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特許7312740熱硬化性材料を用いてマグネットワイヤ絶縁を形成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】熱硬化性材料を用いてマグネットワイヤ絶縁を形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20230713BHJP
   B29C 48/154 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/29 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/395 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/69 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/76 20190101ALI20230713BHJP
   B29C 48/80 20190101ALI20230713BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20230713BHJP
   H01B 13/14 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H01B13/00 517
B29C48/154
B29C48/285
B29C48/29
B29C48/34
B29C48/395
B29C48/40
B29C48/69
B29C48/76
B29C48/80
C08J3/24 CFG
H01B13/14 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020502591
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 US2018041935
(87)【国際公開番号】W WO2019018213
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】62/534,265
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598077037
【氏名又は名称】エセックス フルカワ マグネット ワイヤ ユーエスエイ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】ラクシット アンバ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー リーチ
(72)【発明者】
【氏名】エム マザール サイド
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】柴垣 俊男
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-65988(JP,A)
【文献】特開昭56-112019(JP,A)
【文献】特開2017-106407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B13/00-13/34
B29C48/00-48/96
C08J3/00-3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットワイヤに絶縁を形成するシステムであって、
1つ以上の回転スクリューを備え、粉末形態又は溶剤含有量が30重量パーセント未満の低溶剤形態である熱硬化性ポリマー材料を受け取り、前記熱硬化性ポリマー材料を処理して、その圧力及び温度を上昇させる、押出機と、
ギアポンプを備え、前記押出機と流体連通し、前記ギアポンプにより前記熱硬化性ポリマー材料の圧力を高め、前記熱硬化性ポリマー材料を絶縁材料としてマグネットワイヤにプレス押出により押し出すように構成された、押出クロスヘッドアセンブリと、
押し出された絶縁材料を硬化するように構成された、硬化装置と、
を含む、システム。
【請求項2】
前記熱硬化性ポリマー材料は、粉末として前記押出機に提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマー材料は、30重量パーセント未満の溶剤を含有する溶液で、前記押出機に供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱硬化性ポリマー材料は、ペースト、スラリー、又は半固体材料として押し出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記押出機は、二軸スクリュー押出機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱硬化性ポリマー材料を前記押出機に供給するように構成された、1つ以上のフィーダアセンブリを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱硬化性ポリマー材料の複数の原材料を前記押出機に供給するように構成された、1つ以上のフィーダアセンブリを更に含み、
前記押出機は、前記複数の原材料を処理して、前記押出機内の前記熱硬化性ポリマー材料の重合を促進するように更に構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記押出機内の前記熱硬化性ポリマー材料から不要な材料を除去するように構成された、真空脱揮装置を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記熱硬化性ポリマー材料が前記押出クロスヘッドアセンブリに提供される前に、前記熱硬化性ポリマー材料をフィルタリングするように構成されたフィルタリング装置を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記硬化装置は、オーブンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱硬化性ポリマー材料は、(i)ポリイミド、(ii)ポリアミド、又は(iii)のポリアミドイミドのうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
巻線に絶縁を形成するための方法であって、
1つ以上の回転スクリューを含む押出機に、粉末形態又は溶剤含有量が30重量パーセント未満の低溶剤形態である熱硬化性ポリマー材料を提供するステップと、
前記押出機内で前記熱硬化性ポリマー材料を処理して、その温度及び圧力を増加させるステップと、
ギアポンプにより前記熱硬化性ポリマー材料の圧力を高め、前記熱硬化性ポリマー材料を絶縁材料としてマグネットワイヤにプレス押出により押し出すステップと、
押し出された絶縁材料を硬化するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記熱硬化性ポリマー材料を提供するステップは、熱硬化性ポリマー材料を粉末として提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱硬化性ポリマー材料を提供するステップは、30重量パーセント未満の溶剤を含有する溶液で熱硬化性ポリマー材料を提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記熱硬化性ポリマー材料を提供するステップは、
前記熱硬化性ポリマー材料の複数の原材料を前記押出機に供給するステップと、
前記押出機内で前記複数の原材料を処理して、前記熱硬化性ポリマー材料の重合を促進するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記熱硬化性ポリマー材料を提供するステップは、(i)ポリイミド、(ii)ポリアミド、又は(iii)のポリアミドイミドのうちの1つを提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記熱硬化性ポリマー材料を押し出すステップは、ペースト、スラリー、又は半固体として、前記熱硬化性ポリマー材料を押し出すステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
真空脱揮を介して前記押出機から1つ以上の不要な物質を除去するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記押出機に1つ以上のフィラー材料を追加して、押出前に前記熱硬化性ポリマー材料と混合するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記押し出された絶縁材料を硬化するステップは、オーブンで前記押し出された絶縁材料を硬化するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2018年7月19日に出願され、「押出マグネットワイヤ絶縁を形成するためのシステム及び方法」と題された米国仮出願第62/534,265号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、絶縁マグネットワイヤに関し、より具体的には、1つ以上の熱硬化性ポリマー絶縁層を備えたマグネットワイヤを形成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マグネットワイヤ又は巻線とも呼ばれる磁気巻線は、電場及び/又は磁場を構築して電気機械的仕事を行う多数の装置で使用されている。これらの装置の例には、電動機、発電機、変圧器、アクチュエータコイルなどが含まれる。一般に、マグネットワイヤは、銅、アルミニウム、又は合金導体などの金属導体に電気絶縁を塗布することによって構築される。電気絶縁は、一般に、電気的完全性を提供し、マグネットワイヤの短絡を防ぐコーティングとして形成される。
【0004】
従来の絶縁の多くの種類は、熱硬化性ポリマー材料から形成される。熱硬化性ポリマーは、軟らかい固体又は粘性の液体(例えば、粉末、溶剤を含むペーストなど)から不溶性又は架橋樹脂に不可逆的に硬化された材料であってもよい。熱硬化性ポリマーは、溶融プロセスがポリマーを破壊又は劣化させるため、一般的に、押出用に溶融することはできない。したがって、熱硬化性ポリマー絶縁層は、従来、ポリマーエナメルフィルムとして塗布される。一般的に、各エナメル層はエナメルオーブンで硬化するワニスとして塗布される。所望のエナメルの厚さ又は構築が達成されるまで、複数の層が互いに連続して形成される。
【0005】
従来のエナメル絶縁プロセスは、いくつかの理由で問題がある。第1に、塗布されたワニスは、一般的に、塗布時の体積で15%~23%のみの固形分を含む。言い換えれば、塗布された材料の76%~85%は、一般的に、ポリマー固体材料の液化及び輸送の目的でのみ存在する溶剤で構成されている。従来の溶剤は、一般的に、取り扱いに注意を払う必要があり、環境規制を満たす方法で廃棄する必要がある揮発性の高い材料である。さらに、エナメル層の形成中に、エナメルから溶剤を追い出し、エナメルを架橋して所望の最終特性を提供するには、かなりの加熱エネルギーが要求される。多くの従来のエナメルオーブンは、エナメル硬化プロセスで使用されている熱のほんの一部しか使用していないため、比較的非効率的である。したがって、熱硬化性ポリマー材料をマグネットワイヤ絶縁として塗布するためのシステム及び方法には改善の余地がある。特に、マグネットワイヤ絶縁としての熱硬化性ポリマー材料のペースト押出又は低溶剤押出を促進するシステム及び方法には改善の余地がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
詳細な説明が、添付の図面を参照して、記載されている。図面において、参照番号の左端の数字は、参照番号が最初に現れる図面を識別する。異なる図面での同じ参照番号の使用は、類似又は同一のアイテムを示している。しかしながら、様々な実施形態において、図面に示されたもの以外の要素及び/又は構成要素が利用されてもよい。さらに、図面は、本明細書で説明される例示的な実施形態を示すために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る、熱硬化性又は同様の絶縁材料を処理し、マグネットワイヤ上に押し出すために利用され得る例示的なシステムの概略図を示す。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態に係る、熱硬化性ポリマー材料を配合し、タンデム又はインラインでマグネットワイヤ上に押し出すために利用され得る例示的なシステムの概略図である。
図3図3は、本開示の例示的な実施形態に係る、マグネットワイヤ上の絶縁として1つ以上の熱硬化性ポリマー材料を押し出すための例示的な方法のフローチャートを示す。
図4図4は、本開示の例示的な実施形態に係る、マグネットワイヤ上の絶縁として材料を押し出す前に、押出機内で熱硬化性ポリマー材料を配合するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、押出により熱硬化性マグネットワイヤ絶縁を形成するためのシステム及び方法に関する。ポリイミド、ポリアミド-イミド、ポリエステル-ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルホルマール(ホルムバール)、及び/又は2つ以上の材料のブレンドを含むが、これらに限定されない、様々な熱硬化性ポリマー材料を押し出すことができる。材料は、粉末形態又は低溶剤形態などの任意の適切な形態で、単軸スクリュー又は多軸スクリュー押出機などの適切な押出機に提供されてもよい。押出機は、熱硬化性ポリマー材料の圧力及び/又は温度を上昇させ、材料をペースト、半固体、粘性、スラリー、又は部分架橋材料として、1つ以上のマグネットワイヤ上への押出又は塗布のために1つ以上の適切な押出クロスヘッドに提供することができる。必要に応じて、押出機に熱硬化性材料を提供する前に、或いは、熱硬化性材料が押出機内にある間に、任意の数のフィラー材料及び/又は他の材料を熱硬化性材料に加えてもよい。
【0008】
ある実施形態では、熱硬化性ポリマー絶縁材料は、絶縁材料の押し出しに加えて、配合させ、調合させ、及び/又は重合させることができる。例えば、1つ以上のモノマー、プレポリマー、原料、及び/又は他の原材料は、単軸スクリュー又は多軸スクリュー押出機などの適切な押出機に提供されてもよい。押出機は、原材料の追加の混合を行い、原材料の圧力及び/又は温度を上昇させ、それにより1つ以上の重合及び/又は他の反応を促進することができる。言い換えれば、複数の原材料から熱硬化性ポリマー材料の形成をもたらす1つ以上の化学反応が押出機内で起こり得る。必要に応じて、重合又は他の化学プロセスの後続の時点で添加される、任意の数のフィラー材料及び原料を、押出機内の1つ以上の下流位置に添加してもよい。次いで、最終絶縁材料は、1つ以上のマグネットワイヤ上への押出又は塗布のために、1つ以上の押出クロスヘッドに提供されてもよい。
【0009】
本開示の実施形態は、本開示のある実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が全体的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0010】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、マグネットワイヤ上に絶縁を形成するために利用され得る例示的なシステム100の概略図を示す。システム100は、押出熱硬化性ポリマー材料を処理するように構成された材料処理システム102を含むことができる。熱硬化性ポリマー材料は、連続的に又はインラインでワイヤ105上に押し出されてもよい。言い換えれば、材料処理システム102は、熱硬化性ポリマー材料のワイヤ105へのインライン処理及び押出を促進するために、ワイヤライン104と連携して動作してもよい。
【0011】
図1を参照すると、材料処理システム102は、適切な押出機110と、熱硬化性ポリマー材料又は熱硬化性ポリマー材料の原材料のいずれかを押出機110に供給するように構成された1つ以上の適切なフィーダアセンブリ115とを含み得る。必要に応じて、押出機110は、1つ以上の適切なモータアセンブリによって動力を供給されてもよい。押出機110は、1つ以上のフィーダアセンブリ115から熱硬化性ポリマー材料(又は熱硬化性ポリマー材料の原材料)を受け取ることができる。熱硬化性ポリマー材料は、ワイヤ105上への押出のために、1つ以上の適切な押出クロスヘッド120に提供される前に押出機110によって処理されてもよい。必要に応じて、1つ以上の真空脱揮装置125、フィルタリング装置、ギアポンプ130、メルトポンプ135、及び/又は他の適切な装置が、押出及び/又はワイヤコーティングの前に絶縁材料を更に処理するために利用されてもよい。さらに、任意の数の適切な下流フィーダアセンブリが、絶縁材料に追加の構成要素を追加するために、利用されてもよい。ある実施形態では、材料処理システム102の1つ以上の構成要素は、図2を参照して以下でより詳細に説明されるものと同様であってもよい。
【0012】
ある実施形態では、押出機110は、1つ以上の押出クロスヘッド120による後続の押出に先駆けて、受け取った材料を処理するように構成された、単軸スクリュー、二軸スクリュー、又は他の多軸スクリュー押出機であってもよい。本開示の態様によれば、押出機110は、熱硬化性ポリマー材料を受け取り又は配合し、1つ以上のワイヤ105上にプレス、ペースト、又は圧力押出できるように材料を処理することができる。押出機110は、押出を促進するために、熱硬化性ポリマー材料の圧力及び温度を上昇させてもよい。
【0013】
任意の数の適切なフィーダアセンブリ115が、熱硬化性ポリマー材料、熱硬化性ポリマー材料のための原材料、及び/又は他の材料を押出機110に提供するために利用され得る。ある実施形態において、1つ以上のフィーダアセンブリ115は、例えば、粉末形態又は比較的低溶剤形態(例えば、低溶剤含有量を含む液体又はペースト)で、1つ以上の熱硬化性ポリマー材料を押出機210へ提供するように構成されてもよい。熱硬化性ポリマー材料が粉末又は固体形態で提供される場合には、押出機110内での更なる処理を促進するために、所望の量の溶剤が、熱硬化性ポリマー材料と混合するための別々のフィーダアセンブリを介して、押出機110に提供されてもよい。他の実施形態では、押出機110は、1つ以上のフィーダアセンブリ115から熱硬化性ポリマー材料のための複数の原材料及び/又は原料を受け取るように構成されてもよい。複数の原材料は、押出機内で熱硬化性ポリマー材料を形成するための、1つ以上の重合及び/又はその他の化学反応をトリガするように、押出機110内で処理されてもよい。図2は、複数の原材料から熱硬化性ポリマー材料を配合することができる例示的な押出機を示し、説明する。図1の押出機110も同様の方法で動作し得ることを理解されたい。
【0014】
ある実施形態では、押出機110に提供され、処理され、及び/又は配合された熱硬化性ポリマー材料は、プレス、ペースト、又は圧力押出を促進するような、比較的低溶剤含量を有していてもよい。例えば、熱硬化性ポリマー材料は、ポリマー固体材料、溶剤、及び/又は他の材料(例えば、フィラーなど)の組み合わせを含むことができ、溶剤含有量は約5、7、8、10、12、15、17、18、20、22、25、27、28、又は30重量%未満であってもよく、或いは、上記の値のいずれか2つの間の範囲に含まれる溶剤含有量であってもよい。溶剤含有量が少ないことによって、従来のエナメル層と比較して、比較的厚い熱可塑性ポリマー材料の層をマグネットワイヤに塗布することができる。
【0015】
1つ以上のフィーダアセンブリ115は、押出機110に沿った任意の適切な位置又は位置の組み合わせに配置されてもよい。さらに、各フィーダアセンブリ115は、押出機110に材料を供給するように構成された任意の数のホッパー及び/又は他の構成要素を含み得る。例えば、フィーダアセンブリ115は、押出機110への比較的正確な熱硬化性ポリマー材料(又は熱硬化性ポリマー材料の原材料)の供給を促進する減量供給機構(loss-in-weight feeding mechanism)を利用した、1つ以上のホッパーを含んでいてもよい。必要に応じて、フィーダアセンブリ115は、(例えば、適切なギアポンプなどによって)混合物が押出機110に提供される前に複数の原材料(例えば、熱硬化性ポリマー材料と溶剤などの1つ以上の他のタイプの材料、複数の熱硬化性材料など)を一緒に混合又はブレンドするように構成された混合又は撹拌タンクを更に含んでいてもよい。例示的なフィーダアセンブリ及びそれらの構成要素は、図2を参照して以下でより詳細に説明される。
【0016】
様々な実施形態で望まれるように様々な適切な熱硬化性ポリマー材料が押出機110によって処理されてもよい。利用できる適切な熱硬化性ポリマー材料の例には、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルホルマール(ホルムバール)、ポリベンズイミダゾールなど及び/又は2つ以上の材料のブレンドが含まれるが、これらに限定されない。硬化すると、特定の熱硬化性ポリマー材料は、比較的剛性のある三次元架橋構造を形成し得る。結合の三次元ネットワークは、熱可塑性材料と比較して強度が増加した熱硬化性材料をもたらし得る。その結果、熱硬化性材料は、特定の種類の高温マグネットワイヤ塗布に、より適することができる。
【0017】
多くの熱硬化性ポリマー材料は、溶融処理できない。言い換えれば、硬化する前に、熱硬化性ポリマーは、粉末形態、ペレット、柔らかい固体、又は他の固体形態で存在し得る。従来、熱硬化性材料から絶縁を形成するために、熱硬化性材料を溶剤溶液に懸濁又は混合してワニスが形成される。次に、ワニスをワイヤに塗布し、ワイヤをエナメルオーブンで加熱することによって、溶剤を焼き落とし、熱硬化性絶縁体を硬化させる。このプロセスはエネルギー集約型であり、オーブンで生成された熱の一部(例えば、約30~40%など)のみが実際に溶剤の除去に使用される。比較的多い溶剤含有量のため、比較的薄い層のワニスがワイヤに塗布され、所望の絶縁厚さ又は構築を達成するために、複数のエナメル層を形成することがしばしば必要である。溶剤はまた、一般的に、様々な環境規制及び制限を受ける可能性のある危険な材料である。
【0018】
対照的に、本開示の実施形態は、比較的低溶剤形態における熱硬化性ポリマー材料を処理することができる。例えば、熱硬化性ポリマー材料は、粉末形態、高粘性形態、部分架橋形態又は部分反応形態、又は従来のエナメルシステムで利用されるものよりも実質的に低い溶剤含有量の混合物で押出機110に提供され得る。押出機110は、熱硬化性材料が1つ以上の押出クロスヘッド120に提供される前に、熱硬化性材料の圧力及び/又は温度を上昇させることができる。押出クロスヘッド120は、図2を参照して以下で説明する押出クロスヘッドと同様であってもよく、比較的高圧の半固体材料、スラリー、又はペーストとして、熱硬化性材料を1つ以上のマグネットワイヤ105にプレス、ペースト、又は圧力押出、或いは塗布してもよい。ある実施形態では、押し出された熱硬化性絶縁層の所望の構築及び/又は厚さは、押出プロセス中に(例えば、1つ以上の適切な押出チップ及びダイアセンブリなどを介して)制御されてもよい。
【0019】
押し出された材料での比較的低溶剤含有量(又は溶剤の欠如)は、従来のワニス塗布と比較して、より重い又はより厚い構築を可能にすることができる。従来のワニス層において溶剤含有量が多いことによって、より大きな熱硬化エネルギーが必要とされ、それにより塗布層の厚さが制限される。対照的に、比較的低溶剤含有量の熱硬化性ポリマー材料を押出又はペーストすることにより、同様の量の硬化エネルギーを利用して、より厚い絶縁層を硬化させ、所望の量の溶剤を除去することができる。様々な実施形態において、熱硬化性ポリマー材料は、約0.02、0.025、0.03、0.04、0.05、0.06、0.075、0.08、0.10、0.12、0.125、0.14、0.15、0.16、0.175、0.18、又は0.20インチの厚さで押し出されてもよく、上記の値の任意の2つの間の範囲に含まれる厚さ(例えば、約0.02~約0.20インチの厚さなど)で押し出されてもよく、或いは上記の値のうちの1つによって下限又は上限のいずれかを定められた範囲に含まれる厚さで押し出されてもよい。ある実施形態では、絶縁層が、所望の厚さで押し出され、及び/又はシングルパスで構築されてもよい。他の実施形態では、複数の絶縁層(例えば、同じ材料又は異なる材料から形成された絶縁層など)が、1つ以上の適切な押出システムによって複数の操作によって押出されてもよい。
【0020】
引き続き図1を参照すると、ある実施形態において、1つ以上の真空脱揮装置125が提供されてもよい。それぞれの真空脱揮装置125は、熱硬化性ポリマー材料が処理されるときに、溶剤及び/又は他の液体などの不要な材料を押出機110から除去することがある。例えば、押出機110に入る熱硬化性ポリマー材料及び/又は押出機110を通る熱硬化性ポリマー材料の初期流動を促進するのに必要な溶剤の少なくとも一部が除去されることができる。溶剤及び/又は他の液体を除去することによって、絶縁材料を乾燥させることの必要性を除去又は軽減することができ、それにより効率の改善及びエネルギーの節約を実現することができる。例えば、1つ以上の脱揮装置125は、熱硬化性ポリマー材料から水及び/又は他の液体を除去することができ、それにより材料を予備乾燥すること(例えば、処理前に粉末熱硬化性材料を乾燥させること)の必要性を排除することができる。例示的な真空脱揮装置が、図2を参照して以下でより詳細に説明され、その説明は図1の装置125にも等しく適用可能である。
【0021】
さらに、ある実施形態において、1つ以上の下流フィーダアセンブリは、1つ以上の絶縁フィラー材料(例えば、無機材料、有機材料、1つ以上のナノ粒子、脱揮の後に追加される1つ以上の材料、重合に続いて追加される1つ以上の材料など)を供給するように構成されていてもよい。各下流フィーダアセンブリは、押出機110に沿った任意の適切な位置に配置されていてもよく、図2を参照して以下に説明される下流原料フィーダと同様の構成要素を含んでいてもよい。同様に、図2の押出機を参照して以下でより詳細に説明されるように、押出機110内の1つ以上のスクリューピッチは、材料を受け入れるため、及び/又は脱揮を促進するために、広げられてもよく、或いは変えられてもよい。後続のニーディングブロックは、圧力の増加、混合、均一性、及び/又は、重合及び/又は他の化学反応の誘発を促進するために、より狭いスクリューピッチを有していてもよい。さらに、図2の押出機を参照して説明されるように、任意の数の加熱装置及び/又は温度制御チャネルが押出機110に隣接して及び/又は押出機110内に配置されてもよい。
【0022】
押出機110によって処理されると、熱硬化性ポリマー材料は、1つ以上のワイヤ105上への塗布のために、1つ以上の適切な押出クロスヘッド120に提供されてもよい。ある実施形態では、熱硬化性ポリマー材料を、不要な材料及び/又は所望のサイズよりも大きい材料を除去するために、押出前に、1つ以上のフィルタリング装置に通されてもよい。必要に応じて、図2を参照して以下で説明するフィルタリング装置と同様の装置など、任意の適切なフィルタリング装置が利用されてもよい。任意の数の適切なポンプが、押出機110から押出クロスヘッド120への絶縁材料の提供を促進することができる。例えば、1つ以上の適切なギアポンプ130が設けられていてもよい。ギアポンプ130は、例えば、押し出される絶縁材料の圧力を高め、絶縁材料の所望の粘性を維持し、及び/又は押出機110のスループットを増加又は向上させるなど、様々な実施形態において様々なメリットを提供することができる。他の例として、1つ以上の適切なメルトポンプ135が、クロスヘッド120に提供される際の絶縁材料の所望の温度を維持することができる。ギアポンプ130及びメルトポンプ135は、図2を参照して以下で説明されるものと同様であってもよい。
【0023】
押出クロスヘッド120は、ワイヤライン104内の1つ以上のワイヤ105上に熱硬化性ポリマー材料を塗布するように構成されていてもよい。ワイヤライン104は、様々な適切な構成要素及び/又は装置を含んでいてもよく、任意の数の構成要素/装置は、図2のワイヤラインを参照して以下で説明されるものと同様であってもよい。例えば、ワイヤライン104は、1つ以上のワイヤ105を押出クロスヘッド120に提供するように構成された任意の数の適切な装置を含んでもよい。図示されるように、ワイヤ105がオフラインで形成されてもよく、継続して供給されてもよく、或いは適切なペイオフアセンブリ140又はその他の供給源から供給されてもよい。他の実施形態では、ワイヤ105は、適切なワイヤドローイング装置、成形機(conform machine)、又は他の適切なシステムによって処理及び/又は形成されてもよく、形成されたワイヤ105は、押出クロスヘッド120にインラインで提供されてもよい。
【0024】
さらに、ワイヤ105は、例えば、銅、アルミニウム、アニール銅、無酸素銅、銀メッキ銅、ニッケルメッキ銅、銅クラッドアルミニウム(CCA)、銀、金、導電性合金、バイメタル、カーボンナノチューブ、カーボンポリイミド複合材料、又はその他の適切な導電性材料又は材料の組み合わせなどの、任意の適切な導電性材料から形成された適切な導体を含んでいてもよい。さらに、ワイヤ105は、任意の適切な寸法及び/又は断面形状で形成されていてもよい。例えば、ワイヤ105は、円形、楕円形、長方形、正方形、又は他の適切な断面形状を有していてもよい。長方形断面形状などの特定の断面形状において、必要に応じて、ワイヤ105又は導体は、丸みを帯びた、鋭い、滑らかな、湾曲した、角度のある、切り取られた、又は他の方法で形成されたコーナーを有していてもよい。
【0025】
ある実施形態では、ワイヤ105は、裸線で押出クロスヘッド120に供給されもよい。他の実施形態では、ワイヤ105が任意の数のベース絶縁層を含んでいてもよい。例えば、1つ以上のベース絶縁層を含む絶縁ワイヤは、任意の適切な上流装置又は供給装置(例えば、ペイオフなど)から提供されてもよい。他の例として、ワイヤ105は、押出クロスヘッド120に提供される前に、1つ以上のベース絶縁層を形成するために、1つ以上の上流システム又は装置に通されてもよい。ベース絶縁は、様々な適切な絶縁材料から形成された適切な数の層を含んでいてもよい。例示的なベース絶縁は、図2を参照して以下でより詳細に説明される。さらに、ベース絶縁は、任意の適切な厚さ、構造、同心度、及び/又は他の寸法で形成されてもよい。実際、ワイヤ105は、押出クロスヘッド120への提供前に、任意の適切な数の層及び/又は構成要素で形成又は提供されてもよい。
【0026】
ある実施形態において、ワイヤ105上への熱硬化性ポリマー材料の押出前に、ワイヤ105の温度が制御及び/又は変更されてもよい。これに関して、熱硬化性ポリマー材料は、所望の温度又は所望の範囲内の温度を有するワイヤ105に塗布されてもよい。温度制御は、熱硬化性材料と導体(又はベース絶縁)との間の接着を促進し、ある実施形態では、個々の接着層の使用を回避することを可能にする。他の実施形態では、熱硬化性ポリマー材料の押出前に、接着層がワイヤ105に塗布されてもよい。必要に応じて、様々な実施形態において、押出前に1つ以上の接着促進剤が熱硬化性ポリマー材料に加えられてもよい。必要に応じて、様々な実施形態において、様々な適切な温度制御装置145が用いられてもよい。ある実施形態では、ワイヤ105は、1つ以上の誘導加熱装置、加熱コイル、ヒーター、オーブン、及び/又はワイヤ105の温度を上昇させるように構成された他の適切な装置などの1つ以上の加熱装置に通されてもよい。他の実施形態において、1つ以上の冷却装置が、温度制御装置145として利用されてもよい。ワイヤ105の温度が、熱硬化性ポリマー材料の押出前に、様々な適切な値を達成するように調整又は制御されてもよい。例えば、ある実施形態において、温度は約150℃、175℃、200℃、225℃、250℃に制御されてもよく、上記の値のいずれか2つの間の範囲に含まれる温度に制御されてもよく、或いは上記の値のうちの1つによって下限又は上限のいずれかを定められた範囲に含まれる温度(例えば200℃以上など)に制御されてもよい。
【0027】
熱硬化性ポリマー材料がワイヤ105上に塗布又は押出された後、ワイヤ105は、1つ以上の適切な硬化装置、システム、又はステーション150に通されてもよい。例えば、ワイヤ105は、熱硬化性材料を硬化させるためにワイヤ105を加熱できる1つ以上の適切なオーブンに通されてもよい。硬化中に残存する溶剤が蒸発され、ワイヤ105上に比較的固体のポリマー絶縁層が形成されてもよい。ペースト又は半固体層の押出後に、ワイヤ105上の溶剤が比較的少量であることによって、オーブンは、従来のエナメル層よりもはるかに厚い絶縁層を硬化させることができる。これに関して、所望の絶縁厚さは、押出システム及びオーブンに1回だけ通すこと、又はわずかな回数だけ通すことで達成され得る。このようにして、熱硬化性絶縁層を硬化するために利用されるエネルギー量を、従来のエナメル加工方法及び/又はシステムに比べて、大幅に削減することができる。さらに、比較的多数の連続的に形成されたエナメル層を硬化する必要がないため、ワイヤ105を処理するのに必要な時間を短縮することができる。必要に応じて、様々な実施形態において、水平オーブン、垂直オーブン、ガスオーブン、電気オーブン、又は他の適切なオーブンなど、様々な適切なエナメルオーブンが利用されてもよい。他の実施形態では、他の種類の硬化システム、方法、及び/又は技術が、エナメルオーブンの代替として、又はそれに加えて利用されてもよい。例えば、赤外線硬化装置、紫外線硬化装置、放射線硬化装置、電子ビーム硬化(EBC)装置、可変周波数マイクロ波(VFM)硬化装置、又は他の適切な硬化システムが利用されてもよい。さらに、必要に応じて、様々な実施形態において、任意の数の硬化装置及び/又は硬化装置の組み合わせが利用されてもよい。必要に応じて、ワイヤ105及び関連する押し出された絶縁の温度は、押出プロセスに続いて制御されてもよい。例えば、絶縁は、押出、又は所望の押出後温度を維持する他の処理に続いて、加熱されてもよい。ある実施形態では、所望の結晶化度を達成するなど、任意の数の望ましい特性を達成するために、完成したマグネットワイヤを巻き取る前、又はワイヤ105を1つ以上の下流システムに提供する前に、押し出された絶縁を冷却するプロセスが制御されてもよい。必要に応じて、液浴(例えば、水浴など)などの様々な適切な装置がワイヤ105を冷却するために利用されてもよい。
【0028】
押し出された熱硬化性絶縁材料の硬化後、ワイヤ105は、追加の処理を実行するように構成された任意の数の適切な構成要素及び/又はシステムに提供され得る。ある実施形態では、ワイヤ105は、分配又は後続の処理(即ち、オフラインで実行される後続の処理など)のために取り出され又は巻き取られてもよい。他の実施形態では、ワイヤ105は、追加の絶縁層(例えば、押出層、ボンドコート、コンフォーマル層など)を形成するように構成された任意の数の適切な下流装置に提供され得る。例えば、図1に示されるように、ワイヤ105は、熱硬化性絶縁体上のワイヤ105上に押し出された絶縁材料の追加層を形成するように構成された適切な押出クロスヘッド155に提供され得る。ある実施形態では、押出クロスヘッド155は、熱可塑性及び/又は熱硬化性絶縁材料などの様々な適切な絶縁材料を処理するように構成された適切な重合及び/又は押出システム160と連通又は関連し得る。これに関して、任意の数の押し出された絶縁層(例えば、熱可塑性トップコートなど)が熱硬化性絶縁の上に形成されてもよい。例えば、PEEK又は他の熱可塑性絶縁材料が、熱硬化性絶縁材料の1つ以上の層の上に形成されてもよい。必要に応じて、1つ以上の誘導加熱装置、加熱コイル、ヒーター、オーブン、及び/又は他の適切な装置などの、1つ以上の適切な温度制御装置152を利用して、後続の絶縁層の押出前にワイヤ105の温度を制御することができる。
【0029】
他の実施形態において、ワイヤ105は他の押出熱硬化性絶縁層を形成するために、押出クロスヘッド120に戻されてもよい。ワイヤ105は、その後、硬化ステーション150に通されてもよい。他の例として、ワイヤ105は、熱硬化性材料の追加の押出層を形成するように構成された下流システムに提供されてもよい。更に他の実施形態では、押出クロスヘッド120は、同じ材料(例えば、熱硬化性材料)の複数の層又は異なる材料の複数の層のいずれかを同時に押し出すのに適していてもよい。例えば、押出クロスヘッド120は、異なる押出機によって形成及び/又は処理される異なる材料の複数の層を同時に押し出してもよい。必要に応じて、複数の熱硬化性層又は熱硬化性層及び熱可塑性層の組み合わせが同時に押し出されてもよい。実際、様々な適切な装置及び/又はシステムを利用して、ワイヤ105上に任意の数の適切な絶縁層を形成することができる。形成される絶縁層の数に関係なく、ある実施形態では、ワイヤ105は、絶縁の形成後にワイヤ105を冷却する1つ以上の適切な冷却装置165に通されてもよい。例えば、ワイヤ105は、1つ以上の適切な水冷(例えば、水浴など)、液体冷却、又は空冷装置又はシステムに通されてもよい。冷却速度は、必要に応じて制御されてもよい。押し出された絶縁の冷却速度を制御することによって、所望の結晶化度を達成するなど、任意の数の望ましい特性を達成することができる。
【0030】
ある実施形態では、絶縁の形成後、ワイヤ105は、配布又は後続の処理のためにワイヤを巻き取り、或いは取り出すように構成された、適切な取り出しステーション170又は巻き取りステーションに提供されてもよい。他の実施形態では、ワイヤ105は、任意の数の適切な下流処理装置及び/又はシステムに提供されてもよい。例えば、ワイヤ105は、パリレンを含む1つ以上のコーティングなど、1つ以上のコンフォーマルコーティングをワイヤ105上に形成するように構成された1つ以上のシステムに提供されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ105は、任意の数の適切なヘアピン、コイル、成形品、及び/又は、電気機械又は他のアプリケーションへの組み込みに適したワイヤ105からできた他のアセンブリを形成するように構成された1つ以上の適切な切断及び/又は成形システムに提供されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ105は、積層造形又は3D印刷を使用して押し出された絶縁上にマグネットを形成するように構成された1つ以上の適切なシステムに提供されてもよい。実際、様々な適切な操作及び/又は追加の処理がワイヤ105に実施されてもよい。必要に応じて、追加の処理がインライン又はオフラインで実施されてもよい。
【0031】
図1を参照して上述したシステム100は、例示のために提供されている。様々な実施形態において、必要に応じて、様々な代替がシステム100に対してなされ得る。さらに、様々な追加の構成要素が、必要に応じて、システム100に組み込まれ得る。必要に応じて、システム100は、コンピュータ、マイクロコントローラ、特定用途向け回路インターフェース、プログラマブルロジックアレイ、又は任意の数の適切なシステム構成要素の同期及び/又は構成を促進する他の制御装置など、任意の数のコントローラ又は制御装置を含んでいてもよい。実際、本開示は、マグネットワイヤ絶縁を形成するために利用され得る様々な適切なシステムを想定している。
【0032】
上述したように、ある実施形態において、熱硬化性ポリマー材料は、図1の押出機110などの押出機内で重合され、及び/又は他の方法で配合され得る。図2は、1つ以上の適切な熱硬化性ポリマー材料を配合し、マグネットワイヤなどのワイヤ205上に塗布するために利用され得る例示的なシステム200の概略図を示す。必要に応じて、図1のシステムに組み込まれた材料処理システム102及び/又はワイヤライン104は、図2のシステム200を参照して説明されたものと同様の構成要素を含むことができる。システム200は、押し出される1つ以上の熱硬化性ポリマー材料の重合、配合、及び/又は他の形成を促進する重合システム202を含むことができる。配合されたポリマー材料は、その後、連続的に又はインラインでワイヤ205に塗布されてもよい。言い換えれば、重合システム202は、熱硬化性材料のインライン重合及び材料のワイヤ205への塗布を促進するために、ワイヤライン204と連携して動作することができる。
【0033】
図2を参照すると、重合システム202は、1つ以上の適切なモータアセンブリ215によって駆動される適切な押出機210を含み得る。押出機210は、1つ以上の適切なフィーダアセンブリ(例えば、フィーダアセンブリ220A、220Bなど)から、1つ以上のモノマー、プレポリマー、原料、及び/又は反応物質などの、熱硬化性ポリマー材料の複数の原材料を受け取ることができる。複数の原材料は、押出機210によって処理されて、押出機210内で熱硬化性ポリマー材料を形成し得る。熱硬化性ポリマー材料は、次いで、熱硬化性材料を押し出すように構成された1つ以上の適切な押出クロスヘッド225に提供され得る。押出機210内の原材料の処理は、複数の原材料からの熱硬化性材料の、重合、1つ以上の化学反応、及び/又は他の配合を促進し得る。必要に応じて、1つ以上の真空脱揮装置230、フィルタリング装置235、ギアポンプ237、メルトポンプ240、及び/又は他の適切な装置を利用して、押出前に熱硬化性材料を更に処理することができる。さらに、任意の数の適切な下流フィーダアセンブリ245を利用して、追加の構成要素をポリマー材料に追加してもよい。これらの構成要素のそれぞれについては、以下で詳しく説明する。
【0034】
押出機210は、熱硬化性ポリマー材料のための原材料を複数受け取って、熱硬化性材料を形成するために、原材料の重合及び/又は他の物理化学的変換を誘導するように構成された任意の適切な装置であってもよい。ある実施形態では、押出機210は、単軸スクリュー、二軸スクリュー、又は他の多軸スクリューの押出機であってもよい。押出機210が多軸スクリュー押出機である場合、任意の数の適切なスクリューが利用されてもよい。動作中、原材料は押出機210を通過する際に混合され得る。さらに、押出機210は、重合及び/又は化学反応を促進するために原材料内の圧力を増加又は構築し得る。圧力の増加は、原材料の温度及び/又は原材料から形成されるポリマー溶融物の温度を上昇させ、それにより、ワイヤ205上に押し出され得る熱硬化性材料の形成をもたらし得る。
【0035】
従来のワイヤの製造プロセスにおいて、ポリマー材料は、一般的には、一連の化学反応を介してオフラインで製造される。例えば、熱硬化性ポリマーは、比較的大きな反応器で生成され得る。次に、ポリマーは、乾燥して粉末にされ、或いは、溶剤とブレンドされてワニスを形成する。その後、粉末又はワニスはワイヤ製造施設に出荷又は転送され、塗布機器に提供される。例えば、熱硬化性ポリマーを含むワニスは塗布ダイに提供されてもよい。対照的に、図2のシステム200は、タンデム又はインラインプロセスでのワイヤ絶縁として、熱硬化性材料の配合と、熱硬化性材料のプレス、ペースト、又は圧力押出との両方を促進する。さらに、システム200は、従来のオフラインプロセスよりも比較的小さな領域における連続プロセスでの熱硬化性材料の配合を促進し得る。
【0036】
図2に示されるように、押出機210は、それぞれ回転させることができる、2つのかみ合ったスクリュー212A、212Bを含む二軸スクリュー押出機であってもよい。しかしながら、押出機210は、任意の数のスクリューを含んでもよい。各スクリュー212A、212Bは、シャフトから延び、或いはシャフト上に形成された任意の数のスレッド又はねじ山を備えたシャフトを含んでいてもよい。ある実施形態では、押出機210内の所望の反応及び/又は機能性を促進するために、スクリュー(概してスクリュー212と呼ばれる)内で、スレッドの異なる部分間又は異なるスレッド間の間隔又はピッチが、変えられてもよい。例えば、スクリュー212の特定のセクションは、例えば、押出機210への材料の追加を促進するため、揮発性及び/又は不要な物質の吸い取り又は他の除去を促進するために、比較的大きい又は深いスレッド間隔又は広いスクリューピッチを有していてもよい。スクリュー212の他のセクションは、原材料の溶融、混合、混練、及び/又は加圧を促進するために、より狭いスレッド間隔又はより狭いスクリューピッチを有していてもよい。必要に応じて、スレッド間隔は、圧力及び温度を徐々に増加させるために、及び/又は混合及び/又は重合を加速させるために、徐々に小さく又はより狭くされてもよい。
【0037】
1つ以上の適切なモータアセンブリ215は、押出機210を駆動し得る。例えば、1つ以上のモータアセンブリ215は、押出機210内のスクリュー212A、212Bを回転させ及び/又はトルクを維持し得る。モータアセンブリ215は、任意の数の適切なモータ、回転電気機械、及び/又は機械的エネルギーを生成するように構成された他の装置を含んでいてもよい。ある実施形態では、モータアセンブリ215は、スクリュー212A、212Bを回転させ及び/又はトルクを維持する適切なギアボックスアセンブリにエネルギーを提供するように構成されてもよい。さらに、モータアセンブリ215は、1つ以上のプロセッサ駆動装置及び/又は処理装置など、任意の数の適切な制御装置を介して制御されてもよい。ある実施形態では、モータアセンブリ215の出力は、スクリュー212A、212Bに所望のトルクを提供するために調整されてもよい。所望のトルクは、押出機210に含まれるスクリューの数、押出機210で処理される原材料の種類、押出機210で配合又は重合される熱硬化性材料の種類、ワイヤライン204の動作速度又はライン速度など、様々な適切な要因に基づいていてもよい。
【0038】
図1を参照して上述した材料のいずれかのように、様々な適切な熱硬化性ポリマー材料が、押出機210内で配合されてもよい。他の実施形態では、2つ以上の熱硬化性材料のブレンドが形成されてもよい。例えば、複数の別々の押出機は、マグネットワイヤ絶縁を形成するためにブレンド又は混合される2つ以上の熱硬化性材料を配合するために利用され得る。必要に応じて、ブレンド又は混合物が押出クロスヘッド225に提供される前に、複数の別々のポリマー材料が、押出機の1つ(例えば、押出機210など)或いは他の適切な構成要素又は装置(例えば、混合タンクなど)内でブレンドされてもよい。上述した熱硬化性材料のいずれかのブレンドなど、任意の適切なポリマーブレンドが、必要に応じて、様々な実施形態において、配合及び/又は利用されてもよい。さらに、2つ以上の熱硬化性材料が一緒に組み合わされる場合、任意の適切なブレンド速度、混合速度、又はブレンド比率が利用されてもよい。
【0039】
引き続き図2を参照すると、様々な適切な原材料又は原料が、1つ以上の適切なフィーダアセンブリ220A、220Bを介して押出機210に提供され得る。1つ以上のフィーダアセンブリ220A、220Bによって提供される原材料は、押出機210内で配合される熱硬化性ポリマー材料に少なくとも部分的に基づいていてもよい。熱硬化性材料の原材料及び/又は原料は、例えば、1つ以上のモノマー、プレポリマー、反応物質、粉末、溶剤、及び/又は他の適切な材料を含むことができる。さらに、固体及び/又は液体などの任意の適切な形態及び/又は段階における様々な原材料が提供されてもよい。
【0040】
アセンブリ220A、220Bのように、任意の数のフィーダアセンブリが、必要であれば、押出機210に原材料を提供するために利用されてもよい。複数のフィーダアセンブリ220A、220Bが利用されている場合、様々なフィーダアセンブリ220A、220Bは、押出機210に沿った複数の長手方向に離間した位置など、押出機210に沿った任意の適切な位置又は位置の組み合わせに配置されていてもよい。例えば、第1のフィーダアセンブリ220Aが、押出機210の長手方向に沿った第1の位置で押出機210に材料を提供し、第2のフィーダアセンブリ220Bが、押出機210の長手方向に沿った、第1の位置から下流にオフセットされた第2の位置で押出機210に材料を提供してもよい。これに関して、原材料は、重合又は他の配合プロセスにおけるそれぞれのステージ又は段階に対応する所望の場所に提供されてもよい。さらに、必要に応じて、任意の数のフィーダアセンブリが押出機210の長手方向に沿った任意の位置に配置されてもよい。例えば、1つ以上のフィーダアセンブリは、押出機210の動作領域内の所定の位置で押出機210にそれぞれの原材料を提供することができる。
【0041】
フィーダアセンブリ(概してフィーダアセンブリ220とも呼ばれる)は、押出機210へ1つ以上の原材料を提供するように構成された任意の数の適切な構成要素を含むことができる。ある実施形態において、フィーダアセンブリ220は、さらに、押出機210に混合物が提供される前に、2つ以上の原材料を混合し、ブレンドし、又は他の方法で組み合わせるように構成された、1つ以上の構成要素を含んでいてもよい。図示されるように、フィーダアセンブリ220は、原材料又は原料を撹拌又は混合タンク254に供給するように構成された1つ以上のホッパー250、252及び/又は同様の構成要素を含んでいてもよい。必要に応じて、任意の数のホッパーがフィーダアセンブリ220と組み合わせて利用されてもよく、各ホッパーは、任意の適切な材料及び/又は材料の組み合わせを供給するように構成されていてもよい。例えば、粉末ホッパー250は、固体原料を粉末形態で提供するように構成されていてもよい。他の例として、プレポリマーホッパー252は、液体又は任意の他の適切な形態の1つ以上のモノマー及び/又はプレポリマーを提供するように構成されていてもよい。ボトムホッパー、ライブホッパー、チルトホッパーなど、様々な適切なタイプのホッパーが必要に応じて利用されてもよい。さらに、ホッパーは、任意の適切なタイプの供給機構を利用していてもよい。ある実施形態において、1つ以上のホッパーは、撹拌タンク254への材料の正確な供給を促進する減量供給機構を利用していてもよい。
【0042】
撹拌タンク254又は混合タンクは、ホッパー250、252から材料を受け取り、押出機210に混合物が供給される前に材料を混合又は撹拌することができる。ある実施形態では、原料の間の1つ以上の反応が、撹拌タンク254内で発生し得る。撹拌タンク254は、任意の数の適切な撹拌機256、又は原料の撹拌又は混合を促進する他の構成要素を含んでいてもよい。撹拌機256は、1つ以上の適切なモータ258によって動力を供給され、或いは駆動されてもよい。材料が撹拌タンク254で混合されると、1つ以上の適切なギアポンプ260が押出機210に混合物を押出、供給、或いは提供してもよい。図2には1つの撹拌タンク254が示されているが、他の実施形態では、複数の撹拌タンクがフィーダアセンブリ220に組み込まれていてもよい。1つ以上の撹拌タンク254をフィーダアセンブリ220に組み込む代わりに、1つ以上のホッパーが材料を押出機210に直接供給するように構成されてもよい。
【0043】
上述したように、押出機210は、重合プロセスの完了、1つ以上の化学反応、及び/又は熱硬化性ポリマー材料の形成を促進するために、受け取った原材料及び/又は材料を処理することができる。上述したように、押出機210内のスクリューピッチは、材料及び/又は原材料の供給に対応するために、必要に応じて、広げられてもよく、及び/又は変更されてもよい。材料は、押出機210に供給されると、均一な材料の混合及び/又は形成を促進するために、比較的狭いスクリューピッチでニーディングブロック又は押出機210の一部に押し込まれる。
【0044】
ある実施形態では、1つ以上の構成要素又は装置が、押出機210から不要な材料を取り除き、及び/又は押出機210内で配合された熱硬化性材料を取り除くように構成されていてもよい。例えば、1つ以上の真空脱揮装置230が、溶剤、湿気、及び/又はその他の不要な物質を掃き出すように構成されていてもよい。任意の数の真空脱揮装置230が必要に応じて利用されてもよく、それぞれの装置230は、押出機210に沿った任意の適切な位置に配置されてもよい。ある実施形態では、真空脱揮装置230に近接して配置された1つ以上のスクリュー212A、212Bの一部は、不要な物質の除去を促進するために、より広いスクリューピッチを有していてもよい。それから、スクリューピッチは、例えば、押出機210内の材料の混合、均一性の向上、加熱、及び/又は加圧を支援するニーディングブロックを形成するために、真空脱揮後に狭くされてもよい。
【0045】
ある実施形態では、1つ以上の下流原料フィーダ245は、フィーダアセンブリ220A、220Bの下流の押出機210に材料を提供することができる。例えば、下流原料フィーダ245は、1つ以上の絶縁フィラー材料(例えば、金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、金属酸化物、及び/又はアルミニウム、スズ、ホウ素、ゲルマニウム、ガリウム、鉛、シリコン、チタン、クロム、亜鉛、イットリウム、バナジウム、ジルコニウム、ニッケル、ガラス繊維などの適切な材料の水和酸化物などの無機材料;ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、他の導電性粒子などの適切な有機材料;任意の適切な材料の組み合わせなど)、1つ以上のナノ粒子、脱揮後に追加される1つ以上の材料又は原材料、及び/又は重合プロセスの下流ポイントで追加される1つ以上の材料を供給するように構成されていてもよい。任意の適切な材料及び/又は材料の組み合わせが、1つ以上の下流原料フィーダ245によって提供されてもよい。
【0046】
下流原料フィーダ245は、押出機210に沿った任意の適切な位置に配置されていてもよい。例えば、下流原料フィーダ245は、任意の適切な長手方向の位置に配置されていてもよい。ある実施形態では、下流原料フィーダ245は、材料を押出機210の上部又は押出機210の側面に供給することができる。さらに、下流原料フィーダ245は、任意の適切な構成要素を含んでいてもよい。図示されるように、下流原料フィーダ245は、フィーダアセンブリ220について上述したものと同様の1つ以上のホッパーを含んでいてもよい。他の実施形態では、下流原料フィーダ245は、1つ以上の適切な撹拌又は混合タンク、ギアポンプ、及び/又は様々な他の適切な構成要素を含んでいてもよい。さらに、ある実施形態では、押出機210内の1つ以上のスクリューピッチが材料を受け取るために広げられてもよく、後続のニーディングブロック又は部分は、材料の受け取りに続くより狭いスクリューピッチを有していてもよい。
【0047】
ある実施形態では、下流原料フィーダ245は、押出機210への材料の供給を促進するために、単軸、二軸、又は他の多軸スクリュー設計を有する供給用の構成要素を有しいてもよく、含んでいてもよい。同時に、原料フィーダ245は、加圧されたポリマーが押出機210から漏れることを低減又は回避することができる。動作中、フィーダ245は、押出機210に導入される原料の供給に力を加えることができる。この点に関して、加圧され及び/又は比較的低い粘性のポリマー材料の漏れが減少し得る。他の実施形態において、サイドフィーダなどの下流原料フィーダ245は、押出機210内で配合されたポリマーから揮発性材料の真空吸引を可能にするのに十分に小さい(例えば、0.05インチ以下など)、正確に設計されたギャップ又はスペースを有する真空ポートとして動作し得る。この点に関して、原料フィーダ245は、ポリマーの真空ポートとしても使用され得る。例えば、押出機210内の熱硬化性材料が比較的高い粘度を有する場所にサイドフィーダが配置されている場合、熱硬化性材料の漏れは起こりにくい。したがって、サイドフィーダ又は他の原料フィーダ245を利用して、溶剤、液体、及び/又は他の揮発性又は不要な材料を吸引し又は吸出すことができる。多軸スクリューサイドフィーダの使用は、サイドフィーダスクリューに付着したポリマーの自動拭き取りを促進し、同時に原料を導入する力及び/又はポリマーを押出機210に再循環させる力を加えることができる。
【0048】
押出機210内の熱硬化性材料の典型的な処理の間に、熱硬化性材料に加えられた熱の大部分(例えば、約80%など)がスクリュー212A、212Bのトルクによって圧力増加を提供し得る。必要に応じて、様々な他の温度制御装置が押出機210に組み込まれ、及び/又は押出機210と併せて利用され得る。例えば、1つ以上の加熱装置(例えば、加熱コイル、誘導加熱装置など)が、追加の加熱を提供するために、押出機210内及び/又は押出機210の本体又は外殻に隣接して配置されてもよい。他の例として、温度制御流体を運ぶのに適した任意の数のチャネルが、押出機210内に(例えば、スクリュー212A、212Bなどに隣接して)形成されてもよい。これらのチャネルは、押出機210内の任意の所望の位置で温度を加熱、冷却、及び/又は制御するために利用される任意の適切な流体(例えば、水、油、冷媒、空気など)を搬送又は循環させるように構成されてもよい。例えば、所望の温度は、所望の化学反応を促進又は誘発するために、押出機210内で維持及び/又は制御され得る。流体が押出機210を介して1つ以上のチャネルで循環されると、流体は、押出機210内での再循環の前に流体の温度を調整するために、押出機210の外部又は外側の任意の適切な装置(例えば、ヒーター、冷却浴、コンプレッサーなど)に提供されてもよい。さらに、任意の適切な制御装置及び/又はセンサ(例えば、温度センサなど)が、所望の温度を維持するために、1つ以上のチャネル及び/又は外部装置と連携して利用されてもよい。
【0049】
熱硬化性ポリマー材料が配合、重合、及び/又は押出機210により処理された後、熱硬化性材料は、1つ以上のワイヤ205上に塗布するために、1つ以上の適切な押出クロスヘッド225に提供されてもよい。ある実施形態では、熱硬化性材料は、押出前に1つ以上の適切なフィルタリング装置235に通されてもよい。フィルタリングは、不要な材料及び/又は所望のサイズよりも大きい材料を除去することができる。これらの大きな材料は、絶縁マグネットワイヤ内でビーディング及び/又はその他の望ましくない状態を引き起こし得る。ある例示的な実施形態では、スライド式又は連続的なスクリーン交換機がフィルタリング装置235として提供され得る。連続スクリーン交換機は、毎時約1インチなどの所望の速度で回転する少なくとも1つの回転ディスクを含んでもよい。さらに、1つ以上のメッシュ又はスクリーンフィルターがディスクに組み込まれ、或いはディスクに取り付けられてもよい。熱硬化性材料がフィルターを通過すると、不要な材料がフィルターで除去され得る。ディスクの回転により、フィルターのセクションが絶縁材料流路の外側で回転するため、フィルターをクリーニングすることができる。他の実施形態において、必要に応じて、様々な他の適切なフィルタリング装置及び/又はフィルタリング装置の組み合わせが利用されてもよい。
【0050】
任意の数の適切なポンプは、押出機210から押出機210と流体連通する1つ以上の押出クロスヘッド225への熱硬化性材料の提供を促進することができる。例えば、1つ以上の適切なギアポンプ237が設けられていてもよい。ギアポンプ237は、様々な実施形態において、例えば、押し出される熱硬化性材料の圧力を高め、熱硬化性材料の所望の粘度を維持し、及び/又は押出機210のスループットを増加又は向上させるなど、様々な利点を提供することができる。他の例として、1つ以上の適切なメルトポンプ240が、クロスヘッド225に提供される熱硬化性材料の所望の温度を維持することができる。
【0051】
ある実施形態では、1つ以上の押出クロスヘッド225は、押出機210で配合されたに熱硬化性材料を受け取ることができる。必要に応じて、任意の数の押出クロスヘッド225が利用されてもよい。それぞれの押出クロスヘッド225は、1つ以上のワイヤ205上に熱硬化性材料をプレス、ペースト、又は圧力押出するように構成された任意の適切な構成要素を含んでいてもよい。ある実施形態では、押出クロスヘッド225は、1つのワイヤ205上に熱硬化性材料を塗布することができる。他の実施形態では、複数のワイヤがタンデムの1つ以上の押出クロスヘッドに通されてもよく、熱硬化性材料がそれぞれのワイヤに別々に塗布されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ205は、押出クロスヘッド225によって塗布される第1の熱硬化性材料から形成される第1の絶縁層と、押出クロスヘッド225によって塗布される第2の絶縁材料(例えば、異なる押出機で形成された材料など)から形成される第2の絶縁層とを有し得る。更に他の実施形態では、ワイヤは、複数の絶縁層を受け取るために、押出クロスヘッドアセンブリに複数回通されてもよい(例えば、クロスヘッドアセンブリの異なる部分に通されてもよい)。実際、様々な適切な押出クロスヘッド及び/又はクロスヘッドの組み合わせが、必要に応じて、様々な実施形態で利用されてもよい。
【0052】
ある実施形態では、押出クロスヘッド225は、1つ以上の押出端部、ダイ、及び/又は熱硬化性材料の押出を促進する他の構成要素を含むことができる。必要に応じて、様々な構成要素の寸法(例えば、チップ及びダイのサイズなど)、ランドの構成(例えば、ランドの長さ、ランドのサイズなど)、及び/又はその他の構成要素のパラメータ(例えば、チップ及びダイドルール(die drool)、トルク、背圧など)、構成、又は配置が、絶縁材料の所望の押出プロファイルを提供するために、押出クロスヘッド225内で利用されてもよい。
【0053】
引き続き図2を参照すると、ワイヤライン204は、押出クロスヘッド225又は他の塗布アセンブリによる熱硬化性材料の塗布のために、1つ以上のワイヤ205を重合システム202に提供するように構成され得る。ワイヤライン204は、様々な適切な構成要素及び/又は装置を含んでいてもよい。図示されるように、ワイヤライン204は、ワイヤドローイング装置265、1つ以上の温度制御装置270、及び/又は1つ以上の硬化システム275を含んでいてもよい。ワイヤドローイング装置265、ロッドミル、又はロッド破壊機械は、適切な供給源(例えば、ペイオフ、リールなど)から入力材料267(例えば、ワイヤストック、より大きな導体など)を受け取り、入力材料267の寸法をワイヤ205の所望の寸法に減らすために、入力材料267を1つ以上のダイを介して引き出すことができる。必要に応じて、1つ以上のフラットナー、ローラ、及び/又は他の適切な装置が、1つ以上の入力材料267の側面を平坦化するために、利用されてもよい。この点に関して、ある実施形態では、平角ワイヤ又は他の所望の断面形状を有するワイヤが形成され得る。ワイヤドローイング装置265は、ダイを介して入力材料を引っ張り又は引き出す、任意の数の適切なキャプスタン又は引張装置、及びキャプスタンに動力を供給する任意の適切なモータを含んでいてもよい。
【0054】
他の実施形態では、ワイヤ205は、適切な連続押出又は成形機を介して入力材料267から形成されてもよい。例えば、成形機は、ペイオフ又は他の供給源から入力材料267を受け取ることができ、成形機は、入力材料を処理及び/又は操作して、押出によって所望のワイヤ導体を生成することができる。更に他の実施形態では、予め形成されたワイヤ205は、適切なペイオフ又は他の供給源から提供され又は受け取られてもよい。言い換えれば、ワイヤ205は、オフラインプロセスで予め形成されてもよく、外部サプライヤから入手されてもよい。ワイヤ205がどのように形成されたかによらず、アニーラ及び/又は1つ以上のワイヤクリーニング装置などの様々な他の適切な装置が、熱硬化性絶縁材料の押出前に、ワイヤ205上で動作してもよい。ワイヤ205は、図1のワイヤ105について上述した任意の材料など、任意の適切な導電性材料から形成された導体を含んでいてもよい。さらに、ワイヤ205は、任意の適切な寸法及び/又は断面形状で形成されてもよい。例えば、ワイヤ205は、円形、楕円形、長方形、正方形、又は他の適切な断面形状を有していてもよい。長方形断面形状などの特定の断面形状において、必要に応じて、ワイヤ205又は導体は、丸みを帯びた、鋭い、滑らかな、湾曲した、角度のある、切り取られた、又は他の方法で形成されたコーナーを有していてもよい。
【0055】
ある実施形態では、ワイヤ205は、裸線で押出クロスヘッド225に提供されてもよい。他の実施形態では、ワイヤ205は、任意の数のベース絶縁層を含んでいてもよい。例えば、入力材料からワイヤを引き出し、又は他の方法で形成するのではなく、絶縁ワイヤが、任意の適切な上流装置又は供給装置(例えば、ペイオフなど)から提供されてもよい。他の例として、ワイヤ205は、押出クロスヘッド225に提供される前に、1つ以上のベース絶縁層を形成するために、1つ以上の上流システム又は装置に通されてもよい。例えば、上流押出クロスヘッドが、ワイヤ205上に押し出された絶縁材料のベース層を形成するために、利用されてもよい。他の例として、1つ以上の上流装置(例えば、1つ以上のアプリケーションダイ及び/又は硬化オーブンなど)が、ワイヤ205に1つ以上のベースエナメル層を形成するために、利用されてもよい。例示的な適切なベース絶縁には、1つ以上の絶縁押出層、1つ以上のエナメル層(例、ポリイミド、ポリアミドイミド、アミドイミド、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドなど)、1つ以上の半導体材料層、1つ以上のテープ又はラップ層などが含まれるが、これらに限定されない。ベース絶縁は、様々な適切な絶縁材料から形成された適切な数の層を含んでいてもよい。さらに、ベース絶縁は、任意の適切な厚さ、構造、同心度、及び/又は他の寸法で形成されてもよい。
【0056】
ある実施形態において、ワイヤ205上への熱硬化性ポリマー材料の押出前に、ワイヤ205の温度が制御及び/又は変更されてもよい。これに関して、熱硬化性ポリマー材料は、所望の温度又は所望の範囲内の温度を有するワイヤ205に塗布されてもよい。温度制御は、熱硬化性材料と導体(又はベース絶縁)との間の接着を促進し、ある実施形態では、個々の接着層の使用を回避することを可能にする。他の実施形態では、熱硬化性材料の押出前に、接着層がワイヤ205に塗布されてもよい。必要に応じて、様々な実施形態において、押出前に1つ以上の接着促進剤が熱硬化性ポリマー材料に加えられてもよい(例えば、配合中に熱硬化性材料とブレンドされる、下流フィーダにより加えられるなど)。必要に応じて、様々な実施形態において、様々な適切な温度制御装置270が用いられてもよい。ある実施形態では、ワイヤ205は、1つ以上の誘導加熱装置、加熱コイル、ヒーター、オーブン、及び/又はワイヤ205の温度を上昇させるように構成された他の適切な装置などの1つ以上の加熱装置に通されてもよい。他の実施形態において、1つ以上の冷却装置が、温度制御装置270として利用されてもよい。ワイヤ205の温度が、絶縁材料の押出又は他のアプリケーションの前に、様々な適切な値を達成するように調整又は制御されてもよい。例えば、ある実施形態において、温度は約150℃、175℃、200℃、225℃、250℃に制御されてもよく、上記の値のいずれか2つの間の範囲に含まれる温度に制御されてもよく、或いは上記の値のうちの1つによって下限又は上限のいずれかを定められた範囲に含まれる温度(例えば200℃以上など)に制御されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ205の表面トポグラフィを修正して、押し出された熱硬化性材料の接着を促進するために、ワイヤ205は表面処理(例えば、プラズマ処理、UV処理など)されてもよい。
【0057】
ある実施形態では、熱硬化性材料の押出後、絶縁は、任意の数の適切な硬化システム275及び/又はエナメルオーブンなどの硬化装置によって、硬化させられ得る。他の例示的な硬化システムには、放射線硬化装置、電子ビーム硬化(EBC)装置、可変周波数マイクロ波(VFM)硬化装置、紫外線(UV)硬化装置などが含まれるが、これらに限定されない。必要に応じて、任意の数の硬化装置275及び/又は硬化装置の組み合わせが利用されてもよい。硬化は、例えば化学的架橋、耐熱性、熱衝撃、及び/又は他の温度性能パラメータの強化、耐薬品性の強化、及び/又は耐摩耗性の強化など、様々な望ましい利点を提供し得る。必要に応じて、ワイヤ205及び塗布された絶縁の温度は、絶縁の塗布及び/又は硬化に従って制御されてもよい。例えば、完成したマグネットワイヤを取り出す前、又はワイヤ205を1つ以上の下流システムに提供する前に、押し出され硬化された絶縁を冷却するプロセスが制御されてもよい。絶縁の冷却速度を制御することによって、所望の結晶化度を達成するなど、任意の数の望ましい特性を達成することができる。必要に応じて、液浴(例えば、水浴など)などの様々な適切な装置が、ワイヤ205を冷却するために、利用されてもよい。
【0058】
絶縁材料の硬化後、ワイヤ205は、追加の処理を実行するように構成された任意の数の適切な構成要素及び/又はシステムに提供され得る。ある実施形態では、ワイヤ205は、配布又は後続の処理(すなわち、オフラインで実行される後続の処理など)のために取り出され又は巻き取られてもよい。他の実施形態では、ワイヤ205は、追加の絶縁層(例えば、押出層、ボンドコート、コンフォーマル層など)を形成するように構成された任意の数の適切な下流装置に提供され得る。例えば、ワイヤ205は、他の熱硬化性絶縁層を形成するために、押出クロスヘッド225に戻されてもよい。他の例として、ワイヤ205は、1つ以上の絶縁材料の異なるセットから形成された押出層などの追加の絶縁層を形成するように構成された下流システムに提供されてもよい。更に他の例として、ワイヤ205は、パリレンを含む1つ以上のコーティングなどの、1つ以上のコンフォーマルコーティングをワイヤ205上に形成するように構成された1つ以上のシステムに提供されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ205は、任意の数の適切なヘアピン、コイル、成形品、及び/又は、電気機械又は他のアプリケーションへの組み込みに適したワイヤ205からできた他のアセンブリを形成するように構成された1つ以上の適切な切断及び/又は成形システムに提供されてもよい。更に他の実施形態では、ワイヤ205は、積層造形又は3D印刷を使用して押し出された絶縁上にマグネット(例えば、希土類マグネットなど)を形成するように構成された1つ以上の適切なシステムに提供されてもよい。実際、様々な適切な操作及び/又は追加の処理がワイヤ205に実施されてもよい。必要に応じて、追加の処理がインライン又はオフラインで実施されてもよい。
【0059】
図2を参照して上述したシステム200は、例示のために提供されている。様々な実施形態において、必要に応じて、様々な代替がシステム200に対してなされ得る。さらに、様々な追加の構成要素が、必要に応じて、システム200に組み込まれ得る。必要に応じて、システム200は、コンピュータ、マイクロコントローラ、特定用途向け回路インターフェース、プログラマブルロジックアレイ、又は任意の数の適切なシステム構成要素の同期及び/又は構成を促進する他の制御装置など、任意の数のコントローラ又は制御装置を含んでいてもよい。実際、本開示は、マグネットワイヤ絶縁を形成するために利用され得る様々な適切なシステムを想定している。
【0060】
図3は、本開示の例示的な実施形態に係る、マグネットワイヤ上に絶縁として1つ以上の熱硬化性ポリマー材料を押し出すための例示的な方法300のフローチャートを示す。方法300は、図1及び図2を参照して上述したシステム100、200などの任意の適切な処理及び押出システムによって実行されてもよい。方法300は、ブロック305で開始することができる。ブロック305において、図1を参照して上述した任意の材料などの熱硬化性ポリマー材料が、適切な単軸又は多軸スクリュー押出機に提供され得る。熱硬化性ポリマー材料は、様々な適切な形態で提供されてもよい。例えば、ブロック310において、熱硬化性ポリマー材料は、粉末形態又は比較的低溶剤形態で提供されてもよい。熱硬化性ポリマー材料は、オフラインで配合され、その後押出機に提供されてもよい。他の例として、ブロック315において、熱硬化性ポリマー材料は押出機と流体連通するシステムで混合配合され、配合された熱硬化性材料が押出機にインライン又は連続的に提供されてもよい。更に他の例として、ブロック320において、熱硬化性ポリマー材料の複数の原材料又は原料が押出機に提供され、熱硬化性材料が押出機内で重合及び/又は配合されてもよい。押出機内で熱硬化性ポリマー材料を配合する例示的なプロセスは、図4の方法400を参照して以下でより詳細に説明される。必要に応じて、図4の方法400の部分又は全てがブロック320に実装されてもよい。
【0061】
ブロック325において、押出機は、圧力及び/又は温度を増加させるために、熱硬化性ポリマー材料を処理することができる。これに関して、熱硬化性材料は、プレス、ペースト、又は圧力押出に適したペースト、スラリー、又は半固体状態に処理されてもよい。ブロック330において、1つ以上の適切な真空脱揮及び/又は他の適切な装置を介して、様々な不要な物質が熱硬化性材料から除去され得る。例えば、熱硬化性材料が押出機内で処理される際に、不要な量の溶剤、水、他の液体、及び/又は他の不要な材料が、除去され得る。ブロック335において、このブロックは実施形態によって任意とされるが、1つ以上の下流の原料が押出機に加えられてもよい。例えば、1つ以上のフィラー材料及び/又は脱揮後に添加される1つ以上の材料が、下流材料として押出機に加えられてもよい。
【0062】
ブロック340において、熱硬化性材料は、押出機によって、絶縁として1つ以上のマグネットワイヤ上への押出又は塗布のために、1つ以上の適切な押出クロスヘッドに提供されてもよい。例えば、熱硬化性材料は、適切なペースト、スラリー、又は半固体として1つ以上のマグネットワイヤ上に押し出されてもよい。必要に応じて、押出が制御されて、所望の厚さ及び/又は構築の絶縁層の形成が促進されてもよい。さらに、ある実施形態では、絶縁材料は、押出クロスヘッドによる押出前に、任意の数の適切なフィルタリング装置によって処理されてもよい。熱硬化性材料がワイヤ上に押し出されると、ブロック345において、押し出された絶縁が硬化させられ得る。様々な適切な装置、システム、及び/又は技術が、押し出された絶縁材料を硬化させるために利用され得る。例えば、熱硬化性絶縁材料は、放射線硬化装置、電子ビーム硬化(EBC)装置、可変周波数マイクロ波(VFM)硬化装置、及び/又は紫外線(UV)硬化装置を介して、1つ以上のオーブン(例えば、エナメルオーブンなど)で硬化させられてもよい。
【0063】
ある実施形態では、本方法は、ブロック345の後に終了し得る。例えば、マグネットワイヤは、絶縁材料の硬化後に取り出されてもよい。他の実施形態では、方法300が完了する前に、ブロック350においてワイヤ上で様々な追加の処理が実施されてもよい。例えば、ブロック355において、1つ以上の追加の熱硬化性ポリマー絶縁層がワイヤ上に形成されてもよい。他の例として、ブロック360において、1つ以上の熱可塑性ポリマー絶縁層が押し出され、或いはワイヤ上に形成されてもよい。他の例として、1つ以上のコンフォーマル層が形成されてもよい。更に他の例として、1つ以上のマグネットワイヤが、任意の所望の数のアセンブリに切断及び/又は形成されてもよい。次いで、方法300は、追加の絶縁の形成及び/又は他の追加の処理の後に終了し得る。
【0064】
図4は、押出機内で熱硬化性ポリマー材料を配合するための例示的な方法400のフローチャートを示している。方法400は、図1及び2を参照して上述したシステム100、200のいずれかなどの、任意の適切な押出機及び/又は処理システムによって実施され得る。ある実施形態では、方法400の一部又は全部は、図3の方法300に関してブロック320において実行されてもよい。方法400は、ブロック405で開始することができる。ブロック405において、熱硬化性ポリマー材料の複数の原材料及び/又は原料が提供されてもよい。様々な実施形態において、必要に応じて、様々な適切な原材料が提供されてもよい。例えば、ブロック410において、1つ以上のモノマー及び/又はプレポリマーが提供されてもよい。他の例として、ブロック415で、1つ以上の反応物が提供され得る。必要に応じて、粉末、固体材料、及び/又は他の原材料が提供されてもよい。原材料は、1つ以上の適切なホッパー及び/又は供給アセンブリなど、任意の数の適切な装置を介して提供されてもよい。
【0065】
ブロック420において、提供された原材料は、必要に応じて撹拌されてもよいし、ブレンド、或いは適切な撹拌タンク又は他の適切な混合装置中で一緒に混合されてもよい。次いで、ブロック425において、混合物は、単軸又は多軸スクリュー押出機などの適切な押出機に提供され得る。ブロック430において、押出機は、原材料を処理する際のさらなる混合を促進し得る。さらに、押出機は、原材料間の様々な化学反応の開始及び/又は完了を促進し得る。例えば、押出機は原材料の温度及び/又は圧力を上昇させ、それにより押出機内で所望の熱硬化性ポリマー材料を形成するために複数の原材料間の1つ以上の重合及び/又は他の反応を促進することができる。
【0066】
ブロック430において、熱硬化性ポリマー材料のための追加の原材料が望ましい又は必要とされているか否かの判定が行われてもよい。ブロック430において追加の原材料が望ましいと判定された場合、ブロック405において動作が継続されてもよく、1つ以上の追加の原材料が提供されてもよい。例えば、熱硬化性ポリマー材料のための追加の原材料は、先に原材料を押出機に提供した1つ以上のフィーダアセンブリから長手方向で下流に位置するフィーダアセンブリによって押出機に提供され得る。これに関して、それぞれの原材料は、重合プロセスにおいて様々な所望の位置又は場所で押出機に提供されてもよい。しかしながら、ブロック435において追加の原材料が望ましくないと判定された場合、動作は終了され得る。
【0067】
図3及び図4の方法300、400で説明され、示された動作は、様々な実施形態で望まれるように、任意の適切な順序で実施又は実行されてもよい。さらに、ある実施形態では、動作の少なくとも一部は並行して実行されてもよい。さらに、ある実施形態では、図3及び図4で説明されたよりも少ない又は多い動作が実行されてもよい。
【0068】
「can」、「could」、「might」又は「may」などの条件付き言語(conditional language)は、特に明記されない限り、或いは使用される文脈により理解されない限り、一般的に、特定の実施形態では特定の特徴、構成要素、及び/又は動作が含まれるが、他の実施形態では含まないことがあることを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、機能、構成要素、及び/又は操作が1つ以上の実施形態にて何らかの形で必要とされること、或いは1つ以上の実施形態がユーザー入力又はプロンプトの有無にかかわらず、これらの機能、構成要素、及び/又は操作がある実施形態に含まれる、或いは実行されるかどうかを判定するためのロジックを必ず含むことを意味するものではない。
【0069】
本明細書に記載された本開示の多くの修正及び他の実施形態が前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有することは、明らかであろう。したがって、本開示は開示された特定の実施形態に限定されず、その修正及び他の実施形態も特許請求の範囲内に含まれることを意図していることを理解されたい。本開示では、特定の用語が使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的で使用されているものではない。
図1
図2
図3
図4