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特許7312760リチウムイオン蓄電池の製造のための電池電極箔
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】リチウムイオン蓄電池の製造のための電池電極箔
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20230713BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20230713BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20230713BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20230713BHJP
【FI】
C22C21/00 A
C22C21/00 M
C22F1/04 D
C22F1/04 F
H01M4/66 A
C22F1/00 613
C22F1/00 622
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 650A
C22F1/00 661C
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684B
C22F1/00 685Z
C22F1/00 692B
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
C22F1/00 694Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020545456
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081890
(87)【国際公開番号】W WO2019101723
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-07-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】102017127436.7
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513100910
【氏名又は名称】スペイラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Speira GmbH
【住所又は居所原語表記】Aluminiumstrasse 1, 41515 Grevenbroich, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】ラプティヴァ,ガリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ハンペル,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】デンクマン,フォルカー
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】井上 猛
【審判官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/018165(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106929713(CN,A)
【文献】特開2016-41831(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125565(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018162(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018161(WO,A1)
【文献】特開2013-014837(JP,A)
【文献】特開2014-205886(JP,A)
【文献】特開2012-021205(JP,A)
【文献】芦澤公一、山本兼滋、「リチウムイオン電池用アルミニウム箔」、Furukawa-Sky Review、No.5、2009年、p.1~6
【文献】磯山永三、内山利光、「アルミニウム材料の表面物性と接着機能について」、軽金属、Vol.35、No.3、1985年、p.176-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00-21/18
C22F 1/00,1/04-1/057
H01M 4/64-4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金を含む電池電極箔であって、
前記アルミニウム合金は、重量パーセントで、以下の組成:
Si:0.01~0.15重量パーセント、
Fe:0.02~0.4重量%、
Cu:≦0.08重量%、
Mn:≦0.03重量%、
Mg:≦0.03重量%、
Cr:≦0.01重量%、
Ti:0.005~0.03重量%
を有し、前記アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.05%まで、合計で最大0.15%までの不純物を含んでもよく、
残りの重量%はアルミニウムであり、
ただし、アルミニウム含量は少なくとも99.35重量%でなければならず、
前記電池電極箔は、少なくとも1000粒子/mmで、かつ、9500粒子/mm以下の密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有し、
165MPaより大きい引張強度(圧延方向および圧延方向を横切る方向)Rmを有する、電池電極箔。
【請求項2】
56%~63%IACSの最小電気伝導率を有する、請求項1に記載の電池電極箔。
【請求項3】
両側で0.07~0.22μmの表面粗度Raを有する、請求項1または2に記載の電池電極箔。
【請求項4】
電池電極箔の両側の表面粗度Raの差が、最大0.03μmである、請求項3に記載の電池電極箔。
【請求項5】
5mg/mより小さい炭素被覆率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池電極箔。
【請求項6】
前記電池電極箔の表面張力が、30dyn/cmより大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池電極箔。
【請求項7】
前記電池電極箔の前記表面張力が、32dyn/cmより大きい、請求項6に記載の電池電極箔。
【請求項8】
8~20μmの厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電池電極箔。
【請求項9】
前記電池電極箔が、以下の機械的特性:
Rm(圧延方向):>165MPa、
Rm(圧延方向を横切る方向):>165MPa、
Rp0.2(圧延方向):≧110MPa、
A100(圧延方向):≧1.0%、
を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池電極箔。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電池電極箔(12、22)を製造する方法であって、
- 少なくとも2.5mmの熱間ストリップ厚さを有するアルミニウム熱間ストリップ(8)が、請求項1に記載のアルミニウム合金から提供され、および
- 前記アルミニウム熱間ストリップ(8)が、いくつかの冷間圧延の通過(K1、Kx、Kx+1、Ky、Ky+1、Kn)で8~20μmの最終厚さまで冷間圧延され、
- 冷間圧延が、中間焼鈍なしに少なくとも1mmの初期厚さから行われる、方法。
【請求項11】
熱間ストリップ厚さから最終厚さまでの冷間圧延が、中間焼鈍なしに行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
冷間圧延が、8μm~20μmの最終厚さまで行われることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
冷間圧延の通過毎の圧延の程度が、少なくとも0.55mmの初期厚さから最大60%であることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミニウム熱間ストリップが、少なくとも0.1mmの厚さから開始して、2回の冷間圧延の通過間で50℃以下の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アルミニウム熱間ストリップが、その最終厚さまで単一層として冷間圧延されることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
蓄電池の製造のための電流コレクター箔としての、請求項1から9のいずれか一項に記載の電池電極箔の使用。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電池電極箔で作製された電流ドレインを有する蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金を含む電池電極箔であって、アルミニウム合金は、重量%で、以下の組成:Si:0.01~0.15重量%、Fe:0.02~0.4重量%、Cu:≦0.08重量%、Mn:≦0.03重量%、Mg:≦0.03重量%、Cr:≦0.01重量%、Ti:0.005~0.03重量%を有し、アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.05%まで、合計で最大0.15%までの不純物を含んでもよく、残りの重量%はアルミニウムであり、ただし、アルミニウムの割合は、少なくとも99.35重量%でなければならず、電池電極箔は、≦9500粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有する、電池電極箔に関する。本発明はまた、電池電極箔を製造するための方法、蓄電池の製造のためのその使用、および電池電極箔を含む蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン蓄電池のコアは、上下に配置されてセパレーター層により分離された交互のアノードおよびカソード層からなる。カソード層には、Li含有電極ペーストでコーティングされたアルミニウム箔が典型的に使用される。アノード層は、例えばグラファイトコーティング銅箔であってもよく、セパレーター層は、Liイオンが透過し得るポリマー層であってもよい。
【0003】
カソード層では、アルミニウム箔は、一方では電極ペーストの担体または基板として機能し、また一方では電流を放散するように、すなわちいわゆる電流コレクターとして機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この背景に対して、本発明は、2つのほぼ等しい表面を有し、可能な限り薄い厚さで良好なまたは高い導電性を有する、電池電極箔および電池電極箔を製造するための方法を提供する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するために、アルミニウム合金を含む電池電極箔であって、
アルミニウム合金は、重量パーセントで、以下の組成:
Si:0.01~0.15重量%、
Fe:0.02~0.4重量%、
Cu:≦0.08重量%、
Mn:≦0.03重量%、
Mg:≦0.03重量%、
Cr:≦0.01重量%、
Ti:0.005~0.03重量%、
を有し、アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.05%まで、合計で最大0.15%までの不純物を含んでもよく、
残りの重量%はアルミニウムであり、
ただし、アルミニウム含量は少なくとも99.35重量%でなければならず、
電池電極箔は、≦9500粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有する、電池電極箔が提供される。
【0006】
本発明者らは、特定の合金組成に適合させた上述のアルミニウム合金を加工することにより、低密度の0.1~1.0μmの径長の相を特徴とし、良好なまたは高い電気伝導率を有するアルミニウム箔が提供され得ることを認識した。
【0007】
好ましい実施形態は、その金属間相が≦7000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長を有する電池電極箔に言及する。
【0008】
したがって、本発明による電池電極箔は、良好なまたは高い電気伝導率と同時に良好なまたは高い機械的強度を特に特徴とする。電池電極箔は、>56%IACS、特に約56%~63%IACSの最小電気伝導率を有し得る。電池電極箔は、>165MPaの引張強度(圧延方向および圧延方向を横切る方向)Rmをさらに有し得る。
【0009】
典型的には、電池電極箔は、両側で0.07~0.22μmの表面粗度Raを示す。好ましくは、電池電極箔の両側の表面粗度Raの差は、最大0.03μmである。
【0010】
電池電極箔は、<5mg/mの炭素コーティングを特に有する。いくつかの設計において、電池電極箔の表面張力は、>30dyn/cm、例えば>32dyn/cmである。
【0011】
通常、電池電極箔は、8~20μm、好ましくは12μmの厚さを有する。
【0012】
12μmの厚さを特に有する電池電極箔は、以下の機械的特性:
Rm(圧延方向):≧165MPa、
Rm(圧延方向を横切る方向):≧165MPa、
Rp0.2(圧延方向):≧110MPa、
A100(圧延方向):≧1.0%、
を示し得る。
【0013】
本発明の別の態様は、電池電極箔(12、22)を製造するための方法であって、
- 少なくとも2.5mmの熱間ストリップ厚さを有するアルミニウム熱間ストリップ(8)が、請求項1、10および11に記載のアルミニウム合金から提供され、
- アルミニウム熱間ストリップ(8)が、いくつかの冷間圧延の通過(K1、Kx、Kx+1、Ky、Ky+1、Kn)で8~20μmの最終厚さまで冷間圧延され、
冷間圧延は、中間焼鈍なしに少なくとも1mmの初期厚さから行われる、方法に関する。
【0014】
典型的には、熱間ストリップ厚さから最終厚さまでの冷間圧延は、中間焼鈍なしに行われる。
【0015】
本発明者らは、連続鋳造ではない方法による、特に上記の方法による上記のアルミニウム合金の加工により、良好なまたは高い機械的強度および良好なまたは高い導電率を有するアルミニウム箔、特に電池電極箔が製造され得ることを認識した。
【0016】
この方法は、8μm~最大20μm、好ましくは12μmの最終厚さまでの冷間圧延を特に含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、少なくとも0.55mm、好ましくは少なくとも1.5mmの初期厚さからの冷間圧延の通過毎の圧延の程度は、最大60%である。
【0018】
方法の特定の実施形態において、少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mmの厚さを有するアルミニウムストリップは、2回の冷間圧延の通過間で特に50℃以下の温度まで冷却される。
【0019】
アルミニウムストリップは、その最終厚さまで単一層として冷間圧延され得る。
【0020】
したがって、本発明のさらなる一態様は、本明細書に記載の方法により製造された電池電極箔に関する。
【0021】
本発明のさらなる一態様は、特に、蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池の製造のための電流コレクター箔としての、電池電極箔の使用に関する。
【0022】
本発明の別の態様は、本発明の電池電極箔からなる電流コレクターを有する蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
図2図2は、本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図3図3は、リチウムイオン蓄電池の製造のための方法のセクションを示す図である。
図4図4a及び図4bは、平坦型設計におけるリチウムイオン蓄電池の層構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「含む」は他の要素またはステップを除外しないこと、および「a」または「an」は複数を除外しないことに留意されたい。実施形態の1つに関連して記載される特徴またはステップは、他の記載された実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせてまた使用されてもよいことにもまた留意されたい。
【0025】
アルミニウム合金から、記載された加工により、0.1~1.0μmの径長を有する低密度の相および高い導電率を特徴とするアルミニウム箔が製造され得ることが判明した。このため、これらのアルミニウム箔は、蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池の製造のための電池電極箔として特に適している。
【0026】
アルミニウム合金は、0.01~0.15重量%のケイ素含量、および0.02~0.4重量%の鉄含量を有する。これらの範囲は、アルミニウム合金から作製されたアルミニウム箔の所望の特性に適していることを示している。
【0027】
アルミニウム合金はまた、<0.08重量%の銅含量、<0.03重量%のマンガン含量、≦0.03重量%のマグネシウム含量、≦0.01重量%のクロム含量、および0.005~0.03重量%のチタン含量を有する。元素Cu、Ti、Mn、MgおよびCrを示された各範囲内で共同的に正確に調節することによって、それでも冷間成形により、特に箔圧延により良好に固化され得る低合金アルミニウム合金が得られることが判明した。
【0028】
さらに、それらの固溶限に起因して、CuおよびMn、ただしまたSiは、依然として主に固溶状態であり、すなわち、アルミニウムマトリックス中にあり、静的および動的回復に反力を及ぼす。Cu、MnおよびSiの言及された含量では、これにより加工硬化による強度の連続的増加が可能になる。さらに、熱処理中のアルミニウム箔の軟化が溶解元素により阻害されるため、記載された組成は、アルミニウム箔のより良好な熱安定性をもたらす。
【0029】
本発明によれば、上述の問題は、アルミニウム箔を、特に電池電極箔を製造するための方法によってさらに解決され、少なくとも3mmの熱間ストリップ厚さを有するアルミニウム熱間ストリップが、上記のアルミニウム合金から提供され、アルミニウム熱間ストリップは、いくつかの冷間圧延の通過で、少なくとも8μmから最大20μmの最終厚さまで冷間圧延され、冷間圧延は、中間焼鈍なしに初期厚さから行われる。本発明によれば、問題は、この方法により製造されたアルミニウム箔によりさらに解決される。
【0030】
本発明による合金の中間焼鈍なしでの箔圧延は、良好な電気伝導率と合わせてより高い強度をもたらす。相分析では、この実施形態が、低密度の0.1~1.0μmの径長を有する相を有することが示されている。
【0031】
したがって、本発明の主な一態様は、アルミニウム合金を含む電池電極箔であって、
アルミニウム合金は、重量パーセントで、以下の組成:
Si:0.01~0.15重量%、
Fe:0.02~0.4重量%、
Cu:≦0.08重量%、
Mn:≦0.03重量%、
Mg:≦0.03重量%、
Cr:≦0.01重量%、
Ti:0.005~0.03重量%
を有し、アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.05%まで、合計で最大0.15%までの不純物を含んでもよく、
残りの重量%はアルミニウムであり、
ただし、アルミニウム含量は少なくとも99.35重量%でなければならず、
電池電極箔は、≦9500粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有する、電池電極箔を提供することである。
【0032】
ここで指定された径長は、粒子の最大径長を指す。粒子は、走査電子顕微鏡画像において二次元粒子として示される。この二次元表示で検出される最長直径が、最大径長を表す。
【0033】
当業者は、金属間相の径長を決定するための方法を熟知している。例えば、径長は、B2D4検出器(電界放射型走査電子顕微鏡用の空気圧操作式検出器)を有する電界放射型走査電子顕微鏡(Zeiss Merlin)を使用して、1000:1の倍率および10kVの加速電圧で測定され得る。
【0034】
別の実施形態は、アルミニウム合金を含む電池電極箔に言及し、
アルミニウム合金は、重量パーセントで、以下の組成:
Si:≦0.1重量%、
Fe:≦0.12重量%、
Cu:≦0.03重量%、
Mn:≦0.02重量%、
Mg:≦0.02重量%、
Zn:≦0.03重量%、
Ti:0.017~0.020重量%
を有し、アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.01%まで、合計で最大0.15%までの不純物を含んでもよく、
残りの重量%はアルミニウムであり、
ただし、アルミニウム含量は少なくとも99.80重量%でなければならず、
電池電極箔は、≦7000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有し、特に、≦20μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦7000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよく、特に、≦12μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦4000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよく、特に、≦20μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦4000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよく(1000倍の倍率および10kVの加速電圧で測定される)、特に、≦12μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦2000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよい(1000倍の倍率および10kVの加速電圧で測定される)。
【0035】
別の実施形態は、アルミニウム合金を含む電池電極箔に言及し、
アルミニウム合金は、重量パーセントで、以下の組成:
Si:0.1~0.15重量%、
Fe:0.3~0.4重量%、
Cu:≦0.05重量%、
Mn:≦0.01重量%、
Mg:≦0.0029重量%、
Cr:≦0.01、
Zn:≦0.05重量%、
Ti:≦0.03重量%
を有し、アルミニウム合金は、それぞれの場合において最大0.015%まで、合計で最大0.05%までの不純物を含んでもよく、
残りの重量%はアルミニウムであり、
ただし、アルミニウム含量は少なくとも99.35重量%でなければならず、
電池電極箔は、≦7000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有し、特に、≦9μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦1000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよく、特に、≦9μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦1000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよく、特に、≦9μmのストリップ厚さを有するそのような電池電極箔は、≦600粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有してもよい(1000倍の倍率および10kVの加速電圧で測定される)。
【0036】
典型的には、電池電極箔は、少なくとも100粒子/mm、少なくとも1000粒子/mmの密度の0.1~1.0μmの径長の金属間相を有する。
【0037】
特定の実施形態において、電池電極箔は、少なくとも2000粒子/mmの密度の≧1.0μmの径長の金属間相を有する。≦12μmのストリップ厚さを有する電池電極箔は、少なくとも3000粒子/mm、好ましくは少なくとも4000粒子/mmの密度の≧1.0μmの径長を有する金属間相を特に示し得る。
【0038】
≦15μmのストリップ厚さを有する電池電極箔において、金属間相は、少なくとも3000粒子/mm、好ましくは少なくとも4000粒子/mmの密度の≧1.0μmの径長を特に有し得る。
【0039】
指定された粒子密度は、1000:1の倍率および10kVの加速電圧で測定された。
【0040】
上記の合金で作製されたアルミニウムストリップは、良好な強度値が達成され得るように、少なくとも3mmの厚さから最小8および最大20μmまでの冷間圧延によって強化され得ることが判明した。したがって、この方法により製造されたアルミニウム箔は、良好なまたは高い導電率と共に増加した強度を示す。
【0041】
結果として、アルミニウム箔は、蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池の製造に特に適している。したがって、本発明によれば、上述の問題は、蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池の製造のために上述のアルミニウム合金を使用することによって、および上述のアルミニウム箔を特に蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池の製造のための電流コレクター箔として使用することによってさらに解決される。上述の問題は、上記のアルミニウム箔で作製された電流コレクターを有する蓄電池、特にリチウムイオン蓄電池によってさらに解決される。
【0042】
方法は、上述の合金で作製された少なくとも3mmの熱間圧延厚さを有する熱間圧延アルミニウムストリップを提供する。熱間ストリップ厚さは、熱間圧延の最後に到達したアルミニウムストリップの厚さであると理解される。アルミニウム熱間ストリップは、例えば、上述の合金組成を有する溶融物からインゴットを鋳造し、任意選択の均質化処理後に、それを3mm以上の厚さに熱間圧延することによって製造され得る。熱間ストリップ温度、すなわち最後の熱間ストリップ通過直後の熱間ストリップの温度は、典型的には300℃~350℃の範囲内であり、例えば330℃である。
【0043】
熱間圧延アルミニウムストリップは、いくつかの冷間圧延の通過で、8~最大20μmの最終厚さまで冷間圧延される。冷間圧延の通過数は、必要に応じて調節され得るが、好ましくは少なくとも7である。
【0044】
冷間圧延は、中間焼鈍なしに、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、特に少なくとも3mmの初期厚さから行われる。これは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、特に少なくとも3mmの厚さを有するアルミニウムストリップが、2回の冷間圧延の通過間で(もはや)中間焼鈍に供されないことを意味する。好ましくは、熱間ストリップ厚さ以降では中間焼鈍は行われず、すなわち、好ましくは完全に中間焼鈍なしに冷間圧延が行われる。
【0045】
初期厚さは、関連する冷間圧延の通過前のアルミニウムストリップの厚さであると理解される。通過は、ストリップの1回の圧延であると理解される。
【0046】
中間焼鈍は、アルミニウムストリップの少なくとも部分的な再結晶を、または転位の低減をもたらし、材料の硬化に対抗する。ある特定の初期厚さ以降の中間焼鈍を排除することにより、良好な硬化は、アルミニウムストリップまたはアルミニウム箔が最終厚さで良好な強度を有するように、ストリップの強力な成形により達成され得る。
【0047】
以下では、異なる種類のアルミニウム合金、方法、アルミニウム箔、その使用および蓄電池が説明される。個々の実施形態は、アルミニウム合金、方法、アルミニウム箔、その使用および蓄電池に適用可能であり、また互いに組み合わせることができる。
【0048】
方法のさらなる実施形態において、熱間ストリップ厚さは、3~5mmの範囲内である。4mmの最小熱間ストリップ厚さでは、所望の最終厚さへのその後の冷間圧延中に良好な加工硬化を達成することができた。好ましくは、冷間圧延は、中間焼鈍なしに熱間ストリップ厚さから行われる。5mm超の熱間ストリップ厚さでは、熱間ストリップは取り扱いが困難であり、特に巻くのが困難である。
【0049】
別の実施形態において、熱間ストリップ厚さから最終厚さまでの冷間圧延は、中間焼鈍なしに行われる。したがって、この実施形態では、冷間圧延の通過間の中間焼鈍は、一般に、初期厚さとは無関係に排除される。このようにして、冷間圧延によって、アルミニウムストリップの改善された硬化が達成され得る。
【0050】
別の実施形態では、冷間圧延は、8~20μm、好ましくは最大15μm、特に最大10~12μmの最終厚さまで行われる。アルミニウム箔の対応する一実施形態では、後者は、8~20μm、好ましくは最大15μm、特に最大12μmの厚さを有する。上記の合金は、厚さが薄いにもかかわらず蓄電池にさらに加工された場合に亀裂を生じないような良好なまたは高い強度を有するアルミニウム箔を製造するために使用され得る。これにより、材料および重量が削減され、蓄電池のエネルギー密度が増加する。
【0051】
さらなる実施形態の場合、冷間圧延の通過毎の圧延の程度は、少なくとも0.7mmの初期厚さから、好ましくは少なくとも1.5mmの初期厚さから最大60%である。したがって、冷間圧延の通過毎の圧延の程度は、初期厚さが0.7mmまたは好ましくは1.5mmの値未満に低下する前に最大60%に制限される。
【0052】
冷間圧延の通過における圧延の程度Aは、冷間圧延の通過による厚さの変化、すなわち、初期厚さdbeforeに対する冷間圧延の通過後のストリップ厚さdafterと初期厚さdbeforeとの間の差をパーセンテージで表したものである。
A=(dbefore-dafter)/dbefore
【0053】
例えば、ストリップが冷間圧延の通過において200μmから100μmに圧延される場合、圧延の程度は、A=(200μm-100μm)/200μm=0.5=50%になる。
【0054】
冷間圧延によりもたらされる熱入力は、アルミニウムストリップを著しい軟化が生じる程度まで加熱し得ることが判明した。これは、少なくとも0.7mm、好ましくは少なくとも1.5mmの初期厚さから最大60%に圧延の程度を制限することにより防止され、したがって最終厚さでのストリップのより良好な強度が達成され得る。
【0055】
別の実施形態において、アルミニウムストリップは、少なくとも0.1mmの厚さから、好ましくは少なくとも、少なくとも0.2mmの厚さから、2回の冷間圧延の通過間で、特に50℃以下の温度まで冷却される。このようにして、冷間圧延法によりストリップに導入される熱エネルギーは、個々の冷間圧延の通過間で消散し得、したがって、アルミニウムストリップの温度は、いくつかの冷却圧延の通過にわたり、ストリップの軟化をもたらす過度な上昇を示さない。その結果、最終厚さでのより高い強度が達成され得る。特により薄いストリップ厚さの場合には、冷間圧延の通過毎の熱上昇は重大であるため、方法は、初期厚さが0.7mm未満、好ましくは1.5mm未満に低下する前に2回の冷間圧延の通過間で冷却ステップを開始することにより行われる。
【0056】
アルミニウムストリップを冷却するために、アルミニウムストリップは、2回の冷間圧延の通過間で、例えば少なくとも24時間、好ましくは室温で保存され得る。これにより、ストリップは、典型的には80℃~100℃から、冷間圧延の通過直後に最大で50℃まで冷却され得る。
【0057】
別の実施形態において、アルミニウムストリップは、その最終厚さまで単一層として冷間圧延される。これは、アルミニウムストリップが、開始厚さが薄くても、アルミニウム箔の製造において通常行われるように二重にされないことを意味する。最終厚さまでの単一層冷間圧延の結果、アルミニウム箔は両側で同様のテクスチャー、特に同等の粗度を有し、これは、アルミニウム箔の均一な被覆性にプラスの効果を有する。
【0058】
最終厚さまでの単一層圧延は、二重圧延アルミニウム箔と比較して必要な圧延油の量をさらに低減することができるが、これは、二重層圧延には、2つのアルミニウム層の間に、圧延後にそれらを分離するために大量の圧延油を塗布することが必要であるためである。したがって、単層圧延により、ストリップ表面上の有機不純物は、好ましくは1平方メートル当たり5mg以下の炭素の残留圧延油コーティングまで低減され得、これは、リチウムイオン蓄電池の製造のためにアルミニウム箔を使用した場合有利であることが分かった。
【0059】
さらなる実施形態において、特に12μmの最大厚さを有するアルミニウム箔は、特に圧延硬化(roll-hardened)状態において、以下の機械的特性を有する:
Rm(圧延方向):≧165MPa、
Rm(圧延方向を横切る方向):≧165MPa、
Rp0.2(圧延方向):≧110MPa、
A100(圧延方向):≧1.0%。
【0060】
Rmは、引張強度であり、Rp0.2は、0.2%降伏強度であり、A100は、破断時伸び(試料長さ100mm)であり、それぞれDIN50154:1980-12およびDIN EN546-2:2007-03に従う引張試験で測定される。
【0061】
「圧延方向」という付記は、圧延方向に試料長さをそれぞれ有する1つの引張試料が使用されることを意味し、「圧延方向を横切る方向」という付記は、それぞれ圧延方向を横切る方向に試料長さを有する1つの引張試料が使用されることを意味する。
【0062】
上記の合金および方法を使用することにより、上述の機械的特性を有する箔が製造され得ることが判明した。
【0063】
記載された合金により、アルミニウム箔の高い熱安定性が達成され得、したがってアルミニウム箔は、そのような熱処理後にも良好な機械的特性を有することが判明した。アルミニウム箔は、リチウムを含む電極材料でのコーティングに続く乾燥法後であっても良好な強度値を有するため、これは、リチウムイオン蓄電池の製造にアルミニウム箔を使用する場合に特に有利である。
【0064】
別の実施形態において、アルミニウム箔は、両側において、DIN EN ISO4287:2010(固定型粗度試験機Hommel-Tester T8000RCによる)に従い測定される0.07~0.22μmの範囲内の粗度値Raを有する。好ましくは、アルミニウム箔の一方側の粗度値Raは、アルミニウム箔の他方側の粗度値Raとは最大0.03μm異なる。これは、1つの層のアルミニウム箔を最終厚さまで圧延することにより特に達成され得る。このようにして、アルミニウム箔は、両側でより均一にコーティングされ得る。
【0065】
別のバージョンにおいて、アルミニウム箔は、ホイートストンブリッジを使用して抵抗を測定することにより決定される、≧56%IACS(国際軟銅規格)の電気伝導率を有する。このようにして、アルミニウム箔は、電流コレクターに良好に適している。特別な実施形態において、電気伝導率は、56%および63%の間である。
【0066】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して以下の様々な実施形態の記載から分かる。
【0067】
図1は、本発明による方法の第1の実施形態を示す。
【0068】
方法において、ステップBでまず、以下の組成を有するインゴット2が鋳造される:
Si:0.07~0.12重量%
Fe:0.18~0.24重量%
Cu:0.03~0.08重量%
Mn:0.015~0.025重量%
Zn:≦0.01重量%
Ti:0.015~0.025重量%
Al:残余であるが、少なくとも99.5重量%、
個別に0.01重量%以内、合計で0.03重量%以内の不可避の不純物。
【0069】
次いで、インゴットは、均質化炉4内での任意選択の均質化処理に供され得る(ステップH)。均質化処理後、インゴットは可逆式熱間圧延ミル6内で熱間圧延され(図1中両矢印で示される)、3~5mmの熱間ストリップ厚さを有するアルミニウム熱間ストリップ8を成形する(ステップW)。
【0070】
熱間圧延後、アルミニウム熱間ストリップ8は、いくつかの冷間圧延の通過で、冷間圧延スタンド10において例えば15μmの最終厚さまで冷間圧延される。図1は、第1の冷間圧延の通過(ステップK)、最後の冷間圧延の通過(ステップK、「N」は冷間圧延の通過総数を表す)、および第1の冷間圧延の通過と最後の冷間圧延の通過との間の2つの連続した冷間圧延の通過(ステップKおよびKx+1)の例を示す。冷間圧延の通過Kの後、アルミニウムストリップは、少なくとも1mmの厚さを有する。したがって、冷間圧延の通過Kx+1の初期厚さは、1mm以上である。冷間圧延の通過Kx+1は、アルミニウムストリップの中間焼鈍なしに冷間圧延の通過Kに後続する。同様に、すべてのさらなる冷間圧延の通過は、中間焼鈍なしに最後の冷間圧延の通過まで互いに後続する。このようにして、箔の軟化をもたらす冷間圧延の通過間の任意の中間焼鈍なしに、Kで開始する個々の冷間圧延の通過を介して、製造されたアルミニウム箔12の高度の固化が達成される。好ましくは、中間焼鈍は、冷間圧延中は完全に排除される。個々の冷間圧延の通過の圧延の程度は、少なくとも1.5mmの初期厚さから最大60%にさらに制限される。
【0071】
図2は、本発明による手順の代替の一実施形態を示し、同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。図1における方法と同様に、少なくとも1mmの初期厚さからの中間焼鈍はなく、圧延の程度は、少なくとも1.5mmの初期厚さから最大60%に制限されている。図2に示される実施形態は、冷却ステップAが0.1mmのストリップ厚さからの個々の冷却圧延の通過間に提供される(図2ではKとKy+1との間に示されている)点で、図1における実施形態と異なる。
【0072】
冷間圧延中にアルミニウストリップに導入された成形エネルギーのため、アルミニウムストリップは、典型的には、冷間圧延の通過直後に80℃~100℃の範囲内の温度を有する。冷却ステップAにおいて、ストリップは、室温で少なくとも24時間コイルとして保存され、したがって50℃未満の温度まで徐々に冷却される。これにより、いくつかの連続した冷間圧延の通過にわたるアルミニウムストリップの過度の加熱、およびそれに関連するアルミニウムストリップの軟化が回避される。その結果、最終厚さでのアルミニウム箔12の強度が増加され得る。
【0073】
上記の方法で製造されたアルミニウム箔は、リチウムイオン蓄電池の製造における電流コレクターとしての使用に特に適している。
【0074】
図3は、リチウムイオン蓄電池用のカソード層の製造を示し、これによりアルミニウム箔12の機械的要件が理解できる。
【0075】
この方法において、電極材料および電流コレクター用のキャリアとして機能するアルミニウム箔22がコイル20から引き出される。アルミニウム箔22は、例えば、図1または図2に示される方法を使用して製造することができ、例えば箔12であってもよい。
【0076】
アルミニウム箔22は、まずコーティングデバイス24に供給され、そこで箔の頂部側および底部側が、例えばスロットダイコーティングによりリチウムを含む電極材料でコーティングされる。アルミニウム箔に塗布されたコーティング26は、最大150μmまでの層厚を有し得るが、これは、アルミニウム箔22の厚さの何倍にもなる。
【0077】
次いで、コーティングされた箔22は、乾燥デバイス28に供給され、そこで箔はまずフローテーションドライヤー30内で乾燥され、次いで冷却セクション32内で、例えば冷却ローラー34で再び冷却される。乾燥は、典型的には、エアフローテーションドライヤー内で、約150℃で2分間行われる。冷却後、アルミニウム箔は、コイル36に巻き取られる。
【0078】
大量の電極材料がアルミニウム箔に塗布されるため、特にエアフローテーションドライヤー30内で破れないように、良好なまたは高強度のアルミニウム箔が望ましい。アルミニウム箔は、乾燥処理後、すなわち150℃で2分後でもまだ必要な強度が存在するように、十分な熱安定性をさらに有するべきである。
【0079】
第2の方法段階において、コーティングされたアルミニウム箔22は、再びコイル36から引き出されてカレンダー処理デバイス38を通過し、コーティングされたアルミニウム箔22がカレンダーロール40の間で圧縮され、所定の均一な厚さのコーティング26が得られる。
【0080】
次いで、コーティングされた箔は、切り込みデバイス42でより細いストリップ44に縦方向に切り出され、コイル46に巻き取られる。このようにして製造されたコーティングされたアルミニウム箔のストリップは、図示されていない以下のステップで所望の形状に切断または打ち抜かれ、それらをアノード層およびその間に配置されたセパレーター層と交互に重ね合わせることにより、リチウムイオン蓄電池にさらに加工される。これは、平坦型設計のリチウムイオン蓄電池の製造においては、個々の層を互いに連続的に重ね合わせることにより行うことができるか、または、円筒型設計のリチウムイオン蓄電池の製造においては、セパレーター層をそれぞれ有する1つのカソード層および1つのアノード層のスタックを巻回することにより行うことができる。
【0081】
図4a~図4bは、平坦型設計におけるリチウムイオン蓄電池50の層状構造の断面を概略的に示し、図4bは図4aからの拡大された詳細を示している。蓄電池50は、カソード層52、アノード層54、およびその間に配置されたセパレーター層56のスタックを有する。カソード層52は、図3に示されるコーティングされたアルミニウムストリップ44で作製される。
【0082】
この目的のために、45mmの厚さを有する圧延インゴットを表1に列挙された合金A、BおよびCから鋳造したが、AおよびBは、合金の本発明による一実施形態を表し、Cは、比較例を表す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
9、12μmおよび20μmの厚さを有するストリップの試料に対して、0.1~1.0μmの最大径長および>1μmの最大径長を有する相の数を決定した。
【0086】
試料は、酸化物研磨懸濁(oxide polishing suspension)により機械的に調製した。最大径長は、B2D4検出器(電界放射型走査電子顕微鏡用の空気圧操作式検出器)を有する電界放射型走査電子顕微鏡(Zeiss Merlin)を用いて、1000:1の倍率および10kVの加速電圧で決定した。
【0087】
0.1~1.0μmの最大径長を有する粒子に対する結果を、表4に示す:
【0088】
【表4】
【0089】
>1.0μmの径長を有する粒子に対する結果を、表5に示す:
【0090】
【表5】
【符号の説明】
【0091】
2 インゴット
4 均質化炉
6 可逆式熱間圧延ミル
8 アルミニウム熱間ストリップ
10 冷間圧延スタンド
12 アルミニウム箔、箔
20 コイル
22 アルミニウム箔、箔
24 コーティングデバイス
26 コーティング
28 乾燥デバイス
30 フローテーションドライヤー
32 冷却セクション
34 冷却ローラー
36 コイル
38 カレンダー処理デバイス
40 カレンダーロール
42 切り込みデバイス
44 より細いストリップ、アルミニウムストリップ
46 コイル
50 リチウムイオン蓄電池
52 カソード層
54 アノード層
56 セパレーター層
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b