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特許73122713Dコネクタ構造、3Dコネクタ構造を形成する方法及び温度センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】3Dコネクタ構造、3Dコネクタ構造を形成する方法及び温度センサ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20230712BHJP
   B22F 7/08 20060101ALI20230712BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230712BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20230712BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20230712BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20230712BHJP
【FI】
H01R4/02 C
B22F7/08 E
B22F1/00 M
B22F1/00 T
H01R43/02 B
G01K1/08 N
B22F10/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021558721
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020055701
(87)【国際公開番号】W WO2020200613
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】19166472.1
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516311238
【氏名又は名称】ヘレウス ネクセンソス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス ムツィオール
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブライフース
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ ビーナント
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ヤージン キリク バイトゥラー
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152271(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01447846(EP,A2)
【文献】特開2015-162370(JP,A)
【文献】特開2008-117828(JP,A)
【文献】特開平8-51260(JP,A)
【文献】特開平11-121061(JP,A)
【文献】特開2011-40254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00-4/22
H01R 43/02
H01R 12/00,12/50-12/91
H01R 24/00-24/86
B22F 7/08
B22F 1/00
G01K 1/08
B22F 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの平面的な電極(15)を少なくとも1つの接続ワイヤ(16)と電気的に結合するための3Dコネクタ構造(10)において、
3Dコネクタ構造(10)が、少なくとも2つの互いに空間的に分離されたコネクタ(20)を有し、コネクタ(20)がそれぞれ電気的に導通する材料、第1の側(21)及び第2の側(22)を有し、各コネクタ(20)の第2の側(22)が電気的な接続部材(30)と結合され、あるいは結合可能であり、各コネクタ(20)の第1の側(21)と第2の側(22)の間に、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔(A)が形成されている、ことを特徴とする3Dコネクタ構造(10)。
【請求項2】
少なくとも1つのコネクタ(20)が、ウェブ(26)及び/又は柱(27)及び/又は薄板(28)として形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項3】
電気的な接続部材(30)が、平面的な電極(15)及び/又は、好ましくは焼結ペーストから形成された、接続パッド(25)である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項4】
コネクタ(20)の第1の側(21)が、共通の平面(E)を形成し、かつ、電気的に導通する材料からなる少なくとも1つのブリッジ(40)及び/又は接続ワイヤ(16)と結合されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項5】
コネクタ(20)とブリッジ(40)が一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項6】
ブリッジ(40)が、接続ワイヤ(16)と結合するために接触領域(43、51)を有し、前記接触領域が好ましくは接続ワイヤ(16)を固定するための収容部(60)として形成されており、収容部(60)が好ましくは通路(66)及び/又はスリーブ(61)及び/又は溝(68)として形成されている、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項7】
ブリッジ(40)が電気的に導通する延長部(50)を有し、前記延長部がコネクタ(20)の領域を越えて張り出し、かつ接続ワイヤ(16)と接触するためのセクション(51)を有している、ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項8】
各コネクタ(20)が第2の側(22)に、少なくとも1つの電気的な接続部材(30)と接触するための接触面を有しており、各接触面が100μm2から0.5mm2、特に300μm2から0.1mm2、特に1、000μm2から50、000μm2の大きさである、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項9】
少なくとも1つのコネクタ(20)の電気的に導通する材料が、高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有している、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの平面的な電極(15)及び/又は接続パッド(25)が、貴金属、特に白金を有し、平面的な電極(15)の貴金属の割合が、好ましくは少なくとも20重量%、特に少なくとも40重量%、特に少なくとも70重量%である、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項11】
少なくとも1つの接続ワイヤ(16)が、高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有し、接続ワイヤ(16)の直径が好ましくは100μmから800μm、特に200μmから500μm、特に250μmから350μmである、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)。
【請求項12】
少なくとも1つの平面的な電極(15)を少なくとも1つの接続ワイヤ(16)と電気的に結合するための3Dコネクタ構造(10)、特に請求項1から11のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)を形成するための方法において、
積層造形法を用いて少なくとも2つの空間的に互いに分離された、電気的に導通する材料からなるコネクタ(20)が形成され、コネクタ(20)がそれぞれ第1の側(21)と第2の側(22)を有し、かつ各コネクタ(20)の第1の側(21)と第2の側(22)の間に、材料塗布によって、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔(A)が形成される、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
コネクタ(20)が、電気的な接続部材(30)上に設けられる、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
積層造形法を用いてコネクタ(20)の第1の側(21)上に、電気的に導通する材料からなるブリッジ(40)が設けられ、接続ワイヤ(16)と結合するために用いられる接触領域(43、51)が形成される、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
接続ワイヤ(16)が、コネクタ(20)の第1の側(21)及び/又はブリッジ(40)と、好ましくはレーザー溶接によって、結合される、ことを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コネクタ(20)及び/又はブリッジ(40)が、高温合金材料、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有する粉末から形成される、ことを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から11のいずれか1項に記載の3Dコネクタ構造(10)を有し、かつ/又は請求項12から16のいずれか1項に記載の方法に基づいて形成される、温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するための3Dコネクタ構造に関する。さらに本発明は、3Dコネクタ構造を形成する方法及び3Dコネクタ構造を有する温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、白金ベースのセンサ構造の接続パッドと接続導線の間に、熱圧着又は超音波のような既知の結合方法を用いて電気的な結合を形成することが、知られている。特許文献1には、たとえばこの種の結合が開示されている。
【0003】
図1に図式的に示すように、セラミック基板1の上側に白金薄層構造2が塗布されている。白金薄層構造2は、蛇行して形成されており、その端部に2つの電極を有している。これらの電極は、たとえば打ち抜き孔を有している。電極は、少なくとも部分的にスクリーン印刷ペースト3でコーティングされている。スクリーン印刷ペースト3は、貴金属の他にガラスフリットも含んでおり、それによってペーストと、打ち抜き孔を通して露出するセラミック基板1及び白金薄層構造2との良好な結合が可能になる。このように構築された電極パッドは、1つより多いスクリーン印刷層からなるものであってもよい。
【0004】
スクリーン印刷ペースト3の焼き付け後に、焼き付けられたスクリーン印刷ペースト3上に貴金属を含む接続ワイヤ4が溶接される。これに関して、溶接点5が示されている。これに関して既知の溶接方法は、ギャップ溶接である。この場合において二重電極が接続ワイヤ4上にプレスされて、電圧が印加される。接続ワイヤ4とその下にあるスクリーン印刷ペースト3を通って流れる電流が、スクリーン印刷ペースト3もしくは形成された電極パッドと接続ワイヤ4との間の接触箇所において複合体を溶融する。堅固な金属結合が生じる。
【0005】
スクリーン印刷ペースト3内と接続ワイヤ4内で使用される貴金属の類似性に起因して、2つの成分の熱膨張係数も同様に似ている。それに応じて、形成された電極パッドと接続ワイヤ4の間の結合は、たとえば内燃機関の排ガスシステム内を支配するような、温度変動が激しい場合でも、安定している。
【0006】
好ましくは白金から形成されている、図示される接続ワイヤ4は、ワイヤ延長部を有することができる。そのために、接続ワイヤ4に他の溶接点6を用いてワイヤ延長部7が取り付けられている。このワイヤ延長部7は、たとえばニッケル合金から形成することができる。
【0007】
温度センサの既知の構造及びそれと結びついた形成の欠点は、特にそのために必要な構造全体における貴金属の材料割合に見られる。スクリーン印刷ペースト3内と接続ワイヤ4内の貴金属の割合は、きわめて高い。貴金属の高いコストが、製造される温度センサのコスト全体を本質的に定める。したがって、平面的な電極と接続ワイヤの間の電気的結合のための材料コストを削減するための解決を求めることが必要である。
【0008】
貴金属接続ワイヤ、たとえば白金接続ワイヤを、白金によってコーティングされたNiCrワイヤに代える解決が知られている。もちろんこの種のワイヤの形成は、きわめて複雑であるので、これに関しては、製造される温度センサに関するコスト節約は達成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第2615473号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したことに基づいて、本発明の課題は、一方で、高い温度環境、たとえば排ガスシステムの温度環境内の要請を満たし、他方では貴金属の割合に関して改良された、少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するためのコネクタ構造を提供することである。本発明に係るコネクタ構造に関連する貴金属の割合は、著しく削減されなければならない。
【0011】
さらに本発明の課題は、少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するための3Dコネクタ構造を形成する、さらに発展した方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、さらに発展した温度センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この課題は、3Dコネクタ構造に関しては請求項1の発明の対象によって、3Dコネクタ構造を形成する方法に関しては、特許請求項12の発明の対象によって、そして温度センサに関しては、特許請求項17の発明の対象によって、解決される。
【0013】
本発明は、少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するための3Dコネクタ構造を提供する考えに基づいており、本発明によれば、3Dコネクタ構造は、少なくとも2つの空間的に互いに分離されたコネクタを有しており、コネクタがそれぞれ電気的に導通する材料と、第1の側及び第2の側とを有し、各コネクタの第2の側が電気的な接続部材と結合され、あるいは結合可能であって、各コネクタの第1の側と第2の側の間に、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔が形成されている。
【0014】
3Dコネクタ構造と見なされるのは、特に3次元で形成されているコネクタ構造である。したがってコネクタ構造は、平面的なバンド又は平面的なシートの意味で考えられるような、平面的に形成されているだけではない。むしろ、3Dコネクタ構造は、3つすべての方向において、すなわち長さと幅に関しても、高さに関しても、しかるべき寸法を有している。
【0015】
3Dもしくは3次元のコネクタ構造と見なされるのは、複数のコネクタを有するコネクタ構造である。コネクタは、小脚もしくは接触小脚と称することもできる。したがって3Dコネクタ構造は、空間的に互いに分離された、少なくとも2つのコネクタを有している。各コネクタは、第1の側と第2の側を有する。これら2つの側は、好ましくはコネクタの側であって、互いにもっとも遠く離隔した側である。コネクタの第1の側は、上側と称することができる。コネクタの第2の側は、コネクタの下側と称することができる。「上(above)」と「下(below)」に関する方向づけは、特に接触した状態において明らかである。その場合にこの種の方向づけが理解され、それによれば、接触すべき少なくとも1つの平面的な電極を有する基板は、載置平面上に水平に載置されている。
【0016】
各コネクタの第1の側と第2の側の間には、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔が形成されている。各コネクタの2つの側の間の間隔は、2つの側の間の材料塗布により、もしくは2つの側の間の材料充填によって形成される。コネクタの間の上述した間隔は、特に2つの側の間の空隙に相当する間隔と考えるべきではない。
【0017】
少なくとも1つのコネクタは、ウェブ及び/又は柱及び/又は薄板として形成することができる。好ましくはすべてのコネクタは、同じように形成されている。さらに、コネクタが異なるように形成されること、及びコネクタの複数の形成、すなわち本発明に係る3Dコネクタ構造における様々なコネクタ形態が形成されることが、可能である。
【0018】
電気的な接続部材は、平面的な電極及び/又は接続パッド及び/又は平面的な電極のセクションとすることができる。接続パッドは、好ましくは焼結ペーストから形成された接続パッドである。好ましくは焼結ペーストからなる接続パッドは、スクリーン印刷方法を用いて形成される。スクリーン印刷ペーストは、貴金属の他にガラスフリットも有することができる。本発明の可能な実施形態において、3Dコネクタ構造は、電気的な接続部材を含むことができる。言い換えると、電気的な接続部材、特に接続パッドは3Dコネクタ構造の一部として形成することができる。
【0019】
本発明の実施形態において、コネクタの第1の側が共通の平面を形成し、かつ、電気的に導通する材料からなる少なくとも1つのブリッジ及び/又は接続ワイヤと結合されることが、可能である。
【0020】
言い換えると、コネクタの第1の側が、結合すべき接続ワイヤと直接結合されることが、可能である。代替的に、コネクタの第1の側が少なくとも1つのブリッジと結合されることが、可能である。ブリッジの形成は、3Dコネクタ構造を独立した半製品として、特に簡単に取り扱い、移送し、かつ形成することができる、という利点を有する。
【0021】
本発明において、少なくとも2つのコネクタは弾性変位する補償部材として形成されている。弾性変位する補償部材は、接続ワイヤと、電気的に結合すべき平面的な電極との間で作用する。これが、一方で、少なくとも1つの接続ワイヤと少なくとも1つの平面的な電極との間の柔軟性が保証され、かつ他方では、安定した機械的結合が形成されることを、可能にする。
【0022】
本発明に係る3Dコネクタ構造によって、接続ワイヤと平面的な電極との間に比較的大きい、つながり合った接触領域を形成することができる。特に接続パッドによって提供される接続面積は、本発明に係る3Dコネクタ構造により最大限に利用することができる。接続パッドの大きさを、これまで知られていた接続パッドの大きさに関して、最小限に抑えることが可能である。
【0023】
ブリッジの電気的に導通する材料は、特に高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(AluChrom)(1.4767)である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、コネクタとブリッジが一体的に、すなわち特に一部材及び/又はモノリシックに形成されることが、可能である。コネクタとブリッジが、単一の製造ステップで形成されることが、可能である。
【0025】
複数の、特に細長い、コネクタの形成及び/又はブリッジの形成によって、本発明に係る3Dコネクタ構造を用いて、形成すべき構成部分、特に温度センサの全体構造が、接続ワイヤを構成部分と結合する際に保護される。基板及びその上に配置された電極構造は、結合の際に生じる温度作用(溶接温度)から保護される。というのは、コネクタ及び/又はブリッジは、基板/電極構造に対してしかるべき間隔を形成するからである。
【0026】
3Dコネクタ構造のブリッジは、接続ワイヤと結合するために接触領域を有することができ、その接触領域は、好ましくは少なくとも1つの接続ワイヤを固定するための収容部として形成されている。収容部は、好ましくは通路及び/又はスリーブ及び/又は溝として形成されている。この種の収容部内へ、少なくとも1つの接続ワイヤを挿入することができる。付加的に、ブリッジと接続ワイヤの間に材料結合及び/又は形状結合を設けることができる。
【0027】
本発明の他の実施形態において、ブリッジが電気的に導通する延長部を有し、その延長部がコネクタの領域を越えて張り出し、かつ接続ワイヤと接触するためのセクションを有することが、可能である。好ましくは、延長部はブリッジと同じ電気的に導通する材料を有し、特にそれからなる。この延長部は、追加的な形成を用いてブリッジと共に1つの方法ステップにおいて形成することができる。この種の延長部を用いて、少なくとも1つの接続ワイヤの接触点は、電気的な接続部材の外部の領域内に、特に接続パッドの外部に位置することができる。これが、構成部分の次の接触を容易にする。
【0028】
空間的に互いに分離された複数のコネクタを有する3Dコネクタ構造の本発明に係る形成に基づいて、コネクタは平面的な電極及び/又は接続パッドと、きわめて小さい領域内でのみ、すなわち比較的小さい面積上で、互いに結合されている。この目的のために、各コネクタは第2の側に、言い換えると、下側に、少なくとも1つの電気的接続部材と接触するための接触面を有しており、各接触面は100μm2から0.5mm2、好ましくは300μm2から0.1mm2、特に1,000μm2から50,000μm2の大きさである。
【0029】
各コネクタの接触領域、すなわち第2の側の接触面、が小さくなるほど、温度が変化した際にコネクタの第2の側と電気的な接続部材との間の接触領域内に破断が生じる確率が、それだけ低くなる。これは特に、電気的な接続部材とコネクタのための材料が互いに著しく異なる熱的な膨張係数を有する場合に、言えることである。
【0030】
少なくとも1つのコネクタの電気的に導通する材料は、好ましくは高温合金を有する。特に好ましくは電気的に導通する材料は、合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有している。
【0031】
少なくとも1つの平面的な電極及び/又は接続パッドは、好ましくは貴金属、特に白金を有している。平面的な電極の貴金属の割合は、好ましくは少なくとも20重量%、特に少なくとも40重量%、特に少なくとも70重量%である。
【0032】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの接続ワイヤが高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有している。
【0033】
少なくとも1つのコネクタ及び/又は少なくとも1つのブリッジを形成するために使用される材料は、好ましくは金属粉末である。
【0034】
適切な金属粉末は、たとえば、以下の表に記載されるような、高温合金から形成されている:




【0035】
【表1】
【0036】
接続ワイヤの直径は、好ましくは100μmから800μm、特に200μmから500μm、特に250μmから350μmである。
【0037】
3Dコネクタ構造の本発明に係る形成により、貴金属を含む接続ワイヤを完全に省くことが、可能である。これは、本発明に係る3Dコネクタ構造の材料に関しても、言えることである。これに関連して、貴金属材料を完全に省くことも可能である。
【0038】
本発明の他の視点は、少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するための3Dコネクタ構造を形成する方法に関する。
【0039】
本発明に係る方法は、特に本発明に係る3Dコネクタ構造を形成するのに適している。
【0040】
本発明によれば、積層造形法を用いて、少なくとも2つの空間的に互いに分離された、電気的に導通する材料からなるコネクタが形成され、コネクタはそれぞれ第1の側と第2の側を有し、各コネクタの第1の側と第2の側の間に、材料塗布によって少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔が形成される。
【0041】
3Dコネクタ構造を形成する方法の間、電気的な接続部材上にコネクタが設けられることが、可能である。
【0042】
したがってそれぞれのコネクタの2つの側の間に本発明により形成される間隔は、材料塗布によって形成される。したがって2つの側の間の間隔は、コネクタの2つの側の間に形成される、コネクタの材料厚に相当する。
【0043】
本発明の特に好ましい実施形態において、積層造形法は、3Dプリント方法である。3Dプリント方法は、好ましくは材料が粉末として、あるいは溶液として層をなして塗布されて、塗布後に、高エネルギの放射によって、形成すべき構成部分が適切に固化された材料を有すべき箇所において、局所的に結合される、積層造形法である。粉末又は溶液の結合は、局所的な溶融プロセス、焼結プロセスあるいは架橋化プロセスを介して行うことができる。高エネルギの放射は、たとえばレーザー、電子ビームによって、あるいは合焦されたUV放射を介して調達することができる。この種の形成方法に基づいて、少なくとも1つの接続ワイヤ用の、及び平面的な電極用の、特に接続パッド用の材料に関して、様々な材料の組合せを使用することが、可能である。
【0044】
本発明に係る方法に基づいて、たとえば、3Dコネクタ構造を製造するために高温合金を使用することが可能であって、その高温合金は貴金属よりもコスト的にずっと好ましく、さらに硬度、低い熱伝導性及び接着性に関してよりよい特性を有している。
【0045】
本発明の他の実施形態において、コネクタの第1の側上に、電気的に導通する材料からなるブリッジを塗布することができる。ブリッジのこの塗布もしくは形成は、ここでも積層造形法を用いて行うことができる。ブリッジ上に、特に接触領域が形成され、その接触領域は少なくとも1つの接続ワイヤと結合するために用いられる。接触領域は、ここにおいても、収容部を有することができ、その収容部は、好ましくはスリーブかつ/又は通路かつ/又は溝として形成されている。この種の収容部の製造は、本発明に係る追加的な製造方法によって簡略化される。
【0046】
少なくとも1つの接続ワイヤは、コネクタの第1の側と、かつ/又はブリッジと、結合される。好ましくはこの結合は、レーザー溶接方法を用いて行われる。
【0047】
好ましくは、コネクタは、電気的な接続部材上に、特に接続パッド上に、直接的に塗布されて形成される。本発明に係る積層造形法を適用する場合に、製造温度、特にレーザー出力は、まず粉末粒子の良好な結合、そして接続パッドへのコネクタの良好な結合が形成されるように、調節されるべきである。もちろん製造温度、特にレーザー出力は、電気的な接続部材の材料、特に接続パッドの焼結ペースト材料が損傷されないように、調節されなければならない。
【0048】
コネクタ及び/又はブリッジを形成する際に使用される粉末は、好ましくは20μmまでの粒度分布を有している。粉末材料を焼結するために、好ましくは、たとえば100ワットのエネルギを有するレーザーが使用される。レーザー収束点は、好ましくは20μmよりも小さい。
【0049】
コネクタ及び/又はブリッジは、高温合金材料を含む粉末から形成される。特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(AluCrom)(1.4767)のような粉末が適している。これに関連して、さらに、表1に記載の材料が、再度参照される。
【0050】
本発明の他の側面は、3Dコネクタ構造を有する温度センサに関する。3Dコネクタ構造は、本発明に係る32Dコネクタ構造であり、かつ/又は本発明に基づいて形成された3Dコネクタ構造である。
【0051】
すでに3Dコネクタ構造を製造するための本発明に係る方法及び/又は本発明に係る3Dコネクタ構造に関連して記載されたのと、同様な利点が生じる。
【0052】
少なくとも1つの平面的な電極を少なくとも1つの接続ワイヤと電気的に結合するための本発明に係る3Dコネクタ構造により、異なる膨張係数を有する材料を永続的に互いに結合することを可能にする解決策が提供される。空間的に互いに分離して配置された複数の、特に弾性変位するように形成された、コネクタの形成により、たとえば白金から形成され、かつ/又は白金を有する電気的な接続部材を、たとえばニッケル及び/又は特殊鋼から形成された接続ワイヤと永続的に結合することが、可能である。
【0053】
コネクタの、好ましくは弾性変位する特性が、温度が高く、かつ温度が急速に変化する場合でも、電気的な接続部材と接続ワイヤの膨張挙動における差異を補償することを、可能にする。
【0054】
以下で、添付の図面を参照しながら実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】従来技術を示している。
図2】本発明に係る第1の実施形態に基づき、3Dコネクタ構造をすでに接触された状態において示している。
図3】本発明の第2の実施形態に基づき、3Dコネクタ構造をすでに接触された状態において示している。
図4】本発明の第3の実施形態に基づいて、3Dコネクタ構造をすでに接触された状態において示している。
図5a】本発明に係る3Dコネクタ構造の詳細な表示である。
図5b】本発明に係る3Dコネクタ構造の他の詳細な表示である。
図5c】本発明に係る3Dコネクタ構造のさらに他の詳細な表示である。
図6a】本発明に係る3Dコネクタ構造のコネクタの形成に関する実施形態を示している。
図6b】発明に係る3Dコネクタ構造のコネクタの形成に関する他の実施形態を示している。
図6c】発明に係る3Dコネクタ構造のコネクタの形成に関するさらに他の実施形態を示している。
図7a】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第1の可能な実施形態を示している。
図7b】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第1の可能な実施形態を示している。
図8a】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第2の実施形態を示している。
図8b】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第2の実施形態を示している。
図9a】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第3の実施形態を示している。
図9b】本発明に係る3Dコネクタ構造のブリッジの収容部の第3の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下において、等しい構成部分及び等しく作用する構成部分について、同じ参照符号が使用される。
【0057】
図2には、本発明に係る3Dコネクタ構造10に関する第1の可能な実施形態が示されている。3Dコネクタ構造10は、平面的な電極15を接続ワイヤ16と電気的に結合するために用いられる。平面的な電極15は、特に、蛇行した形状の白金薄層構造として形成されている。白金薄層構造もしくは平面的な電極15は、基板19の、特にセラミック基板の、上側18上に配置されている。
【0058】
平面的な電極15上に、接続パッド25が形成されている。図示される例において、接続パッド25は、電気的な接続部材30として用いられる。
【0059】
3Dコネクタ構造10は、少なくとも2つのコネクタ20を有している。図示される実施例において、3Dコネクタ構造10は6つのコネクタ20を有している。これらのコネクタ20は、空間的に互いに分離されており、かつ電気的に導通する材料から形成されている。すべてのコネクタ20が、第1の側21と第2の側22を有している。第1の側21は、言い換えると、上側である。第2の側22は、言い換えると各コネクタ20の下側である。図2の実施例によれば、コネクタ20の第1の側21が接続ワイヤ16と結合されている。それに対して第2の側22は、接続パッド25と結合されている。
【0060】
各コネクタ20の第1の側21と第2の側22の間に、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔Aが形成されている。言い換えると、図示されるコネクタ20においてこの間隔Aは、コネクタ20の高さに相当する。コネクタ20は、その第1の側21において接続ワイヤ16と結合されている。コネクタ20は、ここでは個々に接続ワイヤ16と溶融溶接、特にレーザー溶接を用いて結合されている。これに関して溶接点35が示されている。
【0061】
平面的な電極15は、貴金属、特に白金を有しており、平面的な電極15の貴金属の割合は、20重量%超である。接続パッド25は、貴金属、特に白金を有しており、その場合に接続パッド25の貴金属の割合は、20重量%超である。接続パッド25は、図示される例において、1.0mmx0.5mmの面積を有している。
【0062】
接続ワイヤ16は、高温合金を有する。さらに、接続ワイヤ16がニッケル又は特殊鋼からなり、かつ100μmから800μmの、典型的には300μmの、直径を有することが、可能である。
【0063】
コネクタ20は、図示される例において、積層造形法によって、特に3Dプリントによって、接続パッド25上に直接構築される。追加的形成において、もしくは3Dプリントにおいて、粉末として、金属の高温合金からなる粉末が用いられる。特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)からなる粉末が使用される。これらの粉末は、好ましくは、20μmまでの粒度分布を有している。粉末材料を焼結するために、好ましくはたとえば100ワットのエネルギを有するレーザーが使用され、その場合にレーザー収束点は20μmよりも小さい。
【0064】
コネクタ20は、図示される実施例において、網状体(web)として形成されている。コネクタ20の高さは、図示される例において、500μmである。コネクタはさらに、好ましくは500μmの幅と40μmの長さを有している。幅と長さが、それぞれ第1の側21及び/又は第2の側22の領域を形成する。好ましくは、コネクタ20は、互いに対して20μmの間隔を有している。
【0065】
接続ワイヤ16は、コネクタ20の高さを形成する側に対して垂直に配置されており、かつコネクタ20の第1の側21にほぼ中央で接触する。
【0066】
接続パッド25は、好ましくは白金を含む焼結ペーストから形成されている。
【0067】
図3には、3Dコネクタ構造10の代替的な実施形態が示されている。3Dコネクタ構造10は、ブリッジ40を有している。ここで、コネクタ20の第1の側21は、共通の平面Eを形成し、かつこの共通の平面Eにおいて、このブリッジ40と結合されている。ブリッジ40は、同様に電気的に導通する材料から形成されている。好ましくはブリッジ40は、コネクタ20と同じ材料から形成されている。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態において、コネクタ20とブリッジ40は一体的に形成されている。ブリッジ40は、第1の側41と第2の側42を有している。コネクタ20は、コネクタの第1の側21においてブリッジ40の第2の側42に取り付けられており、もしくはこの第2の側42においてブリッジ40と結合されている。それに対して、ブリッジ40の上の側に相当する第1の側41に、接続ワイヤ16が取り付けられている。図示される実施例において、ブリッジ40は第1の側41において溶接点45によって接続ワイヤ16と結合されている。
【0069】
本発明の特に好ましい実施例において、ブリッジ40はコネクタ29と共に追加的形成によって1つの作業工程で形成される。
【0070】
ブリッジ40は、図示される実施例において、コネクタ20を覆っており、その場合にブリッジは約300μmの高さを有している。溶接点45による接続ワイヤ16の結合は、好ましくはレーザー溶接方法によって行われる。そのためにブリッジ40は、接触領域43を有している。
【0071】
残りの部材と構成部分は、図2に示す実施例に相当するので、それを再度別々に詳しく説明はしない。
【0072】
図4には、3Dコネクタ構造10の他の実施形態が示されており、その3Dコネクタ構造は、同様にブリッジ40を有している。ブリッジ40とコネクタ20は、ここでも同一の材料から形成されている。ブリッジ40は、電気的に導通する延長部50を有しており、それがコネクタ20の領域を越えて張り出している。延長部50は、さらに接続ワイヤ16と接触するためのセクション51を有している。図4において、接続ワイヤ16と接触するためのセクション51は、前側として形成されている。この前側もしくはセクション51において、延長部50及びそれに伴って3Dコネクタ構造10が、溶接点55によって接続ワイヤ16と結合されている。これに関連して、レーザー溶接方法による結合を行うこともできる。
【0073】
延長部50は、特に、3Dコネクタ構造10と接続ワイヤ16の結合を、外部の領域において、すなわち接続パッド25に対する直接垂直の延長上ではなく、形成するために、用いられる。延長部50は、好ましくはブリッジ40と共に1つの作業工程内で、かつ好ましくはコネクタ20と共に1つの作業工程内で形成される。これが、基板19との関連における、後の接触を容易にする。
【0074】
図5aから5cには、可能な3Dコネクタ構造10が拡大して示されている。その場合に図5aは、本発明に係る3Dコネクタ構造10の側面図を示している。図5bには、上面図が示されている。図5cは、図5aの側面図を回動して示している。
【0075】
3Dコネクタ構造10が、それぞれ第1の側21と第2の側22を備えた6つのコネクタ30を有することが、認識される。コネクタ20の第1の側21が、ブリッジ40の第2の側42と結合されている。これに対して、コネクタ20の第2の側22は、接続パッド25と結合されている。図5bから明らかなように、ブリッジ40は第1の側41において矩形に形成されている。
【0076】
これは、ブリッジの高さHBに関する延びにも関する。ブリッジの高さHBは、コネクタ20の高さに、したがってコネクタ20の第1の側21と第2の側22の間の間隔Aに、ほぼ相当する。
【0077】
図6a-6cには、コネクタ20の種々の実施形態が上面図で示されている。それによれば、コネクタ20の底面が示されている。その場合に底面は、コネクタ20の第1の側21及び/又は第2の側22の形状に対応することができる。図6aにおいて、コネクタ20は、特にウェブ26として示されている。ウェブ26は、特に、ウェブ26の幅Bが、ウェブ26の長さLよりも大きい寸法を有するように、形成されている。ウェブ26の幅Bは、さらに、接続パッド25の幅に相当する。ウェブ26の長さLは、ウェブ26の間の間隔ASにほぼ相当する。間隔ASは、ウェブ26の長さLよりも小さくても、大きくてもよい。
【0078】
図6bには、柱27として形成されたコネクタ20が示されている。この実施例において柱27は、それぞれ円い横断面を有している。柱27が方形の横断面を有することも、可能である。図示される実施形態において、3Dコネクタ構造10は、柱27の形式の8つのコネクタ20を有している。
【0079】
図6cには、可能なコネクタ20に関する他の実施形態が示されている。コネクタ20は、薄板28として形成されている。これらの薄板28は、接続パッド25に対して斜めに配置されている。薄板28の形式の8つのコネクタ20が形成されている。コネクタ20、26、27及び28の材料厚もしくは材料奥行きは、好ましくは100μmである。
【0080】
平面的な電極に対し、もしくは接続パッド25に対してそれぞれ平行に方向づけされている、コネクタ20の横断面は、必ずしも一定である必要はない。横断面は、第1の側21から第2の側22へ変化することができる。横断面積の先細りも、拡幅も可能である。平面的な電極に対し、もしくは接続パッド25に対して平行なコネクタの平均的な横断面積は、それぞれのコネクタ20の第1の側21から第2の側22へ向かって等間隔で配置された、すべての横断面積の数学的平均とする。
【0081】
図7a-9bには、ブリッジ40及び付属の収容部60の様々な実施形態と図面表示が示されている。
【0082】
図7aと7bに示す実施形態において(その場合に図7bは図7aの側面を示している)、ブリッジ40は、スリーブ61の形式の収容部60を有している。スリーブ61は、スリーブ61内へ接続ワイヤ16を導入することができるような内径を有している。その場合にスリーブ61の切り欠き62の横断面は、円形に形成することができるので、通常丸いワイヤ、すなわち接続ワイヤ16はスリーブ61内へ、すなわち切り欠き62内へ導入することができる。スリーブ61を通して、すなわち壁63を通して、接続ワイヤ16が収容部60/61と溶接される。ここでも溶接点65が形成される。したがって接続ワイヤ16をブリッジ40と溶接することは、簡単である。さらに溶接点65もしくは溶接継目の機械的安定性が増大されている。
【0083】
図8aと8bの実施例に基づくブリッジ40は、同様に収容部60を有している。この場合において、収容部60は通路66として形成されている。接続ワイヤ16が、通路66内に載置される。通路66は、U字状又は半円形の切り欠き67を有している。接続ワイヤ16が通路66内へ導入もしくは挿入された後に、ここでも収容部60に基づいて、接続ワイヤ16とブリッジ40の結合を行うことができる。溶接継目もしくは溶接点65が形成される。溶接点65が接続ワイヤ16及びそれに伴って通路66を覆う。
【0084】
図9aと9bにも、ブリッジ40の収容部60が示されている。この例において、収容部60は延長部50の領域内に形成されている。収容部60は、溝68として形成されている。収容部60/68の切り欠き69は、方形あるいは矩形の横断面を有している。ここでも溝68内へ、接続ワイヤ16を挿入することができる。特に接続ワイヤ16の端部17が、溝68内へ挿入される。この構成において、次に接続ワイヤ16をブリッジ40と、もしくは収容部60/68と結合することができる。これに関しても、接続ワイヤ16を固定するために溶接継目/溶接点65が形成される。
【0085】
溝68もしくは切り欠き69は、さらに、接続ワイヤ16もしくは接続ワイヤ16の端部17とブリッジ40の機械的挟持が行われるように、形成することができる。
【0086】
本発明に係る温度センサは、本発明に係る好ましい実施形態において、内燃機関の排ガスシステム内で使用される。
【0087】
図2-9bに示す、本発明に係る3Dコネクタ構造に関する詳細は、互いに対する可能な組合せのすべてにおいて実現することができる。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
少なくとも1つの平面的な電極(15)を少なくとも1つの接続ワイヤ(16)と電気的に結合するための3Dコネクタ構造(10)において、
3Dコネクタ構造(10)が、少なくとも2つの互いに空間的に分離されたコネクタ(20)を有し、コネクタ(20)がそれぞれ電気的に導通する材料、第1の側(21)及び第2の側(22)を有し、各コネクタ(20)の第2の側(22)が電気的な接続部材(30)と結合され、あるいは結合可能であり、各コネクタ(20)の第1の側(21)と第2の側(22)の間に、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔(A)が形成されている、ことを特徴とする3Dコネクタ構造(10)。
[態様2]
少なくとも1つのコネクタ(20)が、ウェブ(26)及び/又は柱(27)及び/又は薄板(28)として形成されている、ことを特徴とする態様1に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様3]
電気的な接続部材(30)が、平面的な電極(15)及び/又は、好ましくは焼結ペーストから形成された、接続パッド(25)である、ことを特徴とする態様1又は2に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様4]
コネクタ(20)の第1の側(21)が、共通の平面(E)を形成し、かつ、電気的に導通する材料からなる少なくとも1つのブリッジ(40)及び/又は接続ワイヤ(16)と結合されている、ことを特徴とする態様1から3のいずれかの一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様5]
コネクタ(20)とブリッジ(40)が一体的に形成されている、ことを特徴とする態様4に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様6]
ブリッジ(40)が、接続ワイヤ(16)と結合するために接触領域(43、51)を有し、前記接触領域が好ましくは接続ワイヤ(16)を固定するための収容部(60)として形成されており、収容部(60)が好ましくは通路(66)及び/又はスリーブ(61)及び/又は溝(68)として形成されている、ことを特徴とする態様4又は5に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様7]
ブリッジ(40)が電気的に導通する延長部(50)を有し、前記延長部がコネクタ(20)の領域を越えて張り出し、かつ接続ワイヤ(16)と接触するためのセクション(51)を有している、ことを特徴とする態様4から6のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様8]
各コネクタ(20)が第2の側(22)に、少なくとも1つの電気的な接続部材(30)と接触するための接触面を有しており、各接触面が100μm 2 から0.5mm 2 、特に300μm 2 から0.1mm 2 、特に1、000μm 2 から50、000μm 2 の大きさである、ことを特徴とする態様1から7のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様9]
少なくとも1つのコネクタ(20)の電気的に導通する材料が、高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有している、ことを特徴とする態様1から8のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様10]
少なくとも1つの平面的な電極(15)及び/又は接続パッド(25)が、貴金属、特に白金を有し、平面的な電極(15)の貴金属の割合が、好ましくは少なくとも20重量%、特に少なくとも40重量%、特に少なくとも70重量%である、ことを特徴とする態様1から9のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様11]
少なくとも1つの接続ワイヤ(16)が、高温合金、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有し、接続ワイヤ(16)の直径が好ましくは100μmから800μm、特に200μmから500μm、特に250μmから350μmである、ことを特徴とする態様1から10のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)。
[態様12]
少なくとも1つの平面的な電極(15)を少なくとも1つの接続ワイヤ(16)と電気的に結合するための3Dコネクタ構造(10)、特に態様1から11のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)を形成するための方法において、
追加的な形成方法を用いて少なくとも2つの空間的に互いに分離された、電気的に導通する材料からなるコネクタ(20)が形成され、コネクタ(20)がそれぞれ第1の側(21)と第2の側(22)を有し、かつ各コネクタ(20)の第1の側(21)と第2の側(22)の間に、材料塗布によって、少なくとも100μm、特に少なくとも200μm、特に少なくとも300μmの間隔(A)が形成される、ことを特徴とする方法。
[態様13]
コネクタ(20)が、電気的な接続部材(30)上に設けられる、ことを特徴とする態様12に記載の方法。
[態様14]
追加的な形成方法を用いてコネクタ(20)の第1の側(21)上に、電気的に導通する材料からなるブリッジ(40)が設けられ、接続ワイヤ(16)と結合するために用いられる接触領域(43、51)が形成される、ことを特徴とする態様12又は13に記載の方法。
[態様15]
接続ワイヤ(16)が、コネクタ(20)の第1の側(21)及び/又はブリッジ(40)と、好ましくはレーザー溶接によって、結合される、ことを特徴とする態様12から14のいずれか一態様に記載の方法。
[態様16]
コネクタ(20)及び/又はブリッジ(40)が、高温合金材料、特に合金601(2.4851)及び/又は合金602(2.4633)及び/又はアルクロム(1.4767)を有する粉末から形成される、ことを特徴とする態様12から15のいずれか一態様に記載の方法。
[態様17]
態様1から11のいずれか一態様に記載の3Dコネクタ構造(10)を有し、かつ/又は態様12から16のうちいずれか一態様に基づいて形成される、温度センサ。
【符号の説明】
【0088】
1 セラミック基板(従来技術)
2 白金薄層構造(従来技術)
3 スクリーン印刷ペースト(従来技術)
4 接続ワイヤ(従来技術)
5、6 溶接点(従来技術)
7 ワイヤ延長部(従来技術)
10 3Dコネクタ構造
15 平面的な電極
16 接続ワイヤ
17 接続ワイヤの端部
18 基板の上側
19 基板
20 コネクタ
21 コネクタの第1の側
22 コネクタの第2の側
25 接続パッド
26 ウェブ
27 柱
28 薄板
30 電気的接続部材
35 溶接点
40 ブリッジ
41 ブリッジの第1の側
42 ブリッジの第2の側
43 ブリッジの接触領域
45 溶接点
50 延長部
51 セクション
55 溶接点
60 収容部
61 スリーブ
62 切り欠き
63 壁
65 溶接点
66 通路
67 通路の収容部
68 溝
69 溝の収容部
A 第1の側から第2の側への間隔
S ウェブ間の間隔
E 共通の平面
B ブリッジの高さ
B ウェブの幅
L ウェブの長さ
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b