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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】改ざん防止機能付き包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20230713BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20230713BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/54 301J
B65D5/02 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019067957
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164216
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】老田 哲夫
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234724(US,A1)
【文献】米国特許第03076590(US,A)
【文献】特開2016-003040(JP,A)
【文献】特開2005-324820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/43
B65D 5/54
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側面板で形成された筒体の一端部に蓋部材が延設され、前記筒体の、前記蓋部材と同じ側の端部に開封用破断線で囲まれた開封部が設けられており、
前記蓋部材が前記開封部に連続し又は前記蓋部材の特定部位が前記開封部に固定された状態で、前記筒体の前記一端部が閉鎖される包装用箱において、
前記開封用破断線は、切れ目がX字状に配置されているとともにX字の交差部分が切り残し部になっている第1破断部と、前記開封部の輪郭に沿って形成された切れ目が設けられた第2破断部とを有し、前記第1破断部と前記第2破断部とが交互に配置され前記開封部を囲み、前記第1破断部及び前記第2破断部の端部同士が対向する部分では、前記第1破断部が有する切れ目の中の2つの切れ目の端部の間に前記第2破断部の切れ目の端部が入り込み、前記2つの切れ目の端部に対して離間して位置していることを特徴とする改ざん防止機能付き包装用箱。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記開封部が設けられた前記側面板以外の前記側面板に延設されており、
前記開封用破断線は、前記開封部の端部に摘み部を形成するための透孔を有し、前記第1破断部と前記第2破断部とが交互に配置されている途中の位置に前記透孔が配置されて前記開封部を囲み、
前記筒体は、前記開封部が設けられた前記側面板の一端部に、当該側面板の内側に重なって前記透孔を閉鎖する内面板が延設されている請求項1記載の改ざん防止機能付き包装用箱。
【請求項3】
複数の側面板で形成された筒体の一端部に蓋部材が延設され、前記筒体の、前記蓋部材と同じ側の端部に開封用破断線で囲まれた開封部が設けられており、
前記蓋部材の特定部位が前記開封部に固定された状態で、前記筒体の前記一端部が閉鎖される包装用箱において、
前記開封用破断線は、切れ目がX字状に配置されているとともにX字の交差部分が切り残し部になっている第1破断部と、前記開封部の端部に摘み部を形成するための透孔とを有し、前記透孔の片端又は両端に前記第1破断部が配置されて前記開封部を囲み、前記第1破断部及び前記透孔の端部同士が対向する部分では、前記第1破断部が有する切れ目の中の2つの切れ目の端部の間に前記透孔の切り込みの端部が入り込み、前記2つの切れ目の端部に対して離間して位置しており、
前記筒体は、前記開封部が設けられた前記側面板の一端部に、当該側面板の内側に重なって前記透孔を閉鎖する内面板が延設されていることを特徴とする改ざん防止機能付き包装用箱。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記開封部が設けられた前記側面板以外の前記側面板に延設されており、
前記開封部及び前記開封用破断線は、前記蓋部材を前記開封部に固定した状態で、前記蓋部材の端部が前記開封部の内面側に差し込まれ、差し込んだ部分が前記開封部の内壁面に糊付けされる形状である請求項1乃至3のいずれか記載の改ざん防止機能付き包装用箱。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記開封部が設けられた前記側面板以外の前記側面板に延設されており、
前記開封部及び前記開封用破断線は、前記蓋部材を前記開封部に固定した状態で、封緘テープを、前記蓋部材の表面及び前記開封部の表面に跨るように、且つ前記開封用破断線に重ならないように貼着可能な形状である請求項1乃至3のいずれか記載の改ざん防止機能付き包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開封用破断線を備えた改ざん防止機能付き包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装用箱には、複数の側面板で形成された筒体の一端部に蓋部材が延設され、筒体の、蓋部材と同じ側の端部に、開封用破断線で囲まれた開封部が設けられ、蓋部材が倒され、蓋部材が開封部に連続し又は蓋部材の特定部位が開封部に固定された状態で、筒体の一端部が閉鎖される構造のものがある。
【0003】
従来から、この種の包装用箱に、不正開封された時、その痕跡を顕著に残すための改ざん防止用の構造を付加することが提案されている。例えば、特許文献1に開示された包装用箱は、側面板の開封部を囲むミシン目状の開封用破断線に近接して、側面板の表面側から中間層にまで達する半切れの切り込みが設けられているという特徴がある。この包装用箱を開封するため、開封部を押して開封用破断線を破断させると、開封用破断線と半切れの切り込みとの間の部分が側面板の表面から剥離し、剥離後の部分に側面板の中間層が露出する。これが一度開封されたことを示す痕跡になり、不正に開封されたかどうかを視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3217732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された改ざん防止用の構造は、改ざん防止の効果がある程度は向上するが、不正開封された後、やはり未開封に見えるように巧妙に戻されてしまう可能性があるので、さらなる改善が求められる。さらに、近年、商品管理や品質管理等の理由で、開封されたことがより容易に明示される包装用箱が求められている。
【0006】
本発明は、不正に開封されたとしても、不規則で顕著な痕跡が確実に残り、未開封に見える綺麗な状態に戻すことが極めて困難な改ざん防止機能付き包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の側面板で形成された筒体の一端部に蓋部材が延設され、前記筒体の、前記蓋部材と同じ側の端部に開封用破断線で囲まれた開封部が設けられており、組み立て時に前記蓋部材が倒され、前記蓋部材が前記開封部に連続し又は前記蓋部材の特定部位が前記開封部に固定された状態で、前記筒体の前記一端部が閉鎖される包装用箱であって、
前記開封用破断線は、切れ目がX字状に配置されているとともにX字の交差部分が切り残し部になっている第1破断部と、前記開封部の輪郭に沿って形成された切れ目が設けられた第2破断部とを有し、前記第1破断部と前記第2破断部とが交互に配置され前記開封部を囲み、前記第1破断部及び前記第2破断部の端部同士が対向する部分では、前記第1破断部が有する切れ目の中の2つの切れ目の端部の間に前記第2破断部の切れ目の端部が入り込み、前記2つの切れ目の端部に対して離間して位置している改ざん防止機能付き包装用箱である。
【0008】
前記蓋部材は、前記開封部が設けられた前記側面板以外の前記側面板に延設されており、前記開封用破断線は、前記開封部の端部に摘み部を形成するための透孔を有し、前記第1破断部と前記第2破断部とが交互に配置されている途中の位置に前記透孔が配置されて前記開封部を囲み、前記筒体は、前記開封部が設けられた前記側面板の一端部に、当該側面板に重なって前記透孔を閉鎖する内面板が延設されている構成にすることができる。
【0009】
また、本発明は、複数の側面板で形成された筒体の一端部に蓋部材が延設され、前記筒体の、前記蓋部材と同じ側の端部に開封用破断線で囲まれた開封部が設けられており、組み立て時に前記蓋部材が倒され、前記蓋部材の特定部位が前記開封部に固定された状態で、前記筒体の前記一端部が閉鎖される包装用箱であって、
前記開封用破断線は、切れ目がX字状に配置されるとともにX字の交差部分が切り残し部になっている第1破断部と、前記開封部の端部に摘み部を形成するための透孔とを有し、前記透孔の片端又は両端に前記第1破断部が配置されて前記開封部を囲み、前記第1破断部及び前記透孔の端部同士が対向する部分では、前記第1破断部が有する切れ目の中の2つの切れ目の端部の間に前記透孔の切り込みの端部が入り込み、前記2つの切れ目の端部に対して離間して位置しており、前記筒体は、前記開封部が設けられた前記側面板の一端部に、当該側面板の内側に重なって前記透孔を閉鎖する内面板が延設されている改ざん防止機能付き包装用箱である。
【0010】
前記蓋部材は、前記開封部が設けられた前記側面板以外の前記側面板に延設されている場合、前記開封部及び前記開封用破断線は、前記蓋部材を前記開封部に固定した状態で、前記蓋部材の端部を前記開封部の内面側に差し込まれ、差し込んだ部分が前記開封部の内壁面に糊付けされる形状にすることが好ましい。あるいは、前記開封部及び前記開封用破断線は、前記蓋部材を前記開封部に固定した状態で、封緘テープを、前記蓋部材の表面及び前記開封部の表面に跨るように、且つ前記開封用破断線に重ならないように貼着可能な形状にすることが好ましい
【発明の効果】
【0011】
本発明の改ざん防止機能付き包装用箱は、開封用破断線に独特な構造の第1破断部を設けてあるので、不正に開封されたとしても、第1破断部が破断して顕著な痕跡が確実に残り、しかも、これを未開封に見える綺麗な状態に戻すことは極めて困難なので、開封されたことが容易に分かり、優れた改ざん防止の効果を得ることができる。また、第1破断部と第2破断部とを交互に配置する構成にすることによって、さらに改ざん防止の効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の改ざん防止機能付き包装用箱の第一の実施形態を示す斜視図である。
図2】第一の実施形態の包装用箱を形成する箱体形成片を表面側から見た展開図(a)、開封部及び開封用破断線の部分の拡大図(b)である。
図3図2(b)に示す開封用破断線の破断のしかたを説明するための模式図(a)、(b)である。
図4】第一の実施形態の包装用箱を開封した後の開封用破断線の部分の状態を示す拡大図(a)~(c)である。
図5】第一の実施形態の包装用箱の蓋部材を開封部に固定する時の固定方法の他の例を示す斜視図である。
図6】この発明の改ざん防止機能付き包装用箱の第二の実施形態を示す斜視図である。
図7】第二の実施形態の包装用箱を形成する箱体形成片を表面側から見た展開図(a)、開封部及び開封用破断線の部分の拡大図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の改ざん防止機能付き包装用箱の第一の実施形態について、図1図5に基づいて説明する。図1はこの実施形態の包装用箱10の組み立て状態を示しており、包装用箱10は、厚紙等で成るブランクシートから打ち抜いた一枚の箱体形成片12を組み立てることによって形成される。
【0014】
箱体形成片12は、図2(a)に示すように、側面板14,16,18,20が順に連接されている。側面板14,16,18,20は、連接方向と直交する幅方向は同じ長さであり、連接方向の長さは側面板16,20が長くて互いに等しく、側面板14,18がそれより短くて互いに等しい。側面板20の側縁部には、組み立て状態で側面板14の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。側面板14,16,18,20、糊付片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0015】
側面板14の、側面板同士の連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、台形のフラップ32が折罫線34で区切られて各々設けられている。側面板16は、側面板14の折罫線34に隣接する一対の端辺に何も延設されておらず、一方の端辺16aの内側に、開封部36が設けられている。開封部36は、端辺16aの中央部と開封用破断線38とで囲まれた略四角形の部分であり、開封用破断線38は、端辺16aの中央部から側面板16の中央に向かってコの字形に膨出した形状にレイアウトされている。
【0016】
開封用破断線38は、図2(b)に示すように、X字状に配置された第1破断部40と、開封部36の輪郭に沿って形成された切り込みである切れ目42aの第2破断部42とを有し、コの字形の中央部と両端の3箇所に第1破断部40が配置され、3つの第1破断部40の間の2箇所に第2破断部42が各々配置されて開封部36を囲んでいる。第1破断部40は、X字の交差部分が切り残し部であり、切り残し部以外の互いに独立した4つの切れ目40aにより構成されている。第1破断部40及び第2破断部42の端部同士が対向する部分では、第1破断部40が有する切れ目40aのうちの2つの切れ目40aの端部の間に、前記第2破断部42の端部が入り込んで、且つ各々均等に離間している。
【0017】
側面板18の、側面板同士の連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、台形のフラップ44が折罫線46で区切られて各々設けられている。側面板20の、側面板18の折罫線46に隣接する一対の端部には、矩形の蓋片48が折罫線50で区切られて各々設けられている。さらに、蓋片48の折罫線50と反対側の端部には、先端側の両角部が丸く面取りされた差込片52が折罫線54で区切られて各々設けられている。蓋片48及び差込片52は、この包装用箱10の蓋部材となる。
【0018】
次に、包装用箱10の組み立て方法の一例を説明する。図2(a)に示す箱体形成片12は表面側から見たものであり、以下、箱体形成片12の表面側が凸になる折り方を正折り、そして裏面側が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0019】
まず、糊付片22の表面に糊を塗布して折罫線28を正折りし、さらに折罫線24を正折りし、側面板14の裏面を糊付片22の表面に糊付けする。これで、包装用箱10が薄い折り畳み状態になり、この状態で出荷される。
【0020】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度に正折りし、側面板14,16,18,20を立体的な筒体56にする。そして、筒体56の、開封部36と反対側の端部を閉鎖するため、この端部に位置する折罫線34,46でフラップ32,44を90度に正折りする。その後、この端部にある差込片52の表面に糊58を塗布し、差込片52を折罫線54で正折りする。そして、この端部にある蓋片48を折罫線50で90度に正折りし、差込片52を側面板16の内側に差し込み、差込片52の表面を側面板16の裏面に糊付けする。これで筒体56の底蓋部が形成されたので、反対側の端部開口から収容物を中に入れる。
【0021】
次に、収容物を入れた端部開口を閉鎖して天蓋部を形成するため、底蓋部を形成した時と同様に、蓋片48を折罫線50で90度に正折りし、差込片52を側面板16の内側に差し込み、差込片52の表面を側面板16の開封部36の裏面に糊付けする。これで、筒体56の両端部が閉鎖され、図1に示す組み立て状態になり、収容物が包装用箱10とともに市場に出荷される。
【0022】
包装用箱10を開封する時は、開封部36を押圧し、その開封部36を囲む開封用破断線38を破断させる。そして、開封部36が側面板16から完全に切り離されると、蓋片48を開くことができる。
【0023】
この実施形態の包装用箱10の特徴は、開封用破断線38を破断させると、第1及び第2破断部40,42の破断状態が極めて不規則になる点である。図3(a)、(b)に示すように、例えば、最初に切れ目42a(1)の端部から破断し始めた場合を考えると、この破断は、切れ目40a(1)又は切れ目40a(2)の方向に進む可能性があるが、各々均等に離間しているのでどちらの方向に進むか予想することができず、場合によっては両方向に進むこともある。
【0024】
図3(a)に示すように、仮に、破断が切れ目40a(1)の方向に進んだとして、次は、切れ目40a(1)の反対側の端部から破断し始める。この破断は、切れ目40a(3)又は切れ目40b(4)の方向に進む可能性があるが、上記と同様に、どちらの方向に進むか予想することができず、場合によっては両方向に進むこともある。破断が切れ目40a(3)又は切れ目40a(4)に進むと、次は、切れ目40a(3)又は切れ目40b(4)の反対側の端部から破断し始める。この破断は、一律に切れ目42a(2)の方向に進む。
【0025】
このように、開封用破断線38の破断は、どの切れ目を順に通って進むか予想できず、図4(a)に示すように、開封用破断線38の周辺部の大部分が側面板16側に残る時があれば、図4(b)に示すように、開封部36側に残る時もある。また、破断しなかった繋ぎの部分(切れ目と切れ目の間の部分)にシワが発生したり、図4(c)に示すように開封用破断線38の周辺部の一部が立ち上がったりして、非常に乱雑な状態になる。したがって、不正に開封されたとしても、各部に顕著な痕跡が確実に残り、これを未開封に見える綺麗な状態に戻すことは極めて難しい。
【0026】
再封する時は、蓋片48を閉じて差込片52を側面板16の内側に差し込んで係止させればよい。なお、開封部36は、差込片52に糊付けされているので、以後は、差込片52と一体に移動する。
【0027】
以上説明したように、改ざん防止機能付き包装用箱10は、第1破断部と第2破断部とを交互に配置した独特な構造の開封用破断線38を設けてあるので、不正に開封されたとしても、各部に顕著な痕跡が確実に残り、しかも、これを未開封に見える綺麗な状態に戻すことは極めて困難なので、優れた改ざん防止の効果を得ることができる。さらに、開封されたことが明らかであり、遠くからでも分かりやすい。
【0028】
次に、包装用箱10の蓋部材を開封部36に固定する時の固定方法の他の例を説明する。図1に示す包装用箱10の場合、差込片52を開封部36に糊付けすることによって固定している。これに対して、図5に示す包装用箱10の場合は、封緘テープ60を、蓋片48の表面及び開封部36の表面に跨るように、且つ開封用破断線38に重ならないように貼着することによって固定している。
【0029】
包装用箱10の開封部36及び開封用破断線38は、開封部36が略四角形で、この開封部36を、側面板16の端辺16aとコの字形に膨出した形状の開封用破断線38とで囲むレイアウトになっている。このレイアウトであれば、糊付けによる固定と封緘テープ60による固定の両方が可能であり、同様の改ざん防止効果が得られる。なお、糊付けによる固定しか行われない場合は、開封部36を端辺16aに掛からないように設け、開封部36を開封用破断線38だけで囲むレイアウトにすることができる。
【0030】
次に、本発明の改ざん防止用の包装用箱の第二の実施形態について、図6図7に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。図6は、この実施形態の包装用箱62の組み立て状態を示しており、包装用箱62は、厚紙等で成るブランクシートから打ち抜いた一枚の箱体形成片64を組み立てることによって形成される。
【0031】
箱体形成片64は、上記の箱体形成片12の構成の一部を変更したものであり、主な変更点は、図7(a)に示すように、側面板16の端辺16aの側方に内面板66が設けられている点と、上記の開封用破断線38と異なる構造の開封用破断線72が設けられている点である。
【0032】
内面板66は、側面板16から延設された略四角形の板で、延設長さは側面板16の長辺の長さの1/2より少し短い。内面板66は、開封部36を囲む端辺16aの両端を延長した部分で側面板16と繋がり、折罫線68で側面板16と区切られている。また、端辺16aの中央部と対向する位置に、半円弧状の切り欠き70が設けられている。
【0033】
開封用破断線72は、図7(b)に示すように、端辺16aの中央部から側面板16の中央に向かってコの字形に膨出した形状にレイアウトされ、上記と同様の第1破断部40と、細長い透孔74とを有し、コの字形の中央部に透孔74が配置され、その両端に第1破断部40が一対に配置されて開封部36を囲んでいる。透孔74は、開封部36の端部に摘み部76を形成するために設けられている。切り込み74aは透孔74の一部(透孔74の両端部)であり、透孔74と第1破断部40とをスムーズに連続させるため、補助的に設けられている。
【0034】
次に、包装用箱62の組み立て方法の一例を説明する。図7(a)に示す箱体形成片64は表面側から見たものであり、ここでは、表面側が凸になる折り方を正折り、そして裏面側が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0035】
まず、内面板66の先端部の裏面に糊78を塗布して折罫線68を正折りし、内面板66の裏面を側面板16の裏面に糊付けする。これで、内面板66は、開封部36及び開封用破断線72に重なって透孔74を閉鎖し、先端部が側面板16の中央部の、開封用破断線72に掛からない位置に固定される。
【0036】
その後、糊付片22の表面に糊を塗布して折罫線28を正折りし、さらに折罫線24を正折りして側面板14の裏面を糊付片22の表面に糊付けする。これで、包装用箱62が薄い折り畳み状態になり、この状態で出荷される。
【0037】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度に正折りし、側面板14,16,18,20を立体的な筒体56にする。そして、筒体56の、開封部36と反対側の端部を閉鎖するため、この端部に位置する折罫線34,46でフラップ32,44を90度に正折りする。その後、この端部にある差込片52を折罫線54で正折りし、蓋片48を折罫線50で90度に正折りし、差込片52を側面板16の内側に差し込んで係止させる。そして、封緘テープ60を、蓋片48の表面から側面板16の表面に跨るように貼着する。これで筒体56の底蓋部が形成されたので、反対側の端部開口から収容物を中に入れる。
【0038】
次に、収容物を入れた端部開口を閉鎖するため、底蓋部を形成した時と同様の作業をこの端部でもう一度行う。この時は、封緘テープ60は、蓋片48の表面から開封部36の表面に跨るように、且つ開封用破断線72に重ならないように貼着する。これで、筒体56の両方の端部が閉鎖され、図6に示す組み立て状態になり、収容物が包装用箱62とともに出荷される。
【0039】
包装用箱62を開封する時は、透孔74を利用して開封部36の摘み部76を指で摘まみ、開封部36を引き上げる操作を行って開封用破断線72の第1破断部40を破断させる。そして、開封部36を側面板16から完全に切り離すと、蓋片48を開くことができる。
【0040】
第1破断部40を破断させると、その破断状態は上記と同様に不規則で乱雑な状態になる。したがって、不正に開封されたとしても、第1破断部40に顕著な痕跡が確実に残り、これを未開封に見える綺麗な状態に戻すことは極めて難しい。
【0041】
再封する時は、蓋片48を閉じて差込片52を内面板66の内側に係止させればよい。この状態で、蓋片48と差込片52とが交差する角部が切り欠き70から露出するので、次に蓋片48を開く時、この露出している部分に指を掛ければ、蓋片48を簡単に開くことができる。なお、開封部36は、封緘テープ60で蓋片48に連結されているので、以後は、差込片52と一体に移動する。
【0042】
以上説明したように、改ざん防止機能付き包装用箱62によれば、上記の包装用箱10と同様の効果を得ることができる。その他、包装用箱62は、開封部36に摘み部76を設けてあるので、開封操作が容易である。また、摘み部76を形成する透孔74が側面板16に開口しているが、この透孔74は、組み立て状態で内面板66によって閉鎖されるので、透孔74からゴミや埃が侵入する心配はない。
【0043】
なお、本発明の改ざん防止機能付き包装用箱は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1破断部及び第2破断部の切れ目の構造は、断続する切り込みの他、ミシン線でも良く、一定の力で連続して破断可能な構造であれば良い。第1破断部が有する切れ目のうちの2つの切れ目の端部と、第2破断部の切れ目の端部は、互いに均等に離間していることが好ましいが、離間距離に差があってもよい。
【0044】
また、蓋部の構造は、本発明が目的とする動作が可能な範囲で変更することができる。上記の包装用箱10,62は、蓋部材が蓋片48とその先端部に延設された差込片52とで構成され、箱体形成片の状態で、蓋部材が開封部36と不連続であり、組み立て状態で、蓋部材の特定部分が開封部36に糊付け等の方法で固定されて蓋部が形成される構造である。これは蓋部の構造の一例を示したものであり、例えば、蓋部の構造をシールエンド型に変更することも可能である。シールエンド型の場合は、蓋部材を2つ蓋片で構成し、箱体形成片の状態で、一方の蓋片の基端部を開封部36の端部(端辺16aの部位)に連続させ、組み立て状態で、2つの蓋片が重り互いに糊付けされて蓋部が形成されるようにする。このように蓋部をシールエンド型に変更しても、同様の効果を得ることができる。
【0045】
その他、箱体の大きさ、基材の材質、各部材の形状等は、用途に合わせて変更可能であり、これに合わせて、第1破断部の具体的な形状(各切れ目の長さや角度、切れ目同士の間隔等)を調整し、破断時に顕著な痕跡が残るようにすればよい。
【符号の説明】
【0046】
10,62 改ざん防止機能付き包装用箱
12,64 箱体形成片
14,16,18,20 側面板
36 開封部
38,72 開封用破断線
40 第1破断部
40a 切れ目
42 第2破断部
42a 切れ目
48 蓋片(蓋部材)
52 差込片(蓋部材)
56 筒体
58,78 糊
60 封緘テープ
66 内面板
74 透孔
76 摘み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7