(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】焚火台
(51)【国際特許分類】
A47J 37/07 20060101AFI20230713BHJP
F24B 13/00 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A47J37/07
F24B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021103954
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2022-04-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月12日に株式会社メルカリが運営するウェブサイト「メルカリ」にて公開 令和3年4月15日に株式会社メルカリが運営するウェブサイト「メルカリ」にて販売
(73)【特許権者】
【識別番号】501296106
【氏名又は名称】株式会社キヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092923
【氏名又は名称】石垣 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187757
【氏名又は名称】石垣 春樹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 忠
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187816(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231988(JP,U)
【文献】特開2012-167920(JP,A)
【文献】実開昭55-085605(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0123760(KR,A)
【文献】特開2014-076109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0089207(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2246997(KR,B1)
【文献】米国特許第02235290(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/07
F24B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に立体的な焚火スペースを形成し、収納時に平面的な形態になる本体部と、
使用時に複数枚の脚部パーツを組み合わせて、上記本体部を地面から幾分、持ち上げた位置で支持する脚部フレームを形成し、収納時に分解されて平面的な複数枚の板状の脚部パーツになる脚部と、
使用時に上記本体部の一部と脚部の一部を貫くように挿嵌される止め金具と、挿嵌された止め金具の一部に係合することで止め金具の外れを防止する抜け止め金具と、を有する止め具と、を備え、
上記本体部には、渦巻き状のスリットを形成することによって構成されるバネ作用部が外周部の内方に設けられており、使用時には、その中心部を下方に移動させて脚部側に引き寄せることによってバネ作用部が伸長して立体的な焚火スペースを形成し、収納時には、バネ作用部が収縮して、その中心部を上方に移動させて平面的な状態に移行し得るように構成したことを特徴とする焚火台。
【請求項2】
上記脚部パーツは2枚であり、上記使用時の組み立てられた状態の脚部に対して、水平状態で取り付けられる燃え殻受けが更に設けられており、
上記燃え殻受けには、上記脚部の一部と係合する
4本のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1記載の焚火台。
【請求項3】
上記本体部は、平面視円形であり、上記本体部に形成されている渦巻き状のスリットは、中心部に向かって徐々に曲率半径が減少する連続した1本の曲線部のみによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の焚火台。
【請求項4】
上記本体部、脚部、止め具及び燃え殻受けを構成する各パーツの板厚は、2mm~3mmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項
2記載の焚火台。
【請求項5】
上記脚部パーツ同士の接続と、止め具を使用した組み立てられた脚部と本体部の接続と、をすべて係合接続のみによって行うようにしたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の焚火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンプ等で使用する組立て・分解可能な焚火台に係り、特に少ない部品点数で誰でも簡単に工具を使うことなく、組み立て、分解することができる使い勝手と強度を兼ね備えた焚火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時のアウトドアブームにより、屋外でキャンプ等を楽しむ人が増加している。これに伴って、キャンプ等で使用するグッズも種々開発されており、その一つが下記の特許文献1、2に示すような持ち運びが可能な組立て・分解式の携帯用の焚火台である。
特許文献1、2とも、嵌め込み式の薄板状のパーツを多数枚有しており、これらを適宜、嵌め込んで組み立てることによって、燃料となる木材や炭等をくべるための焚火スペースを形成している。そして、これらの焚火台では、各パーツを接続する手段としてヒンジ、補強金具或いはネジ等が使用されておらず、工具を一切使用することなく、組み立て・分解することができることが特徴になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-192186号公報
【文献】特開2019―187816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1、2に示す焚火台のように多数枚のパーツを使用する部品点数の多い構成では、焚火台の組立て・分解作業が複雑で困難になるため時間が掛かり、初心者のユーザ等にとってはハードルの高い作業になってしまう。
また、複数人で行うキャンプ等の場合には、炊事に際して、重量の重い大型の鍋や鉄板等を使用する場合がある。また、キャンプファイヤー等に焚火台を使用する場合もある。しかし、上記特許文献1、2に示す焚火台のように薄板状のパーツを使用した構成では大型化した場合、強度に不安が残り、安心、安全に焚火台を使用することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来の焚火台のこのような問題点に基づいてなされたもので、その目的は、焚火台の部品点数を少なくして焚火台の製品コストを低く抑えること、焚火台の組立て・分解作業を容易にし、短時間で作業を行えるようにすること、そして、焚火台の強度を向上させて重量の重い鍋や鉄板等を使用しても安心、安全に使用することができる焚火台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達すべく本発明の請求項1による焚火台は、使用時に立体的な焚火スペースを形成し、収納時に平面的な形態になる本体部と、使用時に複数枚の脚部パーツを組み合わせて、上記本体部を地面から幾分、持ち上げた位置で支持する脚部フレームを形成し、収納時に分解されて平面的な複数枚の板状の脚部パーツになる脚部と、使用時に上記本体部の一部と脚部の一部を貫くように挿嵌される止め金具と、挿嵌された止め金具の一部に係合することで止め金具の外れを防止する抜け止め金具と、を有する止め具と、を備え、
上記本体部には、渦巻き状のスリットを形成することによって構成されるバネ作用部が外周部の内方に設けられており、使用時には、その中心部を下方に移動させて脚部側に引き寄せることによってバネ作用部が伸長して立体的な焚火スペースを形成し、収納時には、バネ作用部が収縮して、その中心部を上方に移動させて平面的な状態に移行し得るように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2による焚火台は、請求項1記載の焚火台において、上記脚部パーツは2枚であり、上記使用時の組み立てられた状態の脚部に対して、水平状態で取り付けられる燃え殻受けが更に設けられており、
上記燃え殻受けには、上記脚部の一部と係合する4本のスリットが形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3による焚火台は、請求項1又は2記載の焚火台において、上記本体部は、平面視円形であり、上記本体部に形成されている渦巻き状のスリットは、中心部に向かって徐々に曲率半径が減少する連続した1本の曲線部のみによって構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4による焚火台は、請求項2記載の焚火台において、上記本体部、脚部、止め具及び燃え殻受けを構成する各パーツの板厚は、2mm~3mmの範囲に設定されていることを特徴とする特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5による焚火台は、請求項1~4のいずれかに記載の焚火台において、上記脚部パーツ同士の接続と、止め具を使用した組み立てられた脚部と本体部の接続と、をすべて係合接続のみによって行うようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
そして、上記手段によって以下のような効果が得られる。即ち、本発明による焚火台によると、収納時に平面的な1枚の板状の部材になる本体部を使用して、使用時に立体的な焚火スペースを形成しているから、従来の焚火台のように複数のパーツを適宜嵌め込んで組み立てる必要がない。従って、部品点数を減らすことができ、製品コストの削減及び組立て工数の削減を図って短時間で焚火スペースを形成することが可能になる。
また、本体部の外周部と中心部は、渦巻き状のスリットを形成することによって構成されるバネ作用部によって連結されているから、上記中心部を下方に移動させることによってバネ作用部が下方に伸長して本体部は立体的な形状になる。一方、上記中心部を上記外周部と同じ高さになるまで上方に移動させれば、本体部は収納、持ち運びが容易な平面的な形状に移行することが可能になる。
【0012】
また、バネ作用部が伸長状態にあるときは、収縮しようとする方向(上方)に付勢力が作用するから、その付勢力によって上記止め具の緩みが防止されて、その係合状態が安定して保持されるようになる。
更に、組み立てられた状態の脚部に対して水平状態で取り付けられる燃え殻受けを設けた場合には、燃料が燃えることによって飛散する燃え殻を捕捉して燃え殻の後始末を容易にすることができる。また、燃え殻受けに脚部の一部と係合する4本のスリットを形成した場合には、燃え殻受けを脚部の一部に係合させた状態で上方から落とすだけで、上記スリットが案内になって、自動的に水平な状態で燃え殻受けを取り付けることが可能になる。また、取り付けた燃え殻受けは、脚部の組立て状態を保持する補強部材としても機能するようになる。
【0013】
また、本体部を平面視円形に形成し、渦巻き状のスリットを中心部に向かって徐々に曲率半径が減少するように構成した場合には、使用時において、バネ作用部が螺旋状に下方に引き伸ばされて逆円錐台形状の焚火スペースが形成できるようになる。
また、直線部を有しない曲線部のみからなるバネ作用部の採用によりバネ作用部の上下方向の伸縮が円滑に実行されるようになる。
【0014】
また、本体部、脚部、止め具及び燃え殻受けを構成する各パーツの板厚を2mm~3mmの範囲に設定した場合には、重量の重い大きめの鍋や鉄板等を使用しても安心、安全な高い強度が得られる。そして、必要以上に重くならないため、焚火台の各パーツの持ち運びにも支障を来たさない。
また、脚部パーツ同士の接続と、止め具を使用した組み立てられた脚部と本体部との接続と、をすべて係合接続のみによって行うようにした場合には、工具を一切使用することなく、円滑に焚火台を組み立て、分解できるようになる。
【0015】
そして、これらの効果が相乗的に作用することによって、少ない部品点数で誰でも簡単に工具を使うことなく組み立て及び分解ができる使い勝手と強度を兼ね備えた焚火台を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態を示す図で、分解した状態の焚火台を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す背面図である。
【
図5】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す右側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す左側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態を示す図で、組み立てた状態の焚火台を示す底面図である。
【
図9】本発明の実施の形態を示す図で、分解した状態の焚火台を示す展開図である。
【
図10】本発明の実施の形態を示す図で、止め具を装着する前の焚火台を示す斜視図とその要部の拡大図である。
【
図11】本発明の実施の形態を示す図で、止め具を装着した後の焚火台を示す斜視図とその要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図示の実施の形態を例にとって、本発明の焚火台の構成と、その組立て・分解手順と、について具体的に説明する。
尚、以下の説明では最初に本発明の焚火台の全体構成について説明し、続いて、本発明の焚火台の各構成要素について具体的に説明する。次に、このようにして構成される本発明の焚火台の組立て・分解手順について具体的に説明し、最後に上記実施の形態とは、部分的構成を異にする本発明の他の実施の形態について言及する。
【0018】
(1)焚火台の全体構成(
図1及び
図2参照)
本発明の焚火台1は、キャンプ等で使用される持ち運びができ、工具を使用することなく誰でも簡単に組立てと分解ができる使い勝手と強度を兼ね備えた焚火台である。
具体的には、使用時に立体的な焚火スペースSを形成し、収納時に平面的な形態になる本体部3と、使用時に複数枚の脚部パーツ5A、5Bを組み合わせて、本体部3を地面GLから幾分、持ち上げた位置で支持する脚部フレーム7を形成し、収納時に分解されて平面的な複数枚の板状の脚部パーツ5A、5Bになる脚部9と、使用時に本体部3の一部と脚部9の一部を貫くように挿嵌される止め金具11と、挿嵌された止め金具11の一部に係合することで、止め金具11の外れを防止する抜け止め金具13と、を有する止め具15と、を備えることによって本発明の焚火台1は基本的に構成されている。
【0019】
また、本実施の形態では、組み立てられた状態の脚部9に対して水平状態で取り付けられる燃え殻受け17が更に設けられている。
そして、上記本体部3には、渦巻き状のスリット19を形成することによって構成されるバネ作用部21が外周部23の内方に設けられており、使用時には、その中心部25を下方に移動させて脚部9側に引き寄せることによって立体的な焚火スペースSが形成されるように構成されている。一方、収納時には、上記本体部3の中心部25を上方に移動させて本体部3全体が平面的な状態に移行するように構成されている。
【0020】
(2)焚火台の各構成要素の具体的構成(
図1~
図9参照)
次に、本発明の焚火台1を構成している上記各構成要素について具体的に説明する。
本実施の形態では、焚火台1を構成している上記本体部3と、脚部9と、止め具15と、燃え殻受け17と、は、すべて金属製の板状部材によって構成されている。
そして、本実施の形態では、一例として板厚tが2.3mmの防錆処理を施していない鉄板を使用している。尚、上記鉄板の板厚tは、例えば2mm~3mmの範囲で調整することが可能であり、鉄板の表面に防錆処理を施したものを使用することも可能である。更に、上記各構成要素の材料として、ステンレス鋼板等、サビの生じ難い材料を使用することも可能である。
【0021】
本実施の形態では、本体部3として平面視円形の1枚の板材を使用しており、その外周部23から中心部25にかけて、中心部25に向かって徐々に曲率半径を減少させた連続した1本の渦巻き状のスリット19を形成することによって、上記外周部23と中心部25を渦巻き状のバネ作用部21で接続した構成の本体部3が採用されている。
これにより、中心部25を上下方向Zに移動させると、上記バネ作用部21が螺旋状に変形して、該バネ作用部21の内方に円錐台形状ないし逆円錐台形状の立体的な空間が形成される。
【0022】
そして、本実施の形態では、上記中心部25を下方に移動させることによって、上記立体的な空間を逆円錐台形状にして焚火スペースSとして使用している。
一方、焚火台1を使用しない場合には、上記バネ作用部21を上下方向Zに移動させないで、外周部23及び中心部25と同一平面の平面状態にして保管し、持ち運ぶようにする。
【0023】
また、本体部3の外周部23には、後述する脚部パーツ5A、5Bの上辺に形成された上方に突出した一例として矩形平板状の係合凸部27と係合する角穴状の係合穴29が半径方向Rに沿って一例として90°間隔で4つ設けられている。
また、本体部3の中心部25の中央には、
図9に示すように後述する止め金具11が挿嵌される角穴状の係合穴31が上記係合穴29の伸長方向と交差する方向(一例として45°傾斜した方向)に延びるように形成されている。
【0024】
脚部9は、上述したように使用時に立体的な脚部フレーム7になり、収納時に平面的な一例として2枚の板状の脚部パーツ5A、5Bになる部材である。
具体的には、脚部パーツ5Aと脚部パーツ5Bは、
図9に示すように中央の中間高さに一例として矩形平板状の基部33を有し、該基部33の4つのコーナ部から斜め外方の上部に向けて2本の支持アーム35、35、斜め外方の下部に向けて同じく2本の脚部アーム37、37を張り出させたX字形状の部材である。
【0025】
上記2本の支持アーム35、35と、2本の脚部フレーム37、37と、のそれぞれの先端部には、水平方向外方に向けて延びる一例として矩形平板状の支持部36、36と、同じく一例として矩形平板状の接地部38、38と、が設けられており、このうち、支持部36、36の上辺に上述した係合凸部27、27が設けられている。
また、上記2本の支持アーム35、35と2本の脚部アーム37、37の基端部が接続される基部33には、2枚の脚部パーツ5A、5BをX字状に組み立てる場合に使用する上下方向Zに延びる2本の係合スリット39A、39Bがそれぞれ形成されている。具体的には、組立て時に上方から嵌め込む脚部パーツ5Aの基部33には、その下辺の中央から上方に向けて所定長さ延びる、脚部パーツ5Bの板厚tより幾分大きめの幅を有する係合スリット39Aが形成されており、他方の脚部パーツ5Bの基部33には、その上辺の中央から下方に向けて所定長さ延びる、脚部パーツ5Aの板厚tよりも幾分大きめの幅を有する係合スリット39Bが形成されている。
【0026】
また、2つの脚部パーツ5A、5Bのそれぞれの基部33、33の中央には、その上辺から下方に向けて所定長さ延びる、上記係合スリット39A、39Bよりも幅広(図示の実施の形態では一例として3倍程度)の一例として矩形状の切欠き部41、41が設けられている。
因みに、この切欠き部41は、後述する止め金具11を上方から挿し込んだとき、その下方の挿嵌部43を受け入れるための凹部である。
【0027】
また、上記切欠き部41、41の中間付近の高さには、水平方向X,Yに延びる所定長さの角穴状の係合穴51、51が形成されている。この係合穴51は、組立て時に抜け止め金具13を挿嵌するために設けられる穴部である。そして、係合穴51の上下方向Zの幅は、上記抜け止め金具13の板厚tよりも幾分大きめに設定されており、係合穴51の水平方向X,Yの長さは、後述する抜け止め金具13の挿嵌部47の幅よりも長くなる(図示の実施の形態では、一例として2~3倍程度)ように設定されている。
【0028】
止め具15は、上述したように上方から挿し込んで使用する止め金具11と、側方から挿し込んで使用する抜け止め金具13の2種類の金具によって構成されている。
このうち、止め金具11は、
図9に示すように矩形平板状の挿嵌部43と、該挿嵌部43の上端に設けられる挿嵌部43よりも幅広の頭部45と、を備えることによって一例として構成されている。また、挿嵌部43には下端寄りの部位に角穴状の係合穴44が形成されている。
【0029】
抜け止め金具13は、上記止め金具11の係合穴44に挿し込む、先端側に窄んだテーパ状の挿嵌部47と、該挿嵌部47の基端に設けられる挿嵌部47よりも幅広の頭部49と、を備えることによって一例として構成されている。
そして、上記止め金具11に形成される係合穴44の上下方向Zの幅は、上記抜け止め金具13の挿嵌部47の板厚tより幾分大きめに形成されており、上記止め金具11に形成される係合穴44の水平方向X,Yの長さは、上記抜け止め金具13の挿嵌部47における係合部位の幅よりも幾分、長めに形成されている。
【0030】
燃え殻受け17は、焚火台1の他の構成要素と同じ板厚tの金属製の平板材料によって形成されている。そして、本実施の形態では。
図2及び
図9に示すように円板形状の燃え殻受け17が採用されている。
【0031】
燃え殻受け17には、外周から中心に向かって半径方向Rに延びる所定長さの4本のスリット53が一例として90°間隔で設けられている。この4本のスリット53には、脚部9を構成する脚部パーツ5A、5Bの4本の支持アーム35が係合するため、スリット53の幅は、脚部パーツ5A、5Bの板厚tよりも幾分大きめに設定されている。
また、燃え殻受け17の中心には、上述した止め金具11の挿嵌部43の幅よりも幾分、大きめの直径を有する穴部55が形成されており、この穴部55を貫通することで、止め金具11の挿嵌部43が下方に位置する脚部9の切欠き部41内に進入できるように構成されている。
【0032】
(3)焚火台の組立て・分解手順(
図1、2、9及び
図11参照)
(A)組立て手順
このようにして構成される焚火台1を組み立てる場合には、脚部パーツ5Bに対して、もう1枚の脚部パーツ5Aを90°水平角度を変え、X字状に交差させた状態にして上方から挿し込むようにして取り付ける。
このとき、上方から挿し込む脚部パーツ5Aの基部33の下辺から上方に向けて形成されている係合スリット39Aの位置が下方の脚部パーツ5Bの基部33の上辺から下方に向けて形成されている係合スリット39Bの位置と合致するように位置合わせし、上方の脚部パーツ5Aの接地部38、38が地面GLに設置するまで挿し込むことで脚部フレーム7が形成される。
【0033】
次に、上記組み立てた脚部9に対して上方から燃え殻受け17を取り付ける。この場合には、燃え殻受け17に形成されている4本のスリット53を、組み立てられた状態の脚部9における4本の支持アーム35と係合させ、そのまま脚部パーツ5A、5Bの基部33、33の上面に当接するまで下方に移動させれば燃え殻受け17の取り付けが完了する。
【0034】
次に、組み立てられた2つの脚部パーツ5A、5Bの4ヶ所の支持部36から上方に向けて突出している4つの係合凸部27に、本体部3の外周部23に形成されている4つの係合穴29の位置が一致するように位置合わせし、両者を係合させることで本体部3を上記組み立てた脚部9上に取り付ける。
次に、止め金具11の挿嵌部43を、本体部3の中心部25に形成されている係合穴31に対して上方から挿し込み、当該挿嵌部43の底面が上記組み立てられた脚部9に設けられている切欠き部41、41の底部に当接するまで下方に移動させる。
【0035】
この状態で交差する2つの脚部パーツ5A、5Bの間の空間に側方より抜け止め金具13を進入させて、抜け止め金具13の挿嵌部47を交差する2つの係合穴51、51の前方側の部位に通す。更に、抜け止め金具13の挿嵌部47を上記止め金具11に形成されている係合穴44に貫通させ、交差する2つの係合穴5、51の後方側の部位と係合する位置まで挿し込めば焚火台1の組み立てが完成する。
このようにして組み立てられた焚火台1には、
図1に示すような逆円錐台形状の立体的な焚火スペースSが形成される。
【0036】
(B)分解手順
このようにして組み立てられた焚火台1を分解する場合には、上述した組立て手順と逆の手順を実行すればよく、最初に抜け止め金具13を側方に引き抜き、止め金具11を上方に引き抜いて本体部3の中心部25と脚部9との接続を解除する。
これにより、バネ作用部21は、その付勢力により当初の平面状態に戻ろうとして上方に移動するため、本体部3は、外周部23、バネ作用部21及び中心部25がすべて同一平面に位置する1枚の円板状の形状へと変化する。
【0037】
次に、上記円板状の本体部3を上方に移動させて係合凸部27と係合穴29との係合を解除すれば、本体部3と脚部9との接続は解除される。
次に、組み立てられた脚部9の支持アーム35に、スリット53が係合している燃え殻受け17を上方に引き上げて取り外す。
更に、組み立てられた脚部9の脚部パーツ5Aを上方に引き上げて2つの脚部パーツ5A、5Bにおける係合スリット39A、39Bの係合を解除すれば、
図9に示すように焚火台1がすべての構成要素に分解される。
【0038】
そして、このようにして構成される本発明の焚火台1によれば、部品点数の少ない焚火台1が提供できるから、焚火台1の製品コストを低く抑え、組立て・分解作業を容易にすることができる。これにより、焚火台1の組立て・分解作業を誰でも短時間で行えるようになるから、焚火台1をより使い易くして、その需要の拡大に寄与することができる。
また、本発明の焚火台1は、強度の面でも優れているから、重量の重い鍋や鉄板等を使用しても安心・安全な焚火台1の使用が可能になる。
【0039】
[他の実施の形態]
本発明の焚火台1は、上述した実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での変更が可能である。
例えば、本体部3の収納時の形状は、円板状に限らず、楕円平板状、矩形平板状、それ以外の多角形平板形状等、種々の形状を採用することができる。また、スリット19の平面形状も円を基調とする渦巻き形状の他、多角形、楕円等他の形状を基調とした渦巻き形状であってもよい。
【0040】
また、脚部パーツ5A、5Bの形状もX字形状に限らず、H字形状あるいは湾曲させたアーチ形状を上下に連結した形状等、他の形状であってもよい。また、脚部パーツ5の数も2枚に限らず、3枚以上であっても構わない。
また、燃え殻受け17の形状も上記本体部3と同様、円板状に限らず他の形状を採用することが可能である。また、燃え殻受け17の外周部を上方に少し立ち上げてトレー状にすることも可能である。因みに、このような形状にすれば、燃え殻受け17からの燃え殻の落下を少なくすることができる。
更に、脚部パーツ5の数の増減や形状の変化に対応して、本体部3の外周部23に形成される係合穴29の位置と伸長方向、数を適宜可変することが可能である。加えて、燃え殻受け17に対して形成されるスリット53の形状や位置、本数等も同様に、適宜可変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の焚火台は、常設の焚火施設を有しないキャンプ場等において、持ち運び可能な焚火台を持ち込んで炊事やキャンプファイヤー等を行う場合に利用でき、特に組立て・分解作業が容易で、使い勝手に優れ、安心・安全に使用できる強度を得たい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0042】
1 焚火台
3 本体部
5 脚部パーツ
7 脚部フレーム
9 脚部
11 止め金具
13 抜け止め金具
15 止め具
17 燃え殻受け
19 スリット
21 バネ作用部
23 外周部
25 中心部
27 係合凸部
29 係合穴
31 係合穴
33 基部
35 支持アーム
36 支持部
37 脚部アーム
38 接地部
39 係合スリット
41 切欠き部
43 挿嵌部
44 係合穴
45 頭部
47 挿嵌部
49 頭部
51 係合穴
53 スリット
55 穴部
S 焚火スペース
GL 地面
t 板厚
Z 上下方向
R 半径方向
X,Y 水平方向