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特許7312493PTPブリスター包装材、これを含むPTPブリスター包装体及びこれの製造方法
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  • 特許-PTPブリスター包装材、これを含むPTPブリスター包装体及びこれの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】PTPブリスター包装材、これを含むPTPブリスター包装体及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20230713BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B65D65/02 E
B65D75/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022076549
(22)【出願日】2022-05-06
(65)【公開番号】P2022172473
(43)【公開日】2022-11-16
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0057794
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522178843
【氏名又は名称】アイコニック ヒュージョンズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(74)【代理人】
【識別番号】100207022
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョジン
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-037448(JP,A)
【文献】特開2004-114582(JP,A)
【文献】特開2005-103777(JP,A)
【文献】特開平09-241401(JP,A)
【文献】韓国特許第10-2332382(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第104530664(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/02
B65D 75/34
B29C 51/08
B29C 51/00
C08G 63/00- 64/42
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有粘度(Intrinsic Viscosity)0.70~0.78dl/gのPET系共重合体を含む第1樹脂、固有粘度0.80~0.85dl/gのPET系共重合体を含む第2樹脂、及びマスターバッチを含み、
前記第2樹脂18~25重量%、前記マスターバッチ5~15重量%、及び残量の第1樹脂を含むPTP(Press through package)ブリスター包装材。
【請求項2】
第1樹脂及び第2樹脂のPET系共重合体は、固有粘度の差が0.06~0.02dl/gであることを特徴とする請求項1に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項3】
前記第1樹脂のPET系共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、及び(C~Cのアルキレン)ジオールの共重合体を含み、
前記第2樹脂のPET系共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、及びエチレングリコールジオールの共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項4】
前記第1樹脂のPET系共重合体は、熱分解温度(Decomposition temperature)300℃以上、融点(melting point)240℃以上、及び相対密度(Relative density)1.36~1.50g/cmであり、
前記第2樹脂のPET系共重合体は、熱分解温度300℃以上、融点240℃以上、及び相対密度1.38~1.40g/cmであることを特徴とする請求項1に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項5】
前記マスターバッチは、分散剤0.5~2.0重量%、分解剤0.5~3.0重量%、及び残量のPET系共重合体樹脂を含み、
前記PET系共重合体樹脂は、前記第2樹脂と同一の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項6】
前記分散剤は、ZnO、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、及び界面活性剤(surfactant)のうち、選択された1種以上を含み、
前記分解剤は、ジクミルペルオキシド(Dicumyl peroxide)、ナトリウム粉末、亜鉛粉末、ゼオライト粉末、炭酸カルシウム、及び(C~Cのアルキレン)ビスステアロアミド((C~C alkylene) bis stearamide)を重合させて製造した重合体を含むことを特徴とする請求項に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項7】
前記重合体は、ジクミルペルオキシド5~8重量%、ナトリウム粉末3~6重量%、亜鉛粉末5~10重量%、ゼオライト粉末8~12重量%、炭酸カルシウム0.1~1.0重量%、及び残量の(C~Cのアルキレン)ビスステアロアミドを重合させて製造したことを特徴とする請求項に記載のPTPブリスター包装材。
【請求項8】
請求項1ないし請求項のいずれか一項のPTPブリスター包装材を加工したフィルム形態またはシート形態であることを特徴とするPTPブリスター包装体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項のいずれか一項のPTPブリスター包装材を配合して配合物を製造する第1段階;
前記配合物を結晶化器に投入した後、結晶化工程を遂行する第2段階;
結晶化工程を遂行した配合物を乾燥機に投入した後、乾燥工程を遂行する第3段階;
乾燥工程を遂行した配合物を成形工程を遂行してフィルム化またはシート化された成形物を製造する第4段階;及び
前記成形物をローリング(rolling)させて包装する第5段階;を含む工程を遂行することを特徴とするPTPブリスター包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たなPET系PTP(Press through package)ブリスター包装材(blister packaging material)、これを利用して製造したPTPブリスター包装体(blister package)及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PTP包装は、プラスチックシートを加熱成形して1個または複数個の窪んだ空間を作って、その内に物品を入れて開口部を紙、板紙、プラスチックフィルムやシート、アルミ箔などで覆い、周辺部を基本材料と接着した包装である。これに用いられるプラスチックフィルムやシートは熱可塑性プラスチックであり、大部分はポリ塩化ビニルが用いられる。この包装の特徴は成形された透明な部分から商品をよく見ることができ、反対側の板紙部分に使用法などを表示することができる。用途は乾電池やカミソリ、歯ブラシなどの電気製品や日用品などをフックにかけて使用するので展示効果を高め、内容物に比べて体積が高いので盗難防止(pilfer-proof)の機能も有する。食品と医薬品の場合は改竄防止のために密封が必要であるので、プラスチック間のヒートシールがなされている。特に医薬品の中には、熱可塑性プラスチックシートに加熱成形し、錠剤やカプセルを窪んだ空間に入れて開口部はアルミニウムにヒートシール剤をコーティングした材料でヒートシールしたPTP(press through package)包装法を使用する製品もたくさんあるが、使用するときにはプラスチック側から加圧してアルミ箔を通じて包装された錠剤、カプセル、食品などを抜き取る方式である。
【0003】
PTP包装の一種のブリスター包装の世界市場規模は2019年に201憶ドル以上に達し、2018~2028年のCAGRは6.35%と予測されると調査されたものがあり、その規模が持続的に拡大されている。
【0004】
ブリスター包装(blister packaging)方式はロール形態に加工された薄いプラスチックシート(またはフィルム)を加熱して加熱されたプラスチックフィルムを金型に付着させて包装材の形状を作る成形方法であって、国内では真空成形とケトバシなどの用語としで多く使われているプラスチック包装容器の生産の最も代表的な生産工程である。ブリスター包装には真空成形機を使用しながら加熱されたプラスチック樹脂を入れて成形機器内に装着された金型に加熱されたシートを金型に密着させて内部を真空状態にした後、金型内部に空気を急速に投入して製品を成形する。また、成形された製品は冷却過程を経て離型(または脱型-金型から成形品を取り外す作業)のために成形品を裁断する切断過程が必要である。また、真空成形の場合、成形品の形状にしたがって金型の形状だけでなく、離型(切断)のための別途の刃が取り付けられた板も製作する必要があり、成形に使用される主な樹脂としては、価格が安いPVC(polyvinyl chloride)が多く使用され、小さい力で容易く切断することができる利点があるが(図1参照)、有害成分が発生する問題があってPET生地が開発された。
【0005】
しかし、PET生地のPTPブリスター包装材は、図2のA~Cに写真で示すように、数十回折ってもうまく切断されず、強い力を与えて一部切断をしても切断面がきれいにならないので切断面によって手が切れるとか傷つく問題が発生している実状であり、ガム、チョコレートなどの食品用PTPブリスター包装材の場合、子供たちが包装材から食品を取り出す場合に傷つくことが頻繁に発生する問題がある。
【0006】
したがって、PVCのように適正な力を加えると、容易に切断されながら、切断時にきれいな切断面が形成されることができるPTPブリスター包装材用PET生地の需要が増大している実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-2075089号公報(公告日2020.02.07)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0088540号公報(公開日2019.07.26)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のPET系PTPブリスター包装材の問題点であるうまく切断されず、切断面が鋭くなる問題を解決した新たな素材の包装材であって、最適の組成及び最適の組成比を含むPTPブリスター包装材及びこの製造方法及びこれを含むブリスター包装体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するために、本発明のPTPブリスター包装材は、固有粘度0.70~0.78dl/gのPET系共重合体、固有粘度0.80~0.85dl/gのPET系共重合体、及びマスターバッチを含む。
【0010】
本発明の他の目的は、前記包装材を加工して製造したブリスター包装体を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、前記PTPブリスター包装材及び/または包装体を製造する方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のPTPブリスター包装材で製造されたシート形態またはフィルム形態のブリスター包装体は過度な力を加えなくても容易に切断され、特に切断面が鋭く形成されないところ、鋭い切断面によって使用者が傷つくことを未然に防止することができ、リサイクルすることができる環境に優しい素材として高い商品性を有するブリスター包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一般のポリ塩化ビニル素材のPTPブリスター包装材で包装された製品を手で切断した写真である。
図2】従来のPET素材のPTPブリスター包装材で包装された製品を手で切断した写真である。
図3】本発明のフィルム(またはシート)形態のPTPブリスター包装体を製造する工程写真を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のPTPブリスター包装材についてもっと具体的に説明する。
【0015】
本発明のPTPブリスター包装材は、2種の固有粘度が互いに異なるPET系共重合体樹脂を導入して製造し、具体的には低固有粘度(Intrinsic Viscosity)のPET系共重合体を含む第1樹脂、高固有粘度のPET系共重合体を含む第2樹脂、及びマスターバッチを含む。
【0016】
前記第1樹脂及び第2樹脂のPET系共重合体は、固有粘度差が0.06~0.02dl/gであることが、望ましくは0.05~0.03dl/gであることが、もっと望ましくは0.05~0.04dl/gであることがよい。この時、固有粘度差が0.06dl/gを超過すると、PTPブリスター包装材として要求される機械的な物性が低下しうる一方、固有粘度差が0.02dl/g未満であれば、本発明の包装材で製造されたブリスター包装体の切断面が滑らかではない問題が生じうるので、前記範囲内の固有粘度差を有するPET樹脂を使用することが好ましい。
【0017】
前記第1樹脂の低固有粘度のPET系共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、及び(C~Cのアルキレン)ジオールの共重合体を含み、望ましくはイソフタル酸、テレフタル酸及び(C~Cのアルキレン)ジオールの共重合体を含むことができ、もっと望ましくはイソフタル酸、テレフタル酸、及び(C~Cのアルキレン)ジオールの共重合体を含むことができる。
【0018】
前記低固有粘度のPET系共重合体は、固有粘度0.70~0.78dl/g、望ましくは0.72~0.78dl/g、もっと望ましくは0.745~0.765dl/gであることがよい。この時、固有粘度が0.70dl/g未満であれば、PTPブリスター包装材の機械的な物性が低下する問題が発生しうる一方、固有粘度が0.78dl/gを超過すると、第2樹脂との固有粘度差がほとんどないので、製造しようとする包装材を製造することができないところ、前記範囲内の固有粘度を有するPET系共重合体を使用することがよい。また、前記第1樹脂は、熱分解温度(Decomposition temperature)300℃以上、融点(melting point)240℃以上、及び相対密度(Relative density)1.36~1.50g/cmであることができ、望ましくは相対密度1.38~1.46g/cmであることができる。
【0019】
PTPブリスター包装材の組成中、前記第2樹脂の高固有粘度のPET系共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、及びエチレングリコールの共重合体を含み、熱分解温度300℃以上、融点240℃以上、及び相対密度1.38~1.40g/cmであることができる。前記高固有粘度のPET系共重合体は固有粘度0.80~0.85dl/gであることができ、望ましくは0.80~0.82dl/gであることができる。
【0020】
PTPブリスター包装材の組成中、マスターバッチは、第1樹脂と第2樹脂の配合物の硬化物性及び破断物性を変化させる役割をするものであって、分散剤、分解剤、及びPET系共重合体を含むことができる。
【0021】
マスターバッチ成分中の前記分散剤は、PTPブリスター包装材の構成成分同士がよく配合されるようにする役割及び物質の吸着のために使用するものであって、ZnO、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、及び界面活性剤(surfactant)の中から選択された1種以上を含むことができ、望ましくはZnO及びポリエチレンワックスの中から選択された1種以上を含むことができる。
【0022】
また、分散剤の含量は、マスターバッチ全体重量中、0.5~2.0重量%、望ましくは0.5~1.5重量%、もっと望ましくは0.7~1.2重量%を含むことができる。この時、分散剤含量が0.5重量%未満であると、その使用量が少なすぎて配合物の間の混合性が不足するという問題が発生しうる一方、分散剤含量が2重量%を超過して使用することは過量使用であり、むしろPTPブリスター包装材の柔軟性が低下する問題が発生しうるので、前記範囲内に使用することが良い。
【0023】
マスターバッチ成分中の前記分解剤は、製造されたPTPブリスター包装材がうまく切断され、切断面を滑らかにする役割をするものであって、マスターバッチ全体重量中、0.5~3.0重量%、望ましくは0.6~2.0重量%、もっと望ましくは0.8~1.5重量%を含むことができる。この時、分解剤含量が0.5重量%未満であると、その使用量が少なすぎて切断面を滑らかにする効果が不十分な場合もあり、分解剤含量が3.0重量%を超過して使用することは過量使用であり、むしろPTPブリスター包装材のフィルム生産時破断によって生産に支障が出る問題があるかもしれないので、前記範囲内に使用することが良い。
【0024】
また、前記分解剤は、ジクミルペルオキシド(Dicumyl peroxide)、ナトリウム粉末、亜鉛粉末、ゼオライト粉末、炭酸カルシウム、及び(C~Cのアルキレン)ビスステアロアミド((C~C alkylene) bis stearamide)を重合させて製造した重合体を含むことができ、望ましくはジクミルペルオキシド5~8重量%、ナトリウム粉末3~6重量%、亜鉛粉末5~10重量%、ゼオライト粉末8~12重量%、炭酸カルシウム0.1~1.0重量%及び残量の(C~Cのアルキレン)ビスステアロアミドを重合させて製造した重合体を含むことができ、もっと望ましくはジクミルペルオキシド6~8重量%、ナトリウム粉末3~5重量%、亜鉛粉末5~8重量%、ゼオライト粉末10~12重量%、炭酸カルシウム0.1~0.5重量%及び残量の(C~Cのアルキレン)ビスステアロアミドを重合させて製造した重合体を含むことができる。
【0025】
また、マスターバッチ成分中のPET系共重合体は、第2樹脂の前記高固有粘度のPET系共重合体を使用することが良い。
【0026】
本発明のブリスター包装材は、前記第2樹脂18~25重量%、前記マスターバッチ5~15重量%、及び残量の前記第1樹脂を含むことができ、望ましくは前記第2樹脂18.5~23.5重量%、前記マスターバッチ7.5~12.5重量%、及び残量の前記第1樹脂を含むことができ、もっと望ましくは前記第2樹脂19.0~22.0重量%、前記マスターバッチ8.0~12.0重量%、及び残量の前記第1樹脂を含むことができる。この時、第2樹脂含量が18重量%未満であるか、又は25重量%を超過すると、製造されたPTPブリスター包装材の機械的な物性が良くないとか、切断面が滑らかでないとかいう問題があるかもしれない。また、マスターバッチ含量が5重量%未満であると、製造されたPTPブリスター包装材がうまく切断されない問題が発生しうる一方、15重量%を超過使用すると過量使用として、生産時に破断によって生産に支障が出る問題があるかもしれないので、前記範囲内で使用することが良い。
【0027】
本発明のPTPブリスター包装材は、先に説明した第1樹脂、第2樹脂、及びマスターバッチ以外に、物性を低下させない範囲内で可塑剤、紫外線遮断剤、酸化防止剤、強度向上剤、難燃剤、衝撃補強剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0028】
本発明のブリスター包装体は、先に説明したPTPブリスター包装材を成形加工したフィルム形態またはシート形態であることができる。
【0029】
また、ブリスター包装体は、包装対象物を受容する受容部と平坦部及び蓋包装体からなり、前記蓋包装体は、本発明のPTPブリスター包装材で製造されたフィルムまたはシートを含むことができる。
【0030】
また、前記蓋包装体は、前記フィルムまたはシートのPTPブリスター包装材の上部及び/または下部に気密性層、印刷層などをさらに含むことができる。
【0031】
前記平坦部はアルミニウム箔などを含むことができる。
【0032】
これに対してもっと具体的に説明すると、図3に製造工程を写真で示すように、先に説明したPTPブリスター包装材を配合して配合物を製造する第1段階;前記配合物を結晶化器に投入した後、結晶化工程を遂行する第2段階;結晶化工程を遂行した配合物を乾燥機に投入した後、乾燥工程を遂行する第3段階;及び乾燥工程を遂行した配合物を成形工程を遂行してフィルム化またはシート化された成形物を製造する第4段階;を含む工程を遂行してフィルム形態またはシート形態のブリスター成形体を製造することができる。
【0033】
また、第4段階の前記成形物をローリング(rolling)させて包装する第5段階;を含む工程をさらに含むことができる。
【0034】
第1段階のPTPブリスター包装材は、組成及び組成比は先に説明したようである。
【0035】
第2段階の結晶化工程は、乾燥工程で原材料がホッパ-内部に融着されないようにするために遂行する工程であって、ブロアヒータ温度200~230℃、望ましくは210~230℃、もっと望ましくは220~230℃下で2~6時間、望ましくは3~5時間程度の条件で遂行することができる。この時、ブロアヒータ温度が200℃未満であると、乾燥工程で原材料が固まる問題が発生しうる一方、ブロアヒータ温度が230℃を超過すると、PTPブリスター包装材成分内第1樹脂及び/または第2樹脂が熱分解する問題があるかもしれないので、前記範囲内で結晶化工程を遂行することが良い。
【0036】
第3段階の乾燥は、原料湿気除去するための工程であって、120~180℃下で、望ましくは120~160℃下で30分~2時間程度遂行することが良い。この時、乾燥工程温度が120℃未満であると、工程時間がとても長くなりすぎて生産性が低下される問題があり、乾燥工程温度が180℃を超過すると、原料が炭化されて黒点、染みなどが発生する問題があるかもしれないので、前記温度範囲で乾燥工程を遂行することが良い。
【0037】
第4段階の前記成形工程は、当業界で使用する一般的な成形方法で遂行することができ、望ましい一例をみると、押出ヘッド温度250~290℃、Tダイ温度230~270℃及び10~14kgf/cm圧力下で押出成形を遂行して、シートまたはフィルムを製造することができる.
【0038】
先に説明したPTPブリスター包装材を使用して製造した本発明のフィルム形態ないしシート形態のブリスター包装体は、破断点物性が優秀でありながら、既存のPVC素材のブリスター包装のように切断が容易でありながら切断面が滑らかである。
【0039】
本発明の前記シート形態のブリスター包装体を利用して製造したPTPブリスター包装体は、ASTM D1708に基づいて測定時、引張強度が600kgf/cm以上、望ましくは600~700kgf/cmを満足することができる。
【0040】
また、前記シート形態のブリスター包装体を利用して製造したPTPブリスター包装体は、ASTM D256方法に基づいて測定時、衝撃強度が3.7kgf・cm/cm以上、望ましくは3.9~5.0kgf・cm/cm、もっと望ましくは3.9~4.7kgf・cm/cmを満足することができる。
【0041】
また、前記シート形態のブリスター包装体を利用して製造したPTPブリスター包装体は、ASTM D177方法に基づいて測定時、熱伝導率が(6.5~8.0)×10/℃、望ましくは(6.5~7.7)×10/℃を、もっと望ましくは(6.5~7.5)×10/℃を満足することができる。
【0042】
また、前記シート形態のブリスター包装体を利用して製造したPTPブリスター包装体は、ISO527に基づいて測定時、破断点が25~35%、望ましくは27~34%を満足することができる。
【0043】
以下、実施例を通じて本発明をもっと具体的に説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限することではなく、これは本発明の理解を助けるためのものとして解釈されなければならない。
【実施例
【0044】
実施例1:PTPブリスター包装材及びシート形包装体の製造
(1)PTPブリスター包装材の製造
イソフタル酸、テレフタル酸、及び(C~Cのアルキレン)ジオールを共重合させて製造した固有粘度0.76dl/gのPET系共重合体(熱分解温度:300℃以上、融点:240℃以上、相対密度:1.38~1.46g/cmを含む第1樹脂を準備した。
【0045】
イソフタル酸、テレフタル酸、及びエチレングリコールジオールを共重合させて製造した固有粘度0.80dl/gのPET系共重合体(熱分解温度:300℃以上、融点:240℃以上、相対密度:1.38~1.40g/cmを含む第2樹脂を準備した。
【0046】
分散剤としてのZnO 1重量%、分解剤1重量%、及び残量の前記固有粘度0.80dl/gのPET系共重合体を混合及び攪拌して製造したマスターバッチを準備した。
【0047】
前記分解剤は、ジクミルペルオキシド7.2重量%、ナトリウム粉末3.8重量%、亜鉛粉末6.2重量%、ゼオライト粉末11.3重量%、炭酸カルシウム0.4重量%、及び残量のエチレンビスステアロアミドを重合させて製造した重合体を含む。
【0048】
次に、前記第2樹脂20重量%、前記マスターバッチ10重量%、及び残量の前記第1樹脂を配合機に投入した後、20分間配合してPTPブリスター包装材(比重1.25~1.40)を製造した(図3参照)。
【0049】
(2)シート形ブリスター包装体の製造
前記PTPブリスター包装材、すなわち、配合物を結晶化器に投入した後、ブロアヒータ温度225~230℃で4時間の間、結晶化工程を遂行した。
【0050】
次に、結晶化工程を遂行した配合物を乾燥機に投入した後、140℃で1時間の間、乾燥を遂行した。
【0051】
次に、乾燥工程を遂行した配合物を押出ヘッド温度270℃、Tダイ温度250℃、及び11~12kgf/cm圧力下で押出成形を遂行してシート形ブリスター包装体を製造した。
【0052】
次に、押出成形工程を遂行して製造されたシートをロール巻き(ローリング)を遂行して完成品を製造した(図3参照)。
【0053】
実施例2~6及び比較例1~6
前記実施例1と同一の方法でシート形PTPブリスター包装体を製造するが、下記表1のように包装材製造に使用される第1樹脂、第2樹脂、及びマスターバッチの組成及び組成比を異にしてPTPブリスター包装材を各々製造した後、これを利用してシート形PTPブリスター包装体を製造して実施例2~6及び比較例1~6を各々実施した。
【0054】
この時、比較例5の第2樹脂を構成するPET共重合体は固有粘度0.86dl/gであるものを使用し、比較例6の第2樹脂は第1樹脂と同一のものを使用した。
【0055】
【表1】
【0056】
試験例:物性測定
前記実施例1~6及び比較例1~6で製造したPTPブリスター包装体に対する比重、引張強度、衝撃強度、熱伝導率、及び破断点を測定し、その結果を下記表2に示す。
【0057】
このとき、引張強度はASTM D1708方法に基づいて測定したものである。衝撃強度はASTM D256方法に基づいて測定したものである。熱伝導率はASTM D177方法に基づいて測定したものである。破断点はISO527に基づいて測定したものである。
【0058】
【表2】
【0059】
前記表2の物性測定結果をみると、本発明のPTPブリスター包装材で製造したシート形包装体は引張強度600~700kgf/cm、衝撃強度3.9~5.0kgf・cm/cm、熱伝導率(6.5~7.5)×10/℃、及び25~35%程度の適正破断点(ISO527測定)を有することを確認することができた。
【0060】
これに反して、第2樹脂を18重量%未満の含量で使用した比較例1の場合、実施例1及び実施例2と比較すると、機械的な物性が相対的に大きく減少する問題があり、第2樹脂を25重量%超使用した比較例2の場合、実施例1及び実施例3と比較すると、引張強度が優秀であるが、むしろ衝撃強度の増大効果がないながら破断点が高すぎる結果を示し、包装体の切断面が滑らかでない結果を示した。
【0061】
また、マスターバッチ含量が5重量%未満である比較例3の場合、実施例4と比較すると、破断点が急激に増加する問題があり、その結果、包装体がうまく切断されない問題があった。
【0062】
そして、マスターバッチ含量が5重量%未満である比較例4の場合、実施例5と比較すると、むしろ破断点が低すぎて生産性が良くない問題があった。
【0063】
第1樹脂と第2樹脂の固有粘度差が0.06dl/gを超過した比較例5の場合、実施例1及び実施例6と比較すると、熱伝導率は優秀であるが、引張強度、衝撃強度、及び破断点の機械的な物性が大きく減少する問題があった。
【0064】
そして、第1樹脂と第2樹脂の固有粘度差がない比較例6の場合、破断点が高すぎる問題があり、包装体の切断面が滑らかでない問題があった。
【0065】
前記実施例及び試験例を通じて、本発明のPTPブリスター包装材を利用して製造したPTPブリスター包装体が優秀な機械的な物性を有しながら適当範囲の破断点を有するところ、切断面が滑らかに形成されるPTPブリスター包装体を提供することができることを確認した。
図1
図2
図3