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特許7312445ヒータ、ヒータの装着方法及び流体供給ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ヒータ、ヒータの装着方法及び流体供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16L 53/38 20180101AFI20230713BHJP
   H05B 3/56 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F16L53/38
H05B3/56 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019157388
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021032399
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-326983(JP,A)
【文献】特開2018-170205(JP,A)
【文献】特開2008-234939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 53/38
H05B 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられる支持機構と、
前記筐体の底壁と接触しないように前記支持機構によって支持される配管と、
前記配管と接触することなく、前記配管の一部を覆うように前記筐体の前記底壁上に架設される基板と、
前記基板上に設けられる流体装置と、
可撓性を有するとともに、前記配管の外周面を取り囲むように装着される筒状のヒータと、を備え、
前記ヒータは、
前記ヒータの軸方向の一端から前記ヒータの軸方向の他端まで延在するとともに前記ヒータの内周面と前記ヒータの外周面とを接続するように形成されるスリットと、
前記スリットから前記ヒータの内周面と前記ヒータの外周面とを接続するように形成される切り込みと
前記切り込みを取り囲むように前記ヒータの外周面に設けられる第1面ファスナーと、
前記ヒータの外周面に設けられ、前記第1面ファスナーに係合可能な第2面ファスナーを有するバンドと、を有し、
前記第2面ファスナーが前記第1面ファスナーに係合した場合、前記バンドは、前記ヒータが発生する熱を前記切り込みから逃がさないように前記切り込みを覆う、流体供給ユニット。
【請求項2】
前記切り込みは、複数の切り込みによって構成され、
複数の前記切り込みは、前記軸方向に沿って所定の間隔を空けて配列される、請求項1に記載の流体供給ユニット。
【請求項3】
前記切り込みは、前記ヒータの円周方向に沿って延在するように形成される、請求項1又は2に記載の流体供給ユニット。
【請求項4】
前記ヒータは、
熱電線が設けられる加熱層と、
前記加熱層の外周面に設けられる断熱層と、
前記切り込みと同一円周上に形成される接続領域と、をさらに有し、
前記スリットは、前記加熱層の内周面と前記断熱層の外周面とを接続するように前記加熱層及び前記断熱層に形成され、
前記切り込みは、前記スリットから前記加熱層の内周面と前記断熱層の外周面とを接続するように前記加熱層及び前記断熱層に形成され、
前記熱電線は、前記接続領域を通るように設けられ、前記ヒータが前記配管に装着される前の状態では、前記加熱層における前記スリットの幅と前記断熱層における前記スリットの幅とは、同一である、請求項1に記載の流体供給ユニット。
【請求項5】
前記配管は、前記基板から露出する露出領域と、前記基板によって覆われる非露出領域と、を有し、
前記ヒータは、前記配管の前記露出領域から装着される、請求項1からのいずれか1項に記載の流体供給ユニット。
【請求項6】
前記ヒータを請求項に記載の流体供給ユニットにおける前記配管に装着するヒータの装着方法であって、
前記スリットを通じて、前記切り込みによって変形した前記ヒータの一端から前記ヒータの他端までの各部分を前記ヒータの一端側から順に前記配管の前記露出領域の外周面に装着させるとともに、
前記露出領域の外周面に装着された前記ヒータの各部分を、順に前記配管に沿って前記配管の前記非露出領域側へ押し込む、ヒータの装着方法。
【請求項7】
可撓性を有する筒状のヒータであって、
軸方向の一端から軸方向の他端まで延在するとともに内周面と外周面とを接続するように形成されるスリットと、
前記スリットから内周面と外周面とを接続するように形成される切り込みと
前記切り込みを取り囲むように前記ヒータの外周面に設けられる第1面ファスナーと、
前記ヒータの外周面に設けられ、前記第1面ファスナーに係合可能な第2面ファスナーを有するバンドと、を備え、
前記第2面ファスナーが前記第1面ファスナーに係合した場合、前記バンドは、前記ヒータが発生する熱を前記切り込みから逃がさないように前記切り込みを覆う、ヒータ。
【請求項8】
熱電線が設けられる加熱層と、
前記加熱層の外周面に設けられる断熱層と、
前記切り込みと同一円周上に形成される接続領域と、をさらに備え、
前記スリットは、前記加熱層の内周面と前記断熱層の外周面とを接続するように前記加熱層及び前記断熱層に形成され、
前記切り込みは、前記スリットから前記加熱層の内周面と前記断熱層の外周面とを接続するように前記加熱層及び前記断熱層に形成され、
前記熱電線は、前記接続領域を通るように設けられ、前記ヒータが配管に装着される前の状態では、前記加熱層における前記スリットの幅と前記断熱層における前記スリットの幅とは、同一である、請求項7に記載のヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ、ヒータの装着方法及び流体供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板状のヒータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-84917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体供給ユニットの一例として、筐体と、筐体に設けられる基板と、基板上に設けられる流体装置と、一部が基板によって覆われるように基板と筐体の底壁との間に設けられる配管と、を備えるものが挙げられる。しかしながら、このような配管に特許文献1に記載の板状のヒータを後付けする場合、基板を取り外す必要があり、施工性に問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、基板を取り外すことなく、一部が基板によって覆われる配管に容易に装着することができるヒータ、ヒータの装着方法及び流体供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある一つの態様によれば、筐体と、前記筐体に設けられる支持機構と、前記筐体の底壁と接触しないように前記支持機構によって支持される配管と、前記配管と接触することなく、前記配管の一部を覆うように前記筐体の前記底壁上に架設される基板と、前記基板上に設けられる流体装置と、可撓性を有するとともに、前記配管の外周面を取り囲むように装着される筒状のヒータと、を備え、前記ヒータは、前記ヒータの軸方向の一端から前記ヒータの軸方向の他端まで延在するとともに前記ヒータの内周面と前記ヒータの外周面とを接続するように形成されるスリットと、前記スリットから前記ヒータの内周面と前記ヒータの外周面とを接続するように形成される切り込みと、を有する、流体供給ユニットが提供される。
【0007】
本発明のある他の態様によれば、可撓性を有する筒状のヒータであって、軸方向の一端から軸方向の他端まで延在するとともに内周面と外周面とを接続するように形成されるスリットと、前記スリットから内周面と外周面とを接続するように形成される切り込みと、を備える、ヒータが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、基板を取り外すことなく、一部が基板によって覆われる配管にヒータを容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る流体供給ユニットを示す正面斜視図であり、流体供給ユニットのカバーを省略している。
図2】流体供給ユニットを示す背面斜視図であり、流体供給ユニットのカバーを省略している。
図3】流体供給ユニットを示す上面図であり、流体供給ユニットのカバーを省略している。
図4】配管の周辺を示す概略断面図であり、配管、流路形成ブロック及び連通管の断面視を省略している。
図5】本実施形態に係るヒータを示す斜視図である。
図6A】ヒータを示す正面図である。
図6B】ヒータを示す背面図である。
図6C】ヒータを示す上面図である。
図6D】ヒータを示す底面図である。
図6E】ヒータを示す側面図である。
図7】第1変形例に係るヒータを示す展開図である。
図8】第2変形例に係るヒータを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
まず、図1から図4を参照しながら本実施形態に係る流体供給ユニット1について説明する。なお、図1から図3において、流体供給ユニット1の長手方向、幅方向及び高さ方向を、それぞれX軸に沿う方向、Y軸に沿う方向及びZ軸に沿う方向とする。以下、説明の便宜上、流体供給ユニット1の長手方向、幅方向及び高さ方向を単に長手方向、幅方向及び高さ方向と称する。
【0012】
図1は、流体供給ユニット1を示す正面斜視図である。図2は、流体供給ユニット1を示す背面斜視図である。図3は、流体供給ユニット1を示す上面図である。図4は、配管4の周辺を示す概略断面図であり、配管4、流路形成ブロック61及び連通管8の断面視を省略している。図1から図3において、流体供給ユニット1のカバーを省略している。
【0013】
本実施形態に係る流体供給ユニット1は、半導体製造装置(CVD装置、スパッタリング装置、エッチング装置等)におけるプロセスガス及びパージガスの供給手段に用いられる。
【0014】
図1から図3に示すように、流体供給ユニット1は、筐体2、カバー(図示しない)、支持機構3、複数の配管4、基板5、流体装置6、複数のヒータ7及び複数の連通管8を備える。なお、配管4の数は、ヒータ7の数及び連通管8の数と同じである。すなわち、配管4の数は、ヒータ7及び連通管8の数に対応している。なお、図2において、一つのヒータ7のみを示している。
【0015】
筐体2は、支持機構3、配管4、基板5、流体装置6及びヒータ7を収容するための収容部である。筐体2は、矩形状の底壁21と、底壁21の長手方向の両側から立設される一対の矩形状の側壁22(22a,22b)と、底壁21の幅方向の両端側から立設される一対の支持枠23(23a,23b)と、を有する。支持枠23(23a,23b)には、複数の半円形状の切り欠き231が長手方向に沿って配列されるように形成される。複数の切り欠き231は、それぞれ、配管4に接続される複数の外部配管(図示しない)の端部を支持する。
【0016】
カバーは、筐体2の上部(具体的には、側壁22の上端)を覆うための蓋体であり、その詳細な説明を省略する。
【0017】
支持機構3は、複数の配管4を支持するための支持機構である。支持機構3は、支持枠23aに対向するとともに長手方向に沿って延在するように筐体2の底壁21に設けられる複数(ここでは、三つ)の支持体31を有する。複数の支持体31は、長手方向に沿う同一直線上に設けられる。
【0018】
支持体31は、例えばねじ締めによって底壁21に設けられる下支持部311と、下支持部311に対応して設けられる上支持部312と、を有する。上支持部312を例えばねじ締めによって下支持部311に装着することができる。下支持部311の上支持部312に対向する上面と、上支持部312の下支持部311に対向する下面とのいずれにも、複数の凹部が長手方向に沿って配列されるように形成される。配管4は、下支持部311の上面に形成される凹部と上支持部312の下面に形成される凹部との間に挟み込まれる。これにより、配管4は、支持機構3によって支持される。
【0019】
本実施形態では、支持機構3は、複数の支持体31によって構成されているが、例えば単一の支持体31によって構成されてもよい。
【0020】
複数の配管4は、流体を供給するための円筒状の配管である。複数の配管4は、筐体2の底壁21と接触しないように支持機構3によって支持される。また、複数の配管4は、幅方向に沿って延在するとともに長手方向に沿って配列されるように設けられる。
【0021】
複数の配管4の一端部41は、幅方向に沿って支持機構3と支持枠23aとの間に位置するとともに、外部配管の端部と連通する。一方、複数の配管4の他端部42は、支持枠23bに対向するとともに、他の外部配管の端部と連通する。
【0022】
図4に示すように、配管4は、基板5によって覆われる非露出領域43と、基板から露出する露出領域44と、をさらに有する。図3及び図4に示すように、露出領域44は、非露出領域43よりも幅方向の一方側であって、基板5と支持枠23aとの間に位置する第1露出領域441と、非露出領域43よりも幅方向の他方側であって、基板5と支持枠23bとの間に位置する第2露出領域442とによって構成される。なお、第1露出領域441は、ヒータ7を配管4に装着するための装着領域でもある。配管4の一端部41は、配管4の第1露出領域441に含まれ、配管4の他端部42は、配管4の第2露出領域442に含まれる。
【0023】
第1露出領域441の幅方向(配管4の軸方向)における長さ及び第2露出領域442の幅方向における長さは、配管4の非露出領域43の幅方向における長さより短い。第1露出領域441の幅方向における長さは、第2露出領域442の幅方向における長さよりも短い。
【0024】
基板5は、流体装置6を設けるための矩形状の基板である。基板5は、複数の配管4と接触することなく、複数の配管4の非露出領域43(図4参照)を覆うように脚部9(図1及び図2参照)によって筐体2の底壁21上に架設される。すなわち、複数の配管4は、高さ方向に沿って底壁21と基板5との間に支持される。また、支持機構3は、幅方向に沿って支持枠23aと基板5との間に設けられる。なお、脚部9は、基板5と一体に形成されてもよいし、基板5と別体に形成されてもよい。
【0025】
流体装置6は、ガス(具体的には、プロセスガス及びパージガス)の流れを制御し、流れが制御されたガスを、例えば連通管8及び配管4を通じて供給先としてのチャンバに供給するための装置である。流体装置6は、基板5上に設けられる。また、流体装置6は、基板5上に設けられる複数の流路形成ブロック61と、複数の流路形成ブロック61上に設けられる複数の流体機器62(例えば、バルブ及びマスフローコントローラ等を含む)と、を有する。
【0026】
複数のヒータ7は、それぞれ複数の配管4(具体的には、配管4の非露出領域43)を加熱するための加熱器である。なお、ヒータ7の詳細については後述する。
【0027】
図2及び図4に示すように、連通管8は、それぞれ配管4と流路形成ブロック61とを連通するための円筒状の管である。具体的には、連通管8は、それぞれ配管4の周面と流路形成ブロック61とを連通するように高さ方向(すなわち、配管4の径方向)に沿って設けられる。また、連通管8は、基板5の近傍であって幅方向に沿って基板5と支持枠23bとの間に位置するように設けられる。
【0028】
次に、図5から図6Eを参照しながら本実施形態に係るヒータ7の詳細について説明する。
【0029】
図5は、本実施形態に係るヒータ7を示す斜視図である。図6Aは、ヒータ7を示す正面図である。図6Bは、ヒータ7を示す背面図である。図6Cは、ヒータ7を示す上面図である。図6Dは、ヒータ7を示す底面図である。図6Eは、ヒータ7を示す側面図である。なお、図5から図6Eにおいて、説明の便宜上、ヒータ7の軸方向、径方向及び周方向を単に軸方向、径方向及び周方向と称する。
【0030】
ヒータ7は、流体供給ユニット1の組み付け後に配管4に装着され、可撓性を有する筒状(具体的には、円筒状)のヒータである。これにより、ヒータ7は、配管4の外周面全体を取り囲んで、むらなく加熱することができる。また、上述したように、ヒータ7は、少なくとも配管4の非露出領域43を加熱するための加熱器であるため、その軸方向における長さ(すなわち、ヒータ7の幅方向における長さ)が非露出領域43の幅方向における長さ以上となる。
【0031】
ヒータ7は、配管4の装着領域としての第1露出領域441から装着される。これにより、ヒータ7を配管4に装着(後付け)することが容易に実現される。
【0032】
図5から図6Eに示すように、ヒータ7は、加熱層としての筒状のラバーシート71と、ラバーシート71の外周面に設けられる断熱層としての有底筒状のシリコン材72と、を有する。ラバーシート71には、全域に亘って熱電線(図示しない)が均等に設けられる。シリコン材72の軸方向における先端としての一端には、閉塞体721が設けられる。
【0033】
ラバーシート71の軸方向における長さは、シリコン材72の軸方向における長さよりも短くなる。そして、ラバーシート71の軸方向における先端としての一端は、シリコン材72の軸方向における先端としての一端よりも後方に位置する。一方、ラバーシート71の軸方向における後端としての他端は、シリコン材72の軸方向における後端としての他端と同じ位置に位置する。
【0034】
ヒータ7は、スリット73、切り込み74及び開口部75をさらに有する。
【0035】
スリット73は、軸方向の一端から軸方向の他端まで延在するとともにヒータ7の内周面とヒータ7の外周面とを接続するように形成される。すなわち、スリット73は、ヒータ7のラバーシート71の内周面とヒータ7のシリコン材72の外周面とを接続して、ラバーシート71の周面及びシリコン材72の周面の両方を貫通するように形成される。これにより、スリット73を通じて、ヒータ7を軸方向ではなく、径方向から配管4に装着することができる。また、スリット73は、ヒータ7を径方向に沿って貫通させることが好ましい。
【0036】
切り込み74は、スリット73からヒータ7の内周面とヒータ7の外周面とを接続するように形成される。すなわち、切り込み74は、ラバーシート71の内周面とシリコン材72の外周面とを接続して、ラバーシート71の周面及びシリコン材72の周面の両方を貫通するように形成される。
【0037】
これにより、ヒータ7全体を大きく変形し(折り曲げ)やすくすることができる。このため、装着領域としての第1露出領域441が短い場合であっても、ヒータ7を、切り込み74によって大きく変形した状態で、配管4の第1露出領域441に装着しながら、配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。この結果、ヒータ7を配管4の非露出領域43に容易に装着(後付け)することができる。また、切り込み74は、ヒータ7を径方向に沿って貫通させることが好ましい。
【0038】
本実施形態では、切り込み74は、複数の切り込みによって構成される。そして、複数(ここでは、二本)の切り込み74は、軸方向に沿って所定の間隔を空けて配列される。そして、ヒータ7は、このような複数の切り込み74によって、軸方向に沿って均等に複数(ここでは、三つ)の部分に分割される。なお、複数の切り込み74によって均等に分割されたヒータ7の部分の軸方向における長さは、第1露出領域441の幅方向における長さよりも長くなる。
【0039】
これにより、ヒータ7全体をより大きく変形しやすくすることができる。このため、第1露出領域441が極めて短い場合であっても、ヒータ7を、複数の切り込み74によってより大きく変形した状態で、配管4の第1露出領域441に装着しながら、配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。この結果、ヒータ7を配管4の非露出領域43により容易に装着(後付け)することができる。
【0040】
また、本実施形態では、切り込み74は、複数の切り込みによって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば単一の切り込みとしてもよい。この場合、ヒータ7は、単一の切り込み74によって、二つの部分に分割される。
【0041】
さらに、切り込み74は、円周方向に沿って延在するように形成されることが好ましい。すなわち、切り込み74は、スリット73と直交するように形成されることが好ましい。これにより、切り込み74を回避しながらヒータ7の全域に亘って均等に設けられる熱電線の配線がしやすくなる。
【0042】
ヒータ7は、切り込み74と同一円周上に形成される接続領域76(図5図6C図6Eにおいて、二点鎖線により示される領域)をさらに有する。そして、熱電線は、接続領域76を通るように設けられる。これにより、熱電線をヒータ7の全域に亘って均等に設けることができるので、配管4の非露出領域43をむらなく加熱することができる。
【0043】
そして、接続領域76の数(ここでは、二つ)は、切り込み74の数と同じである。すなわち、接続領域76の数は、切り込み74の数に対応している。複数の接続領域76は、複数の切り込み74と同様に、軸方向に沿って所定の間隔を空けて配列される。
【0044】
くわえて、ヒータ7の変形しやすさとヒータ7の強度維持との両立を図る観点から、切り込み74の長さは、ヒータ7の全周長の1/3以上ヒータ7の全周長の2/3以下であることが好ましい。そして、切り込み74の長さがヒータ7の全周長の1/3を下回ると、ヒータ7の強度を維持することができるものの、ヒータ7の変形しやすさが確保しにくくなる。一方、切り込み74の長さがヒータの全周長の2/3を上回ると、ヒータ7の変形しやすさが確保しやすくなるものの、ヒータ7の強度を維持できなくなる。また、接続領域76の円周方向における長さが確保できなくなるので、熱電線に断線が発生する可能性が高まる。
【0045】
切り込み74は、スリット73を挟んで一方側に形成される第1切り込み741と、スリット73を挟んで他方側に形成される第2切り込み742とによって構成される。すなわち、第1切り込み741及び第2切り込み742によって構成される切り込み74は、スリット73と交差するように設けられる。そして、第1切り込み741と第2切り込み742とは、一対となり、両者の周方向における長さが同じである。これにより、ヒータ7を部分的にバランスよく変形させながら配管4の第1露出領域441に装着することができるので、ヒータ7をスムーズに配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。
【0046】
また、本実施形態では、切り込み74は、一対となる第1切り込み741及び第2切り込み742によって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えばスリット73の片方側に形成される単一の切り込みによって構成されてもよい。
【0047】
開口部75は、配管4と流路形成ブロック61とを連通する連通管8と係合するようにヒータ7の一端に形成される。これにより、配管4に対しヒータ7の位置決めがされる。
【0048】
開口部75は、シリコン材72の先端としての一端から軸方向に沿って延在するように形成されるスリット751と、スリット751に連通する貫通孔752と、を有する。スリット751、貫通孔752及びスリット73は、軸線を通るように軸方向に沿って延在する同一断面上に設けられる。
【0049】
スリット751は、シリコン材72の内周面とシリコン材72の外周面とを接続するとともにシリコン材72の閉塞体721の内面と閉塞体721の外面とを接続するように形成される。すなわち、スリット751は、シリコン材72の周面を貫通するとともにシリコン材72の閉塞体721を貫通するように形成される。なお、スリット751は、スリット73と連通するように形成される。
【0050】
貫通孔752は、シリコン材72の周面を貫通するように形成される。そして、ヒータ7が配管4の非露出領域43に装着された状態において、貫通孔752は、連通管8の外周面全体を取り囲むように連通管8に係合する。
【0051】
なお、ヒータ7は、その一端の外周面を巻き付けるバンド(図示しない)をさらに有してもよい。この場合、ヒータ7が配管4の非露出領域43に装着された状態において、バンドは、貫通孔752を回避してヒータ7の一端の外周面を巻き付ける。これにより、ヒータ7の閉塞体721を、ハンドによって押し潰された状態で、配管4の外周面に密着させることができる。
【0052】
次に、本実施形態に係るヒータ7の装着方法について説明する。
【0053】
スリット73を通じて、切り込み74によって変形したヒータ7の一端からヒータ7の他端までの各部分をヒータ7の一端側から順に配管4の第1露出領域441の外周面に装着させる。このとき、第1露出領域441の外周面に装着されたヒータ7の各部分を、順に配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側へ押し込む。具体的には、連通管8がヒータ7の開口部75における貫通孔752に係合するまでに、第1露出領域441の外周面に装着されたヒータ7の各部分を、順に配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側へ押し込む。
【0054】
そして、連通管8が開口部75における貫通孔752に係合すると、配管4に対しヒータ7の位置決めがされる。このため、ヒータ7を配管4の非露出領域43に確実に装着することができる。
【0055】
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態に係る流体供給ユニット1は、筐体2と、筐体2に設けられる支持機構3と、筐体2の底壁21と接触しないように支持機構3によって支持される配管4と、配管4と接触することなく、配管4の非露出領域43を覆うように筐体2の底壁21上に架設される基板5と、基板5上に設けられる流体装置6と、可撓性を有するとともに、配管4の外周面を取り囲むように装着される筒状のヒータ7と、を備える。ヒータ7は、ヒータ7の軸方向の一端からヒータ7の軸方向の他端まで延在するとともにヒータ7の内周面とヒータ7の外周面とを接続するように形成されるスリット73と、スリット73からヒータ7の内周面とヒータ7の外周面とを接続するように形成される切り込み74と、を有する。
【0057】
本実施形態に係るヒータ7は、可撓性を有する筒状のヒータ7であって、軸方向の一端から軸方向の他端まで延在するとともに内周面と外周面とを接続するように形成されるスリット73と、スリット73から内周面と外周面とを接続するように形成される切り込み74と、を備える。
【0058】
これらの構成によれば、ヒータ7にヒータ7の軸方向の一端からヒータ7の軸方向の他端まで延在するスリット73を形成することにより、スペースが小さくてヒータ7を軸方向から配管4に装着できないような場合であっても、ヒータ7をスリット73を通じて、径方向から配管4に装着することができる。
【0059】
さらに、ヒータ7においてスリット73から切り込み74を形成することにより、ヒータ7全体を大きく変形しやすくすることができる。このため、例えば装着領域としての第1露出領域441が短い場合であっても、ヒータ7を、切り込み74によって大きく変形した状態で、配管4の第1露出領域441に装着しながら、配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。この結果、基板5を取り外すことなく、ヒータ7を配管4の非露出領域43に容易に装着(後付け)することができる。
【0060】
また、本実施形態では、切り込み74は、複数の切り込みによって構成され、複数の切り込み74は、軸方向に沿って所定の間隔を空けて配列される。
【0061】
この構成によれば、ヒータ7全体をより大きく変形しやすくすることができる。このため、例えば第1露出領域441が極めて短い場合であっても、ヒータ7を、複数の切り込み74によってより大きく変形した状態で、配管4の第1露出領域441に装着しながら、配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。この結果、基板5を取り外すことなく、ヒータ7を配管4の非露出領域43により容易に装着(後付け)することができる。
【0062】
また、本実施形態では、切り込みは74、円周方向に沿って延在するように形成される。
【0063】
この構成によれば、切り込み74を回避しながらヒータ7の全域に亘って均等に設けられる熱電線の配線がしやすくなる。
【0064】
また、本実施形態では、ヒータ7は、切り込み74と同一円周上に形成される接続領域76と、接続領域76を通るように設けられる熱電線と、をさらに有する。
【0065】
この構成によれば、熱電線をヒータ7の全域に亘って均等に設けることができるので、配管4の非露出領域43をむらなく加熱することができる。
【0066】
また、本実施形態では、配管4は、基板5から露出する第1露出領域441と、基板5によって覆われる非露出領域43と、を有し、ヒータ7は、配管4の第1露出領域441から装着される。
【0067】
この構成によれば、ヒータ7を配管4に装着(後付け)することが容易に実現される。
【0068】
また、ヒータ7を配管4に装着するヒータの装着方法は、スリット73を通じて、切り込み74によって変形したヒータ7の一端からヒータ7の他端までの各部分をヒータ7の一端側から順に配管4の第1露出領域441の外周面に装着させるとともに、第1露出領域441の外周面に装着されたヒータ7の各部分を、順に配管4に沿って配管4の非露出領域43側へ押し込む。
【0069】
この構成によれば、ヒータ7の各部分を配管4の第1露出領域441から装着しながら、配管4の非露出領域43側へ押し込むことができるので、第1露出領域441が短い場合であっても、ヒータ7を、切り込み74によって大きく変形した状態で、配管4の第1露出領域441に装着しながら、配管4の延在方向(すなわち、幅方向)に沿って配管4の非露出領域43側に押し込むことができる。この結果、基板5を取り外すことなく、ヒータ7を配管4の非露出領域43に容易に装着(後付け)することができる。
【0070】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0071】
(第1変形例)
次に、図7を参照しながら第1変形例に係るヒータ7aについて説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0072】
図7は、第1変形例に係るヒータ7aを示す展開図である。
【0073】
上述した実施形態では、複数(ここでは、二つ)の接続領域76は、周方向に沿って揃うように配列されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように周方向に沿ってずれるように配列されてもよい。
【0074】
(第2変形例)
次に、図8を参照しながら第2変形例に係るヒータ7bについて説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0075】
図8は、第2変形例に係るヒータ7bを示す側面図である。
【0076】
図8に示すように、ヒータ7bは、複数(ここでは、二つ)の第1面ファスナー77と、複数(ここでは、二つ)のバンド78と、をさらに有する。なお、第1面ファスナー77の数とバンド78の数とは、同じである。すなわち、第1面ファスナー77の数は、バンド78の数に対応している。
【0077】
複数の第1面ファスナー77は、それぞれ複数の切り込み74を取り囲むようにヒータ7(具体的には、シリコン材72)の外周面に設けられる。具体的には、第1面ファスナー77は、ヒータ7(具体的には、シリコン材72)の外周面において、切り込み74を挟んで一方側に設けられる第3面ファスナー771と、切り込み74を挟んで他方側に設けられる第4面ファスナー772とによって構成される。
【0078】
バンド78は、その一端が固定されるようにヒータ7(具体的には、シリコン材72)の外周面に設けられる。バンド78は、第1面ファスナー77(具体的には、第3面ファスナー771及び第4面ファスナー772)に係合可能な第2面ファスナー781を有する。第2面ファスナー781が第1面ファスナー77に係合した場合、複数のバンド78は、それぞれ複数の切り込み74を覆う。これにより、ヒータ7が発生する熱を切り込み74によって逃がしてしまうことを抑制することができる。このため、ヒータ7の加熱効率を向上させるとともに、熱逃げによる加熱のむらを低減することができる。
【0079】
また、第2面ファスナー781が第1面ファスナー77に係合した場合、バンド78は、スリット73及び切り込み74の両方を覆うことが好ましい。これにより、ヒータ7が発生する熱をスリット73及び切り込み74の両方によって逃してしまうことを抑制することができる。これにより、ヒータ7が発生する熱をスリット73及び切り込み74の両方によって逃がしてしまうことを抑制することができる。このため、ヒータ7の加熱効率をより向上させるとともに、熱逃げによる加熱のむらをより低減することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 流体供給ユニット
2 筐体
3 支持機構
4 配管
43 非露出領域
44 露出領域
5 基板
6 流体装置
7 ヒータ
71 ラバーシート
72 シリコン材
73 スリット
74 切り込み
76 接続領域
441 第1露出領域(装着領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8