(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】雪上車
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20230713BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20230713BHJP
B60Q 1/08 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B60Q1/24 E
G01B11/25 Z
B60Q1/24 C
B60Q1/08
(21)【出願番号】P 2020554574
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2018085789
(87)【国際公開番号】W WO2019121880
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】520224269
【氏名又は名称】プリノス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】トニー,マンフレッド
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-058374(JP,A)
【文献】国際公開第01/016560(WO,A2)
【文献】特開2015-155270(JP,A)
【文献】特開2005-157873(JP,A)
【文献】特開2008-114714(JP,A)
【文献】特開2003-231438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
G01B 11/25
B60Q 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキー場及びクロスカントリースキーコースをメンテナンスするためのスノーグルーマであって、当該
スノーグルーマの周囲(9)における方向付けと、前記周囲(9)の障害物(10,11)及び地形状態の光学的検出とのための少なくとも1つの照明素子を有し、前記照明素子が、少なくとも1つのレーザビーム(8,8a,8b)を有するレーザ(7,33)であり、当該レーザが、所定の構造(28,28a,28b,37,40)を有する
線パターンを前記周囲(9)の地面(38)上に投射し、前記
線パターンが、検出されるべき前記障害物又は前記地形状態上で、視覚的に認識可能であるように歪めら
れ、
前記
スノーグルーマの運転者が、前記周囲の物体に関連した光学的認識を行い、且つ、
前記レーザが、ジャイロスコープセンサーを介して自動整準されることを特徴とする、
スノーグルーマ。
【請求項2】
現在の位置の測定が、測定距離と組み合わせて方向変化を検知するジャイロスコープにより行われることを特徴とする、請求項1に記載の
スノーグルーマ。
【請求項3】
前記地面(38)上への前記レーザの投射が、運転速度、ステアリング角度、選択されたギヤの関数として、及び、地形上での前記
スノーグルーマの傾きを検出する慣性センサを介して制御され得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
スノーグルーマ。
【請求項4】
レンズ(26,27)が、レーザビーム(35)を、前記定められた構造(28,28a,28b,37,40)を有する前記
線パターンを前記
スノーグルーマ上での取り付け位置から前記地面(38)に向けて生成するように光学的に変換することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の
スノーグルーマ。
【請求項5】
前記構造が、グリッドパターン(40)、或いは、点構造、又は円形構、若しくは線構造であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の
スノーグルーマ。
【請求項6】
運転室(5)の側部又は上に取り付けられたサイドレーザ(33)が、追加の構造を前記
スノーグルーマの側方の前記地面(38)上に投射することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の
スノーグルーマ。
【請求項7】
多数のレーザ(30)が、前記
スノーグルーマ側の回転可能なドラム体(25)上に取り付けられており、前記ドラム体(25)が前記レーザビーム(8)を異なる前記レンズ(26,27)を通して放射し、これらの前記レンズ(26)の幾つかが水平の線パターンを放射し、一方、その他の前記レンズ(27)が垂直の線パターンを放射することを特徴とする、請求項
4に記載の
スノーグルーマ。
【請求項8】
多数のミラー素子(23)が埋め込まれ且つ1以上の前記レーザビーム(35)を反射する1以上のガラス素子(22)が、前記
スノーグルーマ上の回転可能なドラム体(25)の外周上に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の
スノーグルーマ。
【請求項9】
前記ガラス素子(22)が表面上に、前記反射されたレーザ光(35)がドラム(20)から十字型構造を有して出現するように形成されることを可能にするカットを有することを特徴とする、請求項8に記載の
スノーグルーマ。
【請求項10】
前記レーザ(7,33)が、延長可能で且つ引き込み可能な伸縮アーム(49)上に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の
スノーグルーマ。
【請求項11】
前記伸縮アーム(49)が
、電気的に又は電動アクチュエータにより制御され得ることを特徴とする、請求項10に記載の
スノーグルーマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲第1項のプリアンブルに記載されている、周囲環境における方向付けのための少なくとも1つの照明素子を備えた雪上車に関する。
【背景技術】
【0002】
このような雪上車は、例えば、スキー場及びクロスカントリースキーコースの整備用のスノーグルーマとして、また、雪に覆われた地上での物品及び人々の輸送のための輸送車両として機能し得る。
【0003】
このような車両は、夜間の雪に覆われた環境での方向付けのために、周囲を照らして運転者が障害物を検知できるようにする少なくとも1つのヘッドライトを有する。
【0004】
例えば、スキー場のメンテナンスを目的としたスノーグルーマは、追加のヘッドライトを運転席に有して、夜間にメンテナンスされるべきスキー場の周囲領域を照明できる。
【0005】
特許文献1は、少なくとも2つのヘッドライトがフロントカバーの凹部に配置された、雪の表面を処理及びモデリングするためのスノーグルーマを示している。
【0006】
この照明の欠点は、特に過酷な気象条件の場合に周囲の地面が空でぼやけて見え、障害物を検知することが困難又は不可能なことである。日中であっても、運転者が厳しい気象条件の中で周囲に対して自分自身を方向付けることが困難である。
【0007】
このような例は、いわゆるホワイトアウト作用である。これは、地面が雪で覆われているときに太陽光が(雲、霧、又は降雪により)散乱されて拡散光が見える様子を指す。太陽光が強く散乱反射して最小輝度が非常に高いことにより、コントラストが著しく低下し、視野全体が均一に明るく見える。その結果、地平線が消え、地面と空が境目なく融合する。均一な輪郭又は影はもはや目視不能であり、観察者は、完全に空虚な無限のグレースペースにいるように感じる。
【0008】
ホワイトアウトはスキー場においてかなり大きいリスク要因である。転落のリスクを受けやすいエリアにおいて、障害物及び深淵をもはや認識できない。距離及び地面の勾配も検知できない。
【0009】
車両の照明システムが至近距離で動作している場合でも、慣用的な照明は2次元光しか生成しないため、障害物の検知は遅くなるか、或いは全く検知されない。
【0010】
特許文献2は、耕作されるべき土壌の領域を移動方向にスキャンでき、耕作ツール(例えばブレード)の高さ調整のための信号を生成するセンサ装置を備えた耕運機を示している。この目的のために、センサ構造はレーザ送受信機を含み、光ビームを出射し、地面から反射されたビームを受信機にてランタイム及び振幅に関して分析し、それにより耕作ツールを制御する。
【0011】
この装置の欠点は、センサの構成が複雑で、気象条件の影響を非常に受け易いことである。また、耕作ツールが動作中になっても、運転者はまだ、運転者が障害物に向かっているかどうかが分からず、このために、回避操作をタイムリーに実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許出願公開第102011089836号明細書
【文献】独国特許出願公開第10154635号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の課題は、このような雪上車の照明を、当該車両付近の障害物及び地形状態を容易に検知できるように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題は独立特許請求項の特徴により解決され、本発明の有利な構成及び追加の展開は従属請求項から収集され得る。
【0015】
本質的な特徴は、前記雪上車の周囲における方向付けのための照明素子から成り、当該照明素子は、少なくとも1つのレーザビームを有するレーザであり、このレーザは、所定の構造を有するパターンを周囲地面上に投射し、前記パターンは、検知されるべき障害物又は地形状態上で、視覚的に認識可能であるように歪められる。
【0016】
定められたパターンを地面上に投射するレーザを用いて、焦点が絞られた少なくとも1つのレーザビームが投射されることにより、前記車両の運転者は、物体に関連する前記周囲を視覚的に認識できる。
【0017】
物体に関連するこのような認識が、前記周囲の地形表面特性の記録を可能にする。障害物の存在が、ビームパターンの画像の変位又は曲率の逸脱から推測され得る。
【0018】
このようなレーザビームは、有利なことに、より長い距離にわたって投射されることができ、このような長い距離は、例えば、前記雪上車の前方6m~25mであり得る。
【0019】
前記レーザビームを出射する主レーザには、特別な光学素子が具備されている。この光学素子は、前記レーザビームを、前記雪上車上での取り付け位置から前記地面に向けて特定の構造を生成するように変換する。好ましくは、レンズのために特別につくられたカットが使用される。光の波の構造により、非常に微細な構造が光の偏向を可能にしている。
【0020】
レーザビームは、このようなレンズにより、前記雪上車の取り付け位置から地面に向けられたときに、定められた構造を有するパターンを生成するように光学的に変換される。
【0021】
或いは、例えば、レーザビームは、回転ミラー素子又は可動光学素子を用いて地面に向けられてもよい。
【0022】
前記雪上車上で使用されるレーザは、例えば伸縮アームを用いて伸縮され得る。伸縮アームは、例えば、電気的に、又は電動式アクチュエータにより制御され得る。
【0023】
本発明によるレーザは、正確な光パターンを地面上に投射し、このパターンが車両の運転者により視覚的に認識され得る。従って、レーザにより生成されて地面上に投射された光グリッドのおかげで3次元物体が目視可能になる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
光グリッド又は十字形グリッドに加えて、その他の構造、例えば点構造、円形構造、複数の線、又は円などをレーザで生成することもできる。
【0025】
これらの構造は、障害物の深さ及び/若しくは形状、又は、周囲の地形状態を検知するために使用され得る。
【0026】
本発明の展開において、使用されるレーザは、自動整準式であり、すなわち、レーザラインは常に100%真直である。これは、雪上車が傾斜位置にある場合にレンズが傾斜位置を補正することを意味する。
【0027】
本発明の別の実施形態において、レーザ制御システムが、レーザを非常に正確に(北、西、南、東に)方向付けることを可能にするレンズを含む。ジャイロスコープセンサが、方向変化の正確な認識を可能にしている。この情報を距離測定と組み合わせて使用することで、現在の場所を特定できる。例えば、GPSの利用不可能な谷を雪上車が走行している場合、ジャイロスコープがオンになり、不足している情報を提供する。
【0028】
このようなセンサは、雪上車の傾き又は傾斜を検出し、レーザ制御を介して適切な対策を講じ得る。このようにして、地面上の光のパターンが、常に望ましい構造の輪郭を描く。
【0029】
車両が、地形における不均一な物体、又は、木の切り株などの物体に向かっている場合、レーザにより地面上に投射される十字形グリッドが3次元で画成される。これが、レーザグリッドラインの空間的変形を生じさせ、これにより、互いの距離が変化し、又は曲がる。こうして、最終的に、雪上車の前方に存在する物体のタイプ及び物体の寸法の推測が可能になる。
【0030】
本発明によるレーザを用いて、表面形状を区別及び特定できる。
【0031】
先行技術を用いた場合、このような物体の認識は、ハロゲンヘッドランプにより放射されるような拡散入射光により、可能ではないであろう。
【0032】
赤色レーザ光が好ましい。なぜなら、赤色レーザ光は周囲の光を抑えて、レーザラインが、より見易いからである。
【0033】
しかし、本発明はこれに限定されない。レーザのための異なる配色、例えば緑色又は青色などの使用もまた、本発明の請求範囲内にある。これらの色は、例えば、上流のカラーフィルタにより生成され得る。
【0034】
地面上に投射された構造は、前記雪上車と共に、前記雪上車の移動方向に移動する。しかし、この移動は前記車両よりも速度が遅く、前記車両がパターンの上を移動するような効果が得られる。前記パターンの上を移動する利点は、より良好な方向付けの提供に加えて、特に、表示されるパターンがちらつかず、従って、運転者がそのようなちらつきに気を取られないことである。
【0035】
地面上への前記レーザ投射は、走行速度v、ステアリング角度φ、及び、選択されたギヤGに応じて、また、地形上での前記雪上車の傾きを検出する慣性センサにより制御される。
【0036】
これが、前記ステアリング角度に反応することを可能にするため、前記レーザは常に移動方向を照らす。
【0037】
例えば、運転者が後進に変更した場合、前記雪上車の後部の少なくとも1つのレーザがオンにされて、後方周囲の地表が照らされる。
【0038】
これに関係なく、前記雪上車の運転者が、前記雪上車のすぐ近くの周囲のどの領域をカバーすべきかを手動で決定することも可能である。
【0039】
本発明のさらなる展開において、少なくとも1つのサイドレーザが運転室の側部に配置される。また、このサイドレーザは、グリッド状のパターンを地面に投射するためにも使用され得る。しかし、本発明はこれに限定されない。円形構造を前記レーザから地面に投射することも可能である。円の寸法に従って、運転者は物体までの距離を推測できる。例えば、運転者が森の縁に沿って走行する場合、木に投射される円は、レーザビームが開放領域上に出射される場合よりも小さい。
【0040】
本発明の主題は、個々の特許請求項の主題からだけでなく、個々の特許請求項の組合せからも生じる。
【0041】
発明の概要に開示したものを含む、本明細書に開示する全ての情報及び特徴は、そして特に、図面中に例示される空間的配置は、それらが従来技術に対し、単独で又は組合せにおいて新規である限りにおいて、本発明にとって本質的なものとして請求される。
【0042】
以下に本発明を、幾つかの実施形態を示す図面と共に、より詳細に説明する。図面及びそれらの説明は、本発明の追加の本質的な特徴及び利点を示す。
【0043】
個々の項目が「発明に必須」又は「重要」であると指定されている場合、これは、これらの項目が独立請求項の主題である必要を意味するものではない。これは、独立請求項の現在有効なバージョンによってのみ決定される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図9】サーチライトを備えた雪上車の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は雪上車1を示しており、雪上車1は、互いに独立して制御され得る2つの車台4上で、周囲領域9の地面38を移動できる。
【0046】
雪上車1は、雪上車1を操作する少なくとも1人の運転者のための部屋を有する運転室5を含む。運転室5は、運転者がそこから周囲9を監視できるフロントガラス32を有する。
【0047】
この実施形態の例において、雪上車1の移動方向にレーザビーム8を出射する2つのレーザ7が運転室5の上に配置され、そしてまた、レーザビームを雪上車の側方に向けて、及び地面38上に出射する2つのサイドレーザ33が配置されている。このようにして、レーザビーム8は、地面38の画定された領域上に投射される。
【0048】
雪上車1が移動方向において物体(
図1に木の切り株10として示されている)に近づくと、レーザビーム8がこの物体を照らし、そして、レーザビームが物体に当たるときの距離が短いことにより、以前は地上38を照らしていたレーザビーム8は、もはや以前よりも短くなっており、今はビーム8a,8bを形成している。レーザビーム8a,8bは、木の切り株10からのレーザ33の距離に応じて異なる長さであり、遮られずに地面38上に照射し続けるレーザビーム8よりも短い。個々のレーザビーム8,8a,8b間のこのような違いにより、雪上車の運転者がこれを視覚的に区別できるため、運転者は移動方向において物体を検出でき、また、必要に応じて回避操作を行い得る。
【0049】
雪上車1がトレンチ(溝)11に到達すると、レーザ7からのレーザビーム8がこの障害物を照らす。物体を照らしているレーザビームの距離が延長された結果、以前は地面38上に照射されていたレーザビーム8の長さも延長され、今はビーム8a’,8b’を形成している。トレンチ11の領域からのレーザ7の距離に応じて、レーザビーム8a’,8b’は異なる長さであり、また、遮られずにトレンチ11上に照射し続けるレーザビーム8よりも長い。個々のレーザビーム8,8a’,8b’間のこのような違いにより、雪上車の運転者がこれを視覚的に区別できるため、運転者は移動方向において物体を検出でき、そして、必要に応じて回避操作を行うことができ、或いは、この時点で地面38のメンテナンスを行い得る。
【0050】
これにより、運転者は、投射されたレーザビームの空間的な変形から、地面の障害物又は地形の変化を検出できる。
【0051】
図2は、
図1の雪上車1の側面図であり、レーザ7から出射されたビーム8が光の円錐として雪地面38上に投射されている。雪上車1はその前端に、雪を除去して地面38の凹凸の表面を水平に均すことを可能にするブレード3を有する。移動方向において照明するレーザ7に加えて、少なくとも1つのサイドレーザ33も運転室5の側部に取り付けられており、このサイドレーザ33は、雪上車付近の周囲を照明する。
【0052】
図3は、主要本体30から主レーザビーム35を出射する、使用されるレーザ7(又は33)を示す。主レーザビーム35はレンズ31を通過し、レンズ31はレーザ光を、レーザビームが十字形構造16を生成するように形成する。この十字形構造16は、互いに角度17,18を成す2つの交差する扇形のレーザビームから成る。
図3に示されている例において、両方の角度17,18が90度であり、従って、2つの直角の軸が出射される。
【0053】
図4は、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態においてはドラム体25を使用し、ドラム体25は回転軸24を中心に矢印21の方向に回転する。主レーザ30がドラム本体25上に特定の間隔で取り付けられており、これらのレーザは、異なるレンズ26,27を介してレーザビームを出射する。
図4に示されている例において、レンズ26は水平の線パターンを放射し、一方、レンズ27は垂直の線パターンを放射する。レーザビームがこれらのレンズを通過すると、レーザビームはレンズ26,27に応じて水平又は垂直に投射される。
【0054】
これは回転ドラム体であるため、雪上車の運転者を保護するために、また、ビームに露出されるべき領域への配向を可能にするために、パネル29がドラム体25の外周に取り付けられている。また、パネル29は、雪及び着氷に対する保護効果も有する。
【0055】
図5は、ドラム体25の上面図である。パネル29は、ドラム体25を360度取り囲まずに開口部36を有し、これによりレーザビーム8を周囲9に出射できる。
【0056】
本発明のさらなる展開において、
図4及び5によれば、個々の主レーザ30は、滑り接触により制御され得る。このようにして、回転レーザは、特定の位置にあり且つ接触がない非アクティブのときにのみ、ビーム8を出射できる。
【0057】
図6は、本発明のさらなる展開を示し、この例において、主レーザ30が主レーザビーム35をドラム20上に向けさせる。ドラム20はパネル29により取り囲まれており、パネル29は、敏感なドラム体を雪及び氷から保護し、また、前方開口部36を有してそこからレーザビーム8を周囲9に出射できる。ドラム20は軸24を中心に矢印21の方向に回転し、また、その外周上に、複数のミラー素子が埋め込まれたガラス素子22を有する。これらのミラー素子は、主ビーム35を特定の角度で反射し、それをレーザビーム8として出射する。
【0058】
図7によれば、ガラス素子22は、出射された主レーザビーム35が、ガラス素子22に埋め込まれたミラー素子23により反射されるようにカットされた面を有し、また、ドラム20から十字形構造で出現するように形作られている。このように形成されたレーザビーム8が地面38に当たると、地面38において格子状の構造が見られる。グリッド(格子)は、水平方向の横線28と、横線28を横切る縦線37とから成る。
【0059】
図8は、雪上車1の上面図である。雪上車1は、地面38上を移動方向39に移動する。運転室の屋根に取り付けられたレーザ7を通して、雪上車1は地面38を照明する。レーザビーム8の特別な形状により、グリッドパターン40が地面38上に投射される。グリッドパターン40は、横線28と、横線28を横切る縦線37とから成る。
【0060】
雪道車1がトレンチ11に到達すると、雪道車の前方に投射されたグリッドパターン40が変形されて、横線28,縦線37の空間的変形を生じる。雪上車の運転者は、このような空間的変形を視覚的に認識でき、これは、運転者(彼又は彼女)が地面38上の障害物又は地形変化を検知できることを意味する。
【0061】
グリッドパターン40の横線28は、トレンチ11を通って曲線28a,28bとして示され、一方、縦線37は、地面38に真直に当たり続ける。横線28a,28bの異なる曲率が、運転者がトレンチの深さ及び周囲を推測することを可能にする。
【0062】
図8は、レーザビーム8が3次元物体10(
図8に木の切り株として示されている)に当たる別の実施形態の例を示している。レーザビーム8のビーム方向における物体10の位置がレーザビーム8の経路を短縮し、従って、短縮されたビーム8a,8bが物体に当たる。ビーム長を変更し、レーザビーム8a,8bを介して物体10を照明することにより、運転者は物体及び物体10の寸法を検知して、物体を回避するために適切な操作を行い得る。
【0063】
レーザ7に加えて、サイドレーザ33が運転室5の上に配置されており、これらのレーザは、雪上車1付近の周囲領域38の側方領域を照明する。
【0064】
図9は、幅狭に画定されたグリッドパターン40を地面38に投射するサーチライト41を備えた雪上車1を示す。サーチライト41は手動で操作され、全方向に回転及び旋回され得る。さらに、グリッドパターン40は矢印42の方向に拡大され得る。
【0065】
図10は、長く調節可能な伸縮アーム49に取り付けられて、運転室の屋根46を通って延在するサーチライト41の側面図及び正面図を示す。サーチライト41は、ハンドル44を介して操作されることができ、且つ、スイベル角度47及び/又は回転方向48において調整され得る。スイッチ45を使用してサーチライトをオン/オフ切り替えでき、また、グリッドパターンの大きさを設定できる。
【0066】
サーチライト41には、グリッドパターンを作成するフォトレーザダイオード43が設けられている。グリッドパターンの十字形構造16は、互いに角度17,18を成す2つの交差する扇形のレーザビームから成る。
図10に示されている例において、角度17,18の両方が90度であるため、2つの直角の軸が出射される。
【0067】
図11は、雪上車1に使用されるスイッチのブロック図を示している。信号変換器50が、車両電子機器(CAN-BUS)の信号をPLC互換信号に変換する。雪上車1からの信号14、例えば、速度、移動方向、ステアリング角度、位置、及び傾斜が、このようにしてPLC制御信号に変換される。PLC CPU19が全ての入力信号を処理し、全ての必要な計算を実行し、次いで、コマンド及び出力信号を個々のコンポーネントに発行する。PLC CPU19は、供給された実際の値から目標値60~63を算出して、これらの値を様々なコントローラ52~55に送信する。そして、コントローラ52~55は、モータ電圧56~59を用いて、2つのレーザ7a,7b又はサーチライト41を移動させるために使用されるモータを制御する。これらの部品は、各々、駆動モータ68~71(要求条件によりDCギヤモータ又はACギヤモータ)を有し、これらのモータにロータリーエンコーダ64~67が割り当てられている。横方向調整75が、グリッドパターンシステムの偏向のためのスイベルモータとして機能するため、移動方向に移動するグリッドパターンは、ターン中にグリッド構造が崩壊しない。
【0068】
ロータリーエンコーダ64~67は、モータの位置、速度、及び方向を測定し、これらを様々な制御タスクのために使用できる。ロータリーエンコーダ64~67は信号を送信し、これらの信号がPLC CPU19により処理される。使用されるエンコーダのタイプ(インパルス、正弦波、電圧など)に従って、様々な制御システムが実行され得る。
【0069】
例えば、雪上車が加速する場合、レーザ7a,7b又はサーチライト41の投射ユニット72~74は、グリッドパターン40が雪上車1に向かって相対速度で移動するように制御される。従って、車両の運転者は、グリッドパターン上を運転しているような印象を受ける。雪上車が減速すると、グリッドパターンの相対速度もまた低下する。
【0070】
動的なグリッドパターンを生成する利点は、生成されたグリッドパターンが、車両の振動及び横揺れ運動に関係なく、運転されるべき地表上に安定的に投射されることである。
【0071】
レーザを制御するために、例えば、
図5及び
図6に示されているように、ドラム20及びドラム25の回転速度が調整され得る。
【0072】
システム全体が制御ユニット51により制御され、制御ユニット51から、全ての調整可能なパラメータが選択、変更、及び視覚化(表示)され得る。
【0073】
電源モジュール15が、全てのコンポーネントに電力供給するために使用される。
【符号の説明】
【0074】
1 雪上車
3 ブレード
4 車台
5 運転室
6 照明体
7,7a,7b レーザ
8,8a,8b,8a’,8b’ レーザビーム
9 周囲
10 物体
11 トレンチ
12 ロータリーエンコーダ
13 信号
14 信号
15 電源モジュール
16 十字形構造
17 角度
18 角度
19 PLC CPU
20 ドラム
21 矢印の方向
22 ガラス素子(特別にカットされている)
23 ミラー素子
24 回転軸
25 ドラム
26 レンズ
27 レンズ
28,28a,28b 横線
29 パネル
30 主レーザ
31 レンズ
32 フロントガラス
33 サイドレーザ
35 主レーザビーム
36 開口部(29の一部)
37 縦線
38 地面
39 移動方向
40 グリッドパターン
41 サーチライト
42 矢印の方向
43 フォトレーザダイオード
44 ハンドル
45 スイッチ
46 運転室の屋根
47 スイベル角度
48 回転方向
49 伸縮アーム
50 信号変換器
51 制御ユニット
52 コントローラ
53 コントローラ
54 コントローラ
55 コントローラ
56 モータ電圧
57 モータ電圧
58 モータ電圧
59 モータ電圧
60 目標値
61 目標値
62 目標値
63 目標値
64 ロータリーエンコーダ
65 ロータリーエンコーダ
66 ロータリーエンコーダ
67 ロータリーエンコーダ
68 駆動モータ
69 駆動モータ
70 駆動モータ
71 駆動モータ
72 投射ユニット
73 投射ユニット
74 投射ユニット
75 横方向調整