IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-太陽電池窓パネル 図1
  • 特許-太陽電池窓パネル 図2
  • 特許-太陽電池窓パネル 図3
  • 特許-太陽電池窓パネル 図4
  • 特許-太陽電池窓パネル 図5
  • 特許-太陽電池窓パネル 図6
  • 特許-太陽電池窓パネル 図7
  • 特許-太陽電池窓パネル 図8
  • 特許-太陽電池窓パネル 図9
  • 特許-太陽電池窓パネル 図10
  • 特許-太陽電池窓パネル 図11
  • 特許-太陽電池窓パネル 図12
  • 特許-太陽電池窓パネル 図13
  • 特許-太陽電池窓パネル 図14
  • 特許-太陽電池窓パネル 図15
  • 特許-太陽電池窓パネル 図16
  • 特許-太陽電池窓パネル 図17
  • 特許-太陽電池窓パネル 図18
  • 特許-太陽電池窓パネル 図19
  • 特許-太陽電池窓パネル 図20
  • 特許-太陽電池窓パネル 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】太陽電池窓パネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230713BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20230713BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
E06B5/00 A
E06B3/70 D
E06B3/66 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019209939
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021011809
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018218500
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019134765
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 千顕
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-31834(JP,A)
【文献】特開2011-216834(JP,A)
【文献】特開2016-132934(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/056286(JP,A1)
【文献】特開平11-54781(JP,A)
【文献】特開2016-66654(JP,A)
【文献】特開2007-231613(JP,A)
【文献】特開平7-41341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 3/70
E06B 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される太陽電池窓パネルであって、
透光性を有する一枚または複数枚のパネルと、
一枚または複数枚の前記パネルの少なくとも2つの主面に、所定の方向において交互に配置された複数の太陽電池モジュールと、
を備えることを特徴とする太陽電池窓パネル。
【請求項2】
一枚の前記パネルを備え、
複数の前記太陽電池モジュールは、一枚の前記パネルの室内側面と室外側面に前記所定の方向において交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池窓パネル。
【請求項3】
複数枚の前記パネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含み、
複数の前記太陽電池モジュールは、前記室内側パネルの室内側面と前記室外側パネルの室外側面に前記所定の方向において交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池窓パネル。
【請求項4】
複数枚の前記パネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含み、
複数の前記太陽電池モジュールは、前記室内側パネルの室外側面と前記室外側パネルの室内側面に前記所定の方向において交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池窓パネル。
【請求項5】
複数枚の前記パネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含み、
複数の前記太陽電池モジュールは、前記室内側パネルの室外側面、前記室内側パネルの室内側面、前記室外側パネルの室内側面、および前記室外側パネルの室外側面に、前記所定の方向において交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池窓パネル。
【請求項6】
前記複数の太陽電池モジュールは、夏至の南中高度方向から見たときに当該太陽電池窓パネルの開口率がゼロ%となり、冬至の南中高度方向から見たときに当該太陽電池窓パネルの開口率が40%以上となるように配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池窓パネル。
【請求項7】
複数の前記太陽電池モジュールは、前記所定の方向において同じ幅Aを有し、
複数枚の前記パネルにN層(Nは2以上の整数)の前記太陽電池モジュールが形成され、前記太陽電池モジュールの間隔をBとしたとき、前記太陽電池モジュールは、B=(N-1)×Aを満たすように配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池窓パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に配置される太陽電池付きの窓パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エネルギー効率を向上する目的で、複数のスラットのそれぞれに太陽電池モジュールを配置した太陽電池ブラインドが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-340824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような太陽電池ブラインドは、季節による太陽高度の変化等に応じてスラットの角度を機械的に操作する必要があり、操作が煩わしいという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる太陽電池窓パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の太陽電池窓パネルは、建物の開口部に配置される太陽電池窓パネルであって、透光性を有する一枚または複数枚のパネルと、一枚または複数枚のパネルの少なくとも2つの面に、所定の方向において交互に配置された複数の太陽電池モジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機械的操作を行うことなく夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽エネルギーを有効に活用できる太陽電池窓パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図2図2(a)および(b)は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラスの作用を説明するための図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図7図7(a)~(d)は、第1実施形態に係る太陽電池窓ガラスの実施例を説明するための図である。
図8図8(a)~(d)は、第2実施形態に係る太陽電池窓ガラスの実施例を説明するための図である。
図9図9(a)~(d)は、第3実施形態に係る太陽電池窓ガラスの実施例を説明するための図である。
図10図10(a)~(d)は、第4実施形態に係る太陽電池窓ガラスの実施例を説明するための図である。
図11図11(a)~(d)は、第5実施形態に係る太陽電池窓ガラスの実施例を説明するための図である。
図12図12(a)および(b)は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラスを鉛直方向に対して傾斜して配置した状態を示す図である。
図13】本発明の第6実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図14】第6実施形態に係る太陽電池窓ガラスにおける太陽電池モジュールの配置を説明するための図である。
図15】端部間距離を説明するための図である。
図16】第6実施形態に係る太陽電池窓ガラスにおける太陽高度と開口度との関係を示す図である。
図17】第6実施形態に係る太陽電池窓ガラスにおける太陽電池モジュールの幅と開口度との関係を示す図である。
図18】本発明の第7実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
図19】第7実施形態に係る太陽電池窓ガラスにおける太陽高度と開口度との関係を示す図である。
図20】第7実施形態に係る太陽電池窓ガラスにおける太陽電池モジュールの幅と開口度との関係を示す図である。
図21】本発明の第8実施形態に係る太陽電池窓ガラスを説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また、本明細書において「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」等の方向を表す用語が用いられる場合、それらは太陽電池窓パネルが建物に設けられたときの姿勢における方向を意味する。以下の実施形態では、太陽電池窓パネルとして、ガラスパネルを用いた太陽電池窓ガラスを例示する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラス10を説明するための概略断面図である。太陽電池窓ガラス10は、建物の開口部に配置される。
【0011】
図1に示すように、太陽電池窓ガラス10は、単層ガラスとして構成されている。太陽電池窓ガラス10は、透光性を有する一枚のガラスパネル12と、複数の太陽電池モジュール14とを備える。
【0012】
太陽電池モジュール14は、複数の太陽電池セルを横方向に一列に配列した帯状を成す。太陽電池セルは、光起電力効果を利用し、太陽光エネルギーを電力に変換するように構成されたものである。複数の太陽電池セルは、電気的に直列に接続され、必要な所定の電圧を得られるようになっている。
【0013】
ガラスパネル12の一方の主面である室内側面12aには、複数の太陽電池モジュール14が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、ガラスパネル12の他方の主面である室外側面12bにも、複数の太陽電池モジュール14が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。各太陽電池モジュール14は、水平方向に延在するように配置されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように配置されてもよい。太陽電池モジュール14は、接着剤や両面テープなどの公知の取り付け方法によりガラスパネル12の室内側面12a、室外側面12bに貼り付けられてよい。各太陽電池モジュール14で生じた電力は、リード線(図示せず)を介して外部に取り出される。
【0014】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス10においては、図1に示すように、太陽電池モジュール14は、ガラスパネル12の室内側面12aと室外側面12bに、高さ方向において交互に配置されている。すなわち、室内側面12aに配置された1つの太陽電池モジュール14aに着目すると、該太陽電池モジュール14aよりも下方にずれた高さの室外側面12bに太陽電池モジュール14bが配置され、該太陽電池モジュール14bよりも下方にずれた高さの室内側面12aに太陽電池モジュール14cが配置され、該太陽電池モジュール14cよりも下方にずれた高さの室外側面12bに太陽電池モジュール14dが配置される、といった具合に複数の太陽電池モジュール14が配置されている。
【0015】
ガラスパネル12の室内側面12aおよび室外側面12bにおける太陽電池モジュール14の配置位置は、太陽電池窓ガラス10が設置される各地域の太陽高度、方位、太陽電池窓ガラス10の総厚さ、ガラスパネルの屈折率などから最適な位置を算出することができる。
【0016】
図2(a)および(b)は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラス10の作用を説明するための図である。図2(a)は夏期の使用状態を示し、図2(b)は冬期の使用状態を示す。
【0017】
図2(a)に示すように、太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール14によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール14によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス10によれば、夏期においては、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0018】
一方、図2(b)に示すように、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール14によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように冬期においては、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0019】
このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス10によれば、従来の太陽電池ブラインドで必要であったような機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる。
【0020】
また、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス10によれば、冬期においては、室内に取り込みたい日射熱を変換することなく効率よく取り込み、夏期においては、遮りたい日射熱を遮りつつ太陽光発電を行うことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。
【0021】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池窓ガラス30を説明するための概略断面図である。
【0022】
図3に示すように、太陽電池窓ガラス30は、透光性を有する二枚の室内側ガラスパネル31および室外側ガラスパネル32と、複数の太陽電池モジュール34と、スペーサ35とを備える。太陽電池窓ガラス30は、室内側ガラスパネル31および室外側ガラスパネル32の間にスペーサ35によって空間36を設け、該空間36に乾燥空気を封入した複層ガラスとして構成されている。
【0023】
太陽電池窓ガラス30においては、室内側ガラスパネル31の室外側面31bと室外側ガラスパネル32の室内側面32aとが対向している。また、室内側ガラスパネル31の室内側面31aが建物の室内空間に面しており、室外側ガラスパネル32の室外側面32bが建物の外部空間に面している。
【0024】
室内側ガラスパネル31の室内側面31aには、複数の太陽電池モジュール34が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室外側ガラスパネル32の室外側面32bにも、複数の太陽電池モジュール34が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。各太陽電池モジュール34は、水平方向に延在するように配置されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように配置されてもよい。
【0025】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス30においては、図3に示すように、太陽電池モジュール34は、室内側ガラスパネル31の室内側面31aと室外側ガラスパネル32の室外側面32bに、高さ方向において交互に配置されている。
【0026】
室内側ガラスパネル31の室内側面31aおよび室外側ガラスパネル32の室外側面32bにおける太陽電池モジュール34の配置位置は、太陽電池窓ガラス30が設置される各地域の太陽高度、方位、太陽電池窓ガラス30の総厚さ、ガラスパネルの屈折率などから最適な位置を算出することができる。
【0027】
太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール34によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール34によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス30によれば、夏期においては、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0028】
一方、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール34によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように冬期においては、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0029】
このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス30においても、従来の太陽電池ブラインドで必要であったような機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる。また、冬期においては、室内に取り込みたい日射熱を変換することなく効率よく取り込み、夏期においては、遮りたい日射熱を遮りつつ太陽光発電を行うことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス30によれば、複層ガラスとしたことにより、断熱性能を向上できる。
【0031】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る太陽電池窓ガラス40を説明するための概略断面図である。
【0032】
図4に示すように、太陽電池窓ガラス40は、透光性を有する二枚の室内側ガラスパネル41および室外側ガラスパネル42と、複数の太陽電池モジュール44と、スペーサ45とを備える。太陽電池窓ガラス40は、室内側ガラスパネル41および室外側ガラスパネル42の間にスペーサ45によって空間46を設け、該空間46に乾燥空気を封入した複層ガラスとして構成されている。
【0033】
太陽電池窓ガラス40においては、室内側ガラスパネル41の室外側面41bと室外側ガラスパネル42の室内側面42aとが対向している。また、室内側ガラスパネル41の室内側面41aが建物の室内空間に面しており、室外側ガラスパネル42の室外側面42bが建物の外部空間に面している。
【0034】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス40では、複数の太陽電池モジュール44が空間46内に設けられている。すなわち、室内側ガラスパネル41の室外側面41bには、複数の太陽電池モジュール44が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室外側ガラスパネル42の室内側面42aにも、複数の太陽電池モジュール44が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。
【0035】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス40においては、図4に示すように、太陽電池モジュール44は、室内側ガラスパネル41の室外側面41bと室外側ガラスパネル42の室内側面42aに、高さ方向において交互に配置されている。各太陽電池モジュール44は、水平方向に延在するように配置されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように配置されてもよい。
【0036】
室内側ガラスパネル41の室外側面41bおよび室外側ガラスパネル42の室内側面42aにおける太陽電池モジュール44の配置位置は、太陽電池窓ガラス40が設置される各地域の太陽高度、方位、太陽電池窓ガラス40の総厚さ、ガラスパネルの屈折率などから最適な位置を算出することができる。
【0037】
太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール44によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール44によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス40によれば、夏期においては、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0038】
一方、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール44によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように冬期においては、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0039】
このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス40においても、従来の太陽電池ブラインドで必要であったような機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる。また、冬期においては、室内に取り込みたい日射熱を変換することなく効率よく取り込み、夏期においては、遮りたい日射熱を遮りつつ太陽光発電を行うことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス40においても、複層ガラスとしたことにより、断熱性能を向上できる。
【0041】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る太陽電池窓ガラス50を説明するための概略断面図である。
【0042】
図5に示すように、太陽電池窓ガラス50は、透光性を有する二枚の室内側ガラスパネル51および室外側ガラスパネル52と、複数の太陽電池モジュール54と、スペーサ55とを備える。太陽電池窓ガラス50は、室内側ガラスパネル51および室外側ガラスパネル52の間にスペーサ55によって空間56を設け、該空間56に乾燥空気を封入した複層ガラスとして構成されている。
【0043】
太陽電池窓ガラス50においては、室内側ガラスパネル51の室外側面51bと室外側ガラスパネル52の室内側面52aとが対向している。また、室内側ガラスパネル51の室内側面51aが建物の室内空間に面しており、室外側ガラスパネル52の室外側面52bが建物の外部空間に面している。
【0044】
室内側ガラスパネル51の室内側面51aには、複数の太陽電池モジュール54が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室内側ガラスパネル51の室外側面51bにも、複数の太陽電池モジュール54が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室外側ガラスパネル52の室内側面52aにも、複数の太陽電池モジュール54が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室外側ガラスパネル52の室外側面52bにも、複数の太陽電池モジュール54が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。各太陽電池モジュール54は、水平方向に延在するように配置されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように配置されてもよい。
【0045】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス50においては、図5に示すように、太陽電池モジュール54は、室内側ガラスパネル51の室内側面51a、室内側ガラスパネル51の室外側面51b、室外側ガラスパネル52の室内側面52a、および室外側ガラスパネル52の室外側面52bに、高さ方向において交互に配置されている。
【0046】
室内側ガラスパネル51の室内側面51aおよび室外側面51b並びに室外側ガラスパネル52の室内側面52aおよび室外側面52bにおける太陽電池モジュール54の配置位置は、太陽電池窓ガラス50が設置される各地域の太陽高度、方位、太陽電池窓ガラス50の総厚さ、ガラスパネルの屈折率などから最適な位置を算出することができる。
【0047】
太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール54によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール54によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス50によれば、夏期においては、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0048】
一方、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール54によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように冬期においては、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0049】
このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス50においても、従来の太陽電池ブラインドで必要であったような機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる。また、冬期においては、室内に取り込みたい日射熱を変換することなく効率よく取り込み、夏期においては、遮りたい日射熱を遮りつつ太陽光発電を行うことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス50においても、複層ガラスとしたことにより、断熱性能を向上できる。
【0051】
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態に係る太陽電池窓ガラス60を説明するための概略断面図である。
【0052】
図6に示すように、太陽電池窓ガラス60は、透光性を有する二枚の室内側ガラスパネル61および室外側ガラスパネル62と、複数の太陽電池モジュール64と、スペーサ65とを備える。太陽電池窓ガラス60は、室内側ガラスパネル61および室外側ガラスパネル62の間にスペーサ65によって空間66を設け、該空間66に乾燥空気を封入した複層ガラスとして構成されている。
【0053】
太陽電池窓ガラス60においては、室内側ガラスパネル61の室外側面61bと室外側ガラスパネル62の室内側面62aとが対向している。また、室内側ガラスパネル61の室内側面61aが建物の室内空間に面しており、室外側ガラスパネル62の室外側面62bが建物の外部空間に面している。
【0054】
室内側ガラスパネル61の室外側面61bには、複数の太陽電池モジュール64が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。また、室外側ガラスパネル62の室内側面62aにも、複数の太陽電池モジュール64が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。本実施形態に係る太陽電池窓ガラス60においても、図4に示す第3実施形態に係る太陽電池窓ガラス40と同様に、太陽電池モジュール64は、室内側ガラスパネル61の室外側面61bと室外側ガラスパネル62の室内側面62aに、高さ方向において交互に配置されている。
【0055】
さらに、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス60においては、図6に示すように、室外側ガラスパネル62の室外側面62bにも複数の太陽電池モジュール64が高さ方向に所定の間隔を置いて配置されている。室外側ガラスパネル62の室外側面62bに配置される太陽電池モジュール64は、室外側ガラスパネル62の室内側面62aに配置される太陽電池モジュール64と高さ方向において交互に配置されている。
【0056】
室内側ガラスパネル61の室外側面61b、室外側ガラスパネル62の室内側面62aおよび室外側面62bにおける太陽電池モジュール64の配置位置は、太陽電池窓ガラス60が設置される各地域の太陽高度、方位、太陽電池窓ガラス60の総厚さ、ガラスパネルの屈折率などから最適な位置を算出することができる。
【0057】
太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール64によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール64によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス60によれば、夏期においては、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0058】
一方、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール64によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように冬期においては、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0059】
このように、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス60においても、従来の太陽電池ブラインドで必要であったような機械的操作を行うことなく、夏期と冬期の季節による太陽高度の変化等に応じて、太陽光エネルギーを有効に活用できる。また、冬期においては、室内に取り込みたい日射熱を変換することなく効率よく取り込み、夏期においては、遮りたい日射熱を遮りつつ太陽光発電を行うことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る太陽電池窓ガラス60においても、複層ガラスとしたことにより、断熱性能を向上できる。
【0061】
図7(a)~(d)は、第1実施形態に係る太陽電池窓ガラス10の実施例を説明するための図である。図7(a)は、太陽電池窓ガラス10の概略図を示す。図7(b)は、太陽電池窓ガラス10を正面から見た概略図である。図7(c)は、太陽電池窓ガラス10をA-A方向から見た概略図である。図7(d)は、太陽電池窓ガラス10をB-B方向から見た概略図である。A-A方向は、夏至の南中高度(78.4度)の方向である。B-B方向は、冬至の南中高度(31.6度)の方向である。
【0062】
本実施例では、ガラスパネル12の厚さを6mmとし、太陽電池モジュール14の高さを5.1mmとした。
【0063】
ここで、太陽電池窓ガラスを特定の方向から見たときの、太陽電池窓ガラスの全面積に対する開口部の面積の割合を「開口度」と呼ぶ。
【0064】
図7(c)に示すように、夏至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス10を見たとき、太陽電池窓ガラス10の開口度は、ゼロ%となっている。したがって、夏期においては、殆どの太陽光が太陽電池モジュール14によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。
【0065】
一方、図7(d)に示すように、冬至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス10を見たとき、太陽電池窓ガラス10の開口度は、44%となっている。したがって、冬期においては、一部の太陽光は太陽電池モジュール14によって遮られるが、残りの太陽光は建物の室内側へ直接取り込むことができる。
【0066】
図8(a)~(d)は、第2実施形態に係る太陽電池窓ガラス30の実施例を説明するための図である。図8(a)は、太陽電池窓ガラス30の概略図を示す。図8(b)は、太陽電池窓ガラス30を正面から見た概略図である。図8(c)は、太陽電池窓ガラス30をA-A方向から見た概略図である。図8(d)は、太陽電池窓ガラス30をB-B方向から見た概略図である。A-A方向は、夏至の南中高度(78.4度)の方向である。B-B方向は、冬至の南中高度(31.6度)の方向である。
【0067】
本実施例では、室内側ガラスパネル31および室外側ガラスパネル32の厚さを6mm、室内側ガラスパネル31と室外側ガラスパネル32の間隔を12mm、太陽電池モジュール14の高さを5.4mmとした。
【0068】
図8(c)に示すように、夏至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス30を見たとき、太陽電池窓ガラス30の開口度は、ゼロ%となっている。したがって、夏期においては、殆どの太陽光が太陽電池モジュール34によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。
【0069】
一方、図8(d)に示すように、冬至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス30を見たとき、太陽電池窓ガラス30の開口度は、40%となっている。したがって、冬期においては、一部の太陽光は太陽電池モジュール34によって遮られるが、残りの太陽光は建物の室内側へ直接取り込むことができる。
【0070】
図9(a)~(d)は、第3実施形態に係る太陽電池窓ガラス40の実施例を説明するための図である。図9(a)は、太陽電池窓ガラス40の概略図を示す。図9(b)は、太陽電池窓ガラス40を正面から見た概略図である。図9(c)は、太陽電池窓ガラス40をA-A方向から見た概略図である。図9(d)は、太陽電池窓ガラス40をB-B方向から見た概略図である。A-A方向は、夏至の南中高度(78.4度)の方向である。B-B方向は、冬至の南中高度(31.6度)の方向である。
【0071】
本実施例では、室内側ガラスパネル41および室外側ガラスパネル42の厚さを3mm、室内側ガラスパネル41と室外側ガラスパネル42の間隔を16mm、太陽電池モジュール14の高さを7.5mmとした。
【0072】
図9(c)に示すように、夏至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス40を見たとき、太陽電池窓ガラス40の開口度は、ゼロ%となっている。したがって、夏期においては、殆どの太陽光が太陽電池モジュール44によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。
【0073】
一方、図9(d)に示すように、冬至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス40を見たとき、太陽電池窓ガラス40の開口度は、42%となっている。したがって、冬期においては、一部の太陽光は太陽電池モジュール44によって遮られるが、残りの太陽光は建物の室内側へ直接取り込むことができる。
【0074】
図10(a)~(d)は、第4実施形態に係る太陽電池窓ガラス50の実施例を説明するための図である。図10(a)は、太陽電池窓ガラス50の概略図を示す。図10(b)は、太陽電池窓ガラス50を正面から見た概略図である。図10(c)は、太陽電池窓ガラス50をA-A方向から見た概略図である。図10(d)は、太陽電池窓ガラス50をB-B方向から見た概略図である。A-A方向は、夏至の南中高度(78.4度)の方向である。B-B方向は、冬至の南中高度(31.6度)の方向である。
【0075】
本実施例では、室内側ガラスパネル51および室外側ガラスパネル52の厚さを6mm、室内側ガラスパネル51と室外側ガラスパネル52の間隔を12mm、太陽電池モジュール14の高さを7.6mmとした。
【0076】
図10(c)に示すように、夏至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス50を見たとき、太陽電池窓ガラス50の開口度は、ゼロ%となっている。したがって、夏期においては、殆どの太陽光が太陽電池モジュール54によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。
【0077】
一方、図10(d)に示すように、冬至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス50を見たとき、太陽電池窓ガラス50の開口度は、62%となっている。したがって、冬期においては、一部の太陽光は太陽電池モジュール54によって遮られるが、残りの太陽光は建物の室内側へ直接取り込むことができる。
【0078】
図11(a)~(d)は、第5実施形態に係る太陽電池窓ガラス60実施例を説明するための図である。図11(a)は、太陽電池窓ガラス60の概略図を示す。図11(b)は、太陽電池窓ガラス60を正面から見た概略図である。図11(c)は、太陽電池窓ガラス60をA-A方向から見た概略図である。図11(d)は、太陽電池窓ガラス60をB-B方向から見た概略図である。A-A方向は、夏至の南中高度(78.4度)の方向である。B-B方向は、冬至の南中高度(31.6度)の方向である。
【0079】
本実施例では、室内側ガラスパネル61および室外側ガラスパネル62の厚さを3mm、室内側ガラスパネル61と室外側ガラスパネル62の間隔を16mm、太陽電池モジュール14の高さを6.2mmとした。
【0080】
図11(c)に示すように、夏至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス60を見たとき、太陽電池窓ガラス60の開口度は、ゼロ%となっている。したがって、夏期においては、殆どの太陽光が太陽電池モジュール54によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。
【0081】
一方、図11(d)に示すように、冬至の南中高度方向から太陽電池窓ガラス60を見たとき、太陽電池窓ガラス60の開口度は、61%となっている。したがって、冬期においては、一部の太陽光は太陽電池モジュール54によって遮られるが、残りの太陽光は建物の室内側へ直接取り込むことができる。
【0082】
図12(a)および(b)は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池窓ガラス10を鉛直方向に対して傾斜して配置した状態を示す図である。図12(a)は夏期の使用状態を示し、図12(b)は冬期の使用状態を示す。図12(a)および(b)には、太陽からの日射熱が図示されている。
【0083】
太陽電池窓ガラス10は、図2(a)および(b)に示すようにガラスパネルの主面が鉛直方向と平行になるように配置される場合が多いが、図12(a)および(b)に示すように鉛直方向に対して傾斜して配置することも可能である。傾斜配置の例としては、建物のトップライトやサンルームの屋根を挙げることができる。図12(a)および(b)では、ガラスパネルの主面を鉛直方向に対して45°傾斜した場合を示すが、傾斜角度は任意である。図12(a)および(b)に示すように、ガラスパネル12の室内側面12aと室外側面12bのそれぞれに、所定の方向(45°方向)に所定の間隔をおいて複数の太陽電池モジュール14が形成されている。
【0084】
図12(a)に示すように、太陽高度が比較的高い夏期においては、殆どの太陽光SLが太陽電池モジュール14によって遮られ、建物の室内側へは太陽光は直接入らない。また、遮られた太陽光SLのエネルギーは、太陽電池モジュール14によって電力に変換されるので、太陽光SLに起因する熱は殆ど室内側に伝わらない。このように、太陽電池窓ガラス10を傾斜配置した場合も、夏期において日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0085】
一方、図12(b)に示すように、太陽高度が比較的低い冬期においては、一部の太陽光SLは太陽電池モジュール14によって遮られるが、残りの太陽光SLは建物の室内側へ直接取り込むことができる。このように、太陽電池窓ガラス10を傾斜配置した場合も、冬期において日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0086】
第2実施形態に係る太陽電池窓ガラス30、第3実施形態に係る太陽電池窓ガラス40、第4実施形態に係る太陽電池窓ガラス50、第5実施形態に係る太陽電池窓ガラス60を鉛直方向に対して傾斜して配置することも可能である。
【0087】
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150を説明するための概略断面図である。この太陽電池窓ガラス150も、一対の室内側ガラスパネル111および室外側ガラスパネル112を備える複層ガラスである。
【0088】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス150は、4層の太陽電池モジュールを備える。室外側ガラスパネル112の室外側面112bに、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第1層151)。また、室外側ガラスパネル112の室内側面112aにも、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第2層152)。また、室内側ガラスパネル111の室外側面111bにも、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第3層153)。また、室内側ガラスパネル111の室内側面111aにも、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第4層154)。各太陽電池モジュール117は、水平方向に延在するように形成されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように形成されてもよい。
【0089】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス150においては、図13に示すように、太陽電池モジュール117は、室外側ガラスパネル112の室外側面112bおよび室内側面112aと室内側ガラスパネル111の室外側面111bおよび室内側面111aに、高さ方向において交互に配置されている。すなわち、第1層151における1つの太陽電池モジュール117aに着目すると、該太陽電池モジュール117aよりも下方にずれた高さに第2層152の太陽電池モジュール117bが形成され、該太陽電池モジュール117bよりも下方にずれた高さに第3層153の太陽電池モジュール117cが形成され、該太陽電池モジュール117cよりも下方にずれた高さに第4層154の太陽電池モジュール117dが形成され、該太陽電池モジュール117dよりも下方にずれた高さに第1層151の太陽電池モジュール117eが形成される(以下繰り返し)、といった具合に複数の太陽電池モジュール117が形成されている。
【0090】
図13には、夏期におよび冬期の太陽光が図示されている。夏期における太陽高度がθsで表され、冬期における太陽高度がθwで表されている。図13に示すように、太陽高度が比較的高い夏期においては、太陽光の一部は太陽電池モジュール117によって遮られる。一方、太陽高度が比較的低い冬期においては、太陽光の一部を太陽電池モジュール117の間を介して建物の室内側に取り込むことができる。
【0091】
図14は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150における太陽電池モジュール117の配置を説明するための図である。ここでは、太陽電池モジュール117の幅(高さ方向の幅)が全て同じとする。第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150においては、太陽電池モジュール117の幅(高さ方向の幅)をAとし、隣り合う太陽電池モジュール117の間隔をBとしたとき、太陽電池モジュール117は、B=3×Aを満たすように配置される。
【0092】
ここでは太陽電池モジュール117が4層の場合を説明したが、一般化すると、太陽電池モジュール117がN層(Nは2以上の整数)の場合、太陽電池モジュール117は、B=(N-1)×Aを満たすように配置される。例えば太陽電池モジュール117が3層の場合、太陽電池モジュール117は、B=2×Aを満たすように配置される。
【0093】
図14に示すように、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150において、第1層151の太陽電池モジュール117の下端と第2層152の太陽電池モジュール117の上端は、端部間距離αだけ離れている。同様に、第3層153の太陽電池モジュール117の下端と第4層154の太陽電池モジュール117の上端は、端部間距離αだけ離れている。これは、ガラスパネルでの光の屈折を考慮したものである。
【0094】
図15は、端部間距離αを説明するための図である。各層の端部間距離αは、ガラスパネルの厚さtと、ガラスパネルの屈折率η(=sin(i)/sin(r))を用いて定めることができる。
【0095】
図16は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150における太陽高度と開口度との関係を示す。図16において、縦軸は太陽電池窓ガラス150の開口度(%)を表し、横軸は太陽高度(度)を表す。ここでは、室外側ガラスパネル112の厚さ=5mm、空間116の厚さ=5mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=5mm、太陽電池モジュール117の幅=7mmとした。このような条件の下、太陽電池窓ガラス150の開口度と太陽高度の関係を求めた。
【0096】
図16から分かるように、太陽電池窓ガラス150の開口度は、太陽高度によって大きく変化する。夏期(5月中旬~9月の10時~14時)には太陽高度θsが約65度よりも大きくなる。したがって図16から、夏期において太陽電池窓ガラス150の開口度を約31%以下とすることができ、太陽光が建物の室内に入り難くすることができることが分かる。また、日中の太陽の角度は常に変化するため、実質的には積算値として考える必要があり、日射熱取得量は相対的に少なくして発電量を多くすることができるといえる。
【0097】
一方、冬期(10月中旬~3月の10時~14時)には太陽高度θwが約40度よりも小さくなる。したがって図16から、冬期において太陽電池窓ガラス150の開口度を約66%以上に維持することができ、太陽光を効果的に建物の室内側に取り込むことができることが分かる。
【0098】
図17は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150における太陽電池モジュール117の幅と開口度との関係を示す。図17において、縦軸は太陽電池窓ガラス150の開口度(%)を表し、横軸は太陽電池モジュール117の幅(mm)を表す。
【0099】
図17において、実線は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第1実施例(室外側ガラスパネル112の厚さ=5mm、空間116の厚さ=5mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=5mm)における太陽電池モジュール117の幅と開口度の関係を示す。また、破線は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第2実施例(室外側ガラスパネル112の厚さ=5mm、空間116の厚さ=10mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=5mm)における太陽電池モジュール117の幅と開口度の関係を示す。また、一点鎖線は、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第3実施例(室外側ガラスパネル112の厚さ=3mm、空間116の厚さ=12mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=3mm)における太陽電池モジュール117の幅と開口度の関係を示す。
【0100】
図17から、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第1実施例においては、太陽電池モジュール117の幅を7mmとしたときに最も開口度を高くできることが分かる。また、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第2実施例においては、太陽電池モジュール117の幅を6.5mmとしたときに最も開口度を高くできることが分かる。また、第6実施形態に係る太陽電池窓ガラス150の第3実施例においては、太陽電池モジュール117の幅を4.5mmとしたときに最も開口度を高くできることが分かる。
【0101】
(第7実施形態)
図18は、本発明の第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160を説明するための概略断面図である。この太陽電池窓ガラス160も、一対の室内側ガラスパネル111および室外側ガラスパネル112を備える複層ガラスである。
【0102】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス160は、3層の太陽電池モジュールを備える。室外側ガラスパネル112の室外側面112bに、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第1層151)。また、室外側ガラスパネル112の室内側面112aにも、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第2層152)。また、室内側ガラスパネル111の室外側面111bにも、高さ方向に所定の間隔をおいて複数の帯状の太陽電池モジュール117が形成されている(第3層153)。各太陽電池モジュール117は、水平方向に延在するように形成されてもよいし、水平方向に対して傾斜した方向に延在するように形成されてもよい。
【0103】
本実施形態に係る太陽電池窓ガラス160において、太陽電池モジュール117は、室外側ガラスパネル112の室外側面112bおよび室内側面112aと室内側ガラスパネル111の室外側面111bに、高さ方向において交互に配置されている。ここでは、太陽電池モジュール117の幅(高さ方向の幅)が全て同じとする。第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160においては、太陽電池モジュール117の幅(高さ方向の幅)をAとし、隣り合う太陽電池モジュール117の間隔をBとしたとき、太陽電池モジュール117は、B=2×Aを満たすように配置される。
【0104】
第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160において、第1層151の太陽電池モジュール117の下端と第2層152の太陽電池モジュール117の上端は、端部間距離αだけ離れている。端部間距離αは、ガラスパネルの厚さtと、ガラスパネルの屈折率ηを用いて定めることができる。
【0105】
図19は、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160における太陽高度と開口度との関係を示す。図19において、縦軸は太陽電池窓ガラス160の開口度(%)を表し、横軸は太陽高度(度)を表す。ここでは、室外側ガラスパネル112の厚さ=3mm、空間116の厚さ=3mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=3mm、太陽電池モジュール117の幅=6.5mmとした。このような条件の下、太陽電池窓ガラス160の開口度と太陽高度の関係を求めた。
【0106】
図19から分かるように、太陽電池窓ガラス160の開口度は、太陽高度によって大きく変化する。夏期(5月中旬~9月の10時~14時)には太陽高度θsが約65度よりも大きくなる。したがって図19から、夏期において太陽電池窓ガラス160の開口度を約32%以下とすることができ、太陽光が建物の室内に入り難くできることが分かる。また、日中の太陽の角度は常に変化するため、実質的には積算値として考える必要があり、日射熱取得量は相対的に少なくして発電量を多くすることができるといえる。
【0107】
一方、冬期(10月中旬~3月の10時~14時)には太陽高度θwが約40度よりも小さくなる。したがって図19から、冬期において太陽電池窓ガラス160の開口度を約58%以上に維持することができ、太陽光を効果的に建物の室内側に取り込むことができることが分かる。
【0108】
図20は、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160における太陽電池モジュール117の幅と開口度との関係を示す。図20において、縦軸は太陽電池窓ガラス160の開口度(%)を表し、横軸は太陽電池モジュール117の幅(mm)を表す。
【0109】
図20において、実線は、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160の第1実施例(室外側ガラスパネル112の厚さ=3mm、空間116の厚さ=3mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=3mm)における太陽電池モジュール117の幅と開口度の関係を示す。また、破線は、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160の第2実施例(室外側ガラスパネル112の厚さ=3mm、空間116の厚さ=5mm、室内側ガラスパネル111の厚さ=3mm)における太陽電池モジュール117の幅と開口度の関係を示す。
【0110】
図20から、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160の第1実施例においては、太陽電池モジュール117の幅を6.5mmとしたときに最も開口度を高くできることが分かる。また、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160の第2実施例においては、太陽電池モジュール117の幅を8.5mmとしたときに最も開口度を高くできることが分かる。
【0111】
(第8実施形態)
図21は、本発明の第8実施形態に係る太陽電池窓ガラス170を説明するための概略断面図である。この太陽電池窓ガラス170も、一対の室内側ガラスパネル111および室外側ガラスパネル112を備える複層ガラスである。本実施形態に係る太陽電池窓ガラス160は、3層の太陽電池モジュールを備える。第8実施形態に係る太陽電池窓ガラス170は、太陽電池モジュール117の幅(高さ方向の幅)が異なる点が、第7実施形態に係る太陽電池窓ガラス160(図18参照)と異なる。
【0112】
図21に示すように、第1層151における1つの太陽電池モジュール117の幅をA1、それに隣接する太陽電池モジュール117の幅をA1’、それら2つの太陽電池モジュール117の間隔をB1とする。また、第2層152における1つの太陽電池モジュール117の幅をA2、それに隣接する太陽電池モジュール117の幅をA2’、それら2つの太陽電池モジュール117の間隔をB2とする。また、第3層153における1つの太陽電池モジュール117の幅をA3、それに隣接する太陽電池モジュール117の幅をA3’、それら2つの太陽電池モジュール117の間隔をB3とする。このとき、太陽電池モジュール117は、B1=A2+A3、B2=A3+A1’、B3=A1’+A2’を満たすように配置される。
【0113】
ここでは太陽電池モジュール117が3層の場合を説明したが、一般化すると、太陽電池モジュール117がN層(Nは2以上の整数)の場合、太陽電池モジュール117は、以下の式:
【数1】
を満たすように配置される。ここで、Bxは、第x層(xは2以上の整数)における太陽電池モジュール117の間隔を表す。BNは、第N層における太陽電池モジュール117の間隔である。
【0114】
例えば太陽電池モジュール117が4層の場合、B1=A2+A3+A4、B2=A3+A4+A1’、B3=A4+A1’+A2’、B4=A1’+A2’+A3’を満たすように配置される。例えば太陽電池モジュール117が5層の場合、太陽電池モジュール117は、B1=A2+A3+A4+A5、B2=A3+A4+A5+A1’、B3=A4+A5+A1’+A2’、B4=A5+A1’+A2’+A3’、B5=A1’+A2’+A3’+A4’を満たすように配置される。
【0115】
本実施形態においても、第1層151の太陽電池モジュール117の下端と第2層152の太陽電池モジュール117の上端は、端部間距離αだけ離れている。端部間距離αは、ガラスパネルの厚さtと、ガラスパネルの屈折率ηを用いて定めることができる。
【0116】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0117】
例えば、上述の実施形態では、太陽電池モジュールをパネルの主面に高さ方向あるいは45°方向に形成することを説明したが、太陽電池モジュールは、パネルの主面に所定方向に交互に形成されていればよい。
【0118】
上述の実施形態では、一枚のガラスパネルを備える太陽電池窓ガラスと二枚のガラスパネルを備える太陽電池窓ガラスについて説明したが、ガラスパネルの枚数は特に限定されず、太陽電池窓ガラスは、一枚または複数枚のガラスパネルを備えていればよい。そして、該一枚または複数枚のガラスパネルの有する複数の主面のうち少なくとも2つの主面に、所定の方向(例えば高さ方向)において交互に複数の太陽電池モジュールが配置される。
【0119】
上述の実施形態では、太陽電池窓パネルとして、ガラスパネルを用いた太陽電池窓ガラスを例示したが、太陽電池窓パネルは太陽電池窓ガラスに限定されず、例えば樹脂製の透明パネルを用いたものであってもよい。樹脂製の透明パネルは、例えばポリカーボネート製やアクリル製であってよい。
【0120】
上述の実施形態では、太陽電池モジュールを帯状としたが、太陽電池モジュールはブロック状であってもよい。
【0121】
以上の実施形態により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0122】
本発明のある態様は、建物の開口部に配置される太陽電池窓パネルである。この太陽電池窓パネルは、透光性を有する一枚または複数枚のパネルと、一枚または複数枚のパネルの少なくとも2つの主面に、所定の方向において交互に配置された複数の太陽電池モジュールと、を備える。
【0123】
太陽電池窓パネルは、一枚のパネルを備えてもよい。複数の太陽電池モジュールは、一枚のパネルの室内側面と室外側面に所定の方向において交互に配置されてもよい。
【0124】
複数枚のパネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含んでもよい。複数の太陽電池モジュールは、室内側パネルの室内側面と室外側パネルの室外側面に所定の方向において交互に配置されてもよい。
【0125】
複数枚のパネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含んでもよい。複数の太陽電池モジュールは、室内側パネルの室外側面と室外側パネルの室内側面に所定の方向において交互に配置されてもよい。
【0126】
複数枚のパネルは、所定の間隔で配置された室内側パネルおよび室外側パネルを含んでもよい。複数の太陽電池モジュールは、室内側パネルの室外側面、室内側パネルの室内側面、室外側パネルの室内側面、および室外側パネルの室外側面に、所定の方向において交互に配置されてもよい。
【0127】
複数の太陽電池モジュールは、夏至の南中高度方向から見たときに当該太陽電池窓パネルの開口率がゼロ%となり、冬至の南中高度方向から見たときに当該太陽電池窓パネルの開口率が40%以上となるように配置されてもよい。
【0128】
複数の太陽電池モジュールは、所定の方向において同じ幅Aを有してもよい。複数枚のパネルにN層(Nは2以上の整数)の太陽電池モジュールが形成され、太陽電池モジュールの間隔をBとしたとき、太陽電池モジュールは、B=(N-1)×Aを満たすように配置されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10,30,40,50,60,150,160,170 太陽電池窓ガラス、 12 ガラスパネル、14,43,44,54,64,117 太陽電池モジュール、 31,41,51,61,111 室内側ガラスパネル、 32,42,52,62,112 室外側ガラスパネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21