(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07C 45/61 20060101AFI20230712BHJP
C07C 47/565 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
C07C45/61
C07C47/565
(21)【出願番号】P 2022515604
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 CN2019105754
(87)【国際公開番号】W WO2021046815
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】519153040
【氏名又は名称】アシムケム ラボラトリーズ (フーシン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LABORATORIES (FUXIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジアンピン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,シーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボー
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-516692(JP,A)
【文献】国際公開第98/009967(WO,A1)
【文献】特表2017-505347(JP,A)
【文献】特表2016-514131(JP,A)
【文献】特表2016-512823(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108892616(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 45/61
C07C 47/565
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次直列に接続された、第1の連続反応ユニット(10)と、第2の連続反応ユニット(20)と、第3の連続反応ユニット(30)とを含み、第1の連続反応ユニット(10)は
、レゾルシンとエチルビニルエーテルとをヒドロキシ保護反応
させてヒドロキシ保護生成物系を獲得することに用いられ、第2の連続反応ユニット(20)は、
前記ヒドロキシ保護生成物系を、リチウム化試薬及びアルデヒド化試薬の作用下でリチウム化・アルデヒド化反応
を順次起こさせ、リチウム化・アルデヒド化生成物系を獲得することに用いられ、第3の連続反応ユニット(30)は脱保護基反応に用いられ、前記第3の連続反応ユニット(30)は、
前記第2の連続反応ユニット(20)に接続され、
前記リチウム化・アルデヒド化生成物系を脱保護基処理しながら分液して2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相と水相とを得る第1の柱状連続反応器(32)を含む、ことを特徴とする2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置。
【請求項2】
前記第1の柱状連続反応器(32)は、脱保護基処理及び分液中に、前記第1の柱状連続反応器(32)内の材料を撹拌するための第1の撹拌器を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第3の連続反応ユニット(30)は、脱保護剤供給デバイス(31)をさらに含み、
前記第1の柱状連続反応器(32)は、脱保護剤入口とリチウム化・アルデヒド化生成物入口とを有し、前記脱保護剤供給デバイス(31)は、前記脱保護剤入口に接続され、前記リチウム化・アルデヒド化生成物入口は、前記第2の連続反応ユニット(20)に接続され
る、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記脱保護剤入口は、前記第1の柱状連続反応器(32)の上部に配置され、前記リチウム化・アルデヒド化生成物入口は、前記第1の柱状連続反応器(32)の下部に配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
連続洗浄ユニット(40)をさらに含み、
前記連続洗浄ユニット(40)は、第2の柱状連続反応器(42)を含み、前記第2の柱状連続反応器(42)は、洗浄液を用いて有機相を洗浄するために前記第1の柱状連続反応器(32)に接続される、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の柱状連続反応器(42)は、洗浄中に前記第2の柱状連続反応器(42)内の材料を撹拌するための第2の撹拌器を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記連続洗浄ユニット(40)は、洗浄液供給デバイス(41)をさらに含み、
前記第2の柱状連続反応器(42)は洗浄液入口と有機相入口とを有し、前記洗浄液供給デバイスは前記洗浄液入口に接続され、前記洗浄液入口は前記第2の柱状連続反応器(42)の上部に配置され、前記有機相入口は前記第2の柱状連続反応器(42)の下部に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記連続洗浄ユニット(40)は、有機溶媒供給デバイス(43)をさらに含み、
前記第2の柱状連続反応器(42)は、有機溶媒入口をさらに有し、前記有機溶媒入口は、前記有機溶媒供給デバイスに接続され、前記有機溶媒入口は、前記有機相入口の下方に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記第3の連続反応ユニット(30)は、前記第1の柱状連続反応器(32)と前記有機相入口との間に接続配置されたバッファタンク(33)をさらに含む、ことを特徴とする請求項
5に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の連続反応ユニット(20)は、
前記第1の連続反応ユニット(10)に接続されたヒドロキシ保護反応生成物入口、リチウム化試薬入口、及びリチウム化生成物出口を有
する第2のコイル型連続反応器(22)と、
前記リチウム化試薬入口に接続されたリチウム化試薬供給デバイス(21)と、
リチウム化生成物入口、アルデヒド化試薬入口、及びリチウム化・アルデヒド化生成物出口を有し、前記リチウム化生成物入口は前記リチウム化生成物出口に接続され、前記リチウム化・アルデヒド化生成物出口は前記第3の連続反応ユニット(30)に接続される第3のコイル型連続反応器(24)と、
前記アルデヒド化試薬入口に接続されたアルデヒド化試薬供給デバイス(23)と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のコイル型連続反応器(22)は、第2の熱交換ジャケットを備え、前記第3のコイル型連続反応器(24)は、第3の熱交換ジャケットを備える、ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の連続反応ユニット(10)は、
反応材料入口と、前記第2の連続反応ユニット(20)に接続されたヒドロキシ保護反応生成物出口とを有
する第1のコイル型連続反応器(13)と、
前記反応材料入口に接続されたレゾルシン溶液供給デバイス(11)と、
前記反応材料入口に接続されたエチルビニルエーテル溶液供給デバイス(12)と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のコイル型連続反応器(13)は、第1の熱交換ジャケットを備える、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の連続反応ユニット(10)、前記第2の連続反応ユニット(20)、及び前記第3の連続反応ユニット(30)の間の接続ラインにサンプリングバルブが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造における、請求項1~
14のいずれか1項に記載の2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置の使用。
【請求項16】
レゾルシンとエチルビニルエーテルとを前記第1の連続反応ユニット(10)にてヒドロキシ保護反応させてヒドロキシ保護生成物系を獲得
することと、
ヒドロキシ保護生成物系を、第2の連続反応ユニット(20)において、リチウム化試薬及びアルデヒド化試薬の作用下でリチウム化、アルデヒド化反応を順次起こさせ、リチウム化・アルデヒド化生成物系を獲得
することと、
第1の柱状連続反応器(32)で脱保護剤を用いて前記リチウム化・アルデヒド化生成物系にヒドロキシ保護基除去処理を行い、前記2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相を獲得
することと、
洗浄剤及び任意の有機溶媒を用いて、第2の柱状連続反応器(42)にて前記有機相を洗浄処理し、洗浄後の有機相を獲得
することと、を含む、ことを特徴とする請求項
15に記載の使用。
【請求項17】
前記レゾルシンとエチルビニルエーテルとを共に溶液として前記第1の連続反応ユニット(10)に加え、前記ヒドロキシ保護反応の温度は、30~45℃又は30~35℃であることと、ことを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記リチウム化試薬はブチルリチウムであり、前記アルデヒド化試薬はジメチルホルムアミドであり、前記リチウム化、アルデヒド化反応の温度は、-30~25℃又は-20~-15℃又は5~25℃である、ことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記脱保護剤は無機強酸であり、又は前記脱保護剤は希塩酸、希硫酸又は希硝酸であり、前記ヒドロキシ保護基の除去処理温度は30~45℃である、ことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記洗浄剤は食塩水又は炭酸水素ナトリウム水溶液であり、前記有機溶媒はメチルt-ブチルエーテル、酢酸エチル、2-メチルテトラヒドロフランのいずれかである、ことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項21】
前記第1の連続反応ユニット(10)における前記レゾルシン及び前記エチルビニルエーテルの保持時間は20~180minである、ことを特徴とする請求項
16~20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記第1の柱状連続反応器(32)における前記脱保護剤及び前記リチウム化・アルデヒド化生成物の保持時間は20~180minである、ことを特徴とする請求項21に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造分野に関し、具体的には、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドは非常に重要な有機合成中間体である。電気絶縁材料やイオン交換樹脂や染料などの分野に利用でき、また医薬品にも応用でき、例えば鎌状赤血球症(SCD)の新薬voxelateを構成する重要な断片である。その合成には複数の経路が可能である。
【0003】
例えば、1,3-ジメトキシベンゼンを原料として、2つのステップ、すなわち、リチウム化してアルデヒド基を導入すること、及び脱メチル化反応させることにより2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを得る。この経路は原料が入手しやすく、反応条件が温和で、2つのステップの総収率が約70%であるが、脱メチル化にルイス酸を使用しているため、反応後の処理が煩雑であり、廃液、廃気や固体廃棄物の量が多い。
【0004】
また、例えば、レゾルシンを出発原料とし、ワンステップしか経ていないので、経路がより簡単で、原料コストが極めて低い。しかし、反応選択性が悪く、副生成物である2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド:2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド=41:24)を大量で生成しやすく、製品の精製が困難である。
【0005】
さらに、レゾルシンを原料にして3つのステップで2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを得ることもあり、第1のステップでは、レゾルシンとエチルビニルエーテルを反応させ、ヒドロキシをエチルビニルエーテル(EVE)で保護した後に、第2のステップでは、レゾルシンの1-位でリチウム化してアルデヒド基を導入し、第3のステップでは、酸性条件下でEVE保護基を除去して、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを獲得し、この経路は、原料が入手しやすくて安価で、3つのステップの反応の条件は温和で、生産コストは比較的低く、3つのステップの総収率は65.6%である。
【0006】
しかし、3つのステップで2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製造する過程では、上記の第1のステップでテトラヒドロフラン(THF)を溶媒とし、レゾルシンとエチルビニルエーテルの反応は室温で少なくとも16h以上を必要とし、しかも、温度が上昇すると反応効率が低下する。
【0007】
生産規模にスケールアップすると、必然的に生産効率の低下、生産能力の低下、エネルギー消費量及び生産コストの上昇を招く。
【0008】
また、反応後、クエンチ、水洗、濃縮による水の除去などの後処理のステップが必要であり、それにより、生産効率がさらに低下する。第2のステップは、EVEで保護されたレゾルシンとブチルリチウムとを-10~0℃で30~40min反応させることである。ジメチルホルムアミド(DMF)を添加して-10~-5℃で1~2h反応を続け、このステップは低温反応であるが、バッチ反応に関与する物量が多く、熱伝送が困難であるため、これ以上の反応温度の低下は困難である。
【0009】
反応終了後に第3のステップに進み、塩酸でクエンチし、系のpHを0.7~0.8に調整して室温で反応させ、反応には同様に16hを要し、同様に温度が上昇すると反応効率が低下する。反応を終了すると、飽和食塩水で洗浄し、水洗後濃縮してアセトニトリル系に置換した後に、最後にアセトニトリル中で晶析して2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製品として得る。
【0010】
このことから、この3つのステップの反応は反応時間が長く、ステップあたりの後処理工程が多いことが分かった。従来のバッチプロセスを用いて量産を行うと、設備チェーンが長くなり、反応釜が大量に占有され、生産効率が低く、設備占有率が高く、生産コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの従来技術における製造プロセスの生産効率が低く、コストが高いという問題点を解決するために、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置及びその使用を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置を提供し、この装置は、
順次直列に接続された、第1の連続反応ユニットと、第2の連続反応ユニットと、第3の連続反応ユニットとを含み、第1の連続反応ユニットはヒドロキシ保護反応に用いられ、第2の連続反応ユニットはリチウム化・アルデヒド化に用いられ、第3の連続反応ユニットは脱保護基反応に用いられ、第3の連続反応ユニットは、
第2の連続反応ユニットに接続され、リチウム化・アルデヒド化生成物を脱保護基処理しながら分液して2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相と水相とを得る第1の柱状連続反応器を含む。
【0013】
さらに、上記第1の柱状連続反応器は、脱保護基処理及び分液中に、第1の柱状連続反応器内の材料を撹拌するための第1の撹拌器を備えている。
【0014】
さらに、上記第3の連続反応ユニットは、脱保護剤供給デバイスをさらに含み、
第1の柱状連続反応器は、脱保護剤入口とリチウム化・アルデヒド化生成物入口とを有し、脱保護剤供給デバイスは、脱保護剤入口に接続され、リチウム化・アルデヒド化生成物入口は、第2の連続反応ユニットに接続され、好ましくは、脱保護剤入口は、第1の柱状連続反応器の上部に配置され、好ましくは、リチウム化・アルデヒド化生成物入口は、第1の柱状連続反応器の下部に配置される。
【0015】
さらに、上記装置は、連続洗浄ユニットをさらに含み、
連続洗浄ユニットは、第2の柱状連続反応器を含み、第2の柱状連続反応器は、洗浄液を用いて有機相を洗浄するために第1の柱状連続反応器に接続され、好ましくは、洗浄中に第2の柱状連続反応器内の材料を撹拌するための第2の撹拌器を備え、
好ましくは、連続洗浄ユニットは、洗浄液供給デバイスと、好適な有機溶媒供給デバイスとをさらに含み、
第2の柱状連続反応器は洗浄液入口と有機相入口とを有し、洗浄液供給デバイスは洗浄液入口に接続され、好ましくは、洗浄液入口は第2の柱状連続反応器の上部に配置され、好ましくは、有機相入口は第2の柱状連続反応器の下部に配置され、
第2の柱状連続反応器は有機溶媒入口をさらに有し、有機溶媒入口は、有機溶媒供給デバイスに接続され、好ましくは、有機相入口の下方に配置される。
【0016】
さらに、上記第3の連続反応ユニットは、第1の柱状連続反応器と有機相入口との間に接続配置されたバッファタンクをさらに含む。
【0017】
さらに、上記第2の連続反応ユニットは、
第1の連続反応ユニットに接続されたヒドロキシ保護反応生成物入口、リチウム化試薬入口、及びリチウム化生成物出口を有し、好ましくは第2の熱交換ジャケットを備える第2のコイル型連続反応器と、
リチウム化試薬入口に接続されたリチウム化試薬供給デバイスと、
リチウム化生成物入口、アルデヒド化試薬入口、及びリチウム化・アルデヒド化生成物出口を有し、リチウム化生成物入口はリチウム化生成物出口に接続され、リチウム化・アルデヒド化生成物出口は第3の連続反応ユニットに接続され、好ましくは第3の熱交換ジャケットを備える第3のコイル型連続反応器と、
アルデヒド化試薬入口に接続されたアルデヒド化試薬供給デバイスと、を含む。
【0018】
さらに、上記第1の連続反応ユニットは、
反応材料入口と、第2の連続反応ユニットに接続されたヒドロキシ保護反応生成物出口とを有し、好ましくは、第1の熱交換ジャケットを備える第1のコイル型連続反応器と、
反応材料入口に接続されたレゾルシン溶液供給デバイスと、
反応材料入口に接続されたエチルビニルエーテル溶液供給デバイスと、を含む。
【0019】
さらに、上記第1の連続反応ユニット、第2の連続反応ユニット、及び第3の連続反応ユニットの間の接続ラインにサンプリングバルブが設けられている。
【0020】
本発明の別の態様によれば、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造における、上記のいずれかの2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置の使用を提供する。
【0021】
さらに、上記使用は、
レゾルシンとエチルビニルエーテルとを第1の連続反応ユニットにてヒドロキシ保護反応させてヒドロキシ保護生成物系を獲得し、好ましくは、レゾルシンとエチルビニルエーテルとを共に溶液として第1の連続反応ユニットに加え、ヒドロキシ保護反応の温度は好ましくは30~45℃、より好ましくは30~35℃であることと、
ヒドロキシ保護生成物系を、第2の連続反応ユニットにおいて、リチウム化試薬及びアルデヒド化試薬の作用下でリチウム化・アルデヒド化反応を順次起こし、リチウム化・アルデヒド化生成物系を獲得し、好ましくは、リチウム化試薬はブチルリチウムであり、アルデヒド化試薬はジメチルホルムアミドであり、リチウム化・アルデヒド化反応の温度は好ましくは-30~25℃であり、より好ましくは-20~-15℃又は5~25℃であることと、
第1の柱状連続反応器で脱保護剤を用いてリチウム化・アルデヒド化生成物系にヒドロキシ保護基除去処理を行い、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相を獲得し、脱保護剤は好ましくは無機強酸であり、さらに好ましくは希塩酸、希硫酸又は希硝酸であり、好ましくはヒドロキシ保護基の除去処理温度は30~45℃であることと、
洗浄剤及び任意の有機溶媒を用いて、第2の柱状連続反応器にて有機相を洗浄処理し、洗浄後の有機相を獲得し、好ましくは、洗浄剤は食塩水又は炭酸水素ナトリウム水溶液であり、好ましくは、有機溶媒はメチルt-ブチルエーテル、酢酸エチル、2-メチルテトラヒドロフランのいずれかであることと、を含む。
【0022】
さらに、第1の連続反応ユニットにおける上記レゾルシン及びエチルビニルエーテルの保持時間は20~180minであり、好ましくは第1の柱状連続反応器における脱保護剤及びリチウム化・アルデヒド化生成物の保持時間は20~180minである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の技術案を用いると、上記装置を用いて2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製造する際に、合成経路におけるヒドロキシ保護反応及び脱保護基の反応時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
また、上記各連続反応ユニットを直接接続することにより、各連続反応ユニットで得られた生成物系は後処理を行うことなく次の連続反応ユニットに進み、装置運転後の各ステップの反応を同時に行うことができるため、全体の生産効率を向上させることができる。
【0025】
以上のことから、この装置を2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造に適用すると、反応時間が短縮され、途中の精製処理が不要となるため、バッチプロセスに比べて設備コスト及び後処理コストが大幅に節減され、生産効率が大幅に向上し、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの工業的なスケールアップに、より有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の概略的な実施例及びその説明は、本発明を説明するために使用され、本発明の不適切な限定を構成するものではない。図面は下記の通りである。
【
図1】本発明の好ましい実施例に係る2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
なお、矛盾しない限り、本出願の実施例及び実施例の特徴は相互に組み合わせることができる。以下、図面を参照して、実施例と結合して本発明を詳細に説明する。
【0028】
本出願の背景技術で分析されたように、従来技術の2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造方法は、生産効率が低く、コストが高いので、この課題を解決するために、本出願は2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置及びその使用を提供する。
【0029】
本出願の典型的な実施形態では、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置を提供し、
図1に示すように、この装置は、順次直列に接続された、第1の連続反応ユニット10と、第2の連続反応ユニット20と、第3の連続反応ユニット30とを含み、第1の連続反応ユニット10は、ヒドロキシ保護反応に用いられ、第2の連続反応ユニット20はリチウム化・アルデヒド化に用いられ、第3の連続反応ユニット30は脱保護基反応に用いられ、第3の連続反応ユニット30は、第2の連続反応ユニット20に接続され、リチウム化・アルデヒド化生成物を脱保護基処理しながら分液して2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相と水相とを得る第1の柱状連続反応器32を含む。
【0030】
上記装置を用いて2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製造する際に、合成経路におけるヒドロキシ保護反応及び脱保護基の反応時間を大幅に短縮することができる。
【0031】
また、上記各連続反応ユニットを直接接続することにより、各連続反応ユニットで得られた生成物系は後処理を行うことなく次の連続反応ユニットに進み、装置運転後の各ステップの反応を同時に行うことができるため、全体の生産効率を向上させることができる。以上のことから、この装置を2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造に適用すると、反応時間が短縮され、途中の精製処理が不要となるため、バッチプロセスに比べて設備コスト及び後処理コストが大幅に節減され、生産効率が大幅に向上し、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの工業的なスケールアップに、より有利である。
【0032】
一実施例では、反応の進行を促進するために、好ましくは、上記第1の柱状連続反応器32は、脱保護基処理及び分液中に、第1の柱状連続反応器32内の材料を撹拌するための第1の撹拌器を備えている。
【0033】
第3の連続反応ユニット30の反応の進行の制御性を向上させるために、好ましくは、
図1に示すように、上記第3の連続反応ユニット30は、脱保護剤供給デバイス31をさらに含み、第1の柱状連続反応器32は、脱保護剤入口と、リチウム化・アルデヒド化生成物入口とを有し、脱保護剤供給デバイス31は、脱保護剤入口に接続されており、リチウム化・アルデヒド化生成物入口は、第2の連続反応ユニット20に接続されている。
【0034】
脱保護剤供給デバイス31を用いて第1の柱状連続反応器32に脱保護剤を供給し、供給速度を調整することにより反応の進行を制御し、さらに原料の転化率を向上させることができる。
【0035】
また、脱保護基処理効率及び有機相と水相との分離効率を向上させるために、好ましくは、脱保護剤入口は第1の柱状連続反応器32の上部に配置され、好ましくは、リチウム化・アルデヒド化生成物入口は第1の柱状連続反応器32の下部に配置される。上記脱保護剤入口とリチウム・アルデヒド生成物入口の位置の設定により、脱保護剤とリチウム・アルデヒド生成物とが向流接触するようにし、接触過程において、柱状連続反応器が重力の作用により水相と有機相との分離を容易にし、生成物の処理効率を向上させる。
【0036】
生成物の処理効率及び純度をさらに向上させるために、好ましくは、
図1に示すように、上記装置は連続洗浄ユニット40をさらに含み、連続洗浄ユニット40は、洗浄液を用いて有機相を洗浄するために第1の柱状連続反応器32に接続された第2の柱状連続反応器42を含む。第2の柱状連続反応器42を用いて有機相を洗浄することにより、有機相と水相との分離も容易になる。洗浄速度を向上させるためには、好ましくは、上記第2の柱状連続反応器42は、洗浄中に第2の柱状連続反応器42内の材料を撹拌するための第2の撹拌器を備えている。
【0037】
また、製品の洗浄効果及び効率の制御性を向上させるために、好ましくは、
図1に示すように、上記連続洗浄ユニット40は洗浄液供給デバイス41をさらに含み、第2の柱状連続反応器42は洗浄液入口と有機相入口とを有し、洗浄液供給デバイスは洗浄液入口に接続されている。洗浄液供給デバイス41を用いて第2の柱状連続反応器42に洗浄液を供給し、供給速度を調整することにより洗浄速度及び洗浄効果を制御する。
【0038】
さらに好ましくは、洗浄液入口は、第2の柱状連続反応器42の上部に配置され、好ましくは、有機相入口は、第2の柱状連続反応器42の下部に配置される。上記洗浄液入口と有機相入口の位置の設定により、洗浄液と有機相との向流接触を容易にし、洗浄効率を向上させるとともに、柱状連続反応器は有機相と水相との分離に有利であり、すなわち洗浄と分離とを一体とし、生成物の処理効率を向上させる。
【0039】
好ましくは、上記連続洗浄ユニット40は有機溶媒供給デバイス43をさらに含み、第2の柱状連続反応器42は、有機溶媒供給デバイスに接続された有機溶媒入口をさらに有し、好ましくは、この有機溶媒入口は有機相入口の下方に配置されている。2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの有機相への溶解度を有機溶媒で高めることで、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの損失を低減する。
【0040】
化学反応が完了した後に、得られた生成物系は、第1の柱状連続反応器32で分液された後に、有機相中で比較的安定になり、洗浄効率を向上させるために、好ましくは、
図1に示すように、上記第3の連続反応ユニット30は、第1の柱状連続反応器32と有機相入口との間に接続配置されたバッファタンク33をさらに含む。バッファタンク33を設けることにより、有機相が一定量まで蓄積したときに洗浄を行うことで、洗浄液の利用率及び洗浄量を向上させることができる。
【0041】
本出願の一実施例では、
図1に示すように、上記第2の連続反応ユニット20は、第2のコイル型連続反応器22、リチウム化試薬供給デバイス21、第3のコイル型連続反応器24、及びアルデヒド化試薬供給デバイス23を含む。第2のコイル型連続反応器22は、ヒドロキシ保護反応生成物入口、リチウム化試薬入口、及びリチウム化生成物出口を有し、ヒドロキシ保護反応生成物入口は第1の連続反応ユニット10に接続され、リチウム化試薬供給デバイス21はリチウム化試薬入口に接続される。
【0042】
第3のコイル型連続反応器24は、リチウム化生成物入口、アルデヒド化試薬入口、及びリチウム化・アルデヒド化生成物出口を有し、リチウム化生成物入口はリチウム化生成物出口に接続され、リチウム化・アルデヒド化生成物出口は第3の連続反応ユニット30に接続され、アルデヒド化試薬入口はアルデヒド化試薬供給デバイス23に接続されている。
【0043】
第2の連続反応ユニット20により、リチウム化試薬とヒドロキシ保護反応生成物とを第2のコイル型連続反応器22でリチウム化反応させ、リチウム化が完了したリチウム化生成物を第3のコイル型連続反応器24に直接導入してアルデヒド化することにより、リチウム化とアルデヒド化とを分離して連続的に進行させ、材料の利用率をより向上させる。
【0044】
さらに、第2のコイル型連続反応器22には第2の熱交換ジャケットが配置されていることが好ましく、第3のコイル型連続反応器24には第3の熱交換ジャケットが配置されていることが好ましく、第2のコイル型連続反応器22及び第3のコイル型連続反応器24の温度は熱交換ジャケットを用いて制御することができ、一方では、熱交換ジャケットの構造が簡単であり、他方では、熱交換が均一である。
【0045】
本出願の別の実施例では、
図1に示すように、上記第1の連続反応ユニット10は、第1のコイル型連続反応器13、レゾルシン溶液供給デバイス11、及びエチルビニルエーテル溶液供給デバイス12を含む。第1のコイル型連続反応器13は、反応材料入口とヒドロキシ保護反応生成物出口とを有し、ヒドロキシ保護反応生成物出口は第2の連続反応ユニット20に接続され、好ましくは、第1のコイル型連続反応器13には第1の熱交換ジャケットが配置されており、レゾルシン溶液供給デバイス11は反応材料入口に接続され、エチルビニルエーテル溶液供給デバイス12は反応材料入口に接続されている。
【0046】
レゾルシンとエチルビニルエーテルは、第1のコイル型連続反応器13内で反応しながら前進し、コイル断面積が小さいので、その中の材料は比較的均一に加熱され、材料の接触効果が向上するので、同じ重量の材料であれば、本出願の装置では既存のバッチ反応装置での反応時間よりも反応時間が短縮される。
【0047】
また、各反応ユニットの生成物の品質を制御するために、好ましくは、上記第1の連続反応ユニット10、第2の連続反応ユニット20及び第3の連続反応ユニット30の間の接続ラインにサンプリングバルブが設けられている。サンプリングバルブによって第1の連続反応ユニット10、第2の連続反応ユニット20、及び第3の連続反応ユニット30の生成物を検査し、検査結果に基づいて必要に応じて材料流速、反応温度を適時に調整し、原料の転化率、生成物の品質を保証する。
【0048】
本出願の別の典型的な実施形態では、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造における、上記のいずれかの2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの連続製造装置の使用を提供する。
【0049】
上記装置を用いて2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製造する際に、合成経路におけるヒドロキシ保護反応及び脱保護基の反応時間を大幅に短縮することができる。また、上記各連続反応ユニットを直接接続することにより、各連続反応ユニットで得られた生成物系は後処理を行うことなく次の連続反応ユニットに進み、装置運転後の各ステップの反応を同時に行うことができるため、全体の生産効率を向上させることができる。
【0050】
以上のことから、この装置を2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造に適用すると、反応時間が短縮され、途中の精製処理が不要となるため、バッチプロセスに比べて設備コストが大幅に節減され、生産効率が大幅に向上し、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの工業的なスケールアップに、より有利である。
【0051】
一実施例では、上記使用は、レゾルシンとエチルビニルエーテルとを第1の連続反応ユニット10でヒドロキシ保護反応させてヒドロキシ保護生成物系を得ることとと、ヒドロキシ保護生成物系を、第2の連続反応ユニット20において、リチウム化試薬及びアルデヒド化試薬の作用下でリチウム化、アルデヒド化反応を順次起こさせ、リチウム化・アルデヒド化生成物系を得ることと、第1の柱状連続反応器32において、脱保護剤を用いてリチウム化・アルデヒド化生成物系にヒドロキシ保護基除去処理を行い、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相を得ることと、洗浄剤及び任意の有機溶媒を用いて、第2の柱状連続反応器42内で有機相を洗浄処理し、洗浄後の有機相を得ることと、を含む。
【0052】
本出願の使用では、従来のバッチにおける3段階法より、連続プロセスに変換し、各ステップの間に後処理を必要とせずに直接次のステップに進むことができ、このように、生産効率を向上させる。上記レゾルシン及びエチルビニルエーテルは、従来技術と同様に、溶液として第1の連続反応ユニット10に加え、例えばテトラヒドロフラン等の極性溶媒を用いて溶解してそれぞれの溶液を形成することができる。反応の安定性を確保するためには、リチウム化試薬をブチルリチウム、アルデヒド化試薬をジメチルホルムアミドとすることが好ましい。上記脱保護剤は、好ましくは無機強酸であり、さらに好ましくは希塩酸、希硫酸又は希硝酸である。
【0053】
さらに、洗浄過程において洗浄剤として水を用いることができ、洗浄効率を向上させるためには、上記洗浄剤が食塩水又は炭酸水素ナトリウム水溶液であることが好ましい。上記有機溶剤を選択する際に、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドに対して良好な溶解性を有し、濃縮過程で揮発除去しやすいことを原則とし、有機溶剤はメチル-tert-ブチルエーテル、酢酸エチル、2-メチルテトラヒドロフランのいずれかであることが好ましい。
【0054】
連続反応では、反応に関与する材料が単位時間当たりに発生する熱が伝わりやすくなるため、各反応の反応温度をさらに広げ、ヒドロキシ保護反応の反応速度を速め、副反応の発生を低減するために、ヒドロキシ保護反応の温度は好ましくは30~45℃、より好ましくは30~35℃である。上記リチウム化・アルデヒド化反応の温度は好ましくは-30~25℃であり、リチウム化・アルデヒド化反応における目的生成物の収率を向上させるために、リチウム化・アルデヒド化反応の温度は-20~-15℃であることがより好ましく、熱エネルギーの利用を低減し、コストを低減するために、上記リチウム化・アルデヒド化反応の温度は、5~25℃であることがより好ましい。また、ヒドロキシ保護基除去処理の速度を向上させるために、上記ヒドロキシ保護基除去処理の温度が30~45℃であることが好ましい。
【0055】
本発明の一実施では、第1の連続反応ユニット10の特性に基づいて、レゾルシン及びエチルビニルエーテルの反応時間が短縮され、生産効率を向上させるために、第1の連続反応ユニット10におけるレゾルシン及びエチルビニルエーテルの保持時間は20~180minであることが好ましい。第1の柱状連続反応器32の特性に基づいて、脱保護の反応時間が短縮され、また、生産効率を向上させるために、第1の柱状連続反応器32における脱保護剤及びリチウム化・アルデヒド化生成物の保持時間は20~180minであることが好ましい。
【0056】
以下、本出願の有益な効果を、実施例及び比較例を結合してさらに説明する。
【0057】
【0058】
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造は
図1に示す装置により上記の経路に従って行われ、ここで、レゾルシンとエチルビニルエーテルとのモル比が1:3、レゾルシンとブチルリチウムとのモル比が1:1.4、レゾルシンとジメチルホルムアミドとのモル比が1:3.5、レゾルシンと希塩酸中のH
+のモル比が1:4であった。
【0059】
レゾルシンのテトラヒドロフラン溶液とエチルビニルエーテルのテトラヒドロフラン溶液とを第1のコイル型連続反応器13に連続的に投入し、第1のコイル型連続反応器13の温度T1を第1の熱交換ジャケットにより制御してヒドロキシ保護反応を行い、滞在時間をt1とし、ヒドロキシ保護生成物系を得た。
【0060】
ヒドロキシ保護生成物系とブチルリチウムとを第2のコイル型連続反応器22に連続的に投入し、第2のコイル型連続反応器22の温度T2を第2の熱交換ジャケットにより制御してリチウム化反応を行い、滞留時間をt2とし、得られたリチウム化物系とジメチルホルムアミドとを第3のコイル型連続反応器24に連続的に投入し、第3のコイル型連続反応器24の温度T3を第3の熱交換ジャケットにより制御してアルデヒド化反応を行い、滞留時間をt3とし、得られたリチウム化・アルデヒド化生成物系を第1の柱状連続反応器32の下部から入れ、希塩酸を第1の柱状連続反応器32の上部から入れ、両者が第1の柱状連続反応器32内で向流接触して脱保護基反応を行い、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相と水相との分離層を獲得し、ここで、脱保護基反応の温度がT4、滞在時間がt4であり、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを含有する有機相が上方にあり、水相が下方にある。
【0061】
有機相は、第2の柱状連続反応器42の下部から入り、メチル-tert-ブチルエーテルは、第2の柱状連続反応器42の下部から入り、入口は有機相流入口の下方に位置し、食塩水は、第2の柱状連続反応器42の上部から入り、三者は第2の柱状連続反応器42内で向流接触して洗浄し、有機相、メチルt-ブチルエーテル、食塩水の体積比を5:2:2(レゾルシン質量基準で、例えばレゾルシン1g、有機相5mL、メチルt-ブチルエーテル2mL、食塩水2mL)とし、洗浄後に分離した有機相と水相を獲得し、ここで滞留時間はt5であり、有機相は上方にあり、水相は下方にあり、有機相には2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドが含まれている。
【0062】
洗浄後の有機相を濃縮してアセトニトリル系に置換し、最後にアセトニトリル中で晶析して2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを生成物として得た。
【0063】
上記レゾルシンのテトラヒドロフラン溶液中のレゾルシンの含有量は30%で、エチルビニルエーテルのテトラヒドロフラン溶液中のエチルビニルエーテルの含有量は80wt%であり、ブチルリチウムの濃度は2.0Mで、希塩酸の濃度は3Mで、食塩水の濃度は20wt%である。各実施例では、各連続反応器での滞留時間を制御するために、それぞれの供給デバイスによってその流速が調整され、具体的には、各実施例における各反応器の温度、滞留時間等のプロセスパラメータ及び収率が表1に示されている。
【0064】
【0065】
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造は、前述の実施例と同じ材料を用いて、表2のバッチ反応装置を用いて行い、ここで、ヒドロキシ保護反応の温度は20~25℃、リチウム化・アルデヒド化反応の温度は-10~0℃、脱保護基化反応の温度は20~25℃であった。
【0066】
【0067】
以上の説明から分かるように、本発明の上記した実施例は、以下の技術的効果を達成する。
【0068】
上記装置を用いて2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを製造する際に、合成経路におけるヒドロキシ保護反応及び脱保護基の反応時間を大幅に短縮することができる。
【0069】
また、上記の各連続反応ユニットを直接接続することにより、各連続反応ユニットで得られた生成物系は後処理を行うことなく次の連続反応ユニットに進むことができ、装置運転後に各ステップの反応が同時に進行するため、全体の生産効率が向上する。以上のことから、この装置を2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの製造に適用すると、反応時間が短縮され、途中の精製処理が不要となるため、バッチプロセスに比べて設備コストが大幅に節減され、生産効率が大幅に向上し、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドの工業的なスケールアップに、より有利である。
【0070】
上記は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明は当業者にとって様々な変更や変更が可能である。発明の精神及び原理の範囲内で行われた修正、同等の置換、改良等は、発明の特許範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0071】
ここで、上記の図面は以下の符号を含む。
【0072】
10:第1の連続反応ユニット、11:レゾルシン溶液供給デバイス、12:エチルビニルエーテル溶液供給デバイス、13:第1のコイル型連続反応器、20:第2の連続反応ユニット、21:リチウム化試薬供給デバイス、22:第2のコイル型連続反応器、23:アルデヒド化試薬供給デバイス、24:第3のコイル型連続反応器、30:第3の連続反応ユニット、31:脱保護剤供給デバイス、32:第1の柱状連続反応器、33:バッファタンク、40:連続洗浄ユニット、41:洗浄液供給デバイス、42:第2の柱状連続反応器、43:有機溶剤供給デバイス。