(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
(21)【出願番号】P 2020014593
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一郎
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-283810(JP,A)
【文献】特開2006-276417(JP,A)
【文献】特開2010-8848(JP,A)
【文献】特開2010-8974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0299530(US,A1)
【文献】特開2005-283809(JP,A)
【文献】特開平11-15478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ店舗に設置されている店舗端末、当該カラオケ店舗の従業員が携帯する従業員用端末、及び当該カラオケ店舗の部屋毎に設置されているカラオケ装置を有するカラオケシステムであって、
前記店舗端末は、
あるカラオケ装置が設置された部屋からオーダーされた飲食物に関する飲食物情報を、当該部屋を識別するための部屋識別情報と紐付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、
記憶されている飲食物情報に対応する飲食物の提供が可能となった場合、当該飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋に設置されている前記あるカラオケ装置に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する予約指示部と、
前記所定楽曲の予約指示信号を送信した前記あるカラオケ装置から当該所定楽曲の演奏開始信号を受信した場合、通信可能な前記従業員用端末に対して、当該あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を示す時間情報を送信する第1の送信処理部と、を備え、
前記従業員用端末は、
前記店舗端末から受信した時間情報に基づいて、前記あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を提示する提示部を備え、
前記カラオケ装置は、
前記店舗端末から所定楽曲の予約指示信号を受信した場合に、当該所定楽曲の予約を行う予約処理部と、
前記所定楽曲を含む楽曲の演奏を行う演奏処理部と、
予約した前記所定楽曲の演奏を開始する際、前記店舗端末に当該所定楽曲の演奏開始信号を送信する第2の送信処理部と、
を備えるカラオケシステム。
【請求項2】
前記従業員用端末は、前記飲食物の提供が完了した場合、前記あるカラオケ装置に対して提供完了信号を送信する第3の送信処理部を備え、
前記演奏処理部は、前記従業員用端末から飲食物の提供完了信号を受信した場合、前記所定楽曲の演奏を中止することを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記演奏処理部は、前記所定楽曲の演奏が終了する時点で前記提供完了信号を受信していない場合、前記所定楽曲の演奏を再度行うことを特徴とする請求項2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記カラオケ装置は、
表示に関する各種処理を行う表示処理部を有し、
前記所定楽曲の演奏中に演奏を中止する旨の指示入力がなされた場合、前記演奏処理部は当該所定楽曲の演奏を継続し、前記表示処理部は、当該所定楽曲の演奏を継続する旨のメッセージを表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ店舗の利用者は、カラオケ装置を利用してカラオケ歌唱を楽しむだけでなく、飲食物をオーダーして食事を楽しむこともできる。
【0003】
しかし、カラオケ歌唱を行っている最中にオーダーした飲食物が提供されると、カラオケ歌唱中の利用者の歌唱意欲が低下したり、聴衆の盛り上がりに水を指したりする恐れがある。
【0004】
そこで、特許文献1には、各カラオケルーム内に設置されているカラオケ演奏装置とネットワーク接続した統括管理装置において、各カラオケルームの利用現況を統括的に判別させる技術が開示されている。このような技術によれば、カラオケルームに飲食物を提供する際、統括管理者は、利用者が歌唱していないタイミングでサービス担当者に対して飲食物を搬入するように指令できる。
【0005】
また、特許文献2には、ルーム内に設置されている検出機器により、サービス提供者が入室したのか、退室したのかを判定し、サービス提供者がルーム内に入室していると判定された場合には、カラオケ装置の予約待ち行列に登録され、現在演奏中もしくは演奏終了後の楽曲の次曲の演奏を開始しないように制御する一方、サービス提供者がルーム外へ退室したと判定された場合には、所定時間経過後に次曲の演奏を開始するように制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-283810号公報
【文献】特開2010-008974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1の技術では、店員に対し、たとえばカラオケ演奏の非歌唱区間となったタイミングでの入室を指示することができる。しかしながら、非歌唱区間の長さは楽曲によって異なるため、非歌唱区間中に飲食物の提供を終えることができるとは限らない。また店員は、非歌唱区間の長さを知ることはできない。よって、飲食物を提供することによって、利用者のカラオケ歌唱を妨げる可能性がある。また、特許文献2の技術では、カラオケ演奏の最中に店員が入室した場合には、カラオケ演奏が継続されるため、利用者のカラオケ歌唱を妨げる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、利用者のカラオケ歌唱を妨げることなくオーダーした飲食物を提供可能なカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一の発明は、カラオケ店舗に設置されている店舗端末、当該カラオケ店舗の従業員が携帯する従業員用端末、及び当該カラオケ店舗の部屋毎に設置されているカラオケ装置を有するカラオケシステムであって、前記店舗端末は、あるカラオケ装置が設置された部屋からオーダーされた飲食物に関する飲食物情報を、当該部屋を識別するための部屋識別情報と紐付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、記憶されている飲食物情報に対応する飲食物の提供が可能となった場合、当該飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋に設置されている前記あるカラオケ装置に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する予約指示部と、前記所定楽曲の予約指示信号を送信した前記あるカラオケ装置から当該所定楽曲の演奏開始信号を受信した場合、通信可能な前記従業員用端末に対して、当該あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を示す時間情報を送信する第1の送信処理部と、を備え、前記従業員用端末は、前記店舗端末から受信した時間情報に基づいて、前記あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を提示する提示部を備え、前記カラオケ装置は、前記店舗端末から所定楽曲の予約指示信号を受信した場合に、当該所定楽曲の予約を行う予約処理部と、前記所定楽曲を含む楽曲の演奏を行う演奏処理部と、予約した前記所定楽曲の演奏を開始する際、前記店舗端末に当該所定楽曲の演奏開始信号を送信する第2の送信処理部と、を備えるカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者のカラオケ歌唱を妨げることなくオーダーした飲食物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る店舗端末を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る従業員用端末を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る従業員用端末を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1~
図6を参照して、本実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0013】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、店舗端末F、従業員用端末M、及びカラオケ装置K1~K3を含む。
【0014】
店舗端末Fは、カラオケ店舗Sに設置されているコンピュータである。店舗端末Fは、従業員W1の操作により、カラオケ店舗Sの利用者Uの受付や、オーダーを受けた飲食物の記憶(後述)等を行うことができる。従業員W1は、カラオケ店舗Sにおけるフロント業務を行うものである。従業員W2は、厨房で飲食物の準備を行うものである。
【0015】
従業員用端末Mは、カラオケ店舗Sの従業員W3が携帯するスマートフォン等の端末である。従業員用端末Mは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、近くにある店舗端末Fやカラオケ装置との通信を確立することができる。従業員W3は、カラオケ店舗Sにおけるホール業務を行うものである。
【0016】
本実施形態における従業員用端末Mには、カラオケ店舗でサービスを提供する際に使用する専用アプリケーションソフトウェア(以下、「店舗アプリ」)がインストールされている。店舗アプリは、飲食物の提供に関する様々な機能を実行することができる。なお、
図1ではホール業務を行う一の従業員W3及び一の従業員用端末Mを示しているが、複数のホール担当の従業員がそれぞれ従業員用端末を携帯していてもよい。
【0017】
カラオケ装置K1~カラオケ装置K3は、カラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。カラオケ装置K1は部屋R1に設置されており、カラオケ装置K2は部屋R2に設置されており、カラオケ装置K3は部屋R3に設置されている。店舗端末Fと各カラオケ装置とは、LAN等のカラオケ店舗S内のネットワークを介して通信可能となっている。以下では、利用者Uが部屋R1に設置されているカラオケ装置K1を利用する場合について説明を行う。なお、
図1ではカラオケ装置の数が3つの例を示しているが、カラオケ装置が4つ以上あってもよい。
【0018】
==店舗端末==
図2を参照して、店舗端末Fの構成について説明する。
図2に示すように、店舗端末Fは、記憶手段10、通信手段11、表示手段12、入力手段13、及び制御手段14を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0019】
[記憶手段]
記憶手段10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態において、記憶手段10は、部屋識別情報と装置識別情報とを紐付けたテーブルを記憶している。
【0020】
部屋識別情報は、部屋毎に設定されたID等、カラオケ店舗S内の部屋を識別するための情報である。装置識別情報は、装置毎に設定されたID等、各部屋に設置されたカラオケ装置を識別するための情報である。
【0021】
たとえば
図1に示すカラオケ店舗Sの場合、記憶手段10は、部屋R1の部屋識別情報ID_R1とカラオケ装置K1の装置識別情報ID_K1とを紐付け、部屋R2の部屋識別情報ID_R2とカラオケ装置K2の装置識別情報ID_K2とを紐付け、部屋R3の部屋識別情報ID_R3とカラオケ装置K3の装置識別情報ID_K3とを紐付けたテーブルを記憶している。
【0022】
[通信手段、表示手段、入力手段]
通信手段11は、従業員用端末Mや各カラオケ装置との通信を行うためのインターフェースを提供する。表示手段12は、各種情報を表示させるディスプレイである。入力手段13は、従業員W1が各種指示入力を行うための構成である。なお、表示手段12がタッチパネル形式で構成されている場合、表示手段12が入力手段13として機能してもよい。
【0023】
[制御手段]
制御手段14は、店舗端末Fにおける各種の制御を行う。制御手段14は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0024】
本実施形態において、制御手段14は、記憶処理部14a、予約処理部14b、及び第1の送信処理部14cとして機能する。
【0025】
(記憶処理部)
記憶処理部14aは、あるカラオケ装置が設置された部屋からオーダーされた飲食物に関する飲食物情報を、当該部屋を識別するための部屋識別情報と紐付けて記憶手段10に記憶させる。
【0026】
飲食物情報は、飲食物名、数量、飲食物毎に設定されているID等である。たとえば、カラオケ装置K1を利用する利用者Uが、部屋R1に設置されているインターホンを通じて飲食物Xを1つオーダーしたとする。オーダーを受けた従業員W1は、入力手段13を介して部屋R1の部屋識別情報ID_R1、飲食物名(飲食物X)、及び数量(1つ)を入力する。記憶処理部14aは、入力された飲食物名および数量を飲食物情報IXとして、部屋R1の部屋識別情報ID_R1と紐付けて記憶手段10に記憶させる。その後、従業員W2は、飲食物情報IXを確認しながら飲食物を提供する準備を行う。
【0027】
なお、利用者Uは、カラオケ装置K1に付属するリモコン装置70(
図4参照。後述)を介して飲食物をオーダーすることもできる。この場合、利用者Uは、リモコン装置70の表示画面に表示される飲食物名や写真を参照しながら、所望の飲食物及び数量を選択する。リモコン装置70は、選択された飲食物のID及び数量を飲食物情報IXとして、部屋R1の部屋識別情報ID_R1と紐付け、カラオケ装置K1を介して店舗端末Fに送信する。記憶処理部14aは、受信した飲食物情報IX及び部屋識別情報ID_R1を記憶手段10に記憶させる。
【0028】
(予約指示部)
予約指示部14bは、記憶されている飲食物情報に対応する飲食物の提供が可能となった場合、当該飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋に設置されているあるカラオケ装置に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する。
【0029】
所定楽曲は、飲食物を提供する際にカラオケ装置で演奏される楽曲である。所定楽曲は、たとえば、適当な音楽の演奏と共に、飲食物に関する画像や映像などが表示されるものであってもよい。所定楽曲の演奏データ等は、予めカラオケ装置に記憶されている。
【0030】
上記例において、飲食物Xの提供が可能となったとする。この場合、従業員W1または従業員W2は、入力手段13を介して提供可能の指示入力を行う。予約指示部14bは、当該指示入力に応じて飲食物情報IXに紐付けられている部屋識別情報ID_R1に対応する部屋R1に設置されているカラオケ装置K1に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する。
【0031】
(第1の送信処理部)
第1の送信処理部14cは、所定楽曲の予約指示信号を送信したあるカラオケ装置から当該所定楽曲の演奏開始信号を受信した場合、通信可能な従業員用端末に対して、時間情報を送信する。
【0032】
時間情報は、あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を示す。時間情報は、所定楽曲の演奏時間に応じて決定される。たとえば、所定楽曲の演奏時間が2分間の場合、従業員W3はその間に飲食物の提供を終えることが望ましい。すなわち、時間情報は「2分(120秒)」となる。
【0033】
上記例において、所定楽曲の予約指示信号を受信したカラオケ装置K1は、所定楽曲の演奏開始に伴い、演奏開始信号を店舗端末Fに送信する。演奏開始信号を受信した場合、第1の送信処理部14cは、通信可能な状態にある従業員用端末を探す。たとえば、従業員用端末Mとの通信が可能となっている場合、第1の送信処理部14cは、従業員用端末Mに時間情報を送信する。
【0034】
==従業員用端末==
図3を参照して、従業員用端末Mの構成について説明する。
図3に示すように、従業員用端末Mは、記憶手段20、通信手段21、表示手段22、入力手段23、及び制御手段24を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0035】
[記憶手段、通信手段、表示手段、入力手段]
記憶手段20は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。通信手段21は、店舗端末Fや各カラオケ装置との通信を行うためのインターフェースを提供する。表示手段22は、各種情報を表示させるディスプレイである。入力手段23は、従業員W3が各種指示入力を行うための構成である。なお、表示手段22がタッチパネル形式で構成されている場合、表示手段22が入力手段23として機能してもよい。
【0036】
[制御手段]
制御手段24は、従業員用端末Mにおける各種の制御を行う。制御手段24は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0037】
本実施形態において、従業員W3が店舗アプリを起動させることにより、制御手段24は、提示部24aとして機能する。
【0038】
(提示部)
提示部24aは、店舗端末から受信した時間情報に基づいて、あるカラオケ装置が設置された部屋に飲食物を提供可能な時間を提示する。
【0039】
時間の提示は時間情報に基づいて行う。たとえば、「2分(120秒)」の時間情報を受信した場合、提示部24aは、カウントダウン初期値として「120」を表示手段22に表示させ、カウントダウンを実行する。或いは、提示部24aは、従業員用端末Mのスピーカ(図示なし)から「今から2分以内に飲食物を提供してください」、「後1分です」といった音声を放音させることにより時間の提示を行ってもよい。
【0040】
上記例において、第1の送信処理部14cから時間情報を受信した場合、提示部24aは、表示手段22にカラオケ装置K1が設置された部屋R1に飲食物Xを提供可能な時間を提示する。従業員W3は、当該時間を確認することで飲食物Xをいつまでに提供すべきかを把握することができる。従業員W3は、厨房まで飲食物Xを取りに行き、その後、部屋R1まで飲食物Xを届ける。
【0041】
==カラオケ装置==
カラオケ装置は、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。以下、カラオケ装置K1について説明を行うが、カラオケ装置K2及びカラオケ装置K3も同様の構成や機能を有する。
図4に示すように、カラオケ装置K1は、カラオケ本体30、スピーカ40、表示装置50、マイク60、及びリモコン装置70を備える。
【0042】
カラオケ本体30は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク60を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ40はカラオケ本体30からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置50はカラオケ本体30からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。表示装置50は「表示手段」の一例である。マイク60はカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの歌唱音声信号に変換してカラオケ本体20に入力するための構成である。リモコン装置70は、カラオケ本体30に対する各種操作を行うための装置である。
【0043】
図5に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体30は、記憶手段30a、通信手段30b、入力手段30c、及び制御手段30dを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0044】
[記憶手段]
記憶手段30aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶手段30aは、たとえばカラオケ装置K1によりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを楽曲識別情報と紐付けて記憶する。また、本実施形態に係る記憶手段30aは、所定楽曲に関する楽曲データを楽曲識別情報と紐付けて記憶している。
【0045】
楽曲データは、演奏データ、リファレンスデータ等を含む。演奏データは、カラオケ演奏音の元となるMIDI形式のデータである。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準として用いられるデータである。
【0046】
また、楽曲データは、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌詞テロップを表示装置50等に表示させるための歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に表示装置50等に表示される背景画像に対応する背景画像データ等を含む。
【0047】
[通信手段・入力手段]
通信手段30bは、リモコン装置70、店舗端末F、及び従業員用端末Mとの通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段30cは、利用者Uが各種の指示入力を行うための構成である。入力手段30cは、カラオケ本体30に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置70が入力手段30cとして機能してもよい。
【0048】
[制御手段]
制御手段30dは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段30dは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0049】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段30dは、予約処理部100、演奏処理部200、第2の送信処理部300、及び表示処理部400として機能する。
【0050】
(予約処理部)
予約処理部100は、カラオケ装置K1における楽曲の予約を行う。たとえば、利用者Uが、リモコン装置70を介してある楽曲を選曲したとする。この場合、予約処理部100は、リモコン装置70から送信されるある楽曲の楽曲IDを予約待ち行列に登録することで楽曲の予約を行う。
【0051】
また、本実施形態に係る予約処理部100は、店舗端末Fから所定楽曲の予約指示信号を受信した場合に、当該所定楽曲の予約を行う。
【0052】
具体的に、予約処理部100は、予約指示信号を受信した場合、所定楽曲の楽曲IDを予約待ち行列に登録することで所定楽曲の予約を行う。
【0053】
なお、予約指示信号を受信した際に、現在カラオケ演奏中の楽曲を含む複数の楽曲が既に予約待ち行列に登録してある場合もある。この場合、予約処理部100は、現在カラオケ演奏中の楽曲の次に所定楽曲の楽曲IDを割り込ませることで予約を行う。
【0054】
(演奏処理部)
演奏処理部200は、楽曲の演奏を行う。具体的に、演奏処理部200は、予約待ち行列に登録されている順に楽曲IDに基づいて楽曲データを記憶手段30aから読み出し、楽曲データに含まれる演奏データを処理することでスピーカ40を介して演奏音を放音させる。
【0055】
予約待ち行列に所定楽曲が登録されている場合、演奏処理部200は、所定楽曲の演奏を行う。演奏処理部200は、その旨の信号を第2の送信処理部300に出力する。
【0056】
(第2の送信処理部)
第2の送信処理部300は、予約した所定楽曲の演奏を開始する際、店舗端末Fに当該所定楽曲の演奏開始信号を送信する。
【0057】
予約待ち行列に登録された所定楽曲の演奏を開始する場合、演奏処理部200からその旨の信号が出力される。第2の送信処理部300は、当該信号に基づいて、店舗端末Fに対し、所定楽曲の演奏開始信号を送信する。なお、演奏開始信号を送信する対象となる端末は、所定楽曲の予約指示信号を送信した端末(上記例であれば店舗端末F)である。
【0058】
また、所定楽曲は利用者自身が選曲した楽曲でないため、間違って予約したと思って演奏を中止させようとする利用者がいる可能性もある。
【0059】
そこで、演奏処理部200は、所定楽曲の演奏中に入力手段30cやリモコン装置70を介して演奏を中止する旨の指示入力がなされた場合、当該所定楽曲の演奏を継続することができる。すなわち、演奏処理部200は、利用者からの演奏中止の指示入力を受けた場合であっても所定楽曲の演奏を中止せず、飲食物の提供が完了するまで演奏を継続する。
【0060】
(表示処理部)
表示処理部400は、カラオケ装置K1における表示に関する各種処理を行う。たとえば、表示処理部400は、楽曲の演奏に同期して、歌詞テロップデータに基づく歌詞テロップを背景映像に重畳して表示装置50に表示させる。
【0061】
また、表示処理部400は、所定楽曲の演奏中に演奏を中止する旨の指示入力がなされた場合、当該所定楽曲の演奏を継続する旨のメッセージを表示手段に表示させることができる。
【0062】
たとえば、上記例において、飲食物Xが提供される前に利用者Uがリモコン装置70を介して演奏中止の指示入力を行ったとする。この場合、表示処理部400は、飲食物Xの提供が完了するまで所定楽曲の演奏を継続する旨のメッセージを表示装置50に表示させる。このメッセージに対応するデータは、所定楽曲の楽曲データに含まれている。
【0063】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、
図6を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理について述べる。
図6は、カラオケシステム1における処理を示すフローチャートである。ここでは、
図1に示すように、利用者Uがカラオケ装置K1を利用しているとする。また、従業員用端末Mと店舗端末Fは通信可能となっているとする。
【0064】
利用者Uは、部屋R1のインターホンを利用して、飲食物Xのオーダーを行う。店舗端末Fの記憶処理部14aは、従業員W1が入力した、部屋R1からオーダーされた飲食物Xに関する飲食物情報を、部屋R1の部屋識別情報と紐付けて記憶手段10に記憶させる(飲食物情報及び部屋識別情報を記憶。ステップ10)。従業員W2は、飲食物情報に基づいて飲食物Xの準備を行う。
【0065】
記憶されている飲食物情報に対応する飲食物の提供が可能となった場合、予約指示部14bは、飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋R1に設置されているカラオケ装置K1に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する(所定楽曲の予約指示信号を送信。ステップ11)。
【0066】
カラオケ装置K1の予約処理部100は、店舗端末Fから所定楽曲の予約指示信号を受信した場合に、当該所定楽曲の予約を行う(所定楽曲を予約。ステップ12)。
【0067】
演奏処理部200は、所定楽曲の演奏を開始する(所定楽曲の演奏開始。ステップ13)。また、予約した所定楽曲の演奏を開始する際、第2の送信処理部300は、店舗端末Fに当該所定楽曲の演奏開始信号を送信する(演奏開始信号を送信。ステップ14)。
【0068】
店舗端末Fの第1の送信処理部14cは、所定楽曲の予約指示信号を送信したカラオケ装置K1から当該所定楽曲の演奏開始信号を受信した場合、通信可能な従業員用端末Mに対して、カラオケ装置K1が設置された部屋R1に飲食物を提供可能な時間を示す時間情報を送信する(時間情報を送信。ステップ15)。
【0069】
従業員用端末Mの提示部24aは、店舗端末Fから受信した時間情報に基づいて、カラオケ装置K1が設置された部屋R1に飲食物Xを提供可能な時間を提示する(飲食物を提供可能な時間を提示。ステップ16)。従業員W3は、ステップ16で提示された時間を参照して飲食物Xの提供を行う。
【0070】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、カラオケ店舗Sに設置されている店舗端末F、カラオケ店舗Sの従業員W3が携帯する従業員用端末M、及びカラオケ店舗Sの部屋R1に設置されているカラオケ装置K1を有する。店舗端末Fは、カラオケ装置K1が設置された部屋R1からオーダーされた飲食物に関する飲食物情報を、部屋R1を識別するための部屋識別情報と紐付けて記憶手段10に記憶させる記憶処理部14aと、記憶されている飲食物情報に対応する飲食物の提供が可能となった場合、当該飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋R1に設置されているカラオケ装置K1に対し、所定楽曲の予約指示信号を送信する予約指示部14bと、所定楽曲の予約指示信号を送信したカラオケ装置K1から当該所定楽曲の演奏開始信号を受信した場合、通信可能な従業員用端末Mに対して、カラオケ装置K1が設置された部屋R1に飲食物を提供可能な時間を示す時間情報を送信する第1の送信処理部14cと、を備える。従業員用端末Mは、店舗端末Fから受信した時間情報に基づいて、カラオケ装置K1が設置された部屋R1に飲食物を提供可能な時間を提示する提示部24aを備える。カラオケ装置K1は、店舗端末Fから所定楽曲の予約指示信号を受信した場合に、当該所定楽曲の予約を行う予約処理部100と、所定楽曲を含む楽曲の演奏を行う演奏処理部200と、予約した所定楽曲の演奏を開始する際、店舗端末Fに当該所定楽曲の演奏開始信号を送信する第2の送信処理部300とを備える。
【0071】
このようなカラオケシステム1によれば、利用者がオーダーした飲食物が提供される際には、所定楽曲が演奏される。よって、カラオケ歌唱を行っている最中にオーダーした飲食物が提供されることがないため、カラオケ歌唱中の利用者の歌唱意欲が低下したり、聴衆の盛り上がりに水を指したりするようなことがない。また、飲食物を提供する従業員も、提供可能な時間を確認することで、入室のタイミングを把握できる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、利用者のカラオケ歌唱を妨げることなくオーダーした飲食物を提供できる。
【0072】
また、カラオケ装置K1は、表示に関する各種処理を行う表示処理部400を有し、所定楽曲の演奏中に演奏を中止する旨の指示入力がなされた場合、演奏処理部200は当該所定楽曲の演奏を継続し、表示処理部400は、当該所定楽曲の演奏を継続する旨のメッセージを表示装置50に表示させる。このようなカラオケシステム1によれば、飲食物の提供が完了するまでカラオケ歌唱が行われることがない。
【0073】
なお、所定楽曲として、演奏時間の長さが異なる複数の楽曲がカラオケ装置に記憶されていてもよい。演奏時間の長さは、たとえば、厨房から部屋までの距離に応じて設定される。この場合、店舗端末Fの記憶手段10には、部屋識別情報、装置識別情報、及び厨房から部屋までの距離に対応した演奏時間を有する所定楽曲の楽曲IDを紐付けたテーブルが記憶されている。予約指示部14bは、提供が可能となった飲食物情報に紐付けられている部屋識別情報に対応する部屋に設置されているカラオケ装置に対し、部屋識別情報に対応する所定楽曲の楽曲IDを含んだ予約指示信号を送信する。これにより、カラオケ装置は、厨房から部屋までの距離に対応した演奏時間の所定楽曲を演奏することができる。
【0074】
<第2実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照して、第2実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。本実施形態では、飲食物の提供が完了した場合、所定楽曲の演奏を中止する例について説明する。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0075】
==従業員用端末==
図7に示すように、本実施形態において、制御手段24は、提示部24a及び第3の送信処理部24bとして機能する。
【0076】
(第3の送信処理部)
第3の送信処理部24bは、飲食物の提供が完了した場合、あるカラオケ装置に対して提供完了信号を送信する。
【0077】
たとえば第1実施形態の例において、従業員W3は、部屋R1に飲食物Xの提供を行った後、入力手段23を介して「提供完了」の指示入力を行う。第3の送信処理部24bは、当該指示入力に応じて部屋R1に設置されているカラオケ装置K1に対して提供完了信号を送信する。
【0078】
==カラオケ装置==
(演奏処理部)
本実施形態に係る演奏処理部200は、提供完了信号を受信した場合、所定楽曲の演奏を中止する。
【0079】
たとえば第1実施形態の例において、所定楽曲の演奏中に従業員W3が飲食物Xの提供を完了したとする。この場合、従業員用端末Mの第3の送信処理部24bは、カラオケ装置K1に対して提供完了信号を送信する。
【0080】
演奏処理部200は、提供完了信号を受信した場合、所定楽曲の演奏を中止する。演奏の中止は、たとえば、所定楽曲の演奏を途中でフェードアウトさせることでもよいし、提供完了信号を受信した後、所定時間経過後に演奏を終了してもよい。所定時間は、たとえば、提供完了信号の受信から従業員が退室するまでに要する平均的な時間とすることができる。
【0081】
なお、所定楽曲の演奏中止後、予約待ち行列に他の楽曲が登録されている場合、演奏処理部200は、他の楽曲の演奏を自動的に、或いは利用者Uからの指示入力に基づいて開始する。
【0082】
また、何らかの事情により、所定楽曲の演奏が終了する時点で飲食物の提供が完了できない場合もありうる。そこで、演奏処理部200は、所定楽曲の演奏が終了する時点で提供完了信号を受信していない場合、所定楽曲の演奏を再度行うことができる。
【0083】
たとえば第1実施形態の例において、所定楽曲の演奏終了時点で飲食物Xの提供がなされていないとする。この場合、従業員用端末Mから提供完了信号が送信されることはない。そこで、演奏処理部200は、提供完了信号を受信するまで、所定楽曲の演奏を繰り返し行う。
【0084】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、
図8を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理について述べる。
図8は、カラオケシステム1における処理を示すフローチャートである。ここでは、
図1に示すように、利用者Uがカラオケ装置K1を利用しているとする。また、従業員用端末Mと店舗端末Fは通信可能となっているとする。
【0085】
ステップ20からステップ26は、第1実施形態で説明したステップ10からステップ16と同様である。
【0086】
飲食物の提供が完了した場合、第3の送信処理部24bは、カラオケ装置K1に対して提供完了信号を送信する(提供完了信号を送信。ステップ27)。
【0087】
カラオケ装置K1の演奏処理部200は、従業員用端末Mから飲食物Xの提供完了信号を受信した場合、所定楽曲の演奏を中止する(所定楽曲の演奏を中止。ステップ28)。
【0088】
以上から明らかなように、本実施形態に係る第3の送信処理部24bは、飲食物の提供が完了した場合、カラオケ装置K1に対して提供完了信号を送信し、演奏処理部200は、飲食物の提供完了信号を受信した場合、所定楽曲の演奏を中止する。このようなカラオケシステム1によれば、他に予約待ち行列に登録された楽曲がある場合に、速やかに当該楽曲のカラオケ演奏を開始することができる。
【0089】
また、演奏処理部200は、所定楽曲の演奏が終了する時点で提供完了信号を受信していない場合、所定楽曲の演奏を再度行うことができる。このようなカラオケシステム1によれば、何らかの事情により飲食物の提供が間に合わない場合であっても、カラオケ演奏が再開されることが無い。
【0090】
<その他>
上記実施形態では、一つの店舗端末Fが設置されている例について説明した。一方、オーダーを受け付けるフロント端末と、飲食物を提供する厨房に設けられる厨房端末のように、店舗端末Fを2つ以上の端末で構成してもよい。この場合、たとえばフロント端末が、記憶処理部14aの処理を実行し、厨房端末が予約指示部14b及び第1の送信処理部14cの処理を実行することができる。
【0091】
また、表示処理部400は、演奏処理部200による所定楽曲の演奏に併せて、飲食物の提供に伴って一時的にカラオケ演奏を中断する旨のメッセージ(たとえば、「オーダーされた飲食物Xを提供するので暫くお待ちください」)を表示装置50に表示してもよい。このメッセージに対応する画像データは、所定楽曲の楽曲データに含まれる。このようなメッセージを表示することにより、利用者はまもなくオーダーした飲食物の提供がなされることを把握できる。また、このようなメッセージを表示することにより、利用者が所定楽曲の演奏を中止しようとすることを防止できる。
【0092】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 カラオケシステム
14a 記憶処理部
14b 予約指示部
14c 第1の送信処理部
24a 提示部
24b 第3の送信処理部
100 予約処理部
200 演奏処理部
300 第2の送信処理部
400 表示処理部
F 店舗端末
K カラオケ装置
M 従業員用端末