(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】タップ付変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/02 20060101AFI20230713BHJP
H02M 5/12 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H01F29/02 B
H02M5/12 A
(21)【出願番号】P 2019211753
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴志
(72)【発明者】
【氏名】篠永 雄治
(72)【発明者】
【氏名】石井 祐輝
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-136520(JP,U)
【文献】特開昭60-37706(JP,A)
【文献】特開平1-125811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/88410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/00-38/12
H01F 38/16
H02M 5/00- 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線の途中に複数のタップを備え、一次側のタップ電圧が切り換え可能なタップ付変圧器であって、
前記複数のタップは、J個(Jは5以上の整数)のタップ位置を内包し、
該J個のタップ位置のうち、特定の連続するP個(Pは3以上、J-2以下の整数)のタップ位置を、一次側のP通りのタップ電圧の切り換え用に対応付けてあり、
該タップ電圧の切り換え用に対応付ける連続するP個のタップ位置を変更することにより、二次側のタップ電圧が等価的に切り換え可能であるタップ付変圧器。
【請求項2】
前記P個のタップ位置のうち、隣り合うタップ位置に係る一次側のタップ間電圧が実質的に一定であり、
前記P個のタップ位置のうち、一のタップ位置における一次側のタップ電圧に対する、前記P個のタップ位置を変更する方向にK段(Kは自然数)だけ離隔するタップ位置における一次側のタップ電圧の比をRとした場合、前記P個のタップ位置を前記方向にK段だけ変更することにより、二次側のタップ電圧が実質的に1/R倍の大きさに切り換わる
請求項1に記載のタップ付変圧器。
【請求項3】
前記Jは9であり、
前記Pは5であり、
前記Kは2である
請求項2に記載のタップ付変圧器。
【請求項4】
前記複数のタップは、1又は複数のタップ巻線に設けてある請求項1から請求項3の何れか1項に記載のタップ付変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次側のタップを切り換えることによって一次側及び二次側の電圧を切り換えるタップ付変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変圧器の一次側又は二次側で複数の電圧に対応する必要がある場合、高圧の一次側又は低圧の一次側にタップが設けられる。例えば、特許文献1には、低圧巻線に定格タップ以外のタップを設けることが記載されている。但し、低圧の二次側にタップを設ける場合は、高圧の一次側よりも太い巻線からタップを引き出す必要があり、構造的に規模が大きくなるため、一般的には一次側にタップが設けられることが多い。通常、一次側のタップは、特許文献2に記載されているように、主巻線の途中に介装されたタップ巻線に設けられる。
【0003】
例えば、高圧の一次側で定格電圧に対応する仕様の変圧器にて、低圧の二次側で定格電圧を含む複数の電圧に対応する必要がある場合、二次側にタップを設けずに一次側にタップを設けておく。この構成にて一次側に定格電圧を印加した状態で一次側のタップ位置を切り換えることにより、二次側の電圧を等価的に切り換えることができる。
【0004】
一方、高圧の一次側で複数の電圧に対応する仕様の変圧器にて、定圧の二次側でも定格電圧を含む複数の電圧に対応する必要がある場合、一次側に複数の電圧に対応するためのタップを設け、二次側にはタップを設けないでおく。見かけ上この構成は上述の場合と同様であり、一次側に例えば定格電圧を印加した状態で一次側のタップを定格電圧用以外のタップに切り換えることにより、切り換えたタップの設計上の電圧と定格電圧との比に応じて、二次側の電圧を変化させることができる。
【0005】
ここで、高圧の一次側及び低圧の二次側それぞれにて複数の電圧に対応する仕様の変圧器を考案する場合、一次側に複数の電圧に対応するためのタップを設け、二次側にも複数の電圧に対応するためのタップを設けることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平3-6805号公報
【文献】特開昭54-18026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一次側にM個(Mは通常3以上の整数)のタップを設け,二次側にN個(Nは通常2以上の整数)のタップを設ける場合、一次側の複数の電圧及び二次側の複数の電圧に対応するためのタップ位置の組合せ数がM×Nになって煩雑である。また、一次側よりも電流が大きい二次側でのタップの切り換えを無くすことができない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一次側のP通り(Pは3以上の整数)の電圧及び二次側のS通り(Sは2以上の整数)の電圧に対し、一次側に設けたタップが内包するP×Sより少ない数のタップ位置によって対応することが可能なタップ付変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るタップ付変圧器は、一次巻線の途中に複数のタップを備え、一次側のタップ電圧が切り換え可能なタップ付変圧器であって、前記複数のタップは、J個(Jは5以上の整数)のタップ位置を内包し、該J個のタップ位置のうち、特定の連続するP個(Pは3以上、J-2以下の整数)のタップ位置を、一次側のP通りのタップ電圧の切り換え用に対応付けてあり、該タップ電圧の切り換え用に対応付ける連続するP個のタップ位置を変更することにより、二次側のタップ電圧が等価的に切り換え可能である。
【0010】
本態様にあっては、一次巻線の途中に複数のタップが設けられており、タップ位置を切り換えることによって、少なくとも一次側のタップ電圧を切り換えることが可能である。タップ位置は全部でJ個あり、このうちの特定の連続するP個のタップ位置におけるタップ電圧が、一次側で切り換え可能なP通りのタップ電圧であるように標準的に対応付けてある。このような標準的な対応付けがなされている場合、二次側のタップ電圧が標準的な電圧となるように設計されている。この状態で、一次側のP通りのタップ電圧用に対応付けるべきP個のタップ位置の全体を、他の連続するP個のタップ位置に変更することにより、二次側のタップ電圧を等価的に切り換えることができる。即ち、上記の対応付けの変更前と変更後とでは、一次側の同じタップ電圧に対するタップ位置が異なって巻数比が変わるため、二次側の電圧がタップ電圧として切り換わる。
【0011】
本発明の一態様に係るタップ付変圧器は、前記P個のタップ位置のうち、隣り合うタップ位置に係る一次側のタップ間電圧が実質的に一定であり、前記P個のタップ位置のうち、一のタップ位置における一次側のタップ電圧に対する、前記P個のタップ位置を変更する方向にK段(Kは自然数)だけ離隔するタップ位置における一次側のタップ電圧の比をRとした場合、前記P個のタップ位置を前記方向にK段だけ変更することにより、二次側のタップ電圧が実質的に1/R倍の大きさに切り換わる。
【0012】
本態様にあっては、連続するP個のタップ位置について、タップ位置が1段異なる毎に変化する一次側のタップ電圧の差分、即ちタップ間電圧が実質的に一定となるように、タップ位置毎の巻数が設計されている。一次側のP通りのタップ電圧に対応付けられているタップ位置のうち、着目する一のタップ位置におけるタップ電圧に対する、P個のタップ位置の変更方向にK段だけ離隔するタップ位置におけるタップ電圧の比をRとする。連続するP個のタップ位置をK段分だけ変更する前と後では、一次側のタップ電圧が同じであっても巻数比が実質的にR倍になるようにして、二次側のタップ電圧が実質的に1/R倍の大きさに切り換わるようにしてある。即ち、Kの値を一定にして連続するP個のタップ位置を複数通りに変更することにより、二次側のタップ間電圧を実質的に一定にすることができる。
【0013】
本発明の一態様に係るタップ付変圧器は、前記Jは9であり、前記Pは5であり、前記Kは2である。
【0014】
本態様にあっては、9個のタップ位置を有する複数のタップを一次巻線に設けてあり、一次側のタップ電圧を5段階に切り換えることが可能であり、一次側の連続する5個のタップ位置を2段ずつ変更することによって二次側のタップ電圧が等価的に切り換わる。ここで、一次側の5個のタップ位置を一定段数Kずつ変更することによって二次側のタップ電圧が等価的に切り換わる段階数Sは(J-P)/K+1である。よって、Kが2の場合にSは3となり、二次側のタップ電圧を等価的に3段階に切り換えることができる。
【0015】
本発明の一態様に係るタップ付変圧器は、前記複数のタップは、1又は複数のタップ巻線に設けてある。
【0016】
本態様にあっては、一次巻線における主巻線とは異なる位置に1又は複数のタップ巻線を有し、タップ巻線に設けられたタップ間の接続に応じて複数のタップ位置が形成される。タップ巻線を2つ以上有する場合は、一次巻線と二次巻線の間で生じるアンペアターン分布の不平衡を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一次側のP通り(Pは3以上の整数)の電圧及び二次側のS通り(Sは2以上の整数)の電圧に対し、一次側に設けたタップが内包するP×Sより少ない数のタップ位置によって対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1比較例としてのタップ付変圧器の巻線間接続を示す接続図である。
【
図2】第1比較例としてのタップ付変圧器の特性を示す図表である。
【
図3】第2比較例としてのタップ付変圧器の巻線間接続を示す接続図である。
【
図4】第2比較例としてのタップ付変圧器の特性を示す図表である。
【
図5】第3比較例としてのタップ付変圧器の巻線間接続を示す接続図である。
【
図6】第3比較例としてのタップ付変圧器の特性を示す図表である。
【
図7】実施形態に係るタップ付変圧器の巻線間接続を示す接続図である。
【
図8】実施形態に係るタップ付変圧器の特性を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態)
実施形態に係るタップ付変圧器を説明する前に、比較例として、既に実用化されているタップ付き変圧器と、所要の電圧切り換えに対応するものとして考案し得るタップ付変圧器とについて説明する。
【0020】
図1は、第1比較例としてのタップ付変圧器10の巻線間接続を示す接続図である。
図2は、第1比較例としてのタップ付変圧器10の特性を示す図表である。タップ付変圧器10は、デルタ結線された一次巻線111,121,131と、スター結線された二次巻線112,122,132とを備える。一次巻線111,121,131それぞれには、二次巻線112,122,132が対応している。
【0021】
一次巻線111は、主巻線11a,11a及びタップ巻線11bを含み、該タップ巻線11bには、1から4の番号が付された4タップを含む中間タップ11cが設けられている。一次巻線121は、主巻線12a,12a及びタップ巻線12bを含み、該タップ巻線12bには、1から4の番号が付された4タップを含む中間タップ12cが設けられている。一次巻線131は、主巻線13a,13a及びタップ巻線13bを含み、該タップ巻線13bには、1から4の番号が付された4タップを含む中間タップ13cが設けられている。
【0022】
一次(高圧)側で定格電圧に対応し、二次(低圧)側で複数の電圧に対応する場合、二次巻線112,122,132の巻数(以下、二次巻数と言う)が固定された状態で、一次側に設けた中間タップ11c、12c、13cが内包するタップ位置を切り換えることにより、一次巻線111,121,131の巻数(以下、一次巻数と言う)を変化させて二次側の出力電圧を切り換えることができる。
【0023】
図2は、例えば一次側のU-V線間及び二次側のu-v線間について示すものであるが、他の線間についても同様である。タップ付変圧器10は、例えば中間タップ11cが3個のタップ位置を内包している。具体的には、番号が2と3,3と1,1と4のタップをそれぞれ接続した場合、一次巻数が2504,2390,2286となる。二次巻数は92である。一次側で対応する電圧(以下、一次電圧という)は定格の6600Vである。3個のタップ位置それぞれによる二次側の線間の出力電圧が、二次側で対応する電圧(以下、二次電圧という)420V,440V,460Vにできるだけ近づくように、各番号のタップ位置における一次巻数が設計されている。
【0024】
図1に示すように、U-V線間に定格の6600Vを印加した状態でタップ位置を切り換えた場合、二次側の実際の出力電圧が等価的に切り換わって、420.0V,440.0V,460.1Vとなる。この場合、二次電圧に対する誤差、即ち変圧比の誤差は、それぞれ0.0020%,0.0096%,0.0134%であり、実用上の問題はない。タップ付変圧器10は、このようなタップ位置の切り換えが行われた場合であっても、過励磁の状態にならないように設計されている。但し、一次側に定格電圧以外の電圧を印加した状態で、二次電圧を3通りに切り換えることはできない。
【0025】
図3は、第2比較例としてのタップ付変圧器20の巻線間接続を示す接続図である。
図4は、第2比較例としてのタップ付変圧器20の特性を示す図表である。タップ付変圧器20は、デルタ結線された一次巻線211,221,231と、スター結線された二次巻線212,222,232とを備える。一次巻線211,221,231それぞれには、二次巻線212,222,232が対応している。
【0026】
一次巻線211は、主巻線21a,21a及びタップ巻線21bを含み、該タップ巻線21bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ21cが設けられている。一次巻線221は、主巻線22a,22a及びタップ巻線22bを含み、該タップ巻線22bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ22cが設けられている。一次巻線231は、主巻線23a,23a及びタップ巻線23bを含み、該タップ巻線23bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ23cが設けられている。
【0027】
一次側で複数のタップ位置によって複数の電圧に対応し(以下、対応するそれぞれの一次電圧をタップ電圧とも言う)、二次側で定格電圧に対応する場合、一次側にタップ電圧とは異なる電圧を印加することにより、タップ電圧と印加した電圧との比に応じて二次側の出力電圧を切り換えることができる。
【0028】
図4は、例えば一次側のU-V線間及び二次側のu-v線間について示すものであるが、他の線間についても同様である。タップ付変圧器20は、中間タップ21cが5個のタップ位置を内包している。具体的には、番号が3と4,4と2,2と5,5と1,1と6のタップをそれぞれ接続した場合、一次電圧(即ちタップ電圧)が6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vとなる。定格の二次電圧は420Vである。
【0029】
図3に示すように、U-V線間に定格の6600Vを印加した状態で、タップ電圧が6600Vとは異なるタップ位置に切り換えた場合、二次側の実際の出力電圧が切り換わって、410.7V,420.7V,429.8V,440.0V,450.7Vとなる。なお、タップ付変圧器20は、タップ電圧とは異なる電圧を一次側に印加することは想定されていないため、タップ電圧より高い電圧を一次側に印加した場合は、過励磁の状態になる。
【0030】
次に、第3比較例について説明する。一次側で複数の電圧に対応し、二次側でも複数の電圧に対応する場合、一次側に複数のタップを設けてタップ位置に応じたタップ電圧を印加し、二次側にも複数のタップを設けてタップ位置に応じた二次電圧(以下、一次側と同様に、タップ電圧とも言う)に切り換えることが考えられる。
【0031】
図5は、第3比較例としてのタップ付変圧器30の巻線間接続を示す接続図である。
図6は、第3比較例としてのタップ付変圧器30の特性を示す図表である。タップ付変圧器30は、デルタ結線された一次巻線311,321,331と、スター結線された二次巻線312,322,332とを備える。一次巻線311,321,331それぞれには、二次巻線312,322,332が対応している。
【0032】
一次巻線311は、主巻線31a,31a及びタップ巻線31bを含み、該タップ巻線31bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ31cが設けられている。一次巻線321は、主巻線32a,32a及びタップ巻線32bを含み、該タップ巻線32bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ32cが設けられている。一次巻線331は、主巻線33a,33a及びタップ巻線33bを含み、該タップ巻線33bには、1から6の番号が付された6タップを含む中間タップ33cが設けられている。
【0033】
二次巻線312は、主巻線31d及びタップ巻線31eを含み、該タップ巻線31eには、u1からu3の番号が付された3タップを含む中間タップ31fが設けられている。二次巻線322は、主巻線32d及びタップ巻線32eを含み、該タップ巻線32eには、v1からv3の番号が付された3タップを含む中間タップ32fが設けられている。二次巻線332は、主巻線33d及びタップ巻線33eを含み、該タップ巻線33eには、w1からw3の番号が付された3タップを含む中間タップ33fが設けられている。
【0034】
図6は、一次側のU-V線間及び二次側のu-v線間について示すものであるが、他の線間についても同様である。タップ付変圧器30は、例えば中間タップ31cが5個のタップ位置を内包している。具体的には、番号が3と4,4と2,2と5,5と1,1と6のタップをそれぞれ接続した場合、一次巻数が2338,2286,2234,2182,2130となり、一次電圧(タップ電圧)が6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vとなる。
【0035】
二次側では、u1,u2,u3の番号が付されたタップのそれぞれがタップ位置に対応している。例えば、u3(v3),u2(v2),u1(v1)のタップ位置に切り換えた場合、二次巻数はそれぞれ84,88,92となり、u3-v3間,u2-v2間,u1-v1間の線間の二次電圧(タップ電圧)はそれぞれ420V,440V,460Vとなる。二次側の実際の出力電圧は、
図6に示すようにタップ電圧に対する誤差、即ち変圧比の誤差が0.02%以内に収まっている。
【0036】
上述の第3比較例によれば、一次側で5通り、二次側で3通りのタップ電圧の切り換えが可能である。しかしながら、
図6に示されるように、タップ位置の組合せ数が15通りになって煩雑である上に、二次側でのタップ位置の切り換えに外部配線の繋ぎ替えが必要となり、構造的に規模が大きくなるのが難点である。以下では、第1比較例から第3比較例に係るタップ付変圧器10,20,30の欠点を解消することが可能なタップ付変圧器について説明する。
【0037】
図7は、実施形態に係るタップ付変圧器40の巻線間接続を示す接続図である。
図8は、実施形態に係るタップ付変圧器40の特性を示す図表である。タップ付変圧器40は、デルタ結線された一次巻線411,421,431と、スター結線された二次巻線412,422,432とを備える。一次巻線211,221,231それぞれには、二次巻線412,422,432が対応している。
【0038】
一次巻線411は、主巻線41a,41a,41a及びタップ巻線41b,41bを含み、該タップ巻線41b,41bそれぞれには、1から6,7から12の番号が付された6タップを含む中間タップ41c,41dが設けられている。一次巻線421は、主巻線42a,42a,42a及びタップ巻線42b,42bを含み、該タップ巻線42b,42bそれぞれには、1から6,7から12の番号が付された6タップを含む中間タップ42c,42dが設けられている。一次巻線431は、主巻線43a,43a,43a及びタップ巻線43b,43bを含み、該タップ巻線43b,43bには、1から6,7から12の番号が付された6タップを含む中間タップ43c,43dが設けられている。
【0039】
中間タップ41c,41dが、タップ巻線41b,41bに分けて設けられているのは、アンペアターン分布の不平衡を抑制して、局所的な過熱、損失の増大及び内部機械力の増大を防止するためである。1つの中間タップを1つのタップ巻線に設けてもよいし、3つ以上の中間タップを3つ以上のタップ巻線に分散するようにしてもよい。他の中間タップ42c,42d及び43c,43dについても同様である。
【0040】
図8は、例えば一次側のU-V線間及び二次側のu-v線間について示すものであるが、他の線間についても同様である。タップ付変圧器40は、例えば中間タップ41c,41dそれぞれが5個のタップ位置を内包している。具体的には、中間タップ41dで番号が9と10のタップを接続しておき、中間タップ41cで番号が3と4,4と2,2と5,5と1,1と6のタップをそれぞれ接続した場合、一次巻数が2561,2504,2446,2390,2336となる。また、中間タップ41cで番号が1と6のタップを接続しておき、中間タップ41dで番号が9と10,10と8,8と11,11と7,7と12のタップをそれぞれ接続した場合、一次巻数が2336,2284,2231,2182,2130となる。このようにして決まる9個のタップ位置を、
図8の最上段から順にt1からt9までの位置とする。二次巻数は92である。
【0041】
t1からt9までの9個のタップ位置のうち、例えばt1からt5まで連続する5個のタップ位置における一次電圧(タップ電圧)のそれぞれが、6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vであるように、標準的な対応付けがなされている。この場合の一次側の各タップ電圧に対し、線間の二次電圧、即ち等価的なタップ電圧が50Hzにおける定格の420Vにできるだけ近づくように、各タップ位置における一次巻数が設定されている。この420Vが定格タップ電圧となる。上記の標準的な対応付けがなされる5個のタップ位置は、最上段のタップ位置t1以外から連続する他の5個のタップ位置であってもよい。
【0042】
例えば、t3からt7までのタップ位置における一次側のタップ電圧のそれぞれが、6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vであるように、標準的な対応付けがなされていてもよい。この場合の
図8は、二次側の出力電圧が60Hzにおける定格の二次電圧440Vにできるだけ近づくように、各タップ位置における一次巻数が設定されていると見ることができる。この440Vが定格タップ電圧となる。
【0043】
上記5個のタップ電圧(6750V,6600V,6450V,6300V,6150V)と、特定の5個のタップ位置との標準的な対応付けがなされている状態から、この5個のタップ電圧に対応付けるべき5個のタップ位置の全体を、連続する他の5個のタップ位置に変更した場合、二次巻数に対する一次巻数の巻数比が変わるため、二次電圧(タップ電圧)が等価的に切り換わる。即ち、5個のタップ電圧と5個のタップ位置との対応付けの変更前後で、二次巻数が一定であるのに対し、一次側の同じタップ電圧に対応する一次巻数が変わることに伴って巻数比も変わるため、二次側のタップ電圧が切り換わる。
【0044】
具体的に、6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vそれぞれのタップ電圧が、t1,t2,t3,t4,t5のタップ位置に対応付けられる状態からt3,t4,t5,t6,t7のタップ位置に対応付けられる状態に変更された場合について説明する。先ず、6750Vのタップ電圧がt1のタップ位置に対応付けられる状態からt3のタップ位置に対応付けられる状態に変更された場合、一次巻数が2561ターンから2446ターンに減少する。このため、6750Vの電圧が一次巻線411,421,431のU-V間,V-W間,W-U間それぞれに印加される設定でタップ位置をt1からt3に切り換えた場合、巻数比が2446/2561倍に減少して、二次巻線412,422,432のu-v線間,v-w線間,w-u線間の二次電圧が420Vから440Vに切り換わる。なお、上記巻数比の倍率である2446/2561(=0.9551)は、t1のタップ位置における6750Vのタップ電圧に対する、タップ位置の対応付けの変更方向に2段だけ離隔するt3のタップ位置における6450Vのタップ電圧の比(=0.9556)と実質的に一致する。
【0045】
同様に、6600Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt2からt4に切り換えた場合、一次巻数が2504ターンから2390ターンに減少し、巻数比が2390/2504倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから440Vに切り換わる。6450Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt3からt5に切り換えた場合、一次巻数が2446ターンから2336ターンに減少し、巻数比が2336/2446倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから440Vに切り換わる。6300Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt4からt6に切り換えた場合、一次巻数が2390ターンから2284ターンに減少し、巻数比が2284/2390倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから440Vに切り換わる。6150Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt5からt7に切り換えた場合、一次巻数が2336ターンから2231ターンに減少し、巻数比が2231/2336倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから440Vに切り換わる。このように切り換えた二次側の440Vのタップ電圧は、定格容量で使用できる全容量タップ電圧とする。
【0046】
6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vそれぞれのタップ電圧が、t1,t2,t3,t4,t5のタップ位置に対応付けられる状態からt5,t6,t7,t8,t9のタップ位置に対応付けられる状態に変更された場合についても同様である。具体的には、6750Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt1からt5に切り換えた場合、一次巻数が2561ターンから2336ターンに減少し、巻数比が2336/2561倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから460Vに切り換わる。6600Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt2からt6に切り換えた場合、一次巻数が2504ターンから2284ターンに減少し、巻数比が2284/2504倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから460Vに切り換わる。6450Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt3からt7に切り換えた場合、一次巻数が2446ターンから2231ターンに減少し、巻数比が2231/2446倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから460Vに切り換わる。6300Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt4からt8に切り換えた場合、一次巻数が2390ターンから2182ターンに減少し、巻数比が2182/2390倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから460Vに切り換わる。6150Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt5からt9に切り換えた場合、一次巻数が2336ターンから2130ターンに減少し、巻数比が2130/2336倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が420Vから460Vに切り換わる。このように切り換えた二次側の460Vのタップ電圧は、全容量タップ電圧とする。
【0047】
なお、6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vそれぞれのタップ電圧が、t3,t4,t5,t6,t7のタップ位置に対応付けられる状態からt5,t6,t7,t8,t9のタップ位置に対応付けられる状態に変更された場合についても同様である。例えば、6750Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt3からt5に切り換えた場合、一次巻数が2446ターンから2336ターンに減少し、巻数比が2336/2446倍に減少して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから460Vに切り換わる。この場合の巻数比の倍率である2336/2446(=0.9550)は、t3のタップ位置における6750Vのタップ電圧に対する、タップ位置の対応付けの変更方向に2段だけ離隔するt5のタップ位置における6450Vのタップ電圧の比(=0.9556)と実質的に一致する。
【0048】
更に、6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vそれぞれのタップ電圧が、t3,t4,t5,t6,t7のタップ位置に対応付けられる状態からt1,t2,t3,t4,t5のタップ位置に対応付けられる状態に変更された場合についての説明も同様である。例えば、6150Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt7からt5に切り換えた場合、一次巻数が2231ターンから2336ターンに増加し、巻数比が2336/2231倍に増大して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから420Vに切り換わる。この場合の巻数比の倍率である2336/2231(=1.0471)は、t7のタップ位置における6150Vのタップ電圧に対する、タップ位置の対応付けの変更方向に2段だけ離隔するt5のタップ位置における6450Vのタップ電圧の比(=1.0488)と実質的に一致する。
【0049】
同様に、6300Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt6からt4に切り換えた場合、一次巻数が2284ターンから2390ターンに増加し、巻数比が2390/2284倍に増大して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから420Vに切り換わる。6450Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt5からt3に切り換えた場合、一次巻数が2336ターンから2446ターンに増加し、巻数比が2446/2336倍に増大して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから420Vに切り換わる。6600Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt4からt2に切り換えた場合、一次巻数が2390ターンから2504ターンに増加し、巻数比が2504/2390倍に増大して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから420Vに切り換わる。6750Vの電圧が各一次巻線に印加される設定でタップ位置をt3からt1に切り換えた場合、一次巻数が2446ターンから2561ターンに増加し、巻数比が2561/2446倍に増大して、各二次巻線の線間の二次電圧が440Vから420Vに切り換わる。このように切り換えた二次側の420Vのタップ電圧は、全容量タップ電圧とする。
【0050】
図8に示す5個のタップ電圧(6750V,6600V,6450V,6300V,6150V)と連続する5個のタップ位置との対応付けを、9個のタップ位置(t1からt9)の中で2段ずつ変更する場合についての説明は、上述の通りである。なお、
図8には連続する5個のタップ位置が3通り示されているが、各5個のタップ位置にて一次側のタップ電圧を実際に6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vとし、二次電圧(タップ電圧)をそれぞれ丁度420V,440V,460Vとするには、計算上の一次巻数を
図8に示す値とは異なる非整数値にする必要がある。
【0051】
そこで、
図8では、計算上の巻数値が1つであるタップ位置t1,t2,t8,t9については、巻数値の小数以下を四捨五入し、計算上の巻数値が2つ又は3つあるタップ位置t3からt7については、巻数値の平均値の小数以下を四捨五入した値を採用した。従って、実際の二次側の出力電圧は、
図8に示すように、420V,440V,460の二次電圧(タップ電圧)から若干ずれた値になっている。それでも、二次電圧に対する誤差、即ち変圧比の誤差が±0.17%以内に収まっている。
【0052】
上述の例では、5個のタップ電圧に対応付けられた連続する5個のタップ位置を2段ずつ変更して、二次側のタップ電圧を20Vずつ異なる電圧に切り換える例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、連続する5個のタップ位置を1段ずつ変更して、二次側のタップ電圧を10Vずつ異なる電圧に切り換えることが可能である。この場合、二次側のタップ電圧は、420V,430V,440V,450V,460Vに切り換え可能である。また、例えば全タップ位置の数を11にし、連続する5個のタップ位置を2段ずつ変更して二次側のタップ電圧を20Vずつ異なる電圧に切り換える場合は、二次側のタップ電圧を、例えば400V,420V,440V,460V,480Vの5通りに切り換えることも可能である。
【0053】
更に、全タップ位置の数を5にし、連続する3個のタップ位置を1段ずつ又は2段だけ変更して、一次側のタップ電圧を3通りに切り換え、二次側のタップ電圧を3通り又は2通りに切り換え可能としてもよい。全タップ位置の数を6にし、連続する4個のタップ位置を1段ずつ又は2段だけ変更して、一次側のタップ電圧を4通りに切り換え、二次側のタップ電圧を3通り又は2通りに切り換え可能としてもよい。その他、全タップ位置の数が5以上である前提で、一次側のタップ電圧を3通り以上に切り換え可能とし、且つ、二次側のタップ電圧を2通り以上に切り換え可能とする任意の組合せに対応することができる。
【0054】
最後にタップ数を集約する式について説明する。先ず以下の文字数を定義する。
全タップ位置の数 :J
一次側タップ電圧数:P
二次側タップ電圧数:S
【0055】
J個のタップ位置のうち、P個のタップ電圧に対応付けられた連続するP個のタップ位置を、他のP個のタップ位置に変更できる場合の数に1を加えた数が、二次側タップ電圧数Sの最大数|S|maxになるから、以下の式(1)が成立する。
|S|max=J-P+1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0056】
P個のタップ位置を、他のP個のタップ位置に変更する際に、K段(Kは自然数)ずつ変更するときは、一般的にSが以下の式(2)で表される。但し(J-P)がKで割り切れることが条件である。式(2)は式(3)のように変形される。
S=(J-P)/K+1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
J=P+K(S-1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0057】
ここで、
図7に示す中間タップ41c,41dのような同一構成の中間タップを2組備える場合、全タップ位置の数Jは奇数となる。従って、一次側タップ電圧数Pを奇数にすれば、(J-P)は少なくとも2で割り切れる。本実施形態では、J=9、P=5であるから、(J-P)は1,2,4で割り切れるところを、K=2とすることにより、二次側タップ電圧数Sを3にした。即ち、9個のタップ位置を内包するタップにより、一次側と二次側とで5×3通りのタップ電圧の組合せが切り換え可能となる。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、タップ付変圧器40の一次巻線411,421,431それぞれの途中に複数のタップを含む中間タップ41cと41d,42cと42d,43cと43dが設けられており、タップ位置t1~t9を切り換えることによって、少なくとも一次側のタップ電圧を切り換えることが可能である。タップ位置は全部で9個あり、このうちの特定の連続する5個のタップ位置t1~t5におけるタップ電圧が、一次側で切り換え可能な5通りのタップ電圧6750V,6600V,6450V,6300V,6150Vであるように標準的に対応付けてある。このような標準的な対応付けがなされている場合、例えば二次側のタップ電圧420Vが定格電圧となるように設計されている。この状態で、一次側の5通りのタップ電圧用に対応付けるべき5個のタップ位置t1~t5の全体を、他の連続する5個のタップ位置t3~t5に変更することにより、二次側のタップ電圧を420Vから440Vに等価的に切り換えることができる。また、一次側の5通りのタップ電圧用に対応付けるべき5個のタップ位置t1~t5の全体を、他の連続する5個のタップ位置t5~t9に変更することにより、二次側のタップ電圧を420Vから460Vに等価的に切り換えることができる。即ち、上記の対応付けの変更前と変更後とでは、一次側の同じタップ電圧に対するタップ位置が異なって巻数比が変わるため、二次側の電圧がタップ電圧として切り換わる。従って、一次側の5通りのタップ電圧及び二次側の3通りのタップ電圧に対し、一次側に設けた中間タップ41cと41d,42cと42d,43cと43dが内包する(5×3より少ない)9個のタップ位置によって対応することが可能となる。
【0059】
また、実施形態によれば、連続する5個のタップ位置について、タップ位置が1段異なる毎に変化する一次側のタップ電圧の差分、即ちタップ間電圧が実質的に一定の150Vとなるように、タップ位置毎の巻数が設計されている。一次側の5通りのタップ電圧に対応付けられているタップ位置t1~t5のうち、着目するタップ位置t1におけるタップ電圧6750Vに対する、5個のタップ位置の変更方向に2段だけ離隔するタップ位置t3におけるタップ電圧6450Vの比(=6450/6750)をRとする。連続する5個のタップ位置を2段分だけ変更する前と後では、一次側のタップ電圧6750Vが同じであっても巻数比の倍率(=2446/2561)が実質的にR(=6450/6750)倍になるようにして、二次側のタップ電圧が実質的に1/R(=6750/6450)倍の大きさに切り換わるようにしてある。即ち、Kの値を2にして連続する5個のタップ位置を3通りに変更することにより、二次側のタップ間電圧を実質的に一定の20Vにすることができる。
【0060】
更に、実施形態によれば、9個のタップ位置を有する複数のタップを含む中間タップ41cと41d,42cと42d,43cと43dのそれぞれを一次巻線411,421,431に設けてあり、一次側のタップ電圧を5段階に切り換えることが可能であり、一次側の連続する5個のタップ位置t1~t5を2段ずつ変更することによって二次側のタップ電圧が等価的に切り換わる。ここで、一次側の5個のタップ位置t1~t5を一定段数Kずつ変更することによって二次側のタップ電圧が等価的に切り換わる段階数Sは、式(2)より(J-P)/K+1である。よって、Kが2の場合にSは3となり、二次側のタップ電圧を等価的に3段階に切り換えることができる。
【0061】
更に、実施形態によれば、一次巻線411,421,431それぞれにおける主巻線41a,42a,43aとは異なる位置に複数のタップ巻線41bと41b,42bと42b,43bと43bを有し、タップ巻線41bと41b,42bと42b,43bと43bそれぞれに設けられた中間タップ41cと41d,42cと42d,43cと43dに含まれるタップ間の接続に応じて、9個のタップ位置が形成される。タップ巻線41bと41b,42bと42b,43bと43bのそれぞれを一次巻線411,421,431に2つ以上有することにより、一次巻線411,421,431それぞれと二次巻線412,422,432の間で生じるアンペアターン分布の不平衡を抑制することができる。
【0062】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10、20、30、40 タップ付変圧器
111、121、131、211、221、231、311、321、331 一次巻線
112、122、132、212、222、232、312、322、332 二次巻線
11a、12a、13a、21a、22a、23a、31a、31d、32a、32d、33a、33d 主巻線
11b、12b、13b、21b、22b、23b、31b、31e、32b、32e33b、33e タップ巻線
11c、12c、13c、21c、22c、23c、31c、31f、32c、32f、33c、33f 中間タップ
t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9 タップ位置