(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】試料加工装置および試料加工方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20230713BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H01J37/20 A
H01J37/305 A
(21)【出願番号】P 2021031185
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100161540
【氏名又は名称】吉田 良伸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】轟 弘樹
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072089(JP,A)
【文献】特開2014-139938(JP,A)
【文献】特開2013-137995(JP,A)
【文献】特開2020-053406(JP,A)
【文献】特開2007-129214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射
し、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第1軸上に配置され、
前記第1面と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第2軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工装置。
【請求項2】
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射
し、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第2軸上に配置され、
前記第1面と前記第1軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第1軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工装置。
【請求項3】
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射
し、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離を変更することよって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工装置。
【請求項4】
請求項
1ないし
3のいずれか1項において、
前記試料の加工範囲の情報の入力を受け付ける入力部と、
前記加工範囲の情報に基づいて、前記第1軸と前記第2軸との間の距離を計算する演算部と、
を含む、試料加工装置。
【請求項5】
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射
し、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作により前記イオンビームの光軸に対する前記試料の傾斜角度の範囲を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更し、
前記試料の加工範囲の情報の入力を受け付ける入力部と、
前記加工範囲の情報に基づいて、前記試料の傾斜角度の範囲を求める演算部と、
を含む、試料加工装置。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1項において、
前記第1回転体の回転速度と前記第2回転体の回転速度は異なる、試料加工装置。
【請求項7】
請求項1ないし
6のいずれか1項において、
前記第1回転体の回転速度は、周期的に変化する、試料加工装置。
【請求項8】
請求項1ないし
7のいずれか1項において、
前記第2回転体の回転速度は、周期的に変化する、試料加工装置。
【請求項9】
請求項1ないし
8のいずれか1項において、
前記第1回転体は、所定の回転角度ごとに、所定時間だけ回転動作を停止し、
前記第2回転体は、前記第1回転体が回転動作を停止している前記所定時間に、1周期以上の回転動作を行う、試料加工装置。
【請求項10】
請求項1ないし
9のいずれか1項において、
前記第1回転体および前記第2回転体は、揺動動作を行う、試料加工装置。
【請求項11】
請求項1ないし
10のいずれか1項において、
前記試料上に配置され、前記イオンビームを遮蔽する遮蔽部材を含み、
前記イオンビームは、前記遮蔽部材を介して、前記試料に照射される、試料加工装置。
【請求項12】
請求項
11において、
前記遮蔽部材は、着脱可能である、試料加工装置。
【請求項13】
請求項1ないし
12のいずれか1項において、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記第2回転体を回転させることによって、前記第1面側から前記イオンビームを照射する状態と、前記第2面側から前記イオンビームを照射する状態と、を切り替え可能である、試料加工装置。
【請求項14】
請求項1ないし
10のいずれか1項において、
前記イオンビームの光軸に対して前記試料の表面を傾斜させるための傾斜機構を含む、試料加工装置。
【請求項15】
請求項1ないし
14のいずれか1項において、
前記試料の加工領域を観察するためのカメラと、
前記試料を移動させる移動機構と、
前記カメラで取得された画像に基づいて、前記移動機構を制御する移動機構制御部と、を含む、試料加工装置。
【請求項16】
請求項1ないし
14のいずれか1項において、
前記試料を移動させる移動機構と、
加工を開始してからの経過時間の情報を取得し、前記経過時間の情報に基づいて前記移動機構を制御する移動機構制御部と、
を含む、試料加工装置。
【請求項17】
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含
み、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第1軸上に配置され、
前記第1面と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第2軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工方法。
【請求項18】
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含
み、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第2軸上に配置され、
前記第1面と前記第1軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第1軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工方法。
【請求項19】
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含
み、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離を変更することよって、前記試料の加工範囲を変更する、試料加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料加工装置および試料加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンビームを用いて試料を加工する試料加工装置として、試料の断面を加工するためのクロスセクションポリッシャ(登録商標)や、薄膜試料を作製するためのイオンスライサ(登録商標)などが知られている。試料加工装置を用いて、例えば、電子顕微鏡用の試料を作製できる。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転軸の回転中心がイオンビームの光軸と直交し、かつ試料が遮蔽板から突出する方向と平行な方向に配置され、試料ステージを回転可能に支持する回転機構と、試料ホルダーに保持された試料をイオンビームの光軸の方向に沿って移動可能に支持するスライド機構と、を備えたイオンミリング装置が開示されている。特許文献1のイオンミリング装置では、スライド機構によって試料をイオンビームの光軸の方向に沿って移動させることで、加工幅を広げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような試料加工装置では、試料の加工面に、イオンビームの照射痕である加工筋が生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射し、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第1軸上に配置され、
前記第1面と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第2軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する。
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射し、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第2軸上に配置され、
前記第1面と前記第1軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第1軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する。
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第
2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射し、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離を変更することよって、前記試料の加工範囲を変更する。
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転可能な第1回転体と、
前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転可能な第2回転体と、
を含み、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射し、
前記第1回転体の回転動作および前記第2回転体の回転動作により前記イオンビームの光軸に対する前記試料の傾斜角度の範囲を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更し、
前記試料の加工範囲の情報の入力を受け付ける入力部と、
前記加工範囲の情報に基づいて、前記試料の傾斜角度の範囲を求める演算部と、
を含む。
【0007】
このような試料加工装置では、加工面の加工筋を低減でき、かつ、試料の加工範囲を広げることができる。
【0008】
本発明に係る試料加工方法の一態様は、
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含み、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第1軸上に配置され、
前記第1面と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第2軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する。
本発明に係る試料加工方法の一態様は、
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含み、
前記試料は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記イオンビームは、前記試料の前記第1面側から照射され、
前記第1面は、前記第2軸上に配置され、
前記第1面と前記第1軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1面と前記第1軸との間の距離を変更することによって、前記試料の加工範囲を変更する。
本発明に係る試料加工方法の一態様は、
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における試料加工方法であって、
前記試料を保持し、第1軸を回転軸として回転する第1回転体の回転動作、および前記第1回転体が配置され、前記第1軸とは異なる第2軸を回転軸として回転する第2回転体の回転動作によって前記試料を動かしながら、前記試料に前記イオンビームを照射する工程を含み、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離は、変更可能であり、
前記第1軸と前記第2軸との間の距離を変更することよって、前記試料の加工範囲を変更する。
【0009】
このような試料加工方法では、加工面の加工筋を低減でき、かつ、試料の加工範囲を広
げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
【
図2】試料ステージ引出機構の動作を説明するための図。
【
図3】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図4】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図9】イオンビームの照射範囲と、傾斜軸と第1面との間の距離の関係を示すグラフ。
【
図10】試料加工装置のGUI(Graphical User Interface)の一例を示す図。
【
図11】イオンビームの照射範囲と試料の傾斜角度の関係を示すグラフ。
【
図14】比較例に係る試料加工装置の動作を説明するための図。
【
図15】第2変形例に係る試料加工装置の動作を説明するための図。
【
図16】第2実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
【
図17】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図18】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図22】第3実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
【
図23】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図24】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図25】試料を180°回転させた状態を模式的に示す図。
【
図26】試料を180°回転させた状態を模式的に示す図。
【
図27】試料を第1面側からのみ加工したときの試料断面を模式的に示す図。
【
図28】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図29】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図30】第4実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
【
図31】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図32】試料ホルダーに試料をセットした状態を模式的に示す図。
【
図36】第2変形例に係る試料加工装置を説明するための図。
【
図37】第5実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
【
図38】加工観察カメラで取得された加工画像を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1. 第1実施形態
1.1. 試料加工装置の構成
まず、第1実施形態に係る試料加工装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成を示す図である。
図1には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0013】
試料加工装置100は、試料2にイオンビームIBを照射して試料2を加工し、観察や分析用の試料を作製するイオンビーム加工装置である。試料加工装置100は、例えば、試料2の断面を加工することができる。
【0014】
試料加工装置100は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)や、透過電子顕微鏡(TEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)などの電子顕微鏡用の試料を作製するために用いられる。また、試料加工装置100は、例えば、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)やオージェマイクロプローブなどの試料を作製するために用いられる。
【0015】
試料加工装置100は、
図1に示すように、真空チャンバー10と、試料ステージ引出機構12と、排気装置14と、排気制御部16と、イオン源20と、試料ホルダー30と、試料ホルダー回転機構32と、試料ステージ40と、試料ステージ回転機構42と、スライド機構50と、位置合わせカメラ60と、加工観察カメラ62と、処理部70と、入力部80と、表示部82と、記憶部84と、を含む。
【0016】
真空チャンバー10内には、試料ステージ40が配置されている。真空チャンバー10内において、試料2にイオンビームIBが照射される。真空チャンバー10内は、排気装置14で真空排気される。排気装置14は、排気制御部16で制御される。
【0017】
試料ステージ引出機構12は、真空チャンバー10から試料ステージ40を引き出すための機構である。試料ステージ引出機構12は、真空チャンバー10の開口部を塞ぐように、真空チャンバー10に開閉可能に取り付けられている。試料ステージ引出機構12には、試料ステージ40が取り付けられている。
【0018】
イオン源20は、イオンビームIBを試料2に照射する。イオン源20は、真空チャンバー10の上部に取り付けられている。イオン源20は、例えば、イオン銃である。イオン源20は、所定の加速電圧でイオンビームIBを加速させて放出する。イオン源20は、例えば、Arガスをイオン化させてイオンビームIBを放出する。
【0019】
イオンビームIBの径は、例えば、1~2mm程度である。イオン源20は、イオンビームIBをZ軸に沿って放出する。イオンビームIBの光軸(中心軸)は、Z軸に平行である。イオン源20は、イオンビームIBの径を変化させるためのレンズ(電極)を有していてもよい。
【0020】
試料ホルダー30は、試料ホルダー回転機構32を介して試料ステージ40に取り付けられている。試料ホルダー30は、試料ステージ40に対して着脱可能である。試料ホルダー30は、試料2を保持している。試料ホルダー30には、遮蔽部材34が取り付けられている。遮蔽部材34は、試料2上に配置され、イオンビームIBを遮蔽する。試料加工装置100では、試料2の遮蔽部材34から突き出た部分にイオンビームIBが照射される。これにより、試料2の断面を加工できる。
【0021】
試料ホルダー30は、試料ホルダー回転機構32によって回転する回転体(第1回転体)である。試料ホルダー回転機構32は、試料ホルダー30を第1軸A1を回転軸として回転させる。第1軸A1は、イオンビームIBの光軸に直交し、かつ、試料2が遮蔽部材34から突出する方向(Y方向)に平行である。試料ホルダー30が回転することによって試料2が回転する。試料ホルダー回転機構32は、例えば、試料ホルダー30を回転さ
せるモーターを含む。
【0022】
試料ステージ40は、試料ステージ回転機構42を介して試料ステージ引出機構12に取り付けられている。試料ステージ40には、試料ホルダー回転機構32を介して試料ホルダー30が配置されている。
【0023】
試料ステージ40は、試料ステージ回転機構42によって回転する回転体(第2回転体)である。試料ステージ40が回転することによって、試料ステージ40に配置された試料ホルダー30も回転する。試料ステージ回転機構42は、試料ステージ40を第2軸A2を回転軸として回転させる。試料ステージ回転機構42は、例えば、試料ステージ40を回転させるモーターを含む。
【0024】
試料ホルダー30の回転軸である第1軸A1と、試料ステージ40の回転軸である第2軸A2は、異なる軸である。すなわち、試料ホルダー30と試料ステージ40は、同一の回転軸で回転しない。図示の例では、第1軸A1と第2軸A2は、平行である。第1軸A1と第2軸A2は、Y軸に平行である。
【0025】
スライド機構50は、試料ステージ40上に配置されている。スライド機構50は、試料ホルダー30をZ軸に沿って移動可能に支持している。スライド機構50で試料ホルダー30を移動させることで、第1軸A1と第2軸A2との間の距離(以下「軸間距離」ともいう)を変更できる。
【0026】
スライド機構50は、図示はしないが、試料ステージ40上に配置されたレールと、レールに摺動可能に係合されたスライド溝を有するホルダー支持部と、を含む。ホルダー支持部は、試料ホルダー30に取り付けられている。ホルダー支持部には、保持穴が設けられ、保持穴に保持ねじが固定されることで、試料ホルダー30が固定される。
【0027】
位置合わせカメラ60は、試料ステージ引出機構12の上端部に取り付けられている。位置合わせカメラ60は、例えば、光学顕微鏡に取り付けられたカメラである。
【0028】
図2は、試料ステージ引出機構12の動作を説明するための図である。
図2では、試料ステージ引出機構12を開いた状態を図示している。なお、
図2では、便宜上、処理部70、入力部80、および記憶部84の図示を省略している。
【0029】
位置合わせカメラ60で取得された画像は、表示部82に表示される。例えば、
図2に示す試料ステージ引出機構12を開いた状態において位置合わせカメラ60の視野の中心に試料2の目標加工位置を合わせると、
図1に示す試料ステージ引出機構12を閉じた状態においてイオン源20から放出されるイオンビームIBが目標加工位置に照射される。このように、試料加工装置100では、位置合わせカメラ60を用いて試料2の位置を調整することで、試料2の目標加工位置にイオンビームIBを照射できる。
【0030】
加工観察カメラ62は、真空チャンバー10の外に配置されている。加工観察カメラ62は、真空チャンバー10に設けられた観察窓64を通して真空チャンバー10内を観察可能である。加工観察カメラ62の光軸は、Y軸に平行である。加工観察カメラ62の光軸は、例えば、第1軸A1と一致する。加工観察カメラ62で撮影された画像は、表示部82に表示される。
【0031】
入力部80は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部70に出力する。入力部80の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネルなどの入力機器により実現することができる。
【0032】
表示部82は、処理部70によって生成された画像を表示する。表示部82の機能は、LCD、CRT、入力部80としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
【0033】
記憶部84は、処理部70の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶している。また、記憶部84は、処理部70のワーク領域としても機能する。記憶部84の機能は、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
【0034】
処理部70の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部70は、イオン源制御部72と、試料ホルダー制御部74と、試料ステージ制御部76と、を含む。
【0035】
イオン源制御部72は、イオン源20を制御する。イオン源制御部72は、イオン源20を制御するための制御信号を生成し、当該制御信号をイオン源制御回路22に出力する。イオン源制御回路22は、制御信号を、イオン源20を駆動するための駆動信号に変換し、イオン源20に出力する。
【0036】
試料ホルダー制御部74は、試料ホルダー30の回転動作を制御する。試料ホルダー制御部74は、試料ホルダー30の回転速度(回転周期)および回転方向を制御する。試料ホルダー制御部74は、試料ホルダー回転機構32を制御して、試料ホルダー30に回転動作を行わせる。
【0037】
試料ホルダー制御部74は、試料ホルダー回転機構32を制御するための制御信号を生成し、当該制御信号を試料ホルダー制御回路36に出力する。試料ホルダー制御回路36は、制御信号を、試料ホルダー回転機構32を駆動するための駆動信号に変換し、試料ホルダー回転機構32に出力する。
【0038】
試料ステージ制御部76は、試料ステージ40の回転動作を制御する。試料ステージ制御部76は、試料ステージ40の回転速度(回転周期)および回転方向を制御する。試料ステージ制御部76は、試料ステージ回転機構42を制御して、試料ステージ40に回転動作を行わせる。
【0039】
試料ステージ制御部76は、試料ステージ回転機構42を制御するための制御信号を生成し、当該制御信号を試料ステージ制御回路44に出力する。試料ステージ制御回路44は、制御信号を、試料ステージ回転機構42を駆動するための駆動信号に変換し、試料ステージ回転機構42に出力する。
【0040】
演算部78は、加工幅の情報に基づいて第1軸A1と第2軸A2との間の軸間距離を計算する処理や、加工幅の情報に基づいて試料2の傾斜角度の範囲を計算する処理などを行う。
【0041】
処理部70の各部の処理の詳細については後述する。
【0042】
1.2. 試料加工装置の動作
1.2.1. 試料加工装置の基本動作
試料加工装置100では、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によって試料2を動かしながら、試料2にイオンビームIBを照射して試料2を加工する。
【0043】
図3および
図4は、試料ホルダー30に試料2をセットした状態を模式的に示す図である。なお、
図3では、便宜上、遮蔽部材34、試料ホルダー30、および試料ステージ40のみを図示しており、
図4では、試料ホルダー30および試料ステージ40のみを図示している。
【0044】
試料2は、第1面3aと、第1面3aとは反対側の第2面3bと、を有している。
図3および
図4に示すように、試料2は、第1面3aが上(+Z方向)、第2面3bが下(-Z方向)を向くように配置されている。試料2は、第1面3aが第1軸A1上に位置するように配置されている。遮蔽部材34は、第1面3a上に配置されており、第1軸A1は、第1面3aと遮蔽部材34の境界を通る。イオンビームIBは、試料2の第1面3a側から照射される。
【0045】
試料ホルダー30は、Z方向において、第1軸A1が第2軸A2とは異なる位置になるように、スライド機構50で位置が調整されている。
【0046】
【0047】
図5は、試料ステージ40の傾斜角度θ2=0°の状態を示し、
図6は、試料ステージ40の傾斜角度θ2=+30°の状態を示し、
図7は、試料ステージ40の傾斜角度θ2=-30°の状態を示している。なお、
図5~
図7では、傾斜角度θ2は、鉛直上向きを基準とし、時計回りを「+」、反時計回りを「-」で示している。
【0048】
試料加工装置100では、加工時には、試料ホルダー制御部74が試料ホルダー回転機構32を動作させて試料ホルダー30を回転動作させ、かつ、試料ステージ制御部76が試料ステージ回転機構42を動作させて試料ステージ40を回転動作させる。
【0049】
ここで、試料ホルダー30の回転動作とは、試料ホルダー30を一方向に回転させる動作と、試料ホルダー30を揺動させる動作と、を含む。試料ホルダー30を揺動させるとは、往復傾斜(回転)運動させることをいう。試料ステージ40の回転動作についても同様である。
【0050】
試料加工装置100では、試料ホルダー30を揺動動作させ、かつ、試料ステージ40を揺動動作させる。
【0051】
試料ホルダー30は、第1軸A1を回転軸(傾斜軸)として揺動動作する。試料ホルダー30は、例えば、±30°の範囲で揺動する。すなわち、試料ホルダー30は、時計回りに回転して傾斜角度θ1が+30°となった後、反時計回りに回転して傾斜角度θ1が-30°となることを繰り返す。試料ホルダー30が揺動動作することによって、加工面の加工筋を低減できる。なお、
図5~
図7では、傾斜角度θ1は、時計回りを「+」、反時計回りを「-」で示している。
【0052】
試料ステージ40は、第2軸A2を回転軸(傾斜軸)として揺動動作する。試料ステージ40は、例えば、±30°の範囲で揺動する。すなわち、試料ステージ40は、時計回りに回転して傾斜角度θ2が+30°になった後、反時計回りに回転して傾斜角度θ2が-30°となることを繰り返す。試料ステージ40が揺動動作することによって、試料2の加工幅を広げることができる。加工幅は、例えば、試料2の加工領域の深さ方向に直交する方向の大きさである。試料2の加工幅を広げることによって、加工範囲を広げることができる。
【0053】
なお、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲、および試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲は、任意に設定可能である。例えば、上記では、傾斜角度θ1の範囲と傾斜角度θ2の範囲は等しいが、傾斜角度θ1の範囲と傾斜角度θ2の範囲を異ならせてもよい。
【0054】
試料ホルダー30の回転速度は、例えば、一定である。また、試料ステージ40の回転速度は、例えば、一定である。試料ホルダー30の回転速度は、例えば、試料ステージ40の回転速度よりも速い。すなわち、試料ホルダー30の揺動動作の周期は、試料ステージ40の揺動動作の周期よりも短い。なお、試料ホルダー30の回転速度および試料ステージ40の回転速度は、任意に設定可能である。例えば、試料ホルダー30の回転速度を、試料ステージ40の回転速度よりも遅くしてもよい。
【0055】
試料2は、試料ホルダー30の回転動作によって回転運動し、試料ホルダー30は試料ステージ40の回転動作によって回転運動する。そのため、試料2は、試料ホルダー30の回転動作によって回転運動しながら、試料ステージ40の回転動作によって回転運動している。試料2は、この2つの回転運動の組み合わせで動いている。
【0056】
ここで、試料加工装置100では、試料ホルダー30の第1軸A1と試料ステージ40の第2軸A2との間の軸間距離Dを変更することによって、試料2の加工幅を変更できる。
【0057】
また、試料加工装置100では、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によりイオンビームIBの光軸に対する試料2の傾斜角度の範囲を変更することによって、試料2の加工幅を変更できる。
【0058】
以下では、まず、軸間距離Dを変更することによって試料2の加工幅を変更する場合を第1動作例として説明し、次に、試料2の傾斜角度の範囲を変更することによって試料2の加工幅を変更する場合を第2動作例として説明する。
【0059】
1.2.2. 第1動作例
(1)原理
図8は、イオンビームの照射範囲(加工幅)を模式的に示す図である。
【0060】
図8に示すように、試料を傾斜軸Oを回転軸として揺動動作させる。このとき、イオンビームの径をa、イオンビームの光軸に対する試料の傾斜角度r、傾斜軸Oと試料の上面との間の距離をZとすると、イオンビームIBの照射範囲2Aは、次式(1)で表される。
【0061】
【0062】
なお、試料の傾斜角度rは、試料ホルダー30の回転動作による試料2の傾斜角度と試料ステージ40の回転動作による試料2の傾斜角度の和に対応する。また、距離Zは、軸間距離Dに対応する。また、傾斜軸Oは、第2軸A2に対応する。また、イオンビームIBの照射範囲2Aは、試料2の加工幅に対応する。そのため、上記式(1)から、第1面3aと第2軸A2との間の距離、すなわち、軸間距離Dを変更することによって、試料2の加工幅を変更できることがわかる。上記式(1)を用いて、試料2の加工幅から、軸間距離Dを計算できる。
【0063】
図9は、イオンビームIBの照射範囲2Aと、傾斜軸Oと第1面3aとの間の距離Zの関係を示すグラフである。なお、
図9に示すグラフの縦軸は、照射範囲2Aを示し、横軸は距離Zを示している。
図9に示すグラフには、イオンビームIBの径aが1mmで傾斜角度rが±30°の範囲の場合(G1)、イオンビームIBの径aが1mmで傾斜角度rが±45°の範囲の場合(G2)、イオンビームIBの径aが2mmで傾斜角度rが±30°の範囲の場合(G3)、イオンビームIBの径aが2mmで傾斜角度rが±45°の範囲の場合(G4)を示している。
【0064】
例えば、イオンビームIBの径aが1mmで傾斜角度rが±30°の範囲の場合(G1)、距離Z=1mmで照射範囲2Aは約2mm、距離Z=2mmで照射範囲2Aは約3mm、距離Z=4mmで照射範囲2Aは約6mm、距離Z=6mmで照射範囲2Aは約8mmとなった。
【0065】
このように、
図9のグラフから、距離Zが大きくなるほど、イオンビームIBの照射範囲2Aが大きくなることがわかる。したがって、試料加工装置100では、軸間距離Dを大きくすることによって、加工幅を広げることができる。このように、軸間距離Dを調整することによって、試料2の加工幅を調整することができる。
【0066】
また、
図9に示すように、イオンビームIBの径aおよび試料2の傾斜角度rの範囲を変更することによっても、イオンビームIBの照射範囲2Aを変更できる。したがって、軸間距離Dと、イオンビームIBの径aと、傾斜角度rの範囲と、をそれぞれ変更することによって、加工幅を調整できる範囲を大きくできる。
【0067】
(2)試料加工方法
まず、
図3および
図4に示すように、試料ホルダー30に試料2および遮蔽部材34をセットする。このとき、試料ホルダー30の第1軸A1上に試料2の第1面3aが位置するように試料2をセットする。
【0068】
次に、試料ホルダー30を試料ステージ40に取り付ける。試料ホルダー30の取り付けは、試料ステージ引出機構12を開いた状態で行う。次に、位置合わせカメラ60を用いて試料2の位置および遮蔽部材34の位置を調整する。
【0069】
次に、上記の式(1)を用いて、所望の加工幅に応じた軸間距離Dを計算する。そして、軸間距離Dが計算された値となるように、スライド機構50を用いて試料ホルダー30の位置を調整する。なお、後述するように、軸間距離Dの値は、演算部78が計算し、GUI画面に表示される。このGUI画面に表示された軸間距離Dの値を見て、試料ホルダー30の位置を調整してもよい。
【0070】
次に、加工を開始する。具体的には、まず、試料ステージ引出機構12を閉じて真空チャンバー10内を真空排気して、真空チャンバー10内を真空状態にする。そして、試料ホルダー30の揺動動作および試料ステージ40の揺動動作によって試料2を動かしながら、遮蔽部材34を介して試料2にイオンビームIBを照射する。試料ホルダー30の揺動動作によって加工筋を低減でき、試料ステージ40の揺動動作によって試料2の加工幅を所望の加工幅にすることができる。試料2の加工の状態は、加工観察カメラ62で確認できる。
【0071】
以上の工程により、試料2を断面加工できる。
【0072】
(3)GUI
図10は、試料加工装置100のGUI(Graphical User Interface)の一例を示す図である。
【0073】
GUI101は、試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力するための入力エリア102と、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲を入力するための入力エリア104と、加工幅を入力するための入力エリア106と、結果表示エリア108と、を有している。GUI101は、表示部82に表示される。
【0074】
入力エリア102、入力エリア104、および入力エリア106には、入力部80を用いて値を入力できる。ユーザーが、入力部80を用いて、入力エリア102に所望の試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力し、入力エリア104に所望の試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲を入力し、入力エリア106に所望の加工幅を入力すると、入力部80は、入力された情報を受け付けて、当該情報を処理部70に出力する。
【0075】
演算部78は、入力された、傾斜角度θ2の範囲、傾斜角度θ1の範囲、および加工幅を式(1)に代入して、軸間距離Dを計算する。そして、演算部78は、計算された軸間距離Dの値を、結果表示エリア108に表示する。ユーザーは、結果表示エリア108に表示された軸間距離Dの値を見て、試料ホルダー30の位置を調整することができる。
【0076】
なお、上記では、結果表示エリア108には軸間距離Dが表示されたが、結果表示エリア108には第1面3aと第2軸A2との間の距離が表示されてもよい。
【0077】
1.2.3. 第2動作例
(1)原理
軸間距離Dを一定とした場合に、試料2の傾斜角度rの範囲を変更することによって試料2の加工幅を変更することができる。傾斜角度rの範囲は、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作を制御することによって変更可能である。上述した式(1)を用いることで、加工幅から傾斜角度rの範囲を計算できる。
【0078】
図11は、イオンビームIBの照射範囲2Aと、試料の傾斜角度rの関係を示すグラフである。なお、
図11に示すグラフの縦軸は、照射範囲2Aを示し、横軸は傾斜角度rの範囲を示している。
図11に示すグラフには、イオンビームIBの径aが1mmで距離Zが5mmの場合(G5)、イオンビームIBの径aが2mmで距離Zが5mmの場合(G6)、イオンビームIBの径aが1mmで距離Zが7mmの場合(G7)、イオンビームIBの径aが2mmで距離Zが7mmの場合(G8)を示している。
【0079】
例えば、イオンビームIBの径aが1mmで距離Zが5mmの場合(G5)、傾斜角度rが±10°の範囲で照射範囲2Aは約2mm、傾斜角度rが±20°の範囲で照射範囲2Aは約4mm、傾斜角度rが±30°の範囲で照射範囲2Aは約7mm、傾斜角度rが±40°の範囲で照射範囲2Aは約10mmとなった。
【0080】
このように、
図11のグラフから、傾斜角度rの範囲が大きくなるほど、イオンビームIBの照射範囲2Aが大きくなることがわかる。したがって、試料加工装置100では、傾斜角度rの範囲が大きくすることによって、加工幅を大きくすることができる。このように、傾斜角度rの範囲を調整することによって、試料2の加工幅を調整することができる。
【0081】
(2)試料加工方法
まず、
図3および
図4に示すように、試料ホルダー30に試料2および遮蔽部材34をセットする。このとき、試料ホルダー30の第1軸A1上に試料2の第1面3aが位置す
るように試料2をセットする。
【0082】
次に、試料ホルダー30を試料ステージ40に取り付ける。試料ホルダー30の取り付けは、試料ステージ引出機構12を開いた状態で行う。次に、位置合わせカメラ60を用いて試料2の位置および遮蔽部材34の位置を調整する。
【0083】
次に、スライド機構50を用いて、試料ホルダー30の位置を調整する。このとき、軸間距離Dは、あらかじめ設定された値とする。
【0084】
次に、上記の式(1)を用いて所望の加工幅に応じた傾斜角度rを計算し、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲、および試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を設定する。なお、後述するように、GUI画面に傾斜角度θ2の範囲および加工幅を入力すると、演算部78が傾斜角度θ1の範囲を計算し、計算された傾斜角度θ1の範囲および入力された傾斜角度θ2の範囲が設定される。
【0085】
次に、加工を開始する。具体的には、まず、試料ステージ引出機構12を閉じて真空チャンバー10内を真空排気して、真空チャンバー10内を真空状態にする。そして、試料ホルダー30の揺動動作および試料ステージ40の揺動動作によって試料2を動かしながら、遮蔽部材34を介して試料2にイオンビームIBを照射する。
【0086】
このとき、試料ホルダー制御部74は、設定された傾斜角度θ1の範囲で試料ホルダー30を揺動動作させ、試料ステージ制御部76は、設定された傾斜角度θ2の範囲で試料ステージ40を揺動動作させる。これにより、試料ホルダー30の揺動動作によって加工筋を低減でき、試料ステージ40の揺動動作によって試料2の加工幅を所望の加工幅にすることができる。
【0087】
以上の工程により、試料2を断面加工できる。
【0088】
(3)GUI
図12は、試料加工装置100のGUIの一例を示す図である。
【0089】
GUI201は、試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力するための入力エリア202と、加工幅を入力するための入力エリア204と、結果表示エリア206と、を有している。GUI201は、表示部82に表示される。
【0090】
入力エリア202および入力エリア204には、入力部80を用いて、値を入力できる。ユーザーが、入力エリア202に所望の試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力し、入力エリア204に所望の加工幅を入力すると、入力部80は、入力された情報を受け付けて、当該情報を処理部70に出力する。
【0091】
演算部78は、入力された傾斜角度θ2の範囲、入力された加工幅、およびあらかじめ設定された軸間距離Dを式(1)に代入して、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲を計算する。そして、演算部78は、計算された傾斜角度θ1の範囲を、結果表示エリア206に表示する。また、試料ホルダー制御部74は、加工時に、演算部78で計算された傾斜角度θ1の範囲で試料ホルダー30を揺動動作させる。
【0092】
図13は、試料加工装置100のGUIの一例を示す図である。
【0093】
GUI301は、試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力するための入力エリア302と、軸間距離Dを入力するための入力エリア304と、加工幅を入力するための入
力エリア306と、結果表示エリア308と、を有している。GUI301は、表示部82に表示される。
【0094】
入力エリア302、入力エリア304、および入力エリア306には、入力部80を用いて、値を入力できる。ユーザーが、入力エリア302に所望の試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲を入力し、入力エリア304に所望の軸間距離Dを入力し、入力エリア306に所望の加工幅を入力すると、演算部78は、入力された傾斜角度θ2の範囲、入力された軸間距離D、および入力された加工幅を式(1)に代入して、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲を計算する。そして、演算部78は、計算された傾斜角度θ1の範囲を、結果表示エリア308に表示する。試料ホルダー制御部74は、加工時に、演算部78で計算された傾斜角度θ1の範囲で試料ホルダー30を揺動動作させる。
【0095】
1.3. 効果
試料加工装置100では、試料2を保持し、第1軸A1を回転軸として回転可能な第1回転体としての試料ホルダー30と、試料ホルダー30が配置され、第1軸A1とは異なる第2軸A2を回転軸として回転可能な第2回転体としての試料ステージ40と、を含み、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によって試料2を動かしながら、試料2にイオンビームIBを照射する。そのため、試料加工装置100では、加工面の加工筋を低減でき、かつ、試料2の加工幅を広げることができる。したがって、試料加工装置100では、加工面の加工筋を低減でき、かつ、試料2の加工範囲を広げることができる。
【0096】
図14は、比較例に係る試料加工装置の動作を説明するための図である。
図14に示す試料加工装置は、試料ステージを回転可能に支持する回転機構と、試料ホルダーに保持された試料をイオンビームの光軸の方向に沿って移動可能に支持するスライド機構と、を含む。試料は、軸Aを回転軸として揺動動作する。比較例の試料加工装置では、スライド機構を用いて、試料をスライドさせることにより軸Aと試料上面との間の距離を大きくすることによって、加工幅を広げることができる。
【0097】
比較例に係る試料加工装置では、1つの回転体の回転動作によって試料を動かしている。これに対して、試料加工装置100では、上述したように、試料ホルダー30の回転動作によって加工筋を低減し、試料ステージ40の回転動作によって試料2の加工幅を広げている。このように、試料加工装置100では、2つの回転体の回転動作によって試料を動かしている。したがって、
図14に示す1つの回転体の回転動作によって試料2を回転させる場合と比べて、加工筋を低減できる。
【0098】
試料加工装置100では、試料2の第1面3aは、第1軸A1上に配置され、試料2の第1面3aと第2軸A2との間の距離は、変更可能であり、試料2の第1面3aと第2軸A2との間の距離を変更することによって、試料2の加工幅を変更する。そのため、試料加工装置100では、試料2の加工幅を広げることができる。
【0099】
試料加工装置100では、第1軸A1と第2軸A2との間の軸間距離Dが変更可能であり、軸間距離Dを変更することによって試料2の加工幅を変更する。そのため、試料加工装置100では、試料2の加工幅を広げることができる。
【0100】
試料加工装置100では、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によりイオンビームIBの光軸に対する試料2の傾斜角度rの範囲を変更することによって、試料2の加工幅を変更する。そのため、試料加工装置100では、試料2の加工幅を広げることができる。
【0101】
試料加工装置100は、試料2上に配置され、イオンビームIBを遮蔽する遮蔽部材34を含み、イオンビームIBは、遮蔽部材34を介して、試料2に照射される。そのため、試料加工装置100では、試料2を断面加工することができる。
【0102】
試料加工装置100は、試料2の加工幅の情報の入力を受け付ける入力部80と、加工幅の情報に基づいて、第1軸A1と第2軸A2との間の軸間距離Dを計算する演算部78と、を含む。そのため、試料加工装置100では、所望の加工幅で加工を行うための軸間距離Dの情報を容易に得ることができる。
【0103】
試料加工装置100は、試料2の加工幅の情報の入力を受け付ける入力部80と、加工幅の情報に基づいて試料2の傾斜角度rの範囲を求める演算部78と、を含む。そのため、試料加工装置100では、所望の加工幅で加工を行うための試料2の傾斜角度rの範囲の情報を容易に得ることができる。
【0104】
1.4. 変形例
次に、第1実施形態に係る試料加工装置の変形例について説明する。以下では、上述した試料加工装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0105】
1.4.1. 第1変形例
上述した実施形態では、試料ホルダー30の回転速度は一定であり、試料ステージ40の回転速度は一定であったが、これに限定されない。
【0106】
例えば、試料ホルダー30の回転速度を一定として、試料ステージ40の回転速度を周期的に変化させてもよい。また、例えば、試料ホルダー30の回転速度を周期的に変化させて、試料ステージ40の回転速度を一定にしてもよい。また、例えば、試料ホルダー30の回転速度を周期的に変化させ、試料ステージ40の回転速度を周期的に変化させてもよい。これにより、例えば、試料ホルダー30の回転速度が一定であり、かつ、試料ステージ40の回転速度が一定である場合と比べて、加工筋を低減できる。
【0107】
例えば、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作が同期すると、試料2の特定の位置に同じ方向からイオンビームIBが入射してしまい、加工筋ができる原因となる。第1変形例では、上記のように、試料ホルダー30の回転速度および試料ステージ40の回転速度の少なくとも一方が周期的に変化するため、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作が同期することを防ぐことができ、加工筋を低減できる。
【0108】
1.4.2. 第2変形例
第2変形例では、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作を連動させる。ここでは、試料2の傾斜角度rがプラスの状態と試料2の傾斜角度rがマイナスの状態の割合を等しくする。これにより、試料2に対して様々な方向からイオンビームIBを入射することができる。
【0109】
図15は、第2変形例に係る試料加工装置の動作を説明するための図である。
【0110】
例えば、試料2の傾斜角度rが±R(Rは任意の角度)の範囲となるように試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作を制御する。
【0111】
例えば、試料ステージ40は、所定の回転角度ごとに、所定時間だけ回転動作を停止し、試料ホルダー30は、試料ステージ40が回転動作を停止している所定時間に、1周期
以上の回転動作を行う。ここで、r=θ1+θ2である。そのため、試料ステージ40の傾斜角度θ2がα°のときに、試料ホルダー30の傾斜角度θ1の範囲を+R-αから-R-αの範囲で揺動動作させる。
【0112】
例えば、R=60°とし、試料ステージ40が±20°の範囲で、10°ごとに60秒間停止する揺動動作を行う。例えば、試料ステージ40は、傾斜角度θ2=0°、傾斜角度θ2=+10°、傾斜角度θ2=+20°、傾斜角度θ2=-10°、傾斜角度θ2=-20°で停止する。
【0113】
このとき、試料ホルダー30は、傾斜角度θ2=0°で試料ステージ40が停止している60秒の間に、+60°から-60°の範囲で揺動動作する。また、試料ホルダー30は、傾斜角度θ2=+10°で試料ステージ40が停止している60秒の間に、+50°から-70°の範囲で揺動動作する。また、試料ホルダー30は、傾斜角度θ2=+20°で試料ステージ40が停止している60秒の間に、+40°から-80°の範囲で揺動動作する。また、試料ホルダー30は、傾斜角度θ2=-10°で試料ステージ40が停止している60秒の間に、+70°から-50°の範囲で揺動動作する。また、試料ホルダー30は、傾斜角度θ2=-20°で試料ステージ40が停止している60秒の間に、+80°から-40°の範囲で揺動動作する。
【0114】
これにより、試料2の傾斜角度rがプラスの状態と試料2の傾斜角度rがマイナスの状態の割合を等しくすることができる。
【0115】
第2変形例では、試料ステージ40は、所定の回転角度ごとに、所定時間だけ回転動作を停止し、試料ホルダー30は、試料ステージ40が回転動作を停止している所定時間に、1周期以上の回転動作を行う。これにより、試料2に対して様々な方向からイオンビームIBを入射することができ、加工筋を低減できる。
【0116】
1.4.3. 第3変形例
第3変形例では、第2変形例と同様に、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作を連動させる。第3変形例では、試料ステージ40が回転動作を1周期分行う間に、試料ステージ40の傾斜角度θ2がプラス側で最大のときに、試料ホルダー30の傾斜角度θ1がプラス側で最大をとり、かつ、試料ステージ40の傾斜角度θ2がマイナス側で最大のときに、試料ホルダー30の傾斜角度θ1がマイナス側で最大をとるように、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作を連動させる。
【0117】
例えば、試料ステージ40が±30°の範囲で揺動動作し、試料ホルダー30が±30°の範囲で揺動動作する場合、試料ステージ40の傾斜角度θ1が+30°のときに試料ホルダー30の傾斜角度θ2が+30°となり、かつ、試料ステージ40の傾斜角度θ2が-30°のときに試料ホルダー30の傾斜角度θ2が-30°となるように、試料ホルダー30の揺動動作と試料ステージ40の揺動動作を連動させる。
【0118】
例えば、試料ステージ40は、所定の回転角度ごとに、所定時間だけ回転動作を停止し、試料ホルダー30は、試料ステージ40が回転動作を停止している所定時間に、1周期以上の回転動作を行う。これにより、試料ステージ40が回転動作を1周期分行う間に、傾斜角度θ2がプラス側で最大のときに傾斜角度θ1がプラス側で最大をとり、かつ、傾斜角度θ2がマイナス側で最大のときに傾斜角度θ1がマイナス側で最大をとるように、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作を連動させることができる。
【0119】
例えば、試料ステージ40は、傾斜角度θ2の範囲が±30°であり、10°ごとに60秒間停止する揺動動作を行う。このとき、試料ホルダー30は、試料ステージ40が
停止している60秒の間に、傾斜角度θ1の範囲が±30°の範囲で、揺動動作する。これにより、傾斜角度θ2が+30°のときに傾斜角度θ1を+30°とし、かつ、傾斜角度θ2が-30°のときに傾斜角度θ1を-30°とすることができる。
【0120】
第2変形例では、試料ステージ40が回転動作を1周期分行う間に、傾斜角度θ2がプラス側で最大のときに傾斜角度θ1がプラス側で最大をとり、かつ、傾斜角度θ2がマイナス側で最大のときに傾斜角度θ1がマイナス側で最大をとるように、試料ホルダー30の回転動作と試料ステージ40の回転動作を連動させる。そのため、第2変形例では、加工領域の幅方向の端部に、確実にイオンビームIBを照射できる。
【0121】
1.4.4. 第4変形例
上述した実施形態では、スライド機構50を用いて、手動で、加工幅に応じた軸間距離Dに変更した。これに対して、例えば、スライド機構50は、モーターの回転力を駆動機構に伝えることで、直線運動するアクチュエーターであってもよい。すなわち、スライド機構50は、自動で、試料ホルダー30のZ方向の位置を調整できる機構であってもよい。
【0122】
例えば、試料ホルダー制御部74が、演算部78による軸間距離Dの計算結果に基づいてスライド機構50を動作させることによって、加工幅に応じて軸間距離Dを変更してもよい。
【0123】
1.4.5. 第5変形例
上述した実施形態では、スライド機構50を用いて試料ホルダー30を移動させることによって軸間距離Dを変更したが、軸間距離Dを変更する方法はこれに限定されない。例えば、試料加工装置100に、試料ステージ40をZ方向に移動させるためのスライド機構を設けて、試料ステージ40を移動させることによって軸間距離Dを変更してもよい。
【0124】
2. 第2実施形態
2.1. 試料加工装置の構成
次に、第2実施形態に係る試料加工装置について、図面を参照しながら説明する。
図16は、第2実施形態に係る試料加工装置200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る試料加工装置200において、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0125】
上述した試料加工装置100では、試料ホルダー30の回転動作によって加工面の加工筋を低減し、試料ステージ40の回転動作によって試料2の加工幅を広げた。これに対して、試料加工装置200では、試料ホルダー30の回転動作によって試料2の加工幅を広げ、試料ステージ40の回転動作によって加工面の加工筋を低減する。
【0126】
試料加工装置200では、第2軸A2に加工観察カメラ62の光軸が一致するように加工観察カメラ62が配置されている。
【0127】
2.2. 試料加工装置の動作
図17および
図18は、試料ホルダー30に試料2をセットした状態を模式的に示す図である。なお、
図17は、
図3に対応し、
図18は、
図4に対応している。
【0128】
試料2は、
図17および
図18に示すように、第1面3aが第2軸A2上に位置するように配置されている。遮蔽部材34は、第1面3a上に配置されており、第2軸A2は、第1面3aと遮蔽部材34の境界を通る。
【0129】
【0130】
試料加工装置200では、試料加工装置100と同様に、加工時には、試料ホルダー制御部74が試料ホルダー回転機構32を動作させて試料ホルダー30を回転動作させ、かつ、試料ステージ制御部76が試料ステージ回転機構42を動作させて試料ステージ40を回転動作させる。
【0131】
このとき、試料ホルダー30は、第1軸A1を回転軸として揺動動作する。試料ホルダー30が揺動動作することによって、試料2の加工幅を広げることができる。また、試料ステージ40は、第2軸A2を回転軸として揺動動作する。試料ステージ40が揺動動作することによって、加工面の加工筋を低減できる。
【0132】
試料加工装置200では、試料2の第1面3aは、第2軸A2上に配置され、試料2の第1面3aと第1軸A1との間の距離は、変更可能であり、試料2の第1面3aと第1軸A1との間の距離を変更することによって、試料2の加工幅を変更できる。
【0133】
また、試料加工装置200では、試料加工装置100と同様に、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によりイオンビームIBの光軸に対する試料2の傾斜角度rの範囲を変更することによって、試料2の加工幅を変更できる。
【0134】
2.3. 効果
試料加工装置200では、上述した試料加工装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0135】
2.4. 変形例
上述した第1実施形態に係る試料加工装置100の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、および第5変形例は、第2実施形態に係る試料加工装置200にも適用できる。
【0136】
3. 第3実施形態
3.1. 試料加工装置の構成
次に、第3実施形態に係る試料加工装置について、図面を参照しながら説明する。
図22は、第3実施形態に係る試料加工装置300の構成を示す図である。以下、第3実施形態に係る試料加工装置300において、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0137】
試料加工装置100では、試料ホルダー30に1つの遮蔽部材34が取り付けられていたが、試料加工装置200では、
図22に示すように、試料ホルダー30に2つの遮蔽部材(第1遮蔽部材34aおよび第2遮蔽部材34b)が取り付けられている。
【0138】
試料ホルダー30は、試料2、第1遮蔽部材34aおよび第2遮蔽部材34bをZ軸に沿って移動させるスライド機構31を有している。スライド機構31は、例えば、モーターの回転力を駆動機構に伝えることで、直線運動するアクチュエーターである。スライド機構31は、試料ホルダー制御部74によって制御される。
【0139】
3.2. 試料加工装置の動作
3.2.1. 試料ホルダーの動作
図23および
図24は、試料ホルダー30に試料2をセットした状態を模式的に示す図
である。なお、
図23は、
図3に対応し、
図24は、
図4に対応している。
【0140】
図23および
図24では、試料2の第1面3aが上(+Z方向)、試料2の第2面3bが下(-Z方向)を向くように試料2が配置されている。試料2は、第1面3aが第1軸A1上に位置するように配置されている。第1遮蔽部材34aは、第1面3a上に配置され、第2遮蔽部材34bは、第2面3b上に配置されている。
【0141】
試料加工装置300では、試料ホルダー30を回転させることによって、試料2の第1面3a側からイオンビームIBを照射する状態と、試料2の第2面3b側からイオンビームIBを照射する状態と、を切り替え可能である。
【0142】
【0143】
試料ホルダー30を180°回転させることによって、試料2の第1面3aが下、試料2の第2面3bが上を向くように試料2を配置できる。また、スライド機構31で試料2を試料2の厚さ分だけ-Z方向に移動させることによって、試料2の第2面3b上に第1軸A1が位置するように試料2を配置できる。
【0144】
この結果、
図25および
図26に示すように、試料2の第2面3bが上、試料2の第1面3aが下を向くように配置される。さらに、試料2の第2面3bが、第1軸A1上に配置される。
【0145】
3.2.2. 試料加工方法
(1)第1面の加工
まず、
図23および
図24に示すように、試料ホルダー30に試料2、第1遮蔽部材34a、および第2遮蔽部材34bをセットする。このとき、試料ホルダー30の第1軸A1上に試料2の第1面3aが位置するように試料2をセットする。
【0146】
次に、試料ホルダー30を試料ステージ40に取り付ける。試料ホルダー30の取り付けは、試料ステージ引出機構12を開いた状態で行う。次に、位置合わせカメラ60を用いて試料2の位置、第1遮蔽部材34aの位置、および第2遮蔽部材34bの位置を調整する。
【0147】
次に、上記の式(1)を用いて、所望の加工幅に応じた軸間距離Dを計算する。そして、スライド機構50を用いて、軸間距離Dが計算された値となるように試料ホルダー30の位置を調整する。
【0148】
次に、加工を開始する。具体的には、まず、試料ステージ引出機構12を閉じて真空チャンバー10内を真空排気して、真空チャンバー10内を真空状態にする。そして、試料ホルダー30の揺動動作および試料ステージ40の揺動動作によって試料2を動かしながら、第1遮蔽部材34aを介して試料2にイオンビームIBを照射する。
【0149】
以上の工程により、試料2を第1面3a側から断面加工できる。
【0150】
(2)第2面の加工
次に、試料ホルダー30を180°回転させる。これにより、
図25および
図26に示すように、試料2の第1面3aが下、試料2の第2面3bが上を向くように試料2を配置できる。次に、スライド機構31で試料2を試料2の厚さ分だけ-Z方向に移動させて、
第1軸A1上に第2面3bを配置する。この試料2の回転およびスライドは、真空チャンバー10を閉じた状態で行うことができる。
【0151】
次に、加工を開始する。具体的には、試料ホルダー30の揺動動作および試料ステージ40の揺動動作によって試料2を動かしながら、第2遮蔽部材34bを介して試料2にイオンビームIBを照射する。
【0152】
以上の工程により、試料2を第2面3b側から断面加工できる。
【0153】
なお、上記では、試料加工方法として、軸間距離Dを変更することによって試料2の加工幅を変更する場合(「1.2.2. 第1動作例」参照)を適用した例について説明したが、試料加工方法として、試料2の傾斜角度の範囲を変更することによって試料2の加工幅を変更する場合(「1.2.3. 第2動作例」参照)を適用してもよい。
【0154】
3.3. 効果
試料加工装置300では、試料ホルダー30を回転させることによって、試料2の第1面3a側からイオンビームIBを照射する状態と、試料2の第2面3b側からイオンビームIBを照射する状態と、を切り替え可能である。そのため、試料加工装置300では、試料2を第1面3a側、および第2面3b側の両方から加工することができる。したがって、加工断面の傾斜が低減された試料2を効率よく作製できる。さらに、加工時間を低減できる。
【0155】
図27は、試料2を第1面3a側からのみ加工したときの試料断面を模式的に示す図である。
【0156】
試料2の加工レートは、イオン源20から離れるほど低下する。これは、イオンビームIBの電流密度が、イオン源20から離れるほど低下するためである。そのため、試料2を第1面3a側のみから加工した場合、第1面3a側から第2面3b側に向かうに従って加工レートが低下する。そのため、
図27に示すように、断面4が傾斜してしまう。
【0157】
これに対して、試料2の第1面3a側および第2面3b側の両方から加工を行うことによって、断面4の傾斜を低減できる。さらに、イオンビームIBの電流密度が高い状態で加工を行うことができるため、加工時間を短縮できる。
【0158】
試料加工装置300では、上述した試料加工装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0159】
3.4. 変形例
次に、第3実施形態に係る試料加工装置の変形例について説明する。以下では、上述した試料加工装置300の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0160】
3.4.1. 第1変形例
上述した実施形態では、スライド機構31で試料2を試料2の厚さ分だけ-Z方向に移動させて、第1軸A1上に第2面3bを配置する場合について説明したが、これに限定されない。
【0161】
【0162】
図28および
図29に示すように、試料2の厚さ方向の中心、すなわち、第1面3aと第2面3bとの距離が等しい位置に、第1軸A1が位置するように、試料2を配置してもよい。これにより、試料2の第1面3a側からの加工と、試料2の第2面3b側からの加工を、同じ条件で行うことができる。
【0163】
3.4.2. 第2変形例
上述した実施形態では、試料ホルダー30を180°回転させることによって、試料2を第1面3a側および第2面3b側の両方から加工したが、試料ステージ40を180°回転させることによって、試料2を第1面3a側および第2面3b側の両方から加工してもよい。
【0164】
3.4.3. 第3変形例
上述した第1実施形態に係る試料加工装置100の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、および第5変形例は、第3実施形態に係る試料加工装置300にも適用できる。
【0165】
4. 第4実施形態
4.1. 試料加工装置の構成
次に、第4実施形態に係る試料加工装置について、図面を参照しながら説明する。
図30は、第4実施形態に係る試料加工装置400の構成を示す図である。以下、第4実施形態に係る試料加工装置400において、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0166】
上述した試料加工装置100では、試料2の断面加工を行ったが、試料加工装置400では、試料2の平面加工を行うことができる。
【0167】
試料加工装置400は、イオンビームIBの光軸に対して試料2の表面5を傾斜させて配置するための傾斜機構52を含む。
【0168】
傾斜機構52は、試料ホルダー30および試料ホルダー回転機構32を傾斜させる。傾斜機構52で試料ホルダー30を傾斜させることによって、試料2を傾斜させることができる。試料2は、例えば、表面5に対するイオンビームIBの入射角度が、5°以下となるように、試料ホルダー30に配置される。なお、試料加工装置400は、遮蔽部材を有していない。
【0169】
4.2. 試料加工装置の動作
図31および
図32は、試料ホルダー30に試料2をセットした状態を模式的に示す図である。なお、
図31は、
図3に対応し、
図32は、
図4に対応している。
【0170】
図31に示すように、試料ホルダー30は、イオンビームIBの光軸に対して傾斜して配置されている。これにより、試料2をイオンビームIBの光軸に対して傾斜して配置することができる。試料2の表面5に対するイオンビームIBの入射角度は、例えば、5°以下である。このように、試料2をイオンビームIBの光軸に対して傾斜して配置することによって、試料2の表面5に対して斜めからイオンビームIBを照射できる。この結果、試料2の平面加工を行うことができる。図示の例では、第1軸A1が試料2の中心に位置するように試料2が配置されている。試料ホルダー30が傾斜して配置されることによって、第1軸A1は、Y軸に対して傾斜している。
【0171】
【0172】
図33~
図35に示すように、試料加工装置400では、加工時には、試料ホルダー制御部74が試料ホルダー回転機構32を動作させて試料ホルダー30を回転動作させ、かつ、試料ステージ制御部76が試料ステージ回転機構42を動作させて試料ステージ40を揺動動作させる。
【0173】
試料ホルダー30は、第1軸A1を回転軸として、一方向に回転する。図示の例では、試料ホルダー30は、時計回りに回転している。試料ホルダー30が回転動作することによって、加工面の加工筋を低減できる。
【0174】
試料ステージ40は、第2軸A2を回転軸として揺動動作する。試料ステージ40は、例えば、±30°の範囲で揺動する。試料ステージ40が揺動動作することによって、試料2の加工範囲を広げることができる。
【0175】
試料加工装置400では、試料加工装置100と同様に、試料ホルダー30の第1軸A1と試料ステージ40の第2軸A2との間の軸間距離Dを変更することによって、試料2の加工範囲を変更できる。
【0176】
また、試料加工装置400では、試料加工装置100と同様に、試料ホルダー30の回転動作および試料ステージ40の回転動作によりイオンビームIBの光軸に対する試料2の傾斜角度rの範囲を変更することによって、試料2の加工範囲を変更できる。なお、試料加工装置400では、試料ホルダー30の回転動作では、試料2の傾斜角度rは変化しないため、試料ステージ40の揺動動作によって、試料2の傾斜角度rを変化させる。
【0177】
試料加工装置400では、試料ステージ40の傾斜角度θ2の範囲が大きくなるほど、傾斜角度rが大きくなり、試料2の加工範囲を大きくできる。
【0178】
4.3. 効果
試料加工装置400は、イオンビームIBの光軸に対して試料2の表面5を傾斜させて配置するための傾斜機構52を含む。そのため、試料加工装置400では、試料2に対して平面加工を行うことができる。
【0179】
さらに、試料加工装置400では、上述した試料加工装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0180】
4.4. 変形例
次に、第4実施形態に係る試料加工装置の変形例について説明する。以下では、上述した試料加工装置400の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0181】
4.4.1. 第1変形例
試料加工装置400では、試料ホルダー30に遮蔽部材34が着脱可能となっていてもよい。また、傾斜機構52は、
図1に示す試料2の第1面3aとイオンビームIBの光軸とがなす角度が90°の第1状態と、
図30に示す試料2の表面5とイオンビームIBの光軸とがなす角度が5°以下の第2状態と、を切り替え可能であってもよい。これにより、試料加工装置400では、試料2の断面加工と試料2の平面加工の両方を行うことができる。
【0182】
4.4.2. 第2変形例
図36は、第2変形例に係る試料加工装置において、試料ホルダー30に試料2をセッ
トした状態を模式的に示す図である。なお、
図36は、
図31に対応している。
【0183】
図31に示す例では、傾斜機構52が試料ホルダー30を傾斜させることによって、試料2を傾斜させていたが、
図36に示すように、傾斜機構が試料ステージ40を傾斜させることによって、試料2を傾斜させてもよい。
【0184】
4.4.3. 第3変形例
上述した第1実施形態に係る試料加工装置100の第4変形例および第5変形例は、第4実施形態に係る試料加工装置400にも適用できる。
【0185】
5. 第5実施形態
5.1. 試料加工装置の構成
次に、第5実施形態に係る試料加工装置について、図面を参照しながら説明する。
図37は、第5実施形態に係る試料加工装置500の構成を示す図である。以下、第5実施形態に係る試料加工装置500において、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0186】
試料加工装置500は、試料ステージ40をZ軸に沿って移動させる移動機構90を含む。また、処理部70は、移動機構90を制御する移動機構制御部79を含む。
【0187】
移動機構90は、試料ステージ引出機構12に配置されている。試料ステージ40は、移動機構90に取り付けられている。移動機構90は、例えば、モーターの回転力を駆動機構に伝えることで、直線運動するアクチュエーターである。移動機構90で試料ステージ40をZ軸に沿って移動させることによって、試料ホルダー30および試料2をZ軸に沿って移動させることができる。
【0188】
移動機構制御部79は、加工観察カメラ62から試料2の加工画像を取得し、当該加工画像に基づいて加工領域の深さ方向の先端の位置情報を取得する。移動機構制御部79は、当該位置情報に基づいて移動機構90に試料ステージ40を移動させる。これにより、イオン源20と加工領域の先端の位置との間の距離を一定にできる。この結果、加工レートを低下させることなく、一定の加工レートで試料2を加工できる。
【0189】
5.2. 試料加工装置の動作
試料加工装置500では、上述した試料加工装置100と同様に、試料2の加工が行われる。すなわち、試料加工装置500では、試料ホルダー30の揺動動作および試料ステージ40の揺動動作によって試料2を動かしながら、試料2にイオンビームIBを照射する。
【0190】
図38は、加工観察カメラ62で取得された加工画像I2を模式的に示す図である。
図38には、加工開始からの経過時間が異なる3つの加工画像I2を図示している。
【0191】
図38に示すように、加工開始時には、加工画像I2の視野の中心に試料2の第1面3aが位置している。加工が進むと加工領域7が拡がり、加工領域7の深さ方向の先端7aの位置が下に(-Z方向に)移動する。
【0192】
移動機構制御部79は、加工画像I2を取得し、加工画像I2から加工領域7の先端7aの位置を特定する。次に、移動機構制御部79は、イオン源20と先端7aとの間の距離が一定となる試料2の位置を計算し、試料2の移動量を計算する。移動機構制御部79は、計算された移動量だけ試料2が移動するように移動機構90を動作させる。移動機構制御部79は、加工中に、これらの処理を繰り返し行い、イオン源20と先端7aとの間
の距離が一定となるように移動機構90を制御する。
【0193】
5.3. 効果
試料加工装置500は、試料2の加工領域7を観察するための加工観察カメラ62と、試料2を移動させる移動機構90と、加工観察カメラ62で取得された加工画像I2に基づいて、移動機構90を制御する移動機構制御部79と、を含む。そのため、試料加工装置500では、イオン源20と先端7aとの間の距離の変化を低減できる。したがって、試料加工装置500では、加工が進むに従って加工レートが低下することを防ぐことができる。
【0194】
5.4. 変形例
次に、第5実施形態に係る試料加工装置の変形例について説明する。以下では、上述した試料加工装置500の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0195】
5.4.1. 第1変形例
上述した実施形態では、移動機構制御部79は、加工画像I2に基づいて移動機構90を制御したが、移動機構制御部79は、加工を開始してからの経過時間の情報を取得し、当該経過時間に基づいて移動機構90を制御してもよい。例えば、移動機構制御部79は、試料2の加工レートの情報を取得し、当該加工レートの情報に基づいて単位時間あたりの試料2の移動量を決定してもよい。これにより、イオン源20と先端7aとの間の距離の変化を低減できる。加工レートの情報は、ユーザーが入力部80を介して入力してもよいし、あらかじめ記憶部84に記憶されていてもよい。
【0196】
5.4.2. 第2変形例
上述した第1実施形態に係る試料加工装置100の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、および第5変形例は、第5実施形態に係る試料加工装置500にも適用できる。
【0197】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0198】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0199】
2…試料、3a…第1面、3b…第2面、4…断面、5…表面、7…加工領域、7a…先端、10…真空チャンバー、12…試料ステージ引出機構、14…排気装置、16…排気制御部、20…イオン源、22…イオン源制御回路、30…試料ホルダー、31…スライド機構、32…試料ホルダー回転機構、34…遮蔽部材、34a…第1遮蔽部材、34b…第2遮蔽部材、36…試料ホルダー制御回路、40…試料ステージ、42…試料ステージ回転機構、44…試料ステージ制御回路、50…スライド機構、52…傾斜機構、60…位置合わせカメラ、62…加工観察カメラ、64…観察窓、70…処理部、72…イオン源制御部、74…試料ホルダー制御部、76…試料ステージ制御部、78…演算部、79…移動機構制御部、80…入力部、82…表示部、84…記憶部、90…移動機構、1
00…試料加工装置、102…入力エリア、104…入力エリア、106…入力エリア、108…結果表示エリア、200…試料加工装置、202…入力エリア、204…入力エリア、206…結果表示エリア、300…試料加工装置、302…入力エリア、304…入力エリア、306…入力エリア、308…結果表示エリア、400…試料加工装置、500…試料加工装置