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特許7312808セラミックスまたは金属材料からグリーン体部品グリーン体部品を製造するための機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】セラミックスまたは金属材料からグリーン体部品グリーン体部品を製造するための機械
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20230713BHJP
   B22F 10/12 20210101ALI20230713BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20230713BHJP
   B22F 12/53 20210101ALI20230713BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230713BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230713BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20230713BHJP
   B22F 12/52 20210101ALN20230713BHJP
【FI】
B28B1/30
B22F10/12
B22F12/90
B22F12/53
B29C64/106
B29C64/205
B29C64/245
B29C64/264
B29C64/321
B33Y30/00
B33Y40/00
B22F12/52
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186729
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2022084545
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】2012228
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518249937
【氏名又は名称】エス.ア.エス. スリーディーセラム - シントー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リシャール ゲイニョン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シャピュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン パストラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リュック スーマール
(72)【発明者】
【氏名】トマス コワンテパ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522326(JP,A)
【文献】特表平10-513130(JP,A)
【文献】特開2020-037249(JP,A)
【文献】特開平07-205304(JP,A)
【文献】米国特許第05922364(US,A)
【文献】特表2012-505088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00-1/54
B22F 10/12
B22F 12/52
B22F 12/53
B22F 12/90
B29C 64/106-64/135
B29C 64/205-64/223
B29C 64/245
B29C 64/264-64/291
B29C 64/321-64/336
B33Y 30/00
B33Y 40/00-40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光造形技術によって部品を製造するための機械であって、放射線硬化性懸濁液の層が、各々の層に対して形成されたパターンに従って重なり合わされて連続的に照射によって硬化される、前記機械において、
第1の層および第1の層から順に重ね合わせて形成された後続の層を受容するように構成された水平受容面(10)と、
各々の層の形成において、ある量の懸濁液を供給し、それを第1の層については前記水平受容面(10)上に、そして後続の層の各々については既に硬化した各々のパターン化された層上に塗布するように構成された供給・塗布装置であって、前記供給・塗布装置および前記水平受容面(10)は、積層方向に相互に移動可能である、供給・塗布装置と、
各々の層が塗布された後に前記各々の層を照射して、既に形成されたパターンで硬化させるための照射装置と
を備える、前記機械において、
前記水平受容面(10)は、長さおよび幅を有するバット(B)の底部によって構成され、前記供給・塗布装置は、懸濁液塗布器(1)および外部タンク(R)を含み、前記懸濁液塗布器(1)は、前記外部タンク(R)から供給される懸濁液リザーブ(6)、前記懸濁液リザーブ(6)内の少なくとも1つの真空形成装置、および前記懸濁液リザーブ(6)に接続され、前記水平受容面(10)に面して形成された少なくとも1つの穴(T)を含み、前記少なくとも1つの真空形成装置は、前記少なくとも1つの穴(T)から放出される懸濁液の量を調節するように制御され、前記懸濁液塗布器(1)は、前記バット(B)の幅に沿って配置され、少なくとも印刷幅を有し、前記バット(B)の長さに沿って平行移動して、前記少なくとも1つの穴(T)を通して懸濁液を前記受容面(10)上に塗布できるように構成されることを特徴とする、機械。
【請求項2】
前記少なくとも1つの真空形成装置は、前記少なくとも1つの穴(T)から放出される懸濁液の量を制御するために真空タッピング(17)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記懸濁液塗布器(1)は直方体であり、前記水平受容面(10)に面するアクティブ面は、前記少なくとも1つの穴(T)が形成される、前記懸濁液塗布器(1)の放出面(FL)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記アクティブ面に形成される前記少なくとも1つの穴(T)は、前記懸濁液塗布器(1)の前記アクティブ面の全幅にわたって形成される単一のスリットまたは前記懸濁液塗布器(1)の前記アクティブ面の全幅にわたって均一に分配された複数の穴によって構成されることを特徴とする、請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記懸濁液は、前記懸濁液塗布器(1)の全幅にわたって均一に分配された、前記外部タンク(R)からのいくつかの供給によって前記懸濁液リザーブ(6)に供給され、内部懸濁液分配チューブ(16)は、前記懸濁液リザーブに浸して取り付けることができるようになっていることを特徴とする、請求項3または4に記載の機械。
【請求項6】
懸濁液リザーブ(6)は、各々が、少なくとも1つの真空タッピング(17)によって真空形成装置に連結され、前記外部タンク(R)からの懸濁液の少なくとも1つの供給を伴う区画に分割されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
前記懸濁液塗布器(1)が静止している間、特に層の横方向の縁部で静止している間、またはその並進運動中、懸濁液リザーブキャビティ(6)への懸濁液の供給を制御するための装置を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
前記バット(B)内の未硬化懸濁液の量のためのセンサと、
各々の層に対して、前記塗布器による懸濁液の供給を、懸濁液量センサによって前記バット(B)内で検出された未硬化懸濁液のレベルの関数として調節するコントローラと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記懸濁液量センサは、レベルセンサおよび体積センサのうちの1つであることを特徴とする、請求項8に記載の機械。
【請求項10】
前記懸濁液塗布器(1)の前記アクティブ面は、前記少なくとも1つの穴(T)を通して堆積された懸濁液の掻き取りを可能にするように構成された少なくとも1つのブレード(L)を有し、前記ブレード(L)は、前記少なくとも1つの穴(T)から前記懸濁液塗布器(1)の移動方向に後退して配置されていることを特徴とする、請求項4~9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
移動方向における前記懸濁液塗布器(1)の前面(4)は、押しシールドの形態を有することを特徴とする、請求項4~9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項12】
前記バット(B)は、過剰の未硬化懸濁液を排出するためのオーバーフローを備えていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の機械。
【請求項13】
前記オーバーフローは、前記バット(B)内の未硬化懸濁液の量のセンサによって検出された懸濁液のレベルの関数として制御されるという事実を特徴とする、請求項8~11と組み合わせた請求項11に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光造形によってセラミックスまたは金属材料のグリーン体部品を製造するための機械に関するものであり、そのようなグリーン体部品は、完成したセラミックスまたは金属モデルを得るために洗浄、脱バインダー、および焼結操作に供されることを意図される。
【背景技術】
【0002】
光造形では、一般的に、これらのグリーン体部品を得るために、次のステップを含む。
・製造される部品のコンピューターモデルは、コンピューター援用設計によって構築され、その寸法は、部品の製造中のセラミックスまたは金属材料の収縮を可能にするために、製造される部品の寸法よりもわずかに大きくされる。
・部品は以下のように製造される。
・それぞれ少なくとも1つのセラミックスまたは金属粉末によって形成されたセラミックスまたは金属材料と、少なくとも1つのモノマーおよび/または1つのオリゴマーおよび1つまたは複数のモノマーおよび/またはオリゴマーの重合の少なくとも1つの開始剤、および適切な場合、可塑剤、溶媒、分散剤、および重合阻害剤のうちの少なくとも1つを含む有機部分とを含む、硬化性組成物の第1の層が、剛性のある支持体上に形成される。
・光硬化性組成物の第1の層が、この層に対してモデルから形成されたパターンでの照射によって(例えば、層の自由表面のレーザー走査またはダイオード投影システムによって)硬化され、第1の段階を形成する。
・硬化性組成物の第2の層が第1の層上に形成される。
・硬化性組成物の第2の層が、その層に対して形成されたパターンでの照射によって硬化され、第2の段階を形成し、この照射は第1の層と同様に行われる。
・任意選択で、上記のステップを繰り返して、グリーン状態の部品を得る。
【0003】
次に、前述のように、完成した部品を得るために、グリーン体部品を洗浄して未硬化の組成物を除去し、洗浄されたグリーン体部品は脱バインダーされ、洗浄されて脱バインダーされたグリーン体部品は焼結されて、完成した部品が得られる。
【0004】
硬化性組成物は、懸濁液の形態とすることができる。剛性のあるサポートは、構築される部品と懸濁液の様々な層を支える作業プレートであり、層の各々は通常、作業プレートを下げ、事前定義された厚さの懸濁液を広げることによって形成される。懸濁液の供給は、各々の層で事前定義された量の懸濁液が自動的に空になるタンク(バットまたはカートリッジまたは圧力ポット)に保管される。これにより、作業プレートによって事前に下げられた、製造中の部品の最上層に広がる懸濁液のビードが形成される。各々の層は通常、例えば真っ直ぐな水平方向に移動することによって、作業プレートの作業面を掃引するスクレーパーによって広げられる。
【0005】
層が形成されるたびに、ストランドは、そのタンクから出現し、スクレーパーが前進するにつれてプレートが層を形成する懸濁液で覆われるように計算された高さまで、プレートとスクレーパーの間をプレートの幅を横切って伸びる。
【0006】
このシステムは以下の理由から大型の機械には適していない。
・プレートの長さに沿ってスクレーパーによって押された懸濁液ビードが、壊れやすい重合部品にぶつかり、部品に過度の応力を発生させる。
・ビードが幅全体にわたって均一な高さであることを保証することは非常に困難であるため、プレートが適切に覆われないリスクが存在し、このリスクを回避するために必要な量よりもはるかに多くの懸濁液を使用する必要がある。これにより、追加の作業が発生する。
【0007】
懸濁液は、その全幅にわたってスクレーパーの前方にあるノズルを通して供給されるべきであることが出願人によって提案された。この解決策は幅分布の問題を解決するが、スクレーパーの移動中の懸濁液の連続的な供給がより複雑になるため、大きなプレートに対しては長さ分布の問題はまだ解決されていない。新しい懸濁液ストランドを適用するためにスクレーパーが特定の時間に停止すると、部品の表面欠陥、つまり停止位置のマークが生成され、スクレーパーの前方に連続的な懸濁液ストランドを適用すると、スクレーパーの全前進中にこの操作を全幅にわたって制御することが困難になり、必要以上の懸濁液を適用することにつながり、追加の作業が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの不利な点を克服するために、出願人は、第1の層に対しては水平受容面上、そして他の各々の層に対しては前に硬化したパターンを有する各々の層上での懸濁液の供給および塗布は、外部燃料タンクから供給される懸濁液リザーブを有する塗布器システムによって実施され、層の積み重ねは、各々の層の形成において懸濁液で満たすバット内で行われるべきであると提案した。
【0009】
したがって、本発明によれば、懸濁液の堆積は、制御された方法で、有利には、先行技術の前述の状況のように過剰な懸濁液なしに、層の幅および長さ全体にわたって実施することができる。
【0010】
さらに、バットの漸進的充填は、照射される新しい層で硬化パターンを有する層を覆うために、スタックを支持するプレートが各々の層の形成で段階的に下げられる、懸濁液で最初に充填されたバットで作業する場合と比較して利点を提供する。これらの利点は、周囲温度との交換の結果としての懸濁液の反応性の低下を回避し、バットの底部での懸濁液のセラミックスまたは金属部分の沈降を回避し、そして懸濁液が照射される層を覆うことを可能にするためにあまりにも高すぎる懸濁液の粘度レベルを下げるのに必要となる高い剪断応力を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の目的は、放射線硬化性懸濁液の層が、各々の層に対して形成されたパターンに従って照射によって互いの上に連続的に硬化される、光造形技術によって部品を製造するための機械であって、この機械は、
第1の層および第1の層から互いの上に形成された後続の層を受容するように構成された水平受容面と、
各々の層形成において、ある量の懸濁液を供給し、それを第1の層については水平受容面上に、そして後続の層の各々については既に硬化した各々のパターン化された層上に塗布するように構成された供給・塗布装置であって、供給・塗布装置および水平受容面は、積層方向に互いに対して移動可能である、供給・塗布装置と、
各々の層が塗布された後に各々の層を照射して、既に形成されたパターンでそれを硬化させるための照射装置とを備える、機械において、
水平受容面は、長さおよび幅を有するバットの底部によって構成され、供給・塗布装置は、懸濁液塗布器および外部タンクを含み、懸濁液塗布器は、外部タンクから供給される懸濁液リザーブ、懸濁液リザーブ内の少なくとも1つの真空形成装置、および懸濁液リザーブに接続され、水平受容面に面して形成された少なくとも1つの穴を含み、少なくとも1つの真空形成装置は、少なくとも1つの穴から放出される懸濁液の量を調節するように制御され、懸濁液塗布器は、バットの幅に沿って配置され、少なくとも印刷幅を有し、バットの長さに沿って平行移動して、少なくとも1つの穴を通して懸濁液を受容面上に塗布できるように構成されることを特徴とする、機械である。
【0012】
本発明に係る機械の特定の一実施形態によれば、少なくとも1つの真空形成装置は、少なくとも1つの穴から放出される懸濁液の量を制御するために真空タッピングに接続される。
【0013】
塗布器は直方体であり、水平受容面に面するアクティブ面は、少なくとも1つの穴が形成される、塗布器の放出面とすることができる。
【0014】
アクティブ面に形成される少なくとも1つの形成された穴は、塗布器のアクティブ面の全幅にわたって形成される単一のスリットまたは塗布器のアクティブ面の全幅にわたって均一に分配された複数の穴によって構成することができる。
【0015】
懸濁液は、塗布器の全幅にわたって均一に分配された、外部タンクからのいくつかの供給によって懸濁液リザーブに供給することができ、内部懸濁液分配チューブは、懸濁液リザーブに浸して取り付けることができる。
【0016】
懸濁液リザーブは、有利には、区画に分割することができ、各々の区画は、少なくとも1つの真空タッピングおよび外部タンクからの懸濁液の少なくとも1つの供給によって真空形成装置に連結される。したがって、各区画は、独自の供給システムと独自の真空システムを有する。利点は、1つの区画が何らかの理由で懸濁液が空になった場合でも、これは他の区画の邪魔をしないことである。この配置により、懸濁液塗布器内の懸濁液のレベルをより良好に制御できることも見出されている。
【0017】
機械は、塗布器が静止している間、特に層の横方向の縁部で静止している間、またはその並進運動中、懸濁液リザーブキャビティへの懸濁液の供給を制御するための装置を含むことができる。塗布器が動いている間に懸濁液を供給することの利点は、硬化中に部品に機械的ストレスまたはビーディングの問題を引き起こし、後で塗布器との干渉を引き起こす可能性がある、塗布器の前方の懸濁液の量を最小限に抑えることである。
【0018】
本発明に係る機械は、バット内の未硬化懸濁液の量のためのセンサと、各々の層に対して、塗布器による懸濁液の供給を、懸濁液量センサによってバット内で検出された未硬化懸濁液のレベルの関数として調節するコントローラとを含むことができる。
【0019】
懸濁液量センサは、レベルセンサおよび体積センサのうちの1つとすることができる。
【0020】
塗布器のアクティブ面は、少なくとも1つの穴を通して堆積された懸濁液の掻き取りを可能にするように構成された少なくとも1つのブレード(L)を有し、このブレードは、少なくとも1つの穴から塗布器の移動方向に後退して配置することができる。
【0021】
移動方向における塗布器の前面は、押しシールドの形態を有することができる。
【0022】
バットは、過剰の未硬化懸濁液を排出するためのオーバーフローを備えることができる。オーバーフローは、バット内の未硬化懸濁液の量のセンサによって検出された懸濁液のレベルの関数として制御できる。
【0023】
本発明の目的をよりよく説明するために、添付の図面を参照して、限定としてではなく、例示として、特定の実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る機械の懸濁液塗布器の正面図である。
図2図1の装置の上面図である。
図3図1のIII-IIIによる断面図である。
図4図2のIV-IVによる縦断面図である。
図5】本発明に係る機械内に配置された図1の塗布器の正面図である。
図6】本発明に係る機械の動作を示す概略図である。
図7A】懸濁液塗布器が前進するときの層の形成を示す。
図7B】機械のバットに見られる層の形成を示す。
図7C】追加の材料による層の形成を示す。
図7D】過剰な材料d)の吸引による層の形成を示す。
図8】本発明に係る機械の懸濁液塗布器の分解斜視図であり、塗布器は、図1図4に示されるものの変形によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図5を参照すると、使用位置が水平である細長い上部プレート2によって形成され、その端部の各々が下向きに曲げられて、より厚い横プレート3を形成する長方体の一般的な形状を有する懸濁液塗布器1が図示されていることが分かる。これらの壁2および3の各々の側で、側部プレート4がネジ5によって固定されている。
【0026】
したがって、懸濁液リザーブ6(図4)が形成され、これは、プレート2、3、および4によって区切られ、下面または解放面(FL)は、プレート3および4の縁部によって形成され、スリット状の穴Tを有する(図3を参照)。
【0027】
横プレート3は、塗布器ホルダー8にネジを固定する通路のための穴7を有する。塗布器ホルダー8は、その塗布器1と共に、水平な受容面10を縁取るレール9にスライド可能に取り付けられている(図5を参照)。
【0028】
凹部11は、上部プレート2に設けられており、その各々が、ホース13の端部フィッティング12を受け入れるのに適している。ホース13は中間接続部14に接続され、そこからホース15が延び、2つのホース15は中間接続部(図示せず)に結合され、そこから外部懸濁液タンク(図6のR)に接続するためのホースが延びる。
【0029】
凹部11は、各々がリザーブ6内に浸る内部懸架分配チューブ16に接続されている。
【0030】
リザーブ6への懸濁液の供給は、例えば、塗布器1が静止している間、特に受容面の横方向縁部で、懸濁液を供給するために1つまたは複数の分配弁を開くようにプログラムされた装置(図示せず)によって制御される。
【0031】
プレート2はまた、ホース18によってペアで中間接続部19に接続され、そこから真空形成装置(図示せず)への接続が行われる真空タッピング17を有する。
【0032】
プレート4の各々は、図示の例では、その下縁部に沿ってスクレーピングブレードLを有し、これは、ここでは、押しシールドの形態を有する(図3)。この形態の詳細は、2019年7月8日に出願人の名前で出願された「光造形によってセラミックスピースを製造するための機械用にペーストの層を塗布するための装置(Device for applying layers of paste for a machine for manufacturing ceramic pieces by stereolithography)」というタイトルのフランス特許出願に見出すことができる。例えば、入口角度が大きい(例えば、45°)か、層流を促進する場合は、入口角度が小さい、傾斜したブレードなど、他の形状のスクレーピングブレードを使用することができる。
【0033】
図示の例では、懸濁液塗布器は2つのブレードLを有し、その各々が2つの移動方向のうちの1つでアクティブとなる。
【0034】
本発明に係る機械は、以下のように動作する。
(a)塗布器1を移動させることによって、バット(B)の底部に懸濁液の第1の層Cを形成する(図6)。懸濁液のリザーブ6はタンクRから事前に充填されている。この操作では、懸濁液の望ましくない堆積を回避し、この堆積を調整するために真空が必要である。
(b)所望のパターンに従って第1の層を硬化させる。
(c)塗布器1を1層の高さだけ持ち上げる。
(d)塗布器1を反対方向に移動することによって第2の層Cを形成する
(e)第2の層Cを硬化させる。
グリーン体部品の構築のためにステップ(c)および(e)を繰り返す。
【0035】
図6は、塗布器1がバットBの底部から毎回1層ずつ上昇する本発明に係る機械を示している。
【0036】
あるいはまた、図7b、図7c、または図7dに示すように、作業面を下げることもできる。言い換えれば、各々の層の形成で下降するのはバットの底部である。
【0037】
ここで図7aを参照すると、塗布器1が懸濁液リザーブ6から前の層に懸濁液を堆積させると、波Vが塗布器の前方に形成され、これが前部ブレードによってこすり落とされることが分かる。
【0038】
(リザーブ6を充填する)初期位置、(実際の堆積中の)中間位置、および(堆積後の)最終位置にある塗布器1を示す図7bを参照すると、オーバーフローTPが、開始位置の反対側のタンクの縁部に設けられていることが分かる。オーバーフローTPに落ちる懸濁液は、有利には、外部燃料タンクRに戻すことができる。
【0039】
図7cを参照すると、未硬化の場所における前の層のレベルが、層の残りの部分と比較して低すぎる状況が表されていることが分かる。この場合、不足している懸濁液材料の供給が行われる。
【0040】
図7dを参照すると、未硬化の場所における前の層のレベルが、層の残りの部分と比較して高すぎる状況が表されていることが分かる。この場合、過剰なスラリー材料の吸引が行われる。
【0041】
図8を参照すると、懸濁液リザーブ6が上部プレート2に垂直で、懸濁液出口スリットTの近傍まで下向きに延在する3つの仕切り20によって区画(図示の例では4つ)に分割されているという点で塗布器1とは異なる塗布器1’が示されていることが分かる。
【0042】
塗布器1の構成要素と同一の塗布器1’の構成要素は、同じ符号によって示されている。
【0043】
仕切り20によって形成される区画は、実質的に同じ容積であり、各々は、図5に示されるようなホース13と同様のホースによって懸濁液が供給され、真空タッピング17によって真空形成装置に接続される。
【0044】
図示の例では、仕切り20は、区画の各々から懸濁液が出るのを容易にするために、底部が面取りされている。
【0045】
ホース13の端部フィッティング12を受け入れる凹部11の内部に取り付けられた内部分配チューブ16は、図8には示されていない。
【0046】
したがって、各々の区画には独自の供給システムと真空システムがあり、区画ごとに供給と真空引きを制御できる。
【0047】
また、必要に応じて前壁4に入れて、その堆積中の懸濁液の挙動を観察することができる制御窓21が、図8に示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8