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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】磁界測定装置及び磁界測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/74 20060101AFI20230713BHJP
   G01R 33/12 20060101ALI20230713BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20230713BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
G01N27/74
G01R33/12 Z
G01R33/02 D
G01N33/536 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019059701
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159871
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】709002004
【氏名又は名称】学校法人東北学院
(73)【特許権者】
【識別番号】513040085
【氏名又は名称】ジーエヌエス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】薮上 信
(72)【発明者】
【氏名】三浦 由則
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194305(JP,A)
【文献】特開2009-042104(JP,A)
【文献】特開2009-115529(JP,A)
【文献】特開2013-228280(JP,A)
【文献】特開2007-240349(JP,A)
【文献】特開2016-008964(JP,A)
【文献】Masakazu URA et al.,“Improved Liquid-Phase Detection of Biological Targets Based on Magnetic Markers and High-Critical-Temperature Superconducting Quantum Interference Device”,IEICE Transactions on Electronics,2016年,Vol. E99-C, No. 6,p.669-675,DOI: 10.1587/transele.E99.C.669
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72 - G01N 27/9093
G01N 33/536
G01R 33/00 - G01R 33/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置であって、
磁性物質と該磁性物質と結合可能な前記被測定物とを含む試料を収容する容器を所定の移動周期で繰り返し同一移動させる移動機構と、
前記容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している前記容器に収容される試料に印加する磁界発生部と、
前記磁界発生部からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され、移動している前記容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する磁界センサとを備え、
前記磁界発生部は発振器と該発振器に接続するコイルと該コイルを貫くヨークとを有して構成され、前記ヨークは錐体に形成され、
前記磁界発生部は、2n+1(nは0以上の整数)周期目の移動に対して、磁界強度B2n+1=B2n+dB(B0=0mT、dB=所定の磁界強度増加分)の正又は負の磁界を印加し、2n+2周期目の移動に対して、磁界強度B2n+2=B2n+1=B2n+dBであって2n+1周期目の移動に印加した磁界と反対方向の磁界を印加することを特徴とする磁界測定装置。
【請求項2】
前記移動機構は、一周期ごとに前記容器を所定時間停止させ、
前記磁界発生部は、前記容器の停止中に、前記容器に収容される試料に磁界を所定時間印加することを特徴とする請求項に記載の磁界測定装置。
【請求項3】
同一の磁界強度を印加する隣接する2回の周回で検出される前記信号の積分値に基づいて前記被測定物の量を判定する演算処理部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁界測定装置。
【請求項4】
前記磁界センサは、前記容器の移動方向に直交する方向に並列に配置される2つのセンサ素子と、前記センサ素子にバイアス磁界を印加するバイアス用磁石とを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁界測定装置。
【請求項5】
前記磁界センサは磁気インピーダンスセンサであることを特徴とする請求項に記載の磁界測定装置。
【請求項6】
磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定方法であって、
磁性物質と該磁性物質と結合可能な前記被測定物とを含む試料を直流磁界により着磁させる着磁工程と、
前記試料を収容する容器を複数回移動させる移動工程と、
前記容器の移動周期に同期して、2n+1(nは0以上の整数)周期目の移動に対して、磁
界強度B2n+1=B2n+dB(B0=0mT、dB=所定の磁界強度増加分)の正又は負の磁界を前記
容器に収容される試料に印加し、2n+2周期目の移動に対して、磁界強度B2n+2=B2n+1=B2n+dBであって2n+1周期目の移動に印加した磁界と反対方向の磁界を前記容器に収容される試料印加する磁界印加工程と、
移動している前記容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する検出工程とを備えることを特徴とする磁界測定方法。
【請求項7】
前記移動工程において、一周期ごとに前記容器を所定時間停止させ、
前記磁界印加工程において、前記容器の停止中に、前記容器に収容される試料に磁界を所定時間印加することを特徴とする請求項に記載の磁界測定方法。
【請求項8】
同一の磁界強度を印加する隣接する2回の周回で検出される前記信号の積分値に基づいて前記被測定物の量を判定する判定工程とを備えることを特徴とする請求項に記載の磁界測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置及び磁気測定方法に関し、具体的には、液体中において、被測定物質と結合している磁性物質(磁気マーカ)に由来する磁界を測定する磁界測定装置及び磁界測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患由来のタンパク質や病原菌などの生体物質を検出する免疫検査が医療診断において用いられている。免疫検査は、被測定物質である抗原と抗体が特異的に結合する抗原抗体反応が利用され、この抗体をマーカと呼ばれる物質で標識させ、抗原と結合している抗体のマーカからの信号を検出することで、抗原の量を測定することが可能となる。
【0003】
免疫検査の一つとして、被測定物質との結合能力が既知である抗体に蛍光酵素などの光学マーカを付加して標識し、被測定物質との結合の程度を光学的に検出する光学的免疫検査が行われている。ここで、多くの光学的免疫検査では、被測定物質と結合した光学マーカと結合しなかった光学マーカとを分離するための洗浄除去する工程が必要であり、検査工程が複雑で時間を要するという側面がある。
【0004】
一方、光学的免疫検査とは異なり、磁気的手法によって被測定物質の検出を行う技術が磁気的免疫検査として知られている(特許文献1、2)。磁気的免疫検査は、磁性粒子と磁気センサを用いて抗原抗体反応を検出する手法であって、抗体に磁性粒子(以下、磁気マーカと称する)を付加して標識させ、被測定物質である抗原との結合程度を磁気マーカからの磁気信号を磁気センサを用いて検出する。具体的には、被測定物質と、磁気マーカが付加された抗体とを溶液中で結合させた試料を作製し、当該試料に外部から直流磁界を印加し、磁気マーカを磁化させる。直流磁界の印加を遮断した後、被測定物質と結合した磁気マーカ付加抗体(以下、結合マーカと称する)は、被測定物質と結合していない磁気マーカ付加抗体(未結合マーカ)より体積が大きくなり、ブラウン回転運動が遅いため、ブラウン緩和時間が比較的遅い。これにより、結合マーカは残留磁気を有する時間が長い。
【0005】
一方、被測定物質と結合しなかった磁気マーカ付き抗体(未結合マーカ)も溶液中に存在する。未結合マーカは、単体で存在するために粒径が小さく、ブラウン回転運動が早くなる。従って、未結合マーカ抗体は磁気モーメントの方向がランダムとなりやすく、ブラウン緩和時間が早く、未結合マーカは残留磁気を有する時間が短い。これにより、結合マーカと未結合マーカのブラウン時間の差を利用することで、結合マーカのみの磁気信号を選択に検出することができる。
【0006】
このように、磁気的免疫検査は、磁気マーカのブラウン緩和特性の違いを利用することで、磁気マーカ付加抗体を洗浄除去する工程を行うことなく、被測定物質との結合の程度を測定することができる。
【0007】
特許文献1-5は、磁気センサとしてSQUID(Superconducting Quantum Interference Device;超伝導量子干渉素子)を使用して磁気マーカのブラウン緩和に基づく磁気信号を検出する構成について開示する。
【0008】
また、特許文献6は、磁気抵抗効果素子(MRセンサ)を用いて、磁気マーカのブラウン緩和特性を交流磁化率の差として測定する磁界計測装置について開示する。すなわち、より体積が大きい結合マーカは、より体積が小さい未結合マーカよりも高周波の交流磁界に対する追従性が低く、交流磁化率は、周波数とブラウン緩和時間に依存する。このことから、交流磁化率を磁気抵抗効果素子(MRセンサ)を用いて測定することによって、結合マーカの量を測定することができる。
【0009】
さらに、特許文献7は、磁界検出方向に指向性を有する薄膜磁気センサ(磁気抵抗センサ、磁気インピーダンスセンサ)を用いて、検査対象物内における磁性異物の有無を検出する磁性異物検査装置について開示する。
【0010】
また、特許文献8は、本願発明者が提案した手法であり、磁気ビーズ(磁性ナノ粒子)の磁界をスイッチさせることによるブラウン緩和を利用した磁界測定装置について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2015-163846号公報
【文献】特開2007-240349号公報
【文献】特開2009-115529号公報
【文献】特開平1-112161号公報
【文献】特開2001-033455号公報
【文献】特許第5560334号公報
【文献】特開2014-159984号公報
【文献】特開2018-194305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明者は、特許文献8により提案した磁界測定にかかる手法について、さらに鋭意研究・開発を進め、今般、より高感度な磁気的免疫検査が可能となる改良された磁界測定装置及び磁界測定方法を開発するに至った。
【0013】
本発明の目的は、比較的簡易な構成により高感度に磁気的免疫検査を実行することができる磁界測定装置及び磁界測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の磁界測定装置は、磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置であって、磁性物質と該磁性物質と結合可能な被測定物とを含む試料を収容する容器を所定の移動周期で繰り返し同一移動させる移動機構と、容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している容器に収容される試料に印加する磁界発生部と、磁界発生部からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され、移動している容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する磁界センサとを備え、磁界発生部は発振器と該発振器に接続するコイルと該コイルを貫くヨークとを有して構成され、ヨークは錐体に形成されることを特徴とする。上記の移動形態は直線移動あるいは回転移動でもよい。
【0015】
本発明の磁界測定装置は、上記において、さらに、磁界発生部は、2n+1(nは0以上の整数)周期目の移動に対して、磁界強度B2n+1=B2n+dB(B0=0mT、dB=所定の磁界強度増加分)の正又は負の磁界を印加し、2n+2周期目の移動に対して、磁界強度B2n+2=B2n+1=B2n+dBであって2n+1周期目の移動に印加した磁界と反対方向の磁界を印加することを特徴とする。また、移動機構は、一周期ごとに容器を所定時間停止させ、磁界発生部は、容器の停止中に、容器に収容される試料に磁界を所定時間印加することを特徴とする。
【0016】
本発明の磁界測定装置は、上記において、さらに、同一の磁界強度を印加する隣接する2回の周回で検出される信号の積分値に基づいて被測定物の量を判定する演算処理部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の磁界測定方法は、磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定方法であって、磁性物質と該磁性物質と結合可能な被測定物とを含む試料を直流磁界により着磁させる着磁工程と、試料を収容する容器を複数回移動させる移動工程と、容器の移動周期に同期して、2n+1(nは0以上の整数)周期目の移動に対して、磁界強度B2n+1=B2n+dB(B0=0mT、dB=所定の磁界強度増加分)の正又は負の磁界を容器に収容される試料に印加し、2n+2周期目の移動に対して、磁界強度B2n+2=B2n+1=B2n+dBであって2n+1周期目の移動に印加した磁界と反対方向の磁界を容器に収容される試料印加する磁界印加工程と、移動している容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する検出工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の磁界測定方法は、上記において、さらに、移動工程において、一周期ごとに容器を所定時間停止させ、磁界印加工程において、容器の停止中に、容器に収容される試料に磁界を所定時間印加することを特徴とする。また、同一の磁界強度を印加する隣接する2回の周回で検出される信号の積分値に基づいて被測定物の量を判定する判定工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の磁界測定装置及び磁界測定方法によれば、ブラウン緩和特性を利用して、より高感度な磁気的免疫検査を実行することができる。高感度な磁界測定装置を比較的簡易、小型且つ低コストで構成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における磁界測定装置の概略構成例を示す図である。
図2】磁界センサ40の概略的な配置例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における磁界測定装置による磁界測定方法の処理手順を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に磁界測定装置の概略模式図である。
図5】磁界センサのセンサ素子上を通過する容器の位置関係を示す図である。
図6】磁界センサ40の出力電圧の測定データを示すグラフである。
図7】式1の演算結果と回転回数との関係を示すグラフである。
図8】大腸菌の量と、式1の演算結果値の最大値の1/2の値になる磁界強度との関係を示すグラフである。
図9】被測定物質をう蝕菌(S.mutans)とした場合における式1の演算結果と回転回数との関係を示すグラフである。
図10】う蝕菌の凝集体と磁気ビーズの電子顕微鏡写真である。
図11】う蝕菌の量と、式1の演算結果値の最大値の1/2の値になる磁界強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態における磁界測定装置の概略構成例を示す図である。図1(a)は、磁界測定装置の全体構成を示し、図1(b)は、図1(a)の点線囲み部分Pにおいて、後述するように、永久磁石38が取り外され、励磁コイル34に囲まれるヨーク36の先端部が容器12の底部に近接して配置される状態を示す。
【0023】
磁界測定装置は、試料10を収容する容器12を回転軸を中心に周回させる回転機構20と、容器12に収容される試料10に磁界方向を切替可能に磁界を印加する磁界発生部30と、磁界発生部30からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され且つ回転している容器12に収容される試料10から放出される磁界を検出するための磁界センサ40とを備えて構成される。
【0024】
回転機構20は、台22に取り付けられたモータ内蔵の回転軸24と、回転軸24から半径方向に延びて取り付けられるアーム部26とを有し、アーム部26の先端部に容器12が保持される。モータにより回転軸を回転させることで、アーム部26に保持される容器12は、回転軸24を中心に周回する。回転機構20は、回転軸とアームの構成に限られず、回転軸を中心に周回する円盤プレートを有する構成であってもよい。また、試料(サンプル)10を収容する容器12を移動させる機構は、回転機構に限らず、例えば、往復直線運動など別の移動形態を採用してもよい。容器12には、磁性物質(磁気ビーズとも称する)とその磁性物質と結合可能な被測定物の混合液である試料(サンプル)10が収容される。
【0025】
磁界発生部30は、発振器32と、その制御により磁界を発生する励磁コイル34と、その中心軸と同心に配置されるヨーク36とを有して構成され、発振器32により、励磁コイル34の発生する磁界方向は切替可能であり、容器12は励磁コイル34の直上を周回し、容器12の周回ごとにその磁界方向がスイッチングされる。すなわち、容器12の回転回数において、容器12に収容される試料10に印加される磁界方向は、奇数回と偶数回で逆方向となる。加えて試料10を磁化するために永久磁石38を置く。
【0026】
ヨーク36は、透磁率の高い例えばNiFeを材料とする磁性体であり、その一方の先端が細く鋭い尖鋭形状に形成され、例えば、錐体形状に形成される。錐体形状のヨーク36の頂部は尖鋭形状の先端部分であり、ヨーク36は、その尖鋭頂部が容器12の底面に僅かな隙間をあけて位置するように励磁コイル34の空洞部分に配置され、好ましくは、ヨーク36の頂部が励磁コイル34から突出して、容器12の底面に近接して面する。
【0027】
ヨーク36の尖った先端部分を容器12の底面に向けることで、励磁コイル34の発生する磁束をより狭い範囲に集束し、容器12内の試料10をより小さい塊として凝集させ、センサ感度を向上させることができる。
【0028】
磁界センサ40は、磁気インピーダンス効果を利用して磁界を検出する磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)である。磁気インピーダンス効果は、アモルファス合金ワイヤなどの高透磁率合金磁性体に高周波電流を通電すると、周回方向の透磁率が外部磁界の印加により大幅に変化することに起因して表皮深さが変化することにより、インピーダンスが変化する現象であり、磁気センサの小型化、高感度化、低消費電力化が可能なセンサである。磁界センサ40は、装置の小型化や高感度化の面からMIセンサを採用することが好ましいが、それに限らず、例えば磁気抵抗センサ(MRセンサ)などの磁界を検出する機能を有する別のセンサであってもよい。
【0029】
信号処理部50は、磁界センサ40からの出力信号(センサ電圧値)は演算処理する手段であり、アナログ信号の出力信号をデジタル信号に変換し、所定の演算処理装置でデジタル信号を演算処理し、後述の演算処理及び判定処理を実行する。信号処理部50は、汎用のコンピュータ装置や特定のデジタル演算回路により実現される。
【0030】
図2は、磁界センサ40の概略的な配置例を示す図である。磁界センサ40は、容器12の回転移動方向に直交する方向に並列に配置される2つのセンサ素子40a、40bを有し、差動センサとして動作する。後述するように、差動センサの構成として、2つのセンサ素子の一方素子の直上に容器12を通過させ、他方の素子の上には容器12を通過させないようにすることで、バックグラウンドノイズを相殺し、高感度化を図ることができる。また、センサ素子40a、40bにバイアス磁界を印加するバイアス用磁石42がセンサ素子40a、40bに近接して配置され、容器12の回転移動方向を向いたバイアス磁界を印加する。なお、ブラウン緩和を正確に観測するために、このバイアス磁界からの漏れ磁界はできるだけ抑えることが好ましく、バイアス磁界による試料10に含まれる磁気ビーズの磁化の影響を無視できる程度に小さくする。回転している容器とバイアス用磁石42との間には、磁気シールド44が配置される。磁気シールド44は、軟磁性体で形成され、回転している容器12がバイアス用磁石42に接近する位置に配置され、バイアス用磁石42からの磁界を遮断する。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態における磁界測定装置による磁界測定方法の処理手順を示す図である。また、図4は、本発明の実施の形態に磁界測定装置の概略模式図であり、図1と同一の構成を示す。
【0032】
容器12に試料10を入れて撹拌(超音波洗浄約15秒+振動攪拌約30秒)し、回転機構20のアーム部26の所定位置にセットする(S100)。試料10は、磁性物質である磁気ビーズ(磁性ナノ粒子)とそれに結合可能な被測定物質との混合液である。被測定物質は、検出対象の細菌や微生物であり、被測定物質の数(想定される最大数)よりも多い磁気ビーズが投入されるよう調整される。好ましくは、被測定物質と結合しない未結合の残留磁気ビーズを少なくするように調整することで高感度化が図られる。後述では、被測定物質として大腸菌を用いた場合を例示する。実験に用いる場合のモデル細菌として、ポリマービーズを利用することもできる。
【0033】
容器12の初期位置は、磁界発生部30のコイル34の直上位置である。撹拌は、測定直前に行うことが好ましい。また、容器12の底部厚さは0.3mm±0.05mm程度が好ましい。磁界センサ40との距離を近づけられ高感度検出を可能とするが、容器12の強度維持のために一定の厚さが必要である。
【0034】
試料10の回転前に、永久磁石(例えばNdFeB磁石)38を容器12に近接配置し、例えば約10分間着磁し、試料10を容器12の底部に集める(S102)。永久磁石38は、励磁コイル34と容器12の底との間隙に例えば手動で挿入される。永久磁石38による着磁により、容器12内の試料10をセンサ素子40a、40bの一方素子寸法と同程度の面積に凝集させて集め、回転の際に一方素子の真上を通過させるようにする。
【0035】
永久磁石38による着磁後、永久磁石38は容器12の近傍から取り除かれ、続いて、さらに、発振器32により励磁コイル34に通電し、磁界を発生させ、試料10に磁界を印加する(S104)。励磁コイル34による磁界方向は、永久磁石38による磁界方向と同一とする。永久磁石38の配置及び除去は手動又は機械的な構成のいずれにより行われてもよい。一例として、励磁コイル34による印加磁界の磁界強度(又は磁束密度)は約78mT、印加時間は約5分程度である。印加される磁界方向は、永久磁石による着磁の磁界方向と同一であり、例えばプラス方向である。発生された磁界は、ヨーク36の尖鋭先端形状により一点に集束され、容器12内の試料10は、図1(b)に模式的に示されるように小さな塊として凝集される。
【0036】
このように、回転開始前においては、永久磁石38による着磁と励磁コイル34による着磁を行うことで、被測定物質と結合している磁気ビーズを含む試料10を容器12の底部へ集め、さらに、尖鋭形状のヨーク36により磁界を集束して、できるだけ小さな塊として凝集させ、センサ素子面に対して十分に小さな塊に凝集された試料10が磁界センサ近傍を通過するようにすることで、磁界センサ40の検出感度が高まり、SN比が向上する。
【0037】
回転前における励磁コイル34による着磁後、励磁コイル34の通電を一旦停止し、所定時間(約10秒)ほどおき、磁界印加を止める(B=0)。その後、励磁コイル34直上の容器12(その内部の試料10)に励磁コイル34による磁界印加を磁界強度0から段階的に増大させながら回転させていく。
【0038】
具体的には、試料10を励磁コイル34上に停止させた状態で、励磁コイル34直上の試料10に対して励磁コイル34により印加する磁界を増大させ(S106)、磁界方向をプラス(正)方向として、その増大させた磁界を印加する(S108)。印加する磁界強度は、前の周回より増大させる。奇数回の回転で印加する磁界強度B2n+1(2n+1:回転回数、nの初期値は0)は、前の周回2nに印加した磁界強度B2nに所定増加分dBを増加させた値とする。所定増加分dBは例えば6mTであり、一周目の前の磁界強度B0=0とする。したがって、一回転目の回転前に印加する磁界強度Bは、初期値B0=0に所定増加分dBを加算した値であるので、一回転目の回転前に印加する磁界強度は6mTとなる。1回転目で印加する磁界方向はプラス方向(正方向)、マイナス方向(負方向)のどちらでもよいが、周回毎に磁界方向を反転させて交互に磁界方向を切り替える。
【0039】
磁界強度の所定増加分dB分増大させた磁界をプラス方向に約30秒間印加した後、磁界の印加を停止し、試料10を一回転させ、その周回中に磁界センサ40の一方素子の直上を通過させ、磁気ビーズの漏れ磁界を測定する(S110)。例えば3/4周期後に磁界センサ40の一方素子の直上を通過し、周回毎に磁気ビーズの漏れ磁界を測定する。
【0040】
磁界センサ40は差動センサ構成であるので、試料10が直上を通過する一方素子と試料10が直上を通過しない他方素子との出力の差分値を得ることで、バックグラウンドノイズが相殺された高精度な出力信号(センサ電圧値)が得られる。回転速度は例えば200 degree/s程度である。回転速度は、回転速度が速いと液相が不安定になるため、遠心力による加速度が重力加速度に対して十分小さくなる程度とする。磁界センサ40の一方素子と試料10の入った容器12の底部との間隙は200μm~300μm程度とすることが好ましい。間隙を狭くするほど少量の磁気ビーズの検出が可能となり、より少量の被測定物質(細菌)を検出することができるようになる。
【0041】
図5は、磁界センサ40の一方素子上を通過する容器12内の試料10の位置関係を示す図である。例えば容器12の断面径が磁界センサ40の一方素子の幅よりも大きい場合、容器12内において、回転前の着磁により試料10を容器12の底部に集める際に、容器12の底部の左右一方側に偏らせて凝集させ、その凝集した試料10の小さな塊は磁界センサ40の一方素子(図5では、センサ素子40a)の幅よりも十分に小さい大きさであって、一方素子の直上を通過させ、他方素子(図5では、センサ素子40b)の直上を通過させないようにする。
【0042】
前の周回でプラスの磁界方向に印加して一回転させた後、試料10を励磁コイル34上に停止させ、次に、前の周回と同じ磁界強度でマイナス(負)の磁界方向にて励磁コイル34により磁界を印加する(S112)。すなわち、偶数回目の2n+2周期目の回転に対して、磁界強度B2n+2=B2n+1=B2n+dBであって、2n+1周期目の移動に印加した磁界と反対方向の磁界を印加する。よって、二回転目の回転前に印加するマイナス方向磁界は、前の周回と同じ6mTであり、印加時間は、プラス方向の印加と同様に約30秒程度である。マイナス(負)の磁界方向に30秒間磁界を印加した後、磁界の印加を停止し、試料10を一回転させ、前の周回と同様に、その周回中に磁界センサ40の一方素子の直上を通過させ、磁気ビーズの漏れ磁界を測定する(S114)。
【0043】
上記ステップS106乃至S114の処理を、回転回数が所定数(例えば50~60回転)に達するまで繰り返される(S116)。すなわち、一回転目以降について、奇数回転目において、磁界強度を所定増加分だけ増大させ、プラス方向の磁界を印加してから、試料10を回転させ、偶数回転目においては、その前のプラス方向の回転と同じ磁界強度で、磁界方向を反転させたマイナス方向の磁界を印加してから、試料10を回転させ、周回毎に磁界センサ40により測定を行う。
【0044】
本発明では、周回毎に極性を反転させた磁界を試料10に印加して回転させる。これにより、試料10に含まれる磁気ビーズは磁界方向に回転しようとする。このとき、磁気ビーズのみ(被測定物質と結合していない未結合の磁気ビーズ)であれば、磁気ビーズの体積(または回転半径)は、被測定物質と比較して十分に小さいので緩和時間が短く、励磁コイル34による磁界により比較的容易に磁化回転するが、被測定物質と結合している磁気ビーズは、緩和時間が比較的長く、磁化回転しにくい状態となる。
【0045】
所定の回転回数の回転及び各回転ごとの測定が実施されると、得られたセンサ電圧値を信号処理部50により演算処理する(S118)。
【0046】
信号処理部50は、同じ磁界強度の磁界を印加した隣接する2回の回転(プラス方向磁界を印加した奇数回の回転とマイナス方向磁界を印加した偶数回の回転)のセンサ電圧値を用いて、以下の式1で定義される磁化回転相当量を算出する。
【0047】
【数1】
【0048】
図6は、磁界センサ40の出力電圧の測定データを示すグラフである(被測定物質:大腸菌)。横軸は磁界センサ40の通過位置(回転角度)、縦軸は磁界センサ40の出力電圧を示す。容器12が磁界センサ40を通過する位置に応じて出力電圧はプラス電圧値とマイナス電圧値に変化する値となる。
【0049】
グラフaは、プラス方向磁界を印加した奇数回の回転におけるセンサ電圧値の例であり、グラフbは、マイナス方向磁界を印加した偶数回の回転におけるセンサ電圧値の例であり、グラフcは、グラフaとグラフbのセンサ電圧値の加算値、グラフdは、グラフaとグラフbのセンサ電圧値の差分値を示す。
【0050】
グラフaでは、センサ電圧値は、0付近からマイナス側に変化し、その後マイナス電圧からプラス電圧に極性が反転し、さらにマイナス電圧に戻り0付近に収束する波形となり、グラフbでは、その逆の波形、すなわち、センサ電圧値は0付近からプラス側に変化し、その後プラス電圧からマイナス電圧に極性が反転し、さらにプラス電圧に戻り0付近に収束する波形となる。
【0051】
図示されるように、奇数回回転におけるセンサ電圧値の0付近からマイナス側への変化点をt1o、マイナス側からプラス側への変化点t2o、プラス側からマイナス側への変化点t3o、マイナス側から0付近への変化点をt4oとし、偶数回回転におけるセンサ電圧値の0付近からプラス側への変化点をt1e、プラス側からマイナス側への変化点t2e、マイナス側からプラス側への変化点t3e、プラス側から0付近への変化点をt4eとし、各期間(角度)のセンサ電圧値の波形積分値を求め、式1を算出する。式1における積分記号
は、奇数回(odd)回転における期間(角度)t1oとt2o間における波形積分値を表す。奇数回と偶数回の波形積分値の加算値が大きいほど、奇数回と偶数回の波形の差が大きいことになり、式1は、印加する磁界をプラス方向からマイナス方向に変化させた場合の試料10の磁化反転しにくさを表す指標となる。式1の値が比較的小さければ、被測定物質の量(数)が比較的少ないため、周回毎に極性が反転する磁場に追随して試料10の磁化方向も反転していること示し、式1の値が比較的大きければ、被測定物質の量(数)が比較的多いため、周回ごとの磁場のスイッチングに追従できず試料10が極性反転しにくくなっていると考えられる。すなわち奇数回と偶数回の波形の相違は、被測定物質の量(数)と相関関係を有することを示唆している。
【0052】
磁化反転相当量を表す式は、上記式1に限らず、さまざまな定義式を採用しうる。例えば、以下の式2、式3、式4を用いてもよい。
【0053】
【数2】
【0054】
【数3】
【0055】
【数4】
【0056】
図7は、式1の演算結果と回転回数との関係を示すグラフである。被測定物質は大腸菌(E. Coli)とし、試料は大腸菌と磁気ビーズ(磁性ナノ粒子)の混合液である。図7(a)は、被測定物質を含まない(磁気ビーズのみ)試料10の測定に基づくグラフであり、図7(b)は、大腸菌を約10(CFU/ml)含む試料10の測定に基づくグラフであり、図7(c)は、大腸菌を約10(CFU/ml)含む試料10の測定に基づくグラフであり、図7(d)は、大腸菌を約10(CFU/ml)含む試料10の測定に基づくグラフである。
【0057】
図7では、各回転及び各磁界強度に対する演算結果をプロットし、その演算結果を4係数ロジスティック関数で近似した近似曲線を示す。演算結果を近似する関数は、これに限らず、他の関数を用いることもできる。図7によれば、被測定物質である大腸菌の量(数)が多くなるほど、回転回数がより早い(印加する磁界強度がより小さい)段階で式1の演算結果値が低下していく傾向があることが判明した。
【0058】
大腸菌の量が少ないほど、磁気ビーズがより大きな磁性体として凝集することから、回転回数が増大して磁界強度を上げていっても、磁界の極性反転に追従しにくくなることから、演算結果値が低下するタイミングは遅くなり、大腸菌の量が多いほど、磁気ビーズは凝集しにくく、早い回転回数の段階(磁界強度が低い段階)で磁界の極性反転に追従しやすくなり、回転回数を増大させて磁界強度も上がっていっても極性反転が発生しづらい状況になっていると考えられる。大腸菌の量にかかわらず、回転を繰り返す毎に、極性反転に追従しない割合が増えていき、最終的には、磁界強度を上げていっても、試料の磁化方向はランダムとなり、式1の演算結果値は0近傍に収束していくが、プラス方向磁界の回転とマイナス方向磁界の回転の2回転毎に、磁界強度を上げていくことで、被測定物質の量に応じた演算結果値が低下するタイミングの違いをより大きくすることができる。
【0059】
この測定結果に基づいて、式1の演算結果値が低下していくタイミングから、大腸菌の量を推定することが可能となる。例えば、式1の演算結果値の最大値の1/2の値になる回転回数又はその時の磁界強度を指標として、大腸菌の量を判定する。
【0060】
図8は、大腸菌の量と、式1の演算結果値の最大値の1/2の値になる磁界強度との関係を示すグラフである。大腸菌の量が多くなるほど、磁界強度の値は小さくなる傾向が明らかとなった。被測定物質に対してあらかじめ図8のグラフを求めておき、被測定物質数が未知の試料の評価の際には、センサ電圧値と印加した磁界強度から図8の曲線を用いて被測定物質の量を判定することができる(図6のS120)。信号処理部50が、測定されたセンサ電圧値から、式1の演算を行い、図8のグラフデータと比較し、被測定物の数を判定する。
【0061】
図9は、被測定物質をう蝕菌(S.mutans)とした場合における式1の演算結果と回転回数との関係を示すグラフである。試料は、う蝕菌と磁気ビーズ(磁性ナノ粒子)の混合液である。図9は、被測定物質を含まない(磁気ビーズのみ)試料10、う蝕菌を約10(CFU/ml)含む試料10、う蝕菌を約10(CFU/ml)含む試料10、う蝕菌を約10(CFU/ml)含む試料10の測定に基づくグラフを示す。
【0062】
図9では、各回転及び各磁界強度に対する演算結果をプロットし、その演算結果を4係数ロジスティック関数で近似した近似曲線を示す。演算結果を近似する関数は、これに限らず、他の関数を用いることもできる。図9によれば、被測定物質であるう蝕菌の量(数)が多くなるほど、回転回数がより遅い(印加する磁界強度がより大きい)段階で式1の演算結果値が低下していく傾向があることが判明した。これは図7の大腸菌の結果と異なるが、その理由として、う蝕菌は抗原抗体反応以前の段階で菌同士が凝集体を形成していることが多く、磁気ビーズとの反応後はう蝕菌の大きな凝集体の周りに磁気ビーズが結合しており、う蝕菌が増えるに従って凝集体が大きくなり、磁気ビーズの極性を反転させるためには印加する磁界強度がより大きくする必要があるためと考えられる。上記は電子顕微鏡写真でも観察された(図10)。図10は、う蝕菌の凝集体と磁気ビーズの電子顕微鏡写真である。また、図11は、う蝕菌の量と、式1の演算結果値の最大値の1/2の値になる磁界強度との関係を示すグラフである。う蝕菌の量が多くなるほど、磁界強度の値は大きくなる傾向が明らかとなった。ここから大腸菌と同様、う蝕菌の量を求めることができる。
【0063】
本発明の実施の形態では、磁気ビーズ(磁性ナノ粒子)及びこれと結合可能な被測定物を含む液体を回転させ、その周回ごとに極性が反転する磁界を印加し、その磁性の変化に対応する出力信号を周回毎に検出し、その隣接周回の出力信号の差異を利用して被測定物の量を測定可能とし、より高感度な磁気的免疫検査を行うことができる。
【0064】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
10:試料、12:容器、20:回転機構、22:台、24:回転軸、26:アーム部、30:磁界発生装置、32:発振器、34:励磁コイル、36:ヨーク、38:永久磁石、40:磁界センサ、40a:センサ素子、40b:センサ素子、42:バイアス用磁石、44:磁気シールド、50:信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11