの紫外光減衰部は、紫外光発光部と窓部との間に位置する。少なくとも1つの紫外光減衰部の位置は、紫外光発光部と窓部との間ならば、所望する任意の位置にすることができる。少なくとも1つの紫外光減衰部の位置は、窓部に近い位置が好ましい。紫外光減衰部を窓部に近づけることで、紫外光発光部から発せられた光の反射光などの迷光が窓部に到達することを防止できる。
【0110】
少なくとも1つの紫外光減衰部は、紫外域の波長の光の強度を減衰させる。特に、少なくとも1つの紫外光減衰部は、紫外域の波長の光を遮断するのが好ましい。なお、遮断は、減衰の一種の態様であり、紫外域の波長の光の強度を十分に減衰できれば、遮断に含まれる。十分に減衰とは、部材などを劣化させにくい程度の強度であればよい。例えば、太陽光に含まれる紫外線の強度程度に減衰できればよい。
【0111】
少なくとも1つの紫外光減衰部によって、紫外域の波長の光の強度を減衰させるので、窓部を介して紫外光が外部に漏れないようにして、周辺の装置などを劣化させることを防止できる。
【0112】
また、少なくとも1つの紫外光減衰部は、紫外線を遮蔽する遮蔽板又は紫外線の強度を減衰させる減衰板などで構成できる。
【0113】
開口は、紫外光発光部の配置や数に応じた大きさ及び形状を有する。開口は、紫外光発光部の配置や数に応じた位置に配置される。このようにすることで、全ての紫外光発光部の状態を視認して確認することができる。
【0114】
開口は、壁面のいずれか1つに有する。チャンバーボックスが設置される空間などの設置条件に応じて、視認しやすい位置に開口を設けることができる。
【0115】
<<第2の実施態様>>
第2の実施態様は、第1の実施態様において、
前記少なくとも1つの紫外光発光部は、ピーク波長が互いに異なる紫外光を含む光を発する第1の紫外光光源(例えば、前述した触媒活性用光源350など)及び第2の紫外光光源(例えば、前述した不活化用光源360など)を含み、
前記少なくとも1つの紫外光減衰部は、
前記第1の紫外光光源の光のうち第1の紫外域の波長の光を減衰させる第1の減衰体(例えば、前述した第2の紫外光遮断体520など)と、
前記第2の紫外光光源の光のうち前記第1の紫外域とは異なる第2の紫外域の波長の光を減衰させる第2の減衰体(例えば、前述した第1の紫外光遮断体510など)と、を含む。
【0116】
ピーク波長が互いに異なる複数の紫外光光源を用いた場合でも、対応する減衰体を用いることにより、的確に紫外光を遮断したり減衰させたりすることができる。
【0117】
<<第3の実施態様>>
第3の実施態様は、第2の実施態様において、
前記第1の減衰体は、前記第1の紫外光光源の光に含まれる可視域の波長の光を透過し、
前記第2の減衰体は、前記第2の紫外光光源の光に含まれる可視域の波長の光を透過する。
【0118】
第1の紫外光光源や第2の紫外光光源から発せられる可視域の波長の光を用いることにより、第1の紫外光光源の点灯状態及び第2の紫外光光源の点灯状態を視認できる。
【0119】
<<第4の実施態様>>
第4の実施態様は、第2の実施態様において、
前記第1の減衰体及び前記第2の減衰体は、重なって前記窓部に配置される。
【0120】
第1の減衰体と第2の減衰体とを重ねて設けることで、窓部を共用でき、構成を簡素にでき、的確かつ簡便に紫外光を遮断又は減衰することができる。
【0121】
なお、窓部は、着脱可能な遮光体(例えば、前述した遮光体430など)をさらに有するのが好ましい。使用しない場合(視認する必要がない場合)には、窓部を的確に閉塞できる。
【0122】
<<第5の実施態様>>
第5の実施態様は、第3の実施態様において、
前記第1の減衰体は、ガラス材によって構成され、
前記第2の減衰体は、非ガラス材によって構成され、
前記第2の減衰体は、前記第1の減衰体よりも前記紫外光発光部から遠い位置に配置される。
【0123】
非ガラス部材で構成された第2の減衰体は、ガラス部材で構成された第1の減衰体によって覆われる。このため、第2の減衰体に紫外光が直接に照射されることがなく、第2の減衰体の劣化を防止できる。すなわち、第1の減衰体は、第2の減衰体の保護体として機能させることができる。
【0124】
なお、紫外光の波長域に応じていれば、第2の減衰体もガラス材によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 空気清浄システム
100 チャンバーボックス
200 空調ダクト
300 空気清浄化ユニット
400 窓部
500 紫外光遮断体
510 第1の紫外光遮断体
520 第2の紫外光遮断体
CS 収容空間
LS 配置空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10