(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/81 20110101AFI20230713BHJP
H01R 12/88 20110101ALI20230713BHJP
【FI】
H01R12/81
H01R12/88
(21)【出願番号】P 2021503524
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006334
(87)【国際公開番号】W WO2020179436
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2019041581
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】前田 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】小山 勝三郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 亜美
(72)【発明者】
【氏名】岩本 崇
(72)【発明者】
【氏名】生駒 光司郎
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-249082(JP,A)
【文献】特開平11-288768(JP,A)
【文献】特開2005-026020(JP,A)
【文献】実開平03-006555(JP,U)
【文献】国際公開第2005/083410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の導電部材であってその厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた前記導電部材に対して接続されるコネクタであって、
複数のコンタクトと、
複数の前記コンタクトを保持する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部を挟み込んだ状態で前記本体ハウジングに対して係合して取り付けられるカバーハウジングと、を備え、
前記本体ハウジングは、複数の前記コンタクトをそれぞれ保持する複数の保持部を有し、
複数の前記保持部は、前記本体ハウジングにおいて、前記本体ハウジングの厚み方向における異なる高さ位置で複数の前記コンタクトをそれぞれ保持するように設けられ、
前記カバーハウジングと前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部が挟み込まれた状態で複数の前記導電部と複数の前記コンタクトとがそれぞれ接触するように構成され
、
前記本体ハウジングに保持された複数の前記コンタクトのそれぞれの一部を覆った状態で前記本体ハウジングに取り付けられるように構成され、複数の前記コンタクトを複数の前記導電部に対してそれぞれ接触させるための複数の開口が設けられた中間ハウジングを更に備えている、コネクタ。
【請求項2】
請求項
1に記載のコネクタであって、
前記中間ハウジングには、その厚み方向において一方の面側で凹むとともに他方の面側で隆起する段差状に形成された段差部が設けられ、
前記段差部には、前記開口が設けられ、
前記段差部は、前記中間ハウジングが前記本体ハウジングに取り付けられた状態で、前記本体ハウジングに保持された複数の前記コンタクトの何れかに対応して位置するように設けられている、コネクタ。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2に記載のコネクタであって、
前記カバーハウジングは、前記中間ハウジングに対して回転自在に連結されるとともに、前記本体ハウジング及び前記中間ハウジングとの間で前記導電部材の一部を挟み込んだ状態で前記本体ハウジングに対して係合することで当該本体ハウジングに対する位置がロックされるように構成されている、コネクタ。
【請求項4】
請求項
3に記載のコネクタであって、
前記カバーハウジングは、前記本体ハウジングの幅方向の内側で前記本体ハウジングに嵌り込んだ状態で、前記本体ハウジングに係合するように構成されている、コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記導電部材は、液漏れ検知用のシートセンサであり、
前記導電部材は、複数の前記導電部として、当該導電部材の厚み方向における異なる高さ位置に配置された第1導電部及び第2導電部を有し、
前記第1導電部は、前記導電部材において当該導電部材の厚み方向に凹んだ領域である凹み領域の底部に対応する位置で層状に広がるように配置されており、
前記第2導電部は、前記凹み領域の周囲の領域で前記導電部材の表面に沿って層状に広がるように配置されており、
複数の前記コンタクトとして、前記本体ハウジングにおいて当該本体ハウジングの厚み方向における異なる高さ位置でそれぞれ保持される第1コンタクトと第2コンタクトとが備えられ、
前記カバーハウジングと前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部が挟み込まれた状態で、前記第1コンタクトが前記第1導電部に接触するとともに前記第2コンタクトが前記第2導電部に接触するように構成されている、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の導電部材であってその厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材に対して接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート状の導電部材と電線とを接続する際には、コネクタが用いられている。このようなコネクタとして、特許文献1に開示されたコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、複数の電線に対して接続されるとともに、フレキシブル回路基板として設けられたシート状の導電部材に対して接続されるコネクタとして構成されている。特許文献1のコネクタは、複数のコンタクトと複数のコンタクトを保持するハウジングとを有している。そして、各コンタクトが各電線の端部に接続された状態でハウジングに保持され、これにより、コネクタが、複数の電線に対して接続される。
【0004】
また、特許文献1のコネクタには、ハウジングに結合されるとともに開位置と閉位置との間で移動可能なクリップが設けられている。そして、このコネクタは、クリップが開位置の状態で、ハウジングとクリップとの間に形成された中間空間において、シート状の導電部材の一部を受容するように構成されている。更に、このコネクタは、クリップが閉位置の状態で、シート状の導電部材の一部を挟み込んで捕捉し、コンタクトと導電部材に設けられたコンタクトパッドとを接続するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコネクタによると、電線等をシート状の導電部材に対して接続することができる。ここで、シート状の導電部材は、シート状に形成されていることから、絶縁部の層と導電部の層とを含む層構造を有する導電部材として構成される。このため、シート状の導電部材は、その厚み方向において異なる高さ位置に導電部の層を配置した構成とすることができる。これにより、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材の構成を実現する要請がある場合であっても、シート状の導電部材であれば、容易にその要請に対応することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のコネクタによると、複数のコンタクトは、ハウジングの厚み方向における同じ高さ位置でハウジングに保持されている。このため、特許文献1のコネクタは、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられたシート状の導電部材に対して接続されると、コネクタにおける複数のコンタクトとシート状の導電部材における複数の導電部とをそれぞれ適切に接続することが困難となる。よって、特許文献1のコネクタによると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられたシート状の導電部材への適切な接続に対応することが困難となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられたシート状の導電部材に対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、シート状の導電部材であってその厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた前記導電部材に対して接続されるコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、複数のコンタクトと、複数の前記コンタクトを保持する本体ハウジングと、前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部を挟み込んだ状態で前記本体ハウジングに対して係合して取り付けられるカバーハウジングと、を備え、前記本体ハウジングは、複数の前記コンタクトをそれぞれ保持する複数の保持部を有し、複数の前記保持部は、前記本体ハウジングにおいて、前記本体ハウジングの厚み方向における異なる高さ位置で複数の前記コンタクトをそれぞれ保持するように設けられ、前記カバーハウジングと前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部が挟み込まれた状態で複数の前記導電部と複数の前記コンタクトとがそれぞれ接触するように構成されている。
【0010】
この構成によると、電線等に接続される複数のコンタクトは、本体ハウジングにおいて複数の保持部に保持され、複数の保持部は、本体ハウジングの厚み方向における異なる高さ位置で複数のコンタクトをそれぞれ保持する。そして、本体ハウジングとカバーハウジングとの間で導電部材の一部が挟み込まれた状態でカバーハウジングが本体ハウジングに対して係合して取り付けられ、複数の導電部と複数のコンタクトとがそれぞれ接触する。このため、シート状の導電部材において厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部と、本体ハウジングにおいて厚み方向における異なる高さ位置で保持された複数のコンタクトとが、対応する高さ位置で容易に且つ適切に接続されることになる。
【0011】
従って、上記の構成によると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられたシート状の導電部材に対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタを提供することができる。
【0012】
(2)前記コネクタは、前記本体ハウジングに保持された複数の前記コンタクトのそれぞれの一部を覆った状態で前記本体ハウジングに取り付けられるように構成され、複数の前記コンタクトを複数の前記導電部に対してそれぞれ接触させるための複数の開口が設けられた中間ハウジングを更に備えていてもよい。
【0013】
この構成によると、中間ハウジングが、本体ハウジングに保持された複数のコンタクトのそれぞれの一部を覆った状態で本体ハウジングに取り付けられるため、複数のコンタクトをより安定した状態で強固に保持することができる。更に、中間ハウジングには、複数の開口が設けられており、各コンタクトと各導電部とを簡素な構造で容易に接触させることができる。
【0014】
(3)前記中間ハウジングには、その厚み方向において一方の面側で凹むとともに他方の面側で隆起する段差状に形成された段差部が設けられ、前記段差部には、前記開口が設けられ、前記段差部は、前記中間ハウジングが前記本体ハウジングに取り付けられた状態で、前記本体ハウジングに保持された複数の前記コンタクトの何れかに対応して位置するように設けられていてもよい。
【0015】
この構成によると、中間ハウジングには、複数のコンタクトの何れかに対応する位置において、厚み方向の一方の面側で凹んで他方の面側で隆起するとともに開口が設けられた段差部が形成されている。このため、本体ハウジングにおいて厚み方向における異なる高さ位置で保持された複数のコンタクトのそれぞれの高さ位置に対応してそれぞれのコンタクトの一部をより密着した状態で覆う構造の中間ハウジングを簡素な構造で容易に実現することができる。また、中間ハウジングにおいて、複数のコンタクトの何れかに対応する位置で隆起した部分が設けられていることで、複数のコンタクト間においてより長い絶縁距離を確保でき、絶縁距離の確保によるより高い接続安定性を得ることができる。
【0016】
(4)前記カバーハウジングは、前記中間ハウジングに対して回転自在に連結されるとともに、前記本体ハウジング及び前記中間ハウジングとの間で前記導電部材の一部を挟み込んだ状態で前記本体ハウジングに対して係合することで当該本体ハウジングに対する位置がロックされるように構成されていてもよい。
【0017】
この構成によると、中間ハウジングに回転自在に連結されたカバーハウジングが、本体ハウジング及び中間ハウジングとの間で導電部材の一部を挟み込む。即ち、中間ハウジングに対して回転自在に連結されたカバーハウジングが、本体ハウジングとの間で中間ハウジングを介して導電部材の一部を挟み込む。そして、カバーハウジングは、本体ハウジング及び中間ハウジングとの間で導電部材の一部を挟み込んだ状態で本体ハウジングに係合してロックされる。このため、コネクタとシート状の導電部材との接続作業を行う作業者は、本体ハウジング及び中間ハウジングに対して導電部材の一部を配置した状態でカバーハウジングの回転操作を行うだけで、容易に、コネクタと導電部材とを接続することができる。また、中間ハウジングに回転自在に連結されたカバーハウジングが、本体ハウジングに係合してロックされるため、本体ハウジング及び中間ハウジングとカバーハウジングとの間で挟み込んだ導電部材をより強固に安定して保持することができる。これにより、外部から振動等が作用し易いような環境でコネクタが使用される場合であっても、コネクタにシート状の導電部材を強固に保持した状態を安定して維持することができる。
【0018】
(5)前記カバーハウジングは、前記本体ハウジングの幅方向の内側で前記本体ハウジングに嵌り込んだ状態で、前記本体ハウジングに係合するように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によると、カバーハウジングが、本体ハウジングにその幅方向の内側で嵌り込んだ状態で係合する。このため、外部の物体がコネクタに当接する場合であっても、その物体がカバーハウジングに対して引っ掛かったような状態で当接することが抑制される。これにより、外部からの力がコネクタに作用する場合であっても、カバーハウジングを本体ハウジングから離脱させる方向への力がカバーハウジングに作用することを抑制することができる。従って、外部から振動等が作用し易いような環境でコネクタが使用される場合であっても、コネクタにシート状の導電部材を強固に保持した状態を更に安定して維持することができる。
【0020】
(6)前記導電部材は、液漏れ検知用のシートセンサであり、前記導電部材は、複数の前記導電部として、当該導電部材の厚み方向における異なる高さ位置に配置された第1導電部及び第2導電部を有し、前記第1導電部は、前記導電部材において当該導電部材の厚み方向に凹んだ領域である凹み領域の底部に対応する位置で層状に広がるように配置され、前記第2導電部は、前記凹み領域の周囲の領域で前記導電部材の表面に沿って層状に広がるように配置されており、前記コネクタにおいて、複数の前記コンタクトとして、前記本体ハウジングにおいて当該本体ハウジングの厚み方向における異なる高さ位置でそれぞれ保持される第1コンタクトと第2コンタクトとが備えられ、前記カバーハウジングと前記本体ハウジングとの間で前記導電部材の一部が挟み込まれた状態で、前記第1コンタクトが前記第1導電部に接触するとともに前記第2コンタクトが前記第2導電部に接触するように構成されていてもよい。
【0021】
この構成によると、コネクタが接続されるシート状の導電部材は、液漏れ検知用のシートセンサとして構成される。そして、カバーハウジングと本体ハウジングとの間でシートセンサの一部が挟み込まれた状態で、シートセンサの凹み領域の底部に対応する位置で広がる第1導電部に対してコネクタの第1コンタクトが接触し、シートセンサの表面で広がる第2導電部に対してコネクタの第2コンタクトが接触する。このため、シートセンサにおいて厚み方向における異なる高さ位置に配置された第1導電部及び第2導電部と、本体ハウジングにおいて厚み方向における異なる高さ位置で保持された第1コンタクト及び第2コンタクトとが、それぞれ対応する高さ位置で容易に且つ適切に接続されることになる。従って、上記の構成によると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた液漏れ検出用のシートセンサに対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられたシート状の導電部材に対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す斜視図であって、これに接続された導電部材とともに示す図である。
【
図2】コネクタ及び導電部材を示す斜視図であって、導電部材にコネクタが接続されていない状態を示す図である。
【
図3】コネクタの側面図であって、これに接続された導電部材とともに示す図である。
【
図4】コネクタに接続される導電部材を模式的に示す図であって、
図4(A)は、導電部材の一部の平面図であり、
図4(B)は、
図4(A)のC-C線矢視位置における導電部材の一部の断面図である。
【
図5】コネクタにおけるコンタクトを拡大して示す斜視図である。
【
図7】コネクタにおける本体ハウジングを示す図であって、
図7(A)は、平面図であり、
図7(B)は、正面図であり、
図7(C)は、右側面図であり、
図7(D)は、底面図である。
【
図8】コネクタにおける中間ハウジングを示す図であって、
図8(A)は、平面図であり、
図8(B)は、正面図であり、
図8(C)は、右側面図であり、
図8(D)は、底面図である。
【
図9】コネクタにおけるカバーハウジングを示す図であって、
図9(A)は、平面図であり、
図9(B)は、正面図であり、
図9(C)は、右側面図であり、
図9(D)は、底面図である。
【
図10】コネクタの断面図であって、
図3のA-A線矢視位置における断面を示す図である。
【
図11】コネクタの断面図であって、
図3のB-B線矢視位置における断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、シート状の導電部材であってその厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材に対して接続されるコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0025】
[コネクタの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を示す斜視図であって、これに接続された導電部材100とともに示す図である。
図2は、コネクタ1及び導電部材100を示す斜視図であって、導電部材100にコネクタ1が接続されていない状態を示す図である。
図3は、コネクタ1の側面図であって、これに接続された導電部材100とともに示す図である。尚、
図1乃至
図3及び後述の
図4乃至
図9においては、コネクタ1及びその構成要素を示す図において、表面形状を表すための細線も付している。
【0026】
また、
図1乃至
図3及び後述の各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称する。また、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後ろ側又は後方と称する。尚、上下方向については、厚み方向、又は高さ方向とも称し、左右方向については、幅方向とも称する。
【0027】
コネクタ1は、複数のコンタクト2と、ハウジング4と、を備えて構成されている。また、ハウジング4は、本体ハウジング5と、中間ハウジング6と、カバーハウジング7と、を備えて構成されている。コネクタ1は、シート状の導電部材100と複数の電線110とを、機械的及び電気的に接続するコネクタとして構成されている。尚、本実施形態では、シート状の導電部材100と一対の電線110,110とを接続するコネクタ1の形態を例示している。このため、本実施形態では、複数のコンタクト2として一対のコンタクト2,2を備えたコネクタ1の形態を例示している。
【0028】
コネクタ1においては、ハウジング4内において複数のコンタクト2が保持されており、各コンタクト2には、各電線110の端部が接続されている。また、導電部材100は、その厚み方向における異なる高さ位置において複数の導電部が配置されている。そして、ハウジング4内において、複数の電線110にそれぞれ接続された複数のコンタクト2が、導電部材100における複数の導電部に接触することで、複数の電線110と導電部材100とが電気的に接続される。尚、コネクタ1についての以下の説明では、まず、コネクタ1が接続される導電部材100について説明し、次いで、コネクタ1の構成の詳細について説明する。
【0029】
[導電部材]
図4は、コネクタ1に接続される導電部材100を模式的に示す図であって、
図4(A)は、導電部材100の一部の平面図であり、
図4(B)は、
図4(A)のC-C線矢視位置における導電部材100の一部の断面図である。導電部材100は、可撓性を有し、平坦に延びるシート状の導電部材として構成されている。尚、
図4では、帯状に細長く延びるように構成された導電部材100の形態を例示している。
【0030】
導電部材100には、その厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部101が設けられている。また、導電部材100には、複数の導電部101とともに、複数の絶縁部102が設けられている。導電部材100においては、導電部101と絶縁部102とが、積層されて配置されている。
【0031】
導電部材100において、複数の導電部101は、絶縁部102によって絶縁された状態で、配置されている。しかし、複数の導電部101は、外部に露出した部分をそれぞれ有している。そして、導電部材100は、導電性を有する水等の液体が付着することで或いはそのような液体に浸されることで、複数の導電部101の間に液体の経路が形成され、複数の導電部101の間が電気的に導通されるように構成されている。また、導電部材100は、複数の導電部101のそれぞれにおいて、コネクタ1における複数のコンタクト2に対してそれぞれ接触して電気的に接続されるように構成されている。これらの構成により、シート状の導電部材100は、導電性を有する水等の液体の漏れを検知することが可能な、液漏れ検知用のシートセンサ100として構成されている。
【0032】
ここで、導電部材100の構造について、更に詳しく説明する。本実施形態では、
図4(B)に示すように、導電部材100は、複数の導電部101として、第1導電部101aと、第2導電部101bと、を有している。また、導電部材100は、複数の絶縁部102として、第1絶縁部102aと、第2絶縁部102bと、を有している。
【0033】
第1導電部101a及び第2導電部101bは、導電部材100の厚み方向における異なる高さ位置に配置されている。第1絶縁部102a及び第2絶縁部102bも、導電部材100の厚み方向における異なる高さ位置に配置されている。そして、導電部材100の厚み方向の両側のうちの一方の表面100a側から他方の表面100b側にかけて、第1絶縁部102a、第1導電部101a、第2絶縁部102b、第2導電部101bが、この順番で積層されている。このため、第1導電部101a及び第2導電部101bは、第2絶縁部102bによって互いに絶縁された状態で配置されている。そして、導電部材100の一方の表面100a側に第1絶縁部102aが配置され、導電部材100の他方の表面100b側に第2導電部101bが配置されている。
【0034】
また、導電部材100においては、導電部材100の厚み方向に凹んだ領域である凹み領域103が複数設けられている。複数の凹み領域103のそれぞれは、導電部材100の表面100b側において開口する凹み領域として設けられている。そして、第1導電部101aは、導電部材100において、凹み領域103の底部に対応する位置で層状に広がるように配置されている。尚、凹み領域103の底部は、凹み領域103における表面100b側と反対側の領域であって、表面100bでの開口側に対して導電部材100の厚み方向における反対側の領域である。第1導電部101aは、凹み領域103の底部に対応する位置で層状に広がっており、層状に広がる面における凹み領域103に対応する位置では、凹み領域103によって形成される空間において外部に露出している。
【0035】
また、第2導電部101bは、凹み領域103の周囲の領域で導電部材100の表面100bに沿って層状に広がるように配置されている。このため、第2導電部101bは、導電部材100の表面100bにおいて、外部に露出している。そして、第2導電部101bにおいては、凹み領域103に対応する位置では、凹み領域103を外部に開口させるように、貫通孔が形成されている。即ち、第2導電部101bは、凹み領域103に対応する位置で孔が形成された状態で、導電部材100の表面100bに沿って広がるように設けられている。
【0036】
また、第2絶縁部102bは、第1導電部101aと第2導電部101bとの間において層状に広がるように配置されている。そして、第2絶縁部102bは、凹み領域103に対応する位置で孔が形成された状態で、第1導電部101aと第2導電部101bとの間で層状に広がるように設けられている。このため、第1導電部101aと第2導電部101bとは、凹み領域103に対応する領域以外の領域においては、導電部材100の厚み方向において、第2絶縁部102bによって絶縁されている。
【0037】
尚、導電部材100においては、凹み領域103として、コネクタ1における複数のコンタクト2のうちの1つに対して第1導電部101aを接触させるために設けられた第1凹み領域103aと、液漏れ検出用の第2凹み領域103bとが設けられている。第1凹み領域103aは、導電部材100の端部の近傍の位置に配置され、導電部材100において、導電部材100がコネクタ1に接続された際にコンタクト2に接触可能な位置に設けられている。第2凹み領域103bは、複数設けられており、導電部材100の表面100bにおいて、分散して配置されている。
【0038】
液漏れ検知用のシートセンサ100として設けられた導電部材100は、コネクタ1に接続され、導電性を有する水等の液体の漏れの発生の有無の検知が要請される種々の領域に配置される。また、導電部材100は、コネクタ1及び複数の電線110(本実施形態では、一対の電線110,110)を介して液漏れ検知器(図示省略)に接続される。液漏れ検知器は、一対の電線110,110に対して、コネクタ1と反対側の端部で接続されている。
【0039】
また、コネクタ1は、各コンタクト2において各電線110に接続されている。そして、導電部材100がコネクタ1に接続された状態では、一対のコンタクト2,2は、第1導電部101a及び第2導電部101bにそれぞれ接触している。具体的には、一対のコンタクト2,2のうちの一方のコンタクト2が、導電部材100の第1凹み領域103aにて外部に露出した第1導電部101aに対して接触している。そして、一対のコンタクト2,2のうちの他方のコンタクト2が、導電部材100の表面100bで外部に露出した第2導電部101bに対して接触している。
【0040】
導電部材100が配置された領域において液体の漏れが発生していない状態では、導電部材100における第1導電部101aと第2導電部101bとの間は絶縁されており、一対の電線110,110間は電気的に導通されていない。しかし、導電部材100が配置された領域において液体の漏れが発生すると、その液体が導電部材100に付着或いはその液体に導電部材100が浸されることになる。これにより、導電部材100における複数の第2凹み領域103bに液体が浸入し、第1導電部101aと第2導電部101bとの間に液体の経路が形成され、第1導電部101aと第2導電部101bとの間が電気的に導通される。
【0041】
また、コネクタ1における一対のコンタクト2,2のうち、一方のコンタクト2が第1導電部101aに接触し、他方のコンタクト2が第2導電部101bに接触している。そして、一対のコンタクト2,2は、一対の電線110,110にそれぞれ接続されている。このため、液漏れが発生して第2凹み領域103bに液体が浸入し、第1導電部101aと第2導電部101bとの間が電気的に導通されると、一対の電線110,110間が電気的に導通される。また、液漏れ検知器は、一対の電線110,110間に電圧を印加しており、一対の電線110,110間が電気的に導通され、所定の閾値以上の電流が流れた際に、通電状態を検出するように構成されている。そして、液漏れ検知器は、一対の電線110,110間の導通状態を検出することで、液漏れ状態が発生したことを検知し、アラーム信号等を発生させるように構成されている。
【0042】
[コンタクト]
図5は、コネクタ1におけるコンタクト2を拡大して示す斜視図である。
図2及び
図5に示すコンタクト2は、導電性を有する金属材料で一体に形成されている。そして、コンタクト2は、一方の端部において電線110にかしめられることで電線110に接続されるとともに、導電部材100に対して接触することで導電部材100に電気的に接続されるように構成されている。
【0043】
本実施形態のコネクタ1においては、複数のコンタクト2として、一対のコンタクト2,2として設けられた第1コンタクト20及び第2コンタクト21が備えられている。第1コンタクト20及び第2コンタクト21は、同一形状のコンタクト2として設けられており、ハウジング4の内部の互いに離れた位置に配置されている。尚、本実施形態における第1コンタクト20及び第2コンタクト21は、同じ形状であるため、以下においては、第1コンタクト20及び第2コンタクト21のそれぞれの形状について、コンタクト2の形状として説明する。
【0044】
コンタクト2は、コンタクト本体部22と、かしめ部23と、当接部24と、バネ接点29と、を有している。
【0045】
コンタクト本体部22は、前後方向に長い略筒状に形成されている。コンタクト本体部22の下面は、ハウジング4における後述の本体ハウジング5の上面部分に対して設置される。かしめ部23は、コンタクト本体部22の後側において一体に形成されている。コンタクト2は、かしめ部23において電線110がかしめられて固定されることで、電線110に対して接続される。尚、電線110は、コンタクト2に接続される端部において表面の絶縁被覆が部分的に剥がされて導体部分が露出した状態で、コンタクト2のかしめ部23によってかしめられ、コンタクト2に接続される。
【0046】
当接部24は、
図5を参照して、前方当接面26と、後方当接面27と、一対の突出片28,28と、を有している。前方当接面26及び後方当接面27は、ハウジング4における後述の中間ハウジング6の中蓋部61と接触する部分として構成されている。前方当接面26は、平坦状に形成されており、中蓋部61を支持するように構成されている。また、後方当接面27も、前方当接面26と同様に平坦状に形成されており、中蓋部61の下面を支持するように構成されている。
【0047】
一対の突出片28,28は、前方当接面26及び後方当接面27の中間位置に配置されており、前方当接面26及び後方当接面27よりも高い高さ位置までコンタクト本体部22から延びている。そして、一対の突出片28,28は、後述のバネ接点29の接点部31の左右方向の両側に配置され、接点部31の側方で前後方向に延びる壁状に形成されている。これにより、一対の突出片28,28は、バネ接点29の接点部31をその両側で外部から保護するように構成されている。
【0048】
バネ接点29は、導電部材100の導電部101に対して接触することで導電部材100に対して電気的に接続される部分として設けられている。そして、バネ接点29は、コンタクト本体部22の先端側の部分から延びる平板状の部分をかしめ部23側に複数回屈曲させるように折り曲げることによって形成されている。
【0049】
バネ接点29は、バネ部30と、接点部31と、を有している。バネ部30は、コンタクト本体部22の先端側の部分から半円弧状に延びるように形成されており、バネ接点29が導電部材100と接触する際に弾性変形して接触圧を発生させる部分として設けられている。接点部31は、導電部材100の導電部101に対して接触することで導電部101に対して電気的に接続される部分として設けられている。接点部31は、バネ部30から屈曲して片持ち状に延びるように形成されており、コンタクト本体部22の上側において、略三角形の二辺を成すように折り曲げられた状態で形成されている。そして、接点部31は、略三角形の二辺を成すように折り曲げられた頂点側の部分が、コンタクト本体部22の内側から外側に向かって突出するように設けられている。そして、接点部31は、略三角形の二辺を成すように折り曲げられた頂点部分において、導電部材100の導電部101に対して接触するように構成されている。
【0050】
一対のコンタクト2,2は、ハウジング4における後述の本体ハウジング5に保持される。そして、各コンタクト2は、ハウジング4における後述のカバーハウジング7と本体ハウジング5との間で導電部材100の一部が挟み込まれた状態で、導電部材100の導電部101に接触するように構成されている。また、一対のコンタクト2,2のうちの一方の第1コンタクト20は、第1導電部101aに接触するように、本体ハウジング5に保持される。そして、一対のコンタクト2,2のうちの他方の第2コンタクト21は、第2導電部101bに接触するように、本体ハウジング5に保持される。尚、第1コンタクト20及び第2コンタクト21は、ハウジング4における後述の本体ハウジング5において、本体ハウジング5の厚み方向における異なる高さ位置でそれぞれ保持される。これにより、第1コンタクト20及び第2コンタクト21は、接続対象である導電部材100の第1導電部101a及び第2導電部101bの高さ位置に対応して、ハウジング4内において互いに上下方向(即ち、本体ハウジング5の厚み方向)にずれた位置に配置されている。
【0051】
[ハウジング]
図6は、コネクタ1を分解して示す斜視図である。
図1乃至
図3、
図6に示すように、ハウジング4は、本体ハウジング5と、中間ハウジング6と、カバーハウジング7と、を備えて構成されている。尚、
図6では、本体ハウジング5については、電線110に接続されたコンタクト2を保持した状態を図示している。本体ハウジング5、中間ハウジング6、及びカバーハウジング7は、いずれも絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
【0052】
また、
図7は、ハウジング4における本体ハウジング5を示す図であって、
図7(A)は、平面図であり、
図7(B)は、正面図であり、
図7(C)は、右側面図であり、
図7(D)は、底面図である。
図8は、ハウジング4における中間ハウジング6を示す図であって、
図8(A)は、平面図であり、
図8(B)は、正面図であり、
図8(C)は、右側面図であり、
図8(D)は、底面図である。
図9は、ハウジング4におけるカバーハウジング7を示す図であって、
図9(A)は、平面図であり、
図9(B)は、正面図であり、
図9(C)は、右側面図であり、
図9(D)は、底面図である。
図10は、コネクタ1の断面図であって、
図3のA-A線矢視位置における断面を示す図である。
図11は、コネクタ1の断面図であって、
図3のB-B線矢視位置における断面を示す図である。
【0053】
本体ハウジング5は、
図1乃至
図3、
図6、
図7、
図10、及び
図11を参照して、電線110がそれぞれ接続された複数のコンタクト2を保持する要素として設けられている。そして、本体ハウジング5は、カバーハウジング7が取り付けられた中間ハウジング6が取り付けられるように構成されている。本体ハウジング5は、底壁部50と、複数の保持部51と、一対の側壁部52,52と、を有している。
【0054】
底壁部50は、矩形状に形成され、本体ハウジング5の底壁を構成している。そして、底壁部50には、その上面側において、即ち、本体ハウジング5の厚み方向における一方側において、複数の保持部51が設けられている。
【0055】
複数の保持部51は、複数のコンタクト2をそれぞれ保持する部分として設けられている。本実施形態の本体ハウジング5においては、複数の保持部51として、一対のコンタクト2,2に対応して、一対の保持部51,51が設けられている。各保持部51は、底壁部50の上面側において、溝状に凹んだ形状に形成されている。そして、各コンタクト2は、各保持部51の溝状に凹んだ領域に嵌め込まれることで、各保持部51に保持される。また、各保持部51は、前方側において段状に形成された壁部が設けられており、後方側が開放されて形成されている。各保持部51においては、各コンタクト2は、前方側の壁部に突き当たった状態で保持される。そして、各保持部51に保持されたコンタクト2に接続された電線110は、後方側の開放形成された領域から外部に引き出されるように配置される。
【0056】
また、複数の保持部51は、本体ハウジング5において、本体ハウジング5の厚み方向における異なる高さ位置で複数のコンタクト2をそれぞれ保持するように設けられている。そして、複数の保持部51は、本体ハウジング5において、カバーハウジング7と本体ハウジング5との間で導電部材100の一部が挟み込まれた状態で複数の導電部101と複数のコンタクト2とをそれぞれ接触させるように、配置されている。
【0057】
また、本実施形態の本体ハウジング5においては、複数の保持部51として、一対の保持部51,51として設けられた第1保持部51a及び第2保持部51bが備えられている。第1保持部51aには、第1コンタクト20が保持され、第2保持部51bには、第2コンタクト21が保持される。
【0058】
第1コンタクト20を保持する第1保持部51aと、第2コンタクト21を保持する第2保持部51bとは、導電部材100の導電部101との接触位置に対応して、本体ハウジング5において互いに上下方向(即ち、本体ハウジング5の厚み方向)及び前後方向にずれた位置に配置されている。より具体的には、第1保持部51aは、
図10に示すように、本体ハウジング5において、第2保持部51bに対して、本体ハウジング5の厚み方向における高さ位置がより高い位置に、設けられている。これにより、第1保持部51aに保持される第1コンタクト20は、第2保持部51bに保持される第2コンタクト21よりも、本体ハウジング5の厚み方向における高さ位置がより高い位置において、本体ハウジング5に配置される。このため、第1コンタクト20及び第2コンタクト21は、導電部材100においてその厚み方向における異なる高さ位置に配置された第1導電部101a及び第2導電部101bに対して適切に接続される。
【0059】
また、第1保持部51aは、
図6、
図7(A)、及び
図10に示すように、第2保持部51bよりも前方側に配置されている。これにより、第1保持部51aに保持される第1コンタクト20と、第2保持部51bに保持される第2コンタクト21とは、導電部材100の第1導電部101a及び第2導電部101bに対して導電部材100の前後方向にずれた位置で接続される。
【0060】
本体ハウジング5における一対の側壁部52,52は、底壁部50の左右方向(即ち、本体ハウジング5の幅方向)における両端部から本体ハウジング5の厚み方向に沿って上方に向けてそれぞれ延びる壁部として設けられている。一対の側壁部52,52のそれぞれは、蓋受け部55と、第1固定片受け部56と、第2固定片受け部57と、を有している。
【0061】
蓋受け部55は、カバーハウジング7を本体ハウジング5に対して閉位置に固定するための部分として設けられている。蓋受け部55は、一対で設けられ、一対の側壁部52,52における前方側の部分において一対の側壁部52,52の内側にそれぞれ設けられている。そして、一対の蓋受け部55,55は、カバーハウジング7における後述の一対の留め部72,72のそれぞれが係合する部分として構成されている。尚、一対の留め部72,72は、一対の側壁部52,52の内側に挿入されるように構成されている。そして、各蓋受け部55は、各側壁部52において、内側に向かって凸状に突出した部分として形成され、各側壁部52の内側に挿入された各留め部72と係合するように構成されている。各側壁部52の内側に挿入された各留め部72が各蓋受け部55と係合することで、各留め部72が各蓋受け部55に固定される。
【0062】
第1固定片受け部56は、中間ハウジング6を本体ハウジング5に固定するための部分として設けられている。そして、第1固定片受け部56は、中間ハウジング6における後述の一対の第1固定片64,64のそれぞれが係合する部分として構成されている。第1固定片受け部56は、一対で設けられ、一対の側壁部52,52の後方側において一対の側壁部52,52の内側にそれぞれ設けられている。
【0063】
第2固定片受け部57も、第1固定片受け部56と同様に、中間ハウジング6を本体ハウジング5に固定するための部分として設けられている。そして、第2固定片受け部57は、中間ハウジング6における後述の一対の第2固定片67,67のそれぞれが係合する部分として構成されている。第2固定片受け部57は、一対で設けられ、一対の側壁部52,52の内側の領域における前方側の領域に設けられている。また、本実施形態では、一対の第2固定片受け部57,57は、本体ハウジング5において一対の保持部51,51を区画して形成している部分の両側にそれぞれ設けられている。
【0064】
中間ハウジング6は、
図1乃至
図3、
図6、
図8、及び
図10を参照して、本体ハウジング5に取り付けられ、電線110に接続されて本体ハウジング5に保持されたコンタクト2が本体ハウジング5から脱落することを防止する要素として構成されている。また、中間ハウジング6は、コンタクト2のバネ接点29の接点部31を露出させた状態で、コンタクト2が本体ハウジング5から脱落することを防止するように構成されている。
【0065】
また、中間ハウジング6は、当該中間ハウジング6にカバーハウジング7が取り付けられた状態で、本体ハウジング5に対して取り付けられるように構成されている。更に、中間ハウジング6は、本体ハウジング5の幅方向の内側で本体ハウジング5に嵌り込んだ状態で、本体ハウジング5に係合して取り付けられるように構成されている。そして、中間ハウジング6は、中間ハウジング本体部60と、中蓋部61と、連結部62と、を有している。
【0066】
中間ハウジング本体部60は、中間ハウジング6の後方側の部分として設けられている。中間ハウジング本体部60は、コンタクト2に接続されて本体ハウジング5に収容された電線110の端部の上側及び左右側を囲むように構成されている。そして、中間ハウジング本体部60は、本体ハウジング5の後方側の部分において本体ハウジング5に嵌り込んだ状態で、本体ハウジング5に係合するように構成されている。また、中間ハウジング6は、本体ハウジング5に嵌め込まれて取り付けられた状態において本体ハウジング5から突出しないように、その厚み寸法が設定されている。即ち、中間ハウジング6の上下方向(厚み方向)の高さは、中間ハウジング6が本体ハウジング5に嵌め込まれた状態で、中間ハウジング6が本体ハウジング5から突出しない高さとなるように、設定されている。
【0067】
また、中間ハウジング本体部60には、一対の支持軸受け溝63,63と、一対の第1固定片64,64と、が設けられている。一対の支持軸受け溝63,63は、カバーハウジング7を回転自在に支持する部分として設けられている。一対の支持軸受け溝63,63のそれぞれは、凹状に形成されており、カバーハウジング7の後述する支持軸73が回転自在に嵌められるように構成されている。一対の支持軸受け溝63,63は、中間ハウジング6の前後方向における略中央位置に設けられている。
【0068】
一対の第1固定片64,64は、中間ハウジング6を本体ハウジング5に対して固定する部分として設けられている。一対の第1固定片64,64は、中間ハウジング本体部60の左右方向(幅方向)の両端部から下方に向けて延びるように設けられている。そして、一対の第1固定片64,64のそれぞれは、係合突起64aを有しており、
図11に示すように、係合突起64aにおいて、本体ハウジング5の第1固定片受け部56に対して係合する。このように、中間ハウジング6は、一対の第1固定片64,64が本体ハウジング5の一対の第1固定片受け部56,56にそれぞれ係合することで、本体ハウジング5に取り付けられる。
【0069】
中間ハウジング6の中蓋部61は、連結部62を介して中間ハウジング本体部60と一体に形成される。中蓋部61は、略平坦に延びる部分として設けられている。中蓋部61は、中間ハウジング6において、中間ハウジング6の厚み方向における高さ位置が中間ハウジング本体部60とは異なる位置で、略平坦に延びるように設けられている。また、中蓋部61には、複数の開口65と、段差部66と、一対の第2固定片67,67と、が設けられている。
【0070】
複数の開口65のそれぞれは、中間ハウジング6の中蓋部61を上下方向(即ち、中間ハウジング6の厚み方向)に貫通した貫通孔として形成されている。中蓋部61に設けられた複数の開口65は、複数のコンタクト2を複数の導電部101に対してそれぞれ接触させるために設けられている。各開口65は、中間ハウジング6が本体ハウジング5に取り付けられた状態で、コンタクト2の接点部31を中間ハウジング6の下方から上方に向かって中間ハウジング6の厚み方向に貫通させて突出させるように、設けられている。そして、中蓋部61は、中間ハウジング6が本体ハウジング5に取り付けられた状態で、各開口65の周囲において、各コンタクト2を覆うように、設けられている。即ち、中間ハウジング6は、本体ハウジング5に保持された複数のコンタクト2のそれぞれの一部を中蓋部61で覆った状態で本体ハウジング5に取り付けられるように構成されている。
【0071】
中蓋部61においては、複数の開口65は、一対のコンタクト2,2に対応して、一対で設けられている。より具体的には、中蓋部61においては、一対の開口65,65として、左右方向(即ち、中間ハウジング6の幅方向)に並ぶ第1開口65a及び第2開口65bが設けられている。第1開口65aは、中蓋部61の右側の領域において設けられており、略矩形状の貫通状の穴として形成されている。第2開口65bは、中蓋部61の左側の領域において設けられており、略矩形状の貫通状の穴として形成されている。
【0072】
段差部66は、中間ハウジング6が本体ハウジング5に取り付けられた状態で、本体ハウジング5に保持された複数のコンタクト2の何れかに対応して位置するように設けられている。本実施形態においては、段差部66は、
図2、
図6、
図8、及び
図10に示すように、中蓋部61に1つ形成されており、一対のコンタクト2,2のうちの一方の第1コンタクト20に対応して位置するように設けられている。
【0073】
そして、段差部66は、
図10に示すように、中間ハウジング6の中蓋部61の厚み方向において一方の面側で凹むとともに他方の面側で隆起する段差状に形成されている。また、段差部66には、一対の開口65,65のうちの1つの開口65である第1開口65aが設けられている。第1開口65aの縁部分は、中蓋部61の厚み方向における一方の面側である下面側において中蓋部61における段差部66の周囲の部分よりも凹むように形成されている。更に、第1開口65aの縁部分は、中蓋部61の他方の面側である上面側において中蓋部61における段差部66の周囲の部分よりも隆起するように形成されている。
【0074】
上記の構成により、中蓋部61における第1開口65a及び第2開口65bの上下方向(即ち、中間ハウジング6の厚み方向)の高さ位置は、第1開口65aの方が、第2開口65bよりも高くなるように、設定されている。そして、中間ハウジング6は、本体ハウジング5に取り付けられた状態で、本体ハウジング5の厚み方向における異なる高さ位置で保持された第1及び第2コンタクト(20,21)のそれぞれの高さ位置に対応して、第1及び第2コンタクト(20,21)における接点部31の周囲の部分をより密着した状態で覆うことができるように構成されている。
【0075】
また、段差部66は、中蓋部61の上面側から突出する高さが、導電部材100の第1凹み領域103aの凹み深さに対応するように、設定されている(
図10を参照)。更に、段差部66の外周縁部の外形の大きさは、導電部材100の第1凹み領域103aの外周縁部の外形の大きさよりも小さくなるように設けられている。これにより、中間ハウジング6の中蓋部61と後述のカバーハウジング7との間で導電部材100の端部が挟まれた状態において、段差部66が導電部材100の第1凹み領域103aに対応して嵌り込むように構成されている。
【0076】
一対の第2固定片67,67は、中間ハウジング本体部60に設けられた一対の第1固定片64,64と同様に、中間ハウジング6を本体ハウジング5に対して固定する部分として設けられている。一対の第2固定片67,67は、中蓋部61における左右方向(幅方向)の両端部よりそれぞれ内側の位置において、中蓋部61の下面側から下方に向けて延びるように設けられている。そして、一対の第2固定片67,67のそれぞれは、係合突起67aを有しており、
図10に示すように、係合突起67aにおいて、本体ハウジング5の第2固定片受け部57に対して係合する。このように、中間ハウジング6は、一対の第2固定片67,67が本体ハウジング5の一対の第2固定片受け部57,57にそれぞれ係合することによっても、本体ハウジング5に取り付けられる。即ち、中間ハウジング6は、一対の第1固定片64,64が一対の第1固定片受け部56,56にそれぞれ係合するとともに、一対の第2固定片67,67が一対の第2固定片受け部57,57にそれぞれ係合することによって、本体ハウジング5に取り付けられる。
【0077】
カバーハウジング7は、
図1乃至
図3、
図6、
図9、
図10、及び
図11を参照して、導電部材100を導電部101においてコンタクト2に接触させた状態でその導電部材100をハウジング4において保持するための部分として設けられている。そして、カバーハウジング7は、本体ハウジング5との間で中間ハウジング6を介して導電部材100の一部を挟み込んだ状態で本体ハウジング5に対して係合して取り付けられるように構成されている。また、カバーハウジング7は、本体ハウジング5の幅方向の内側で本体ハウジング5に嵌り込んだ状態で、本体ハウジング5に係合するように構成されている。
【0078】
また、カバーハウジング7は、中間ハウジング6に対して回転自在に連結される。より具体的には、カバーハウジング7は、その一端側において、中間ハウジング6の前後方向における中間位置に対して連結されるように設けられている。そして、カバーハウジング7は、中蓋部61の上面側の部分を外部に対して開閉自在とするように、中間ハウジング6に対して回転自在に連結されている。これにより、カバーハウジング7は、中間ハウジング6に対して中蓋部61の上面側を開いた状態となる開位置と、中間ハウジング6に対して中蓋部61の上面側を閉じた状態となる閉位置との間で、回転操作されるように構成されている。カバーハウジング7が中間ハウジング6に対して回転操作されることによって、導電部材100のコネクタ1への接続操作が行われる。そして、カバーハウジング7は、中間ハウジング6に対して閉位置の状態で、シート状の導電部材100の一部である導電部材100の端部を中間ハウジング6の中蓋部61との間で挟み込むように構成されている。
【0079】
また、カバーハウジング7は、蓋部70と、一対の支持壁71,71と、一対の留め部72,72と、を有している。蓋部70は、平坦に延びる部分として設けられている。そして、蓋部70は、中間ハウジング6の蓋部61との間で導電部材100の端部を挟み込んで固定するための部分として設けられている。
【0080】
一対の支持壁71,71は、カバーハウジング7を中間ハウジング6に対して、回転自在に連結する部分として構成されている。一対の支持壁71,71は、蓋部70の後端側に設けられており、蓋部70の左右方向(カバーハウジング70の幅方向)の両端部から下方に向けて延びている。一対の支持壁71,71のそれぞれは、支持軸73を有している。
【0081】
支持軸73は、中間ハウジング6の支持軸受け溝63に対して回転自在に支持される部分として設けられている。支持軸73は、
図9(A)及び(D)に示すように、円柱状に延びる部分として形成されている。そして、一対の支持壁71,71に設けられた一対の支持軸73,73は、一対の支持壁71,71の内側の面から、互いに対向する方向に向かって片持ち状に延びている。一対の支持軸73,73が、一対の支持軸受け溝63,63に対して、それぞれ嵌め込まれて回転自在に支持されることで、カバーハウジング7が中間ハウジング6に対して回転自在に連結される。
【0082】
一対の留め部72,72は、中間ハウジング6に回転自在に連結されたカバーハウジング7を、中間ハウジング6に対して閉位置の状態で、本体ハウジング5に係合させるための部分として設けられている。そして、一対の留め部72,72は、カバーハウジング7を本体ハウジング5に係合させることで、カバーハウジング7の本体ハウジング5に対する位置を固定してロックするように構成されている。
【0083】
より具体的には、一対の留め部72,72は、本体ハウジング5の一対の蓋受け部55,55に対してそれぞれ係合して固定される部分として設けられている。そして、一対の留め部72,72は、蓋部70の幅方向の両端部から下方に向けて延びるように設けられている。更に、一対の留め部72,72のそれぞれは、
図1、
図2、
図6、
図9、及び
図10に示すように、カバーハウジング7の幅方向の外側に向かって突出する係合突起72aを有している。各留め部72は、各側壁部52の内側に挿入された状態で各蓋受け部55と係合突起72aにおいて係合することで、各蓋受け部55に係合して固定される。
【0084】
[コネクタの接続動作]
次に、上述したコネクタ1によって導電部材100と複数の電線110とを接続するコネクタ1の接続動作について説明する。コネクタ1の接続動作の際には、まず、各電線110が、各コンタクト2に対して、かしめ部23においてかしめられて、電気的及び機械的に接続される。そして、各電線110が接続された各コンタクト2が、本体ハウジング5に対して各保持部51に嵌め込まれて保持される。これにより、本体ハウジング5において、本体ハウジング5の厚み方向における異なる高さ位置で複数のコンタクト2がそれぞれ保持される。
【0085】
電線110に接続されたコンタクト2が本体ハウジング5に保持されると、次いで、中間ハウジング6に対してカバーハウジング7が回転自在に連結される。即ち、カバーハウジング7の一対の支持軸73,73が中間ハウジング6の一対の支持軸受け溝63,63に嵌め込まれることで、カバーハウジング7が中間ハウジング6に対して回転自在に連結される。
【0086】
中間ハウジング6にカバーハウジング7が連結されると、カバーハウジング7が連結された中間ハウジング6が、本体ハウジング5に対して取り付けられる。このとき、中間ハウジング6の各第1固定片64が、本体ハウジング5の各第1固定片受け部56に係合するとともに、中間ハウジング6の各第2固定片67が、本体ハウジング5の各第2固定片受け部57に係合することで、中間ハウジング6が本体ハウジング5に取り付けられる。また、この状態では、本体ハウジング5に保持された複数のコンタクト2のそれぞれにおける接点部31の周囲の部分が中間ハウジング6で覆われた状態となる。そして、中間ハウジング6の各開口65から各コンタクト2の接点部31の頂点部分が突出した状態となる。即ち、中間ハウジング6の中蓋部61において、第1開口65aから第1コンタクト20の接点部31の頂点部分が突出し、第2開口65bから第2コンタクト21の接点部31の頂点部分が突出した状態となる。
【0087】
中間ハウジング6が本体ハウジング5に対して取り付けられると、次いで、導電部材100がコネクタ1に接続される。このとき、まず、本体ハウジング5に固定された中間ハウジング6に対して回転自在に連結されているカバーハウジング7が、中間ハウジング6に対して開位置の状態(
図2に示す状態)となるように操作される。この開位置の状態で、導電部材100の端部が、中間ハウジング6の中蓋部61の上面側に配置される。尚、このとき、導電部材100の端部は、凹み領域103が開口する表面100bが中蓋部61の上面に対向した状態で、中蓋部61の上面側に配置される。
【0088】
上記のように導電部材100の端部が中蓋部61の上面側に配置されることで、導電部材100における第1凹み領域103aの底部で露出した第1導電部101aが、第1コンタクト20の接点部31に接触した状態となる。そして、導電部材100の表面100bで露出した第2導電部101bが、第2コンタクト21の接点部31に接触した状態となる。
【0089】
上記のように導電部材100の端部が中蓋部61の上面側に配置された状態で、カバーハウジング7が中間ハウジング6に対して閉位置の状態(
図1に示す状態)となるまでカバーハウジング7を中間ハウジング6に対して回転させる操作が行われる。カバーハウジング7が中間ハウジング6に対して閉位置の状態となると、カバーハウジング7の一対の留め部72,72が、本体ハウジング5の一対の蓋受け部55,55に対してそれぞれ係合して固定される。これにより、カバーハウジング7が、本体ハウジング5及び中間ハウジング6との間で導電部材100の一部を挟み込んだ状態で本体ハウジング5に対して係合する。即ち、カバーハウジング7が、本体ハウジング5との間で中間ハウジング6を介して導電部材100の一部を挟み込んだ状態で本体ハウジング5に対して係合する。これにより、カバーハウジング7の本体ハウジング5に対する位置が固定されてロックされる。そして、カバーハウジング7と本体ハウジング5及び中間ハウジング6との間で導電部材100の端部が挟み込まれた状態で、第1コンタクト20が第1導電部101aに接触するとともに第2コンタクト21が第2導電部101bに接触した状態が、維持される。これにより、コネクタ1によって導電部材100と複数の電線110とを接続するコネクタ1の接続動作が完了する。
【0090】
尚、液漏れ検知用のシートセンサ100として設けられた導電部材100は、上記のようにコネクタ1に接続されると、導電性を有する水等の液体の漏れの発生の有無の検知が要請される種々の領域に配置される。そして、前述の通り、導電部材100が配置された領域において液体の漏れが発生すると、第1導電部101aと第2導電部101bとの間が電気的に導通され、一対の電線110,110が接続された液漏れ検知器において、液漏れ状態が発生したことが検知される。
【0091】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によると、複数の電線110にそれぞれ接続される複数のコンタクト2は、本体ハウジング5において複数の保持部51に保持され、複数の保持部51は、本体ハウジング5の厚み方向における異なる高さ位置で複数のコンタクト2をそれぞれ保持する。そして、本体ハウジング5とカバーハウジング7との間で導電部材100の一部が挟み込まれた状態でカバーハウジング7が本体ハウジング5に対して係合して取り付けられ、複数の導電部101と複数のコンタクト2とがそれぞれ接触する。このため、シート状の導電部材100において厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部101と、本体ハウジング5において厚み方向における異なる高さ位置で保持された複数のコンタクト2とが、対応する高さ位置で容易に且つ適切に接続されることになる。
【0092】
従って、本実施形態によると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部101が設けられたシート状の導電部材100に対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタ1を提供することができる。
【0093】
また、本実施形態によると、中間ハウジング6が、本体ハウジング5に保持された複数のコンタクト2のそれぞれの一部を覆った状態で本体ハウジング5に取り付けられるため、複数のコンタクト2をより安定した状態で強固に保持することができる。更に、中間ハウジング6には、複数の開口65が設けられており、各コンタクト2と各導電部101とを簡素な構造で容易に接触させることができる。
【0094】
また、本実施形態によると、中間ハウジング6には、複数のコンタクト2の何れかに対応する位置において、厚み方向の一方の面側で凹んで他方の面側で隆起するとともに開口65が設けられた段差部66が形成されている。このため、本体ハウジング5において厚み方向における異なる高さ位置で保持された複数のコンタクト2のそれぞれの高さ位置に対応してそれぞれのコンタクト2の一部をより密着した状態で覆う構造の中間ハウジング6を簡素な構造で容易に実現することができる。また、中間ハウジング6において、複数のコンタクト2の何れかに対応する位置で隆起した部分が設けられていることで、複数のコンタクト2の間においてより長い絶縁距離を確保でき、絶縁距離の確保によるより高い接続安定性を得ることができる。
【0095】
また、本実施形態によると、中間ハウジング6に回転自在に連結されたカバーハウジング7が、本体ハウジング5及び中間ハウジング6との間で導電部材100の一部を挟み込む。即ち、中間ハウジング6に対して回転自在に連結されたカバーハウジング7が、本体ハウジング5との間で中間ハウジング6を介して導電部材100の一部を挟み込む。そして、カバーハウジング7は、本体ハウジング5及び中間ハウジング6との間で導電部材100の一部を挟み込んだ状態で本体ハウジング5に係合してロックされる。このため、コネクタ1とシート状の導電部材100との接続作業を行う作業者は、本体ハウジング5及び中間ハウジング6に対して導電部材100の一部を配置した状態でカバーハウジング7の回転操作を行うだけで、容易に、コネクタ1と導電部材100とを接続することができる。また、中間ハウジング6に回転自在に連結されたカバーハウジング7が、本体ハウジング5に係合してロックされるため、本体ハウジング5及び中間ハウジング6とカバーハウジング7との間で挟み込んだ導電部材100をより強固に安定して保持することができる。これにより、外部から振動等が作用し易いような環境でコネクタ1が使用される場合であっても、コネクタ1にシート状の導電部材100を強固に保持した状態を安定して維持することができる。
【0096】
また、本実施形態によると、カバーハウジング7が、本体ハウジング5にその幅方向の内側で嵌り込んだ状態で係合する。このため、外部の物体がコネクタ1に当接する場合であっても、その物体がカバーハウジング7に対して引っ掛かったような状態で当接することが抑制される。これにより、外部からの力がコネクタ1に作用する場合であっても、カバーハウジング7を本体ハウジング5から離脱させる方向への力がカバーハウジング7に作用することを抑制することができる。従って、外部から振動等が作用し易いような環境でコネクタ1が使用される場合であっても、コネクタ1にシート状の導電部材100を強固に保持した状態を更に安定して維持することができる。
【0097】
また、本実施形態によると、コネクタ1が接続されるシート状の導電部材100は、液漏れ検知用のシートセンサ100として構成される。そして、カバーハウジング7と本体ハウジング5との間でシートセンサ100の一部が挟み込まれた状態で、シートセンサ100の凹み領域103の底部に対応する位置で広がる第1導電部101aに対してコネクタ1の第1コンタクト20が接触し、シートセンサ100の表面100bで広がる第2導電部101bに対してコネクタ1の第2コンタクト21が接触する。このため、シートセンサ100において厚み方向における異なる高さ位置に配置された第1導電部101a及び第2導電部101bと、本体ハウジング5において厚み方向における異なる高さ位置で保持された第1コンタクト20及び第2コンタクト21とが、それぞれ対応する高さ位置で容易に且つ適切に接続されることになる。従って、本実施形態によると、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部101が設けられた液漏れ検出用のシートセンサ100に対して容易に且つ適切に接続することができる、コネクタ1を提供することができる。
【0098】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0099】
(1)前述の実施形態では、本体ハウジングと、中間ハウジングと、カバーハウジングと、を備えたハウジングの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。本体ハウジング及びカバーハウジングのみを備え、中間ハウジングを備えていないハウジングの形態が実施されてもよい。
【0100】
(2)前述の実施形態では、複数のコンタクトとして、一対のコンタクトを備えるコネクタの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。3つ以上のコンタクトを備えるコネクタの形態が実施されてもよい。
【0101】
(3)前述の実施形態では、コネクタが接続されるシート状の導電部材として、液漏れ検知用のシートセンサの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コネクタが接続される対象のシート状の導電部材としては、厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材であればよい。例えば、フレキシブル回路基板或いはフレキシブルフラットケーブル等として構成されたシート状の導電部材であって厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材に対して接続されるコネクタの形態が実施されてもよい。
【0102】
(4)前述の実施形態では、中間ハウジングにおいて段差部が1つ設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、段差部が複数設けられた中間ハウジングを備えるコネクタの形態が実施されてもよい。
【0103】
(5)前述の実施形態では、導電部材100に接続されるコネクタ1を説明したが、導電部材100とこの導電部材100に接続されるコネクタ1とを備えたハーネスユニットとしての発明が実施されてもよい。例えば、液漏れ検知用のシートセンサ100として構成された導電部材100と、この導電部材100に接続されたコネクタ1と、を備えた液漏れ検知用のハーネスユニットの発明が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、シート状の導電部材であってその厚み方向における異なる高さ位置に配置された複数の導電部が設けられた導電部材に対して接続されるコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 コネクタ
2 コンタクト
5 本体ハウジング
6 中間ハウジング
7 カバーハウジング
51 保持部51
100 導電部材
101 導電部