(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20230713BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230713BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230713BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/19
A61K8/362
A61K8/365
A61K8/73
A61K8/60
A61K8/34
A61K8/44
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2019120569
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(73)【特許権者】
【識別番号】504256800
【氏名又は名称】株式会社ビューロ
(72)【発明者】
【氏名】山上 陽平
(72)【発明者】
【氏名】千葉 旭史
(72)【発明者】
【氏名】柏原 泰則
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-062271(JP,A)
【文献】特開2005-194233(JP,A)
【文献】特開2017-048134(JP,A)
【文献】特開2015-180610(JP,A)
【文献】特開2005-314233(JP,A)
【文献】特開2016-193890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリル酸ナトリウムと泡化剤とを含み、当該
ポリアクリル酸ナトリウムによって対象液体の粘度を高めた粘性物を生成可能な第1剤と、
泡化促進剤を含み、当該泡化促進剤と前記粘性物との反応によって前記粘性物を泡化し膨張させて泡状入浴剤を生成可能な第2剤とを備える、
入浴剤作製セット。
【請求項2】
前記泡化剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1種であり、
前記泡化促進剤は、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸から選択された少なくとも1種である、
請求項1に記載の入浴剤作製セット。
【請求項3】
前記第1剤は前記粘性物及び前記泡状入浴剤の状態維持が可能な結合剤を含む、
請求項1または2に記載の入浴剤作製セット。
【請求項4】
前記結合剤は、デキストリン、スクロース、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、グルタミン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種である、
請求項3に記載の入浴剤作製セット。
【請求項5】
前記第1剤を用いて生成された前記粘性物の粘度をより高めることが可能な第2の増粘剤を含む第3剤をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の入浴剤作製セット。
【請求項6】
前記第2の増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、アガロース、ゼラチン、セルロース、カルボキシビニルポリマー、デンプン、グリコーゲン、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガムから選択された少なくとも1種である、
請求項5に記載の入浴剤作製セット。
【請求項7】
前記第3剤は第2の泡化剤を含む、
請求項5または6に記載の入浴剤作製セット。
【請求項8】
前記第2の泡化剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1種である、
請求項7に記載の入浴剤作製セット。
【請求項9】
前記第3剤は第2の結合剤を含む、
請求項5~8のいずれか1項に記載の入浴剤作製セット。
【請求項10】
前記第2の結合剤は、デキストリン、スクロース、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、グルタミン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種である、
請求項9に記載の入浴剤作製セット。
【請求項11】
前記第1剤と前記第2剤の少なくとも1つは温浴効果剤を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の入浴剤作製セット。
【請求項12】
前記温浴効果剤は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムから選択された少なくとも1種である、
請求項11に記載の入浴剤作製セット。
【請求項13】
前記第1剤と前記第2剤の少なくとも1つは着色剤を含む、
請求項1~4及び11のいずれか1項に記載の入浴剤作製セット。
【請求項14】
前記第1剤と前記第2剤の少なくとも1つは芳香剤を含む、
請求項1~4、
及び11のいずれか1項に記載の入浴剤作製セット。
【請求項15】
対象液体に請求項1~4、11、13及び14のいずれか1項に記載の第1剤を混合して粘性物を生成するステップと、
前記粘性物に請求項1~5、12、
及び14のいずれか1項に記載の第2剤を混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える、
入浴剤作製方法。
【請求項16】
対象液体に請求項5~10のいずれか1項に記載の第1剤を混合して粘性物を生成するステップと、
前記粘性物に請求項5~10のいずれか1項に記載の第3剤を混合して前記粘性物よりも高粘度の第2の粘性物を生成するステップと、
前記第2の粘性物に請求項5~10のいずれか1項に記載の第2剤を混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える、
入浴剤作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤を作製するための入浴剤作製セットと入浴剤作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、炭酸ナトリウムを主剤とする第1剤とクエン酸等を主剤とする第2剤とが水溶性仕切りを介して分離状態で収容された容器を温水に投入することによって、水溶性仕切りが温水に溶けて第1剤と第2剤とが混合され、当該混合によって発泡反応を生じさせるようにした発泡性粉末浴剤が開示されている。
【0003】
前記の発泡性粉末浴剤は、第1剤と第2剤とが分離状態で収容された容器を温水に投入して発泡を生じさせることを主眼としたものであるため、それ以外の楽しさおよび面白さを使用者に供与することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、入浴剤を作製する楽しさ及び面白さに加えて、作製時の状態変化による楽しさ及び面白さを使用者に供与できる入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入浴剤作製セットの一態様は、増粘剤と泡化剤とを含み増粘剤によって対象液体の粘度を高めた粘性物を生成可能な第1剤と、泡化促進剤を含み泡化促進剤と粘性物との反応によって粘性物を泡化し膨張させて泡状入浴剤を生成可能な第2剤とを備える。この入浴剤作製セットに対応した本発明に係る入浴剤作製方法は、対象液体に前掲の第1剤を混合して粘性物を生成するステップと、粘性物に前掲の第2剤を混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える。
【0007】
本発明に係る入浴剤作製セットの一態様は、前掲の第1剤及び第2剤の他に、前掲の第1剤を用いて生成された粘性物の粘度をより高めることが可能な第2の増粘剤を含む第3剤とを備える。この入浴剤作製セットに対応した本発明に係る入浴剤作製方法は、対象液体に前掲の第1剤を混合して粘性物を生成するステップと、粘性物に前掲の第3剤を混合して粘性物よりも高粘度の第2の粘性物を生成するステップと、第2の粘性物に前掲の第2剤を混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法によれば、入浴剤を作製する楽しさ及び面白さに加えて、作製時の状態変化による楽しさ及び面白さを使用者に供与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(A)は第1剤の成分の説明図、
図1(B)は第2剤の成分の説明図、
図1(C)は第3剤の成分の説明図である。
【
図2】
図2(A)~
図2(D)は第1剤及び第2剤を用いた泡状入浴剤の作製方法の説明図である。
【
図3】
図3(A)~
図3(D)は第1剤、第2剤及び第3剤を用いた泡状入浴剤の作製方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る入浴剤作製セットは、増粘剤と泡化剤とを含み当該増粘剤によって対象液体の粘度を高めた粘性物を生成可能な第1剤Xと、泡化促進剤を含み当該泡化促進剤と前記粘性物との反応によって前記粘性物を泡化し膨張させて泡状入浴剤を生成可能な第2剤Yとを備える(
図1(A)及び
図1(B)を参照)。この入浴剤セットに対応した本発明に係る入浴剤作製方法は、対象液体に前掲の第1剤Xを混合して粘性物を生成するステップと、前記粘性物に前掲の第2剤Yを混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える(
図2を参照)。
【0011】
また、本発明に係る入浴剤作製セットは、前掲の第1剤X及び第2剤Yの他に、前掲の第1剤Xを用いて生成された前記粘性物の粘度をより高めることが可能な第2の増粘剤を含む第3剤Zとを備える(
図1(A)~
図1(C)を参照)。この入浴剤セットに対応した本発明に係る入浴剤作製方法は、対象液体に前掲の第1剤Xを混合して粘性物を生成するステップと、前記粘性物に前掲の第3剤Zを混合して前記粘性物よりも高粘度の第2の粘性物を生成するステップと、前記第2の粘性物に前掲の第2剤Yを混合して泡状入浴剤を生成するステップとを備える(
図3を参照)。
【0012】
すなわち、本発明に係る入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法は、(1)第1剤Xおよび第2剤Yを用いて所期の泡状入浴剤を作製可能なセット及び方法と、(2)第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zを用いて所期の泡状入浴剤を作製可能なセット及び方法と、を包含する。
【0013】
以下、本発明を適用した入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法について具体的に説明する。
【0014】
《対象液体》
泡状入浴剤の作製タイミングは概して入浴前または入浴時であるため、対象液体は常温の水道水または温められた水道水(浴槽内の常温水または温水を含む)が一般的となる。第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zは粉状と粒状と液状のいずれでもよいが、子供が泡状入浴剤を作製することを考慮すると、第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zは作製時に扱いやすい粉状又は粒状とすることが好ましい。
【0015】
《入浴剤作製セットのパッケージ》
入浴剤作製セットのパッケージには、第1剤Xが封入された袋と第2剤Yが封入された袋とが専用箱等に収容されたパッケージと、第1剤Xが封入された袋と第2剤Yが封入された袋と第3剤Zが封入された袋とが専用箱等に収容されたパッケージを挙げることができ、泡状入浴剤の作製手順は専用箱等又は付属の説明書に記しておくことが好ましい。また、泡状入浴剤の作製時に必要な作製器具を別途用意する手間を省くために、後述の作製器具又はこれに相当するものを各パッケージに付属させておくことが好ましい。
【0016】
《第1剤Xの成分:
図1(A)》
第1剤Xの成分は、好ましくはX1に例示した増粘剤と泡化剤と結合剤と着色剤であり、各々の配合比率(質量%)はX1に例示したとおりである。この第1剤Xには、X2に例示したように着色剤を含有しないものや、X3~X5に例示したように増粘剤の配合比率(質量%)を増加したものも使用可能である。
【0017】
増粘剤は、対象液体の粘度を高めることが可能であれば特段制限はないが、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、アガロース、ゼラチン、セルロース、カルボキシビニルポリマー、デンプン、グリコーゲン、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガムから選択された少なくとも1種、より好ましくはポリアクリル酸ナトリウムから成る。
【0018】
泡化剤は、第2剤Y中の泡化促進剤と第1剤Xを用いて生成された粘性物中の水との反応によって当該粘性物を泡化し膨張させることが可能であれば特段制限はないが、好ましくは炭酸塩または炭酸水素塩に属する炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1種、より好ましくは炭酸ナトリウムから成る。
【0019】
結合剤は、第1剤Xを用いて生成された粘性物の状態維持及び第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤の状態維持が可能であれば特段制限はないが、好ましくはデキストリン、スクロース、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、グルタミン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種、より好ましくはデキストリンから成る。
【0020】
着色剤は、第1剤Xを用いて生成された粘性物及び第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤に色付けを施すためのものであり、所期の色に応じて公知の着色剤(合成着色料または天然着色料)を適宜使用することができる。例えばレッド系の色付けを施す場合の着色剤としてはAcid Red 52(赤色106号)を例示することができ、イエロー系の色付けを施す場合の着色剤としてはFD&C Yellow No.5(黄色4号)を例示することができ、ブルー系の色付けを施す場合の着色剤としてはFD&C Blue No.1(青色1号)を例示することができる。無論、同じ色系でも前掲以外の着色剤を用いてもよく、異なる色系の着色剤を用いることも可能である。
【0021】
ちなみに、
図1(A)に例示したX1~X5のうち、X2は第1剤Xを用いて生成された粘性物及び第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤に色付けを施さない場合に有用である。また、X3~X5は第1剤Xを用いて生成された粘性物の粘度が所期の粘度に達しない場合に有用である。
【0022】
《第2剤Yの成分:
図1(B)》
第2剤Yの成分は、好ましくはY1に例示した泡化促進剤と温浴効果剤と芳香剤であり、各々の配合比率(質量%)はY1に示したとおりである。この第2剤Yには、Y2に例示したように芳香剤を含有しないものや、Y3及びY4に例示したように泡化促進剤の配合比率(質量%)を増加または減少したものも使用可能である。
【0023】
泡化促進剤は、第1剤Xを用いて生成された粘性物との反応によって当該粘性物を泡化し膨張させることが可能であれば特段の制限はないが、好ましくは有機酸に属するクエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸から選択された少なくとも1種、より好ましくはクエン酸から成る。
【0024】
温浴効果剤は、温浴効果が期待できるものであれば特段の制限はないが、好ましくは硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムから選択された少なくとも1種、より好ましくは硫酸ナトリウムから成る。
【0025】
芳香剤は、第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤に香り付けを施すためのものであり、所期の香りに応じて公知の芳香剤(合成香料または天然香料)を適宜使用することができる。例えばフリージア系の香り付けを施す場合の芳香剤としてはリナロールやα-ターピネオールを例示することができ、カモミール(カミツレ)系の香り付けを施す場合の芳香剤としてはビサボロールオキサイドを例示することができ、森林系の香り付けを施す場合の芳香剤としてはβ-カリオフィレンを例示することができる。無論、同じ香り系でも前掲以外の芳香剤を用いてもよく、異なる香り系の芳香剤を用いることも可能である。
【0026】
ちなみに、
図1(B)に例示したY1~Y4のうち、Y2は第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤に香り付けを施さない場合に有用である。また、Y3及びY4は第2剤Yを用いて生成された泡状入浴剤の泡化及び膨張の程度を変える場合に有用である。
【0027】
《第3剤Zの成分:
図1(C)》
第3剤Zの成分は、好ましくはZ1に例示した増粘剤と泡化剤と結合剤であり、各々の配合比率(質量%)はZ1に例示したとおりである。この第3剤Zには、Z2~Z4に例示したように増粘剤の配合比率(質量%)の減少又は増加したものも使用可能である。
【0028】
増粘剤は、第1剤Xの増粘剤と同様、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、アガロース、ゼラチン、セルロース、カルボキシビニルポリマー、デンプン、グリコーゲン、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガムから選択された少なくとも1種、より好ましくはポリアクリル酸ナトリウムから成る。
【0029】
泡化剤は、第1剤Xの泡化剤と同様、好ましくは炭酸塩又は炭酸水素塩に属する炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1種、より好ましくは炭酸ナトリウムから成る。
【0030】
結合剤は、第1剤Xの結合剤と同様、好ましくはデキストリン、スクロース、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、グルタミン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種、より好ましくはデキストリンから成る。
【0031】
ちなみに、
図1(C)に例示したZ1~Z4は第1剤Xを用いて生成された粘性物の粘度をより高めて所期の粘度とする場合に有用であり、Z2~Z4は当該高められた粘性物の粘度を変える場合に有用である。
【0032】
《第1剤X及び第2剤Yを用いた泡状入浴剤の作製方法:
図2》
便宜上、
図1(A)に例示したX1を第1剤Xとし
図1(B)に例示したY1を第2剤Yとして説明すると、作製に際しては、まず、作製器具として容器11と攪拌棒14を用意する(
図2(A)及び
図2(B)を参照)。先に述べたように入浴剤作製セットのパッケージに容器11と攪拌棒14に相当するものが付属されている場合にはこれを使用する。
【0033】
そして、容器11内に対象液体12を入れ、続けて、第1剤Xが封入された袋13を開封して当該第1剤Xを対象液体12に入れ(
図2(A)を参照)、続けて、第1剤Xが入れられた対象液体12を攪拌棒14をよって撹拌して両者を混合する(
図2(B)を参照)。この混合によって対象液体12の粘度が高められ、かつ、色付けが施された粘性物12-1が生成される。
【0034】
続けて、第2剤Yが封入された袋15を開封して当該第2剤Yを粘性物12-1に入れ(
図2(C)を参照)、続けて、第2剤Yが入れられた粘性物12-1を攪拌棒14によって撹拌して両者を混合する(
図2(D)を参照)。この混合によって粘性物12-1が泡化して膨張し、かつ、色付けと香り付けが施された泡状入浴剤12-2が生成される。
【0035】
ここで、前掲の泡状入浴剤の作製方法をより明らかとするために、
・第1剤Xが
図1(A)に例示したX1
・増粘剤がポリアクリル酸ナトリウム
・泡化剤が炭酸ナトリウム
・結合剤がデキストリン
・着色剤がAcid Red 52(赤色106号)
・第2剤Yは
図1(B)に例示したY1
・泡化促進剤がクエン酸
・温浴剤が硫酸ナトリウム
・芳香剤がリナロール(フリージア系の香り)
の場合を例として泡状入浴剤の作製方法をより具体的に説明する。
【0036】
容器11内に対象液体12として50ミリリットルの常温の水道水を入れ、これに10グラムの第1剤X1を入れ、粘度上昇が略止まるまで撹拌を継続してレッド系の色付けが施された粘性物12-1を生成する。撹拌の仕方にもよるが撹拌時間は概ね30秒~60秒である。ちなみに、粘性物12-1は全体がどろどろとしていて粘り気があるもの、所謂スライム状のものである。
【0037】
そして、粘性物12-1に10グラムの第2剤Y1を入れ、泡化による膨張が略止まるまで撹拌を継続して、フリージア系の香り付けが施された泡状入浴剤12-2を生成する。撹拌の仕方にもよるが撹拌時間は概ね30秒~60秒である。ここでの泡化による膨張は、第2剤Y1中のクエン酸と粘性物12-1との反応によって生じる炭酸ガスによるものであり、粘性物12-1は内部で発生する炭酸ガスの気泡によって徐々に膨張する。撹拌の仕方にもよるが泡状入浴剤12-2の体積は粘性物12-1の体積に比し概ね3倍~6倍に膨張する。ちなみに、泡状入浴剤12-2は全体に粘り気がなくなり、かつ、多数の気泡を含み、ふっくらとしたものである。
【0038】
生成後の泡状入浴剤12-2は、浴槽内の温水(温められた水道水、好ましい温水量は150リットル~200リットル)に投入して使用される。すなわち、使用者は浴槽内の温水に投入された泡状入浴剤12-2を適宜かき混ぜることによって、湯面に浮揚している泡状入浴剤12-2の態様が変化する様子や当該泡状入浴剤12-2が温水に徐々に溶けていく様子等を楽しむことができる。なお、粘性物12-1をそのまま浴槽内の温水に投入したのでは温水に溶けるのに時間を要するが、泡状入浴剤12-2であれば、そのまま浴槽内の温水に投入したとしても温水に溶けるのにさほど時間を要することはない。
【0039】
《第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zを用いた泡状入浴剤の作製方法:
図3》
便宜上、
図1(A)に例示したX1を第1剤Xとし
図1(B)に例示したY1を第2剤Yとし
図1(C)に例示したZ1を第3剤Zとして説明すると、作製に際しては、まず、作製器具として容器11と攪拌棒14を用意する(
図3(A)及び
図3(B)を参照)。先に述べたように入浴剤作製セットのパッケージに容器11と攪拌棒14に相当するものが付属されている場合にはこれを使用する。
【0040】
そして、容器11内に対象液体12を入れ、続けて、第1剤Xが封入された袋13を開封して当該第1剤Xを対象液体12に入れ(
図3(A)を参照)、続けて、第1剤Xが入れられた対象液体12を攪拌棒14をよって撹拌して両者を混合する(
図3(B)を参照)。この混合によって対象液体12の粘度が高められ、かつ、色付けが施された粘性物12-1が生成される。
【0041】
続けて、第3剤Zが封入された袋16を開封して当該第3剤Zを粘性物12-1に入れ(
図3(C)を参照)、続けて、第3剤Zが入れられた粘性物12-1を攪拌棒14をよって撹拌して両者を混合する(
図3(D)を参照)。この混合によって粘性物12-1の粘度がより高められ、かつ、色付けが施された第2の粘性物12-1’が生成される。このように第1剤Xを入れた後に第2剤Zを入れるようにしたことで、段階的に粘度を高めていくことが可能であり、力のない幼児でも撹拌による混合が容易となる。
【0042】
続けて、第2剤Yが封入された袋15を開封して当該第2剤Yを第2の粘性物12-1’に入れ(
図3(E)を参照)、続けて、第2剤Yが入れられた第2の粘性物12-1’を攪拌棒14をよって撹拌して両者を混合する(
図3(F)を参照)。この混合によって第2の粘性物12-1’が泡化して膨張し、かつ、色付けと香り付けが施された泡状入浴剤12-2が生成される。
【0043】
ここで、前掲の泡状入浴剤の作製方法をより明らかとするために、
・第1剤Xが
図1(A)に例示したX1
・増粘剤がポリアクリル酸ナトリウム
・泡化剤が炭酸ナトリウム
・結合剤がデキストリン
・着色剤がAcid Red 52(赤色106号)
・第3剤Zが
図1(C)に例示したZ1
・増粘剤がポリアクリル酸ナトリウム
・泡化剤が炭酸ナトリウム
・結合剤がデキストリン
・第2剤Yは
図1(B)に例示したY1
・泡化促進剤がクエン酸
・温浴剤が硫酸ナトリウム
・芳香剤がリナロール(フリージア系の香り)
の場合を例として泡状入浴剤の作製方法をより具体的に説明する。
【0044】
容器11内に対象液体12として50ミリリットルの常温の水道水を入れ、これに10グラムの第1剤X1を入れ、粘度上昇が略止まるまで撹拌を継続してレッド系の色付けが施された粘性物12-1を生成する。撹拌の仕方にもよるが撹拌時間は概ね30秒~60秒である。ちなみに、粘性物12-1は全体がどろどろとしていて粘り気があるもの、所謂スライム状のものである。
【0045】
そして、粘性物12-1に5グラムの第3剤Z1を入れ、粘度上昇が略止まるまで撹拌を継続してレッド系の色付けが施された第2の粘性物12-1’を生成する。撹拌の仕方にもよるが撹拌時間は概ね30秒~60秒である。ちなみに、第2の粘性物12-1’は全体がどろどろとしていて粘り気があるもの、所謂スライム状のものであり、その粘度は粘性物12-1の粘度よりも高い。
【0046】
そして、第2の粘性物12-1’に10グラムの第2剤Y1を入れ、泡化による膨張が略止まるまで撹拌を継続して、フリージア系の香り付けが施された泡状入浴剤12-2を生成する。撹拌の仕方にもよるが撹拌時間は30秒~60秒である。ここでの泡化による膨張は、第2剤Y1中のクエン酸と第2の粘性物12-1’との反応によって生じる炭酸ガスによるものであり、第2の粘性物12-1’は内部で発生する炭酸ガスの気泡によって徐々に膨張する。撹拌の仕方にもよるが泡状入浴剤12-2の体積は第2の粘性物12-1’の体積に比し概ね3倍~6倍に膨張する。ちなみに、泡状入浴剤12-2は全体に粘り気がなくなり、かつ、多数の気泡を含み、ふっくらとしたものである。
【0047】
生成後の泡状入浴剤12-2は、浴槽内の温水(温められた水道水、好ましい温水量は150リットル~200リットル)に投入して使用される。すなわち、使用者は浴槽内の温水に投入された泡状入浴剤12-2を適宜かき混ぜることによって、湯面に浮揚している泡状入浴剤12-2の態様が変化する様子や当該泡状入浴剤12-2が温水に徐々に溶けていく様子等を楽しむことができる。
【0048】
《第1剤X及び第2剤Yを用いた泡状入浴剤の作製方法(
図2)と、第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zを用いた泡状入浴剤の作製方法(
図3)との相違点》
先に説明した第1剤X及び第2剤Yを用いた泡状入浴剤の作製方法は、第1剤Xのみを用いて所期の粘度の粘性物12-1を生成する場合に適している。一方、第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zを用いた泡状入浴剤の作製方法は、第1剤Xと第3剤Zを順に用いて粘度を段階的に上昇させて所期の粘度の第2の粘性物12-1’を生成する場合に適している。
【0049】
すなわち、前者の作製方法は第1剤Xのみを用いて所期の粘度の粘性物12-1を生成するため、所期の泡状入浴剤12-2を後者の作製方法に比べて短時間で、しかも、簡単に作製できる利点がある。一方、後者の作製方法は第1剤Xと第3剤Zを順に用いて粘度を段階的に上昇させているため、前者の作製方法に比べて多少時間はかかるものの、粘性物(12-1及び12-1’)の粘度が段階的に上昇する様子を楽しめる利点がある。
【0050】
《入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法によって得られる主たる効果》
前述の入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法によれば、泡状入浴剤12-2を作製する楽しさ及び面白さに加えて、作製時の状態変化、すなわち、対象液体12の高粘度化と粘性物12-1及び第2の粘性物12-1’の泡化による膨張とに基づく楽しさ及び面白さを使用者に供与できる
【0051】
また、第1剤X及び第2剤Yを備えた入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法によれば、所期の泡状入浴剤12-2を比較的短時間で、しかも、簡単に作製することができる。一方、第1剤X、第2剤Y及び第3剤Zを備えた入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法によれば、粘性物(12-1及び12-1’)の粘度が段階的に上昇する様子を楽しむことができる。
【0052】
《入浴剤作製セット及び入浴剤作製方法に係る補足》
(M1)温浴剤が第2剤Yに含まれているものを例示したが、第1剤X及び第2剤Yを用いる場合、温浴剤は第1剤Xの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yの両方に分けて含まれていてもよい。また、第3剤Zを併せて用いる場合、温浴剤は第3剤Zの方に含まれていてよいし、第1剤Xの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yと第3剤Zのうちの2つまたは3つに分けて含まれていてもよい。
【0053】
(M2)着色剤が第1剤Xに含まれているものを例示したが、第1剤X及び第2剤Yを用いる場合、着色剤は第2剤Yの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yの両方に分けて含まれてもよい。また、第3剤Zを併せて用いる場合、着色剤は第3剤Zの方に含まれていてよいし、第2剤Yの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yと第3剤Zのうちの2つまたは3つに分けて含まれていてもよい。
【0054】
(M3)芳香剤が第2剤Yに含まれているものを例示したが、第1剤X及び第2剤Yを用いる場合、芳香剤は第1剤Xの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yの両方に分けて含まれてもよい。また、第3剤Zを併せて用いる場合、芳香剤は第3剤Zの方に含まれていてよいし、第1剤Xの方に含まれていてもよいし、第1剤Xと第2剤Yと第3剤Zのうちの2つまたは3つに分けて含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
X,X1~X5…第1剤、Y,Y1~Y4…第2剤、Z,Z1~Z4…第3剤、11…容器、12…対象液体、12-1…粘性物、12-1’…第2の粘性物、12-2…泡状入浴剤、14…攪拌棒。