(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230713BHJP
B29C 31/04 20060101ALI20230713BHJP
B29C 31/06 20060101ALI20230713BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20230713BHJP
B29C 43/28 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H01L21/56 C
B29C31/04
B29C31/06
B29C43/34
B29C43/28
(21)【出願番号】P 2020009783
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】中山 英雄
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056467(JP,A)
【文献】特開2009-260009(JP,A)
【文献】特開2019-145550(JP,A)
【文献】特開2019-145549(JP,A)
【文献】特開2019-145548(JP,A)
【文献】特開2003-231145(JP,A)
【文献】特開2017-226202(JP,A)
【文献】特開平09-008179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 31/00
B29C 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、
前記ワーク処理ユニットは前記モールド金型に供給されるワークの厚みをワーク毎に計測するワーク計測部を備え、
前記樹脂供給ユニットは厚さ一定のシート状樹脂を供給するシート状樹脂供給部と、前記シート状樹脂供給部より供給されたシート状樹脂の重量をワーク毎に計量する計量ステージと、
前記樹脂供給ユニットの制御部において、前記ワーク計測部より得られたワークの厚みの計測結果に基づいて電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出されて、前記シート状樹脂供給部より供給された枚葉のシート状樹脂を電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去するシート状樹脂除去部と、を備え、
前記シート状樹脂除去部で余剰樹脂が除去され前記計量ステージで計量された適量シート状樹脂をモールド金型へ搬送する樹脂搬送部と、を備えたことを特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項2】
前記ワークは、基板上に搭載された電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準量とし、電子部品の搭載率がそれより増えると前記シート状樹脂除去部は、電子部品の搭載率が下限値より増加した量だけシート状樹脂の一部を除去する請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項3】
前記余剰となる樹脂量は、基板に搭載された電子部品の厚みを計測した結果より電子部品の体積が演算され、厚さ一定のシート樹脂の体積から除去面積が算出される請求項1又は請求項2記載の樹脂モールド装置。
【請求項4】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、
前記ワーク処理ユニットは前記モールド金型に供給されるワークの厚みをワーク毎に計測するワーク計測部を備え、
前記樹脂供給ユニットは厚さ一定のシート状樹脂を供給するシート状樹脂供給部と、前記シート状樹脂供給部より供給されたシート状樹脂
の面積をワーク毎に撮像する撮像ステージと、
前記樹脂供給ユニットの制御部において、前記ワーク計測部より得られたワークの厚みの計測結果に基づいて電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出されて、前記シート状樹脂供給部より供給された枚葉のシート状樹脂を電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去するシート状樹脂除去部と、を備え、
前記シート状樹脂除去部で余剰樹脂が除去され前記撮像ステージで
面積が撮像された適量シート状樹脂をモールド金型へ搬送する樹脂搬送部と、を備えたことを特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項5】
前記ワークは、基板上に搭載された電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準体積とし、電子部品の搭載率がそれより増えると前記シート状樹脂除去部は、電子部品の搭載率が下限値より増加した体積分だけシート状樹脂の一部を除去する請求項4記載の樹脂モールド装置。
【請求項6】
前記余剰となる樹脂量は、撮像ステージで撮像された厚さ一定のシート樹脂の面積から除去面積が算出される請求項4又は請求項5記載の樹脂モールド装置。
【請求項7】
前記シート状樹脂除去部は、シート状樹脂を複数に分割する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の樹脂モールド装置。
【請求項8】
前記シート状樹脂は、ポーラス状に形成された板状樹脂若しくは多数の貫通孔を有するシート状樹脂が用いられる請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の樹脂モールド装置。
【請求項9】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形する樹脂モールド方法であって、
ワーク供給部から供給されるワークごとにワーク計測部で計測されたワークの厚みから電子部品搭載率に関するワーク情報を取得する工程と、
前記樹脂供給ユニットから供給された厚さ一定のシート状樹脂を計量する工程と、
前記樹脂供給ユニットの制御部において前記ワーク情報から電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出されて、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量が算出される工程と、
前記樹脂供給ユニットより供給されたシート状樹脂から電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去する樹脂除去工程と、
前記樹脂除去工程において余剰となる一部が除去された後の適量のシート状樹脂を計量する計量工程と、
前記ワーク及び適量のシート状樹脂が前記モールド金型へ搬入されてこれらをクランプして圧縮成形する工程と、を含むことを特徴とする樹脂モールド方法。
【請求項10】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形する樹脂モールド方法であって、
ワーク供給部から供給されるワークごとにワーク計測部で計測されたワークの厚みから電子部品搭載率に関するワーク情報を取得する工程と、
前記樹脂供給ユニットから供給された厚さ一定のシート状樹脂の面積をワーク毎に撮像する工程と、
前記樹脂供給ユニットの制御部において前記ワーク情報から電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂体積が算出されて、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂体積が算出される工程と、
前記樹脂供給ユニットより供給された厚さ一定の
前記シート状樹脂から電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰体積分を除去する樹脂除去工程と、
前記樹脂除去工程において余剰となる一部が除去された後の適量シート状樹脂の面積を撮像する工程と、
前記ワーク及び適量のシート状樹脂が前記モールド金型へ搬入されてこれらをクランプして圧縮成形する工程と、を含むことを特徴とする樹脂モールド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子部品が搭載されたワーク上に樹脂モールドに必要量のシート状樹脂を供給し圧縮成形する樹脂モールド装置及びそれを用いた樹脂モールド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップや電子部品などが搭載されたワークを、熱硬化性樹脂を用いて樹脂モールドする方法としては大きく分けてトランスファ成形と圧縮成形の2つの成形方法がある。トランスファ成形は主にミニタブレット(固形樹脂)を用いて加熱溶融させた樹脂をランナ、ゲートを介してキャビティに充填するようになっている。また、圧縮成形においては、液状樹脂、顆粒状樹脂、シート状樹脂が用いられ、現在ではコスト及びハンドリングの点から液状樹脂、顆粒状樹脂が多用されている(特許文献1,2参照)。尚、シート状樹脂は開発段階であり、半導体モールド装置の分野では量産化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-145550号公報
【文献】特開2010-179507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、パッケージ部(樹脂封止部)の厚さが薄くなっており、特に半導体チップがワイヤ配線されたワークをモールドする場合、ワイヤが細く、狭ピッチでロングワイヤになってきているためトランスファ成形や上型キャビティ可動タイプの圧縮成形より、樹脂流動をほとんど伴わない下型キャビティ可動タイプの圧縮成形が主流になっている。この理由としては、トランスファ成形は樹脂をポットよりキャビティに圧送する為、キャビティ内では樹脂流動によりワイヤ流れが生じ易い。圧縮成形にはさらに2種類があり、上キャビティ可動タイプの圧縮成形は一般的にはワーク上に樹脂を供給して金型にセットするためワーク上の半導体チップのワイヤが樹脂と干渉し変形してしまう。下キャビティ可動タイプの圧縮成形は予めキャビティ内に樹脂を供給して溶融したところでワイヤが樹脂に入るためそのような不具合が生じ難いことがある。また下キャビティ可動タイプの圧縮成形であっても樹脂使用量を100%とする余剰樹脂のない適量樹脂による圧縮成形へのニーズが高まっている。その理由としては、ワークによっては半導体チップ搭載箇所の不良等により半導体チップが基板に搭載されない箇所があり、ワークごとに半導体チップ搭載量に差があり樹脂供給量をその都度増減させて適量供給する必要がある。仮に少ない樹脂量で成形した場合は充填不良が発生する。そのためあらかじめ余剰樹脂を見越しておいてオーバーフローキャビティへ余剰樹脂をオーバーフローさせて成形する方法もあるが、基板を跨いで樹脂が排出されると基板側面に樹脂縦バリができるという不具合が発生する。また基板上にオーバーフローキャビティを設ける場合があるが、基板上に余剰樹脂領域を設ける必要があり基板のコスト高となる。
【0005】
圧縮成形に用いるモールド樹脂は、粉末樹脂、顆粒樹脂、液状樹脂などがあるが、粉末樹脂は粉塵が舞うため取り扱いが難しく、液状樹脂は金型への供給時間が一様に実行し難い面があり成形差が生じ易い。また金型外でワーク又は成形用のフィルム上に樹脂を供給して一気に金型に搬送する場合もあるが、液状のためハンドリングが難しい。そのため、適量供給しやすく不良樹脂の廃棄コストもかからない顆粒樹脂が現時点では多用されている。
しかしながら、顆粒樹脂は顆粒の外径が一様ではなく多少のばらつきが発生しているため、微量な適量調整が難しい場合がある。またキャビティ内に平坦状に捲くことが難しいため、パーツフィーダで振動を加えてトラフより落下させながらキャビティにX-Y移動させて平坦に撒くことが行われている。このとき顆粒樹脂に振動を与えることから、樹脂どうしが擦れ合うため粉塵が舞い易くエアー吸引やイオナイザー等を設けても完全に除去することができない。この粉塵が可動部に付着し堆積し固化したりすると動作不良を生じたり、基板に付着すると打痕の原因となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、粉塵を生ずることなくワークごとに適量樹脂を供給することで成形品質を向上させ成形品に不要樹脂が生じない樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法を提供することを目的とする。
【0007】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、前記ワーク処理ユニットは前記モールド金型に供給されるワークの厚みをワーク毎に計測するワーク計測部を備え、前記樹脂供給ユニットは厚さ一定のシート状樹脂を供給するシート状樹脂供給部と、前記シート状樹脂供給部より供給されたシート状樹脂の重量をワーク毎に計量する計量ステージと、前記樹脂供給ユニットの制御部において、前記ワーク計測部より得られたワークの厚みの計測結果に基づいて電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出されて、前記シート状樹脂供給部より供給された枚葉のシート状樹脂を電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去するシート状樹脂除去部と、を備え、前記シート状樹脂除去部で余剰樹脂が除去され前記計量ステージで計量された適量シート状樹脂をモールド金型へ搬送する樹脂搬送部と、を備えたことを特徴とする。
上記樹脂モールド装置を用いれば、シート状樹脂を供給することで粉塵を生ずることなく供給搬送することができ、かつ電子部品の搭載率が基準値を超えるワークの電子部品増加量に応じて厚さ一定のシート状樹脂の余剰となる樹脂量を除去するので、ワーク毎に適量樹脂を供給して圧縮成形することができる。
【0008】
前記ワークは、基板上に搭載された電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準量とし、電子部品の搭載率がそれより増えると前記シート状樹脂除去部は、電子部品の搭載率が下限値より増加した量だけシート状樹脂の一部を除去することが好ましい。
これにより、電子部品の搭載率により成形可能な良品ワークと不良品ワークの選別が可能であり、しかも基板上に搭載される電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準量と定めることにより、シート状樹脂の除去する量が一義的に決められ、電子部品の搭載率が下限値より増加した量だけ樹脂量を減らして微調整することができるので、個々のワークに応じた適量樹脂を供給することができる。
【0009】
前記余剰となる樹脂量は、基板に搭載された電子部品の厚みを計測した結果より電子部品の体積が演算され、厚さ一定のシート樹脂の体積から除去面積が算出されるようにしてもよい。
これにより、計量ステージで厚さ一定のシート状樹脂の重量を正確に計測することで体積に換算し、シート状樹脂の厚みが一定であることから除去面積を算出してシート状樹脂の一部を除去することができる。
【0010】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、前記ワーク処理ユニットは前記モールド金型に供給されるワークの厚みをワーク毎に計測するワーク計測部を備え、前記樹脂供給ユニットは厚さ一定のシート状樹脂を供給するシート状樹脂供給部と、前記シート状樹脂供給部より供給されたシート状樹脂の面積をワーク毎に撮像する撮像ステージと、前記樹脂供給ユニットの制御部において、前記ワーク計測部より得られたワークの厚みの計測結果に基づいて電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出されて、前記シート状樹脂供給部より供給された枚葉のシート状樹脂を電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去するシート状樹脂除去部と、を備え、前記シート状樹脂除去部で余剰樹脂が除去され前記撮像ステージで面積が撮像された適量シート状樹脂をモールド金型へ搬送する樹脂搬送部と、を備えたことを特徴とする。
この場合も、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂体積を除去するので、適量体積のシート状樹脂を供給して圧縮成形することができる。
【0011】
前記ワークは、基板上に搭載された電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準体積とし、電子部品の搭載率がそれより増えると前記シート状樹脂除去部は、電子部品の搭載率が下限値より増加した体積分だけシート状樹脂の一部を除去することが好ましい。
この場合も、電子部品の搭載率により成形可能な良品ワークと不良品ワークの選別が可能であり、しかも基板上に搭載される電子部品の搭載率が下限値を除去不要で成形可能なシート状樹脂の基準量と定めることにより、シート状樹脂の除去する量が一義的に決められ、電子部品の搭載率が下限値より増加した体積分だけシート樹脂を減らして微調整することができるので、個々のワークに応じた適量樹脂を供給することができる。
【0012】
前記余剰となる樹脂量は、撮像ステージで撮像された厚さ一定のシート樹脂の面積から除去面積が算出されるようにしてもよい。
これにより、撮像部で撮像された厚み一定のシート状樹脂の面積を正確に撮像することで、シート状樹脂の厚みが一定であることから演算により除去面積を算出してシート状樹脂の一部を除去することができる。
【0013】
前記シート状樹脂除去部は、シート状樹脂を複数に分割することが好ましい。これにより、余剰樹脂が除去されたシート状樹脂の場合には電子部品の欠損が生じたエリアに分割されたシート状樹脂を供給することで、樹脂の流動を極力少なくしてボイドの発生を抑えることができ、余剰樹脂がないシート状樹脂の場合には、分割して供給することで、フィルム面との間でエアーの巻き込みを防ぐことができる。
【0014】
前記シート状樹脂は、ポーラス状に形成された板状樹脂若しくは多数の貫通孔を有するシート状樹脂が用いられることが好ましい。
これにより、フィルム上に供給されるシート状樹脂のエアーの巻き込みを防いでボイドの発生を抑えることができる。
【0015】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形する樹脂モールド方法であって、ワーク供給部から供給されるワークごとにワーク計測部で計測したワークの厚みから電子部品搭載率に関するワーク情報を取得する工程と、前記樹脂供給ユニットから供給された厚さ一定のシート状樹脂を計量する工程と、前記樹脂供給ユニットの制御部において前記ワーク情報から電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂量が算出され、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量が算出される工程と、前記樹脂供給ユニットより供給されたシート状樹脂から電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去する樹脂除去工程と、前記樹脂除去工程において余剰となる一部が除去された後の適量のシート状樹脂を計量する計量工程と、前記ワーク及び適量のシート状樹脂が前記モールド金型へ搬入されてこれらをクランプして圧縮成形する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記樹脂モールド方法によれば、ワーク供給部から供給されるワークごとに電子部品搭載率に関するワーク情報を取得し、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を算出し、樹脂供給部より供給されたシート状樹脂から電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂量を除去するため、ワークごとに適量樹脂をモールド金型へ供給して圧縮成形することができる。よって、樹脂供給に際して粉塵が飛散することはなく、しかもワークごとに適量樹脂を供給して樹脂モールドすることができるので成形品質を向上させ、成形品に不要樹脂が発生することはなくなる。
【0017】
前記樹脂供給部から供給されたシート状樹脂を計量し、余剰となる一部が除去されたシート状樹脂を計量する計量工程を含むことが好ましい。
これにより、常に適量のシート状樹脂で成形することが出来るため、シート状樹脂であっても余剰樹脂を金型内に出すことないため、樹脂供給精度を高めることができる。
【0018】
ワーク処理ユニットから電子部品が基板に搭載されたワークが供給され、樹脂供給ユニットからモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形する樹脂モールド方法であって、ワーク供給部から供給されるワークごとにワーク計測部で計測されたワークの厚みから電子部品搭載率に関するワーク情報を取得する工程と、前記樹脂供給ユニットから供給された厚さ一定のシート状樹脂の面積をワーク毎に撮像する工程と、前記樹脂供給ユニットの制御部において前記ワーク情報から電子部品の体積が算出され、ワーク毎に成形に必要な樹脂体積が算出されて、電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰となる樹脂体積が算出される工程と、前記樹脂供給ユニットより供給された厚さ一定の前記シート状樹脂から電子部品の搭載率が基準値を超えるワークに対して余剰体積分を除去する樹脂除去工程と、前記樹脂除去工程において余剰となる一部が除去された後の適量シート状樹脂の面積を撮像する工程と、前記ワーク及び適量のシート状樹脂が前記モールド金型へ搬入されてこれらをクランプして圧縮成形する工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂モールド方法によれば、シート状樹脂を供給することで粉塵を生ずることなく供給搬送することができ、かつ電子部品の搭載率が基準値を超えるワークの電子部品増加量に応じて厚さ一定のシート状樹脂の余剰体積分を除去するので、適量樹脂を供給して圧縮成形することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、粉塵を生ずることなくワークごとに適量樹脂を供給して樹脂モールドすることで成形品質を向上させ成形品に不要樹脂が生じない樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】圧縮成形装置の一例を示すレイアウト構成図である。
【
図2】
図1の樹脂供給装置の拡大レイアウト構成図である。
【
図4】
図1のワークにおけるチップ搭載率とシート状樹脂除去ステージにおける除去量との関係を示す模式図である。
【
図5】
図1のシート状樹脂除去ステージの状態を示す平面図である。
【
図7】シート状樹脂の異なる除去方式による除去例を示す説明図である。
【
図8】シート状樹脂のさらに異なる除去方式による除去例を示す説明図である。
【
図9】シート状樹脂の除去個所の異なる例を示す説明図である。
【
図10】除去後のシート状樹脂が供給されるキャビティ内又は搬送具内のレイアウトを示す説明図である。
【
図11】異なるワークに対する樹脂モールド装置のレイアウト構成図である。
【
図12】シート状樹脂ロールを切り出して一部除去する樹脂供給装置の拡大レイアウト構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置のレイアウト構成について
図1を参照して説明する。樹脂モールド装置は下型キャビティタイプの圧縮成形装置1を例示し、ワークWは、短冊状のストリップ基板Wbに電子部品Wtがマトリクス状に搭載されたものや半導体ウェハ又は円形や矩形のキャリアWa上に電子部品Wtがマトリクス状に搭載される場合を例示して説明する。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0022】
圧縮成形装置1は、ワーク処理ユニットA(ワーク供給部及びワーク収納部を含む)から供給されたワークWをワーク搬送部BによりプレスユニットCのモールド金型2へ搬入搬出行い、樹脂供給ユニットD(樹脂供給装置)よりモールド金型へ適量のシート状樹脂RをフィルムFが樹脂搬送部Eにより搬入される。プレスユニットCはモールド金型2にワークW及び適量のシート状樹脂Rが搬入されてこれらをクランプして圧縮成形する。ワーク処理ユニットAは、ワークWの供給と、樹脂モールド後の成形品Wpの収納を主に行う。プレスユニットCは、ワークWを樹脂モールドして成形品Wpへの加工を主に行う。樹脂供給ユニットDは、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給と、樹脂モールド後の使用済みフィルムFをフィルムディスポーザGへの廃棄を主に行う。
【0023】
先ず、被成形品であるワークWは、基板に複数の電子部品Wtがマトリクス状に搭載されている。より具体的には、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、配線のある基板に限らず基材となるキャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(短冊形状の短冊ワーク)が挙げられる(以下、総称して「基板」という)。また、電子部品Wtの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。なお、後述するように、基板として、特に、矩形状、円形状のものを使用する場合に対応可能な装置変形例も考えられる。また、ワークWは、基板に複数の電子部品Wtが、フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等に溶離搭載されているほかに熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wtが貼り付けられたものであってもよい。
【0024】
一方、シート状樹脂Rの例として、熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂)が板状、フィルム状、シート状に成形されたもので、打錠されたものでも圧延されたものでも枚葉状であればよい。或いは、片面又は両面を保護フィルムに挟み込まれた長尺状の樹脂を用いる場合には、保護フィルムを剥がす手段を設ける必要がある。また、シート状樹脂は密度が一定であればポーラス状であっても良い。薄く均一状態の樹脂をここではシート状樹脂とする。
【0025】
また、フィルム(リリースフィルム)Fの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等が好適に用いられる。このフィルムFとしては、例えば短冊形状のワークWに対応した短冊形状の成形に必要なサイズの短冊形状のフィルムを用いることができる。
【0026】
以下、
図1に示す圧縮成形装置1の各部の概略構成について説明する。
なお、本実施形態においては、モールド金型2の下型に二つのキャビティ2a,2bを設けると共に二つのワークWを配置して一括して樹脂モールドを行い、同時に二つの成形品Wpを得る圧縮成形装置1を例に挙げて説明する。
図1に示すように、ワーク処理ユニットA、プレスユニットC及び樹脂供給ユニットDはこの順で直列に並設されている。なお、各処理部間を跨いで任意の数のガイドレール(不図示)が直線状に設けられており、ワークW等を搬送するワークローダ3(ワーク搬送部B)及びフィルムF及びシート状樹脂R等を搬送する樹脂ローダ4(樹脂搬送部E)が、任意のガイドレールに沿って各処理部間を移動可能に設けられている。なお、ワークローダ3は、モールド金型2に対するワークW等の搬入動作だけでなくモールド金型2からの成形品Wpの搬出動作も行うため、オフローダとしても機能する。
【0027】
上記各ユニットの構成を変えることにより、圧縮成形装置1の構成態様を変更することができる。例えば、
図1に示す構成は、プレスユニットCを三台設置した例であるが、プレスユニットCを一台のみ設置する、あるいは二台または四台以上連結して設置する構成することも可能である。また、他のユニットを設置することも可能である。例えば、樹脂供給ユニットDとは異なるタブレット樹脂、液状樹脂等のモールド樹脂Rを供給するユニットや、金型内でワークWと組み立てる部材を供給するユニットを設置することも可能である(不図示)。
【0028】
(ワーク処理ユニットA)
ワーク処理ユニットAには、複数のワークWが収納される供給マガジン5及び複数の成形品Wpが収納される収納マガジン(図示せず)が上下に重なり配置されている。各マガジンは図示しないエレベータ機構により昇降可能に設けられている。供給マガジン5、収納マガジン(図示せず)には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、本実施形態においては、いずれも電子部品の搭載面が下向きとなる状態で、ワークW及び成形品Wpがそれぞれ収納される。なお、電子部品保護の観点から、マガジンフレームの内側で向かい合う凹部にワークWの両端を差し込んで保持するスリットマガジンを用いて、上下のワークWどうしを離して保持するのが好ましい。また、図示しないエレベータ機構により供給マガジン5を保持して昇降することで所定位置からワークWを供給可能になっている。同様に図示しないエレベータ機構により収納マガジンを保持して昇降することで所定位置において成形品Wpを収納可能になっている。
【0029】
供給マガジン5の前方(
図1上方)には、供給マガジン5から1枚ずつ押し出されたワークWが載置される供給レール6を備えている。本実施形態においては、供給マガジン5と供給レール6との間に、ワークWを通過させる中継レール7を備えているが、これを省略する構成とすることもできる。なお、供給マガジン5から供給レール6上へのワークWの移動には、公知のプッシャ等(不図示)が用いられる。
【0030】
ここで、供給レール6は、電子部品の搭載位置を避けてワークWの長手の辺を下方から支持し、ワークWを側方で前後方向に案内する。また、供給レール6は、二つのワークWを短手方向で左右方向に並べて(図中6a,6b)載置され、左右方向に移動可能な移動機構(不図示)を備えている。これにより、供給マガジン5から取り出されるワークWを一方の列(例えば、6a)に載置させた後、左右いずれかの所定方向(例えば、右方向)に供給レール6a,6bを移動させ、次のワークWを他方の列(例えば、6b)に載置できるようになっている。
【0031】
また、供給レール6の下方にはワーク計測器8が設けられている。ワーク計測器8は、供給レール6上を前後及び左右方向に移動するワークWに対して下面側(電子部品の搭載面側)からワークWの厚みを計測する。具体的には、ワーク計測器8は、二列の供給レール6a,6b上の二つのワークWの各厚みを計測する二つの厚みセンサを有している。厚みセンサとしては、レーザー変位計やカメラ(単眼カメラや複眼カメラ)が用いられ、これらの出力データに基づいてワークWの厚みを計測する。なお、ここで言う「厚みの計測」には、基板における電子部品の搭載の有無、電子部品の搭載高さの計測、搭載の位置ずれの計測、搭載数の計測等、必要な計測が含まれる。ここでの「厚みの計測」の結果に基づいて例えば電子部品の搭載の有無や搭載高さなどからワークWにおいて搭載される電子部品の容積を算出し、後述するシート状樹脂Rの供給量が調整されることで、成形品の成形厚みを高精度に制御できるようになる。上記ワーク計測器8は固定され、ワークWの移動により計測が行われているが、ワークWが静止したままワーク計測器8を前後左右に走査させて計測するようにしてもよい。また、一つの厚みセンサを有して、所定の一走査で二つのワークWを順番に計測する構成としてもよい。更には、ワークWの電子部品の搭載量が別途、制御部を介して圧縮成形装置にデータ入力される場合には、ワーク計測部8は省略することもできる。
【0032】
尚、ワーク計測器8はワークWの厚みだけでなく、ワークWに付された識別情報(例えば二次元コード)を読み取る構成としてもよい。また、ワークWの二次元コードを読取り可能なコードリーダを中継レール7の上下のいずれかに設けることもできる。このようなワークWの識別情報としては、例えば連番又は重複しないコードとして付されることで、いずれのワークWであるかを識別できる。この識別情報に樹脂モールドの詳細条件などを紐付けして記録することで、トレーサビリティを高めることができる。
【0033】
供給レール6上に載置されたワークWは供給ピックアップ9により保持して、所定位置へ搬送される。なお、ワークWを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)を有している(不図示)。供給ピックアップ9は、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。これにより、供給レール6上に載置されたワークWを保持して上昇動作をすることで、最終的に、後述のワークローダ3へ受け渡すことができる。供給ピックアップ9は、供給レール6a,6b上の二つのワークWに対応する位置に、保持機構が左右方向に並設された構成となっている。これにより、二列の供給レール6a,6b上の二つのワークWを、左右方向に並べた状態で同時に保持して搬送することができる。
【0034】
供給マガジン5と供給レール6との間、すなわち中継レール7の位置には、ワークWを下面側から加熱するワークヒータ10が設けられている。ワークヒータ10の上面に、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が配設されている(不図示)。ワークヒータ10は、供給レール6の上方において供給ピックアップ9に保持された状態のワークWの下面側に対して進退移動可能に配設されている。これにより、ワークWがモールド金型2に搬入されて加熱される前に予熱しておくことで、モールド金型2内でのワークWの伸びが抑制される。なお、ワークヒータ10は、中継レール7の位置に設けることなく、ワークローダ3に設けてもよい。
【0035】
ワークローダ3は、前方側(
図1下方)に左右二列のワーク保持部3a,3bを有する第1保持部3Aを有し、後方側(
図1上方)に左右二列の成形品保持部3c,3dを有する第2保持部3Bを一体に有している。これにより、装置構成の簡素化及び小型化が可能となるばかりでなく、ワークW、成形品Wp共に、二つずつ同時に搬送する構成が実現できるため、工程時間の短縮も可能となる。尚、第1保持部3Aを備えたローダと第2保持部3Bを備えたローダを別体で構成してもよい。
【0036】
第1保持部3Aには、供給レール6に対して側方(一例として、
図1右方)の位置に移動した際に、供給ピックアップ9により搬送されたワークWが載置される。ワークWの受け渡しをする場合には、供給ピックアップ9が供給レール6上で予熱工程を経て更に上昇し、続いて右方に移動することで、供給レール6の右方に位置する第1保持部3Aに引き渡す。第1保持部3Aは、載置されたワークWを保持する二つのワーク保持部3a,3bを備えている。各ワーク保持部には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)を有している。
【0037】
第1保持部3Aに備えた二つのワーク保持部3a,3bは、供給ピックアップ9に保持された二つのワークWに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。つまり、ワークWをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。これにより、供給ピックアップ9によって左右方向に並べて保持された二つのワークWを、そのままの配置で並び替えることなく同時にワーク保持部3a,3bに載置して、モールド金型2へ搬送することができる。
【0038】
また、第1保持部3AでワークWを保持したワークローダ3は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。左右方向の移動により、ワークWをワーク処理部Aからプレス部Cへ搬送することが可能となる。一方、前後方向の移動により、ワークWをモールド金型2の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型と下型との間へ)搬送することが可能となる。さらに、上下方向の移動により、ワークWをモールド金型2の内部において上型の所定保持位置へ搬送(受渡)することが可能となる。なお、変形例として、第1保持部3Aが左右移動する構成に代えて、供給ピックアップ9によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる。また、第1保持部3Aが上下移動する構成に代えて、モールド金型2の型開閉機構によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる(いずれも不図示)。
【0039】
次に、成形品Wpをモールド金型2から金型外の所定位置へ搬送する第2保持部3Bは、成形品Wpを保持する成形品保持部3c,3dを備えている。各成形品保持部は、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)を有している。第2保持部3Bは、樹脂モールド後にモールド金型2に保持された二つの成形品Wpに対応する位置に、成形品保持部3c,3dを左右方向に並設された構成となっている。これにより、モールド金型2(上型)によって左右方向に並べて保持された二つの成形品Wpを、そのままの配置で並び替えることなく同時に成形品保持部3c、3dに載置して、モールド金型2外へ搬送することができる。
【0040】
また、ワーク処理ユニットAには、第2保持部3B上に載置された成形品Wpを保持して、所定位置へ搬送する第1収納ピックアップ11、第1収納ピックアップ11に保持された成形品Wpが載置されて、ワーク処理部内の所定位置へ搬送する第2収納ピックアップ12を備えている。いずれも、成形品Wpを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、単に載置する機構等)を有している(不図示)。
【0041】
本実施形態に係る第1収納ピックアップ11は、左右方向に移動可能に構成されている。これにより、第2保持部3B上に載置された成形品Wpを保持して、第2収納ピックアップ12上へ搬送する。ここで、第1収納ピックアップ11と第2収納ピックアップ12との受け渡しにおいて成形品Wpを挟み込んで待機することで平坦化させながら冷却させて、成形品Wpの反りや歪みを防止するようにしてもよい。第1収納ピックアップ11は、上記の保持機構が、第2保持部3B(二列の成形品保持部3c,3d)上に載置された二つの成形品Wpに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。これにより、第2保持部3B上の二つの成形品Wpを、左右方向に並べた状態で同時に保持して搬送することが可能となる。第2収納ピックアップ12は、上下方向に移動可能に構成されている。これにより、第2収納ピックアップ12上に載置された成形品Wpを保持して、図示しない収納レール上へ搬送する。図示しない収納レールから収納マガジンへ公知のプッシャ等(不図示)により成形品Wpが押し込まれて収納される。
【0042】
また、本実施形態において、供給ピックアップ9が第1保持部3AへワークWを搬送する左右方向の搬入路と、収納ピックアップ(第1収納ピックアップ11)が第2保持部3Bから成形品Wpを搬送する左右方向の搬出路とが、前後方向に並設されて設定されている。これにより、供給ピックアップ9によるワークWの搬入動作と、収納ピックアップ(第1収納ピックアップ11)による成形品Wpの搬出動作とが交差したり、重なったりすることがないため待ち時間の発生を抑制できる。したがって、複数の動作を同時並行で行って効率的に各動作を行うことができるため、処理の円滑化が図られ、工程時間の短縮が可能となる。
【0043】
(プレスユニット)
圧縮成形装置1が備えるプレスユニットCの構成について詳しく説明する。 プレスユニットCは、先ず、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有するモールド金型2を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型とし、下方側の他方の金型を下型としている。このモールド金型2は、上型と下型とが相互に接近・離間することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向が型開閉方向となる。
【0044】
なお、モールド金型2は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)等を備えて構成されている(駆動用機構についてはいずれも不図示)。
【0045】
ここで、モールド金型2は、当該型開閉機構の一対のプラテンの間に配設されている。本実施形態においては、固定型となる上型が固定プラテン(連結機構に固定されるプラテン)に組み付けられ、可動型となる下型が可動プラテン(連結機構に沿って昇降するプラテン)に組み付けられている。ただし、この構成に限定されるものではなく、上型を可動型、下型を固定型としてもよく、あるいは、上型、下型を共に可動型としてもよい。
【0046】
プレスユニットCは、モールド金型2を用いて、ワーク(被成形品)Wを供給して圧縮成形を行う装置である。モールド金型2は、上型でワークWを保持し、下型に設けられたキャビティ2a,2bをフィルムFで覆ってシート状樹脂Rを供給し、上型と下型とのクランプ動作を行い、溶融したモールド樹脂RにワークWを浸漬させて樹脂モールドする。なお、上型にキャビティを有する装置においては、ワークW上にシート状樹脂Rを供給して下型にセットして、上型キャビティをフィルムFで覆って圧縮成形が行われる。
【0047】
なお、上記プレスユニットCの他例として、一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークW(例えば、基板として円形の半導体ウェハや、正方形、長方形の基板等が用いられる場合が想定される)を配置して樹脂モールドを行い、一つの成形品を得る圧縮成形装置1であってもよい。この場合、ワークWとしては、上述した短冊ワークとしてのワークWよりも幅の広い幅広ワーク(大判ワーク)を加工する構成とすることができる。この幅広ワークとしては、短冊ワークよりも幅の広い正方形や長方形や多角形のワークWや、短冊ワークよりも相対的に直径(幅)が広い円形の半導体ウェハやキャリアプレートとしてのワークWを用いてもよい。その場合、前述したワーク処理ユニットAに代えて、ワークWの供給マガジン5からの取出し、あるいは、成形品Wpの収納マガジンへの収納、等を行うロボットハンドを備えた搬送ロボットを設けてもよい。
【0048】
(樹脂供給ユニット)
圧縮成形装置1が備える樹脂供給ユニットD(樹脂供給装置)の構成について、フィルムF及びシート状樹脂Rの供給動作と共に詳しく説明する。 前述したように、樹脂供給ユニットDは、フィルムF及びシート状樹脂Rの供給等を行うユニットである。本実施形態においては、フィルムF及びシート状樹脂Rをモールド金型2へ搬送する際に、これらを保持して搬送するための治具として矩形状の搬送具20が用いられる。すなわち、この搬送具20を冶具として用いることで、シート状樹脂Rを保持してフィルムFと共に樹脂ローダ4により搬送される。また、搬送具20は、フィルムFをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。
【0049】
シート状樹脂供給部14は、
図3A,Bに示すように枚葉のシート状樹脂Rが積層された一対の供給マガジン15を備えている。シート状樹脂Rは、例えば100mm×300mm程度の予め板状に成形された固形樹脂を想定している。尚、保護フィルムが付いたシート状樹脂を使用する場合には、供給マガジン15内で保護フィルムを介して積層されるため、フィルムを剥離させる工程が必要になる。保護フィルムが付いた樹脂は半硬化の樹脂であっても良いし、打錠された樹脂でも圧延された樹脂でも良い。供給マガジン15は左右一対設けられており、エレベータ機構16により昇降可能に積層されている。シート状樹脂Rは、供給マガジン15からプッシャで押し出してシート状樹脂一部除去ステージ18(シート状樹脂除去部)へ供給してもよいし吸着パッド等で吸着して供給してもよい。シート状樹脂供給部14よりテーブル18a,18bに各々供給された一対のシート状樹脂Rを電子部品搭載量が所定値以上のワークWに応じて余剰樹脂をシート状樹脂一部除去ステージ18にて除去する。
【0050】
準備テーブル19には、フィルムF及びシート状樹脂Rを保持していない状態の矩形状の搬送具20が載置され、適宜のクリーニングが行われる。例えば、モールド金型2から搬出された搬送具20は、モールド樹脂が付着し動作不良の原因となり得る。そこで、後述する貫通孔を含めて表面をブラシや吸引機構(いずれも不図示)でクリーニングすることで動作不良を防止できる。
【0051】
準備テーブル19には、搬送具20を保持して、これを複数の所定位置(テーブル)間で搬送する搬送具ピックアップ21を備えている搬送具20を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)を有している(不図示)。或いは、搬送具20の外周部分に凹凸部を設け、搬送具ピックアップ21の下面から下に向けて立設させた保持爪に凹凸部を引っ掛けて保持し搬送する構成を採用することができる。搬送具ピックアップ21は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。これにより、準備テーブル19上に載置された搬送具20を保持して、後述するフィルムテーブル22及び樹脂供給テーブル25へ搬送することが可能となる。搬送具20は、矩形枠体状に形成され短冊状に切断された一対のフィルムFを保持する搬入フィルム保持部を二列有している。各フィルムFに対応する位置(各フィルムFを保持する位置)において、各フィルムFが上面から見て露出するように貫通孔に形成された一対の樹脂投入孔20a,20bが設けられている。この樹脂投入孔20a,20bは、前述したキャビティ凹部の形状に対応して形成されている。フィルムFを底部とし搬送具20の樹脂投入孔20a,20b内にシート状樹脂Rが投下された状態でモールド金型2へ樹脂供給される。
【0052】
フィルムテーブル22には、長尺状のフィルムFがロール状に巻き取られた一対のフィルムロール24a,24bが設けられている。これにより、フィルムテーブル22上に、同時に、二つの同形のフィルムFを供給することが可能となる。フィルムテーブル22は、フィルムロール24a,24bの上方(本実施形態においては斜め上方)に配設されて、フィルムロール24a,24bから繰り出されたフィルムFが所定長さの短冊状に切断されて保持される。一例として、フィルムテーブル22及びフィルムロール24a,24bは、上下方向にフィルムが搬送されるように配置され、装置の設置面積が低減されるようになっている。
【0053】
また、フィルムロール24a,24bのフィルムテーブル22への送り出しには、端部を挟み込んで引き出す構成やフィルムテーブル22の手前に設けた駆動式のローラーで送り出す構成等としてもよい。また、長尺状のフィルムFを切断する機構として、公知のフィルム切断機構24c(例えば、固定刃カッター、熱溶融カッター、等)を有している(不図示)。また、二つのフィルムFを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。このフィルムテーブル22では、ここで切断されたフィルムF上に搬送具20が重ね合わせて載置される。
【0054】
搬送具20の樹脂投入孔20a,20bの周囲には、吸引力を発生させてフィルムFを保持する複数の吸引孔(図示せず)が設けられている。なお、吸引孔は搬送具ピックアップ21に設けられる吸引孔(不図示)を介して(連通して)、吸引装置(不図示)にて発生する吸引力が伝達される構成となっている。上記の構成によれば、搬送具ピックアップ21によりフィルムテーブル22上に搬送された搬送具20の下面に二つのフィルムFを左右方向に並べて吸引させた状態で保持させることが可能となる。なお、フィルムFの外周を保持爪で挟み込んで保持する構成としてもよい。
【0055】
フィルムテーブル22の側方(一例として、右方)には、樹脂供給テーブル25が設けられている。樹脂供給テーブル25は、一対のフィルムF上に載置された搬送具20を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。
【0056】
ここで、シート状樹脂Rの供給動作の一例について説明する。シート状樹脂供給部14より供給された1対のシート状樹脂Rを図示しない樹脂ピックアップ機構でピックアップし、計量ステージ26へ移送する(
図2矢印S1参照)。計量ステージ26で供給前の樹脂量Dd0を計量する。計量ステージ26はシート状樹脂R個々の重量を計量できるように計量ステージ26を構成するテーブルが分割(26a,26b)されていても良い(
図2参照)。計量後のシート状樹脂Rは、再度樹脂ピックアップ機構によりピックアップされてシート状樹脂一部除去ステージ18へ移送される(
図2矢印S2参照)。
【0057】
樹脂供給ユニットDの制御部は、ワーク計測器8より得られたワークWの厚み情報Dtより一部除去する樹脂量Dd1を算出する。例えば、「厚みの計測」の結果に基づいて、電子部品Wtの搭載の有無や搭載高さなどからワークWにおいて搭載された電子部品Wtの体積を算出し、最終パッケージ体積(キャビティ体積)より電子部品Wtの体積を引いた体積が成形時に必要な樹脂の体積となる。さらに樹脂の比重より成形時必要な樹脂の体積が重量に変換できる事から成形時に必要な樹脂量が算出される。厚みの計測結果により計測、算出されたデータが基準となる電子部品Wtの搭載量より増加した場合は、増加した重量分だけ除去する樹脂量Dd1が算出される。さらに除去する樹脂量Dd1は、シート状樹脂Rの厚さが一定の為、除去する面積として算出することが可能となる。
シート状樹脂一部除去ステージ18は、樹脂ピックアップ機構との協働でシート状樹脂R個々をそれぞれワーク計測器8(
図1参照)にて計測したデータに基づき個々X-Y移動又は回転してテーブル18a,18bでシート状樹脂Rの一部(樹脂量Dd1)を除去する。
【0058】
余剰樹脂が一部除去されたシート樹脂Rは、樹脂ピックアップ機構により再度計量ステージ26へ移送される(
図2矢印S3参照)。計量ステージ26で一部除去後の成形に必要な樹脂量Dd2(実供給量Dd2)を計量する。
計量後、一部除去された適量のシート状樹脂Rは、樹脂ピックアップ機構により樹脂供給テーブル25に載置したフィルムF上に載置された搬送具20の樹脂投入孔20aにそれぞれ投入される(
図2矢印S4参照)。樹脂供給テーブル25上に載置された搬送具20、フィルムF及びシート状樹脂Rは、後述するように樹脂ローダ4によりモールド金型2(下型)へ搬送される。
尚、制御部は、成形品情報(成形品の成形厚み等)から、シート状樹脂Rの一部除去量(樹脂量Dd1)をワークごとに調整する他、ロットごとに調整するようにしてもよい。これにより、ロットごとに樹脂供給精度を高めることができる。また、ワークWの厚み情報Dtを含むワーク情報Dwと共に供給前樹脂量Dd0,除去量Dd1,実供給量Dd2、除去したシート状樹脂の形態等のデータを紐付けして記憶しておくことで、様々なワークWに対して適量樹脂を供給して成形品質を高めることができる。
【0059】
上記樹脂供給ユニットDを用いれば、シート状樹脂Rを供給することで粉塵を生ずることなく供給搬送することができ、かつ電子部品搭載量が所定値以上の良品ワークWの電子部品増加量に応じて余剰樹脂を切断除去するので、適量樹脂を供給して圧縮成形することができる。
この場合、シート状樹脂Rは、平板状の板状樹脂に限らず、ポーラス状に形成された板状樹脂若しくは多数の貫通孔が設けられた板状樹脂、シート状樹脂であってもよい。これにより、フィルムF上に供給されるシート状樹脂Rのエアーの巻き込みを防いでボイドの発生を抑えることができる。
【0060】
また、
図4において、左側を被成形品であるワークW(基板Wbに電子部品Wtが搭載された状態)、中央をシート状樹脂供給部14より供給されるシート状樹脂R、右側を一部除去後のシート状樹脂Rとする。ワークWは、基板Wb上に搭載された電子部品Wtの搭載率が80%(下限値の一例)を一部除去不要で成形可能なシート状樹脂Rの基準量として扱い、電子部品Wtの搭載率がそれより増えるとシート状樹脂一部除去ステージ18は、電子部品Wtの搭載率の増加分だけシート状樹脂Rを除去する。(
図4上段斜線部が除去部を示す)。尚、ワークWの良品不良品の限界値となる基板Wbに対する電子部品Wtの搭載率は80%に限らず、それより多くても少なくてもよい。例えば、基板Wbに対する電子部品Wtの搭載率が安定的に推移する場合には、限界値となる搭載率を90%、95%に上げることで、シート状樹脂Rの除去量を減らして歩留まりを向上させることができる。
【0061】
これにより、成形可能な良品ワークWと不良品ワークWの選別が可能であり、しかも搭載可能な電子部品Wtの搭載率が80%を一部除去不要で成形可能なシート状樹脂Rの基準量と定めることによりシート状樹脂Rを一部除去する量が一義的に決められ、電子部品Wtの搭載率の増加分だけ樹脂量を減らして微調整することができるので、個々のワークWに応じた適量樹脂を供給することができる。尚、ワークWの基板Wbに対する電子部品Wtの搭載率は、ワーク処理ユニットAにおいてワーク計測器8で計測されたデータ(ワークWの厚み計測)に基づいてシート状樹脂一部除去ステージ18において除去量が算出される。或いは基板Wbに対する電子部品Wtの搭載量が予め装置本体の制御部(図示せず)に格納されている場合には、その制御部からデータがシート状樹脂一部除去ステージ18に読みだされて除去量が算出される。
【0062】
シート状樹脂一部除去ステージ18の構成の一例について
図5A,Bを参照して説明する。テーブル18a,18b上にシート状樹脂供給部14よりシート状樹脂Rが各々供給され、後述する除去装置により所要の樹脂量が除去される。斜線部R1は、シート状樹脂Rより除去される範囲を示す。このように、シート状樹脂Rの短辺及び長辺を除去する場合には、
図5A、
図5Bのようにテーブルを90度回転させても良いが、シート状樹脂ピックアップ機構又は除去機構側を90度回転させても良い。シート状樹脂Rは一定厚で出来ている為、テーブル18a,18bは個々分かれていて除去量となる除去面積が演算により求められると除去位置へ個々にX-Y駆動するようにしても良い(
図2参照)。
【0063】
除去装置としては、
図6Aに示すように、ダイサーブレード27を用いて切削加工する装置であっても、
図6Bに示すように、レーザー若しくはウォータジェット28を用いて切断する装置であっても、
図6Cに示すように、ワイヤーカット29を用いて切断する装置であっていずれでもよい。
【0064】
また、除去装置は、
図7Aに示すように、カッター刃30を走査することでシート状樹脂Rを切断するものであっても、鋏(図示せず)で切断してもよい。或いは
図7Bに示すようにカッター刃30をシート状樹脂Rの切断ラインに沿って上下動させてシート状樹脂Rを押し切るものであってもよい。
また、
図7Cに示すように、
図7A、
図7Bのカッター刃等により除去ラインに浅い溝加工を形成した後に、シート状樹脂Rを上下一対のクランプ31により挟み込むと共に切断部分を可動クランプ31aにより挟み込んだ状態で、
図7Dに示すように、可動クランプ31aを水平姿勢から傾斜姿勢に変更して切り込みラインよりシート状樹脂Rを折り取るように除去してもよい。
【0065】
図8に示すように、除去装置としてプレス装置32を使用してシート状樹脂Rを切断してもよい。ダイ32aに搭載されたシート状樹脂Rをストリッパプレート32bで押さえながら、パンチ32cをダイ孔32dに向かって押し下げる際にシート状樹脂Rが剪断されるようにしてもよい。この場合は、テーブルを移動させる代わりにシート状樹脂R側をX-Y移動又は回転させて除去位置を調整しても良い。
【0066】
図9は、シート状樹脂一部除去ステージ18における一部除去後のシート状樹脂Rの形態を示す説明図である、図中斜線部分は除去される領域を示す。
図9Aは、短冊状のシート状樹脂Rのコーナー部(四隅)の樹脂を除去した後のシート状樹脂Rを例示している。コーナー部の除去は必ずしも4ヶ所除去する必要はなく、2ヶ所であっても良い。
図9Bは、短冊状のシート状樹脂Rの長辺側端部及び短辺側端部をX-Y方向に除去したものである。
図9Cは、短冊状のシート状樹脂Rの長手方向の右側端部より所定長除去したものである。
図9Dは短冊状のシート状樹脂Rの長手方向の一部を除去して均等な長さに分割したものである。上記シート状樹脂Rの除去形態はいずれを採用してもよい。
【0067】
図10A~Dは、
図9A~Dの形態で一部除去されたシート状樹脂Rをキャビティ2a(2b)又はキャビティに投入する前の搬送具20の樹脂投入孔20a、20b内に配置した模式図である。シート状樹脂Rは、キャビティ2a(2b)又は搬送具20の樹脂投入孔20a、20b内で可能な限り溶融した樹脂の流動が少なくなるようにキャビティ2a(2b)の中央に位置をX-Y移動調整して配置することが好ましい。さらに、
図9Dに示す分割されたシート状樹脂Rを
図10Dに示すように各シートをそれぞれX-Y移動調整してキャビティ2a(2b)に均等配置で供給することで、樹脂の流動を可能な限りなくすことができる。
尚、シート状樹脂一部除去ステージ18は、余剰樹脂除去の有無にかかわらずシート状樹脂Rを複数に分割することも可能である。
【0068】
次に、樹脂ローダ4の構成について
図1を参照して説明する。樹脂ローダ4は、その下面の搬送具保持部4aにおいて、樹脂供給テーブル25上に載置された搬送具20をフィルムF及びシート状樹脂Rと共に受け取り、モールド金型2(下型)へ搬送後、搬送具20のみを前述の準備テーブル19へ搬送する。なお、樹脂ローダ4は、搬送具20を保持する搬送具保持部4aとして、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成等)を有している。さらに、所定位置で保持する搬送具20の吸引孔に連通吸引装置(不図示)による吸引力を発生(伝達)させる吸引孔を有している。これにより、搬送具20の下面に二つのフィルムF(それぞれシート状樹脂Rが搭載された状態)を左右方向に並べて吸着させた状態を維持しながら、下型の所定保持位置(キャビティ2a,2bが配設された位置)へ搬送することが可能となる。なお、搬送具20の下面で二つのフィルムFの外周を挟持して保持する保持爪を有していてもよい。
【0069】
また、樹脂ローダ4は、その樹脂モールドされた成形品Wpがモールド金型2(ここでは、上型)から取り出された後に下型に残留するフィルム(使用済みフィルム)Fを保持して、所定位置(後述のフィルムディスポーザG)へ搬送する搬出フィルム保持部4bを備えている。なお、搬出フィルム保持部4bは、使用済みフィルムFを保持する公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している。
【0070】
本実施形態に係る樹脂ローダ4は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。左右方向の移動により、搬送具20(シート状樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)を樹脂供給テーブル25からプレスユニットCへ搬送する動作が可能となる。また、前後方向の移動により、搬送具20(シート状樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)をモールド金型2の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型と下型との間へ)搬送する動作が可能となる。
【0071】
また、搬出フィルム保持部4bは、モールド金型2(下型)の二つのキャビティ2a,2bに対応する位置に、左右方向に並設された構成となっている。これにより、樹脂モールド後にモールド金型2(下型)によって左右方向に並べて保持された二つの使用済みフィルムFを、同時に、左右方向に並べて保持し、搬送することが可能となる。
【0072】
また、樹脂ローダ4に搬送具保持部4a及び搬出フィルム保持部4bを一体に備えていることにより、樹脂ローダ4は前後、左右及び上下方向に移動可能な構成となっている。これにより、装置構成の簡素化及び小型化が可能となるばかりでなく、シート状樹脂Rが搭載されたフィルムF、使用済みフィルムF共に、二つずつ同時に搬送する構成が実現できるため、工程時間の短縮も可能となる。なお、変形例として、搬送具保持部4a及び搬出フィルム保持部4bを別体に備えた樹脂ローダを設けてもよい。
【0073】
フィルムディスポーザGは、上部(上面部分)が開口する箱状に形成されている。これにより、使用済みフィルムFを搬送する搬出フィルム保持部4bがフィルムディスポーザGの直上位置に到達したときに、搬出フィルム保持部4bの使用済みフィルムFの保持を解放することによって、当該使用済みフィルムFを落下させてフィルムディスポーザG内へ収納することが可能となる。
【0074】
上記構成によれば、樹脂供給ユニットD(樹脂供給装置)よりモールド金型2へワークWごとの電子部品搭載量に応じて適量のシート状樹脂Rを搬送して圧縮成形することができる。よって、樹脂供給に際して粉塵が飛散することはなく、しかもワークWごとに適量の樹脂を供給してモールドすることができるので、成形品質を向上させることができ、成形品に不要樹脂を生ずることもなくなる。
【0075】
上述した樹脂供給ユニットD(樹脂供給装置)は、ストリップタイプの基板Wbに適量のシート状樹脂Rを供給して圧縮成形する場合について説明したが、
図11に示すように、円形の半導体ウェハWaに適量のシート状樹脂Rを供給して圧縮成形する装置であってもよい。
【0076】
この場合、圧縮成形装置1は、プレスユニットCに一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークWを配置して圧縮成形し、一つの成形品Wpを得るように構成してもよい。この場合、フィルムロール24dからフィルムテーブル22へ供給され、フィルム切断機構24cで切断されるフィルムFとしては、上述した短冊フィルムとしてのフィルムFよりも幅の広い幅広フィルムが用いられる。この幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅の広い正方形や長方形の枚葉形式のフィルムFを用いるのが簡易である。ただし、幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅が広ければ丸形に切り抜いた枚葉形式のフィルムFを用いてもよい。また、準備テーブル19で供給される搬送具20は、外形が矩形状で中央部に樹脂投入孔(丸穴)20cが設けられたもの好適に用いられる。
【0077】
また、シート状樹脂供給部14は、
図11に示すように例えば円板状に成形されたシート状樹脂Rが積層された単独の供給マガジン15を備えている。シート状樹脂Rは必ずしも円板でなくてもよい。供給マガジン15はエレベータ機構16により昇降可能に設けられている。
【0078】
シート状樹脂供給部14より供給された円板状のシート状樹脂Rを図示しない樹脂ピックアップ機構でピックアップし、計量ステージ26へ移送する(
図11矢印S1参照)。計量ステージ26で供給前の樹脂量Dd0を計量する。
計量後のシート状樹脂Rは、再度樹脂ピックアップ機構によりピックアップされてシート状樹脂一部除去ステージ18へ移送される(
図11矢印S2参照)。
樹脂供給ユニットDの制御部は、ワーク計測器8より得られたワークWの厚み情報Dtより一部除去する樹脂量Dd1を算出する。シート状樹脂一部除去ステージ18において、算出された樹脂量Dd1に基づいてシート状樹脂Rの厚さが一定のため除去位置が算出されて一部(樹脂量Dd1)が除去される。
余剰樹脂が一部除去されたシート樹脂Rは、樹脂ピックアップ機構により再度計量ステージ26へ移送される(
図2矢印S3参照)。計量ステージ26で一部除去後の成形に必要な樹脂量Dd2(実供給量Dd2)を計量する。
計量後、適量のシート状樹脂Rは、樹脂ピックアップ機構により樹脂供給テーブル25に載置したフィルムF上に載置された搬送具20の樹脂投入孔20cに投入される(
図11矢印S4参照)。
【0079】
除去装置としては、前述したように、ダイサーブレード27(
図6A)、レーザー光若しくはウォータジェット28(
図6B)、ワイヤーカット29(
図6C)、カッター刃30を用いるもの(
図7)、プレス装置32を用いるもの(
図8)等いずれの方式を用いてもよい。また、シート状樹脂一部除去ステージ18におけるシート状樹脂Rの除去形態は、例えば円板状樹脂の場合、例えば90度ごとに円弧部分(斜線部分R1)を除去するようにしてもよいし(
図11参照)、外周を均等に小径に除去しても良い。尚、シート状樹脂一部除去ステージ18は、余剰樹脂除去の有無にかかわらずシート状樹脂Rを複数に分割することも可能である。
【0080】
また、樹脂ローダ4(
図1参照)は、その下面において、樹脂供給テーブル25に移動し、樹脂供給テーブル25上に載置された搬送具20をフィルムF及びシート状樹脂Rと共に受け取り、モールド金型2(下型)の所定保持位置へ搬送する構成は同様である。樹脂ローダ4は、搬送具20を保持する搬送具保持部4aとして、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している。さらに、所定位置で保持する搬送具20の吸引孔に連通吸引装置(不図示)による吸引力を発生(伝達)させる吸引孔を有している。なお、搬送具20の下面で幅広フィルムFの外周を挟持して保持する保持爪を有していてもよい。
【0081】
また、樹脂ローダ4は、その樹脂モールドされた成形品Wpがモールド金型2(ここでは、上型)から取り出された後に下型に残留するフィルム(使用済みフィルム)Fを保持して、所定位置(後述のフィルムディスポーザG)へ搬送する搬出フィルム保持部4bを備えている点も同様である。なお、搬出フィルム保持部4bは、使用済みフィルムFを保持する公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している。
【0082】
また、
図1に示す短冊フィルムと
図11に示す幅広フィルムとを切り替えて供給可能なフィルムテーブル22を備えていてもよい。この場合、シート状樹脂供給部14も供給マガジン15を切り替えて短冊板状の樹脂と円板状の樹脂を切り替えて供給する必要がある。また、準備ステージ19で用意する搬送具20の形態もストリップ基板タイプと半導体ウェハタイプとで切り替えて使用する必要がある。
【0083】
また、圧縮成形装置1の構成としては、プレスユニットCの一方側に設けられる樹脂供給ユニットDは、専らモールド金型2へ電子部品搭載量に応じたシート状樹脂Rの供給だけを行う構成であってもよい。この場合、プレスユニットCには、フィルム搬送装置が設けられ、キャビティ面を覆うフィルムが搬入搬出されていることが好ましい。
【0084】
本実施例のワークはストリップタイプと円形タイプを記載したが、ワークは矩形(四角)形状の大判物であっても良く、この場合シート状樹脂Rも四角形状となり、一部除去もストリップワーク同様に必要に応じて四隅又は辺より除去し、必要に応じて分割すれば良い。また、
図12に示すように、シート状樹脂Rは必要に応じて搬送具20の樹脂投入穴20a又はキャビティ2aには1枚で足りない場合は複数枚重ねて供給しても良い。
【0085】
図12は長尺状のシート状樹脂Rが巻き取られたシート状樹脂ロール17a,17bを切り出して一部除去する樹脂モールド装置に備えた樹脂供給ユニットD(樹脂供給装置)を例示している。本実施例はシート状樹脂Rが保護フィルムと共にロール状で供給され、保護フィルムを巻き取り機(不図示)で巻き取りながらシート状樹脂Rを引き出して前述の所要量の樹脂となるように引出し量を調整してシート状樹脂切断機構17cで切断する。所要量の樹脂は、前述の電子部品の搭載率80%を除去不要で成形可能なシート状樹脂Rの基準量としても良いし、搭載率に応じてそれ以上でも、以下に基準量を設定しても良い。切断後のシート状樹脂Rは前述の実施例と同様にワーク計測器8で計測されたデータ(ワークWの厚み計測)に基づいてシート状樹脂一部除去ステージ18において除去量が算出されてシート状樹脂Rの一部が除去される。
【0086】
本実施例は下キャビティ可動の圧縮成形を例に挙げたが、供給されるシート状樹脂Rの一部をワークに応じて除去後、金型に供給して成形することは上キャビティ可動の圧縮成形にも実施が可能である。また、本実施例ではシート状樹脂Rの除去量を除去前後の重量を計量しているが、必ずしも計量する必要はなく、シート状樹脂Rの厚さが一定ため計量ステージ26の代わりにカメラに拠る撮像ステージを設けても良い。この場合は、カメラで撮像した除去前のシート樹脂Rの面積からシート樹脂Rの体積が求められる。厚さ計測の結果、樹脂の適正体積が求められ、シート樹脂Rの体積から適正体積を減算することで余剰となる除去体積を算出し、除去体積より除去面積を求めて除去位置を決定するようにしても良い。この場合、一例として前述のように電子部品の搭載率が80%(下限値)を除去不要で成形可能なシート状樹脂Rの基準体積とすれば良い。
【符号の説明】
【0087】
A ワーク処理ユニット B ワーク搬送部 C プレスユニット D 樹脂供給ユニット E 樹脂搬送部 F フィルム G フィルムディスポーザ W ワーク Wp 成形品 Wb 基板 Wt 電子部品 Wa 半導体ウェハ R シート状樹脂 1 圧縮成形装置 2 モールド金型 2a,2b キャビティ 3 ワークローダ 3A 第1保持部 3B 第2保持部 3a,3b ワーク保持部 3c,3d 成形品保持部 4 樹脂ローダ 4a 搬送具保持部 4b 搬出フィルム保持部 5,15 供給マガジン 6,6a,6b 供給レール 7 中継レール 8 ワーク計測器 9 供給ピックアップ 10 ワークヒータ 11 第1収納ピックアップ 12 第2収納ピックアップ 14 シート状樹脂供給部 16 エレベータ機構 17a,17b シート状樹脂ロール 17c シート状樹脂切断機構 18 シート状樹脂一部除去ステージ 18a,18b テーブル 18b 樹脂ガイド 19 準備テーブル 20 搬送具 20a,20b,20c 樹脂投入孔 21 搬送具ピックアップ 22 フィルムテーブル 23 樹脂投下テーブル 24a,24b,24d フィルムロール 24c フィルム切断機構 25 樹脂供給テーブル 26 計量ステージ 27 ダイサーブレード 28 レーザー光(又はウォータジェット) 29 ワイヤーカット 30 カッター刃 31 クランプ 31a 可動クランプ 32 プレス装置 32a ダイ 32b ストリッパプレート 32c パンチ 32d ダイ孔