(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】スピンドルを有するジェロータ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20230713BHJP
F04C 2/10 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F04C15/00 L
F04C2/10 321B
F04C2/10 341Z
(21)【出願番号】P 2020506255
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 IB2019051171
(87)【国際公開番号】W WO2019159081
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-26
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515188420
【氏名又は名称】スタックポール インターナショナル エンジニアード プロダクツ,リミテッド.
【氏名又は名称原語表記】STACKPOLE INTERNATIONAL ENGINEERED PRODUCTS, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ワン, リーピン
(72)【発明者】
【氏名】ミュゼラー, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】コワルスキー, アンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブカス, ウラジミール
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0130327(US,A1)
【文献】特表2012-508344(JP,A)
【文献】特開昭62-271969(JP,A)
【文献】特開2012-041867(JP,A)
【文献】特開2005-273648(JP,A)
【文献】特開2007-262944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェロータポンプであって、
流体源から流体を受け取る吸込口と、
加圧流体をシステムへと供給する吐出口と、
回転するべく第1の軸に実装されている内側ギアと、
第2の軸に関連付けて実装されており、中心がずれた状態で前記内側ギアと内側で噛合する外側ギアと、
駆動装置によって駆動されるよう構成されている駆動シャフトであって、前記加圧流体として出力するべく、受け取った前記流体を加圧することを目的として、前記第1の軸を中心に前記内側ギアを機械的に駆動するよう前記内側ギアに結合されている駆動シャフトと、
ロータおよびステータを有し、両者間に径方向に径方向間隙を持つ電気モータであって、前記ロータは前記外側ギアの外面に配置されており、前記外側ギアを電磁的に駆動して回転させることで、前記第1の軸を中心として前記内側ギアを偏心した状態でさらに回転させるよう構成されている電気モータと、
前記径方向において前記ロータと前記ステータとの間に前記径方向間隙を実質的に維持しやすくなるよう前記外側ギアに固定結合されているスピンドルであって、前記第2の軸を中心として回転するよう構成されているスピンドルと
、
ベアリング支持部と、
前記ベアリング支持部によって収容されるベアリングと、
を備え
、
前記スピンドルは、前記スピンドルを回転可能に取り付け且つ前記ロータの径方向の位置を固定するか又はほぼ固定して前記径方向間隙を実質的に維持するように、前記ベアリング内に軸方向に受け入れられるスピンドルシャフトを有する、
ジェロータポンプ。
【請求項2】
前記内側ギア、前記外側ギア、前記電気モータ、および前記スピンドルはハウジング内に収められている、請求項1に記載のジェロータポンプ。
【請求項3】
前記ハウジングにおいて前記内側ギアおよび前記外側ギアの下方に配置されている圧力板をさらに備える、請求項2に記載のジェロータポンプ。
【請求項4】
前記ハウジングは、コントローラおよび中間セパレータが内部に設けられており、前記内側ギア、前記外側ギア、前記電気モータおよび前記スピンドルが前記中間セパレータよりも下方に配置されており、前記コントローラが前記中間セパレータの上方に配置されている、請求項2に記載のジェロータポンプ。
【請求項5】
前記スピンドルと前記中間セパレータとの間には
前記ベアリングが設けられており、前記中間セパレータは環状ポケットおよび
前記ベアリング支持部を有しており、前記環状ポケットは前記中間セパレータの第1の側に設けられており、前記ベアリング支持部は、前記中間セパレータの第2の側に設けられており、前記ベアリングを受け入れるよう構成されている、請求項4に記載のジェロータポンプ。
【請求項6】
前記環状
ポケットは前記コントローラを受け入れるよう構成されている、請求項5に記載のジェロータポンプ。
【請求項7】
前記内側ギア、前記外側ギア、前記電気モータ、および前記スピンドルは、前記中間セパレータおよび前記ハウジングの下方に収容されている流体と接触する、請求項4に記載のジェロータポンプ。
【請求項8】
前記スピンドルはピンを用いて前記外側ギアに固定結合されている、請求項1に記載のジェロータポンプ。
【請求項9】
前記スピンドルはさらにフランジ部を有し、前記フランジ部は前記外側ギアの一部を把持するよう構成されている、請求項1に記載のジェロータポンプ。
【請求項10】
前記駆動シャフトは、前記圧力板を貫通して前記ハウジングの内部へと延在している、請求項3に記載のジェロータポンプ。
【請求項11】
前記システムはトランスミッションまたはエンジンである、請求項1に記載のジェロータポンプ。
【請求項12】
システムであって、
エンジンまたはトランスミッションと、
ジェロータポンプと
を備え、前記ジェロータポンプは、
流体源から流体を受け取る吸込口と、
前記エンジンまたは前記トランスミッションへと加圧流体を供給する吐出口と、
第1の軸に実装されている内側ギアと、
前記第1の軸からずれている第2の軸に実装されている外側ギアであって、中心がずれた状態で前記内側ギアと内側で噛合する外側ギアと、
駆動装置によって駆動されるよう構成されている駆動シャフトであって、前記加圧流体として出力するべく、受け取った前記流体を加圧することを目的として、前記第1の軸を中心に前記内側ギアを駆動するよう前記内側ギアに結合されている駆動シャフトと、
ロータおよびステータを有し、両者間に径方向に径方向間隙を持つ電気モータであって、前記ロータは前記外側ギアの外面に配置されており、前記外側ギアを電磁的に駆動して回転させることで、前記第1の軸を中心として前記内側ギアを偏心した状態でさらに回転させるよう構成されている電気モータと、
前記径方向において前記ロータと前記ステータとの間に前記径方向間隙を実質的に維持しやすくなるよう前記外側ギアに固定結合されているスピンドルであって、前記第2の軸を中心として回転するよう構成されているスピンドルと
、
ベアリング支持部と、
前記ベアリング支持部によって収容されるベアリングと、 を有
し、
前記スピンドルは、前記スピンドルを回転可能に取り付け且つ前記ロータの径方向の位置を固定するか又はほぼ固定して前記径方向間隙を実質的に維持するように、前記ベアリング内に軸方向に受け入れられるスピンドルシャフトを有する、
システム。
【請求項13】
前記内側ギア、前記外側ギア、前記電気モータ、および前記スピンドルはハウジング内に収められている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ハウジングにおいて前記内側ギアおよび前記外側ギアの下方に配置されている圧力板をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハウジングは、内部にコントローラおよび中間セパレータが設けられており、前記内側ギア、前記外側ギア、前記電気モータおよび前記スピンドルが、前記中間セパレータよりも下方に配置されており、前記コントローラは前記中間セパレータの上方に配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記スピンドルと前記中間セパレータとの間には
前記ベアリングが設けられており、前記中間セパレータは環状ポケットおよび
前記ベアリング支持部を有しており、前記環状ポケットは前記中間セパレータの第1の側に設けられており、前記ベアリング支持部は、前記中間セパレータの第2の側に設けられており、前記ベアリングを受け入れるよう構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記スピンドルはピンを用いて前記外側ギアに固定結合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記スピンドルはさらにフランジ部を有し、前記フランジ部は前記外側ギアの一部を把持するよう構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記駆動シャフトは、前記圧力板を貫通して前記ハウジングの内部へと延在している、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許仮出願第62/630,523号(2018年2月14日出願)に基づく優先権を主張するものであり、この米国特許仮出願の主題は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して、ジェロータポンプに関する。本開示は具体的には、ジェロータのギア部にスピンドルが結合されているジェロータポンプに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ジェロータポンプは、容積式ポンプとして用いられることがある。ジェロータは通常、外側ギア(ロータ)と噛合する内側ギア(またはロータ)を備える。外側ギアは、内側ギアよりも歯の数が多い。内側ギアの軸は、外側ギアの軸とはずれており、両方のギアはそれぞれの軸を中心として回転する。このようにずれていることによって、両者間に容量が可変の空間が形成される。流体は、回転サイクル中、ジェロータの吸込側に流入し、この容量可変空間によって加圧され、加圧された流体はジェロータの吐出口で吐出されるとしてよい。このようなジェロータは、機械損失および摩擦損失がある程度あることがあり、かさばる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一側面によると、回転するべく第1の軸に実装されている内側ギアと、第2の軸と関連づけて、中心がずれた状態で前記内側ギアと内側で噛合する外側ギアと、内側ギアに結合されており、第1の軸を中心に内側ギアを駆動して、加圧流体として出力するべく受け取った流体を加圧する駆動シャフトと、間に径方向に径方向間隙を持つロータおよびステータを有する電動モータと、を備えるジェロータポンプが提供される。ロータは、外側ギアの外面に配置されている。当該ジェロータポンプはさらに、ロータとステータとの間に径方向に径方向間隙を維持しやすいよう、外側ギアに固定結合されているスピンドルを備える。スピンドルは、第2の軸を中心に回転するよう構成されている。
【0005】
本開示の別の態様では、上述のジェロータポンプと、エンジンまたはトランスミッションとを備えるシステムを含む。
【0006】
本開示の他の側面および特徴が、以下の詳細な説明、添付した図面および添付した特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は、本明細書に組み込まれ本明細書の一部分を構成するものであり、一または複数の実施形態を示し、明細書とともに参照することで一または複数の実施形態を説明するものである。添付図面は必ずしも実寸に即したものではない。添付したグラフおよび図面に示されている値や寸法は、例示を目的としたものに過ぎず、実際の値または寸法、好ましい値や寸法を示す場合もあればそうでない場合もある。基本的な特徴を説明しやすくするべく、一部またはすべての特徴の図示を省略している場合がある。各図面は以下の通りである。
【0008】
【
図1A】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの第1の斜視図である。
【0009】
【
図1B】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの第2の斜視図である。
【0010】
【
図2】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの分解図である。
【0011】
【
図3A】本開示の一実施形態に係る、第1の向きにおけるジェロータポンプの構成要素を示す、ジェロータポンプの別の分解図である。
【0012】
【
図3B】本開示の一実施形態に係る、第2の向きにおけるジェロータポンプの構成要素を示す、ジェロータポンプの別の分解図である。
【0013】
【
図4】本開示の一実施形態に係る、ジェロータポンプの構成要素の一部を示す、ジェロータポンプの別の分解図である。
【0014】
【
図5】本開示の一実施形態に係る、ジェロータポンプの構成要素の別の一部を示す、ジェロータポンプの別の分解図である。
【0015】
【
図6】本開示の一実施形態に係る、中間カバーまたはセパレータを含むジェロータポンプの構成要素のサブアセンブリを示す底面斜視図である。
【0016】
【
図7】本開示の一実施形態に係る、スピンドルを含むジェロータポンプの構成要素の別のサブアセンブリを示す側方斜視図である。
【0017】
【
図8A】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの第1の断面図である。
【0018】
【
図8B】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの第2の断面図である。
【0019】
【
図9】本開示の一実施形態に係るジェロータポンプの構成要素の一部を備えるジェロータポンプの第3の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照しつつ以下に記載する説明は、開示する主題のさまざまな実施形態を説明することを目的としたものであり、必ずしも以下の実施形態のみを代表することを意図したものではない。例を挙げると、以下の説明では開示している実施形態の理解を深めることを目的として具体的かつ詳細な内容を記載する。ただし、開示する実施形態は、これらの具体的かつ詳細な内容を採用することなく実施されてもよいことが当業者には明らかであろう。他の例において、周知の構造および構成要素は、開示する主題の内容をあいまいにすることを避ける目的でブロック図の形式で示される場合がある。
【0021】
本明細書で「一実施形態」または「実施形態」という場合、当該実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造または特性が、開示している主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて何度も「一実施形態において」または「ある実施形態において」と言及するが、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。また、そのような特定の特徴、構造または特性は、一または複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わせ可能である。また、開示した主題の実施形態は、変形例および変更例を含むことを意図する。
【0022】
「上」、「下」、「側方」、「高さ」、「上方」、「下方」、「内側」、「外側」、「内部」、「外部」等の用語は、本明細書で用いる場合、単に参照のために言及しているにすぎず、本開示の実施形態を特定の配向または構成に必ずしも限定するものではないと理解されたい。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は単に、本明細書で開示している複数の部分、構成要素、ステップ、処理、機能および/または基準点のうち1つを特定しているに過ぎず、本開示の実施形態を特定の構成あるいは配向に、または、それぞれの数字が持つ要件に必ずしも限定するものではない。
【0023】
また、本開示において「流体」及び「潤滑剤」という用語は同義語として使用され、決して本開示を限定することを意図するものではない。一部の実施形態では、流体または潤滑剤は、オイル、例えば、エンジンオイルを意味するとしてよい。他の実施形態では、流体または潤滑剤は、トランスミッション液を意味するとしてよい。
【0024】
図1Aおよび
図1Bは、一実施形態によるジェロータポンプ10の複数の異なる斜視図を示す。ジェロータポンプ10は、上部カバー100を備える。上部カバー100は、下部筐体600に取り付けられ、ハウジングアセンブリ150(本明細書ではハウジング150またはジェロータハウジング150とも呼ぶ)を形成する。ジェロータポンプ10はさらに、ハウジング150に封入されているジェロータギアセット400(例えば、
図3Aに示す内側ギア401および外側ギア402)を備える。下部筐体600は、流体(例えば、オイルまたは潤滑剤)が供給源からハウジングアセンブリ150に流入する吸込口(入口)601と、加圧流体をシステムへと供給させるために吐出する吐出口または出口603とを有する。動作について説明すると、ジェロータギア400は、吸込口601において吸込を行って、流体をハウジングアセンブリ150に流入させ、ジェロータギアは回転することで流体を圧縮または加圧して、加圧流体を吐出口または出口603から吐出または流出させる。ポンプ吐出口603は、加圧された流体または潤滑剤を、例えばトランスミッションまたはエンジン等のシステムへと吐出または供給するのに使用される。
【0025】
実施形態において、ジェロータポンプ10は、電気的または機械的に駆動するとしてよい。例えば、電気的に駆動するジェロータポンプは、ジェロータギアのうち一つ(例えば、外側ギア402)を回転させるよう構成されている電気コイルセットを備えるとしてよい。電力源は、上部カバー100の排出口101を通る電線によって供給されるとしてよい。以下では、ジェロータポンプ10の概念および仕組みを説明する上で電気的駆動を説明するが、本開示の範囲を限定するものではない。ジェロータポンプ10は、当業者であれば想到するであろうが、変形例で機械的駆動としてもよい。例えば、機械的に駆動されるジェロータの場合、入力シャフト(不図示)が、ジェロータポンプ10を駆動するべく、ハウジングの下部筐体600を介してジェロータギアのうち1つ(例えば、内側ギア401)に結合されているとしてよい。
【0026】
図2は、電気的に駆動されるジェロータポンプ10の一部である電気回路基板200を持つコントローラを示す、ジェロータポンプ10の分解図である。電気回路基板200は、排出口101を通過する電線を介して電力信号またはその他の通信/制御信号を受信するとしてよい。電気回路基板は、抵抗器、キャパシタ(例えば、201、202、204)、電力回路203および/または、例えば、電流および電圧を制御してジェロータポンプ10を動作させるよう構成されているその他の電気部品等の電気部品を複数含むとしてよい。実施形態では、電気回路基板200は、ジェロータのギア(例えば、外側ギア402)を駆動するべく用いられる磁界を生成する電気コイル(後述する)を流れる電流または電圧を制御するよう構成されているとしてよい。電気回路基板200は、当業者であれば理解し得るであろうが、本明細書ではプリント配線基板(PCB)またはコントローラと呼ぶ場合がある。PCB200またはコントローラは、一実施形態に応じて、バスバーとして設けられるとしてもよい。
【0027】
図3Aおよび
図3Bはそれぞれ、第1の向きおよび第2の向きにおいてジェロータポンプの構成要素を図示している、ジェロータポンプ10の分解図である。ジェロータポンプ10は、上部カバー100、PCB200、中間カバーまたはセパレータ300、ジェロータギアセット400(内側ギア401および外側ギア402を含む)、スピンドル405、ベアリング407、ピン410、モータステータ500および下部筐体600を備える。これに代えて、または、これに加えて、圧力板610が、例えば、ハウジング150の下部筐体600内に含まれており、ジェロータポンプユニットの軸方向の誤差を補償する。ジェロータポンプ10の構成要素は、ハウジング内で小型のアセンブリを形成するよう互いに結合されているとしてよい。
【0028】
実施形態において、中間セパレータ300は、第1の側で(つまり、上部カバー100とセパレータ300の上面との間で、例えば
図8Aを参照のこと)PCB/コントローラ200を支持しているとしてよく、第2の側の下側で(つまり、下部筐体600とセパレータ300の下面との間で、例えば、
図8Aに図示している)ジェロータギア400(401および402)およびモータステータ500を覆うと共に封止しているとしてよい。実施形態において、セパレータ300は、第1の側がいかなる流体も含まず、第2の側が流体を含むように構成されているとしてよい。このため、セパレータ300は第2の側から第1の側へと流体が流れ込まないようにしている壁として機能する。つまり、PCB/コントローラ200が設けられている側は乾燥していて流体が存在せず、ポンプ素子が設けられている側には流体が存在する。このため、セパレータ300は両面で構成要素を支持するとともに、流体妨害部または区切り部として機能するという、2つの機能を兼ねることになるとしてよい。
【0029】
ある実施形態によると、セパレータ300の第1の側(例えば、上側)では、PCB200が支持されているか、または、取り外し可能な方法でセパレータ300に結合されているとしてよい。
図3Bおよび
図8Aを参照すると、セパレータ300は、環状ポケット302、フランジ305およびベアリング支持部307を第1の側に有する。ベアリング支持部307は、セパレータ300の中心に配置されている中空の棒状部分であってよい。セパレータ300の上側から見た場合、棒状部分が第1の側に向かって(つまり、上部カバー100に向かって)上向きに軸方向に沿って突出しており、セパレータ300の下側から見た場合(
図8Aおよび
図9を参照のこと)、中空部分が形成されており下側から到達可能であるとしてよい。ベアリング支持部307の中空部分は、ベアリング407を支持するよう、または、受け入れるように構成されているとしてよい(セパレータ300の第2の側に関連付けてさらに後述する)。
【0030】
棒状部分の周囲には、PCB200およびその構成要素(例えば、電気部品201、202、203、204等)を収容するよう環状ポケット302が形成されているとしてよい。このため、セパレータ300の第1の側では小型のサブアセンブリが形成されている。さらに、セパレータ300は、ジェロータポンプ10を組み立てた後、および、ジェロータポンプ10の動作中、PCB200が、ポンプ素子が配置されている反対側に存在する流体と接触しないようにしている。電気部品は、キャパシタ、抵抗器、および、その他のセパレータ300と直接接触する発熱素子を含むことが好ましい。セパレータ300は熱伝導材料を原料とする。このため、伝導特性によって反対側に存在する流体に熱を伝達させることができる(つまり、セパレータ300の壁を通って伝達する)ので、コントローラ200およびその構成要素を効率よく冷却することができる。
【0031】
フランジ305は、中間セパレータ300の外縁部を取り囲むように形成されているとしてよく、一方の側で上部カバー100に接続し他方の側で下部筐体600に接続するべく用いられるとしてよい。フランジ305の形状は、ジェロータポンプ10を継ぎ目なく組み立てるべく、例えば、下部筐体600および上側カバー100の外縁部の形状に対応した形状であるとしてよい。図示している実施形態例によると、上部カバー100、セパレータ300および下部筐体600のそれぞれに設けられている突出部を除き、上部カバー100、セパレータ300および下部筐体600の縁部は、(突出部間で)実質的に丸くなっているか、および/または、実質的に円形であってよい。この構成に限定するものではないが、フランジ305/セパレータ300、上部カバー100および下部筐体600の外縁部/外面の形状は、位置合わせして結合させることでハウジング150を形成するように、互いに対応するものであると理解されたい。さらに、実施形態において、突出部は、上部カバー100、セパレータ300および下部筐体600を互いに固定するべく位置合わせするように、上部カバー100、セパレータ300および下部筐体600のそれぞれに設けられている。一実施形態において、これらの構成要素のそれぞれに設けられている突出部は、互いに位置合わせされるよう構成されている(例えば、
図1Bおよび
図8Aを参照のこと)受け入れ用開口部を含む。ポンプのハウジング部品を互いに固定してハウジングアセンブリ150を形成するべく、上部カバー100、セパレータ300および下部筐体600を重ね合わせ、位置合わせした受け入れ用開口部が固定具(例えば、ボルト)(不図示)を受け入れる。
【0032】
セパレータ300の第2の側(例えば、下側)に、ベアリング407を収容するよう設けられる中空の棒状部分が設けられているとしてよい。例えば、
図8Aを参照されたい。実施形態において、ベアリング407はボールベアリング、ジャーナルベアリングまたはその他の種類のベアリングであってよい。ベアリングの種類に応じて、ベアリング支持部307の中空部分はベアリング407と軸方向に嵌合するように構成されているとしてよい。ベアリング407は、スピンドル405とセパレータ300との間に(または、より具体的には、スピンドル405とセパレータ300の中空棒状部分との間に)配置されるとしてよい。さらに、スピンドル405のスピンドルシャフト406は、軸方向にベアリング407内に入るとしてよく、一実施形態において、スピンドルシャフト406はさらに、ベアリング407を貫通してベアリング支持部307に接触するとしてもよい。このため、スピンドル405は動作中、ベアリング407および中間セパレータ300と相対的に回転するとしてよい。一方セパレータ300は静止している。また、ベアリング407内でスピンドル405が上記のように配置されることで、スピンドル405を、回転可能に/ハウジングの内部で回転させるために、当該領域で径方向に余分な遊びを設けることなく、取り付けることができるようになる。先行技術に係る解決方法では通常、これらの部品を可動とするためには径方向に余分な遊びを設ける必要があるか、または、設けることが多く、ステータ500の固定ステータコイルと、ジェロータの外側ギア402(後述する)に設けられているロータコイル403との間のモータ空隙を狭く維持し難くなったり、または、動作中あるいはジェロータポンプ10の組み立て中に位置がずれたりする結果となり、または、両方の事態が発生する場合もある。しかし本明細書で開示されている構成は、スピンドル405/ベアリング407の領域において径方向に余分な遊びを必要としないか、または、残さない。これに代えて、磁気ロータの径方向の位置は固定されている(つまり、モータ空隙または径方向の間隙810を狭くする)か、または、ほぼ固定されている。このため、モータ性能の偏心の影響が除去されるか、または、ほぼ除去される。したがって、スピンドル405によって、ロータコイル403、ジェロータギア400、および、モータステータ500の間の径方向間隙810(
図8Aを参照のこと)は、ポンプ動作中、厳密な誤差で維持されるとしてよい。これによって、特に磁束ギャップが安定し、ジェロータポンプ10のノイズ性能および振動性能が改善する。これに加えて、中間セパレータ300の上記のような構成によって、ジェロータポンプ10のアセンブリを小型化することが可能となる。例えば、中間セパレータ300の第2の側でジェロータポンプ10の構成要素を組み立てると、チャンバ602(
図9を参照のこと)が中間セパレータ300と下部筐体600との間に形成されるとしてよい。チャンバ602は、アセンブリを小型化するべくジェロータギア400およびモータステータ500を収容するよう構成されているとしてよい。
【0033】
スピンドル405は、ジェロータギア400の径方向の移動をモータステータ500に対して制御または確保するようにジェロータギアセット400を保持するよう構成されているものであれば、どのような構成要素であってもよい。実施形態において、スピンドル405はスピンドルシャフト406、フランジ部415、上面417(
図4を参照のこと)および上面417に形成されている貫通孔412(
図4を参照のこと)と一体的に形成されているとしてよい。実施形態において、スピンドル405は実質的に円形、または、実質的に丸く形成されていてよく、スピンドルシャフト406が上面417の中央に設けられており、上面417から第1の側(つまり、上部カバー100が配置されている側)に向かって、または、上向きに軸方向に突出しているとしてよい。フランジ部分415は、上面417の外縁部に形成されているとしてよく、第2の側(つまり、下部筐体600が配置されている側)に向かって、または、下向きに突出しているとしてよい。フランジ部分415は、ジェロータギア400のうち外側ギア402の外面425の一部分を把持するよう構成されているとしてよい。さらに、スピンドル405は、(スピンドル405および一連のギアを積み重ねた場合、例えば、
図8Bを参照のこと)孔412および413を貫通するピン410を介して外側ギア402に固定結合されているとしてよい。孔412および413は、
図8Bに図示しているように、互いに軸方向に位置合わせされており、ピン410が貫通する。このため、スピンドル405と、ジェロータギア400のうち外側ギア402とが相対的に回転しないようにしている。実施形態において、孔412および413は、スピンドル405の回転軸(軸405a)からずれて、または、離れて形成されているとしてよい。例えば、孔412および413は、フランジ部分415、外側ギア402(例えば、外面425)、スピンドルシャフト406の外縁部同士の間に形成されているとしてよい。例えば、孔413はスピンドルシャフト406とフランジ415との間のほぼ中間地点に形成されているとしてよい。同様に、孔412は外側ギア402の本体に、孔413に対応する距離で、形成されているとしてよい。実施形態において、孔412は、回転軸405aからずれて、外面425と外側ギア402の内歯との間に、位置しているとしてよい。本開示は、寸法、孔の数、または、孔413の位置(外側ギア402に設けられる対応する孔412)について限定されない。実施形態において、孔412および413の直径は、ピン410と、孔412および413との間の相互作用を限定(または抑制)するべく、ピン410より小さく、または、ピン410とほぼ等しくするとしてよい。
【0034】
このため、スピンドル405は、外側ギア402に(例えば、ピン410を介して)固定されて、ベアリング407内部で第1の軸405aを中心に、一緒に回転するよう構成されているとしてよい。実施形態によると、スピンドル405および外側ギア402(従来技術ではジェロータとして公知のもの)が軸405aを中心にして回転する一方、内側ギア401は第2の軸401aを中心にして回転するとしてよい。第1の軸405aおよび第2の軸401aが互いにずれていることによって、内側ギア401が外側ギア402に対して偏心した状態で回転できるようになる。
【0035】
実施形態において、上述したように、ジェロータギアセット400には、内側ギア401および外側ギア402が含まれる。内側ギア401は、外側ギア402と噛合する(
図3B、
図4、
図5、
図8A、
図8Bおよび
図9にも図示している)。実施形態において、内側ギア401は、外側ギア402の内部中空部分の内部に、ずれた状態で結合されるとしてよい。例えば、内側ギア401は、軸401aを中心に回転する下部筐体600を貫通して延伸するシャフト605(つまり、
図8Aに図示しているような駆動シャフト)に取り付けられるとしてよい。軸401aはスピンドル405(および外側ギア402)の回転軸405aとはずれている。ギア401および402をずれた状態で配置することで、流体の流出入を可能にする内側ギア401と外側ギア402との間に容量が可変の空間が形成される。実施形態によると、内側ギア401はシャフト605の軸(つまり第2の軸401a)を中心に回転するとしてよく、外側ギア402はスピンドル405(つまり、第1の軸405a)を中心に回転するとしてよい。実施形態によると、シャフト605は、内側ギア401を回転させるよう機械的に駆動される入力シャフトであってよい(つまり、シャフト605が内側ギア401を駆動する)。内側ギア401の回転によって外側ギア402が駆動され、ポンプ作用が生じる。駆動シャフト605は、軸(401a)を中心に回転してジェロータポンプ10を駆動するよう、駆動装置(不図示)によって駆動されるように構成されているとしてよい。このような駆動装置は、例えば、駆動プーリー、駆動シャフト、エンジンクランク、ギアまたは電気モータを含み得る。一または複数の支持ベアリングを使用して駆動シャフトを支持してもよい。
【0036】
内側ギア401は、外側ギア402の内歯(つまり、
図3Bに示すように外側ギア402の内側に形成されているもの)と噛合する外歯(つまり、例えば、
図3Bに示すように内側ギア401の外側に形成されているもの)がある。内側ギア401が外側ギア402と共に回転/噛合すると、ギア401および402の歯の間に三日月状形状が形成されるとしてよい。この形状の内部で、両ギアが回転することで(流入した)流体が圧縮または加圧される。さらに、一実施形態において、外側ギア402は内側ギア401よりも歯の数が多いので、内側ギア401は外側ギア402よりも低速で回転するとしてよい。例えば、外側ギア402の内歯は6本で、内側ギア401の外歯は5本であってよい。実施形態において、ジェロータポンプ10は三日月形のインターナルポンプであってよく、例えば、インボリュート歯車が設けられており、内側ギアの歯の数は外側ギアの歯の数とは異なり、その差は2以上である。実施形態において、ジェロータポンプ10は、回転中、内側ギア401と外側ギア402との間に三日月状形状が形成されないとしてもよい。ギア同士の間に形成される領域または形状は、回転中に流体が流入して加圧される箇所であるが、これらに限定されない。内側ギア401、外側ギア402、ギア自体および使用される部品の歯の種類、数および形状も、上記に限定されることは意図していない。
【0037】
図3Aおよび
図3Bはさらに、下部筐体600(
図8Aも参照のこと)内に設けられる(任意の)圧力板610を図示している。内側ギア401は、内側ギア401と吸込口および吐出口との間に存在する遊びを補償するべく、圧力板610に当接させるとしてよい。実施形態によると、駆動シャフト605は、圧力板610を貫通して、ハウジングアセンブリ150内へと延在するとしてよい。さらに、圧力板610には、一部分が径方向に延在し、互いに離間している2つの径方向スロットがあるとしてよい。実施形態において、一方の径方向スロットは吸込口601からジェロータギア400への流路を形成するとしてよく、他方の径方向スロットはジェロータギア400から吐出口603への流路を形成しているとしてよい。
【0038】
実施形態によると、上述したように、一連のジェロータギア400は、外側ギア402を介して電磁駆動されるとしてよい。外側ギア402は、モータステータ500と磁気的に結合される一連の磁石を含むとしてよい。この結合によって、電磁モータを構成するとしてよい。このような構成によると、ロータ403はモータロータと呼ばれ、モータステータ500はステータと呼ばれるとしてよい。または、ギア400とモータステータ500との相対的な回転に応じて、その逆であってもよい。ロータ403は、図示されているように、外側ギア402の外面に配置されているとしてよい。実施形態において、ロータ(つまり、外側ギア402)は、ステータ(つまり、モータステータ500)上の同数の極に対応する4極ロータ、6極ロータ、8極ロータ等であってよい。例えば、ロータコイル403は、少なくとも2つの磁極(N極およびS極)を形成するよう構成されているとしてよい。この時、第1の極および第2の極は正反対の位置にあるとしてよい。実施形態において、ロータ403はモータステータ500に対応する極を持つ永久磁石であってよい。実施形態において、モータ構成は、リラクタンスモータ等他の種類のモータに対応するとしてよい。例えば、強磁性ロータ上に非永久磁極が設けられているリラクタンスモータ構成が、外側ギア402に形成されているとしてよい。
【0039】
実施形態において、外側ギア402はモータステータ500の内側に配置されるとしてよく、径方向において径方向間隙810(
図8Aおよび
図8Bに図示)が両者間に設けられている。
図8Aおよび
図8Bにおいて、径方向間隙810は、磁石とモータステータ500の極との間に形成されているとしてよい。径方向間隙810は、小さいことが望ましく(例えば、約0.5mm未満)、サイズ/寸法がポンプ動作中に相対的にほぼ一定となるように、維持または実質的に維持する必要がある。これは、ジェロータポンプ10を円滑かつ高効率で動作させるべく、バラつきを最小限に抑えつつモータステータ500と外側ギア402との間に比較的多量の磁束を維持するためである。例えば、開示したポンプにおいて、選択した間隙または所望の間隙(810)については+-2%の誤差またはバラつきが維持されるとしてよい。間隙810が大きくなると、磁束が指数的に減少するので、ジェロータポンプ10の効率が下がるとしてよい。実施形態によると、このような径方向間隙810は、外側ギア402とスピンドル405との間の結合によって、厳密に維持または制御されているとしてよい。例えば、上述したように、
図3A、
図3B、
図4、
図5、
図8A、
図8Bおよび
図9に示すように、実施形態において、外側ギア402はピン410を介してスピンドル405に固定結合されているとしてよい。別の実施形態において複数のピンを用いるとしてもよい。
【0040】
モータステータ500は、筐体600内に実装されており、ジェロータギア400と相対的に回転するよう構成されている。モータステータ500は、PCB200に結合されているとしてよい。PCB200は、モータステータ500を起動して、外側ギア402を回転させるよう構成されているとしてよい。実施形態において、モータステータ500は、筐体600内に支持または実装されているオーバーモールドステータとして製造されているとしてよく、ステータは筐体600に配置されている巻線を持つコアを有する。または、別の種類のステータが筐体600内に配置されている。オーバーモールドモータステータ500は、例えば、オーバーモールド樹脂によってまとめられた積層体を含むとしてよい。オーバーモールドモータステータ500は、ジェロータ動作中の振動を抑制するとしてもよい。
【0041】
ある実施形態によると、動作中、モータステータ500は起動されると、外側ギア402(およびスピンドル405)を軸405aを中心として回転させる。外側ギア402が回転することでさらに、内側ギア401が偏心した状態で軸401aを中心に回転する。また、三日月状形状がギア401とギア402との間に形成され、ギアの歯の係合が外れた場合に、例えば、ハウジングの吸込端部601において吸込力を発生させ、ギアの歯が係合した場合にハウジングの吐出端部603において圧縮力を発生させる。
【0042】
実施形態において、ジェロータの1または複数の構成要素は、ジェロータ動作中の摩擦損失を抑制するべく粉末材料から製造されているとしてよい。このため、ジェロータの効率が改善される。
【0043】
本開示に係るジェロータポンプ10のいくつかの利点は非限定的であり、その一部は上述している。例えば、間隙(例えば、径方向間隙810)はジェロータポンプの組み立て中および動作中においてほぼ一定に維持され得るので、径方向間隙810全体にわたって比較的一定の磁束が得られ、動作効率および動作速度が改善される。実施形態によると、径方向に余分な遊びを設けることなくスピンドル405およびベアリング407を利用することによって(および/または間隙810を効果的に維持しつつ、径方向の遊び/または移動を限定することで)、重要度は下がるが、ギアの歯の先端部同士の間の径方向の遊びの問題について、内側ギアの孔と、その中に挿入するシャフト605との間の誤差によって、対処することができる。さらに、スピンドル405およびベアリング407の構成は、例えば、外側ギア402と内側ギア401との間の振動を低減し得るので、モータステータ500と外側ギア402の電気コイルとの間の間隙が厳密に維持される。また、振動が低減されることで、間隙810を一定に維持することができ、ジェロータギア400の回転速度を高めることができる。スピンドル405によって、組み立て時およびジェロータ動作時において、自動で位置合わせができる。スピンドル405(およびベアリング407)およびピン410による一連のギア同士の接続で、内側ギア401と外側ギア402との間における(例えば、係合しているギア歯同士の間の)ギアの先端の誤差に対する高度な正確性要件が緩和される。
【0044】
さらに、磁界配向制御(FOC)の複雑性が(例えば、振動が低減されるので)緩和され得るので、ポンプを高速で駆動することが可能になる。
【0045】
圧力板610をスピンドル405と組み合わせて利用することでさらに、ポンプユニットの誤差に関して補償することが可能となり、一体化に関する問題が解決される。回転する部材同士が摩擦によって衝撃を発生させるが、ブッシングの利用に比べて、例えば、ベアリング407を利用することで、大幅に抑制される。
【0046】
コントローラは、ハウジングアセンブリにおける流体およびセパレータ300の構造によって、能動的に冷却されるとしてよい。このため、コントローラ(例えば、PCB200)の熱計測および熱制御を改善することができる。また、実施形態において、従来のバスバーに代えてPCBバスバーを利用することで、ポンプに係るコストがさらに削減されるとしてよい。
【0047】
オーバーモールドモータステータ500を用いて封止に関する問題を解決するとしてよい。実施形態によれば、ステータは粉末金属を用いて形成するとしてよい。さらに、実施形態において、オーバーモールドロータを、例えば、粉末金属を用いて、形成するとしてよい。実施形態において、ステータおよびロータの両方をオーバーモールドとするとしてよい。一実施形態において、シートマウンティングコンパウンド(またはコンポジット)プロセス(SMC)を利用して、例えば、ステータから積層体をなくすと共に、ロータコイル403を持つ外側ギア402を製造するとしてよい。これによって、製造コストが削減される。
【0048】
さらに、ジェロータポンプ10は、空隙および対応する磁束が一定しているので、モータ(またはポンプ)効率が全体的に改善している。また、回転する部品同士の間の摩擦が少なくなっているので、ポンプの機械効率が改善している。実施形態によると、従来の部品同士の摩擦は、本明細書で開示している設計によると先行技術に係る解決方法に比べて、最大50%削除されているとしてよい。さらに、実施形態によると、外側ロータ(例えば、ロータコイル403)および磁石についてシートモールディングコンパウンド(SMC)材料を利用することで、モータ一体化を実現しているとしてよい。電動オイルポンプ組み立てプロセスのロバスト性が高まるとしてよい。中間リングを用いてスピンドルとベアリングとの間の流体潤滑性を改善するとしてよい。
【0049】
上述したように、本開示の実施形態において、ジェロータポンプ10はシステムに対応づけられているとしてよい。当該システムは、例えば、車両または車両の一部であってよい。このようなシステムは、加圧された潤滑剤をポンプ10から受け取る自動車のエンジン(例えば、内燃機関)および/またはトランスミッションなどの機械システムを含むとしてよい。ポンプ10は、潤滑剤源から(ポンプ吸込口を通って流入する)流体/潤滑剤(例えば、オイル)を受け取り、加圧してエンジンまたはトランスミッションへと供給する(吐出口を通って流出させる)。サンプまたはタンクが、ポンプ10へ注入する潤滑剤源であってもよい。ポンプ10に含まれるコントローラは、システムおよび/またはポンプ10の駆動を実現するように設計されてもよい。
【0050】
上記の例示的な実施形態において本開示の原理が明確にされたが、本開示の実施に使用される構造、配置、比率、要素、材料および構成要素に対して様々な変形を加えることが可能であることは当業者であれば理解できる。
【0051】
従って、そのような変形例であっても本開示の特徴は完全におよび有効に達成されるだろう。しかし、上記に示した望ましい具体的な実施形態は、本開示の機能的及び構造的な原理を例示することを目的として説明および図示されたものであり、本開示の原理の範囲内において変更可能であるものと認められたい。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の意図および範囲に含まれる全ての変形例を包含する。