(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】調理用換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230713BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
F24F13/14 J
(21)【出願番号】P 2019127661
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丸川 雄一
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-155439(JP,U)
【文献】特開2015-010785(JP,A)
【文献】特開平10-085535(JP,A)
【文献】実開平04-110331(JP,U)
【文献】特開2002-186680(JP,A)
【文献】特開2014-055751(JP,A)
【文献】実公昭57-013090(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理部の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部を備えるフード部と、
前記フード開口部から下流の排気口へ前記排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機と、
前記送風機を収容する送風機ボックスと、
前記フード開口部および前記排気口を含み、前記フード開口部から前記排気口までを連通する排気通路と、
孔を有する円盤状の油捕集フィルタと、
前記油捕集フィルタが着脱可能に取り付けられ、前記油捕集フィルタを高速回転させるモーターと、
所定の温度以上で作動する防火ダンパーと、
前記モーターを、前記フード開口部に載置する載置部と、を有し、
前記防火ダンパーは前記排気通路に配置され、前記油捕集フィルタよりも下流に設けられ
、
前記防火ダンパーは、所定の温度以上で溶断する温度ヒューズを有し、
前記防火ダンパーの前記温度ヒューズおよび前記載置部は、前記モーターの軸方向から視て互いに位置がずれるように配置されている、調理用換気装置。
【請求項2】
前記防火ダンパーは、前記送風機よりも上流に設けられる、請求項1に記載の調理用換気装置。
【請求項3】
前記送風機ボックスは、前記フード部の上方に設けられ、
前記排気通路の一部を構成し、前記フード開口部と前記送風機とを接続する煙道をさらに有し、
前記送風機は、前記送風機ボックス内の下方に前記煙道の一部を形成する空間が設けられるように配置され、
前記防火ダンパーは、前記空間に設けられる、請求項1または2に記載の調理用換気装置。
【請求項4】
前記載置部は、前記フード開口部を2つの開口領域に区切るように配置され、
前記開口領域は、第1開口領域と前記第1開口領域よりも面積が大きい第2開口領域とからなり、
前記防火ダンパーは、前記モーターの軸方向に視て、前記第2開口領域に配置されている、請求項
1~3のいずれか1項に記載の調理用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア、スーパー、デパートでは、店舗内のフロアに調理装置を設置し、料理を客に提供することがある。店舗内で調理する場合、調理中に出る排空気が店舗内に漂わないように適宜対策が施されている。
【0003】
一方、業務用の調理装置には、条例等で、防火ダンパーの設置が義務付けられている。防火ダンパーとは、火災が発生した領域から周辺の領域に火炎が伝搬しないようにするための装置である。防火ダンパーは、一般的に所定の温度以上で溶断する温度ヒューズを備え、火炎が温度ヒューズに接触することによって温度ヒューズが溶断して、防火ダンパーが作動する。
【0004】
しかしながら、調理によって発生する多量の油が防火ダンパーに付着すると、火炎が温度ヒューズに接触したとしても、温度ヒューズが溶断せずに、防火ダンパーが作動しない虞がある。また、防火ダンパーのダンパー翼の軸支部分に油が付着すると、軸支部分が作動しなくなる恐れもある。
【0005】
したがって、防火ダンパーを適切に作動させるためには、防火ダンパーに油が付着した状態を維持しないように、防火ダンパーを定期的に清掃することが求められる。
【0006】
これに関連して、下記の特許文献1には、排空気中の油分が排気ダクトに流れ込むのを防止するために油分を捕集するグリースフィルタ(油捕集フィルタに相当)と、防火ダンパーと、グリースフィルタの下方に設けられる筒状部材と、を有する排気装置が開示されている。
【0007】
このように構成された排気装置では、ねじを緩めて筒状部材を取り外すことによって、グリースフィルタを清掃することができる。また、グリースフィルタの清掃と同時に、防火ダンパーのメンテナンス(例えば点検)も行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の先行技術文献に開示された排気装置では、グリースフィルタの清掃や防火ダンパーのメンテナンスに、ねじを緩めて重量のある筒状部材を取り外す工程があるため、作業が煩雑である。一方で、コンビニや飲食店といったサービス業では、人手不足が深刻な問題となっているため、管理者は、グリースフィルタの清掃や防火ダンパーのメンテナンスにかける人手を極力減らすことが要求されている。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、容易に防火ダンパーのメンテナンス及び清掃をすることのできる調理用換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る調理用換気装置は、加熱調理部の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部を備えるフード部と、前記フード開口部から下流の排気口へ前記排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機と、前記送風機を収容する送風機ボックスと、前記フード開口部および前記排気口を含み、前記フード開口部から前記排気口までを連通する排気通路と、孔を有する円盤状の油捕集フィルタと、前記油捕集フィルタが着脱可能に取り付けられ、前記油捕集フィルタを高速回転させるモーターと、所定の温度以上で作動する防火ダンパーと、前記モーターを、前記フード開口部に載置する載置部と、を有し、前記防火ダンパーは前記排気通路に配置され、前記油捕集フィルタよりも下流に設けられ、前記防火ダンパーは、所定の温度以上で溶断する温度ヒューズを有し、前記防火ダンパーの前記温度ヒューズおよび前記載置部は、前記モーターの軸方向から視て互いに位置がずれるように配置されている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成された調理用換気装置によれば、モーターによって油捕集フィルタが高速回転することで、調理によって発生する排空気から油を好適に捕集できるため、油捕集フィルタの下流に設けられる防火ダンパーに付着する油の量を好適に低減することができる。また、油捕集フィルタがモーターに対して着脱可能に構成されているため、防火ダンパーへのアクセスが容易である。以上から、容易に防火ダンパーのメンテナンス及び清掃をすることのできる調理用換気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る調理用換気装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る調理用換気装置を示す正面図である。
【
図5】フード部およびダンパー部を示す斜視図である。
【
図6】
図4の矢印A方向から視た図であって、整流板、油捕集フィルタ、およびオイルガードを取り外した状態を示す図である。
【
図7】フード部の内側の構成を説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図12を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る調理用換気装置1を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る調理用換気装置1を示す正面図である。
図3は、連結架台12を示す分解斜視図である。
図4は、
図2の4-4線に沿う断面図である。
図5は、フード部20およびダンパー部30を示す斜視図である。
図6は、
図4の矢印A方向から視た図であって、整流板29、油捕集フィルタ27、およびオイルガード28を取り外した状態を示す図である。
図7は、フード部20の内側の構成を説明するための概略斜視図である。
図8は、ダンパー部30を示す斜視図である。
図9は、ダンパー部30を示す分解斜視図である。
図10は、防火ダンパー32を示す概略斜視図である。
図11は、送風機ボックス40を示す斜視図である。
図12は、チャンバーボックス50を示す斜視図である。
【0016】
以下の説明において、調理者側から視て左右方向をX方向と称し、調理用換気装置1の奥行方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する場合がある(
図1参照)。
【0017】
本実施形態に係る調理用換気装置1は、
図1~
図5に示すように、加熱調理部90を形成する筐体10と、筐体10の上方に設けられるフード部20と、フード部20の上面に取り付けられるダンパー部30と、ダンパー部30を覆うように配置される送風機ボックス40と、送風機ボックス40の上面に取り付けられるチャンバーボックス50と、加熱調理部90において生じた排空気が移動する排気通路60と、を有する。
【0018】
<筐体10>
筐体10は、
図1~
図3に示すように、加熱調理部90を支える支持台11と、加熱調理部90の外周を覆うように配置される連結架台12と、を有する。加熱調理部90には調理器具(不図示)が収納され、調理者は調理器具を用いて調理を行う。
【0019】
支持台11は、加熱調理部90の下方に設けられ、例えばコンビニエンスストアの床面に載置される。
【0020】
連結架台12は、
図1~
図3に示すように、調理者側から視て左側に設けられる左側面パネル12Aと、調理者側から視て右側に設けられる右側面パネル12Bと、左側面パネル12Aおよび右側面パネル12Bを連結するように配置された背面パネル12Cと、を有する。連結架台12には、調理者側(
図1の左手前側)に開口部12Dが形成される。連結架台12は、左側面パネル12A、右側面パネル12B、および背面パネル12Cを、互いにねじ(不図示)によって固定することによって連結される。
【0021】
図3では理解の容易のため、連結架台12のうち、左側面パネル12Aおよび背面パネル12Cが示されており、右側面パネル12Bは省略されている。左側面パネル12Aは、
図3に示すように、Z方向に沿って2つの係合部12Eを有する。また、背面パネル12Cは、
図3に示すように、Z方向に沿って係合部12Eに対して係合可能に構成された2つの被係合部12Fを有する。係合部12Eは、背面パネル12Cに対して突出した形状を備えている。また、被係合部12Fは、係合部12Eが挿通される挿通孔である。係合部12Eを被係合部12Fに対して挿通して互いに係合することによって、左側面パネル12Aを背面パネル12Cに対して仮止めすることができる。なお、係合部12Eおよび被係合部12Fは、互いに係合可能である構成であれば、上記の構成に限定されない。
【0022】
なお、図示は省略するが、右側面パネル12Bにも、左側面パネル12Aと同様に、背面パネル12Cの被係合部に係合可能な係合部が設けられている。上記のように構成された連結架台12によれば、係合部12Eおよび被係合部12Fを仮で係合しておくことで、連結架台12が自立可能な状態となるために、ねじ止めによって組み立てる組立作業の作業性が向上する。
【0023】
<フード部20>
フード部20は、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気を回収可能に構成されている。フード部20は、
図1、
図2に示すように、筐体10の上方に設けられる。
【0024】
フード部20は、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、上部に設けられる天板21と、天板21の外縁から下向きに延在する側板22と、天板21の下方であって調理者側に配置されるスイッチパネル23と、スイッチパネル23の下方に設けられるスモークガード24と、を有する。フード部20は、上記の構成部材が互いにねじ(不図示)によって固定されることで構成されている。なお、
図5では、スモークガード24が省略されている。
【0025】
天板21は、
図5に示すようにZ方向から視て略矩形状に構成されている。
図5に示すように、天板21には、内部に天板開口部21Aが形成されており、天板開口部21Aにダンパー部30が挿通されて、ダンパー部30がフード部20にねじ(不図示)によって対して固定される。
【0026】
側板22は、
図5に示すように、矩形状に構成された天板21のうち、調理者側を除く3辺から下方に延在して構成されている。
【0027】
スイッチパネル23は、調理用換気装置の動作を指示するためのパネルであって、例えば、運転スイッチ、風量スイッチ、タイマースイッチ、照明スイッチなどが設けられている。
【0028】
スモークガード24は、
図1、
図2に示すように、ねじ(不図示)によってフード部20の側板22に対して着脱可能に取り付けられる。なお、スモークガード24は、フード部20の側板22に対して開閉自在に取り付けられる構成であってもよい。
【0029】
このように調理者側にスモークガード24が設けられることによって、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気が調理者の顔にかかることがなくなるため、調理者の安全性を確保でき、快適な調理作業ができる。さらに、加熱調理部90内において生じた油煙を含む排空気が効率的にフード部20に導かれるため、油煙の捕集率が向上する。
【0030】
また、スモークガード24がフード部20の側板22に対して着脱可能に取り付けられているため、スモークガード24の内面や後述する整流板29の外面の清掃が容易になるとともに、フード部20の内方の視認性が向上する。
【0031】
フード部20の内方には、
図4、
図6に示すように、フード開口部20Aが設けられる。フード開口部20Aは、加熱調理部90において生じた排空気が通過する。また、フード開口部20Aは、排気通路60の入口として機能する。
【0032】
フード開口部20Aには、
図4、
図6、
図7に示すように、モーター25、オイルパネル26、油捕集フィルタ27、オイルガード28、および整流板29が設けられる。
【0033】
モーター25は、油捕集フィルタ27を高速回転させる。モーター25が、油捕集フィルタ27を高速回転させる速度は、例えば230rpm(Rotation Per Minute)以上であることが好ましい。モーター25には、油捕集フィルタ27がワンタッチ式の着脱機構25Aによって着脱可能に取り付けられる。
【0034】
着脱機構25Aは、
図4に示す断面視において、フード部20をY方向に2等分するZ方向に沿う中央線L1よりも左側に位置する。この構成によれば、モーター25は、比較的壁側(Y方向の左側)に配置されることになるため、モーター25、オイルパネル26、油捕集フィルタ27、オイルガード28、および整流板29の視認性が向上する。
【0035】
モーター25は、
図4に示すように、載置部80によって、オイルパネル26に取り付けられる。載置部80は、
図4に示すように、モーター25を覆うように構成されるモーターカバー81と、モーターカバー81の下方に設けられオイルパネル26に対して固定される桟形状のモーター取付桟82と、を有する。このように構成された載置部80によれば、モーターカバー81およびモーター取付桟82によって、モーター25が外部と遮断される。
【0036】
載置部80は、
図6に示すように、フード開口部20Aを2つの開口領域R1、R2に区切るように配置される。具体的には載置部80は、第1開口領域R1、および第1開口領域R1よりも面積が大きい第2開口領域R2に区切る。そして、防火ダンパー32は、
図6に示すように、載置部80によって区切られた2つの開口領域R1、R2のうち、モーター25の軸方向(Z方向)に視て、第2開口領域R2側に設けられる。
【0037】
オイルパネル26は、送風機43によってフード部20に吸い込まれた排空気がフード開口部20Aへスムーズに流れるように、空気の流れを形成する。オイルパネル26は、
図4に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0038】
このようにオイルパネル26が傾斜して配置されるとともに、着脱機構25Aが中央線Lよりも壁側(Y方向の左側)に配置されているので、フード部20の内方の視認性が向上し、油捕集フィルタ27の取り外し等の作業性が向上する。
【0039】
油捕集フィルタ27は、モーター25の軸に着脱可能に取り付けられる。油捕集フィルタ27は、孔を備える円盤が高速回転することにより、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気から油を捕集する。油捕集フィルタ27に設けられる孔の直径は、例えば0.75~5mmである。孔の形状は円形状に限定されず、三角形、正方形、正多角形などの形状であってもよい。油捕集フィルタ27は、
図4に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0040】
オイルガード28は、油捕集フィルタ27の外周に設けられる。オイルガード28は、油捕集フィルタ27によって捕集した油が遠心力によって、径方向の外方に飛散された油を受ける油受けである。オイルガード28は、
図4に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0041】
整流板29は、油捕集フィルタ27の下方に設けられる。整流板29は、オイルパネル26の一端を支点として回動自在に取り付けられ、閉じられている状態で、オイルパネル26の外周部分に油煙を含む排空気の排気流路を形成する。整流板29は、オイルパネル26と整流板29との間に隙間が形成されるように、配置される。整流板29を閉じることによって、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気の流速が上がり、淀みなく流れるような流路が形成される。整流板29は、
図4に示すように、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して配置されている。
【0042】
<ダンパー部30>
ダンパー部30は、
図4、
図5に示すように、フード部20の天板21に設けられる天板開口部21Aに挿通されて、天板21に対してねじによって固定される。ダンパー部30は、
図4に示すように、送風機ボックス40の内方に設けられる。ダンパー部30は、
図8、
図9に示すように、ダンパーカバー31と、防火ダンパー32と、ダンパーステー33と、配線ガード34と、を有する。ダンパー部30は、上記の構成要素が互いにねじ(不図示)によって固定されて構成される。
【0043】
ダンパーカバー31は、
図8、
図9に示すように、XY平面上に構成される平面部31Aと、平面部31AのY方向の両端から下向きに延在する一対の縦壁部31Bと、を有する。平面部31Aには、
図8、
図9に示すように、内部にダンパー開口部31Cが設けられる。ダンパー開口部31Cは、排気通路60の一部を構成し、防火ダンパー32を通過した排空気が送風機ボックス40に移動する際に通過する孔である。
【0044】
防火ダンパー32は、
図9に示すように、例えばねじによってダンパーステー33に固定される。
【0045】
防火ダンパー32は、上述したように、モーター25の軸方向(Z方向)に視て、第2開口領域R2に配置されている(
図6参照)。また防火ダンパー32は、調理者側から視て、X方向の略中央に設けられることが好ましい。このように構成された調理用換気装置1によれば、防火ダンパー32に対するアクセス容易性が向上するとともに、防火ダンパー32の視認性が向上する。
【0046】
本実施形態において、防火ダンパー32はいわゆるバタフライ式である。防火ダンパー32は、
図8~
図10に示すように、Z方向に延在し筒状に構成されたダンパー筒32Aと、ダンパー筒32Aの内部に設けられる2枚の半円形のダンパー翼32Bと、2枚のダンパー翼32Bを重ね合わせるように挟持して、所定の温度以上で溶断する温度ヒューズ32Cと、を有する。
【0047】
このように構成された防火ダンパー32において、通常時は温度ヒューズ32Cによって、2枚のダンパー翼32Bが重ね合わされるように構成されている。そして、火炎が侵入して所定の温度(例えば120℃)以上になると、温度ヒューズ32Cが溶断して、ダンパー翼32Bに対する挟持状態が解除されて、2枚のダンパー翼32Bによって、ダンパー筒32Aが閉鎖される。
【0048】
ダンパーステー33は、
図9に示すように、ダンパーカバー31の下方に設けられる。ダンパーステー33は、
図9に示すように、平面状に構成される平面部33Aと、平面部33AのX方向の両端から上向きに立ち上がる一対の縦壁部33Bと、を有する。平面部33Aには、
図9に示すように、開口部33Cが設けられる。開口部33Cの周囲に防火ダンパー32が取り付けられる。
【0049】
ダンパー翼32Bの軸支部分およびダンパー筒32Aの上面は、ダンパーステー33の平面部33Aの面よりも送風機42寄り(Z方向の上寄り)に配置されている。この構成によれば、防火ダンパー32の点検・作業のための空間を広く取れることができる。
【0050】
配線ガード34は、配線(不図示)を油から保護するために設けられる。配線ガード34は、
図8、
図9に示すように、ダンパーステー33の下方に設けられる。配線ガード34は、
図9に示すように、X方向に沿って一対設けられる。配線ガード34は上下方向(Z方向)に沿って延在するように設けられる。
【0051】
このようにダンパー部30が構成されることによって、ダンパー部30の内方には、後述する煙道61の一部が形成される。
【0052】
また、
図4に示す断面視において、ダンパー部30をY方向に2等分するZ方向に沿う中央線L2よりも右側に、油捕集フィルタ27が配置され、中央線L2よりも左側に防火ダンパー32が配置される。この構成によれば、防火ダンパー32側の煙道61の空間を広くとれるので防火ダンパー32の点検作業が容易となる。
【0053】
<送風機ボックス40>
送風機ボックス40は、
図1、
図2、
図4に示すように、フード部20およびダンパー部30の上方に配置される。送風機ボックス40は、
図1に示すように、フード部20の天板21に対して例えばねじによって固定される。送風機ボックス40は、
図4、
図11に示すように、送風機ボックスカバー41と、送風機42を備える送風機ケーシング43と、送風機ボックス前蓋44と、送風機ボックス後蓋(不図示)と、基板ボックス(不図示)と、電源フィルタ45と、を有する。
【0054】
送風機ボックスカバー41は、
図11に示すように、XY平面上に構成される平面部41Aと、平面部41AのX方向の両端から下向きに延在する一対の縦壁部41Bと、を有する。平面部41Aには、開口部41Cが設けられる。開口部41Cは、排気通路60の一部を構成し、送風機42から送られた排空気がチャンバーボックス50に移動する際に通過する孔である。
【0055】
送風機42は、フード開口部20Aから下流の排気口62へ排空気が流れるように気流を生じさせる。換言すれば、送風機42は、加熱調理部90において生じた油煙を含む排空気を吸引し、排気口62に排出させる。送風機42は、送風機ケーシング43の内部に配置される。
【0056】
送風機ケーシング43は、
図4に示すように、送風機42から送出された排空気が流通するL型ダクト43Aを有する。送風機ケーシング43は、送風機ボックスカバー41の平面部41Aの裏面に対して、例えばねじによって固定される。
【0057】
送風機ボックス前蓋44は、
図11に示すように、Y方向の手前に設けられ、送風機ボックスカバー41に対して、例えばねじによって固定される。
【0058】
送風機ボックス後蓋は、Y方向の奥側に設けられ、送風機ボックスカバー41に対して、例えばねじによって固定される。
【0059】
基板ボックスは、制御のための基板が収納される。基板ボックスは、送風機ボックスカバー41の内方に配置される。
【0060】
電源フィルタ45は、送風機ボックスカバー41の縦壁部41Bに対して例えばねじによって固定される。電源フィルタ45は、ACコードによる電気ノイズを除去するために設けられる。
【0061】
<チャンバーボックス50>
チャンバーボックス50は、
図1、
図2、
図4に示すように、送風機ボックス40の上方に配置される。チャンバーボックス50は、送風機ボックス40の送風機ボックスカバー41に対して例えばねじによって固定される。
【0062】
チャンバーボックス50は、
図12に示すように、四角孔51Aが形成された底部51と、底部51の上方に設けられ、丸穴52Aが形成された蓋部52と、を有する。蓋部52は、底部51に対して例えばねじによって固定される。
【0063】
底部51に形成された四角孔51Aは、送風機ボックス40のL型ダクト43Aの出口43Bに対して連通している(
図4参照)。
【0064】
蓋部52に形成された丸穴52Aは、施設ごとに異なる排気設備に対応できるように排気孔の位置を変更できるようにしたものである。設備の配置位置が左タイプのものであっても右タイプのものであっても、蓋部52を180°回転させるだけで対応可能である。蓋部52に形成された丸穴52Aは、排気通路60の排気口62として機能する。
【0065】
<排気通路60>
排気通路60は、フード部20に形成されたフード開口部20Aからチャンバーボックス50に形成された丸穴52A(排気口62)までを連通する。ここで、排気通路60は、フード開口部20Aおよび丸穴52Aを含むものとする。
【0066】
排気通路60は、排気通路60の一部を構成し、フード開口部20Aおよび送風機42を接続する煙道61を有する。
【0067】
送風機42は、送風機ボックス40の下方に煙道61の一部を形成する空間Vが設けられるように、Z方向の上よりに配置される。すなわち、送風機ボックス40の上方領域に送風機42が配され、送風機ボックス40内の下方領域に煙道61の一部を形成する空間Vが形成される。そして、防火ダンパー32は、空間Vに設けられる。煙道61は、送風機ボックス40内の下方領域を通じて送風機ボックス40の下方のフード開口部20Aまで延設されており、防火ダンパー32は、煙道61のうち送風機ボックス40内の下方領域にある空間Vに設けられる。このため、防火ダンパー32および油捕集フィルタ27を好適に離間することができ、防火ダンパー32の視認性、防火ダンパー32に対するメンテナンス作業性が向上する。
【0068】
また、
図4に示すように、排気通路60において、Z方向の上から順に、送風機42、防火ダンパー32、および油捕集フィルタ27が配置される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る調理用換気装置1は、加熱調理部90の上方に設けられ、排空気が通過するフード開口部20Aを備えるフード部20と、フード開口部20Aから下流の排気口62へ排空気が流れるよう気流を生じさせる送風機42と、送風機42を収容する送風機ボックス40と、フード開口部20Aおよび排気口62を含み、フード開口部20Aから排気口62までを連通する排気通路60と、孔を有する円盤状の油捕集フィルタ27と、油捕集フィルタ27が着脱可能に取り付けられ、油捕集フィルタ27を高速回転させるモーター25と、所定の温度以上で作動する防火ダンパー32と、を有する。防火ダンパー32は排気通路60に配置され、油捕集フィルタ27よりも下流に設けられる。
【0070】
上記のように構成された調理用換気装置1によれば、モーター25によって油捕集フィルタ27が高速回転することで、調理によって発生する排空気から油を好適に捕集できるため、油捕集フィルタ27の下流に設けられる防火ダンパー32に付着する油の量を好適に低減することができる。また、油捕集フィルタ27がモーター25に対して着脱可能に構成されているため、防火ダンパー32へのアクセスが容易である。以上から、容易に防火ダンパー32のメンテナンス及び清掃をすることのできる調理用換気装置1を提供することができる。
【0071】
また、防火ダンパー32は、送風機42よりも上流に設けられる。このように構成された調理用換気装置1によれば、Z方向において下から順に、油捕集フィルタ27、防火ダンパー32、送風機42と配置されることになる。ここで、調理用換気装置1は、条例によって、施設天井から調理用換気装置1の天面までの離隔距離、加熱調理部90から油捕集フィルタ27までの離隔距離が規定されている。このため、Z方向において、防火ダンパー32が油捕集フィルタ27および送風機42の間に配置されることによって、調理用換気装置1の高さを抑制することができる。
【0072】
また、送風機ボックス40は、フード部20の上方に設けられる。また、調理用換気装置1は、排気通路60の一部を構成し、フード開口部20Aと送風機42とを接続する煙道61をさらに有する。送風機42は、送風機ボックス40内の下方に煙道61の一部を形成する空間Vが設けられるように配置される。防火ダンパー32は、空間Vに設けられる。このように構成された調理用換気装置1によれば、防火ダンパー32および油捕集フィルタ27の間の空間を広くとることができる。よって、防火ダンパー32の視認点検が容易になるとともに、温度ヒューズ32Cの交換作業のスペースを確保できる。
【0073】
また、調理用換気装置1は、モーター25を、フード開口部20Aに載置する載置部80をさらに有する。防火ダンパー32は、所定の温度以上で溶断する温度ヒューズ32Cを有する。防火ダンパー32の温度ヒューズ32Cおよび載置部80は、モーター25の軸方向から視て互いに位置がずれるように配置されている。このように構成された調理用換気装置1によれば、防火ダンパー32および載置部80が互いに位置ずれするように配置されているため、火炎が発生した際に、火炎の防火ダンパー32に対する接触を載置部80が妨げることを抑制できる。よって、適切なタイミングで温度ヒューズ32Cが溶断して、防火ダンパー32を適切に作動させることができる。
【0074】
また、載置部80は、フード開口部20Aを2つの開口領域R1、R2に区切るように配置され、開口領域R1、R2は、第1開口領域R1と第1開口領域R1よりも面積が大きい第2開口領域R2とからなる。防火ダンパー32は、モーター25の軸方向に視て、第2開口領域R2に配置されている。このように構成された調理用換気装置1によれば、火炎の防火ダンパー32に対する接触を、載置部80が妨げることをより好適に抑制できる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0076】
例えば、上述した実施形態では、オイルパネル26、油捕集フィルタ27、オイルガード28、および整流板29は、Y方向の左向きに沿ってZ方向の下方となるように傾斜して構成された。しかしながら、オイルパネル26、油捕集フィルタ27、オイルガード28、および整流板29は水平方向に配置されていてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、防火ダンパー32はバタフライ式の防火ダンパー32であったが、防火ダンパーは、スライド式の防火ダンパーであってもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、防火ダンパー32は、送風機42よりも上流に設けられた。しかしながら、防火ダンパー32は、送風機42よりも下流に設けられてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、防火ダンパー32の温度ヒューズ32Cおよび載置部80は、モーター25の軸方向から視て、互いに位置がずれるように配置されていた。しかしながら、防火ダンパー32の温度ヒューズ32Cおよび載置部80は、モーター25の軸方向から視て、同一の位置に配置されていてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、載置部80は、フード開口部20Aを互いに面積の異なる2つの開口領域に区切るように配置された。しかしながら、載置部は、フード開口部20Aを互いに同一の面積の2つの開口領域に区切るように配置されてもよい。また、載置部は、フード開口部20Aの一方の側を隠蔽し、他方の側を開口するように配置されてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、防火ダンパー32は、温度ヒューズ32Cが溶断することによって作動した。しかしながら、防火ダンパー32の作動トリガーは、温度ヒューズ32Cの溶断に限定されず、防火ダンパー32は、温度センサー、火災報知器からの信号、サーモスタット等で作動させてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 調理用換気装置、
20 フード部、
20A フード開口部、
25 モーター、
27 油捕集フィルタ、
32 防火ダンパー、
32C 温度ヒューズ、
40 送風機ボックス、
42 送風機、
60 排気通路、
61 煙道、
62A 排気口、
80 載置部、
90 加熱調理部、
R1 第1開口領域、
R2 第2開口領域。