(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】鼻及び口呼吸センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230713BHJP
A61B 5/087 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/087
(21)【出願番号】P 2021570381
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020037060
(87)【国際公開番号】W WO2020252070
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520365182
【氏名又は名称】バイエア メディカル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハベリ、ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ランタ、ヤンネ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0146887(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174574(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0279881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0116088(US,A1)
【文献】特表2018-509947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸センサ・デバイスによって、前記呼吸センサ・デバイスに近接する患者の呼吸数を測定するステップと、
前記患者の前記呼吸数を測定するステップに応答して、前記呼吸センサ・デバイスによって
、前記呼吸センサ・デバイスと第1の監視デバイスとの間のペアリング・プロセスを容易にするように構成されている、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するステップと、
前記呼吸センサ・デバイスによって、前記無線アドバタイズメント信号を同報通信するステップの後に、前記呼吸センサ・デバイスと前記第1の監視デバイスとの間の前記ペアリング・プロセスを実行するための無線要求を受信するステップと、
前記無線要求を受信するステップに応答して、前記呼吸センサ・デバイスと前記第1の監視デバイスとの間の前記ペアリング・プロセスを自動的に完了するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ペアリング・プロセス中に、患者の患者識別子を受信するステップであって、前記患者識別子が、前記ペアリング・プロセスが開始される前に収集される、前記患者識別子を受信するステップと、
前記患者識別子を受信するステップに基づいて、前記ペアリング・プロセスを完了するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呼吸センサ・デバイスによって、前記患者識別子を受信するステップに応答して、前記患者識別子を、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた識別子に自動的に関連づけるステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線アドバタイズメント信号を同報通信するステップの前に、前記測定された呼吸数の値が、呼吸数値の閾値を満たすかどうかを判断するステップと、
前記測定された呼吸数の前記値が前記呼吸数値の閾値を満たす場合、前記無線アドバタイズメント信号を自動的に送信するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定された呼吸数の前記値が、前記呼吸数値の閾値を満たすには、所定の値以上である前記呼吸数の所定の回数の測定が必要となる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記呼吸センサ・デバイスにおいて、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた色に関するデータを、前記監視デバイスから受信するステップと、前記呼吸センサ・デバイスのLEDに、前記色を表示するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記センサ・デバイスによって、前記色に関する前記データを受信するステップの前に、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた識別子を前記監視デバイスに供給するステップ
をさらに含み、前記色が、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記識別子に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記色が、前記呼吸センサ・デバイスの閾値距離内にある、他のセンサ・デバイスに関連づけられた色に基づいて判断される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の監視デバイスとの無線接続の喪失を検出するステップと、
第2の無線アドバタイズメント信号を同報通信するステップに応答して、前記呼吸センサ・デバイスと第2の監視デバイスとの間での第2のペアリング・プロセスを実行するための第2の無線要求を受信するステップと、
前記第2のペアリング・プロセスを完了した直後に、前記患者識別子を前記第2の監視デバイスに送信するステップと、
前記第2の監視デバイスを前記患者と関連づけさせるステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
第1の患者の患者識別子を受信するステップと、
前記患者識別子を受信するステップに応答して、監視デバイスによって
、前記監視デバイスを複数のセンサ・デバイスのうちの呼吸センサ・デバイスと通信可能に連結するペアリング・プロセスを、自動的に開始するステップと、
前記プロセスを前記開始するステップの後、前記呼吸センサ・デバイスからの無線アドバタイズメント信号を検出するステップであって、前記無線アドバタイズメント信号が、前記呼吸センサ・デバイスが患者から呼吸数を受信し、前記監視デバイスとペアリングされる準備ができていることを示す、ステップと、
前記検出するステップに応答して、前記監視デバイスを前記呼吸センサ・デバイスとペアリングするステップと、
前記ペアリングするステップに応答して、前記呼吸センサ・デバイスから前記呼吸数を受信するステップであって、前記呼吸数が、前記監視デバイス及び前記呼吸センサ・デバイスが接続される前に、前記呼吸センサ・デバイスによって検出される、ステップと
を含む、方法。
【請求項11】
呼吸センサ・デバイスに関連づけられた識別子を受信するステップと、
前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた色を判断するステップと、
前記色を、前記監視デバイス及び前記呼吸センサ・デバイスと自動的に関連づけるステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記識別子に基づいて、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記色を判断するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
特定の地理的場所にある前記複数のセンサ・デバイスのうちの、他のセンサ・デバイスに関連づけられた色に基づいて、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられる前記色を判断するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記色を、前記患者識別子に関連づけるステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記色を示すデータを前記呼吸センサ・デバイスに送信するステップと、
前記色を、前記呼吸センサ・デバイスの多色発光ダイオード(LED)に表示させるステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記監視デバイスの1つ又は複数の表示構成要素を、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記色に関連づけるステップと、
前記1つ又は複数の表示構成要素のうちの少なくとも一部を、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記色で表示するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
第1の監視デバイスと、
呼吸センサ・デバイスと
を備えるシステムであって、前記呼吸センサ・デバイスが、メモリと、1つ又は複数のプロセッサとを備え、前記1つ又は複数のプロセッサが、前記メモリに記憶されている命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記呼吸センサ・デバイスに近接する患者の呼吸数を測定させ、
前記呼吸数の測定に応答して、前記呼吸センサ・デバイスと前記監視デバイスとの間のペアリング・プロセスを容易にするように構成されている、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信させ、
前記無線アドバタイズメント信号の同報通信の後に、前記呼吸センサ・デバイスと前記第1の監視デバイスとの間の前記ペアリング・プロセスを実行するための無線要求を受信させ、且つ
前記無線要求の受信に応答して、前記ペアリング・プロセスを自動的に完了させる
ように構成されている、システム。
【請求項18】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記ペアリング・プロセス中に、患者の患者識別子を受信させ、且つ
前記患者識別子の受信に基づいて、前記ペアリング・プロセスを完了させる
ように構成され、前記患者識別子が、前記ペアリング・プロセスが開始される前に収集されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記患者識別子の受信に応答して、前記患者識別子を、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた識別子に自動的に関連づけさせる
ように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記無線アドバタイズメント信号を同報通信する前に、前記測定された呼吸数の値が、呼吸数値の閾値を満たすかどうかを判断させ、且つ
前記測定された呼吸数の前記値が前記呼吸数値の閾値を満たす場合、前記無線アドバタイズメント信号を自動的に送信させる
ように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記測定された呼吸数の前記値が、前記呼吸数値の閾値を満たすには、所定の値以上である前記呼吸数の所定の回数の測定が必要となる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた色に関するデータを、前記監視デバイスから受信させ、且つ前記呼吸センサ・デバイスのLEDに、前記色を表示させる
ように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記色に関する前記データを受信する前に、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた識別子を供給させる
ように構成され、前記色が、前記呼吸センサ・デバイスに関連づけられた前記識別子に基づく、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記色が、前記呼吸センサ・デバイスの閾値距離内にある、他のセンサ・デバイスに関連づけられた色に基づいて判断される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つ又は複数のプロセッサが、命令を実行して、前記呼吸センサ・デバイスに、
前記第1の監視デバイスとの無線接続の喪失を検出させ、
第2の無線アドバタイズメント信号の同報通信に応答して、前記呼吸センサ・デバイスと第2の監視デバイスとの間での第2のペアリング・プロセスを実行するための第2の無線要求を受信させ、
前記第2のペアリング・プロセスを完了した直後に、前記患者識別子を前記第2の監視デバイスに送信させ、且つ
前記第2の監視デバイスを前記患者と関連づけさせる
ように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年6月11日に出願された米国特許出願第16/438,410号、名称「鼻及び口呼吸センサ(NASAL AND ORAL RESPIRATION SENSOR)の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、概ね、医療用センサに関する。より詳細には、本開示は、呼吸状態及び人の動きの測定及び分析を含む、個人又は患者を継続的に長期にわたって監視するための呼吸センサに関する。
【背景技術】
【0003】
人の呼吸は、様々な理由で監視されることがある。たとえば、患者の呼吸に関する知識は、介護者が、手術中の患者の安定性及びその後の回復を評価するのに役立つ場合がある。人の呼吸に関する知識は、睡眠に関連する治療にも役立ち得る。
【0004】
呼吸センサの多くの手法は、患者の呼吸路を塞ぐ可能性がある面倒なデバイスを必要とする。多くの適用例では、患者は意識不明又は半ば意識のある状態であり、呼吸センサを長期間所定の場所に固定するという課題がある。したがって、多くの既存のシステムでは、看護師が、センサの配置又は故意でないセンサの動きについて、患者を頻繁にチェックする必要がある。さらに、多くのデバイスが、人間の呼吸路の形体に起因して、患者の鼻孔及び口のいずれに関しても混乱するような読取り値を生じさせ、吸息ステップと呼息ステップとの差異のあるデータを明確に区別して提示し損なう傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
呼吸機能不全である患者のための医療介護の分野では、患者の呼吸周期の継続的なリアルタイムでの測定方法を提供することが極めて望ましい。患者の呼吸周期の測定において、課題の1つは、吸気周期と呼気周期とを明確に区別することである。この厄介な問題は、鼻及び口の気流(患者の内外への)が互いに近接し、その結果いくつかの場所で気流の混合、乱流、停滞の可能性を高めるような、人間の顔つきによって一層ひどくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、個人又は患者の呼吸状態及び周期を監視及び分析し、呼吸センサが意図した通りに配置されていることを確認するために監視及び分析し、呼吸センサを使用している人の動きを検出し、口空気流と個々の鼻空気流とを検出して区別し、呼吸センサ及びデータをネットワークと統合する呼吸センサを提供するが、これに限定されるものではない。
【0007】
いくつかの実施例では、本開示は、筐体を貫いて延在する鼻流路を有する筐体であって、鼻流路が鼻呼吸流の方向とほぼ平行に配置されている筐体と、鼻サーミスタを備える電子基板とを備え、電子基板が、鼻サーミスタが鼻流路内に配置されるように筐体と結合されている、呼吸センサを提供する。
【0008】
いくつかの実施例では、呼吸センサが開示され、呼吸センサは、筐体を貫いて延在する第1の鼻流路及び第2の鼻の流路を有する筐体であって、鼻流路が、鼻呼吸流の方向に対して互いに平行に配置されている、筐体と、第1の鼻サーミスタ及び第2の鼻サーミスタを備える電子基板とを備え、電子基板が、第1及び第2の鼻サーミスタがそれぞれ、第1及び第2の鼻流路のそれぞれの中に配置されるように筐体に連結結合されている。
【0009】
いくつかの実施例では、本開示は、吸息温度、呼息温度、呼吸センサの近隣の周囲温度、又は呼吸センサに係合された患者の皮膚の温度のうちの、少なくとも1つを検出するよう構成された1つ又は複数のサーミスタと、患者の動き、患者の姿勢、心拍数、又は呼吸数のうちの少なくとも1つを検出するよう構成された加速度計と、1つ又は複数のサーミスタに結合された電子基板及び1つ又は複数のサーミスタとを備える、呼吸センサを提供する。
【0010】
いくつかの実施例では、本開示は、コマンドを記憶するメモリを備えるサーバと、ハブから、患者の呼吸状態を示すデータを受信し、データを遠隔サーバのメモリ内に転送し、データを要求に応じて携帯型コンピュータ・デバイスに供給し、且つデータをグラフィック表示するよう携帯型コンピュータ・デバイスに命令するためのコマンドを実行するよう構成されたプロセッサとを備え、データが、2つの鼻流路のうちの少なくとも一方からの温度値、口流路からの温度値、患者の皮膚表面の温度値、及び患者の環境の温度値を含む、システムを提供する。
【0011】
本開示のいくつかの実施例では、方法が開示され、この方法は、ハブから、患者の呼吸状態を示すデータを受信するステップと、データを遠隔サーバのメモリ内に転送するステップと、データを要求に応じてモニタに供給するステップと、モニタにデータをグラフィック表示するよう命令するステップとを含み、データが、2つの鼻流路のうちの少なくとも一方からの温度値、口流路からの温度値、患者の皮膚表面の温度値、及び患者の環境の温度値を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、呼吸センサ・システムが開示され、呼吸センサ・システムは、筐体を貫いて延在する鼻流路を有する筐体であって、鼻流路が鼻呼吸流の方向と整列している筐体、及び鼻サーミスタを備える電子基板であって、鼻サーミスタが鼻流路内に配置されるように筐体と結合された電子基板を備える呼吸センサ、並びに呼吸センサとネットワークとの間でデータを移動させるよう構成されるハブを備える。
【0013】
本技術のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載することとし、その説明から部分的に明らかになるか、又は本技術を実施することによって知ることができる。本技術の利点は、記載されている説明及びその実施例、並びに添付図面で具体的に指摘した構造によって、実現及び達成されるであろう。
【0014】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明との両方が、例示的且つ説明的なものであり、本技術のより詳しい説明を提示することを意図していることを理解されたい。
【0015】
本発明の例示的な実施例の様々な特徴を、図面を参照して以下に説明する。図示の実施例は、本発明を例示することを意図しているが、本発明を限定することを意図するものではない。図面には、以下の図が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】いくつかの実施例による、患者の頭部に配置された呼吸センサの正面斜視図である。
【
図2A】いくつかの実施例による、患者の鼻腔から出るガス流の側面平面図である。
【
図2B】いくつかの実施例による、患者の口腔から出るガス流の側面平面図である。
【
図3】いくつかの実施例による、患者の鼻腔から出るガス流の正面平面図である。
【
図4】いくつかの実施例による、患者の鼻呼吸流及び口呼吸流の正面斜視図である。
【
図5】いくつかの実施例による、鼻流路及び口流路を有する呼吸センサの正面斜視図である。
【
図6】いくつかの実施例による、呼吸センサの鼻流路及び口流路の斜視詳細図である。
【
図7】いくつかの実施例による、呼吸センサのサーミスタに対する層状の呼吸流の断面図である。
【
図8】いくつかの実施例による、呼吸センサの流路の概略図である。
【
図9A】いくつかの実施例による、呼吸センサの正面斜視図である。
【
図9B】いくつかの実施例による、呼吸センサの背面斜視図である。
【
図10】いくつかの実施例による、患者の頭部に配置された呼吸センサの正面斜視図である。
【
図11】いくつかの実施例による、呼吸センサの正面斜視図である。
【
図13】いくつかの実施例による、呼吸センサの正面斜視詳細図である。
【
図15】いくつかの実施例による、鼻呼吸流及び鼻気流誘導部の概略図である。
【
図16】いくつかの実施例による、鼻気流誘導部の概略図である。
【
図17】いくつかの実施例による、呼吸センサの背面斜視図である。
【
図18】いくつかの実施例による、呼吸センサの空洞を通る呼吸流の概略図である。
【
図19】いくつかの実施例による、呼吸センサの空洞を通る呼吸ガス流の乱流の概略図である。
【
図20】いくつかの実施例による、呼息の間の乱流ノイズ流を示すグラフである。
【
図21A】いくつかの実施例による、患者の鼻腔から出るガス流の出口角度の正面平面図である。
【
図21B】いくつかの実施例による、患者の鼻腔から出るガス流の出口角度の側面平面図である。
【
図22A】いくつかの実施例による、患者に対する口空洞の位置の正面概略図である。
【
図22B】いくつかの実施例による、患者に対する口空洞の位置の側面概略図である。
【
図23】いくつかの実施例による、呼吸センサの正面斜視図である。
【
図24】いくつかの実施例による、様々な患者についての、
図23の呼吸センサでの測定値を示すグラフである。
【
図25A】いくつかの実施例による、相異なる患者の口に対する呼吸センサの口空洞の位置の正面平面図である。
【
図25B】いくつかの実施例による、相異なる患者の口に対する呼吸センサの口空洞の位置の正面平面図である。
【
図26】いくつかの実施例による、ストラップを備える呼吸センサの正面斜視図である。
【
図27】いくつかの実施例による、バンドを備える呼吸センサの正面斜視図である。
【
図28】いくつかの実施例による、呼吸センサの正面分解斜視図である。
【
図29】いくつかの実施例による、呼吸センサの電子基板及びフレームの上面斜視詳細図である。
【
図30】いくつかの実施例による、呼吸センサの電子基板の上面斜視図である。
【
図31】いくつかの実施例による、
図30の電子基板の上面斜視詳細図である。
【
図32】いくつかの実施例による、
図30の電子基板の底面斜視図である。
【
図33】いくつかの実施例による、フレーム及びバッテリと結合された、
図30の電子基板の上面斜視図である。
【
図34】いくつかの実施例による、呼吸センサの電子基板の構成図である。
【
図35】いくつかの実施例による、呼吸センサの電子基板の別の構成図である。
【
図36】いくつかの実施例による、呼吸センサの配置及び機能を判断するための、呼吸センサ検出状態表である。
【
図37】いくつかの実施例による、周囲空気温度が変化する中での息を示すグラフである。
【
図38】いくつかの実施例による、伝導温度が変化する中での息を示すグラフである。
【
図39】いくつかの実施例による、座っている姿勢から動いている姿勢へ、転倒した姿勢へ移行する患者が使用している、呼吸センサを示す図である。
【
図40】心臓の正面平面図及び心臓を通る血液循環の方向を示す図である。
【
図41】いくつかの実施例による、呼吸センサを利用する患者の身体の動きを検出する加速度計を備える、呼吸センサの正面平面図である。
【
図42A】いくつかの実施例による、EtCO2感応性表面(sensitive surface)を有する例示的な呼吸センサの正面分解斜視図である。
【
図42B】いくつかの実施例による、EtCO2感応性表面に電気的に接続された例示的な電子基板の正面分解斜視図である。
【
図43】いくつかの実施例による、呼吸監視システムの概略図である。
【
図44】いくつかの実施例による、患者に結合された呼吸センサ及び患者の近隣にあるハブの正面斜視図である。
【
図45】いくつかの実施例による、患者に結合された呼吸センサ及びハブの正面斜視図である。
【
図46】いくつかの実施例による、呼吸監視システムにおける呼吸センサとハブとの間の相互作用の斜視詳細図である。
【
図47】いくつかの実施例による、被り物と結合された呼吸センサ及びハブの正面斜視図である。
【
図48】いくつかの実施例による、別の被り物と結合された呼吸センサ及びハブの側面図である。
【
図49】いくつかの実施例による、呼吸監視システム用のモニタとしての、スマートフォンの正面斜視図である。
【
図50】いくつかの実施例による、呼吸監視システム用の別のモニタとしての、中央ステーションの正面斜視図である。
【
図51】例示的な実施態様による、生理学的パラメータを検出し、監視デバイスとのペアリング・プロセスを開始する、センサ・デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図52】例示的な実施態様による、センサ・デバイスの色を判断する、センサ・デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図53】例示的な実施態様による、新しい監視デバイスを患者に関連づける、センサ・デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図54】例示的な実施態様による、監視デバイスにおけるセンサ・デバイスとのペアリング・プロセスの、例示的な方法の流れ図である。
【
図55】例示的な実施態様による、患者の色を判断する、監視デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図56】例示的な実施態様による、患者による発話を検出する、例示的な方法の流れ図である。
【
図57】例示的な実施態様による、患者のセンサ・デバイスの位置を表示する、例示的な方法の流れ図である。
【
図58】例示的な実施態様による、ユーザ・インタフェースにおいて、リアルタイムでの患者のセンサ・デバイスの動きを表示する、例示的な方法の流れ図である。
【
図59】例示的な実施態様による、患者の睡眠時無呼吸を検出する、監視デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図60】例示的な実施態様による、患者が臨床医の指示に従っているかどうかを判断する、監視デバイスの例示的な方法の流れ図である。
【
図61】例示的な実施態様による、受信した息パターン・データに基づいて鼻腔の状態を検出する、例示的な方法の流れ図である。
【
図62】例示的な実施態様による、監視デバイスのユーザ・インタフェースを調整する、例示的な方法の流れ図である。
【
図63】例示的な実施態様による、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)が悪化する尤度を予測する、例示的な方法の流れ図である。
【
図64】例示的な実施態様による、患者の活動レベルを判断し、活動レベルを1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づける、例示的な方法の流れ図である。
【
図65】例示的な実施態様による、患者が移動した経路を判断し、この経路を1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づける、実例の流れ図である。
【
図66A】例示的な実施態様による、患者が移動した経路のグラフィック表現を表示する、境界を画されたエリアの例示的なグラフィック表現の図である。
【
図66B】例示的な実施態様による、患者が発症(health event)する可能性が高いかどうかを示す、リアルタイムでの測定値の例示的なグラフィック表示の図である。
【
図66C】例示的な実施態様による、患者が発症する可能性が高いかどうかを示す、リアルタイムでの測定値の別の例示的なグラフィック表示の図である。
【
図67】例示的な実施態様による、センサ・デバイスの電子組立体の側面斜視詳細図である。
【
図68】例示的な実施態様による、センサ・デバイスの電子基板の側面斜視詳細図である。
【
図69】例示的な実施態様による、センサ・デバイスの電子基板の側面斜視詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図において、同一又は類似の参照番号を有する要素は、特に明示的に記載しない限り、同一又は類似の機能又は構成を有する。
【0018】
本技術の様々な構成は、本開示によって当業者に容易に明らかとなり、本技術の様々な構成が例として示され、説明されていることを理解されたい。理解されるように、本技術は他の相異なる構成が可能であり、本技術のいくつかの詳細は、すべて本技術の範囲から逸脱することなく、他の様々な点で修正が可能である。したがって、要約、図面、及び詳細な説明は、本質的に、限定的ではなく例示と見なされるべきである。
【0019】
以下に示す詳細な説明は、本技術の様々な構成の説明として意図しており、本技術が実施され得る唯一の構成を表すことは意図していない。添付図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明には、本技術の完全な理解を可能にするための具体的な詳細が含まれている。しかし当業者には、本開示の実施例が、こうした具体的な詳細の一部がなくても実施できることが明らかであろう。他の例では、よく知られた構造及び構成要素は、本技術の概念を曖昧にすることを避けるために、構成図の形で示しているか、又は本開示を曖昧にしないように、詳細には示していない。同じ構成要素には、理解を容易にするために、同様の要素番号が付けられている。
【0020】
本明細書に開示されている少なくともいくつかの実施例によれば、呼吸センサは、鼻呼吸及び口呼吸のガス流を監視し、患者及び周囲の状態を監視し、呼吸センサの動きを監視し、口の空気流と鼻の空気流との間、並びに左の鼻の空気流と右の鼻の空気流との間を区別することができる。呼吸センサは、吸気ガスと呼気ガスとの熱伝達の差異を識別及び分析し、呼吸周期の明確なパターンを提示することができる。
【0021】
本明細書で開示されている少なくともいくつかの実施例では、鼻呼吸及び口呼吸のガス流、心拍数、呼吸数又は呼吸周期、並びに呼吸センサ及び患者の動きのいずれもが判断される。本開示の実施例は、呼吸センサによる監視及び分析に関連するデータを送受信し、患者の状態又は姿勢を示し、且つ特定の条件に対応する信号又はアラームを供給することができる。いくつかの実施例では、無線通信技術を利用して、病院、治療施設、在宅医療状況などにおける患者の呼吸を感知する、広範な解決策を提供する。
【0022】
I.呼吸センサの実施例
図1は、いくつかの実施例による、患者の頭部20に配置された呼吸センサ10を示している。呼吸センサ10は、患者の顔の口と鼻との間に配置され、鼻息及び口の息のガス流を測定する。ガス流の測定は、吸息のガス流と呼息のガス流との温度差の測定に基づいている。呼吸センサ10が患者に対して適切に配置されていることを検証するために、患者の皮膚及び周囲空気の温度も測定され得る。後ほど説明されるいくつかの実施例は、静電容量式センサ又は検出器及び加速度計などの他のセンサを備え、呼吸センサ10が所定の場所から外れていないこと、及び呼吸センサ10が患者の顔つきと適切に密着していることを確認する。固定紐又はストラップ15は、患者の顔つきに対応した呼吸センサ10の位置を維持する助けとなる。
【0023】
いくつかの実施例によれば、
図2A及び
図3は、患者の鼻腔から出るガス流の領域200a、200cを示し、
図2Bは、患者の口腔から出るガス流の領域200bを示している。実験では、息のガス流は、鼻腔及び口腔から、様々な被験者間で様々な領域に出ることを示した。したがって、本明細書に開示されている呼吸センサの実施例は、患者の呼吸周期のより正確な測定を可能にするために、領域200a、200b、200cを通る様々な気流のそれぞれを分離することができる幾何形状を有している。したがって、患者の顔に対応した呼吸センサ100a、100bの、正確な位置決めの判断が極めて望ましい。
【0024】
図4は、いくつかの実施例による、患者20の鼻呼吸流600C及び口呼吸流600Bの一部を示している。呼吸センサのセンサ空洞は、患者からの鼻息及び口の息のガス流を取り込む。センサ空洞は、息の特定の流れの平均方向に平行に配置され、空洞の内側で可能な限り層状の気流を維持する。したがって、鼻用センサ空洞は、鼻と口との間で互いに平行に配置されるが、上唇にも平行に配置される。より有利なことには、鼻用センサ空洞は、鼻息のガス流の平均方向にわずかに広がって、口の中央部分及び上唇を通過する。口用センサ空洞は、鼻腔を横切って、口から外側に向けて配置される。いくつかの実施例では、口用センサ空洞及び鼻用センサ空洞は、互いに対して、口空洞を通る口呼吸流600Bの方向がいずれの鼻用センサ空洞を通る鼻呼吸流600Cの方向に対しても横切るように配置される。センサ空洞はまた、凸凹がなく真っ直ぐであるか、又はより有利には、より広いエリアからの気流を取り込むためにわずかに先細になっている。というのは、気流の経路に沿った空洞の断面のどんな曲がり又は突然の変化も、測定速度、精度、及び応答時間を劣化させる、吸息の空気流の相と呼息の空気流の相とが混合する乱流を作り出すからである。
【0025】
図5は、たとえば、鼻流路301及び口流路302を有する、呼吸センサ100aを示している。患者の鼻腔を出る鼻呼吸流、たとえば、ガス流領域200a、200cは、鼻呼吸流600Cの平均方向に平行な鼻通路301で取り込まれ、誘導され得る。同様に、患者の口を出る口呼吸流、たとえば、ガス流領域200bは、口呼吸流600Bの方向に平行な口空洞302で取り込まれ、誘導され得る。呼吸センサ100aは、相異なる流路301及び302のそれぞれの内側に感知要素を備えることにより、鼻の気流及び口の気流が患者の上唇の近隣で一体に混合される前に、呼吸流を正確に判断することができる。
【0026】
図6は、呼吸センサ100aを示しており、呼吸センサの一部が、鼻流路301及び口流路302の詳細図を含む、詳細図で示されている。呼吸センサ100aは、吸気及び呼気の気流を感知するサーミスタ400-1、400-2、400-3を備えている。患者の鼻呼吸流は、鼻通路301で取り込まれ、鼻通路301内の第1及び第2の鼻サーミスタ400-1、400-2を使って測定され得る。患者の口呼吸流は、口空洞302で取り込まれ、口空洞302内のサーミスタ400-3を使って測定され得る。各サーミスタの抵抗値は、たとえば吸息中及び呼息中に、サーミスタを加熱又は冷却するガスの流れに比例して変化する。
【0027】
さらに、鼻サーミスタ400-1及び400-2が、患者の鼻孔のそれぞれに関連する呼吸流を別々に識別及び測定することができるように、鼻流路301は互いに分離されている。患者の鼻孔のそれぞれに関連する呼吸流を別々に識別することにより、起こり得る呼吸状態又は患者の姿勢を判断することができる。たとえば、鼻通路又は呼吸デバイスが塞がれていることを、識別して修正することができる。
【0028】
いくつかの実施例では、口サーミスタ400-3は、鼻サーミスタ400-1、400-2に対して横方向又は実質的に垂直である平面上に配置される。この幾何形状により、正確で、サーミスタ400-1、400-2、400-3それぞれの間で独立した測定が可能になり、あらゆる混合又は乱流エリアを回避することもできる。
【0029】
図7及び
図8を参照すると、サーミスタ400-1、400-2、400-3は、ガス流に対する精度及び感度を最大化するために、サーミスタに対応するセンサ空洞のほぼ中央に位置することができる。サーミスタ400-1、400-2、400-3を対応するセンサ空洞の中央に配置するために、サーミスタ400-1、400-2、400-3は、細長い支持構造体730の先端部分に結合される。支持構造体は、電子基板に結合された近位部分と、電子基板の最上部によって画定される平面を横切る遠位部分とを有することができ、支持構造体の遠位部分は、鼻流路内に延在する。いくつかの実施例では、呼吸センサ100aは、患者の呼吸状態のより正確で詳細な事態を提示するために、鼻の気流を各鼻孔から別々に分離する構造及び幾何形状を有している。
【0030】
図7は、センサ空洞を通る患者の層状の呼吸流の断面を示している。管内の層流速度分布は放物線状であり、したがって速度は、管のほぼ中央のポイントで最大になる。呼吸流は、呼吸センサ100aのサーミスタ400-1に関連して示されているが、本開示は、どのサーミスタ400-1、400-2、400-3にも適用することができる。ガス流の速度が気流空洞の中心で最も速くなるので、たとえば、サーミスタ400-1を、可能な限り呼吸センサ100aの気流空洞の中央の近くに配置することにより、より正確な測定が期待される。したがって、吸気と呼気との温度差は、気流空洞の中央のポイントで最も大きくなると期待される。さらに、サーミスタ400-1、400-2、400-3が支持構造体730によって空洞の中央に位置する場合、周囲の構造体からの対流又は放射熱エネルギーが最小化される。
【0031】
図8は、呼吸センサ100aを示しており、呼吸センサ100aの一部が断面詳細図で示されている。断面図は、鼻流路301内に延在する支持構造体730、及び支持構造体730の遠位端部分に配置されたサーミスタ400-1を示している。支持構造体を備える本開示は、サーミスタ400-1、400-2、400-3及び流路301、302のいずれにも適用できることを理解されたい。
【0032】
支持構造体730は、呼吸センサ100aの一部分から鼻流路301内に延在している。支持構造体730は、部分的に流路301、302内に延在できることを理解されたい。支持構造体730は、たとえば、2つの鼻流路301のうちの少なくとも一方の中央部分内に延在することができる。本開示のいくつかの実施例では、支持構造体730は、それぞれの流路301、302を超えて又は横切って延在している。支持構造体730は、それぞれの流路301、302内に延在する片持ち構造であり得る。しかし、いくつかの実施例では、支持構造体730は、流路301、302の内面から離れる方向へ、サーミスタ400-1に向かって部分的に延在し、且つサーミスタ400-1から気流空洞の内面に向かって部分的に延在する、アーチ構造であり得る。いくつかの実施例では、支持構造体730及びサーミスタ400-1は、気流空洞の内面をわたって延在することができる。
【0033】
呼吸センサ100aは、センサ空洞を形成する内面を有する壁を備えている。空洞の壁は、サーミスタ400-1、400-2、400-3の少なくとも一部の周囲に延在する。壁は、敏感に反応するサーミスタ400-1、400-2、400-3を、息ガス流信号の測定に誤差をもたらす様々な周囲の妨害ガス流、たとえば、サーミスタに触れるか又は息を吹き込むことができる介護者、又はサーミスタ400-1、400-2、400-3に近接するエアコンから保護する。加えて、空洞を形成する壁は、小さい、機械的に影響を受け易いサーミスタを、様々な機械的な力、応力、及び接触などの衝撃からも保護する。
【0034】
図9A及び
図9Bは、いくつかの実施例による、たとえば、患者の顔つきに対するセンサの位置を感知する、サーミスタ500-1、500-2を備える呼吸センサ100aを示している。周囲サーミスタ500-1は、呼吸センサ100aの前面に沿って、呼吸センサ100aが患者によって着用されたときに患者とは反対側に向く、呼吸センサ100aの一部分の近隣に配置され得る。同様に、皮膚サーミスタ500-2は、呼吸センサ100aの背面に沿って、呼吸センサ100aが患者によって着用されたときに患者の方に向く、呼吸センサ100aの一部分の近隣に配置され得る。いくつかの実施例では、呼吸センサ100aが患者によって装着されたとき、サーミスタ500-1は患者の顔に対して遠位にあり、サーミスタ500-2は患者の上唇の近位にあり、患者の皮膚に係合している。
【0035】
呼吸センサ100aは、呼吸センサ100aの前面又は背面のいずれかに沿った通路又は空洞を有することができる。サーミスタ500-1は、周囲空気温度を測定するために、呼吸センサ100aの前面に沿った空洞内に配置され得る。サーミスタ500-2は、患者の皮膚の温度を測定するために、呼吸センサ100aの背面に沿った空洞内に配置され得る。
【0036】
場合によっては、サーミスタ500-2は、センサ100aが患者に適切に配置されているときに検出することができ、一方サーミスタ500-1は、周囲空気の温度を検出することができる。500-1と500-2との温度の比較を使用して、たとえば、患者の状態、又はセンサ100aの適切な配置及び機能を示すことができる。いくつかの実施例では、サーミスタ500-1及び500-2が同じ温度を検出する場合、呼吸センサ100aが患者に取り付けられていない可能性があるか、又は患者の体温が周囲温度と同じであり、危険な健康状態を示している可能性があると想定され得る。
【0037】
図10は、呼吸センサ100aと実質的に同様である呼吸センサ100bの別の実施例を示している。呼吸センサ100bもまた、患者の顔の口と鼻との間に配置され、鼻息及び口の息のガス流を測定する。呼吸センサ100aとほぼ同じように、測定は、吸息ガス流と呼息ガス流との温度差の測定に基づいている。患者の皮膚温度及び周囲空気温度も測定して、呼吸センサ100bが、患者の鼻息及び口の息のガス流並びに患者の上唇に対して適切に配置されていることを、検証又は検出することができる。
【0038】
本明細書に記載のいくつかの実施例は、呼吸センサ100bが患者の顔つきと適切に密着しているかどうかを検出する静電容量式検出器又はセンサ、呼吸センサ100bが、たとえば、所定の場所から外れていないこと、患者が倒れていないこと、又は患者の頭部の向きが鼻息及び口の息のガス流を塞いでいないこと(たとえば、患者の顔が枕又はベッドに向かって下向きであること)を確認するために、呼吸センサ100bの動き及び位置を検出する加速度計などの、他のセンサを備える。
【0039】
紐又はストラップ150bは、患者の顔つきに対応した呼吸センサ100bの位置を維持する助けとなる。いくつかの実施例によれば、呼吸センサ100bは、呼吸センサ100bを通る層状の吸息ガス流及び呼息ガス流を集めて供給する、鼻気流誘導部160を備えることができる。
【0040】
図11及び
図12は、筐体2001、基部2010、及びシュラウド2012を備える呼吸センサ100bを示している。シュラウド2012は、筐体2001と基部2010との間に配置され、空洞の少なくとも一部を形成する。呼吸センサ100bは、鼻流路301に類似する鼻流路2018、及び呼吸センサ100aの口流路302に類似する口流路2016を有する。鼻流路2018は、呼吸センサ100bの上部から底部まで延在する。患者の鼻からの鼻呼吸流は、使用中、鼻流路2018のそれぞれの鼻入口2024と鼻出口2026との間を移動することができる。それぞれの鼻流路2018の鼻入口2024は、呼息中に、息のガスが呼吸センサ100bに流入する場所である。それぞれの鼻流路2018の鼻出口2026は、吸息中に、周囲空気が呼吸センサ100bに流入する場所である。
【0041】
シュラウド2012は、シュラウド2012の前面から離れる方向に延在するバッテリ・フレーム2014を備える。バッテリ・フレーム2014は、バッテリを収容し、バッテリを基部2010に固定し、またシュラウド2012と筐体2001との間のエリアを2つの別個の鼻流路2018に分割し、そのため鼻サーミスタ400-1は、鼻流路2018のうちの一方の中央に配置され、鼻サーミスタ400-2は、鼻流路2018の他方の中央に配置されている。バッテリ・フレーム2014は、呼吸センサ100bの実質的に中央に配置され、呼吸センサ100bが患者の上唇の上に配置されるか又は上唇の近隣に取り付けられたときに、患者の鼻の中隔の下に位置するように配置構成されている。
【0042】
筐体2001は主に、ペーパ・バッテリを可撓で環境に優しいものにするセルロースで形成された、スペーサを使用するよう設計された、ペーパ・バッテリで作ることができる。ペーパ・バッテリは、機能が従来の化学電池と類似しており、非腐食性で且つ大規模な筐体を必要としないが、筐体として機能できるという重要な違いがある。
【0043】
口シュラウド2017は、シュラウド2012から延在し、口シュラウド2017の遠位部分を貫く通路を有する。この通路は、サーミスタ400-3が通路内に配置された口流路2016を形成する。口流路2016は、口サーミスタ400-3が口流路2016内の中央に配置されるように、配置構成されている。使用中、患者の口からの口呼吸流は、口入口3036と口出口2038との間を移動することができる。
【0044】
図13は、呼吸センサ100bの実施例を示し、基部2010及びシュラウド2012を図示しており、明確にするために筐体2001が省略されている。シュラウド2012は電子基板を収容し、電子基板を基部2010に固定している。サーミスタ400-1は、電子基板から、シュラウド2012を貫いて延在している。サーミスタ400-1、400-2は、シュラウド2012及び筐体2001が一体に結合されている場合、サーミスタ400-1、400-2の遠位部分が鼻空洞1301を形成する空間内に延在するように方向づけされている。
【0045】
呼吸センサ100bは、シュラウド2012を通して見ることができる発光ダイオード(LED:light-emitting diode)2013を備えることができる。LED2013は、ステータスの確認又は表示を可能にし得る。LED2013は、たとえば、呼吸センサ100bが別のデバイスと組み合わされているときを示すことができる。いくつかの実施例では、LED2013は、充電済み若しくは低バッテリ、呼吸センサ100bが意図した通りに機能していることの表示、又は呼吸センサ100bに問題が検出されたことの表示のうちのいずれでも示すことができる。LED2013は、たとえば、同じ部屋に多くの患者、呼吸センサ、及び監視デバイスがある病院のPACUにおいて、患者の場所を示すために使用され得る。LED2013を監視デバイスからオンにするか、又は一連の点滅を表示させて、患者及び接続されている呼吸センサの場所を示すことができる。これは、介護者が確実に、患者及び呼吸センサに接続された適切な監視デバイスを見ているようにするために、重要であり得る。呼吸センサ100a、100bなどの呼吸センサのいずれの実施例も、LED2013を備え得ることを理解されたい。
【0046】
いくつかの実施例では、スペーサ2019は、バッテリとバッテリ接点との間に配置され得る。スペーサ2019は、バッテリ接点がバッテリから離間された状態を維持し、これにより、バッテリ接点とバッテリとの間の導通を防ぐことができる。スペーサ2019は、呼吸センサ100bの使用を意図する前の、バッテリの放電を防ぐことができる。呼吸センサ100bの使用を意図するときに、スペーサ2019を、呼吸センサ100bから取り除くか、又は引き離すことができる。いくつかの実施例では、呼吸センサ100bは、バッテリと筐体2001又はシュラウド2012の外面との間に延在する、開口又は通路2015を有することができる。スペーサ2019は、スペーサ2019を呼吸センサ100bから引き離すために、通路2015を通って移動され得る。いくつかの実施例では、スペーサ2019は、ストリップ又はテープの形のプラスチック材料を含み得る。
【0047】
図14は、呼吸センサ100bの実施例を示し、基部2010、シュラウド2012、及び気流誘導部160を図示しており、明確にするために筐体2001の一部及び他の機構が省略されている。少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、それぞれの鼻流路2018内に配置され、少なくとも
図11及び
図12に示されているように、シュラウド2012と筐体2001との間に延在する。
【0048】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、それぞれの鼻流路2018の鼻入口2024に近接して配置され、少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、それぞれの鼻流路2018内に配置される。鼻気流誘導部160は、鼻入口2024及び鼻出口2026のいずれかに近接して、鼻流路内に配置され得る。鼻気流誘導部160は、鼻サーミスタ400-1又は400-2に対して整列し、ガスの流れを鼻サーミスタ400-1又は400-2に対する方に向ける。
【0049】
図14及び
図15は、呼吸センサ100b、患者の鼻の穴、及び周囲環境に対するガスの流れを示している。矢印2028は、呼息中の患者の鼻の穴から鼻サーミスタ400-1、400-2に向かう鼻呼吸流の一部を示しており、矢印2029は、吸息中の周囲環境から鼻サーミスタ400-1、400-2に向けられる周囲ガスの一部を示している。
【0050】
より詳細には、鼻入口2024に近接して配置された少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、呼息中に、呼吸センサ100bの鼻流路2018を通る息ガス流を誘導し、息ガス流がそれぞれの鼻サーミスタ400-1、400-2を通過するときに、息ガス流を層状に維持して、乱流ノイズを最小限に抑えながら、息ガス流をそれぞれの鼻サーミスタ400-1、400-2に向けて集める。同様に、鼻出口2026に近接して配置された少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、吸息中に、呼吸センサ100bの鼻流路2018を通る周囲空気流を誘導し、周囲空気流がそれぞれの鼻サーミスタ400-1、400-2を通過するときに周囲空気流を層状に維持して、乱流ノイズを最小限に抑えながら、周囲空気流をそれぞれの鼻サーミスタ400-1、400-2に向けて集める。
【0051】
少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、望ましからざる物体が鼻流路2018に入り、鼻サーミスタ400-1、400-2及び/又は鼻サーミスタに結合された支持構造体を妨害又は破壊するのを、防ぐことができる。少なくとも1つの鼻気流誘導部160はまた、筐体2001及び少なくとも1つの鼻気流誘導部160に対して、鼻サーミスタ400-1、400-2の周囲に空隙を形成し、これにより静電気放電(ESD:electro static discharge)が、鼻サーミスタ400-1、400-2及び鼻サーミスタ400-1、400-2に結合された支持構造体を介して、電子基板300に入るのを防ぐことができる。
【0052】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの鼻気流誘導部160は、1mm未満の厚さ及び2mmを超える高さを有する。いくつかの実施例では、2つ又は4つの鼻気流誘導部160が、鼻入口2024に近接してそれぞれの鼻流路2018内に配置され、且つ/又は2つ又は4つの鼻気流誘導部が、鼻出口2026に近接してそれぞれの鼻流路2018内に配置されている。いくつかの実施例では、鼻気流誘導部160の数は、鼻流路2018を通る適切なガス流を可能にするために、5個を超えない。
【0053】
図16は、鼻呼吸気流誘導格子2030の概略図を示している。気流誘導格子2030は、気流誘導部160と同様に機能することができ、呼吸センサ100bの空洞を通るガスの流れは、気流誘導格子2030によって方向づけられる。気流誘導格子2030は、交差し、互いに横切る壁を備えることができる。いくつかの実施例では、気流誘導格子2030は、鼻入口2024に近接して配置され、また気流誘導格子2030は、鼻流路2018の各鼻空洞の鼻出口2026に近接して配置されている。
【0054】
呼吸センサ100bのさらなるセンサが、
図17の呼吸センサ100bの背面斜視図に示されている。呼吸センサ100bは、呼吸センサ100bの後部に位置する、サーミスタ500-2及びセンサ1401を備える。サーミスタ500-2は、呼吸センサ100bの後部の近隣の、患者又は周囲環境に関する温度情報を提示することができる。センサ1401は、患者に係合することができる静電容量式プレートである。センサ1401は、患者の上唇と鼻との間の領域、たとえば、人中を含むエリアに係合し、患者の顔に対する呼吸センサ100bの場所を判断するための情報を提示することができる。
【0055】
II.呼吸センサを通るガス流
図17及び
図18を参照すると、呼吸センサ100bの口シュラウド2017は、口シュラウド2017の一部に沿って、又は口入口2036及び口出口2038に比べて先細の断面エリアを有することができる。口入口2036は、呼息中に息ガスが呼吸センサの口流路2016に流入する場所であり、口出口2038は、吸息中に周囲空気が呼吸センサの口流路2016に流入する場所である。
【0056】
いくつかの実施例では、
図17に示されているように、口シュラウド2017の断面エリアは砂時計の形状を形成する。口シュラウド2017の断面エリアは、たとえば、口入口2036から、口入口2036と口出口2038との間に配置された口サーミスタ400-3に向かって先細にすることができ、且つ口サーミスタ400-3から離れる方向へ、口出口2038に向かって先細にすることができる。いくつかの実施例では、
図18に示されているように、口シュラウド2017の断面エリアは、口入口2036から口出口2038に向かって先細にすることができる。口シュラウド2017の断面エリアは、口出口2038から口入口2036に向かって先細にすることもできる。
【0057】
いくつかの態様において、口シュラウド2017は、口シュラウド2017を通る気流を横切る断面の輪郭を有することができる。口シュラウド2017の断面の輪郭は、楕円形、円形、正方形、又は長方形など、任意の規則的な形状又は不規則な形状であり得る。
【0058】
図18は、口気流誘導部2034を備える、口シュラウド2017の詳細な概略図を示す。口シュラウド2017の口流路2016は、患者の口から排出される息ガス流を収集する。口シュラウド2017の断面エリアは、口入口2036から口サーミスタ400-3に向かって、また口サーミスタ400-3から口出口2038に向かって先細になっている。別法として、いくつかの実施例では、口シュラウド2017の断面エリアは、口出口2038から口入口2036の方へ先細であり得る。
【0059】
口気流誘導部2034は、口シュラウド2017の口流路2016を通って移動する口呼吸流2032の少なくとも一部を方向づけることができる。口気流誘導部2034は、口シュラウド2017の口入口2036に近接して配置され、また口気流誘導部2034は、口シュラウド2017の口出口2038に近接して配置されている。
【0060】
口入口2036に近接して配置された口気流誘導部2034は、呼息中に、口流路2016を通る息ガス流を誘導して、息ガス流が口サーミスタ400-3を通過するときに息ガス流を層状に維持して、乱流ノイズを最小限に抑えながら、息ガス流を口サーミスタ400-3に向けて集める。同様に、口出口2038に近接して配置された口気流誘導部2034は、吸息中に、呼吸センサの口流路2016を通る周囲空気流を誘導して、周囲空気流が口サーミスタ400-3を通過するときに周囲空気流を層状に維持して、乱流ノイズを最小限に抑えながら、周囲空気流を口サーミスタ400-3に向けて集める。
【0061】
口気流誘導部2034は、口流路2016内で、口シュラウド2017から延在する。口気流誘導部2034は、口シュラウド2017の内面から径方向内側に延在することができる。口気流誘導部2034は、口流路2016の一部を横切って延在するか、又は口流路2016を横切って延在し、口シュラウド2017の反対側の内面に係合することができる。いくつかの実施例では、口気流誘導部2034は、口入口2036と口出口2038との間に延在することができる。口気流誘導部2034は、平面、凸面、及び凹面のいずれかである、表面を有することができる。いくつかの実施例では、口気流誘導部2034は、水平に配置構成されている。いくつかの実施例では、1つの口気流誘導部2034が水平に配置構成され、別の口気流誘導部が垂直に配置構成されている。
【0062】
図19は、ガス流の乱流2040を生み出す可能性がある入口角度εを有する、口流路2016の概略図を示している。入口角度εが大きすぎる場合、口シュラウド2017は、吸息及び呼息の際に、両方向に乱流2040を生み出すようになる。
図20は、呼息中の乱流のノイズ流の乱流2040を示しており、これは、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2などのサーミスタで測定された電気信号の、呼息曲線2042で表されている。
【0063】
いくつかの実施例では、口入口2036の断面エリアは、睡眠中の患者の開いた口の寸法を模倣しているが、完全に開いた口よりはるかに小さく、患者の人差し指の直径よりも小さい。いくつかの実施例では、口入口2036は、垂直方向に楕円形である。かかる実施例では、楕円形の口入口2036の高さは約9mmであり、幅は約5mmなど、高さよりも短い。いくつかの実施例では、口出口2038は楕円形である。いくつかの実施例では、口出口2038は円形である。口入口2036と口出口2038との両方が楕円形であるいくつかの実施例では、入口角度εは比較的小さく、その結果、発生する乱流はより少ないが、ガス流は、あまり口サーミスタ400-3に向かって集まらない。いくつかの実施例では、口出口2038は約5mmである。
【0064】
入口角度及び気流空洞内での乱流発生の分析はまた、鼻流路301、2018を参照して使用され得る。
図21A及び
図21Bは、乱流2040の可能性を判断するために使用され得る、可能性のある鼻呼息流の角度の概略図を示している。たとえば、鼻の側部への気流の経路では、角度αが、気流の経路の気流幅Wを確定し、角度βが、鼻の気流の経路の方向を確定する。気流の幅Wは、両方の鼻孔からの気流の経路間の距離である。ガス流カラム(本明細書ではGFC:gas flow columnと呼ばれる)は、顔及び鼻から離れる方向に向けられたガス流である。たとえば、顔及び鼻から離れる方向に向けられた気流の経路では、角度γが、気流の経路の幅を確定し、角度δが、顔及び鼻から離れる気流の経路の方向を確定する。エリアCA(cross-sectional surface area)は、GFCの平均幅に影響を与える、鼻孔の断面エリアを画定する。概して、鼻孔の断面エリアCAがより小さいほど、GFCの平均幅は一層狭くなる。さらに、乱流2040は、鼻の側部まで遠い(たとえば、大きい角度β)、狭い(たとえば、小さい角度α及び小さい断面エリアCA)息GFCによって、サーミスタ400-1、400-2の周囲に生み出され得る。
【0065】
III.呼吸センサのサイズ及び調整可能性
図22A、
図22B、
図23、及び
図24は、患者の顔の特徴又は構造の、可能性のある距離又は寸法、測定した平均的な患者の顔の特徴を使用した、呼吸センサの可能性のある寸法の確定、及び様々な患者の顔の特徴又は構造についての平均測定結果を示している。
【0066】
図22A及び
図22Bは、呼吸センサが患者に配置又は取り付けられたときの、サーミスタ400-3を備える口空洞2016に対する患者の顔の特徴の、可能性のある距離又は寸法を示している。より具体的には、識別した寸法には、患者の鼻幅A1、峡部の幅B1、鼻底と上唇との間の距離C1、鼻底と口通路(たとえば、口)との間の距離D1、鼻通路の前縁部と上唇との間の距離E1、及び唇の厚さF1、たとえば、唇が人中に対して外方へ突出する距離が含まれる。
【0067】
図23は、たとえば、呼吸センサ100a、100bなどの呼吸センサを示し、呼吸センサの寸法を示しており、
図22A及び
図22Bに示されている、測定した患者の特徴の分析に対応することができる。したがって、
図22A及び
図22Bで識別される測定した顔の特徴は、呼吸センサ100a、100bの寸法の設計を容易にする助けとなる。A2は少なくともA1である必要があるが、患者の鼻孔を通る気流を確実に取り込むために、A2は、好ましくは、A1より長い。同様に、B2はB1以下である必要があるが、B2が確実に患者の鼻孔を通る気流を抑制又は妨害しないようにするために、B2は、好ましくは、B1より短い。
【0068】
図22A及び
図22Bに示されている測定した顔の特徴は、
図23に示されている呼吸センサの設計寸法を選択するために使用され得る。いくつかの実施例では、特定の患者の測定値を使用して、呼吸センサの設計寸法を選択することができる。いくつかの実例では、成人又は子供などの患者のグループの測定値を使用して、成人用呼吸センサ又は子供用呼吸センサに向けた設計寸法を選択することができる。
【0069】
測定した顔の特徴は、呼吸センサの設計寸法に対応することができる。たとえば、患者の鼻幅A1を使用して、呼吸センサの幅A2を選択することができ、患者の峡部の幅B1を使用して、バッテリ・フレーム2014の幅B2を選択することができ、鼻底と上唇との間の距離C1を使用して、呼吸センサ筐体2001の高さC2を選択することができ、鼻底と口通路との間の距離D1を使用して、鼻入口2024の近隣の、呼吸センサ100a、100bの最上部と口流路2016、302との間の距離D2を選択することができ、鼻通路の前縁部と上唇との間の距離E1を使用して、呼吸センサ100a、100bの奥行きを選択することができ、且つ唇の厚さF1を使用して、口流路302、2016の奥行きF2を選択することができる。
【0070】
いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの距離C2は、20mm未満であるが、好ましくは15mm未満である。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの距離C2は、様々な顔の構造に対応するように、約10mmである。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの幅A2は、25mmを超えるが、好ましくは、大きい幅A2によって患者のガス流を適切に取り込むために、約45mmである。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの距離D2は、5mmを超えるが、好ましくは10mmを超える。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの距離D2は、鼻孔から出るガス流を取り込むために、15mmを超える。いくつかの実施例では、鼻流路301、2018の断面エリアは、息ガス流を取り込むために、患者の鼻孔の断面エリアよりも大きい。いくつかの実施例では、バッテリ・フレーム2014は、峡部幅B1に対応する寸法B2を有し、好ましくは10mm未満であるが、より好ましくは5mm未満である。いくつかの実施例では、口流路2016は、患者の口から送られた息ガス流と平行に位置している。
【0071】
図24は、患者の鼻幅A1、人中幅B1、鼻底と上唇との間の距離C1、鼻底と口通路(たとえば、口)との間の距離D1、鼻通路の前縁部と上唇との間の距離E1、及び患者の唇の高さF1を含む、患者のサンプルの様々な顔の特徴についての平均測定結果のグラフ2044を示している。グラフ2044は、0歳から70歳までの間の女性、男性、及び子供を含む、45人の白人のグループの測定結果を示している。測定した値は、鼻通路のサイズ及び口通路の場所を含む、鼻及び口に対する呼吸センサ100a、100bの寸法設計に影響を与える。患者の測定値はまた、このグラフの測定した特徴の範囲外の場合があることを理解されたい。
【0072】
図25Aは、たとえば、鼻入口2024の近隣にある呼吸センサ100bの最上部と、口流路2016、302との間の距離D2を有する、呼吸センサ100bなどの呼吸センサを示している。距離D2は、距離D1がより短い患者の場合、約15mmに等しくなり得る。かかる呼吸センサは、約10mmから25mmの範囲の距離D1を有する患者に対応することができる。いくつかの実施例では、距離D1は、約5mmから50mmの間である。
【0073】
図25Bは、たとえば、より長い距離D1を有する患者用に約33mmに等しい距離D2を有する、呼吸センサ100bなどの呼吸センサを示している。かかる呼吸センサは、約24mmから40mmの範囲の距離D1を有する患者に対応することができる。いくつかの実施例では、距離D1は、約5mmから50mmの間である。
【0074】
図26及び
図27は、呼吸センサ100aを患者に取り付ける機構の実施例を示している。呼吸センサ100aを取り付ける機構は、患者の顔つきに対応して呼吸センサ100aの位置を維持することができる紐、ストラップ、又はバンドのいずれかを含むことができる。呼吸センサ100a又は100bを取り付ける機構のいずれも、呼吸センサを患者に取り付ける機構を含み得ることを理解されたい。
【0075】
図26に示されているストラップ150aは、ループを形成するために呼吸センサ100aに取り付けられた端部を有することができる。ストラップ150aは、患者がデバイスを着用されたときに呼吸センサ100aが患者の顔に係合するような、長さを有することができる。いくつかの実施例では、さらなるストラップ150bが、ストラップ150a又は呼吸センサ100aのいずれかから延在している。さらなるストラップ150bは、デバイスを患者に固定するための、さらなる支持及び張力を与えることができる。ストラップ150a及びさらなるストラップ150bは、ストラップ150aの一部が患者の耳の上に延在し、さらなるストラップ150bの一部が患者の耳の下に延在するように構成され得る。
【0076】
図27は、配置用バンド150cを備える呼吸センサ100aを示している。いくつかの実施例では、配置用バンド150cは、配置用バンド150cを覆い、患者の顔の好ましい配置部分にわたって延在するストラップを誘導するよう構成された、半剛性のフレーム構造を有する。いくつかの実施例では、配置用バンド150cは、使用中に配置用バンド150cの形状を実質的に保持するよう構成された、可撓性プラスチック材料を含む。可撓な配置用バンド150cは、第1の平面において、患者の顔に向かって、又は患者の顔から離れて移動することができる。配置用バンド150cは、第1の平面内で移動又は付勢され、患者の顔に係合し、患者の顔の形状に適応することができる。配置用バンド150cは、第1の平面を横切る第2の平面に対して可撓性がより低く、これにより、患者の顔に沿った配置用バンド150cの動き又はバンド150cの捩れを防ぐか又は抑える。
【0077】
配置用バンド150a、150cは、約5mmの幅を有することができるが、より広く又はより狭くすることができる。より広いバンドは、バンドによる顔上の表面圧力を減らすことができる。バンドの表面の少なくとも一部は、柔らかく且つ/又は通気性のある材料で覆われ得る。患者の顔又は皮膚に係合するよう構成されたバンドの表面は、たとえば、綿又は同様の材料を含むことができる。
【0078】
バンド150cの形状は、呼吸センサ100aから、患者の頬骨の下まで延在するよう構成される。バンド150cは、患者の頬骨の下のエリアから患者の耳に向かって湾曲し、S字曲線又は同様の形状を形成することができる。
【0079】
バンド150cは、1つ又は複数のさらなるバンド及び/又はストラップと結合され得る。バンド150cは、たとえば、ストラップ150a及び150bのいずれかに結合され得る。ストラップ150a、150bが、バンド150c及び呼吸センサ100aを患者の顔に向かって引っ張るとき、呼吸センサ100aの力ベクトルは、患者の顔又は上唇に向かってほぼ真っ直ぐである。したがって、バンド150cは、患者の峡部又は患者の顔若しくは唇の別の部分に対する表面圧力を、低下させることができる。
【0080】
IV.監視及び分析用呼吸センサの機構
図28は、いくつかの実施例による、たとえば、筐体2001、シュラウド2012、及び電子基板300を備える、呼吸センサ100a、100bの分解図を示している。
【0081】
電子基板300は、呼吸センサ100a、100bで使用される電子部品を備えている。電子基板300は、バッテリ1110、並びにサーミスタ400-1、400-2、400-3、及び静電容量式プレートなどのセンサを備えることができる。いくつかの実施例では、電子基板300は、たとえば、組立を低コストにするために、自動大量連続生産において一般的に使用される、自動で機械配置される部品を内蔵するガラス強化エポキシ・ラミネート材料(たとえば、FR4基板)で作られる。電子基板300は、基部プレート又はフレーム320に結合され得る。いくつかの実施例では、フレーム320は、プラスチックを含み、導電性エリア又は導体を有する。
【0082】
本開示のいくつかの実施例では、バッテリ1110は、使い捨て又は充電式バッテリであり得る。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、太陽光エネルギーによって給電されるよう構成される。たとえば、呼吸センサ100a、100bは、バッテリに連結され得る太陽光パネルを備えることができる。
【0083】
シュラウド2012は、センサの鼻流路及び口流路の少なくとも一部を画定する。いくつかの実施例では、電子基板300は、フレーム320とシュラウド2012との間に配置されている。フレーム320及びシュラウド2012のいずれも、呼吸センサ100a、100bが組み立てられるときに電子基板300を保護する、空洞を有することができる。フレーム320及び/又はシュラウド2012は、弾性シリコーン、プラスチック、又は類似の材料で作られ得る。
【0084】
いくつかの実施例では、周囲空気サーミスタは、さもなければ周囲空気の測定を妨害する息ガス流から、より一層離れて配置されている。本開示の態様では、シュラウド2012は、周囲空気が、シュラウド2012を通って周囲空気サーミスタと触れ、速い応答時間を得ることを可能にするだけでなく、たとえば周囲空気サーミスタが、指又はエアコンなどのどんな好ましからざる空気流への接触からも保護する、穿孔501を有することができる。
【0085】
図29を参照すると、フレーム320の一部は、サーミスタ400-1、400-2用支持構造体を形成することができる。電子基板300は、フレーム320の2本の柱が、サーミスタ支持構造体を形成するために電子基板300を貫通することを可能にする、2つの穿孔を有することができる。柱は、機械的に係止する仕組みを使用して、基板を所定の位置に配置して保持する。ネジ又は類似物は必要ない。柱はまた、柱の先端に、鼻息ガス流に敏感に反応するサーミスタ400-1、400-2が連結される電気接点を有している。柱の側面の導電性接続部1012はさらに、柱に隣接する電子基板300の上面の電気接点を介して、サーミスタ400-1、400-1を電子基板300に接続する。フレーム320が電子基板300の下に配置されると、フレーム320の最上面の電気接点が、電子基板300の底面の、隣り合う電気接点と接続する。導電性接着剤を使用して、電気的密着を確保することができる。いくつかの実施例では、口を通る息ガス流に敏感に反応するサーミスタ400-3は、電子基板300の先端に位置する。電子基板300に隣り合うフレーム320の底側部は、サーミスタ400-3を気流空洞の中央に配置することを可能にするために、嵌込み部303を有している。
【0086】
対応する周囲、皮膚、鼻、又は口の温度変化に比例するサーミスタ400-1、400-2、400-3からの電気信号は、導電性接続部1012及び導体を介して電子基板上の中央処理ユニットに伝導される。中央処理ユニットは、アナログ・データをデジタル形式に変換して、データを処理し、無線で、たとえばRF送信器を介して、ホストに送信することができ、そこでデータは、好適な形式の数字及び/又は波形で、介護者に図示又は表示され得る。
【0087】
図30は、いくつかの実施例による電子回路組立体1200、たとえば、2つの鼻流路サーミスタ400-1、400-2及び1つの口流路サーミスタ400-3を備えることができる、任意の呼吸センサ100a、100bの詳細図を示している。サーミスタ400-1及び400-2は、鼻孔からの息を測定するよう構成されている。サーミスタ400-3は、口からの息を測定するよう構成され得る。サーミスタ500-1(
図32参照)もまた、周囲温度を測定するために電子回路組立体1200内に備えられ得る。
【0088】
支持構造体1230-1、1230-2、1230-3は、ストリップの両側面に、ストリップの両端の電気接続部間の電線を収容している。支持構造体は、鼻気流サーミスタ400-1、400-2を支持することができる、第1及び第2の支持構造体1230-1、1230-2を含むことができる。さらに、第3の支持構造体1230-3は、口気流サーミスタ400-3を支持することができる。いくつかの実施例では、支持構造体1230-1、1230-2、1230-3は、電気的及び熱的に絶縁性の材料を含むことができる(たとえば、FR4基板)。サーミスタ400-1、400-2、400-3は、ストリップの第1の端部への電気接続のために、はんだづけされ得る。ストリップの第2の端部は、電子基板300の小さな穴の中に配置され、はんだづけされ、基板上の対応する電気接点に対する、ストリップの側面上の電気接続部を形成し、サーミスタ400-1、400-2、400-3を、電子基板の平面にあるセンサ電子回路に電気的に接続する。
【0089】
支持構造体1230-1、1230-2、1230-3内の銅又は類似物のトレースの断面エリアは、基板の平面からサーミスタ400-1、400-2、400-3までの導電体を通る熱流を最小限に抑えるために、縮小されている。サーミスタ400-1、400-2、400-3の熱質量を最小限に抑えるために、支持構造体1230-1、1230-2、1230-3は、熱的に非伝導性又は絶縁性の材料から形成され得る。これらの最適化により、サーミスタ400-1、400-2、400-3は、呼息中にサーミスタを通って流れる息ガス又は吸息中にサーミスタを通って流れる周囲ガスによって生じる熱変化に、可能な限り敏感に反応する。
【0090】
図31は、いくつかの実施例による、たとえば任意の呼吸センサ100a、100bの、鼻流路サーミスタ400-1の詳細を含む、電子基板300の部分
図1300を示している。支持構造体1230-1には、ストリップの先端に配置されたサーミスタ400-1を備えた、FR4基板のストリップが含まれ得る。支持構造体1230-1の底部では、はんだづけされた接点が、支持構造体1230-1の両側部の、サーミスタ400-1への電気接点を提供する(たとえば、+/-端子)。
【0091】
いくつかの実施例では、支持構造体1230-1、1230-2は、電子基板300に結合された近位部分と、電子基板300の最上部によって画定される平面を横切る遠位部分とを有することができる。電子基板が筐体内に配置されると、支持構造体1230-1、1230-2の遠位部分は、それぞれの鼻流路内に延在することができる。いくつかの実施例では、支持構造体1230-3は、電子基板300に結合された近位部分と、電子基板300の最上部によって画定される平面に垂直であるか、又は実質的に平行である遠位部分を有することができる。
【0092】
図32は、いくつかの実施例による、皮膚温度を測定するためのサーミスタ500-1、及び上唇でセンサの場所を測定するための静電容量式プレート又はセンサ1401を備える、呼吸センサ100a、100bの電子基板300の底部の詳細図を示している。電子基板を備える呼吸センサは、信号に基づいてオン/オフを切り替えられ得る。さらに、いくつかの実施例では、電子基板300は、加速度計1150を備えている。
【0093】
図33は、いくつかの実施例による、フレーム320及びバッテリ1110と結合された電子基板300の詳細図を示している。支持構造体1130-1及び1130-2は、電子基板から離れる方向に延在しており、それぞれサーミスタ400-1及び400-2を備えている。皮膚温度に敏感に反応するサーミスタ500-1は、基板の底面の、可能な限り皮膚に近い場所に位置することができる。いくつかの実施例では、サーミスタは、皮膚に最も近い距離を確保するために、上唇の上の2つの隆起部のうちの一方の近くに配置されている。フレーム320は、最も有利なことには、サーミスタの近隣に穿孔を有し、これにより、上唇の皮膚へのより適切な熱接触が可能になる。穿孔はまた、皮膚との伝導性を高めるために、熱伝導性材料が充填され得る。
【0094】
電子基板300は、バッテリ1110に向かって延在するバッテリ接点タブ1111を備えている。スペーサ2019の一部は、接点タブ1111がバッテリ1110から離間されるように、バッテリ接点タブ1111とバッテリ1110との間に配置される。バッテリ1110は、スペーサ2019が呼吸センサ100bと連結されているとき、呼吸センサ100bに電力を供給しない。
【0095】
いくつかの実施例では、基板300は、呼吸センサ100bが組み立てられたときに呼吸センサ100bの外面から見ることができる、LED2013を備えている。いくつかの実施例では、基板300は、マイク2020を備えている。マイク2020は、周囲の音又は患者が話しているのを検出することができる。マイク2020によって検出された音は、信号処理中に使用され得る。マイク2020によって検出された音は、たとえば、他のセンサからの信号中のノイズを低減又は除去するために、フィルタ処理で取り除かれ得る。
【0096】
いくつかの実施例では、任意の呼吸センサ100a、100bは、リアルタイムで息の気流を検出するよう構成された、値頃な使い捨ての無線センサである。したがって、センサ100a、100bは、高い信号品質で、数日(たとえば、5日以上)の連続したリアルタイムでの高速の応答動作を実現することができる、バッテリ1110を備えている。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、呼吸数(RR:respiration rate)及び大きさを測定し、デジタル及び/又はアナログ形式でリアルタイムに呼吸波形を提示するよう構成される。さらに、呼吸センサのプロセッサ回路は、リアルタイム・データに基づいて、傾向及び見込みを判断するよう構成され得る(たとえば、移動平均、カルマン・フィルタ処理などを使って)。呼吸センサ100a、100bは、皮膚温度、身体の姿勢、動き、転倒検出(たとえば、加速度計1150によって)、センサ配置などを提示することもできる。
【0097】
V.読取り値を表示するための処理
図34は、いくつかの実施例による、呼吸センサ100a、100bの電子基板300で利用される構成要素の構成
図1410を示している。かかる実施例では、電子基板300は、温度-電圧変換器1412、アナログ-デジタル(AD:analog-to-digital)変換器1414、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)1416、及び構内ネットワークに接続されているネットワーク・リンクに結合する双方向データ通信を可能にする、通信モジュール又は無線トランシーバ1418を備えている。かかる通信は、たとえば、無線周波数トランシーバによって行われ得る。加えて、ブルートゥース、Wi-Fi、又は他のかかるトランシーバを使用するなど、短距離通信が行われ得る。いくつかの実施例では、CPU1416は、ブルートゥース低エネルギー・プロセッサ1160(
図33に示されている)を備えている。
【0098】
いくつかの実施例では、温度-電圧変換器1412は、サーミスタ500-1、サーミスタ500-2、サーミスタ400-1、サーミスタ400-2、及びサーミスタ400-3のいずれも備えている。いくつかの実施例では、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2のいずれかは、温度が上昇するとサーミスタの電気抵抗が減少するような、負の温度係数(NTC:negative temperature coefficient)型のサーミスタである。他のいくつかの実施例では、サーミスタのいずれかは、温度が上昇するとサーミスタの電気抵抗が増加するような、正の温度係数(PTC:positive temperature coefficient)型のサーミスタである。呼吸センサ100a、100bは、NTC型のサーミスタとPTC型のサーミスタとの任意の組合せを備えることができる。温度-電圧変換器1412は、サーミスタのいずれかで検出された温度抵抗値を、Vout1420で、電圧に変換又転換する。次いで、AD変換器1414は、Vout1420をデジタル形式に変換し、これは、さらなる処理及び計算のためにCPU1416によって受信される。いくつかの実施例では、CPU1416は、デジタル信号をホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスに送信することができる。CPU1416は、ブルートゥース低エネルギープロセッサ1160を介してデジタル信号を送信することができる。他のいくつかの実施例では、CPU1416は、ホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスへ無線送信するために、デジタル信号を通信モジュール又は無線トランシーバ1418に送信する。
【0099】
呼吸センサ100a、100bが、サーミスタ400-1、400-2、400-3を使って吸息ガス流と呼息ガス流との温度差を測定又は検出することに加えて、呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-1を使って周囲空気温度も、またサーミスタ500-2を使って患者の皮膚から伝導される温度も、測定又は検出する。
【0100】
サーミスタ500-1及びサーミスタ500-2は、場合によっては、広い動作温度範囲を有し、動作範囲の最低及び最高温度を含むように調整され得る。呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-1を使って周囲空気温度に、またサーミスタ500-2を使って皮膚温度に比例する電気信号電圧を測定又は検出し、吸息及び呼息ガス流の信号振幅からの、信号オフセット、ゲイン、及びピーク間の振幅誤差を補正するよう構成される。
【0101】
いくつかの実施例では、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2のいずれでも、吸息ガス流、呼息ガス流、周囲空気温度、及び伝導温度のいずれかを測定することができる。たとえば、呼吸センサ100a、100bがオンになっているが、まだ患者の顔に配置又は取り付けられていないとき、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2は、周囲空気温度を検出する。呼吸センサ100a、100bが患者の顔に配置又は取り付けられると、サーミスタ500-2は、患者の上唇の皮膚の温度の検出を開始する。その間、サーミスタ500-1は周囲空気温度を検出し続け、サーミスタ400-1、400-2、400-3は、吸息ガス流と呼息ガス流(たとえば、吸入された周囲空気及び肺から出てくる吐出された温かいガス)との温度差の検出を開始する。
【0102】
通常の安定した周囲条件の間で、呼吸センサ100a、100bが患者の顔に配置又は取り付けられた後に、サーミスタ500-2からの電圧信号(たとえば、周囲空気温度の検出)は安定しており、ゆっくりと変化する。一方、サーミスタ400-1、400-2、400-3の少なくとも1つからの電圧信号は、電圧信号の振幅が比較的速く変化する。サーミスタがNTC型であり、温度-電圧変換器1412が負帰還増幅器を備えるいくつかの実施例では、電圧信号は、周囲空気温度に比例する最大電圧と、吐き出された、患者の肺から出てくる暖かく湿ったガスの温度に比例する最小電圧との間で変化する。
【0103】
サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2がPTC型であり、温度-電圧変換器1412が正帰還増幅器を備える他の実施例では、電圧信号は、吐き出された、患者の肺から出てくる暖かく湿ったガスの温度に比例する最大電圧と、周囲空気温度に比例する最小電圧との間で変化する。NTC型とPTC型との両方のシナリオで、電気信号の周波数は、患者がどれだけ速く吸い込んで吐き出すかに応じて、0から3Hzの間(0~180RR/分)で変化する可能性がある。より小さい患者は、成人などの比較的大きい患者より、比較的速く息をする傾向がある。
【0104】
図35は、いくつかの実施例による、呼吸センサ100a、100bの電子基板300で利用される構成要素の構成
図1436を示している。かかる実施例では、電子基板300は、温度-電圧変換器1438、フィルタ1440、アナログ-デジタル(AD)変換器1442、中央処理ユニット(CPU)1444、及び構内ネットワークに接続されているネットワーク・リンクに結合する双方向データ通信を可能にする、通信モジュール1446を備えている。かかる通信は、たとえば、無線周波数トランシーバによって行われ得る。加えて、ブルートゥース、Wi-Fi、又は他のかかるトランシーバを使用するなど、短距離通信が行われ得る。いくつかの実施例では、CPU1444は、ブルートゥース低エネルギー・プロセッサ1160(
図33に示されている)を備えている。
【0105】
いくつかの実施例では、温度-電圧変換器1438は、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2のいずれも備えている。いくつかの実施例では、サーミスタのいずれかは、温度が上昇するとサーミスタの電気抵抗が減少するような、負の温度係数(NTC)型のサーミスタである。他の実施例では、サーミスタのいずれかは、温度が上昇するとサーミスタの電気抵抗が増加するような、正の温度係数(PTC)型のサーミスタである。呼吸センサ100a、100bは、NTC型のサーミスタとPTC型のサーミスタとの任意の組合せを備えることができる。温度-電圧変換器1438は、サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2のうちの1つで検出された温度抵抗値を、Vout1448で電圧に変換又は転換する。いくつかの実施例では、温度-電圧変換器1438は、Vout1448において、息ガス流信号の精度及び分解能を向上させるために、電圧を増加させる増幅器1451も備える。
【0106】
フィルタ1440は、息ガス流信号から、周囲空気温度の変化及び伝導する皮膚温度の変化のいずれも取り除くか又は差し引く。次いで、AD変換器1442は、フィルタ1440からの信号をデジタル形式に変換し、これは、さらなる処理及び計算のためにCPU1444によって受信される。いくつかの実施例では、CPU1444は、ブルートゥース低エネルギープロセッサ1160を介して、デジタル信号をホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスに送信することができる。いくつかの他の実施例では、CPU1444は、ホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスへ無線送信するために、デジタル信号を通信モジュール1446に送信する。いくつかの実施例では、フィルタ1440は、サーミスタ500-1によって検出された電気信号から、サーミスタ500-2によって検出された電気信号を差し引くよう構成される。いくつかの実施例では、フィルタ1440は、サーミスタ500-1によって検出された電気信号から、サーミスタ500-2によって検出された電気信号、並びに鼻サーミスタ400-1、鼻サーミスタ400-2、及び口サーミスタ400-3のいずれかによって検出された電気信号を差し引くよう構成される。
【0107】
図36は、呼吸センサの配置及び機能を判断するための、呼吸センサ検出状態表1458を示している。動作論理は、たとえば、サーミスタ500-1、サーミスタ500-2、及びサーミスタ400-1、400-2、400-3からの電気信号から導出され、呼吸センサ100a、100bの様々な状態を検出する。呼吸センサ100a、100bの様々な状態は、患者に対するセンサの配置、及びこうした状態を監視及び通知するセンサの機能を識別するために利用される。呼吸センサ100a、100bは、たとえば、呼吸抑制、痙攣、閉塞、及び他の症状の初期の兆候を識別し、これらを識別したことを通知することができる。呼吸センサ100a、100bはまた、かかる識別の通知に加えて、センサの不適切な配置が識別又は検出されたときに通知し、介護者に、患者をチェックしてセンサが患者の気道を塞いでいないこと、さもなければ患者を妨害していないことを確認するよう警告することもできる。
【0108】
呼吸センサ100a、100bは、まだ配置されていない状態(まだ配置されていない状態1460)、正しく配置され、測定している状態(正しく配置され、測定している状態1462)、正しく配置されているが、息がない状態(正しく配置されていて、息がない状態1464)、デバイスが緩んだ状態(緩んだ状態1466)、取り外されたか又は息がない状態(取り外されたか又は息がない状態1468)、及び動作温度が超過した状態(動作温度が超過した状態1470)を含むが、これらに限定されるものではない、様々な検出状態を有する。
【0109】
まだ配置されていない状態1460では、呼吸センサ100a、100bが、まだ患者に配置されていない。たとえば、呼吸センサ100a、100bがオンになっているが、患者の上唇にまだ配置又は取り付けられていない場合、サーミスタ500-2、サーミスタ500-1、及びサーミスタ400-3はすべて、周囲温度に比例する温度に対応した類似の信号を検出し、息インジケータ1453a(
図35に示されている)は、息を検出しない。これらの検出された条件の下で、呼吸センサ100a、100bは、まだ配置されていない状態1460にあると判断し、警告通知を送信しない。
【0110】
呼吸センサ100a、100bが患者の上唇に配置又は取り付けられた後、サーミスタ500-2は、サーミスタ500-1が周囲空気温度を検出し続けている一方で、上唇の皮膚温度に近い温度を検出して適合する。いくつかの実施例では、たとえば口髭によって生じるサーミスタ500-2の温度オフセット誤差は、温度検出が、センサが適切に配置されているかどうかを検出又は判断するのにかかる時間内に、温度変化を監視するのに十分である(たとえば、絶対値ではない)ので、無視することができる。患者の鼻通路と口通路との間のセンサの場所が適切であり、患者が息をしている場合、サーミスタ400-3は、連続的に変化するガス流(たとえば、息)の温度に適合して、検出し始める。この時点で、息インジケータ1453aは、サーミスタ400-3が息を検出したと判断する。これらの条件の下で、呼吸センサ100a、100bは、呼吸センサ100a、100bが正しく配置され、測定している状態1462にあると判断し、警告通知を送信しない。
【0111】
呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-2が皮膚温度を検出及び適合し続け、サーミスタ500-1が周囲空気温度を検出し続けているが、息インジケータ1453aが呼吸を検出しているとしても、サーミスタ400-3が、もはやガス流温度に十分に適合又は検出していない(たとえば、代わりに周囲空気温度を検出している)場合、呼吸センサ100a、100bが、正しく配置されていて息がない状態1464にあると判断する。正しく配置されていて息がない状態1464では、鼻腔及び/又は口腔間の呼吸センサ100a、100bの場所が不十分な可能性があり、センサ空洞を通るガス流が不十分な可能性があり、呼吸センサ100a、100bは、「息なし」が検出されたことを示す警告通知を送信することになる。正しく配置されていて息がない状態1464では、患者が十分に息をしておらず、臨床担当者による即時の手当てが必要な可能性もある。
【0112】
呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-1が周囲空気温度を検出し続けており、サーミスタ400-3がガス流温度を検出し、且つ息インジケータ1453aが息を検出している一方で、サーミスタ500-2が皮膚温度を検出せず、代わりに、サーミスタ500-1と同様の値(たとえば、周囲空気温度)を検出する場合、呼吸センサ100a、100bが緩んだ状態1466にあると判断する。緩んだ状態1466では、呼吸センサ100a、100bが、患者の上唇に対して斜めに配置されている可能性があり、それにより息ガス流が適切に検出又は監視されず、呼吸センサ100a、100bは、「緩んだセンサ」が検出され、したがって介護担当者が、患者の上唇に対して呼吸センサ100a、100bを調整できることを示す、警告通知を送信することになる。
【0113】
呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-2、サーミスタ500-1、及びサーミスタ400-3がすべて周囲空気温度を検出し、息インジケータ1453aが、息がないことを検出する場合、呼吸センサ100a、100bが、取り外されたか又は息がない状態1468にあると判断する。取り外されたか又は息がない状態1468では、呼吸センサ100a、100bは、患者から取り外されており、「センサが取り外された」ことを示す警告通知を送信することになる。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、追加的又は代替的に、取り外されたか又は息をしていない状態1468で、「息なし」が検出されたことを示す警告通知を送信することになる。
【0114】
呼吸センサ100a、100bは、サーミスタ500-1で検出された温度が、サーミスタ500-2で検出された温度以上である場合、呼吸センサ100a、100bが、動作温度が超過した状態1470にあると判断する。これは、周囲温度が息ガス温度に近すぎて、呼吸信号の振幅に比例する十分な温度差の読取り値が得られないことを意味している。かかる状況は、患者が表面(たとえば、ベッド又は枕)に対して俯いて横たわっているときに起こり得る。動作温度が超過した状態1470では、呼吸センサ100a、100bは、「動作エラー」を示す警告通知を送信することになる。
【0115】
いくつかの実施例では、患者又は呼吸センサ100a、100bの状態を判断するために、鼻サーミスタ400-1、400-2からの信号が比較される。鼻サーミスタ400-1、400-2からの信号を相互に比較して、呼吸センサ100a、100bが患者に正しく配置されているかどうかを判断することができる。たとえば、サーミスタ400-1又は400-2から通常の信号、及びサーミスタ400-1又は400-2の他方から低い信号又は信号が存在しない状態は、呼吸センサ100a、100bが、患者の鼻孔に対して正しく配置されていないことを示している可能性がある。
【0116】
静電容量式センサ1401はまた、呼吸センサ100bを起動及び/又はオンにするために使用され得る。いくつかの実施例では、呼吸センサ100bが保管されているか、又は使用されていないときに、プロセッサを低電力又はスリープ・モードに設定することができる。呼吸センサ100bは、スリープ・モードにあるとき、静電容量式センサ1401からの測定値を処理し、この測定値をメモリに記憶された以前の値と比較することができる。メモリに記憶された以前の値は、患者の顔に係合していない呼吸センサ100bに相当することができる。呼吸センサ100bが患者の上唇に配置されると、静電容量式センサ1401によって測定された静電容量値は変化することができる。静電容量値の変化は、静電容量式センサ1401のパッケージング又は周囲空気などの、別の材料とは異なる透過度を有することができる、患者の唇又は組織に係合した静電容量センサ1401によって生じ得る。
【0117】
プロセッサは、静電容量式センサ1401からの測定値の変化が検出されると、センサを低電力又はスリープ・モードから通常の動作モードに変更することができる。いくつかの実施例では、プロセッサは、静電容量式センサ1401からの測定値の変化が検出されると、電子回路基板の他の電気回路を起動することができる。いくつかの実施例では、呼吸センサ100bが患者の顔から離され、静電容量式センサ1401からの測定値が、呼吸センサが患者の顔に係合していない状態に相当する場合、呼吸センサ100bはオフになることができる。いくつかの実施例では、静電容量式センサ1401が、たとえば、空気の透過度に変化して戻ったことを検出したか、且つ/又は息が検出されなかったときに、呼吸センサ100bはオフになることができる。いくつかの実施例では、呼吸センサ100bは、所定の安全時間限度、たとえば5分待ってから、オフになるか、又は低電力モードに入ることができる。
【0118】
いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、プロセッサが鼻及び口サーミスタのいずれかからの1回又は複数回の息をカウントすると、自動的に測定を開始することができる。たとえば、プロセッサが鼻及び/又は口サーミスタから、首尾良く3回、相異なる息をカウントすると、測定を自動的に開始することができる。
【0119】
電子基板300は、呼吸センサの配置及び機能を判断するために、たとえば、ブルートゥース低エネルギープロセッサ1160、温度-電圧変換器1438、フィルタ1440、AD変換器1442、CPU1444、通信モジュール1446、及びメモリ1453bに記憶された息インジケータ1453aのいずれも備えることができる。
【0120】
サーミスタ400-1、400-2、400-3、500-1、500-2からの交流型(alternating)電圧信号の振幅は、実際の温度に比例して、たとえば摂氏度に変換され得る。原理的に、患者が正常に息をしている場合、NTC型サーミスタからの電気信号の最小振幅は、吐き出された空気の最高温度に比例し、NTC型サーミスタからの電気信号の最大振幅は、吸い込まれた周囲空気の最低温度に比例する。PTC型サーミスタの場合、電気信号の最大振幅は、吐き出された空気の最高温度に比例し、電気信号の最小振幅は、吸い込まれた周囲空気の最低温度に比例する。電圧信号から温度への変換は、NTC型サーミスタでは負になるが、電圧信号から温度への変換は、PTC型サーミスタでは正になる。したがって、NTC型サーミスタとPTC型サーミスタとの両方が、同じ温度値を提示することができる。
【0121】
図37は、周囲空気温度が変化する中での息(呼吸流)の温度を示している。交流型息信号1422の振幅は、吸い込まれた周囲空気と肺から吐き出されたガスとの温度差を摂氏(C°)で示しており、息の強さ又は息の量及び流れに比例することができる。摂氏(C°)の度数で表される交流型息信号1422のピーク間の振幅は、主にガスの流量及び周囲空気温度1424によって変わる。
図37に見られるように、息信号1422のピーク間の振幅は、周囲空気温度1424が上昇すると減少する。
【0122】
場合によっては、吐き出された息ガスの流れ及び量が減少すると、測定される信号振幅は比例して減少する。ガス量がより少ないことに起因して、熱エネルギーは一層少なくなり、またガス流速がより遅いことに起因して、吐き出されたガスは、サーミスタ400-1、400-2、400-3に到達する前に、周囲の空気及びセンサ筐体(たとえば、筐体2001)に熱エネルギーを放出する時間が一層長くなる。さらに、吐き出されたガスは、サーミスタ400-1、400-2、400-3を暖めるため、熱エネルギーがより少なくなる可能性がある。
【0123】
場合によっては、周囲空気温度が下がると、2つのガス媒体間のエネルギー差がより大きくなるため、吐き出されるガスは、さらに多くのエネルギーを放出する。一方、最大息信号は周囲温度に比例し、周囲空気温度の変化に敏感に反応するため、連続的に変化する吸い込まれたガス及び吐き出されたガスに比例するピーク間の信号振幅も、周囲空気温度によって変わる。場合によっては、周囲空気温度が上昇すると、吸息と呼息との間の息信号の振幅が減少し、また逆も同様で、周囲空気温度が低下すると、吸息と呼息との間の息信号の振幅が増加する。
【0124】
いくつかの実施例では、患者の上唇からの熱の形態のエネルギーは、呼吸センサ筐体を通ってサーミスタに伝導され得る。場合によっては、呼吸センサ100a、100bを通って流れるガスから又はガスに向けられたエネルギーは、周囲空気の変化と同様の効果をもたらし得る。
図38は、たとえば、呼吸センサ100a、100bが患者の顔と結合されているときの、熱エネルギー伝導温度が変化する中での息(呼吸流)を示している。呼吸センサ100a、100bを通るガス流を誘導するセンサ筐体(たとえば、筐体2001)は、好ましくは、センサ筐体の熱エネルギーを吸収、蓄積、及び伝導する能力を最小限にするために、熱係数が低いプラスチック、シリコン、又は類似の材料でできている。しかし、筐体は、周囲温度の変化と同様に、患者の上唇からのいくらかの熱エネルギーを伝導し、センサの温度を上昇させる可能性がある。この温度の変化は、オフセット曲線1426によって表され、吸い込まれる周囲空気温度に比例する温度信号1428に対して小さなオフセットを生み出し、息信号のピーク間の振幅を減少させる。サーミスタ400-1、400-2、400-3は、呼息の間に蓄積された熱エネルギーが吸息の間に放出されるときに感知し、また呼息の段階で熱エネルギーが放出されるときに感知することにより、吸息相と呼息相との間の息信号のピーク間の振幅が減少する。オフセット曲線1426で表されるこのオフセットは、周囲空気温度及びセンサ筐体の材料の熱係数のいずれによっても変わる可能性があり、これは実験室での測定に基づいて一定であり、考慮に入れることができる。患者の上唇からセンサ筐体を通って伝導する熱エネルギーは、呼吸センサ100a、100bと患者の顔との間の熱的接続に強く依存し、さらに、温度及びサーミスタ500-2からの電気信号に比例する。
【0125】
呼吸センサが患者の顔に配置されたとき、鼻流路の空洞への入口のそれぞれは、患者の対応する鼻出口から離すことができ、また口流路の空洞への入口は、患者の対応する口出口(すなわち、口)から離すことができる。患者が息をすると、温かく湿った息ガスが、鼻流路及び口流路のいずれも通って流れる。周囲空気温度が吐き出された空気の温度よりも低い場合、暖かく湿った、吐き出された息ガスが熱エネルギーを周囲空気に放出する。吐き出された空気の温度は、
図38に示され、オフセット曲線1426によって表されるように、低下し、息信号の振幅を減少させる。センサ筐体又は呼吸センサの空洞は、呼息の際に最大の息信号振幅を得るために、患者の鼻及び口通路の空洞の可能な限り近くに配置される。
【0126】
たとえば、患者の息を劣化させる麻薬、閉塞、気管支痙攣などの状況を検出できるようにするために、いつでも、どんな状態でも、患者の実際の息を吸入及び吐出する労力に比例する、正確な息信号のピーク間の振幅を得ることが重要であり得る。周囲空気温度及び伝導熱エネルギーの変化は、ピーク間の信号振幅の減少を引き起こす場合があり、これは、たとえば、麻薬が患者の息を劣化させる場合と同様に減少するのに似ている。減少の原因を正しく識別又は検出し、誤認を回避するために、こうした誤差信号を補正及び排除して、これらの誤差信号のどんな誤った通知をも防ぐことができる。息ガス信号を減少させる周囲空気温度の変化は、周囲温度に敏感に反応するサーミスタ500-1に比例する温度信号に基づいて、補正及び排除され得る。息ガス信号の補正は、周囲空気温度の上昇に反比例するため、周囲空気温度が上昇すると、息ガス信号のゲインを増加させる。また、逆も同様である。同様に、センサ筐体2001を通る伝導温度に比例する皮膚温度の変化もまた、息ガス信号を減少させ、皮膚温度に敏感に反応するサーミスタ500-2に比例する温度信号に基づいて、補正及び排除される。息ガス信号の補正は、皮膚温度の上昇に反比例するため、皮膚温度が上昇すると、息ガス信号のゲインを増加させる。また、逆も同様である。
【0127】
いくつかの実施例では、熱の過渡状態を排除することができ、周囲温度及び熱エネルギー伝導温度に対して信号の振幅を補正して、呼吸流信号を作り出すことができる。息ガス流信号は、たとえば、
図35を参照して上記で論じられたように、熱効果を取り除いた後、ホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスに表示され得る。息ガス流信号の精度及び分解能は、熱過渡状態を取り除き、周囲温度及び伝導温度に対する信号の振幅を補正することにより向上する。
【0128】
いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bが最初に患者の上唇に配置されると、サーミスタ500-2によって温度が検出される。センサが外れているか、又は取付け具が緩んでいる場合、患者の気道又は気道の近くに配置された小さなセンサが、気道を塞ぐ可能性がある。センサが外れるか、又は緩くなる可能性を低減するいくつかの従来の手法は、センサのサイズを大きくし、皮膚に付着する接着エリアを増やすことである。しかし、より大きなサイズのセンサは、患者にとって不快な場合があり、接着剤の増加は、患者の皮膚を刺激する場合があるため、患者が意図的に又は意図せずにセンサを取り除くか又は取り外す可能性がある。他のいくつかの従来の手法では、センサが取り外されたときに通知システムを利用することができる。しかし、かかる手法では、介護担当者が、誤ったアラームによってもたらされる「アラーム疲労」する場合がある。開示された呼吸センサ100a、100bは、様々な状況を特定して適切な通知を発生させるために使用される、様々な好適な測定パラメータを判断する。
【0129】
たとえば、呼吸センサ100a、100bがオンになっているが、まだ患者の顔に配置又は取り付けられていない場合、サーミスタ500-1、サーミスタ500-2、及びサーミスタ400-3は、周囲空気温度を検出する。さらに、息インジケータ1453aのデータは、CPU1444に結合されたメモリ1453bに記憶することができ、サーミスタ400で息がまだ検出されていないことを、示すことができる。メモリ1453bは、CPU1444内に備えられるように図示されているが、メモリ1453bは別個の要素であり得る。呼吸センサ100a、100bが患者の上唇に配置されると、サーミスタ500-2は、上唇の皮膚に密着するか又は接触し、皮膚温度曲線で表される、患者の上唇の皮膚温度の検出を開始する。サーミスタ500-2は、たとえばゼロ秒で、約23℃の周囲空気を検出し、呼吸センサ100a、100bが患者の上唇に配置された後、約8秒で暖機し、約35.5℃の皮膚温度を55秒で検出する。したがって、呼吸センサ100a、100bが患者の上唇の皮膚から取り除かれるか又は緩められると、サーミスタ500-2が適合し、周囲温度の検出を開始する。
【0130】
いくつかの実施例では、サーミスタ500-2に温度オフセット誤差が引き起こされ、サーミスタ500-2と患者の上唇との間の、口髭又は同様の中間物などの、任意の空間を補正することがある。その結果、サーミスタ500-2によって検出される温度は、実際の皮膚温度と異なる場合がある。しかし、温度変化を検出することだけが重要であり得るので、この補正又は調整は許容され得る。たとえば、呼吸センサ100a、100bが患者の上唇に配置されると、サーミスタ500-2は、絶対皮膚温度値を測定又は検出するのではなく、呼吸センサ100a、100bが取り除かれたことが検出されるまで、経時的な温度傾向を監視又は検出する。
【0131】
いくつかの実施例では、温度は、周囲温度が変化する間に、サーミスタ500-1によって検出される。サーミスタ500-1は、周囲温度を監視又は検出する。サーミスタ500-1は、たとえば、周囲温度曲線に関して、ゼロ秒で約23℃の初期周囲温度を検出し、たとえば、患者が救急車から病院環境へ移送された場合、55秒で約25℃の新しい周囲温度を検出する。
【0132】
いくつかの実施例では、温度は、呼吸流の間に、サーミスタ400-1、400-2、400-3によって検出される。サーミスタ400-1、400-2、400-3は、25℃の一定の周囲温度で、呼吸温度曲線で表されるような、吐出される息ガスと吸入される周囲空気との間の、息ガス流の温度変化を連続的に検出する。呼息中、吐き出された湿って温かい空気が、患者の鼻及び/又は口通路から、たとえば、センサ筐体(たとえば、筐体2001)内部の鼻流路301及び口流路302などの空洞内に流出し、空洞内部に位置するサーミスタ400-1、400-2、400-3の温度を、サーミスタ400-1、400-2、400-3を通過して流れる吐き出されたガスに適合させる。吸息中、患者は吸い込んで、周囲空気を、たとえば、センサ筐体(たとえば、筐体2001)内部の鼻流路301及び口流路302などの空洞を通して、患者の口及び/又は鼻通路の方へ流れさせ、この時点でサーミスタ400-1、400-2、400-3は、サーミスタ400を通過して流れる吸い込まれた周囲空気の温度に戻って適合する。したがって、呼息中、肺から流出する空気がサーミスタ400-1、400-2、400-3を暖め、吸息中、周囲空気がサーミスタ400-1、400-2、400-3を冷却する。周囲空気の温度が吐き出された息ガスの温度に近づくと、吸い込まれた周囲空気と吐き出された息ガスとの温度差は減少し、ゼロに近づく。吸い込まれた周囲空気の温度が吐き出された息ガスの温度を超えると、温度差は再びゼロを超えるが、温度差の符号が変わる。
【0133】
いくつかの実施例では、呼吸流の連続したリアルタイムでの測定値が判断される。したがって、曲線は、呼吸のリアルタイム波形を示す。したがって、曲線は3つ以上の息周期を含む波形であり、各周期には呼息段階(正の振幅)及び吸息段階(負の振幅)が含まれる。呼吸数(RR)曲線は、1分当りの息(bpm:breaths per minute)の値を示す曲線である。これは、呼吸波形曲線から、式RR=60秒/息周期時間(秒)によって計算され得る。各呼吸サイクルには、呼息の最大振幅と吸息の最小振幅(負である)との差から計算され得る、呼吸の大きさがある。いくつかの実施例では、呼吸の大きさは息流量に比例する。患者が吐き出すと、肺からの暖かく湿った息ガスがサーミスタ400-1、400-2、400-3を暖め、呼吸波形信号曲線を上昇させる。吸息中、周囲空気は、サーミスタ400-1、400-2、400-3を周囲空気温度に近い温度に冷却する。したがって、息サイクルの振幅は、息ガスの流量又は呼吸の大きさに比例し、サーミスタを通過する吸息及び呼息の空気の冷却/加温効果によって生じるサーミスタの温度変化に比例する。特定の場合の曲線において、呼吸の大きさは、特定の患者についての、最大の息の気流の大きさ又は最大速度に対する、息の気流の大きさ又は速度を示すパーセンテージの値である。
【0134】
いくつかの実施例では、長期間にわたって呼吸数を監視し、曲線に当てはめることができる。曲線は、長期間にわたる息の深さに相当する、呼吸の大きさを示すことができる。いくつかの実施例では、曲線は、息ごとに計算された呼吸数と大きさの値との両方を反映することができる。いくつかの実施例では、曲線は、センサから受信した信号の大きな高下を低減するために、平均値を含むことができる。いくつかの実施例では、呼吸数及び変動は、もうすぐやって来る心臓発作を検出するための望ましいパラメータであり得る。いくつかの実施例では、息信号の変動は、実際の発作の約6~8時間前に発作の発症を予測することができる。同様に、麻薬様物質の過剰摂取、又は疼痛(たとえば、麻薬様物質が少なすぎる)は、呼吸センサで検出可能な呼吸変動の変化を引き起こし、差し迫ったリスクを軽減又は回避するためのより迅速な対応及び治療につながる可能性がある。
【0135】
VI.加速度計の機能
図39を参照すると、呼吸センサ100a、100bは、たとえば、加速度計1150(
図33に示されている)によって、身体の姿勢、動き、及び転倒の検出を可能にすることができる。加速度計1150は、加速度計1150の少なくともx、y、及びz軸方向に比例する電気信号から得られる加速度、姿勢、角回転量、及び他のパラメータを測定又は検出し、患者の姿勢及び動き、患者の頭部の姿勢及び動き、呼吸センサ100、100b、100cの動きによって生じる加速度、並びに話しているときの患者の上唇の動き又は患者の心臓の動きを、検出することができる。加速度計1150からの電気信号は、たとえば、移動する患者を監視するために、ブルートゥース又は他の通信方法を介して、ホストのモニタ又は同様のクライアント・デバイスなどの監視デバイスに送られるか、又は送信され得る。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bの加速度計1150は、加速度計1150の少なくともx、y、及びz軸方向の加速度及び姿勢、並びに少なくともこれらの3軸を中心とする回転を測定する、3次元加速度計である。
【0136】
上記で論じられたように、呼吸センサ100a、100bは、たとえば、呼吸センサ100a、100bが患者に対する所定の位置から落下していないこと、患者が転倒していないこと、又は患者の頭部の向きが鼻及び口の息のガス流を塞いでいない(たとえば、患者の顔が枕又はベッドに対して下向きになっている)ことを監視するために、動き及び姿勢を検出する。たとえば、患者の呼吸周期の測定値を判断するために、患者がベッドに横たわっているときに、患者の頭部がどのように配置されているかに関する情報を取得することが望ましい。患者が、仰向けになって顔を上方に向けているとき、患者は、たとえば、頭部を左から右に向けることができる。かかる姿勢では、患者は、ガスが呼吸センサ100a、100bの鼻及び/又は口空洞を通って自由に流れることを可能にする形で、息をすることができる。患者が横臥しているとき、頭部を上方に又は下方に向けることができる。この横向きの姿勢では、患者の頭部が横向き又は上向きになることが可能であり、それにより患者は、ガスが呼吸センサ100a、100bの鼻及び/又は口空洞を通って自由に流れることを可能にする形で、息をすることができる。しかし、この横向きの姿勢では、患者が、ベッド又は枕に向かって下方に頭部を向けることも可能であり、それによりガスが、呼吸センサ100a、100bの鼻及び/又は口空洞を通って自由に流れないか、又は塞がれる。この不均一なガス流又はガス流の閉塞は、息に比例する測定信号を乱す可能性があるか、又は患者の息が抑制されるか若しくは劣化することがある。同様の結果は、患者がうつ伏せになって顔を下方へ、ベッド又は枕に向けているときにも生じることがある。
【0137】
かかるシナリオでは、呼吸センサ100a、100bは、軸方向位置及び/又は角度位置を測定又は検出することもできる加速度計1150によって、患者の顔が向いている方向を検出することができる。患者の頭部の姿勢は、加速度計1150によって検出されたx、y、及びz方向の電気信号から判断又は計算される。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、加速度計1150によって監視される患者の姿勢に比例する信号を使って、呼吸センサ100a、100bに対する患者の頭部の姿勢を判断する。結果として、呼吸センサ100a、100bは、患者の頭部が、呼吸センサ100a、100bを通るガス流を阻止するか若しくは塞ぐ姿勢にあり、且つ/又は呼吸センサ100a、100bを不適切に機能させる姿勢にあるという判断に応答して、通知を送信し、かかる位置取りについて、ブルートゥース又は他の通信方法を介してホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスへ知らせることができる。
【0138】
図39は、患者に使用中の、着座姿勢1166、移動姿勢1168、及び転倒姿勢1170のいずれも識別又は検出する、呼吸センサ100a、100bを示している。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、患者の着座姿勢1166、移動姿勢1168、及び転倒姿勢1170のいずれかの間の移行を、識別又は検出することができる。シナリオによっては、患者が移動する(たとえば、ベッドから起き上がって便所を使用する)ことがあり、患者の動き及び姿勢を監視することが望ましい場合がある。たとえば、患者は健康上の問題から回復中であり、静止姿勢から立ち上がるときにめまいを感じる可能性があるため、患者が気絶、転倒、又は自身を傷つけて、切迫した医療の手当て及び介護を必要とする可能性がある。いくつかの実施例では、呼吸センサ100a、100bは、加速度計1150によって監視される患者の姿勢に比例する信号を使って、かかる状況を検出し、ブルートゥース又は他の通信方法を介して、ホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスに知らせるか又は警告するための通知を表示又は送信する。
【0139】
実例として、患者は着座姿勢1166にあって、直立姿勢1168に立ち上がることがあり、それにより加速度計1150は、x、y、及びz方向の電気信号を使って患者の頭部の動きを検出する。さらに、患者がベッドから出て便所に行くときなど、患者が直立姿勢1168で動くか又は歩行するときに、加速度計1150は、患者が行う可能性がある各ステップ又は動きを検出する。各ステップは、x、y、z方向の加速度に比例する電気信号によって、加速度計1150で検出される加速度パルスを発生させる。患者がたまたま転倒して転倒姿勢1170になった場合、加速度計1150は、転倒の大きさに比例する大きい加速度値を検出する。患者が直立姿勢1168から転倒姿勢1170(たとえば、床に横たわっている)になる場合、呼吸センサ100a、100bは、加速度計1150が大きい加速度値を検出し、直立姿勢1168及び転倒姿勢1170における患者の頭部の姿勢の差を判断することにより、患者が転倒したと判断する。患者が転倒したという判断に応答して、呼吸センサ100a、100bは、患者が転倒し、即時に医療介護が必要となる可能性があることを、ブルートゥース又は他の通信方法を介して、ホストのモニタ又は他のクライアント・デバイスに知らせるか又は警告するための通知を送信する。
【0140】
患者が話しているときの患者の上唇の動きに基づいて、さらなる測定が行われ得る。話すことは声帯から来る空気の振動であり、息ガス流の測定及び呼吸数(RR)の計算を妨害する可能性がある。上唇の動きを検出して、患者が話していることを示すことができる。いくつかの実施例では、患者の上唇の動きは、加速度計1150によって検出される。
【0141】
患者の心臓の動きに基づいて、さらなる測定が行われ得る。この測定値を使用して、患者の心拍数を判断することができる。
図40は、心臓1172が、
図41に示されている身体1174にわたって血液を送り出すときの、心臓1172を通る血液の循環を示している。体循環からの血液は、上大静脈及び下大静脈から右心房に入り、右心室に進む。血液は、右心室から、肺を通って肺循環に送り込まれる。血液は、次いで、左心房に戻り、左心室を通過し、大動脈を通って体循環に戻るよう送り出される。右心室は、通常、心拍ごとに、左心室が身体に送り込むのと同じ量の血液を肺に送り込む。動脈は、血液を、心臓から離れる方向に運ぶ。心臓1172は、毎分72回に近い安静時心拍数で収縮する。
【0142】
心臓1172は、心筋線維の特定の向きのために、心拍周期で、心臓の長軸に沿って絞る又はねじる運動を行う。一方、心臓の連続的な収縮は、上血液及び下血液(superior and inferior blood)が右心房及び右心室に入るのを可能にするだけでなく、拡張によって左心室及び左心房から全身及び肺の血液循環に血液を送り返すことを可能にし、心臓の長軸に沿った微動を生み出す。この前後の動きは、
図41に示されているように、身体の縦軸1176に対してわずかに右に傾いている。
【0143】
心臓の動きは、心拍の段階で、身体の縦軸1176に沿った方向の近くで、全身1174を周期的に前後に動かす。この微動は、呼吸センサ100a、100bの加速度計1150によって検出され得る。加速度計1150が、検出するために最も敏感に反応する方向は、z軸であろう。いくつかの実施例では、加速度計1150は、追加的又は代替的に、角運動センサ又は感知要素を内蔵し、それにより、心拍の段階での身体の縦軸1176を中心とした回転力も生み出す、心臓の長軸に沿った心臓の回転を検出するために使用され得る。身体の縦方向の動き又は身体の縦方向軸1176を中心とした回転する動きのいずれか一方又は両方が、加速度計の電気信号から、心拍又は1分当りの心拍の値に転換され得る。呼吸センサ110a、100bによる、この心拍数(HR:heart rate)情報は、呼吸数(RR)及び呼吸流の情報と共に、呼吸抑制及び他の症状の早期検出及び予防に使用され得る。
【0144】
いくつかの実施例では、加速度計1150は、患者の胸の上昇及び下降又は他の胸部の動きを検出することもできる。この情報は、HR、RR、及び他の呼吸インジケータのうちの少なくとも1つと組み合わせて、呼吸促迫症及び他の病気の早期検出及び予防に役立てることができる。
【0145】
VII.EtCO2表面
本開示のいくつかの実施例では、たとえば、呼吸センサ100a、100bなどの呼吸センサは、呼気終末CO2(EtCO2:end-tidal CO2)感知機構を備えることができる。EtCO2感知機構は、1面又は複数面のEtCO2感応性表面を有することができる。1面又は複数面のEtCO2感応性表面は、シュラウド2012の外面及び口シュラウド2017の表面に配置され得る。
図42Aは、シュラウド2012の外面、且つサーミスタ400-1の近隣に配置された、第1のEtCO2感応性表面402-1、シュラウド2012の外面、且つサーミスタ400-2の近隣に配置された、第2のEtCO2感応性表面402-2、並びに口シュラウド2017の内面、且つサーミスタ400-3の近隣に配置された、第3のEtCO2感応性表面402-3を示している。
【0146】
EtCO2感応性表面は、鼻息及び/又は口の息のCO2を検出した結果として、色を変えることができる。EtCO2感応性表面は、たとえば、CO2の存在を示すために色を変えることができる。いくつかの実施例では、1面又は複数面のEtCO2感応性表面は、電極に連結されている。鼻息及び/又は口の息がEtCO2感応性表面の上を移動すると、抵抗値の変化が生じ得る。抵抗値の変化は、CO2の存在又は他の息に関連する状態を判断するために使用される。いくつかの実施態様では、
図42Bに示されているように、1面又は複数面のEtCO2感応性表面が、電子基板300などのセンサの電子基板に備えられ得る。
【0147】
ここで
図42Bに目を向けると、電子基板300の1つ又は複数の電気接点を介して電子基板300に電気的に連結された、EtCO2感応性表面404-1、404-2、404-3が示されている。いくつかの実施態様では、EtCO2感応性表面404と総称される1面又は複数面のEtCO2感応性表面404-1、404-2、404-3は、電子基板300の1つ又は複数の構成要素の表面に噴霧され得る。たとえば、EtCO2感応性表面404-1を支持構造体1230-1に噴霧することができ、EtCO2感応性表面404-2を支持構造体1230-2に噴霧することができ、EtCO2感応性表面404-3を支持構造体1230-3に噴霧することができる。
【0148】
EtCO2感応性表面が、電子基板300の1つ又は複数の構成要素の表面に噴霧される場合、構成要素の陰極電気接点及び陽極電気接点と重なるように噴霧され得る。たとえば、EtCO2感応性表面404-1が支持構造体1230-1に噴霧される場合、EtCO2感応性表面404-1は、支持構造体1230-1の陰極電気接点及び陽極電気接点と重なるように噴霧され得る。同様に、EtCO2感応性表面404-2、404-3がそれぞれ支持構造体1230-2及び1230-3に噴霧される場合、EtCO2感応性表面404-2及び404-3は、それぞれ、支持構造体1230-2及び1230-3の陰極電気接点及び陽極電気接点と重なる。いくつかの実施態様では、EtCO2感応性表面404は、電子基板300の1つ又は複数の電極に連結され得る。たとえば、EtCO2感応性表面404-1は、支持構造体1230-1の1つ又は複数の電極に連結することができ、EtCO2感応性表面404-2は、支持構造体1230-2の1つ又は複数の電極に連結することができ、EtCO2感応性表面404-3は、支持構造体1230-3の1つ又は複数の電極に連結することができる。
【0149】
各EtCO2感応性表面404は、電気化学セルを形成する。上記のように、鼻息及び/又は口の息がEtCO2感応性表面404の上を移動すると、抵抗値の変化が生じ得る。EtCO2感応性表面404は、抵抗値の変化が、EtCO2感応性表面404の上を移動した鼻息及び/又は口の息中のCO2分子の含有量に比例し得るように構成され得る。EtCO2感応性表面404は、電気回路に連結することができ、抵抗値の変化は、電気回路によって、相当する電圧に転換され得る。電圧値は、電子基板300の中央処理ユニットに送信され得る。いくつかの実施態様では、電子基板300の中央処理ユニットは、抵抗値及び/又は相当する電圧の変化に基づいて、CO2の存在及び/又は他の息に関連する状態を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、抵抗値及び/又は相当する電圧の変化は、本明細書に記載の監視デバイス(たとえば、ハブ4、モニタ6など)などの、センサ100a、100b、100cに連結された1つ又は複数の電子デバイスに送信され得る。
【0150】
VIII.相互接続性
図43を参照すると、センサ2、ハブ4、及びモニタ6を備える、呼吸監視システム1が示されている。センサ2は、前述のセンサ10であるか、又は前述のセンサ10と同様に構成され得る。センサ2は、たとえば、センサ100a及び/又はセンサ100bを含む、本明細書に記載のセンサのうちの1つ又は複数を含むことができる。センサ2、ハブ4、及びモニタ6は、有線又は無線で互いに通信することができる。いくつかの実施例では、センサ2、ハブ4、及びモニタ6のいずれも、互いに通信し、またネットワーク50と通信することができる。ネットワークは、たとえば、構内ネットワーク(LAN:local area network)、広域ネットワーク(WAN:wide area network)、インターネット、遠隔又はクラウド・サーバなどのいずれも、含むことができる。さらに、ネットワーク50は、バス・ネットワーク、星状ネットワーク、環状ネットワーク、網目状ネットワーク、スターバス・ネットワーク、ツリー又は階層型ネットワークなどのいずれをも含む、ネットワークト・ポロジを含むことができるがこれに限定されるものではない。1つのセンサ2、ハブ4、及びモニタ6が図示されているが、呼吸監視システムは、複数のセンサ2、ハブ4、及びモニタ6を備えることができることを理解されたい。
【0151】
呼吸監視システムのいくつかの実施例は、病院内の患者、在宅患者(たとえば、在宅医療)、及び他の相手先商標製造会社(OEM:original equipment manufacturer)用途を含むことができる。したがって、いくつかの実施例では、OEMパラメータが監視システムに追加され得る(すなわち、SpO2、体温、NiBP、ECGなど)。
【0152】
センサ2とハブ4及びモニタ6のいずれかとの間の通信は、ブルートゥースなどの低エネルギー通信8を使用して確立され得る。たとえば、患者に又は患者の近くに取り付けられている呼吸センサの近傍のハブは、低エネルギー通信8を使用することにより、呼吸センサの動作時間をより長くすることができる。低エネルギー通信8は、無線パーソナル・エリア・ネットワーク技術又はブルートゥースのいずれをも含むことができる。ハブは、呼吸センサの患者とのペアリングも実現することができ、これは、患者の識別情報をセキュアにする助けとなる。さらに、センサ2と共にハブ4を使用することにより、病院全体にわたる患者の移動及び継続的な監視が可能となる。
【0153】
長距離通信10のプロトコル(たとえば、Wi-Fi、移動体通信、又は他の通信)は、ハブ4とモニタ6との間のデータ転送を可能にすることができる。いくつかの実施例では、データは、ネットワーク50を介してハブ4とモニタ6との間で転送することができる。いくつかの実施例では、センサ2は、スマートフォンの形態のハブと通信する。スマートフォンは、Wi-Fi又は移動体通信システムを介してインターネットと通信する。データは、リアルタイムでクラウドに転送及び保存され得る。患者のデータは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ又はデスクトップ・コンピュータ、スマートTVなどを使って、物理的に異なる場所でリアルタイムに見ることができる。
【0154】
図44は、患者20の頭部に結合された呼吸センサ110a、100bなどのセンサ2、及び患者の近隣に配置されたハブ4を示している。ハブ4は、ベッドサイドで監視するために、臨床医にユーザ・インタフェースを提供する。ハブ4は、患者20と病院のネットワーク50との間の接続及び通信を可能にすることもできる。
【0155】
図45は、患者20の頭部に結合された呼吸センサ110a、100bなどのセンサ2、及びバンドを使って患者20の腕に結合されたスマートフォン14の形態のハブ4を示している。ハブ4は、ベッドサイドで監視するために、臨床医にユーザ・インタフェースを提供する。ハブ4は、患者20と病院のネットワーク50との間の接続及び通信を可能にすることもできる。本開示のいくつかの実施例では、スマートフォン14は、患者の近隣にあるホルダ上に配置され得る。ホルダは、スマートフォン14と結合して、スマートフォン14の充電の通信インターフェースのいずれかを提供することができる。
【0156】
スマートフォン14は、センサ2とのペアリングに使用され得るカメラ、低消費電力センサ2と通信するためのブルートゥース、クラウド及び病院のネットワークと通信するためのWi-Fi、患者及び/又は介護者が使用可能なユーザ・インタフェース、4G、WCDMA、及びGPSを備えることができる。いくつかの実施例では、スマートフォン14の通信は、院内での使用が無効であり、院外での使用は有効である。たとえば、院外での使用において、患者及びユーザの認証があまり容易には利用できない可能性がある場合、スマートフォン14は、顔認識アルゴリズム又は他の個人/視覚/聴覚認識アルゴリズムを実行して、患者20と呼吸センサ2とをペアリングし、このペアリングが適切且つ正確であることを認証することができる。どんな情報も認証されない場合、スマートフォン14は、警告を発行するか、アラームを鳴らすか、又は集中システム内の看護師に注意を伝達することができる。いくつかの実施例では、スマートフォン14は、病院システムと統合して、病院内での使用中に患者及び/又はユーザの認証を可能にするよう構成される。
【0157】
図46は、いくつかの実施例による、たとえば、呼吸監視システムにおけるセンサ2とスマートフォン14との間の相互作用を示している。
図51~
図55を参照してさらに説明されるように、相互作用は、センサ2とハブ4とをペアリングするために使用することができ、センサ2を備えた患者を識別するために使用することができる。
【0158】
第1のステップ1800Aにおいて、看護師又は認可された医療従事者は、近接モードでセンサ2からデータを読み取ることができる(たとえば、バーコードなどのセンサ識別値)。第2のステップ1800Bにおいて、医療従事者は、患者の手首バンド12をさらに読み取り、適切な患者記録中の呼吸データにログインすることができる。第3のステップ1800Cにおいて、医療従事者は、スマートフォン4を患者20の腕ベルト14にしっかりと配置することができる。たとえば、ハブ4をネットワーク50又は集中型サーバに接続した後、センサ2は、リアルタイムで、連続する呼吸データ及び他の情報をネットワーク50又は集中型サーバに送信及び/又は受信することができる。
【0159】
図47は、呼吸センサ100a、100bなどのセンサ2、及び患者20の頭部に結合された被り物16を示している。被り物16は、移動する患者用の、装着しやすい無線監視構造を実現する。被り物は、患者の頭頂部の近隣の位置で、被り物16に結合され得るポッド18の形態のハブ4を備える。
【0160】
被り物16は、被り物の織物に取り付けられるか、織物の中に組み込まれるか、又は織物と共にセンサを収容することができる。センサ2(たとえば、呼吸センサ100a、100b)は、呼吸数及び呼吸の流れを測定することができる。ポッド18は、皮膚温度、周囲温度、又は患者の姿勢、運動、及び加速度のいずれをも測定する、ポッド式センサ22を備えることができる。
【0161】
頭部センサ24は、患者が被り物を着用したときに、患者の頭部に係合するよう構成され得る。いくつかの実施例では、頭部センサ24は、患者が被り物を着用したときに、患者の頭部のこめかみの近隣に配置される。いくつかの実施例では、頭部センサ24は、患者の額を横切って延在することができる。頭部センサは、患者の体温、前頭部(frontal)EEG、前頭酸素飽和度、又は動きのいずれをも測定することができる。いくつかの実例では、頭部センサ24は、全EEGを測定するために、患者の頭部の様々な位置に配置された電極を備える。
【0162】
耳センサ26は、患者が被り物を着用したときに、患者の耳朶に係合するよう構成され得る。耳センサ26は、酸素飽和度を測定することができる。センサ2及び被り物のセンサ22、24、26は、生理学的パラメータを測定するために、生理学的信号を電気信号に転換することができる。呼吸センサ100a、100b、及び/又は他の被り物のセンサ22、24、26は、たとえば、呼吸数(RR)、呼吸ガス流、鼻SpO2、耳SpO2、前頭部SpO2、脈拍数(PR)、心拍数(HR)、皮膚温度、周囲温度、深部体温、身体の姿勢又は動き、胸又は胸部の運動、EtCO2、全EEG、前頭部EEG、又は類似のパラメータのいずれをも測定することができる。センサは、測定される物理的パラメータに応じて、被り物の周囲の好適な場所に配置され、そうしたパラメータの最適な測定を可能にする。
【0163】
各センサは、センサに電気的に電源投入するためのバッテリを内蔵することができ、各センサはまた、ホスト(たとえば、ネットワーク50)と通信するか又はさらに離れて監視するための、トランシーバも内蔵することができる。センサは、好ましくは、被り物16内に組み込まれた電線28を介して電力供給され、電線28は、センサを、被り物16上の1箇所に位置するバッテリと接続する。センサはまた、ポッド18内に位置する1つのトランシーバを介してホストと通信する。センサとトランシーバとの間のデータ通信は、被り物内に組み込まれた電線28を介して行われ得る。これにより、電子回路及び電力管理の基礎構造が簡素化され、無線周波数汚染が減少し、通信品質が向上し、コスト、重量、及びサイズが削減され、消費電力が削減され、使いやすさ及び患者の快適さが高まる。
【0164】
被り物16に取り付けられたセンサには、センサの基礎構造を簡素化及び最小化するために、最小限の機械及び電子回路しか内蔵されていない。たとえば、生理学的信号の測定を可能にするために、各センサ内には、特定のパラメータの生理学的信号を電気信号に転換することを可能にする、パラメータ特有の電子機器だけしか配置されない。センサ間に共通性があるすべての電子回路を、ポッド18内で組み合わせることができ、ポッド18は、バッテリ、処理ユニット、トランシーバなども備えることができる。この集中化により、複雑さが軽減され、サイズ及び重量がより小さくなり、患者の快適性及び使いやすさが高まり、センサのコストも削減される。
【0165】
被り物16の固定の又は特定の場所に位置するセンサはまた、患者の見た目又はユーザ間の違いに関係なく、センサが患者の頭部に最適に位置しているので、有用性及び測定の品質が向上する。より簡素で着こなしやすい着用可能なシステムにより、複雑な複数パラメータ・システムの採用がより多くなる。
【0166】
ポッド18は、再利用のために取り外すことができ、被り物16及び被り物の中のセンサは廃棄される。廃棄可能であることにより、相互汚染のリスクが軽減され、さもなければ製品の消毒に必要な介護担当者の作業時間が短縮される。
【0167】
ポッド18は、ほとんどの電子回路、無線トランシーバ、バッテリなどの電源、プロセッサなど、及びソフトウェアを備えることができる。システムのハードウェア及び機械は、複雑な機能を再利用可能なポッドの中に集中させることにより簡素化され、またこれにより、システムがより効率的になり、患者間の相互汚染を防ぐための洗浄が容易になり、低コストになる。さらに、頭頂部はまた、患者が横たわっている、座っている、又は動いているとき、ポッド18にとって最もゆとりのある場所の1つであるが、頭頂部はまた、介護担当者が確実に、容易にデバイスを利用し、且つアラームを視認できるようにする。
【0168】
被り物のセンサ22、24、26及び呼吸センサ2のいずれの電気信号も、電線28を通してポッド18に送信することができ、そこで電気信号は、無線でモニタに送信されるべき好適な形態に処理される。いくつかの実施例では、ポッド18は、低エネルギー・ブルートゥース又は同様の通信方法を介して、センサ2、22、24、26、被り物16、及びモニタのいずれとも通信することができる。モニタとの通信は、好ましくは、WiFi、3G、4G通信、又は類似のものを介する。これにより、移動している患者からのデータが確実に、病院内外のどこからでも監視デバイス及び病院に転送され得る。
【0169】
ポッド18は、通信中断中に確実にデータが失われないようにするため、中断時のデータを記録するための内部先入れ先出し(FiFo:First in first out)メモリを内蔵することができる。モニタは、処理されたデータを好適な形式で、たとえば、ホストのディスプレイに数字及び波形で表示し、必要に応じて介護担当者にアラームを発する。
【0170】
ポッド18は、被り物16に結合されたポッド用フレーム32の表面上の相互電気接点30に係合するよう構成された、表面上の電気接点を備えることができる。いくつかの実施例では、被り物16に結合された電気接点30は平面である。ポッド18がポッド用フレーム32に取り付けられると、この電気接点30は、電力及び電気データ線を接続し、被り物16に組み込まれた電線を介して、センサ2、22、24、26とポッド18との間の電力及びデータ転送を可能にする。ポッド18とポッド用フレーム32との間の取付けは、機械的にスライドさせるか、若しくはレールに押し込むことができるか、又は磁気的若しくは同様のものであり得る。
【0171】
ポッド18内のバッテリは、再充電可能であり得る。充電が必要なときには、ポッド18は、ポッド用フレーム32から分離され、電力源に連結され得る。いくつかの実施例では、ポッド18は、たとえば非接触充電に基づいて、無線充電テーブル又はドッキング・ステーション上に配置され得る。
【0172】
ポッド18の外面は、怪我を防ぎ、織物に引っ掛かるのを防ぎ、また容易に洗浄及び消毒できるように、滑らかであり得る。電源オン/オフ及び同様の機能は、たとえば、機械的釦ではなく静電容量式釦を使用して実装されるため、ユーザは、ポッド18の表面上のマークされたエリアに触れるだけでよい。ポッド18は、アラーム灯及び可聴アラームのいずれでも備えることができる。アラーム灯又は可聴アラームは、ポッド18内に組み込まれ得る。アラーム灯は、プラスチックなどの材料で作られた部分的に透明な筐体を通して、見えるようになり得る。
【0173】
被り物は、
図47に示されているように、患者20の頭部の少なくとも一部の周囲に延在するストラップ34a、34bを備えることができる。被り物16は、患者20が被り物16を着用すると、第1のストラップ34aが、患者の頭頂部を越えて延在することができ、第2のストラップ34bが、患者の額を横切って延在することができるよう構成され得る。被り物16は、ストラップ34a、34bの相互の取付けを可能にし、被り物16を特定の患者の頭部に合わせるように調整するためのファスナを備えることができる。ファスナには、面ファスナ、釦、スナップ、又は接着性のものの、いずれも含まれ得る。いくつかの実施例では、ストラップ34a、34b又は被り物16の少なくとも一部は、弾性材料で形成されている。
【0174】
図48は、
図47に示されている被り物16に対して、患者20の頭部のより大きい部分に沿って延在する被り物40の実施例を示している。被り物40は、患者20が着用すると、患者の頭頂部、額、脳天、及びうなじはもちろん、上唇の、いずれにも沿って延在することができる。被り物40で覆われる追加のエリアは、より広いエリアにわたって患者20に対する圧力を分散させ、これによって不快感を軽減する。さらに、被り物40で覆われる追加のエリアは、患者の頭部に対する被り物40の動きを抑えることができる。被り物40は、幼児のみならず、大人及び/又は子供にも使用され得る。
【0175】
図49及び
図50を参照すると、モニタの実例が示されている。モニタは、ハブ4又は呼吸センサ2からデータを受信する任意のデバイス又はシステムであり得る。
図49は、スマートフォン14の形態のモニタを示している。スマートフォン14は、患者の電話、介護者の電話、又は患者を監視している別の人の電話であり得る。
図50は、中央ステーション42の形態のモニタを示している。中央ステーション42は、テレビ、コンピュータ・ステーション、表示板、又は患者を監視している人が観察できる別のディスプレイであり得る。
【0176】
モニタは、患者に関する情報並びに/又はセンサ2及びハブ4のいずれかから受信したデータを、グラフィカルに表示することができる。表示される情報には、2つの鼻流路のうちの少なくとも一方からの温度値、口流路からの温度値、患者の皮膚表面の温度値、及び患者の環境の温度値が含まれ得る。いくつかの実施例では、表示される情報には、患者の識別名及び/又は患者の場所(たとえば、1-1、1-2、2-1)、SpO2測定値、心拍数、及び呼吸数が含まれる。さらに、表示される情報には、患者の向き又は姿勢の指示が含まれ得る。患者の向き又は姿勢は、テキスト又は記号で示され得る。テキスト又は記号は、たとえば、患者がベッドに横たわっているか、直立しているか、上体を起こしているか、又は他の何らかの姿勢にあるかどうかを表すことができる。
【0177】
IX.ペアリング・プロセス
上記のように、センサ・デバイス2は、本明細書に記載のセンサの1つ又は複数を含む(たとえば、センサ100a及び/又はセンサ100bを含む)ことができ、センサ2の少なくとも一部は、患者の上唇など、患者に配置され得る。センサ2は、CPUユニット1416などの1つ若しくは複数のプロセッサを備えるか又は1つ若しくは複数のプロセッサと共に機能することができ、患者の生理学的パラメータに基づいて、ハブ4などの監視デバイスとのペアリング・プロセスを開始するように、一体に構成され得る。ペアリング・プロセスのさらなる詳細は、
図51を参照して本明細書で説明される。
【0178】
ここで
図51に目を向けると、センサ・デバイスと監視デバイスとのペアリング・プロセスを示す流れ図が示されている。明確な実例を示すことを目的に、センサ・デバイスと監視デバイスとのペアリング・プロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0179】
方法5100は、センサ・デバイス(センサ・デバイス2など)によって、患者の生理学的パラメータを測定するステップを含む(ブロック5101)。センサ2は、患者の生理学的パラメータを測定する前に、最初はディープ・スリープ・モード又は低電力モードであり得る。また、いくつかの実施態様では、センサ2は、患者の生理学的パラメータを測定している間、ディープ・スリープ・モード又は低電力モードであり得る。センサ2は、ディープ・スリープ又は低電力モードでは、センサ2が通常電力モード又は高電力モードで動作するときより少数の、関連するプロセッサを使用して(たとえば、ただ1つのプロセッサを使用して)、動作するよう構成され得る。センサ2は、ディープ・スリープ又は低電力モードでは、たとえば、関連するプロセッサのうちの1つだけを使用するよう構成することができ、センサ2が通常モード又は高電力モードにあるとき、センサ2は、関連するすべてのプロセッサを使用するよう構成することができる。センサ2は、ディープ・スリープ又は低電力モードでは、患者の生理学的パラメータの測定、及び/又はセンサ2又はセンサ2の一部が、上唇など、患者の身体の一部と接触しているかどうかの検出など、特定された所定の機能だけを実行するよう構成され得る。より少数の関連するプロセッサを使用して動作すること、及び/又は所定の重要な機能だけを実行することによって、センサ2は、電力消費を低減し、センサ2のバッテリ寿命を延ばす。
【0180】
センサ2は、生理学的パラメータに関連する閾値条件が満たされるまで、ディープ・スリープ・モード又は低電力モードに留まることができる。センサ2は、たとえば、患者の息を測定し(たとえば、上記の任意のセンサ及び/又は方法を使用することによって)、息をデジタル信号及び/又は数値に変換するよう構成され得る。センサ2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、この生理学的パラメータのデータをセンサ2の、又はセンサ・デバイス2と通信可能に連結された記憶ユニットに、記憶するよう構成され得る。たとえば、CPUユニット1416は、測定した息に基づいて呼吸数の値及び/又は流量の値を判断し、記憶ユニットに患者の呼吸数及び/又は流量を記憶するよう構成され得る。息は、上記の仕組みのいずれかで説明されたように、患者の1つ又は複数の鼻孔又は口で測定され得る。
【0181】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、測定した生理学的パラメータが生理学的パラメータ値の閾値を満たすかどうかを判断することができる(ブロック5102)。いくつかの実施態様では、生理学的パラメータ値の閾値は、呼吸数及び/又は流量の特定の値であり得る。生理学的パラメータ値の閾値は、たとえば、生理学的パラメータが患者の息である場合、呼吸数又は流量の特定のレベル及び/又は値であり得る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、生理学的パラメータの連続した複数の測定値が特定の値を満たすかどうかに基づいて、生理学的パラメータ値の閾値が満たされるかどうかを判断するよう構成され得る。
【0182】
いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、生理学的パラメータの連続した複数の測定値のそれぞれが少なくとも特定の値であるかどうかを判断するよう構成され得る。たとえば、測定した生理学的パラメータが患者の息である場合、生理学的パラメータの閾値は呼吸数であり得、呼吸数の連続した複数の測定値のそれぞれが少なくともある一定のレベルであるように、特定され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、カウンタを使って、生理学的パラメータの閾値を満たす生理学的パラメータの連続した複数の測定値を追跡するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、生理学的パラメータの測定値のうちの1つが生理学的パラメータの閾値を満たさない場合、カウンタをリセットするよう構成され得る。
【0183】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサが、測定した生理学的パラメータ値が生理学的パラメータ値の閾値を満たさないと判断した場合(ブロック5102で「ノー」)、方法5100はブロック5101を続行する。1つ又は複数のプロセッサ及び/又はセンサ・デバイス2が、測定した生理学的パラメータ値が生理学的パラメータ値の閾値を満たすと判断した場合(ブロック5103で「イエス」)、この方法はブロック5103に進む。
【0184】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2をアクティブ・モードに移行させるよう構成され得る(ブロック5103)。アクティブ・モードでは、センサ・デバイス2のモジュールの少なくとも大部分がパワーオンされ、センサ・デバイス2は、センサ・デバイス2が低電力モード又はディープ・スリープ・モードで動作しているときよりも高い性能レベルで動作するよう構成され得る。センサ・デバイス2は、アクティブ・モードにおいて、センサ・デバイス2がディープ・スリープ又は低電力モードにあるときよりもより高い電力レベルで動作することができ、センサ・デバイス2は、センサ・デバイス2がアクティブ・モードにある間、センサ・デバイス2に関連するプロセッサのすべて又はほとんどを使用して動作するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、生理学的パラメータ値の閾値を満たす、測定した生理学的パラメータ値に応答して、センサ・デバイス2を自動的にアクティブ・モードに移行させることができる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するよう構成され得る(ブロック5104)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2がアクティブ・モードに入るのに応答して、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、無線アドバタイズメント信号は、ブルートゥース信号であり得る。
【0185】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ハブ4などの監視デバイスとの間のペアリング・プロセスを実行するための無線要求を受信するよう構成され得る(ブロック5105)。センサ・デバイス2は、無線アドバタイズメント信号の自動的な同報通信に応答して、監視デバイスからの無線要求を受信することができる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスとのペアリング・プロセスを自動的に完了するよう構成され得る(ブロック5106)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ペアリング・プロセスが自動的に完了した後、監視デバイスと通信するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ペアリング・プロセス中に、患者の患者識別子を受信する。たとえば、監視デバイスであるハブ4は、ハブ4とのペアリング・プロセスを実行するための無線要求を送信した後、患者の患者識別子をセンサ・デバイス2に送信することができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2に関連する、且つ/又はセンサ・デバイス2と動作可能に結合された記憶ユニットに、患者の患者識別子を記憶する。いくつかの実施態様では、ハブ4などの監視デバイスは、ペアリング・プロセスの開始前に、患者の患者識別子を取り込むよう構成され得る。患者識別子を取り込む監視デバイスのさらなる詳細は、
図54及び
図55を参照して以下で説明される。
【0186】
いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、色を判断し、センサ・デバイス2と関連づけるよう構成され得る。センサ・デバイス2は、センサ・デバイス2がアクティブ・モードに入った後に色を判断し、色又は色の付いた光を放出又は表示するよう構成されたセンサ・デバイス2の電子部品によって、色を表示するよう構成され得る。かかる電子部品の実例には、発光ダイオード(LED)などが含まれるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、LEDは、LEDが照らすべき複数の所定の色のうちの1つを選択する(たとえば、特定の色に対応するLEDのピンに、所定の電圧を供給することによって)回路に接続された、多色LEDであり得る。色を判断するセンサ・デバイス2のさらなる詳細は、
図52を参照して本明細書で説明される。
【0187】
いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2は、患者の皮膚及び/又は組織を検出するまで、ディープ・スリープ・モードのままであり続けることができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2の1つ又は複数のプロセッサは、患者の皮膚及び/又は組織が検出されたときに起動される。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2は、患者の皮膚及び/又は組織が検出されたときに、患者の皮膚の温度、息の温度などを判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2は、患者の皮膚及び/又は組織が検出されたときに、皮膚の温度が摂氏37度に近いかどうかを判断し、この判断に応じて、患者からの息の数の閾値の検出を開始することができる。
【0188】
ここで
図52に目を向けると、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスに関連づけられた色を判断するプロセスが示されている。方法5200は、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスで、センサ・デバイスに関連する1つ又は複数のプロセッサが、センサ・デバイスに関連づけられた一意の識別子を判断するステップを含む(ブロック5201)。各センサ・デバイスは、一意の識別子に関連づけることができ、一意の識別子は、センサ・デバイス2の記憶ユニットに記憶することができる。CPUユニット1416などのセンサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2の記憶ユニットに記憶された一意の識別子を検索することにより、一意の識別子を判断するよう構成され得る。
【0189】
いくつかの実施態様では、一意の識別子に関連づけられた色が、一意の識別子の文字に基づいて判断され得る。いくつかの実施態様では、一意の識別子に関連づけられた色は、一意の識別子の1つ又は複数の位置に存在する1つ又は複数の文字に基づいて判断され得る。色は、たとえば、一意の識別子の最後の位置に存在する文字に基づいて判断され得る。色は、同様に、一意の識別子の2番目及び3番目の位置に存在する文字に基づいて判断され得る。1つ又は複数のプロセッサ及び/又はセンサ・デバイス2は、一意の識別子の目的の位置に存在し得る様々な文字に対して様々な色を特定する、1組のルールを有するよう構成され得る。1組のルールは、たとえば、一意の識別子の最後の位置にある文字が「A」の場合、色が緑になるよう特定することができる。1組のルールは、同様に、一意の識別子の2番目及び3番目の位置の文字が「1」及び「b」である場合、色が青になるよう特定することができる。
【0190】
いくつかの実施態様では、1組のルールは、一意の識別子の目的の位置に存在し得る、可能性のある文字ごとに色を特定することができる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2の一意の識別子を判断又は検索し、一意の識別子の目的の位置(たとえば、最後の位置)に存在する文字を判断し、1組のルール及び目的の位置にある文字に基づいて色を判断するよう構成され得る。たとえば、センサ・デバイスの一意の識別子が「4cx1oD」であり、色を判断するための目的の位置が最後の位置である場合、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、1組のルールを使用して、文字「D」にマッピングされた、且つ/又は関連づけられた色を判断することができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、判断した色をセンサ・デバイス2に関連づけ、この関連づけを、センサ・デバイス2の記憶ユニット及び/又はセンサ・デバイス2に動作可能且つ通信可能に連結された記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0191】
センサ・デバイス2は、LEDの照光を使って、一意の識別子に関連づけられた色を物理的に表示するよう構成され得る(ブロック5203)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、一意の識別子に関連づけられた色を、センサ・デバイス2の電子部品上に、又は電子部品によって表示させるよう構成され得る(図示せず)。電子部品は、色又は色の付いた光を放出又は表示するよう構成された多色LEDであり得る。いくつかの実施態様では、多色LEDは、マイクロコントローラ、及び赤、緑、青の光など、色の付いた光を放出するよう構成された、複数の発光ダイオードを備えることができる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、多色LEDを使って、多色LEDの様々な色の付いた光の組合せに基づいて、特定の色を表示させるよう構成され得る。
【0192】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、患者の識別子が監視デバイスから受信されたかどうかを判断するよう構成され得る(ブロック5204)。ハブ4などの監視デバイスは、上記のように、ペアリング・プロセスを実行するための無線要求を送信するのと一緒に若しくは同時に、又は送信した後に、患者の識別子を送信するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサが、患者の識別子が受信されていないと判断した場合(ブロック5204で「ノー」)、この方法はブロック5204に戻る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ブロック5204に戻る前に、所定の時間待機するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、ブロック5204に進む前に、10秒待機するよう構成され得る。
【0193】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサが、患者の識別子が受信されたと判断した場合(ブロック5204で「イエス」)、この方法はブロック5205に進む。1つ又は複数のプロセッサは、色を患者の識別子に関連づけるよう構成され得る(ブロック5205)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2に関連する記憶ユニット及び/又はセンサ・デバイス2に動作可能に結合された記憶ユニットに、色と受信した患者の識別子との関連づけを記憶するよう構成され得る。そうすることで、色が患者に関連づけられる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、色の情報を、ペアリングされた監視デバイスに送信するよう構成され得る(ブロック5206)。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、色を示すメッセージを、ペアリングされた監視デバイスに送信することができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、色が患者に関連づけられていることを示す情報を有することができる。
【0194】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ペアリングされた監視デバイスの1つ又は複数のユーザ・インタフェース(UI:user interface)構成要素に、色を表示させるよう構成され得る(ブロック5207)。UI構成要素の実例は、監視デバイスの表示デバイスに表示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI:graphical user interface)構成要素であり得る。UI構成要素の実例には、1つ又は複数のGUIアイコン、ボックス、ラベル、フレーム、背景などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、UI構成要素の一部は、患者の識別子に関連づけられた色で表示され得る。たとえば、グラフィック・アイコン、ボックス、ラベル、フレーム、及び/又は背景の1つ又は複数の縁部は、患者の識別子に関連づけられた色で表示され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、メッセージ又はコマンドをハブ4などのペアリングされた監視デバイスに送信し、ハブ4の又はハブ4に結合された表示デバイスに表示される1つ又は複数のUI構成要素を、患者に関連づけられた色で表示するように、ハブ4に命令するよう構成され得る。
【0195】
いくつかのシナリオでは、センサ・デバイスと、ペアリングされた監視デバイスとの間の無線接続が失われる場合がある。たとえば、監視デバイスの電源が切れることがあり、故障することもあり、且つ/又は他の技術的な問題が生じて、センサ・デバイスへの無線接続が切断若しくは失われることもある。センサ・デバイス2は、監視デバイスとの無線接続の喪失を検出するよう構成することができ、またセンサ・デバイス2は、新しい監視デバイスとのペアリングに応答し、患者とセンサ・デバイス2との関連づけを使って、新しい監視デバイスを患者と関連づけるよう構成され得る。センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスが、新しい監視デバイスを、以前にペアリングされた監視デバイスに関連づけられていた患者と関連づけるステップのさらなる詳細は、
図53を参照して説明される。
【0196】
ここで
図53に目を向けると、新しい監視デバイスを患者に関連づけるプロセスが示されている。方法5300は、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスによって、ハブ4などのペアリングされた監視デバイスとの無線接続の喪失を検出するステップ(ブロック5301)を含む。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2の通信モジュールを介して、ハブ4などのペアリングされたデバイスとの無線接続が、依然として接続されているかどうかを判断するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するよう構成され得る(ブロック5302)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、ハブ4などの以前にペアリングされた監視デバイスへの無線接続の喪失を検出したことに応答して、無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するよう構成され得る。
【0197】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、新しい監視デバイスとのペアリング・プロセスを実行するための無線要求を受信するよう構成され得る(ブロック5303)。いくつかの実施態様では、新しい監視デバイスは、センサ・デバイス、すなわちセンサ・デバイス2に関連する患者に、以前は関連づけられていなかった。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、新しい監視デバイスとのペアリング・プロセスを自動的に完了するよう構成され得る(ブロック5304)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、新しい監視デバイスとのペアリング・プロセスを実行するための無線要求の受信に応答して、新しい監視デバイスとのペアリング・プロセスを自動的に完了するよう構成され得る。
【0198】
センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、患者識別子を、新しい監視デバイスに送信するよう構成され得る(ブロック5305)。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、以前にペアリングされた監視デバイスから受信した患者識別子を、センサ・デバイス2の記憶ユニット又はセンサ・デバイス2に動作可能に結合された記憶ユニットに格納することができる。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、記憶ユニットから患者の識別子を検索し、この患者識別子を新しい監視デバイスに送信するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2に最後に関連づけられた患者識別子を判断し、この識別子を新しい監視デバイスに送信するよう構成され得る。センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、新しい監視デバイスを患者識別子と関連づけさせるよう構成され得る(ブロック5306)。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2に関連する1つ又は複数のプロセッサは、新しい監視デバイスに送信された患者識別子を新しい監視デバイスに関連づけるように監視デバイスに命令する、メッセージ又はコマンドを送信するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、充電ステーションに置くことができ、また監視デバイスは、充電ステーションとの接続を検出することができる(たとえば、充電ステーションから受け取る充電電流、及び/又は監視デバイスの加速度計から)。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、閾値時間内に置かれない場合、アラームを発生させることができる。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、GUI上に放電釦を表示することができ、釦の選択により、ペアリングされたセンサ・デバイス2にメッセージが送信され、監視デバイス自体はオフになる。
【0199】
ここで
図54に目を向けると、監視デバイスでの、センサ・デバイスとのペアリング・プロセスが示されている。監視デバイスでの方法5400は、患者の患者識別子を受信するステップを含む(ブロック5401)。上記のように、いくつかの実施態様では、患者の患者識別子は、監視デバイスで、患者識別子を走査することにより受信され得る。たとえば、ハブ4などの監視デバイスは、1次元(1-D:one-dimensional)スキャナ、2次元(2-D:two-dimensional)スキャナなどの走査装置を備えるよう構成され得る。監視デバイスであるハブ4は、画像取込み装置を備えるよう構成することができ、監視デバイスの画像取込み装置で取り込まれた患者識別子の画像によって、患者の患者識別子を受信するよう構成することができる。ハブ4などの監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者の識別子の画像に基づいて、患者識別子を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、リニア・バーコード、マトリックス・バーコードなどのバーコードに符号化されたデータを復号するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、患者識別子はバーコードに符号化することができ、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスによって取り込まれたバーコードの画像に基づいて患者識別子を判断することができる。患者識別子を受信するハブ4などの監視デバイスの実例が、
図46に示されている。
【0200】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者識別子の受信に応答してペアリング・プロセスを自動的に開始するよう構成され得る(ブロック5402)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、ペアリング・プロセスの一部として、無線通信を介して通信するよう構成されたデバイスの探索を開始することができる。たとえば、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、ブルートゥース技術を介して通信するよう構成されたデバイスを探索するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、ハブ4などの監視デバイスは、監視デバイスが患者の患者識別子を受信するまで、低電力モードで動作するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、患者識別子を受信又は判断した後に、アクティブ・モードに入るよう構成され得る。
【0201】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスからの無線アドバタイズメント信号を検出するよう構成され得る(ブロック5403)。いくつかの実施態様では、無線アドバタイズメント信号は、センサ・デバイスが患者から生理学的パラメータを受け取ったことを示すことができる。無線アドバタイズメント信号は、センサ・デバイスが、生理学的パラメータのデータの閾値を受信したことを示すことができる。無線アドバタイズメント信号は、センサ・デバイスが、監視デバイスとペアリングされる準備ができていることを示すことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスを、センサ・デバイスとペアリングするよう構成され得る(ブロック5404)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスからの無線アドバタイズメント信号の検出に応答して、監視デバイスをセンサ・デバイスとペアリングするよう構成され得る。
【0202】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスによって検出された生理学的パラメータを受信するよう構成され得る(ブロック5405)。上記のように、生理学的パラメータの実例には、呼吸数、流量などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、生理学的パラメータを、表示デバイスに表示させるよう構成され得る(ブロック5406)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する表示デバイスに表示されるGUIに、受信した生理学的パラメータのデータを表示するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した生理学的パラメータのデータの1つ又は複数の視覚的表現を生成するよう構成され得る。データの視覚的表現の実例には、傾向線などが含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0203】
いくつかの実施態様では、監視デバイスは、監視デバイスとペアリングされた1つ又は複数のセンサ・デバイスの色を判断し、判断した色に基づいて、監視デバイスに表示される1つ又は複数のUI構成要素を修正するよう構成され得る。監視デバイスが色を判断するステップのさらなる詳細は、
図55を参照して本明細書で説明される。ここで
図55に目を向けると、監視デバイスが、ペアリングされたセンサ・デバイスの色を判断するプロセスが示されている。監視デバイスでの方法5500は、ペアリングされたセンサ・デバイスの色を判断するステップ(ブロック5501)を含む。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、使用中の、又は他のセンサ・デバイスに関連づけられている色のリストを判断し、色のリストに基づいて、ペアリングされたセンサ・デバイスで使用可能な色を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、どのセンサ・デバイスにも関連づけることができない色の例外リストを有するよう構成され得る。色の例外リストにある色は、たとえば、医療施設の緊急シナリオに使用される色であり得る。1つ又は複数のプロセッサは、色の例外リスト、及び判断した使用中の色のリストに基づいて、ペアリングされたセンサ・デバイスの色を判断するよう構成され得る。
【0204】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色を、ペアリングされたセンサ・デバイスに関連づけるよう構成され得る(ブロック5502)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスの記憶ユニット又は監視デバイスに動作可能に結合された記憶ユニットに、色の、ペアリングされたセンサ・デバイスとの関連づけを記憶するよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色を、患者に関連づけるよう構成され得る(ブロック5503)。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色と患者との関連づけを、中央に位置するサーバの記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色と患者との関連づけを、監視デバイスの記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0205】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色を示すデータを、ペアリングされたセンサ・デバイスに送信するよう構成され得る(ブロック5504)。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスが、送信した色をLEDなどのセンサ・デバイスの電子部品で表示するよう指定する命令を、センサ・デバイスに送信するよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、色を反映するために、1つ又は複数のUI構成要素を自動的に修正するよう構成され得る(ブロック5505)。上記のように、UI構成要素の実例は、監視デバイスの表示デバイスに表示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)構成要素であり得る。UI構成要素には、1つ又は複数のGUIアイコン、ボックス、ラベル、フレーム、背景などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスに送信した色で、UI構成要素の一部の色を修正するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、グラフィック・アイコン、ボックス、ラベル、フレーム、及び/又は背景の1つ又は複数の縁部は、センサ・デバイスに送信した色で表示され得る。
【0206】
X.発話検出
患者の監視期間中の患者の発話の検出は、患者が目覚めているか、意識がはっきりしているか、且つ/又は何らかの疼痛を受けているかどうかを識別するのに役立ち得る。さらに、息センサを含むセンサ・デバイスが患者の呼吸数及び/又は流量をアクティブな状態で測定している間の、患者の発話の検出は、測定された息パターン・データの精度を高め、より正確なレポートを看護師又は医師などのユーザに提示するのに役立ち得る。本明細書で説明されているシステム及び方法は、患者の発話の検出及び表示された息パターン・データの精度の向上を実現する。発話検出及び息パターン・データの精度向上についてのさらなる詳細は、
図56を参照して本明細書で説明される。
【0207】
ここで
図56に目を向けると、患者の発話を検出し、息パターン・データを調整する流れ図が示されている。明確な実例を示すことを目的に、患者が話しているかどうかを判断し、息パターン・データを調整するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0208】
方法5600は、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサによって、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口に関連づけられた息センサからの息パターンを示すデータを、受信するステップを含む(ブロック5601)。上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、1つ又は複数の息センサを備えることができ、いくつかの実施態様では、少なくとも1つの息センサは、センサ・デバイスが患者に配置されたとき、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の近位になるよう構成され得る。上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、息パターン・データを監視デバイスに送信するように構成され得る。左鼻孔の近位にある息センサは、左鼻孔に関連づけられ得る。同様に、右鼻孔の近位にある息センサは右鼻孔に関連づけられ得、口の近位にある息センサは口に関連づけられ得る。本明細書で説明されるとき、「息パターンを示すデータ」という用語は、息パターン・データと呼ぶことにする。
【0209】
左鼻孔、右鼻孔、及び口に関連づけられた息センサからの息パターン・データは、呼吸数、及び/又は左鼻孔、右鼻孔、及び口それぞれからの流量を表すことができる。いくつかの実施態様では、この息パターン・データは、データが左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口に関連づけられ得るように指定する情報を含むことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の息パターン・データを、監視デバイスの記憶ユニット、及び/又は監視デバイスに結合された記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0210】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスから加速度計データを受信する(ブロック5602)。上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、センサ・デバイスの1つ又は複数の加速度計センサ及び/又はジャイロスコープ・センサから、ペアリングされた監視デバイスに加速度計データを送信するよう構成され得る。加速度計データは、患者及び/又は患者の一部の動きを示すことができる。加速度計データは、たとえば、患者の上唇などの唇の動きを示すことができる。センサ・デバイスは、息パターン・データが測定されている間に、加速度計データを測定するよう構成され得る。加速度計データは、たとえば、息パターン・データと同時に測定され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データに基づいて、患者のセンサ・デバイスの現在配置されている場所を判断するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、受信した息パターン・データに基づいて、患者の唇上のセンサ・デバイスの現在配置されている場所を判断するよう構成され得る。
【0211】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した加速度計データを1つ又は複数の所定の運動パターンと比較する(ブロック5603)。1つ又は複数の所定の運動パターンは、人間の口、唇(たとえば、上唇)などの動きに関する運動パターンであり得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数の所定の運動パターンに関するデータ及び/又は関連づけられたモデルは、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶され得る。上記のように、監視デバイスに関連する記憶ユニットには、監視デバイス内に備えられる1つ又は複数の記憶ユニット、監視デバイスから遠隔に位置し、監視デバイスと通信可能に連結された1つ又は複数の記憶ユニットなどが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスの配置されている場所を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスの配置されている場所の判断に応答して、受信した加速度計データ(又は加速度計データに基づいて判断された運動データ)と所定の運動データ・パターンとの比較を開始するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、判断した配置されている場所が、患者の唇の所定の距離内にあるかどうかを判断するよう構成され得る。
【0212】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、加速度計データに基づいて、運動パターンを判断するよう構成され得る。上記のように、いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、運動パターンが生じる頻度を判断するよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、判断した運動パターンと1つ又は複数の所定の運動パターンとの間の類似性レベルを判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、類似性レベルは、数値スコア、英数字スコア、確率値などの値で表され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、判断した類似性レベルを、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶することができる。
【0213】
1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、患者が話しているかどうかを判断する(ブロック5604)。1つ又は複数のプロセッサは、類似性レベルを所定の類似性レベルの閾値と比較して、患者が話している尤度を判断するよう構成され得る。所定の類似性レベルの閾値は、加速度計データによって示される運動パターンと1つ又は複数の所定の運動パターンとが、一致する必要がある最低レベルを示すことができる。所定の類似性レベルの閾値は、判断される類似性レベルと同じ形式で表され得る。たとえば、類似性レベルが数値で表される場合、類似性レベルの閾値も数値で表され得る。
【0214】
比較に基づいて、1つ又は複数のプロセッサが、類似性レベルが所定の類似性レベルの閾値を満たすと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話している尤度が高いと判断する。1つ又は複数のプロセッサが、類似性レベルが所定の類似性レベルの閾値を満たしていないと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話している尤度が低いと判断する。いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスのマイクから音声データを受信することができる。受信した音声データは、加速度計データが取り込まれたのと同じ期間のものであり得る。センサ・デバイスは、たとえば、音声データと加速度計データとを同時に取り込むよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、受信した音声データのデシベル・レベルを判断し、デシベル・レベルをデシベル・レベルの閾値と比較して、音声データのデシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たすかどうかを判断するよう構成され得る。デシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たしている場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話している尤度を高くすることができる。デシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たさない場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話している尤度を低くすることができる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、デシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たすかどうかを最初に判断することができ、デシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たしている場合、1つ又は複数のプロセッサは、加速度計データ又は判断された運動パターンを、1つ又は複数の所定の運動パターンと比較する。
【0215】
1つ又は複数のプロセッサは、生じた、患者が話している尤度値を、所定の患者が話している尤度値の閾値と比較するよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、生じた尤度値が、所定の患者が話している尤度値の閾値を満たしている場合、患者が話していると判断することができる。たとえば、所定の患者が話している尤度の閾値が90%の信頼度に設定されている場合、生じた尤度値も90%の信頼度で患者が話していることを示していれば、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話していると判断することができる。
【0216】
1つ又は複数のプロセッサが、患者が話していないと判断した場合(ブロック5604で「ノー」)、方法5600は、ブロック5601に進む。1つ又は複数のプロセッサが、患者が話していると判断した場合(ブロック5604で「イエス」)、方法5600は、ブロック5605に進む。1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データを調整する(ブロック5605)。1つ又は複数のプロセッサは、息パターン・データを調整する前に、受信した息パターン・データが、閾値量だけ患者の基準の息パターン・データと異なっているかどうかを判断するよう構成され得る。患者の基準の息パターン・データは、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、以前に複数の期間にわたって受信した息パターン・データに基づいて判断することができる。1つ又は複数のプロセッサが、受信した息パターン・データが基準の息パターン・データと閾値量ほど異なっていないと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、ブロック5605で、受信した息パターン・データを調整しない可能性があり、この方法はブロック5606に進む。
【0217】
1つ又は複数のプロセッサが、受信した息パターン・データが基準の息パターン・データと閾値量だけ異なると判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データを調整する。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、受信した息パターン・データに基づいて、呼吸数並びに/又は左鼻孔、右鼻孔、及び/若しくは口の流量を判断するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、呼吸数並びに/又は左鼻孔、右鼻孔、及び/若しくは口の流量を所定の量だけ調整することによって、受信した息パターン・データを調整するよう構成され得る。所定の量は、話しているときの患者の呼吸数及び/又は流量への影響を判断するよう訓練された、1つ又は複数の機械学習モデルに基づいて選択され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、判断した呼吸数及び/又は流量を減少させることによって、息パターン・データを調整するよう構成され得る。息パターン・データは、たとえば、判断した呼吸数及び/又は流量データと呼吸数及び/又は流量データの閾値との差を減らすように減少され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、患者が話しておらず、且つ息パターン・データが正しく測定され得ない場合、睡眠時無呼吸状態のアラームを発生させることができる。
【0218】
1つ又は複数のプロセッサは、調整した息パターン・データを表示する(ブロック5606)。1つ又は複数のプロセッサは、調整した息パターン・データを監視デバイスに関連する表示デバイスに表示させることによって、調整した息パターン・データを表示するよう構成され得る。監視デバイスに備えられた表示デバイス、及び/又は監視デバイスに通信可能に連結された表示デバイスは、本明細書では、監視デバイスに関連するものと呼ばれ得る。
【0219】
上記は、発話を検出し、息パターン・データを調整するプロセスを実行する、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサについて説明しているが、当業者は、センサ・デバイス2の1つ又は複数のプロセッサが、
図56で説明されたプロセスに従って発話を検出し、息パターン・データを調整するプロセスを実行するよう構成され得ることを認識されたい。
【0220】
XI.監視デバイス
上記のように、ハブ4などの監視デバイスは、センサ・デバイスから生理学的パラメータのデータを受信し、受信した生理学的パラメータのデータに関する情報及び/又はデータを、監視デバイスの表示デバイス、及び/又は監視デバイスに結合された表示デバイスに表示するよう構成され得る。監視デバイス4は、受信した生理学的パラメータのデータに基づいて、患者が、睡眠時無呼吸、身体的疼痛、鼻腔状態などの特定の生理学的及び/若しくは医学的状態にあるリスクを負っているかどうかを判断し、判断した生理学的状態に基づいて警告を発生させ、且つ/又は看護師、医師、他の臨床医、友人、及び/若しくは患者の家族など、1人若しくは複数人のユーザに警告を与えるよう構成され得る。監視デバイスは、生理学的パラメータのデータに基づいて、患者の顔上のセンサ・デバイスの位置を判断するよう構成され得る。位置は、患者の鼻、口/唇、又は首などの顔の特徴に対する、顔上の場所であり得る。監視デバイスは、センサ・デバイスの位置に基づいて、センサ・デバイスが患者に適切に配置されているかどうかを判断するよう構成され得る。
【0221】
さらに、監視デバイス4は、たとえば、センサ・デバイス2から、患者の場所及び/又は動きのデータを受信するよう構成され得る。場所データには、ビーコン・デバイスなどの、患者の識別子を送信するように構成された1つ又は複数の無線送信器デバイスからのデータが含まれ得るが、これに限定されるものではない。監視デバイスはまた、たとえば、センサ・デバイス2から、患者の動きのデータも受信するよう構成され得る。患者の動きデータの実例には、患者の、且つ/又は患者に関連する(たとえば、センサ・デバイス2に埋め込まれた)1つ又は複数の加速度計センサ及び/又はジャイロスコープ・センサからのデータが含まれるが、これに限定されるものではない。監視デバイス4は、患者の動きデータに基づいて、病状を判断するよう構成され得る。監視デバイス4は、たとえば、患者の動きデータに基づいて、睡眠時無呼吸を識別することができる。監視デバイス4は、監視デバイス4の場所に基づいて、ユーザ・インタフェースを修正及び/又は更新するよう構成され得る。患者を監視するステップのさらなる詳細は、
図57~
図62を参照して本明細書で説明される。
【0222】
ここで
図57に目を向けると、患者のセンサ・デバイスの位置を判断するプロセスが示されている。実例を示すことを目的に、患者のセンサ・デバイスの位置を判断するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、メモリ記憶ユニットを備えることができる。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、遠隔に位置する記憶ユニット(たとえば、クラウドベースの記憶ユニット)と通信可能に連結され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する任意の記憶ユニットに、データを記憶するよう構成され得る。
【0223】
方法5700は、監視デバイス4によって、患者のセンサ・デバイスから運動データ(たとえば、加速度計データを含む)を受信するステップを含む(ブロック5701)。上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、センサ・デバイスの1つ又は複数の加速度計センサ及び/又はジャイロスコープ・センサによって測定される運動データを、ペアリングされた監視デバイスに送信するよう構成され得る。運動データは、患者の動きを示すことができる。運動データは、たとえば、患者が頭部を動かしていることを示すことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスから、患者の左鼻孔の息パターンを示すデータを受信する(ブロック5702)。上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、1つ又は複数の息センサを備えることができ、いくつかの実施態様では、少なくとも1つの息センサは、センサ・デバイスが患者に配置されたとき、患者の左鼻孔の近位に配置されるよう構成され得る。左鼻孔の近位にある息センサは、プログラムによって左鼻孔に関連づけられ得る(たとえば、コード化された命令によって)。本明細書で説明されるとき、「息パターンを示すデータ」という用語は、本明細書では息パターン・データと呼ぶことにする。左鼻孔に関連づけられた息センサからの息パターン・データは、呼吸数、及び/又は左鼻孔からの流量を表すことができ、いくつかの実施態様では、この息パターン・データが左鼻孔に関連づけられていることを特定する情報(たとえば、左鼻孔の識別名)を含むことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した左鼻孔の息パターン・データを、監視デバイスに関連するメモリ記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0224】
様々な態様によれば、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスから、患者の右鼻孔の息パターンを示すデータを受信する(ブロック5703)。右鼻孔の近位に配置された息センサは、左鼻孔に関連づけられた息センサと同様に、プログラムによって右鼻孔に関連づけられ得る。右鼻孔に関連づけられた息センサからの息パターン・データは、呼吸数、及び/又は右鼻孔からの流量を表すことができる。いくつかの実施態様では、この息パターン・データは、データが右鼻孔に関連づけられていることを特定する情報(たとえば、右鼻腔の識別名)を含むことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した右鼻孔の息パターン・データを、監視デバイスの記憶ユニット、及び/又は監視デバイスに結合された記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0225】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスから、患者の口の息パターンを示すデータを受信する(ブロック5704)。口に関連づけられた息センサからの息パターン・データは、左右の鼻孔に関連づけられた息センサと同様に、呼吸数、及び/又は口からの流量を表すことができ、データが口に関連づけられていることを特定する情報を含むことができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した口の息パターン・データを、監視デバイスに関連するメモリ記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0226】
センサ・デバイスは、左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の息パターン・データを、周期的間隔で監視デバイス4に送信することができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイスは、監視デバイスによって受信された息パターン・データがリアルタイム又はほぼリアルタイムで患者の現在の呼吸数及び/又は流量を表すように、リアルタイム又はほぼリアルタイムで息パターン・データを送信することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、データを受信すると、息パターン・データにタイムスタンプを付けるように、さもなければ受信した息パターン・データをその時点又は期間に関連づけるよう構成され得る。いくつかの実施態様では、関連づけられた時点又は期間は、息パターン・データがセンサ・デバイスによって取り込まれた時間を表すことができる。いくつかの実施態様では、関連づけられた時点又は期間は、監視デバイスが息パターン・データを受信した時間を表すことができる。1つ又は複数のプロセッサは、関連づけられた時点又は期間を表し、且つ/又は特定する、時間の表示(たとえば、タイムスタンプ)と共に、受信した息パターン・データをメモリ記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。
【0227】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターンを示すデータを、息パターン・データの閾値と比較する(ブロック5705)。監視デバイスは、息パターン・データのタイプごとの息パターン・データの閾値を有するよう構成され得る。たとえば、左鼻孔の息パターン・データの閾値、右鼻孔の息パターン・データの閾値、及び/又は口の息パターン・データの閾値は、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した左鼻孔の息パターン・データを、左鼻孔の息パターン・データの閾値と比較するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、受信した右鼻孔及び口の息パターン・データを、それぞれ、右鼻孔及び口の息パターン・データの閾値と比較するよう構成され得る。
【0228】
いくつかの実施態様では、息パターン・データの閾値は、事前に判断され、監視デバイスへの入力として供給され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、患者の経歴及び/又は生理学的プロファイルなどの患者のプロファイルに基づいて、息パターン・データの閾値を判断することができる。監視デバイスは、たとえば、患者の年齢、体重、身長などに基づいて、予想される呼吸数及び/又は流量(たとえば、左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の)を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、年齢、体重、身長など、患者に関する生物学的及び/又は生理学的要因に基づいて、予想される呼吸数及び/又は流量を判断するように訓練された機械学習モデルを実装する、1つ又は複数の機械学習モジュールを備えるよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、受信した息パターン・データと息パターン・データの閾値との差を計算し、この差を監視デバイスに関連するメモリ記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、左鼻孔の息パターン・データと左鼻孔の息パターン・データの閾値との差を計算し、この差を監視デバイスの記憶ユニットに記憶することができる。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、右鼻孔の息パターン・データと右鼻孔の息パターン・データの閾値との差、及び口の息パターン・データと口の息パターン・データの閾値との差を計算し、記憶することができる。
【0229】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、センサ・デバイスが患者に正しく配置されているかどうかを判断する(ブロック5706)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、計算した、受信した息パターン・データと息パターン・データの閾値との差が、差の閾値を満たすかどうかを判断することができる。計算した差が差の閾値を満たしている場合、1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスが患者に正しく配置されていると判断することができる。たとえば、差の閾値が、息パターン・データの閾値との3%の差である場合、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、計算した左鼻孔、右鼻孔、及び口についての差が、対応する息パターン・データの閾値の3パーセント以内であれば、センサ・デバイスは正しく配置されていると判断する。計算した差が差の閾値を満たさない場合、1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスが患者に正しく配置されていないと判断することができる。
【0230】
いくつかの実施態様では、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、計算した差が差の閾値に近いが、差の閾値を満たさない場合に、適切に配置されていないセンサの一部を識別するよう構成され得る。たとえば、左鼻孔について計算した差が差の閾値に近いが、差の閾値を満たさない場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスの位置取りを左鼻孔の近くに調整する必要があることを示す、警告を発生させることができる。同様に、1つ又は複数のプロセッサが、右鼻孔について計算した差が差の閾値に近いが、右鼻孔の差の閾値を満たさないと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスの位置を右鼻孔又は口の近くに調整する必要があることを示す、警告を発生させることができる。
【0231】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、センサ・デバイスが患者に正しく配置されていないと判断した場合(ブロック5706で「ノー」)、方法5700はブロック5709に進む。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、警告を発生させる(ブロック5709)。警告は、センサ・デバイスが患者に適切に配置されていないことを特定することができる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスを患者の適切な位置に再配置するために、発生する警告での命令を特定することができる。
【0232】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、センサ・デバイスが患者に正しく配置されていると判断した場合(ブロック5706で「イエス」)、方法5700はブロック5707に進む。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターンを示すデータに基づいて、息パターン・データの閾値を調整する(ブロック5707)。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、息パターン・データの閾値及び受信した息パターン・データの統計的測定値(たとえば、加重平均値)に基づいて、息パターン・データの閾値を調整するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、調整した息パターン・データの閾値を、監視デバイスの記憶ユニットに記憶することができる。
【0233】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスの現在の位置として、3次元座標空間系での位置を識別する(たとえば、センサ・デバイス2から受信した加速度計データを使用して)よう構成され得る(ブロック5708)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、3次元(3D:three-dimensional)座標空間系での1組の座標を判断し、1組の座標を3D座標空間系でのセンサ・デバイスの位置として識別するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、座標0、0、0などの座標空間系の中心にある1組の座標を識別し、1組の座標0、0、0を、この3D座標系でのセンサ・デバイスの位置として識別することができる。様々な実施態様によれば、座標空間は、患者の顔(又は患者の初期状態の顔)にマッピングされ得る。初期状態の座標(たとえば、0、0、0)は、患者の鼻、唇/口、顎、又は首などの、顔の特徴にマッピングされ得る。1つ又は複数のプロセッサは、この1組の座標を、センサ・デバイスの位置又はセンサ・デバイスの第1の位置として、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、受信した運動データを使用して、第1の位置からのオフセットを計算することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、オフセットに基づいて、3D座標空間系での第2の1組の座標を判断し、第2の1組の座標を3D座標空間系でのセンサ・デバイスの新しい位置又は第2の位置として識別することができる。1つ又は複数のプロセッサは、第2の1組の座標を、3D座標空間系でのセンサ・デバイスの更新された位置又は第2の位置として、監視デバイスの記憶ユニットに記憶することができる。
【0234】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスの位置を、ユーザ・インタフェースに表示する(ブロック5709)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、表示デバイスにグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を提示し、GUI内でのセンサ・デバイスの位置を表示するよう構成され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、上記の3D座標空間系におけるセンサ・デバイスの記憶された位置に基づいて、GUI内でのセンサ・デバイスを表示する。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、患者の顔、頭部、及び/又は身体の仮想表現を生成し、患者の顔、頭部、及び/又は身体の適切な位置にセンサ・デバイスを表示するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、センサ・デバイスを、患者の顔の上唇の上且つ鼻孔の下に表示する。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、上記の3D座標空間系を参照して、患者の顔、頭部、及び/又は身体の仮想表現を表示し、また上記の記憶された1つ又は複数の位置に基づいて、センサ・デバイスの位置を表示することができる。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、センサ・デバイス2の静電容量式センサ及び/又は皮膚サーミスタからのデータを受信することができ、また監視デバイスは、このデータ並びに呼吸データ及び加速度計データに基づいて、患者のセンサ・デバイス2の位置を検出することができる。
【0235】
いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、受信した息データに基づいてセンサ・デバイスの動きを検出し、この動きをユーザ・インタフェースにリアルタイムで表示するよう構成され得る。動きを検出するステップ、及び動きをリアルタイムで表示するステップのさらなる詳細は、
図58を参照して以下に説明される。
【0236】
ここで
図58に目を向けると、患者のセンサ・デバイスの動きを検出し、この動きをユーザ・インタフェースにリアルタイムで表示するプロセスが示されている。明確な実例を示すことを目的に、息パターン・データに基づいてセンサ・デバイスの動きを検出し、動きを表示するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0237】
方法5800は、ハブ4などの監視デバイスによって、患者のセンサ・デバイスの第1の位置を判断するステップを含む(ブロック5801)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、監視デバイスに関連する記憶ユニットに、患者のセンサ・デバイスの位置を記憶することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶された位置データに基づいて、センサ・デバイスの第1の位置を判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、最後に記憶された位置データを検索し、センサ・デバイスの第1の位置を、最後に記憶された位置と判断することができる。監視デバイスは、上記のように、センサ・デバイスからリアルタイム又はほぼリアルタイムでデータを受信することができ、したがって、判断した第1の位置は、患者のセンサ・デバイスの現在の位置であり得る。
【0238】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び口に関連づけられた息センサからの息パターンを示すデータを受信する(ブロック5802)。かかるデータは、上記のように、本明細書では息パターン・データと呼ばれ得る。1つ又は複数のプロセッサは、左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の呼吸数及び/又は流量の変化を追跡する(ブロック5803)。1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データに基づいて、現在の期間の患者の左鼻孔、右鼻孔、及び口の呼吸数及び/又は流量を判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、監視デバイスに関連する記憶ユニットに期間ごとの呼吸数及び/又は流量を記憶するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、判断した各呼吸数及び/又は流量を、以前の期間の呼吸数及び/又は流量と比較することができる。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、左鼻孔の呼吸数及び/又は流量を、以前の期間における左鼻孔の呼吸数及び/又は流量と比較することができる。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、右鼻孔及び/又は口の呼吸数及び/又は流量を、それぞれ、以前に受信した右鼻孔及び/又は口の呼吸数及び/又は流量と比較することができる。1つ又は複数のプロセッサは、この比較に基づいて、それぞれの呼吸数及び/又は流量の変化を追跡することができる。
【0239】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、追跡した変化及び第1の位置に基づいて、患者のセンサ・デバイスの第2の位置を判断する(ブロック5804)。1つ又は複数のプロセッサは、追跡した変化に基づいて、呼吸数及び/又は流量が増加しているか、減少しているか、又は変化していないかを判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、速度の変化が閾値量を超える場合は呼吸数及び/又は流量が増加し、速度の変化が閾値量を下回る場合は減少し、変化が閾値量の範囲内にある場合は変化していないと判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、複数の期間にわたって、呼吸数及び/又は流量が増加しているか、減少しているか、又は変化していないかを判断することができる。
【0240】
1つ又は複数のプロセッサは、左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口の呼吸数及び/又は流量の変化を互いに比較し、患者のセンサ・デバイスの動く方向を判断するよう構成され得る。たとえば、両方の鼻孔(及び場合によっては口)についての変化が、第1の期間においてそれぞれの呼吸数及び/又は流量の減少を示し、第1の鼻孔(たとえば、右鼻孔)についてのデータが、続く第2の期間において増加を示す場合、1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスが反対側の鼻孔に対応する患者の側部に向かって(たとえば、患者の左側部に、又は左鼻孔の向こうに)動いたと判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、動く方向に基づいて、第2の位置を判断するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、3D座標空間系での第1の位置を動く方向に所定のオフセット量だけ調整することによって、第2の位置を判断するよう構成され得る。
【0241】
1つ又は複数のプロセッサは、センサ・デバイスの第1及び第2の位置に基づいて、ユーザ・インタフェース上にセンサ・デバイスの動きを表示することができる(ブロック5805)。1つ又は複数のプロセッサは、第1の位置から第2の位置へのセンサ・デバイスのグラフィカルな動きを生成し、動きをユーザ・インタフェース(たとえば、GUI)上に表示するよう構成され得る。ユーザ・インタフェースは、上記のように、顔を表示することができ、1つ又は複数のプロセッサは、顔の上のセンサ・デバイスの動きを表示することができる。
【0242】
ここで
図59に目を向けると、患者が睡眠時無呼吸になる尤度を予測するプロセスが示されている。実例を示すことを目的に、患者が睡眠時無呼吸になる尤度を予測するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0243】
方法5900は、監視デバイスによって、患者の顔の上のセンサ・デバイスから運動データを受信するステップを含む(ブロック5901)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口に関連づけられた息センサからの息パターンを示すデータを受信する(ブロック5902)。1つ又は複数のプロセッサは、受信した運動データに基づいて、患者の頭部の運動を判断する(ブロック5903)。1つ又は複数のプロセッサは、このデータに基づいて、頭部の運動パターン(たとえば、上下、左右など)を判断することができる。1つ又は複数のプロセッサはまた、頭部が特定のパターンで動く頻度を判断するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、運動データに基づいて、判断した患者の頭部の運動パターンが上下である場合、10秒ごとに、頭部が上下に動く回数を判断することができる。
【0244】
運動データ及び息データを所定の1つ又は複数の睡眠パターンと比較して、患者が正常な睡眠状態にあるか、又は苦痛を受けているかを判断することができる。様々な実施態様によれば、睡眠時無呼吸の徴候に関連づけられる、所定の1つ又は複数の睡眠パターンのうちの少なくとも1つ。所定の1つ又は複数の睡眠パターンは、所定の期間での所定の息パターンに関連づけられた、所定の期間中の固定した姿勢に対する、所定の患者の頭部の動きのパターンを含むことができる。いくつかの実施態様では、動きのパターンは、(たとえば、頭部全体の代わりに)唇又は口の動きに対応することができる。所定の期間に等しい期間にわたる、所定の動きパターンと、受信した運動データから識別された現在の動きパターンとの間の類似性の強さ、並びに所定の息パターンと、受信した息データから識別された現在の息パターンとの間の類似性の強さに基づいて、無呼吸のスコアが生成され得る。
【0245】
この点に関連して、1つ又は複数のプロセッサは、判断した頭部の運動を、所定の1つ又は複数の運動パターンと比較する(ブロック5904)。所定の1つ又は複数の運動パターンは、睡眠パターンに関連づけられた頭部の動きのパターンであり得る。いくつかの実施態様では、睡眠パターンに関連づけられた頭部の動きのパターンは、睡眠時無呼吸に関連づけられた頭部の動きのパターンであり得る。いくつかの実施態様では、所定の1つ又は複数の運動パターンは、睡眠時無呼吸に苦しむ患者の頭部の運動データを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して識別される運動パターンであり得る。1つ又は複数のプロセッサは、判断した頭部の運動と所定の1つ又は複数の運動パターンとの比較に基づいて、判断した頭部の運動が、所定の1つ又は複数の頭部の運動パターンと、どれだけ厳密に一致するかを表すインジケータ(たとえば睡眠時無呼吸のスコア)を生成するよう構成され得る。
【0246】
1つ又は複数のプロセッサは、比較及び受信した息パターン・データに基づいて、患者が睡眠時無呼吸である尤度を予測する(ブロック5905)。1つ又は複数のプロセッサは、生成したインジケータが一致レベルの閾値を満たすかどうかを判断するよう構成され得る。生成したインジケータがレベルの閾値を満たさない場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が睡眠時無呼吸であり得る尤度を低くすることができる。生成したインジケータがレベルの閾値を満たしている場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が睡眠時無呼吸である尤度を高くすることができる。1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データに基づいて、患者が睡眠時無呼吸である尤度をさらに調整するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、患者の息のどんな不規則性をも識別し、すべての不規則性が、患者の頭部の運動と同じ期間に又はこの期間の近くで生じているかどうかを判断するよう構成され得る。患者の息のどんな不規則性も、患者の頭部の運動と同時に生じている場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が睡眠時無呼吸である尤度を高くすることができ、不規則性が、患者の頭部の運動と同じ期間に又はこの期間の近くで生じていない場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者が睡眠時無呼吸である尤度を低くすることができる。
【0247】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、予測した尤度が尤度レベルの閾値を満たすかどうかを判断する(ブロック5906)。いくつかの実施態様では、予測した尤度は、患者が睡眠時無呼吸であり得る、確率を示す値であり得る。いくつかの実施態様では、予測した尤度は、患者が現段階又は現在の期間から閾値時間内に睡眠時無呼吸となり得る、確率であり得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、予測した尤度が尤度レベルの閾値を満たしていないと判断した場合(ブロック5906で「ノー」)、方法5900はブロック5901に進む。1つ又は複数のプロセッサが、予測した尤度が尤度レベルの閾値を満たしていると判断した場合(ブロック5906で「イエス」)、この方法はブロック5907に進む。1つ又は複数のプロセッサは、警告を発生させることができる(ブロック5907)。1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する表示デバイスに警告及び/又は警告の指示を表示させることができる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する表示デバイスに、警告又は警告の指示を、センサ・デバイスのグラフィック表現と共に表示させることができる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、警告を、看護師、医師などのユーザの識別子(たとえば、電子メール・アドレス、電話番号など)に送信することができる。
【0248】
いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、判断した患者の頭部の運動を、疼痛に関連づけられた所定の1つ又は複数の頭部の運動パターンと比較するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、この比較に基づいて、患者が疼痛を受けている尤度を示す疼痛インジケータ(たとえば、疼痛スコア)を生成するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、判断した頭部の運動が、疼痛に関連づけられた所定の1つ又は複数の頭部の運動パターンとどれだけ厳密に一致するかに基づいて、スコアを生成することができる。1つ又は複数のプロセッサは、患者が疼痛を受けている尤度を示す、グラフィック要素を表示するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、生成した疼痛スコアを、監視デバイスに関連する表示デバイス上のGUIに表示させることができる。
【0249】
様々な実施態様によれば、運動データ及び/又は息データを所定の1つ又は複数の苦痛パターンと比較して、患者が正常な睡眠状態にあるか、又は苦痛を受けているかを判断することができる。この点に関連して、苦痛の徴候に関連づけられた所定の1つ又は複数の運動パターンのうちの少なくとも1つ。所定の1つ又は複数の苦痛パターンは、所定の期間での所定の息パターンに関連づけられた、所定の期間中の固定した姿勢に対する所定の患者の頭部の動きのパターンを含むことができる。いくつかの実施態様では、動きのパターンは、(たとえば、頭部全体の代わりに)唇又は口の動きに対応することができる。所定の期間に等しい期間にわたる、所定の動きパターンと、受信した運動データから識別された現在の動きパターンとの間の類似性の強さ、並びに所定の息パターンと、受信した息データから識別された現在の息パターンとの間の類似性の強さに基づいて、苦痛又は疼痛のスコアが生成され得る。
【0250】
ここで
図60に目を向けると、患者が臨床医からの指示に従っているかどうかを判断するプロセスが示されている。明確な実例を示すことを目的に、患者が臨床医からの指示に従っているかどうかを判断するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0251】
方法6000は、監視デバイスによって、患者に与えられた指示に関するデータを受信するステップを含む(ブロック6001)。患者に与えられた指示に関するデータは、監視デバイスに関連する入力デバイスを介して供給され得る。たとえば、患者に、ベッドから出ないように指示が与えられた場合、臨床医は、監視デバイスのタッチスクリーン・ディスプレイを使用して、患者に与えた指示についての情報を供給することができ、1つ又は複数のプロセッサは、この指示を受信することができる。1つ又は複数のプロセッサは、患者のセンサ・デバイスから加速度計データを受信する(ブロック6002)。1つ又は複数のプロセッサは、加速度計データに基づいて、患者の動きを判断する(ブロック6003)。1つ又は複数のプロセッサは、受信した加速度計データに基づいて運動を判断し、判断した運動を、患者の動きを示す所定の運動パターンと比較するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、この比較に基づいて、患者の動き(たとえば、上体を起こす、立ち上がる、歩くなど)を判断することができる。
【0252】
1つ又は複数のプロセッサは、患者の動きが、受信した、患者に対する指示に従っているかどうかを判断する(ブロック6004)。たとえば、受信した指示が、患者は横になる必要があるというものであり、判断した動きが、患者が上体を起こしていることを示している場合、1つ又は複数のプロセッサは、患者の動きが受信した指示に従っていないと判断する。1つ又は複数のプロセッサが、患者の動きが受信した指示に従っていると判断した場合(ブロック6004で「イエス」)、この方法はブロック6002に進む。1つ又は複数のプロセッサが、患者の動きが受信した指示に従っていないと判断した場合(ブロック6004で「ノー」)、この方法はブロック6005に進む。1つ又は複数のプロセッサは、患者が指示に従っていないという警告を発生させる(ブロック6005)。1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する表示デバイスに警告を表示させることができる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、警告を、看護師、医師などのユーザの識別子(たとえば、電子メール・アドレス、電話番号など)に送信することができる。
【0253】
ここで
図61に目を向けると、受信した息パターン・データに基づいて、鼻腔の状態を検出するプロセスが示されている。明確な実例を示すことを目的に、受信した息パターン・データに基づいて鼻腔の状態を検出するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0254】
方法6100は、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサによって、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び口に関連づけられた息センサからの息パターンを示すデータを受信するステップを含む(ブロック6101)。1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データに基づいて、左鼻孔、右鼻孔、及び口の呼吸数及び/又は流量を判断する(ブロック6102)。1つ又は複数のプロセッサは、左鼻孔及び/又は右鼻孔の呼吸数及び/又は流量を、患者の口の呼吸数及び/又は流量と比較する(ブロック6103)。1つ又は複数のプロセッサは、呼吸数及び/又は流量の比較に基づいて、差を計算するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、患者の左鼻孔と口との間の呼吸数及び/又は流量の差を計算し、また患者の右鼻孔と口との間の呼吸数及び/又は流量のもう1つの差を計算することができる。1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する記憶ユニットに、計算した差を記憶するよう構成され得る。
【0255】
1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、患者の鼻腔が不健康な状態であるかどうかを判断する(ブロック6104)。1つ又は複数のプロセッサは、患者の口の呼吸数及び/又は流量が、左鼻孔及び/又は右鼻孔の呼吸数及び/又は流量よりも大きい場合、患者の鼻腔が不健康な状態であると判断する。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、計算した差及び/又は記憶した差を、鼻腔の状態に関連づけられた所定の差分値の閾値と比較するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサが、計算した差が所定の差分値の閾値を満たすと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、対応する鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないか又は健康ではないと判断するよう構成され得る。
【0256】
1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、計算した左鼻孔と口との差を差の閾値と比較することができ、計算した差が差の閾値を満たす場合、1つ又は複数のプロセッサは、左鼻孔の鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないか又は健康ではないと判断することができる。同様に、1つ又は複数のプロセッサが、計算した右鼻孔と口との差を差の閾値と比較し、計算した差が差の閾値を満たす場合、1つ又は複数のプロセッサは、右鼻孔の鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないか又は健康ではないと判断することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないことを示す警告を発生させる(ブロック6105)。いくつかの実施態様では、1つ又は複数のプロセッサは、警告で、各鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないと判断されたことを示すことができる。たとえば、1つ又は複数のプロセッサが、左鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、警告で、左鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないことを示すことができる。同様に、1つ又は複数のプロセッサが、右鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないと判断した場合、1つ又は複数のプロセッサは、警告で、右鼻腔が完全にすっきり通っている訳ではないことを示すことができる。1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する表示デバイスに、生成した警告を表示させることができる。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の鼻腔が、不健康ではないことを示す警告を発生させることができる。
【0257】
ここで
図62に目を向けると、監視デバイスの位置に基づいて、ユーザ・インタフェースを調整又は修正するプロセスが示されている。明確な実例を示すことを目的に、監視デバイスの位置に基づいてユーザ・インタフェースを調整又は修正するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0258】
方法6200は、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサによって、監視デバイスの場所を判断するステップを含む(ブロック6201)。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、地理的測位システムを備えるよう構成することができ、1つ又は複数のプロセッサは、地理的位置システムからの監視デバイスの場所情報に関するデータに基づいて、監視デバイスの場所を判断するよう構成することができる。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、1つ又は複数のビーコン・デバイスから場所情報を受信するよう構成することができ、1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数のビーコン・デバイスから受信した場所情報に基づいて、監視デバイスの場所を判断するよう構成することができる。1つ又は複数のプロセッサは、医療施設内の特定のエリア又はユニットを、特定の場所情報に関連づけるよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、場所情報及び記憶した関連づけに基づいて、医療施設を備えたエリア又はユニットを判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、特定の場所情報が一般病棟に関連づけられ、他の特定の場所情報が集中治療室に関連づけられ、受信した場所情報が一般病棟に関連づけられた場所情報と一致する場合、現在、監視デバイスが一般病棟にあると判断することができる。
【0259】
1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスのユーザを判断する(ブロック6202)。1つ又は複数のプロセッサは、任意のユーザが現在監視デバイスにログインしているかどうかを判断するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、記憶したログイン・データに基づいて、現在ログインしているユーザの識別子を判断し、また1つ又は複数のプロセッサは、識別子に基づいて、監視デバイスの現在のユーザを判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、ユーザ及び監視デバイスの場所に基づいて、ユーザ・インタフェースの調整を判断する(ブロック6203)。1つ又は複数のプロセッサは、ユーザが特定の期間にわたって行う様々なユーザ・インタフェース調整に関する情報を追跡及び記憶し、かかる調整を、ユーザ及び監視デバイスの場所に関連づけるよう構成され得る。たとえば、看護師などのユーザは、特定のグラフィック構成要素を追加すること、及び/又は特定のグラフィック構成要素を削除することで、初期状態のユーザ・インタフェースを調整することができ、またユーザは、ユーザが一般病棟エリアの監視デバイスと相互作用するたびに、15日間にわたってこうした調整を行うことができ、次いで1つのプロセッサは、グラフィック部品の追加及び削除を追跡し、この追加及び削除を看護師及び一般病棟に関連づけることができる。
【0260】
1つ又は複数のプロセッサは、判断した監視デバイスのユーザ及び監視デバイスの場所に基づいて、ユーザ・インタフェースに対して行われ得る調整を判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、判断した調整に基づいて、ユーザ・インタフェースを修正する(ブロック6204)。1つ又は複数のプロセッサは、グラフィック構成要素を追加及び/又は削除することにより、ユーザ・インタフェースを修正することができる。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、グラフィック構成要素のサイズ、ユーザ・インタフェースに表示されるテキスト、ユーザに対してデータが表示される態様などを調整することにより、ユーザ・インタフェースを修正することができる。したがって、ユーザが特定の場所(たとえば、集中治療室)にある監視デバイスと相互作用する準備ができると、監視デバイスは、ユーザが望むユーザ・インタフェースを表示するために、ユーザ・インタフェースを自動的に修正する。
【0261】
XII.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の監視
ここで
図63に目を向けると、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)が悪化する尤度を予測するプロセスが示されている。いくつかの実施態様では、COPDの悪化は、COPDの症状がさらに悪くなることを指すことができる。実例を示すことを目的に、患者のCOPDが悪化する尤度を予測するプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及びセンサ・デバイス2(たとえば呼吸センサ100a、100bを含む)の構成要素が使用され得る。上記のように、いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、メモリ記憶ユニットを備えることができ、且つ/又は遠隔に位置する記憶ユニット(たとえば、クラウドベースの記憶ユニット)と通信可能に連結することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスに関連する任意の記憶ユニットに、データを記憶するよう構成され得る。
【0262】
方法6300は、監視デバイス4によって、患者に関連づけられたセンサ・デバイスから運動データ(たとえば、動きデータ)を受信するステップを含む(ブロック6301)。運動データには、上記のように、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスの加速度計(及び/又はジャイロスコープ)からのデータが含まれ得る。運動データは、患者の動きを示すことができる。運動データは、たとえば、患者が動いているかどうか、又は患者が安静にしているかどうかを示すことができる。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、運動データに基づいて、患者の心拍数を判断することができる。
【0263】
監視デバイス4は、検出した患者の身体の動きに基づいて、患者の心拍数を決定することができる。センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスの、加速度計1150(
図41に示されている)などの加速度計は、上記のように、患者の心拍の段階での、患者の身体の前後の周期的な動きを検出するよう構成され得る。いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2の加速度計1150は、心拍の段階での患者の身体の縦軸を中心とする回転力も発生させる、心臓の長軸に沿った心臓の回転を検出するよう構成され得る。監視デバイス4は、患者の身体の縦軸を中心とする縦方向の動き又は回転する動きを検出し、加速度計のデータから、1分当りの1回又は複数回の心拍の値を判断することができる。いくつかの実施態様では、加速度計1150はまた、患者の胸の上昇及び下降又は他の胸部の動きを検出し、検出した患者の胸部の上昇及び下降に基づいて心拍数を判断することができる。
【0264】
監視デバイス4は、センサ・デバイスから患者の生理学的データを受信する(ブロック6302)。患者の生理学的データには、センサ・デバイス2の息センサからの息パターンを示すデータが含まれ得る。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、パルス・オキシメータなどの1台又は複数台の外部医療デバイスに連結され得る。監視デバイス4は、パルス・オキシメータなどの1台又は複数台の外部医療デバイスから、患者の血液中の酸素量を含む生理学的データを受信することができる。監視デバイス4は、生理学的データに基づいて、患者の活動のレベルを判断することができる。監視デバイス4は、たとえば、患者の心拍数及び/又は経皮的酸素飽和度(SpO2:peripheral capillary oxygen saturation)データに基づいて、患者の活動のレベルを判断することができる。活動のレベルは、特定の活動(たとえば、歩行、エクササイズ、ランニングなど)を示すことができ、所定の活動カテゴリに関連づけられ得る。活動のレベルを判断するステップのさらなる詳細は、
図64を参照して本明細書で説明される。
【0265】
所定の活動のカテゴリは、上記のように、活動のレベルに関連づけられ得る。監視デバイス4は、判断した活動のレベルに基づいて、所定の活動のカテゴリを判断するよう構成され得る。監視デバイス4は、
図63に示されているように、複数の所定の活動のカテゴリから所定の活動のカテゴリを選択する(ブロック6303)。監視デバイス4は、センサ・デバイス2から、患者に関する位置データを受信するよう構成され得る。監視デバイス4は、患者の位置データ及び運動データに基づいて、患者が移動した経路を判断することができる。
【0266】
いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、患者が経路を移動した回数を判断するよう構成することができ、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者が経路を移動した回数を、監視デバイス4に関連する表示デバイスのGUIに表示するよう構成することができる。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、患者が移動した経路ごとにグラフィックの経路の線を生成し、生成したグラフィックの経路の線を、監視デバイス4に関連する表示デバイスに表示されるGUI上に表示するよう構成され得る。監視デバイス4は、生成するグラフィックの経路のサイズによって、患者が経路を移動した回数を示すよう構成され得る。監視デバイス4は、たとえば、患者が経路を移動するごとに、グラフィックの経路のサイズを大きくすることができる。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、同様に、患者が閾値期間にわたって経路を移動していない場合、グラフィックの経路のサイズを小さくすることができる。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、運動データに基づいて、患者が縦方向に移動したかどうかを判断するよう構成され得る。運動データは、上記のように、加速度計データ、位置データ、及び/又は向きのデータを含むことができ、監視デバイス4は、患者が縦方向に移動したかどうか(たとえば、階段を上る、階段を下るなど)を判断することができる。監視デバイス4は、監視デバイス4に関連する表示デバイスのGUIに、患者の縦方向の位置を表示するよう構成され得る。
【0267】
いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、1つ又は複数の基準の生理学的値を経路に関連づけるよう構成され得る。いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、基準の生理学的値を、判断した患者の活動のカテゴリに関連づけることができる。監視デバイス4は、患者が関連づけられる経路を移動した期間中に測定された、且つ/又は患者の運動データが収集及び/又は測定される間に測定された生理学的データに基づいて、基準の生理学的値を生成することができる。
【0268】
監視デバイス4は、複数の基準の生理学的値から、基準の生理学的値を識別する(ブロック6304)。監視デバイス4は、判断した活動カテゴリ及び/又は患者が移動した経路に基づいて、基準の生理学的値を識別するよう構成され得る。監視デバイスは、生理学的データの値と識別した基準の生理学的値との差を判断する(ブロック6305)。監視デバイス4は、たとえば、基準の呼吸数と、受信した息パターン・データによって示される呼吸数との差を計算することができる。監視デバイス4は、同様に、基準の流量と、受信した息パターン・データによって示される流量との差を計算することができる。監視デバイス4は、患者のCOPDが悪化する尤度を予測する(ブロック6306)。監視デバイス4は、基準の流量及び呼吸数と、受信した息パターン・データで示されるデータからの流量及び呼吸数との間の、計算した差に基づいて、尤度を予測することができる。
【0269】
上記は、患者のCOPDが悪化する尤度を予測するプロセスを実行する、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサについて説明しているが、当業者は、センサ・デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、
図63で説明されたプロセスに従って、患者のCOPDが悪化する尤度を予測するプロセスを実行するよう構成され得ることを認識されたい。
【0270】
ここで
図64に目を向けると、患者の活動のレベルを判断し、活動のレベルを1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるプロセスが示されている。実例を示すことを目的に、患者の活動のレベルを判断し、活動のレベルを1つ又は複数の基準の生理学的値に関連づけるプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0271】
方法6400は、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサによって、患者のセンサ・デバイスの息センサから、息パターンを示すデータを受信するステップを含む(ブロック6401)。息パターン・データは、上記のように、患者の左鼻孔、右鼻孔、及び/又は口に関連づけられた息センサからの息パターンを示すことができる。いくつかの実施態様では、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データに基づいて、患者の呼吸数及び/又は流量を判断することができる。いくつかの実施態様では、受信した息パターン・データには、患者の呼吸数及び/又は流量が含まれ得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者に関連づけられたセンサ・デバイスからの運動データを受信する(ブロック6402)。運動データには、センサ・デバイスの加速度計1170などの、加速度計からのデータが含まれ得る。受信する運動データは、どれだけ頻繁に患者が動いているかを示すことができる。受信する息パターン・データが収集及び/又は測定されている間に、受信する運動データが取込み及び/又は測定され得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、受信した息パターン・データを受信した運動データと関連づけることができ、また受信した運動データと関連づけられた、受信した息パターン・データを、監視デバイス4に関連する記憶ユニットに記憶することができる。
【0272】
監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者の心拍数を判断する(ブロック6403)。受信した運動データには、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスの、加速度計1170などの加速度計からのデータが含まれ得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、センサ・デバイスの加速度計からのデータに基づいて、心拍数を判断することができる。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者の活動のレベルを判断する(ブロック6404)。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者の心拍数に基づいて、患者の活動のレベルを判断することができる。監視デバイス4は、様々な心拍数の範囲に対して様々な活動のレベルを特定する、1組のルールを有するよう構成され得る。
【0273】
1組のルールは、たとえば、患者の心拍数が、80から100の間の心拍数など、心拍数の第1の範囲内にある場合、患者は動いている、患者の心拍数が、70から75の間の心拍数など、心拍数の第2の範囲内にある場合は安静状態にあるか又は何もしていない、心拍数が、55から60の間の心拍数など、心拍数の第3の範囲内にある場合は眠っている、また心拍数が、110から175の間の心拍数など、心拍数の第4の範囲内にある場合は、労力の大きい活動に携わっていることを、特定することができる。労力の大きい活動の実例には、エクササイズ、ランニング、歩行での1組の階段の上り下りなどが含まれ得るが、これらに限定されるものない。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、1組のルール及び患者の心拍数に基づいて、活動のレベルを判断するよう構成され得る。
【0274】
いくつかの実施態様では、1組のルールは、患者の心拍数が、活動のレベルごとに、心拍数の対応する範囲を満たす必要がある時間の閾値を特定することができる。1組のルールは、たとえば、患者が歩いていると判断するために、患者の心拍数が少なくとも5秒の間、80から100の間である必要があると特定することができる。いくつかの実施態様では、1組のルールは、様々な活動のレベルについて、様々な時間の閾値を特定することができる。以前の実例を続けると、1組のルールは、患者が労力の大きい活動に携わっていると判断するために、患者の心拍数が少なくとも15秒の間、110から175の間である必要があると特定することができる。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者の心拍数が、閾値時間にわたって、心拍数の範囲内にあるかどうかに基づいて、患者の活動のレベルを判断するよう構成され得る。
【0275】
センサ・デバイス2などのセンサ・デバイスは、上記のように、リアルタイム又はほぼリアルタイムで、連続的にデータを送信するよう構成することができ、1つ又は複数のプロセッサは、心拍数が判断されたタイミング及び/又は対応する加速度計のデータが受信及び/又は取り込まれたタイミングと関連づけられた、判断した患者の心拍数を記憶するよう構成することができる。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者の心拍数が、対応する持続時間の閾値の間、記憶した心拍数及び心拍数に関連づけられたタイミングに基づいて、活動のレベルについて特定された心拍数の範囲内にあるかどうかを判断することによって、患者の活動のレベルを判断するよう構成され得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、過去5秒間の記憶した心拍数に基づいて、患者の心拍数が少なくとも5秒間、80から100の間であるかどうかを判断することによって、患者が労力の大きい活動に携わっているかどうかを判断することができる。
【0276】
監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、判断した活動のレベルに関連づけられた、受信した息パターン・データを、監視デバイスに関連する記憶ユニットに記憶するよう構成され得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、基準の生理学的値を生成する(ブロック6405)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、閾値期間にわたる対応する生理学的値に基づいて、基準の生理学的値を判断するよう構成され得る。生理学的値の実例には、上記のように、患者の呼吸数、患者の流量などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0277】
上記のように、いくつかの実施態様では、受信した息パターン・データは、患者の呼吸数及び/又は患者の流量を含むことができ、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、呼吸数及び/又は流量が取り込まれ、且つ/又は測定されるタイミングに関する情報に関連づけられた、呼吸数及び/又は流量を記憶するよう構成され得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、閾値期間が30日である場合、過去30日間にわたる患者の呼吸数に基づいて、基準の呼吸数を判断することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、同様に、閾値期間が30日である場合、過去30日間にわたる患者の流量に基づいて基準の流量を判断することができる。
【0278】
いくつかの実施態様では、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、判断した活動のレベルが、基準の生理学的値に関連づけられているかどうかを判断することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、判断した活動のレベルが基準の生理学的値に関連づけられている場合、受信した息パターン・データに基づいて、関連づけられた基準の生理学的値を更新することによって、新しい基準の生理学的値を生成するよう構成され得る。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、判断した患者の活動のレベルが基準の呼吸数及び基準の流量に関連づけられている場合、受信した呼吸数及び受信した流量に基づいて、それぞれ、新しい基準の呼吸数及び新しい基準の流量を生成することができる。
【0279】
監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、生成した基準の生理学的値を、判断した活動のレベルに関連づけることができる(ブロック6406)。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、判断した患者の活動のレベルが動いている場合、判断した活動のレベルに関連づけられた、生成した基準の呼吸数を記憶することができる。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、判断した活動のレベルに関連づけられた、生成した基準の流量を記憶することができる。
【0280】
上記は、患者の活動のレベルを判断し、活動のレベルを1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるプロセスを実行する、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサについて説明しているが、当業者は、センサ・デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、
図64で説明されたプロセスに従って、患者の活動のレベルを判断し、活動のレベルを1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるよう構成され得ることを認識されたい。
【0281】
ここで
図65に目を向けると、患者が移動した経路を判断し、経路を1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるプロセスが示されている。実例を示すことを目的に、患者が移動した経路を判断し、経路を1つ又は複数の基準の生理学的値に関連づけるプロセスを説明するために、本明細書で前述した、監視システム1の構成要素及び呼吸センサ100a、100bの構成要素が使用され得る。
【0282】
方法6500は、監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサによって、患者の場所を判断するステップを含む(ブロック6501)。上記のように、いくつかの実施態様では、監視デバイスは、地理的測位システムを備えるよう構成することができ、1つ又は複数のプロセッサは、監視デバイスの場所情報に関する地理的位置システムからのデータに基づいて、監視デバイスの場所を判断するよう構成することができる。いくつかの実施態様では、監視デバイスは、1つ又は複数のビーコン・デバイスから場所情報を受信するよう構成することができ、1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数のビーコン・デバイスから受信した場所情報に基づいて、監視デバイスの場所を判断するよう構成することができる。
【0283】
1つ又は複数のプロセッサは、患者の家のエリア(たとえば、台所、居間、寝室など)を、場所情報と関連づけるよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、場所情報及び記憶した関連づけに基づいて、患者の家のエリアを判断することができる。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、場所情報が台所に関連づけられ、他の場所情報が居間に関連づけられ、受信した場所情報が台所に関連づけられた場所情報と一致する場合、現在、監視デバイスが台所にあると判断することができる。
【0284】
監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者に関連づけられた、センサ・デバイスからの運動データを受信する(ブロック6502)。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、運動データに基づいて、患者の活動のレベルを判断する。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、患者が移動する経路を判断する(ブロック6503)。監視デバイス4の1つ又は複数のプロセッサは、判断した患者の場所及び受信した運動データに基づいて、経路を判断する。1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、患者が動いているかどうかを判断し、患者の動きに基づいて、患者の第2の場所を判断することができる。いくつかの実施態様では、センサ・デバイスからの運動データは、患者に関する加速度、姿勢、角回転、及び/又は向きのデータを含むことができ、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、患者に関する加速度、姿勢、角回転、及び/又は向きのデータに基づいて、患者が縦方向に移動しているかどうかを判断することができる。
【0285】
いくつかの実施態様では、監視デバイス4は、患者が移動した経路を検出するよう訓練された、1つ又は複数の機械学習モデルを備えるよう構成され得る。1つ又は複数の機械学習モデルは、センサ・デバイスに関連づけられた人の運動データ、息パターンなど、センサ・デバイスからの入力を用いて訓練され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数の機械学習モデルは、患者の動きデータに基づいて、階段又は他の構造を検出するよう訓練され得る。1つ又は複数の機械学習モデルは、たとえば、センサ・デバイスから受信した向きのデータに基づいて、階段及び縦方向に動く患者を検出するよう訓練され得る。いくつかの実施態様では、1つ又は複数の機械学習モデルは、患者が移動する経路における障害物(たとえば、ソファ、テーブルなど)を検出するよう訓練され得る。
【0286】
1つ又は複数のプロセッサは、患者が居住する構造の仮想マップ又は仮想間取り図などの、境界が形成されたエリアのグラフィック表現を生成するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、患者が移動した経路を示すグラフィック線を生成するよう構成され得る。1つ又は複数のプロセッサは、生成した、境界が形成されたエリアのグラフィック表現内に、生成したグラフィック線を含めることができる。患者が移動した経路のグラフィック表現を含む、生成された、境界が形成されたエリアのグラフィック表現の実例が、
図66Aに示されている。境界が形成されたエリア6600のグラフィック表現は、
図66Aに示されているように、グラフィカルに生成された経路6605、6606を含む。いくつかの実施態様では、ユーザ及び/又は患者は、境界が形成されたエリアのグラフィック表現の特定の部分に関して、台所6601、居間6602、寝室6604などの場所情報を示す、監視デバイスへの入力を供給することができ、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、
図66Aに示されているように、生成した、境界が形成されたエリアのグラフィック表現内に場所情報を表示することができる。
【0287】
監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、基準の生理学的値を生成する(ブロック6504)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、上記のように、呼吸数データ及び流量データに基づいて、それぞれ、基準の呼吸数の値及び/又は基準の流量の値などの、基準の生理学的値を判断することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、生成した基準の生理学的値を、判断した経路に関連づける(ブロック6505)。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、生成した、判断した経路に関連づけられた生理学的値を、監視デバイスに結合された記憶デバイスに記憶することができる。
【0288】
いくつかの実施態様では、既存の基準の生理学的値を、判断した経路に関連づけることができ、判断した経路が、基準の生理学的値に関連づけられていることを示すインジケータが、監視デバイスのメモリに記憶され得る。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、判断した経路に基づいて既存の基準の生理学的値を識別し、受信した生理学的データに基づいて、判断した経路に関連づけられた既存の基準の生理学的値を更新することによって、新しい基準の生理学的値を生成することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、たとえば、上記のように、呼吸数データに基づいて既存の基準の呼吸数を更新することによって、新しい基準の呼吸数を生成することができる。1つ又は複数のプロセッサは、同様に、流量データに基づいて既存の基準の流量を更新することによって、新しい基準の流量を生成することができる。監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサは、生成した新しい基準の生理学的値を、判断した経路に関連づけることができる。
【0289】
上記は、患者が移動した経路を判断し、経路を1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるプロセスを実行する、監視デバイスの1つ又は複数のプロセッサについて説明しているが、当業者は、センサ・デバイスの1つ又は複数のプロセッサが、
図65で説明されたプロセスに従って、患者が移動した経路を判断し、経路を1つ又は複数の基準の生理学的値と関連づけるよう構成され得ることを認識されたい。
【0290】
図66Bは、本技術の様々な態様による、患者が発症する可能性が高いかどうかを示す、リアルタイムでの測定値の第1のグラフィック表示を示している。センサ・デバイス2で測定された患者の生理学的パラメータ。たとえば、上記で以前に説明されたように、呼吸流(気流)、呼吸数(RR)、顔上のセンサの場所ばかりでなく、姿勢/動き(たとえば、頭部の構え/動き、歩行、転倒)、及び心拍数(HR)が判断され得る。患者の場所も、様々な技術(たとえば、デバイス内の、又はシステムの様々な態様と通信する)に基づいて、検出及び追跡され得る。たとえば、場所は、SiLabsのBTLE追跡デバイス、Wifi追跡、GPSなどを使用して検出され得る。この点に関連して、監視デバイス4は、患者のリアルタイムでの場所、動き、経路、及び動きの所要時間を判断することができる。
【0291】
本技術のデバイス及びシステムは、家の中での患者の場所及び動きが、25cm未満の精度で検出され得ることを可能にする(たとえば、方向(α、β)及び長さLを有する3次元ベクトル=>場所/速度を含むことができるBTLE追跡を使用して)。次いで、この場所情報が、上記のように、患者の家の配置図にマッピングされ得る。患者の労力の変化は、患者の場所/動き及びタイミングをセンサからのパラメータのデータと組み合わせることにより概算され得る。概算する労力に影響を与える可能性がある、酸素化も検出され得る。次いで、
図66A及び
図66Bにあるように、概算が行われてグラフィック表示され得る。
【0292】
図示の実例では、患者は、ある期間安静状態の可能性がある(「安静」)。安静状態の測定には、たとえば、ある期間にわたって患者の動きがないことが含まれ得る(α、β、Lが一定)。患者は、たとえば、居間で(たとえば、ソファで)テレビを見ている可能性がある。監視デバイス4は、以前に入力された患者に関するデータ及びセンサ・デバイス2から受信した場所データに基づいて、場所を、ソファ及び/又は居間と識別することができる。描かれている実例では、居間での安静状態の傾向を取得するために、場所及びセンサの情報が、たとえば10分間記録される。センサ・デバイス2から受信したデータは、患者が直立姿勢(座っている)であるが、動きがないことを示している。RR及び気流は一定であり、HRも同様である。監視デバイス4は、これらの要因の組合せに基づいて、患者が安静にしていると判断し、この特定は、
図66Bのグラフィック表示上に視覚的に示されている。
【0293】
グラフィック表示は、ある期間にわたる気流又は呼吸の量を示している。描かれている実例では、期間は1時間である。例示の1時間の中のいくつかの部分的期間で、センサの活動が検出されないことがある。たとえば、患者は、台所に入って食事をすることがある。この点に関連して、患者の場所検出は、居間のソファから台所の椅子への動き(α、L)、及びその後の動きがないこと(α、β、Lが一定)を示す。センサは、最初に直立姿勢及び歩行(ステップ)を示す。センサ・デバイス2は、次いで、患者が直立姿勢及び椅子の場所にいることを検出する。監視デバイス4は、このデータから、患者が台所のテーブルのそばの椅子に座っていることを示すことができる。
【0294】
別の期間中、センサの場所は、顔上にセンサがないことを示し(RR、気流、及びHR=0)、測定は停止される。監視デバイスは、このデータから、患者が食事の時間にセンサを顔から取り外したことを示すことができる。次いで、センサの場所は、センサが再び顔上にあることを示し(RR、気流、HR≠0)、測定が再開される。患者は、再びセンサを顔の上に置いた。これらの事象はすべて、グラフィック表示で、グラフィック・インジケータとして提示され得る。
【0295】
ある期間において、患者は尽力している(「尽力中」)ことが示される。この点に関連して、測定したデータは、患者が寝るために2階の寝室に上っていることを示し、グラフィック表示は、労力が大きい際の測定値を示している。この期間に関連して、場所データは、患者が居間を通って階段に向かって移動していることを示している(α、L)。データはさらに、患者が直立姿勢で歩行(ステップ)していることを示している。RR、気流、及びHRは、患者の労力により著しく増加している。監視デバイス4は、これらの要因の組合せに基づいて、患者が尽力していると判断し、この特定は、グラフィック表示上に視覚的に示されている。
【0296】
監視デバイス4は、場所データに基づいて、患者が(事前にプログラムされた)階段の第1のステップに近づいていることを検出する。この時点で、場所及びセンサ情報の記録は継続中であるか、又は開始され得る(たとえば、より高い割合で)。監視デバイス4は、階段を通って上る動き(α、β、L)を検出する。RR、気流、及びHRが増加し、センサ・データは、患者が直立姿勢で歩行(ステップ)していることを示す。次いで、監視デバイス4は、この患者が階段の最後のステップに近づいていることを検出し、視覚的に示す。この時点で、場所及びセンサ情報の記録の頻度が減らされるか、一時停止/停止され得る。
【0297】
ある期間において、患者は眠っている(「睡眠」)ことが示される。この点に関連して、場所データは、患者が2階の居間に向かって移動し(α、L)、最終的にベッドに到達していることを示す。センサは、患者が直立姿勢で歩行(ステップ)し、最後に横になったことを示す。RR、気流、HRが減少し始める。監視デバイス4は、これらの要因の組合せに基づいて、患者が眠っていると判断し、この特定は、グラフィック表示上に視覚的に示されている。描かれている実例によれば、場所及びセンサ情報の記録は、患者の姿勢が静止し、横になり、息が安定しているときに(たとえば、RR及び気流の変動<1並びにHRの変化度<10)、開始され得る。
【0298】
図66Cは、本技術の様々な態様による、患者が発症する可能性が高いかどうかを示す、リアルタイムでの測定値の第2のグラフィック表示を示している。描かれている実例であるグラフィック表示は、患者の基準値及び限度を超えたところを視覚的に示している。グラフィック表示はさらに、基準からの逸脱が、患者の悪化又は発症を表す場合を描いている。監視デバイス4は、患者の悪化又は発症を検出すると、ディスプレイ上の他の指示と区別できる視覚的指示又は警告(「悪化」)を、グラフィック表示上に提示することができる。いくつかの実施態様では、患者の悪化又は発症の検出により、監視デバイス4がさらに、患者に関連づけられた介護者の携帯型デバイスなどの遠隔デバイスに、通知を供給することができる。
【0299】
XIII.センサの立上がり時間
ここで
図67に目を向けると、センサ・デバイス2などのセンサ・デバイス用の電子回路組立体6700の詳細図が示されている。センサ・デバイス2は、上記のように、呼吸センサ100a、100b、100cのいずれかであり得る。電子回路組立体6700は、支持構造体6702などの支持構造体を備えることができる。支持構造体6702の実例には、
図30に示されているように、支持構造体1230-1、1230-2、1230-3が含まれ得る。支持構造体6702は、センサ6704などのセンサを支持するよう構成され得る。センサ6704の実例には、
図30に示されるようなサーミスタ400-1、400-2、400-3などのサーミスタ、熱電対などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0300】
いくつかの実施態様では、支持構造体6702は、上記のように、電気的及び/又は熱的に絶縁性の材料を含むことができる。いくつかの実施態様では、支持構造体6702には、ガラス繊維、エポキシ樹脂、難燃性材料など、及び/又はこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、支持構造体6702の材料の熱伝導率は、0.29ワット/(メートル*ケルビン)(W/(m*K))未満であり得る。いくつかの実施態様では、支持構造体の熱伝導率は、0.29W/(m*K)と0.343W/(m*K)との間であり得る。
【0301】
図67に示されているように、支持構造体6702のサイズは、長さA’、幅B’、及び厚さ又は高さC’であり得る。いくつかの実施態様では、支持構造体6702の長さA’は、10ミリメートル(mm:millimeter)から50mmの間であり得る。支持構造体6702の長さA’は、たとえば、20mmであり得る。いくつかの実施態様では、支持構造体6702の幅B’は、0.1mmから5mmの間であり得る。支持構造体6702の幅B’は、たとえば、1mmであり得る。支持構造体6702の厚さ又は高さC’は、0.01mmから0.5mmの間であり得る。支持構造体6702の厚さ又は高さC’は、たとえば、0.1mmであり得る。
【0302】
支持構造体6702は、電子基板6701に電気的に接続され得る。支持構造体6702は、たとえば、位置6705などで電子基板6701にはんだ付けされ、電気接続部6706などの電子基板6701の電気接続部と、電気接続部6703などの支持構造体の電気接続部との間に、電気接続を形成することができる。いくつかの実施態様では、電気接続部6703の幅は、25μmから200μmの間であり得る。電気接続部6703の幅は、たとえば、150μmであり得る。いくつかの実施態様では、電気接続部6703の厚さは、5μmから50μmの間であり得る。電気接続部6703の厚さは、たとえば、30μmであり得る。いくつかの実施態様では、電気接続部6703及び6704には、電線が含まれ得る。電気接続部6703及び6704の電線の材料は、銅であり得る。
【0303】
センサ6704は、支持構造体6702に電気的に接続され得る。センサ6704は、たとえば、支持構造体6702の電気接続部6703にはんだ付けされ得る。いくつかの実施態様では、センサ6704の長さは、0.1mmから2mmの間であり得る。センサ6704の長さは、たとえば、1mmであり得る。いくつかの実施態様では、センサ6704の幅は、0.1mmから1mmの間であり得る。センサ6704の幅は、たとえば、0.5mmであり得る。いくつかの実施態様では、センサ6704の厚さ又は高さは、0.1mmから1mmの間であり得る。センサ6704の厚さ又は高さは、たとえば、0.5mmであり得る。
【0304】
センサ6704の周囲の構成要素に含まれる材料、及び/又はセンサ6704の周囲の構成要素のサイズは、センサ6704の周囲の熱質量に影響を及ぼす可能性がある。センサ6704の周囲の熱質量は、センサ6704の立上がり時間、及び/又はセンサ6704の応答時間に影響を及ぼす可能性がある。熱質量の増加が、たとえば、結果的にセンサ6704の立上がり時間を増加させ、且つ/又は応答時間をより遅くする可能性がある。熱質量の減少が、同様に、結果的にセンサ6704の立上がり時間を減少させ、且つ/又は応答時間をより速くする可能性がある。いくつかの実施態様では、本明細書で呼ばれているセンサの立上がり時間は、第1の値から第2の値まで変化するのにかかる時間であり得る。いくつかの実施態様では、第1の値は、センサの最終出力値の第1のパーセンテージであり得、第2の値は、最終出力値の第2のパーセンテージであり得る。第1の値は、たとえば、センサ6704の最終出力値の10%であり得、第2の値は、最終出力値の90%であり得る。
【0305】
いくつかの実施態様では、センサ6704の周囲の熱質量は、センサの周囲の構成要素に、非常に低い熱伝導率及び/又は非常に高い断熱特性を有する材料を使用することで低減され得る。支持構造体6702の熱質量は、たとえば、熱伝導率が0.29W/(m*K)未満の材料を使用することで低減され得る。いくつかの実施態様では、センサ周囲の熱質量は、センサ6704の周囲の構成要素のサイズ及び/又は寸法を小さくすることで低減され得る。支持構造体6702のサイズは、たとえば、
図68に示されている、支持構造体6702の幅B’及び厚さC’を減少させることで減少され得る。実例として、支持構造体6702の幅B’を0.7mmに減少させることができ、支持構造体の厚さC’を0.08mmに減少させることができる。
【0306】
いくつかの実施態様では、センサ6704の周囲の熱質量は、電気接続部6703のサイズを小さくすることで低減され得る。たとえば、電気接続部の幅を50μmに減少させることができ、また電気接続部の厚さを14μmに減少させることができる。いくつかの実施態様では、センサ6704の周囲の熱質量は、センサ6704のサイズを小さくすることで低減され得る。センサ6704のサイズは、たとえば、長さ0.5mm、幅0.25mm、及び厚さ0.25mmを有するよう減少され得る。いくつかの実施態様では、センサ6704の周囲の熱質量は、電気接続部6703のパターンに基づいて低減され得る。電気接続部6703は、たとえば、
図68に示されているように、波状パターンで支持構造体6702上に実装され得る。
【0307】
センサ6704の周囲の熱質量を低減することにより、熱変化に対するセンサ6704の感度を最適化することができる。いくつかの実施態様では、センサ6704の感度の改善により、センサ6704を、患者の息の頻度及び/又は呼吸数の範囲にわたる熱変化を検出するよう構成することができる。センサ6704は、たとえば、センサ6704がサーミスタ401-1(
図30に示されている)などのサーミスタである場合、毎分120回以上の息(bpm)の呼吸数で、熱変化を検出することができる。センサ6704は、同様に、10bpm以下の呼吸数で、熱変化を検出することができる。いくつかの実施態様では、センサ6704はまた、10bpmから120bpmの間の呼吸数での熱変化を検出することもできる。
【0308】
いくつかの実施態様では、センサ6704の立上がり時間は、毎秒摂氏0.3度(℃/秒)から2.6℃/秒の間であり得る。センサ6704の立上がり時間は、たとえば、0.32℃/秒であり得る。いくつかの実施態様では、センサ6704の立上がり時間は、0.7℃/秒から1.6℃/秒の間であり得る。いくつかの実施態様では、温度の変化をより迅速に検出するために、速い応答時間を有することが好ましい場合があり、センサ6704の立上がり時間は、0.7℃/秒から1.6℃/秒の間であることが好ましい場合がある。センサ6704の立上がり時間は、たとえば、0.77℃/秒であり得る。いくつかの実施態様では、非常に高い呼吸数(たとえば、毎分120回の息)で温度のより細かな変化を取り込むことが好ましい場合があり、センサ6704の立上がり時間は、1.3℃/秒から1.6℃/秒の間など、1.29℃/秒より速いことが好ましい場合がある。
【0309】
いくつかの実施態様では、センサ・デバイス2(たとえば、呼吸センサ100a、110bを含む)は、患者のSpO2及び/又は酸素飽和度を測定するセンサを備えるよう構成され得る。患者のSpO2及び酸素飽和度を測定するセンサを備えるよう構成された、センサ・デバイス2の実例が
図69に示されている。
図69では、センサ6902は、
図28を参照して上記で説明されたように、フレーム320などのセンサ・デバイス用フレームに結合され得る。センサ6902は、患者がセンサ・デバイスを着用するときに、患者の唇6910に対して配置され得る。
【0310】
センサ6902は、赤色光6904-1を放出するよう構成された少なくとも1つの発光ダイオードと、赤外光6904-2を放出する少なくとも1つの発光ダイオードとを備えるよう構成され得る。センサ6902は、赤色光6904-1及び赤外光6904-2を送出するよう構成され得る。赤色光6904-1及び赤外光6904-2は、センサ6902から送出されると、患者の唇6910を透過し、患者の骨6912など、患者の唇6910の後ろの骨で反射する。
【0311】
センサ6902は、赤色光検出器6908-1及び赤外光検出器6908-2を備えるよう構成することができ、反射された赤色光6906-1は、赤色光検出器6908-1で検出及び/又は測定することができ、反射された赤外光6906-2は、赤外光検出器6908-2で検出及び/又は測定することができる。センサ6902は、測定した赤色光及び赤外光のレベルを計算するよう構成され得る。センサ6902は、計算した赤色光及び赤外光のレベルに基づいて、酸素飽和度を計算するよう構成され得る。
【0312】
条項としての本技術の例示
本開示の態様の様々な実例が、便宜上番号を付けた条項(1、2、3など)で説明されている。これらは実例として提示されており、本技術を限定するものではない。図及び参照番号の識別表示は、単に実例として、例示する目的で以下に提示され、条項はそうした識別表示によって限定されるものではない。
【0313】
条項1
筐体を貫いて延在する第1の鼻流路及び第2の鼻の流路を有する筐体であって、第1及び第2の鼻流路が、鼻呼吸流の方向に対して互いに平行に配置されている、筐体と、第1の鼻サーミスタ及び第2の鼻サーミスタを備える電子基板とを備える呼吸センサであって、電子基板が、第1及び第2の鼻サーミスタがそれぞれ、第1及び第2の鼻流路のそれぞれの中に配置されるように筐体に結合されている、呼吸センサ。
【0314】
条項2
電子基板が支持構造体を備え、支持構造体が、電子基板に結合された近位部分と、電子基板の最上部で画定される平面を横切る遠位部分とを有し、電子基板が、筐体内に配置されると、支持構造体の遠位部分が、第1及び第2の鼻流路のうちの少なくとも一方の中に延在する、条項1の呼吸センサ。
【0315】
条項3
第1又は第2の鼻サーミスタのいずれも、支持構造体の遠位部分に結合されている、条項2の呼吸センサ。
【0316】
条項4
口流路及び口サーミスタをさらに備え、口流路が、第1及び第2の鼻流路を横切って、口呼吸流の方向に沿って配置されている、条項1及び2のいずれかの呼吸センサ。
【0317】
条項5
電子基板が、電子基板に結合された近位部分と、電子基板の最上部で画定される平面に沿って延在する遠位部分とを有する支持構造体を備え、電子基板が、筐体内に配置されると、支持構造体の遠位部分が、第1及び第2の鼻流路のうちの少なくとも一方の中に延在する、条項4の呼吸センサ。
【0318】
条項6
口サーミスタが、支持構造体の遠位部分に結合されている、条項5の呼吸センサ。
【0319】
条項7
口流路内に配置された、少なくとも1つの口気流誘導部をさらに備える、条項4から6までのいずれかの呼吸センサ。
【0320】
条項8
少なくとも1つの口気流誘導部のうちの第1の口気流誘導部が、口流路の口入口の近くに配置され、少なくとも1つの口気流誘導部のうちの第2の口気流誘導部が、口流路の口出口の近くに配置されている、条項7の呼吸センサ。
【0321】
条項9
口入口及び口出口のいずれかが楕円形である、条項8の呼吸センサ。
【0322】
条項10
口流路が口入口から口出口の方へ先細になっている、条項8及び9のいずれかの呼吸センサ。
【0323】
条項11
第3のサーミスタ及び第4のサーミスタをさらに備え、第3のサーミスタは周囲サーミスタであり、第4のサーミスタは、呼吸センサが、患者の顔つきに対して適切に配置されているかどうかを判断するよう構成される皮膚サーミスタである、条項1から10までのいずれかの呼吸センサ。
【0324】
条項12
電子基板が、周囲サーミスタによって検出された第2の電気信号から、皮膚サーミスタによって検出された第1の電気信号を差し引くよう構成されたフィルタをさらに備える、条項11の呼吸センサ。
【0325】
条項13
電子基板が、周囲サーミスタによって検出された第3の電気信号から、皮膚サーミスタによって検出された第1の電気信号と、第1の鼻サーミスタ、第2の鼻サーミスタ、及び口サーミスタのうちのいずれかによって検出された第2の電気信号とを差し引くよう構成されたフィルタをさらに備える、条項11及び12のいずれかの呼吸センサ。
【0326】
条項14
電子基板を保護し、第1及び第2の鼻流路の少なくとも一部を形成するよう構成されたシュラウドをさらに備える、条項1から13までのいずれかの呼吸センサ。
【0327】
条項15
電子基板が、呼吸センサの動きを検出するよう構成された加速度計をさらに備える、条項1から14までのいずれかの呼吸センサ。
【0328】
条項16
加速度計が、呼吸センサが患者の顔から落下した、又は患者が倒れたかどうかを判断するよう構成される、条項15の呼吸センサ。
【0329】
条項17
電子基板が、ネットワークに結合された外部デバイスと通信するよう構成された無線トランシーバをさらに備える、条項1から16までのいずれかの呼吸センサ。
【0330】
条項18
電子基板が、呼吸センサが使用可能な状態にあるときに、筐体と患者の顔との間の接触を検出するよう構成された静電容量式センサを備える、条項2から17までのいずれかの呼吸センサ。
【0331】
条項19
第1及び第2の鼻流路のそれぞれの中に配置された、少なくとも1つの鼻気流誘導部をさらに備える、条項1から18までのいずれかの呼吸センサ。
【0332】
条項20
少なくとも1つの鼻気流誘導部のうちの第1の鼻気流誘導部が、第1及び第2の鼻流路のうちの一方の鼻入口の近くに配置され、少なくとも1つの鼻気流誘導部のうちの第2の鼻気流誘導部が、第1及び第2の鼻流路のうちの一方の鼻出口の近くに配置される、条項19の呼吸センサ。
【0333】
条項21
バッテリをさらに備える、条項1から20までのいずれかの呼吸センサ。
【0334】
条項22
吸息温度、呼息温度、呼吸センサの近隣の周囲温度、又は呼吸センサに係合された患者の皮膚の温度のうちの少なくとも1つを検出するよう構成された1つ又は複数のサーミスタと、患者の動き、患者の姿勢、心拍数、又は呼吸数のうちの少なくとも1つを検出するよう構成された加速度計と、1つ又は複数のサーミスタに結合された電子基板及び1つ又は複数のサーミスタとを備える、呼吸センサ。
【0335】
条項23
呼吸センサに係合されている患者の皮膚の温度を検出するよう構成されたサーミスタを備える、条項22の呼吸センサ。
【0336】
条項24
CO2の存在を検出するよう構成されたEtCO2感応性表面を有する、条項22の呼吸センサ。
【0337】
条項25
コマンドを記憶するメモリを備えるサーバと、ハブから、患者の呼吸状態を示すデータを受信し、データを遠隔サーバのメモリ内に転送し、データを要求に応じて携帯型コンピュータ・デバイスに供給し、且つデータをグラフィック表示するよう携帯型コンピュータ・デバイスに命令するためのコマンドを実行するよう構成されたプロセッサとを備えるシステムであって、データは、2つの鼻流路のうちの少なくとも一方からの温度値、口流路からの温度値、患者の皮膚表面の温度値、及び患者の環境の温度値を含む、システム。
【0338】
条項26
プロセッサが、患者の呼吸状態を示すデータから呼吸数を判断するよう構成される、条項25のシステム。
【0339】
条項27
プロセッサが、患者の呼吸状態を示すデータから呼吸の大きさを判断するよう構成される、条項25から26までのいずれかのシステム。
【0340】
条項28
プロセッサが、患者の呼吸状態を示すデータの変動に基づいて、患者が発作を起こすか又は患者が麻薬様物質を服用中である(under an opioid)確率を判断するよう構成される、条項25から27までのいずれかのシステム。
【0341】
条項29
ハブから、患者の呼吸状態を示すデータを受信するステップと、データを遠隔サーバのメモリに転送するステップと、データを要求に応じてモニタに供給するステップと、モニタにデータをグラフィック表示するよう命令するステップとを含む方法であって、データは、2つの鼻流路のうちの少なくとも一方からの温度値、口流路からの温度値、患者の皮膚表面の温度値、及び患者の環境の温度値を含む、方法。
【0342】
条項30
患者の呼吸状態を示すデータから呼吸数を判断するステップをさらに含む、条項29の方法。
【0343】
条項31
患者の呼吸状態を示すデータから呼吸の大きさを判断するステップをさらに含む、条項29から30までのいずれかの方法。
【0344】
条項32
患者の呼吸状態を示すデータの変動に基づいて、患者が発作を起こすか又は患者が麻薬様物質を服用中である確率を判断するステップをさらに含む、条項29から31までのいずれかの方法。
【0345】
条項33
遠隔サーバにおいて、患者の記録を患者の呼吸状態に関連づけるステップをさらに含む、条項29から32までのいずれかの方法。
【0346】
条項34
患者が、入院患者又は在宅医療患者のうちの一方であり、該方法が、患者の呼吸状態が致命的な事象を示す場合に、救急医療ユニットに警告するステップをさらに含む、条項29から33までのいずれかの方法。
【0347】
条項35
筐体を貫いて延在する鼻流路を有する筐体であって、鼻流路が鼻呼吸流の方向と整列している筐体、及び鼻サーミスタを備える電子基板であって、鼻サーミスタが鼻流路内に配置されるように筐体と結合された電子基板を備える呼吸センサ、並びに呼吸センサとネットワークとの間でデータを移動させるよう構成されるハブを備える、呼吸センサ・システム。
【0348】
条項36
ハブがスマートフォンである、条項35の呼吸センサ・システム。
【0349】
条項37
呼吸センサ及びハブのいずれかからデータを受信するよう構成されたモニタをさらに備える、条項35の呼吸センサ・システム。
【0350】
条項38
呼吸センサを使用してデータを監視するステップと、呼吸センサから離れたハブによって、呼吸センサからのデータを受信するステップと、呼吸センサからのデータをハブからネットワークへ送信するステップと、呼吸センサからのデータをネットワークからモニタに送信するステップとを含む、方法。
【0351】
条項39
呼吸センサによって監視されるデータが、皮膚サーミスタ、周囲サーミスタ、少なくとも1つの鼻サーミスタ、口サーミスタ、加速度計、及び息インジケータのうちの少なくとも1つによって監視される、条項38の方法。
【0352】
条項40
ハブが呼吸センサから、正しく配置されていて息がない状態を示す通知を受信するステップをさらに含み、該通知を受信するステップは、呼吸センサが、皮膚サーミスタが皮膚温度を検出しており、周囲サーミスタが周囲空気温度を検出しており、少なくとも1つの鼻サーミスタ及び口サーミスタのうちの1つが周囲空気温度を検出しており、且つ息インジケータが息を検出していると判断するステップに応答する、条項39の方法。
【0353】
条項41
ハブが呼吸センサから、緩んだ状態を示す通知を受信するステップをさらに含み、該通知を受信するステップは、呼吸センサが、皮膚サーミスタが周囲空気温度を検出しており、周囲サーミスタが周囲空気温度を検出しており、少なくとも1つの鼻サーミスタ及び口サーミスタのうちの1つがガス流温度を検出しており、且つ息インジケータが息を検出していると判断するステップに応答する、条項39から40までのいずれかの方法。
【0354】
条項42
ハブが呼吸センサから、取り外されたか又は息がないかのいずれかの状態を示す通知を受信するステップをさらに含み、該通知を受信するステップは、呼吸センサが、皮膚サーミスタが周囲空気温度を検出しており、周囲サーミスタが周囲空気温度を検出しており、少なくとも1つの鼻サーミスタ及び口サーミスタのうちの1つが周囲空気温度を検出しており、息インジケータが息を検出していないと判断するステップに応答する、条項39から41までのいずれかの方法。
【0355】
条項43
遠隔のハブが呼吸センサから、動作温度が超過した状態を示す通知を受信するステップをさらに含み、該通知を受信するステップは、呼吸センサが、皮膚サーミスタが皮膚温度を検出しており、周囲サーミスタが皮膚温度以上の温度を検出していると判断するステップに応答する、条項39から42までのいずれかの方法。
【0356】
条項44
第1のセンサ・デバイスによって、第1のセンサ・デバイスに近接する患者の生理学的パラメータを測定するステップと、第1のセンサ・デバイスによって、生理学的パラメータを測定するステップに応答して、第1のセンサ・デバイス及び第1の監視デバイスの間のペアリング・プロセスを容易にするよう構成された無線アドバタイズメント信号を自動的に同報通信するステップと、第1のセンサ・デバイスによって、無線アドバタイズメント信号を同報通信するステップの後に、第1のセンサ・デバイス及び第1の監視デバイスの間のペアリング・プロセスを実行するための無線要求を受信するステップと、無線要求を受信するステップに応答して、ペアリング・プロセスを自動的に完了するステップとを含む、方法。
【0357】
条項45
ペアリング・プロセス中に、患者の患者識別子を受信するステップであって、患者識別子は、ペアリング・プロセスが開始される前に収集される、患者識別子を受信するステップと、患者識別子を受信するステップに基づいて、ペアリング・プロセスを完了するステップとをさらに含む、条項44の方法。
【0358】
条項46
第1のセンサ・デバイスによって、患者識別子を受信するステップに応答して、患者識別子を、第1のセンサ・デバイスに関連づけられた識別子に自動的に関連づけるステップをさらに含む、条項45の方法。
【0359】
条項47
無線アドバタイズメント信号を同報通信するステップの前に、測定した生理学的パラメータの値が生理学的パラメータ値の閾値を満たすかどうかを判断するステップと、測定した生理学的パラメータの値が生理学的パラメータ値の閾値を満たす場合、無線アドバタイズメント信号を自動的に送信するステップとをさらに含む、条項44から45までのいずれかの方法。
【0360】
条項48
測定した生理学的パラメータの値が、生理学的パラメータ値の閾値を満たすには、所定の値以上である生理学的パラメータの所定の回数の測定が必要となる、条項47の方法。
【0361】
条項49
第1のセンサ・デバイスにおいて、第1のセンサ・デバイスに関連づけられた色に関するデータを、監視デバイスから受信するステップと、第1のセンサ・デバイスのLEDに、該色を表示するステップとをさらに含む、条項44から48までのいずれかの方法。
【0362】
条項50
センサ・デバイスによって、該色に関するデータを受信するステップの前に、第1のセンサ・デバイスに関連づけられた識別子を監視デバイスに供給するステップをさらに含み、該色は、第1のセンサ・デバイスに関連づけられた識別子に基づく、条項49の方法。
【0363】
条項51
該色が、第1のセンサ・デバイスの閾値距離内にある、他のセンサ・デバイスに関連づけられた色に基づいて判断される、条項49の方法。
【0364】
条項52
第1の監視デバイスとの無線接続の喪失を検出するステップと、第2の無線アドバタイズメント信号の同報通信に応答して、第1のセンサ・デバイス及び第2の監視デバイスの間での第2のペアリング・プロセスを実行するための第2の無線要求を受信するステップと、第2のペアリング・プロセスを完了した直後に、患者識別子を第2の監視デバイスに送信するステップと、第2の監視デバイスを患者と関連づけさせるステップとをさらに含む、条項44から51までのいずれかの方法。
【0365】
条項53
監視デバイスによって、患者の息パターンを示す息データ、及び息データが収集されている間の患者の動きを示す運動データを受信するステップと、監視デバイスによって、運動データ及び唇の動きに関連づけられた1つ又は複数の所定の運動パターンを比較するステップと、監視デバイスによって、該比較に基づいて、患者が話しているときに運動データが収集されたと判断するステップと、監視デバイスによって、該判断に基づいて、息データを調整するステップとを含む、方法。
【0366】
条項54
監視デバイスによって、受信した息データに基づいて、患者の顔上のセンサ・デバイスの現在配置されている場所を判断するステップと、センサ・デバイスの配置されている場所の判断に応答して、運動データ及び唇の動きに関連づけられた1つ又は複数の所定の運動パターンを比較するステップを開始するステップとをさらに含む、条項53の方法。
【0367】
条項55
配置されている場所が、患者の唇の所定の距離内の場所である、条項54の方法。
【0368】
条項56
監視デバイスによって、運動データ及び1つ又は複数の所定の運動パターンのうちの少なくとも1つの間の類似性レベルを判断するステップと、類似性レベルの閾値を満たす類似性レベルに基づいて、患者が話しているときに運動データが収集されたと判断するステップと、監視デバイスによって、患者が話しているときに運動データが収集されたとの判断に基づいて息データを調整するステップとをさらに含む、条項53の方法。
【0369】
条項57
監視デバイスによって、息データが収集されている間に、センサ・デバイスからセンサ・デバイスのマイクによって収集された音声データを受信するステップと、監視デバイスによって、音声データ及び比較に基づいて、患者が話していると判断するステップと、監視デバイスによって、患者が話しているときに運動データが収集されたとの判断に基づいて、息データを調整するステップとをさらに含む、条項53の方法。
【0370】
条項58
監視デバイスによって、音声データのデシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たすかどうかを判断するステップと、デシベル・レベルがデシベル・レベルの閾値を満たすとの判断に応答して、運動データ及び1つ又は複数の所定の運動パターンを比較するステップを開始するステップとをさらに含む、条項57の方法。
【0371】
条項59
監視デバイスによって、息データ、及び患者の基準の息パターンを示す基準の息データの差を判断するステップと、監視デバイスによって、該差が差の閾値を満たしているかどうかを判断するステップと、監視デバイスによって、該差が差の閾値を満たしているとの判断及び患者が話しているとの判断に基づいて、息データを調整するステップとをさらに含む、条項53の方法。
【0372】
条項60
息データが、該差を低減して差の閾値を満たすように調整される、条項59の方法。
【0373】
条項61
息データが、第1の期間にわたって受信される、条項59の方法。
【0374】
条項62
監視デバイスによって、第2の期間にわたって、患者の息パターンを示す息データに基づいて基準の息データを判断するステップをさらに含み、第2の期間は第1の期間より前にある、条項61の方法。
【0375】
条項63
監視デバイスによって、センサ・デバイスから、患者の息パターンを示す息データ、及び息データが収集されている間の患者の動きを示す運動データを受信するステップと、監視デバイスによって、受信した運動データ及び受信した息データに基づいて、3次元空間における患者の顔上のセンサ・デバイスの位置を判断するステップと、監視デバイスによって、表示デバイスに表示するために、位置のグラフィック表現を供給するステップとを含む、方法。
【0376】
条項64
運動データ及び息データを、1つ又は複数の所定の睡眠パターンである、睡眠時無呼吸の徴候に関連づけられた1つ又は複数の所定の睡眠パターンのうちの少なくとも1つと比較するステップと、監視デバイスによって、該比較に基づいて、患者が睡眠時無呼吸である尤度を示す無呼吸スコアを生成するステップと、生成した無呼吸スコアが尤度レベルの閾値を満たしている場合に、警告を発生させるステップと、監視デバイスによって、表示デバイスに表示するために、警報の表示を位置のグラフィック表現と共に供給するステップとをさらに含む、条項63の方法。
【0377】
条項65
監視デバイスによって、息データに基づいて、患者の第1の鼻孔の第1の呼吸数及び流量を示す第1の息パターン、及び患者の第2の鼻孔の第2の呼吸数及び流量を示す第2の息パターンを判断するステップと、第1の息パターン及び第2の息パターンを、1つ又は複数の所定の息パターンと比較するステップと、第1の息パターン及び第2の息パターンの、1つ又は複数の所定の息パターンとの比較に基づいて、患者の顔上のセンサ・デバイスの位置を判断するステップとをさらに含む、第63項の方法。
【0378】
条項66
患者の口の第3の呼吸数又は流量を示す第3の息パターンを判断するステップと、第3の呼吸数又は流量が、第1の呼吸数又は流量及び第2の呼吸数又は流量のうちの少なくとも一方よりも大きいと判断するステップと、第3の呼吸数又は流量がより大きいとの判断に基づいて、鼻腔の状態を示す警告を発生させるステップとをさらに含む、条項65の方法。
【0379】
条項67
第1の呼吸数又は流量及び第2の呼吸数又は流量の変化に基づいて、センサ・デバイスが水平方向に移動したことを検出するステップをさらに含む、請求項65の方法。
【0380】
条項68
運動データに基づいて、3次元空間における患者の物理的姿勢を判断するステップであって、物理的姿勢が、座った姿勢、立った姿勢、及び横たわった姿勢から選択される、物理的姿勢を判断するステップと、患者の物理的姿勢が、患者に関連づけられた所定の医療指示に違反しているかどうかを判断するステップと、物理的姿勢が医療指示に違反している場合に警告を発生させるステップとをさらに含む、請求項63の方法。
【0381】
条項69
監視デバイスによって、監視デバイスの地理的場所を判断するステップと、監視デバイスによって、監視デバイスの地理的場所及び監視デバイスへのアクセスが許可されたユーザ識別子に基づいて、監視デバイスのGUIを、GUIの1つ又は複数のグラフィック構成要素を追加又は削除することで自動的に修正するステップとをさらに含む、条項63の方法。
【0382】
条項70
運動データを、疼痛の兆候に関連づけられた1つ又は複数の所定の運動パターンと比較するステップと、監視デバイスによって、該比較に基づいて、患者が疼痛を受けている尤度を示す疼痛スコアを生成するステップと、監視デバイスによって、表示デバイスに表示するために、患者が疼痛を受けている尤度を示すグラフィック要素を供給するステップとをさらに含む、請求項63の方法。
【0383】
条項71
運動データには、センサ・デバイスに組み込まれた加速度計によって収集された加速度計データが含まれる、請求項63の方法。
【0384】
条項72
1つ又は複数の所定の睡眠パターンが、所定の期間にわたる所定の息パターンに関連づけられた、所定の期間中の固定した姿勢に対する所定の患者の頭部の動きパターンを含み、無呼吸スコアが、所定の動きパターンと、受信した運動データによって識別される現在の動きパターンとの間の類似性の強さ、並びに所定の息パターンと、所定の期間に等しい期間にわたる、受信した息データによって識別される現在の息パターンとの間の類似性の強さに基づいて生成される、請求項64の方法。
【0385】
条項73
監視デバイスによって、患者に関連づけられたセンサ・デバイスからの患者データの、患者の生理学的データ及び動きを示す物理的運動データを受信するステップであって、運動データが、生理学的データが収集される間に測定され、物理的動きデータが、同じ期間に測定される、データを受信するステップと、監視デバイスによって、物理的動きの運動データに基づいて、複数の所定の活動のカテゴリから所定の活動のカテゴリを選択するステップと、監視デバイスによって、選択した所定の活動のカテゴリに基づいて、複数の基準の生理学的値から基準の生理学的値を識別するステップと、監視デバイスによって、識別した基準の生理学的値に基づいて、生理学的データの値及び識別した基準の生理学的値の差を判断するステップと、監視デバイスによって、判断した差に基づいて、患者が今から所定の期間内に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が悪化することになる尤度を予測するステップとを含む、方法。
【0386】
条項74
監視デバイスによって、センサ・デバイスから患者の場所データを受信するステップであって、場所データが、生理学的データが収集されるのと同じ期間中に測定される、場所データを受信するステップと、監視デバイスによって、場所データ及び物理的運動データに基づいて、患者が移動した経路を判断するステップと、監視デバイスによって、該経路及び選択した所定の活動のカテゴリに基づいて、基準の生理学的値を識別するステップとをさらに含む、条項73の方法。
【0387】
条項75
監視デバイスによって、患者が移動した複数の経路を示すグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成するステップであって、各経路が、経路に関連づけられたグラフィックの経路の線で表示される、GUIを生成するステップと、監視デバイスによって、監視デバイスに関連する表示デバイスで表示するためのGUIを供給するステップとをさらに含む、条項74の方法。
【0388】
条項76
監視デバイスによって、患者が移動した複数の経路のそれぞれについて、最近の期間に患者が経路を移動した回数を判断するステップをさらに含み、グラフィックの経路の線のサイズが、患者が経路を移動した回数に基づく、条項75の方法。
【0389】
条項77
監視デバイスによって、初期の様々な期間に測定した生理学的データに基づいて、複数の基準の生理学的値を生成するステップと、監視デバイスによって、複数の基準の生理学的値のそれぞれを、複数の所定の活動のカテゴリから選択された所定の活動のカテゴリに関連づけるステップとをさらに含み、所定の活動のカテゴリが、対応する初期に測定された物理的動きデータに基づいて選択される、条項75の方法。
【0390】
条項78
患者が移動した複数の経路からの各経路が、複数の基準の生理学的値からの基準の生理学的値に関連づけられ、関連づけられた基準の生理学的値のそれぞれが、患者が関連づけられた経路を移動した期間中に測定された、生理学的データに基づいて生成される、条項77の方法。
【0391】
条項79
監視デバイスによって、物理的動きデータに基づいて、患者が縦方向に移動したかどうかを判断するステップであって、物理的動きデータが、加速度計データ、姿勢のデータ、及び向きのデータを含む、判断するステップと、監視デバイスによって、患者が縦方向に移動したとの判断に応答して、患者の3次元空間における縦方向の動きを視覚的に表示するステップとをさらに含む、条項73の方法。
【0392】
条項80
筐体を貫いて延在する第1の鼻流路及び第2の鼻流路を有する筐体であって、第1及び第2の鼻流路が、互いに平行に配置されている、筐体と、第1のセンサ及び第2のセンサを備える電子基板とを備える呼吸センサであって、電子基板が、第1のセンサが第1の鼻流路内に配置され、第2のセンサが第2の鼻流路内に配置されるように、筐体に結合されている、呼吸センサ。
【0393】
条項81
電子基板が支持構造体を備え、支持構造体が、0.29ワット/(メートル*ケルビン)(W/(m*k))未満の熱伝導率を有する材料を含む、請求項80の呼吸センサ。
【0394】
条項82
第1又は第2のセンサのいずれも、支持構造体の一部と1本又は複数本の電線によって電気的に連結されている、条項81の呼吸センサ。
【0395】
条項83
電線が、波状パターンで支持構造体上にトレース形成されている、条項82の呼吸センサ。
【0396】
条項84
支持構造体の幅が0.71mm未満である、条項81の呼吸センサ。
【0397】
条項85
支持構造体の厚さが0.81mm未満である、条項81の呼吸センサ。
【0398】
条項86
1本又は複数本の電線の幅が60マイクロメートル未満である、条項82の呼吸センサ。
【0399】
条項87
1本又は複数本の電線の厚さが20マイクロメートル未満である、条項82の呼吸センサ。
【0400】
条項88
第1及び第2のセンサのうちのいずれも、立上がり時間が0.71℃/秒である、条項82の呼吸センサ。
【0401】
条項89
第1及び第2のセンサのいずれも、立上がり時間が0.32℃/秒である、条項82の呼吸センサ。
【0402】
条項90
第1の監視デバイス及び第1のセンサ・デバイスを備えるシステムであって、第1のセンサ・デバイスが、メモリと、メモリに記憶されている命令を実行して、第1のセンサ・デバイスに条項44から52までの方法のステップを実行させるよう構成された、1つ又は複数のプロセッサとを備える、システム。
【0403】
条項91
センサ・デバイス及び監視デバイスを備えるシステムであって、監視デバイスが、メモリと、メモリに記憶されている命令を実行して、監視デバイスに条項53から62までの方法のステップを実行させるよう構成された、1つ又は複数のプロセッサとを備える、システム。
【0404】
条項92
センサ・デバイス及び監視デバイスを備えるシステムであって、監視デバイスが、メモリと、メモリに記憶されている命令を実行して、監視デバイスに条項63から72までの方法のステップを実行させるよう構成された、1つ又は複数のプロセッサとを備える、システム。
【0405】
条項93
センサ・デバイス及び監視デバイスを備えるシステムであって、監視デバイスが、メモリと、メモリに記憶されている命令を実行して、監視デバイスに条項73から79までの方法のステップを実行させるよう構成された、1つ又は複数のプロセッサとを備える、システム。
【0406】
さらに考慮すべき点
いくつかの実施例では、本明細書の条項のいずれも、独立条項のいずれか1つ又は従属条項のいずれか1つを拠り所とすることができる。一態様では、条項(たとえば、従属又は独立条項)のいずれも、他の任意の1つ又は複数の条項(たとえば、従属又は独立条項)と組み合わせることができる。一態様では、クレームは、条項、文、句、又は段落に列挙された単語(たとえば、ステップ、動作、手段、又は構成要素)の一部又はすべてを含むことができる。一態様では、クレームは、1つ又は複数の条項、文、句、又は段落に列挙された単語の一部又はすべてを含むことができる。一態様では、条項、文、句、又は段落のそれぞれの単語の一部を削除できる。一態様では、追加の単語又は要素を、条項、文、句、又は段落に追加することができる。一態様では、本技術は、本明細書で説明されている構成要素、要素、機能、又は動作の一部を利用することなく実施することができる。一態様では、本技術は、追加の構成要素、要素、機能、又は動作を利用して実施することができる。
【0407】
前述の説明は、当業者が本明細書で説明されている様々な構成を実行できるようにするために提示されている。本技術は、様々な図及び構成を参照して具体的に説明されているが、これらは例示の目的のみであり、本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0408】
本技術を実施するための、他の多くのやり方があり得る。本明細書で説明されている様々な機能及び要素は、本技術の範囲から逸脱することなく、示されるものとは異なる形で分割され得る。こうした構成に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなろう。そして本明細書で定義される一般的な原理は、他の構成に適用され得る。したがって、当業者は、本技術の範囲から逸脱することなく、本技術に多くの変更及び修正を加えることができる。
【0409】
本明細書で使用されている、一連の項目の前にある「少なくとも1つの」という句は、項目のいずれかを区切る用語「及び」又は「又は」を伴って、リストの各要素(すなわち各項目)ではなく、リスト全体を修飾する。「少なくとも1つの」という句は、列挙された各項目のうちの少なくとも1つを選択することが必要なのではなく、むしろこの句により、項目のうちのいずれか1つの少なくとも1つ、項目の任意の組合せのうちの少なくとも1つ、及び/又はそれぞれの項目の少なくとも1つを含むことを、意味することができる。実例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組合せ、並びに/又はA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを指す。
【0410】
さらに、説明又は特許請求の範囲で、用語「含む」、「有する」などが使用される限りにおいて、かかる用語は、「備える」という用語が、「備える」がクレームの中で転換語として使用されるときに解釈されるのと同様の形で、包括的であることを意図している。単語「例示的な」は、本明細書では、「実例、例、又は例示として機能する」ことを意味するように使用される。「例示的な」として本明細書で説明されているどの実施例も、必ずしも他の実施例よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0411】
1つ又は複数の態様では、用語「約」「実質的に」及び「ほぼ」は、それらが対応する用語及び/又は項目間の関係性について、業界で許容される許容範囲を提示することができる。
【0412】
単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「1つだけ」ではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味することを意図している。用語「いくつかの」は、1つ又は複数を指す。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、この開示全体にわたって説明されている様々な構成の要素に対する、すべての構造的及び機能的同等物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、本技術に包含されることを意図している。さらに、本明細書で開示されているいずれも、かかる開示が上記の説明に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公共に捧げられることを意図しない。
【0413】
本技術の特定の態様及び実施例が説明されてきたが、これらは単に実例として提示されており、本技術の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書で説明されている新規の方法及びシステムは、新規の方法及びシステムの精神から逸脱することなく、他の様々な形態で具現化され得る。添付する特許請求の範囲及び特許請求の範囲の同等物は、本技術の範囲及び精神に包含されるような、かかる形式又は修正をカバーすることを意図している。