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特許7312642ターゲットを定めたデータ通信のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ターゲットを定めたデータ通信のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20230713BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20230713BHJP
【FI】
H04B10/116
H05B47/00
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019142954
(22)【出願日】2019-08-02
(62)【分割の表示】P 2018527067の分割
【原出願日】2016-11-16
(65)【公開番号】P2020017959
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2019-08-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】15196399.8
(32)【優先日】2015-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】カーグ ビョルン クリスティアーン ヴォウター
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デ ブルイン フレデリック ヤン
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】猪瀬 隆広
【審判官】高野 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0157309(US,A1)
【文献】国際公開第2014/085694(WO,A1)
【文献】特開平9-121378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーション制御システム内の通信ユニットへの通信トラフィックを方向付ける方法であって、前記アプリケーション制御システムは、ネットワークを含み、前記ネットワークは、複数のアプリケーション制御コンポーネント及び前記アプリケーション制御コンポーネントにデータを転送するためのデータ転送デバイスを含み、前記アプリケーション制御コンポーネントは、光波を用いて通信ユニットにデータを送信することが可能であり、当該方法は、
前記アプリケーション制御システム内の前記アプリケーション制御コンポーネントの位置を決定するステップと、
第1の瞬時において前記アプリケーション制御システム内の第1の通信ユニットの第1の位置情報を決定するステップと、
少なくとも前記第1の位置情報に基づいて前記第1の通信ユニットについての対象領域を決定するステップと、
前記第1の通信ユニットの前記対象領域内に位置する前記複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別するステップと、
前記ネットワーク内の選択された経路を介して前記第1の通信ユニットにデータを転送するために及び識別された前記アプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを用いて前記第1の通信ユニットとデータを通信するために前記データ転送デバイスをプログラミングすることにより前記アプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップと、
割り当てられた光チャネルを用いて前記第1の通信ユニット宛てのデータをデリバリするために前記第1の通信ユニットに一時的に無線光通信のための光チャネルを割り当てるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
光チャネルは、固有周波数を有するそれぞれの光チャネルに基づいて1つ以上の通信ユニットへの光信号に埋め込まれるそれぞれの光チャネル上のデータの別個の転送を可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無線光通信は、VPPM、CSK、OOK、CDMA及びO-OFDMのうちの一つを利用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、第2の瞬時において前記アプリケーション制御システム内の前記第1の通信ユニットの第2の位置情報を決定するステップを含み、
前記第1の通信ユニットについての対象領域を計算する前記ステップは、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との間の変化に基づいて前記第1の通信ユニットについての対象領域を計算することを含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、
前記第1の通信ユニットの速度及び方向に関する情報に基づいて並びに現在の位置に基づいて前記第1の通信ユニットの将来の位置を予測するステップと、
以前のアプリケーション制御コンポーネントから新しいアプリケーション制御コンポーネントへ前記第1の通信ユニットに対するデータ通信をハンドオーバするステップであって、前記新しいアプリケーション制御コンポーネントは、予測された前記将来の位置に基づいて選択される、ステップと、
を含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
プログラムする前記ステップは、前記アプリケーション制御システム内のアプリケーション制御コンポーネントのコンフィギュレーション可能性に基づいてアプリケーション制御コンポーネントに光チャネルコンフィギュレーション及びデータ経路コンフィギュレーションを提供することを含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、アプリケーション制御コンポーネントが、特定の光チャネルを前記第1の通信ユニットに割り当てる特定の光チャネルコンフィギュレーションを受信し、実施した後、
プログラムされたデータ経路を介して前記第1の通信ユニット宛てのデータを受信するステップと、
コンフィギュレーションされた光チャネルを介して前記受信したデータを前記第1の通信ユニットに通信するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、第2の通信ユニットが前記対象領域内に存在する場合、干渉を回避するように、前記第1の通信ユニット及び前記第2の通信ユニットの間で光チャネルの使用を調整するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、前記第1の通信ユニットがアプリケーション制御コンポーネントと通信する場合、
前記第2の通信ユニットのために、前記第1の通信ユニットに対するデータ通信のために選択されたものと同じアプリケーション制御コンポーネントを選択するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、
前記第2の通信ユニット宛てのデータを通信するために前記アプリケーション制御システムにおけるさらなるデータ経路をプログラムするステップと、
前記第2の通信ユニット宛てのデータを通信するためのさらなる光チャネルを用いるために、前記第2の通信ユニット宛てのデータを通信するために選択されたアプリケーション制御コンポーネントをコンフィギュレーションするステップと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、各アプリケーション制御コンポーネントが、アプリケーション制御コンポーネントに格納される、論理識別子を対応する通信ユニット及び予め定められたチャネルコンフィギュレーションにリンクするチャネルマップを用いて光チャネルを対応する通信ユニットに割り当てるステップを含む、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
処理ユニットで実行可能なコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムが前記処理ユニットで実行される場合に、前記処理ユニットに請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法を実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
アプリケーション制御システム内の通信ユニットへの通信トラフィックを方向付けるための制御システムであって、前記アプリケーション制御システムは、ネットワークを含み、前記ネットワークは、複数のアプリケーション制御コンポーネント及び前記アプリケーション制御コンポーネントにデータを転送するためのデータ転送デバイスを含み、前記アプリケーション制御コンポーネントは、光波を用いて通信ユニットにデータを送信することが可能であり、当該制御システムは、
前記アプリケーション制御システム内の前記複数のアプリケーション制御コンポーネントの各々の位置情報を受けるための第1のインタフェースと、
処理ユニットと、
を含み、前記処理ユニットは、
第1の瞬時において前記アプリケーション制御システム内の第1の通信ユニットの第1の位置情報を決定する、
少なくとも前記第1の位置情報に基づいて前記第1の通信ユニットについての対象領域を決定する、及び
前記第1の通信ユニットの前記対象領域内に位置する前記複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別する、
よう構成され、当該制御システムは、
前記ネットワーク内の選択された経路を介して前記第1の通信ユニットにデータを転送するために及び識別された前記アプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを用いて前記第1の通信ユニットとデータを通信するために前記データ転送デバイスをプログラミングすることにより前記アプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするための、及び割り当てられた光チャネルを用いて前記第1の通信ユニット宛てのデータをデリバリするために前記第1の通信ユニットに無線光通信のための光チャネルを一時的に割り当てるためのインタフェース、
を含む、制御システム。
【請求項14】
前記処理ユニットは、第2の瞬時において前記アプリケーション制御システム内の前記第1の通信ユニットの第2の位置情報を決定するよう構成され、
前記第1の通信ユニットについての対象領域を計算することは、前記処理ユニットが、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との間の変化に基づいて前記第1の通信ユニットについての対象領域を計算することを含む、請求項13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記処理ユニットは、
前記第1の通信ユニットの速度及び方向に関する情報に基づいて並びに現在の位置に基づいて前記第1の通信ユニットの将来の位置を予測する、及び
以前のアプリケーション制御コンポーネントから、予測された前記将来の位置に基づく新しいアプリケーション制御コンポーネントへ前記第1の通信ユニットに対するデータ通信をハンドオーバする
よう構成される、請求項13又は14に記載の制御システム。
【請求項16】
前記処理ユニットは、前記アプリケーション制御システム内のアプリケーション制御コンポーネントのコンフィギュレーション可能性に基づいてアプリケーション制御コンポーネントに光チャネルコンフィギュレーション及びデータ経路コンフィギュレーションを提供するよう構成される、請求項13、14又は15に記載の制御システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション制御システム内のデータ通信の分野、特に、限定されるものではないが、照明制御アプリケーションにおける可視光通信(Visible Light Communication)の分野に関する。とりわけ、本発明は、アプリケーション制御システムにおける通信トラフィックを管理し、方向付けること(directing)、例えば、選択された光エミッタをターゲットにして、光波に埋め込まれるデータ送信を送ることに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有線イーサネット(登録商標)等の有線通信システムにおいて、データは、通信ネットワーク上のデータ転送デバイスとエンドノードのネットワークインタフェースとを接続するケーブルによって与えられるデータ経路を介してエンドノードに供給される。最先端の無線通信システムにおいて、RF信号が、通信ネットワーク上のエンドノードとデータ転送デバイスとの間のデータ通信のために使用される。RF信号は壁を介して送信されることができるが、十分な数の無線RFアクセスポイントが、ユーザが通信ネットワークへの適切な接続を確保することを保証するために必要とされる。しかしながら、RFトランシーバの密集した分布はスペクトル内の帯域幅を占有し、接続された各エンドノードが利用可能な帯域幅を効果的に制限する。
【0003】
通信が光波によって行われるような新しいタイプの通信ネットワークが出現している。光源が、データを受信機に送信するために使用されてもよい。光波は、人間の目に見えても見えなくてもよい。RFシグナリングとの主な違いは、光信号が、見通し接続(line-of-sight-connection)であり、壁などの障害物によって妨害されてしまうことである。光源は、建物内の空間のイルミネーションライティング(illumination lighting)に通常用いられる照明器具、例えば、周辺領域を照らすために人工光を生成する照明器具であってもよい。このような光源をデータ通信に用いるシステムは、可視光通信(VLC)システムとしても知られている。VLCシステムの主な目的は、高品質のイルミネーションライティングであるので、データ伝送速度は、それらの主要な機能によって課される要件によって制限される。したがって、主として照明に用いられる光源は、一般に、データ伝送が遅いデバイスである。より高いデータ伝送速度を達成するために、主としてイルミネーションライティングにあつらえられていないデータ伝送光源が、代替的に又は付加的に用いられてもよい。例として、例えば、光レベルの変化(オン、オフ、調光、カラー)を用いるエミッタ、複数の色(例えばRGBW)を同時に用いるエミッタ、レーザ光源又はIR若しくはUV光源を用いるエミッタなどがあるが、これらに限定されるものではない。これら後者の例は、例えば最適化された光検出器などの特定の受信機と共に最良に機能する。
【0004】
米国特許出願公開第US 2009157309 A1号公報から、可視光通信システムにおいてメッセージを用いるナビゲーションシステムが知られている。ナビゲーションサービスを提供する建物に設置された全てのライトを介してブロードキャストメッセージを受信した後、ユーザは、該サービスに加入することができる。ユーザは、所望の目的地を中央ナビゲーションマップサーバに提出することができる。引き換えに、ナビゲーションマップサーバは、ユーザの近くで識別されたライトを介して方向情報を含むマップを提供する。
【0005】
F.Duvnjak等による文献"Heterogeneous WI-FI and VLC (RF-optical) wireless architecture", 23rd International Conference on Software, Telecommunications and Computer Networks (SOFTCOM), University of Split, pages 310-314, 16 September 2015は、資源配分が、光学的光源(optical light source)から得られるユーザデバイスの位置情報により最適化される、可視光通信システムを開示している。例えば、建物内の照明制御システム等のアプリケーション制御システムにおいて、アクチュエータ(すなわち、ライト)は、典型的には、例えば数メートル毎等のかなり短い距離に設置される。これらアクチュエータが、光を用いてデータ信号を発するために用いられる場合、エミッタの非常に高密度のネットワークが、特定の領域内に確立される。最先端の光通信システムにおいて、特に、エンドノードが携帯型であり、移動中である(すなわち、人がモバイル受信デバイスを運んでいる)場合に、受信エンドノードに適切にデータを送るという課題がある。斯かるシステムの主な問題は、システムが、モバイル受信デバイスが現在どこに位置しているかを知らない場合、該システムが、受信デバイスが拾い上げる(pick up)のを期待して、全てのエミッタを用いて自身のデータを投入(inject)し得ることである。斯かるアプローチは、ネットワーク内の有効帯域幅を制限し、同一の光通信システム内でサービスされる多数のモバイルエンドノードにうまく対応しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光通信システム内のデータ通信を改善する方法及びシステムを提供することであり、とりわけ、本発明は、アプリケーション制御ネットワークにおけるデータ通信のための資源管理を改善することに取り組んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、アプリケーション制御システム内の通信ユニットへの及びからの通信トラフィックを方向付ける(directing)方法であって、アプリケーション制御システムは、複数のアプリケーション制御コンポーネントを含み、アプリケーション制御コンポーネントは、光波を用いて通信ユニットにデータを送信することが可能である、方法が提供される。当該方法は、
アプリケーション制御システム内のアプリケーション制御コンポーネントの位置を決定するステップと、
後続する瞬時(subsequent instants)におけるアプリケーション制御システム内の第1の通信ユニットの対応する第1の位置情報及び第2の位置情報を決定するステップと、
少なくとも第1の位置情報と第2の位置情報との間の変化に基づいて第1の通信ユニットについての関心領域(対象領域(area of interest))を計算するステップと、
第1の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別するステップと、
識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップと、
を含む。
【0008】
アプリケーション制御システムの基礎となるアプリケーション制御ネットワークからデータを受信する及び/又は該アプリケーション制御ネットワークにデータを送信することができる、通信ユニットの位置を決定することによって、データ送信のため通信ユニットの近傍に位置するデータ通信が可能な1つ以上の特定のアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを選択することができる。特に、データが、アプリケーション制御システムから通信ユニットに送信されるべき場合、通信ユニットの位置に関する知識は、受信通信ユニットの近くのアプリケーション制御コンポーネントの中で1つ以上のデータエミッタの別個の選択(distinct selection)を可能にする。残りのアプリケーション制御コンポーネントは、その能力(capacity)が他のデータ通信又はアプリケーションタスクに用いられ得るように、当該通信ユニットへのデータ送信に対して無視されてもよい。アプリケーション制御コンポーネントのデータ送信能力は、特に、アプリケーション制御コンポーネントの主要タスクがアプリケーション制御システムに仕える(serve)ことである場合に制限され得、例えば、照明制御システムで用いられるライトの主要目的は、照明光を提供することであり、付加的にデータ送信に用いられることができる。したがって、受信通信ユニットの位置を観察することによって、少なくとも1つの適切なエミッタを選択し、該エミッタへのデータ経路を自動的にプログラムすることにより該受信通信ユニットためのデータを別個に(distinctly)に投入するためにネットワーク内の該受信通信ユニットの位置を動的に決定することは、効率的な資源管理及び利用可能な帯域幅の効果的な使用を可能にする。これは、密度の高いネットワーク及び/又は複数の通信ユニット、さもなくば増加したデータ伝送量(data transmission volume)にとって特に重要となる。通信ユニットの位置の決定は、位置を検出する外部センサによって提供される情報に基づいてもよく、通信ユニット自体によって提供される絶対位置情報又は相対位置情報に基づいてもよい。
【0009】
光波を用いる通信は、データを光に埋め込むための変調技術を用いてもよく、例えば、データは、オンオフキーイング(OOK)、カラーシフトキーイング(CSK)、又は可変パルス位置変調(VPPM)等のIEEE 802.15.7規格で提案されている変調技術を用いて照明光に埋め込まれてもよい。代替的に、照明光と互換性があり、人間の目に知覚可能なフリッカをもたらさない他の既知の可視光通信技術が用いられてもよい。さらに代替的に、光波を用いる通信は、赤外線通信協会(IRDA)規格、又は専用の送信機(すなわち、照明機能を備えていない送信機)を用いる他のフリースペース光通信変調技術(free space optical communication modulation technique)の使用を伴ってもよい。一般に、光波を用いる通信は、振幅、位相又は周波数変調を用いる単純な技術から、CDMA、又は光直交周波数多重化(O-OFDM)を用いるより複雑な変調方式までの広範囲の変調技術を利用することができる。
【0010】
ネットワーク内の通信ユニットの最も可能性の高い軌道を決定してその現在位置及び次の位置を予測することにより、移動している当該通信ユニットにデータを送信する/該通信ユニットからデータを受信するための適切なエミッタ/受信機の効果的な選択を向上させることができる。さらに、軌道に沿ったエミッタ間のハンドオーバが、適切なデータデリバリを保証するために円滑に準備がなされることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、複数のアプリケーション制御コンポーネントは、異なる特性、とりわけ、限定されるものではないが、最大ビットレート、スループット、伝送遅延、可用性(availability)、待ち時間、エラーレート及び優先順位付けのサポート(support for prioritization)のうちの任意の1つ以上を有する第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントを含む。識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップは、第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントの両方が決定された関心領域に位置する場合において第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントのうちの少なくとも1つを選択する際に所定のプリファレンス(pre-determined preference)を考慮に入れる。
【0012】
アプリケーション制御システム内には、アプリケーション制御システム内でその機能を果たすことを主要目的とするアプリケーション制御コンポーネントがあってもよい。例えば、照明制御システム内において、ライトの主目的は、照明光を提供することであってもよい。しかしながら、これに加えて、ライトは、データ送信に用いられてもよい。通常、照明目的に主として専念する光源のデータ送信のための能力は、かなり限定され、したがって、斯かるライトは、通常、低速エミッタ(slow emitter)と考えられる。データ通信のためのより高いデータレートを提供する他のアプリケーション制御コンポーネント、例えば、イルミネーションライティングには用いられないが、色、オン、オフ、調光等のデータ通信のための光レベルを変更することができるエミッタがあってもよい。これらのアプリケーション制御コンポーネントは、より高速なデータ通信を可能にする。斯くして、低速エミッタより高速なエミッタを選択することにより、全体的なデータ通信が改善されてもよい。
【0013】
スループット速度は、一般にデータ通信に関連すると考えられるが、高速リンクが利用可能であっても、より低速のリンクを選択することが好ましい場合がある。後者は、例えば、(高速送信機から低速送信機へ移る場合に生じるであろう)異なる受信方式へ切り替える必要性を最小限にすることが好まれる場合に好ましいであろう。
【0014】
速度に加えて、場合によっては好ましく、それゆえ、所定のプリファレンスの対象となり得る他の特徴が、速度は別としてあり得ることにさらに留意されたい。このような特性には、ビットレート、スループット、伝送遅延、(継続的な)可用性、メッセージ待ち時間、トラフィッククラスの可用性(availability of traffic class)及び/又は優先順位付けが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
本発明の一実施形態において、識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップは、第1の通信ユニットに一時的に光チャネルを割り当てるステップを含む。光チャネルは、1つ以上の受信ユニットへの光信号に埋め込まれたデータ送信の別個の転送を可能にする任意の構造、例えば、固有周波数、特定の強度レベル等の光チャネルであってもよい。照明器具は、1つ以上の光源を有してもよい。2つ以上の光源の場合、各光源は、対応する光チャネルに割り当てられてもよく、又は全ての光源が、単一の光チャネルに割り当てられてもよい。光チャネルへのN個の光源の任意の中間割り当てもまた、実現されてもよい。光源はまた、複数の光チャネルに割り当てられてもよい。さらに、光チャネルは、多重化されたデータを複数の受信機に送信するように構成されてもよい。光チャネルのコンフィギュレーションは、アプリケーション制御システム内のアプリケーション制御コンポーネントのコンフィギュレーション可能性(configuration possibility)の知識がある管理ユニットによりデータ経路コンフィギュレーションと共に、又はそれに加えて、アプリケーション制御コンポーネントに提供されてもよい。アプリケーション制御コンポーネントが、特定の光チャネルを特定の通信ユニットに割り当てる特定の光チャネルコンフィギュレーションを受信し、実施した後、通信ユニット宛てのプログラムされたデータ経路を介して受信されるデータは、コンフィギュレーションされた光チャネル、例えば、照明器具内の赤色LEDを介して通信される。管理ユニットは、複数の通信ユニットが特定のエリア内に存在する場合に、光チャネルの使用を調整することもできる。例えば、第2の通信ユニットが第1の通信ユニットに近接して存在する場合、同じアプリケーション制御コンポーネントが、データインジェクタ(data injector)として選択されてもよい。したがって、第2のデータ経路が、ネットワークを介してプログラムされ、アプリケーション制御ユニットは、第2の通信ユニットとのデータ通信のために別の光チャネル、例えば、同じ照明器具内の緑色LEDを用いるよう構成されてもよい。斯くして、干渉を回避することができる。光チャネルを対応する通信ユニットに動的に割り当てることによって、システムは、アプリケーション制御システムによってカバーされる特定の領域を有する通信ユニットの位置変化及び/又は占有レベルを把握することができる。所望であれば、異なる通信ユニット宛てのデータが、適切な多重化技術(例えば、ODFMなど)を適用して単一(又は複数)の光チャネル上に多重化されてもよい。光チャネルを対応する通信エンドノードに効率的に割り当てるための例示的な実施では、論理識別子(例えば、論理チャネル番号)を対応する通信ユニット及び予め定められたチャネルコンフィギュレーションにリンクするアプリケーション制御コンポーネントに格納されるチャネルマップが用いられてもよい。本発明の一実施形態において、当該方法は、アプリケーションプランに従って複数のアプリケーション制御コンポーネントの可用性を決定するステップを含む。さらに、第1の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別するステップは、アプリケーションプランに従って対応する時点(respective instant of time)において利用可能な複数のアプリケーション制御コンポーネントに制限される。アプリケーションプランは、アプリケーション制御システム内の対応するアプリケーション制御コンポーネントにアプリケーション特有のコンテキスト(application specific context)を提供する。自己学習メカニズムによって動作中に定義又は学習され得る使用パターンに基づいて、アプリケーションプランは、様々なアプリケーション制御コンポーネント及びそれらの相互作用のための特定の動作モードを定義することができる1つ以上のアプリケーションシーンを定義してもよい。簡単な例として、建物の対応する部屋の照明制御システムの昼夜のシナリオに対して、異なるアプリケーションシーンが存在してもよい。夜間には、最小限のライトのセットのみが対応する存在検出器によって作動されてもよく、同じ存在検出器は、昼間には室内にある全てのライトを用いて完全な照明をトリガしてもよい。したがって、アプリケーションプランは、アプリケーション制御システムに適用される制御メカニズムに対する使用パターンに基づくコンテキストを提供し、斯くして、例えばエネルギ節約に関して、システム最適化を可能にする。既知の期間は必要とされないアプリケーション制御コンポーネントは、アプリケーションプランによって定義されたアプリケーションシーンに従って省電力モードに切り替えられてもよい。アプリケーションプランによって提供されるコンテキストは、データ送信に適したアプリケーション制御コンポーネントを、アプリケーション制御コンポーネント自体の可用性、例えば、コンポーネントがオン/オフであるかどうかの判定に関して、及び/又はデータ通信のためのその可用性、例えば、アプリケーション制御コンポーネントは、他のアプリケーション目的のために広範囲に使用され得ることに関して、決定するために用いられてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態では、当該方法は、
第1の瞬時におけるアプリケーション制御システム内の第2の通信ユニットの第3の位置情報を決定するステップと、
少なくとも第3の位置情報に基づいて第2の通信ユニットについての関心領域を計算するステップと、
第2の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第2のサブグループを識別するステップと、
を含み、
識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップは、
(i)アプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループ及びアプリケーション制御コンポーネントの第2のサブグループが重複する場合、第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットのためのデータ送信を多重化するステップ、又は
(ii)相互に排他的なアプリケーション制御コンポーネントを用いて第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするステップ、
を含む。
【0017】
2つ以上の固定又は移動通信ユニットの現在及び将来の位置情報を組み合わせることにより、2つ以上のデバイスへの及びからのデータ送信に利用可能な資源が、最も効果的なやり方で配分されることができる。1つのシナリオでは、1つの同じ資源、例えば、アプリケーション制御ユニットを共有し、両方の受信ユニットに同時に送られるべきデータ送信を多重化することが最も効率的であり得る。このシナリオは、特に、他の資源が省電力モードに設定されているか又は小電力モードのままである場合に、対応する小規模又はタイムクリティカルでないデータ送信の転送に対して最も効率的であり得る。他の場合には、異なる通信ユニットに仕えるために相互に排他的なアプリケーション制御コンポーネントを選択することがより効率的であり得る。例えば、2つの移動ユニットが建物を通る同じ経路に沿って運ばれ、アプリケーション制御ネットワークから常にデータ送信を受信する場合、対応する通信ユニットへのデータ伝送のために相互にインターリーブするエミッタを選択することが有利であり得る。
【0018】
本発明の他の態様では、処理ユニットで実行可能なコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムが処理ユニットで実行される場合に、処理ユニットに本発明の上述した態様で規定される方法を実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0019】
本発明の別の態様では、アプリケーション制御システム内の通信ユニットへの及びからの通信トラフィックを方向付けるための制御システムであって、アプリケーション制御システムは、複数のアプリケーション制御コンポーネントを含み、アプリケーション制御コンポーネントは、通信ユニットにデータを送信することが可能であり、当該制御システムは、
アプリケーション制御システム内の複数のアプリケーション制御コンポーネントの各々の位置情報を受けるための第1のインタフェースと、
処理ユニットと、
を含み、前記処理ユニットは、
後続する瞬時における前記アプリケーション制御システム内の第1の通信ユニットの対応する第1の位置情報及び第2の位置情報を決定する、
少なくとも第1の位置情報と第2の位置情報との間の変化に基づいて第1の通信ユニットについての関心領域を計算する、及び
第1の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちのアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別する、 よう構成され、当該制御システムは、
識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするためのインタフェース、
を含む、制御システムが提供される。
【0020】
本発明の一実施形態において、複数のアプリケーション制御コンポーネントは、異なる特性、とりわけ、限定されるものではないが、最大ビットレート、スループット、伝送遅延、可用性、待ち時間、エラーレート及び優先順位付けのサポートのうちの任意の1つ以上を有する第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントを含み、
処理ユニットは、第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントの両方が決定された関心領域に位置する場合において第1のアプリケーション制御コンポーネント及び第2のアプリケーション制御コンポーネントのうちの少なくとも1つを選択する際に所定のプリファレンスを考慮に入れることにより、識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするよう構成される。
【0021】
本発明の一実施形態において、制御システムは、第2のアプリケーション制御コンポーネントのためのアプリケーションシーンを定義するアプリケーションプランを含み、処理ユニットは、対応するアプリケーションシーンに従って第2のアプリケーション制御コンポーネントの可用性に基づいてデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするよう構成される。
【0022】
本発明の一実施形態において、処理ユニットは、第1の通信ユニットに一時的に動的な光チャネルを割り当てることにより、識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路を計算するよう構成される。
【0023】
本発明の一実施形態において、当該制御システムは、アプリケーションプランを含み、処理ユニットは、アプリケーションプランに従って対応する時点において利用可能な複数のアプリケーション制御コンポーネントから第1の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちの1つ以上のアプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループを識別するよう構成される。
【0024】
本発明の一実施形態において、処理ユニットは、第1の瞬時におけるアプリケーション制御システム内の第2の通信ユニットの第3の位置情報を決定する、少なくとも第3の位置情報に基づいて第2の通信ユニットについての関心領域を計算する、及び第2の通信ユニットの関心領域内に位置する複数のアプリケーション制御コンポーネントのうちのアプリケーション制御コンポーネントの第2のサブグループを識別するよう構成される。処理ユニットはさらに、
(i)アプリケーション制御コンポーネントの第1のサブグループ及びアプリケーション制御コンポーネントの第2のサブグループが重複する場合、第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットのためのデータ送信を多重化する、又は
(ii)相互に排他的なアプリケーション制御コンポーネントを用いて第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムする、
ことにより、識別されたアプリケーション制御コンポーネントのサブグループを用いて第1の通信ユニット及び第2の通信ユニットとデータを通信するためにアプリケーション制御システムにおけるデータ経路をプログラムするよう構成される。
【0025】
請求項1に記載のアプリケーション制御システム内の通信ユニットへの及びからの通信トラフィックを方向付ける方法、請求項8に記載のコンピュータプログラム及び請求項9に記載の制御システムは、とりわけ、従属請求項に規定されるように、同様の及び/又は同一の好ましい実施形態を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上述した実施形態と対応する独立請求項との任意の組み合わせでもあり得ることを理解されたい。
【0027】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、好ましい実施形態による照明制御システムの領域モデルを示す。
図2図2は、複数の照明制御コンポーネントを有する例示的な建物プランを示す。
図3図3は、図2の建物プランのための本発明の好ましい実施形態のユースケースを示す。
図4図4は、動的な照明データ通信システムのシステム図を示す。
図5図5a~図5dは、図3に示される時間t=2におけるモバイル受信機A4の位置計算を示す。
図6図3の部屋4に示される2つのモバイル受信機が経路を横切っている例示的なユースケース5を示す。
図7図7a~図7dは、時間の経過に伴う図6の例示的なユースケース5を示す。
図8図8は、図3の部屋2に示される例示的なユースケース4を示す。
図9図9a~図9dは、時間の経過に伴う図8の例示的なユースケース4を示す。
図10図10a及び図10bは、図3の部屋R6に示される例示的なユースケース6を示す。
図11】予測アルゴリズムを示す。
図12】通信ネットワークの基礎となる対応するデータ転送デバイスへのエミッタプールの割り当てを示す。
図13】基礎となる通信ネットワークの通信構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
いくつかの実施形態は、好ましい実施形態として照明制御アプリケーションの文脈において例示的に述べられる。しかしながら、実施形態は照明制御アプリケーションに限定されないことを理解されたい。当業者であれば、これらの方法及びデバイスは、同様のシステムトポロジーを必要とする任意の他の制御アプリケーションのために利用され得ることを理解するであろう。
【0030】
以下では、ソフトウェア定義アプリケーション(software defined application (SDA))システムは、1つ以上のアプリケーションシーンを含むアプリケーションプランに規定されるアプリケーション固有要件及び命令に関する知識を提供する。例えば、SDAシステムの一例は、1つ以上の照明シーンを含む照明プランを定義するソフトウェア定義照明(software defined lighting (SDL))システムである。照明シーンは、例えば、特定のセンサがトリガされた場合にどのランプがスイッチオンされるべきかといった、アプリケーション制御コンポーネント間の依存関係又は相互作用を定義してもよい。照明シーンは、昼又は夜、平日、週末等の特定のタイムスロットに対して定義されてもよい。
【0031】
ソフトウェア定義ネットワーク(software defined networking (SDN))システム等のネットワーク管理システムは、メッシュネットワーク内に存在する対応するネットワークコンポーネントに関する知識を提供し、転送テーブル(forwarding table)などのコンフィギュレーションを制御してもよい。しかしながら、ネットワーク管理システムは、特定のネットワークコンポーネント間のアプリケーション固有の接続について知らない。
【0032】
一緒にSDAシステム及びSDNシステムは、両方のレイヤ(アプリケーション及びネットワーク)を組み合わせたソフトウェア定義制御(software defined control (SDC))システムを構成する。SDCシステムは、アプリケーション/照明コンポーネントをネットワークトポロジにマッピングし、斯くして、(照明)アプリケーションを実行する(照明)制御ネットワークの能力を低下させることなく、どのコンポーネント又はコンポーネント部品がオフにされてもよいかを判断する知識を有する。両方のモジュール、SDN及びSDAシステムは、内部メモリ又は外部メモリに格納されたプログラムコードにアクセスし実行するための中央処理ユニットを有する1つ以上のコンピュータ等の処理ユニット上で実行されることができる、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として実現されてもよい。フレキシビリティが要求される場合、SDN及びSDAは、プログラムコードとして実装されてもよい。しかしながら、類似の機能性は、特定用途向け集積回路の形態の専用ロジックを用いることにより完全に又は部分的に実現されてもよく、(フィールド)プログラマブルゲートアレイの形態のプログラム可能なハードウェアを用いることもでき、又はソフトウェア/ハードウェア実装両方の組み合わせを用いることもできることが当業者には明らかであろう。処理ユニットは、ユーザインタフェース、例えば、ディスプレイ及び入力手段を提供してもよい。処理ユニットは、アプリケーション制御システムのオンサイトに配置されてもよく、又はアプリケーション制御システムから離れて配置されてもよい。
【0033】
図1は、本発明の好ましい実施形態としての照明制御システム300のドメインモデルを示す。そのアプリケーションプラン204及びそこに規定されているアプリケーションシーンに従う(ソフトウェア定義)制御システム200は、ネットワーク管理システム231にコンサルトすることができ、ソフトウェア定義アプリケーションシステム203は、データ通信エンドノード400に含まれるか、少なくとも通信可能に結合された検出器302に照明制御光波に埋め込まれるデータを発するのに適しているとみなされる照明制御コンポーネント301に通信ネットワーク100を介して通信経路180を動的にコンフィギュレーションすることができる。データ通信は、データメッセージが通信ネットワーク100からデータエミッタ301を介して受信ユニットとしてのデータ通信エンドノード400に送信される方向について以下で述べられる。データ通信エンドノード400は、静止していてもよく、動いている、例えば、建物内の人又はロービングデバイス(roving device)によって持ち歩かれてもよい。しかしながら、(移動体)通信エンドノード400から通信ネットワーク100へのデータ通信は、単にエミッタ及びレシーバの機能を交換することによっても可能であることを当業者は理解するであろう。したがって、光波に埋め込まれたデータメッセージを受信するために、データ通信エンドノード400に光検出器/受信器ユニット302を有する代わりに、データ通信エンドノード400は、代替的又は付加的に、埋め込まれたデータ送信を搬送する光波を発する発光体ユニット302を有してもよい。同様に、ネットワーク側では、光検出器301が、埋め込まれたデータ通信を搬送するデータ通信エンドノード400からの光送信を受信するために設けられてもよい。
【0034】
任意選択的に、ハイブリッドシステムが、メッセージ、とりわけ、データ通信エンドノードから通信ネットワークへの通信のためのメッセージを送信するために、さらにデータ通信エンドノード400と通信ネットワーク100内のネットワークコンポーネント101との間のさらなるリンクを確立するRFトランシーバ411を確立することによって実現されてもよい。ネットワークコンポーネント101とアプリケーション制御コンポーネント又はRFトランシーバ411との間のデータ通信は、追加の電力供給の有無にかかわらず、無線又は有線、例えば、パワーオーバーイーサネット(登録商標)(Power over Ethernet)であってもよい。
【0035】
図2は、複数の照明制御コンポーネントL1~L34及びTx1~Tx3を有する(ハイブリッド)通信システムを提示する部屋R1~R6を有する例示的な建物プランを紹介している。照明制御コンポーネントは、例えば、当該システムの光の中に知覚できないようにデータを埋め込むことができる発光体(すなわち、可視光通信(VLC))、又はレーザ、IR又はUV光等の可視又は不可視の光放射を用いた発光体(すなわち、自由空間オプティクス(Free Space Optics (FSO))であるが、これらに限定されない。さらに、部屋に入る人を検出すると光放出をトリガするために用いられ得る赤外線存在検出器PIR1~PIR5及びセンサWS1~WS3がある。建物の1つの空間内には、単一又は複数の照明制御コンポーネントが存在してもよい。特に、イルミネーションライティングデバイスL1~L34としての機能を主として果たす照明制御コンポーネントは、照明光の実際の必要性に応じてオン又はオフに切り替えられ得る。提示されるシステムは、可能な限り効果的にデータ通信に利用可能な照明制御コンポーネントを使用するように動作を動的に適応させる。主要タスクがイルミネーションライティングを提供することである発光体は、低速発光体L1~L34と呼ばれ、データ送信専用の発光体は、高速発光体Tx1~Tx3と呼ばれる。
【0036】
図3は、以下ではモバイル受信機A1~A9と呼ばれる、各々モバイルデータ通信エンドノード400を有する人物によってここでは占有されている、同一の例示的な建物プランを示す。以下のシナリオが示される。
【表1】
【0037】
6つの例示のユースケースによって与えられる対応するモバイル受信機へのデータ送信に適したエミッタを決定するために、特定の入力が、データ通信に関係するコンポーネントに関して必要とされる。
【0038】
基礎として、アプリケーション制御、例えば、ソフトウェア定義アプリケーションシステムをサポートする管理システムは、対応する受信機の現在の位置と比較できるようにするために、特定のエリアに存在するエミッタの相対位置を知る必要がある。この入力に基づいて、システムは、データ送信に用いられ得る適切なエミッタを決定し、該適切なエミッタと制御システムとを相互接続するネットワークを介す経路を動的にプログラムすることについて、例えば、ソフトウェア定義制御システム等をアシストすることが可能とされる。このことは、図5図11を参照して各ユースケースについて詳細に述べられる。
【0039】
静的なユースケース1~3は各々、単一又は複数のエミッタを備えた領域内に単一又は複数の静止した受信器を含む。システムは、静止した受信機付近(いわゆる関心領域内)のエミッタを決定するために受信機の位置に関する情報を必要とする。システムは、複数のエミッタが関心領域内にある場合、さらなる選択基準(例えば、遅いエミッタよりも高速なエミッタ、又は現在電力中にあるエミッタよりも他の目的のために既にアクティブにされているエミッタ等)を適用することにより最良のエミッタを選択してもよい。
【0040】
ユースケース4~6は、一時的に静止しているか、実際に移動している場合がある、1つ以上のモバイル受信機に関する。図3に示されるように、ユースケース5における2つのモバイル受信機A6及びA7は、部屋R4内で動線(way)が交差する。それぞれ対応する現在及び将来の関心領域を決定するために、システムは、現在の位置を選択し、最も可能性の高い将来の位置の予測を計算するように軌道を決定するベクトルを必要とする。例示的なユースケース6は、同一方向に移動する2つのモバイル受信機A8及びA9を示し、ユースケース4は、高速エミッタTx2及びTx3及び低速エミッタL26及びL27の近傍を通過するモバイル受信機A4を示す。斯かる場合、システムは、任意のタイプ(低速又は高速)の単一又は複数のエミッタの適切な組み合わせであり得る、最良のエミッタをいつでも動的に選択することができる。
【0041】
図4は、本発明の好ましい実施形態による動的な照明データ通信システムのシステム図を示す。図4から明らかなように、(モバイル)受信機400の位置は、外部の観測センサ500によって観測され、SDL制御システム203に通知されるが、代替的には、(モバイル)受信機400自体によって通知されてもよい。システムは、データの排出のために最適なコンフィギュレーションを計算し、それに応じてネットワークをプログラムすることができる。システムは、他のバックリンク550を介して帯域外又は可視若しくは不可視の光の放射を用いて帯域内でデータをどのように見つけるかに関する情報を提供する信号を(モバイル)受信機400に送信してもよい。システムは、システムがコンピュータネットワークから(モバイル)受信機にデータを発するために光の放射を用いる、一方向システムとしてセットアップされてもよい。代替的に、システムは、システムがコンピュータネットワークから(モバイル)受信機にデータを発するために光の放射を用い、(モバイル)受信機が何らかの情報に関する信号をシステムに戻すために他のリンクを用いる、双方向ハイブリッドシステムとしてセットアップされてもよい。別の代替案は、システムがコンピュータネットワークから(モバイル)受信機にデータを発するために光の放射を用い、(モバイル)受信機も光の放射を用いてシステムにデータを戻す、双方向システムである。
【0042】
好ましい実施形態では、照明制御システム内のエミッタの位置を決定するためのメカニズムは、対応する固有の(相対的な)位置を有する各エミッタの固有の識別を記録する、低速及び高速のエミッタプールについてのデータ構造を使用して実現される。システムは、全てのエミッタをネットワークに知らせ、これらエミッタが前記エミッタプールに登録され得るように、よく知られた方法を用いてもよい。一例は、例えば、サービス発見(service discovery)である。代替的に、このデータは、手動で入力される、又は別個のリストを介して入力されることもできる。
【0043】
システムは、(モバイル)受信機が存在する(存在するようになる)可能性のある任意の位置について正しいエミッタを迅速に識別し、選択するように、建物プランにおける各エミッタの位置をシステムが知っていることが必要である。位置を導出するための複数のメカニズムが知られている。一例として、位置は、コミッショニング中に記録されることができ、又は手動で入力されていてもよい。
【0044】
代替的に、エミッタIDは、リアルタイムで検出されることができる。発光体は、例えば、光でIDを送信してもよい。リアルタイムに隣接するエミッタからの光を検出するために、エミッタ上の別個の検出器が使用され、相対座標が、三角測量を介して導出される。
【0045】
システムは、(モバイル)受信機を含むシステム内の全てのコンポーネントに関する情報を用いて相対座標系を構築する。このメカニズムは、複数のオーバーレイで座標を収集することができる。これは、(モバイル)受信機のニーズと適切な送信機の能力とのマッチングを簡単にする。任意選択的に、例えば家具の場所のような、決して使用されない領域が決定され、効果的なトラフィックチャネリングのために考慮されてもよい。付加的に、通信ネットワーク内のデータ転送コンポーネント(例えば、データスイッチ及び/又はデータルータ)の位置が任意に決定されてもよい。
【0046】
ネットワーク側のコンポーネントの固定位置を決定した後、モバイル受信機の位置及び移動方向を決定するメカニズムについて述べる。モバイル受信機の位置及び移動方向AΩ(例えば現在位置、速度及び方向を有するベクトル)が、例えば、静止カメラセンサ、画像センサ、パッシブレーダセンサ、IRセンサ等を介してモバイル受信機の位置に関する位置情報及び/又は変化を提供する内部データ又は外的に集められたセンサデータを利用することにより、決定され、システムに提供されることができる。図5Aは、異なる時点A4'、A4''及びA4'''におけるモバイル受信機A4の動きを示す。図5b~dに示されているように受信機の位置及び/又は速度を決定するための代替的なアプローチも可能である。図5b~dは、図5aに示される時刻t2におけるモバイル受信機A4'の位置及び方向を決定するための異なるアプローチを例示している。
【0047】
基礎的な座標U1~U6が与えられた部屋内の静止位置を導出するために、図5bに示されるように、単一のセンサS6からの信号及び三角測量で十分な場合がある。ベクトル(すなわち、現在位置、速度及び方向)を導出するために、複数のセンサが必要とされ得る。1つの方法は、図5cに示されるように、外部センサS1~S5及びF1~F2を使用してモバイル受信機の位置P2を決定することである。代替的な方法は、図5dに示されるように、複数の発光体S1~S5及びF1~F2から位置P2のモバイル受信機に送られる固有コードからの飛行時間の差(例えばドップラー)を観測するために照明システムを用いることである。別の代替案は、モバイル受信機にその位置を検出させてシステムに報告させることである。これは、照明システムにより送信されるデータ(例えば、符号化光)の検出を介して、又はモバイル受信機のデバイス内の局所センサ(例えば、加速度計、磁力計)を用いて行われ得る。センサフュージョン(sensor fusion)が、モバイル受信機の位置及びベクトルの品質を向上させるため異なるセンサ信号を組み合わせるために適用されてもよい。
【0048】
現在の位置が決定されると、移動の速度及び方向に関する情報に基づいて、将来の位置が予測され、システムは、関心領域内のエミッタの効率的な使用を可能にし、他の全てのエミッタは他の送信のために自由に自身の全帯域幅を使用し続けるように、データ通信に使用される適切なエミッタに関して先を見越してハンドオーバを実行してもよい。
【0049】
図6は、同時に部屋R4内に2つのモバイル受信機A6及びA7を有するユースケース4を示す。好ましい実施形態では、最大帯域幅が、それぞれ異なるエミッタL8、L18、L9並びにL19及びL24の下に位置付けられている限り、これらモバイル受信機の各々に提供される。時間t2において、両方のモバイル受信機A6及びA7は、エミッタL22に最も近くに位置付けられる。システムは、両モバイル受信機が受信する多重化データストリーム、及び個々のモバイル受信機が多重化データストリームからそのデータをどのように取り出すかについての情報を提供する。
【0050】
その最も単純な形態では、システムは、現在の位置の近くに地理的に位置する全ての利用可能なエミッタを、将来の任意の候補エミッタとしてただ選択してもよい。より進んだ実施形態では、コンフィギュラブルな関心領域が、例えばセンサデータ及び/又は先行位置情報から得られる速度及び方向に基づいて、予測されたルート沿いの関心領域内に位置するエミッタを有するリストを作成するために計算される。この計算は、移動するモバイル受信機のために最も可能性が高い次のエミッタを予測することを可能にする。とりわけ、最も可能性が高い次のエミッタに加えて、ネットワークの負荷及び干渉が許容される場合、ローミングユーザに適切なカバレッジを提供する可能性を高めるように次のエミッタの方向に複数のエミッタから同じメッセージをサイマルキャストすることも可能である。
【0051】
複数のエンドユーザの移動方向の知識は、システム内のトラフィックフローを調整するためにさらに使用されてもよい。後者は、とりわけ、複数のエンドユーザが類似のチャネルを利用し、互いに向かって移動している場合、すなわち、空間領域内に両方のユーザが存在することから生じる負荷が特定のエミッタに過負荷をかける可能性がある場合に、関連し得る。異なるノードに異なるノードを割り当てることによって、又はエンドユーザの1人を別の物理チャネルに移動させることによって、競合や干渉がさらに減らされてもよい。
【0052】
例えば、受信機の動きベクトル(すなわち、速度及び方向)に関する近傍計算(vicinity computation)を伴う経時的な予測の例が、図7a~図7dに示されており、これもユースケース4を参照している。
【0053】
時刻t=0において、モバイル受信機A7は、所定の時間静止している。したがって、好ましい移動方向は予測できないので、関心領域は、モバイル受信機の周りの円形領域として決定される。システムは、A7のためのデータをエミッタL9においてのみ提供し、エミッタL10、L25、L15をあり得る次のエミッタ候補として識別する。モバイル受信機が移動を開始すると、システムは、モバイル受信機の速度及び方向を決定し、それに応じて関心領域を適合させ、この領域内のエミッタを決定し、関心領域内の1つ以上のエミッタにデータをリダイレクトする。この主な利点は、システムが、多重化によりもたらされる帯域幅の低下が特定の場所にのみ適用されるので、最も重要な情報のみ発する策を取れることである。
【0054】
図7aをさらに参照すると、時間t=0において、システムは、モバイル受信機A6がアクティブなエミッタL8に最も近い位置からL19の方向に移動していることを検出する。システムは、モバイル受信機A6についての関心領域を再計算し、移動が当該方向に継続する場合に用いられる可能性が非常に高い候補として、L19へのルート上の第1のエミッタとしてL24を選択する。当該時間t=0において、システムは、位置L8にのみA6のためのデータを投入してもよいが、データ投入をL24にリダイレクトする準備を既にしてもよい。
【0055】
時間t=1において、モバイル受信機A6は、図7bに示されるように、L24に向かう方向に移動を続けた。システムは、A6のためのデータ投入をL8からL24にリダイレクトする。好ましい実施形態による管理システムを使用すると、データ投入をリダイレクトすることは、L8へのデータ経路の定義を能動的にキャンセルする一方、L24への新しいデータ経路を定義し、プログラムすることを含む。システムは、再計算し、移動が当該方向に継続する場合に使用される可能性が非常に高い候補として、L19へのルート上の次のエミッタとしてL22を選択する。フォールバックとして、システムは、同じ移動軸上で可能性のある候補としてL8を識別する。同様に、時間t=1において、モバイル受信機A7は、例えばL18の方向に移動を開始している。システムは、モバイル受信機A7のための関心領域を再計算し、移動が当該方向に継続する場合に使用される可能性が非常に高い候補として、L18へのルート上の第1のエミッタとしてL22を選択する。当該時刻t=1において、システムは、アクティブなエミッタL9でのみA7のためのデータを投入するが、データ投入をL22にリダイレクトする準備をする。システムは、L22が2つのモバイル受信機A6及びA7によりエミッタ候補として2回選択されていることを既に知っている。
【0056】
図7cに示される時間t=2において、モバイル受信機A6及びA7は、経路が交差し、一時的に両方ともエミッタL22に最も近くに位置する。システムは、例えば(限定されるものではないが)OFDM(の多くの種類のうちの一つ)等の多重化技術を使用し、エミッタL22を用いて両方のモバイル受信機のためにデータを投入する。代替的に、システムは、別のエミッタがA6又はA7のいずれかに到達する場合、多重化を回避してもよい。A6及びA7の両方の移動は続くので、システムは、対応する関心領域を再計算し、対応する新しい候補エミッタオプションを選択する。したがって、システムは、対応するデータ経路の適切なプログラミング及びキャンセルを定義する。
【0057】
図7dに示される時間t=3において、モバイル受信機A6及びA7の両方は移動を停止した。システムは、A7のためのデータを投入するためにアクティブなエミッタL18を使用し、A6のためのデータを投入するためにアクティブなエミッタL19を使用する。システムは、関心領域を再計算し、各受領者(receiving actor)の周りの円形領域に位置する新しい候補エミッタオプションを選択する。したがって、システムは、対応するデータ経路の適切なプログラミング及びキャンセルを定義する。
【0058】
システムは、関心領域内の1つの特定のエミッタを選択するために追加の基準を使用することができる。1つの例が図8に示され、ここでは、高速エミッタTx2及びTx3及び低速エミッタL7、L26及びL28の両方が、建物の同じエリアに設置されている。低速エミッタがモバイル受信機のより近くにあるかもしれないが、システムは、より低速のエミッタより高速のエミッタを優先するようにプログラムされる。
【0059】
図9は、図8におけるモバイル受信機A4を運ぶ人が取ったルートの個々の選択ステップを示す。図9aに示されように、t=0の始まりにおいて、モバイル受信機A4は、低速エミッタL7と高速エミッタTx2との間に位置する。関心領域内でA4に最も近いのは低速エミッタL7である。しかしながら、高速エミッタTx2も関心領域内にある。低速エミッタよりも高速エミッタが優先されるべきであるため、Tx2がデータ投入用に選択される。右下隅に向かって移動すると、関心領域が、図9bに示されるようにt=1において計算され、低速エミッタL26ではなく高速エミッタTx3がデータ投入のために選択される。図9cに示されるようにt=2において、右下隅に位置付けられると、関心領域は、単一の低速エミッタしかカバーしない。この場合、低速エミッタが選択される。しかしながら、図9dに示されるようにt=3において、最も近いエミッタは、低速エミッタ26である。それにもかかわらず、関心領域の最も外側の領域にあるが、Tx3が、高速データ排出を提供することを理由に、L26ではなく選択される。
【0060】
図10a~図10bは、複数のモバイル受信機の行動把握を行う別の選択基準を示す。2つのモバイル受信機A8及びA9は、同じ方向に廊下に沿って運ばれる。関心領域は、図10aに示されるように、両方のモバイル受信機のために順方向に伸張される。ここでは、システムは、受信機A8に予測ルート上のA8及びA9の共通位置より前のエミッタを割り当て、受信機A9には、A8及びA9の共通位置より後ろの受信機が割り当てられる。図10bに示されるように、A9へのエミッタの割り当ては、A8とA9が同じエミッタを共有する(例えば、多重化し、斯くして、各モバイル受信機のために帯域幅の一部しか有さない)ことを回避するためにA8に関して効果的に遅延される。代替的なエミッタ割り当てが、同じエミッタの同時使用を避けるために選択されてもよい。高密度ネットワークでは、インターリーブされるエミッタ割り当てが適用されてもよい。
【0061】
斯くして、適切なエミッタを選択するアルゴリズムは、複数の基準に基づく。図11に示されるように、システムは、入力としてエミッタの相対位置を必要とし、任意に、利用可能な高速エミッタ(1001)及び低速エミッタ(1002)の座標を収集し、アプリケーションプラン(1003)からのそれらのアプリケーションシーンにより規定されるように対応するエミッタ(すなわち、光アクチュエータ)が実際に使用可能であるかどうかを確認し、複数のあり得る候補を分類するように、モバイル受信機の推定位置(1004)と適切なエミッタとを比較し、所定の基準に従ってマッチングを選択する(1005)ことができる。斯かる基準の一例は、例えば、低速エミッタより高速エミッタを用いるというプリファレンス(1006)である。しかしながら、最終的に適切な重み付けを提供するような、エミッタ間を区別する他の基準が、代わりに又は付加的に用いられてもよい。
【0062】
システムは、エミッタ選択を行う場合に高いリスクを受け入れるためにコンフィギュラブルなリスク選好(configurable risk appetite)(1007)を定義してもよい。一例は、データが実際に投入される関心領域内のエミッタの数(関心領域内に単一のエミッタだけがあってもよく、又はある予測不確実性がある場合、関心領域内に2つ以上のエミッタがあってもよい)、及び関心領域によってカバーされる形状及び表面積である。
【0063】
他の例は、システムが、エミッタの排他的使用を提供し、複数のモバイル受信機の同時使用のために適切なエミッタが選択されるのを防止しようと試みる一方、各モバイル受信機専用である、異なるエミッタを意識して選択することである。これは、エミッタからの準最適な信号受信(sub optimal reception of signal)の変化を増すことができる。検出された場合、これは、リスク選好を動的に適応させるためにシステムにフィードバックされてもよい。
【0064】
上で指摘したように、データを発する最後のエミッタが選択される必要があるだけでなく、このエミッタに向かうネットワークを通る経路もシステムによって決定されなければならない。好ましい実施形態において、図12に示されるように、アプリケーション制御ネットワーク内のセンサ及びアクチュエータが接続されているデータ転送デバイスd1~d8(すなわち、データスイッチ又はルータ)に関する情報を収集するデータ構造が実現される。エミッタ、センサ又はアクチュエータは、それらが接続されているデータ転送デバイスとは別の領域に位置することができる。最先端のソフトウェア定義ネットワークシステムは、いつでも動的に、データ転送デバイス及びそれに接続されるエンドノードへの全ての通信経路を見つけることができる。通常、この手順は、ルート探索(route discovery)と呼ばれる。好ましい実施形態において、ソフトウェア定義アプリケーションシステムは、アプリケーション(例えば、照明)シーンにおいて特定の役割及び相互作用を有するセンサ又はアクチュエータであるエンドノードにコンテキストを提供するために追加される。例えば、日、週、月又は年の特定の時間に対する特定の部屋の観察された占有率に応じて、イルミネーションライティングが、所定数のライトによって提供されてもよい。例えば、日中は完全な照明が必要とされるが、夜間は最小限の照明シナリオ(照明アクチュエータの最小限のセットのみがパワーアップされる必要があるが、残りは省電力モードに設定されてもよい)が適用されてもよい。さらに、省電力モードに設定されたエンドノードを接続するデータ転送デバイスは、省電力モードに切り替えられてもよい。両者は、特定のタイムスロットにおいて利用可能なセンサ及びアクチュエータの概要(overview)を維持するソフトウェア定義アプリケーションシステムによって管理される他のアプリケーションシーンに従って再活性化されてもよい。ソフトウェア定義アプリケーションシステムは、どの通信経路が特定のアプリケーションシーンにおける参加者間でネットワーク内で利用可能であるかを決定するソフトウェア定義ネットワークシステムにコンサルトするであろう。
【0065】
図13は、図12に示されるアプリケーションシステムに仕える例示的な基礎となるネットワークトポロジを示す。データスイッチd1~d8は、通信ネットワークを通る複数のデータ経路を提供する、ルーティングデバイスB1~B4に接続されている。制御システム200は、ネットワークトポロジ内の選択された経路を介してモバイル受信機へのデータ送信のために選択されたエミッタへ、ネットワークシステム内のソースノード600からのデータを渡すように、対応するデータ転送デバイスをプログラムしてもよい。ソースノード600は、インターネット又はイントラネット800を介してリモートホスト700に通信可能に結合されてもよい。斯くして、好ましい実施形態では、選択されたエミッタ(すなわち、低速又は高速エミッタ)へのネットワークのデータ経路の動的な(再)プログラミングが用いられる。機能的照明又は周辺照明及びデータ通信伝送を実行する二重機能を有する照明デバイスは、照明プランによって規定されるようにスイッチオフされてもよい。斯かる場合、利用可能なエミッタを有するエミッタプールは動的に更新され、システムは受信機への利用可能なネットワーク経路を計算する。
【0066】
このシステムは、異なるエミッタ間でスムーズな切り替えを実現する。エミッタは、低速又は高速エミッタであってもよく、好ましくは、正しいエミッタへの通信経路定義を動的に定義し、最早使用されないエミッタへの結果として存在している経路定義をキャンセルするように、ソフトウェア定義ネットワークシステムを介してソフトウェア定義アプリケーションシステムに接続される。通常、ソフトウェア定義ネットワークシステム内のデータ経路定義は、典型的には、時限期間(timed duration)のものであり、これは、経路ケーブルを介してRJ45データ端末に接続されるエンドノードにとってよく機能する。好ましい実施形態において、ソフトウェア定義ネットワークシステムは、付加的に、前記エンドノードをサポートするために使用される異なるエミッタにおいて不確定の間隔で現れる、非定速で移動するロービングエンドノードを処理しなければならない。したがって、データ経路定義の期間は予測し難い。したがって、既存のデータ経路のアクティブな管理が必要とされる。システムが別の位置で異なるエミッタを使用し始めると判断した瞬間に、新しいエミッタへのデータ経路定義がプログラムされる必要があり、古い位置のエミッタへのデータ経路定義は能動的にキャンセルされる必要がある。上述した例はソフトウェア定義ネットワークシステムに関して与えられたが、データ経路を動的にコンフィギュレーションする類似の能力を有する任意の他のネットワーク管理システムが代わりに用いられてもよいことを理解されたい。
【0067】
(モバイル)受信機及びアプリケーション制御ネットワークとの及びからのデータ通信は、例えば、多重化(例えばOFDM)又は特別な変調技術(例えば、VPPM、CSK、OOK)等のデータ通信を高めるための様々な既存の技術を用いて実行されてもよい。
【0068】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であって制限的ではないとみなされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、クレームされた発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0069】
1つ以上のユニット又はデバイスによって実行される、位置の決定、関心領域の計算、サブグループの識別及びデータ経路のプログラミング等のプロシージャは、他の任意の数のユニット又はデバイスによって実行されることができる。トラフィックを方向付けるための当該方法に従ったアプリケーション制御システムのこれらのプロシージャ及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実施されることができる。
【0070】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体等の適切な媒体上に記憶/分配され得るが、インターネット又は他の有線又は無線の電気通信システム等の他の形態で分配されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図11
図12
図13