(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】車両用荷崩れ防止具
(51)【国際特許分類】
B60P 7/06 20060101AFI20230713BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B60P7/06 Z
F16B2/12 B
(21)【出願番号】P 2019150364
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-08-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)株式会社島田設備(顧客)への販売、令和1年6月12日 (2)自社アカウントページへの掲載(https://www.instagram.com/ktryangle)、平成30年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】517043505
【氏名又は名称】株式会社オートグランド スーパーセブン
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】谷本 達哉
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-142643(JP,U)
【文献】特開昭58-182410(JP,A)
【文献】実開平02-068230(JP,U)
【文献】特開2017-089218(JP,A)
【文献】特開2001-055080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00,3/40-3/41,
7/06-7/18
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷物積載部に設けられた枠状部分に取り付けることによって、荷物積載部に積載された荷物を側方から支持して荷崩れを防止する車両用荷崩れ防止具であって、
前記枠状部分を差し込むための枠状部分差込口を有し、枠状部分差込口から差し込まれた前記枠状部分の外周部に対して締付固定されるクランプと、
クランプから上方に突出して設けられ、荷物積載部に積載された荷物を側方から支持する荷物支持体と、
クランプにおける枠状部分差込口を塞ぐ差込口閉塞部材と
を備え
るとともに、
クランプが、
前記枠状部分の一側に配されるクランプ第一部と、前記枠状部分の他側に配されるクランプ第二部と、クランプ第一部とクランプ第二部の基端同士を連結するクランプ第三部とで構成されたクランプ本体部と、
クランプ第一部に螺合され、クランプ内に進出することにより、前記枠状部分をクランプ第二部側に押し付ける第一ボルトと、
荷物支持体を螺合するためにクランプ第二部に設けられた第二ボルトと、
で構成されるとともに、
差込口閉塞部材が、
枠状部分差込口を塞ぐ閉塞部材本体部と、
閉塞部材本体部から屈曲して設けられた閉塞部材屈曲部と
で構成され、
閉塞部材屈曲部に形成された貫通孔に第二ボルトを挿通して、閉塞部材本体部で枠状部分差込口を塞ぎ、閉塞部材本体部の一端側をクランプ第一部に係合させた状態で、クランプの第二ボルトに荷物支持体を螺合することによって、荷物支持体とクランプ第二部とで閉塞部材屈曲部が挟持されるようにした
ことを特徴とする車両用荷崩れ防止具。
【請求項2】
第一ボルトが、
クランプ第一部に螺合される軸部と、
前記軸部の一端側に設けられ、前記枠状部分に押し当てられる押し当て部と
で構成され、
押し当て部が前記軸部に対して回転可能な状態で取り付けられた
請求項
1記載の車両用荷崩れ防止具。
【請求項3】
クランプ第三部に対してクランプ第二部が広がることを防ぐための縦壁部が、クランプ第二部とクランプ第三部の隅角部に設けられた
請求項
1又は2記載の車両用荷崩れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷物積載部に取り付けることによって荷崩れを防止する車両用荷崩れ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
荷台に寝かせることができない長尺物(柱材等)をトラックで運搬する際には、トラックの荷台前方(運転席後方)に設けられた「鳥居」と呼ばれる枠状部分にその長尺物を立て掛けることが行われている。しかし、長尺物を鳥居に立て掛けた状態で運搬すると、トラック走行時の振動等によって、長尺物が鳥居に対して横滑りし、荷崩れを生じるおそれがある。
【0003】
このような実情に鑑みて、これまでには、鳥居の左右両側に上向き突起を一体的に設けたトラックも提案されている。例えば、特許文献1の
図1には、鳥居23の左右両側に角部23b(上向き突起)が設けられたトラック1が記載されている。このように、鳥居の左右両側に上向き突起を設けることで、鳥居に立て掛けた長尺物が横滑りしないように、上向き突起で長尺物を支持することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の上向き突起等、鳥居に立て掛けられた荷物を支持するための荷物支持体を、鳥居の左右両側に一体的に形成すると、荷物の幅等に応じて荷物支持体の位置を変更することができない。このため、ドアパネルのように幅の広い荷物を鳥居に立て掛けた場合には、鳥居の左右両側の荷物支持体で荷物の横滑りを防止できたとしても、柱材のように幅の狭い荷物を鳥居に立て掛けた場合には、鳥居の左右両側の荷物支持体で荷物の横滑りを防止することができず、荷崩れを起こすおそれがあった。
【0006】
この点、荷物支持体を、鳥居に対して一体的に設けるのではなく、鳥居に対して着脱可能な状態で取り付けるようにすれば、荷物の幅等に応じて荷物支持体の場所を替えることが可能になる。例えば、柱材等、幅の狭い荷物を鳥居に立て掛ける場合には、一対の荷物支持体の間隔を狭く設定するといったことも可能になる。しかし、荷物支持体を鳥居に対して着脱可能な状態で取り付けると、トラック走行時の振動等によって、荷物支持体自体が鳥居から脱落するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、トラックの荷台前方に設けられた鳥居等、車両の荷物積載部に設けられた枠状部分に対して着脱可能な状態で取り付けることができ、その取付位置を事後的に変更できるものでありながら、その枠状部分から脱落しない構造の車両用荷崩れ防止具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
車両の荷物積載部に設けられた枠状部分に取り付けることによって、荷物積載部に積載された荷物を側方から支持して荷崩れを防止する車両用荷崩れ防止具であって、
前記枠状部分を差し込むための枠状部分差込口を有し、枠状部分差込口から差し込まれた前記枠状部分の外周部に対して締付固定されるクランプと、
クランプから上方に突出して設けられ、荷物積載部に積載された荷物を側方から支持する荷物支持体と、
クランプにおける枠状部分差込口を塞ぐ差込口閉塞部材と
を備えたことを特徴とする車両用荷崩れ防止具
を提供することによって解決される。
【0009】
ここで、「車両の荷物積載部に設けられた枠状部分」という記載における「荷物積載部」とは、上述したトラックの荷台等、車両において荷物を積載することを目的として設けられた場所のことを云う。車両の屋根の上にルーフラック等を取り付けて屋根の上に荷物を積載することができるようにしているのであれば、乗車用の屋根の上でも、「荷物積載部」に該当するものとする。
また、「車両の荷物積載部に設けられた枠状部分」という記載における「枠状部分」とは、荷物積載部又はその周辺部に設けられた枠状をなす部分のことを云う。上述したトラックの鳥居やルーフラックを構成する細長い部分(ヨコ枠部やタテ枠部等)がこれに該当する。「枠」という語は、狭義には、「異なる方向に延びる細長い部材を組み合わせた構造体」を指すことがあるが、本明細書における「枠状部分」(本発明の車両用荷崩れ防止具を取り付ける対象の「枠状部分」)は、これに限定されない。1本のみで構成されるものであっても、細長い部分を有するのであれば、「枠状部分」の概念に含まれるものとする。
【0010】
このように、車両用荷崩れ防止具を、車両の荷物積載部に設けられた枠状部分に対して締付固定できるクランプを備えたものとすることによって、前記枠状部分に対してクランプを着脱可能な状態で取り付けることが可能になる。このため、荷物支持体の取付箇所を調整することが可能になる。また、クランプの枠状部分差込口を差込口閉塞部材で塞ぐことによって、クランプが前記枠状部分から脱落しないことが可能になる。
【0011】
本発明の車両用荷崩れ防止具においては、
クランプが、
前記枠状部分の一側に配されるクランプ第一部と、前記枠状部分の他側に配されるクランプ第二部と、クランプ第一部とクランプ第二部の基端同士を連結するクランプ第三部とで構成されたクランプ本体部と、
クランプ第一部に螺合され、クランプ内に進出することにより、前記枠状部分をクランプ第二部側に押し付ける第一ボルトと、
荷物支持体を螺合するためにクランプ第二部に設けられた第二ボルトと、
で構成されるとともに、
差込口閉塞部材が、
枠状部分差込口を塞ぐ閉塞部材本体部と、
閉塞部材本体部から屈曲して設けられた閉塞部材屈曲部と
で構成され、
閉塞部材屈曲部に形成された貫通孔に第二ボルトを挿通して、閉塞部材本体部で枠状部分差込口を塞ぎ、閉塞部材本体部の一端側をクランプ第一部に係合させた状態で、クランプの第二ボルトに荷物支持体を螺合することによって、荷物支持体とクランプ第二部とで閉塞部材屈曲部が挟持されるように
することも好ましい。
【0012】
このように、クランプの第二ボルトに荷物支持体を螺合する際に、荷物支持体とクランプ第二部とで閉塞部材屈曲部が挟持されるようにする(閉塞部材屈曲部が荷物支持体でクランプ第二部側に押されるようにする)ことによって、差込口閉塞部材の一端側をクランプ第一部の側に押し込み、閉塞部材本体側の一端側とクランプ第一部との係合が深くなるようにすることができる。すなわち、荷物支持体を第二ボルトへ螺合するだけで、荷物支持体と差込口閉塞部を、それぞれクランプ第二部に取付けることが可能となる。
【0013】
本発明の車両用荷崩れ防止具においては、
第一ボルトが、
クランプ第一部に螺合される軸部と、
前記軸部の一端側に設けられ、前記枠状部分に押し当てられる押し当て部と
で構成され、
押し当て部が前記軸部に対して回転可能な状態で取り付けられているようにする
ことも好ましい。
【0014】
というのも、第一ボルトにおける押し当て部が前記軸部に対して一体的に形成されていると、第一ボルトを締め付ける際に、押し当て部が前記枠状部分に対して回転するようになり、前記枠状部分が傷つくおそれがある。この点、押し当て部を前記軸部に対して回転可能な状態で設けることによって、第一ボルトを締めるときに、押し当て部が前記枠状部分に対して回転しないようにし、前記枠状部分が傷つかないようにすることが可能になるからである。
【0015】
本発明の車両用荷崩れ防止具においては、
クランプ第三部に対してクランプ第二部が広がることを防ぐための縦壁部が、クランプ第二部とクランプ第三部の隅角部に設けられているようにする
ことも好ましい。
【0016】
というのも、クランプを前記枠状部分に締付固定する際に、クランプ第一部に備えられた第一ボルトを強く締め付けすぎてしまうと、前記枠状部分によってクランプ第二部が押され、クランプ第三部に対してクランプ第二部が広がるおそれがある。この点、クランプ第二部とクランプ第三部の隅角部へ縦壁部を設けることにより、クランプを補強し、クランプ第二部がクランプ第三部に対して広がることを防ぐことができるからである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によって、トラックの荷台前方に設けられた鳥居等、車両の荷物積載部に設けられた柱状部に対して着脱可能な状態で取り付けることができ、その取付位置を事後的に変更できるものでありながら、その枠状部分から脱落しない構造の車両用荷崩れ防止具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る車両用荷崩れ防止具を荷物積載部の枠状部分に取り付けた状態を俯瞰的に示した斜視図である。
【
図2】
図1における車両用荷崩れ防止具の周辺を拡大して示した斜視図である。
【
図3】本発明に係る車両用荷崩れ防止具を荷物積載部の枠状部分に取り付けている様子を示した図であって、荷物積載部の枠状部分に締付固定したクランプに対して差込口閉塞部材を組み付けている状態を示した斜視図である。
【
図4】本発明に係る車両用荷崩れ防止具を荷物積載部の枠状部分に取り付けている様子を示した図であって、差込口閉塞部材が組み付けられたクランプに対して荷物支持体の支柱部を取り付けている状態を示した斜視図である。
【
図5】本発明に係る車両用荷崩れ防止具を荷物積載部の枠状部分に取り付けた状態を、
図2におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の車両用荷崩れ防止具の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る車両用荷崩れ防止具100を荷物積載部の枠状部分201aに取り付けた状態を俯瞰的に示した斜視図である。本発明の車両用荷崩れ防止具100は、
図1に示すように、車両の荷物積載部200における枠状部分201aに装着する態様で使用するものとなっている。以下においては、説明の便宜上、トラックの荷台前方(運転席後方)に設けられた鳥居201の枠状部分201aに取り付ける場合を例に挙げて、本発明の車両用荷崩れ防止具100を説明する。
【0021】
柱材のように長尺であり荷台に寝かせることができない荷物をトラックで運搬する際には、その長尺な荷物を鳥居201に立て掛けることが行われているが、この車両用荷崩れ防止具100を鳥居201の枠状部分201aに左右一対で設けることによって、その荷物を一対の車両用荷崩れ防止具100の間に立て掛けることができるようになる。このため、荷物における鳥居201に立て掛けられた部分を左右両側から支持し、荷崩れを防止することができる。
【0022】
図2は、
図1における車両用荷崩れ防止具100の周辺を拡大して示した斜視図である。本発明の車両用荷崩れ防止具100は、
図2に示すように、クランプ110と、差込口閉塞部材120と、荷物支持体130とを備えている。以下、本実施態様の車両用荷崩れ防止具を構成する各部材について順に説明する。
【0023】
1.クランプ
クランプ110は、枠状部分差込口111を有する部材となっている。この枠状部分差込口111に鳥居201の枠状部分201aを差し込み、その枠状部分201aの外周部に対してクランプ110を締め付け固定する。これにより、車両用荷崩れ防止具100を鳥居201の枠状部分201aに対してしっかりと固定することができる。
【0024】
クランプ110は、枠状部分201aの外周部に対して締付固定できるのであれば、その具体的な構造を特に限定されない。本実施態様においては、
図3に示すように、クランプ110を、クランプ本体部112と、第一ボルト113と、第二ボルト114とで構成されている。
図3は、本発明に係る車両用荷崩れ防止具100を荷物積載部200の枠状部分201aに取り付けている様子を示した図であって、荷物積載部200の枠状部分201aに締付固定したクランプ110に対して差込口閉塞部材120を組み付けている状態を示した斜視図である。
【0025】
1.1 クランプ本体部
クランプ本体部112は、枠状部分201aの一側(
図2の例では枠状部分201aの下側)に配されるクランプ第一部112aと、枠状部分201aの他側(
図2の例では枠状部分201aの上側)に配されるクランプ第二部112bと、クランプ第一部112aとクランプ第二部112bの基端同士を連結するクランプ第三部112cと、クランプ第二部112bとクランプ第三部112cの隅角部に設けられた縦壁部112dで構成されている。クランプ本体部112は、これらクランプ第一部112aとクランプ第二部112bとクランプ第三部112cとによって断面「C」字状を為しており、クランプ第一部112aとクランプ第二部112bとクランプ第三部112cとで囲まれた部分に枠状部分201aを差し込むことができるようになっている。枠状部分201aは、クランプ第一部112aの先端とクランプ第二部112bの先端との隙間(枠状部分差込口111)から差し込むようになっている。
【0026】
クランプ第一部112aには、後掲する
図5に示すように、ナット部112a
1を設けている。このナット部112a
1には、上述した第一ボルト113が螺合されている。このため、第一ボルト113を回転させることによって、第一ボルト113を、クランプ第二部112bに近づく向き(クランプ110内に進出して枠状部分201aを締め付ける向き)、又は、クランプ第二部112bから遠ざかる向き(クランプ110内から後退して枠状部分201aの締め付けを緩める向き)に移動させることができるようになっている。第一ボルト113は、枠状部分201aに当接するのとは反対側の端部に設けた六角穴に六角棒スパナを嵌め込むことで回転させることができるようになっている。
【0027】
ナット部112a1は、通常のナットを用いてもよいが、この場合において、第一ボルト113の緩みを防止しようとすると、ワッシャーが必要になる。このため、本実施態様の車両用荷崩れ防止具100では、ナット部112a1を構成するナットとして緩み止めナット用いている。これにより、ワッシャーを用いなくても、第一ボルト113が緩まないようにすることが可能になる。したがって、車両用荷崩れ防止具100の部品点数を削減することができる。
【0028】
また、クランプ第一部112aの先端部の両側には、
図3に示すように、被係合部112a
2を設けている。この被係合部112a
2は、後述する差込口閉塞部材本体部121の係合部121aが係合するための部分となっている。
図3に示した例では、被係合部112a
2を切欠状の凹部として設け、係合部121aを凸部として設けているが、この凹凸関係は逆転させてもよい。
【0029】
クランプ第二部112bには、第二ボルト114が上向きに設けられている。この第二ボルト114は、
図4に示すように、後述する荷物支持体130の支柱部131を螺合するための部分となっている。
図4は、本発明に係る車両用荷崩れ防止具100を荷物積載部200の枠状部分201aに取り付けている様子を示した図であって、差込口閉塞部材120が組み付けられたクランプ110に対して荷物支持体130の支柱部131を取り付けている状態を示した斜視図である。
【0030】
本実施態様の車両用荷崩れ防止具100において、第二ボルト114は、
図5に示すように、クランプ第二部112bを上下方向に貫通して設けた貫通孔112b
1に挿通されたボルトによって構成しており、クランプ第二部112bとは別体で設けている。しかし、第二ボルト114は、クランプ第二部112bに対して溶接等によって一体化した状態で設けることもできる。
【0031】
クランプ第三部112cは、
図3に示すように、クランプ第一部112aとクランプ第二部112bの基端同士を連結する部分となっている。このクランプ第三部112cによって、クランプ第一部112aとクランプ第二部112bとが一体化された状態となっている。
【0032】
縦壁部112dは、
図5に示すように、クランプ第二部112bとクランプ第三部112cとの隅角部に設けられた板状の部分となっている。
図5では、紙面奥側の縦壁部112dのみを示しているが、紙面手前側にも縦壁部112dが設けられている。すなわち、縦壁部112dは、クランプ本体部112の幅方向両側に一対に設けられている。それぞれの縦壁部112dは、クランプ第二部112b及びクランプ第三部112cの双方に対して一体化された状態となっている。第一ボルト113を枠状部分201aに対して強く締め付けると、クランプ第三部112cに対して、クランプ第二部112bが広がる等、クランプ本体部112が変形するおそれがあるところ、この縦壁部112dによって、クランプ本体部112が補強された状態となっている。
【0033】
また、この縦壁部112dは、クランプ本体部112を補強するだけでなく、第二ボルト114の供回りを防止する部分としても機能できるようになっている。すなわち、本実施態様の車両用荷崩れ防止具100では、既に述べたように、第二ボルト114を、クランプ第二部112bの貫通孔112b1に挿通したボルトによって構成した。このため、荷物支持体130の支柱部131を第二ボルト114に螺合しようとした際に、第二ボルト114が支柱部131と一緒に回転すると、支柱部131を第二ボルト114に対してそれ以上回転させることができなくなる。この点、縦壁部112dを設けるとともに、第二ボルト113の頭部を多角形等の非円形に形成すれば、第二ボルト113が回転しようとしても、第二ボルト113の頭部が縦壁部112dの内面に当接して引っ掛かった状態となるため、第二ボルト113が支柱部131に共回りしないようにすることができる。
【0034】
上述したクランプ本体部112(クランプ第一部112a、クランプ第二部112、クランプ第三部112c及び縦壁部112d)は、複数の部材を組み合わせて一体化させることによって形成したものであってもよい。しかし、本実施態様の車両用荷崩れ防止具100では、クランプ本体部112におけるクランプ第一部112a、クランプ第二部112、クランプ第三部112c及び縦壁部112dは、共通する1枚の金属板を折り曲げることによって形成している。
【0035】
1.2 第一ボルト
第一ボルト113は、既に述べたように、クランプ第一部112aのナット部112a
1に対して螺合されたボルトによって構成されている。この第一ボルト113は、
図5に示すように、ナット部112a
1に螺合される軸部113aと、軸部113aの一端側(
図5に示した例では上端側)に設けられた押し当て部113bとを備えている。押し当て部113bは、枠状部分201aに押し当てるための部分となっている。
【0036】
第一ボルト113を締付方向に回転させてクランプ110内に進出させ、この押し当て部113bで枠状部分201aをクランプ第二部112b側に押し付けることで、クランプ110が枠状部分201aに対して、しっかりと固定される。逆に、荷物積載部200の枠状部分201に対する車両用荷崩れ防止具100の取付箇所を変更したい場合や、その枠状部分201から車両用荷崩れ防止具100を取り外したい場合には、第一ボルト113を緩め方向に回転させてクランプ110内から後退させる。
【0037】
第一ボルト113の押し当て部113bは、軸部113aに対して一体的に固定されたものであってもよい。しかし、この場合には、第一ボルト113を締め付ける際に、押し当て部113bが枠状部分201aに対して回転しながら当接するようになり、枠状部分201aが傷つくおそれがある。このため、本実施態様の車両用荷崩れ防止具100においては、
図5に示すように、第一ボルト113の押し当て部113bを、軸部113aとは別体で構成しており、押し当て部113bが軸部113aに対して回転できるようにしている。具体的には、軸部113aにおける押し当て部113b側の端部に球状の嵌合部を設け、この嵌合部を、押し当て部113bに設けた球状の被嵌合部に嵌合させている。これにより、第一ボルト113の軸部113aが回転しても、押し当て部113bが枠状部分201aに対して回転しないようにして、枠状部分201aが傷つかないようにすることが可能となっている。
【0038】
1.3 第二ボルト
第二ボルト114は、荷物支持体130をクランプ110に螺合するために設けられている。第二ボルト114については、上記の「1.1 クランプ本体部」の欄で説明したため、ここでは説明を割愛する。
【0039】
2.差込口閉塞部材
差込口閉塞部材120は、クランプ110の枠状部分差込口111を塞ぐ部材となっている。
図2に示すように、差込口閉塞部材120をクランプ110に取り付けることにより、枠状部分差込口111を塞ぐ。既に述べたように、本発明の車両用荷崩れ防止具100は、荷物積載部200の枠状部分201aに対して着脱可能な状態で取り付けるものとなっているところ、この差込口閉塞部材120で枠状部分差込口111を塞ぐことによって、クランプ110が枠状部分201aから脱落しないようにすることが可能となっている。
【0040】
差込口閉塞部材120は、クランプ110が枠状部分201aから脱落することを防ぐことができるのであれば、その具体的な構造を特に限定されない。本実施態様の車両用荷崩れ防止具100においては、
図3に示すように、差込口閉塞部材120を、枠状部分差込口111を塞ぐ閉塞部材本体部121と、閉塞部材本体部121から屈曲して設けられた閉塞部材屈曲部122とで構成している。閉塞部材本体部131と閉塞部材屈曲部122とは、別個に形成された部材を一体化させたものであってもよいが、本実施態様の車両用荷崩れ防止具100においては、共通する1枚の金属板を断面「L」字状に折り曲げることによって形成している。
【0041】
閉塞部材本体部121の一端側(
図3に示す例では下端側)には、上述した一対の係合部121a(クランプ第一部の被係合部112a
2に係合させるための部分)が設けられている。また、閉塞部材屈曲部122には、閉塞部材屈曲部122を上下方向に貫通して貫通孔122aが設けられている。この貫通孔122aは、上述した第二ボルト114を挿通するためのものとなっている。この貫通孔122aに第二ボルト114を挿通することで、差込口閉塞部材120は、クランプ110に対して組み付けられた状態となる。
【0042】
3.荷物支持体
荷物支持体130は、
図1に示すように、クランプ110から上方に突出して設けられ、荷物積載部200に積載された荷物を側方から支持する部材となっている。この荷物支持体130によって、荷物積載部200に積載された荷物の荷崩れを防止することができる。本実施態様の車両用荷崩れ防止具100においては、
図3に示すように、荷物支持体130を、上下方向に延びる支柱部131と、支柱部131の外面を覆うカバー132とで構成している。支柱部131の外面をカバー132で覆うことによって、荷物支持体130が荷物を傷つけないようにすることが可能となっている。
【0043】
既に述べたように、荷物支持体130の支柱部131は、クランプ第二部112bに設けられた第二ボルト114に対して螺合される。これにより、荷物支持体130は、クランプ110に対して固定された状態となる。支柱部131の下端部には、第二ボルト114を螺合するためのネジ穴131aが設けられている。このネジ穴131aの内部には、ナット部112a1に用いたものと同様の緩み止めナットを用いている。これにより、車両に振動等が生じても、支柱部131が第二ボルト114に対して緩まないようになっている。
【0044】
ところで、荷物支持体130における支柱部131は、
図4に示すように、クランプ110に対して差込口閉塞部材120を組み付けた後(クランプ第二部112bの第二ボルト114を、閉塞部材屈曲部122の貫通孔122aに挿通させた後)、第二ボルト114に対して螺合される。これにより、
図5に示すように、支柱部131を第二ボルト114に螺合すると、支柱部131とクランプ第二部112bとが、閉塞部材屈曲部122を挟持し、差込口閉塞部材120がクランプ110に対してしっかりと固定されるようになっている。換言すると、荷物支持体130をクランプ110に対して固定するのと同時に、差込口閉塞部材120をクランプ110に対して固定することができるようになっている。
【符号の説明】
【0045】
100 車両用荷崩れ防止具
110 クランプ
111 枠状部分差込口
112 クランプ本体部
112a クランプ第一部
112a1 ナット部
112a2 被係合部
112b クランプ第二部
112c クランプ第三部
112d 縦壁部
113 第一ボルト
113a 軸部
113b 押し当て部
114 第二ボルト
114a 取付軸部
114b 頭部
120 差込口閉塞部材
121 閉塞部材本体部
121a 係合部
122 閉塞部材屈曲部
122a 貫通孔
130 荷物支持体
131 支柱部
131a ネジ穴
132 カバー
200 荷物積載部
201 鳥居
201a 枠状部分