(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】シリコンを含有する粒子を組み込む製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/02 20060101AFI20230713BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230713BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20230713BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
C01B33/02 Z
H01M4/38 Z
H01M4/1395
H01M4/36 A
(21)【出願番号】P 2020534835
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2018084624
(87)【国際公開番号】W WO2019121261
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515009664
【氏名又は名称】ナノメーカーズ
【氏名又は名称原語表記】NANOMAKERS
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ぺラン,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ウダール,ヨハン
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-212496(JP,A)
【文献】特開2005-212327(JP,A)
【文献】特表2007-530721(JP,A)
【文献】国際公開第2009/104571(WO,A1)
【文献】特開2000-164220(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007044565(DE,A1)
【文献】特開2013-258076(JP,A)
【文献】特表2007-537965(JP,A)
【文献】特開2013-203626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/02
H01M 4/00
G03G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含有するサブミクロン粒子が、マトリックスに組み込まれる製造方法であって、
各サブミクロン粒子のコアが、少なくとも80質量%のSi、少なくとも80質量%のSiO
2
、または少なくとも80質量%のSiとSiO
2
との混合物を含み、
前記粒子の組み込み中に、
前記粒子が、かさ密度が0.10グラム/立方センチメートルを超える圧縮状態にあり、
前記圧縮粒子の比表面積が、互いの間で接触することなく別々に考慮される粒子の比表面積の少なくとも70%である、
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記粒子の組み込み中に、前記圧縮粒子が、互いの間に共有結合を有さないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
事前に前記マトリックスに組み込まれた前記粒子が、導電性または半導電性支持体上に広がり、そして前記粒子が、前記支持体に固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子を含有する層が、堆積される前記支持体から電極が製造されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電極を備える電池が製造されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子が広がる前記支持体から光起電性パネルが製造されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮粒子が、非圧縮状態の前記粒子から始まる圧縮するステップによって得られ、その結果、前記圧縮ステップ中に、前記粒子が400℃より高い温度に供されないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧縮粒子の前記マトリックスへの組み込みが、前記粒子が添加剤を含まない場合に行われることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子が、非酸化シリコンのコアを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マトリックスが、炭素を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マトリックスが、金属および/またはセラミックマトリックスであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記マトリックスが、液体および/または固体マトリックスであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンを含有する粒子を組み込む製造方法に関する。また、この方法から得られた製品および装置にも関する。
【0002】
より詳細であるが、非限定的には、本発明の分野は、金属もしくはセラミック材料または電池もしくは光起電性電池の分野である。
【背景技術】
【0003】
シリコンを含有する粒子を組み込む電池を製造するための方法は、既知である。
【0004】
実際には、シリコンを使用して電池の保存容量を増加することができる。
【0005】
本発明の目的は、シリコンを含有する粒子を組み込む製造方法を提案することであり、どちらも実用的であり(特に安全性および取り扱いの容易さの点で)、しかも得られた結果は、良好な品質を有する。
【発明の開示】
【0006】
この目的は、シリコンを含有するサブミクロン粒子がマトリックスに組み込まれる製造方法で実現され、粒子の組み込み中に、以下を特徴とする:
-粒子は、かさ密度が0.10グラム/立方センチメートルを超える圧縮状態にあり、
-圧縮粒子の比表面積は、互いの間で接触することなく別々に考慮される粒子の比表面積の少なくとも70%(好ましくは少なくとも90%)である。
【0007】
粒子のその圧縮状態の比表面積は、典型的には、ブルナウアー、エメット、およびテラー法によって決定される比表面積である。
【0008】
粒子のその圧縮状態の比表面積は、好ましくはブルナウアー、エメット、およびテラー(BET)法による、すなわち、粒子の表面上にこのガスの単層を有するために(ブルナウアー、エメット、およびテラー(BET)理論の原理を使用)、必要な二窒素の量の測定により、粒子のその圧縮状態の既知の質量の表面上に二窒素を吸着させることにより(典型的には、BelSorp mini II機器を使用)、比表面積の測定に対応する。
【0009】
粒子の組み込み中に、圧縮粒子は、好ましくは、互いの間に共有結合を有さない。
【0010】
以前にマトリックス(このマトリックスは、粒子の組み込み後、かつこの拡散の前に修飾または希釈できる)に組み込まれた粒子を導電性または半導電性支持体上に広げ、粒子を支持体に固定することが可能である。以下を製造することが可能である:
-粒子を含有する層が堆積する支持体からの電極。前記電極を備える電池、および/または以下を製造することが可能である:
-粒子が広がる支持体からの光起電性パネル。
【0011】
圧縮粒子は、非圧縮状態の粒子から始まる圧縮するステップによって得ることができ、その結果、圧縮ステップ中に、粒子は、400℃より高い温度に供されない。
【0012】
圧縮粒子のマトリックスへの組み込みは、好ましくは粒子が添加剤を含まない場合に行われる。
【0013】
粒子は、好ましくは非酸化シリコンのコアを含む。
【0014】
マトリックスは、好ましくは炭素を含む。
【0015】
マトリックスは、金属および/またはセラミックマトリックスであり得る。
【0016】
マトリックスは、液体および/または固体マトリックスであり得る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、本発明による方法を使用して得られる電池が提案される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、本発明による方法を使用して得られる光起電性パネルが提案される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、本発明による方法を使用して得られる金属またはセラミック材料が提案される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の他の利点および特徴は、決して限定的ではない実装および実施形態の詳細な説明、ならびに以下の添付の図面を読むと明らかになるであろう。
【
図1】本発明による方法の第1および第2の実施形態のステップのフローチャートである。
【
図2】本発明による方法の第1の実施形態についての異なる比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの実施形態は、決して限定的なものではなく、この特性の選択が、技術的利点を付与するため、または先行技術の状態に関して本発明を差別化するために十分である場合、特に、説明または図示された他の特性から分離して、以下に説明または図示された特性の選択のみを含む本発明の変形を考慮することが可能である(この選択がこれらの他の特性を含有する文内で分離されている場合でも)。この選択は、少なくとも1つの、好ましくは、構造的詳細を伴わない機能的な特性、および/またはこの部分のみで技術的優位性を付与するか、もしくは先行技術の状態に対して本発明を差別化するのに十分である場合、構造的詳細の一部のみを有する特性を含む。
【0022】
まず最初に、本発明による方法の第1の実施形態と第2の実施形態との間の共通点について説明する。
【0023】
これらの実施形態は、例えば、文書、国際公開特許第2014009265号に記載されている方法に従って、典型的にはレーザー熱分解によって粒子を製造するステップ1を含む。
【0024】
これらの実施形態は、粒子の初期かさ密度Diからのサブミクロン粒子のかさ密度を粒子の最終かさ密度Dfへ(好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも200%)増大させるように配置された、シリコンを含有するサブミクロン粒子を圧縮するステップ2を含む(すなわち、好ましくは(Df-Di)/Di≧100%、さらには200%)。
【0025】
各粒子は、共有結合で結合された球の集合体で構成することができる。
【0026】
圧縮ステップは、例えば、以下によって実装される:
-粉末に少なくとも20バールの圧力をかけることを可能にする、プレスまたはカレンダーシステム(2つのローラ間を通過)による圧縮。このように圧縮された粉末は、遊離粉末と同じ比表面積を有するが、密度は、150g/Lを超える。そのような方法は、例えば以下の記事で説明されている:R.Vassen and D.Stover,Powder Technology,72(1992)223-226;および/または
-回転造粒:これは、粒状化粉末を得るために、粉末を円筒形の容器(直径5~500cm、好ましくは直径10~200cm)に導入し、それを数時間回転させることからなり、その密度は、100g/Lを超え;回転時間が長いほど、密度は高くなる。回転は、円筒形の容器の最長軸に従って、容器の中心の軸を中心に行われる必要がある。この軸は、多少傾斜させることができる。そのような装置は、米国特許第2013/0330557(A1)号、米国特許第4,980,106号、米国特許第6,231,624(B1)号に記載されている。
【0027】
粒子は、密度Di(圧縮前)から密度Df(圧縮後)へのその圧縮によって大幅に修飾されず;粒子は、生成されず、粒子は、破壊されず、粒子は、一緒に融合されず、新しい共有結合は、粒子間に生成されず、粒子は、いくつかの断片に分離されない。それらは、その圧縮前のかさ密度Diと圧縮後のかさ密度Dfとで同じ粒子である。
【0028】
圧縮粒子は、非圧縮状態の粒子から始まるこの圧縮ステップによって得られ、その結果、圧縮ステップ中に粒子は、400℃より高い温度に供されない。実際、その温度を超えると、粒子は、互いの間に新しい共有結合を形成し(焼結)、これによってその性質およびそのナノメートル特性を失う可能性がある。
【0029】
これらの実施形態は、シリコンを含有するサブミクロン粒子をマトリックスに組み込むステップ3を含む。
【0030】
粒子の圧縮とそのマトリックスへの組み込みとの間で、粒子は、400℃より高い温度に供されない。したがって、粒子間の共有結合の生成が回避される。
【0031】
「サブミクロン粒子」とは、本説明では、この粒子の周囲の2点を結ぶ寸法の最小値が1000nm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満である粒子を意味する。
【0032】
「シリコンを含有する」粒子とは、本説明では、少なくとも90質量%が、酸化もしくは非酸化のシリコンまたはその2つの混合物から構成されるコアを含む粒子を意味する。
【0033】
「マトリックス」とは、サブミクロン粒子が組み込まれる材料(好ましくは固体および/または液体)を意味する。
【0034】
マトリックスは、液体もしくは固体(例えば、粉末)マトリックスまたはその両方(例えば、ゲルもしくはペースト)であり、炭素(電池、電極、光起電性パネルの製造用)を含有するか、または含有しない(例えば、興味深い特性を持つ新しい材料を製造するための金属もしくはセラミック)である。
【0035】
好ましくは、シリコンを含有する各粒子は、少なくとも80質量%の酸化もしくは非酸化シリコン、またはその2つの混合物で構成され、すなわち、この粒子のコアおよびこの粒子のコアを囲む任意の上層(複数可)によって、全体が形成される。
【0036】
異なる例によれば、各サブミクロン粒子のコアは、例えば(好ましくは、使用されるすべてのサブミクロン粒子に対して均一に)、以下を含むことができる:
-Si、好ましくは他の元素またはドーパントと混合された100質量%のSiまたは少なくとも80質量%のSi、
-SiO2、好ましくは他の元素またはドーパントと混合された100質量%のSiO2または少なくとも80質量%のSiO2、
-SiO2とSiとの混合物、好ましくは他の元素またはドーパントと混合された100%または少なくとも80%のSiおよびSiO2の総質量に対して、好ましくは20~60モル%のSiO2および40~80モル%のSi。
【0037】
各サブミクロン粒子のコアは、コアの周りに位置する少なくとも1つの層、例えば、炭素を含む層もしくは純粋な炭素の層、またはポリマーの層でコーティングすることができる。
【0038】
典型的には、各粒子は、非酸化シリコンのコアを含む。
【0039】
典型的には、各粒子のコアは、炭素の層に囲まれている。
【0040】
圧縮粒子のマトリックスへの組み込み中(すなわち、粒子がマトリックスと接触する直前)、粒子は、添加剤を含まない。換言すれば、粒子の組み込み中、これらの粒子は、マトリックスと接触する前に、他のもの(別のタイプの他の粒子、または溶媒など)と混合されない。
【0041】
本発明による方法のこれらの実施形態では、粒子の組み込み中(すなわち、粒子がマトリックスと接触するとき)、粒子は、0.10グラム/立方センチメートルを超える、好ましくは0.15グラム/立方センチメートルを超えるかさ密度Dfを有する圧縮状態にある。
【0042】
本発明による方法のこれらの実施形態では、粒子の組み込み中に、圧縮粒子は、互いの間に共有結合を有さない、すなわち、圧縮前のその状態と比較して新しい共有結合はない。
【0043】
本発明による方法のこれらの実施形態では、粒子の組み込み中に、かさ密度Dfに圧縮された粒子は、互いの間で接触することなく別々に考慮される粒子のまたはかさ密度Diの粒子の比表面積の少なくとも70%(さらには少なくとも90%)を有する。
【0044】
「見掛け」または「かさ」密度(体積密度とも呼ばれる)とは、当業者に周知かつ明確である値を意味する。それは、所与の総体積Vtotに含有される材料の質量Mを要約するために、粉末または顆粒の形態の物質で使用される値であり、この総体積は、粉末の顆粒もしくは粒子または結晶粒間の間隙空気の体積を含む。この観点から、1つの同じ粒状化または粉末化された材料の体積密度ρは、それが多少詰まっているか、または逆に通気されているかによって変動し得る:
【数1】
使用法により、この体積密度は、一般にグラム/立方センチメートル(g.cm-3)またはグラム/リットルで表される。
【0045】
かさ密度の測定は、2017年12月22日に施行された最新バージョンのプロトコルISO3923-2(ISO3923-2:1981)に基づいている。
【0046】
粒子の比表面積((その見掛けの表面ではなく)、粒子の実際の表面の表面積と粒子の材料の量(すなわち、それらの質量)との比を示す)は、変化しないか、またはかさ密度DiとDfとの間でそれほど変化しない。
【0047】
本説明では、比表面積の測定は、既知の質量(例えば、粒子のその圧縮状態の既知の質量)の材料の表面上へのガス(より正確には二窒素)の吸着によって行われる。原理は、表面上にこのガスの単層を有するために必要な二窒素の量を測定することである。それは、ブルナウアー、エメット、およびテラー(BET)理論の原理を使用する。使用した機器は、BelSorp mini IIである。以下において、比表面積またはBET表面積は、互換的に言及される。
【0048】
機器は、吸着したガスの体積およびサンプルの質量を考慮して、測定ガスとして二窒素を使用する。
【0049】
比表面積の測定は、2017年12月22日に施行された最新バージョンの標準ISO9277:2010(E)の静的体積法に基づいている。
【0050】
このようにして、密度Dfに圧縮された粒子は、この分散を加速させるために、おそらく超音波もしくは撹拌またはミキサーを使用して、マトリックスに(好ましくは溶液、好ましくは20℃の水に10時間未満で)簡単に分散させるために配置される。
【0051】
しかしながら、密度Dfに圧縮された粒子は、マトリックスに溶解しないことに留意されたい。
【0052】
それらは、密度Dfへのその圧縮後とマトリックスでのその分散後とで同じ粒子である:粒子は、生成されず、粒子は、破壊されず、粒子は、一緒に融合されず、粒子は、いくつかの断片に分離されない(その結果、最先端の焼結の状態とは非常に異なり、新しい共有結合の生成、その後粉砕する)。
【0053】
次いで、マトリックスは、修飾かつ/もしくは乾燥、ならびに/または別のマトリックスに、もしくは別のマトリックスと、ならびに/または添加剤および/もしくは溶媒と希釈かつ/もしくは混合することができる。
【0054】
第1の実施形態は、導電性または半導電性の支持体上に、以前にマトリックスに組み込まれた粒子の広がり4を含み、粒子は、このようにして支持体に固定される。
【0055】
粒子のこの拡散は、マトリックスが任意に修飾、例えば乾燥もしくは濃縮、および/または別のマトリックスにもしくは別のマトリックスと、ならびに/または添加剤および/もしくは溶媒と再び希釈または混合されたときに行うことができる。
「導電性」とは、支持体上に広がるマトリックスの層と接触している支持体の材料が、0.01Ω.m未満の電気抵抗を有することを意味する。
「半導電性」とは、支持体上に広がるマトリックスの層と接触している支持体の材料が、10,000Ω.m未満、かつ好ましくは0.01Ω.mを超える電気抵抗を有することを意味する。
【0056】
電池の場合、マトリックスは、例えば炭素を含有する:それは、炭素、例えばグラファイトおよび/または「Super P」および/またはカルボキシメチルセルロース、好ましくは少なくともグラファイトを含む。それは、例えば、非酸化シリコンのコアが68質量%のグラファイトおよび10質量%のTimcal Super Pを有する炭素の層で覆われた12質量%のサブミクロン粒子を組み込むことが可能である。粒子のマトリックスへの組み込みと支持体上での拡散との間に、当業者に既知である以下の調整ステップが実行される:
-例えば、水とともに、マトリックスに組み込まれた粒子の粘度の調整、および/または
-例えば、700rpmで20分のマトリックスでの粒子の混合。
【0057】
支持体は、例えば10μm厚の銅シートである。
【0058】
拡散は、典型的には、5センチメートル/秒で可動する拡散ブレードを使用して行われ、マトリックスに組み込まれた100μm厚の粒子の層を堆積するように設定される。
【0059】
粒子を支持体上に広げた後、当業者に既知の以下の調整ステップが実行される:
-約2mg.cm-2の支持体上に堆積した乾燥後の最終乾物量のための、例えば、80℃の空気炉で12時間、支持体上に広がる粒子の乾燥、および/または
-支持体の切断。
次いで、以下が選択的に製造される:
-粒子を含有する層が堆積された支持体からの電極(ステップ5)、より正確にはアノード。次いで、(ステップ6)前記電極、セパレータ、およびカソードを備える電池が製造され、すべてが液体または固体電解質と接触し、
-支持体からの光起電性パネル(ステップ7)、その上に、例えば、次いで熱処理される粒子を広げる。
【0060】
以下の電池A~Gの異なる例は、電池C~Gである、本発明による方法の技術的利点を示す。
【0061】
電池A:非サブミクロン粒子
18部のマイクロメトリックシリコン(メッシュ325、粉末A)は、35部のナノメトリックカーボン(Super P)および35部のカーボンファイバー(VGCF)と乾式混合される。次いで、この混合物を、12部のCMC(カルボキシメチルセルロース)を含有する水溶液と接触させる。
【0062】
このようにして得られたインクを銅シート(厚さ17.5μm)上に広げる。シートは、戸外で乾燥する。ペレットを切断し、90℃で真空乾燥する。それらは、次いで、中性のアルゴン雰囲気下のグローブボックスに保管される。
【0063】
次いで、ハーフセルが製造される:シリコンを含有する電極は、不活性雰囲気下で、膜、リチウム金属アノード、ならびに1体積のエチレンカーボネート(EC)、1体積のプロピレンカーボネート(PC)、3体積の3ジメチルカーボネート(DMC)、ならびに5%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)および1%のビニルカーボネート(VC)で構成された電解質と接触させる。
【0064】
最後に、電池Aが得られる。
【0065】
電池B(かさ密度<0.1g.cm
-3
)およびC~G(かさ密度>0.1g.cm
-3
)
かさ密度(見掛け密度)Dfが、以下であるその最小軸に応じて直径40nmの18部のシリコンナノ粒子:
-45g/Lまたは0.045g.cm
-3(電池B用の粉末B)、または
-108g/L0.108g.cm
-3(電池C用の粉末C)、または
-148g/L0.148g.cm
-3(電池D用の粉末D)、または
-180g/L0.180g.cm
-3(電池E用の粉末E)、または
-208g/L0.208g.cm
-3(電池F用の粉末F)、または
-320g/L0.320g.cm
-3(電池G用の粉末G)(
図2のX軸を参照)
および以下のそれぞれのBET表面積:
-43.6m
2/g(電池B用の粉末B)、または
-43.7m
2/g(電池C用の粉末C)、または
-43.2m
2/g(電池D用の粉末D)、または
-43.4m
2/g(電池E用の粉末E)、または
-43.1m
2/g(電池F用の粉末F)、または
-43.3m
2/g(電池G用の粉末G)
は、35部のナノメートルカーボン(Super P)および35部のカーボンファイバー(VGCF)と乾式混合される。次いで、この混合物を、12部のCMC(カルボキシメチルセルロース)を含有する水溶液と接触させる。
【0066】
粉末B~Gの場合、非圧縮粉末(粉末Bに対応)のかさ密度は、Di=45g/Lまたは0.045g.cm-3であり、BET表面積は、43.6m2/gであったことに留意されたい。
【0067】
このようにして得られたインクを銅シート(厚さ17.5μm)上に広げる。シートは、戸外で乾燥する。ペレットを切断し、90℃で真空乾燥する。次いで、それらは、中性のアルゴン雰囲気下のグローブボックスに保持される。
【0068】
次いで、ハーフセルが製造される:シリコンを含有する電極は、不活性雰囲気下で、膜、リチウム金属アノード、ならびに1体積のエチレンカーボネート(EC)、1体積のプロピレンカーボネート(PC)、3体積の3ジメチルカーボネート(DMC)、ならびに5%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)および1%のビニルカーボネート(VC)で構成された電解質と接触させる。
【0069】
得られた電池A~Gを以下の条件で試験した:
以下を含む初期サイクル:
・2時間のOCV(「開放電圧」)
・1mAおよび1.5mAに制限されたC20放電
・その後の絶対値が同じC20充電
各サイクルが、以下を含むその後の2サイクル目、3サイクル目、4サイクル目、…100サイクル目:
・1mAおよび1.5mAに制限されたC5放電
・その後の絶対値が同じC5充電。
電圧は、0.01V~1.5Vに制限される。
下の表1は、電池A~Gのサイクル結果を示す。
【表1】
【0070】
本発明によるサブミクロン粉末の使用は、電池Aの場合と比較して非常に有利であることに留意されたい。驚くべき技術的効果が観察される。緻密化された粉末の凝集体のサイズにもかかわらず、電池の性能は、遊離粉末と同様のままである。実際、緻密化された粉末は、マイクロメトリック凝集体を含有するが、その特性は、マイクロメトリック粉末の特性ではなく、遊離ナノメトリック粒子の特性のままである。
【0071】
直径71.8mmの容器の上部に充填された406ミリリットルの粉末A、B、C、D、E、F、またはGは、直径119.48mm(上部)およびフラスコの底部で直径29.8mmの漏斗に一度にすべて排出される。流動時間を測定し、漏斗が空になった最後の時間に対応する。結果を単位時間あたりで移動した質量で示す。参照は、非粒状化粉末Bであり、その値を1に固定し、そのかさ密度は、Di=45g/Lである。流動に関連する指数は、以下の式を使用して計算される:
(Si移動量/移動時間)
粉末A、B、C、D、E、F、またはG/(Si移動量/移動時間)
非圧縮ナノSi製品。
結果を以下の表2に示す:
【表2】
【0072】
低かさ密度のサブミクロン粉末Bは、ミクロン粉末よりも流動がはるかに劣る。本発明によれば、粉末のかさ密度が高い場合(粉末C~G)、流動に関連する指数は、大幅に増加し、ミクロン粉末の指数に近づく。
【0073】
直径71.8mmの容器の上部に充填された406ミリリットルの粉末A、B、C、D、E、F、またはGは、直径119.48mm(上部)およびフラスコの底部で直径29.8mmの漏斗に一度にすべて排出される。漏斗の上の粉末雲の高さを測定する。参照は、非圧縮粉末Bであり、その値は、10に固定され、かさ密度は、Di=45g/Lである。粉っぽさに関連する指数は、以下の式を使用して計算される:
10x(移動したSiの雲の高さ)
粉末A、B、C、D、E、F、またはG/(移動したSiの雲の高さ)
非圧縮ナノSi製品。
結果を以下の表3に示す:
【表3】
【0074】
本発明に従って使用される粉末C、D、E、F、またはGは、遊離サブミクロン粉末Bよりも粉末性が大幅に少なく、150g/Lの造粒密度から、ミクロン粉末Aよりも粉末性が大幅に少ない(粉末D)。
【0075】
Dfが>0.1g.cm-3である本発明に従って使用される粉末C、D、E、F、およびGは、良好な電池品質を蓄積する唯一のものである(100回目の充電/2回目の充電≧75%)と同時に、満足な流動および粉っぽさ(さらに特にDf>0.15g.cm-3の場合)を有し、その結果、満足な動作および安全条件を有することに留意されたい。
【0076】
第2の実施形態では、マトリックスは、以下のマトリックスである:
-金属性、すなわち、金属結合を有する;例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、マンガン、リチウム、スカンジウム、および/またはこれらの元素の混合物など、
-セラミック(すなわち、ガラス化もしくは非ガラス化体、結晶もしくは部分結晶構造、またはガラス状アモルファスを有し、その本体は、本質的に無機および非金属物質から形成され、冷却時に固化する溶融塊によって形成されるか、または熱の作用によって同時にもしくは後で形成されて成熟される);例えば、炭化物、窒化物、または酸化物の形態のシリコン、アルミニウム、ホウ素、タングステン、ジルコニウムを含有するセラミックなど。
粉っぽさおよび流動の点での技術的利点は、第1の実施形態と同じである。
粒子の組み込みは、マトリックスが固体状態(例えば、粉末の形態のマトリックス、その後、粒子およびマトリックスが焼結もしくは融合によって結合される)または液体状態(例えば、溶融金属)であるときに行われる。
【0077】
もちろん、本発明は、説明された例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に対して多くの調整を行うことができる。
【0078】
もちろん、本発明の異なる特性、形態、変形、および実施形態は、それらが非互換性または相互に排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせることができる。