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特許7312324コーティング付きチューブの製造方法及びコーティング付きチューブの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】コーティング付きチューブの製造方法及びコーティング付きチューブの製造装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/22 20060101AFI20230712BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230712BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20230712BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
B05D7/22 F
B05D3/00 C
B05D3/12 A
B05D3/00 B
A61M25/00 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022529935
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2022020771
(87)【国際公開番号】W WO2023281924
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2021112398
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】平塚 信介
(72)【発明者】
【氏名】寺本 将平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 愛理奈
(72)【発明者】
【氏名】後藤 竜也
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-305875(JP,A)
【文献】特開2004-349147(JP,A)
【文献】特開2003-045329(JP,A)
【文献】特開2002-134014(JP,A)
【文献】特開2004-047349(JP,A)
【文献】特開2004-342427(JP,A)
【文献】特開2000-348617(JP,A)
【文献】特開平03-123563(JP,A)
【文献】特開2018-064745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0186740(US,A1)
【文献】中国実用新案第204446191(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61F 2/82 - 2/97
A61M 25/00 - 29/04
A61M 35/00 - 36/08
A61M 37/00 - 37/00
A61M 99/00
B05D 1/00 - 7/26
B05C 1/00 - 3/20
B05C 7/00 - 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に導入される医療用チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造方法であって、
前記医療用チューブを上下方向に延びる向きで保持する保持工程と、
前記保持された前記医療用チューブの内部に前記医療用チューブの下端からコーティング液を導入する液導入工程と、
前記医療用チューブの内部に導入された前記コーティング液を前記医療用チューブの下端から排出することにより、前記医療用チューブの内面に前記コーティング液が膜状に付着された状態を形成する液排出工程と、
前記付着された前記コーティング液を乾燥させて固化させることにより、前記医療用チューブの内面に前記コーティング層を形成する乾燥工程と、
を備える、コーティング付きチューブの製造方法。
【請求項2】
前記液排出工程では、前記コーティング液の排出速度を所定の速度に制御した状態で、前記コーティング液を前記医療用チューブ内から排出する、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項3】
前記保持工程では、前記医療用チューブの下端側を液槽に貯留された前記コーティング液の中に入れた状態で前記医療用チューブを保持し、
前記液導入工程は、前記医療用チューブの上端側から前記医療用チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記医療用チューブの下端から前記医療用チューブ内に吸い上げる液吸上げ工程である、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項4】
前記医療用チューブの上端部をポンプ装置に接続する接続工程を備え、
前記ポンプ装置は、前記接続工程による接続状態で、前記医療用チューブ内の気体の吸い出しと、前記医療用チューブ内への気体の送り込みとの両方を行うことが可能であり、
前記液吸上げ工程では、前記ポンプ装置により前記医療用チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記医療用チューブ内に吸い上げ、
前記液排出工程では、前記ポンプ装置により前記医療用チューブ内に気体を送り込むことにより、前記医療用チューブ内の前記コーティング液を下方に移動させ前記液槽内に排出する、請求項3に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項5】
前記ポンプ装置は、シリンダ内にピストンが押し引き可能に挿入されたシリンダ装置であり、
前記シリンダ装置は、前記ピストンを引くことにより前記医療用チューブ内の気体を吸い出し、前記ピストンを押し込むことにより前記医療用チューブ内に気体を送り込むものであり、
前記ピストンは駆動装置により押し引きされるようになっており、
前記駆動装置は、前記ピストンの押し込み速度を制御可能となっており、
前記液排出工程では、前記ピストンを前記駆動装置により所定の押し込み速度で押し込むことにより、前記ピストンの先端部と前記医療用チューブ内の前記コーティング液の液面との間に閉じ込められた気体を当該コーティング液側に送ることで、当該コーティング液を下方に移動させ排出する、請求項4に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項6】
前記ポンプ装置は、前記医療用チューブの上端部が着脱可能に接続される接続具に配管を介して接続されており、
前記接続工程では、前記医療用チューブの上端部を前記接続具に接続することにより、前記医療用チューブの上端部を前記配管を介して前記ポンプ装置に接続し、
前記接続工程は、前記医療用チューブの上端部を前記接続具に接続することにより、前記医療用チューブを前記接続具に吊り下げた状態で保持する前記保持工程である、請求項4に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項7】
前記液排出工程では、前記医療用チューブの下端を前記液槽内の前記コーティング液の液面よりも上方に位置させた状態で、前記医療用チューブ内から前記コーティング液を排出する、請求項3に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項8】
前記保持工程では、前記医療用チューブの上端において前記医療用チューブ内を外部に開放させた状態で前記医療用チューブを保持し、
前記液導入工程は、前記コーティング液を前記医療用チューブの下端から前記医療用チューブ内に注入する液注入工程である、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項9】
前記医療用チューブの下端部をポンプ装置に接続する接続工程を備え、
前記ポンプ装置は、前記接続工程による接続状態で、前記医療用チューブ内への前記コーティング液の注入及び前記医療用チューブ内からの前記コーティング液の吸い出しの両方を行うことが可能であり、
前記液注入工程では、前記ポンプ装置により前記医療用チューブ内に前記コーティング液を注入し、
前記液排出工程では、前記ポンプ装置により前記医療用チューブ内から前記コーティング液を吸い出して排出する、請求項8に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項10】
前記ポンプ装置は、シリンダ内にピストンが押し引き可能に挿入されたシリンダ装置であり、
前記シリンダ装置は、前記ピストンを押し込むことにより前記医療用チューブ内に前記コーティング液を注入し、前記ピストンを引くことにより前記医療用チューブ内から前記コーティング液を吸い出すものであり、
前記ピストンは駆動装置により押し引きされるようになっており、
前記駆動装置は、前記ピストンの引き込み速度を制御可能となっており、
前記液排出工程では、前記ピストンを前記駆動装置により所定の引き込み速度で引くことにより、前記医療用チューブ内から前記コーティング液を吸い出して排出する、請求項9に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項11】
気密性を有する容器内に前記コーティング液が貯留されており、
前記容器の上板部には、前記医療用チューブを挿通可能な挿通孔が複数形成されており、
前記保持工程では、複数の前記医療用チューブをそれぞれ前記各挿通孔に気密状態で挿通するとともに、前記各医療用チューブの下端側を前記容器内の前記コーティング液の中に入れた状態で前記各医療用チューブを保持し、かつ前記各医療用チューブの上端において前記医療用チューブ内をそれぞれ外部に開放させた状態とし、
前記液導入工程では、前記容器内の圧力を圧力調整装置により上昇させることにより、前記容器内の前記コーティング液を前記各医療用チューブの下端より前記各医療用チューブ内にそれぞれ押し上げて導入し、
前記液排出工程では、前記圧力調整装置により前記容器内の圧力を低下させることにより、前記各医療用チューブ内の前記コーティング液をそれぞれ流下させ前記各医療用チューブの下端より前記容器内に排出させる、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項12】
前記コーティング層は、内側コーティング層であり、
前記医療用チューブの外面に前記コーティング液とは異なるコーティング液により外側コーティング層を形成する外側コーティング工程を備える、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項13】
前記液排出工程では、前記コーティング液の排出途中で前記コーティング液の排出速度を変化させる、請求項1に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項14】
前記医療用チューブの内部には線状部材が挿通される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のコーティング付きチューブの製造方法。
【請求項15】
チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造方法であって、
前記チューブを上下方向に延びる向きで、かつ前記チューブの下端側を液槽に貯留されたコーティング液の中に入れた状態で保持する保持工程と、
前記保持された前記チューブの上端側から前記チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記チューブの下端から前記チューブ内に吸い上げる液吸上げ工程と、
前記チューブの内部に吸い上げられた前記コーティング液を前記チューブの下端から前記液槽内に排出することにより、前記チューブの内面に前記コーティング液が膜状に付着された状態を形成する液排出工程と、
前記付着された前記コーティング液を乾燥させて固化させることにより、前記チューブの内面に前記コーティング層を形成する乾燥工程と、
を備え
さらに、前記チューブの上端部を、シリンダ内にピストンが押し引き可能に挿入されたシリンダ装置に接続する接続工程を備え、
前記シリンダ装置は、前記ピストンを引くことにより前記チューブ内の気体を吸い出し、前記ピストンを押し込むことにより前記チューブ内に気体を送り込むものであり、
前記液吸上げ工程では、前記シリンダ装置により前記チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記チューブ内に吸い上げ、
前記ピストンは駆動装置により押し引きされるようになっており、
前記駆動装置は、前記ピストンの押し込み速度を制御可能となっており、
前記液排出工程では、前記ピストンを前記駆動装置により所定の押し込み速度で押し込むことにより、前記ピストンの先端部と前記チューブ内の前記コーティング液の液面との間に閉じ込められた気体を当該コーティング液側に送ることで、当該コーティング液を下方に移動させ排出する、コーティング付きチューブの製造方法。
【請求項16】
体内に導入される医療用チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造装置であって、
前記医療用チューブを上下方向に延びる向きで保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記医療用チューブの下端から前記医療用チューブ内にコーティング液を導入する液導入手段と、
前記医療用チューブ内に導入された前記コーティング液を前記医療用チューブの下端から排出させることにより、前記医療用チューブの内面に前記コーティング液が膜状に付着された状態を形成する液排出手段と、
前記付着された前記コーティング液を乾燥させて固化させることにより、前記医療用チューブの内面に前記コーティング層を形成する乾燥手段と、
を備える、コーティング付きチューブの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月6日に出願された日本出願番号2021-112398号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
体内に導入されて用いられる医療用チューブには、その内側にガイドワイヤ等の線状部材が挿通されるものがある。かかるチューブでは、線状部材を挿通する際の摺動抵抗を低減させるため、チューブの内面にコーティング層が形成される場合がある。チューブの内面にコーティング層を形成する場合、まずチューブの内部にコーティング液を導入することによりチューブの内面にコーティング液を付着させる。そして、その後、付着したコーティング液を乾燥させ固化させることにより、チューブの内面にコーティング層を形成する。
【0004】
チューブの内面にコーティングを行う方法としては、例えばコーティング液が貯留された液槽内にチューブを横向きで浸漬することにより、チューブ内にコーティング液を導入してコーティングを行う方法がある。
【0005】
また、特許文献1には、上下に延びる向きで保持したチューブの上端よりコーティング液をチューブ内に導入してコーティングを行う方法が開示されている。この特許文献1の方法では、所定量のコーティング液をチューブ内に導入した後、チューブの上端から陽圧の気体を導入し、その導入した気体によりコーティング液を下方に押しながら移動させることでチューブの内面にコーティングを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-121618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液槽内のコーティング液にチューブを浸漬することによりコーティングを行う方法では、チューブをコーティング液に浸漬してチューブ内にコーティング液を導入する際に、もともとチューブ内に存在していた空気がチューブ内から抜け切らず残ってしまうおそれがある。その場合、その残った空気がコーティング液の内部に残留気泡として残ることになり、その残留気泡が存在する箇所ではチューブの内面にコーティング液が接触せず、コーティングが行われないおそれがある。つまり、この場合、チューブの内面に未コーティング部分が発生するおそれがある。
【0008】
また、特許文献1のコーティング方法では、所定量のコーティング液をチューブの上端からチューブ内に導入した後、チューブ内においてコーティング液よりも下方には空気が存在することになる。そして、かかる状態で、チューブの上端から陽圧の気体が導入されることになる。ここで、チューブ内においてコーティング液よりも下方にある空気は上方へ移動しようとするため、コーティング液が陽圧の気体により下方に押されて移動する際に、コーティング液の流れが上記の空気により乱れるおそれがある。その場合、チューブ71の内面に付着されるコーティング液の厚みにむらが生じることが想定され、ひいては、図10(a)及び(b)に示すように、チューブ71の内面に形成されるコーティング層72の厚みにむらが生じることが想定される。
【0009】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チューブの内面にコーティング層を形成する場合に、コーティングむらが発生するのを防止することができるコーティング付きチューブの製造方法及び製造装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、第1の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造方法であって、前記チューブを上下方向に延びる向きで保持する保持工程と、前記保持された前記チューブの内部に前記チューブの下端からコーティング液を導入する液導入工程と、前記チューブの内部に導入された前記コーティング液を前記チューブの下端から排出することにより、前記チューブの内面に前記コーティング液が膜状に付着された状態を形成する液排出工程と、前記付着された前記コーティング液を乾燥させて固化させることにより、前記チューブの内面に前記コーティング層を形成する乾燥工程と、を備える。
【0011】
第1の開示によれば、チューブが上下方向に延びる向きで保持され、その保持されたチューブの内部にチューブの下端からコーティング液が導入される。この場合、コーティング液がチューブ内に導入される際、チューブ内に存在する空気等の気体がチューブの上端から排出されながらコーティング液がチューブ内に導入されることになる。そのため、導入されたコーティング液の中に気泡が残留するのを防止することができる。その結果、コーティング液をチューブの内面にむらなく、すなわち未コーティング部分がないように付着させることができる。
【0012】
また、コーティング液の中に気泡が残留していない状態で、コーティング液がチューブの下端より排出されるため、コーティング液が排出される際の液の流れに乱れが生じるのを防止することができる。そのため、コーティング液の排出により、チューブの内面に膜状に付着されるコーティング液の厚みにむらが生じるのを防止することができる。よって、以上より、上記付着されたコーティング液を乾燥させて得られるコーティング層について、コーティングむらが発生するのを防止することができる。
【0013】
第2の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1の開示において、前記液排出工程では、前記コーティング液の排出速度を所定の速度に制御した状態で、前記コーティング液を前記チューブ内から排出する。
【0014】
コーティング液の排出によりチューブの内面に付着されるコーティング液の厚みは、コーティング液が排出される際にコーティング液の液面が降下する降下速度に依存すると考えられ、つまりはコーティング液の排出速度に依存すると考えられる。そこで、第2の開示では、このような点に着目し、コーティング液の排出速度を所定の速度に制御(調整)した状態で、コーティング液をチューブ内から排出するようにしている。この場合、チューブの内面に付着されるコーティング液の厚みを所望の厚みにすることができ、ひいてはチューブの内面に形成されるコーティング層の厚みを所望の厚みにすることができる。
【0015】
第3の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1又は第2の開示において、前記保持工程では、前記チューブの下端側を液槽に貯留された前記コーティング液の中に入れた状態で前記チューブを保持し、前記液導入工程は、前記チューブの上端側から前記チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記チューブの下端から前記チューブ内に吸い上げる液吸上げ工程である。
【0016】
第3の開示によれば、チューブの下端側が液槽内のコーティング液に入れられた状態でチューブが保持される。また、その保持状態でチューブの上端側からチューブ内の気体が吸い出されることにより、液槽内のコーティング液がチューブの下端からチューブ内に吸い上げられ導入される。この場合、コーティング液をチューブ内に導入するにあたり、チューブ内の気体をチューブの上端から積極的に排出しながら導入することができる。そのため、導入されるコーティング液の中に気泡が残留するのをより確実に防止することができる。これにより、残留気泡に起因するコーティングむらの発生をより確実に防止することができる。
【0017】
第4の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第3の開示において、前記チューブの上端部をポンプ装置に接続する接続工程を備え、前記ポンプ装置は、前記接続工程による接続状態で、前記チューブ内の気体の吸い出しと、前記チューブ内への気体の送り込みとの両方を行うことが可能であり、前記液吸上げ工程では、前記ポンプ装置により前記チューブ内の気体を吸い出すことにより、前記液槽内の前記コーティング液を前記チューブ内に吸い上げ、前記液排出工程では、前記ポンプ装置により前記チューブ内に気体を送り込むことにより、前記チューブ内の前記コーティング液を下方に移動させ前記液槽内に排出する。
【0018】
第4の開示によれば、チューブ内へのコーティング液の吸い上げ、及びチューブ内からのコーティング液の排出を同じポンプ装置を用いて行うことができる。このため、製造装置の簡素化を図ることができる。なお、「チューブの上端部をポンプ装置に接続する」とは、チューブの上端部をポンプ装置に直接接続する場合だけでなく、チューブの上端部をポンプ装置に配管等の接続部材を介して接続する場合をも含む意味である。
【0019】
第5の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第4の開示において、前記ポンプ装置は、シリンダ内にピストンが押し引き可能に挿入されたシリンダ装置であり、前記シリンダ装置は、前記ピストンを引くことにより前記チューブ内の気体を吸い出し、前記ピストンを押し込むことにより前記チューブ内に気体を送り込むものであり、前記ピストンは駆動装置により押し引きされるようになっており、前記駆動装置は、前記ピストンの押し込み速度を制御可能となっており、前記液排出工程では、前記ピストンを前記駆動装置により所定の押し込み速度で押し込むことにより、前記ピストンの先端部と前記チューブ内の前記コーティング液の液面との間に閉じ込められた気体を当該コーティング液側に送ることで、当該コーティング液を下方に移動させ排出する。
【0020】
第5の開示によれば、シリンダ装置のピストンが押し込まれることにより、チューブ内に気体(空気等)が送り込まれることでチューブ内のコーティング液が下方に移動し排出される。具体的には、ピストンが駆動装置により所定の押し込み速度で押し込まれることにより、ピストンの先端部とコーティング液の液面との間に閉じ込められた気体がコーティング液側に送られることで、コーティング液が下方に移動し排出される。この場合、コーティング液の排出速度は、閉じ込められた気体が送られる速度に依存し、ひいてはピストンの押し込み速度に依存すると考えられる。そのため、ピストンの押し込み速度を制御することにより、コーティング液の排出速度を高精度に制御することができる。これにより、チューブの内面に付着されるコーティング液の厚みを高精度に調整することができ、ひいてはチューブの内面に形成されるコーティング層の厚みを高精度に調整することができる。
【0021】
第6の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第4又は第5の開示において、前記ポンプ装置は、前記チューブの上端部が着脱可能に接続される接続具に配管を介して接続されており、前記接続工程では、前記チューブの上端部を前記接続具に接続することにより、前記チューブの上端部を前記配管を介して前記ポンプ装置に接続し、前記接続工程は、前記チューブの上端部を前記接続具に接続することにより、前記チューブを前記接続具に吊り下げた状態で保持する前記保持工程である。
【0022】
第6の開示によれば、チューブの上端部が接続具に接続されることにより、チューブが接続具に吊り下げられた状態で保持される。この場合、チューブの接続と保持とを一挙に行うことができるため、コーティングの前作業について効率化を図ることができる。
【0023】
第7の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第3乃至第6のいずれかの開示において、前記液排出工程では、前記チューブの下端を前記液槽内の前記コーティング液の液面よりも上方に位置させた状態で、前記チューブ内から前記コーティング液を排出する。
【0024】
ところで、チューブの下端側を液槽内のコーティング液の中に入れたままチューブ内からコーティング液を排出する場合には、排出の際にチューブの下端側においてチューブの内面にコーティング液が多く付着してしまうおそれがある。その場合、コーティング層の厚みがチューブの下端側で大きくなってしまうおそれがある。その点、第7の開示では、チューブの下端が液槽内のコーティング液の液面よりも上方に位置した状態で、コーティング液をチューブ内から排出するようにしているため、排出の際にチューブの下端側でコーティング液が多く付着してしまうのを防止することができる。そのため、コーティング層の厚みがチューブの下端側で大きくなってしまうのを防止することができる。
【0025】
第8の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1又は第2の開示において、前記保持工程では、前記チューブの上端において前記チューブ内を外部に開放させた状態で前記チューブを保持し、前記液導入工程は、前記コーティング液を前記チューブの下端から前記チューブ内に注入する液注入工程である。
【0026】
第8の開示によれば、チューブの上端においてチューブ内が外部に開放された状態でチューブが保持され、その保持状態でコーティング液がチューブの下端からチューブ内に注入される。この場合、コーティング液の注入に伴い、チューブ内の気体をチューブの上端から速やかに排出することができる。そのため、注入されたコーティング液内に気泡が残留するのを好適に防止することができる。これにより、残留気泡に起因するコーティングむらの発生を好適に防止することができる。
【0027】
また、上記の方法によれば、チューブ内にコーティング液を導入する際に必要なコーティング液の総量を少なくすることができ、しかも、コーティング液を溜める液槽を不要とすることができるため、製造装置の簡素化を図ることもできる。
【0028】
第9の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第8の開示において、前記チューブの下端部をポンプ装置に接続する接続工程を備え、前記ポンプ装置は、前記接続工程による接続状態で、前記チューブ内への前記コーティング液の注入及び前記チューブ内からの前記コーティング液の吸い出しの両方を行うことが可能であり、前記液注入工程では、前記ポンプ装置により前記チューブ内に前記コーティング液を注入し、前記液排出工程では、前記ポンプ装置により前記チューブ内から前記コーティング液を吸い出して排出する。
【0029】
第9の開示によれば、チューブ内へのコーティング液の注入、及びチューブ内からのコーティング液の排出を同じポンプ装置を用いて行うことができる。このため、製造装置の簡素化を図ることができる。なお、「チューブの下端部をポンプ装置に接続する」とは、チューブの下端部をポンプ装置に直接接続する場合だけでなく、チューブの下端部をポンプ装置に配管等の接続部材を介して接続する場合をも含む意味である。
【0030】
第10の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第9の開示において、前記ポンプ装置は、シリンダ内にピストンが押し引き可能に挿入されたシリンダ装置であり、前記シリンダ装置は、前記ピストンを押し込むことにより前記チューブ内に前記コーティング液を注入し、前記ピストンを引くことにより前記チューブ内から前記コーティング液を吸い出すものであり、前記ピストンは駆動装置により押し引きされるようになっており、前記駆動装置は、前記ピストンの引き込み速度を制御可能となっており、前記液排出工程では、前記ピストンを前記駆動装置により所定の引き込み速度で引くことにより、前記チューブ内から前記コーティング液を吸い出して排出する。
【0031】
第10の開示によれば、シリンダ装置のピストンが引かれることにより、チューブ内のコーティング液が吸い出され排出される。具体的には、ピストンが駆動装置を用いて所定の引き込み速度で引かれることにより、チューブ内からコーティング液が排出される。この場合、チューブ内から排出されるコーティング液の排出速度は、ピストンの引き込み速度に依存すると考えられる。そのため、ピストンの引き込み速度を制御することにより、コーティング液の排出速度を高精度に制御することができる。これにより、チューブの内面に付着されるコーティング液の厚みを高精度に調整することができ、ひいてはチューブの内面に形成されるコーティング層の厚みを高精度に調整することができる。
【0032】
第11の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1又は第2の開示において、気密性を有する容器内に前記コーティング液が貯留されており、前記容器の上板部には、前記チューブを挿通可能な挿通孔が複数形成されており、前記保持工程では、複数の前記チューブをそれぞれ前記各挿通孔に気密状態で挿通するとともに、前記各チューブの下端側を前記容器内の前記コーティング液の中に入れた状態で前記各チューブを保持し、かつ前記各チューブの上端において前記チューブ内をそれぞれ外部に開放させた状態とし、前記液導入工程では、前記容器内の圧力を圧力調整装置により上昇させることにより、前記容器内の前記コーティング液を前記各チューブの下端より前記各チューブ内にそれぞれ押し上げて導入し、前記液排出工程では、前記圧力調整装置により前記容器内の圧力を低下させることにより、前記各チューブ内の前記コーティング液をそれぞれ流下させ前記各チューブの下端より前記容器内に排出させる。
【0033】
第11の開示によれば、容器内の圧力が圧力調整装置により上昇されることにより、容器内のコーティング液が各チューブ内にそれぞれ押し上げられ導入される。また、容器内の圧力が圧力調整装置により低下されることにより、各チューブ内のコーティング液がそれぞれ流下し、容器内に排出される。この場合、複数のチューブに対してコーティング液の導入及び排出を一挙に行うことができるため、コーティング作業を効率よく行うことができる。
【0034】
第12の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1乃至第11のいずれかの開示において、前記コーティング層は、内側コーティング層であり、前記チューブの外面に前記コーティング液とは異なるコーティング液により外側コーティング層を形成する外側コーティング工程を備える。
【0035】
コーティング付きのチューブには、その内面に加え外面にもコーティング層が形成されるものがある。この場合、外面のコーティング層(外側コーティング層)は、内面のコーティング層(内側コーティング層)を形成するコーティング液とは異なるコーティング液を用いて形成されることがある。ここで、チューブをコーティング液に浸漬することにより内側コーティング層を形成する従来の方法では、浸漬の際に、チューブの外面に内側コーティング用のコーティング液が付着しないよう、チューブの外面をマスキング等により覆う必要があると考えられる。その場合、コーティングの作業に大きな手間が生じることが考えられる。
【0036】
その点、第12の開示では、上述したように、チューブの下端からチューブ内にコーティング液を導入することにより、内側コーティング層を形成するようにしている。そのため、内側コーティング層を形成するに際し、チューブの外面をマスキング等により覆う必要がなく、コーティング作業を容易に行うことが可能となる。
【0037】
第13の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1乃至第12のいずれかの開示において、前記液排出工程では、前記コーティング液の排出途中で前記コーティング液の排出速度を変化させる。
【0038】
第13の開示によれば、コーティング液がチューブ内から排出される排出途中で、コーティング液の排出速度が変化するため、排出によってチューブの内面に付着されるコーティング液の厚みをチューブの長さ方向の途中で変化させることが可能となる。この場合、チューブ内面に形成されるコーティング層の厚みをチューブの長さ方向において変化させることができるため、コーティング層の形成の仕方について多様化を図ることができる。
【0039】
第14の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第1乃至第13のいずれかの開示において、前記チューブは、体内に導入される医療用チューブである。
【0040】
体内に導入されるカテーテルチューブ等の医療用チューブは、その径が極めて小さい。そのため、チューブをコーティング液槽に浸漬する等してコーティング液をチューブ内に導入する際、チューブ内の気泡が特に抜けにくいことが考えられる。その点、第14の開示では、こうした医療用チューブをコーティングする際に第1の開示を適用しているため、医療用チューブの内面にコーティングを行うにあたりコーティングむらが生じるのを好適に防止することができる。
【0041】
第15の開示のコーティング付きチューブの製造方法は、第14の開示において、前記医療用チューブの内部には線状部材が挿通される。
【0042】
体内に導入される医療用チューブには、その内部にガイドワイヤや他のチューブといった線状部材が導入されるものがある。こうした医療用チューブでは、線状部材を導入する際の摺動抵抗を低減させるため、チューブの内面にコーティング層が形成されることがある。このようなコーティング付きの医療用チューブでは、コーティング層の厚みにむらがあって、コーティング層に凹凸が生じていると、線状部材をチューブ内に導入する際、線状部材の先端が凹凸に引っかかり、線状部材を上手く導入できないことが想定される。その点、第15の開示では、こうした医療用チューブに第1の開示を適用しているため、コーティング層の厚みにむらが生じるのを防止することができ、ひいてはコーティング層に凹凸が生じるのを防止することができる。これにより、線状部材を導入する際、先端がコーティング層に引っかかることがなく、導入作業を好適に行うことが可能となる。
【0043】
第16の開示のコーティング付きチューブの製造装置は、チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブの製造装置であって、前記チューブを上下方向に延びる向きで保持する保持手段と、前記保持手段により保持された前記チューブの下端から前記チューブ内にコーティング液を導入する液導入手段と、前記チューブ内に導入された前記コーティング液を前記チューブの下端から排出させることにより、前記チューブの内面に前記コーティング液が膜状に付着された状態を形成する液排出手段と、前記付着された前記コーティング液を乾燥させて固化させることにより、前記チューブの内面に前記コーティング層を形成する乾燥手段と、を備える。
【0044】
第16の開示の製造装置を用いて、チューブの内面にコーティング層を形成することにより、上記第1の開示と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。
図1】第1の実施形態における製造装置の全体構成を示す図。
図2】複数の接続具が支持台に支持された状態を示す図。
図3】コーティング付きチューブの製造方法を説明するための図。
図4】コーティング付きチューブの断面を示す横断面図。
図5】第2の実施形態における製造装置の全体構成を示す図。
図6】コーティング付きチューブの製造方法を説明するための図。
図7】(a)が第3の実施形態における製造装置の全体構成を示す図であり、(b)が容器の上板部の挿通孔にチューブが挿通された状態を示す縦断面図。
図8】コーティング付きチューブの製造方法を説明するための図。
図9】他の実施形態における製造装置の全体構成を示す図。
図10】(a)が特許文献1のコーティング方法によりチューブ内に形成されるコーティング層を示す横断面図であり、(b)が縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[第1の実施形態]
以下に、本開示を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、チューブの内面にコーティング層が形成されたコーティング付きチューブを製造する製造方法について具体化している。そこで、まず、コーティング付きチューブ30について図4に基づき簡単に説明する。なお、図4は、コーティング付きチューブ30の断面を示す横断面図である。
【0047】
図4に示すように、コーティング付きチューブ30は、チューブ31と、チューブ31の内面(内周面)に形成された内側コーティング層32と、チューブ31の外面(外周面)に形成された外側コーティング層33とを備える。チューブ31は、患者の体内(例えば血管内)に導入されて用いられる医療用チューブとなっている。詳しくは、チューブ31は、その内部に線状部材としてのガイドワイヤGが挿通されるカテーテルチューブとなっている。なお、チューブ31としては、例えばガイディングカテーテルやバルーンカテーテル、造影カテーテル、尿管ステント等を用いることができる。
【0048】
チューブ31は、樹脂材料により円管状に形成され、その内側に長さ方向全域に亘って延びる管孔31aを有している。管孔31aは、チューブ31の両端においてそれぞれ開放されている。チューブ31は、長さ方向全域に亘って直線状に形成され、内径及び外径がそれぞれ長さ方向全域に亘って一定とされている。チューブ31の内径は3.0mm以下とされ、詳しくは2.3mm以下とされている。また、チューブ31の長さは、100mm~2000mm程度とされている。
【0049】
内側コーティング層32は、チューブ31の内面全域に形成されている。内側コーティング層32は、親水性のコーティング液32aを用いて形成され、チューブ31よりも摩擦係数が小さくなっている。これにより、ガイドワイヤGをチューブ31の内部に導入する際の摺動抵抗の低減が図られている。なお、内側コーティング層32が「コーティング層」に相当する。
【0050】
外側コーティング層33は、チューブ31の外面全域に形成されている。外側コーティング層33は、親水性のコーティング液33aを用いて形成され、チューブ31よりも摩擦係数が小さくなっている。これにより、チューブ31を体内に導入する際の摺動抵抗の低減が図られている。また、コーティング液33aとしては、内側コーティング層32のコーティング液32aと異なるものが用いられている。
【0051】
次に、コーティング付きチューブ30を製造する製造装置10について説明する。製造装置10は、チューブ31の内面に内側コーティング層32を形成する装置である。図1は製造装置10の全体構成を示す図であり、図2は複数の接続具11が支持台17に支持された状態を示す図である。なお、図1及び図2では、説明の便宜上、コーティング対象であるチューブ31を二点鎖線(仮想線)で示している。以下、これら図1及び図2に基づいて製造装置10の説明を行う。
【0052】
図1に示すように、製造装置10は、チューブ31の上端部が接続される接続具11と、コーティング液32aが貯留された液槽12と、チューブ31の内部にコーティング液32aを導入するためのシリンジ装置13と、チューブ31内に付着されたコーティング液32aを乾燥させるための乾燥装置14とを備える。
【0053】
接続具11は、チューブ31の上端部が着脱可能に接続される接続口15を有している。接続口15は下方に開口され、その接続口15にチューブ31の上端部が下方から挿し込まれ接続されるようになっている。かかる接続状態では、チューブ31が接続具11により吊り下げられた状態で保持される。そのため、チューブ31は、その長さ方向を上下方向に向けた状態で、詳しくは長さ方向を鉛直方向に向けた状態で保持される。なお、接続具11が「保持手段」に相当する。
【0054】
液槽12は、上方が開口された槽であり、接続具11の真下に配置されている。液槽12に貯留されたコーティング液32aの中には、接続具11により保持されたチューブ31の下端側が入り込むようになっている。
【0055】
接続具11は、図2に示すように、左右に複数並べられた状態で支持台17に取り付けられている。これにより、本製造装置10では、各接続具11にそれぞれチューブ31を接続し保持させた状態で、それら各チューブ31のコーティングを行えるようになっている。
【0056】
支持台17は、上下方向に延びる支持レール18に支持され、その支持状態で支持レール18に沿って上下動可能とされている。そのため、支持台17を上下動させることにより、接続具11に保持されたチューブ31を上下に移動させることが可能となっている。具体的には、チューブ31を、その下端が液槽12内のコーティング液32aの液面よりも下方に位置する下位置と、下端がコーティング液32aの液面よりも上方に位置する上位置との間で移動させることが可能となっている。図2の例では、左側の支持台17の各接続具11に保持されたチューブ31が下位置に位置しており、右側の支持台17の各接続具11に保持されたチューブ31が上位置に位置している。
【0057】
図1の説明に戻って、接続具11には、配管21を介してシリンジ装置13が接続されている。シリンジ装置13は、円筒状のシリンジ13aと、シリンジ13a内に挿入されたピストン13bとを有している。シリンジ13aは、配管21を介して接続具11と接続されている。ピストン13bは、シリンジ13a内において押し引き可能に設けられている。ピストン13bの先端部にはゴム製のガスケット19が固定されている。このガスケット19によりピストン13bの先端部とシリンジ13aとの隙間がシールされている。なお、シリンジ装置13が、請求項4に記載の「ポンプ装置」及び請求項5に記載の「シリンダ装置」に相当する。また、シリンジ13aが、請求項5に記載の「シリンダ」に相当する。
【0058】
接続具11にチューブ31の上端部が接続された状態では、チューブ31の上端部が接続具11及び配管21を介してシリンジ装置13と接続される。この場合、チューブ31の下端側を液槽12内のコーティング液32aの中に入れた状態で、シリンジ装置13のピストン13bが引かれると、チューブ31内の空気がチューブ31の上端から吸い出され、それに伴い液槽12内のコーティング液32aがチューブ31の下端からチューブ31内に吸い上げられる(図3(b)参照)。また、コーティング液32aが吸い上げられた後、シリンジ装置13のピストン13bが押し込まれると、チューブ31の上端からチューブ31内に空気が送り込まれ、それに伴いチューブ31内のコーティング液32aが下方に押されてチューブ31の下端から液槽12内へ排出される(図3(c)参照)。これにより、チューブ31の内面にコーティング液32aが膜状に付着される。なお、シリンジ装置13が「液導入手段」及び「液排出手段」に相当する。
【0059】
シリンジ装置13のピストン13bは、駆動装置23により押し引き動作される。図示は省略するが、駆動装置23は、ピストン13bの基端部に取り付けられた可動部と、可動部を駆動することによりピストン13bを押し引き動作するモータ等の駆動部とを有している。駆動装置23は、ピストン13bを押し引きする速度を制御可能(調整可能)となっている。つまり、駆動装置23は、ピストン13bの押し込み速度及び引き込み速度をそれぞれ制御可能となっている。なお、駆動装置23が、請求項5に記載の「駆動装置」に相当する。
【0060】
上記配管21の途中には、乾燥装置14が配管25を介して接続されている。乾燥装置14は、配管25及び接続具11を介して乾燥空気をチューブ31内に供給するものである。この乾燥空気により、チューブ31の内面に付着されたコーティング液32aが乾燥され固化されることにより、チューブ31の内面に内側コーティング層32が形成される。なお、乾燥装置14が「乾燥手段」に相当する。
【0061】
各配管21,25の接続部分には切替弁26が設けられている。切替弁26は、例えば三方弁からなる。切替弁26は、接続具11に通じる流路を切り替えるものであり、ひいてはチューブ31内に通じる流路を切り替えるものである。具体的には、切替弁26は、接続具11に通じる流路を、配管21を介してシリンジ装置13から接続具11に通じるシリンジ用流路27と、配管25を介して乾燥装置14から接続具11に通じる乾燥用流路28とに切り替えるものとなっている。シリンジ装置13を用いてチューブ31内の空気の吸い込み又はチューブ31内への空気の送り込みを行う際には、接続具11に通じる流路がシリンジ用流路27に切り替えられ、乾燥装置14よりチューブ31内に乾燥空気を送る際には、接続具11に通じる流路が乾燥用流路28に切り替えられる。なお、シリンジ用流路27に切り替えられた状態では、シリンジ用流路27から乾燥装置14側への空気の流通が遮断され、乾燥用流路28に切り替えられた状態では、乾燥用流路28からシリンジ装置13側への空気の流通が遮断される。
【0062】
次に、コーティング付きチューブ30の製造方法について説明する。図3は、コーティング付きチューブ30の製造方法を説明するための図である。なお、図3では便宜上、駆動装置23の図示を省略している。
【0063】
まず、図3(a)に示すように、チューブ31の上端部を接続具11に接続する接続工程を行う。接続工程では、チューブ31の長さ方向を上下方向(鉛直方向)に向けた状態で、チューブ31の上端部を接続具11の接続口15に接続する。これにより、チューブ31が接続具11及び配管21を介してシリンジ装置13に接続される。なお、接続具11に通じる流路は、あらかじめシリンジ用流路27に切り替えておく。また、接続工程が、請求項4に記載の「接続工程」に相当する。
【0064】
接続工程では、チューブ31の上端部が接続具11に接続されることにより、チューブ31が接続具11に吊り下げられた状態で保持される。この場合、チューブ31は上下方向に延びる向きで保持される。したがって、接続工程は保持工程にも相当する。また、接続工程では、接続具11を支持する支持台17を下位置に位置させることにより、チューブ31の下端側を液槽12内のコーティング液32aの中に入れた状態とする。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、シリンジ装置13のピストン13bを引くことにより、チューブ31内の空気を吸い込むことで、液槽12内のコーティング液32aをチューブ31の下端からチューブ31内に吸い上げる液吸上げ工程を行う。これにより、チューブ31内にコーティング液32aが導入される。また、液導入工程では、駆動装置23によりピストン13bを所定の引き込み速度で引くことにより、チューブ31内へのコーティング液32aの吸い上げが行われる。なお、この場合、所定の引き込み速度は、チューブ31に内側への潰れが生じない程度の速度とする。
【0066】
また、液吸上げ工程では、例えばコーティング液32aの液面がチューブ31の上端付近に達するまでコーティング液32aを吸い上げる。チューブ31においてコーティング液32aの液面よりも上方の部分はコーティングが行われない余剰部分であり、その余剰部分は内側コーティング層32が形成された後、カットされる。なお、この点は、後述する第2の実施形態及び第3の実施形態においても同様である。
【0067】
次に、図3(c)に示すように、シリンジ装置13のピストン13bを押し込むことにより、チューブ31内に空気を送り込むことで、液吸上げ工程によりチューブ31内に導入されたコーティング液32aを下方に移動させ液槽12内に排出する液排出工程を行う。液排出工程では、接続具11を支持する支持台17を上位置に位置させることにより、チューブ31の下端を液槽12内のコーティング液32aの液面よりも上方に位置させた状態で、チューブ31内からコーティング液32aを排出する。チューブ31内からコーティング液32aを排出することにより、チューブ31の内面にはコーティング液32aが膜状に付着された状態が形成される。
【0068】
詳しくは、液排出工程では、駆動装置23によりピストン13bを所定の押し込み速度で押し込むことにより、ピストン13bの先端部(詳しくはガスケット19)とチューブ31内のコーティング液32aの液面との間に閉じ込められた空気Sをコーティング液32a側に送ることで、当該コーティング液32aを下方に押しやりながら移動させ排出するようになっている。ここで、このような方法で、コーティング液32aをチューブ31内から排出する場合には、コーティング液32aの排出速度(換言すると、コーティング液32aの移動速度)が、上記閉じ込められた空気Sの送り速度、ひいてはピストン13bの押し込み速度に依存することになると考えられる。詳しくは、コーティング液32aの排出速度が、ピストン13bの押し込み速度とリニアな関係になると考えられる。そのため、ピストン13bの押し込み速度を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を制御することが可能となる。そして、本実施形態では、コーティング液32aの排出速度を所定の速度(一定の速度)に制御した状態で、コーティング液32aをチューブ31内から排出するようにしている。
【0069】
より詳しくは、チューブ31内からのコーティング液32aの排出によりチューブ31の内面に膜状に付着されるコーティング液32aの厚みは、コーティング液32aが排出される際にコーティング液32aの液面が降下する降下速度に依存すると考えられ、つまりはコーティング液32aの排出速度(移動速度)に依存すると考えられる。さらに言うと、チューブ31の内面に付着されるコーティング液32aの厚みは、そのコーティング液32aが乾燥することにより形成される内側コーティング層32の厚みに対応するため、結局のところ、チューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みは、コーティング液32aの排出速度に依存すると考えられる。そこで、本実施形態では、このような内側コーティング層32の厚みとコーティング液32aの排出速度との関係性を利用して、コーティング液32aの排出速度を、内側コーティング層32の厚みが所望の厚みとなる速度に制御している。
【0070】
なお、上述した液排出工程は、液導入工程を行った後、すぐに行ってもよいし、液導入工程を行ってから所定時間が経過した後に行ってもよい。液導入工程の後、所定時間が経過してから液排出工程を行う場合には、液導入工程によりチューブ31内に導入されたコーティング液32aを所定時間、チューブ31内において保持する液保持工程が液導入工程と液排出工程との間に挟まれることになる。この場合、液保持工程では、ピストン13bを静止させることにより、コーティング液32aをチューブ31内にて保持させる。
【0071】
次に、図3(d)に示すように、液排出工程によりチューブ31の内面に付着されたコーティング液32aを乾燥させて固化させる乾燥工程を行う。乾燥工程ではまず、切替弁26により、接続具11に通じる流路をシリンジ用流路27から乾燥用流路28に切り替える。その後、乾燥装置14より乾燥用流路28を通じて乾燥空気をチューブ31内に供給する。これにより、供給された乾燥空気によりチューブ31内のコーティング液32aが乾燥して固化し、チューブ31の内面に内側コーティング層32が形成される。
【0072】
なお、上述した液吸上げ工程、液排出工程及び乾燥工程により、内側コーティング層32を形成する内側コーティング工程が構成されている。内側コーティング工程の後、チューブ31の上端部を接続具11から取り外す。
【0073】
次に、チューブ31の外面に外側コーティング層33を形成する外側コーティング工程を行う。図示は省略するが、外側コーティング工程では、まずチューブ31を液槽内に貯留された外側コーティング用のコーティング液33aに浸漬することにより、チューブ31の外面にコーティング液33aを付着させる。この際、チューブ31の内部にコーティング液33aが入り込むのを防ぐため、チューブ31の両端にそれぞれキャップを取り付ける。その後、チューブ31を液槽から取り出し、チューブ31の外面に付着されたコーティング液33aを乾燥させ固化させる。これにより、チューブ31の外面に外側コーティング層33が形成される。以上により、コーティング付きチューブ30が製造される。
【0074】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0075】
チューブ31を上下方向に延びる向きで保持し、その保持したチューブ31の内部にチューブ31の下端からコーティング液32aを導入するようにした。この場合、コーティング液32aがチューブ31内に導入される際、チューブ31内に存在する空気がチューブ31の上端から排出されながらコーティング液32aがチューブ31内に導入されることになる。そのため、導入されたコーティング液32aの中に気泡が残留するのを防止することができる。その結果、コーティング液32aをチューブ31の内面にむらなく、すなわち未コーティング部分がないように付着させることができる。
【0076】
また、導入されたコーティング液32aがチューブ31の下端から排出される際には、コーティング液32aの中に気泡が残留していない状態で排出されるため、コーティング液32aが排出される際の液の流れに乱れが生じるのを防止することができる。そのため、コーティング液32aの排出により、チューブ31の内面に膜状に付着されるコーティング液32aの厚みにむらが生じるのを防止することができる。よって、上記付着されたコーティング液32aを乾燥させて得られる内側コーティング層32について、コーティングむらが発生するのを防止することができる。
【0077】
チューブ31の下端側を液槽12内のコーティング液32aに入れた状態でチューブ31を保持し、その保持状態でチューブ31の上端側からチューブ31内の空気をシリンジ装置13を用いて吸い出すことにより、液槽12内のコーティング液32aをチューブ31の下端からチューブ31内に吸い上げて導入するようにした。この場合、コーティング液32aをチューブ31内に導入するにあたり、チューブ31内の空気をチューブ31の上端から積極的に排出しながら導入することができるため、導入されるコーティング液32aの中に気泡が残留するのをより確実に防止することができる。これにより、残留気泡に起因するコーティングむらの発生をより確実に防止することができる。
【0078】
チューブ31内へのコーティング液32aの吸い上げ、及びチューブ31内からのコーティング液32aの排出を同じシリンジ装置13を用いて行うようにしたため、製造装置10の簡素化を図ることができる。
【0079】
シリンジ装置13のピストン13bを駆動装置23により所定の押し込み速度で押し込むことにより、ピストン13bの先端部とコーティング液32aの液面との間に閉じ込められた空気Sをコーティング液32a側に送ることで、コーティング液32aを下方に移動させ排出するようにした。この場合、コーティング液32aの排出速度は、ピストン13bの押し込み速度に依存するため、ピストン13bの押し込み速度を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を高精度に制御することができる。これにより、チューブ31の内面に付着されるコーティング液32aの厚みを高精度に調整することができ、ひいてはチューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みを高精度に調整することができる。
【0080】
シリンジ装置13のピストン13bを駆動装置23により一定の押し込み速度で押し込むことにより、コーティング液32aの排出速度を一定の速度に制御した。これにより、チューブ31の長さ方向全域に亘って、均一な厚みで内側コーティング層32を形成することができる。
【0081】
チューブ31の下端が液槽12内のコーティング液32aの液面よりも上方に位置した状態で、コーティング液32aをチューブ31内から排出するようにした。これにより、チューブ31の下端側をコーティング液32aの中に入れた状態でコーティング液32aを排出する場合と異なり、排出の際にチューブ31の下端側でコーティング液32aが多く付着してしまうのを防止することができる。そのため、内側コーティング層32の厚みがチューブ31の下端側で大きくなってしまうのを防止することができる。
【0082】
また、チューブ31の下端側を液槽12内のコーティング液32aの中に入れたままコーティング液32aを排出する場合、排出が終わる間際で、排出中のコーティング液32aがその下端にて液槽12内のコーティング液32aから圧力を受け、コーティング液32aの液面降下に乱れが生じるおそれがある。その点、チューブ31の下端側を液槽12内のコーティング液32aの中に入れない状態でコーティング液32aを排出するようにした上記の構成では、そのような乱れが生じるのを回避することもできる。
【0083】
チューブ31の上端部を接続具11に接続することにより、チューブ31を接続具11に吊り下げた状態で保持するようにした。この場合、チューブ31の接続と保持とを一挙に行うことができるため、コーティングの前作業について効率化を図ることができる。
【0084】
チューブ31の下端からチューブ31内にコーティング液32aを導入することにより、チューブ31の内面のコーティングを行うようにしたため、チューブ31の内面及び外面にそれぞれコーティングを行う構成にあって、チューブ31の内面のコーティングを行う際に、チューブ31の外面をマスキング等により覆う必要がない。そのため、コーティング作業を容易に行うことが可能となる。
【0085】
チューブ31として、体内に導入される医療用チューブを用いた。かかるチューブ31は径が極めて小さいため、チューブ31をコーティング液槽に浸漬する等してコーティング液32aをチューブ31内に導入する場合、チューブ31内の気泡が特に抜けにくいと考えられる。その点、上記の実施形態では、こうしたチューブ31の内面をコーティングする際に、上述の製造方法を適用しているため、かかるチューブ31の内面にコーティングを行う場合であっても、コーティングむらが生じるのを好適に防止することができる。
【0086】
詳しくは、チューブ31として、その内部にガイドワイヤGが挿通される医療用チューブを用いた。この場合、かかるチューブ31に上述の製造方法を適用することにより、チューブ31内面に形成される内側コーティング層32の厚みにむらが生じるのを防止することができ、ひいては内側コーティング層32に凹凸が生じるのを防止することができる。そのため、ガイドワイヤGをチューブ31内に導入する際、先端が内側コーティング層32に引っかかることがなく、導入作業を好適に行うことが可能となる。
【0087】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、コーティング付きチューブ30の製造方法及び製造装置が上記第1の実施形態と相違する。そこで、まず、本実施形態の製造装置40について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態における製造装置40の全体構成を示す図である。なお、図5では、説明の便宜上、コーティング対象であるチューブ31を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0088】
図5に示すように、製造装置40は、チューブ31を上下方向に延びる向きで保持する保持具41と、保持具41により保持されるチューブ31の下端部が接続される接続具42と、チューブ31の内部にコーティング液32aを導入するためのシリンジ装置43とを備える。
【0089】
保持具41は、チューブ31の上端側を挟持する挟持部41aを有している。保持具41は、チューブ31の上端側を挟持部41aにより挟持することで、チューブ31を上下方向に延びる向きで保持する。なお、保持具41が「保持手段」に相当する。
【0090】
接続具42は、チューブ31の下端部が着脱可能に接続される接続口42aを有している。接続口42aは上方に開口しており、その接続口42aにチューブ31の下端部が上方から挿し込まれ接続されるようになっている。また、接続具42は、配管45を介してシリンジ装置43と接続されている。なお、図示は省略するが、保持具41と接続具42とはいずれも、取付台等に取り付けられた状態で設けられている。
【0091】
シリンジ装置43は、第1の実施形態におけるシリンジ装置13と同様の構成を有している。そのため、ここでは、シリンジ装置43について詳細な説明を割愛する。シリンジ装置43は、シリンジ43aと、シリンジ43a内に挿入されたピストン43bとを有している。シリンジ43aにはコーティング液32aが充填されている。また、シリンジ43aは、配管45を介して接続具42と接続されている。また、ピストン43bの先端部にはガスケット44が固定されている。
【0092】
なお、シリンジ装置43が、請求項9に記載の「ポンプ装置」、及び請求項10に記載の「シリンダ装置」に相当する。また、シリンジ43aが、請求項10に記載の「シリンダ」に相当する。
【0093】
シリンジ装置43のピストン43bは、駆動装置47により押し引きされる。駆動装置47は、第1の実施形態における駆動装置23と同様のものであり、ピストン43bの押し込み速度及び引き込み速度を制御可能(調整可能)となっている。なお、駆動装置47が請求項10に記載の「駆動装置」に相当する。
【0094】
接続具42にチューブ31の下端部が接続された状態では、チューブ31の下端部が接続具42及び配管45を介してシリンジ装置43に接続される。かかる接続状態で、シリンジ装置43のピストン43bが押し込まれると、シリンジ43a内のコーティング液32aが配管45を介してチューブ31内に供給される(図6(a)参照)。つまり、この場合、コーティング液32aがチューブ31の下端からチューブ31内に注入(導入)される。また、コーティング液32aがチューブ31内に導入された状態で、シリンジ装置43のピストン43bが引かれると、チューブ31内のコーティング液32aがチューブ31の下端より吸い出されて排出される(図6(b)参照)。なお、シリンジ装置43が「液導入手段」及び「液排出手段」に相当する。
【0095】
次に、コーティング付きチューブ30の製造方法について図5に加え、図6を用いて説明する。図6は、コーティング付きチューブ30の製造方法を説明するための図である。なお、図6では便宜上、駆動装置47の図示を省略している。
【0096】
まず、図5に示すように、チューブ31を上下方向に延びる向きで保持する保持工程を行う。保持工程では、チューブ31の上端側を保持具41の挟持部41aにより挟持することでチューブ31を保持する。また、保持工程では、チューブ31の上端においてチューブ31の内部を外部に開放させた状態でチューブ31を保持する。つまり、保持工程では、チューブ31の上端部に配管等の部材を何も接続しない状態でチューブ31を保持する。
【0097】
次に、チューブ31の下端部を接続具42の接続口42aに接続する接続工程を行う。これにより、チューブ31の下端部が配管45を介してシリンジ装置43と接続される。なお、接続工程が、請求項9に記載の「接続工程」に相当する。また、接続工程は、保持工程の前に行ってもよいし、保持工程と並行して行ってもよい。
【0098】
次に、図6(a)に示すように、シリンジ装置43のピストン43bを押し込むことにより、シリンジ43a内に充填されたコーティング液32aをチューブ31の下端からチューブ31内に注入する液注入工程を行う。液注入工程では、駆動装置47によりピストン43bを所定の押し込み速度で押し込むことによりチューブ31内にコーティング液32aを注入する。これにより、チューブ31内にコーティング液32aが導入される。また、液注入工程では、コーティング液32aの注入に伴い、チューブ31内に存在する空気がチューブ31の上端から排出される。
【0099】
次に、図6(b)に示すように、シリンジ装置43のピストン43bを引くことにより、チューブ31内のコーティング液32aをチューブ31の下端から吸い出して排出する液排出工程を行う。これにより、チューブ31の内面にコーティング液32aが膜状に付着された状態が形成される。
【0100】
液排出工程では、駆動装置47によりピストン43bを所定の引き込み速度で引くことにより、チューブ31内からコーティング液32aを吸い出して排出する。ここで、チューブ31内から排出されるコーティング液32aの排出速度は、ピストン43bの引き込み速度に依存する。そのため、ピストン43bの引き込み速度を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を制御することが可能となる。そこで、液排出工程では、ピストン43bの引き込み速度を所定の引き込み速度に制御することにより、コーティング液32aの排出速度を所定の速度(一定の速度)に制御している。詳しくは、コーティング液32aの排出速度を、チューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みが所望の厚みとなる速度に制御している。
【0101】
液排出工程の後、チューブ31を保持具41から取り外すとともに、チューブ31の下端部を接続具42から取り外す。
【0102】
次に、液排出工程によりチューブ31の内面に付着されたコーティング液32aを乾燥させて固化させる乾燥工程を行う。乾燥工程では、チューブ31の上端からチューブ31内に乾燥装置(乾燥手段に相当)を用いて乾燥空気を流すことによりコーティング液32aを乾燥させる。これにより、チューブ31の内面に内側コーティング層32が形成される。
【0103】
次に、チューブ31の外面に外側コーティング層33を形成する外側コーティング工程を行う。外側コーティング工程は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を割愛する。以上により、コーティング付きチューブ30が製造される。
【0104】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0105】
チューブ31の上端においてチューブ31内を外部に開放させた状態でチューブ31を保持し、その保持状態でコーティング液32aをチューブ31の下端からチューブ31内に注入するようにした。この場合、コーティング液32aの注入に伴い、チューブ31内の空気をチューブ31の上端から速やかに排出することができる。そのため、注入されたコーティング液32aの中に気泡が残留するのを好適に防止することができる。これにより、残留気泡に起因するコーティングむらの発生を好適に防止することができる。
【0106】
また、上記の方法によれば、チューブ31内にコーティング液32aを導入する際に必要なコーティング液32aの総量を少なくすることができ、その上、コーティング液32aを溜める液槽を不要とすることができるため、製造装置の簡素化を図ることもできる。
【0107】
チューブ31内へのコーティング液32aの注入、及びチューブ31内からのコーティング液32aの排出を同じシリンジ装置43を用いて行うようにしたため、製造装置40の簡素化を図ることができる。
【0108】
シリンジ装置43のピストン43bを駆動装置47により所定の引き込み速度で引くことにより、チューブ31内からコーティング液32aを排出するようにした。この場合、チューブ31内から排出されるコーティング液32aの排出速度は、ピストン43bの引き込み速度に依存するため、ピストン43bの引き込み速度を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を高精度に制御することができる。これにより、チューブ31の内面に付着されるコーティング液32aの厚みを高精度に調整することができ、ひいてはチューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みを高精度に調整することができる。
【0109】
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、コーティング付きチューブ30の製造方法及び製造装置が上記第1及び第2の実施形態と相違する。そこで、まず、本実施形態の製造装置50について図7に基づいて説明する。なお、図7は、(a)が本実施形態における製造装置50の全体構成を示す図であり、(b)が容器51の上板部51aの挿通孔54にチューブ31が挿通された状態を示す縦断面図である。また、図7では、説明の便宜上、コーティング対象であるチューブ31を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0110】
図7(a)に示すように、製造装置50は、コーティング液32aが貯留された容器51と、容器51内の圧力を調整する圧力調整装置52とを備える。容器51は、気密性を有する密閉容器からなり、容器51内を上方から覆う上板部51aを有している。容器51内には、コーティング液32aの液面と上板部51aとの間に空気層53が形成されている。
【0111】
上板部51aには、チューブ31を挿通可能な挿通孔54が複数形成されている。各挿通孔54は、上板部51aを上下に貫通しており、その孔径がチューブ31の外径と略同じとされている。本実施形態では、これらの挿通孔54にそれぞれチューブ31を挿通した状態で、複数のチューブ31をまとめてコーティングすることが可能となっている。
【0112】
図7(b)に示すように、上板部51aにおける挿通孔54の内周面には、環状の溝部55が形成されている。溝部55には、環状のシール部材56が嵌め込まれている。シール部材56は、例えばゴム製のOリングからなる。挿通孔54にチューブ31が挿通された状態では、チューブ31の外面がシール部材56の内周部に密着される。これにより、挿通孔54の内周面とチューブ31の外面との間がシール部材56によりシールされ、容器51内の気密性が確保される。また、チューブ31の外面がシール部材56の内周面に密着されることにより、チューブ31の下部が保持される。
【0113】
図7(a)に示すように、圧力調整装置52は、配管58を介して容器51と接続されており、詳しくは容器51の上板部51aと接続されている。圧力調整装置52は、配管58を介して容器51内(詳しくは空気層53)に空気を供給することにより容器51内の圧力を上昇させ、容器51内から空気を吸い出すことにより容器51内の圧力を低下させることが可能となっている。なお、圧力調整装置52が「液導入手段」及び「液排出手段」に相当する。
【0114】
次に、コーティング付きチューブ30の製造方法について図7に加え、図8を用いて説明する。図8は、コーティング付きチューブ30の製造方法を説明するための図である。なお、図8では便宜上、圧力調整装置52の図示を省略している。
【0115】
まず、図7に示すように、複数のチューブ31を容器51の各挿通孔54に挿通し、その挿通状態で各チューブ31を上下方向に延びる向きで保持する保持工程を行う。保持工程では、例えば上記第2の実施形態における保持具41と同様の保持具(保持手段に相当)を用いてチューブ31を上下方向に延びる向きで保持する。また、保持工程では、各チューブ31の下端側を容器51内のコーティング液32aの中に入れた状態とする。つまり、各チューブ31の下端をコーティング液32aの液面よりも下方に位置させる。さらに、保持工程では、各チューブ31の上端において各チューブ31内を外部に開放させた状態とする。
【0116】
次に、図8(a)に示すように、容器51内(詳しくは空気層53内)の圧力を圧力調整装置52により上昇させることにより、容器51内のコーティング液32aを各チューブ31の下端から各チューブ31内にそれぞれ押し上げて導入する液導入工程を行う。液導入工程では、容器51内の圧力を容器51の外部の圧力よりも高い陽圧に調整する。また、液導入工程では、各チューブ31内にコーティング液32aが導入される際、各チューブ31内の空気が各チューブ31の上端から排出されながら導入される。
【0117】
次に、図8(b)に示すように、容器51内の圧力を圧力調整装置52により低下させることにより、各チューブ31内のコーティング液32aをそれぞれ流下させ各チューブ31の下端より容器51内に排出させる液排出工程を行う。液排出工程では、容器51内の圧力を容器51の外部の圧力よりも低い陰圧に調整する。液排出工程により、各チューブ31内からコーティング液32aが排出されることにより、各チューブ31の内面にはコーティング液32aが膜状に付着された状態が形成される。
【0118】
また、液排出工程では、各チューブ31内からコーティング液32aが排出される際の排出速度(換言するとコーティング液32aが流下する速度)が所定(一定)の排出速度となるように、容器51内の圧力が制御(調整)される。コーティング液32aの排出速度は容器51内の圧力に依存しており、容器51内の圧力が低いほど排出速度が大きくなる。そのため、容器51内の圧力を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を制御することが可能となっている。本実施形態では、コーティング液32aの排出速度が、内側コーティング層32の厚みが所望の厚みとなる所定の排出速度に制御されるようになっている。
【0119】
次に、各チューブ31の内面に付着されたコーティング液32aを乾燥させて固化させる乾燥工程を行う。乾燥工程では、チューブ31を容器51の挿通孔54から抜き取り、そのチューブ31内に乾燥装置(乾燥手段に相当)を用いて乾燥空気を流すことによりコーティング液32aを乾燥させる。これにより、チューブ31の内面に内側コーティング層32が形成される。
【0120】
次に、チューブ31の外面に外側コーティング層33を形成する外側コーティング工程を行う。外側コーティング工程は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を割愛する。以上により、コーティング付きチューブ30が製造される。
【0121】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0122】
各チューブ31の上端において各チューブ31内を外部に開放した状態で各チューブ31を保持し、その保持状態で各チューブ31内にチューブ31の下端からコーティング液32aを導入するようにした。この場合、コーティング液32aの導入に際し、チューブ31内に存在する空気をチューブ31の上端から速やかに排出することができる。そのため、導入されたコーティング液32a内に気泡が残留するのを好適に防止することができる。これにより、上記各実施形態と同様、残留気泡に起因するコーティングむらの発生を好適に防止することができる。
【0123】
各チューブ31を容器51の上板部51aに形成した各挿通孔54に気密状態で挿通するとともに、各チューブ31の下端側を容器51内のコーティング液32aの中に入れた状態で、各チューブ31を保持するようにした。そして、その保持状態で、容器51内の圧力を圧力調整装置52により上昇させることにより、容器51内のコーティング液32aを各チューブ31内にそれぞれ押し上げて導入するようにした。また、容器51内の圧力を圧力調整装置52により低下させることにより、各チューブ31内のコーティング液32aをそれぞれ流下させ、容器51内に排出するようにした。この場合、複数のチューブ31に対してコーティング液32aの導入及び排出を一挙に行うことができるため、コーティング作業を効率よく行うことができる。
【0124】
容器51内の圧力を制御することにより、コーティング液32aの排出速度を所定の排出速度に制御した。この場合、コーティング液32aの排出によりチューブ31の内面に付着されるコーティング液32aの厚みを所望の厚みにすることができ、ひいてはチューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みを所望の厚みにすることができる。
【0125】
[他の実施形態]
本開示は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0126】
(1)上記各実施形態では、液排出工程の際、コーティング液32aの排出速度を一定の速度としたが、コーティング液32aの排出速度をコーティング液32aの排出途中で変えるようにしてもよい。この場合、排出によってチューブ31の内面に付着されるコーティング液32aの厚みをチューブ31の長さ方向の途中で変化させることができるため、チューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みをチューブ31の長さ方向において変化させることができる。そのため、内側コーティング層32の形成の仕方について多様化を図ることができる。
【0127】
ここで、コーティング液32aの排出速度を排出途中で変化させる場合の具体例について図9に基づき説明する。図9の例では、チューブ31内からコーティング液32aを排出する際に、コーティング液32aの液面がチューブ31の上側領域61を通過する間(以下、第1期間という)と、チューブ31の下側領域62を通過する間(以下、第2期間という)とで、コーティング液32aの排出速度を異ならせている。そのため、コーティング液32aの排出速度がコーティング液32aの排出途中で段階的に変化するようになっている。
【0128】
具体的には、第1期間においてはコーティング液32aの排出速度が大きくされ、第2期間においてはコーティング液32aの排出速度が小さくされるようになっている。この場合、シリンジ装置13のピストン13bを押し込む際に、ピストン13bの先端部(詳しくはガスケット19)が第1期間に対応する基端側領域63を通過するときにはピストン13bの押し込み速度が大きくされ、ピストン13bの先端部が第2期間に対応する先端側領域64を通過するときにはピストン13bの押し込み速度が小さくされる。
【0129】
上記の構成によれば、コーティング液32aの排出によってチューブ31の内面に形成されるコーティング液32aの厚みが、例えば上側領域61では大きくなり、下側領域62では小さくなる。この場合、チューブ31の内面に形成される内側コーティング層32の厚みを上側領域61では大きくすることができ、下側領域62では小さくすることができる。
【0130】
なお、コーティング液32aの粘性によっては、上記とは逆に、内側コーティング層32の厚みが上側領域61では小さく、下側領域62では大きくなることがある。傾向としては、コーティング液32aの粘性が比較的大きい場合には、上記のように、内側コーティング層32の厚みが上側領域61では大きく、下側領域62では小さくなり、コーティング液32aの粘性が比較的小さい場合には、逆の結果になる。
【0131】
(2)コーティング液32aの排出速度をコーティング液32aの排出途中で連続的に変化させてもよい。例えば、コーティング液32aの排出速度を徐々に小さくしたり、又は徐々に大きくしたりすることが考えられる。その場合、内側コーティング層32の厚みがチューブ31の長さ方向の一方側に向かうにつれて徐々に大きくなるように、又は小さくなるように、内側コーティング層32をテーパ状に形成することが可能となる。
【0132】
また、チューブとして、内径が長さ方向において変化するテーパ状の内面を有するものを用いた場合に、そのテーパ状の内面に形成される内側コーティング層の内径が均一となるように、コーティング液32aの排出速度を連続的に変化させるようにしてもよい。
【0133】
(3)上記各実施形態では、液排出工程の際に、コーティング液32aの排出速度を制御するようにしたが、コーティング液32aの排出速度を制御しないようにしてもよい。例えば、上記第1の実施形態において、液排出工程の際に、チューブ31の内部をチューブ31の上端にて開放させることにより、チューブ31内のコーティング液32aを自重により流下させ排出することが考えられる。この場合、チューブ31の上端側を接続具11から外す等してチューブ31内を開放させるようにすればよい。
【0134】
(4)上記各実施形態では、保持工程の際、チューブ31を鉛直方向に延びる向きで保持したが、チューブ31を鉛直方向に対して傾斜する向きで保持してもよい。また、チューブ31の長さが長い場合には、チューブ31を上下方向に螺旋状に延びるように保持してもよい。これらの場合にも、チューブ31は、全体として上下方向に延びる向きで保持されるため、液導入工程の際、チューブ31内の空気をチューブ31の上端から排出しながらコーティング液32aをチューブ31内に導入することができる。
【0135】
(5)上記第1の実施形態では、シリンダ装置として、注射筒型のシリンジ装置13を用いたが、それ以外のシリンダ装置を用いてもよい。また、上記第2の実施形態においても同様に、シリンジ装置43以外のシリンダ装置を用いてもよい。
【0136】
(6)上記第1の実施形態では、シリンジ装置13(シリンダ装置)を用いてチューブ31内の空気の吸い出し及びチューブ31内への空気の送り込みを行ったが、空気の吸い出し及び送り込みをシリンダ装置以外のポンプ装置を用いて行ってもよい。例えば、ダイアフラム式又はベローズ式のポンプをポンプ装置として用いることが考えられる。この場合にも、ポンプ装置とチューブ31内のコーティング液32aの液面との間に閉じ込められた空気Sを移動させることにより、チューブ31内の空気の吸い出し及びチューブ31内への空気の送り込みを行うことが可能である。
【0137】
また、これと同様に、上記第2の実施形態において、シリンジ装置43(シリンダ装置)に代え、ダイアフラム式又はベローズ式のポンプを用いて、チューブ31内へのコーティング液32aの注入及びチューブ31内からのコーティング液32aの排出を行ってもよい。
【0138】
(7)上記各実施形態では、コーティングを行うチューブ31(医療用チューブ)としてカテーテルチューブを用いたが、シースイントロデューサ等、カテーテルチューブ以外の医療用チューブを用いてもよい。また、コーティングを行うチューブは、医療用チューブに限らず、工業製品に用いられるチューブ等、他のチューブであってもよい。また、コーティングを行うチューブは樹脂製に限らず、金属製であってもよい。
【0139】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0140】
10…製造装置、11…接続具、12…液槽、13…シリンジ装置、14…乾燥装置、30…コーティング付きチューブ、31…チューブ、32…内側コーティング層、32a…コーティング液、33…外側コーティング層、40…製造装置、43…シリンジ装置、50…製造装置、51…容器、52…圧力調整装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10