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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】餅様食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230713BHJP
【FI】
A23L7/10 102
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019119223
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021003063
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 光平
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-197457(JP,A)
【文献】特開2016-093177(JP,A)
【文献】特開2013-138687(JP,A)
【文献】特開2009-124950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23G
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)もち米粉、(B)沈降積が7.0~9.9であるリン酸架橋粳米澱粉、(C)脱アシル型ジェランガム及び砂糖 を含有する組成物であって、該組成物100質量部における(A)、(B)及び(C)が 以下の条件を満たす餅様食品用組成物。
(A)もち米粉10.8~24.5質量部
(B)リン酸架橋粳米澱粉9.8~23.5質量部
(C)脱アシル型ジェランガム0.35~0.86質量部
【請求項2】
請求項1に記載の餅様食品用組成物100質量部と水80~110部とが混錬されてなる餅様食品。
【請求項3】
請求項2記載の餅様食品を含むレトルト食品。
【請求項4】
餅様食品100質量部中において、もち米粉5.1~13.6質量部、沈降積が7.0~9.9であるリン酸架橋粳米澱粉4.7~13.1質量部、脱アシル型ジェランガム0.17~0.48質量部となるように、もち米粉、リン酸架橋粳米澱粉、脱アシル型ジェランガム、砂糖及び水を混錬しながら加熱し、これを小片化したものを液状食品とともにレトルト殺菌することを特徴とする、レトルト食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト安定性に優れた砂糖含有の餅様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人が好む食品のひとつである餅・団子類は、そのまま又は焼いて食されるだけでなく、ぜんざいや雑煮などの汁物として食されることがある。そして、これら餅・団子類は、そのまま又は汁物等調理済みの形態で長期保存可能な「レトルトパウチ食品」(以下、略して「レトルト食品」ともいう。)として販売されることがある。
【0003】
しかし、食品衛生法で定められた「レトルトパウチ食品」の場合、pHの低い製品を除き、「中心温度120℃・4分相当以上」の加熱殺菌処理(以降、これに類似する加熱殺菌工程を「レトルト殺菌」ともいう。)が必要であることに加え、長期保存を前提としていることから、特に汁とともに封入された餅・団子類は、溶けてコシや弾力がなくなって食感が損なわれるという問題があった。
【0004】
そこで、この問題を解決すべく、これまでに種々の検討がされている。例えば、特許文献1は、全体量当たり10~20重量%の澱粉質および0.6重量%以上のジェランガムを含む高温安定性に優れた餅を、特許文献2は、小麦グルテン25~35質量部、リン酸架橋澱粉45~65質量部及び小麦粉0~20質量部を含む混錬生地を利用したレトルト食品を、特許文献3は、餅粉、ネイティブジェランガム、小麦タンパク及び加工デンプンを含む餅類と調味液とを含むレトルト食品を開示している。
【0005】
しかし、これら餅・団子類は、煮溶け及び食感の点で十分に満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-93100号公報
【文献】特開2012-196190号公報
【文献】特開2009-124950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、レトルト殺菌によっても煮溶けが少なく、長期保存後も餅の形状及び餅らしい食感が維持された、熱安定性に優れた餅様食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討したところ、もち米粉と、粳米澱粉を原料とするリン酸架橋澱粉(以下、「リン酸架橋粳米澱粉」という。)と、脱アシル型ジェランガムとを特定の比率で配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)~(2)餅様食品用組成物、(3)その組成物を用いた餅様食品、(4)その餅様食品を含むレトルト食品、(5)~(6)その餅様食品を含むレトルト食品の製造方法から構成される。
(1)(A)もち米粉、(B)リン酸架橋粳米澱粉、(C)脱アシル型ジェランガム及び砂糖を含有する組成物であって、該組成物100質量部における(A)、(B)及び(C)が以下の条件を満たす餅様食品用組成物。
(A)もち米粉10.8~24.5質量部
(B)リン酸架橋粳米澱粉9.8~23.5質量部
(C)脱アシル型ジェランガム0.35~0.86質量部
(2)(B)リン酸架橋粳米澱粉の沈降積が7.0~9.9である、(1)記載の餅様食品用組成物。
(3)(1)又は(2)に記載の餅様食品用組成物100質量部と水80~110部とが混錬されてなる餅様食品。
(4)(3)記載の餅様食品を含むレトルト食品。
(5)餅様食品100質量部中において、もち米粉5.1~13.6質量部、リン酸架橋粳米澱粉4.7~13.1質量部、脱アシル型ジェランガム0.17~0.48質量部となるように、もち米粉、リン酸架橋粳米澱粉、脱アシル型ジェランガム、砂糖及び水を混錬しながら加熱し、これを小片化したものを液状食品とともにレトルト殺菌することを特徴とする、レトルト食品の製造方法。
(6)リン酸架橋粳米澱粉の沈降積が7.0~9.9である、(5)記載のレトルト食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レトルト殺菌によっても煮溶けが少なく、長期保存後も餅の形状及び餅らしい食感が維持されるという、熱安定性に優れた餅様食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における「餅様食品用組成物」とは、もち米粉、リン酸架橋粳米澱粉、脱アシル型ジェランガム及び砂糖を必須成分とする餅様食品を製造するために用いられるミックスをいい、これら必須成分以外の澱粉、増粘多糖類、糖類など本発明の効果を阻害しない程度に含むことができる。また、「餅様食品」とは、前記ミックスに水その他の液体を加えて混錬しながら加熱した後、小片化したものをいう。
【0012】
本発明にいう「もち米粉」とは、糯種の米を浸漬させて、製粉機や石臼などで挽いて粉状にしたものをいい、挽く際の摩擦熱等により一部が糊化されたものも含む。本発明における「もち米粉」は、例えば、白玉粉、求肥粉、道明寺粉、微塵粉など特殊名称で呼ばれるものを含み、また、糯種の米を主体とするものであればよく、上新粉などの粳種の米粉を一部含んでいてもよい。
【0013】
本発明の餅様食品における「もち米粉」の配合量は、5.1~13.6質量%とするのが好ましく、より好ましくは6.5~13.1質量%、さらに好ましくは6.5~10.9質量%とするのがよい。5.1質量%を下回ると、餅様食品本来の食感と弾力が損なわれ、澱粉独特のコシのない食感が強く現れるという不具合が生じる。一方、13.6質量%を超えると、レトルト殺菌後の餅様食品の形が崩れ煮溶けるという不具合が生じる。
【0014】
一方、本発明の餅様食品用組成物においては、「もち米粉」の配合量としては、10.8~24.5質量部とするのが好ましく、より好ましくは13.7~23.5質量部、さらに好ましくは13.7~19.6質量部とするのがよい。
【0015】
「架橋澱粉」とは、化学的又は物理的処理により、澱粉の分子内又は分子間の水酸基どうしを架橋した澱粉をいい、本発明の「リン酸架橋粳米澱粉」とは、主に粳米の澱粉をトリメタリン酸塩やオキシ塩化リンにより化学的に架橋したものを指し、アセチル化又はモノエステル化処理が施されたものは含まない。
【0016】
架橋澱粉における架橋の程度は、沈降積を測定することにより知ることができる。本発明における「リン酸架橋粳米澱粉」の沈降積は、7.0~9.9が好ましく、より好ましくは9.0~9.9、さらに好ましくは9.2~9.6とするのがよい。この沈降積の具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、澱粉試料0.15g(固形分換算)を試験管に計量し、あらかじめ調製しておいた試薬(塩化アンモニウム26質量%、塩化亜鉛10質量%、水64質量%により調製)15mlを注ぎ込む。次に、卓上バイブレーターで試験管中の澱粉試料を均一に分散させ、直ちに沸騰浴中に固定して10分間加熱してから25~35℃まで冷却する。そして、この試験管中の澱粉試料を卓上バイブレーターで再度分散させ、10ml容量メスシリンダーに10ml流し込んで25℃で20時間静置後に沈殿物の目盛を読み取る。この値を沈降積の値とする。
【0017】
本発明の餅様食品における「リン酸架橋粳米澱粉」の配合量は、4.7~13.1質量%とするのが好ましく、より好ましくは6.5~11.9質量%、さらに好ましくは7.5~10.9質量%とするのがよい。4.7質量%を下回ると、レトルト殺菌後の餅様食品の形が崩れて煮溶けるという不具合が生じ、13.1質量%を超えると、餅様食品の本来の食感と弾力が損なわれ、澱粉独特のコシのない食感が強く現れるという不具合が生じる。
【0018】
一方、本発明の餅様食品用組成物においては、「リン酸架橋粳米澱粉」の配合量は、9.8~23.5質量部とするのが好ましく、より好ましくは13.7~21.5質量部、さらに好ましくは15.7~19.6質量部とするのがよい。
【0019】
「ジェランガム(ネイティブジェランガム)」とは、シュードモナス エロディア(Pseudomonas elodea) がグルコースなどを炭素源として好気性発酵により菌体外に産出する天然高分子多糖類を指し、「脱アシル型ジェランガム」とは、ネイティブジェランガムのアシル基を一部脱アシル化したジェランガムのことをいう。脱アシル型ジェランガムの市販品としては、「ケルコゲル」(DSP五協フード社製)などがある。
【0020】
本発明の餅様食品における「脱アシル型ジェランガム」の配合量は、0.17~0.48質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.19~0.43質量%、さらに好ましくは0.23~0.38質量%とするのがよい。0.17質量%を下回ると、レトルト殺菌後の餅様食品の形が崩れて煮溶けるという不具合が生じる。一方、0.48質量%を超えると、生地が非常に硬くなり成型しづらいだけでなく、レトルト殺菌後も食感が非常に硬いという不具合が生じる。
【0021】
一方、本発明の餅様食品用組成物においては、「脱アシル型ジェランガム」は、0.35~0.86質量部とするのが好ましく、より好ましくは0.39~0.78質量部、さらに好ましくは0.49~0.68質量部とするのがよい。
【0022】
本発明の餅様食品用組成物は、脱アシル型ジェランガムを必須成分とするほか、もち米粉及びリン酸架橋粳米澱粉を必須成分とするところ、もち米粉及びリン酸架橋粳米澱粉の合計量は、例えば、20.6~48質量部とするのが好ましく、より好ましくは30~40質量部とするのがよい。また、そのときの砂糖の配合量は、例えば、51~79質量部とするのがよい。
【0023】
本発明の餅様食品用組成物は、水又はその他の液体(以下、単に「水」ともいう。)と混錬して使用され、その配合割合は特に限定されないが、餅様の形状を維持するためには、当該組成物100質量部に対して80~110質量部となるよう調整すればよい。
【0024】
本発明にいう「レトルト」とは、加圧加熱殺菌全般を指す。また、「レトルトパウチ食品(略してレトルト食品)」とは、一般に、レトルトパウチ、プラスチック容器等の包装に入れ、密閉した後、加圧加熱殺菌する容器包装詰加圧加熱殺菌食品(食品、添加物等の規格基準 昭和34年12月28日厚生省告示第370号)を指すところ、本発明においては、当該規格基準のうち、少なくとも(1)「原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させるのに十分な効力を有する方法であること。」と、(2)「そのpH が4.6 を超え、かつ、水分活性が0.94 を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあっては、中心部の温度を120℃で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。」の基準を満たすものをいう。
【0025】
また、本発明の「レトルト食品」の形態は、上記本発明の餅様食品を液状食品とともに容器に詰めてレトルト殺菌したものをいい、ここでいう液状食品とは、例えば、ぜんざい、しるこ、みそ汁等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明のレトルト食品の製造方法は、もち米粉と、リン酸架橋粳米澱粉と、脱アシル型ジェランガムとを特定の割合で配合する手順を除き、公知のレトルト食品の製造方法と同様である。具体的には、本発明の餅様食品用組成物に、水を加えて混錬しながら加熱し、その後、平面型に流して放冷し小片化する。その小片化したものをぜんざい汁等の汁やスープと合わせてレトルトパウチ、レトルトカップ等の容器に入れ、レトルト殺菌を行い、1週間程度室温で保存し、目的のレトルト食品を得る。
【0027】
本発明の餅様食品の製造には、上記原料以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて副材料を用いることができる。副材料とは、餅様食品の製造に一般的に使用されるものであって、例えば、各種糖類、食塩、カルシウム塩等の塩類、着色料、香料、乳化剤、油脂、pH調整剤、保存料、キサンタンガム、グァーガムやゼラチン等の増粘剤、油脂類、エチルアルコール等が挙げられる。
【実施例
【0028】
以下、本発明の実施形態を記載するが、実施例に特に限定されるものではない。実施例内において特に説明がない場合には、「%」は「質量%」を意味する。
【0029】
<原料澱粉種等の検討>
従来の餅の原料であるもち米粉の一部を加工方法の異なる各種加工澱粉に置き換えてその効果を確認したところ、リン酸架橋澱粉がもっとも餅の保形性向上に寄与することがわかった。そこで、リン酸架橋澱粉のうち餅様食品の保形性向上に適するものをさらに検討するため、リン酸架橋澱粉の原料となる澱粉種による効果のちがいを確認することとした。
原料澱粉種の異なるリン酸架橋澱粉を数点用意し、これを用いて表1の組成に従い作製した餅様食品を水とともにレトルト殺菌し、その餅様食品の性状を目視で評価した。具体的には、mざう、表1記載の組成の各混合粉体に水を加え、95℃に設定した卓上加熱撹拌機(カジワラ社製)で混錬しながら加熱し、糖度が55度になったものを平面型に流して放冷した。これを1.5cm角に切断してぜんざい汁とともにレトルトパウチ中でレトルト殺菌(120℃・30分)し、室温で1週間保存した後の餅様食品の様子を目視で評価した。評価は、よく訓練されたパネラー10名のうち、「煮溶けが少なく保形できている」とした人数が10~8名のときを「◎」、7~6名のときを「○」、5~3名のときを「△」、2名以下のときを「×」とすることにより行った。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
評価の結果、配合するもち米粉の一部を沈降積9.4のリン架橋粳米澱粉に置き換えたとき、若干の煮溶けは認められるものの、餅の形状がある程度維持された餅様食品が得られた(試験例1)。
【0032】
<リン酸架橋粳米澱粉の配合割合の検討>
沈降積9.4のリン酸架橋粳米澱粉を配合することにより餅様食品の煮溶けが抑制されることがわかったので、その適切な配合割合を検討するため、表2の配合割合に従って上記と同じ手順で作製した餅様食品について、上記と同じ方法で評価した。評価結果は表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
評価の結果、沈降積9.4のリン酸架橋粳米澱粉が餅様食品中に5.0~12.0質量%となるようにもち米粉の一部と置き換えたとき、若干の煮溶けはあるものの、餅の形状がある程度維持された餅様食品が得られた(比較例1及び比較例3~4)。
【0035】
<リン酸架橋粳米澱粉の架橋度の検討>
次に、配合するリン酸架橋粳米澱粉の適切な架橋度を検討するため、表3の組成に従って餅様食品を作製し、評価した。作製方法及び評価方法は上記と同様とした。評価結果は表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
評価の結果、配合するリン酸架橋粳米澱粉の沈降積が7.0~9.9のときに、若干の煮溶けはあるものの餅の形状がある程度維持された餅様食品が得られた(比較例1及び7~10)。
【0038】
<ジェランガムの種類及び配合量の検討>
次に、さらなる保形性の向上と食感の改善を目的として増粘多糖類を添加することの影響を検討したところ、ジェランガムがもっとも餅様食品の保形性の向上に寄与したので、そのジェランガム種及び配合量を詳細に検討すべく、ネイティブジェランガム又は脱アシル型ジェランガムを配合した餅様食品について評価した。具体的には、表4の配合に従いジェランガム又は脱アシル型ジェランガムを粉体混合する以外は試験例と同じ手順で作製・保存した餅様食品について、上記と同様の目視評価に加えて官能評価を行った。官能評価の項目は「食感」とし、パネラー10名のうち、「餅らしい食感(噛んだときに適度な弾力がある)」とした人数が10~8名のときを「◎」、7~6名のときを「○」、5~3名のときを「△」、2名以下のときを「×」とした。さらに、目視評価(保形性)及び官能評価(食感)の結果に基づく総合評価は、保形性及び食感の評価がともに「◎」のときを「◎」、保形性又は食感のいずれか一方の評価が「○」であって、かつ、他方の評価が「○」又は「◎」のときを「○」、保形性又は食感のいずれか一方の評価が「△」又は「×」のときを「×」とし、この総合評価が「○」以上のものを好適とした。結果は表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
評価の結果、脱アシル型ジェランガムを0.18~0.44質量%配合したときに、煮溶けが少なく、餅の形状及び餅らしい食感が維持された、熱安定性に優れた餅様食品を得ることができた(実施例1~9)。一方、脱アシル型ジェランガムでなくネイティブ型ジェランガムを配合した場合は、餅の形状及び餅らしい食感が維持された餅様食品は得られなかった(比較例16)。
【0041】
以上の結果から、砂糖を含む餅様食品において、もち米粉が5.1~13.6質量%、沈降積7.0~9.9のリン酸架橋粳米澱粉が4.7~13.1質量%、及び脱アシル型ジェランガムが0.17~0.48質量%となるよう配合されたときに、レトルト殺菌によって形状及び食感が維持されることがわかった。したがって、これら必須成分をあらかじめ組成物として調製する場合は、もち米粉10.8~24.5質量部と、沈降積7.0~9.9のリン酸架橋粳米澱粉9.8~23.5質量部と、脱アシル型ジェランガム0.35~0.86質量部とを含有させれば、上記効果が得られる餅様食品用組成物として提供することができる。