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特許7312602食品用包装材、食品包装体及び包装材原反の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】食品用包装材、食品包装体及び包装材原反の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/32 20060101AFI20230713BHJP
   B65D 65/34 20060101ALI20230713BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B65D65/32
B65D65/34
B65D85/50 140
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019088789
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183266
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1207727(JP,S)
【文献】登録実用新案第3072028(JP,U)
【文献】特開2012-001217(JP,A)
【文献】特開2000-279113(JP,A)
【文献】特開2020-147304(JP,A)
【文献】特許第6714957(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/32
B65D 65/34
B65D 75/64
B65D 75/66
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを用いて構成される食品用包装材であって、
シートは、
シートの流れ方向である第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って4辺を有する矩形状であり、
切込線の形成により形成される遊離片であって、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、
シートの内面に第2方向に沿って配置され、遊離片から第2方向に延びる開封用条体と、
シートの内面にシートの第1方向における一方の辺から他方の辺にかけて第1方向に沿って配置され、シートの内面側から切込線及び遊離片を覆って封止する封止材とを備え、
開封用条体の一端部は、切込線からシートの外面側に突出して開封用の摘み片となる
食品用包装材。
【請求項2】
シートを用いて構成される食品用包装材であって、
シートは、
シートの流れ方向である第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って4辺を有する矩形状であり、
開口と、
シートの内面に第2方向に沿って配置され、開口から第2方向に延びる開封用条体と、
シートの内面にシートの第1方向における一方の辺から他方の辺にかけて第1方向に沿って配置され、シートの内面側から開口を覆って封止する封止材とを備え、
開封用条体の一端部は、開口からシートの外面側に突出して開封用の摘み片となる
食品用包装材。
【請求項3】
正面、背面及び周状の側面を有する食品を請求項1に記載の食品用包装材を用いて包み込むように包装した食品包装体であって、
食品の正面によって形成される正面部、食品の背面によって形成される背面部及び食品の側面によって形成される周状の側面部を有し、
シートの切込線及び遊離片は、側面部に位置し又は正面部から側面部に跨って位置し、
切込線からシートの外面側に突出する開封用条体の一端部は、シートの外面から浮いて離間する
食品包装体。
【請求項4】
正面、背面及び周状の側面を有する食品を請求項2に記載の食品用包装材を用いて包み込むように包装した食品包装体であって、
食品の正面によって形成される正面部、食品の背面によって形成される背面部及び食品の側面によって形成される周状の側面部を有し、
シートの開口は、側面部に位置し又は正面部から側面部に跨って位置し、
開口からシートの外面側に突出する開封用条体の一端部は、シートの外面から浮いて離間する
食品包装体。
【請求項5】
シートと、シートへの切込線の形成により形成され、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、シートの内面に配置され、遊離片から所定方向に延びる開封用条体と、シートの内面に配置され、シートの内面側から切込線及び遊離片を覆って封止する封止材とを備える包装材が所定方向と交差する方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に、切込線を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、遊離片から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシート原反の外面側に移動させ、切込線からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程と、
シート原反の内面に、切込線及び遊離片を覆うように封止材を配置して接合する工程とを備える
包装材原反の製造方法。
【請求項6】
シートと、シートに形成される開口と、シートの内面に配置され、開口から所定方向に延びる開封用条体と、シートの内面に配置され、シートの内面側から開口を覆って封止する封止材とを備える包装材が所定方向と交差する方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に開口を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、開口から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシート原反の外面側に移動させ、開口からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程と、
シート原反の内面に、開口を覆うように封止材を配置して接合する工程とを備える
包装材原反の製造方法。
【請求項7】
切込線は、両端点が開封用条体の他端側に向かう形状を有し、
これにより、遊離片は、切込線の両端点間を固定端とし、その反対側である一端縁側を自由端とする形状を有する
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項8】
封止材は、両側部にてシートに接合される帯状シートである
請求項1、請求項2又は請求項7に記載の食品用包装材。
【請求項9】
開封用条体の一端部は、帯状シートの両側部の接合部間の非接合領域に位置する
求項8に記載の食品用包装材。
【請求項10】
封止材は、シートの第2方向における一方の辺から第2方向に突出するようにシートに接合される幅広の帯状シートである
請求項1、請求項2又は請求項7に記載の食品用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装材、食品包装体及び包装材原反の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正面視が円形状又は四角形状あるいはこれらに類似する形状で、所定の厚みないし幅を有する立体形状に仕上げられた、おにぎり、ピラフ、チャーハン、寿司等の米飯加工食品等の食品は、図21(a)に示す如く、食品を包装可能に面状に形成された包装材1’を用い、同図(b)に示す如く、包装材1’を食品Fの形状に沿わすように変形させて、食品Fを包み込むように包装するのが一般的である(特許文献1)。
【0003】
かかる包装材1’には、食品よりも大きな矩形状のシート2’が用いられる。シート2’の一端側には、シート2’の他端側への指向性を有するたとえばU字状の切込線30’が形成されるとともに、切込線30’を外形線とする開封用の摘み片31’が形成される。また、シート2’の内面には、摘み片31’からシート2’の他端側に向けて、カットテープ等の開封用条体6’が接合される。
【0004】
食品Fを包装するには、包装材1’の下方に食品Fを配置し、食品Fを下方から突き上げて包装材1’の内面の中央部に押し込むことで、包装材1’を食品Fの形状に沿わすように変形させて、食品Fを包み込み、この後、包装材1’の外周端部を集束させて、ここにシールやラベルを貼着するといういわゆる突き上げ包装が用いられる。
【0005】
包装材1’により包装された食品Fを食する際には、図21(c)に示す如く、摘み片31’を摘んで引く。そうすると、開封用条体6’が引っ張られてシート2’に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品Fを露出させることができる。
【0006】
しかしながら、包装材1’の製造装置の精度等(接合条件のバラツキ等)の影響により、シート2’と開封用条体6’が十分に接合されない場合がある。そのような包装材1’においては、開封時に摘み片31’を引く際、摘み片31’ないしそれに続くシート2’の部分が開封用条体6’から剥離してシート2’だけが引っ張られて、適切に開封することができないという問題が生じ得る。
【0007】
これらの問題を解決する観点からいえば、特許文献2に記載された包装材は、開封用条体の一端部がシートの外面側に突出し、この一端部を摘んで開封するものであり、開封用条体を直接引っ張って開封するため、適切かつ確実に開封することができるという点で、上記従来の包装材1’よりも優れているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-341715号公報
【文献】登録実用新案第3072028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載された包装材は、シートにどのような加工を施して開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させることができるようにしているのか、そして、どのような方法で開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させるのかが不明である。そのため、大量に消費される包装材を量産することは不可能である。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、開封用条体の一端部が突出して開封用の摘み片となる開封手段を備えるものであって、量産性に優れた食品用包装材、食品包装体及び包装材原反の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る食品用包装材は、
シートを用いて構成される食品用包装材であって、
シートは、
シートの流れ方向である第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って4辺を有する矩形状であり、
切込線の形成により形成される遊離片であって、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、
シートの内面に第2方向に沿って配置され、遊離片から第2方向に延びる開封用条体と、
シートの内面にシートの第1方向における一方の辺から他方の辺にかけて第1方向に沿って配置され、シートの内面側から切込線及び遊離片を覆って封止する封止材とを備え、
開封用条体の一端部は、切込線からシートの外面側に突出して開封用の摘み片となる
食品用包装材である。
【0012】
また、別の本発明に係る食品用包装材は、
シートを用いて構成される食品用包装材であって、
シートは、
シートの流れ方向である第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って4辺を有する矩形状であり、
開口と、
シートの内面に第2方向に沿って配置され、開口から第2方向に延びる開封用条体と、
シートの内面にシートの第1方向における一方の辺から他方の辺にかけて第1方向に沿って配置され、シートの内面側から開口を覆って封止する封止材とを備え、
開封用条体の一端部は、開口からシートの外面側に突出して開封用の摘み片となる
食品用包装材である。
【0013】
また、本発明に係る食品包装体は、
正面、背面及び周状の側面を有する食品を上記一の食品用包装材を用いて包み込むように包装した食品包装体であって、
食品の正面によって形成される正面部、食品の背面によって形成される背面部及び食品の側面によって形成される周状の側面部を有し、
シートの切込線及び遊離片は、側面部に位置し又は正面部から側面部に跨って位置し、
切込線からシートの外面側に突出する開封用条体の一端部は、シートの外面から浮いて離間する
食品包装体である。
【0014】
また、別の本発明に係る食品包装体は、
正面、背面及び周状の側面を有する食品を上記別の食品用包装材を用いて包み込むように包装した食品包装体であって、
食品の正面によって形成される正面部、食品の背面によって形成される背面部及び食品の側面によって形成される周状の側面部を有し、
シートの開口は、側面部に位置し又は正面部から側面部に跨って位置し、
開口からシートの外面側に突出する開封用条体の一端部は、シートの外面から浮いて離間する
食品包装体である。
【0015】
また、本発明に係る包装材原反の製造方法は、
シートと、シートへの切込線の形成により形成され、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、シートの内面に配置され、遊離片から所定方向に延びる開封用条体と、シートの内面に配置され、シートの内面側から切込線及び遊離片を覆って封止する封止材とを備える包装材が所定方向と交差する方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に、切込線を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、遊離片から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシート原反の外面側に移動させ、切込線からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程と、
シート原反の内面に、切込線及び遊離片を覆うように封止材を配置して接合する工程とを備える。
【0016】
また、別の本発明に係る包装材原反の製造方法は、
シートと、シートに形成される開口と、シートの内面に配置され、開口から所定方向に延びる開封用条体と、シートの内面に配置され、シートの内面側から開口を覆って封止する封止材とを備える包装材が所定方向と交差する方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に開口を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、開口から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシート原反の外面側に移動させ、開口からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程と、
シート原反の内面に、開口を覆うように封止材を配置して接合する工程とを備える。
【0017】
ここで、本発明に係る食品用包装材は、
切込線は、両端点が開封用条体の他端側に向かう形状を有し、
これにより、遊離片は、切込線の両端点間を固定端とし、その反対側である一端縁側を自由端とする形状を有する
との構成を採用することができる。
【0018】
また、本発明に係る食品用包装材は、
封止材は、両側部にてシートに接合される帯状シートである
との構成を採用することができる。
【0019】
また、この場合、本発明に係る食品用包装材は、
開封用条体の一端部は、帯状シートの両側部の接合部間の非接合領域に位置する
との構成を採用することができる。
【0020】
また、本発明に係る食品用包装材は、
封止材は、シートの第2方向における一方の辺から第2方向に突出するようにシートに接合される幅広の帯状シートである
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明に係る食品用包装材、食品包装体及び包装材原反の製造方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法にして、優れた量産性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る包装材を外面側から見た平面図であり、図1(b)は、同包装材を内面側から見た平面図である。
図2図2(a)は、図1(a)のA-A線断面図であり、図2(b)は、図1(a)のB-B線断面図であり、図2(c)は、図1(a)のC部拡大図である。
図3図3(a)は、同包装材により包装された包装体の正面斜視図であり、図3(b)は、同包装体の背面斜視図である。
図4図4は、同包装体を開封する様子の斜視図である。
図5図5は、同包装材原反の製造工程の説明図であって、シート本体原反に切込線を形成する工程の説明図である。
図6図6は、同包装材原反の製造工程の説明図であって、シート本体原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
図7図7は、図6の工程を実施する装置構成の説明図である。
図8図8は、同包装材原反の製造工程の説明図であって、開封用条体の一端部を切込線からシート本体原反の反対面側に突出させる工程の説明図である。
図9図9は、図8の反対面側から見た説明図である。
図10図10は、図8の工程を実施する装置構成の説明図である。
図11図11は、図8の工程を実施する別の装置構成の説明図である。
図12図12は、同包装材原反の製造工程の説明図であって、シート本体原反に第1帯状シート原反及び第2帯状シート原反を配置、接合する工程の説明図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態に係る包装材原反を外面側から見た平面図である。
図14図14は、同包装材原反を内面側から見た平面図である。
図15図15(a)は、同包装材原反における包装材により包装された包装体の正面斜視図であり、図15(b)は、同包装体の背面斜視図である。
図16図16は、同包装体を開封する様子の斜視図である。
図17図17(a)ないし(h)は、それぞれ別の実施形態に係る包装材(包装材原反)の要部拡大図である。
図18図18(a)は、他の実施形態に係る包装材(包装材原反)を外面側から見た平面図であり、図18(b)は、図18(a)のA-A線断面図であり、図18(c)は、図18(a)のB-B線断面図である。
図19図19(a)は、別の実施形態に係る包装材(包装材原反)を外面側から見た平面図であり、図19(b)は、図19(a)のA-A線断面図であり、図19(c)は、図19(a)のB-B線断面図である。
図20図20(a)は、さらに別の実施形態に係る包装材(包装材原反)を外面側から見た平面図であり、図20(b)は、図20(a)のA-A線断面図であり、図20(c)は、図20(a)のB-B線断面図である。
図21図21(a)は、従来の包装材を外面側から見た平面図であり、図21(b)は、同包装材により包装された包装体の正面斜視図であり、図21(c)は、同包装体を開封する様子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態として、突き上げ包装用の包装材及び突き上げ包装体について、図1ないし図12を参酌して説明する。
【0024】
図1及び図2に示す如く、包装材1は、主としてシート2を用いて構成される。シート2は、3枚のシートが接合されて1枚のシートとなったものである。具体的には、シート2は、シート本体3と、第1方向(本実施形態においては、シート2の流れ方向(搬送方向)、図1では上下方向)と交差する第2方向(本実施形態においてはシート2の流れ方向と交差する幅方向、図1では左右方向、本発明の「所定方向」に相当)におけるシート本体3の一方側の所定箇所に、第1方向に沿って配置される第1帯状シート4と、第2方向におけるシート本体3の他方側の所定箇所に、第1方向に沿って配置される第2帯状シート5とで構成される。
【0025】
シート2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、内容物である食品を包むことができる大きさの矩形状ないし略矩形状を有する。
【0026】
第1帯状シート4は、第2帯状シート5よりも幅広に形成される。そして、第1帯状シート4は、シート本体3の内面であって、第2方向におけるシート本体3の一端縁3aから内側に離間した箇所に、第1方向に沿って配置され、接合される。より詳しくは、第1帯状シート4は、その第2方向における両側部(正確には、両側縁部が非接合部となるよう、両側縁よりも内側の箇所)に形成される1対の接合部40,40にて、シート本体3の一端縁3aから内側に離間した箇所に、ヒートシール、接着等により接合される。
【0027】
第2帯状シート5は、シート本体3の内面であって、第2方向におけるシート本体3の他端縁3bから内側に離間した箇所に、第1方向に沿って配置され、接合される。より詳しくは、第2帯状シート5は、その第2方向における両側部(正確には、両側縁部が非接合部となるよう、両側縁よりも内側の箇所)に形成される1対の接合部50,50にて、シート本体3の他端縁3bから内側に離間した箇所に、ヒートシール、接着等により接合される。
【0028】
シート本体3のうち、第1帯状シート4に覆われる箇所には、切込線30が形成される。切込線30は、両端点30a,30aがシート本体3の他端縁3bに向かう形状である。これにより、切込線30を外形線とし、両端点30a,30a間を固定端とし、シート本体3の一端縁3a側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成する遊離片31が形成される。本実施形態においては、切込線30は、U字状に形成され、これにより、遊離片31は、第1方向に沿った一端縁31aと、第2方向に沿った1対の側縁31b,31bとを備え、シート本体3の他端縁3bへの指向性を有する舌片となる。
【0029】
シート本体3の内面には、遊離片31からシート本体3の他端縁3bに向けて、開封用条体6が設けられる。開封用条体6は、たとえば幅方向中央部にて長手方向に沿ってシート本体3の内面にヒートシール、接着等により接合される(接合部60)。一例として、開封用条体6は、内面(シート本体3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、シート本体3の内面に接合される。開封用条体6は、たとえばカットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体6は、幅が5mm以上、あるいは10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステルないしポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱溶着性を有するプラスチックシートを細くカットしたものである。
【0030】
開封用条体6の一端部6aは、シート本体3には接合されておらず、切込線30からシート本体3の外面側に突出しており、開封用の摘み片となる。これにより、開封用条体6の一端部6aを摘んで引くと、開封用条体6が引っ張られて遊離片31を開封起点として所定の幅でシート本体3を切断し、シート本体3に分断開放部が形成される。突出量は、短いと、摘まみにくく、逆に、長いと、折れやすくなり、製造装置の搬送性に支障を来す懸念がある。このため、突出量は、5mm以上、あるいは10mm以上、あるいは15mm以上であって、25mm以下、あるいは20mm以下の範囲となるように、設定される。
【0031】
図2(c)に示す如く、開封用条体6は、遊離片31にも接合されて遊離片31と一体化されるものの、遊離片31の一端縁31aまでは接合されない。このため、接合部60の一端縁60aと遊離片31の一端縁31aとの間には、幅G1の非接合部が介在する。非接合部を設けなかったり、幅G1が小さいと、包装材1の製造装置の精度等(シート原反の蛇行等)の影響により、接合が切込線30を踏み越えてなされる懸念があり、この場合、開封用条体6の一端部6aがロックして、一端部6aを切込線30からシート本体3の外面側に突出させることができなくなる。逆に、幅G1が大きいと、遊離片31を摘むことができるようになるため、ここを摘んで開封しようとする誤開封操作(この場合、開封用条体6が使われず、シート本体3だけが引っ張られるため、適切に開封することはほぼ不可能である。)がなされる懸念がある。このため、非接合部の幅G1は、製造誤差に対する振れ幅として、1.0mm以上、あるいは1.5mm以上であって、5mm以下、あるいは3mm以下、あるいは2mm以下の範囲となるように、設定される。
【0032】
また、開封用条体6の一端部6aは、第1帯状シート4の1対の接合部40,40間の非接合領域に位置する長さとなっている。仮に、開封用条体6の一端部6aが接合部40を超える長さであるとすると、接合部40を形成する際、開封用条体6の一端部6aまでがシート本体3に接合されてしまい、ロックして、開封用の摘み片として機能し得なくなるからである。
【0033】
開封用条体6の幅は、遊離片31の固定端の幅(切込線30の両端点30a,30a間の間隔)よりも小さい。このため、開封用条体6の各側縁6bと遊離片31の各側縁31bないし切込線30の各端点30aとの間には、幅G2の間隙部が介在する。間隙部を設けなかったり、幅G2が小さいと、開封用条体6の一端部6aが切込線30に引っ掛かって一端部6aを切込線30からシート本体3の外面に突出させることができなくなったり、包装材1の製造装置の精度等(接合位置ずれ等)の影響により、開封用条体6が切込線30に引っ掛かってしわが寄り、製品不良となる懸念がある。このため、間隙部の幅G2は、製造誤差に対する振れ幅として、1.0mm以上、あるいは1.5mm以上となるように、設定される。
【0034】
包装材1を用いて食品を包装するには、包装材1の下方に食品を配置し、食品を下方から突き上げて包装材1の内面の中央部に押し込むことで、包装材1を食品の形状に沿わすように変形させて、食品を包み込み、この後、包装材1の外周端部を集束させて、ここにシール又はラベルを貼着するといういわゆる突き上げ包装が用いられる。図3に示す如く、食品Fは、一例として、正面及び背面が円形状で、所定の厚みないし幅を有して側面が円周状となる扁平な円柱状の立体形状に仕上げられたおにぎりである。突き上げ包装により、包装体(突き上げ包装体)7は、食品Fを包み込み、正面部及び背面部が平坦面で、側面部が周状となり、背面部にシール又はラベル8が貼着された形態となる。
【0035】
この包装体7において、開封用条体6の一端部6a、切込線30及び遊離片31は、包装体7の側面部の一箇所に位置するとともに、開封用条体6の一端部6aは、遊離片31を固定端とし、一端側を自由端として、切込線30からシート2の外面側に突出する。しかも、開封用条体6の一端部6aは、包装体7の側面部から離間するように突出する。切込線30及び遊離片31が包装体7の正面部から側面部に跨って位置する場合は、開封用条体6の一端部6aは、包装体7の側面部からさらに離間するように突出する。他方、開封用条体6のその他の部分は、遊離片31からシート2の内面に沿って、包装体7の正面部を横断する配置となる。
【0036】
食品Fを食する際には、図4に示す如く、突出している開封用条体6の一端部6aを摘んで引く。そうすると、開封用条体6が引っ張られてシート2(シート本体3)に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品Fを露出させることができる。このとき、切込線30及び遊離片31が包装体7の側面部に位置することで、包装体7において、開封用条体6の一端部6aは、シート2の外面から浮いて離間しているため、視認性が高く、かつ、摘まみやすくなっている。このため、開封操作を円滑に行うことができる。切込線30及び遊離片31が包装体7の正面部から側面部に跨って位置する場合は、開封用条体6の一端部6aは、シート2の外面からさらに浮いて離間しているため、視認性及び摘みやすさがさらに向上する。
【0037】
本実施形態に係る包装材1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る包装材原反の製造方法について説明する。
【0038】
図5ないし図11に示す、製造工程は、大きく分けると、開封用条体6の一端部6aがシート本体3の外面側に突出して開封用の摘み片となる開封手段を備えるシート本体原反3Xを完成させる工程と、図12に示す、シート本体原反3Xに第1帯状シート原反4X及び第2帯状シート原反5Xを接合して包装材原反1Xを完成させる工程とを備える。
【0039】
シート本体原反3Xを完成させる工程は、i)図5に示す、シート本体原反3Xに切込線30を形成する工程、より詳しくは、シート本体原反3Xに、切込線30を形成するとともに、切込線30の形成により、曲げると開いて開口を形成する遊離片31を形成する工程(第1工程)、ii)図6及び図7に示す、シート本体原反3Xの内面に、開封用条体6の一端部6aよりも内側の部分が遊離片31上に重なるようにして開封用条体6を配置するとともに、遊離片31から開封用条体6の他端側の所定範囲で開封用条体6を接合する工程(第2工程)、iii)図8ないし図11に示す、遊離片31に向けて外力を加えることにより、より詳しくは、遊離片31における開封用条体6の部分に向けて外力を加えることにより、開封用条体6の一端部6aを、遊離片31が形成する開口を介してシート本体原反3Xの反対面(外面)側に移動させ(押し出し)、開封用条体6の一端部6aを、切込線30からシート本体原反3Xの反対面側に突出させる工程(第3工程)、からなる。
【0040】
第1の工程では、シート本体原反3Xが間欠的に搬送され、搬送経路上に配置された切込機構(図示せず)がシート本体原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、図5に示す如く、切込線30が形成される。
【0041】
切込機構は、一例として、受けローラと工具とを備え、工具を受けローラに往復動させ、工具の表面に設けられたノッチ刃を受けローラに当接させることにより、シート本体原反3Xに切込線30を形成する構成となっている。ただし、切込機構は、かかる構成に限定されるものではなく、要は、シート本体原反3Xに切込線30を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0042】
第2の工程では、シート本体原反3Xが間欠的に搬送され、図6及び図7に示す如く、搬送経路上に配置された切断・搬送・接合機構100,101がシート本体原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、開封用条体6が開封用条体原反6Xから分離され、搬送されてシート本体原反3Xの内面に配置され、接合(接合部60)される。
【0043】
切断機構100は、一例として、1対の切断刃を備え、ロール体からシート本体原反3Xの搬送方向に沿って繰り出された開封用条体原反6Xを所定幅で切断して開封用条体6を形成する構成となっている。ただし、切断機構は、かかる構成に限定されるものではなく、要は、所定幅の開封用条体6を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0044】
搬送・接合機構101は、一例として、開封用条体6をたとえば長手方向に沿って吸引することにより保持し、開封用条体6を切断位置からシート本体原反3Xへの配置位置へと搬送する保持バー102と、開封用条体6のシート本体原反3Xへの配置位置において、シート本体原反3Xの反対面側に配置されるたとえばヒートシールバーからなる接合バー103とを備え、切断により形成された開封用条体6を、保持バー102で保持し、保持バー102の移動(図7の例では、昇降)により搬送してシート本体原反3Xの内面に配置し、しかる後、保持バー102と接合バー103とでシート本体原反3X及びこの内面に配置された開封用条体6を挟んでヒートシールすることにより接合部60を形成する構成となっている。
【0045】
ここで、接合バー103は、一端側にて、保持バー102よりも短くなっている。このため、保持バー102で保持されるが、接合バー103との間に挟まれない開封用条体6の部分は、シート本体原反3Xに接合されず、一端部6a及び一端部6aに隣接する非接合部となる。
【0046】
ただし、搬送・接合機構は、これらの構成に限定されるものではなく、要は、開封用条体6を、一端部6a及び非接合部を残しつつ、シート本体原反3Xの内面に接合することができるもの、すなわち、遊離片31から開封用条体6の他端側の所定範囲で開封用条体6をシート本体原反3Xの内面に接合することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0047】
第3の工程では、シート本体原反3Xが間欠的に搬送され、図8ないし図11図9は、図8の搬送工程を反対面側から見た図)に示す如く、搬送経路上に配置された外力付加機構104,105がシート本体原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、開封用条体6の一端部6aがシート本体原反3Xの反対面側に押し出される。
【0048】
外力付加機構は、一例として、エアノズル104(図10)を備え、遊離片31及び遊離片31における開封用条体6の部分に向けてエアを吹き付けることにより、遊離片31を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体6の一端部6aをシート本体原反3Xの反対面側に移動させる構成となっている。あるいは、外力付加手段は、一例として、昇降動作するロッド105(図11)を備え、遊離片31及び遊離片31における開封用条体6の部分にロッド105の先端を当て、さらにロッド105を押し込むことにより、遊離片31を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体6の一端部6aをシート本体原反3Xの反対面側に移動させる構成となっている。
【0049】
ただし、外力付加機構は、これらの構成に限定されるものではなく、要は、開封用条体6の一端部6aをシート本体原反3Xの反対面側に移動させることができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。たとえば、シート本体原反3Xの反対面側に、吸引ないし吸着機構を配置し、反対面側から遊離片31を吸引ないし吸着して、開封用条体6の一端部6aをシート本体原反3Xの反対面側に移動させるようにしてもよい。
【0050】
シート本体原反3Xは、以上のようにして完成され、引き続き搬送されて、次に、包装材原反を完成させる工程に移行する。
【0051】
包装材原反を完成させる工程は、たとえば特許文献1に記載されたとおりであり、従来から用いられている方法であるため、ここでは、多くを説明しない。同工程は、図12に示す如く、搬送されるシート本体原反3Xに対し、第1帯状シート原反4X及び第2帯状シート原反5Xを供給し、第1帯状シート原反4X及び第2帯状シート原反5Xをそれぞれシート本体原反3Xの内面の所定箇所に重ね合わせ、しかる後、ヒートシールすることにより1対の接合部40,40及び1対の接合部50,50を形成して、シート本体原反3X、第1帯状シート原反4X及び第2帯状シート原反5Xを一体化し、包装材原反1Xが完成する。なお、第1帯状シート原反4X及び第2帯状シート原反5Xは、特許文献1に記載されたとおり、シート本体原反3Xの両側部を切断したものであってもよいし、あるいは、シート本体原反3Xとは別に用意されたものであってもよい。また、第2帯状シート原反5Xの接合部50は、1対でなく、1つでもよい。
【0052】
包装材原反1Xは、以上のようにして製造される。そして、一旦ロール状に巻回された後、突き上げ包装を行う自動包装機にロールがセットされる。あるいは、引き続き搬送されて、突き上げ包装を行う工程に移行する。いずれの場合でも、包装材原反1Xは、突き上げ包装に際し、1つ単位に切断されて分離され、枚葉状の包装材1にしてから、包装に用いられる。
【0053】
このように、本実施形態に係る、開封用条体6の一端部6aが包装材1の外面側に突出して開封用の摘み片となる開封手段を備える包装材1及び包装材原反1Xの製造方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法にして、優れた量産性を実現することができる。
【0054】
また、この場合、開封用条体5の一端部6aが延びる方向と、遊離片31が延びる方向とが一致しているため(両方ともシート本体3の一端縁3a側に凸となるため)、開封用条体6の一端部6aを小さい力で確実に他方の端部側に移動させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る、側面部又は正面部から側面部に跨って開封手段が位置する包装体7によれば、開封用条体6の一端部6aが包装体7の側面部から浮いて離間しているため、視認性が高く、かつ、摘まみやすくなり、これにより、包装体7の開封性を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る、開封用条体6の一端部6aを突出させるための切込線30及び遊離片31を第1帯状シート4で覆って封止する包装材1によれば、開封手段に高い密封性を付与することができ、ここから異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた包装体7とすることができる。
【0057】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態として、ピロー包装用の包装材及びピロー包装体について、図13ないし図16を参酌して説明する。なお、ピロー包装用の包装材とは、包装材原反から1つ単位に切断されて分離され、枚葉状にされたものをいう。また、第1実施形態に係る包装材1、包装材原反1X及び包装材原反1Xの製造方法に係る構成と同じ構成ないし共通する構成については、同じ符号を用いている。
【0058】
図13及び図14に示す如く、包装材1及び包装材原反1Xは、基本的には第1実施形態に係る包装材1及び包装材原反1Xと同じ構成である。ただし、ピロー包装では、シート2を筒状にする必要があるため、この胴回り寸法を確保するために、シート本体3(シート本体原反3X)の幅、より詳しくは、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)からシート本体3(シート本体原反3X)の一端縁3aまでの幅、及び、第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)からシート本体3(シート本体原反3X)の一端縁3bまでの幅は、それぞれ第1実施形態に係る包装材1(包装材原反1X)のそれよりも幅広となっている。
【0059】
その他には、シート2のサイズ、開封用条体6の幅や長さ、シート2に対する開封用条体6の配置位置や開封用条体6の配置ピッチに違いがあるが、これらは、突き上げ包装、ピロー包装の違いによるものではなく、内容物の形状や大きさに応じて適宜設定し得る事項である。
【0060】
かかる包装材1を用いて食品を包装した包装体(ピロー包装体)7は、図15に示す如く、1枚のシート2の端縁部同士が接合されて背貼り部70を有する筒状であり、一端部側の開口縁部71及び他端部側の開口縁部71がそれぞれ接合部72により封止されて構成される。一方の側縁部(上縁部)73は、接合部ではなく、シート2の折返し部74である。他方の側縁部(下縁部)75も、接合部ではなく、シート2の折返し部76であるが、ガゼット(底ガゼット)76aが設けられる。ただし、ガゼット76aを設けないようにしてもよい。あるいは、上縁部73の折返し部74にもガゼットを設けるようにしてもよい。これにより、包装体7は、端縁部同士が接合されて背貼り部70を有する筒状であり、外縁部71,71,73,75が接合部72又は折返し部74,76により封止された1枚のシートで構成され、内部に食品Fが収容された袋体である。なお、本実施形態においては、背貼り部70は、1枚のシート2の端縁部同士をヒートシールすることにより形成され、接合部72は、筒状の開口縁部71をヒートシールすることにより形成される。
【0061】
食品Fを食する際には、図16に示す如く、突出している開封用条体6の一端部6aを摘んで引く。そうすると、開封用条体6が引っ張られてシート2(シート本体3)に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品Fを露出させることができる。このとき、包装体7において、開封用条体6の一端部6aは、シート2の外面から浮いて離間しているため、視認性が高く、かつ、摘まみやすくなっている。このため、開封操作を円滑に行うことができる。特に、切込線30及び遊離片31が包装体7の外縁部73の近傍に位置する場合、当該箇所でシート2は湾曲しているため、開封用条体6の一端部6aは、シート2の外面からさらに浮いて離間しており、視認性及び摘みやすさがさらに向上する。
【0062】
包装材原反1Xの製造方法は、図5ないし図12に示される第1実施形態に係る包装材原反1Xの製造方法と同じである。そして、包装材原反1Xは、一旦ロール状に巻回された後、ピロー包装を行う自動包装機にロールがセットされる。あるいは、引き続き搬送されて、ピロー包装を行う工程に移行する。
【0063】
このように、本実施形態に係る包装材1、包装体7及び包装材原反1Xの製造方法によっても、第1実施形態に係る包装材1、包装体7及び包装材原反1Xの製造方法と同様の作用効果を奏する。
【0064】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
たとえば、切込線及び遊離片の形状や構造は、上記実施形態のものに限定されず、たとえば、図17に示すものであってもよい。
【0066】
図17(a)に示すものは、開封用条体6の一端部6aに、周辺領域から識別可能な表示部61を施したものである。通常、開封用条体6は透明であるため、その一端部6aはそのままであれば目立ちにくく、場合によっては、そこが開封用の摘み片であることが商品購入者にすれば認識しづらいことも考えられる。そこで、開封用条体6の一端部6aに表示部61を印刷等して施すことで、どの商品購入者であっても、容易に開封用の摘み片であることを認識することができる。
【0067】
表示部としては、そこが開封用の摘み片であることを示す情報からなる表示部61に加えて、あるいは表示部61の代わりに、図17(b)に示す、周辺領域から識別可能な単なる色彩や模様等からなる表示部62であってもよい。
【0068】
図17(c)に示すものは、π字状の切込線30、すなわち、第1方向に沿った線30bと、線30bの両端点よりも内側の位置から第2方向に沿って延びる線30c,30cとで構成される切込線30が形成されたものである。かかる構成によれば、開封用条体6の一端部6aを持って第2方向に開封した後、第2方向において互いに外方に向く切込線30d,30dが形成される。このため、開封後の残りのシート本体3を左右に開いて分断開放部を大きくすることができ、食品Fを取り出しやすくすることができる。
【0069】
図17(d)に示すものは、それぞれが斜めの二本の切込線30e、30eが交差して構成されるX字状の切込線30が形成されたものである。かかる構成によっても、開封後、第2方向において互いに外方に向く切込線30f,30fが形成される。このため、開封後の残りのシート本体3を左右に開いてワイドオープンにすることができる。
【0070】
図17(e)に示すものは、H字状の切込線30、すなわち、第1方向に沿った線30gと、線30gの両端点から第2方向両方向に沿って延びる線30h,30hとで構成される切込線30が形成されたものである。かかる構成によれば、シート本体3の一端縁3a側に向かう遊離片31に加え、この遊離片31と対向するようにしてシート本体3の他端縁3b側に向かう遊離片32も形成することができる。
【0071】
図17(f)に示すものは、シート本体3の他端縁3b側に凸となる切込線30、すなわち、開封用条体6の一端部6aが延びる方向と、遊離片32が延びる方向とが逆となるような切込線30が形成されたものである。
【0072】
また、切込線は、第1方向に沿った線や、第2方向に対して傾斜する線等の直線ないし略直線あるいは多少湾曲した線であってもよい。
【0073】
また、開封用条体6の一端部6aをシート本体3の反対面側に移動させることを可能とするための構造として、切込線30及び遊離片31の組み合わせではなく、図17(g)に示す如く、開口33であってもよい。開口33であっても、開封用条体6の一端部6aをシート本体3の反対面側に移動させるための装置及び方法は、上記したものと基本的には同じである。
【0074】
また、シート本体3と開封用条体6との接合部60は、図17(h)に示す如く、中心が一致するように形成してもよい。また、接合部は、開封用条体6の幅方向全域に形成してもよいし、あるいは、開封用条体6の幅方向両側縁部だけに形成してもよい。また、接合部は、開封用条体6の他端にまで形成されることは必須ではない。要は、開封用条体6がシート本体3から剥離するようなことがなければそれでよい。
【0075】
また、接合部は、第2方向に沿って連続的に形成されるものではなく、たとえば、遊離片31における箇所を含め、適宜の箇所に施したポイントシールからなるものであってもよい。
【0076】
また、切込線は、全切線ではなく、外力付加機構によって外力が加えられると、破断するものであれば、半切線(ハーフカット)やミシン目であってもよい。
【0077】
また、開封用条体は、一本物ではなく、たとえば、別体である本体部と一端部とを一体に接合したものであってもよい。また、開封用条体は、直線状ではなく、曲線状等の非直線状のものであってもよい。
【0078】
また、上記各実施形態においては、切込線30及び遊離片31を覆って封止することで、切込線30及び遊離片31を介して異物等が包装体7の内部に侵入するのを防止するための封止材として、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)が設けられ、これに伴い、包装材原反1Xのロール巻取性を確保するために、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)と反対側の位置に第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)が設けられる。しかし、シート2の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、ロール巻取性に問題がないようであれば、図18に示す如く、第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)は設けなくてもよい。
【0079】
また、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)及び第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)をシート本体3(シート本体原反3X)の領域内に配置するのではなく、図19に示す如く、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)及び第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)として、十分に幅広のものを用い、シート本体3(シート本体原反3X)の一端縁3a及び他端縁3bから第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)及び第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)が第2方向に突出する構成の包装材1(包装材原反1X)であってもよい。なお、この場合も、第2帯状シート5(第2帯状シート原反5X)は省略可能である。
【0080】
また、第1帯状シート4(第1帯状シート原反4X)のように端から端まで連続した長尺帯状でなく、必要最小範囲ということで、図20に示す如く、切込線30及び遊離片31を内包する大きさの被覆シート片9を用いるようにしてもよい。この場合、被覆シート片9は、切込線30及び遊離片31を囲むようにヒートシール等によりシート本体3(シート本体原反3X)の内面に接合される(接合部90)。
【0081】
また、上記実施形態においては、開封用条体6は、第2方向に沿って配置される。しかし、開封用条体6の配置は、このような態様に限定されるものではない。たとえば、開封用条体6は、第2方向に対して斜めに配置するようにしてもよい。
【0082】
また、包装対象の食品は、包装材で包むことができる形であれば、おにぎり、ピラフ、チャーハン、寿司以外の米飯加工食品や、米飯加工食品以外の食品(たとえば、饅頭等の和菓子、ケーキ等の洋菓子、パン、サンドイッチ、ハンバーガー等)であってもよく、食品の種類は限定されない。
【0083】
また、包装対象の食品の形状も特に限定されるものではない。たとえば、正面が円形状ではなく、正面が四角形状の扁平な角柱状やブロック状であってもよいし、角柱状でなく、球状等、全面が連続した曲面状のものであってもよいし、長尺なものであってもよい。これらは一例にすぎず、要は、シート2で包装できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0084】
また、包装材(包装材原反)は、上記第1実施形態に係る突き上げ包装、上記第2実施形態に係るピロー包装といった特定の包装形態に用いるものに限定されず、おにぎりと海苔シートを分離した状態で包装する食品用包装材の外シートや、平袋、ガゼット袋等の一般的な袋に用いられるシート等、各種の包装形態に用いられる全てのものを対象とする。
【0085】
また、包装対象は、食品に限定されず、食品以外の被包装物であってもよい。
【0086】
また、包装材1(包装材原反1X)に用いられるシートは、単一のプラスチックシートからなるものに限定されない。たとえば紙又は紙質シート等、その他の材質のシートであってもよい。また、包装材のシート本体は、たとえば、二枚のシートを端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシートを順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシートを用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシートではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…包装材、1X…包装材原反、2…シート、3…シート本体、3X…シート本体原反、3a…一端縁、3b…他端縁、30…切込線、30a…端点、30bないし30h…切込線、31…遊離片、31a…一端縁、31b…側縁、32…遊離片、33…開口、4…第1帯状シート、4X…第1帯状シート原反、40…接合部、5…第2帯状シート、5X…第2帯状シート原反、50…接合部、6…開封用条体、6X…開封用条体原反、6a…一端部、6b…側縁、60…接合部、60a…一端縁、61…表示部、62…表示部、7…包装体、70…背貼り部、71…開口縁部、72…接合部、73…側縁部(上縁部)、74…折返し部、75…側縁部(下縁部)、76…折返し部、76a…ガゼット、8…シール又はラベル、9…被覆シート片、90…接合部、100…切断機構、101…搬送・接合機構、102…保持バー、103…接合バー、104…エアノズル(外力付加機構)、105…ロッド(外力付加機構)、F…食品、L1…開封用条体6及び遊離片31の幅方向の中心線、L2…接合部60の幅方向の中心線、G1…接合部60の一端縁60aと遊離片31の一端縁31aとの間隔(非接合部の幅)、G2…開封用条体6の側縁6bと切込線30の端点30aとの間隔(間隙部の幅)、S1…中心線L1と中心線L2とのずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21