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特許7312703ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/82 20060101AFI20230713BHJP
   C12N 15/29 20060101ALI20230713BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20230713BHJP
   A01H 1/00 20060101ALI20230713BHJP
   A01H 6/02 20180101ALI20230713BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230713BHJP
【FI】
C12N15/82 152Z
C12N15/29 ZNA
A01H5/00 A
A01H1/00 Z
A01H6/02
C12N5/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019561071
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2018046304
(87)【国際公開番号】W WO2019124297
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017242099
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520215290
【氏名又は名称】森 正之
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】森 正之
(72)【発明者】
【氏名】今村 智弘
(72)【発明者】
【氏名】水越 裕治
(72)【発明者】
【氏名】西澤 可奈子
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-504522(JP,A)
【文献】DNA Res.,2016年07月25日,Vol. 23, No. 6,pp. 535-546
【文献】Nature,2017年02月08日,Vol. 542,pp. 307-312
【文献】Cell Res.,2017年10月10日,Vol. 27,pp. 1327-1340
【文献】NCBI Database [online], Accession No. XP_021715187, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/XP_021715187.1/>, 2017.07.20, [retrieved on 2019.03.06], Definition: protein JINGUBANG-like [Chenopodium quinoa]
【文献】ウイルス,2005年,第55巻, 第1号,pp. 1-8
【文献】日本作物学会講演会要旨・資料集(Jap. J. Crop Sci. Extra Issue),Vol. 223,2007年03月29日,pp. 198-199
【文献】The Plant Cell,2016年09月,Vol. 28,pp. 2131-2146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 5/10
A01H 1/00-17/00
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターを含むアカザ属植物のブラッダー細胞形成作用剤;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有し、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、及び
(8)WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【請求項2】
以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を含むアカザ属植物のブラッダー細胞形成作用剤;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブラッダー細胞形成作用剤をアカザ属植物体に導入する工程を含む、アカザ属植物体のブラッダー細胞形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2017-242099号優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
アカザ属の植物は、強い環境ストレス耐性を持つことが知られている。近年、アカザ属のキヌアは、高栄養価と強い環境ストレス耐性を兼ね備えることから、世界の食糧問題を解決しうる擬似穀物として期待されている。その環境ストレス耐性には、特殊な表皮細胞(bladder cell:ブラッダー細胞)が関与すると考えられている。
【0003】
アラビドプシスには、細胞表面にブラッダー細胞に類似したトライコームという組織を形成する。このトライコーム形成に関わるタンパク質の中にWD40ドメインを持つTTG1タンパク質の存在が報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Walkeret al, Plant Cell, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、キヌアは、ブラッダー細胞を形成することで強い環境ストレス耐性をもつと考えた。しかし、ブラッダー細胞形成を制御する遺伝子は全く同定されていない。
そこで、本発明者らは、ブラッダー細胞形成を制御する遺伝子を単離・同定することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために、EMS(エチルメタンスルホン酸)変異処理を種子に実施したことにより、ブラッダー細胞が著しく減少した植物体(変異体)が出現することを確認して、さらに、該変異体のゲノムDNAと野生型のゲノムDNAを比較することにより、ブラッダー細胞形成制御作用に関与する遺伝子を同定した。ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現が抑制された植物体では、ブラッダー細胞形成が抑制されていることを確認した。さらに、ブラッダー細胞形成作用遺伝子を導入した植物体では、ブラッダー細胞形成作用が向上することを確認した。
以上により、本発明のブラッダー細胞形成制御作用剤を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターを含むブラッダー細胞形成作用剤;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
2.以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を含むブラッダー細胞形成作用剤;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
3.前項1又は2に記載のブラッダー細胞形成作用剤が導入された植物体。
4.前項1又は2に記載のブラッダー細胞形成作用剤を植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成方法。
5.以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターを含むブラッダー細胞形成抑制作用剤;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
6.以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質を含むブラッダー細胞形成抑制作用剤;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
7.前項項5又は6に記載のブラッダー細胞形成抑制作用剤が導入された植物体。
8.前項項5又は6に記載のブラッダー細胞形成抑制作用剤を植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成抑制方法。
9.ブラッダー細胞形成抑制作用剤の製造のための以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターの使用;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
10.ブラッダー細胞形成作用剤の製造のための以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターの使用;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
11.ブラッダー細胞形成抑制作用剤の製造のための以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の使用;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
12.ブラッダー細胞形成作用剤の製造のための以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の使用;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
13.以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターを植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成抑制方法;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
14.以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質を植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成抑制方法;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
15.以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターを植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成方法;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
16.以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を植物体に導入する工程を含む、植物体のブラッダー細胞形成方法;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
17.以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現が抑制された植物体;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
18.以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子の塩基配列の少なくとも10塩基、10~1000塩基、10~500塩基、50~500塩基、100~500塩基、200~400塩基、250~350塩基又は280~320塩基の部分配列からなる核酸又は該核酸を担持したベクターを含むブラッダー細胞形成抑制作用剤;
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】EMS変異処理によるブラッダー細胞が著しく減少した植物体の作製工程及びその結果
図2】Reduced Epidermal Bladder Cells 1 (REBC1)変異体及び野生型の図
図3】REBC1変異体及び野生型の電子顕微鏡図
図4】ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子
図5】ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の発現を抑制するためのプラスミド
図6】ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の発現を抑制するためのプラスミドを導入した植物体
図7】環境ストレス耐性試験のREBC1変異体及び野生型の図
図8】REBC1遺伝子発現プラスミド及び導入した植物体(過剰発現)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体に関する。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
(ブラッダー細胞)
ブラッダー細胞(bladder cell)は、植物の表皮に形成される球形の巨大細胞(参照:TrendsPlant Sci.2014 Nov;19(11):687-91.)であり、内部に塩を蓄積することが知られている。よって、ブラッダー細胞は、塩耐性に関与すると考えられている。
【0012】
(ブラッダー細胞形成制御作用)
本発明での「ブラッダー細胞形成制御作用」とは、植物体のブラッダー細胞を制御する作用、特に、ブラッダー細胞形成能作用(ブラッダー細胞形成能を維持する作用、ブラッダー細胞形成能を促進させる作用、ブラッダー細胞形成能を増加させる作用、ブラッダー細胞形成数を増加させる作用、ブラッダー細胞形成能を創出させる作用等)、ブラッダー細胞形成能抑制作用(ブラッダー細胞形成能を低下させる作用、ブラッダー細胞形成数を低下させる作用、ブラッダー細胞形成能を喪失させる作用等)を意味する。
【0013】
(ブラッダー細胞形成能抑制作用)
ブラッダー細胞形成能抑制作用とは、例えば、本発明のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子及び/又はブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質を導入した植物体は、該導入していない植物体と比較して、ブラッダー細胞数が95%以下、90%以下、88%以下、85%以下、83%以下、80%以下、78%以下、75%以下、73%以下、70%以下、68%以下、65%以下、63%以下、60%以下、58%以下、55%以下、53%以下、50%以下、48%以下、45%以下、43%以下、40%以下、38%以下、35%以下、33%以下、30%以下、28%以下、25%以下、23%以下、20%以下、18%以下、15%以下、13%以下、10%以下、8%以下、5%以下、3%以下、1%以下、又は、約0%になる作用を含む。
【0014】
(ブラッダー細胞形成能作用)
ブラッダー細胞形成能作用(ブラッダー細胞形成能促進作用)とは、例えば、本発明のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子及び/又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を導入した植物体は、該導入していない植物体と比較して、ブラッダー細胞数が101%以上、103%以上、105%以上、108%以上、110%以上、113%以上、115%以上、118%以上、120%以上、123%以上、125%以上、128%以上、130%以上、133%以上、135%以上、138%以上、140%以上、143%以上、145%以上、148%以上、150%以上、153%以上、155%以上、158%以上、160%以上、163%以上、165%以上、168%以上、170%以上、173%以上、175%以上、178%以上、180%以上、183%以上、185%以上、188%以上、190%以上、195%以上、198%以上、200%以上、210%以上、220%以上、230%以上、240%以上、250%以上、260%以上、270%以上、280%以上、290%以上、300%以上、320%以上、340%以上、360%以上、380%以上、400%以上、440%以上、480%以上、500%以上、550%以上、600%以上、650%以上、700%以上、750%以上、800%以上、850%以上、900%以上、950%以上、1000%以上、1100%以上、1200%以上、1300%以上、1400%以上、1500%以上、2000%以上、3000%以上、4000%以上、5000%以上、6000%以上、7000%以上、8000%以上、9000%以上、10000%以上、又は、100000%以上になる作用を含む。
なお、本発明のブラッダー細胞形成能作用は、上記の例示した作用のほか、ブラッダー細胞形成能を有さない植物にブラッダー細胞形成能を付与する作用(ブラッダー細胞形成能を創出させる作用)も含む。
【0015】
(ブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子:ブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子)
本発明でのブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子は、以下のいずれか1以上の遺伝子を含む。
(1)配列番号1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子。
(2)配列番号1記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成抑制作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(3)配列番号1記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成抑制作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(4)配列番号2記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。
(5)配列番号2記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成抑制作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(6)配列番号2記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子。
(7)配列番号2記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の同一性を有するDNAからなる遺伝子。
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号6(配列番号1の139-432番目のアミノ酸であり、かつ、380番目のグアニンがアデニンに置換されている)に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【0016】
上記(2)の遺伝子は、ブラッダー細胞形成抑制作用を失わせない程度の変異を導入したポリペプチドをコードする遺伝子である。このような変異は、自然界において生じる変異のほかに、人為的な変異をも含む。人為的変異を生じさせる手段としては、部位特異的変異誘発法(Nucleic Acids Res. 10, 6487-6500, 1982)などを挙げることができる。変異したアミノ酸の数は、通常は、20アミノ酸以内であり、好ましくは10アミノ酸以内であり、更に好ましくは5アミノ酸以内であり、最も好ましくは3アミノ酸である。変異を導入したポリペプチドがブラッダー細胞形成抑制作用を保持しているかどうかは、例えば、変異を導入したポリペプチドをコードする遺伝子を植物体等に導入し、その植物体のブラッダー細胞形成能を確認することによりわかる。
上記(3)の遺伝子に関し、「配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成抑制作用と実質的同質の作用」とは、その作用程度は、配列番号1に記載のアミノ酸配列のブラッダー細胞形成抑制作用と比較して強くても弱くてもよい。例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列のブラッダー細胞形成抑制作用と比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%を例示することができる。
また、同一性は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National CenterforBiological Information)等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算することができる。
上記(5)の遺伝子は、DNA同士のハイブリダイゼーションを利用することにより得られる遺伝子である。この遺伝子における「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起き、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件は、通常、5×SSC、1%SDSを含む緩衝液中の37℃でのハイブリダイゼーション及び1×SSC、0.1%SDSを含む緩衝液による37℃での洗浄処理といった条件であり、好ましくは、5×SSC、1%SDSを含む緩衝液中の42℃でのハイブリダイゼーション及び0.5×SSC、0.1%SDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理といった条件であり、更に好ましくは、5×SSC、1%SDSを含む緩衝液中の65℃でのハイブリダイゼーション及び0.2×SSC、0.1%SDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理といった条件である。ハイブリダイゼーションを利用することにより得られたDNAが、活性を有するポリペプチドをコードするかどうかは、例えば、そのDNAを植物体等に導入し、その植物体のブラッダー細胞形成能を確認することによりわかる。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、上記(4)の遺伝子(配列番号2)と通常、高い同一性を有する。高い同一性とは、90%以上の同一性、好ましくは95%以上の同一性、更に好ましくは98%以上の同一性を指す。
上記(6)の遺伝子は、配列番号2記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個、好ましくは1~30個、より好ましくは1~20個、最も好ましくは1~10個、さらに最も好ましくは1~5個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子である。
上記(7)の遺伝子は、配列番号2記載の塩基配列からなるDNAと90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有するDNAからなる遺伝子である。
【0017】
(ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質)
本発明でのブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質は、以下のいずれか1以上のアミノ酸配列を含む。
(1)配列番号1記載のアミノ酸配列。
(2)配列番号1記載のアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列。
(3)配列番号1記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列。
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
なお、ペプチドの変異の導入において、当該ペプチドの基本的な性質(物性、機能、生理活性又は免疫学的活性等)を変化させないという観点からは、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸および芳香族アミノ酸等)の間での相互の置換は容易に想定される。
【0018】
(ブラッダー細胞形成作用遺伝子:ブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子)
本発明でのブラッダー細胞形成作用遺伝子は、以下のいずれか1以上の遺伝子を含む。
(1)配列番号3記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子。
(2)配列番号3記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(3)配列番号3記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(4)配列番号4記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。
(5)配列番号4記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成作用と実質的同質の作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
(6)配列番号4記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子。
(7)配列番号4記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の同一性を有するDNAからなる遺伝子。
(8)WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【0019】
上記(2)の遺伝子は、ブラッダー細胞形成作用を失わせない程度の変異を導入したポリペプチドをコードする遺伝子である。変異したアミノ酸の数は、通常は、20アミノ酸以内であり、好ましくは10アミノ酸以内であり、更に好ましくは5アミノ酸以内であり、最も好ましくは3アミノ酸である。変異を導入したポリペプチドがブラッダー細胞形成作用を保持しているかどうかは、例えば、変異を導入したポリペプチドをコードする遺伝子を植物体等に導入し、その植物体のブラッダー細胞形成能を確認することによりわかる。
特に、配列番号3に記載のアミノ酸配列には、WDドメイン(配列番号5)が含まれている。このWDドメイン及び/又は該ドメイン以降のC末端領域に変異が導入されるとブラッダー細胞形成作用が失われる可能性が高いので、変異はこれらのドメイン以外のアミノ酸に導入されることが好ましい。
上記(3)の遺伝子に関し、「配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが有するブラッダー細胞形成作用と実質的同質の作用」とは、その作用程度は、配列番号3に記載のアミノ酸配列のブラッダー細胞形成作用と比較して強くても弱くてもよい。例えば、配列番号3に記載のアミノ酸配列のブラッダー細胞形成作用と比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%を例示することができる。
上記(5)の遺伝子は、DNA同士のハイブリダイゼーションを利用することにより得られる遺伝子である。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、上記(4)の遺伝子(配列番号4)と通常、高い同一性を有する。高い同一性とは、90%以上の同一性、好ましくは95%以上の同一性、更に好ましくは98%以上の同一性を指す。
上記(6)の遺伝子は、配列番号4記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個、好ましくは1~30個、より好ましくは1~20個、最も好ましくは1~10個、さらに最も好ましくは1~5個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子である。
上記(7)の遺伝子は、配列番号4記載の塩基配列からなるDNAと90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有するDNAからなる遺伝子である。
【0020】
(ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質)
本発明でのブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質は、以下のいずれか1以上のアミノ酸配列を含む。
(1)配列番号3記載のアミノ酸配列。
(2)配列番号3記載のアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列。
(3)配列番号3記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列。
(4)WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
【0021】
(ブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質の合成方法)
本発明のブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質(ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質、ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を含む)は、自体公知の合成系を使用して合成できる。例えば、本発明のブラッダー細胞形成制御作用遺伝子のmRNAを自体公知の組換え大腸菌タンパク質合成系、昆虫タンパク質合成系、酵母タンパク質合成系、植物細胞タンパク質合成系、無細胞タンパク質合成系等に添加し、さらに必要に応じて、合成液から精製することにより、本発明のブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質を得ることができる。
【0022】
(ブラッダー細胞形成制御作用剤)
本発明のブラッダー細胞形成制御作用剤(ブラッダー細胞形成抑制作用剤、ブラッダー細胞形成作用剤を含む)は、本発明でのブラッダー細胞形成制御作用遺伝子、該遺伝子を担持したベクター、本発明でのブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質のいずれか1以上を有効成分として含む。
なお、本発明でのベクターは、本発明でのブラッダー細胞形成制御作用遺伝子を植物体に導入できるベクターであれば特に限定されないが、例えば、自体公知のウイルスベクター、特に植物ウイルスベクター(例、トバモウイルス属に属するウイルス由来のベクター、タバコモザイクウイルスベクター、トマトモザイクウイルスベクター)を利用することができる。
また、Tiプラスミドを用いたアグロバクテリウム法を利用することができる。
【0023】
(植物体)
本発明での「植物体{完全体だけでなく、カルスも含む}」とは、本発明のブラッダー細胞形成制御作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子及び/又はブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質が導入されて、ブラッダー細胞形成能が制御されれば特に限定されないが、例えば、アカザ属の植物(例、キヌア、アカザ、シロザ)、ホウレンソウ属の植物(例、ホウレンソウ)、メセンブリアンテマ属の植物(例、アイスプラント)を例示することができる。
【0024】
(ブラッダー細胞形成制御作用遺伝子の植物体への導入方法)
本発明のブラッダー細胞形成制御作用遺伝子(ブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子、ブラッダー細胞形成作用遺伝子を含む)の植物体への導入方法は、自体公知の方法により、該遺伝子を植物体に導入することができる。例えば、本発明でのブラッダー細胞形成制御作用遺伝子を担持した植物ウイルスベクターを含む溶液を植物体の葉、茎、根、穂等に塗布することにより、ブラッダー細胞形成制御作用遺伝子を植物体へ導入することができる。
ブラッダー細胞形成制御作用遺伝子を過剰に発現する方法としては、例えばアグロバクテリウム法、パーティクルガン法、ウイルスベクター法、ウィスカー法等が挙げられる。
【0025】
(ブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質の植物体への導入方法)
本発明のブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質(ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質、ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を含む)の植物体への導入方法は、自体公知の方法により、該タンパク質を植物体に導入することができる。例えば、本発明でのブラッダー細胞形成制御作用を有するタンパク質を含む溶液を植物体の葉、茎、根、穂等に塗布することにより、ブラッダー細胞形成制御作用遺伝子を植物体へ導入することができる。
その他の方法として、パーティクルガン法、アグロバクテリウム法が例示することができる。
【0026】
(ブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子又はブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質が導入された植物体)
本発明の「ブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子又はブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質が導入された植物体」は、野生型(該遺伝子又は該タンパク質が導入されていない植物体)と比較して、植物全体ブラッダー細胞数が90%以下、88%以下、85%以下、83%以下、80%以下、78%以下、75%以下、73%以下、70%以下、68%以下、65%以下、63%以下、60%以下、58%以下、55%以下、53%以下、50%以下、48%以下、45%以下、43%以下、40%以下、38%以下、35%以下、33%以下、30%以下、28%以下、25%以下、23%以下、20%以下、18%以下、15%以下、13%以下、10%以下、8%以下、5%以下、3%以下、1%以下、又は約0%になる。
さらに、本発明の「ブラッダー細胞形成抑制作用遺伝子が導入された又はブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質が導入された植物体」は、野生型(該遺伝子又は該タンパク質が導入されていない植物体)と比較して、環境ストレス(例、高温多湿条件での栽培、乾燥、低温、紫外線、物理的ストレス(風、水)に対して弱い。
【0027】
(ブラッダー細胞形成作用遺伝子又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質が導入された植物体)
本発明の「ブラッダー細胞形成作用遺伝子又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質が導入された植物体」は、野生型(該遺伝子又は該タンパク質が導入されていない遺伝子)と比較して、植物全体ブラッダー細胞数が101%以上、103%以上、105%以上、108%以上、110%以上、113%以上、115%以上、118%以上、120%以上、123%以上、125%以上、128%以上、130%以上、133%以上、135%以上、138%以上、140%以上、143%以上、145%以上、148%以上、150%以上、153%以上、155%以上、158%以上、160%以上、163%以上、165%以上、168%以上、170%以上、173%以上、175%以上、178%以上、180%以上、183%以上、185%以上、188%以上、190%以上、195%以上、198%以上、200%以上、210%以上、220%以上、230%以上、240%以上、250%以上、260%以上、270%以上、280%以上、290%以上、300%以上、320%以上、340%以上、360%以上、380%以上、400%以上、440%以上、480%以上、500%以上、550%以上、600%以上、650%以上、700%以上、750%以上、800%以上、850%以上、900%以上、950%以上、1000%以上、1100%以上、1200%以上、1300%以上、1400%以上、1500%以上、2000%以上、3000%以上、4000%以上、5000%以上、6000%以上、7000%以上、8000%以上、9000%以上、10000%以上、又は、100000%以上になる。
なお、本発明の「ブラッダー細胞形成作用遺伝子又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質が導入された植物体」は、本来、ブラッダー細胞形成能を有さない野生型がブラッダー細胞形成能を有する場合も対象とする。
さらに、本発明の「ブラッダー細胞形成作用遺伝子が導入された又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質が導入された植物体」は、野生型(該遺伝子が導入されていない遺伝子)と比較して、環境ストレス(例、高温多湿条件での栽培、乾燥、低温、紫外線、物理的ストレス(風、水)に対して強い。
【0028】
(植物体のブラッダー細胞形成方法)
本発明の植物体のブラッダー細胞形成(促進)方法は、ブラッダー細胞形成作用遺伝子及び/又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を植物体に導入する工程を含む。
また、本発明の植物体の環境ストレス向上方法は、ブラッダー細胞形成作用遺伝子及び/又はブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質を植物体に導入する工程を含む。
【0029】
(ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現が抑制された植物体)
ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現が抑制された植物体は、以下の(1)~(4)のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現が抑制された植物体である。このような植物体は、下記のブラッダー細胞形成抑制方法により得られる。「タンパク質の発現が抑制された」とは、一過性の発現抑制と恒常的(安定)な発現抑制を含む。植物体は、植物であれば特に限定されず、例えば被子植物、ヒユ科植物、イネ科植物、ハマミズナ科植物等であってもよく、ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質(ポリペプチド)をコードする遺伝子を有する植物が好ましく、キヌア(Chenopodium quinoa)がより好ましい。
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
【0030】
(ブラッダー細胞形成抑制方法)
ブラッダー細胞形成抑制方法は、対象の植物体におけるブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現を抑制することにより、対象の植物体におけるブラッダー細胞形成を抑制できる。
対象の植物体におけるブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の発現を抑制する方法は、特に限定されないが、例えばウイルスベクター法、RNAi法、人工マイクロRNAの導入、アンチセンスRNA法等が挙げられ、下記のブラッダー細胞形成抑制作用剤を用いる方法が好ましい。
【0031】
(ブラッダー細胞形成抑制作用剤)
ブラッダー細胞形成抑制作用剤として、例えばブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の発現を低下又は消失させる作用を有するdsRNA(double strand RNA:二重鎖RNA)を対象の植物体内で生成するための核酸を例示できる。
【0032】
ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の発現を抑制する作用を有するdsRNAを対象の植物体内で生成するための核酸は、好ましくはブラッダー細胞形成作用遺伝子の部分配列からなるDNAの塩基配列を含む。ブラッダー細胞形成作用遺伝子の部分配列からなるDNAの塩基配列は、該遺伝子のDNAの塩基配列(配列番号4)に基づいて設計したプライマーを用いたPCR等の任意の核酸合成法により製造することができる。dsRNAを対象の植物体内で生成するための核酸を構成するブラッダー細胞形成作用遺伝子の部分配列からなるDNAの塩基配列は、以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子の塩基配列の少なくとも10塩基、10~1000塩基、10~500塩基、50~500塩基、100~500塩基、200~400塩基、250~350塩基又は280~320塩基の部分配列からなる塩基配列であることが好ましい。このような塩基配列として、例えば配列番号7の塩基配列が挙げられる。
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【0033】
(ベクター)
ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の発現を抑制する作用を有するdsRNAを高効率かつ長期に対象の植物体の細胞中で発現させるには、ブラッダー細胞形成作用遺伝子の部分配列からなるDNAを含むベクターを用いて細胞内に導入する方法が好ましい。ブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の発現を抑制する作用を有するdsRNAを対象の植物体内で発現可能な発現ベクターは、ブラッダー細胞形成作用遺伝子の部分配列からなるDNAを担持させることにより、ブラッダー細胞形成抑制作用剤として好ましく使用できる。このようなベクターとして、例えば、ヘアピン型RNA発現ベクター、植物ウイルスベクター、RNAiベクター等が挙げられる。
植物ウイルスベクターは、目的遺伝子のVirus-induced gene silencing (VICS)を誘導できるベクター全種を含み、例えばpTRV(Tobacco rattle virus (TRV)由来ベクター)、PVX(potato virus X)等であってもよく、pEALSR2L5R5プラスミド及びpEALSR1プラスミドを含むApple latent spherical virus(ALSV)ベクターが好ましい。
RNAiベクターは、目的遺伝子のdsRNAを植物体内で発現することができるベクター全種を含み、例えばpANDA、pHELLSGATE等であってもよい。
【0034】
本発明は、ブラッダー細胞形成抑制作用剤の製造のための以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターの使用も対象とする。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成抑制作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【0035】
本発明は、ブラッダー細胞形成作用剤の製造のための以下の(1)~(8)のいずれか1に示す遺伝子又は該遺伝子を担持したベクターの使用も対象とする。
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(4)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(5)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラッダー細胞形成作用を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子、
(6)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1~50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、
(7)配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子、
(8)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子を含む上記(1)~(7)のいずれか1以上の遺伝子。
【0036】
本発明は、ブラッダー細胞形成抑制作用剤の製造のための以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成抑制作用を有するタンパク質の使用も対象とする。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成抑制作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
【0037】
本発明は、ブラッダー細胞形成作用剤の製造のための以下の(1)~(4)のいずれか1のアミノ酸配列を有するブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質の使用も対象とする。
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列、
(2)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が置換、欠損、挿入及び/又は付加しており、かつ配列番号1に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列と実質的同質のブラッダー細胞形成作用を有するアミノ酸配列、及び
(4)1塩基置換WDドメインである配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む上記(1)~(3)のいずれか1以上のアミノ酸配列。
【0038】
以下に具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【実施例1】
【0039】
(EMS変異処理によるブラッダー細胞が著しく減少した植物体の作製)
本実施例では、EMS変異処理によるブラッダー細胞が著しく減少した植物体(別名、ツルツル変異体)を以下の方法で作製した。
【0040】
(EMS変異処理と変異系統の作出)
キヌア(Chenopodiumquinoa)のEMS処理は以下の手順で実施した。キヌア種子を滅菌水で2回洗浄した。その後、0.2%EMS(Ethylmethanesulfonate、東京化成)水溶液で3時間振とうの後、水溶液を捨て種子を1~2日間乾燥した。この変異処理で得られた種子をM1種子とした。
EMS処理で得られたM1種子を播種し、人工気象室(23℃、湿度50-40%、明期12時間、暗期12時間)で栽培した。育成したM1植物体それぞれについて、M2(M1の子)、M3世代(M1の孫)を育成すると同時に、表現型の観察し、変異体を探索した(図1)。
【0041】
(ブラッダー細胞が著しく減少した植物体の確認)
キヌア種子約2,000粒について、EMS変異処理を実施しM3世代まで育成した。
観察の結果、ブラッダー細胞が著しく減少した植物体が出現するEMS系統を発見した(図2)。
電子顕微鏡を用いた観察では、野生型は茎頂付近の若い組織に一面にブラッダー細胞が存在しているのに対して、ブラッダー細胞が著しく減少した変異体は、葉脈付近に僅かに存在していたのみであった(図3)。
加えて、ブラッダー細胞が著しく減少した変異系統のM3世代96個体について、野生型形質とブラッダー細胞が著しく減少した形質の個体数を調査したところ、野生型70個体、ブラッダー細胞が著しく減少した表現型26個体であった。この結果から、野生型とブラッダー細胞が著しく減少した表現型の分離比は3:1であり、ブラッダー細胞が著しく減少した形質は、一遺伝子支配の劣勢形質であることを確認した。
【実施例2】
【0042】
(ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の単離及び該遺伝子を導入した植物体の作製)
本実施例では、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の単離を行い、さらに単離した遺伝子を導入した植物体を作製した。
【0043】
(ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の単離)
実施例1の分離比の結果より、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子が1つであることが明らかになった。
そこで、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の塩基配列の同定を行った。
実施例1においてブラッダー細胞が著しく減少した表現型が現れたEMS系統について、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の単離のため、ブラッダー細胞が著しく減少した表現型を示すM3植物体25個体、野生型の形質を示すM3植物体25個体をサンプリングし、形質ごと1つにまとめてゲノムDNAを抽出した。次世代シークエンサー(HiSeqX10, illumina社)を用いた解析法(参照:Akagi, T., Henry, I.M.,Tao, R. and Comai, L. 2014, Plant genetics. AY-chromosome-encoded small RNAacts as a sex determinant in persimmons. Science,346, 646-50.)により抽出したゲノムDNAの塩基配列を解析した。
解析の結果、WD40ドメインを持つ機能未知タンパク質をコードする遺伝子(図4:Accession No. XM_021859495、配列番号4)を候補として得た。
WD40ドメインを持つ機能未知タンパク質(Acc.No. XP_021715187、配列番号3)は、全長482アミノ酸残基からなり、139から432番目まで領域にWD40ドメインを持つタンパク質であった(塩基配列:配列番号4)。これをREBC1遺伝子と名付けた。
アラビドプシスには、細胞表面にブラッダー細胞に類似したトライコームという組織を形成する。このトライコーム形成に関わるタンパク質の中にWD40ドメインを持つTTG1タンパク質の存在が報告されている(Walker,A.R., Davison, P.A.,Bolognesi-Winfield, A.C., et al. 1999, The TRANSPARENTTESTA GLABRA1 locus,which regulates trichome differentiation and anthocyaninbiosynthesis inArabidopsis, encodes a WD40 repeat protein. Plant Cell, 11,1337-50.)。このTTG1タンパク質とREBC1遺伝子がコードするタンパク質との相同性を比較したところ、24%の相同性であり、それぞれ別のタンパク質であることを確認した。
また、EMS処理で得られたブラッダー細胞が著しく減少した表現型を示す植物体は、REBC1遺伝子の1139番目のG(グアニン)がA(アデニン)に変化することにより380番目のアミノ酸であるTrp(トリプトファン)がSTOPに変化していることを確認した(図4、塩基配列:配列番号2)。
【0044】
(ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の発現を抑制するためのプラスミドの作成)
REBC1遺伝子ORF領域(1-300 bp:配列番号7)の5’及び3’末端に制限酵素XhoI及びBamHIを付加した断片をPCRで合成した。次いで、得られたPCR断片をXhoIとBamHIで切断し、pEALSR2L5R5(参照:Li, C., Sasaki, N.,Isogai, M. and Yoshikawa, N. 2004, Stableexpression of foreign proteins inherbaceous and apple plants using Apple latentspherical virus RNA2 vectors. Arch.Virol., 149, 1541-58.)のXhoI, BamHIサイトに挿入してpEALSR2L5R5-REBC1を得た(図5)。
【0045】
(ウイルスベクターを使用してブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子の発現を抑制した植物体の作製)
単離した遺伝子が、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子であることを証明するために、植物ウイルスベクター(参照:Li, C., Sasaki, N., Isogai, M. andYoshikawa, N. 2004,Stable expression of foreign proteins in herbaceous andapple plants usingApple latent spherical virus RNA2 vectors. Arch. Virol.,149,1541-58.)を用いて、REBC1を導入した植物体を作成しブラッダー細胞数を評価した。
具体的には、REBC1遺伝子の断片をクローニングしたpEALSR2L5R5-REBC1プラスミド溶液を、pEALSR1プラスミド(参照:Li, C., Sasaki,N., Isogai, M. andYoshikawa, N. 2004, Stable expression of foreign proteins inherbaceous andapple plants using Apple latent spherical virus RNA2 vectors.Arch. Virol.,149, 1541-58.)溶液と等量混合し、さらにカーボランダムを添加し、ウイルスベクターにREBC1遺伝子(配列番号4)の1番目から300番目までの塩基配列を有する断片(rebc1)を導入したベクターpEALSR2L5R5-rebc1を含む混合液を作成した。ベクターコントロールには、pEALSR2L5R5(図5)を使用した。これらの混合液を、野生型のキヌアの緑葉に塗布し、植物体を育成した。接種後1ヶ月後の植物体を観察し、ブラッダー細胞の有無を確認した。
その結果、pEALSR2L5R5-rebc1を接種した植物体ではブラッダー細胞形成が著しく抑制された(図6)。
【0046】
以上により、単離したREBC1遺伝子(塩基配列:配列番号4)が、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子であることを確認した。
また、REBC1遺伝子の1139番目のG(グアニン)のA(アデニン)への変異(塩基配列:配列番号2)によりブラッダー細胞が著しく減少した表現型となることを確認した。
【実施例3】
【0047】
(環境ストレス耐性の確認)
本実施例では、REBC1遺伝子の1139番目のG(グアニン)がA(アデニン)に変異した塩基配列(配列番号2)を有する植物体の環境ストレス耐性の確認をした。
【0048】
実施例2と同様に実施例1においてブラッダー細胞が著しく減少した表現型が現れたEMS系統(REBC1変異体)のM3種子を100粒播種後、通常条件で3週間栽培した植物体を、高温多湿(30~32℃(明期)、23℃(暗期)、湿度100%、明期12時間、暗期12時間)の条件で1ヶ月栽培した。植物体の生育状況を観察した。
【0049】
(環境ストレス耐性の結果)
REBC1変異体と野生型を高温多湿条件で栽培した結果、全40個体数中の38個体のREBC1変異体では、茎頂付近に深刻な傷害を受けていた(図7)。一方、野生型の全56個体数において、REBC1変異体で見られた傷害は確認されなかった(図7)。
以上から、ブラッダー細胞形成制御に関与する遺伝子がブラッダー細胞の植物のストレスに対しての保護機能の向上又は低下に関与することが明らかになった。
【実施例4】
【0050】
(ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子を導入した植物体のストレス耐性)
本実施例では、実施例2で取得したブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子の機能を確認した。また、該遺伝子を導入した植物体がストレス耐性を有するかどうかを確認する。詳細は、以下の通りである。
【0051】
(ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子過剰発現プラスミドの作成)
配列番号4に記載のREBC1遺伝子全長ORFの5’及び3’末端に制限酵素EcoRI及びBamHIを付加した断片をPCRで合成した。次いで、得られたPCR断片をEcoRIとBamHIで切断し、pCAMBIA1301M(Imamura et al, Plantcell Physiol, 2007)の恒常的発現CaMV35Sプロモーターの下流に存在するEcoRI, BamHIサイトに挿入した。得られたベクターをpCAMBIA-REBC1-oxとした。またベクターコントロールとしてpCAMBIA1301Mを使用した。
【0052】
(ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子の機能の確認)
単離した配列番号4に記載の遺伝子が、REBC1変異を回復する能力を持つか相補実験を行った。詳しくは、REBC1変異体について、アグロバクテリウムを用いた方法で、配列番号4に記載のREBC1遺伝子過剰発現キヌアを作成した(図8)。
得られた植物体の葉柄組織表面に形成されたブラッダー細胞数を測定した。配列番号4に記載のREBC1遺伝子の過剰発現体では、該遺伝子導入前にブラッダー細胞が形成されていなかった部位(葉柄)において該遺伝子導入後にブラッダー細胞の形成を確認した。一方、ベクターコントロール(図8)を導入した植物では、ブラッダー細胞形成の誘導は認められなかった。よって、配列番号4に記載のREBC1遺伝子(ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子)は、ブラッダー細胞形成作用(ブラッダー細胞形成能を促進させる作用、ブラッダー細胞形成能を維持させる作用、ブラッダー細胞形成能を増加させる作用、ブラッダー細胞形成数を増加させる作用、ブラッダー細胞形成能を創出させる作用)を持つことが明らかになった。
【0053】
(植物体のストレス耐性試験)
野生型のカルス(脱分化細胞)の表面には、通常、無数のブラッダー細胞が形成されている。一方、実施例2で作製したREBC1変異体のカルスではわずかにしか形成されていない。この知見をもとに、本実施例では、カルスの表面に存在するブラッダー細胞の形成数を測定することにより、ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子導入による植物体のブラッダー細胞形成能(促進)作用を評価する。
詳しくは、過剰発現プラスミド(pCAMBIA-REBC1-ox)又はベクターコントロール(pCAMBIA1301M)を保持する形質転換リゾビウム・リゾゲネス(Rhizobiumrhizogenes)を用いて、過剰発現プラスミド(pCAMBIA-REBC1-ox)又はベクターコントロール(pCAMBIA1301M)をREBC1変異体に導入する(Ron et al, Plant Physiol, 2014)。この導入により、ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子が導入されたキヌアは、毛状根を形成した。この毛状根からカルスを誘導し、表面のブラッダー細胞の形成数を評価した。
さらに、得られたカルスにおいて、NaClを含む培地で培養し、塩に対する耐性能を増殖能又は生存率で評価する。加えて、培養したカルスのブラッダー細胞に含まれる塩の濃度も測定する。
【0054】
(ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子を導入した植物体のストレス耐性)
ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子過剰発現カルスに関し、NaClを含む培地で培養することにより、コントロールに比べ、生存している個体が多く得られることを確認する。さらに、ストレス処理を施したブラッダー細胞に関し、内容物の組成を測定して、塩を高濃度に蓄積していることを確認する。
よって、植物体がブラッダー細胞を多く持つことは、塩のストレスに対して耐性を示す。
ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子過剰発現プラスミド(pCAMBIA-REBC1-ox)を野生型に導入し、ブラッダー細胞形成作用を有するタンパク質過剰発現体を作成する。該過剰発現植物は、野生型と比較して、本来ブラッダー細胞が少ない組織(茎、成長した葉)において過剰にブラッダー細胞が形成されていることを確認する。得られた形質転換体と野生型について、塩、乾燥ストレスの試験を行い、過剰発現体は、野生型と比較して、ストレス耐性が高いことを確認する。
よって、ブラッダー細胞形成作用を有する遺伝子を導入した植物体は、野生型と比較して、ストレス耐性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、ブラッダー細胞形成制御作用剤、並びに、該作用剤を導入した植物体を提供することが可能になった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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