(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】導入遺伝子の効率的な標的指向化のための構成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/29 20060101AFI20230713BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/82 20060101ALI20230713BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230713BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20230713BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20230713BHJP
A01H 6/46 20180101ALI20230713BHJP
A01H 6/54 20180101ALI20230713BHJP
A01H 6/60 20180101ALI20230713BHJP
【FI】
C12N15/29
C12N15/53 ZNA
C12N15/82 122Z
C12N15/82 154Z
C12N5/10
A01H5/10
A01H5/00 A
A01H6/46
A01H6/54
A01H6/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168223
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2018551894の分割
【原出願日】2016-12-19
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2015-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン・エム・エリス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・イー・ゴリー
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン・ティ・ラルー
(72)【発明者】
【氏名】シェリー・エル・ルクレール
(72)【発明者】
【氏名】チュンガン・チー
(72)【発明者】
【氏名】アイホア・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ワイ・タイ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-519913(JP,A)
【文献】国際公開第2015/022636(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/105890(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0037355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00
A01H
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)またはプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)をコードするDNA配列に機能可能に繋げられた葉緑体輸送ペプチド(CTP)をコードするDNA配列を含む、組換えDNA分子であって、前記CTPが、配列番号3の配列を含む、前記組換えDNA分子。
【請求項2】
前記CTPをコードする前記DNA配列が、配列番号13又は14の配列を含む、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項3】
前記DMOまたはPPOが、配列番号18~27及び40~59からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項4】
DMOまたはPPOをコードする前記DNA配列が、配列番号28~37及び61~102からなる群から選択される配列を含む、請求項3に記載の組換えDNA分子。
【請求項5】
前記CTPが、DMOタンパク質に機能可能に繋げられており、前記CTPが、配列番号3の配列を含む、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項6】
前記CTPが、PPOタンパク質に機能可能に繋げられており、前記CTPが、配列番号3の配列を含む、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項7】
植物細胞内で機能する異種プロモーターに機能可能に繋げられた請求項1に記載のDNA分子を含むDNA構築物。
【請求項8】
請求項1に記載のDNA分子を含んでいる、遺伝子導入植物、植物細胞、植物部分また
は種子。
【請求項9】
前記植物が単子葉植物である、請求項8に記載の遺伝子導入植物、植物細胞、植物部分または種子。
【請求項10】
前記植物がトウモロコシ植物またはコムギ植物である、請求項9に記載の遺伝子導入植物、植物細胞、植物部分または種子。
【請求項11】
前記植物が双子葉植物である、請求項8に記載の遺伝子導入植物、植物細胞、植物部分または種子。
【請求項12】
前記植物がダイズ植物、ワタ植物またはBrassica植物である、請求項11に記載の遺伝子導入植物、植物細胞、植物部分または種子。
【請求項13】
除草剤耐性植物を生産する方法であって、
a)植物細胞を請求項7に記載のDNA構築物で形質転換するステップと、
b)前記DNA構築物を含んでいる形質転換植物細胞から植物を再生するステップと
を含む、前記方法。
【請求項14】
再生された植物が、ジカンバ及びPPO阻害剤からなる群から選択される除草剤に対して耐性である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
除草剤耐性植物を生産する方法であって、
a)請求項1に記載のDNA分子を含んでいる親植物をそれ自体または第2植物と交配して1つ以上の子孫植物を生産するステップと、
b)前記DNA分子を含んでいる子孫植物を選抜するステップと
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記子孫植物が、ジカンバ及びPPO阻害剤からなる群から選択される除草剤に対して耐性である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記子孫植物が、S-3100、ホメサフェン、アシフルオルフェン、ラクトフェン、
フルミオキサジン、スルフェントラゾン及びサフルフェナシルからなる群から選択されるPPO阻害剤除草剤に対して耐性である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載のDNA分子を植物細胞内に導入することを含む、ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)またはプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)を発現させる方法。
【請求項19】
導入することが、前記植物細胞を形質転換することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
作物栽培環境における雑草生長を抑制する方法であって、
a)請求項8に記載の植物または種子を作物栽培環境に植付けるステップと、
b)雑草生育を抑制するのに有効な量のジカンバまたはPPO阻害剤除草剤を前記作物栽培環境に散布するステップと
を含む、前記方法。
【請求項21】
前記除草剤が前記植物または種子を害さない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記植物または種子が単子葉の植物または種子である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記植物がトウモロコシ植物またはコムギ植物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記植物または種子が双子葉の植物または種子である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記植物がダイズ植物、ワタ植物またはBrassica植物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記除草剤がジカンバである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記除草剤がPPO阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/270,180
号及び2016年7月20日に出願された米国仮特許出願第62/364,715号の利
益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、総じて、農業、植物バイオテクノロジー及び分子生物学の分野に関する。よ
り具体的には、本発明は、除草剤に対する耐性または抵抗性を呈する遺伝子導入植物を生
産するための構成物及び方法に関する。
【0003】
配列表の組込み
コンピュータ可読形式の配列表は、本願と共に電子出願され、その全体が参照により本
願に援用される。配列表は、MONS389WO_ST25.txtと名付けられたファ
イルの中に入っており、それは、(オペレーティングシステムMS Windowsの測
定で)大きさが122キロバイトであり、2016年12月19日に作成されたものであ
る。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
新規遺伝子導入植物の生産は、有益な形質、例えば強化された雑草抑制方策を可能にす
るための向上した除草剤耐性を呈する、大幅に改善された作物植物の潜在性を提案する。
しかしながら、作物において有益な形質を生じさせるのに有用なタンパク質が知られてい
るものの、遺伝子導入植物細胞におけるこれらの組換えタンパク質の効果的な細胞内局在
化(標的指向化として知られる)及びプロセシングは大きな障壁であり続けている。それ
ゆえ、組換えタンパク質を効果的に植物細胞内で局在させることができる新規な輸送ペプ
チドが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)またはプロトポルフィリノ
ーゲンオキシダーゼ(PPO)をコードするDNA配列に機能可能に繋げられた葉緑体輸
送ペプチド(CTP)をコードするDNA配列を含む組換えDNA分子であって、CTP
が、配列番号1~3からなる群から選択される配列を含む、組換えDNA分子に関する。
特定の実施形態では、CTPをコードするDNA配列は、配列番号7~14からなる群か
ら選択される配列を含む。さらなる実施形態では、DMOまたはPPOは、配列番号18
~27及び40~59からなる群から選択されるポリペプチドを含む。一実施形態におい
て、DMOまたはPPOをコードするDNA配列は、配列番号28~37及び61~10
2からなる群から選択される配列を含む。具体的な実施形態において、DMOまたはPP
Oは、植物細胞において発現された場合に除草剤耐性を付与することができる除草剤耐性
タンパク質として定義される。特定の実施形態では、除草剤耐性タンパク質がDMOタン
パク質でありかつCTPが配列番号1~3からなる群から選択される配列を含むか、また
は除草剤耐性タンパク質がPPOでありかつCTPが配列番号1及び2からなる群から選
択される配列を含む。
【0006】
別の態様において、本発明は、植物細胞で機能する異種プロモーターに機能可能に繋げ
られた本明細書に記載の組換えDNA分子を含むDNA構築物を提供する。
【0007】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の組換えDNA分子で形質転換された遺伝
子導入植物、植物細胞、植物部分または種子を提供する。具体的な実施形態において、植
物は単子葉植物である。本発明に関して使用され得る単子葉植物としては、限定されない
が例えば、トウモロコシ植物またはコムギ植物が挙げられる。別の実施形態では、植物は
双子葉植物である。本発明に関して使用され得る双子葉植物としては、限定されないが例
えば、ダイズ植物、ワタ植物またはBrassica植物が挙げられる。
【0008】
さらに別の態様では、非生物の植物材料中に存在する本発明の組換えDNA分子を提供
する。一例を挙げると、植物細胞が本発明の組換えDNA分子を含有するならばその植物
細胞は本発明の範囲内にある。一実施形態において、そのような植物細胞は、再生可能植
物細胞であってもよいし、植物へと再生されることができない非再生可能植物細胞であっ
てもよい。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、検出可能な量の本発明の組換えDNA分子を含む
生産品(それによって生産された産物を含む)を生産する方法を提供する。特定の実施形
態では、本発明によって提供される生産品は、生育能力のない種子またはその部分、脱水
植物組織、凍結植物組織、加工植物組織、粗挽き粉、粉末、フレーク、ブラン及び繊維を
含む。生産品は、生育能力があってもなくてもよい。生育能力のない生産品としては、限
定されないが例えば、生育能力のない種子及び穀物;加工された種子、種子部分及び植物
部分;脱水植物組織、凍結植物組織及び加工植物組織が挙げられる。本発明の生産品は、
検出可能な量の本明細書に記載の組換えDNA分子を含有する。本発明の組換えDNA分
子を検出する方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、除草剤耐性植物を生産する方法であって、a)本発
明のDNA構築物で植物細胞を形質転換するステップと、b)DNA構築物を含む形質転
換植物細胞から植物を再生するステップとを含む、当該方法を提供する。方法の一実施形
態において、再生された植物は、ジカンバ及びPPO阻害剤からなる群から選択される除
草剤に対して耐性である。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、除草剤耐性植物を生産する方法であって、a)本
発明の組換えDNA分子を含む親植物とそれ自体または第2植物とを交配して1つ以上の
子孫植物を生産するステップと、b)上記DNA分子を含んでいる子孫植物を選抜するス
テップとを含む、当該方法を提供する。方法の一実施形態において、子孫植物は、ジカン
バ及びPPO阻害剤からなる群から選択される除草剤に対して耐性である。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、植物細胞においてPPOまたはDMOを発現させ
る方法であって、本発明の組換えDNA分子を植物細胞に導入することを含む、当該方法
を提供する。本発明の一実施形態において、組換えDNA分子を導入することは、植物細
胞を形質転換することを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、作物栽培環境における雑草生育を抑制する方法であって
、a)本発明の植物または種子を作物栽培環境に植付けるステップと、b)雑草生育を抑
制するのに有効な量のジカンバまたはPPO阻害剤除草剤を作物栽培環境に散布するステ
ップとを含む、当該方法を提供する。具体的な実施形態において、除草剤散布は、発芽前
または発芽後に行う。一実施形態において、除草剤の量は、植物または種子を害さない量
である。方法の特定の実施形態では、植物または種子は、単子葉の植物または種子、例え
ば、トウモロコシまたはコムギの植物または種子である。他の実施形態では、植物または
種子は、双子葉の植物または種子、例えば、ダイズ植物、ワタ植物またはBrassic
a植物である。さらなる実施形態において、除草剤はジカンバまたはPPO阻害剤である
。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】V2及びその後のV4及びその後のV8において施す0.036ポンド活性成分/エーカーのS-3100の除草剤散布処理の後での、APG6(配列番号1)または12G088600TP(配列番号38)に機能可能に繋げられたH_N10(配列番号43)を発現している遺伝子導入F1トウモロコシ植物である。
【0015】
配列の簡単な説明
配列番号1は、Arabidopsis thalianaアルビノ薄緑(APG6)
CTPのアミノ酸配列である。
【0016】
配列番号2は、配列番号1のAPG6 CTPのアミノ末端最適化変異型のアミノ酸配
列である。
【0017】
配列番号3は、Arabidopsis thaliana90kDa熱ショックタン
パク質(CR88)CTPのアミノ酸配列である。
【0018】
配列番号4は、Ph.ShkG-CTP4 CTPのアミノ酸配列である。
【0019】
配列番号5は、Ps.RbcS-3C CTPのアミノ酸配列である。
【0020】
配列番号6は、Os.Waxy CTPのアミノ酸配列である。
【0021】
配列番号7~11は、単子葉発現または双子葉発現のために最適化された、配列番号1
のAPG6 CTPをコードする核酸配列である。
【0022】
配列番号12は、配列番号2のAPG6 CTPをコードする核酸配列である。
【0023】
配列番号13及び14は、それぞれ双子葉発現及び単子葉発現のために最適化された、
At.CR88 CTPをコードする核酸配列である。
【0024】
配列番号15~17は、それぞれ配列番号4~6をコードする核酸配列である。
【0025】
配列番号18~27は、ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)変異型をコードするア
ミノ酸配列である。
【0026】
配列番号28~37は、それぞれ配列番号18~27のDMO変異型をコードする核酸
配列である。
【0027】
配列番号38は、双子葉発現のために最適化されたワタ12G088600TP葉緑体
輸送ペプチドのアミノ酸配列である。
【0028】
配列番号39は、配列番号38をコードする核酸配列である。
【0029】
配列番号40は、H_N90のアミノ酸配列である。
【0030】
配列番号41は、H_N20のアミノ酸配列である。
【0031】
配列番号42は、H_N60のアミノ酸配列である。
【0032】
配列番号43は、H_N10のアミノ酸配列である。
【0033】
配列番号44は、H_N30のアミノ酸配列である。
【0034】
配列番号45は、H_N40のアミノ酸配列である。
【0035】
配列番号46は、H_N50のアミノ酸配列である。
【0036】
配列番号47は、H_N70のアミノ酸配列である。
【0037】
配列番号48は、H_N100のアミノ酸配列である。
【0038】
配列番号49は、H_N110のアミノ酸配列である。
【0039】
配列番号50~56は、それぞれ配列番号40、41、43、44、45、46及び4
8に対応する、開始メチオニンを欠くアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号57~58は、配列番号50のアミノ酸変異型である。
【0041】
配列番号59は、配列番号56のアミノ酸変異型である。
【0042】
配列番号60は、Amaranthus tuberculatus(waterhe
mp)由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(WH_PPO)のアミノ酸配列で
ある。
【0043】
配列番号61~70は、E.coli発現のためにコドン最適化された、それぞれ配列
番号40~49をコードするヌクレオチド配列である。
【0044】
配列番号71~80は、双子葉発現のためにコドン最適化された、それぞれ配列番号4
0~49をコードするヌクレオチド配列である。
【0045】
配列番号81~87は、双子葉発現のためにコドン最適化された、それぞれ配列番号5
0~56をコードするヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号88及び91は、それぞれ配列番号50及び51のヌクレオチド変異型である
。
【0047】
配列番号89、90及び92は、それぞれ配列番号57~59をコードするヌクレオチ
ド配列である。
【0048】
配列番号93~102は、単子葉発現のためにコドン最適化された、それぞれ配列番号
40~49をコードするヌクレオチド配列である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
除草剤耐性タンパク質を細胞内で局在させるための葉緑体輸送ペプチド(CTP)は当
該技術分野において既知であるが、CTPと除草剤耐性タンパク質とのいかなる組み合わ
せについても、細胞内局在化及びプロセシングの効果的な度合いを予測することは困難で
ある。局在化及びプロセシングは、除草剤耐性タンパク質の発現レベル及び機能を決定付
け、したがって当該タンパク質を含む遺伝子導入細胞、植物または種子の除草剤耐性表現
型に影響を与える。遺伝子導入植物において、ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)及
びプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)を含めた有用な除草剤耐性タンパク
質を使用して様々なCTPが試験されてきた。しかしながら、タンパク質の不十分または
不完全なプロセシング及び局在化がみられることが多い。
【0050】
本発明は、改善された葉緑体局在性及びプロセシングをもたらすことのできる新規な組
換えDNA分子、ならびにこれらを使用するための構成物及び方法を提供することによっ
てこれらの障壁を打開する。本発明の組換えDNA分子は、DMOまたはPPOに機能可
能に繋げられたCTPをコードするDNA配列を含む。本発明の組換えDNA分子は、D
MOまたはPPOの葉緑体局在化及び、組換えDNA分子を含む植物のジカンバまたはP
PO除草剤に対する向上した耐性をもたらす。
【0051】
特定の実施形態では、本発明は、除草剤耐性タンパク質をコードするDNA配列に機能
可能に繋げられた、配列番号1~3からなる群から選択される配列を含むCTPをコード
するDNA配列を含む、組換えDNA分子を提供する。いくつかの実施形態では、本発明
は、DMOタンパク質、例えば配列番号18~27からなる群から選択される配列を有す
るDMOタンパク質をコードするDNA配列に機能的に繋げられた、配列番号1~3から
なる群から選択される配列を有するCTPなどのCTPをコードするDNA配列を含む、
組換えDNA分子を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、PPOタンパク質
、例えば配列番号40~60からなる群から選択される配列を有するPPOタンパク質を
コードするDNA配列に機能的に繋げられた、配列番号1~3からなる群から選択される
配列を有するCTPなどのCTPをコードするDNA配列を含む、組換えDNA分子を提
供する。
【0052】
組換えDNA分子
本明細書中で使用する場合、「組換え」という用語は、遺伝子操作の成果である、した
がって自然界では通常見つからないものである、人間の介入によって作り出された非天然
のDNA、ポリペプチド、タンパク質、細胞、種子または植物を指す。「組換えDNA分
子」は、天然に生じない、人間の介入の結果であるDNA配列を含むDNA分子、例えば
、互いに異種である少なくとも2つのDNA分子の組み合わせを含むDNA分子である。
組換えDNA分子の一例は、配列番号18~27からなる群から選択される配列を含むD
MOタンパク質をコードするDNA配列に機能可能に繋げられた、配列番号1~3からな
る群から選択される配列を含むCTPをコードするDNA分子である。DMOタンパク質
の例を以下の表1に示す。
表1.ジカンバモノオキシゲナーゼ(DMO)
【表1】
【0053】
組換えDNA分子の別の例は、配列番号40~60からなる群から選択される配列を含
むPPOタンパク質をコードするDNA配列に機能可能に繋げられた、配列番号1~3か
らなる群から選択される配列を含むCTPをコードするDNA分子である。組換え細胞、
種子または植物は、遺伝子導入DNAを含む細胞、種子または植物、例えば、本発明の組
換えDNA分子を含む遺伝子導入細胞、種子、植物または植物部分である。PPOタンパ
ク質の例を以下の表2に示す。
表2.プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)
【表2】
【0054】
本発明に従って使用され得るCTP配列の例を以下の表3に示す。
表3.葉緑体輸送ペプチド(CTP)
【表3】
【0055】
本明細書中で使用する場合、「単離DNA分子」という用語は、DNA分子がその天然
環境にあるのではなく、単独で、または他の構成物と組み合わさって存在している、とい
うことを意味する。例えば、タンパク質コード配列及び異種CTP配列を含む組換えDN
A分子は、遺伝子導入植物、細胞または種子のゲノムに存在している場合に単離DNA分
子である、というのも、その組換えDNA分子の構成要素はその天然環境(つまり各構成
要素が初めて観察された生物のゲノム中)に存在していないからである。遺伝子導入植物
ゲノムに存在している組換えDNA分子は、組換えDNA分子がその植物ゲノムにおいて
天然には見つからず、それゆえその天然環境から単離される限り、単離DNA分子である
。
【0056】
本明細書中で使用する場合、「遺伝子操作」という用語は、人間の介入による、天然に
通常見つからないDNA、タンパク質または生物の創作を指す。遺伝子操作は、生物工学
、例えば、分子生物学、タンパク質生化学、細菌形質転換及び植物形質転換の技法のうち
の1つ以上を用いて着想され実験室で作出されたDNA、ポリペプチド、タンパク質、細
胞、種子または植物を生産するために用いることができる。例えば、配列番号18~27
からなる群から選択される配列を含むDMOタンパク質に機能可能に繋げられた配列番号
1~3からなる群から選択される配列を含むCTPをコードするDNA分子を含み、場合
によって植物細胞で機能する異種プロモーターをさらに含み得る、キメラ遺伝子を作出す
るために遺伝子操作を用いることができる。別の例を挙げると、配列番号40~60から
なる群から選択される配列を含むPPOタンパク質に機能可能に繋げられた配列番号1~
3からなる群から選択される配列を含むCTPをコードするDNA分子を含み、場合によ
って植物細胞で機能する異種プロモーターをさらに含み得る、キメラ遺伝子を作出するた
めに遺伝子操作を用いることができる。そのようなキメラ遺伝子は、分子生物学の技法の
うちの1つ以上、例えば、遺伝子クローニング、DNAライゲーション及びDNA合成を
用いて作られ得る。
【0057】
「導入遺伝子」という用語は、人間の介入の結果として、例えば植物形質転換方法によ
って生物のゲノム内に人工的に組み込まれたDNA分子を指す。本明細書中で使用する場
合、「遺伝子導入」という用語は、導入遺伝子を含むことを意味し、例えば、「遺伝子導
入植物」は、そのゲノム中に導入遺伝子を含む植物を指し、「遺伝子導入形質」は、植物
ゲノムの中に組み込まれた導入遺伝子の存在によって移されるかまたは与えられる特徴ま
たは表現型を指す。そのようなゲノム改変の結果として、遺伝子導入植物は、関連する野
生型植物とは明らかに異なるものであり、遺伝子導入形質は、野生型植物に天然に見受け
られない形質である。本発明の遺伝子導入植物は、本発明によって提供される組換えDN
A分子を含む。
【0058】
本明細書中で使用する場合、「異種」という用語は、異なる供給源に由来しておりそれ
ゆえに通常は性質の関連がない2つ以上の物質同士の関係を指す。例えば、DMOタンパ
ク質は、機能可能に繋がれているCTPに関して、そのような組み合わせが天然に通常見
受けられないならば、異種である。別の例を挙げると、DMOタンパク質に機能可能に繋
げられたCTPをコードする組換えDNA分子は、機能可能に繋げられ植物細胞で機能す
るプロモーターに関して、そのような組み合わせが天然に通常見受けられないならば、異
種である。特定の組換えDNA分子は、それが挿入される細胞、種子または生物に関して
も、その特定の細胞、種子または生物においてそれが天然に存在しない場合に、異種であ
り得る。
【0059】
本明細書中で使用する場合、「タンパク質コードDNA分子」または「ポリペプチドコ
ードDNA分子」という用語は、タンパク質またはポリペプチド、例えば、除草剤耐性ま
たは害虫抑制力を付与するためのタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列
を含むDNA分子を指す。「タンパク質コード配列」または「ポリペプチドコード配列」
は、タンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列を意味する。「配列」は、ヌ
クレオチドまたはアミノ酸の連続的な並びを意味する。タンパク質コード配列またはポリ
ペプチドコード配列の境界は、普通は5’末端にある翻訳開始コドンと3’末端にある翻
訳停止コドンとによって決定される。タンパク質コード分子またはポリペプチドコード分
子は、タンパク質またはポリペプチド配列をコードするDNA配列を含み得る。本明細書
中で使用する場合、「導入遺伝子発現」、「導入遺伝子の発現」、「タンパク質発現」、
「ポリペプチド発現」、「タンパク質の発現」及び「ポリペプチドの発現」は、DNA分
子をメッセンジャーRNA(mRNA)に転写してmRNAを最終的にタンパク質へと折
りたたまれ得るポリペプチド鎖に翻訳するプロセスによる、タンパク質またはポリペプチ
ドの産生を意味する。タンパク質コードDNA分子またはポリペプチドコードDNA分子
は、組換えDNA分子で形質転換された細胞でタンパク質またはポリペプチドを発現させ
るのに用いられるDNA構築物において、異種プロモーターに機能可能に繋げられ得る。
本明細書中で使用する場合、「機能可能に繋げられ」とは、2つのDNA分子が、一方が
他方の機能に影響を与え得るように繋げられていることを意味する。機能可能に繋げられ
たDNA分子は、単一の連続分子の部分であり得、また、隣り合っていてもいなくてもよ
い。例えば、DNA構築物において、プロモーターと、タンパク質コードDNA分子また
はポリペプチドコードDNA分子とは、導入遺伝子の発現にプロモーターが影響を与え得
るように2つのDNA分子が配置されている場合に、機能可能に繋がっている。
【0060】
本発明の組換えDNA分子は、CTP配列に機能可能に繋げられたDMOをコードする
DNA配列を含む。本明細書中で使用する場合、「ジカンバモノオキシゲナーゼ」すなわ
ち「DMO」は、ジカンバ(3,6-ジクロロ-o-アニス酸)の3,6-ジクロロサリ
チル酸(3,6-DCSA)への分解を酵素的に触媒することができるオキシゲナーゼ、
例えば、Stenotrophomonas maltophilia由来のデメチラー
ゼ(dmo)遺伝子によってコードされるジカンバモノオキシゲナーゼを意味する。ジカ
ンバモノオキシゲナーゼは当該技術分野において既知であり、配列番号18~27として
提供され表1において識別されるタンパク質配列を含む。
【0061】
本発明の組換えDNA分子は、CTP配列に機能可能に繋げられたPPOをコードする
DNA配列を含む。本明細書中で使用する場合、「プロトポルフィリノーゲンオキシダー
ゼ」すなわち「PPO」は、プロトポルフィリノーゲンIXをプロトポルフィリンIXへ
と酵素的に変換することができるオキシダーゼを意味する。プロトポルフィリノーゲンオ
キシダーゼは当該技術分野において既知であり、配列番号40~60として提供され表2
において識別されるタンパク質配列を含む。
【0062】
本発明の組換えDNA分子は、本発明によって提供されるタンパク質コードDNA分子
に機能可能に繋げられたCTP配列をコードするDNA配列を含み、それによってCTP
は組換えタンパク質分子の細胞内での局在化を促進する。CTPは当該技術分野において
シグナル配列、標的指向性配列、標的指向性ペプチド及び局在化配列としても知られる。
葉緑体は当該技術分野において色素体としても知られる。タンパク質の細胞内での局在化
を促進することによってCTPは、最適な酵素活性のためにタンパク質の葉緑体への局在
化を保証し、また、組換えタンパク質の蓄積を増大させ得、タンパク質をタンパク質分解
から保護し得る。葉緑体内への移動に際してCTPは、典型的にはタンパク質から開裂す
る(プロセシングとも呼ばれる)。CTPプロセシングは、(CTPがタンパク質のアミ
ノ末端から完全に開裂するという意味で)完全である場合も、(CTPの1つ以上のアミ
ノ酸がタンパク質のアミノ末端に残留するという意味で)不完全である場合も、タンパク
質のアミノ末端からの1つ以上のアミノ酸の除去をもたらす場合もある。DMOタンパク
質からのCTPの完全なプロセシングは、タンパク質蓄積のレベルを向上させ、それによ
ってジカンバ耐性を高め、除草剤散布後の遺伝子導入細胞、種子または生物の損傷のレベ
ルを低減する。CTPは配列番号1~6及び38として提供され、表3において識別され
る。各CTPをコードする、双子葉類及び単子葉類における発現のために最適化されたD
NA配列は、配列番号7~17及び39として提供される。
【0063】
本開示の組換えDNA分子は、DNA操作に有用な配列(例えば、制限酵素認識部位ま
たは組換えに基づくクローニング部位)、植物に好適な配列(例えば、植物コドン用配列
またはコザック共通配列)、またはDNA構築物設計に有用な配列(例えばスペーサー配
列またはリンカー配列)をもたらすことが望ましい場合には特に、当該技術分野において
既知の方法によって完全あるいは部分的に合成及び改変され得る。本開示の組換えDNA
分子は、本明細書において提供されるDNA配列と同じアミノ酸配列をコードする変性D
NA配列を含む。変性DNA配列は、当該技術分野において既知の方法及びDNAコドン
表を用いて作ることができる。本発明は、本明細書において提供されるいずれかの組換え
DNA分子またはポリペプチドの配列に対して少なくとも85%の配列同一性、少なくと
も90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性
、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、及び少なくとも99
%の配列同一性を有する、組換えDNA分子及びタンパク質を含む。例えば、本発明の組
換えDNA分子は、配列番号7~14からなる群から選択される配列に対して、または配
列番号28~37及び61~102からなる群から選択される配列に対して、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、
少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、DNA配
列を含み得る。本発明の組換えDNA分子は、配列番号1~3からなる群から選択される
配列に対して、または配列番号18~27及び40~59からなる群から選択される配列
に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%
、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一
性を有する、タンパク質配列をコードし得る。
【0064】
本明細書中で使用する場合、「配列同一性パーセント」または「配列同一性%」という
用語は、2つの配列を最適に(比較窓において合計で基準配列の20パーセント未満であ
る、ヌクレオチドまたはアミノ酸の適切な挿入、欠失またはギャップを伴って)整列させ
る場合に試験(「対象」)配列(またはその相補鎖)と比較して基準(「クエリー」)配
列(またはその相補鎖)の直鎖状のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列において同
一である、ヌクレオチドまたはアミノ酸の百分率を指す。比較窓を整列させるための配列
の最適なアラインメントは当該技術分野においてよく知られており、Smith及びWa
termanの局所相同性アルゴリズム、Needleman及びWunschの相同性
アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似性検索法などのツ
ールによって、ならびにデフォルトパラメータを有してGCG(登録商標)Wiscon
sin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,San Dieg
o,CA)、MEGAlign(DNAStar Inc.,1228 S.Park
St.,Madison,WI 53715)及びMUSCLE(バージョン3.6)(
Edgar,Nucleic Acids Research 32(5):1792-
7,2004)などの配列解析ソフトウェアパッケージの一部として利用可能なGAP、
BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピュー
タ化された実行によって、行われ得る。試験配列及び基準配列の整列セグメントについて
の「同一性率」は、整列させた2つの配列によって共有されている同一構成要素の数を、
基準配列セグメントの構成要素の全数、すなわち基準配列全体または基準配列のより小さ
い画定部分で除したものである。配列同一性パーセントは、同一性率に100を掛けたも
のとして表される。1つ以上の配列の比較は、完全長配列またはその一部に対するもので
あってもよいし、より長い配列に対するものであってもよい。
【0065】
本明細書中で使用する場合、「DNA構築物」は、2つ以上の異種DNA配列を含む組
換えDNA分子である。DNA構築物は、導入遺伝子発現に有用であり、ベクター及びプ
ラスミドの中に含まれることができる。DNA構築物は、遺伝子導入植物及び細胞の生産
のために形質転換、つまり宿主細胞内への異種DNAの導入を目的としてベクターにおい
て使用されることができ、それゆえに遺伝子導入植物、種子、細胞または植物部分の色素
体DNAまたはゲノムDNAの中に含まれることができる。本明細書中で使用する場合、
「ベクター」は、植物形質転換を目的として使用され得る任意の組換えDNA分子を意味
する。配列表に明記されている組換えDNA分子は、例えば、植物において組換えDNA
分子によってコードされるタンパク質の発現に影響を与える機能をする遺伝子発現エレメ
ントに機能可能に繋げられた組換えDNA分子を有する構築物の一部として、ベクター内
に挿入されることができる。DNA構築物及びベクターを構築する方法は当該技術分野に
おいて既知である。DNA構築物の構成要素、またはDNA構築物を含んでいるベクター
は、通常、転写されることができるDNA配列に機能可能に繋げられた、1つ以上の遺伝
子発現エレメント、例えば以下のもの:機能可能に繋がっているDNAを発現させるため
のプロモーター、機能可能に繋がっているタンパク質コードDNA分子、及び3’非翻訳
領域を含む。本発明の実施に有用な遺伝子発現エレメントは、限定されないが、以下のタ
イプのエレメントのうちの1つ以上を含む:プロモーター、5’非翻訳領域、エンハンサ
ー、リーダー、シスエレメント、イントロン、3’非翻訳領域、及び選択可能な1つ以上
のマーカー導入遺伝子。
【0066】
本発明のDNA構築物は、本発明によって提供されるタンパク質コードDNA分子に機
能可能に繋げられたプロモーターを含み得、それによってプロモーターは組換えタンパク
質分子の発現を推進する。本発明の実施に有用なプロモーターは、機能可能に繋げられた
ポリヌクレオチドの発現のために細胞で機能するもの、例えば細菌プロモーターまたは植
物プロモーターを含む。植物プロモーターは様々であり、当該技術分野においてよく知ら
れており、誘導性のもの、ウイルス性のもの、合成のもの、常時発現型のもの、時間的に
調節されるもの、空間的に調節されるもの及び/または、空間的かつ時間的に調節される
ものを含む。
【0067】
本明細書中で使用する場合、「陰性対照」及び「陽性対照」は、比較目的のために設計
された実験対照を意味する。例えば、遺伝子導入植物の分析において、陰性対照または陽
性対照は、実験植物(つまり、試験される植物)と同じ種類ではあるが実験植物の遺伝子
導入挿入物、組換えDNA分子またはDNA構築物を含有していない、植物であり得る。
遺伝子導入トウモロコシ植物との比較に有用な植物の一例は、非遺伝子導入型LH244
トウモロコシ(米国特許第6,252,148号)または非遺伝子導入型01DKD2ト
ウモロコシ(米国特許第7,166,779号)であり、遺伝子導入ダイズ植物との比較
に有用な植物の一例は、非遺伝子導入型A3555ダイズ(米国特許第7,700,84
6号)または非遺伝子導入型A3244ダイズ(米国特許第5,659,114号、PV
P9600246)であり、遺伝子導入型のキャノーラまたはBrassica nap
us植物との比較に有用な植物の一例は、非遺伝子導入型Brassica napus
品種65037稔性回復系統であり、遺伝子導入コムギ植物との比較に有用な植物の一例
は、非遺伝子導入型コムギ品種Samson生殖細胞質(PVP1994)であり、遺伝
子導入ワタ植物との比較に有用な植物の一例は、非遺伝子導入型DP393(米国特許第
6,930,228号 PVP200400266)である。
【0068】
遺伝子導入植物
本発明の一態様は、本発明によって提供される組換えDNA分子を含んでいる遺伝子導
入植物細胞、遺伝子導入植物組織、遺伝子導入植物及び遺伝子導入種子を含む。組換えD
NA分子を含むこれらの細胞、組織、植物及び種子は、除草剤に対する耐性を呈する。
【0069】
遺伝子導入DNA(「導入遺伝子」として知られる)を植物のゲノムに挿入することは
、植物形質転換の行為によって成し遂げられ得、「事象」として知られる新しい遺伝子導
入ゲノム分子配列の作出をもたらす。各事象は固有のものであり、事象のDNA配列はそ
の事象に特異なものである。本発明に関して使用するための宿主植物細胞の形質転換に適
した方法は、実質的には、DNAを細胞の中に導入することができる任意の方法(例えば
、組換えDNA構築物を安定的に植物染色体中に組み入れるもの)を含み、当該技術分野
においてよく知られている。植物の中に組換えDNA構築物を導入する典型的方法に入れ
る、組換えDNA構築物としては、例えば、Agrobacterium形質転換系及び
DNA粒子衝突が挙げられ、それらは両方とも当業者によく知られている。植物の中に組
換えDNA構築物を導入する別の典型的方法は、部位特異的組込みの方法による植物ゲノ
ムの所定部位での組換えDNA構築物の挿入である。部位特異的組込みは、当該技術分野
において知られている任意の方法、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、人工または
天然のメガヌクレアーゼ、TALEエンドヌクレアーゼまたはRNA誘導エンドヌクレア
ーゼ(例えばCRISPR/Cas9系)の使用によって成し遂げられ得る。その後、植
物細胞培養の方法によって形質転換植物細胞から遺伝子導入植物を再生することができる
。導入遺伝子に関してホモ接合型である遺伝子導入植物(つまり、導入遺伝子の2つの対
立遺伝子コピー)は、導入遺伝子の単一対立遺伝子を含有する遺伝子導入植物と、それ自
体、例えばR0植物との自家受粉(自殖)によって得ることができ、R1種子を産生する
。産生されたR1種子の4分の1が導入遺伝子に関してホモ接合体となる。R1種子を発
芽させることによって栽培した植物は、典型的にはSNPアッセイ、DNA配列決定また
は、接合性アッセイと呼ばれヘテロ接合体とホモ接合体との区別を可能にする熱増幅アッ
セイを用いて、接合性に関して試験することができる。
【0070】
本発明によって提供される植物、種子、植物部分、植物組織及び細胞は、ジカンバに対
する除草剤耐性を呈し得る。ジカンバは、雑草生育を防止することを含めた雑草抑制のた
めの方法として本発明によって提供される植物及び種子を含んでいる植物栽培領域に散布
され得る。本発明によって提供される植物及び種子は、除草剤耐性形質を含んでおり、そ
れゆえにジカンバの散布に対して耐性である。除草剤散布は、推奨商用量(1X)または
その何分の一かもしくは数倍、例えば推奨商用量の2倍(2X)であってもよい。ジカン
バ散布量は、1ポンド1エーカーあたりの酸当量(ポンド酸当量/エーカー)または1グ
ラム1ヘクタールあたりの酸当量(g酸当量/ヘクタール)として表され得る。植物栽培
領域は、除草剤散布の時点で雑草植物を含んでいてもいなくてもよい。雑草を抑制するた
めの領域で使用するためのジカンバの除草剤として有効な用量は、生育期にわたって表示
量(複数可)の約0.1X~約30Xの範囲からなるべきである。ジカンバの1X表示量
は0.5ポンド酸当量/エーカーである。除草剤量は、英国式とメートル法との間で、(
ポンド活性成分/エーカー)×1.12=(kg活性成分/ヘクタール)、及び(kg活
性成分/ヘクタール)×0.89=(ポンド活性成分/エーカー)と換算することができ
る。
【0071】
植物、種子、植物部分、植物組織及び細胞は、1つ以上のPPO阻害剤(PPO除草剤
と呼ばれる)に対する耐性を呈し得る。雑草生育を防止することを含めた雑草抑制のため
の方法として本発明によって提供される植物及び種子を含んでいる植物栽培領域に1つ以
上のPPO除草剤を散布してもよい。本発明によって提供される植物及び種子は、除草剤
耐性形質を含んでおり、それゆえに1つ以上のPPO除草剤の散布に対して耐性である。
除草剤散布は、推奨商用量(1X)またはその何分の一かもしくは数倍、例えば推奨商用
量の2倍(2X)であってもよい。植物栽培領域は、除草剤散布の時点で雑草植物を含ん
でいてもいなくてもよい。雑草を抑制するための領域で使用するためのPPO除草剤の除
草剤として有効な用量は、生育期にわたって表示量(複数可)の約0.1倍~約30倍の
範囲からなるべきである。PPO除草剤は当該技術分野においてよく知られており、市販
されている。PPO除草剤の例としては、限定されないが例えば、ジフェニルエーテル(
例えば、アシフルオルフェン、その塩及びエステル、アクロニフェン、ビフェノックス、
その塩及びエステル、エトキシフェン、その塩及びエステル、フルオロニトロフェン、フ
リルオキシフェン、ハロサフェン、クロメトキシフェン、フルオログリコフェン、その塩
及びエステル、ラクトフェン、その塩及びエステル、オキシフルオルフェン、ならびにホ
メサフェン、その塩及びエステル);チアジアゾール(例えばフルチアセットメチル及び
チジアジミン);ピリミジンジオンまたはフェニルウラシル(例えば、ベンズフェンジゾ
ン、ブタフェナシル、エチル[3-2-クロロ-4-フルオロ-5-(1-メチル-6-
トリフルオロメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-3
-イル)フェノキシ]-2-ピリジルオキシ]アセテート(CAS登録番号は35329
2-31-6であり、本明細書中ではS-3100と呼ばれる)、フルプロパシル、サフ
ルフェナシル及びチアフェナシル);フェニルピラゾール(例えば、フルアゾレート、ピ
ラフルフェン及びピラフルフェンエチル);オキサジアゾール(例えばオキサジアルギル
及びオキサジアゾン);トリアゾリノン(例えば、アザフェニジン、ベンカルバゾン、カ
ルフェントラゾン、その塩及びエステル、ならびにスルフェントラゾン);オキサゾリジ
ンジオン(例えばペントキサゾン);N-フェニルフタルイミド(例えば、シニドンエチ
ル、フルミクロラック、フルミクロラックペンチル及びフルミオキサジン);ベンゾオキ
サジノン誘導体(例えば、1,5-ジメチル-6-チオキソ-3-(2,2,7-トリフ
ルオロ-3,4-ジヒドロ-3-オキソ-4-プロパ-2-イニル-2H-1,4-ベン
ゾオキサジン-6-イル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオン);フルフェン
ピル及びフルフェンピルエチル;ピラクロニル;ならびにプロフルアゾールが挙げられる
。
【0072】
除草剤散布は、いくつかの除草剤のうちの1つ、2つもしくは組み合わせまたはその他
の任意の適合する除草剤を連続的に、またはタンクで混合したものであってもよい。幅広
い種類の双子葉雑草、単子葉雑草またはその両方を抑制するための本発明の遺伝子導入植
物を含んでいる領域に対して、合剤または単独での、1つの除草剤または2つ以上の除草
剤の多数回散布、例えば、2回散布(例えば、植付け前散布と発芽後散布、または、発芽
前散布と発芽後散布)または3回散布(例えば、植付け前散布と発芽前散布と発芽後散布
、または、発芽前散布と2回の発芽後散布)を栽培期間にわたって用いてもよい。
【0073】
本明細書中で使用する場合、「耐性」または「除草剤耐性」は、除草剤の散布されたと
きの毒性作用に耐える植物、種子または細胞の能力を意味する。植物、種子、植物組織、
植物部分または細胞の除草剤耐性は、植物、種子、植物組織、植物部分または細胞を適切
な実験対照と比較することによって測られ得る。例えば、除草剤耐性は、除草剤耐性を付
与することができるタンパク質をコードする組換えDNA分子を含む植物(試験植物)と
、除草剤耐性を付与することができるタンパク質をコードする組換えDNA分子を含んで
いない同じ種の植物(陰性対照植物)とに除草剤を散布すること、及びその後に2つの植
物の植物損傷を比較することによって測るかまたは評価してもよく、試験植物の除草剤耐
性は、陰性対照植物の損傷率と比較したときの損傷率の低下によって指し示される。除草
剤耐性植物、種子、植物組織、植物部分または細胞は、陰性対照植物、種子、植物組織、
植物部分または細胞と比較して、除草剤の毒性作用に対する減少した応答を呈する。本明
細書中で使用する場合、「除草剤耐性形質」は、陰性対照植物と比較して向上した除草剤
耐性を植物に付与する、遺伝子導入形質である。
【0074】
本発明の遺伝子導入植物、子孫、種子、植物細胞及び植物部分はさらに、1つ以上の追
加遺伝子導入形質を含んでいてもよい。追加遺伝子導入形質は、本発明によって提供され
る組換えDNA分子を含んでいる導入遺伝子を含有する植物と、追加遺伝子導入形質(複
数可)を含有する別の植物とを交配することによって導入され得る。本明細書中で使用す
る場合、「交配」は、2つの別個の植物の育種を行って子孫植物を生産することを意味す
る。2つの遺伝子導入植物はこのように交配されて遺伝子導入形質を含んだ子孫を産生し
得る。本明細書中で使用する場合、「子孫」は、親植物の任意の世代の子を意味し、遺伝
子導入子孫は、少なくとも一方の親植物から受け継いだ本発明によって提供されるDNA
構築物を含む。あるいは、追加遺伝子導入形質(複数可)のためのDNA構築物と、本発
明によって提供される組換えDNA分子を含むDNA構築物とを(例えば全てのDNA構
築物が植物形質転換用の同じベクターの部分として存在している状態で)共形質転換する
ことによって、または、本発明によって提供されるDNA構築物を含む遺伝子導入植物に
追加形質(複数可)を(例えば、遺伝子導入植物または植物細胞に対していずれかの植物
形質転換方法を用いることにより)挿入することもしくはその逆によって、その追加遺伝
子導入形質(複数可)を導入してもよい。そのような追加遺伝子導入形質としては、限定
されないが例えば、向上した害虫抵抗性、向上した水使用効率、向上した収穫高性能、向
上した耐乾燥性、向上した種子品質、向上した栄養質、雑種種子産生、及び除草剤耐性が
挙げられ、その形質は野生型植物に関して測られる。そのような追加遺伝子導入形質は、
当業者に既知であり、例えば、そのような形質の一覧は米国農務省(USDA)の動植物
検疫局(APHIS)によって提供されている。
【0075】
本発明によって提供される、遺伝子導入形質を含んでいる遺伝子導入植物及び子孫は、
当該技術分野において一般的に知られているいかなる育種方法で使用してもよい。2つ以
上の遺伝子導入形質を含んでいる植物系統では、遺伝子導入形質は、無関係に別個のもの
であってもよいし、関連を有していてもよいし、両者が、3つ以上の遺伝子導入形質を含
んでいる植物系統において組み合わさっていてもよい。栄養繁殖と同様に、親植物に対す
る戻し交配、及び非遺伝子導入型植物との異系交配も企図される。様々な形質及び作物の
ために通常用いられる育種方法に関する解説書は当業者によく知られている。特定の植物
または種子における導入遺伝子(複数可)の存在を確認するために様々なアッセイを行っ
てよい。そのようなアッセイとしては、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロ
ッティング、PCRならびにDNA配列決定などの、分子生物学アッセイ、タンパク質産
物の存在を例えば免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)によるかまたは酵
素機能によって検出することなどの、生化学的アッセイ、葉または根のアッセイなどの、
植物部分アッセイ、さらには、植物体全体の表現型の分析によるアッセイが挙げられる。
特定の遺伝子導入植物または種子におけるCTPプロセシングを分析するには、遺伝子導
入細胞、植物または種子から得られた組換えDMOまたはPPOタンパク質に対するエド
マン分解配列決定または質量分析などのアッセイを行ってその結果生じる配列データをそ
れぞれDMOまたはPPOタンパク質の配列と比較してもよい。
【0076】
植物遺伝子型への遺伝子導入形質の遺伝子移入は、戻し交配転換のプロセスの結果とし
て達成される。遺伝子導入形質が遺伝子移入されている植物遺伝子型は、戻し交配転換さ
れた遺伝子型、系統、近交系または雑種と呼ばれることがある。同様に、所望の遺伝子導
入形質を欠く植物遺伝子型は、転換されていない遺伝子型、系統、近交系または雑種と呼
ばれることがある。
【0077】
本明細書中で使用する場合、「含む」という用語は、「限定されないが、含む」という
ことを意味する。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の実施形態を実証するために含まれている。当業者であれば、
本開示に鑑みて、提供されている具体的実施形態に多くの変更を加えることができ、依然
として本発明の範囲及び概念範囲から逸脱せず類似または同様の結果を得ることができる
、ということを理解するはずである。より具体的には、同じまたは同様の結果を得ながら
、本明細書に記載の薬剤の代わりに化学的または生理学的に関連する特定薬剤が使用され
得ることは明らかであろう。当業者にとって明らかなそのような同様の置き換え及び改変
は全て、本発明の範囲及び概念に含まれているとみなされる。
【0079】
実施例1:CTP-DMOの発現及びダイズプロトプラストにおける局在化
ダイズプロトプラストアッセイを用いて、DMO配列(配列番号27)に機能可能に繋
げられた5つのうち1つのCTPを含んでいる組換えタンパク質の相対的な葉緑体指向効
率を評価した。組換えタンパク質のサイトゾル及び葉緑体での分布を監視するために、組
換えのCTPとDMOとの組み合わせ(本明細書においてCTP-DMOと呼ぶ)をコー
ドするカセットに緑色蛍光タンパク質コード配列を、緑色蛍光タンパク質がDMOのカル
ボキシ末端と融合するように追加した。
【0080】
プロトプラストは、マメ子葉(生殖細胞質A3244)から作製した。未熟なダイズ種
子鞘を採取し、滅菌技法を用いて種子(長さ4~6mm)を取り出した。各種子からの子
葉を手作業で取り出し、横に1mmの薄片に切り、0.7Mのマンニトールを含むCPW
緩衝液(pH5.8)中で24~26℃で1時間、40RPMで振盪しながら暗所でイン
キュベートした。その後、緩衝液を除去して酵素緩衝液(4%のセルラーゼ「オノズカ」
R-10、2%のヘミセルラーゼ、0.3%のマセロザイムR-10、CPW緩衝液中(
pH5.8、0.49Mのマンニトールを含む))で置き換えた。子葉組織を回転式振盪
器上で50rpmで2時間24~26℃でインキュベートした。このインキュベーション
の最後に、プレートを手作業で回し、懸濁液を60umのナイロン製メッシュの二重層で
50mL円錐管内へと濾過することにより、ダイズプロトプラストが子葉組織から遊離し
た。プロトプラストを再懸濁及び遠心分離によって穏やかに1回洗浄した。最終ペレット
を緩衝液(4mMのMES(pH5.7)、150mMのNaCl、5mMのCaCl2
、0.5Mのマンニトール)中に再懸濁させ、氷上で1時間休めた。その後、プロトプラ
ストを遠心分離し、ペレットを形質転換用緩衝液(0.4Mのマンニトール、15mMの
MgCl2、4mMのMES(pH5.7))中に再懸濁させた。体積を調節して1×1
0,000,000プロトプラスト/mlにした。形質転換は、各構築物に対して12.
5μgのDNAを混合することによって成し遂げられた。DNAを穏やかに1.5×1,
000,000プロトプラストと混ぜ、次いで等しい体積のPEG緩衝液を添加した。こ
れを5分間インキュベートし、その後、300μlのW5緩衝液(154mMのNaCl
、125mMのCaCl
2、5mMのKCl、2mMのMES(pH5.7))で徐々に
希釈した。これを5~10分インキュベートし、その後、900μlのW5緩衝液を徐々
に添加した。プロトプラストをペレットにし、WI緩衝液(0.5Mのマンニトール、4
mMのMES(pH5.7)、20mMのKCl)中に再懸濁させ、24~26℃で暗所
にてインキュベートした。クリプトン-アルゴンイオン(458、488nm)レーザー
、緑色(543nm)ヘリウム-ネオンレーザーならびにFITC及びTexas re
dフィルターセットを装備したZeiss LSM510 METAレーザー走査型顕微
鏡(Carl Zeiss MicroImaging,Inc.,Thornwood
,NY)を使用して顕微鏡分析を行った。画像の取得及び解析は、ZEN2012 v.
8.1(Carl Zeiss MicroImaging,Inc.,Thornwo
od,NY)及び40Xの水浸1.2開口数対物レンズを使用して行った。使用した励起
波長は、488nm(GFP)及び543nm(葉緑体自家蛍光)であり、出射フィルタ
ーは500~530nm(GFP)及び630~700nm(葉緑体自家蛍光)であった
。各構築物につき少なくとも50個の個々の細胞を構築物の局在性について採点した:サ
イトゾル、色素体、またはサイトゾルと色素体との両方。結果は、分析した細胞の全数の
うちサイトゾルまたは色素体(またはそれらの両方)に局在しているタンパク質を有する
細胞の百分率として記録し、表4に示す。
表4.ダイズプロトプラスト指向性アッセイ
【表4】
【0081】
分析した5つのCTP-DMOの組み合わせのうちAPG6 CTP(配列番号1)の
みが、色素体のみへのタンパク質の局在化を示す100%の細胞をもたらした。At.C
R88 CTP(配列番号3)は、色素体のみへのタンパク質の局在化を示す94%の細
胞ならびに、サイトゾル及び色素体へのタンパク質の局在化を示す6%の細胞をもたらし
た。「A」CTPは、色素体のみへのタンパク質の局在化を示す79%の細胞ならびに、
サイトゾル及び色素体への局在化を示す21%の細胞をもたらした。「B」CTPは、色
素体のみへのタンパク質の局在化を示す9%の細胞ならびに、サイトゾル及び色素体への
局在化を示す91%の細胞をもたらした。「C」CTPは、色素体のみへのタンパク質の
局在化を示す18%の細胞ならびに、サイトゾル及び色素体への局在化を示す82%の細
胞をもたらした。CTPなしでは、タンパク質はサイトゾル中にのみ存在した。これらの
結果は、APG6 CTPが100%の効率でCTP-DMOを色素体に対して標的指向
化したこと、及びAt.CR88 CTPが94%の効率でCTP-DMOを色素体に対
して標的指向化したことを指し示している。
【0082】
実施例2:遺伝子導入コムギにおけるCTP-DMOプロセシング
DMOに機能可能に繋げられた別個の4つのうち1つのCTPをコードする組換えDN
A分子を含むDNA構築物で形質転換された遺伝子導入コムギ植物を使用して、タンパク
質発現の評価及びCTPプロセシングの判定を行った。
【0083】
遺伝子導入コムギ植物は、プロモーターに機能可能に繋げられたDMOタンパク質に機
能可能に繋げられた異なる4つのうち1つのCTPを含有するDNA構築物を各々が含ん
でいる4つの異なる植物形質転換用ベクターを使用して生産した。Agrobacter
ium tumefaciensを使用し、当業者に知られている方法を用いて、Sam
son生殖細胞質(PVP1994)のコムギ由来の前培養した未熟胚を形質転換し、遺
伝子導入小植物体を生産した。各々の固有の事象のゲノム中の導入遺伝子コピー数を確認
する分子分析のために葉の試料を採取し、導入遺伝子のコピーを1つ有するR0植物を自
殖してR1種子を採集した。
【0084】
種子(50g)を粉砕し、次いでそれを250mlの抽出用緩衝液(1xTBE(89
mMのトリス-ホウ酸、2mMのEDTA、pH8.4)、200mMのNaCl、10
%のグリセリン、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、5mM
のベンズアミジン、2mMのジチオスレイトール(DTT)、cOmplete(商標)
プロテアーゼ阻害剤(Roche Diagnostics Corporation,
Indianopolis,IN))に添加し、Polytron(登録商標)(VWR
,Radnor,PA)で約20秒間均質化し、次いで4℃で1~2時間、振盪しながら
インキュベートした。混合物を4℃で25分間9,000rpmで遠心分離し、上清を1
0%及び55%の飽和硫酸アンモニウム(AS)で順次沈殿させ、各沈殿ステップにおい
て18,000rpmで20分間遠心分離をした。10%AS沈殿からのペレットは廃棄
した。
【0085】
10~55%画分からのペレットを30mlのPBS(0.1Mのリン酸ナトリウム、
0.15MのNaCl)中に1錠のcOmplete(商標)プロテアーゼ阻害剤と共に
溶かした。溶解したペレットを遠心分離し、上清を0.22umの膜で濾過した。DMO
に対するヤギポリクローナル抗体血清をPierce(商標)プロテインA/Gアガロー
ス樹脂(ThermoFisher Scientific,Grand Island
,NY)の1:1懸濁液と混合し、1.5時間後に、抗DMO Abで負荷されたプロテ
インA/Gアガロース樹脂をPBSで3回洗浄し、約30mlの10~55%AS濾過済
み画分に添加した。インキュベート後に樹脂を遠心沈降させ、PBSで3回洗浄し、その
後、1mlのPBS中に再懸濁させ、微量遠心分離管へ移して再びペレット化した。
【0086】
最終ペレットを2XのLaemmli緩衝液中に再懸濁させ、5分間煮沸し、トリス-
グリシン緩衝液中10%のSDS-PAGEゲルに185V(一定)で試料を流した。4
℃及び100Vで30分間、CAPSトランスファー緩衝液を使用してSDS-PAGE
ゲル中のタンパク質をPVDF膜へ移した。PVDF膜に結合したタンパク質をクーマシ
ーブルーで約30秒間染色し、10~55%AS画分中の各DMOタンパク質に対応する
バンドをPVDFブロットから切り出してアミノ末端タンパク質配列解析に使用した。ア
ミノ末端タンパク質配列決定は自動化エドマン分解化学によって行い、各解析は自動化エ
ドマン分解化学を用いて15サイクル実施した。140C微小勾配ポンプ及びPerki
n Elmer Series200 UV/可視検出器を備えたApplied Bi
osystems 494 Procise(登録商標)配列決定システムをProci
se Control(バージョン2.1)ソフトウェア(ThermoFisher
Scientific,Grand Island,NY)で制御して解析に使用した。
SequencePro(登録商標)(バージョン2.1)タンパク質配列解析ソフトフ
ェアを使用してクロマトグラフィーデータを収集した。各タンパク質について予測タンパ
ク質の予測配列と一致する少なくとも8つのアミノ酸が認められた場合に同一性を成立さ
せた。アミノ末端配列決定の結果を表5に示す。
表5.組換えタンパク質のアミノ末端配列決定
【表5】
【0087】
DMO、DMO+1、DMO+10及びDMO+12という名称は、プロセシング後に
CTPのそれぞれ0、1、10または12個のアミノ酸がDMOのアミノ末端に残留して
いることがタンパク質配列決定によって示されたことを指し示すために使用した。DMO
-1という名称は、プロセシング後にDMOの最初のメチオニンが除去されたことを指し
示すために使用した。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられたAPG6 CTP
(配列番号1)について2つの固有の事象を試験した。両試料とも、プロセシング後にD
MOのアミノ末端に残留しているCTPの1つのアミノ酸を示した(DMO+1)。DM
O(配列番号18)に機能可能に繋げられたAt.CR88 CTP(配列番号3)につ
いて3つの固有の事象を試験した。3つの試料は全て、プロセシング後にDMOのアミノ
末端に残留しているCTPの0個または1つのアミノ酸を示した(DMO及びDMO+1
)。DMO(配列番号19)に機能可能に繋げられたCTP4(配列番号4)から試験し
た事象は、プロセシング後にDMOのアミノ末端に残留しているCTPの12個のアミノ
酸を示した(DMO+12)。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられたOs.W
axy CTP(配列番号6)について2つの固有の事象を試験した。1つの試料は、プ
ロセシング後にDMOのアミノ末端に残留しているCTPの10個のアミノ酸を示し(D
MO+10)、1つは、プロセシング後にDMOの最初のメチオニンが除去されたことを
示した(DMO-1)。これらの結果は、遺伝子導入植物において発現した場合にAPG
6 CTP及びAt.CR88 CTPがDMOから効率的にプロセシングされることを
指し示している。
【0088】
実施例3:遺伝子導入Brassica napusにおけるCTP-DMO発現
DMOに機能可能に繋げられた別個の3つのうち1つのCTPをコードする組換えDN
A分子を含むDNA構築物の、ジカンバ耐性をもたらす能力を、遺伝子導入Brassi
ca napus植物で評価した。
【0089】
遺伝子導入Brassica napus植物は、プロモーターに機能可能に繋げられ
たDMOに機能可能に繋げられた異なる3つのうち1つのCTPを含有するDNA構築物
を各々が含んでいる3つの異なる植物形質転換用ベクターを使用して生産した。Bras
sica napus品種65037稔性回復系統をAgrobacterium媒介形
質転換のために使用し、R0植物を温室で栽培した。固有の事象を導入遺伝子のコピー数
に関して選別した。導入遺伝子のコピーを1つ有するR0植物を自殖してR1種子を採取
した。
【0090】
ベクター鎖による1コピーの導入遺伝子、または2コピーの導入遺伝子を有するR0植
物を使用してジカンバ耐性を評価した。ジカンバ耐性は、温室条件下で20%以下のジカ
ンバ損傷として示される。植木鉢に入ったR0事象を3つの群に分け、ジカンバ(Cla
rity(登録商標))を3つの量:(1)ジカンバなし、(2)1ポンド酸当量/エー
カーのジカンバ(2X量)、または(3)2ポンド酸当量/エーカーのジカンバ(4X量
)のうちの1つで散布した。遺伝子導入植物に噴霧し、21日後に損傷評価を記録した。
DMO(配列番号21)に機能可能に繋げられた「A」CTPを含有する植物は、ジカン
バに耐性である事象を示さなかった。DMO(配列番号21)に機能可能に繋げられたR
bcS CTP(配列番号5)を含有する植物は、2X量のジカンバ対する耐性を有する
、9個のうち8個の事象及び、4X量のジカンバに対する耐性を有する、7個のうち7個
の事象を示した。DMO(配列番号20)に機能可能に繋げられたAPG6 CTP(配
列番号1)を含有する植物は、2X量のジカンバ対する耐性を有する、14個のうち7個
の事象及び、4X量のジカンバに対する耐性を有する、18個のうち6個の事象を示した
。結果を表6に示す。
表6.R0のBrassica napusにおけるジカンバ耐性
【表6】
【0091】
1コピーの導入遺伝子を有するR0植物においてジカンバ耐性を評価した。温室内で植
物にジカンバ(Clarity)を1ポンド酸当量/エーカー(2X量)で噴霧し、ジカ
ンバ耐性を14~21日後に判定した。DMO(配列番号20)に機能可能に繋げられた
APG6 CTPを含有する植物は、ジカンバに対する耐性を有する、31個のうち13
個の事象を示した。DMO(配列番号21)に機能可能に繋げられたRbcS CTPを
含有する植物は、ジカンバに対する耐性を有する、17個のうち13個の事象を示した。
DMO(配列番号21)に機能可能に繋げられた「A」CTPを含有する植物は、ジカン
バに対する耐性を有する、18個のうち7個の事象を示した。結果を表7に示す。
表7.R0のBrassica napusにおけるジカンバ耐性
【表7】
【0092】
DMO(配列番号20)に機能可能に繋げられたAPG6 CTP(APG6+DMO
)を含有する28個のR1植物の各々からの10個の種子及び、DMO(配列番号21)
に機能可能に繋げられたRbcS CTP(RbcS+DMO)を含有する17個のR1
植物の各々からの10個の種子を温室内で栽培した。植付け日に2ポンド酸当量/エーカ
ーのジカンバ(4X)、それに続いてV3段階に1ポンド酸当量/エーカーのジカンバ(
2X)、そして第1開花期(植物の90%超が抽苔したとともに約25%が少なくとも1
つの開いた花を有することとして定義される)に1ポンド酸当量/エーカーのジカンバ(
2X)を、植物に噴霧した。各噴霧から7日後に損傷評価を行い、噴霧された対照と比較
したときの損傷率として表した。APG6+DMOを含有する植物では、3回の評価期の
各々においてジカンバ損傷評価が20%以下である2つの事象からの子孫が合計9つあっ
た。RbcS+DMOを含有する植物では、3回の評価期の各々において20%未満のジ
カンバ耐性を有する植物が16個の事象をまたいで77個あった。
【0093】
R0事象から採取した葉を使用してタンパク質特性評価を行った。葉の組織を液体窒素
中ですり潰し、10%の2-メルカプトエタノールと5mMのDTTとを含有する2Xの
Laemmli緩衝液(BioRad,Hercules,CA)2回分を使用して抽出
した。試料を煮沸し、10μlを4~20%のCriterion(商標)プレキャスト
ゲル(BioRad,Hercules,CA)に装填し、250Vで45分間トリス/
グリシン/SDS緩衝液で流した。ゲル中のタンパク質を400mAで30分間、20%
のメタノールを含有するトリス/グリシン緩衝液中でPVDF膜へ移した。ポリクローナ
ルウサギ抗DMO抗血清とHRP結合抗ウサギ二次抗体とを使用してDMOタンパク質を
検出した。SuperSignal(商標)West Pico Chemilumin
escentキット(ThermoFisher Scientific,Grand
Island,NY)を使用して信号を検出した。APG6-DMOを含有する3つの事
象の各々において、完全にプロセシングされたDMOタンパク質の予測される大きさであ
る約38kDaの単一のバンドが存在していた。RbcS-DMOを含有する6つの事象
の各々において、約38kDa及び約41kDaの2つのバンドが存在していた。41k
Daのバンドは、DMO+27と一致し、RbcS-DMOを含有するダイズにおいて以
前に報告されている(米国特許第7,838,729号)。「A」CTP-DMOを含有
する全ての事象においてはDMOタンパク質の発現は非常に低く、長い間露光した後に検
出された信号は約50kDaのバンドと約39kDaのバンドであった。50kDaのバ
ンドは、プロセシングされていない「A」CTP-DMOの予測される大きさの近似であ
る。これらの結果は、APG6-DMOが、完全にプロセシングされたDMOと一致する
予測される大きさの単一のバンドを生じさせた、ということを指し示している。
【0094】
組換えタンパク質を、APG6-DMOまたはRbcS-DMOを含有するR0植物の
葉の組織から精製した。記載したエドマン分解化学を用いてアミノ末端配列解析を実施し
た。アミノ末端配列解析は、ウェスタンブロットで見受けられたDMOバンドの大きさと
一致する、RbcS-DMOを含有する植物に存在しているDMO+27及びDMO-1
のDMOアミノ末端配列の存在を裏付けた。アミノ末端配列解析は、ウェスタンブロット
で見受けられたDMOバンドの大きさと一致する、APG6-DMOを含有する植物にお
いて唯一のDMOアミノ末端配列DMO+1の存在を裏付けた。この結果は、APG6
CTPの使用が植物において機能可能に繋げられたDMOの完全なプロセシングをもたら
すことを裏付けている。
【0095】
実施例4:遺伝子導入トウモロコシにおけるCTP-DMO発現
DMOに機能可能に繋げられた別個の2つのCTPのうちの1つをコードする組換えD
NA分子を含んでいるDNA構築物の発現を、遺伝子導入トウモロコシ細胞及び植物にお
いて分析した。
【0096】
トウモロコシ葉肉プロトプラストの一過性形質転換を用いて、CTP-DMOの2つの
組み合わせの相対DMO発現を評価した。DNA構築物は、DMO(配列番号18)に機
能可能に繋げられたCTPがAPG6(配列番号1)またはCTP4(配列番号4)のど
ちらかであることを別とすれば同一であった。プロトプラストは、本質的には実施例1に
記載されているとおりに作製した。形質転換後に細胞を採取し、DMOタンパク質レベル
を酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)で決定した。CTP-DMOの各組み合わせに
ついて、4つの形質転換プロトプラスト試料からのタンパク質を、1ミリグラム(mg)
の全タンパク質あたりのナノグラム(ng)DMOとして測定した。APG6-DMOで
形質転換されたプロトプラストは、CTP4-DMOで形質転換されたプロトプラストと
比較してDMOのレベルが約4倍高かった。データを表8に示す。
【0097】
DNA構築物を使用して遺伝子導入トウモロコシ植物を生産し、R0植物を栽培した。
8つの固有の単一コピー事象に相当するR0植物から葉の試料を採集し、DMOレベルを
測定する定量的ELISAのために使用した。APG6-DMOを含有する事象において
、R0の葉の組織におけるDMO発現は、CTP4-DMOを含有する事象と比較して約
4倍高かった。データを表8に示す。
【0098】
遺伝子導入トウモロコシ植物において発現したDMOに関してアミノ末端配列決定を行
った。CTP4-DMOまたはAPG6-DMOを発現している遺伝子導入トウモロコシ
植物からタンパク質を精製し、本質的には実施例2に記載されているとおりにエドマン分
解配列決定のために準備した。アミノ末端配列解析は、CTP4-DMOを含有する植物
において存在しているDMO+6、DMO+7及びDMO+12のDMOアミノ末端配列
を裏付けた。アミノ末端配列解析は、APG6-DMOを含有する植物において存在して
いるDMO及びDMO+1のDMOアミノ末端配列を裏付けた。これらの結果は、DMO
のアミノ末端に残留しているCTPアミノ酸がより少ないことから立証されるように、C
TP4と比較してAPG6ではCTPのプロセシングがより完全であることを指し示して
いる。データを表8に示す。
表8.トウモロコシにおけるDMOタンパク質発現
【表8】
【0099】
APG6-DMOまたはCTP4-DMOのどちらかをコードする組換えDNA分子を
含有するDNA構築物を使用して、Agrobacterium媒介形質転換により、当
業者に知られている方法を用いて遺伝子導入トウモロコシを生産した。ジカンバ耐性は、
遺伝子導入F1雑種植物の圃場試験において評価した。圃場試験は、各々2回繰り返され
る、2つの場所での4つの処理を含んでいた。4つの処理は、(1)V2及びその後のV
4及びその後のV8での2ポンド酸当量/エーカー(4X)のジカンバ(Clarity
(登録商標)の散布)、(2)V2及びその後のV4及びその後のV8での4ポンド酸当
量/エーカー(8X)のジカンバの散布、(3)V2及びその後のV4及びその後のV8
での8ポンド酸当量/エーカー(16X)のジカンバの散布、ならびに(4)V2及びそ
の後のV4及びその後のV8での16ポンド酸当量/エーカー(32X)のジカンバの散
布であった。処理から十日後に作物損傷を評価してV段階ごとの作物損傷率(CIPV2
、CIPV4またはCIPV8)として測定した。期間の最後に穀粒を採取し、収穫高を
ブッシェル/エーカーとして測定した。CIPV評価と収穫高との両方について、確率5
%(p=0.05)での最小有意差(LSD)を計算した。APG6-DMOを含有する
F1雑種植物に散布した最も高いジカンバ量(16X及び32X)は、CTP4-DMO
を含有する植物と比較してより少ない生長損傷及びより高い穀粒収穫高を示した。データ
を表9に示す。
表9.F1雑種のジカンバ損傷及び収穫高についての圃場試験
【表9】
【0100】
実施例5:遺伝子導入ワタ及びダイズにおけるCTP-DMO発現
タンパク質翻訳効率(タンパク質合成)を増強しかつタンパク質蓄積を増大させるべく
APG6 CTPを最適化した。最適化されたAPG6 CTP(配列番号2)は、AP
G6 CTP(配列番号1)の位置3及び4においてスレオニン(T)からセリン(S)
へのアミノ酸変更を有する。ダイズにおいて各々DMOに機能可能に繋げられた2つのC
TPを比較するために、DNA構築物を作った。
【0101】
APG6 CTPを除けば同一である2つのDNA構築物を使用して、遺伝子導入ダイ
ズ植物を生産した。1つ目のDNA構築物は、DMO(配列番号18)に機能可能に繋げ
られたAPG6(配列番号1)を有していた。2つ目のDNA構築物は、DMO(配列番
号18)に機能可能に繋げられた最適化APG6(配列番号2)を有していた。各DNA
構築物を使用して、Agrobacterium媒介形質転換方法によってA3555ダ
イズを形質転換した。形質転換後、導入遺伝子の単一のコピーを含有するR0遺伝子導入
植物をPCRアッセイによって同定した。単一コピーR0植物を温室内で栽培し、R1種
子を採取した。2つのDNA構築物を各々使用して生産した4つの事象について1つの事
象あたり10個のR1種子と、AG3555種子とを、標準的温室栽培条件下での発芽後
ジカンバ処理に対する作物耐性の評価のために植付けた。V4段階においてジカンバ(C
larity)を1120g活性成分/ヘクタールで散布した。処理から10日後に作物
損傷評価を行った。組換えタンパク質レベル測定及びアミノ末端配列解析のためにジカン
バ耐性ダイズ植物からの葉の試料を得た。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられ
たAPG6 CTP(配列番号1)を有する単一コピージカンバ耐性R1遺伝子導入ダイ
ズ植物については、DMOタンパク質レベルが13.35±2.7ng/mgであること
がELISAによって判明した。最適化APG6 CTP(配列番号2)を有する単一コ
ピージカンバ耐性R1遺伝子導入ダイズ植物については、DMOタンパク質レベルが18
.55±3.1ng/mgであることがELISAによって判明した。陰性対照A355
5ダイズ葉組織ではDMOタンパク質は検出されなかった。DMO(配列番号18)に機
能可能に繋げられたAPG6 CTP(配列番号1)を有する単一コピーR1遺伝子導入
ダイズ植物のジカンバ損傷評価は3.6%であった。DMO(配列番号18)に機能可能
に繋げられた最適化APG6 CTP(配列番号2)を有する単一コピーR1遺伝子導入
ダイズ植物のジカンバ損傷評価は2.7%であった。陰性対照A3555ダイズのジカン
バ損傷評価は99.8%であった。単一コピージカンバ耐性R1遺伝子導入ダイズ植物か
らの葉の試料を(実施例2及び4に記載されているような)アミノ末端配列決定のために
使用した。アミノ末端配列解析は、APG6-DMO及び最適化APG6-DMOのプロ
セシングがDMOタンパク質のアミノ末端からのCTPの完全なプロセシングをもたらし
たことを裏付けた。DMOレベル、ジカンバ損傷及びAPG6-DMOプロセシングは、
DMOに機能可能に繋げられた場合にAPG6及び最適化APG6がどちらもジカンバに
対する耐性をもたらし、両CTPが植物において完全にプロセシングされる、ということ
を指し示した。データを表10に示す。
表10.R1ダイズ温室試験
【表10】
【0102】
APG6 CTPを別とすれば同一である2つのDNA構築物を使用して遺伝子導入ワ
タ植物を生産した。1つ目のDNA構築物は、DMO(配列番号18)に機能可能に繋げ
られたAPG6(配列番号1)を有していた。2つ目のDNA構築物は、DMO(配列番
号18)に機能可能に繋げられた最適化APG6 CTP(配列番号2)を有していた。
Agrobacterium媒介形質転換によって各DNA構築物を当業者に知られてい
る方法を用いてワタに形質転換した。形質転換後、導入遺伝子の単一のコピーを含有する
R0ワタ遺伝子導入植物をPCRアッセイによって同定し、温室内で栽培し、R1種子を
採取した。各構築物について10の事象から1つの事象あたり10個のR1種子と、DP
393ワタからの種子とを、ジカンバの発芽後散布に対する作物耐性の評価のために植付
けた。V4段階において、ジカンバ(Clarity)を1120g活性成分/ヘクター
ルで散布した。処理から9日後に作物損傷率評価を行った。タンパク質レベル測定及び、
APG6-DMOまたは最適化APG6-DMOのアミノ末端配列解析のために、耐性ワ
タ植物からの葉の試料を使用した。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられたAP
G6 CTP(配列番号1)を有する単一コピージカンバ耐性R1遺伝子導入ワタ植物で
は、ELISAによって検出されたDMOタンパク質レベルが176.2±103ng/
mgであった。最適化APG6 CTP(配列番号2)を有する単一コピージカンバ耐性
R1遺伝子導入ワタ植物では、ELISAによって検出されたDMOタンパク質レベルが
136.5±58.6ng/mgであった。陰性対照DP393ワタ葉組織においてはD
MOタンパク質は検出されなかった。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられたA
PG6 CTP(配列番号1)を有する単一コピーR1遺伝子導入ワタ植物のジカンバ損
傷は2.6%であった。DMO(配列番号18)に機能可能に繋げられた最適化APG6
CTP(配列番号2)を有する単一コピーR1遺伝子導入植物のジカンバ損傷は2.2
%であった。陰性対照DP393ワタの損傷は85%であった。単一コピージカンバ耐性
R1植物からの葉の試料を(実施例2及び4に記載されているような)アミノ末端配列決
定のために使用した。アミノ末端配列解析は、APG6-DMO及び最適化APG6-D
MOのプロセシングがDMOタンパク質のアミノ末端からのCTPの完全なプロセシング
をもたらしたことを裏付けた。DMOタンパク質発現レベル、ジカンバ損傷ならびに、A
PG6-DMO及び最適化APG6-DMOのアミノ末端プロセシングは、DMOに機能
可能に繋げられた場合にAPG6及び最適化APG6がどちらもジカンバに対する耐性を
もたらし、両CTPが植物において完全にプロセシングされる、ということを指し示した
。データを表11に示す。
表11.R1ワタ温室試験
【表11】
【0103】
実施例6:遺伝子導入トウモロコシにおけるCTP-PPO発現
除草剤細菌スクリーニング系を使用して、PPO除草剤に対して耐性である新規PPO
を同定した。このスクリーニング系は、PPO除草剤に対して感受性でないPPOを同定
するために、PPO除草剤を含むLB液体培地でのノックアウトE.coli株の増殖ア
ッセイを用いるものであった。
【0104】
確立されたPPO活性を含んでいる細菌発現用ベクターでノックアウトE.coli株
を形質転換し、LB液体培地で培養した。精製された結晶形態にある、3つの異なるPP
O化学サブクラスを表す5つの異なるPPO除草剤(アシフルオルフェン(1mM)、フ
ルミオキサジン(0.5mM)、ラクトフェン(0.5mM)、ホメサフェン(1mM)
及びS-3100(100μM))のうちの1つを培地に添加した。組換えタンパク質を
発現させ、E.coli増殖速度を測定した。ゼロ時間から24時間まで、選択された時
点においてPPO除草剤の存在下及び非存在下で種々の変異型について増殖曲線(OD6
00)を測定した。形質転換されたノックアウトE.coli株の、PPO除草剤の存在
下でのLB培地での増殖は、E.coliの形質転換に使用した遺伝子が除草剤非感受性
プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(iPPO)をコードしていることを指し示した
。
【0105】
配列番号40~49として提供される10個のPPOは全て、PPO除草剤の存在下で
LB培地中のノックアウトE.coli株に対して正常な増殖速度を与えることが分かり
、これらのタンパク質が除草剤非感受性プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(iPP
O)であることを指し示していた。WH_PPO(配列番号60)を発現しているノック
アウトE.coli株は、5つのPPO除草剤全てに対して感受性であり、アッセイは各
除草剤について感受性PPOと非感受性PPOとを区別することができるということが確
認された。
【0106】
植物内でPPO H_N10(配列番号43)を発現させるために4つの植物形質転換
用ベクターを作出した。形質転換用構築物1及び11は、プロモーターとリーダーとイン
トロンとの同じ組み合わせ、同じ3’UTR配列、同じPPO H_N10(配列番号4
3)を有していたが、CTP配列が異なっており、ダイズの形質転換に使用した。形質転
換用構築物6及び16は、プロモーターとリーダーとイントロンとの同じ組み合わせ、同
じ3’UTR配列、同じPPO H_N10(配列番号43)を有していたが、CTP配
列が異なっており、トウモロコシの形質転換に使用した。表12に、PPO H_N10
植物形質転換用構築物の構成を示す。
表12.PPO H_N10を有する構築物の構成
【表12】
【0107】
遺伝子導入トウモロコシ植物においてPPO酵素を発現させ、遺伝子導入植物をPPO
除草剤耐性に関して分析した。配列番号40~59として提供されるPPO酵素のうちの
1つをコードする組換えDNA分子を含んでいる植物形質転換用ベクターを構築した。P
PO酵素をコードするDNA配列は、開始コドンとして一般的に知られているメチオニン
のコドンを5’末端に含んでいてもよく、または、コード配列の5’末端に葉緑体輸送ペ
プチド配列を機能可能に繋げることを容易にするためにこのコドンが除去されてもよい。
アミノ末端にメチオニンを含有するPPO酵素タンパク質配列の例は配列番号40~49
として提供される。アミノ末端にメチオニンを含んでいないPPO酵素タンパク質配列の
例は配列番号50~59として提供される。植物形質転換のために、推定上のPPO酵素
をコードするヌクレオチド配列を双子葉発現または単子葉発現に最適化した。形質転換用
ベクター内のPPO酵素のタンパク質配列及びヌクレオチド配列に対応する配列番号を表
2に示してある。
【0108】
トウモロコシ植物内試験のために、Agrobacterium tumefacie
ns及び当該技術分野において知られている標準的方法を用いてトウモロコシ(LH24
4)を形質転換した。2つの構築物構成のうちの1つにおいてH_N10(配列番号43
)を発現している単一コピーR0植物を異系交配することによって生じた遺伝子導入F1
植物を、除草剤耐性に関して温室内で試験した。植物をV3生育段階において40グラム
/ヘクタールのS-3100で処理し、処理から7日後に損傷評価を行った。構築物6の
構成(PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられたAPG6(配列番号
1))でH_N10(配列番号43)を発現している遺伝子導入トウモロコシ植物は、1
8個のうち13個の、高耐性植物(10%以下の損傷)を生む事象をもたらしたが、構築
物16の構成(PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられた12G08
8600TP(配列番号38))は、高耐性植物を生む事象を全くもたらさなかった。
【0109】
2つの構築物構成(構築物6及び16)のうちの1つにおいてH_N10(配列番号4
3)を発現している単一コピーR0植物を異系交配させることによって生産した遺伝子導
入F1植物を除草剤耐性に関して圃場で試験した。このF1集団は分離していた(50%
はヘミ接合体、50%は欠失)ので、遺伝子導入植物の選抜は損傷評価の前には行わなか
った。そのような集団の全体平均損傷評価は、非遺伝子導入型植物と遺伝子導入植物との
区別が難しいため、同質の遺伝子導入集団と比較してより高くなると予測される。試験は
、2つの場所で1つの構築物あたり3つの処理を2回繰り返し行うものであった。非遺伝
子導入型トウモロコシ植物を陰性対照として使用した。除草剤散布処理は以下のとおりで
あった:処理1は、V2及びその後のV4及びその後のV8での0.036ポンド活性成
分/エーカーのS-3100の散布であり、処理2は、V2及びその後のV4及びその後
のV8での0.072ポンド活性成分/エーカーのS-3100の散布であり、処理3は
、V2及びその後のV4及びその後のV8での0.144ポンド活性成分/エーカーのS
-3100の散布であった。V2生育段階(CIPV2)及びV4生育段階(CIPV4
)において処理後5~7日目に作物損傷率評価を行った(誤差V2及び誤差V4は、最小
有意差(LSD)の半分である)。両方の場所での作物損傷評価をまとめ合わせた。非遺
伝子導入型植物及び、PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられた構築
物16(12G088600TP(配列番号38)を使用して生じさせた事象を有する植
物は全て、3つの処理の各々においてV2及びV4のどちらの除草剤散布の後でも94.
6~99.5%の損傷を示した。構築物6(PPO H_N10(配列番号43)に機能
可能に繋げられたAPG6(配列番号1))を使用して生じさせた事象を有する植物は、
V2除草剤散布後にたった30~50%の損傷しか示さず、V4除草剤散布後には全く損
傷を示さなかった。データを表13に示す。
表13.PPO H_N10(配列番号43)を含有するF1トウモロコシの有効性圃
場試験
【表13】
【0110】
F1遺伝子導入トウモロコシの温室及び圃場でのデータから、PPO H_N10(配
列番号43)に機能可能に繋げられた12G088600TP(配列番号38)が遺伝子
導入植物において発現した場合の損傷率と比較して、PPO H_N10(配列番号43
)に機能可能に繋げられたAPG6(配列番号1)は、遺伝子導入植物において発現した
場合に損傷率の低減をもたらす、ということが実証された。
図1を参照されたい。
【0111】
APG6(配列番号1)、CTP D、またはCTP Eに機能可能に繋げられた、P
PO H_N40(配列番号54)かまたはPPO H_N90(配列番号50)かのど
ちらかを植物内で発現させるために、植物形質転換用ベクターを作出した。Agroba
cterium tumefaciens及び、当該技術分野において知られている標準
的方法を用いて、トウモロコシ(01DKD2)を形質転換した。結果として生じるR0
植物から採取した葉の試料をPCRによって分析して、導入遺伝子挿入物のコピー数を決
定した。固有の形質転換事象を含有する各R0植物に、40g活性成分/ヘクタールまた
は80g活性成分/ヘクタールのS-3100をおおよそのV5生育段階において噴霧し
、処理から4~7日後に損傷評価を行った。噴霧した植物の全数のうち、10%以下の損
傷(高耐性)または20%以下の損傷(耐性)を有する植物の数を記録した。単一コピー
事象であると判定されかつ20%以下の損傷で噴霧を経た植物を自殖及び異系交配へと進
めた。データを表14に示す。
表14.遺伝子導入トウモロコシにおけるCTP-PPO除草剤耐性評価
【表14】
【0112】
結果は、H_N40(配列番号54)またはH_N90(配列番号50)に機能可能に
繋げられた場合にCTP DまたはCTP Eで形質転換された植物と比較してAPG6
(配列番号1)が一貫してより高い除草剤耐性をもたらしたことを示している。APG6
は、H_N40に機能可能に繋げられた場合、80g活性成分/ヘクタールでのS-31
00に対して高耐性である21.4~40.2%の遺伝子導入植物及び耐性である41.
1~58.9%の遺伝子導入植物をもたらした。APG6は、H_N90に機能可能に繋
げられた場合、40g活性成分/ヘクタールでのS-3100に対して高耐性である49
.1%の遺伝子導入植物及び耐性である56.3%の遺伝子導入植物をもたらした。CT
P Dは、H_N40に機能可能に繋げられた場合、80g活性成分/ヘクタールでのS
-3100に対して高耐性である0%の遺伝子導入植物及び耐性である2.2%の遺伝子
導入植物をもたらした。CTP Eは、H_N40に機能可能に繋げられた場合、より低
い除草剤量である40g活性成分/ヘクタールでのS-3100に対して高耐性である0
~8%の遺伝子導入植物及び耐性である12.9~32.1%の遺伝子導入植物をもたら
した。
【0113】
PPO H_N10に機能可能に繋げられたAPG6を発現している遺伝子導入F1雑
種トウモロコシを、異なる7つの様々なPPO除草剤:S-3100、ホメサフェン、ア
シフルオルフェン、ラクトフェン、フルミオキサジン、スルフェントラゾン及びサフルフ
ェナシルに対する耐性について評価した。陰性対照としての雑種トウモロコシ種子と共に
、5つの固有の事象を表す貯蔵種子を温室内の植木鉢に植付けた。
【0114】
発芽前の除草剤耐性について試験するために、次の2つの量のうちの一方でPPO除草
剤を個別に散布することを1処理あたり6回繰り返した:S-3100(80または16
0g活性成分/ヘクタール)、ホメサフェン(Reflex(登録商標)、840または
1680g活性成分/ヘクタール)、フルミオキサジン(Valor(登録商標)SX、
210または420g活性成分/ヘクタール)、スルフェントラゾン(Spartan(
登録商標)4L、840または1680g活性成分/ヘクタール)及びサフルフェナシル
(Sharpen(登録商標)、200または400g活性成分/ヘクタール)。処理か
ら20日後に作物損傷率について植物を評価し、トウモロコシ種子を陰性対照として含め
た。PPO H_N10に機能可能に繋げられたAPG6を有する遺伝子導入植物は、発
芽前に散布した種々のPPO除草剤についての損傷評価が0~5.8%の範囲であり、P
PO H_N10に機能可能に繋げられたAPG6が5つ全てのPPO除草剤についてど
ちらの除草剤量においてもトウモロコシに優れた発芽前耐性をもたらすことを指し示した
。陰性対照トウモロコシ植物の損傷評価は、サフルフェナシルを除けば(それはこの除草
剤が従来のトウモロコシ植物用に市販されていることから予想される)、17.5~94
.2%の範囲であった。標準誤差を+/-として示してデータを表15に示す。
表15.トウモロコシにおけるPPO除草剤発芽前損傷評価
【表15】
【0115】
発芽後(V3~V4)除草剤耐性について試験するために、次の3つの量のうちの1つ
でPPO除草剤を個別に散布することを1処理あたり6回繰り返した:S-3100(4
0、80または160g活性成分/ヘクタール)、ホメサフェン(Reflex(登録商
標)、420、840または1680g活性成分/ヘクタール)、アシフルオルフェン(
Ultra Blazer(登録商標)、420、840または1680g活性成分/ヘ
クタール)、ラクトフェン(Cobra(登録商標)、220、440または880g活
性成分/ヘクタール)、フルミオキサジン(Valor(登録商標)SX、105、21
0または420g活性成分/ヘクタール)、スルフェントラゾン(Spartan(登録
商標)4L、420、840または1680g活性成分/ヘクタール)及びサフルフェナ
シル(Sharpen(登録商標)、100、200または400g活性成分/ヘクター
ル)。処理から14日後に作物損傷率について植物を評価し、従来の雑種トウモロコシ種
子を陰性対照として含めた。PPO H_N10に機能可能に繋げられたAPG6を有す
る遺伝子導入植物の、発芽後に散布した種々のPPO除草剤についての損傷評価は、損傷
評価が13.8%であった1680g活性成分/ヘクタールのホメサフェンを除けば、0
.5~5.8%の範囲であり、PPO H_N10に機能可能に繋げられたAPG6が7
つ全てのPPO除草剤について全ての除草剤量においてトウモロコシに優れた発芽後耐性
をもたらすことを指し示した。陰性対照トウモロコシ植物の損傷評価は36.7~100
%の範囲であった。標準誤差を+/-として示してデータを表16に示す。
表16.トウモロコシにおけるPPO除草剤発芽後損傷評価
【表16】
【0116】
実施例7:遺伝子導入ダイズにおけるCTP-PPO発現
種々のCTPに機能可能に繋げられたPPO酵素を遺伝子導入ダイズ植物において発現
させ、遺伝子導入植物をPPO除草剤耐性について分析した。
【0117】
PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられた12G088600TP
(配列番号38)か、またはPPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられ
たAPG6(配列番号1)かのどちらかを植物内で発現させるために、植物形質転換用ベ
クターを作出した。これらの植物形質転換用ベクターとAgrobacterium t
umefaciensを使用し、当該技術分野において知られている標準的方法を用いて
、ダイズA3555を形質転換した。再生されたR0遺伝子導入小植物体を温室内で栽培
し、自殖させ、R1種子を採集した。温室内で遺伝子導入R1植物に対して、V4及びR
1において施す3つの除草剤処理:(1)5グラム活性成分/ヘクタールのS-3100
、(2)10グラム活性成分/ヘクタールのS-3100、または(3)30グラム活性
成分/ヘクタールのS-3100のうちの1つによって噴霧を行った。処理から10日後
に作物損傷評価を行った。PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられた
APG6(配列番号1)を発現している遺伝子導入植物の損傷評価は、5、10及び30
g活性成分/ヘクタールの量でそれぞれ、V4段階での4.2%、7.8%及び9.4%
から、R1段階での3%、6.5%及び15.7%までの範囲であった。PPO H_N
10(配列番号43)に機能可能に繋げられた12G088600TP(配列番号38)
を発現している遺伝子導入植物の平均損傷評価は、5、10及び30g活性成分/ヘクタ
ールの量でそれぞれ82.7%、92.7%及び98.2%であり、R1段階での評価に
は生き残らなかった。陰性対照植物の平均損傷評価は、5、10及び30g活性成分/ヘ
クタールの量でそれぞれ同程度の89%、98%及び100%であり、R1段階での評価
には生き残らなかった。データを表17に示す。
表17.R1ダイズのPPO除草剤試験
【表17】
【0118】
APG6(配列番号1)、CTP F、及びCTP Hの3つの異なるCTPのうちの
1つに機能可能に繋げられたPPO H_N90(配列番号47)を植物内で発現させる
ために、植物形質転換用ベクターを作出した。これらの植物形質転換用ベクター及びAg
robacterium tumefaciensを使用し、当該技術分野において知ら
れている標準的方法を用いて、ダイズA3555を形質転換した。再生されたR0遺伝子
導入小植物体を温室内で栽培し、結果として生じるR0植物から採取した葉の試料をPC
Rで分析して、事象の単一のコピーを含有する植物を同定した。温室内で、各々が固有の
事象に相当している遺伝子導入単一コピーR0植物に対して、おおよそのV3段階で施す
20g活性成分/ヘクタールのS-3100の除草剤処理によって噴霧を行った。処理か
ら14日後に損傷評価を高耐性(10%以下の損傷)または耐性(20%以下の損傷)と
みなされる数値として得た。PPO H_N90(配列番号47)に機能可能に繋げられ
たAPG6(配列番号1)を発現している遺伝子導入植物は、高耐性である21.4%の
個別の事象と耐性である57.1%とをもたらした。PPO H_N90(配列番号47
)に機能可能に繋げられたCTP Fを発現している遺伝子導入植物は、高耐性である1
1.7%の個別の事象と耐性である41.1%とをもたらした。PPO H_N90(配
列番号47)に機能可能に繋げられたCTP Hを発現している遺伝子導入植物は、高耐
性または耐性である固有の事象を全くもたらさなかった。データを表18に示す。
表18.R0ダイズにおけるS-3100有効性評価
【表18】
【0119】
このデータは、PPO酵素に機能可能に繋げられた特異的なCTPが除草剤耐性の獲得
に極めて重要であることを実証し、かくして、CTPの選択の重要性及び、除草剤耐性遺
伝子導入植物の生産における使用のためにAPG6 CTPが他のCTPよりも予想外に
優れていることが示された。
【0120】
実施例8:遺伝子導入ワタにおけるCTP-PPO発現
PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げられたAPG6(配列番号1)
を遺伝子導入ワタ植物において発現させるために、植物形質転換用ベクターを作出し、遺
伝子導入植物をPPO除草剤耐性について分析した。植物形質転換用ベクター及びAgr
obacterium tumefaciensを当該技術分野において知られている標
準的方法と共に用いて、ワタDP393を形質転換した。再生されたR0遺伝子導入小植
物体を温室内で栽培し、結果として生じるR0植物から採取した葉の試料をPCRで分析
して、事象の単一のコピーを含有する植物を同定した。温室内で、各々が固有の事象に相
当している遺伝子導入単一コピーR0植物に対して、V2段階で施す20g活性成分/ヘ
クタールのS-3100の除草剤処理によって噴霧を行った。さらに、温室内で遺伝子導
入多コピー(2コピー/植物以上)に対して、V2段階で施す20g活性成分/ヘクター
ルのS-3100の除草剤処理によって噴霧を行った。処理から3日後に損傷評価を行っ
た。
【0121】
陰性対照であるワタDP393は、20g活性成分/ヘクタールのS-3100による
除草剤処理から3日後に損傷が100%であった。これとは対照的に、21個の単一コピ
ーR0植物は平均損傷が26.7%であった。21個の単一コピーR0植物の損傷の分布
は次のとおりであった:3つの植物は損傷なし、3つの植物は10%の損傷、3つの植物
は15%の損傷、2つの植物は20%の損傷、7つの植物は30%の損傷、3つの植物は
40%の損傷。多コピーR0植物については、14個の植物が除草剤処理を受け、平均損
傷は10.4%であった。14個の多コピー植物の損傷の分布は次のとおりであった:5
つの植物は損傷なし、3つの植物は5%の損傷、1つの植物は10%の損傷、2つの植物
は15%の損傷、1つの植物は20%の損傷、1つの植物は30%の損傷、1つの植物は
40%の損傷。このデータは、PPO H_N10(配列番号43)に機能可能に繋げら
れたAPG6(配列番号1)を発現しているR0遺伝子導入ワタが、V2段階で施された
20g活性成分/ヘクタールの除草剤S-3100の散布に対して耐性であったことを実
証する。
【配列表】