(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】内装変速機のクラッチ装置
(51)【国際特許分類】
B62M 11/16 20060101AFI20230713BHJP
F16D 41/12 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B62M11/16 G
B62M11/16 A
F16D41/12 C
(21)【出願番号】P 2022081467
(22)【出願日】2022-05-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】513286166
【氏名又は名称】介▲隆▼興齒輪股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 仁 熾
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196926(JP,A)
【文献】特表2008-510104(JP,A)
【文献】特開2008-174227(JP,A)
【文献】特表平10-503737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 11/16
F16D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸(1)と、遊星キャリア(2)と、歯止め(3)と、サンギア(4)と、カムベース(5)と、歯止めクラッチリング(6)と、左爪軸(71)と、右爪軸(72)と、レバー(8)と、爪軸スライダー(81)と、シャフトクロー(10)と、内歯車リング(9)と、を備える内装変速機のクラッチ装置であって、
前記レバーの前記爪軸スライダーの軸方向の変位及び前記カムベースのスロープ(52)により前記左爪軸及び前記右爪軸を操作して回転が必要な部材である前記遊星キャリアに対しクラッチし、
且つ前記左爪軸及び前記右爪軸の爪軸(7)と前記歯止めクラッチリングとの連結により順にステップ回転し、
前記歯止めクラッチリングにより前記車軸と前記サンギアとの間にある前記シャフトクローの開閉を制御し、
前記サンギアを固定するか固定しないか制御することを含むことを特徴とする内装変速機のクラッチ装置。
【請求項2】
前記カムベースには前記レバーの前記爪軸スライダーを軸方向に変位するように位置決めするためのガイド溝(51)、及び前記爪軸スライダーと組み合わせて前記左爪軸及び前記右爪軸を制御する前記スロープが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内装変速機のクラッチ装置。
【請求項3】
前記歯止めクラッチリングの内周面は前記サンギアと前記車軸との間にある前記シャフトクローの開閉を制御するためのインナーカム面(61)として設けられ、且つ前記歯止めクラッチリングは前記爪軸を介して前記左爪軸及び前記右爪軸に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の内装変速機のクラッチ装置。
【請求項4】
前記左爪軸及び前記右爪軸は前記爪軸を介して前記歯止めクラッチリングに連結され、前記左爪軸及び前記右爪軸の後端は前記カムベースに当接するように接触することを特徴とする請求項1に記載の内装変速機のクラッチ装置。
【請求項5】
前記左爪軸及び前記右爪軸の爪端は前記レバーの前記爪軸スライダー及び前記カムベースの前記スロープにより前記遊星キャリアと連動するか連動しないように制御されることを特徴とする請求項1に記載の内装変速機のクラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装変速機のクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な既知の内装変速機はサンギアを固定するか固定しないことによりシフトチェンジを行っている。関連する既知の内装変速機のクラッチ構造技術の創作において、創作理念及び技術思想の違いに基づいた運用の差異により、同じ効果を求める対象に対する構造の違い及び長所と短所の違いが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、構造が複雑であり、部材が多く、部材が受力した際の損耗が激しく、耐用年数が短い等の問題が存在する。これらの問題が技術的創作の産業上の利用性及び経済効果に重大な影響を及ぼすという欠点がある。このため、如何に更なる技術的革新を進めるかが、業界が改善に尽力し、前進するために突破を目指す目標となっている。
【0004】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、内装変速機のクラッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の内装変速機のクラッチ装置は、車軸(1)と、遊星キャリア(2)と、歯止め(3)と、サンギア(4)と、カムベース(5)と、歯止めクラッチリング(6)と、左爪軸(71)と、右爪軸(72)と、レバー(8)と、爪軸スライダー(81)と、シャフトクロー(10)と、内歯車リング(9)と、を備え、前記レバーの前記爪軸スライダーの軸方向の変位及び前記カムベースのスロープ(52)により前記左爪軸及び前記右爪軸を操作して回転が必要な部材である前記遊星キャリアに対しクラッチし、且つ前記左爪軸及び前記右爪軸の爪軸(7)と前記歯止めクラッチリングとの連結により順にステップ回転し、前記歯止めクラッチリングにより前記車軸と前記サンギアとの間にある前記シャフトクローの開閉を制御し、前記サンギアを固定するか固定しないか制御する。
前記カムベースには前記レバーの前記爪軸スライダーを軸方向に変位するように位置決めするためのガイド溝(51)、及び前記爪軸スライダーと組み合わせて前記左爪軸及び前記右爪軸を制御する前記スロープが設けられる。
前記歯止めクラッチリングの内周面は前記サンギアと前記車軸との間にある前記シャフトクローの開閉を制御するためのインナーカム面(61)として設けられ、且つ前記歯止めクラッチリングは前記爪軸を介して前記左爪軸及び前記右爪軸に連結される。
前記左爪軸及び前記右爪軸は前記爪軸を介して前記歯止めクラッチリングに連結され、前記左爪軸及び前記右爪軸の後端は前記カムベースに当接するように接触する。
前記左爪軸及び前記右爪軸の爪端は前記レバーの前記爪軸スライダー及び前記カムベースの前記スロープにより前記遊星キャリアと連動するか連動しないか制御される。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上述に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(1)構造が簡略であり、コストが低く、体積が小さく、シフトチェンジ動作が精確な変速機のクラッチ装置である。
(2)実質的な産業上の利用性が優れ、経済効果が高い変速機のクラッチ装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置を組み立てた後の断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置のサンギアとシャフトクローの関係を示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の歯止めクラッチリングにより歯止めを開放する概略図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の歯止めクラッチリング(例として90度回転)により歯止めを閉じる概略図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置のカムベースを示す正面図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の爪軸スライダーを示す構成図である。
【
図12】本発明の一実施例の遊星キャリアとカムベースと爪軸スライダー(前進)と左爪軸と右爪軸の関係を示す概略図である。
【
図13】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の遊星キャリア、カムベース、及び爪軸スライダー(後退)の、遊星キャリアにより左爪軸と右爪軸を駆動し既定角度(例として90度回転)に回転する前の関係を示す概略図である。
【
図14】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の遊星キャリア、カムベース、及び爪軸スライダー(前進)の、遊星キャリアにより左爪軸と右爪軸を駆動し既定角度(例として90度回転)に回転した後の関係を示す概略図である。
【
図15】本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置の左爪軸と右爪軸を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態による内装変速機のクラッチ装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、説明する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
まず、本発明の一実施例に係る内装変速機のクラッチ装置について
図1から
図15に基づいて説明する。
本発明は、内装変速機のクラッチ構造を有する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施例に係る構成部材は車軸1と、遊星キャリア2と、歯止め3と、サンギア4と、カムベース5と、歯止めクラッチリング6と、左爪軸71と、右爪軸72と、レバー8と、爪軸スライダー81と、内歯車リング9と、シャフトクロー10と、ガスケットAと、遊星歯車21と、遊星歯車シャフト22と、歯止めリターンスプリング31と、サンギアカラー41と、位置決めリング42と、爪軸7と、爪軸リターンスプリング73と、位置決めピン74と、シャフトクローリターンスプリング101と、を備えている。車軸1の軸面にはレバー8を軸方向に変位するように位置決めするための凹型ガイド溝11が設けられている。遊星キャリア2は遊星歯車21を介してサンギア4に噛合され、サンギア4と車軸1との間ではシャフトクロー10によりサンギア4を固定するか固定しないか制御している。歯止め3は遊星キャリア2と内歯車リング9との間に設置され、且つ歯止めリターンスプリング31と組み合わせられている。
【0012】
図1及び
図4から
図15を参照すると、カムベース5にはレバー8の爪軸スライダー81を軸方向に変位するように位置決めするためのガイド溝51、及び爪軸スライダー81と組み合わせて左爪軸71及び右爪軸72を制御するスロープ52が設けられている。歯止めクラッチリング6の内周面はサンギア4と車軸1との間にあるシャフトクロー10の開閉を制御するためのインナーカム面61として設けられ、且つ歯止めクラッチリング6は爪軸7を介して左爪軸71及び右爪軸72に連結されている。左爪軸71及び右爪軸72は爪軸7を介して歯止めクラッチリング6に連結され、左爪軸71及び右爪軸72の後端はカムベース5に当接するように接触し、左爪軸71及び右爪軸72の爪端はレバー8の爪軸スライダー81及びカムベース5のスロープ52により遊星キャリア2と連動するか連動しないか制御されている。
【0013】
図1及び
図3から
図5に示すように、シャフトクロー10が上に反れるとサンギア4が固定され、回転動力が内歯車リング9から段階加速として出力される。シャフトクロー10が圧下されるとサンギア4が自由となり、回転動力が遊星キャリア2及び歯止め3から速度比1で直接出力され、これによりサンギア4を固定するか固定しないことで変速機能のシフトチェンジを達成している。歯止めクラッチリング6を既定角度(例として90度回転)に回転するように制御することでシャフトクロー10を開閉すると、サンギア4を固定するか固定しないか制御することを達成する。
【0014】
図1及び
図9から
図15に示すように、レバー8の爪軸スライダー81が右辺にある場合(即ち、レバー8の爪軸スライダー81が前方に押されていない場合)、右爪軸72の後端がレバー8の爪軸スライダー81により突き当てられ、右爪軸72が閉状態となる。レバー8の爪軸スライダー81が左辺に移動すると(即ち、レバー8の爪軸スライダー81が前に押された後)、右爪軸72の後端がレバー8の爪軸スライダー81により突き当てられなくなり、右爪軸72が開くと共に、回転が必要な部材である遊星キャリア2により既定角度に回転するように連動され、爪軸7が歯止めクラッチリング6に連結されることで歯止めクラッチリング6も既定角度に同期で回転する。右爪軸72がカムベース5のスロープ52を経た後に閉じるように自動的に回復すると、レバー8の爪軸スライダー81が左爪軸71に突き当てられ、1回でのシフトチェンジ動作を完成し、同時に爪軸7が歯止めクラッチリング6に連結されると共に順にステップ回転することにより、シャフトクロー10の開閉動作を達成し、シャフトクロー10がサンギア4を固定するか固定しないか制御することを順に実行する。
【0015】
本発明は以下の実用的な効果を発揮する。
(1)構造が簡略であり、コストが低く、体積が小さく、シフトチェンジが精確な内装変速機のクラッチ装置である。
(2)実質的な産業上の利用性に優れ、経済効果が高い内装変速機のクラッチ装置である。
【0016】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 車軸
11 凹型ガイド溝
2 遊星キャリア
21 遊星歯車
22 遊星歯車シャフト
3 歯止め
31 歯止めリターンスプリング
4 サンギア
41 サンギアカラー
42 位置決めリング
5 カムベース
51 ガイド溝
52 スロープ
6 歯止めクラッチリング
61 インナーカム面
7 爪軸
71 左爪軸
72 右爪軸
73 爪軸リターンスプリング
74 位置決めピン
8 レバー
81 爪軸スライダー
9 内歯車リング
10 シャフトクロー
101 シャフトクローリターンスプリング
A ガスケット
【要約】
【課題】内装変速機のクラッチ装置を提供する。
【解決手段】車軸と、遊星キャリアと、歯止めと、サンギアと、カムベースと、歯止めクラッチリングと、左爪軸と、右爪軸と、レバーと、爪軸スライダーと、シャフトクローと、内歯車リングと、を具備する。レバーの爪軸スライダーの軸方向の変位にカムベースのスロープの構成を組み合わせ、左爪軸及び右爪軸を操作して回転が必要な部材である遊星キャリアに対しクラッチし、且つ左爪軸及び右爪軸の爪軸と歯止めクラッチリングとの連結により、左爪軸及び右爪軸の爪端が遊星キャリアと連動するか連動しないか制御され、歯止めクラッチリングにより車軸とサンギアとの間にあるシャフトクローの開閉を制御し、サンギアを固定するか固定しないか制御し、内装変速機のクラッチの切り換え変速する。
【選択図】
図2