IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

特許7312334自動フィーダーの配置支援システムおよび自動フィーダーの配置支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】自動フィーダーの配置支援システムおよび自動フィーダーの配置支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022556746
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2020038741
(87)【国際公開番号】W WO2022079825
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大高 祥裕
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-179811(JP,A)
【文献】特許第6577015(JP,B2)
【文献】特許第4385956(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品がテープに保持された部品供給テープをプリセットしておくことで現在供給中の前記部品供給テープがなくなると同時に新しい前記部品供給テープが補給されることで補給作業を行う自動フィーダーと、現在供給中の前記部品供給テープの終端部に新しい前記部品供給テープをつなぎ合わせることで補給作業を行う手動フィーダーと、がセット可能な部品供給装置と、前記部品供給テープから前記部品を取り出して基板に実装する実装ヘッドと、を備える部品実装機を含んで構成された部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システムであって、
前記基板の生産計画データと基板データとに基づいて部品切れ時間データを算出する部品切れ時間算出部と、
シミュレーションを実施して前記部品切れ時間データと前記手動フィーダーの補給作業に伴う作業可能時間データとに基づいて部品切れの有無を検出する部品切れ検出部と、を備え、
前記手動フィーダーから前記自動フィーダーに変更することで前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出されないようにする前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項2】
前記部品切れ検出部は、前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された場合に、再度シミュレーションを実施して前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに交換した場合における前記部品切れの有無を検出する、請求項1に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項3】
前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項1または請求項2に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項4】
前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーに関連する前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項1または請求項2に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項5】
前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーとこれに関連する前記手動フィーダーとを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項1または請求項2に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項6】
前記手動フィーダーの補給作業において隣り合う作業可能時間同士が重なる時間帯、あるいは前記作業可能時間と前記手動フィーダーの補給以外の作業の時間とが重なる時間帯をラッシュと定義した場合に、シミュレーションを実施して前記ラッシュの有無を検出するラッシュ検出部を備え、
前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーが含まれる前記ラッシュの中に含まれる他の前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項4または請求項5に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項7】
前記ラッシュのうち、前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーの作業可能時間とそこから過去に遡って連続する他の前記手動フィーダーの作業可能時間とが重なり合う一続きの時間帯を特定ラッシュと定義した場合に、
前記ラッシュ検出部は、前記特定ラッシュを検出し、
前記特定ラッシュの中に含まれる他の前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項6に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項8】
生産計画中に複数の前記ラッシュが発生する場合に、前記ラッシュに遭遇する回数が一番多い前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げる、請求項6または請求項7に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システムを繰り返し行うことによって候補として挙げられた複数の前記手動フィーダーの中から前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーの組合せを決定する、自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項10】
前記手動フィーダーの補給作業において隣り合う作業可能時間同士が重なる時間帯、あるいは前記作業可能時間と前記手動フィーダーの補給以外の作業の時間とが重なる時間帯をラッシュと定義した場合に、シミュレーションを実施して前記ラッシュの有無を検出するラッシュ検出部を備え、
前記ラッシュ検出部は、作業不可時間を考慮した上でシミュレーションを実施して部品切れが発生する前記ラッシュの有無を検出する、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項11】
前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーを表示部に提示する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項12】
前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーの提示時に、交換する期限を前記表示部に合わせて提示する、請求項11に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項13】
前記部品切れ検出部は、生産中にその都度前記部品実装機から情報を取って定期的にシミュレーションを実施して部品切れの有無を検出する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項14】
使用予定が設定値以下の前記自動フィーダーを取り替えの候補として挙げる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項15】
補給作業時に、前記部品の実際の残数を利用してシミュレーションを実施する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の自動フィーダーの配置支援システム。
【請求項16】
複数の部品がテープに保持された部品供給テープをプリセットしておくことで現在供給中の前記部品供給テープがなくなると同時に新しい前記部品供給テープが補給されることで補給作業を行う自動フィーダーと、現在供給中の前記部品供給テープの終端部に新しい前記部品供給テープをつなぎ合わせることで補給作業を行う手動フィーダーと、がセット可能な部品供給装置と、前記部品供給テープから前記部品を取り出して基板に実装する実装ヘッドと、を備える部品実装機を含んで構成された部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援プログラムであって、
前記基板の生産計画データと基板データとに基づいて部品切れ時間データを算出し、シミュレーションを実施して前記部品切れ時間データと前記手動フィーダーの補給作業に伴う作業可能時間データとに基づいて部品切れの有無を検出し、前記手動フィーダーから前記自動フィーダーに変更することで前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出されないようにする前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げることをコンピュータに実行させる、自動フィーダーの配置支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動フィーダーの配置支援システムおよび自動フィーダーの配置支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品を基板に実装して実装基板を生産する部品実装ラインは、複数の部品実装機を連結して構成されている。各部品実装機では、部品供給部に装着されたパーツフィーダーから部品を取り出して基板に移送搭載する部品実装作業が反復して実行される。部品実装作業を継続して実行する過程では、部品が消費されて部品切れとなるタイミングに合わせてパーツフィーダーに新たに部品を補給する部品補給作業が反復して実行される。
【0003】
この部品補給作業を適正タイミングで実行することを目的として、予めシミュレーション演算によって予測された部品切れの発生時間を報知するなどの方策が用いられるようになっている。ここで、部品切れ時間が近接するパーツフィーダーが多数ある場合に、パーツフィーダーへの部品補給作業を「通常警告」が表示されてから開始したのでは作業が終了せずに部品切れとなるパーツフィーダーが発生することがある。
【0004】
そこで、例えば特開2016-225385号公報(下記特許文献1)に記載の部品補給支援方法では、「通常警告」に先行してパーツフィーダーへの早期の部品補給を促すための「早期警告」の表示や、作業者の応援要請を促すための「工数不足」の警告の表示を行うか否かの検討を開始する時間として警告検討開始時間が設定されている。対象フィーダ選定部は、部品切れ時間が警告開始時間と警告検討開始時間の間のパーツフィーダを、「早期警告」または「工数不足」の警告の検討対象となる選定フィーダとして選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-225385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の部品補給支援方法は、あくまで手動フィーダーでのスプライシング作業をシミュレーションして部品切れ時間を予測しているにすぎない。手動フィーダーでのスプライシング作業とは、現在供給中の部品供給テープの末端部に新しい部品供給テープをスプライシングテープによってつなぎ合わせる作業のことである。スプライシングは、補給作業に技術の習得が必要なため、人的ミスによりライン停止することもあることから、生産効率を低下させる一因となる。この対策として、新しい部品供給テープを自動的にローディングすることで補給作業を自動化した自動フィーダーが開発されている。しかしながら、自動フィーダーの導入によって作業効率の改善(作業時間の短縮)は実現できているが、作業の計画化(自動フィーダーの配置の最適化)という点では自動フィーダーの有効活用ができていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の自動フィーダーの配置支援システムは、複数の部品がテープに保持された部品供給テープをプリセットしておくことで現在供給中の前記部品供給テープがなくなると同時に新しい前記部品供給テープが補給されることで補給作業を行う自動フィーダーと、現在供給中の前記部品供給テープの終端部に新しい前記部品供給テープをつなぎ合わせることで補給作業を行う手動フィーダーと、がセット可能な部品供給装置と、前記部品供給テープから前記部品を取り出して基板に実装する実装ヘッドと、を備える部品実装機を含んで構成された部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システムであって、前記基板の生産計画データと基板データとに基づいて部品切れ時間データを算出する部品切れ時間算出部と、シミュレーションを実施して前記部品切れ時間データと前記手動フィーダーの補給作業に伴う作業可能時間データとに基づいて部品切れの有無を検出する部品切れ検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自動フィーダーの導入メリットとして作業の計画化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、部品実装ラインの全体構成を示した図である。
図2図2は、部品実装機の平面図である。
図3図3は、部品実装機の正面図である。
図4図4は、自動フィーダーの側面図である。
図5図5は、自動フィーダーにおける後側送出部を拡大して示した側面図である。
図6図6は、クランプ部材の脱着に伴う部品供給テープの支持態様(1)を示す斜視図である。
図7図7は、クランプ部材の脱着に伴う部品供給テープの支持態様(2)を示す斜視図である。
図8図8は、部品実装機の電気的構成を示したブロック図である。
図9図9は、管理サーバの電気的構成を示したブロック図である。
図10図10(A)は、基板Aの生産数とその使用部品などを示した表であり、図10(B)は、基板Aに使用されるフィーダーとその部品残数などを示した表である。
図11図11は、部品切れタイミングチャートを示した図である。
図12図12(A)は、部品切れタイミングチャートに作業可能時間を付与して部品切れの有無をシミュレーションした図であり、図12(B)は、図12(A)において部品切れとなる手動フィーダーを自動フィーダーに変更した場合における部品切れの有無を再度シミュレーションした図である。
図13図13は、実施形態1におけるAF化する部品選定基準を示した図である。
図14図14は、実施形態1におけるシミュレーションのフローチャートである。
図15図15は、補給作業時の部品切れを検出するフローチャートである。
図16図16は、部品切れ回避のためにAF化する部品を選定するフローチャートである。
図17図17は、実施形態2におけるAF化する部品選定基準を示した図である。
図18図18は、使用速度を考慮したAF化する部品選定基準を示した図である。
図19図19は、AFの使用状況を表示した表示画面の一例である。
図20図20は、実施形態2におけるシミュレーションのフローチャートである。
図21図21は、部品切れ回避のためにAF化する部品を選定するフローチャートである。
図22図22は、実施形態3における自動倉庫が保有する部品一覧を示した表である。
図23図23は、実施形態3におけるシミュレーションのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の自動フィーダーの配置支援システムは、複数の部品がテープに保持された部品供給テープをプリセットしておくことで現在供給中の前記部品供給テープがなくなると同時に新しい前記部品供給テープが補給されることで補給作業を行う自動フィーダーと、現在供給中の前記部品供給テープの終端部に新しい前記部品供給テープをつなぎ合わせることで補給作業を行う手動フィーダーと、がセット可能な部品供給装置と、前記部品供給テープから前記部品を取り出して基板に実装する実装ヘッドと、を備える部品実装機を含んで構成された部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システムであって、前記基板の生産計画データと基板データとに基づいて部品切れ時間データを算出する部品切れ時間算出部と、シミュレーションを実施して前記部品切れ時間データと前記手動フィーダーの補給作業に伴う作業可能時間データとに基づいて部品切れの有無を検出する部品切れ検出部と、を備える。
【0011】
上記システムにおいて、前記手動フィーダーから前記自動フィーダーに変更することで前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出されないようにする前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げてもよい。このように部品切れが検出されないように自動フィーダーを配置すれば、予め部品切れを回避できるため、自動フィーダーの導入メリットとして作業の計画化を実現できる。
【0012】
(2)上記のシステムにおいて、前記部品切れ検出部は、前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された場合に、再度シミュレーションを実施して前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに交換した場合における前記部品切れの有無を検出してもよい。
部品切れ時間算出部によって部品切れ時間データを算出し、シミュレーションを実施して部品切れ検出部によって部品切れの有無を検出できる。ここで、部品切れが検出された場合には、手動フィーダーを自動フィーダーに交換して、再度シミュレーションを実施して部品切れ検出部によって部品切れの有無を検出できる。
【0013】
(3)前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げてもよい。
このようにすれば、部品切れを確実になくすことができる。
【0014】
(4)前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーに関連する前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げてもよい。
ここで、「部品切れが検出された手動フィーダーに関連する」とは、部品切れか検出された手動フィーダーであるか否かを問わず候補として挙げるということを意図し、後述する特定ラッシュの中に含まれる他の手動フィーダーを含むものとする。
例えば、部品切れをなくす上で効果的な部品に対して自動フィーダーを適用することができる。
【0015】
(5)前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーとこれに関連する前記手動フィーダーとを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げることが好ましい。
自動フィーダーに変更する手動フィーダーとして部品切れが検出された手動フィーダーとこれに関連する手動フィーダーとに絞ることができる。
【0016】
(6)前記手動フィーダーの補給作業において隣り合う作業可能時間同士が重なる時間帯、あるいは前記作業可能時間と前記手動フィーダーの補給以外の作業の時間とが重なる時間帯をラッシュと定義した場合に、シミュレーションを実施して前記ラッシュの有無を検出するラッシュ検出部を備え、前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーが含まれる前記ラッシュの中に含まれる他の前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げてもよい。
ラッシュを手掛かりにして自動フィーダーに変更する手動フィーダーの候補を決定できる。
【0017】
(7)前記ラッシュのうち、前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出された前記手動フィーダーの作業可能時間とそこから過去に遡って連続する他の前記手動フィーダーの作業可能時間とが重なり合う一続きの時間帯を特定ラッシュと定義した場合に、前記ラッシュ検出部は、前記特定ラッシュを検出し、前記特定ラッシュの中に含まれる他の前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げることが好ましい。
自動フィーダーに変更する手動フィーダーを特定ラッシュの中の他の手動フィーダーに絞ることができる。
【0018】
(8)生産計画中に複数の前記ラッシュが発生する場合に、前記ラッシュに遭遇する回数が一番多い前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げることが好ましい。
自動フィーダーに変更する手動フィーダーをラッシュに遭遇する回数が一番多い手動フィーダーに決定できる。
【0019】
(9)上記の自動フィーダーの配置支援システムを繰り返し行うことによって候補として挙げられた複数の前記手動フィーダーの中から前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーの組合せを決定することが好ましい。
このようにすれば、自動フィーダーに交換する手動フィーダーの組合せを決定できる。
【0020】
(10)前記ラッシュ検出部は、作業不可時間を考慮した上でシミュレーションを実施して部品切れが発生する前記ラッシュの有無を検出することが好ましい。
このようにすれば、作業不可時間を考慮して部品切れが発生するラッシュの有無を検出できる。
【0021】
(11)前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーを表示部に提示することが好ましい。
このようにすれば、どの手動フィーダーを交換すべきかを表示部によって確認できる。
【0022】
(12)前記自動フィーダーに交換する前記手動フィーダーの提示時に、交換する期限を前記表示部に合わせて提示することが好ましい。
このようにすれば、どの手動フィーダーをいつまでに交換すべきかを表示部によって確認できる。
【0023】
(13)前記部品切れ検出部は、生産中にその都度前記部品実装機から情報を取って定期的にシミュレーションを実施して部品切れの有無を検出することが好ましい。
このようにすれば、実際の生産状況に応じて自動フィーダーの配置を決定できる。
【0024】
(14)使用予定が設定値以下の前記自動フィーダーを取り替えの候補として挙げることが好ましい。
このようにすれば、自動フィーダーを有効活用することができる。
【0025】
(15)前記部品供給テープの補給時に、前記部品の実際の残数を利用してシミュレーションを実施することが好ましい。
このようにすれば、部品の実際の残数に応じた部品切れの有無を検出できる。
【0026】
(16)本開示の自動フィーダーの配置支援プログラムは、複数の部品がテープに保持された部品供給テープをプリセットしておくことで現在供給中の前記部品供給テープがなくなると同時に新しい前記部品供給テープが補給されることで補給作業を行う自動フィーダーと、現在供給中の前記部品供給テープの終端部に新しい前記部品供給テープをつなぎ合わせることで補給作業を行う手動フィーダーと、がセット可能な部品供給装置と、前記部品供給テープから前記部品を取り出して基板に実装する実装ヘッドと、を備える部品実装機を含んで構成された部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援プログラムであって、前記基板の生産計画データと基板データとに基づいて部品切れ時間データを算出し、シミュレーションを実施して前記部品切れ時間データと前記手動フィーダーの補給作業に伴う作業可能時間データとに基づいて部品切れの有無を検出し、前記手動フィーダーから前記自動フィーダーに変更することで前記部品切れ検出部により前記部品切れが検出されないようにする前記手動フィーダーを前記自動フィーダーに変更する候補として挙げることをコンピュータに実行させる、自動フィーダーの配置支援プログラムとしてもよい。
【0027】
[本開示の実施形態1の詳細]
本開示の部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システム10の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図1において部品実装ライン1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有するものであり、印刷機(図示せず)、部品実装機M1からM4、リフロー炉M5の各装置を連結してLAN(Local Area Network)2によって接続し、全体を管理サーバ3によって制御する構成である。
【0028】
部品実装機M1からM4は、部品供給装置に配列された各フィーダー16から部品搭載ユニット20によって部品Eを取り出して基板Bに移送搭載する部品実装作業を行う。この後、部品Eが実装された基板Bはリフロー炉M5に送られ、基板Bに実装された部品Eを基板Bに半田接合することにより実装基板が製造される。このように、部品実装ライン1は、各フィーダー16から供給された部品Eを取り出して基板Bに実装する部品実装機M1からM4を備えている。
【0029】
<部品実装機の全体構成>
次に、図2および図3を参照して、部品実装機M1からM4の構成を説明する。部品実装機M1からM4はいずれも同じ構成であるため、部品実装機M1を代表として説明する。部品実装機M1は、平面視略矩形状のベース11と、基板Bを搬送する搬送装置12と、基板B上に部品Eを実装(搭載)する部品搭載ユニット20と、部品搭載ユニット20に部品Eを供給するための部品供給装置13と、を備えて構成されている。
【0030】
以下の説明において、X方向とは図2における左右方向(基板Bの搬送方向)を基準とし、左右方向という場合もある。また、Y方向とは図2における上下方向(基板Bの搬送方向に直交する方向)を基準とし、前後方向という場合もある。前後方向という場合、図示下側を前側、図示上側を後側とする。また、Z方向とは図3における上下方向を基準とし、上下方向という場合もある。
【0031】
<ベース>
ベース11は、図2に示すように、左右方向に横長な平面視略矩形状をなし、X方向とY方向に延びるXY平面に平行な上面を有している。ベース11の上面には、左右方向に延びる搬送装置12、部品搭載ユニット20などが配置されている。
【0032】
<搬送装置>
搬送装置12は、図2および図3に示すように、左右方向に循環駆動する一対のコンベアベルト14を有しており、搬送路CPに沿って基板Bを搬送する装置である。コンベアベルト14はコンベアモータ17(図8参照)によって循環駆動する。基板Bは、上流側から一対のコンベアベルト14によって実装作業位置に搬入され、実装作業位置において部品Eの実装作業が行われた後、一対のコンベアベルト14によって下流側に向かって搬出される。これにより、基板Bが搬送路CPに沿って上流側から下流側に向けて搬送されるようになっている。
【0033】
<部品搭載ユニット>
部品搭載ユニット20は、部品供給装置13のフィーダー16から供給される部品Eを取り出して基板B上に実装するものであって、図2に示すように、ベース11の左右方向の両側に配される一対のY軸フレーム23と、X軸フレーム26と、X軸フレーム26に移動可能に取り付けられたヘッドユニット30と、X軸移動装置28と、Y軸移動装置25と、を備えて構成されている。
【0034】
Y軸移動装置25は、Y軸ボールねじ軸25Aと、Y軸ボールねじ軸25Aに螺合した図示しないボールナットと、Y軸サーボモータ25Bと、を備えている。一対のY軸フレーム23には、Y方向に延びる一対のY軸ガイドレール24と、が設けられている。Y軸ボールねじ軸25Aは、Y方向に延びている。Y軸ボールねじ軸25Aの軸端部にはY軸サーボモータ25Bが設けられている。Y軸サーボモータ25Bが通電制御されると、X軸フレーム26と、X軸フレーム26に取り付けられたヘッドユニット30と、が一対のY軸ガイドレール24に沿って前後方向に移動するようになっている。
【0035】
X軸移動装置28は、X軸ボールねじ軸28Aと、Y軸ボールねじ軸28Aに螺合した図示しないボールナットと、Y軸サーボモータ28Bと、を備えている。X軸フレーム26には、図3に示すように、X方向に延びるX軸ボールねじ軸28Aと、X方向に延びるX軸ガイドレール27と、が設けられている。X軸ガイドレール27には、ヘッドユニット30がX方向に移動可能に取り付けられている。X軸ボールねじ軸28Aの軸端部にはX軸サーボモータ28Bが設けられている。X軸サーボモータ28Bが通電制御されると、ヘッドユニット30がX軸ガイドレール27に沿って左右方向に移動するようになっている。
【0036】
<ヘッドユニット>
ヘッドユニット30は、図2および図3に示すように、箱形状をなすヘッドユニット本体31と、部品Eの実装動作を行う複数の実装ヘッド32と、を有している。
【0037】
複数の実装ヘッド32は、ヘッドユニット本体31から下方に突出した形態で左右方向に並んで配列されており、各実装ヘッド32は、上下方向に延びるシャフト33と、シャフト33の先端である下端部に着脱可能な吸着ノズル34と、を有している。
【0038】
シャフト33には、ヘッドユニット本体31内に設けられたZ軸サーボモータ35およびR軸サーボモータ36が取り付けられている。シャフト33は、Z軸サーボモータ35によって上下方向に昇降可能とされ、R軸サーボモータ36によって軸回りに回転可能とされている。
【0039】
吸着ノズル34は、図3に示すように、上下方向に延びる略筒状をなしている。吸着ノズル34は、シャフト33の下端部に設けられた図示しない保持部によって上端部が保持されることで、シャフト33の下端部に保持されている。また、各実装ヘッド32にはエア供給装置51から負圧が供給されるようになっており、吸着ノズル34の先端に吸引力が生じるようになっている。
【0040】
ヘッドユニット本体31の両側面には、図3に示すように、一対のマークカメラ21が設けられており、マークカメラ21が基板Bのフィデューシャルマークを撮像して、基板Bを画像認識するようになっている。一方、ベース11上における基板Bの前後両側には、一対の部品カメラ15が設置されており、部品カメラ15は、ヘッドユニット30の実装ヘッド32に吸着保持された部品Eを撮像するようになっている。
【0041】
<部品供給装置>
部品供給装置13は、図2に示すように、複数のフィーダー16を備え、搬送装置12の前後両側において左右方向に2つずつ並べることで、合計4箇所に配されている。フィーダー16は、手動フィーダー18と自動フィーダー40とからなり、これらが左右方向に整列した状態で取り付けられている。手動フィーダー18は、図示しないものの、部品供給テープをリールから引き出す電動式の送出装置などを備えており、搬送装置12側の端部から部品Eを一つずつ供給する。部品供給テープは、複数の部品Eが一定のピッチでテープに保持されたものである。
【0042】
自動フィーダー40の部品供給テープ41は、図4に示すように、駆動軸モータ42によって前方に送られ、テープに保持された複数の部品Eが順次供給される。また、プリセットされた交換用の部品供給テープ41は、保持された部品Eが部品切れと判断された場合に、ローディング軸モータ43によってローディングされる。駆動軸モータ42とローディング軸モータ43は、フィーダー制御部116からの信号に基づいて動作が制御されている。
【0043】
自動フィーダー40は、ローディングを自動で行うフィーダー(以下「AF」と略していう場合がある)とされている。自動フィーダー40は、図4に示すように、前後方向(図示左右方向)に長い形状をなす本体部44と、本体部44の前側部分に設けられた前側送出部45と、本体部44の後側部分に設けられた後側送出部46と、本体部44内に設けられたテープ通路44Aと、テープガイド44Bと、テープセンサ44Cと、フィーダー制御部116と、本体部44の後端側に着脱可能に配されるクランプ部材47と、を備えている。本体部44は、例えばアルミダイキャスト製とされる。
【0044】
前側送出部45は、駆動軸モータ42と、複数枚のギヤからなる前側ギヤ群45Aと、本体部44の前端上部に配された前側スプロケット45Bと、から構成される。前側ギヤ群45Aは、駆動軸モータ42の動力を伝達して前側スプロケット45Bを回転させる。前側スプロケット45Bの外周には、部品供給テープ41の係合孔に係合させる歯45Cが等間隔で形成されている。前側送出部45は、前側スプロケット45Bの歯45Cが部品供給テープ41の係合孔に係合した状態で前側スプロケット45Bを回転させることで、部品供給テープ41を後側送出部46から自動フィーダー40の前端部の部品供給位置48に送出する。
【0045】
後側送出部46は、ローディング軸モータ43と、複数枚のギヤからなる後側ギヤ群46Aと、本体部44の後部上端に配された後側スプロケット46Bと、から構成される。後側ギヤ群46Aは、ローディング軸モータ43の動力を伝達して後側スプロケット46Bを回転させる。後側スプロケット46Bの外周には、部品供給テープ41の係合孔に係合させる歯46Cが等間隔で形成されている。
【0046】
テープ通路44Aは、部品供給テープ41を通すための通路である。テープ通路44Aは、本体部44の略後側部分を前後方向に貫通しており、本体部44の後端部から本体部44の前側に向かって斜め上方に延びる形で設けられている。図6に示すように、テープ通路44Aは、その前側部分が細長い前側通路部44A1となっており、その後側部分が前側通路部44A1との境界部から本体部44の後端部に向かって上下方向に広がる形とされた後側通路部44A2となっている。各自動フィーダー40では、リールから引き回された部品供給テープ41が本体部44の後端部からテープ通路44Aに入り、本体部44の前側においてテープ通路44Aから抜け、本体部44の上面に露出するようになっている。
【0047】
次に、自動フィーダー40による部品供給方法を説明する。まず準備作業として、作業者は、自動フィーダー40の本体部44にクランプ部材47を取り付けるとともに、図6に示すように、リールから引き回した先行する部品供給テープ41の先端部を後側スプロケット46Bと係合させる。その後、後側スプロケット46Bを回転させることで、部品供給テープ41の先端部を自動フィーダー40の前側まで送出して前側スプロケット45Bと係合させておく。
【0048】
部品供給作業は、上記準備作業が終了した状態で、実装プログラムに従ってフィーダー制御部116が実行する。部品供給作業では、フィーダー制御部116は、駆動軸モータ42を駆動することで前側スプロケット45Bを回転させ、部品供給テープ41を部品供給位置48まで送出する。なお、後側スプロケット46Bは空転するように構成されており、このときローディング軸モータ43を駆動させなくても、前側スプロケット45Bを回転させるのみで先行する部品供給テープ41を送出することができる。
【0049】
次に、先行する部品供給テープ41を部品供給位置48まで送出し続けている状態で、作業者は、本体部44からクランプ部材47を取り外す。その結果、図7に示すように、先行する部品供給テープ41のうちクランプ部材47によって支持されていた部位はその自重によって落下し、後側スプロケット46Bから離れる。このとき、先行する部品供給テープ41は前側スプロケット45Bと既に係合しているので、先行する部品供給テープ41が後側スプロケット46Bから離れても、前側スプロケット45Bを回転させることで先行する部品供給テープ41を部品供給位置48まで送出し続けることができる。
【0050】
次に、クランプ部材47を自動フィーダー40の本体部44に再び取り付け、後続の部品供給テープ41の先端部をクランプ部材47と後側スプロケット46Bとの間に配置して後側スプロケット46Bと係合させる。このようにして、先行する部品供給テープ41の部品切れが発生していない状態で、後続の部品供給テープ41を本体部44にプリセットすることができる。
【0051】
その後、先行する部品供給テープ41の末端部がテープ通路44Aの前側通路部44A1を通過して、前側通路部44A1内に先行する部品供給テープ41がないことをテープセンサ44Cが検出すると、その検出信号を取り込んだフィーダー制御部116は、ローディング軸モータ43を駆動し、後側スプロケット46Bを回転させる。これにより、後続の部品供給テープ41の先端部が自動フィーダー40の前側まで送出されて前側スプロケット45Bと係合される。以上のようにして、自動フィーダー40の取り外し等を行うことなく、先行する部品供給テープ41から後続の部品供給テープ41に移行される。つまり、後続の部品供給テープ41のローディングを自動で行うことができる。
【0052】
<自動フィーダーの配置支援システム>
続いて自動フィーダーの配置支援システム10の電気的構成について図8および図9を参照しながら簡単に説明する。本実施形態の自動フィーダーの配置支援システム10は、部品実装機M1と管理サーバ3によって構成されている。
【0053】
図8に示す部品実装機M1は、制御部110によって全体が制御統括されており、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成される実装制御部111を備えている。実装制御部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、フィーダー制御部116、サーバ通信部117、表示部118、入力部119などが接続されている。
【0054】
モータ制御部112は、実装制御部111の指令により、記憶部113に記憶されている実装プログラムに基づいて、Y軸サーボモータ25B、Z軸サーボモータ35、R軸サーボモータ36、コンベアモータ17などを制御し、部品Eを実装する。
【0055】
記憶部113には、基板Bに部品Eを実装するための実装プログラムや各種データなどが記憶されている。各種データには、生産が予定されている基板Bの寸法や搬送速度に関する基板情報、ヘッドユニット30に装着されているシャフト33や吸着ノズル34の識別情報、各カメラ15、21によって測定された部品Eの位置、および部品Eの位置ずれを判断するための基準位置などが含まれている。
【0056】
画像処理部114は、マークカメラ21や部品カメラ15から出力される画像信号が取り込まれるようになっており、取り込んだ画像信号に基づいて画像を生成する。画像処理部114は、マークカメラ21によって撮像された基板Bのフィデューシャルマークの画像を認識処理する。これにより、基板Bの位置が検出される。また、画像処理部114は、部品カメラ15によって撮像された部品Eの画像を認識処理する。これにより、部品Eの吸着姿勢や吸着ずれ量などが検出される。実装ヘッド32による部品Eの実装に際しては、これらの認識結果を加味して実装位置の位置補正が行われる。
【0057】
外部入出力部115は、いわゆるインターフェイスであって、実装制御部111は、外部入出力部115を通じて圧力センサ50からの検出信号を取り込み、エア供給装置51との間で制御信号の受け渡しを行う。圧力センサ50は、外部入出力部115に有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0058】
フィーダー制御部116は、複数のフィーダー16に接続されており、各フィーダー16を統括して制御する。サーバ通信部117は管理サーバ3に接続されており、管理サーバ3との間で制御信号の受け渡しを行う。
【0059】
表示部118は、タッチパネルや液晶モニタなどの表示装置であり、作業者への報知が必要とされる所定項目についての表示を行う。入力部119は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置であり、データ入力や操作コマンド入力時の入力操作を行う。
【0060】
表示部118による報知としては、部品切れが予測されるフィーダー16を特定する情報とその部品切れ時間Tsの警告や、順調に部品補給作業を遂行したとしても完了できない作業量で工数不足となることが予測された警告などが含まれる。そして、これらの各部はインターフェイスであるサーバ通信部117およびLAN2を介して管理サーバ3に接続され、これにより部品実装機M1と管理サーバ3との制御信号の受け渡しが行われる。
【0061】
図9に示す管理サーバ3は、全体制御部130、記憶部131、部品切れ時間算出部132、部品切れ検出部133、ラッシュ検出部134、シミュレータ135、マシン通信部136を備えている。全体制御部130は、記憶部131に記憶された各データなどに基づき、部品実装ライン1を構成する各装置を統括して管理する。
【0062】
記憶部131には、生産計画データ137A、基板データ137B、マシン情報137C、部品切れ時間データ137D、作業可能時間データ137E、作業不可時間データ137F、標準作業時間データ137Gなどが記憶されている。生産計画データ137Aは、各部品実装ライン1における生産品種と枚数に関するデータである。基板データ137Bは部品表のことであり、基板1枚あたりの使用部品と数量を表すデータである。
【0063】
生産計画データ137Aと基板データ137Bを統合すると、図10(A)に示すデータが得られる。すなわち、基板名、生産数、生産順序、および使用部品のセット位置、部品ID、部品必要数、サイクルタイムを表すデータが得られる。
【0064】
マシン情報137Cは、部品実装機M1の稼働状況、フィーダー16にセット中の部品、使用するフィーダー16、部品Eの残数などに関するデータであり、具体的には図10(B)に示すデータである。マシン情報とは詳細には、基板名、台車ID、セット位置、フィーダーID、リールID、部品ID、合計部品残数、部品残数警告値のことである。例えば、基板Aについては、部品供給装置13に台車(IDA)がセットされ、台車(IDA)のセット位置(FA1、FA2、…)にフィーダー16(IFA1、IFA2、…)がセットされ、フィーダー16(IFA1)に2つのリール(IRA11、IRA12)が装着され、各リール(IRA11、IRA12)の部品Eはいずれも同じ種類の部品E(IA1)であり、部品E(IA1)の残数はA11で、その部品残数警告値はAAAA1である。なお、フィーダー16(IFA1、IFA2)はいずれも2つのリール(IRA11、IRA12)を備えているから、自動フィーダー40である。
【0065】
部品切れ時間データ137Dは、リールにセットされた部品供給テープの部品Eがなくなる(部品寿命となる)時間を表すデータである。作業可能時間データ137Eは、部品残数警告から部品がなくなる(部品寿命となる)までの時間を表すデータである。標準作業時間データ137Gは、補給作業に要する標準的な時間を表すデータである。
【0066】
部品切れ時間算出部132は、生産計画の中で部品切れが発生するタイミング、すなわち部品切れが発生する時間を示す部品切れ時間を算出する。算出方法は、「現在マシンに装着されている部品の残数」から「基板1枚の生産で使用する部品数」を減算する(計算式1)を逐次計算することで、残数がなくなった時点で部品切れとし、その時間を部品切れ時間とする。部品切れになったら、次のリールに装着された部品数を「現在マシンに装着されている部品の残数」とした上で、上記計算式1を続ける。部品切れ時間は、部品種と関連付けされた部品切れ時間データ137Dとして記憶部131に記憶される。
【0067】
全ての基板(品番1、品番2、…)について部品切れ時間データ137Dが算出されると、図11に示す部品切れタイミングチャートを生成できる。部品切れタイミングチャートは、補給作業を全く行わないという前提で部品切れを起こすタイミングを算出したものであるため、部品切れが発生する前に補給作業を行うという前提で部品切れを起こすタイミングを算出するには、補給作業に要する作業可能時間を部品切れタイミングチャートに付与する必要がある。作業可能時間は、部品種と関連付けされた作業可能時間データ137Eとして記憶部131に記憶される。
【0068】
図12(A)は、シミュレータ135により部品切れタイミングチャートに作業可能時間を付与して部品切れの有無をシミュレーションした図である。図中のA、B、C、D、…は部品種を表し、横軸の08:00、08:15、08:30、08:45、09:00、…は時刻を表し、横帯WBは作業可能時間(部品残数警告から部品が切れるまでの時間)を表し、横帯WBの左側部分(ハッチング)WB1は部品残数警告から補給完了までの時間を表し、横帯WBの右側部分(ハッチング)WB2は補給完了から、補給しなかったとした場合に部品が切れるまでの時間を表し、部品Cの横帯WBの右側部分(クロスハッチング)WB3は部品が切れてから補給完了までの時間を表し、黒丸BRは補給完了時刻を示している。部品Cにおいては08:36に部品切れが発生し、08:42に部品補給が完了しているため、6分間のマシン停止が発生していることを表している。
【0069】
ここで、部品切れが発生する原因について考察する。図12(A)の場合、補給作業が連続しており、部品Cの補給作業が遅延していたことが考えられる。また、部品Cの作業可能時間(残数警告から部品寿命までの時間)が短かったことも考えられる。また、作業者が別作業(補給作業以外の作業)で部品Cの補給作業ができなかったことも考えられる。別作業としては、半田準備、会議不在等が挙げられる。作業不可時間は、部品種と関連付けされた作業不可時間データ137Fとして記憶部131に記憶される。シミュレータ135に作業不可時間を入力しておけば、当該時間は作業不可であるとしてシミュレーションを行うことができる。
【0070】
図12(B)に示すように、部品切れが発生する部品CにAFを適用することによって部品切れを確実に回避できる。部品実装作業の開始時刻が08:00である場合、作業開始前に部品CにAFを装着しておくことにより、作業開始と同時に、部品Cの補給が可能になる。
【0071】
図12(A)において作業可能時間同士が重なる時間帯をラッシュと定義した場合に、部品切れの発生原因は作業が集中するラッシュであることがわかる。さらに、ラッシュのうち、部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18の作業可能時間とそこから過去に遡って連続する他の手動フィーダー18の作業可能時間とが重なり合う一続きの時間帯を特定ラッシュと定義する。ラッシュは、ラッシュ検出部134によって検出される。同じラッシュに含まれる部品は部品C以外に、部品A、部品B、部品Dの3つがあり、これらの部品A、B、Dの中には部品Cよりも効果的にAFを運用できる場合がある。部品A、部品B、部品Dを供給する手動フィーダーは、請求項1の「前記部品切れに関連する前記手動フィーダー」に対応し、部品A、部品B、部品DのいずれかにAFを適用することによって部品切れを回避してもよい。
【0072】
図13(A)は、品番1から5を生産する生産計画において、複数のラッシュが発生する部品切れタイミングチャートを示している。複数のラッシュは、チャートの左側から順に、ラッシュ1、ラッシュ2、ラッシュ3とする。図13(A)では、ラッシュ1とラッシュ2とラッシュ3とが特定ラッシュに相当する。ラッシュ1では部品Aに部品切れが発生し、ラッシュ2では部品Hに部品切れが発生し、ラッシュ3では部品Bに部品切れが発生している。各ラッシュの中で効果が高い(ラッシュ遭遇頻度の多い)部品にAFを適用することとし、同率の場合には使用速度を加味することとする。使用速度とは、1秒あたりの使用点数(1枚あたりの使用点数/タクトタイム)である。余剰AFに関しては自由配置可能とする。そのようにAFを配置した後、再度シミュレーションしてもよい。
【0073】
図13(B)には、ラッシュに遭遇する回数を部品種毎にまとめた表を示している。部品Bの遭遇回数が3回で最も多く、部品AとCとGの遭遇回数がいずれも2回であり、部品Bに次いで多くなっている。図13(A)に示すように、AFの保有数は4つであり、部品A、B、C、GのそれぞれにAFを装着することも可能であるが、ラッシュ1では部品AにAFを装着し、ラッシュ2では部品GにAFを装着し、ラッシュ3では部品CにAFを装着するものとする。このようにAFを配置した後、シミュレータ135によって再度シミュレーションを行い、部品切れが解消するか否かを確認する。仮に、部品切れが解消しない場合、部品切れが発生する部品に直接AFを装着してもよい。このようにすれば効率は下がるものの部品切れを確実に回避できる。
【0074】
マシン通信部136はインターフェイスであり、LAN2を介して部品実装機M1との間の信号授受を行う。
【0075】
次に、図14から図16のフローチャートを参照しながら、本実施形態の部品実装ライン1における自動フィーダーの配置支援システム10の処理方法を説明する。管理サーバ3は、入力部119からのデータを蓄積するとともに、所定の処理を実行する。CPU(Central Processing Unit)が搭載されたコンピュータを管理サーバ3に接続し、このコンピュータにインストールされたプログラムを通じて上記所定の処理を実行してもよい。
【0076】
図14に示すように、生産計画データ137Aより必要部品の設定を行い(ステップS11)、AF使用可能部品リストを参照し(ステップS12)、所有AF本数を登録し(ステップS13)、固定でAFを使用したい部品を登録する(ステップS14)。シミュレータ135により部品切れ発生タイミングチャートを作成し、部品切れ時間算出部132により部品切れ時間を算出する(ステップS15)。次に、補給作業を実施した際に部品切れまでに補充可能かを計算する(ステップS16)。ステップS16の詳細については図15のフローチャートを参照しながら説明する。
【0077】
図15に示すように、スプライシング及びプリセットの標準作業時間(作業にかかる時間)を設定し(ステップS21)、部品切れタイミングチャートによって補給作業が可能な時間(スプライシング及びプリセット)を計算する(ステップS22)。次に、先頭から順に、作業可能になった手動フィーダー18から標準作業時間を割り当て(ステップS23)、作業時間の割り当て時に、他の手動フィーダー18が部品切れしないかをチェックする(ステップS24)。次に、ラッシュ検出部134によりラッシュを検出し、部品切れを起こした手動フィーダー18(部品E)及びその手前のラッシュに関与する部品Eを全てリストアップ(ラッシュとその関係部品を全て検出)する(ステップS25)。
【0078】
図14に戻って、補充不可だった部品Eとその近辺で補充する部品群にAFを使用して部品切れ回避可能かを計算する(ステップS17)。ステップS17の詳細については図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0079】
図16に示すように、リストアップされた部品Eが生産計画中にラッシュに何度遭遇するかを計算し(ステップS31)、ラッシュの中で最もラッシュの遭遇回数の多い部品Eを特定する(ステップS32)。その部品EをAF化した状態でシミュレータ135により再度シミュレーションし、部品切れ検出部133により部品切れの有無を確認する(ステップS33)。その結果、部品切れがなくなった場合(ステップS34でY)、処理を終了する。
【0080】
一方、部品切れがある場合(ステップS34でN)、使用可能なAFの有無を確認し、使用可能なAFがなくなった場合にも(ステップS35でY)、処理を終了する。使用可能なAFがある場合(ステップS35でN)、次点で遭遇回数の多い部品Eを特定し(ステップS36)、ステップS33に戻って、その部品をAF化した状態でシミュレータ135により再度シミュレーションし、部品切れ検出部133により部品切れの有無を確認する。
【0081】
以上のように本実施形態によると、手動フィーダー18から自動フィーダー40に変更することで部品切れ検出部133により部品切れが検出されないようにする手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更する候補として挙げ、部品切れが検出されないように自動フィーダー40を配置すれば、予め部品切れを回避できるため、自動フィーダー40の導入メリットとして作業の計画化を実現できる。
【0082】
部品切れ時間算出部132によって部品切れ時間データ137Dを算出し、シミュレーションを実施して部品切れ検出部133によって部品切れの有無を検出できる。ここで、部品切れが検出された場合には、手動フィーダー18を自動フィーダー40に交換して、再度シミュレーションを実施して部品切れ検出部133によって部品切れの有無を検出できる。
【0083】
部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更する候補として挙げるようにすれば、部品切れを確実になくすことができる。
部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18に関連する手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更する候補として挙げるようにすれば、例えば、部品切れをなくす上で効果的な部品に対して自動フィーダー40を適用することができる。
部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18とこれに関連する手動フィーダー18とを自動フィーダー40に変更する候補として挙げるようにすれば、自動フィーダー40に変更する手動フィーダー18として部品切れが検出された手動フィーダー18とこれに関連する手動フィーダー18とに絞ることができる。
【0084】
また、手動フィーダー18の補給作業において隣り合う作業可能時間同士が重なる時間帯、あるいは作業可能時間と手動フィーダー18の補給作業以外の時間とが重なる時間帯をラッシュと定義した場合に、シミュレーションを実施してラッシュの有無を検出するラッシュ検出部134を備え、ラッシュ検出部134は、部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18に関連するラッシュを検出できるから、ラッシュを手掛かりにして自動フィーダー40の配置を決定できる。
【0085】
また、部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18とこれに関連する手動フィーダー18とを自動フィーダー40に変更する候補として挙げるようにしたから、自動フィーダー40に変更する手動フィーダー18として部品切れが検出された手動フィーダー18とこれに関連する手動フィーダー18とに絞ることができる。
【0086】
また、部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18が含まれるラッシュの中に含まれる他の手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更する候補として挙げることにより、自動フィーダー40に変更する手動フィーダー18をラッシュの中の他の手動フィーダー18に絞ることができる。
【0087】
また、生産計画中に複数のラッシュが発生する場合に、ラッシュに遭遇する回数が一番多い手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更する候補として挙げることにより、自動フィーダー40に変更する手動フィーダー18をラッシュに遭遇する回数が一番多い手動フィーダー18に決定できる。
【0088】
また、自動フィーダーの配置支援システム10を繰り返し行うことによって候補として挙げられた複数の手動フィーダー18の中から自動フィーダー40に交換する手動フィーダー18の組合せを決定できる。
【0089】
また、ラッシュ検出部134は、作業不可時間を考慮した上でシミュレーションを実施することにより、作業不可時間を考慮して部品切れが発生するラッシュの有無を検出できる。
【0090】
なお、部品切れ検出部133により部品切れが検出された手動フィーダー18を自動フィーダー40に交換する候補として挙げることにより、部品切れを確実になくすようにしてもよい。
【0091】
[本開示の実施形態2の詳細]
本開示の部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システム210の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0092】
実施形態1では生産計画全体からラッシュが起こる場所を確認してから自動フィーダー40の配置を決定していたが、実施形態2ではシミュレーションを常時稼働させながら自動フィーダー40の現在の配置を変更して最適配置を決定できるようにしている。
【0093】
実施形態1では、部品が複数のラインであった場合、生産中のチョコ停(エラー等)でタイミングがずれた場合等に、部品切れが発生しなくなることも予想される。もしくは、タイミングのずれによって新たな部品切れ等が発生する可能性もある。
【0094】
また、実施形態1では自動フィーダー40が不足していた際には部品切れによるマシン停止を完全には回避できない。すなわち、AF保有数が足りなかった場合にはラッシュに対応しきれない可能性がある。また、生産中のミス・エラーによる計画の狂いによって、補給時刻が変化し、ラッシュが増える、もしくは減る可能性がある。また、生産途中で使用予定がなくなったAFを有効活用するために差し替えたい場合がある。
【0095】
これらに対応するため、実施形態2では生産計画全体ではなく、生産途中に部品切れの有無を検出し、部品切れが検出された場合に部品切れの回避を随時行う。その場合、生産の進行により、AFが必要となる箇所も変化するため、逐次AFへの差し替えを指示するようにしている。
【0096】
AFへの差し替えは、現時点でフリーのAFが存在し、かつAF交換後に規定回数以上の補給が予定されている場合に行う。フリーとは、現在生産中の品種で使用しないという意味であり、規定回数は、例えば2回としてもよい。また、AFから手動フィーダー18に交換した場合、部品切れが発生するのであれば交換しないようにしてもよい。規定回数をn回とした場合、nの設定方法としては、例えば、交換の手間が40秒程度として、40秒+プリセットn回<スプライシングn回を満たすような数であれば、自由に設定してもよい。
【0097】
現時点でフリーのAFが存在しない、もしくはAF交換後に規定回数以上の補給が予定されていない場合には、AFへの差し替えを実施しないようにしてもよい。その理由は、差し替え時のミスでマシン停止の危険性があり、また使用中AFを移動してしまうとそれにより新たなラッシュが発生する可能性があるためである。また、後述するように、差し替えを実施しない場合には、表示部118に警告を表示することで他ライン、他作業からのヘルプ等によって回避することもできる。
【0098】
もし、現時点以降にラッシュがない場合、もしくは優先的に交換すべき手動フィーダー18がない場合には、ラッシュに代えて使用速度(1枚あたりの使用点数/タクトタイム)を使用してもよい。このようにすれば、全く使用しない部品にAFが装着されることを回避し、部品切れはしないが規定回数以上補給する部品にAFを装着できる。
【0099】
次に、図17および図18を参照しながら実施形態2の自動フィーダーの配置支援システム210を具体的に説明する。図中のA、B、Cは生産タイミングを示しており、A時点は生産開始タイミングであり、B時点とC時点は生産途中のタイミングを示している。品番1、2、3、4、5の順に生産が行われており、A時点は品番1の生産開始時点であり、B時点は品番3の生産開始時点であり、C時点は品番5の生産開始時点である。
【0100】
図17に示すように、A時点の優先度は、シミュレーションを実施してラッシュ1から3を検出した後、ラッシュ内補給回数(ラッシュ遭遇回数)に基づき、部品Aが3回で最も多く、部品Bが2回で2番目に多く、部品CからHが1回で3番目に多くなっている。部品CからHについては、直近のラッシュから対応するとした場合、部品FとGとHの優先順位が高く、さらに使用速度を考慮すると、部品Gの優先順位が最も高い。したがって、部品AとBとCとGにAFを装着することになる。しかしながら、AFの保有数が4つしかないため、ラッシュ3の部品DとEには対応できない。
【0101】
B時点で再度シミュレーションを実施したところ、直近のラッシュがラッシュ3に変更された。B時点の優先度は、ラッシュ内補給回数(ラッシュ遭遇回数)に基づき、部品AとDとEが1回で最も多く、部品BとFとGとHが0回となっている。この場合、部品Bについてはラッシュ3での補給回数が0回でかつ品番3で未使用のため、部品BのAFを部品Dに変更し、部品Gについてはラッシュ3での補給回数が0回でかつ品番3で未使用のため、部品GのAFを部品Eに変更することが推奨される。
【0102】
C時点で再度シミュレーションを実施したところ、ラッシュは検出されなかった。このため、C時点の優先度は、B時点の優先度のまま現状維持とする。なお、品番5の補給回数は、部品BとCが2回で最も多く、部品AとDが1回で2番目に多く、部品EとFとGとHが0回となっている。
【0103】
次に、図18に示すように、C時点で部品Eが使用予定無しになった場合について説明する。このような場合、C時点の優先度は、使用速度に基づき、部品Cが3.2で最も多く、部品Bが1.8で2番目に多く、部品Aが1.1で3番目に多く、部品Dが0.5で4番目に多く、部品EとFとGとHが0となっている。この場合、部品EのAFを部品Bに変更することが推奨される。何故ならば、部品Eは未使用であり、部品Bが2回以上交換予定であり、部品Bの使用速度が既存のAF部品(部品E)より速いからである。
【0104】
実施形態2では図19のような情報を表示部118に提示する。まず、「AF設置 要求」は、現在AFが装着されておらず、シミュレーションにより部品切れ等のアクシデントが予想されており、アクシデントを回避するため、AFの設置を要求する指示である。作業者は、この指示が出た場合、AFを指定の位置に設置しなければならない。ここでは、ラインがLINE-Bで、マシンがM3で、セット位置がF23で、要求時刻が~10:24であり、10時24分までにAF設置を完了させる必要があることを示している。
【0105】
次に、「AF設置 推奨」は、現在AFが装着されておらず、部品切れのおそれもないが、シミュレーションにより今後多くの部品補給が予想されるため、AFの装着を推奨するものであり、AFを装着するか否かの判断は作業者が行う。ここでは、ラインがLINE-Cで、マシンがM2で、セット位置がF10で、交換回数が6回であることを示している。
【0106】
次に、「使用済みAF」は、現在AFが装着されているが、今後部品補給が予定されていないため、AFを交換してもよいことを知らせるものである。ここでは、ラインがLINE-Dで、マシンがM1で、セット位置がR125で、交換回数が0回であることを示している。例えば、交換回数が0回(交換回数を設定値として、設定値が0.5以下)である自動フィーダー40を取り替えの候補として挙げてもよいし、交換回数が1回以下(交換回数を設定値として、設定値が1以下)である自動フィーダー40を取り替えの候補として挙げてもよい。
【0107】
また、「非効率AF」は、現在AFが装着されているが、部品補給の予定が少なくなっているため、AFを交換してもよいことを知らせるものである。ここでは、ラインがLINE-Aで、マシンがM4で、セット位置がF38で、交換回数が1回であることを示している。
【0108】
次に、図20図21のフローチャートを参照しながら、本実施形態の部品実装ライン1における自動フィーダーの配置支援システム210の処理方法を説明する。
【0109】
図20に示すように、生産計画データ137Aと現在生産中の品種とを比較し、生産計画中の現時点を設定し(ステップS41)、現時点より後に必要となる部品Eを設定する(ステップS42)。次に、AF使用可能部品リストを参照し(ステップS43)、未使用AF本数を登録する(ステップS44)。ステップS44では、現品種で未使用のAFも登録する。次に、固定でAFを使用したい部品Eを登録し(ステップS45)、シミュレータ135により部品切れ発生タイミングチャートを作成し、部品切れ時間算出部132により部品切れ時間を算出する(ステップS46)。次に、補給作業を実施した際に部品切れまでに補給可能かを計算する(ステップS47)。ステップS47の詳細については図15のフローチャートと同様であるため、説明を省略する。補充不可だった部品Eとその近辺で補充する部品群にAFを使用して部品切れ回避可能かを計算する(ステップS48)。ステップS48の詳細については図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0110】
図21に示すように、ラッシュに関与する手動フィーダー18(部品E)を受け取る(ステップS51)。次に、リストアップされた部品Eが生産計画中にラッシュに何度遭遇するかを計算し(ステップS52)、先頭のラッシュを注目し(ステップS53)、注目しているラッシュの中で最も遭遇回数の多い部品Eを特定する(ステップS54)。その部品EをAF化した状態でシミュレータ135により再度シミュレーションし、部品切れ検出部133により部品切れの有無を確認する(ステップS55)。次点で遭遇回数の多い部品Eがある場合は、その部品Eを特定し(ステップS56)、ステップS55に戻って、その部品EをAF化した状態でシミュレータ135により再度シミュレーションし、部品切れ検出部133により部品切れの有無を確認する。
【0111】
その結果、注目しているラッシュの中で部品切れがなくなった場合(ステップS57でY)、使用可能なAFが不足していたら処理を終了し、あるいは生産が完了していたら処理を終了する(ステップS59)。ステップS57で注目しているラッシュで部品切れがなくなっていない場合には(ステップS57でN)、次のラッシュを注目し(ステップS58)、ステップS54以降の処理を行う。
【0112】
以上のように本実施形態によると、自動フィーダー40に交換する手動フィーダー18を表示部118に提示することにより、どの手動フィーダー18を交換すべきかを表示部118によって確認できる。
【0113】
また、自動フィーダー40に交換する手動フィーダー18の提示時に、交換する期限を表示部118に合わせて提示することにより、どの手動フィーダー18をいつまでに交換すべきかを表示部118によって確認できる。
【0114】
また、部品切れ検出部133は、生産中にその都度部品実装機から情報を取って定期的にシミュレーションを実施して部品切れの有無を検出することにより、実際の生産状況に応じて自動フィーダー40の配置を決定できる。
【0115】
また、使用予定が設定値以下の自動フィーダー40を取り替えの候補として挙げることにより、自動フィーダー40を有効活用することができる。
【0116】
[本開示の実施形態3の詳細]
本開示の部品実装ラインにおける自動フィーダーの配置支援システム310の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0117】
実施形態1では部品切れタイミングを予測する際、交換先のリールは新品の物を使用すると仮定して計算しているが、本実施形態では自動倉庫などの部品管理システムのデータを使用し、生産計画に対して実際に出庫される予定のリールの入り数を使用して部品切れ予測を実施している。例えば、実施形態1では、新品での入り数(満数)が6000個のリールであれば、交換を実施した際には6000個補充されることとしてシミュレーションを実施している。
【0118】
しかしながら、実際の生産では、生産終了時に部品を使い切っていることは稀であり、大半が使用中(開封済み)の状態にある。その中に、品種によってはしばらく生産予定がない部品も存在する。この場合、使用しない部品はフィーダー16から取り外し、残数を記録して保管しておくこともある。また、それらのリールを自動倉庫にて保管するケースも存在する。
【0119】
こうした場合、該当部品が使用される品種を生産する際には、開封済みのリールを優先して使うことが多い。その際には、部品切れも新品リールのみを使用するより多くの部品切れが予想される。よって、生産計画に対して割り当てられるリールが事前に定まっている状況であれば、そのリールの残数を用いてシミュレーションを進めることが望ましい。
【0120】
これに伴い、AFに交換するリールを選定する際の指標として、生産計画に割り当てられたリールの出庫本数によって優先度を付けることが可能になる。ラッシュ抽出から部品切れ停止回避までのロジックは実施形態1、2と同様だが、実施形態2における、余剰AFや生産予定のないAFの割り当てのロジックが異なる。実施形態1、2で選定の条件としていた部品の使用速度の代わりに、「出庫が予定されている本数」を使用することでAF取り付け先の優先度を算出する。
【0121】
したがって、実施形態1では、生産計画データ137A(ラインごと、生産品種と枚数が設定されている)、基板データ137B(または部品表、基板1枚当たりの使用部品と数量)、およびマシン情報137C(マシンの稼働状況、セット中の部品及び使用フィーダー、その残数)に基づいて部品切れタイミングを計算していたが、本実施形態では、生産計画データ137A、基板データ137B、およびマシン情報137Cに加え、自動倉庫が保有する部品一覧(または、部品管理システムの保有部品一覧)を加味して部品切れタイミングを算出する。
【0122】
図22の表は、自動倉庫が保有する部品一覧の一例を示している。リールIDがIRA11のリールには、部品IDがIA1の部品Eが装着され、部品残数はRA11であることを示している。同様にして、リールIDがIRA12のリールではIA1の部品Eの部品残数がRA12であり、リールIDがIRA21のリールではIA2の部品Eの部品残数がRA21であり、リールIDがIRA22のリールではIA2の部品Eの部品残数がRA22であることを示している。
【0123】
部品切れ時間算出部132による部品切れ時間の算出方法は、「現在マシンに装着されている部品の残数」から「基板1枚の生産で使用する部品数」を減算する(計算式1)を逐次計算することで、残数がなくなった時点で部品切れとし、その時間を部品切れ時間とする。部品切れになったら、次のリール(引き当てリールの残数を使用)に装着された部品数を「現在マシンに装着されている部品の残数」とした上で、上記計算式1を続ける。部品切れ時間は、部品種と関連付けされた部品切れ時間データ137Dとして記憶部131に記憶される。
【0124】
次に、図23のフローチャートを参照しながら、本実施形態の部品実装ライン1における自動フィーダーの配置支援システム310の処理方法を説明する。
【0125】
生産計画データ137Aより必要部品の設定を行い(ステップS61)、AF使用可能部品リストを参照し(ステップS62)、所有AF本数を登録し(ステップS63)、固定でAFを使用したい部品Eを登録する(ステップS64)。次に、部品切れ時間の算出時には、補充部品の数を満数とするのではなく、引き当てリールの残数を使用する。シミュレータ135により部品切れ発生タイミングチャートを作成し、部品切れ時間算出部132により部品切れ時間を算出する(ステップS65)。次に、補給作業を実施した際に部品切れまでに補充可能かを計算する(ステップS66)。補充不可だった部品Eとその近辺で補充する部品群にAFを使用して部品切れ回避可能かを計算する(ステップS67)。
【0126】
以上のように本実施形態によると、部品供給テープの補給時に、部品Eの実際の残数を利用してシミュレーションを実施することにより、部品Eの実際の残数に応じた部品切れの有無を検出できる。
【0127】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1から3では、作業可能時間同士が重なる時間帯をラッシュと定義していたが、作業可能時間と別作業(予定外の補給以外の作業)の時間とが重なる時間帯をラッシュと定義してもよい。
【0128】
(2)上記実施形態1から3では、部品切れが検出された手動フィーダー18が含まれるラッシュの中に含まれる他の手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更していたが、当該ラッシュの中に含まれない他の手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更してもよい。例えば、ラッシュには含まれていないが、部品切れが検出された手動フィーダー18と同じ部品種の手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更してもよい。
【0129】
(3)上記実施形態1から3では、ラッシュに遭遇する回数が一番多い手動フィーダー18を自動フィーダー40に変更していたが、ラッシュに遭遇する回数が一番多くても使用速度が遅い、あるいは部品残数が多いものについては交換対象から除外し、ラッシュに遭遇する回数が次に多いものを交換対象としてもよい。
【0130】
(4)上記実施形態1から3では、シミュレーションを繰り返し行うことによって自動フィーダー40に交換する手動フィーダー18の組合せを決定していたが、シミュレーション毎に自動フィーダーに変更する手動フィーダー18を決定し、その都度交換を行ってもよい。すなわち、最初のシミュレーションのみによって自動フィーダー40に交換する手動フィーダー18を決定し、再度のシミュレーションを実施しなくてもよい。ここで、自動フィーダー40に変更する手動フィーダー18は、必ずしも部品切れが発生する手動フィーダー18である必要はなく、結果的に部品切れを回避できることを条件として部品切れに関連する(例えばラッシュの場合を含む)手動フィーダー18としてもよい。
【0131】
(5)上記実施形態1から3では、作業不可時間を考慮した上でシミュレーションを実施していたが、作業不可時間に別の作業者が行うように指示をしてもよい。
【0132】
(6)上記実施形態2では、表示部118に交換すべき手動フィーダー18を表示していたが、交換すべき手動フィーダー18がある場合には、音や光で知らせるようにしてもよい。
【0133】
(7)上記実施形態2では生産中にその都度部品実装機から情報を取って定期的にシミュレーションを実施しているが、あまり頻繁にシミュレーションを実施すると交換作業が増えてラッシュが増える可能性があるため、変化点がない場合には、シミュレーションを実施せず、変化点が認められた場合にシミュレーションを実施してもよい。
【符号の説明】
【0134】
1:部品実装ライン 2:LAN 3:管理サーバ
10、210、310:自動フィーダーの配置支援システム
11:ベース 12:搬送装置 13:部品供給装置 14:コンベアベルト 15:部品カメラ 16:フィーダー 17:コンベアモータ 18:手動フィーダー
20:部品搭載ユニット 21:マークカメラ 23:Y軸フレーム 24:Y軸ガイドレール 25:Y軸移動装置 25A:Y軸ボールねじ軸 25B:Y軸サーボモータ 26:X軸フレーム 27:X軸ガイドレール 28:X軸移動装置 28A:X軸ボールねじ軸 28B:X軸サーボモータ
30:ヘッドユニット 31:ヘッドユニット本体 32:実装ヘッド 33:シャフト 34:吸着ノズル 35:Z軸サーボモータ 36:R軸サーボモータ
40:自動フィーダー 41:部品供給テープ 42:駆動軸モータ 43:ローディング軸モータ 44:本体部 44A:テープ通路 44A1:前側通路部 44A2:後側通路部 44B:テープガイド 44C:テープセンサ 45:前側送出部 45A:前側ギヤ群 45B:前側スプロケット 45C:歯 46:後側送出部 46A:後側ギヤ群 46B:後側スプロケット 46C:歯 47:クランプ部材 48:部品供給位置
50:圧力センサ 51:エア供給装置
110:制御部 111:実装制御部 112:モータ制御部 113:記憶部 114:画像処理部 115:外部入出力部 116:フィーダー制御部 117:サーバ通信部 118:表示部 119:入力部
130:全体制御部 131:記憶部 132:部品切れ時間算出部 133:部品切れ検出部 134:ラッシュ検出部 135:シミュレータ 136:マシン通信部 137A:生産計画データ 137B:基板データ 137C:マシン情報 137D:部品切れ時間データ 137E:作業可能時間データ 137F:作業不可時間データ 137G:標準作業時間データ
B:基板 BR:黒丸 CP:搬送路 E:部品 Ts:部品切れ時間
M1:部品実装機 M5:リフロー炉
WB:横帯 WB1:左側ハッチング部 WB2:右側ハッチング部 WB3:クロスハッチング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23