(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】切削機能付繰出容器および固形物質収容容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/76 20060101AFI20230713BHJP
A45D 40/20 20060101ALI20230713BHJP
A45D 40/00 20060101ALI20230713BHJP
A47J 43/28 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B65D83/76 130
A45D40/20 B
A45D40/00 X
A47J43/28
(21)【出願番号】P 2019132275
(22)【出願日】2019-07-17
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】名越 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】島 孝明
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 智行
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-094481(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0107369(KR,A)
【文献】特開2001-197928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B65D 47/20
B65D 77/04
A45D 40/00-40/20
A47J 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物質を収容する、上部が開口し、底面に貫通孔が形成された収容部と、
前記収容部内において昇降可能であって、外周面にネジ突条が形成された上昇底と、
前記収容部を回転可能に格納する有底の外側ケースと、
天面の下方に固形物質を切削する切削手段が設けられ、該切削手段によって切削された前記固形物質が削ぎ出される排出口が形成された天面を有する回転蓋と、を備えており、
前記外側ケースと前記回転蓋に対して、前記収容部及び前記上昇底は前記固形物質とともに交換可能なリフィルであり、
前記収容部の前記貫通孔を介して前記外側ケースの底面部に対して前記上昇底の回転が規制されるように、前記リフィルは前記外側ケースに対して取り付けられ、前記回転蓋は、前記収容部に対して水平方向に回転が規制されて取り付けられることによって、
前記回転蓋と前記外側ケースとを相対的に所定方向に回転させる際に、前記上昇底を上昇させて、前記固形物質の上端を切削することができる、
切削機能付繰出容器。
【請求項2】
前記外側ケースと前記収容部とが相対的に回動する際、前記上昇底を前記外側ケース側に回転不能に固定する回転規制部材を備え、
前記回転規制部材は、交換可能な前記リフィルの一部であり、
前記収容部の前記底面の中央には、前記貫通孔の周囲を取り囲む中空の中心筒が設けられており、
前記中心筒の前記貫通孔の内で、前記回転規制部材の一部と前記外側ケースの前記底面部の一部とが係合することで、前記上昇底と前記外側ケースとを回転不能に連結する
請求項1に記載の切削機能付繰出容器。
【請求項3】
前記外側ケースの前記底面部の底面の中央には、上方に突出する柱状突起が設けられ、
前記回転規制部材は、前記収容部の前記中心筒の外周を取り囲む軸筒及び前記中心筒の上端と接触する係合板を有しており、
前記外側ケースの前記柱状突起の頂面には係合部が設けられ、
前記回転規制部材の係合板の下面には係合部が設けられ、
前記リフィルを前記外側ケースの前記底面部に対して取りつける際、
前記収容部の前記中心筒の内側の前記貫通孔に、前記外側ケースの柱状突起を嵌めこむことで、前記外側ケースと前記収容部とは回転自在に連結され、
前記外側ケースの前記柱状突起の前記頂面の係合部と、前記回転規制部材の前記係合板の下面の係合部とを係合することで、前記外側ケースと前記回転規制部材とは回転不能に連結される、
請求項2に記載の切削機能付繰出容器。
【請求項4】
前記上昇底の中央には、前記回転規制部材の前記軸筒を取り囲む開口部と、前記開口部から半径方向に延伸するスリットが形成され、
前記回転規制部材は、前記軸筒の外周面から外側に延出する1枚以上の羽根部材をさらに有しており、
前記係合板の下面の前記係合部と前記柱状突起の頂面の係合部とが係合し、前記羽根部材は前記上昇底のスリット内に嵌まることで、前記外側ケースの前記底面部に対して前記上昇底の回転が規制されて連結される、
請求項3に記載の切削機能付繰出容器。
【請求項5】
前記収容部の内側に、前記収容部に対して回転が規制されて内装される内筒を備え、
前記内筒の内周面に、ネジ溝が形成されており、
前記内筒のネジ溝に対して前記上昇底の前記外周面の前記ネジ突条が係合され、前記上昇底に対して内筒が回転することで、前記上昇底が昇降する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の切削機能付繰出容器。
【請求項6】
前記外側ケースは、
中央に柱状突起が設けられた底面及び前記底面と、前記収容部の側面が水平方向に回転自在に内嵌する周壁とを有する下部ケース、及び
上端から中央側に突出する上端リングが設けられ、前記下部ケースの前記周壁の一部の外側に外嵌される筒状カバー、を有しており、
前記収容部の上端近傍の外周面には、環状に外側に突出する鍔部が設けられ、
前記リフィルを取りつける際、前記筒状カバーの上端リングにより、前記収容部の前記鍔部を上から押さえることで、前記外側ケースに対する前記収容部の上下方向の位置を規制する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の切削機能付繰出容器。
【請求項7】
固形物質回転削り蓋及び外側ケースに対して、着脱可能なリフィルとなる固形物質収容容器であって、
前記外側ケースの底面の中央には上方に突出する柱状突起が設けられ、
固形物質収容容器は、
固形物質を収容する、上部が開口し、有底の収容部と、
前記収容部内において昇降可能であって、外周面にネジ突条が形成され、中央に貫通孔が形成された上昇底と、を備えており、
前記収容部の底面中央には、貫通孔が形成されており、
当該固形物質収容容器を前記外側ケースに対して取りつける際、前記収容部の前記貫通孔の内側に、前記外側ケースの柱状突起を嵌めこむことで、
前記収容部の前記貫通孔を介して、前記外側ケースの底面部に対して前記上昇底の回転が規制される、
固形物質収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削機能付繰出容器、および切削機能付繰出容器のリフィルとなる固形物質収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
予め収納された固形物質を繰り出して使用できるように構成された繰出容器は、広く普及している。更に、繰り出された固形物質を適当なサイズに切削する機能を有する切断機能付繰出容器が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カッターが取り付けられた回転蓋と、容器本体とを相対的に回転させ、回転蓋の回転に伴ってそれと同軸上に回動する中央の螺旋棒に螺合された上昇底が該螺旋棒に対して回転状態で上昇するように構成される切削機能付繰出容器が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、カッターが取り付けられた回転蓋と、容器本体とを相対的に回転させることで、回転蓋の回転に伴って、回転蓋と一体的に形成された容器本体の螺旋筒の内周に螺合された上昇底が、螺旋筒に対して回転状態で上昇するように構成される切削機能付繰出容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録3120468号公報
【文献】特許第4868400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1,2の繰出し容器では、予め繰出し容器を全て組み立てて販売することが前提とされており、リフィル等は考慮されていなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、固形物質が収容される部分をリフィルとして交換することができる、切削機能付繰出容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
固形物質を収容する、上部が開口し、底面に貫通孔が形成された収容部と、
前記収容部内において昇降可能であって、外周面にネジ突条が形成された上昇底と、
前記収容部を回転可能に格納する有底の外側ケースと、
下面側に固形物質を切削する切削手段が設けられ、該切削手段によって切削された前記固形物質が削ぎ出される排出口が形成された天面を有する回転蓋と、を備えており、
前記外側ケースと前記回転蓋に対して、前記収容部及び前記上昇底は前記固形物質とともに交換可能なリフィルであり、
前記収容部の前記貫通孔を介して、前記外側ケースの底面部に対して前記上昇底の回転が規制されるように、前記リフィルは前記外側ケースに対して取り付けられ、前記回転蓋は、前記収容部に対して水平方向に回転が規制されて取り付けられることによって、
前記回転蓋と前記外側ケースとを相対的に所定方向に回転させる際に、前記上昇底を上昇させて、前記固形物質の上端を切削することができる、
切削機能付繰出容器、を提供する。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、切削機能付繰出容器において、固形物質が収容される部分をリフィルとして交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切削機能付繰出容器の全体図。
【
図4】
図1の切削機能付繰出容器の固形物質収容容器と筐体ユニットとの分解図。
【
図5】
図4の固形物質収容容器と筐体ユニットとの分解断面図。
【
図6】回転蓋の下面と固形物質収容容器の上面の説明図。
【
図8】固形物質収容容器の底面と、下部ケースの斜視図。
【
図9】固形物質収容容器がリフィルの状態の場合の部分拡大図と、固形物質収容容器を下部ケースへ組み立て後の状態を示す部分拡大図。
【
図10】固形物質収容容器及び下部ケースに対して筒状カバーをと取り付ける説明図。
【
図13】固形物質収容容器の収容部の底面上面と回転規制部材の下面の説明図。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る切削機能付繰出容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
本発明は、切削機能付繰出容器、及び切削機能付繰出容器のリフィルとなる固形物質収容容器に関する。
【0013】
固形物質とは、特に硬度の高いヘアスチィック、ヘアワックス、固形美容液(例えば、スティック美容液と類似した硬度のもの)などの固形化粧料又は半固形化粧料、固形石鹸、チーズ、バターなどの食品等である。本発明において、固形物質は、収容部に予め充填される、リフィル(リフィル容器)として収容部ごと交換により充填される、あるいは、交換された固形物が後から収容部に充填されることでセットされる。
【0014】
<全体概略>
まず、
図1~
図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る切削機能付繰出容器(カッター付き繰出容器)100の全体構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る切削機能付繰出容器100の外観図である。
図2は、一実施形態に係る切削機能付繰出容器100の断面斜視図である。
図3は、一実施形態に係る切削機能付繰出容器100の断面分解図である。
【0016】
図1~
図3を参照して、本実施形態の切削機能付繰出容器100は、収容部1と、内筒2と、回転蓋3と、上昇底4と、回転規制部材5と、下部ケース6と、筒状カバー7と、備えている。
【0017】
本発明の構成では、回転蓋3に対して、筒状カバー7を回転させることで、固形の内容物が繰り出される。
【0018】
図1を参照して、切削機能付繰出容器100に対して、上部を開閉可能な上側蓋9を、装着してもよい。
【0019】
図2、
図3を参照して、有底の収容部1は、上部が開口している有底筒であって、固形物質を収容する。収容部1は、円状の底面11と、円筒状の側壁16とを有している。底面11には、貫通孔12が形成され、貫通孔12を取り囲む中心筒13が設けられている。側壁16の上端周辺の外周には、鍔部17と、係合突起18が設けられている。
【0020】
内筒2は、内周面に、螺旋溝21が形成された螺旋筒である。内筒2は、収容部1の内側に、収容部1に対して回転が規制されて内装される。
【0021】
固形物質回転削り蓋である回転蓋3は、天面31と、側面36とを有している。天面31の下面には、固形物質を切削するカッター32(
図7参照)が設けられている。また天面31の上面には、隆起部33が形成されており、隆起部33の一面には、固形物質が削ぎ出されるスリット孔である排出口34が形成されている。
【0022】
回転蓋3は、収容部1に対して回転が規制される。回転蓋3と収容部1との係合については、
図7とともに詳述する。
【0023】
図3を参照して、上昇底4は、中央には中央穴(開口部)41が形成されたリング形状であって、中央穴41から連続した、半径方向に延伸するスリット42,43が形成されている。また、上昇底4は、外周面にネジ突条44(
図2参照)が形成されている。上昇底4のネジ突条44は、内筒2の螺旋溝21と係合されている。上昇底4は、内筒2に対して回転することで、上昇可能である。
【0024】
回転規制部材5は、中央で上下方向に延伸している軸筒51と、軸筒51の外周面から外側に延出する2枚の羽根部材52,53を有している。軸筒51の内周には、軸筒51の軸方向(上下方向)を仕切るように固定された、水平方向に延伸する係合板54が設けられている。
【0025】
回転規制部材5の羽根部材52,53は、上昇底4のスリット42,43内に嵌まる。これにより、回転規制部材5は、外側ケース8と収容部1とが相対的に回動する際、上昇底4を外側ケース8側に回転不能に固定する。
【0026】
下部ケース6と筒状カバー7とで、有底の外側ケース8を構成している。外側ケース8は、収容部1を回転可能に格納する。
【0027】
下部ケース6は、底面61と、該底面61と連接する周壁65を有している。下部ケース6の底面61には、中央に、柱状突起62が設けられており、柱状突起62の頂面62Uには、係合凸部63が設けられている。なお、底面61と、柱状突起62とを合わせて底面部601と呼ぶ場合もある。周壁65は、下側厚肉壁66及び上側薄肉壁67で構成されている。
【0028】
上記の回転規制部材5の係合板54の下面は、収容部1の中心筒13の上端13Uと回転可能に接触するとともに、下部ケース6の柱状突起62の係合凸部63と回転が固定した状態で係合する。回転規制部材5と、収容部1の底面11、下部ケース6の底面部601との係合については、
図5、
図6とともに後述する。
【0029】
筒状カバー7は、収容部1の側壁16が水平方向に回転自在に収容されるように外側を取り囲む、外側周壁(外筒)である。また、筒状カバー7の下端周辺は、下部ケース6の周壁65の上部である上側薄肉部67外側に外嵌される。
【0030】
筒状カバー7は、収容部1を回転可能の収容し、下部ケース6の周壁65と回転不能に固定される。筒状カバー7と下部ケース6との係合については、
図10とともに詳述する。
【0031】
このように、回転蓋3は、収容部1に対して水平方向に回転が規制されて取り付けられ、上昇底4は、回転規制部材5を介して下部ケース6と回転が規制されて取り付けられている。よって、
図2に示す、収容部1、内筒2、及び回転蓋3は、回転体Aとして一体的に動き、上昇底4、回転規制部材5、下部ケース6、及び筒状カバー7は、回転体Bとして一体的に動く。
【0032】
そのため、回転蓋3と筒状カバー7とを相対的に所定方向に回転させることによって、上昇底4を上昇させて、固形物質の上端を切削することができる。
【0033】
【0034】
<リフィルの分離>
図4は、切削機能付繰出容器を固形物質収容容器αと筐体ユニットβとに分解した図である。
図5は、切削機能付繰出容器を固形物質収容容器αと筐体ユニットβとに分解した断面図である。
【0035】
図4、
図5に示すように、固形物質収容容器αは、外側ケース8及び回転蓋3に対して、固形物質ととともに交換可能な(外して差し替え可能な)リフィル(容器)である。
【0036】
リフィルである固形物質収容容器αは、収容部1と、内筒2と、上昇底4と、回転規制部材5とを備えている。
【0037】
一方、筐体ユニットβは、回転蓋3と、外側ケース8を構成する下部ケース6と筒状カバー7とを有する。筐体ユニットβは、リフィル交換後、再利用される。
【0038】
筐体ユニットβに対して、本体ボトル側の収容部1と、内筒2と、上昇底4と、回転規制部材5は、固形物質とともに交換可能なリフィルにすることができる。即ち、空になった固形物質収容容器αを、同じ形状の新品のリフィルに、付け替えて交換し、筐体ユニットβを繰り返し使用することができる。
【0039】
付け替え用の、リフィルとして取り替え可能な固形物質収容容器αでは、リフィルの上面、即ち、収容部1の上端および内筒2の上端、及び回転規制部材5の上端の上を、フィルムF(
図5参照)でカバーすることができる。これにより、リフィルである固形物質収容容器αは、単体で流通することができる。
【0040】
なお、本発明では、
図4に示すように、回転規制部材5の上端は、軸筒51と羽根部材52,53の上端であって、収容部1の側壁16の上端よりも低い位置になるように配置されている。また、内筒2の上端は収容部1の側壁16の上端より低い位置に取り付けられている。そのため、固形物質収容容器αの上面がフィルムFでカバーされた場合、側壁16の上端が最も強くフィルムFに接触し、たるみ等により回転規制部材5の上端と接触した場合であっても、最もたるむ中央は筒状に面接触するため、フィルムFに与える負荷は少ない。
【0041】
ここで、
図4~
図10を用いて、固形物質収容容器αの筐体ユニットβへの取り付けと係合後の挙動について説明する。
【0042】
<取り付け(1)>
まず、回転蓋3を、固形物質収容容器αの上端に対して取りつける。
図4、
図5、
図6、
図7を用いて、回転蓋3の固形物質収容容器αへの取り付けについて説明する。
【0043】
図6において、(a)は回転蓋3を斜め下から見た図、(b)は回転蓋3を(a)とは異なる角度から見た図、(c)は固形物質収容容器αに下部ケース6を取り付けて上方から見た図である。
【0044】
図7において、(a)は回転蓋3を斜め上から見た図、(b)は回転蓋3を(a)とは異なる角度から見た図である。また、
図7、
図8において、矢印Rは、上昇底4及び回転規制部材5に対する回転蓋3の回転方向を示している。
【0045】
図6(a)、(b)に示すように、回転蓋3において、天面31の上面に天面の半径よりも長い長さに少なくとも一面が傾斜面である板状の突起である隆起部33が形成されている。
【0046】
詳しくは、回転蓋3の天面31の上面には、上方から見て回転蓋3の中心と外周縁との間を湾曲して延伸している隆起部33が設けられている。隆起部33は、側方から見て、上方が先細る、山型形状(歪んだ三角形形状)である。
【0047】
本構成では、隆起部33の湾曲での凹んでいる面であって、回転蓋3の使用時の回転方向Rの上流側の傾斜面33Sに、隆起部33に沿って三日月状に湾曲したスリット孔である排出口34が形成されている。また、排出口34は、隆起部33の傾斜面33Sにおいて天面31の上面と、
図1に示す側面視で略平行に開口した長孔である。また、傾斜面33Sとともに隆起部33を構成する他の斜面は、
図6(a)に示すように、傾斜面33Sよりも垂直に近い角度になるように傾斜が設定されていると好適である。
【0048】
図6(a)、(b)に示すように、切削手段であるカッター32は、上側からみて、長孔である排出口34の下側の縁から、斜め下に延び出している。また、
図6(a)、(b)に示す下面から見て、回転蓋3の天面31の下面31L側のカッターと、下面31Lとの境界となる起点部32Eから、下面31Lと排出口34との境界となるスリット下縁34Eに覆いかぶさるように、カッター32は下面31Lに対して鈍角方向に傾斜して延伸している。
【0049】
また、
図6(a)(b)に示すように、回転蓋3の天面31の下面の外周近傍には、環状リブ35が下方に垂下している。
【0050】
ここで、
図6(c)に示すように、固形物質収容容器α内部において、内容物である固形物質は、回転規制部材5の軸筒51の外周側であって、羽根部材53,53を避けるように充填されている。
【0051】
カッター32は、外周縁が環状リブ35の内周と当接しており、内周縁は、回転規制部材5の軸筒51の外側の位置である。即ち、カッター32の、天面31の直径方向の長さは、軸筒51の外周面から、環状リブ35の内側までカバーしていると好適である。
【0052】
この構成により、天面31の直径方向において、充填された固形物質の上面のほぼ半分である半径において軸筒51を除いた部分を、カッター32によって均等に削ることができる。また、回転蓋3は固形物質収容容器αに対して取りつけても、カッター32と回転規制部材5の上端との接触を回避することができる。
【0053】
また、湾曲したスリット状の排出口34において、湾曲の外側の弧に沿うように、カッター32が設けられている。回転蓋3に設けられるカッター32は、排出口34の回転方向下流側の外側の弧と略同じ長さに設けられている。
【0054】
上昇底4によって収容部1の上端周辺に繰り出された固形物質は、回転蓋3のカッター32によって、薄板状に切削され排出口から天面の上方に削ぎ出される。
【0055】
また、
図6(c)に示すように、収容部1の側壁16の上端は、他の内周面に比べて内側が凹んだ、薄肉上端部16Tとなっている。
【0056】
回転蓋3は環状リブ35の外周と側面36の内周とで、収容部1の薄肉上端部16Tを挟むことで位置を固定する。
【0057】
なお、回転蓋3のカッター32は、環状リブ35の内周面を端部と連接しており、収容部1の側壁16の薄肉上端部16Tには、内筒2の上端よりも上方に位置している。また、
図6(b)を参照してカッター32の下方向の高さは環状リブ35よりも短い。そのため、上昇底4が内筒2の螺旋溝21に沿って上端まで到達しても、上昇底4は、カッター32の位置に到達しないため、最後まで利用しても、カッター32は回転時に固い上昇底4とは接触せずにカッター32は破損しにくい。
【0058】
また、回転蓋3の側面36の内周には、係合突条37が形成されている。回転蓋3の内周の係合突条37と、収容部1の側壁16の係合突起18とがネジ状に係合することで、回転蓋3は、収容部1に対して、上下方向の位置が規制されるとともに、収容部1に対する回転蓋3の回転が規制される。
【0059】
なお、回転蓋3を取りつける際は、リフィルとなる固形物質収容容器αの上端に貼られたフィルムFを取り外す。
【0060】
<取り付け(2)>
次に、回転蓋3が取りつけられた固形物質収容容器αを、下部ケース6に取りつける。
図2、
図4~
図5、
図8、
図9を用いて、固形物質収容容器αと、下部ケース6との係合について説明する。
図8において(a)は、固形物質収容容器αの底部の斜視図であって、(b)は下部ケース6の斜視図である。
図9において、(a)は固形物質収容容器αがリフィルの状態の場合の部分拡大図であり、(b)は固形物質収容容器αを下部ケース6へ組み立て後の状態を示す部分拡大図である。
【0061】
図5、
図8(a)、
図9(a)に示すように、収容部1の底面11に貫通孔12が形成されており、貫通孔12を取り囲むように中心筒13が設けられている。
【0062】
また、
図5を参照して、回転規制部材5の係合板54の下側は、収容部1の中心筒13の外周を取り囲んでいる。係合板54の下面は中心筒13の上端13Uと接触するとともに、下部ケース6の柱状突起62と係合する。
【0063】
詳しくは、係合板54の下面の中央は、最も厚みのある中央厚肉部55が設けられ、中央厚肉部55の下面には、係合凹部56が形成されている。また係合板54の下面は中央厚肉部55の外側は、内周溝57が形成されている。
【0064】
図8(a)に示すように、固形物質収容容器αの状態では、係合板54の下面の内周溝57は、中心筒13の上端13Uと接触しているため、下側から見て、収容部1の貫通孔12からは、中央厚肉部55と、係合凹部56が視認できる。
【0065】
また、
図9(a)に示すように、リフィル状態では、固形物質収容容器α内において、収容部1と、回転規制部材5とは丸C1で囲った部分で係合し、C2,C3で囲った部分で移動を規制することで、収容部1内部の内容物の気密状態を維持している。
【0066】
リフィル状態では、回転規制部材5の係合板54の下面に形成された、内周溝57には、収容部1の中心筒13の上端の薄肉部13Tが嵌まり込んでいる。詳しくは、後述のリフィル組み立て時に、回転規制部材5の軸筒51の内側に、中心筒13を押し込む際に、薄肉部13Tの外周の上端に設けられた上端突条13Pが、軸筒51の内周突条51Pを乗り越えて、内周溝57の上端の近傍に到達している。この乗り越えにより、C1に示す位置で、収容部1の底面11が、回転規制部材5に対して下側に抜けないように規制している。
【0067】
さらに、内周溝57に、中心筒13の上端の薄肉部13Tが嵌まり込んでいる状態では、C2に示すように、中央厚肉部55の下面の周縁周辺に、薄肉部13Tの段差ISが当接している。
【0068】
また、C3に示すように、回転規制部材5の軸筒51の下端の下端薄肉部51Iは、収容部1の中心筒13の外周と環状リブ14Rとの間の溝14Gに挟まれる。C2、C3の接触により、回転規制部材5の収容部1に対する横方向の移動を規制している。
【0069】
このような係合により、リフィル状態における、収容部1内部の内容物の気密状態を維持している。なお、固形物質収容容器α内の各部材の詳細については、
図11~
図13とともに詳述する。
【0070】
一方、
図8(b)に示すように、下部ケース6の底面61の中央には、上方に突出する柱状突起62が設けられ、柱状突起62の頂面62Uには係合凸部63が設けられている。
【0071】
リフィルである固形物質収容容器αを下部ケース6に対して取りつける際、収容部1の中心筒13の内側の貫通孔12に、下部ケース6の柱状突起62を嵌め込む。この嵌め込みにより、下部ケース6と収容部1とは、柱状突起62を軸として、収容部1及び内筒2が回転可能に連結される。
【0072】
また、下部ケース6の柱状突起62の頂面62Uの係合凸部63と、回転規制部材5の係合板54の下面の係合凹部56とを係合することで、回転規制部材5と下部ケース6とは回転不能に連結される。
【0073】
また上述の
図3に示したように、上昇底4には、中央穴41から半径方向に延伸するスリット42,43が形成され、回転規制部材5の羽根部材52,53は上昇底4のスリット42,43内に嵌まることで、回転規制部材5は、上昇底4に対しては回転せず、回転体Aに対して、回転体Bとして一緒に回転する。
【0074】
このように、収容部1の中心筒13の貫通孔12の内で、回転規制部材5の一部と下部ケース6(外側ケース8)の底面部601の一部とが係合することで、上昇底4と外側ケース8とを回転不能に連結する。
【0075】
詳しくは、
図9(a)⇒
図9(b)に示すように、下部ケース6を固形物質収容容器αに嵌合する際、柱状突起62が係合板54を押し上げるようにして、下部ケース6の柱状突起62の係合凸部63と、回転規制部材5の係合板54の下面の係合凹部56とを係合する。
【0076】
この際、回転規制部材5が収容部1に対して持ち上げられることで、軸筒51の内周突条51Pが、薄肉部13Tの外周上端の上端突条13Pを乗り越えて係合が解除されることで、収容部1と回転規制部材5との気密状態が解除される。
【0077】
そして、下部ケース6と回転規制部材5とが連結した後は、回転規制部材5は収容部1の底面11に対して浮いた状態で、下部ケース6の柱状突起62の係合凸部63によって支持される。これにより、下部ケース6と固形物質収容容器αとが係合した状態では、回転規制部材5は、収容部1とは嵌合していないため、回転規制部材5と収容部1とは相対的に回転自在となる。
【0078】
なお、本例では、係合凹部56、係合凸部63がマイナス状の形状の例を示しているが、係合部の形状は回転が規制できれば、+形状や、多角形状であってもよい。
【0079】
また、本例では、回転規制部材5の係合板54の下面に係合凹部、柱状突起62の頂面62Uに係合凸部を有している例を示しているが、貫通孔の内側で係合できれば、回転規制部材5の係合板54の下面に係合凸部を設け、柱状突起62の頂面62Uに係合凹部を設けてもよい。
【0080】
また、
図8(a)に示すように、固形物質収容容器αの底面11の下面の外縁は、他の部分よりも外側に突出したリップ部15となっている。
図8(b)に示すように、下部ケース6の底面61の上面には、環状リブ64が設けられている。
【0081】
収容部1が下部ケース6に対して回転する際、収容部1は柱状突起62を回転軸として、リップ部15の内周が環状リブ64の外周にガイドされることで回転時の横方向の位置が指定され、安定した回転動作が実行できる。
【0082】
また、下部ケース6は周壁65を有している。下部ケース6の周壁65の内側に、収容部1の側壁16が水平方向に回転自在に内嵌する。
【0083】
なお、取り付け(1)と取り付け(2)の順序が逆であってよい。
【0084】
<取り付け(3)>
その後、筒状カバー7を、下部ケース6に対して取りつけることで外側ケース8を組み立てる。
図4、
図8(b)、
図10を用いて、筒状カバー7の、固形物質収容容器αを装着した下部ケース6への取り付けについて説明する。
【0085】
図4、
図10に示すように、筒状カバー7の内周の下端近傍に、傾斜した内側線状突起71が設けられている。また、内側係合部である内側線状突起71の突起の一部には、一部が凹んだ係止溝72が形成されている。
【0086】
また、
図8(b)に示すように、下部ケース6の周壁65は、下側厚肉壁66と上側薄肉壁67とで構成されている。そして、上側薄肉壁67の外周には、傾斜した外側線状突起68が設けられ、外側線状突起68の下端周辺の下縁から連接して乗り上げ突起69が上下方向に延伸し、乗り上げ突起69の下端は、下側厚肉壁66の上面である段差部Sまで到達している。
【0087】
筒状カバー7は、下部ケース6の周壁65の上側の上側薄肉壁67の外側に外嵌され、下部ケース6の外側線状突起68と、筒状カバー7の内側線状突起71にガイドされながら、乗り上げ突起69が係止溝72に嵌まり込むことで、筒状カバー7と下部ケース6とは、回転不能に係合する。
【0088】
組み立て後の切削機能付繰出容器100では、この係合と重力により、筒状カバー7の下端は、下部ケース6の下側厚肉壁66と上側薄肉壁67との段差部Sの上縁上に乗った状態で固定される(
図2参照)。
【0089】
また、収容部1の上端周辺には、外側に張り出した環状突条である鍔部17が設けられている。
【0090】
一方、筒状カバー7は、上端から中央側に突出する、すなわち内側が厚肉状になった抜け止めリング状突起である上端リング73が設けられており、上端リング73は、収容部1の側壁16の鍔部17の下面を押さえる。
【0091】
下部ケース6及び回転蓋3を固形物質収容容器αに対してセットした後、筒状カバー7を上からかぶせて回転させながら、乗り上げ突起69が係止溝72に嵌まり込ませている際、収容部1の鍔部17の上面と筒状カバー7の上端リング73の下面とが接触することで、上下方向において、固形物質収容容器αを、筒状カバー7と下部ケース6の底面61とで挟み込んで固定する。すなわち、リフィルを取りつける際、筒状カバー7の上端リング73によって、収容部1の鍔部17を上から押さえることで、外側ケース8に対する収容部1の上下方向の位置を規制する。
この係合により、筒状カバー7は収容部1を回転可能に収容し、筒状カバー7は下部ケース6の周壁65に対して回転が固定されて連結される。
【0092】
なお、上記例では、外側ケース8を、外筒である筒状カバー7と、底面を含む下部ケース6とを別体で形成する例について説明したが、外筒である筒状カバーと外側底面部材である下部ケースとを一体的に形成してもよい。この場合、リフィルをセットする際、外側ケース8の抜け止めの上端リング73の段差を少なくすると好適である。
【0093】
上記の取りつけ(1)~(3)のように、交換したリフィルである固形物質収容容器αを、筐体ユニットβに簡単に取り付けることが出来るため、切削機能付繰出容器100を簡単に組み立てることができる。
【0094】
あるいは、収容部1に収容される内容物である固形物質を、固形物質収容容器の上昇底4の形状を上下方向に引きのばした孔空き切欠け円柱形状にして内容物リフィルとして、例えばフィルムF等で覆った状態で流通させ、使用者がその内容物リフィルを、
図4のように分解した固形物質収容容器にセットする形状であってもよい。内容物自体をリフィルとする場合、切削機能付繰出容器はすべて再利用できるため、再利用できる部分が多いほど、樹脂のロスを少なくすることができる。
【0095】
さらに、切削機能付繰出容器100においてリフィルとなる固形物質収容容器αの部分を除いた、回転蓋3、下部ケース6、筒状カバー7からなる筐体ユニットβも、交換用の筐体として単独で流通可能としてもよい。筐体ユニットβは、リフィルである固形物質収容容器αに装着可能である。
【0096】
例えば、使用時に、回転蓋3、下部ケース6、筒状カバー7の部分が破損した場合であって、リフィル内の固形物質である内容物が残っている場合などは、筐体ユニットβ全体、あるいは、回転蓋3、下部ケース6、筒状カバー7のいずれか1つあるいは複数の部分のみ交換すれば、内容物を再び使用することができる。
【0097】
<リフィル内の構成>
次に、
図11~
図13を用いて、リフィルである固形物質収容容器αの内部構成について説明する。
図11は、固形物質収容容器αの分解図であり、
図12は、固形物質収容容器αの上面図であり、
図13は、固形物質収容容器の収容部の底面上面と回転規制部材の下面の説明図である。
【0098】
図11に示すように、固形物質収容容器αは、収容部1、内筒2、上昇底4、及び回転規制部材5を有している。
【0099】
内筒2の内周面に、螺旋溝21が形成されている。上昇底4は、内筒の螺旋溝21に対して上昇底4の外周面のネジ突条44が係合した状態で嵌め合されている(
図5参照)。よって、上昇底4に対して内筒2が回転することで、上昇底4が昇降する
図12に示すように、内筒2は、収容部1の内側に、内装されている。また、内筒の外周面には複数の内周線状リブ19が設けられている。また、収容部1の側面の内周面には、複数の外周線状リブ22が設けられている。
【0100】
収容部1の内周線状リブ19を、内筒2の外周線状リブ22が挟み込むことで、内筒2は収容部1の側壁16の内側で、収容部1に対して回転が規制されている。
【0101】
なお、本例では、内筒2の外周線状リブ22の数が、収容部1の側壁16の内周線状リブ19の数よりも多く、外周線状リブ22の間に内周線状リブ19を挟み込むことで、回転を規制する例を示したが、内周線状リブ19の数が、外周線状リブ22の数よりも多く、内周線状リブ19の間に内周線状リブ19を挟み込むことで回転を規制してもよい。
【0102】
また、本例では、上下方向に全域に延伸する内周線状リブ19と外周線状リブ22とで収容部1と内筒2との回転を規制する例を示したが、内周線状リブ19と外周線状リブ22が設けられる領域は一部であってもよい。あるいは、例えば多角形状など、他の形状によって回転を規制してもよい。
【0103】
また、
図11、
図13を参照して、収容部1の底面11において、中心筒13の周囲には、他の底面11よりも下側に凹んだ環状凹部14が形成されており、環状凹部14の底面から環状リブ14Rが上方に起立している。
【0104】
回転規制部材5の軸筒51の下端は、羽根部材52,53の下端よりの下方に延伸しており、外側が薄い、下端薄肉部51Iとなっている。
【0105】
また、収容部1の中心筒13の上端は薄肉部13Tとなっており、段差ISが形成されている。一方、回転規制部材5の係合板54の下面の、中央厚肉部55の外側には、内周溝57が形成されている。軸筒51の係合板54より下側の内周面における、係合板54に近い上端周辺には、内周突条51Pが設けられている。
【0106】
図13に示した状態から、回転規制部材5を収容部1に係合して、リフィルの状態にすると、
図9(a)に示すように、内周溝57に、薄肉部13Tが嵌まり込み、中央厚肉部55の下面の周縁周辺に段差ISが当接する。そして、内周溝57に薄肉部13Tが嵌まり込む際、軸筒51の内周突条51Pで薄肉部13Tを押さえ込み、回転規制部材5の軸筒51の下端である下端薄肉部51Iは、収容部1の中心筒13の外周と環状リブ14Rとの間の溝14Gに挟まれることで、回転規制部材5の収容部1に対する位置が固定される。
【0107】
また、内筒2の螺旋溝21に対して上昇底4の外周面のネジ突条44が係合され、上昇底4に対して内筒2が回転することで、上昇底4が昇降する。
【0108】
なお、固形物質収容容器αの組立てにおいて、本構成では、収容部1と内筒2とを別体で形成することで、上昇底4をセットする際、内筒2の下から上に、少しだけ螺合させてセットさせる。その後、
図13に示した状態から、回転規制部材5を嵌めこんでリフィルにおける部材の組み立てを完了する。
【0109】
そして、流動体の内容物を固形物質収容容器の上から充填して、冷却して固化させる。あるいは、上昇底4の形状を上下方向に引きのばしたような孔空き切欠け円柱形状の固形内容物リフィルを、空の固形物質収容容器αに嵌めこんでセットしてもよい。
【0110】
本構成では、収容部1と内筒2とが別体であるため、上昇底4と内筒2との係合において少しだけ螺合させればよいため、組立ての手間を簡略化することができる。なお、収容部1と内筒2とを一体化して形成してもよく、その場合は、組立てる際に一体化筒の上から上昇底4を嵌めこむように一体化筒の螺旋溝の上下方向の高さに相当にする分、上昇底4を回転して係合させる。
【0111】
なお、本例では、回転規制部材5において軸筒において、係合板54の上方も、筒状である例を示しているが、係合板54の上方は中実の円柱状形状であってもよい。また、本例では、回転規制部材5における羽根部材52,53は、2枚である例を示しているが、羽根部材の枚数は1枚、3枚、4枚等、1枚以上の任意の数であってもよい。
【0112】
<第2実施形態>
上記例では、下部ケース6に柱状突起62を設け、収容部1の底面に形成された貫通孔12の中にその柱状突起62を通して、回転規制部材5の係合板54の下面の係合部と係合することで、上昇底4を、外側ケース8と一緒に回転させる例を説明した。
【0113】
しかし、他の実施形態として、回転規制部材側の一部を貫通孔12の中に通すことで、上昇底を外側ケースと一緒に回転させる構成であってもよい。
【0114】
図14は、本発明の他の実施形態に係る切削機能付繰出容器200の断面図である。
図13を用いて、本実施形態における
図2との相違点である、回転規制部材50と下部ケース60の構成について説明する。
【0115】
本実施形態では、回転規制部材50の係合板54の下面には、下方柱状突起550が垂下している。その下方柱状突起550が収容部1の貫通孔120の内側に嵌まり込んでいる。また、下方柱状突起550の下面には、下側に突出する-状の係合凸部560が形成されている。
【0116】
一方、下部ケース60には、
図2よりも短い柱状突起620が設けられている。その柱状突起620の頂面には、下側に凹んだ-状の係合凹部630が設けられている。
【0117】
この構成により、本実施形態では、下部ケース60の柱状突起620の頂面の係合凹部630と、回転規制部材50の係合板540から伸び出した下方柱状突起550の下面の係合凸部560とを係合することで、回転規制部材50と下部ケース60とは回転不能に連結される。
【0118】
また上述の
図3に示したように、上昇底4には、中央穴41から半径方向に延伸するスリット42,43が形成され、回転規制部材50の羽根部材52,53は上昇底4のスリット42,43内に嵌まることで、回転規制部材50は、上昇底4に対しては回転せず、回転体A(
図3参照)に対して、回転体Bとして一緒に回転する。
【0119】
このように、本実施形態においても、収容部1の中心筒13の貫通孔12の内で、回転規制部材50の一部と下部ケース60(外側ケース80)の底面部602の一部とが係合することで、上昇底4と外側ケース80とを回転不能に連結する。
【0120】
したがって、本実施形態の切削機能付繰出容器においても、固形物質が収容される部分である、収容部1、内筒2、上昇底4、回転規制部材50を含む固形物質収容容器α1をリフィルとして交換し、回転蓋3、下部ケース60、筒状カバー7を含む筐体ユニットβ1は、繰り返し再利用することができる。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0122】
1 収容部
2 内筒
3 回転蓋(固形物質回転削り蓋)
4 上昇底
5,50 回転規制部材
6,60 下部ケース
7 筒状カバー
8,80 外側ケース
11 収容部の底面
12 貫通孔
13 中心筒
14 環状凹部
14R 環状リブ
15 リップ部
16 収容部の側壁
16T 薄肉上端部
17 鍔部
18 係合突起
19 内周線状リブ
21 螺旋溝
22 外周線状リブ
31 回転蓋の天面
32 カッター(切削手段)
33 隆起部
34 排出口(長孔)
35 環状リブ
36 回転蓋の側面
37 係合突条
41 中央穴(開口部)
42,43 スリット
44 ネジ突条
51 軸筒
52,53 羽根部材
54,540 係合板
56 係合凹部(係合部)
61 下部ケースの底面
62 柱状突起
63 係合凸部(係合部)
64 環状リブ
65 周壁
66 下側厚肉壁
67 上側薄肉壁
71 筒状カバーの内側線状突起(内側係合部)
72 係止溝
73 上端リング(抜け止め突起)
100,200 切削機能付繰出容器
550 下方柱状突起
560 係合凸部
601,602 底面部
620 柱状突起
630 係合凹部
A 回転体
B 回転体
F フィルム
R 回転蓋の回転方向
α,α1 固形物質収容容器(リフィル)
β,β1 筐体ユニット