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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】トレッドミルの防振機構
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/02 20060101AFI20230713BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A63B22/02
F16F15/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019138870
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021019932
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月15日エニタイムフィットネス浜松高林店(静岡県浜松市中区高林4-4-16)で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】由田 哲夫
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6534782(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第108404350(CN,A)
【文献】特開2010-68881(JP,A)
【文献】特開2018-136000(JP,A)
【文献】米国特許第8435160(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドミルから設置面への振動の伝搬を抑制するトレッドミルの防振機構であって、
前記トレッドミルの後側の脚部が載置される後側載置部と、
前記トレッドミルの前側の脚部が載置される前側載置部と、
前記後側載置部を支持する後側防振部と、
前記前側載置部を支持し、前記後側防振部よりも大きいばね定数を有する前側防振部と、
を具備し、
前記後側防振部は、
前記後側載置部に対する左右位置が調節可能となるように設けられ、
前記前側防振部は、
前記前側載置部に対する左右位置が調節可能となるように設けられる、
レッドミルの防振機構。
【請求項2】
トレッドミルから設置面への振動の伝搬を抑制するトレッドミルの防振機構であって、
前記トレッドミルの後側の脚部が載置される後側載置部と、
前記トレッドミルの前側の脚部が載置される前側載置部と、
前記後側載置部を支持する後側防振部と、
前記前側載置部を支持し、前記後側防振部よりも大きいばね定数を有する前側防振部と、
前記トレッドミルの後側の脚部及び前側の脚部とは別体で形成され、前記後側載置部と前記前側載置部とを連結する連結部と、
具備する、
レッドミルの防振機構。
【請求項3】
前記後側防振部は、
少なくとも1つの後側防振部材を含み、
前記前側防振部は、
前記後側防振部材よりも数が多い前側防振部材を含む、
請求項1又は請求項2に記載のトレッドミルの防振機構。
【請求項4】
前記後側防振部は、
左右に2つ並ぶ前記後側防振部材を含み、
前記前側防振部は、
左右に4つ並ぶ前記前側防振部材を含む、
請求項3に記載のトレッドミルの防振機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッドミルから設置面への振動の伝搬を抑制するトレッドミルの防振機構の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッドミルに関する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、架台と、架台に設けられる走行用ベルトと、架台の前部に立設される支柱と、支柱の上部に設けられる手すり及びコントロールボックスと、架台を下方から支持する脚と、を具備するトレッドミルが開示されている。利用者は、走行用ベルト上で、ランニングやウォーキングを行うことができる。
【0004】
ここで、上述のように、利用者はトレッドミルの走行用ベルト上でランニングやウォーキングを行うため、トレッドミルで振動が発生し、当該振動は設置面へ伝搬されてしまう。これによって、トレッドミルが設置された建物内(例えば、下階)で、振動や騒音が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-277178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、設置面への振動の伝搬を抑制することが可能なトレッドミルの防振機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、トレッドミルから設置面への振動の伝搬を抑制するトレッドミルの防振機構であって、前記トレッドミルの後側の脚部が載置される後側載置部と、前記トレッドミルの前側の脚部が載置される前側載置部と、前記後側載置部を支持する後側防振部と、前記前側載置部を支持し、前記後側防振部よりも大きいばね定数を有する前側防振部と、を具備し、前記後側防振部は、前記後側載置部に対する左右位置が調節可能となるように設けられ、前記前側防振部は、前記前側載置部に対する左右位置が調節可能となるように設けられるものである。
【0009】
請求項2においては、トレッドミルから設置面への振動の伝搬を抑制するトレッドミルの防振機構であって、前記トレッドミルの後側の脚部が載置される後側載置部と、前記トレッドミルの前側の脚部が載置される前側載置部と、前記後側載置部を支持する後側防振部と、前記前側載置部を支持し、前記後側防振部よりも大きいばね定数を有する前側防振部と、前記トレッドミルの後側の脚部及び前側の脚部とは別体で形成され、前記後側載置部と前記前側載置部とを連結する連結部と、を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記後側防振部は、少なくとも1つの後側防振部材を含み、前記前側防振部は、前記後側防振部材よりも数が多い前側防振部材を含むものである。
【0011】
請求項4においては、前記後側防振部は、左右に2つ並ぶ前記後側防振部材を含み、前記前側防振部は、左右に4つ並ぶ前記前側防振部材を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、設置面への振動の伝搬を抑制することができる。
【0015】
請求項2においては、設置面への振動の伝搬を抑制することができる。
【0016】
請求項3においては、簡素な構成で設置面への振動の伝搬を抑制することができる。
【0017】
請求項4においては、設置面への振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る防振機構及びトレッドミルの構成を示した側面図。
図2】防振機構の平面図。
図3】防振機構の左前部の拡大平面図。
図4】防振機構の左前部の拡大側面図。
図5】防振機構の左前部の分解斜視図。
図6】防振機構の左後部の拡大平面図。
図7】防振機構の左後部の拡大側面図。
図8】防振機構の左後部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、便宜上、図中に示した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0021】
図1に示す防振機構10は、トレッドミル1から設置面Fへの振動の伝搬や、トレッドミル1自体の揺れを抑制するものである。以下ではまず、防振機構10が適用されるトレッドミル1の概略について説明する。
【0022】
トレッドミル1は、利用者がランニングやウォーキングを行うための器具である。トレッドミル1は、主としてフレーム2、手すり3、コンソール4、前脚部5及び後脚部6を具備する。
【0023】
フレーム2は、トレッドミル1の主たる構造体となる枠体である。フレーム2の左右中央には、利用者がランニングやウォーキングを行う走行用ベルト(不図示)が設けられる。フレーム2の前端部からは、略上方に向かって手すり3が立設される。手すり3の上部には、トレッドミル1に関する各種の操作が可能なコンソール4が設けられる。コンソール4には、タッチ操作可能なモニター(タッチパネル)等が設けられる。
【0024】
フレーム2の前端部及び後端部の下面には、それぞれ前脚部5及び後脚部6が設けられる。図2に示すように、前脚部5及び後脚部6は、ぞれぞれ左右に並ぶように一対設けられる。左右一対の前脚部5の間隔は、左右一対の後脚部6の間隔と略同一となるように配置されている。本実施形態においては、フレーム2に対する前脚部5の下方への突出具合を変更することで、トレッドミル1の前後の傾斜角度を変更することができる。
【0025】
次に、防振機構10の構成について説明する。上述の如く、トレッドミル1は、利用者がランニングやウォーキングを行う器具であるため、利用する際に振動が発生する。特に建物内にトレッドミル1を設置する場合には、下階で振動や騒音が発生することが考えられるため、トレッドミル1からの振動の伝搬を抑制することが望ましい。そこで本実施形態では、防振機構10を用いて、振動の伝搬等の抑制を図っている。防振機構10は、主として支持架台20、前側可動部30、前側防振部40、前側接地板50、後側可動部60、後側防振部70及び後側接地板80を具備する。
【0026】
図1及び図2に示す支持架台20は、防振機構10の主たる構造体となる枠状の部材である。支持架台20は、主として前側載置部21、後側載置部22、連結部23、前側拡張部24及び後側拡張部25を具備する。
【0027】
図2から図5までに示す前側載置部21は、トレッドミル1の前脚部5が載置される部材である。前側載置部21は、長手方向を左右に向けて配置される。前側載置部21は、側面視(長手方向視)略U字状に形成された溝形鋼により形成される。前側載置部21は、下方に向かって開口するように配置される。
【0028】
図2図6から図8までに示す後側載置部22は、トレッドミル1の後脚部6が載置される部材である。後側載置部22は、前側載置部21と略同一形状となるように形成される。後側載置部22は、前側載置部21の後方に配置される。後側載置部22は、前側載置部21と所定の間隔(トレッドミル1の前脚部5から後脚部6までの間隔)を空けて配置される。
【0029】
図1及び図2に示す連結部23は、前側載置部21と後側載置部22とを連結する部材である。連結部23は、左右一対設けられる。連結部23は、前側載置部21及び後側載置部22の左端部同士、前側載置部21及び後側載置部22の右端部同士をそれぞれ連結するように配置される。左右一対の連結部23は、互いに左右対称に形成されている。よって、以下では左側の連結部23について具体的に説明し、右側の連結部23については適宜説明を省略する。
【0030】
図5及び図8に示すように、連結部23は、長手方向を前後に向けて配置される。連結部23は、正面視(長手方向視)略L字状に形成された等辺山形鋼により形成される。より具体的には、連結部23は、水平に配置された底面と、当該底面の内側(右側)端部から垂直に立設された側面と、を有する。図5に示すように、連結部23の前端部は前側載置部21の左端部に載置され、適宜の締結具(ボルト等)により固定される。また、図6に示すように、連結部23の後端部は後側載置部22の左端部に載置され、適宜の締結具(ボルト等)により固定される。
【0031】
図2に示す右側の連結部23は、左側の連結部23と左右対称に形成される。右側の連結部23の前後両端部は、それぞれ前側載置部21の右端部及び後側載置部22の右端部に固定される。
【0032】
図2から図5までに示す前側拡張部24は、矩形板状に形成される部材である。前側拡張部24は、長手方向を前後に向けて配置される。前側拡張部24は、左右一対設けられる。
【0033】
図3から図5までに示すように、左側の前側拡張部24は、前側載置部21の上面の左端部近傍(トレッドミル1の左側の前脚部5と重複する位置)に載置される。前側拡張部24の前後両端部は、平面視において前側載置部21の前後両端部から前後にそれぞれ突出するように配置される。前側拡張部24は、適宜の締結具(ボルト等)により前側載置部21に固定される。
【0034】
図2に示す右側の前側拡張部24は、左側の前側拡張部24と左右対称な位置に配置される。具体的には、右側の前側拡張部24は、前側載置部21の上面の右端部近傍(トレッドミル1の右側の前脚部5と重複する位置)に載置される。
【0035】
このように前側拡張部24を設けることで、トレッドミル1の前脚部5は、前側拡張部24を介して前側載置部21に載置される。前側拡張部24の前後幅は、前側載置部21の前後幅よりも大きくなるように形成されているため、トレッドミル1の前脚部5を載置することが可能な面が拡張されることになる。これによって、トレッドミル1の前脚部5が多少前後に移動しても、当該前脚部5を下方から支持することができる。
【0036】
図2、及び図6から図8までに示す後側拡張部25は、矩形板状に形成される部材である。後側拡張部25は、長手方向を前後に向けて配置される。後側拡張部25は、左右一対設けられる。
【0037】
図6から図8までに示すように、左側の後側拡張部25は、後側載置部22の上面の左端部近傍(トレッドミル1の左側の後脚部6と重複する位置)に載置される。後側拡張部25の前後両端部は、平面視において後側載置部22の前後両端部から前後にそれぞれ突出するように配置される。後側拡張部25は、適宜の締結具(ボルト等)により後側載置部22に固定される。
【0038】
図2に示す右側の後側拡張部25は、左側の後側拡張部25と左右対称な位置に配置される。具体的には、右側の後側拡張部25は、後側載置部22の上面の右端部近傍(トレッドミル1の右側の後脚部6と重複する位置)に載置される。
【0039】
このように後側拡張部25を設けることで、トレッドミル1の後脚部6は、後側拡張部25を介して後側載置部22に載置される。後側拡張部25の前後幅は、後側載置部22の前後幅よりも大きくなるように形成されているため、トレッドミル1の後脚部6を載置することが可能な面が拡張されることになる。これによって、トレッドミル1の後脚部6が多少前後に移動しても、当該後脚部6を下方から支持することができる。
【0040】
上述のように、支持架台20は、前側載置部21等の長手状の部材と、前側拡張部24等の板状の部材をボルト等の締結具によって互いに固定することで、平面視略矩形の枠状に形成される。このように、各部材を締結具で固定することが可能な構造とすることで、支持架台20を各部材に分解し、容易に運搬することができる。
【0041】
図3から図5までに示す前側可動部30は、後述する前側防振部40と支持架台20との間に介在される部材である。前側可動部30は、側面視略U字状に形成された溝形鋼により形成される。前側可動部30は、上方に向かって開口するように配置される。
【0042】
前側可動部30の前後幅及び上下幅は、前側載置部21(より詳細には、前側載置部21の溝)の前後幅及び上下幅よりも若干小さく形成される。これによって、前側可動部30を前側載置部21の溝内に配置することができる。また、前側可動部30は、前側載置部21とは固定されておらず、前側載置部21の長手方向(左右方向)に沿って位置を調節することができる。前側可動部30は、後述する前側防振部40の前側防振部材41に対応するように、4つ設けられる。
【0043】
前側防振部40は、支持架台20の前側載置部21を支持する部分である。前側防振部40は、複数(本実施形態では、4つ)の前側防振部材41を含んでいる。
【0044】
前側防振部材41は、軸線方向を上下に向けた略円柱状の部材である。前側防振部材41は、弾性を有する素材(本実施形態では、ゴム)により形成される。前側防振部材41は、ばね定数が250~350N/mmとなるように形成される。前側防振部材41は、適宜の締結具(ボルト等)により前側可動部30の下面に固定される。
【0045】
前側接地板50は、前側防振部材41の下面に設けられ、設置面Fに対して接する部材である。前側接地板50は、平面視略正方形の板状に形成される。前側接地板50は、適宜の方法で前側防振部材41の下面に固定される。
【0046】
上述のように、前側可動部30、前側防振部材41及び前側接地板50は、互いに固定される。前側可動部30を前側載置部21の溝内に配置することで、前側防振部材41は、当該前側可動部30を介して前側載置部21を下方から支持することができる。前側防振部材41は、前側載置部21の左右両端部近傍に、それぞれ2つずつ配置される。
【0047】
図6から図8までに示す後側可動部60は、後述する後側防振部70と支持架台20との間に介在される部材である。後側可動部60は、前側可動部30と略同一形状となるように形成される。
【0048】
後側可動部60は、後側載置部22の溝内に配置することができる。また、後側可動部60は、後側載置部22とは固定されておらず、後側載置部22の長手方向(左右方向)に沿って位置を調節することができる。後側可動部60は、後述する後側防振部70の後側防振部材71に対応するように、2つ設けられる。
【0049】
後側防振部70は、支持架台20の後側載置部22を支持する部分である。後側防振部70は、複数(本実施形態では、2つ)の後側防振部材71を含んでいる。
【0050】
後側防振部材71は、前側防振部材41と同様に形成される。すなわち、後側防振部材71は、軸線方向を上下に向けた略円柱状に形成される。後側防振部材71は、弾性を有する素材(本実施形態では、ゴム)により形成される。後側防振部材71は、ばね定数が250~350N/mmとなるように形成される。後側防振部材71は、適宜の締結具(ボルト等)により後側可動部60の下面に固定される。
【0051】
後側接地板80は、後側防振部材71の下面に設けられ、設置面Fに対して接する部材である。後側接地板80は、前側接地板50と略同一形状となるように形成される。後側接地板80は、適宜の方法で後側防振部材71の下面に固定される。
【0052】
上述のように、後側可動部60、後側防振部材71及び後側接地板80は、互いに固定される。後側可動部60を後側載置部22の溝内に配置することで、後側防振部材71は、当該後側可動部60を介して後側載置部22を下方から支持することができる。後側防振部材71は、後側載置部22の左右両端部近傍に、それぞれ1つずつ配置される。
【0053】
以下では、上述の如く構成された防振機構10の設置方法について説明する。
【0054】
図2に示すように、支持架台20の前側載置部21の下方には、前側防振部材41が左右に並んで4つ配置される。具体的には、前側防振部材41は、左右の前側拡張部24の近傍に、それぞれ2つずつ配置される。
【0055】
図3に示すように、前側防振部材41は、平面視において前側拡張部24の左右両端部近傍にそれぞれ配置される。この2つの前側防振部材41は、平面視においてトレッドミル1の前脚部5の左右に位置するように配置される。
【0056】
また、図2に示すように、支持架台20の後側載置部22の下方には、後側防振部材71が左右に並んで2つ配置される。具体的には、後側防振部材71は、左右の後側拡張部25の近傍に、それぞれ1つずつ配置される。
【0057】
図6に示すように、後側防振部材71は、平面視において後側拡張部25の略中央部近傍に配置される。この後側防振部材71は、少なくとも一部が、平面視においてトレッドミル1の後脚部6と重複するように配置される。
【0058】
このように設置された防振機構10によって、トレッドミル1から設置面Fへの振動の伝搬が抑制されると共に、トレッドミル1自体の揺れが抑制される。
【0059】
具体的には、図2に示すように、トレッドミル1の前脚部5及び後脚部6が、一体的な枠状に形成された支持架台20に載置されることで、各防振部材(前側防振部材41及び後側防振部材71)に加わる衝撃のばらつきが抑制(均一化)される。これによって、トレッドミル1自体が傾くのが抑制され、トレッドミル1の傾きに起因する振動の発生を抑制することができる。
【0060】
また一般的に、トレッドミル1は、前部に手すり3やコンソール4等の機器が配置されていることから、重心が前方に偏っている。そこで本実施形態では、前側防振部材41を、後側防振部材71よりも多く配置している。すなわち、前側防振部40(4つの前側防振部材41)全体のばね定数が、後側防振部70(2つの後側防振部材71)全体のばね定数よりも大きくなるように形成されている。したがって、前側防振部40と後側防振部70の変形量のばらつきを抑制(均一化)することができる。これによって、防振機構10によって安定した防振性能(トレッドミル1から設置面Fへの振動の伝搬の抑制、並びにトレッドミル1自体の揺れの抑制)を得ることができる。
【0061】
また、設置面Fへの振動の伝搬の抑制を図る観点からは、各防振部材(前側防振部材41及び後側防振部材71)のばね定数は小さいほうが好ましい。その反面、ばね定数が小さくなると、トレッドミル1自体の揺れが大きくなり、利用者の使用感が悪化してしまう。そこで本実施形態では、各防振部材のばね定数が、小さ過ぎず、かつ大き過ぎない値(すなわち、250~350N/mm)となるように設定している。これによって、設置面Fへの振動の伝搬の抑制と、トレッドミル1自体の揺れの抑制の両立を図ることができる。特に本実施形態では、約200kgのトレッドミル1を想定している。約200kgのトレッドミル1では、上述のようにばね定数が250~350N/mmの防振部材(前側防振部材41及び後側防振部材71)を用いることで、設置面Fへの振動の伝搬の抑制と、トレッドミル1自体の揺れの抑制が両立できることが実験により分かっている。
【0062】
また、上述のようにトレッドミル1は、重心が前方に偏っている。そこで本実施形態では、トレッドミル1の前脚部5の左右に前側防振部材41を配置することで、トレッドミル1の前部の姿勢の安定性を向上させている。これによって、トレッドミル1自体が傾くのが抑制され、トレッドミル1の傾きに起因する振動の発生を抑制することができる。
【0063】
さらに本実施形態では、左右両端の前側防振部材41が、その他の防振部材よりも左右方向において外側に位置するように配置されている。このように、トレッドミル1の前部を支持する前側防振部材41を左右に幅広く配置することで、トレッドミル1の前部の姿勢の安定性を向上させている。これによって、トレッドミル1自体が傾くのが抑制され、トレッドミル1の傾きに起因する振動の発生を抑制することができる。
【0064】
また、防振機構10を設置する際は、前側防振部材41及び後側防振部材71が、設置面Fの下に設けられた梁の上、または梁の近傍に位置するように配置することが望ましい。これによって、トレッドミル1からの振動の伝搬を効果的に抑制することができる。
【0065】
以上の如く、本実施形態に係るトレッドミル1の防振機構10は、
トレッドミル1から設置面Fへの振動の伝搬を抑制するトレッドミル1の防振機構10であって、
前記トレッドミル1の後脚部6(後側の脚部)が載置される後側載置部22と、
前記トレッドミル1の前脚部5(前側の脚部)が載置される前側載置部21と、
前記後側載置部22を支持する後側防振部70と、
前記前側載置部21を支持し、前記後側防振部70よりも大きいばね定数を有する前側防振部40と、
を具備するものである。
このように構成することにより、設置面Fへの振動の伝搬を抑制することができる。すなわち、前脚部5を支持する前側防振部40のばね定数を、後脚部6を支持する後側防振部70のばね定数よりも大きくすることで、前部が比較的重く形成された(重心が前方に偏っている)トレッドミル1から設置面Fへの振動の伝搬を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、防振機構10は、
前記後側載置部22と前記前側載置部21とを連結する連結部23をさらに具備するものである。
このように構成することにより、設置面Fへの振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。すなわち、後側載置部22と前側載置部21とを連結することで、各防振部(前側防振部40及び後側防振部70)に加わる衝撃のばらつきが抑制され、トレッドミル1の傾きに起因する振動の発生を抑制することができる。これによって、設置面Fへの振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。
【0067】
また、前記後側防振部70は、
少なくとも1つの後側防振部材71を含み、
前記前側防振部40は、
前記後側防振部材71よりも数が多い前側防振部材41を含むものである。
このように構成することにより、簡素な構成で設置面Fへの振動の伝搬を抑制することができる。例えば、本実施形態のように、前側防振部材41及び後側防振部材71として同じ防振部材を用いる場合、前側防振部40の防振部材の個数を、後側防振部70の防振部材の個数より多くすることで、前側防振部40のばね定数を大きくすることができる。
【0068】
また、前記後側防振部70は、
左右に2つ並ぶ前記後側防振部材71を含み、
前記前側防振部40は、
左右に4つ並ぶ前記前側防振部材41を含むものである。
このように構成することにより、設置面Fへの振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。
【0069】
また、前記後側防振部70は、
前記後側載置部22に対する左右位置が調節可能となるように設けられ、
前記前側防振部40は、
前記前側載置部21に対する左右位置が調節可能となるように設けられるものである。
このように構成することにより、設置面Fへの振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。すなわち、トレッドミル1の形状や重心位置等に応じて適宜前側防振部40及び後側防振部70の位置を調節することで、設置面Fへの振動の伝搬をより効果的に抑制することができる。また、前側防振部40及び後側防振部70の位置を調節することで、トレッドミル1の利用者の使用感を調節することもできる。
【0070】
なお、本実施形態に係る前脚部5は、本発明に係る前側の脚部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後脚部6は、本発明に係る後側の脚部の実施の一形態である。
【0071】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、本実施形態において説明した防振機構10は一例であり、防振機構10の各部の形状等は任意に変更することが可能である。
【0073】
また、本実施形態においては、前側載置部21と後側載置部22を連結部23によって連結した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、前側載置部21と後側載置部22を互いに独立して(連結することなく)配置することも可能である。
【0074】
また、本実施形態においては、前側防振部材41と後側防振部材71は同様に形成される(同じ防振部材である)ものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、互いに異なるもの(異なる形状、材質、性質等)であってもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、防振機構10には、前側防振部材41が4つ、後側防振部材71が2つ、それぞれ設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、各防振部材の個数は限定するものではない。
【0076】
また、本実施形態においては、前側防振部材41の個数を後側防振部材71の個数より多くすることで、前側防振部40のばね定数を後側防振部70のばね定数よりも大きくした例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、前側防振部40(前側防振部材41)と後側防振部70(後側防振部材71)の形状や材質等を変更することにより、前側防振部40のばね定数を後側防振部70のばね定数よりも大きくすることも可能である。
【0077】
また、本実施形態においては、前側防振部40(前側防振部材41)及び後側防振部70(後側防振部材71)は、左右位置が調節可能となるように設けられた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、前側防振部40及び後側防振部70は左右位置が調節不能なものであってもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、前側防振部材41及び後側防振部材71はゴムにより形成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、防振性を有する種々の部材により形成することが可能である。例えば、前側防振部材41及び後側防振部材71としてばね(圧縮ばね)を用いることも可能である。
【0079】
また、本実施形態においては、支持架台20は前側拡張部24及び後側拡張部25を具備するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、当該前側拡張部24等を具備しない構成とすることも可能である。
【0080】
また、本実施形態においては、前側防振部40及び後側防振部70の下部に、前側接地板50及び後側接地板80を設けるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、当該前側接地板50等を設けない構成とすることも可能である。
【0081】
また、本実施形態において例示したトレッドミル1は一例であり、防振機構10は、その他種々のトレッドミルに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 トレッドミル
5 前脚部
6 後脚部
10 防振機構
20 支持架台
21 前側載置部
22 後側載置部
23 連結部
30 前側可動部
40 前側防振部
41 前側防振部材
60 後側可動部
70 後側防振部
71 後側防振部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8