(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】他社予約駐車場へ自社管理駐車場を開放するシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20230713BHJP
【FI】
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2019232247
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599164916
【氏名又は名称】日本システムバンク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 孝二
(72)【発明者】
【氏名】久藤 武文
(72)【発明者】
【氏名】梅田 泰永
(72)【発明者】
【氏名】永棹 健治
(72)【発明者】
【氏名】坂東 上平
(72)【発明者】
【氏名】野坂 信嘉
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 芳夫
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156197(JP,A)
【文献】特開2019-120982(JP,A)
【文献】特開2019-114070(JP,A)
【文献】特開2016-126539(JP,A)
【文献】特開2019-040502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別車室式駐車場を運営する会社と、自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社と、駐車料金の電子決済を行う会社または個別車室式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門の三者より構成され、前記自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社は、前記複数の個別車室式駐車場を運営する会社が管理する個別車室式駐車場の車室の一部または全部を、自社の予約駐車場として借り上げ、借り上げた駐車場の車室を自社の予約駐車場としてネット上に公開して利用者が予約駐車をできるようにした予約駐車場システムにおいて、
前記自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社は、複数の個別車室式駐車場を運営する会社から借り上げた個別車室式駐車場の予約車室に関するデータを、該会社のサーバー同士を通信で接続することによって利用する手段と、ネット上に借り上げた個別車室式駐車場の予約車室に関するデータのうち予約できる駐車場の名称,位置、満空情報、予約駐車の方法などを公開する手段と、該予約駐車場の利用者として登録された利用者が、前記予約駐車場の情報を見て駐車場の予約を申し込む手段と、該申し込みを受けて、登録利用者であることを確認し、予約希望の車室が予定日時に空車である場合に申し込みのあった利用者に予約を受け付け回答する手段と、利用者から予約確認の回答を得た時、
予約駐車場運営会社が前記個別車室式駐車場を運営する会社と通信して予約された車室への入庫防止装置の作動または車室背後に設けた表示板に予約中の表示を行うよう要請する手段と、利用者が該予約駐車場に到着したときに、到着したことを
予約駐車場運営会社が受信する手段と、同受信した情報に基づき予約駐車場の予約車室の入庫防止装置を解除または車室背後に設けた表示板の予約中の表示を非表示にするよう個別車室式駐車場を運営する会社に要請する手段と、該利用者からの通信によって駐車場から出庫することを
予約駐車場運営会社が確認した時、駐車時間をもとに前記駐車料金の電子決済を行う会社または個別車室式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門と通信し、駐車料金と予約に関する料金を算出する手段と、その金額の電子決済の承認を利用者に求める手段と、利用者が電子決済を承認したときに、前記駐車料金の電子決済を行う会社または個別車室式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門は、前記料金を電子決済して
予約駐車場運営会社に通信する手段と、
該通信に基づき予約駐車場運営会社は、前記個別車室式駐車場を運営する会社と通信して、該予約車室に駐車している車室の不正駐車防止装置を解除し、該予約車室の
表示板の表示を出庫可にすることを要請する手段と、
予約駐車場システムのコンピュータは上記手段を遂行するためのプログラムを装備することを特徴とする予約駐車場システム
【請求項2】
請求項1の予約駐車場システムにおいて、自社の予約駐車場を運営する
予約駐車場運営会社が、複数の個別車室式駐車場を運営する会社の駐車場の車室を自社の予約駐車場として利用するプログラムは、予約駐車場を運営する
予約駐車場運営会社が装備し、複数の個別
車室式駐車場を運営する会社、および駐車料金の電子決済を行う会社または個別車室式駐車場を運営する会社が装備するサーバーとの通信によって、必要な情報を利用することを特徴とする予約駐車場システム。
【請求項3】
請求項1の予約駐車場システムにおいて、利用者が該予約駐車場に到着したとき、および駐車料金の電子的支払いが完了し該駐車場を出庫するときに、
予約駐車場運営会社から要請される
予約車室の確保装置、不正退出防止行う機器、満空表示機器の操作は、個別車室式駐車場を運営する会社が装備する制御装置によって行うことを特徴とする予約駐車場システム。
【請求項4】
複数のゲート式駐車場を運営する会社と、自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社と、駐車料金の電子決済を行う会社またはゲート式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門の三者より構成され、前記自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社は、前記複数のゲート式駐車場を運営する会社の駐車場の一部を、自社の予約駐車場として借り上げ、借り上げた駐車場の車室を自社の予約駐車場としてネット上に公開して利用者が予約駐車をできるようにした予約駐車場システムにおいて、
前記自社の予約駐車場を運営する予約駐車場運営会社は、複数のゲート式駐車場を運営する会社から借り上げた予約駐車場に関するデータを、該会社のサーバー同士を通信で接続することによって利用する手段と、ネット上に借り上げたゲート式駐車場に関するデータのうち予約できる駐車場の名称,位置、満空情報、予約駐車の方法などを公開する手段と、該予約駐車場の利用者として登録された利用者が、前記予約駐車場の情報を見て駐車場の予約を申し込む手段と、該申し込みを受けて、登録利用者であることを確認し、予約希望の駐車場が予定日時に空車の車室がある場合に申し込みのあった利用者に予約を受け付け回答する手段と、利用者から予約確認の回答を得た時、
予約駐車場運営会社が前記ゲート式駐車場を運営する会社と通信して予約された駐車場の一車室を予約予定日時の一定時間前に駐車中として扱うよう要請する手段と、利用者が該予約駐車場に到着したときに、到着したことを
予約駐車場運営会社が受信する手段と、同受信した情報に基づき予約駐車場への入場できるようゲートを開放するようゲート式駐車場の運営会社に要請する手段と、該利用者からの通信によって駐車場から出庫することを
予約駐車場運営会社が確認した時、駐車時間をもとに前記駐車料金の電子決済を行う会社または個別車室式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門と通信し、駐車料金と予約に関する料金を算出する手段と、その金額の電子決済の承認を利用者に求める手段と、利用者が電子決済を承認したときに、前記駐車料金の電子決済を行う会社またはゲート式駐車場を運営する会社の駐車料金電子決済部門は、前記料金を電子決済して
予約駐車場運営会社に通信する手段と、
該通信に基づいて予約駐車場運営会社は、前記ゲート式駐車場を運営する会社と通信して、該駐車場の出口ゲートバーを開放するよう要請する手段と、
予約駐車場システムのコンピュータは上記手段を遂行するためのプログラムを装備するとともに、前記ゲート式駐車場を
運営する会社は、
予約駐車場運営会社からの要請に基づき、該駐車場の入り口、および出口のゲートバーの操作を行うことを特徴とする予約駐車場システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他社の予約駐車場として、自社の駐車場を開放するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
全国の空き駐車場を借り上げ、ネットを通じて予約駐車場として貸し出すシステムが開発され、すでに広く普及している。これらの予約駐車場が借り上げる駐車場は、個人の駐車場や、満車になっていない月極の駐車場などで、必ずしも便利な場所とは限らないという欠点がある。
【0003】
一方、ロック装置を車室に設けた駐車場(以下、個別車室式駐車場)は、比較的便利な場所に設けられているが、予約駐車場としての機能を持っていないので、予約を希望する利用者に便宜を提供することができないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、個別車室式駐車場の一部あるいは全部を、予約駐車場を運営する会社に予約駐車場として利用してもらえるようにするシステムを提供するものである。しかし、予約駐車場として利用してもらうために、予約の受け付けと確定、予約車室の確保、駐車料金の課金方法、出庫時のロック装置の開放の方法などを、自動的にできるように個別車室式駐車場と予約駐車場の運営会社との間で連携し、利用者がスムーズに利用できるようにする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、個別車室式駐車場の運営会社と、該駐車場の駐車料金の精算を電子的に行う電子決済会社と、予約駐車場の運営会社の三社を連携させ、予約駐車場の運営会社が利用客の予約を受け付け確定したあと、予約車室の確保、予約車室への駐車、スムーズな駐車料金の精算および出庫を行うことができるシステムを構成した。
【0006】
具体的には、予約駐車場の運営会社は、個別車室式駐車場を運営する会社の管理する駐車場の車室の一部または全部を予約駐車場として利用できるように、個別車室式駐車場の運営会社、および個別車室式駐車場の駐車料金の電子決済を行う会社と契約し、前記個別車室式駐車場の電子決済会社から予約駐車場として利用する車室の満空情報を入手し、ネット上に前記個別車室式駐車場の運営会社の駐車場と車室の満空の情報を表示する。
【0007】
利用者から予約の申し込みを受けたとき、予約駐車場の運営会社は、個別車室式駐車場の電子決済会社と通信し、予約車室の空き情報を確認した後、駐車開始時間、駐車予定時間、予約車室数などの予約情報を伝え、予約車が到着するまでは、申し込みのあった車室を予約車室として表示、または入庫禁止の措置を行うように指示する。個別車室式駐車場の運営会社は個別車室式駐車場の電子決済会社からの通信を受けて、予約された車室には入庫があったものとして該予約駐車場の満空表示を行うか、あるいは予約状態の状態表示を行う。一方、予約利用者には本人のID(事前登録)にリンクさせて、予約駐車場の運営会社は、申し込みのあった個別車室式駐車場に、車室を予約した旨の駐車場情報(予約情報)を送信する。
【0008】
予約利用者が該予約駐車場に到着した時には、利用者からの通信を受けて、予約駐車場の運営会社は、利用者のID から利用者が正しく予約した駐車場に到着したことを確認したあと、個別車室式駐車場の電子決済会社と通信し、予約車室への入庫制限装置がある場合は、それを解除して入庫を可能にするように指示する。その指令を受けて個別車室式駐車場の電子決済会社は、該駐車場の運営会社に指令して、予約利用者が、確保してあった予約車室に駐車することができるよう、必要な案内や入庫制限装置がある場合は、それを解除して入庫を可能にする。
【0009】
また、予約車が出庫する際には、利用者は予約駐車場の運営会社に通信により出庫することを伝えると、予約駐車場の運営会社は個別車室式駐車場の電子決済会社と通信し、駐車料金や予約料金などの精算額や駐車情報を入手し、予約駐車場の運営会社に通知する。この際の駐車料金等の情報は、個別車室式駐車場の電子決済会社が個別車室式駐車場の運営会社から入手する。
【0010】
予約駐車場の運営会社は、利用者の携帯端末装置に該精算額や駐車情報を表示させ、利用者が精算額の電子決済に応じると、その情報が個別車室式駐車場の電子決済会社に通信により伝達されるので、該電子決済会社は個別車室式駐車場の運営会社に駐車した車室のロック装置を開放するように指示するか、あるいは電子決済会社から直接利用者が駐車している予約駐車場の精算機を遠隔操作して車室のロック装置を開放させるので、利用者は駐車場から退出することができる。なお、車室にロック装置を置かず、カメラで駐車車両の車番等を認識するシステムを採用している場合は、ロック装置の操作は不要である。
【0011】
本発明のシステムでは、予約駐車場の運営会社は、予約利用者が支払った駐車料金の一定割合、あるいは予約料金を個別車室式駐車場の運営会社から受け取ることができるようにした。
【0012】
上記の予約駐車場を運営する会社が、個別車室式駐車場の車室を自社の予約駐車場としてネット上に公開し予約を受け付ける方法としては、利用者に専用の携帯端末用あるいはカーナビ用のアプリをネットからダウンロードしてもらい、利用するようにした。また、予約駐車場の利用料金などを決済も、個別車室式駐車場の電子決済会社の電子決済アプリとの連携によって可能にしてある。
【0013】
個別車室式駐車場の電子決済会社の電子決済アプリは、利用した駐車場名と、駐車した車室番号をアプリ上で入力することによって、駐車料金と必要に応じて予約料金の電子的支払いを可能にしたものである。
【0014】
上記予約駐車場の予約車室に予約が入ったことを該当車室に表示方法としては、予約駐車場の運営会社からの通信により、個別車室式駐車場の電子決済会社が、該当する個別車室式駐車場の運営会社に指令して、予約車室の確保のための入庫阻止装置の作動、あるいは車室後方に置いた表示スタンドに予約中などの表示を行ってもよいが、予約駐車場の運営会社が車室後方に予約車室であることを表示する独自の表示スタンドを設置し、予約中や予約がないことを個別車室式駐車場の電子決済会社を介さずに直接表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、予約駐車場を運営する会社は、比較的便利な場所にある既存の駐車場の車室を予約駐車場として活用できるので、事業を拡大できるメリットのほか、個人の空き駐車場や、利用されていない月極駐車場を予約駐車場として利用する場合に比べて、すべて自動的にトラブルなく運用ができるといった効果がある。
【0016】
一方、個別車室式駐車場の運営会社にとっては、自社の管理する駐車場の車室の一部又は全部を予約駐車場として開放をすると、予約駐車場の運営会社から顧客を誘導してもらうことになり、稼働率が上がるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】は、本発明を実施する個別車室式駐車場の例である。
【
図2】は、本発明が機能するための諸企業体と駐車場の構成を示した図である。
【
図3】は、本発明の駐車場を予約する際のプロセスを示した図である。
【
図4】は、本発明の駐車場に駐車する際のプロセスを示した図である。
【
図5】は、本発明の駐車場を出庫する際のプロセスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1は、個別車室式駐車場1の一部を、予約駐車場として利用させる場合の駐車場内の配置の例を示したものである。この駐車場には、2,3で示す15の個別車室が用意されている。4は精算機で、個別車室のうち3で示す4つの車室が、本発明の予約駐車場として利用させる車室である。
【0019】
全車室には図示しないが、一般的には車両検出装置や不正出庫を防止するロック装置が設備されている。精算機は、このような個別車室式駐車場では、どれかの車室に駐車した利用客が、出庫時に駐車した車室の番号を精算機の数値ボタンで入力することにより、駐車料金が表示されるので、料金を現金投入口に入れるとロック装置が開放され、出庫できる仕組みになっている。
【0020】
近年は、クレジットカードなどをスマホなどの携帯端末のアプリに紐づけし、電子的に駐車料金の支払いも可能になっている。この場合は、駐車場の運営会社が電子決済を専門に行う電子決済会社と契約し、利用者は専用のアプリにクレジットカード情報を登録し、駐車料金を電子的に支払えるものである。
【0021】
電子決済を希望する利用者は、アプリを使って自己のIDおよびパスワードでログインした後、利用した駐車場名や、車室番号を入力すると、駐車場名、入庫、出庫時間のほか駐車料金が表示されるので、それらを確認して電子決済を承認すると、自動的に登録してある金融機関の口座から駐車料金が引き落とされる。電子的な支払いが確認されると駐車した駐車場の精算機に、電子決済会社から駐車場の運営会社を通じてロック装置を開放するよう指令が出されるので、ロック装置が解放されて、利用者は車室から出庫できる仕組みになっている。
【0022】
図1は、本発明の実施例として車室3で示される4つの車室を、予約駐車場を運営する会社が貸し出しできるようにした場合を示している。これら4つの車室の後方には、6で示す表示スタンドが予約駐車場を運営する会社によって設置されている。これは、予約駐車場の運営会社と通信回線で結ばれており、予約ができる車室が、予約中であるか、あるいは予約のない状態であるかを表示するほか、必要に応じて予約した利用者に種々の情報を提供するために使われる。
【0023】
ただし、このような予約駐車場の運営会社が直接設置する表示スタンドは、本発明では必ずしも必要ではない。すなわち、この場合は予約駐車場の運営会社は、利用者からの予約を受け付けるが、直接予約車室の確保や、ロック装置の開放などを行う手段を持たないので、本発明では、個別車室式駐車場の運営会社が、駐車料金の電子決済会社からの指令で、予約車室の確保やロック装置の開放などを行えるようにしている。
【0024】
図2は、予約駐車場として、個別車室式駐車場の車室の一部を利用できるようにした本発明のシステムの構成を示したものである。11は多数の個別車室式駐車場を、12は車室の一部または全部を予約駐車場として利用できるようにした本発明の個別車室式駐車場、13は個別車室式駐車場の運営会社、14は駐車料金の電子決済会社である。
【0025】
個別車室式駐車場の運営会社は、通信回線17で管理する駐車場11,12の精算機と接続されており、該運営会社の管理ファイルには全車室の満空状態や、駐車する車両の入庫時間や出庫時、駐車料金の算出用データなどが記録されているほか、ロック装置の操作なども行えるようにしている。
【0026】
また、14の駐車料金の電子決済会社と13の個別車室式駐車場の運営会社とは、通信回線19で常時接続されており、駐車料金の電子的支払いが終わると、14からの通信で13に当該車室のロック装置の開放などを行なわせることができるようになっている。
【0027】
図2で、16は予約駐車場の運営会社、15は同予約駐車場の運営会社が契約している予約駐車群を示す。15と16は、通信回線18で常時接続され予約駐車場の車室の稼働状況を把握している。それらの情報をもとに該予約駐車場の運営会社は、契約した駐車場の位置や料金体系、満空状態などをネット上に公開している。
【0028】
従来は、駐車場を予約したい利用者がネット上で希望する予約駐車場を見つけ、予約を入れると、予約駐車場の運営会社は、予約駐車場に予約ありと通知をして車室を確保させる。この際予約駐車場が個人の空き駐車場のような場合には、パイロンを置いてもらって車室を確保する。
【0029】
しかし、予約駐車場の運営会社は、できるだけ自動的に予約時の車室の確保や、満空情報を入手したいと考える。その際、すでに駐車場として存在している個別車室式の駐車場を借りて、予約駐車場とすることができれば、自動的に車室の確保や駐車時間に応じた予約料金を含む駐車料金の徴収ができるといった利点が生じる。
【0030】
そこで、予約駐車場の運営会社は、既存の個別車室式駐車場の運営会社と契約して、その一部または全部を予約駐車場として活用できるようなシステムを構築したのが本発明である。個別車室式駐車場側も、利用客を増やせるメリットがあるので、いわばウィンウィンの関係を築ける発明といえる。
【0031】
図2で予約駐車場の運営会社は、例として12で示す個別車室式駐車場の二か所について車室の一部又は全部を予約駐車場として利用できるように、13で示す個別車室式駐車場の運営会社または14で示す駐車料金の電子決済会社と契約する。そして、予約車室の満空情報は、予約駐車場の運営会社16が駐車料金の電子決済会社14から通信回線20を通じて常時入手し、自己の車室管理ファイルによって管理している。
【0032】
利用者が予約した駐車場に到着する前の車室の確保や、出庫時のロック装置の開放などは、予約駐車場の運営会社16から駐車料金の電子決済会社14に通信回線20を通じて依頼し、該駐車料金の電子決済会社14から直接、あるいは個別車室式駐車場の運営会社13を通して精算機を遠隔操作しロック装置を動作あるいは開放することができるようにしてある。
【0033】
このように、予約駐車場の運営会社は、駐車料金の電子決済会社との連携により、無人で個別車室式駐車場の車室の一部、または全部を予約駐車場として運用できるメリットがある。
【0034】
本発明で個別車室式駐車場の一部または全部を予約駐車場として利用できるようにした場合の予約、駐車、料金の支払い、出庫などがどのように行われるかの例を以下の
図3から
図5で説明していく。
【0035】
図3は、本発明の個別車室式駐車場の車室を、利用者が予約駐車場を運営する会社に予約申し込みをするケースのプロセスの基本を示したものである。記述を簡潔にするため、個別車室式駐車を運営する会社をA、駐車料金の電子決済をする会社をB、予約駐車場の運営会社をC、予約利用者をDと表すことにする。
【0036】
まずCは予約を受け付けるために、S0でネット上に本発明の個別車室式駐車場の車室を利用可能な予約駐車場として、マップ上に予約車室に空きがあるかどうかを満空情報とともに公開しておく。利用者DはS0のマップと満空情報を見て、目的地に近い希望の駐車場を選び、S1で携帯端末などから予約駐車場の運営会社が用意しているアプリを使ってCへ駐車予約の申し込みをする。
【0037】
なお、この予約の申し込みにあたっては、利用者Dはあらかじめ予約駐車場の運営会社Cに利用者としての個人情報の登録を行い、ログインIDを取得しパスワードを設定しておかなければならない。
【0038】
さて、S2で予約駐車場の運営会社は、念のため予約駐車場に空車室があるかどうかを駐車料金の電子決済会社Bに問い合わせる。ただし、常時予約駐車場の満空状態を把握している場合は、このプロセスを省略してもよいことは勿論である。
【0039】
Bは、個別車室式駐車場の運営会社Aと通信し、S3で予約車室の利用可能情報をもらい、あるいは常時Aとの通信で予約可能な空車室があることをS4で確認できたら、S5でCへ予約可能と通知する。S6では、CがDに予約が可能なことや予約の条件などを知らせる。S7ではDが予約条件を確認しCへ予約決定を送信する。
【0040】
S8でCは利用者Dの予約が確定したことをBへ送信する。この送信を受けたBは、S9で個別車室式駐車場の運営会社Aに、予約駐車場の車室を予約中に変更し、ロック装置を作動させるか、あるいは車室後方に個別車室式駐車場が設置した表示スタンドを使って、予約者以外の入庫を阻止する手段を講じるよう指示し、S10でAは指示された手段を実行する。
【0041】
Cはまた、S8で利用者Dに、予約車室を確保したことと、入庫時に予約車室に入庫できるように予約駐車場名や車室の番号などを送信する。このようにして利用者Dは、S11で予約車室が確保されたことを知る。
【0042】
前にもどって、S4で予約車室が利用できないとわかった時は、S12でDへ申し込みの予約駐車場が利用できないことと、代わりの予約駐車場を案内する。S13でDは紹介された別の予約駐車場に予約を申し込む。以上の方法で、利用者Dは目的地付近の駐車場を予約することができるが、以上のプロセスは本発明の一実施例に過ぎず、多くの変更が可能なことは勿論である。
【0043】
次に、予約した駐車場に利用者Dが到着し予約車室に入庫する方法を、
図4を使って説明する。まず、S21でDが予約した駐車場に到着したら、携帯端末などのアプリを使って、IDとパスワードを入力したあと予約駐車場の運営会社Cに到着したことを通知する。この際、予約決定時に通知された駐車場名や予約車室が携帯の端末に表示されるので、Dは間違いなく予約した駐車場に到着したことを確認できる。Dの確認情報が予約駐車場の運営会社Cに届くと、Cは、Dが間違いなくその駐車場を予約した利用者であることを確認できるので、S22で直ちに駐車料金の電子決済会社Bに予約者Dが到着したことを連絡する。
【0044】
S23で電子決済会社Bは、利用者用に確保していた予約車室のロックを開放するか、あるいは車室後方に置いた表示スタンドの表示を、予約中から駐車可能に変更するよう個別車室式駐車場の運営会社Aに指令を出す。それに応じてS24では、精算機が予約駐車場としてロックしていた装置を開放するか、あるいは車室後方に設けておいた表示スタンドの表示を入庫可といった表示に変更する。
【0045】
ロック装置の開放や表示スタンドの入庫可の表示を確認したBは、S25でCにロックを開放したことあるいは入庫可の表示をしたことと、何番の車室に入庫するといった情報を通知する。そしてS26でCは利用者Dに入庫する車室の番号を通知する。これを見て、予約の利用者は、駐車場が確保していた車室に駐車する。
【0046】
次に、
図5でDが駐車場から出庫する際のプロセスを説明する。まずS31で、Dは携帯端末などからアプリによりCへ利用者のIDとパスワードを入力し、駐車場から出庫することを通知する。Cは、その通知を受けて、S32ですぐに駐車料金の電子決済会社Bと通信し、駐車料金の精算を要求する。
【0047】
駐車料金の電子決済会社Bは、S33で利用者Dの駐車開始時間、出庫通知時間、予約車室確保時間を車室管理ファイルのデータから求め、S34で個別車室式駐車場の運営会社Aは精算機に駐車料金、予約車室確保時間を含めた予約料金などを算出させ、S35でその結果をCへ通知する。S36でCは利用者Dのアプリに駐車料金と予約料金などを通知する。
【0048】
S37で、利用者Dが請求料金の電子的支払いを了承すれば、Dが登録した金融機関の口座から、前記駐車に係る料金を引き落とす。同時にS38でBはCに利用者の車室のロック装置を開放するか、表示スタンドの表示を予約車室などのように表示するように指令する。
【0049】
S39では、依頼を受けたC は個別車室式駐車場の運営会社Aに該当車室のロックを開放するか、あるいは表示スタンドの表示を出庫可のように指示する。S40でAが実際にロック装置は開放するか、あるいは出庫可の表示をしたあとBにその結果を通知する。S41でBはロックが解放したこと、あるいは出庫可の表示をしたことを確認できるので、Cへその旨を連絡する。S42でCは、必要な領収書などをDに発行したりする。DはS43で電子的に支払いが終わったことを知り、駐車場の車室から出庫することができる。
以上
【0050】
以上のような予約駐車場の利用に関するプロセスは、駐車料金の電子決済会社と予約駐車場の運営会社が用意した両者のサーバー上の予約管理プログラムによって自動的に実行される。また、以上の説明で「伝える」、「通信する」などと表現したことはすべて通信回線を通して自動的に行われることは勿論である。
【実施例2】
【0051】
実施例1で説明した個別車室式駐車場の運営会社の駐車料金を電子決済する会社については、独立した会社ではなく、個別車室式駐車場の運営会社の担当部門であってもよい。
【0052】
予約駐車場の運営会社が、個別車室式駐車場の車室を予約駐車場として契約する場合、当該車室の後方に予約駐車場側が予約中、出庫時の注意などを表示する独自の表示スタンドを設置し、駐車料金の電子決済会社を経由せずに、予約駐車場の運営会社から直接通信により操作することもできる。
【0053】
実施例1では、各車室に車両検知センサがあり、且つ不正出庫を防止するロック装置を設置した個別車室式駐車場をベースに説明したが、本発明では、ロック装置は必ずしも必須条件ではなく、車室後方に駐車可能、駐車課金中、精算をしてください、出庫可などの表示または音声案内をする表示スタンドを設けるものでもよい。
【0054】
さらには、予約駐車場として予約駐車場の運営会社に利用させる駐車場は、個別車室式駐車場ではなくゲート式駐車場でもよい。この場合には、予約車両数と実際駐車中の車両数の和と、全車室数との比較で満空表示を行い、予約の受け付けを行えばよい。
【0055】
ゲート式駐車場へ本発明を適用した場合の出庫時のプロセスは、実施例1で説明したものとほぼ同じであるが、駐車料金の電子決済を行った場合にのみ、実施例1ではロック装置の開放を行った代わりに、出庫時ゲートが開くようにしておけばよい。
【0056】
実施例1では、個別車室式駐車場の一部又は全部を予約駐車場として契約すると書いてきたが、該駐車場の現在の満空状態や、AIを使ってそれまでの統計的な満空状態の判断により、予約車室の数を状況により変化させることも可能であり、この場合より有効な駐車場の活用が図れるという効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、駐車場の経営者にとって駐車場をより有効に活用できるほか、駐車場を予約したいという利用者のニーズに応えるものであり、産業上大いに利用できるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 予約車室を持った個別車室式駐車場 2 個別の車室
3 予約駐車場として提供された車室 4 精算機
5 駐車場への出入り口 6 予約車室の表示スタンド
11 個別車室式駐車場群
12 一部または全部を予約車室として提供した駐車場
13 個別車室式駐車場の運営会社 14 電子決済会社
15 予約駐車場の運営会社が契約している予約駐車場
16 予約駐車場の運営会社
17 個別車室式駐車場の運営会社と電子決済会社の間の通信回線
18 予約駐車場の運営会社と、予約駐車場群の間の通信回線
19 個別車室式駐車場の運営会社と電子決済会社の間の通信回線
20 電子決済会社と電子決済会社の間の通信回線